以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では図中の同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は原則的に繰返さないものとする。
図1は、本実施の形態に従う通信アダプタが適用される温水利用設備の遠隔管理システムの構成例を示すブロック図である。
図1を参照して、温水供給システム10は、「温水利用設備」の一例である温水供給装置100と、運転操作指令を入力するためのリモートコントローラ(以下、単に「リモコン」とも称する)105とを含む。
温水供給装置100は、例えば給湯器であり、1台又は複数台配置される。各温水供給装置100は、代表的にはマイクロコンピュータによって構成される、コントローラ101を含む。コントローラ101には、温水供給装置100の動作を制御するためのプログラムが記憶されている。複数台の温水供給装置100の制御には、システムコントローラ115が配置されることが好ましい。1台のシステムコントローラ115には、通信線51を経由して、最大m台(m:予め定められた自然数)の温水供給装置100が接続可能である。又、温水供給装置100は、浴槽等への補給水装置によって構成することも可能である。
図1の構成例では、複数台配置されたシステムコントローラ115を統合する親システムコントローラ111が配置されており、親システムコントローラ111と、各システムコントローラ115との間は、通信線52で接続される。また、親システムコントローラ111は、通信線50を経由して、リモコン105及び通信アダプタ40と接続される。以下では、親システムコントローラ111及びシステムコントローラ115の集合体を包括的にシステムコントローラ110とも称する。なお、システムコントローラ110の構成は任意であり、親システムコントローラ111及びシステムコントローラ115の階層構造に限定されない。1個又は複数個のシステムコントローラ115によってシステムコントローラ110が構成されてもよい。
各コントローラ101が格納されたプログラムを実行することにより、システムコントローラ110からの指令に従って温水供給装置100を動作させるためのソフトウェア処理が実現される。
通信アダプタ40は、温水供給装置100とともに、屋外、例えば住宅の外壁の周辺やガレージ等に設置することができる。通信アダプタ40は、屋内に配置された無線LAN(Local Area Network)ルータ60との間で、所定の通信プロトコル(例えばIEEE802.11n等)で通信するための無線通信機能を有する。なお、通信アダプタ40の詳細については、後程説明する。
無線LANルータ60は、インターネット網(通信網)に接続されている。無線LANルータ60は、無線LANの親機として機能することにより、複数台の無線LAN子機を無線接続することも可能である。通信アダプタ40は、無線LAN子機として動作可能であり、無線LANルータ60との通信接続(無線リンク)が確立されると、無線LANルータ60を介してインターネットに接続することが可能である。
通信線50〜52による接続によって、各温水供給装置100は、システムコントローラ110を経由して、リモコン105及び通信アダプタ40の各々との間で、双方向にデータを送受信可能である。また、リモコン105及び通信アダプタ40の間でも、双方向にデータを送受信可能である。
システムコントローラ110を経由してリモコン105が複数台の温水供給装置100と接続されることにより、共通のリモコン105によって、システムコントローラ110に接続された複数台の温水供給装置100の動作を制御することが可能となる。
通信線50〜52には、例えば、2心通信線を用いることができる。以下では、通信線50〜52について、2心通信線50〜52とも称する。システムコントローラ110が、商用系統等の外部電源15からの供給電力を外部機器用の電源電圧に変換して2心通信線50に出力するよう構成することにより、リモコン105及び通信アダプタ40の動作電源を、システムコントローラ110から供給することが可能である。この場合には、2心通信線50〜52において、通信データは電源電圧に重畳させることができる。
さらに、本実施の形態に従う温水利用設備の遠隔管理システムでは、管理センター20及びサポートセンター70が通信網(代表的には、インターネット)に接続される。管理センター20は、クラウドサーバ21a及びアプリケーションサーバ21bを含む。クラウドサーバ21a及びアプリケーションサーバ21bは、インターネット網もしくは専用回線を介して相互に通信可能に接続されており、互いに連携して各種サービスを提供することができる。
図2は、クラウドサーバ21a及びアプリケーションサーバ21bを構成するサーバ装置21の概略構成図である。
図2を参照して、サーバ装置21は、装置全体を制御するためのCPU(Central Processing Unit)25と、CPU25と接続された、通信ユニット26及びメモリ27と、表示部28とを含む。通信ユニット26は、通信網(インターネット)に接続された通信によって、他の機器又はサーバと通信する機能を有する。表示部28は、ディスプレイ画面によって構成される。
メモリ27は、例えば、CPU25で実行されるプログラムを記憶するためのメモリであるROM(Read Only Memory)27a、CPU25でプログラムを実行する際の作業領域となったり計算値を記憶したりするためのメモリであるRAM(Random Access Memory)27b、及び、大型の記憶装置の一例としてのHDD(Hard Disk Drive)27cを含む。
サーバ装置21は、一般的なコンピュータに相当する機能を有して構成することができる。サーバ装置21は、操作入力を受け付けるための操作部をさらに含んでもよい。
再び図1を参照して、クラウドサーバ21aは、主として、家庭や宿泊施設等に設置された多数の通信アダプタ40が常時接続されて、これらの通信アダプタ40との間で通信することにより、家庭及び各宿泊施設等の各顧客の温水供給システム10の各種情報を収集するとともに管理する。例えば、収集する情報には、単位時間毎の給湯量及び消費燃料量、給湯温度、並びに、各温水供給システム10で発生したエラー情報等を含むことができる。
アプリケーションサーバ21bは、各家庭及び各宿泊施設等の多数のユーザのための多数のユーザアカウントを管理するとともに、ユーザが保有するスマートフォン(図示せず)等の操作端末からのログインを受け付けて、ユーザが所有する操作端末に対して各種サービスを提供する。
好ましくは、アプリケーションサーバ21bが提供するサービスを利用するための専用アプリケーションソフトウェアをスマートフォンにインストールして、該アプリケーションソフトウェアからログイン操作及びログイン後の各種操作を行えるようにすることができる。あるいは、Webベースのサービス提供を行うことにより、適宜のWebブラウザを用いてログインその他の操作を行えるようにすることもできる。
なお、アプリケーションサーバ21bは、スマートフォン等のユーザ端末に対するアプリケーションサービスのみを提供するものとし、ユーザアカウントを含む顧客情報はさらに別の顧客情報管理センターによって管理するよう構成することも可能である。あるいは、クラウドサーバ21a及びアプリケーションサーバ21bは、一体化されたサーバ装置により構成されてもよい。
クラウドサーバ21a及びアプリケーションサーバ21bによって提供するサービスは適宜必要に応じて設計することができる。例えば、接続機器確認サービス、運転情報収集管理サービス、エラー監視サービス、メンテナンスモニタサービス、遠隔操作サービス等を提供することができる。
接続機器確認サービスによれば、後述する通信アダプタ40に接続されている温水供給システム10の温水供給装置100の機種やシステム構成を確認することができる。また、通信アダプタ40が温水供給システム10から収集した情報に基づいて、サーバ側で機種やシステム構成を判別することができる。
運転情報収集管理サービスによれば、単位時間毎(例えば1時間毎)に定期的に温水供給システム10の運転情報を、通信アダプタ40から収集して管理することができる。収集する運転情報は任意であるが、例えば、単位時間毎の累積給湯量又は累積消費燃料量を収集することができる。収集された運転情報は、ビッグデータ解析による開発資料の作成に利用することも可能である。
エラー監視サービスによれば、温水供給システム10でエラーが発生した場合に、当該エラーに関する情報を通信アダプタ40から取得して、サポートセンター70の端末71に対して、あるいはユーザのメールアドレス宛にエラー通知を行うことができる。
メンテナンスモニタサービスによれば、温水供給システム10の修理作業を行う場合等に、温水供給システム10の動作状況をリアルタイムでモニタリングすることができる。具体的には、クラウドサーバ21aに通信接続した現場作業員用のタブレット端末80等によって、指定した通信アダプタ40に接続された温水供給システム10の動作状況をリアルタイムでモニタリングすることが可能である。
あるいは、本実施の形態に従う温水利用設備の遠隔管理システムにおいて、温水供給システム10の遠隔操作サービスをさらに提供することも可能である。例えば、サポートセンター70の端末71、現場作業員用のタブレット端末80、及び、ユーザ所有のスマートフォン(図示せず)等から、温水供給システム10の所定の操作、例えば、給湯運転スイッチのオン/オフの切替操作及び給湯設定温度の変更操作等を通信網(インターネット)経由で行うことが可能である。この際に、ユーザによる遠隔操作は、スマートフォン(図示せず)等からアプリケーションサーバ21bにログインすることによって実行可能となる運用とすることができる。また、遠隔管理システムのサービスの一環として、ログインした状態で通信アダプタ40から収集した運転情報を、スマートフォン(図示せず)等で閲覧できるように表示することも可能である。
上述した各種サービスは、通信アダプタ40を経由した、管理センター20(以下、単にサーバ20とも称する)及び温水供給システム10の間でのデータ通信によって可能となる。
図3は、通信アダプタ40の構成例を示すブロック図である。
図3を参照して、通信アダプタ40は、制御部41と、通信ユニット42,43と、電源回路44と、メモリ45と、アンテナ47と、コネクタ48とを含む。コネクタ48には、図1に示された通信線50(2心通信線)が接続される。
制御部41は、CPU41a及びインターフェイス(I/F)41bを含むマイクロコンピュータによって構成することができる。通信ユニット42は、コネクタ48に接続された2心通信線50を経由して、システムコントローラ110及びリモコン105との間で双方向にデータを送受信することによって情報を授受できるように構成される。通信ユニット43は、アンテナ47を経由した無線通信によって、無線LANルータ60やスマートフォン(図示せず)との間で双方向にデータを送受信することによって情報を授受できるように構成される。電源回路44は、コネクタ48に接続された2心通信線50から電力供給を受けて、通信アダプタ40内の各要素の動作電源電圧を生成する。
メモリ45は、ROM45a及びRAM45bを有する。例えば、ROM45aには、通信アダプタ40の動作を制御するためのプログラムが格納されており、制御部41は、起動処理時において、ROM45aに格納されたプログラムを読出してRAM45bに展開する。すなわち、ROM45aは「プログラム格納領域」の一実施例に対応する。制御部41は、RAM45bに展開されたプログラムを実行して通信アダプタ40の動作を制御する。
また、図3では、メモリ45及び制御部41を別個の要素として表記したが、メモリ45の一部又は全部について、制御部41に内蔵することも可能である。
通信アダプタ40は、通信ユニット43を用いて、通信網(インターネット)を経由してサーバ20の通信ユニット26との間で通信することができる。これにより、通信アダプタ40は、上記運転情報収集管理サービスのための温水供給システム10の運転情報を、定期的に管理センター20へ送信することができる。一方で、管理センター20も通信アダプタ40に対して、データ及び情報を送信することができる。このように、中継装置として設けられた通信アダプタ40を用いて、温水供給装置100及びサーバ20の間で遠隔管理システムを構成するためのデータ通信を実行することができる。
本実施の形態に係る遠隔管理システムでは、通信アダプタ40及び温水供給システム10を構成する各機器のプログラム(いわゆる、ファームウェア)をアップグレードする場合に、ソフトウェア更新のための新たなプログラム(以下、「更新プログラム」とも称する)は、サーバ20から通信アダプタ40へ配信することができる。すなわち、本実施の形態に係る通信アダプタ40では、サーバ20からダウンロードされた更新プログラムをROM45aに格納することで、ソフトウェア更新を実行できる。
同様に、温水供給システム10の構成機器のソフトウェア更新についても、サーバ20からダウンロードされた更新プログラムによって実行することができる。この場合にも、サーバ20からの更新プログラムは、通信アダプタ40によって中継されて、ソフトウェア更新の対象機器へ伝送される。
温水供給システム10の構成要素である複数の機器、代表的には、複数の温水供給装置100がソフトウェア更新の対象となった場合には、同一の更新プログラムを各温水供給装置100のコントローラ101へ書き込む必要がある。以下では、このような複数の機器が対象となるソフトウェア更新について説明する。
図3の構成例において、通信ユニット42は「第1の通信部」の一実施例に対応し、通信ユニット43は「第2の通信部」の一実施例に対応し、ROM45aは「記憶部」の一実施例に対応し、マイクロコンピュータによって構成された制御部41は、「制御部」の一実施例に対応する。また、管理センター(サーバ)20は「管理装置」の一実施例に対応する。
図4は、本実施の形態に係る遠隔管理システムでの温水供給システムに対する複数の機器を対象とするソフトウェア更新の処理の流れを説明するシーケンス図である。図4では、複数の温水供給装置100A,100B,…を対象とするソフトウェア更新処理を例示する。
複数の温水供給装置100の各々は、通信アダプタ40に対して、実行中のソフトウェアを特定するための情報(例えば、実行中プログラムのバージョンを示す情報)と、各温水供給装置を区別するための識別情報とを送信する。以下では、ソフトウェアを特定するための情報を、「S/Wバージョン情報」とも表記する。S/Wバージョン情報及び識別情報は、例えば、各温水供給装置100から通信アダプタ40への定期的な通信C10A,C10B,…を用いて、送信することができる。これにより、通信アダプタ40は、温水供給システム10を構成する複数の温水供給装置100A,100B,…の各々のS/Wバージョン情報を有している。
通信アダプタ40及びサーバ20の間でも、ハートビート通信等の定期的な通信が実行される。当該通信は、通信アダプタ40からサーバ20へ通信C20と、サーバから通信アダプタ40への通信C30とを含む。通信C30は、通信C20に対する返信として実行される。以下では、定期的な通信C20及びC30のうちの特定のタイミングでの通信に言及する場合には、添字a,b等を付することとする。
各通信C20には、通信アダプタ40が接続された温水供給システム10でのソフトウェア更新(以下、「S/W更新」とも表記する)の実行可否を示す情報が付加される。S/W更新は、例えば、当該温水供給システム10にてS/W更新が実行中であるときに「不可」とされる。
通信C20aにて、S/W更新「可」であることがサーバ20へ送信される。サーバ20は、更新すべき新たなプログラムが存在している場合には、S/W更新「可」であることを通知した通信C20aに応答する通信C30aにより、S/W更新情報を送信する。S/W更新情報は、当該新たなプログラム(以下、「更新プログラム」とも称する)のダウンロード先のURL(Uniform Resource Locator)及びS/W更新の開始日時を示す情報を含む。従って、通信アダプタ40は、当該開始日時に当該URLへアクセスすることで、サーバ20から更新プログラムをダウンロードすることができる。或いは、この段階で、更新プログラムそのものがサーバ20から通信アダプタ40に送信されてもよい。
以下では、通信C30aにおいて、複数の温水供給装置100A,100B,…をソフトウェア更新対象(以下、「S/W更新対象」)とする更新プログラムがダウンロードされたときの処理を例示する。
通信アダプタ40は、通信ユニット43(図2)を用いて更新プログラム(図4中では、「更新P」と表記する)を受信すると、処理P10により、更新プログラムをROM45a(図3)に格納する。ROM45a内において、温水供給装置100用の当該更新プログラムの格納領域は、通信アダプタ40そのものの実行中のプログラムを格納する領域とは別個に設けられる。あるいは、通信アダプタ40が一般的には、電源オン状態のままで長期間使用されることを考慮すれば、温水供給装置100用の当該更新プログラムをRAM45bに格納することも可能である。すなわち、RAM45bについても「プログラム格納領域」の一実施例とすることができる。
さらに、通信アダプタ40は、複数の温水供給装置のS/Wバージョン情報に基づき、S/W更新対象として、温水供給装置100A,100B,…を抽出する。S/W更新が不要であるとき、例えば、各温水供給装置100のS/Wバージョン情報により、各温水供給装置100での実行中のプログラムとサーバ20からの更新プログラムとのバージョンが同じである場合には、処理P15において、S/W更新は不要であると判断される。
図4の例では、処理P15により、温水供給装置100A,100B,…のS/W更新が必要であることが判定される。これにより、通信アダプタ40は、S/W更新対象である複数の温水供給装置100A,100B,…のうちの1つずつを順次選択して更新プログラムの送信処理を実行する。図4の例では、まず温水供給装置100Aが選択されて、通信C40Aにより、S/W更新の実行可否の問い合わせが、通信アダプタ40から温水供給装置100Aへ送信される。
温水供給装置100Aは、通信C40Aに応答した通信C42Aにより、S/W更新の可否を返信する。例えば、温水供給装置100が運転中であるときに、S/W更新が「不可」とされる。通信アダプタ40は、通信C42AによりS/W更新「可」であることを受信すると、通信C44Aにより、ROM45aに一旦格納された、温水供給装置100の更新プログラムを温水供給装置100Aに送信する。これに応じて、温水供給装置100Aは、更新プログラムの受信が完了した旨を、通信C45Aによって返信する。
通信アダプタ40は、通信C45Aにより温水供給装置100Aから更新プログラムの受取完了を通知されると、通信C46Aにより、更新プログラムと対になる検証データを送信する。検証データは、例えば、誤り検出符号の一種であるCRC(Cyclic Redundancy Check)によって作成することができる。
温水供給装置100Aは、検証データを受信すると、通信C47Aにより、検証データの受取完了を通信アダプタ40へ返信する。通信ユニット42を用いた一連の通信C40A〜C47Aにより、通信アダプタ40から、選択中の1つの温水供給装置100Aに対する、S/W更新のための更新プログラムの送信処理が完了する。これに応じて、温水供給装置100Aでは、更新プログラムへの書換によるS/W更新処理が開始される。
温水供給装置100Aでは、処理P20Aにより、受信した更新プログラムがコントローラ101(図1)内のメモリ(プログラム格納領域)に書き込まれる。そして、処理P22Aでは、更新プログラムの書込が正常に行われたか否かが、検証データを用いて確認される。更新プログラムの書込が正常であると、処理P25Aにより、コントローラ101がリセットにより再起動される。これにより、コントローラ101は、更新プログラムの実行により、温水供給装置100Aの動作を制御する状態となる。これに応じて、通信アダプタ40は、通信C48Aにより、S/W更新の正常終了を通信アダプタ40へ通知する。
なお、処理P22Aにおいて、更新プログラムの書込が異常であると判定されると、図4中に点線で示された通信C48Aにより、S/W更新の異常終了が、温水供給装置100Aから通信アダプタ40へ通知される。この場合には、コントローラ101のリセットは行われないので、更新前のプログラムによって温水供給装置100Aの動作を制御する状態が維持される。
一方、通信アダプタ40は、温水供給システム10においてS/W更新処理が開始されることから、定期的な通信C20における、S/W更新可否のステータスを「不可」に変更する。これにより、通信C20b以降では、サーバ20に対して、通信アダプタ40と接続された温水供給システム10でのS/W更新は不可であることが通知される。従って、通信C20bに応答する通信C30bでは、通信C30aとは異なり、S/W更新情報を付加して送信することができなくなる。
さらに、通信アダプタ40は、温水供給装置100Aに対する更新プログラムの送信処理が完了したことを検知すると(C47A)、次の温水供給装置100Bを選択する。そして、通信C40A〜C47Aと同様の通信C40B〜C47Bによって、温水供給装置100Bに対して更新プログラム及び検証データを送信する。
温水供給装置100Bでは、処理P20A〜P25Aと同様の処理P20B〜P25Bによって、受信した更新プログラムの書込み及び再起動によるS/W更新が実行される。そして、通信C48Bによって、温水供給装置100BでのS/W更新が正常終了及び異常終了のいずれであったかの情報が、通信アダプタ40に対して返信される。
通信アダプタ40は、通信C47Bにより、選択中の1つの温水供給装置100Bに対する、S/W更新のための更新プログラムの送信処理が完了したことを検知すると、S/W更新対象として抽出された複数の温水供給装置100A,100B,…のうちの、さらなる他の1つ(100A,100B以外)を選択して、通信C40A〜C47Aと同等の一連の処理を起動する。これにより、通信アダプタ40は、ROM45aに格納された更新プログラムを、S/W更新対象として抽出された複数の温水供給装置の各々に順次送信することができる。
更新プログラムを受信した複数の温水供給装置100A,100B,…の各々からは、通信C48A,C48B,…により、更新プログラムによるS/W更新が正常終了及び異常終了のいずれであったかが返信される。通信アダプタ40では、処理P16により、S/W更新対象とされた複数の温水供給装置100A,100B,…の全てから「正常終了」である旨が通知されたか否かが判定される。
通信アダプタ40は、複数の温水供給装置100A,100B,…の全てからS/W更新が正常終了したことを示す情報が送信されると、処理P18に処理を進めて、ROM45aにおける、更新プログラムの格納領域の記憶内容を上書き禁止状態から上書き可能状態に変化させる。これにより、更新プログラムが実質的に破棄された状態となる。言い換えると、処理P10〜P18の間ではROM45aにおける、温水供給装置100の更新プログラムの格納領域の記憶内容は書換禁止状態とされて、更新プログラムはプロテクトされる。
更新プログラムが破棄された状態になると、通信アダプタ40は、以降の定期的な通信C20における、S/W更新可否のステータスを「可」に変更する。これにより、通信C20c以降では、サーバ20に対して、通信アダプタ40と接続された温水供給システム10でのS/W更新は可であることが通知される。従って、通信C20cに応答する通信C30cでは、通信C30aと同様に、S/W更新情報を付加して送信することが可能である。
そして、更新すべき新たなプログラムがさらに発生すると、サーバ20は、上述の通信C30aと同様に、通信C30によってS/W更新情報を付加することで、通信アダプタ40と接続された温水供給システム10での当該最新バージョンのプログラムへのS/W更新処理を起動することができる。
このように、実施の形態1に係る中継装置による通信接続を用いたS/W更新では、サーバ20から通信アダプタ40へ更新プログラムを1回送信するだけで、複数の温水供給装置100に対してS/W更新処理を実行することができるため、サーバ20と通信アダプタ40との間の通信量、さらには、通信時間を抑制することができる。
図4では、通信アダプタ40から各温水供給装置100に対する更新プログラムの送信、及び、各温水供給装置100におけるS/W更新が正常終了した、いわゆる、正常なS/W更新のときの流れを説明した。以下では、S/W更新処理の途中で異常が発生した場合における、通信アダプタ40の動作を説明する。
図5には、温水供給装置100AにおけるS/W更新が異常終了したときの処理の流れが示される。
図5を参照して、図4と同様の通信C40A〜C47Aにより、通信アダプタ40から温水供給装置100Aに更新プログラム及び検証データが送信される。しかしながら、温水供給装置100Aでは新プログラムを用いたS/W更新が異常終了し、通信C48Aにより、異常終了が通信アダプタ40へ通知される。
この際に、通信アダプタ40は、更新プログラムを送信済の温水供給装置100AでのS/W更新結果を待つことなく、次の温水供給装置100Bに対する更新プログラムの更新処理を開始している。
通信アダプタ40は、通信C48Aにより、温水供給装置100AでのS/W更新が異常終了したことを検知すると、予め定められた時間Txが経過した後に、温水供給装置100Aに対する一連の通信C40A〜C47Aを再起動する。このタイミングで、温水供給装置100AがS/W更新「可」な状態であると、更新プログラムの再書込によるS/W更新に再トライすることができる。例えば、所定時間Txは、24時間ないし12時間程度に設定することができる。所定時間Txは「第2の時間」に対応する。
これにより、更新プログラムが送信された温水供給装置(S/W更新対象機器)においてS/W更新が異常終了した場合にも、当該温水供給装置に対する更新プログラムの再送信を伴うS/W更新を自動的に再起動することができる。
なお、温水供給装置100Aから正常終了が返信されるまでの間、図4に示した処理P16の判定により、処理P18の実行が拒否される。従って、一旦S/W更新が異常終了された温水供給装置100Aから、S/W更新が正常終了した旨が通信C48Aによって送信されるまで、通信アダプタ40では、更新プログラムが、ROM45a内に継続的に保持される。これにより、通信アダプタ40が更新プログラムをサーバ20から再度ダウンロードすることを回避できる。
図6には、温水供給装置100AがS/W更新不可の状態であるときの処理が示される。
図6を参照して、温水供給装置100Aは、運転中のタイミングであれば、図4と同様の通信C40AによるS/W更新の実行可否の問い合わせに対して、通信C42Aによって、S/W更新「不可」を返信する。これにより、通信アダプタ40は、温水供給装置100Aに対する通信C44A以降(図4)の処理を起動することなく、更新プログラムの送信対象を、次の温水供給装置100Bに切換える。この結果、温水供給装置100Bに対する通信C40Bが起動されて、図4と同様の通信C40B〜C47Bによって、温水供給装置100Bに対して更新プログラム及び検証データが送信される。さらに、温水供給装置100Bでは、受信した更新プログラム及び検証データを用いたS/W更新処理が、図4の処理P20B〜P25Bにより実行される。
通信アダプタ40は、温水供給装置100Aから通信C42AによってS/W更新「不可」を受信すると、一定時間Tyが経過した後、温水供給装置100Aへの更新プログラムの送信に再トライするために、通信C40Aを再起動する。そして、このタイミングで、温水供給装置100AがS/W更新「可」な状態であると(通信C42A)、通信C44A〜C46Aが起動される。これにより、温水供給装置100Aにおける、更新プログラムの再書込によるS/W更新に再トライすることができる。なお、所定時間Tyは、任意の時間に設定できるが、例えば、処理P10で判断されたS/W更新対象機器の個数等も考慮して、全てのS/W更新対象機器(温水供給装置)に対する更新プログラムの送信処理が完了するまでの見込み時間にマージンを付加することによって設定することができる。或いは、所定時間Tyは、一律な固定時間とすることも可能である。所定時間Tyは「第1の時間」に対応する。
これにより、更新プログラムの送信対象に選択された温水供給装置(S/W更新対象機器)において、運転中等のために更新処理が不可とされた場合にも、当該温水供給装置に対する更新プログラムの再送信によるS/W更新を自動的に再起動することができる。
又、温水供給装置100Aに対して更新プログラムが送信されない間では、温水供給装置100Aからの通信C48Aによって、更新プログラムの書込によるS/W更新の正常終了が送信されることはない。従って、通信アダプタ40では、更新プログラムがROM45a内のプログラム格納領域において保護される状態が継続される。
なお、図1〜図6では、S/W更新対象機器を温水供給装置100として説明したが、S/W更新対象となる複数の機器は、通信アダプタ40と接続された温水供給システム10の構成機器であれば、温水供給装置100以外とすることも可能である。
例えば、図7に示されるように、温水供給システム10は、1台の温水供給装置100に対して通信線で接続された、メインリモコン105m及び複数のサブリモコン105sを含む構成とすることができる。メインリモコン105m及びサブリモコン105sの間ではソフトウェアが異なり、一方で、複数のサブリモコン105sの各々では、ソフトウェアは共通である。
従って、サブリモコン105sのソフトウェアがアップグレードされた場合には、温水供給システム10において、複数のサブリモコン105sに対してS/W更新が必要となる。この場合には、複数のサブリモコン105sをS/W更新対象となる複数の機器として、図4〜図6で説明したのと同様の処理によって、更新プログラムによるS/W更新処理を実行することができる。
或いは図1に説明したように、複数のシステムコントローラ115が接続された温水供給システム10では、システムコントローラ115のソフトウェアがアップグレードされた際には、複数のシステムコントローラ115をS/W更新対象となる複数の機器として、図4〜図6で説明したS/W更新処理を適用することも可能である。
また、図1では、通信アダプタ40が無線LANルータ60を経由してインターネットに接続される構成例を説明した。しかしならが、本実施の形態に係る通信アダプタ40が適用される遠隔管理システムでは、通信アダプタ40及びサーバ20の間の通信接続は任意の態様とすることができる。
例えば、図7に示すように、無線LANルータ60に代えて有線LANルータ61を用いても、通信アダプタ40とサーバ20との間に、インターネットを経由した通信接続を確立することができる。この場合には、通信アダプタ40は、有線LANルータ61との間で所定の通信プロトコル(例えば、Ethernet規格のIEEE802.3等)で通信するように構成することができる。
或いは、通信アダプタ40は、無線LANルータ60又は有線LANルータ61を経由してではなく、移動体通信網(例えば、3G回線又は4G回線)を用いることにより、直接、通信網を経由してサーバ20との間で通信データを送受信するように構成されてもよい。このように、通信アダプタ40及びサーバ20の間の通信接続の態様は、両者の間で更新プログラムの送受信を含む双方向の通信が可能であれば、任意とすることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。