JP2019130849A - 膜積層部材およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】金属光沢性および電波透過性に優れ、レーダ装置を備えた自動車におけるエンブレム等の外装部品として好適に用いることができる膜積層部材を提供する。【解決手段】膜積層部材10は、(a)樹脂製の基材12と、(b)純金属、合金、金属化合物の何れかの材料で構成された複数の層からなる光沢膜14と、を有する。光沢膜14は、厚み方向に形成された空隙sによって多数の微小片16に分割されており、微小片16は、厚み方向の略中央部の外径に対し、上端部および下端部の外径が小さい、略そろばん玉状に形成されている。【選択図】 図1
Description
この発明は、基材上に光沢膜が積層形成された膜積層部材およびその製造方法に関し、詳しくは金属光沢性および電波透過性に優れた膜積層部材およびその製造方法に関する。
近年、車間距離の維持や衝突防止を目的とした自動車支援システムが普及しつつある。自動車支援システムでは、対象物を検知する手段としてミリ波レーダ装置が用いられている。前方の対象物を検知するためのミリ波レーダ装置は、車両前面に配されたエンブレムの後方に搭載される場合が多い。このような場合、エンブレムを構成する部材には金属光沢性とともに電波透過性が求められる。
金属光沢性とともに電波透過性が求められる部材には、従来、基材上にインジウム皮膜を積層形成した膜積層部材が用いられていた。しかしながら、インジウムは希少金属であるため製造コストが高くなる問題があった。
一方、下記特許文献1には、インジウムを使用しない金属複合材料において、規則的な島状に形成された金属領域を有する金属被膜を樹脂基材上に形成するとともに、金属領域の面積および隣接する金属領域との間隔を所定範囲内で制御することで、電波透過性を確保するようになした点が開示されている。しかしながらこのような場合であっても、例えば電波透過性を向上させるためには隣接する金属領域との間隔を広げなければならず、その結果、金属領域の占める割合が相対的に減少して金属光沢性が低下してしまう。このように電波透過性と金属光沢性とはトレードオフの関係にあり、これらを両立させることは難しい。
本発明は以上のような事情を背景とし、金属光沢性および電波透過性に優れ、レーダ装置を備えた自動車におけるエンブレム等の外装部品として好適に用いることができる膜積層部材およびその製造方法を提供することを目的としてなされたものである。
而して本発明の膜積層部材は、(a)樹脂製の基材と、(b)純金属、合金、金属化合物の何れかの材料で構成された複数の層からなり、前記基材に積層された光沢膜と、を有し、該光沢膜は、厚み方向に形成された空隙によって多数の微小片に分割されており、該微小片の断面形状が、厚み方向の略中央部の外径に対し上端部および下端部の外径が小さい、略そろばん玉形状に形成されていることを特徴とする。ここで、略そろばん玉形状とは、微小片の断面形状が楕円形状や長円形状である場合も含まれる。
断面を略そろばん玉形状とされた微小片では、その側面部が厚み方向と直交する方向外側に向かって凸状となる。本発明では、かかる側面部における厚み方向上側(基材とは反対側)の部位で入射光を反射させて金属光沢性を高める一方、側面部における厚み方向下側(基材側)に形成された空隙を、電波の伝播経路の一部として活用することで、厚み方向に進行する電波の透過性を高めることできる。このため、本発明の膜積層部材では、微小片の断面が長方形であった場合と比較して、金属光沢性が同じであれば電波透過性をより高めることができ、電波透過性が同じであれば金属光沢性をより高めることができる。
また本発明では、前記光沢膜を、主層と、該主層と前記基材との間に積層された下層と、を有する構成として、該下層を、該主層よりも電極電位が卑な材料で構成することができる。
更に本発明では、前記光沢膜を、前記主層の前記基材とは反対側の面に積層された上層を更に有する3層構造として、該上層を、前記主層よりも電極電位が卑な材料で構成することができる。
なお、金属光沢性および電波透過性は、光沢膜を構成する微小片の大きさや隣接する微小片との間に形成される空隙の大きさによっても変動する。微小片が過度に大きい場合には、電波の透過を許容する空隙の割合が相対的に小さくなり電波透過性が低くなってしまうため、微小片の真円換算直径は1〜50μmの範囲内とすることが望ましい。
また、隣接する微小片との間に形成される空隙が過度に大きい場合には、金属光沢性が低下するとともに空隙部が視認され易くなり美観が損なわれる。このため、隣接する微小片との間に形成された最小空隙は1〜30μmの範囲内とすることが望ましい。ここで最小空隙とは、隣接する微小片同士が最も近接している箇所において、それぞれ対向する側面部の頂部の間に形成された空隙である。
また、隣接する微小片との間に形成される空隙が過度に大きい場合には、金属光沢性が低下するとともに空隙部が視認され易くなり美観が損なわれる。このため、隣接する微小片との間に形成された最小空隙は1〜30μmの範囲内とすることが望ましい。ここで最小空隙とは、隣接する微小片同士が最も近接している箇所において、それぞれ対向する側面部の頂部の間に形成された空隙である。
また、本発明の膜積層部材の製造方法は、主層と、該主層よりも電極電位が卑な材料で構成された上層および下層を、それぞれ膜状に積層して、これら上層および下層で前記主層を挟み込んだ3層構造の光沢膜を基材上に形成した後、
該光沢膜の各層をウェットエッチング法によりエッチングして、該光沢膜を多数の微小片に分割するとともに、該光沢膜の各層間で生じる電池反応を利用して、前記微小片の断面を、厚み方向の略中央部の外径に対し上端部および下端部の外径が小さい略そろばん玉形状に形成したことを特徴とする。
該光沢膜の各層をウェットエッチング法によりエッチングして、該光沢膜を多数の微小片に分割するとともに、該光沢膜の各層間で生じる電池反応を利用して、前記微小片の断面を、厚み方向の略中央部の外径に対し上端部および下端部の外径が小さい略そろばん玉形状に形成したことを特徴とする。
卑な材料と貴な材料とが接する部分では局部電池が形成される。本発明の製造方法では、卑な材料と貴な材料とが接する境界部が、光沢膜の厚み方向の上側と下側とにそれぞれ設けられおり、ウェットエッチングの際、かかる境界部がエッチング液中に露出すると、電池反応により膜厚方向とは直交する方向へのサイドエッチングが促進される。このため本発明の製造方法によれば、好適に微小片の断面を略そろばん玉形状に形成することができる。
以上のような本発明によれば、金属光沢性および電波透過性に優れ、レーダ装置を備えた自動車におけるエンブレム等の外装部品として好適に用いることができる膜積層部材およびその製造方法を提供することができる。
次に本発明の実施形態を以下に詳しく説明する。図1において、10は膜積層部材、12は樹脂製の基材で、この基材12の一方の面(図中の上面)には、光沢膜14が形成されている。
基材12は、アクリロニトリル・ブダジエン・スチレン(ABS),ポリプロピレン(PP),ポリスチレン(PS),ポリカーボネート(PC),ポリメチルメタクリレート(PMMA),などの樹脂材料を用いて形成されている。基材12の厚みは、部材としての所定の強度が確保できるように0.5mm〜10mmの範囲内とするのが望ましい。
光沢膜14は、厚み方向に形成された空隙sによって多数の微小片16に分割されている。本例の微小片16は、図2に示すように平面視円形状で、同図における上下方向および左右方向に等間隔のピッチpで規則的に配置されている。なお、微小片16の形状は円形状に限定されるものではなく、四角形などに適宜変更可能である。
この光沢膜14は、3層構造とされており、図3,図4(IV)に示すように、主層20と、主層20と基材12との間に積層された下層22と、主層20の基材12とは反対側の面に積層された上層24とを備えている。これら各層は、それぞれ純金属、合金、金属化合物(金属酸化物、金属窒化物等)の何れかの材料からなり、主層20は電極電位が貴で、上層24および下層22が卑となる組み合わせで構成されている。
主層20は、金属光沢を有する材料を用いて形成されている。具体的にはAl,Cu,Fe,Nb,Ni,Ta,Tiの何れかから選ばれた純金属、またはこれらを基とする合金を用いることができる。良好な金属光沢性が得られるように、主層20の厚みは50nm〜1000nmの範囲内とすることが望ましい。
一方、下層22および上層24は、上記主層20よりも電極電位が卑な材料を用いて形成されている。具体的にはAl,Cu,Cr,Fe,Mg,Mo,Sn,Znの何れかから選ばれた純金属、これらを基とする合金、もしくは金属化合物(酸化物、窒化物)の中から電極電位を考慮して選択することができる。
このように構成された光沢膜14では、上層24と主層20との境界部、および、主層20と下層22との境界部において生じる電池反応を利用して、微小片16の断面形状を後述する略そろばん玉形状とすることができる。なお、このような形状を得るため、下層22および上層24の厚みは10nm〜500nmの範囲内とすることが望ましい。
図3は、光沢膜14を構成する微小片16の断面形状を拡大して示した模式図である。微小片16における側面部は、厚み方向と直交する方向外側に向かって凸状をなしており、厚み方向の略中央に位置する頂部16aと、頂部16aから上端部に向かって延びる上傾斜部16bと、頂部16aから下端部に向かって延びる下傾斜部16cとが形成されている。同図に示すように微小片16の断面形状は、厚み方向の略中央の頂部16aにおける外径D1に対し、上端部の外径D2および下端部の外径D3が小さい、略そろばん玉形状である。また、隣接する微小片16との間には、その頂部16aにおいて最小空隙s1が形成されている。
このように構成された本例の光沢膜14では、図中上方からの下向きに入射する外部光を、微小片16の上面24aに加えて、側面部における厚み方向上側部位に形成された上傾斜部16bで反射させることで、金属光沢性を高めることができる。
また本例の光沢膜14では、側面部における厚み方向下側部位に形成された下傾斜部16cと基材12との間に空隙s2が形成されているため、電波の伝播経路として、隣接する微小片16,16間に形成された空隙s1に加えて、側面部に直下の空隙s2が活用されるため、膜積層部材10の厚み方向に進行する電波に対する電波透過性を高めることができる。
また本例の光沢膜14では、側面部における厚み方向下側部位に形成された下傾斜部16cと基材12との間に空隙s2が形成されているため、電波の伝播経路として、隣接する微小片16,16間に形成された空隙s1に加えて、側面部に直下の空隙s2が活用されるため、膜積層部材10の厚み方向に進行する電波に対する電波透過性を高めることができる。
このように本例では、側面部における厚み方向上側部位を金属光沢性向上に、厚み方向下側部位を電波透過性向上に利用する。金属光沢性および電波透過性を高めるためには、微小片16の側面部における下端部に対する頂部16aの突出量δ(図3参照)を大きくすることが望ましい。具体的には、突出量δを300nm以上とすることが望ましい。
図4は、膜積層部材10を製造する手順の工程例を示している。
先ず図4(I),(II)に示すように樹脂製の基材12の上面の全面に亘って、スパッタリングによって光沢膜14の一部を構成する下層22を膜状に積層形成する。次いで同図(III)に示すように、下層22の上面の全面に亘って、スパッタリングによって光沢膜14の一部を構成する主層20を膜状に積層形成する。更に同図(IV)に示すように、主層20の上面の全面に亘って、スパッタリングによって光沢膜14の一部を構成する上層24を膜状に積層形成する。このようにすることで上層24および下層22で主層20を挟み込んだ3層構造の光沢膜14が基材12上に形成される。ここで各層は、電極電位による関係が、主層20が貴で、下層22および上層24が卑となる組み合わせの材料が選択されている。
先ず図4(I),(II)に示すように樹脂製の基材12の上面の全面に亘って、スパッタリングによって光沢膜14の一部を構成する下層22を膜状に積層形成する。次いで同図(III)に示すように、下層22の上面の全面に亘って、スパッタリングによって光沢膜14の一部を構成する主層20を膜状に積層形成する。更に同図(IV)に示すように、主層20の上面の全面に亘って、スパッタリングによって光沢膜14の一部を構成する上層24を膜状に積層形成する。このようにすることで上層24および下層22で主層20を挟み込んだ3層構造の光沢膜14が基材12上に形成される。ここで各層は、電極電位による関係が、主層20が貴で、下層22および上層24が卑となる組み合わせの材料が選択されている。
その後、感光性のあるレジスト28を上層24の上面全面に亘って膜状に施した後、露光を行って、図4(V)に示すように光沢膜14の非除去部分のみレジスト28を硬化により残存させて他を除去し、その後ウェットエッチングにより、光沢膜14のレジスト28にてマスクされていない部分を部分的に除去し(図4(VI)参照)、厚み方向に形成された空隙sによって光沢膜14を多数の微小片16に分割する。
ここで、エッチング液中に、互いに接触した卑な材料と貴な材料との境界部分が露出すると、材料間に電位差が生じ局部電池が形成され、その境界部分では電気化学反応が生じてサイドエッチングが促進されるものと考えられる。本例では、エッチングの際に、上層24と主層20との境界部分26(図3参照)、および、主層20と下層22との境界部分27(図3参照)で、厚み方向と直交する方向のサイドエッチングが促進され、その結果、厚み方向中央部が外側に向かって凸状となした側面部が形成され、微小片16は略そろばん玉形状となる。
その後、図4(VII)に示すようにレジスト28を除去することによって、膜積層部材10を得る。なお、場合によってはこの後、更に上層24を除去し、微小片16即ち光沢膜14を下層22と主層20からなる2層構造をすることも可能である。
図5は、本実施形態の膜積層部材を、自動車用外装部品としてのエンブレムに適用した例を示した図である。同図において、35はレーダ装置で、内部に図示を省略する発信部および受信部を有し、ミリ波を前方に向けて照射するとともにその反射波を受信する。30は、レーダ装置35を内部に収容する樹脂製のレーダカバーである。レーダ装置35を内部に収容するレーダカバー30は、車両前面における車幅方向の中央に配置され、その前壁部30aがエンブレムを構成している。
前壁部30aの外面側において、識別マークとしての図形もしくは文字を表す領域には
光沢膜14が積層されている。部分拡大図で示すように、光沢膜14は、厚み方向に形成された空隙sによって多数の微小片16に分割されており、微小片16の断面は、厚み方向の略中央部の外径に対し上端部および下端部の外径が小さい、略そろばん玉形状とされている。この図5の例によれば、前壁部30aに、エンブレムに求められる金属光沢性、レーダカバーに求められる電波透過性の両方を付与することが可能である。
光沢膜14が積層されている。部分拡大図で示すように、光沢膜14は、厚み方向に形成された空隙sによって多数の微小片16に分割されており、微小片16の断面は、厚み方向の略中央部の外径に対し上端部および下端部の外径が小さい、略そろばん玉形状とされている。この図5の例によれば、前壁部30aに、エンブレムに求められる金属光沢性、レーダカバーに求められる電波透過性の両方を付与することが可能である。
次に本発明の実施例を以下に説明する。
表1に示す各種組成、各種積層構造の膜積層部材を以下のようにして製造し、電波透過性および金属光沢性の評価を行った。
表1に示す各種組成、各種積層構造の膜積層部材を以下のようにして製造し、電波透過性および金属光沢性の評価を行った。
(膜積層部材の製造)
基材としては、ABS樹脂製の透明な100mm×100mm×厚み1mmの板材を用いた。光沢膜の各層は、表1に示す材料のインゴットから切り出したスパッタリングターゲットを用い、スパッタリングによって積層形成した。
スパッタリングは、真空度を5×10−4Paとし、チャンバ内にArガス(不活性ガス)を導入して行った。スパッタ圧は0.1〜1.0Pa,電力は100〜500Wとして行った。ただし、CuOからなるNo13の下層および上層については、チャンバ内に酸素ガスを導入した反応性スパッタリングにより作製した。
各層の厚みの狙い値は、下層が30nm、主層が500nm、上層が30nmである。
基材としては、ABS樹脂製の透明な100mm×100mm×厚み1mmの板材を用いた。光沢膜の各層は、表1に示す材料のインゴットから切り出したスパッタリングターゲットを用い、スパッタリングによって積層形成した。
スパッタリングは、真空度を5×10−4Paとし、チャンバ内にArガス(不活性ガス)を導入して行った。スパッタ圧は0.1〜1.0Pa,電力は100〜500Wとして行った。ただし、CuOからなるNo13の下層および上層については、チャンバ内に酸素ガスを導入した反応性スパッタリングにより作製した。
各層の厚みの狙い値は、下層が30nm、主層が500nm、上層が30nmである。
基材上に積層形成された光沢膜を、表1で示すエッチング液を用いて、多数の微小片に分割した。作製した微小片の直径D1および隣接する微小片との間の最小空隙s1は表1の通りである。なお、微小片の平面視の形状は図2で示す円形状である。
表1に示すように、エッチングにより得られた光沢膜の断面形状は、光沢膜を主層(SUS304)のみで構成したNo.16においては長方形であった。光沢膜を上層と主層の2層で構成したNo.17においては、基材側の下辺が上側の上辺より長い台形であった。
光沢膜を3層構造とした、No.1〜15については、膜の断面形状が略そろばん玉状であり、側面部における突出量δ(図3参照)は300nm以上であった。
光沢膜を3層構造とした、No.1〜15については、膜の断面形状が略そろばん玉状であり、側面部における突出量δ(図3参照)は300nm以上であった。
(金属光沢性の評価)
金属光沢性は、JIS K 7105に準拠して紫外可視分光光度計を用いて測定した反射率に基づいて評価した。詳しくは可視光の波長範囲(360〜830nm)において、波長1nm毎の反射率を測定して、平均値を算出した。
そして、可視光領域における平均反射率が(材料固有値と略同等と推定される)50%以上であった場合を「○」、40%〜50%未満であった場合を「△」、40%未満であった場合を「×」、として評価した。その結果を表1に示す。
金属光沢性は、JIS K 7105に準拠して紫外可視分光光度計を用いて測定した反射率に基づいて評価した。詳しくは可視光の波長範囲(360〜830nm)において、波長1nm毎の反射率を測定して、平均値を算出した。
そして、可視光領域における平均反射率が(材料固有値と略同等と推定される)50%以上であった場合を「○」、40%〜50%未満であった場合を「△」、40%未満であった場合を「×」、として評価した。その結果を表1に示す。
(電波透過性の評価)
作製した膜積層部材から5cm角の平板を切り出し評価用試験片とした。それぞれネットワークアナライザーに接続した送信アンテナおよび受信アンテナを30cm離間して配置し、その中間位置に評価用試験片を垂直に配置し、送信アンテナから75〜90GHzのミリ波を評価用試験片に向けて照射し、評価用試験片を透過して受信アンテナに入射するミリ波の強度を測定した。そして周波数0.04GHz毎の照射側の電波強度に対する受信側の電波強度の比率の平均値を求めて電波透過率とした。
そして、電波透過率が99%以上であった場合を「○」、95%〜99%未満であった場合を△、95%未満であった場合を「×」、として評価した。その結果を表1に示す。
作製した膜積層部材から5cm角の平板を切り出し評価用試験片とした。それぞれネットワークアナライザーに接続した送信アンテナおよび受信アンテナを30cm離間して配置し、その中間位置に評価用試験片を垂直に配置し、送信アンテナから75〜90GHzのミリ波を評価用試験片に向けて照射し、評価用試験片を透過して受信アンテナに入射するミリ波の強度を測定した。そして周波数0.04GHz毎の照射側の電波強度に対する受信側の電波強度の比率の平均値を求めて電波透過率とした。
そして、電波透過率が99%以上であった場合を「○」、95%〜99%未満であった場合を△、95%未満であった場合を「×」、として評価した。その結果を表1に示す。
表1の結果において、光沢膜を主層(SUS304)のみで構成したNo.16は、金属光沢性についての評価は「○」であったが、電波透過性が目標未達で結果「×」であった。
また光沢膜を主層(SUS304)と上層(Zn)との2層構造としたNo.17においても、No.16の場合と同様に金属光沢性についての評価は「○」であったが、電波透過性が目標未達で結果「×」であった。
また光沢膜を主層(SUS304)と上層(Zn)との2層構造としたNo.17においても、No.16の場合と同様に金属光沢性についての評価は「○」であったが、電波透過性が目標未達で結果「×」であった。
これに対し、微小片の直径D1および最小空隙s1がNo.16、No.17と同じで、断面をそろばん玉形状としたNo.4では、金属光沢性および電波透過性いずれも良好な結果が得られており、微小片の断面をそろばん玉形状としたことの効果が認められる。
微小片の断面をそろばん玉形状としたNo.1〜13の膜積層部材については、光沢膜の材料や微小片の寸法が異なっていても、金属光沢性および電波透過性いずれも評価は「○」で、良好な結果が得られている。
微小片の断面をそろばん玉形状としたNo.1〜13の膜積層部材については、光沢膜の材料や微小片の寸法が異なっていても、金属光沢性および電波透過性いずれも評価は「○」で、良好な結果が得られている。
なお、微小片の断面をそろばん玉形状とした膜積層部材であっても、No.14のように最小空隙s1が過度に大きい場合には金属光沢性が低下し、またNo.15のように微小片の直径D1が過度に大きい場合には電波透過性が低下することから、微小片の大きさおよび空隙は、その目的に応じて適宜設定することが望ましい。
以上本発明の実施形態および実施例について詳しく説明したが、これはあくまで一例示である。上記実施形態および実施例では光沢膜を構成する微小片を円形状としたが、微小片の形状は適宜変更可能である。また、光沢性をより高めることが要求される場合には、光沢膜の上層を除去して使用することも可能である。また、光沢膜の上面に更に透明な保護膜を形成することも可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた態様で実施可能である。
10 膜積層部材
12 基材
14 光沢膜
16 微小片
20 主層
22 下層
24 上層
s 空隙
s1 最小空隙
D1,D2,D3 外径
12 基材
14 光沢膜
16 微小片
20 主層
22 下層
24 上層
s 空隙
s1 最小空隙
D1,D2,D3 外径
Claims (5)
- (a)樹脂製の基材と、
(b)純金属、合金、金属化合物の何れかの材料で構成された複数の層からなり、前記基材に積層された光沢膜と、を有し、
該光沢膜は、厚み方向に形成された空隙によって多数の微小片に分割されており、該微小片の断面形状が、厚み方向の略中央部の外径に対し上端部および下端部の外径が小さい、略そろばん玉形状に形成されていることを特徴とする膜積層部材。 - 前記光沢膜は、主層と、該主層と前記基材との間に積層された下層と、を有し、
該下層は、該主層よりも電極電位が卑な材料で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の膜積層部材。 - 前記光沢膜は、前記主層の前記基材とは反対側の面に積層された上層を更に有した3層構造であり、
該上層は、前記主層よりも電極電位が卑な材料で構成されていることを特徴とする請求項2に記載の膜積層部材。 - 前記微小片は、真円換算直径が1〜50μmの範囲内にあり、隣接する該微小片との間に形成された最小空隙が1〜30μmの範囲内にあることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の膜積層部材。
- 主層と、該主層よりも電極電位が卑な材料で構成された上層および下層を、それぞれ膜状に積層して、これら上層および下層で前記主層を挟み込んだ3層構造の光沢膜を基材上に形成した後、
該光沢膜の各層をウェットエッチング法によりエッチングして、該光沢膜を多数の微小片に分割するとともに、該光沢膜の各層間で生じる電池反応を利用して、前記微小片の断面を、厚み方向の略中央部の外径に対し上端部および下端部の外径が小さい略そろばん玉形状に形成したことを特徴とする膜積層部材の製造方法。
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2018
- 2018-02-01 JP JP2018016644A patent/JP2019130849A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2021066427A (ja) * | 2019-10-24 | 2021-04-30 | 東陽實業廠股▲分▼有限公司 | 車両装飾パネルおよびその成形方法 |
JP7026180B2 (ja) | 2019-10-24 | 2022-02-25 | 東陽實業廠股▲分▼有限公司 | 車両装飾パネルおよびその成形方法 |
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