JP2019128563A - 像加熱装置及び画像形成装置 - Google Patents

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達也 衣川
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祥 田口
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【課題】特別のクリーニング部材を設けることなく、簡易な構成で、均熱部材への汚れの蓄積を抑制することのできる像加熱装置、及びこれを備えた画像形成装置を提供する。【解決手段】記録材Pの第1面aに接触して記録材を加熱する第1回転体112と、第1回転体112に圧接してニップNeを形成する第2回転体110と、を有し、ニップNeにおいて第1回転体112と第2回転体110とで記録材Pを挟持して搬送しながら記録材Pの第1面aに担持された画像を加熱する像加熱装置100は、第2回転体110に接触して回転し、第2回転体110の回転軸線方向の温度差を小さくする均熱部材140を有し、均熱部材140は、ニップNeで第1回転体112と第2回転体110とに挟持されて搬送される記録材Pの第2面bによって摺擦される構成とする。【選択図】図6

Description

本発明は、電子写真方式や静電記録方式を用いた複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などの画像形成装置にて用いられる像加熱装置、及びこれを備えた画像形成装置に関するものである。
従来、電子写真方式などを用いた画像形成装置では、紙などの記録材上に形成されたトナー像を記録材に定着させる定着装置などの像加熱装置が用いられている。像加熱装置としては、熱ローラ方式、フィルム加熱方式のものなどが知られている。
フィルム加熱方式の定着熱装置は、加熱ヒータと、加熱ヒータに接触して加熱されながら回転する定着フィルムと、定着フィルムを介して加熱ヒータに圧接して定着ニップを形成する加圧ローラと、を有する(特許文献1)。そして、フィルム加熱方式の定着装置は、未定着のトナー像を担持した記録材を、定着ニップにおいて定着フィルムと加圧ローラとで挟持して搬送しながら加熱することで、記録材上のトナー像を記録材上に定着(溶融、固着)させる。定着フィルムの材料としては、強度が高く熱伝導性の高いSUS(ステンレス鋼)などの金属材料や、熱容量が小さく成形性が良好なPI(ポリイミド)などの耐熱性樹脂などが用いられる。
フィルム加熱方式の定着装置では、定着部材として、熱ローラ方式の定着装置におけるローラに比べて熱容量の小さいフィルムが用いられているため、定着温度を所定温度に立ち上げるまでの時間を短縮することができる。また、フィルム加熱方式の定着装置は、定着温度の立ち上がり時間が短いため、画像形成装置のスタンバイ状態において定着部材を暖めておく必要がなく、消費電力を極力低く抑えることが可能である。
しかし、フィルム加熱方式の定着装置では、加熱ヒータの長手方向の幅に対して幅が小さい記録材(ここでは「小サイズ紙」ともいう。)を連続して定着ニップに通過(ここでは「通紙」ともいう。)させると、次のような現象が発生しやすい。つまり、加圧ローラの回転軸線方向(長手方向)において、記録材が通過する領域(ここでは「通紙領域」ともいう。)よりも記録材が通過しない領域(ここでは「非通紙領域」ともいう。)の温度が高くなってしまう現象である。フィルム加熱方式の定着装置は、上述のように比較的熱容量が小さいため所定の温度までの立ち上がり時間は短いが、この小サイズ紙の通紙時の非通紙領域の温度も高くなりやすい。そこで、加圧ローラの温度が耐熱温度を超えないように、通紙間隔をあけ、昇温した加圧ローラの温度(熱)を均すような制御が行われることがある。これにより、小サイズ紙を用いる場合の生産性が低下してしまうことがある。
これに対し、加圧ローラの回転軸線方向(長手方向)の温度分布(熱分布)を均す(ここでは、単に「温度を均す」などともいう。)ための均熱ローラを加圧ローラに接触させることが提案されている(特許文献2)。均熱ローラを加圧ローラに接触させることで、昇温した加圧ローラの非通紙領域の温度を均すことができ、通紙間隔をあける必要性を低減して、小サイズ紙を用いる場合の生産性を向上することが可能となる。しかし、均熱ローラは、トナーや紙粉などの汚れが付着することがある。均熱ローラに過度に汚れが蓄積すると、その蓄積した汚れが均熱ローラから加圧ローラに再度付着することがある。そして、この加圧ローラに再度付着した汚れが記録材に付着して、記録材を汚してしまうことがある。そのため、均熱ローラをクリーニングするウェブなどのクリーニング部材を設けて、均熱ローラへの汚れの蓄積を抑制することが提案されている(特許文献3)。
特開平04−044075号公報 特開2013−54115号公報 特開2014−52467号公報
しかしながら、上述のように均熱ローラをクリーニングするウェブなどのクリーニング部材を設けると、ウェブを送る機構などにより装置構成が複雑化する。また、定着装置の寿命までクリーニングできるだけのウェブを用意する必要があることなどから、定着装置が大型化する。
したがって、本発明の目的は、特別のクリーニング部材を設けることなく、簡易な構成で、均熱部材への汚れの蓄積を抑制することのできる像加熱装置、及びこれを備えた画像形成装置を提供することである。
上記目的は本発明に係る像加熱装置及び画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、回転可能であり記録材の第1面に接触して記録材を加熱する第1回転体と、回転可能であり前記第1回転体に圧接してニップを形成する第2回転体と、を有し、前記ニップにおいて前記第1回転体と前記第2回転体とで記録材を挟持して搬送しながら記録材の前記第1面に担持された画像を加熱する像加熱装置において、前記第2回転体に接触して回転し、前記第2回転体の回転軸線方向の温度差を小さくする均熱部材を有し、前記均熱部材は、前記ニップで前記第1回転体と前記第2回転体とに挟持されて搬送される記録材の前記第1面とは反対側の第2面によって摺擦されることが可能であることを特徴とする像加熱装置である。
本発明の他の態様によると、記録材にトナーで画像を形成する画像形成手段と、画像形成手段により形成された画像を担持した記録材を加熱する上記本発明の像加熱装置と、を有することを特徴とする画像形成装置が提供される。
本発明によると、特別のクリーニング部材を設けることなく、簡易な構成で、均熱部材への汚れの蓄積を抑制することができる。
画像形成装置の概略断面図である。 実施例1の定着装置の概略断面図である。 加熱ヒータの模式図である。 加圧ローラの非通紙領域の昇温を説明するための模式図及びグラフ図である。 均熱ローラの効果を説明するためのグラフ図である。 実施例1における均熱ローラの設置位置を説明するための定着装置の概略断面図である。 比較例1、2の定着装置の概略断面図である。 実施例2における均熱ローラの設置位置を説明するための定着装置の概略断面図である。 実施例3における均熱ローラの設置位置及び回転方向を説明するための定着装置の概略断面図である。 均熱ローラが加圧ローラに対し接離可能な定着装置の概略断面図である。 両面印字が可能な画像形成装置の概略断面図である。 均熱ローラが記録材の搬送軌跡に対し変位可能な定着装置の概略断面図である。 外部加熱方式の像加熱装置の概略断面図である。
以下、本発明に係る像加熱装置及び画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
[実施例1]
1.画像形成装置の全体的な構成及び動作
図1は、本実施例の画像形成装置50の概略断面図である。本実施例の画像形成装置50は、電子写真方式を用いたモノクロレーザビームプリンタである。
画像形成装置50は、トナー像を担持する像担持体としての、回転可能な感光体(電子写真感光体)である感光ドラム1を有する。感光ドラム1は、図1中の矢印R4方向(時計回り)に回転駆動される。回転する感光ドラム1の表面は、帯電手段としてのローラ型の帯電部材(接触帯電部材)である帯電ローラ2によって、所定の極性(本実施例では負極性)の所定の電位に一様に帯電処理される。帯電処理された感光ドラム1の表面は、露光手段としての露光装置(レーザスキャナ)3によって画像情報に応じたレーザ光Lが照射されて走査露光され、感光ドラム1上に静電像(静電潜像)が形成される。
感光ドラム1上に形成された静電像は、現像手段としての現像装置5によって現像剤としてのブラック色のトナーが供給され、感光ドラム1上にトナー像が形成される。本実施例では、感光ドラム1上の、一様に帯電処理された後に露光されることで電位の絶対値が低下したイメージ部(露光部)に、感光ドラム1の帯電極性と同極性(本実施例では負極性)に帯電したトナーが付着する。つまり、本実施例では、現像時のトナーの帯電極性であるトナーの正規の帯電極性は負極性である。感光ドラム1に対向して、転写手段としてのローラ型の転写部材である転写ローラ10が配置されている。転写ローラ10は、感光ドラム1に向けて押圧され、感光ドラム1と転写ローラ10とが接触する転写部Nを形成する。
紙などの記録材Pは、カセットなどの収容部から給送ローラ4によって送り出され、搬送ローラ6によって転写ニップNへと搬送される。感光ドラム1上に形成されたトナー像は、転写部Nにおいて、転写ローラ10の作用によって記録材P上に転写される。転写工程時に、転写ローラ10には、転写電源(図示せず)から、トナーの正規の帯電極性とは逆極性(本実施例では正極性)の転写バイアスが印加される。転写工程時に記録材Pに転写されずに感光ドラム1上に残留したトナー(転写残トナー)は、クリーニング手段としてのクリーニング装置16によって感光ドラム1上から除去されて回収される。クリーニング装置16は、感光ドラム1の表面に当接して配置されたクリーニング部材としての弾性体で形成されたクリーニングブレードによって、回転する感光ドラム1の表面から転写残トナーを掻き取り、回収容器内に収容する。
トナー像が転写された記録材Pは、像加熱装置としての定着装置100へと搬送される。定着装置100は、未定着のトナー像を担持した記録材Pを加熱及び加圧することで、トナー像を記録材Pに定着(溶融、固着)させる。定着装置100の構成及び動作については、後述して詳しく説明する。トナー像が定着された記録材Pは、排出ローラ7によって、画像形成装置50の装置本体の外部に排出(出力)される。
本実施例では、感光ドラム1、帯電ローラ2、露光装置3、現像装置5、転写ローラ10などによって、記録材Pにトナーで画像を形成する画像形成手段が構成される。また、本実施例では、定着装置100が、画像形成手段により形成された画像を担持した記録材Pを加熱する像加熱装置の一例である。
2.定着装置の概略構成
次に、図2を参照して本実施例の定着装置100の概略構成について説明する。なお、ここでは、定着装置100及び定着装置100の要素に関して、図2の紙面に対して略垂直な、後述する加圧ローラ110の回転軸線方向と略平行な方向を長手方向とする。図2(a)は、本実施例の定着装置100の長手方向と略直交する概略断面図である。図2(b)は、本実施例の定着装置100を記録材Pの搬送方向の下流側から見た長手方向の概略断面図である。図2(b)は、内部の様子が分かりやすいように、点線で示す定着フィルム112を透視して表している。本実施例の定着装置100は、フィルム加熱方式の像加熱装置である。また、本実施例の定着装置100は、加圧ローラ110の非通紙領域の昇温を抑制するために、加圧ローラ110に接触する均熱ローラ140が設けられた像加熱装置である。
定着装置100は、加熱回転体(第1回転体)としての定着フィルム112と、加圧回転体(第2回転体)としての加圧ローラ110と、加熱部材としての加熱ヒータ113と、均熱部材(熱伝導部材)としての回転体である均熱ローラ140と、を有する。加熱ヒータ113は、ヒータホルダー130に保持され、このヒータホルダー130の周囲に、可撓性を有する円筒状(無端状)の定着フィルム112が外篏されるようにして設けられている。ヒータホルダー130は、加熱ヒータ113の熱を奪いにくいように、比較的熱容量の小さい材料で形成されていることが好ましい。本実施例では、ヒートホルダー130の材料として、耐熱性樹脂である液晶ポリマー(LCP)を用いた。ヒータホルダー130は、強度を持たせるために、ステー120によって加熱ヒータ113とは反対側から支えられている。本実施例では、ステー120は、鉄製である。ステー120は、長手方向の両端部において、付勢手段としての加圧バネ114によって図2(b)中の矢印A2方向に加圧されている。加熱ヒータ113は、定着フィルム112の内周面に接触し、定着フィルム112を内周面側から加熱する。加熱ヒータ113と定着フィルム112の内周面との接触領域が内面ニップNiである。
また、定着フィルム112を挟むように、加熱ヒータ113に対向して加圧ローラ110が配置されている。加圧ローラ110と定着フィルム112との接触領域が定着ニップNeである。加圧ローラ110は、その芯金117の長手方向の両端部が軸受け132によって回転可能に支持されている。この軸受け132は、加圧バネ114の力を受ける。加圧ローラ110は、その芯金117の長手方向の一方の端部に設けられた駆動ギア131に駆動源(図示せず)から駆動力が伝達されることで、図2(a)中の矢印R1方向(反時計回り)に回転駆動される。定着フィルム112は、定着ニップNeで加圧ローラ110から駆動力を受けて、図2(a)中の矢印R2方向(時計回り)に従動回転する。
定着フィルム112は、長手方向のいずれかの端部側への片寄りが発生する場合がある。そのため、定着フィルム112の長手方向の両端部に、片寄りを規制するための定着フランジ150が設けられている。定着フランジ150は、ステー120に嵌合されると共に、ステー120に固定されている。定着フィルム112は、最大通紙領域Xの外側で、その長手方向の両端部が内周面側から定着フランジ150によって支持されている。なお、「最大通紙領域X」は、画像形成装置50(定着装置100)において搬送可能な記録材Pのうち、幅(記録材Pの搬送方向と略直交する方向の長さ)が最大である記録材Pの通紙領域であり、その記録材の幅が「最大幅」である。
記録材Pの搬送方向において定着ニップNeの下流側には、加圧ローラ110に接触する均熱ローラ140が設けられている。均熱ローラ140は、その長手方向の両端部において付勢手段としての加圧バネ119により加圧されて、加圧ローラ110に圧接させられている。均熱ローラ140は、加圧ローラ110から駆動力を受けて、図2(a)中の矢印R3方向(時計回り方向)に従動回転する。前述のように、最大通紙領域Xよりも幅が小さい小サイズ紙を定着装置100に通紙すると、加圧ローラ110の非通紙領域が昇温しやすくなる。しかし、本実施例では、均熱ローラ140が設けられていることにより、加圧ローラ110の非通紙領域の熱が均される。つまり、均熱ローラ140は、長手方向に伝熱することで、加圧ローラ110の長手方向の温度差を小さくすることができる。
未定着のトナー像Tを担持した記録材Pは、図2(a)中の矢印A1方向に搬送され、その先端が定着入口ガイド141に案内されることで、定着入口ガイド141に沿って定着ニップNeへと送り込まれる。そして、この記録材Pは、定着ニップNeにおいて定着フィルム112と加圧ローラ110とに挟持されて搬送される過程で、熱及び圧力が付与されて、その表面にトナー像Tが定着される。
3.定着フィルム
本実施例では、定着フィルム112は、変形させない円筒状の状態で外径が20mmである。また、本実施例では、定着フィルム112の厚み方向の層構成は、多層構成とされている。本実施例では、定着フィルム112は、定着フィルム112の強度を保つための基層126と、定着フィルム112の表面への汚れの付着を低減するための離型層127と、を有する。本実施例では、離型層127は、基層126上に形成され、定着フィルム112の表層を構成する。
基層126の材料は、加熱ヒータ113の熱を受けるため耐熱性が必要であり、また加熱ヒータ113と摺動するため強度も必要である。そのため、基層126の材料としては、SUS(Stainless Used Steel:ステンレス鋼)やニッケルなどの金属、あるいはPI(ポリイミド)などの耐熱性樹脂が好適である。金属は、樹脂に比べると強度が高いため薄肉化でき、また樹脂に比べると熱伝導率も高いため加熱ヒータ113の熱を定着フィルム112の表面へ伝達しやすい。一方、樹脂は、金属に比べると比重が小さいため、熱容量が小さく、温まりやすい利点がある。また、樹脂は、塗工成形により薄肉のフィルムを成形できるため、安価に成形できる利点がある。本実施例では、基層126の材料として、基材としてのポリイミド樹脂に、熱伝導率と強度を向上させるためカーボン系のフィラーを添加した材料を用いた。基層126の厚さは、薄いほど、加熱ヒータ113の熱を加圧ローラ110の表面に伝達しやすいが、強度が低下する。そのため、基層126の厚さは、15μm〜100μm程度が好ましく、本実施例では50μmとした。
離型層127の材料としては、パーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン樹脂(FEP)などのフッ素樹脂が好適である。本実施例では、離型層127の材料として、フッ素樹脂の中でも離型性と耐熱性に優れるPFAを用いた。離型層127は、基層126にチューブを被覆させて形成したり、基層126の表面を塗料でコートして形成したりすることができる。本実施例では、薄肉成形に優れるコートにより離型層127を成形した。離型層127の厚さは、薄いほど、加熱ヒータ113の熱を定着フィルム112の表面に伝達しやすいが、薄すぎると耐久性が低下する。そのため、離型層127の厚さは、5μm〜30μm程度が好ましく、本実施例では10μmとした。
4.加圧ローラ
本実施例では、加圧ローラ110は、外径が20mmであり、外径が12mmの鉄製の芯金117の周りに、シリコーンゴムを発泡させた発泡ゴムで形成された厚さ4mmの弾性層116が設けられて構成されている。
加圧ローラ110は、熱容量が大きく、熱伝導率が高いと、加圧ローラ110の表面の熱が内部へ吸収されやすく、加圧ローラ110の表面の温度が上昇しにくくなる。つまり、加圧ローラ110は、できるだけ熱容量が小さく、熱伝導率が低く、断熱効果の高い材料で形成されていることが、加圧ローラ110の表面の温度の立ち上がり時間を短縮できる点で好ましい。上記シリコーンゴムを発泡させた発泡ゴムの熱伝導率は0.11〜0.16W/m・Kであり、ソリッドゴムの0.25〜0.29W/m・K程度の熱伝導率よりも低い。また、熱容量に関係する比重は、ソリッドゴムが約1.05〜1.30であるのに対して、発泡ゴムが約0.45〜0.85であり、発砲ゴムは比較的熱容量も小さい。したがって、発泡ゴムは、加圧ローラ110の表面の温度の立ち上がり時間を短縮するのに有利である。
加圧ローラ110の外径は、小さい方が熱容量を抑えられるが、小さ過ぎると定着ニップNeの幅(記録材Pの搬送方向の長さ)が小さくなってしまう。本実施例では、上述のように加圧ローラ110の外径は20mmとした。弾性層116の肉厚に関しても、薄過ぎると金属製の芯金117に熱が逃げてしまう。本実施例では、上述のように弾性層116の厚さは4mmとした。
加圧ローラ110が加熱された際、弾性層116の長手方向の端部は、芯金117や弾性層116の端面からの放熱で温度が低下し易い。そのため、弾性層116の長手方向の幅Wgが最大通紙領域Xに対して小さすぎると、長手方向の端部の定着性が低下し易くなる。一方、弾性層116の長手方向の幅Wgが最大通紙領域Xに対して大きすぎると、画像形成装置50の幅が大きくなってしまう。本実施例では、弾性層116の長手方向の幅Wgは、画像形成装置50において搬送可能な記録材Pのうち幅が最大であるレターサイズの幅(最大幅)216mmに対して、長手方向の両端部でそれぞれ5mmずつ長くなるように設定した。つまり、本実施例では、弾性層116の長手方向の幅Wgは226mmとした。
本実施例では、弾性層116上に、トナーの離型性を向上させるための離型層118が形成されている。離型層118は、加圧ローラ110の表層を構成する。本実施例では、離型層118の材料として、パーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)を用いた。この離型層118は、定着フィルム112の離型層127と同様、弾性層116にチューブを被覆させて形成したり、弾性層116の表面を塗料でコートして形成したりすることができる。本実施例では、離型層118として、耐久性に優れるチューブを使用した。離型層118の材料としては、PFAの他に、PTFE、FEPなどのフッ素樹脂や、離型性の良好なフッ素ゴムやシリコーンゴムなどを用いてもよい。
加圧ローラ110の表面硬度は、低いほど軽圧で所望の定着ニップNeの幅が得られるが、低すぎると耐久性が低下する。本実施例では、加圧ローラ110の表面硬度は、Asker−C硬度(4.9N荷重)で40°とした。
また、本実施例では、加圧ローラ110は、駆動源(図示せず)により図2(a)中の矢印R1方向に回転駆動されて、200mm/secの表面移動速度(周速度)で回転する。
5.加熱ヒータ
加熱ヒータ113は、セラミックス製の基板上に抵抗発熱体が設けられて構成されている。本実施例では、図2(a)に示すように、加熱ヒータ113は、記録材Pの搬送方向の幅Whが6mm、厚さHが1mmのアルミナ製の基板を有する。また、加熱ヒータ113は、その基板の表面に、スクリーン印刷による塗工により10μmの厚さで形成された、Ag/Pd(銀パラジウム)の抵抗発熱体を有する。また、加熱ヒータ113は、抵抗発熱体の上を50μmの厚さで覆う、ガラスで構成された発熱体保護層を有する。
図3は、図2(a)中の矢印A3方向から見た加熱ヒータ113の模式図である。つまり、図3は、加熱ヒータ113の、定着フィルム112と接触して定着フィルム112を加熱する抵抗発熱体を有する面を示している。上述のように、加熱ヒータ113は、セラミックス製(本実施例ではアルミナ製)の基板207と、基板207上に設けられた抵抗発熱体201、202と、を有する。抵抗発熱体201、202は、それぞれ長手方向に伸びて形成されており、それぞれの長手方向の一方の端部において導電体203を介して互いに直列に接続されている。抵抗発熱体201、202及び導電体203は、発熱体保護層209で覆われている。抵抗発熱体201、202の長手方向の一方の端部(導電体203が設けられている側とは反対側)には、それぞれ導電性の電極部204、205が設けられており、抵抗発熱体201、202はこの電極部204、205から通電することで発熱する。この加熱ヒータ113を比較的熱容量の小さい定着フィルム112の内周面に接触させて直接定着フィルム113を加熱するため、定着フィルム113や加圧ローラ110の温度が長手方向で一様に素早く立ち上がる。
抵抗発熱体201、202の長手方向の幅Wは、最大通紙領域Xに対して小さすぎると、上述のように加圧ローラ110の長手方向の端部における放熱により、長手方向の端部における定着性が低下し易くなる。一方、抵抗発熱体201、202の長手方向の幅Wは、最大通紙領域Xに対して広すぎると、加圧ローラ110の非通紙領域の温度が上昇し易くなってしまう。本実施例では、抵抗発熱体201の長手方向の幅Wは、画像形成装置50において搬送可能な記録材Pのうち幅が最大であるレターサイズの幅(最大幅)216mmに対して、長手方向の両端部でそれぞれ1mmずつ長くなるように設定した。つまり、本実施例では、抵抗発熱体201、202の長手方向の幅Wは218mmとした。基板207の長手方向の幅Wbは、抵抗発熱体201、202、導電体203、電極部204、205、発熱体保護層209が収まるように270mmとした。
図2(a)に示すように、加熱ヒータ113の背面(定着フィルム112に接触する側とは反対側の面)には、抵抗発熱体201、202の発熱に応じて昇温した基板207の温度を検知するための温度検知素子115が配置されている。画像形成装置50の装置本体に設けられた制御手段としての制御部(図示せず)が、温度検知素子115からの信号に応じて、電極部204、205を介して抵抗発熱体201、202に流す電流を制御することで、加熱ヒータ113の温度が調整される。
6.均熱ローラ
図4(a)、(b)は、加熱ヒータ113の構成と、定着装置100に小サイズ紙を通紙した場合の加圧ローラ110の長手方向の温度分布と、を対比して示す模式図及びグラフ図である。小サイズ紙を定着装置100に連続して通紙すると、図4(b)に示すように非通紙領域の加圧ローラ110の温度が上昇してしまう。
本実施例では、定着装置100には、加圧ローラ110の温度を長手方向に均して加圧ローラ110の非通紙領域の昇温を抑制するための均熱ローラ140が、加圧ローラ110に接触して設けられている。均熱ローラ140の材料は、熱伝導率が高いほど、加圧ローラ110の温度を均す効果が高い。また、均熱ローラ140の材料は、熱容量が大きいほど、加圧ローラ110の非通紙領域の熱を多く蓄えることができるため、加圧ローラ110の非通紙領域の昇温を抑制することが容易となる。本実施例では、均熱ローラ140の材料として、金属の中では比較的高熱伝導であり、比較的安価であるアルミ材(アルミニウム材料)を用いた。
均熱ローラ140は、外径が大きいほど、また肉厚が厚いほど、加圧ローラ110の温度を均す効果が高いため、小サイズ紙を用いる場合の生産性を向上させやすい。しかし、均熱ローラ140は、外径が大きすぎたり、また肉厚が厚すぎたりすると、熱容量が過度に大きくなり、加熱ヒータ113の立ち上がり時間が遅くなってしまう。そのため、小サイズ紙を用いる場合の生産性と、加熱ヒータ113の立ち上がり時間とのバランスを考慮して、均熱ローラ140の外径や厚さにより熱容量を調整することが好ましい。本実施例では、均熱ローラ140として、外径が8mmの中実のアルミローラを用いた。また、本実施例では、均熱ローラ140の長手方向の幅は、加圧ローラ110の弾性層116の長手方向の幅Wgと同じ幅とした。これにより、均熱ローラ140は、加圧ローラ110の長手方向の全域にわたり、加圧ローラ110の熱を長手方向に均すことができる。
均熱ローラ140は、トナーなどの汚れの付着を低減するために、表層を構成する離型層として、PFAなどのフッ素樹脂で形成されたフッ素コートなどを有していてもよい。しかし、フッ素樹脂は金属に比べて熱伝導率が低いため、均熱ローラ140に離型層を設けると、加圧ローラ110の温度を均す効果が低下しやすい。つまり、均熱ローラ140に離型層を設ける場合よりも、金属の表面を直接加圧ローラ110に接触させる場合の方が、加圧ローラ110の温度を均す効果は高い。本実施例では、加圧ローラ110の温度を均す効果を高くして、小サイズ紙を用いる場合の生産性をより向上させるために、均熱ローラ140としては、離型層が設けられていない、無垢のアルミ材を用いた。
均熱ローラ140を加圧ローラ110に圧接させる圧力が高いほど、加圧ローラ110と均熱ローラ140とが接触して形成される圧接ニップの幅(加圧ローラ110、均熱ローラ140の回転方向における接触部の長さ)が大きくなる。この圧接ニップの幅が大きいほど、均熱ローラ140が加圧ローラ110の温度を均す効果は高くなり、また均熱ローラ140が加圧ローラ110の回転に対して安定して従動回転しやすくなる。しかし、均熱ローラ140の加圧ローラ110に対する加圧力が高すぎると、加圧ローラ110の回転トルクが高くなる。そのため、均熱ローラ140の加圧ローラ110に対する加圧力は、1N〜20N程度の加圧力が好適であり、本実施例では4.9Nとした。
ここで、定着装置100に小サイズ紙を通紙した場合の均熱ローラ140による加圧ローラ110の温度を均す効果を次のようにして確認した。均熱ローラ140を加圧ローラ110に圧接させた本実施例の構成と、均熱ローラ140を設けない構成とで、小サイズ紙としてB5サイズの記録材P(坪量80g/m)を用いて、1分間に40枚の印字速度で連続印字(連続通紙)を行った。そして、加圧ローラ110の非通紙領域の温度を測定し、均熱ローラ140による加圧ローラ110の温度を均す効果を確認した。具体的には、加圧ローラ110の非通紙領域の温度を放射温度計で測定しながら、加圧ローラ110の弾性層116を構成するシリコーンゴムの耐熱温度230℃に到達するまでにB5サイズの記録材Pを通紙できる枚数を調べた。図5に測定結果を示す。
均熱ローラ140を設けない構成では、加圧ローラ110非通紙領域の温度が約4枚の通紙枚数で230℃に達した。これに対して、均熱ローラ140を設けた本実施例の構成では、加圧ローラ110の温度が230°に達するまでに約40枚の連続通紙を行うことができた。つまり、本実施例では、均熱ローラ140を設けない構成よりも、小サイズ紙(B5サイズ)を用いる場合の生産性を約10倍向上することが可能であることがわかる。
7.均熱ローラの位置
次に、本実施例における均熱ローラ140の設置位置について説明する。本実施例では、均熱ローラ140は、記録材Pの裏面によって摺擦されるように配置されている。特に、本実施例では、均熱ローラ14は、その表面が記録材Pの搬送方向とは逆方向に移動するように回転しながら、記録材Pの裏面によって摺擦される。つまり、均熱ローラ140の表面は、記録材Pの搬送方向に対してカウンター方向に移動しながら、記録材Pの裏面によって摺擦される。このように、均熱ローラ140が記録材Pの裏面によって摺擦される構成とすることによって、均熱ローラ140をクリーニングするウェブなどのクリーニング部材を設けなくても、均熱ローラ140への汚れの蓄積を抑制することができる。以下、更に詳しく説明する。
図6(a)は、記録材Pへのトナー像の定着を行っている時の定着装置100の概略断面図である。表面(第1面)aに未定着のトナー像Tを担持した記録材Pが、図6(a)中の矢印A1方向から定着ニップNeに搬送されると、定着ニップNeにおいて記録材Pの表面aにトナー像Tが定着される。また、均熱ローラ140の表面は、摺擦部Sにおいて、定着ニップNeを通過した記録材Pの裏面(第2面)bによって摺擦される。記録材Pの裏面bは、表面aとは反対側の面、すなわち、記録材Pのトナー像を担持していない面である。このとき、均熱ローラ140は、加圧ローラ110の図6(a)中の矢印R1方向の回転に伴って図6(a)中の矢印R3方向に従動回転する。そのため、均熱ローラ140の表面は、記録材Pの搬送方向に対してカウンター方向に移動しながら、記録材Pの裏面bによって摺擦される。
均熱ローラ140の適切な位置は、定着装置100の定着ニップNeから排出される記録材Pの排出方向に応じて異なることがある。図6(b)、(c)は、それぞれ定着ニップNeからの記録材Pの排出方向が異なる場合の均熱ローラ140の適切な位置を説明するための定着ニップNeの近傍の拡大断面図である。
図6(b)は、定着ニップNeを通過した記録材Pが加圧ローラ110側に寄るようにして定着ニップNeから排出される構成の例を示す。記録材Pが加圧ローラ110側へ排出される構成の場合、薄紙などのこしが弱い記録材Pほど、定着ニップNeでくせが付けられやすいため、加圧ローラ110寄りに排出されやすい。また、記録材Pが加圧ローラ110側へ排出される構成の場合、厚紙などのこしが強い記録材Pほど、定着ニップNeでくせが付けられにくいため、定着フィルム112寄りに排出されやすい。したがって、この場合、均熱ローラ140の位置は、画像形成装置50において搬送可能な記録材Pのうち、厚紙などの最も均熱ローラ140と接触しにくい記録材Pでも均熱ローラ140と摺擦するように設定することが好ましい。つまり、摺擦部Sが、上記厚紙などの最も均熱ローラ140と接触しにくい記録材Pの排出方向を示す直線hよりも定着フィルム112側に位置するように、均熱ローラ140を図6(b)中の矢印A4方向に上げることが好ましい。なお、摺擦部Sは、より詳細には、定着ニップNeの記録材Pの搬送方向における下流側の端部を通る均熱ローラ140の接線xと均熱ローラ140との接点である。均熱ローラ140を矢印A4方向に上げるほど、均熱ローラ140と記録材Pとの摺擦圧力は高くなるため、均熱ローラ140の汚れを除去する効果は高くなる。しかし、均熱ローラ140を矢印A4方向に上げすぎると、記録材Pの搬送方向の先端が均熱ローラ140と加圧ローラ110との間に入り込み、記録材Pが均熱ローラ140と加圧ローラ110との間に巻き込まれやすくなってしまう。したがって、均熱ローラ140の位置は、画像形成装置50において搬送可能な記録材Pのうち、薄紙などの最も加圧ローラ110側に排出されやすい記録材Pでも均熱ローラ140と加圧ローラ110との間に巻き込まれにくいように設定することが好ましい。この点、本発明者らの検討によれば、上記薄紙などの最も加圧ローラ110側に排出されやすい記録材Pの排出方向を示す直線lと均熱ローラ140とのなす角度rが45°よりも小さくなるように均熱ローラ140の位置を設定することが好ましい。なお、この角度rは、より詳細には、直線lと、該直線lと均熱ローラ140との交点における均熱ローラ140の接線と、のなす角度である。このように均熱ローラ140の位置を設定することにより、記録材Pが均熱ローラ140と加圧ローラ110との間に巻き込まれる可能性が低くなる。
一方、図6(c)は、定着ニップNeを通過した記録材Pが定着フィルム112側に寄るようにして定着ニップNeから排出される構成の例を示す。記録材Pが定着フィルム112側へ排出される構成の場合、薄紙などのこしが弱い記録材Pほど、定着ニップNeでくせが付けられやすいため、定着フィルム112寄りに排出されやすい。また、記録材Pが定着フィルム112側へ排出される構成の場合、厚紙などのこしが強い記録材Pほど、定着ニップNeでくせが付けされにくいため、加圧ローラ110寄りに排出されやすい。したがって、この場合、均熱ローラ140の位置は、画像形成装置50において搬送可能な記録材Pのうち、薄紙などの最も均熱ローラ140と接触しにくい記録材Pでも均熱ローラ140と摺擦するように設定することが好ましい。つまり、摺擦部Sが、上記薄紙などの最も均熱ローラ140と接触しにくい記録材Pの排出方向を示す直線線lよりも定着フィルム112側に位置するように、均熱ローラ140を図6(c)中の矢印A4方向に上げることが好ましい。なお、摺擦部Sは、より詳細には、定着ニップNeの記録材Pの搬送方向における下流側の端部を通る均熱ローラ140の接線xと均熱ローラ140との接点である。図6(b)の場合と同様、均熱ローラ140を矢印A4方向に上げるほど、均熱ローラ140と記録材Pとの摺擦圧力は高くなるため、均熱ローラ140の汚れを除去する効果は高くなる。しかし、均熱ローラ140を矢印A4方向に上げすぎると、記録材Pが均熱ローラ140と加圧ローラ110との間に巻き込まれやすくなってしまう。したがって、均熱ローラ140の位置は、画像形成装置50において搬送可能な記録材Pのうち、厚紙などの最も加圧ローラ110側に排出されやすい記録材Pでも均熱ローラ140と加圧ローラ110との間に巻き込まれにくいように設定することが好ましい。この点、本発明者らの検討によれば、上記厚紙などの最も加圧ローラ110側に排出されやすい記録材Pの排出方向を示す直線hと均熱ローラ140とのなす角度rが45°よりも小さくなるように均熱ローラ140の位置を設定することが好ましい。なお、この角度rは、より詳細には、直線hと、該直線hと均熱ローラ140との交点における均熱ローラ140の接線と、のなす角度である。このように均熱ローラ140の位置を設定することにより、記録材Pが均熱ローラ140と加圧ローラ110との間に巻き込まれる可能性が低くなる。
このように、均熱ローラ140の位置は、均熱ローラ140の汚れを除去する効果と、記録材Pが均熱ローラ140と加圧ローラ110との間に巻き込まれることを抑制する効果とのバランスを考慮して決定することが好ましい。本実施例の定着装置100は、定着ニップNeからの記録材Pの排出方向が図6(b)に示すように加圧ローラ110側になる構成である。したがって、本実施例では、次のような位置に均熱ローラ140を設置した。つまり、画像形成装置50において搬送可能な最も厚い記録材P(坪量160g/m)が均熱ローラ140と接触し、最も薄い記録材P(坪量60g/m)の排出方向を示す直線lと均熱ローラ140とのなす角度rが30°となる位置である。
前述のように、加圧ローラ110の表面に付着した微量のトナーや紙粉などの汚れが均熱ローラ140に転移することがある。しかし、本実施例では、記録材Pが定着装置100を搬送されている間は実質的に常に均熱ローラ140は記録材Pの裏面bによって摺擦される。このように、均熱ローラ140は、常に新しい記録材Pの裏面bに拭き取られるため、均熱ローラ140の表面に汚れが蓄積することが抑制される。
8.効果
次に、本実施例の効果を、比較例と比較して更に詳しく説明する。比較例としては、図7(a)に示す比較例1と、図7(b)に示す比較例2とを用意した。比較例1は、均熱ローラ140の表面が記録材Pの裏面bによって摺擦されない構成である。比較例2は、比較例1の構成に加えて、均熱ローラ140をクリーニングするクリーニングウェブ142が設けられた構成である。なお、比較例1、2についても、本実施例におけるものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素には同一符号を付して説明する。また、本実施例の画像形成装置50と比較例1、2の画像形成装置50との構成及び動作は、上記の点を除いて実質的に同じである。
ここでは、印字耐久試験を行い、記録材Pへの汚れの付着の有無を比較した。印字画像としては、定着フィルム112にトナーが付着しやすく、加圧ローラ110や均熱ローラ140が汚れやすいパターンとして、印字率10%の全面ハーフトーン画像を選択した。印字率10%のハーフトーン画像を、定着装置100の寿命である10万枚印字する印字耐久試験を行った。そして、該印字耐久試験中に、定着後の記録材Pへの汚れの付着の有無を確認した。
比較例1(図7(a))では、印字枚数が増加すると、均熱ローラ140にトナーなどの汚れが蓄積していった。そして、印字枚数が約5千枚程度の時点で、その蓄積した汚れが均熱ローラ140から加圧ローラ110に再度付着し、その汚れが記録材Pに付着することによる、記録材Pの裏面への汚れの付着が確認された。記録材Pへの汚れの付着が確認された時点以降は、印字枚数の増加に伴って記録材Pへの汚れの付着頻度が増し、定着装置100の寿命に近づくころには殆どの記録材Pの裏面への汚れの付着が確認されるようになった。
一方、比較例2(図7(b))及び本実施例では、均熱ローラ140への汚れの蓄積はなく、定着装置100の寿命である10万枚まで記録材Pへの汚れの付着は確認されなかった。なお、汚れが蓄積する前の均熱ローラ140の表面を摺擦することで記録材Pの裏面に付着するトナーなどの汚れは微量であるため、通常は汚れの付着としては視認されない。
このように、本実施例の定着装置100は、回転可能であり記録材Pの第1面aに接触して記録材Pを加熱する第1回転体112と、回転可能であり第1回転体112に圧接してニップNeを形成する第2回転体110と、を有する。この定着装置100は、ニップNeにおいて第1回転体112と第2回転体110とで記録材Pを挟持して搬送しながら記録材Pの第1面aに担持された画像を加熱する。また、この定着装置100は、第2回転体110に接触して回転し、第2回転体110の回転軸線方向の温度差を小さくする均熱部材140を有する。そして、均熱部材140は、ニップNeで第1回転体112と第2回転体110とに挟持されて搬送される記録材Pの第1面aとは反対側の第2面bによって摺擦されることが可能である。本実施例では、均熱部材140は、ニップNeよりも記録材Pの搬送方向の下流側に配置されている。また、本実施例では、均熱部材140は、その表面が記録材Pの搬送方向に対してカウンター方向に移動するように回転しながら記録材Pの第2面bによって摺擦される。また、本実施例では、均熱部材140は、第2回転体110の回転に伴い従動回転する。また、本実施例では、均熱部材140の第2回転体110と接触する部分は、金属で形成されている。また、本実施例では、第1回転体112は、無端状のフィルムであり、第1回転体112の内周面側には、第1回転体112に接触してニップNeにおける第1回転体112を加熱する加熱部材113が配置されている。
以上説明したように、本実施例では、均熱ローラ140が記録材Pの裏面によって摺擦される構成とすることで、ウェブなどのクリーニング部材を設けることなく、均熱ローラ140への汚れの蓄積を抑制することができる。そのため、本実施例では、簡易な構成で、均熱ローラへの汚れの蓄積を抑制することができる。したがって、本実施例では、装置構成を複雑化することなく、小サイズ紙を用いる場合の加圧ローラ110の非通紙領域の昇温を抑制することができ、小サイズ紙を用いる場合の生産性を向上することが可能となる。
[実施例2]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1の画像形成装置のものと同じである。したがって、本実施例の画像形成装置において、実施例1の画像形成装置のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、実施例1と同一の符号を付して、詳しい説明は省略する。
1.均熱ローラの位置
本実施例における均熱ローラ140の設置位置について説明する。図8は、記録材Pへのトナー像の定着を行っている時の本実施例の定着装置100の概略断面図である。
本実施例では、均熱ローラ140は、記録材Pの搬送方向において定着ニップNeの上流側に設けられている。このように、本実施例では、均熱部材140は、ニップNeよりも記録材Pの搬送方向の上流側に配置されている。より詳細には、本実施例では、均熱ローラ140は、記録材Pの搬送方向において、定着ニップNeよりも上流側で、定着入口ガイド141と加圧ローラ110との間に設けられている。また、本実施例では、均熱ローラ140は、実施例1と同様に、加圧バネ(図示せず)により加圧ローラ110に圧接させられており、加圧ローラ110の図8中の矢印R1方向の回転に伴って図8中の矢印R3方向に従動回転する。
表面aに未定着のトナー像Tを担持した記録材Pが、図8中の矢印A1方向から搬送されると、記録材Pの搬送方向の先端が定着入口ガイド141に沿って均熱ローラ140に向けて送られる。そして、記録材Pの裏面bは、摺擦部Sにおいて、均熱ローラ140の表面を摺擦する。このとき、均熱ローラ140の表面は、記録材Pの搬送方向に対してカウンター方向に移動しながら、記録材Pの裏面bによって摺擦される。
本実施例では、定着入口ガイド141により記録材Pの姿勢が安定するため、均熱ローラ140と記録材Pの裏面bとが安定して接触しやすい。また、本実施例では、均熱ローラ140が、記録材Pの搬送方向において定着ニップNeよりも上流側で加圧ローラ110の回転に伴って従動回転しているため、記録材P側から見ると均熱ローラ140と加圧ローラ110とは離れるように回転する。そのため、均熱ローラ140と加圧ローラ110との間に記録材Pが巻き込まれることがなく、記録材Pの裏面bによって安定して均熱ローラ140の表面を摺擦することが可能である。
2.効果
本実施例について、実施例1と同様の印字耐久試験を行い、定着後の記録材Pへの汚れの付着の有無を確認した。本実施例においても、均熱ローラ140の汚れはなく、定着装置100の寿命である10万枚まで記録材Pへの汚れの付着は確認されなかった。
以上説明したように、本実施例では、実施例1と同様の効果を得ることができる。また、本実施例では、均熱ローラ140と記録材Pの裏面とを安定して接触させやすい。また、本実施例では、均熱ローラ140と加圧ローラ110との間に記録材Pが巻き込まれにくい。
なお、実施例1、2では、均熱ローラ140が加圧ローラ110の回転に伴って従動回転する構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、均熱ローラ140を駆動手段によって駆動回転させてもよい。均熱ローラ140を駆動回転させることで、均熱ローラ140と記録材Pとの摺擦を安定化することができる。また、均熱ローラ140を駆動回転させることで、均熱ローラ140の駆動回転速度を上げて記録材Pとの摺擦速度(相対速度差)を大きくすることができるため、均熱ローラ140の汚れを除去する能力を向上させることができる。つまり、均熱ローラ140を駆動回転させることで、均熱ローラ140への汚れの蓄積を、均熱ローラ140を従動回転させる場合よりも抑制しやすくなると言える。
[実施例3]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1の画像形成装置のものと同じである。したがって、本実施例の画像形成装置において、実施例1の画像形成装置のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、実施例1と同一の符号を付して、詳しい説明は省略する。
1.均熱ローラの位置と回転方向
本実施例における均熱ローラ140の設置位置と回転方向について説明する。図9は、記録材Pへのトナー像の定着を行っている時の定着装置100の概略断面図である。
本実施例では、均熱ローラ140は、実施例1と同様に、記録材Pの搬送方向において定着ニップNeの下流側に設けられている。また、本実施例では、均熱ローラ140は、実施例1と同様に、加圧バネ(図示せず)により加圧ローラ110に圧接させられている。ただし、本実施例では、均熱ローラ140は、駆動手段としての駆動源401により図9中の矢印R4方向に回転駆動される。つまり、本実施例では、均熱ローラ140は、加圧ローラ110との接触部において、その表面が、図9中の矢印R1方向に回転する加熱ローラ110の表面の移動方向に対してカウンター方向に移動するように、回転駆動される。
表面aに未定着のトナー像Tを担持した記録材Pが、図9中の矢印A1方向から定着ニップNeに搬送されると、定着ニップNeにおいて記録材Pの表面aにトナー像Tが定着される。また、均熱ローラ140の表面は、摺擦部Sにおいて、定着ニップNeを通過した記録材Pの裏面bによって摺擦される。このとき、本実施例では、均熱ローラ140の表面は、記録材Pの搬送方向に対して順方向に移動しながら、記録材Pの裏面によって摺擦される。
ここで、均熱ローラ140の表面移動速度が記録材Pの搬送速度と同じであると、均熱ローラ140の汚れが記録材Pの裏面に転移しにくくなり、均熱ローラ140に汚れが堆積しやすい。均熱ローラ140の表面移動速度が記録材Pの搬送速度よりも遅くても、均熱ローラ140への汚れの蓄積を抑制することが可能である。しかし、この場合、均熱ローラ140と記録材Pとの相対速度差(摺擦速度)は、記録材Pの搬送速度以上にすることはできない。一方、均熱ローラ140の表面移動速度を記録材Pの搬送速度よりも速くしても、均熱ローラ140は記録材Pの裏面と摺擦されるため、均熱ローラ140への汚れの蓄積を抑制することが可能である。また、この場合は、均熱ローラ140の表面移動速度の設定によって記録材Pとの相対速度差を自由に増減して、均熱ローラ140の汚れを除去する効果を自由に設定することが可能である。典型的には、該相対速度差を大きくすることで、均熱ローラ140から汚れを除去する効果を向上させることができる。また、この場合、加圧ローラ110の表面移動速度よりも均熱ローラ140の表面移動速度が速くなるため、均熱ローラ140と加圧ローラ110との間に記録材Pが巻き込まれる可能性は低く、記録材Pの搬送が安定する。そのため、本実施例では、均熱ローラ140の表面移動速度を記録材Pの搬送速度よりも速く設定し、均熱ローラ140の表面移動速度を250mm/secとした。記録材Pの搬送速度は200mm/secであるため、均熱ローラ140は、記録材Pの裏面bに対して50mm/secの相対速度で記録材Pの搬送方向に対して順方向に移動しながら、記録材Pの裏面bによって摺擦される。
このように、本実施例では、均熱部材140は、その表面が記録材Pの搬送方向に対して順方向に移動するように回転しながら記録材Pの第2面bによって摺擦される。また、本実施例では、均熱部材140は、駆動源401によって回転駆動される。また、本実施例では、均熱部材140は、その表面移動速度と記録材Pの搬送速度との間に相対速度差を有するように回転駆動される。
2.効果
本実施例について、実施例1と同様の印字耐久試験を行い、定着後の記録材Pへの汚れの付着の有無を確認した。本実施例においても、均熱ローラ140の汚れはなく、定着装置100の寿命である10万枚まで記録材Pへの汚れの付着は確認されなかった。
このように、本実施例では、実施例1と同様の効果を得ることができる。また、本実施例では、均熱ローラ140と記録材Pとの相対速度差によって、均熱ローラ140の汚れを除去する効果を制御したり、記録材Pが均熱ローラ140と加圧ローラ110との間に巻き込まれにくくしたりすることができる。
[その他の実施例]
以上、本発明を具体的な実施例に即して説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではない。
上述の実施例では、均熱ローラ140が加圧ローラ110に常時接触している構成について説明したが、均熱ローラ140が加圧ローラ110に対して接離可能な構成としてもよい。図10は、実施例1と同様の構成の均熱ローラ140を加圧ローラ110に対して接離可能な構成とした場合の定着装置100の概略断面図である。図10(a)は、接離手段としての接離機構402によって均熱ローラ140を加圧ローラ110から離間させた状態、図10(b)は、接離機構402によって均熱ローラ140を加圧ローラ110に接触させた状態を示す。このような構成の場合、概略、幅が所定値より小さい小サイズ紙を定着装置100に通紙する場合にのみ、均熱ローラ140を加圧ローラ110に接触させる構成とすることができる。つまり、幅が上記所定値より大きい記録材Pを定着装置100に通紙する場合は、均熱ローラ140を加圧ローラ110から離間させることができる。このように、均熱部材140は、第2回転体110に対して接離可能であってよい。そして、均熱部材140は、ニップNeに供給される記録材Pの第2回転体110の回転軸線方向の幅が所定値よりも小さい場合に第2回転体110に接触する。また、ニップNeに供給される記録材Pの第2回転体110の回転軸線方向の幅が上記所定値よりも大きい場合に第2回転体110から離間する。
例えば、レターサイズ紙やA4サイズ紙などの加熱ヒータ113の抵抗発熱体201、202の長手方向の幅Wに近い幅の記録材Pを定着装置100に通紙する場合は、非通紙領域が小さいため、加圧ローラ110の非通紙領域の温度は高温になりにくい。この場合は、図10(a)に示すように、均熱ローラ140は、接離機構402により図10(a)中の矢印R5方向に移動させて加圧ローラ110から離間させることができる。均熱ローラ140を加圧ローラ110から離間させることで、定着装置100の熱容量が均熱ローラ140の分だけ小さくなるため、定着装置100の温度の立ち上げ時間の短縮や低消費電力化を図ることができる。一方、B5サイズ紙などの小サイズ紙を定着装置100に通紙する場合には、図10(b)に示すように、均熱ローラ140は、接離機構402により図10(b)中の矢印R6方向に移動させて加圧ローラ110に圧接させることができる。均熱ローラ140を加圧ローラ110に圧接させることで、上述の実施例と同様に加圧ローラ110の温度を均して、小サイズ紙を用いる場合の生産性を向上することができる。ここで、接離機構402は、制御手段としての制御部500によって制御される。なお、例えば小サイズ紙を定着装置100に通紙することで加圧ローラ110の非通紙領域の温度が一定以上の高温になったことが検知された場合に、均熱ローラ140を加圧ローラ110に圧接させるようにしてもよい。加圧ローラ110の非通紙領域の温度が一定以上の高温になったことは、例えば検知手段としての温度センサなどによって検知することができる。
このように均熱ローラ140を加圧ローラ110に対して接離可能な構成とする場合も、図10(a)、(b)に示すように均熱ローラ140が記録材Pの裏面bによって摺擦されるように均熱ローラ140を設置する。これにより、クリーニング部材を設けることなく均熱ローラ140への汚れの蓄積を抑制することができる。なお、図10に示す例では、均熱ローラ140は、加圧ローラ110から離間されている状態でも、記録材Pの裏面bによって摺擦されるように設置されている。ただし、均熱ローラ140は、加圧ローラ110に接触している状態でのみ記録材Pの裏面bによって摺擦されるように設置してもよい。
また、上述の実施例では、片面印字用の画像形成装置50について説明した。これに対し、本発明は、両面印字が可能な画像形成装置にも適用できるものである。図11は、両面印字が可能なモノクロ画像形成装置50の概略断面図である。図11の画像形成装置50において、図1の画像形成装置50のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、同一の符号を付して詳しい説明は省略する。1面目への印字が完了した記録材Pは、排紙ローラ7によって図11中の矢印W1方向へと搬送される。この記録材Pの搬送方向の後端側の一部が排出ローラ7に挟持されている間に、切り替え手段(図示せず)によって排出ローラ7が反転させられることで、この記録材Pは図11中の矢印W2方向へと搬送される。これにより、この記録材Pは、両面ガイド8を通り、両面ローラ9により再度搬送ローラ6に向けて送られる。そして、記録材Pの上記1面目とは反対側の面である2面目へのトナー像の転写が行われ、定着装置100で2面目のトナー像の定着が行われる。その後、この記録材Pは、図11中の矢印W1方向へと搬送されて、画像形成装置50の外部へと排出(出力)される。
このような両面印字の2面目のトナー像の定着の際に、1面目に画像がある場合には、上述の実施例の構成では、均熱ローラ140が1面目の画像と摺擦することになる。そして、1面目の画像に傷がついたり、均熱ローラ140にトナーが転移して均熱ローラ140に汚れが付着したりすることが考えられる。そこで、図12に示すように、変位手段としての変位機構403によって均熱ローラ140を変位させて、均熱ローラ140を記録材Pの裏面bに対して接離可能な構成とすることができる。図12は、実施例1と同様の構成の均熱ローラ140を、記録材Pの裏面bに接触しない位置(図12(a))と、接触する位置(図12(b))とに変位可能な構成とした場合の、定着装置100の概略断面図である。このような構成の場合、両面印字の2面目に形成されたトナー像の定着時には、均熱ローラ140が記録材Pと摺擦しないように均熱ローラ140を変位させる構成とすることができる。このように、均熱部材140は、第1位置と、第2位置と、の間で変位可能であってよい。第1位置は、ニップNeで第1回転体112と第2回転体110とに挟持されて搬送される記録材Pの第2面bに接触可能な位置である。第2位置は、第1位置よりもニップNeで第1回転体112と第2回転体110とに挟持されて搬送される記録材Pの搬送軌跡から離れた位置である。そして、均熱部材140は、ニップNeで第1回転体112と第2回転体110とに挟持されて搬送される記録材Pの第1面a及び第2面bの両方に画像が担持されている場合には、第2位置に配置される。
例えば、図12(a)に示すように、表面(第1面)aに両面印字の2面目の未定着のトナー像Tを担持した記録材Pの裏面(第2面)bに、両面印字の1面目のトナー像(定着済み)がある。この場合は、均熱ローラ140は、変位機構403により図12(a)中の矢印R7方向に移動させて記録材Pの裏面bに接触しない位置に変位させる。これにより、1面目の画像に傷がつくことや、均熱ローラ140にトナーが転移することを抑制することができる。一方、図12(b)に示すように、片面印字の場合、あるいは両面印字の1面目のトナー像の定着時には、表面(第1面)aに未定着のトナー像Tを担持した記録材Pの裏面(第2面)b、すなわち、均熱ローラ140側の面にはトナー像が無い。この場合は、均熱ローラ140は、変位機構403により図12(b)中の矢印R8方向に移動させて記録材Pの裏面bと摺擦する位置に変位させる。これにより、上述の実施例と同様に、均熱ローラ140への汚れの蓄積を抑制することができる。ここで、変位機構403は、制御手段としての制御部500によって制御される。なお、両面印字の2面目の定着時であっても、その記録材Pの1面目にトナー像が形成されていない場合には、均熱ローラ140を記録材Pの裏面bに接触させるようにしてもよい。また、図12に示す例では、均熱ローラ140が加圧ローラ110に常時接触しているが、上述のように、均熱ローラ140を加圧ローラ110に対して接離可能としてもよい。
また、画像を担持した記録材を加熱する像加熱装置は、典型的には未定着のトナー像を記録材に定着させる定着装置であるが、例えばトナー像が定着された記録材を再加熱して光沢を制御する装置などであってもよい。
また、上述の実施例ではモノクロ画像形成装置を例として説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、例えばイエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの4色などの複数色のトナー像を重ねて印字するカラー画像形成装置にて用いられる像加熱装置に関しても適用することも可能であり、上述の実施例と同様の作用効果を得ることができる。モノクロ画像形成装置にて用いられるフィルム加熱方式の像加熱装置では、定着フィルムの熱容量を極力減らして温度の立ち上がりを早くするために、定着フィルム上に弾性層としてゴム層などを設けない構成が多い。複数色のトナー像を重ねるカラー画像形成装置にて用いられる像加熱装置では、トナーをより混色させ定着画質を向上させるために定着フィルム上に弾性層としてゴム層などを設けたり、加圧ローラの弾性層にソリッドゴムを用いたりする場合もある。
また、上述の実施例では、フィルム加熱方式の像加熱装置に関して説明したが、本発明は熱ローラ方式の像加熱装置、あるいは図13に示すような外部加熱方式の像加熱装置にも適用できるものであり、上述の実施例と同様の効果を得ることができる。ただし、フィルム加熱方式の像加熱装置では、加圧ローラが比較的熱容量の小さい定着フィルムを介して加熱ヒータによって加熱されるので、加圧ローラの非画像領域の昇温が発生しやすい。そのため、フィルム加熱方式の像加熱装置は、均熱ローラを設ける必要性が、熱ローラ方式や外部加熱方式の像加熱装置よりも相対的に高く、本発明の効果を得やすいと言える。図13は、外部加熱方式の像加熱装置100の一例の概略断面図である。図13の像加熱装置100において、上述の実施例におけるものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素には、同一符号を付している。この像加熱装置100では、定着フィルム112の内周面側に設けられた加熱ヒータ113が、定着フィルム112を介して定着ローラ300の外周面に圧接されて、加熱ニップN2が形成される。この加熱ニップN2で定着ローラ300の表面が加熱される。定着ローラ300には、加圧ローラ301が圧接されて、定着ニップN1が形成される。この定着ニップN1で記録材Pへのトナー像Tの定着が行われる。このような外部加熱方式の像加熱装置100においても、図13に示すように、均熱ローラ140を記録材Pの裏面bによって摺擦されるように設置することで、クリーニング部材を設けることなく、均熱ローラ140への汚れの蓄積を抑制することができる。そのため、装置構成を複雑化することなく、小サイズ紙を用いる場合の加圧ローラ301の非通紙領域の昇温を抑制することができ、小サイズ紙を用いる場合の生産性を向上することが可能となる。なお、熱ローラ方式の像加熱装置は、当業者には周知であるので詳しい説明は省略するが、図13の像加熱装置100における定着フィルム112及びその内周面側の構成の代わりに、定着ローラ300の内部に設けられたハロゲンランプなどの加熱源を有する。
また、上述の説明において画像形成装置や像加熱装置で搬送可能な記録材の幅、厚さ、定着ニップからの排出方向などの特徴として言及したものは、一般的な記録材の種類としての特徴であればよい。例えば、搬送可能な記録材のうち最大幅の記録材とは、使用されることが一般に想定されている記録材の種類のうち幅が最大である種類の記録材(例えばレターサイズ紙)であればよい。また、例えば、搬送可能な記録材のうち最も厚いあるいは最も薄い記録材とは、坪量の範囲などで分類された薄紙、厚紙といった、使用されることが一般に想定されている記録材の種類のうち、厚さが最も厚いあるいは最も薄い種類の記録材であればよい。
50 画像形成装置
100 定着装置
110 加圧ローラ
112 定着フィルム
113 加熱ヒータ
140 均熱ローラ
Ne 定着ニップ
P 記録材
S 摺擦部

Claims (15)

  1. 回転可能であり記録材の第1面に接触して記録材を加熱する第1回転体と、回転可能であり前記第1回転体に圧接してニップを形成する第2回転体と、を有し、前記ニップにおいて前記第1回転体と前記第2回転体とで記録材を挟持して搬送しながら記録材の前記第1面に担持された画像を加熱する像加熱装置において、
    前記第2回転体に接触して回転し、前記第2回転体の回転軸線方向の温度差を小さくする均熱部材を有し、
    前記均熱部材は、前記ニップで前記第1回転体と前記第2回転体とに挟持されて搬送される記録材の前記第1面とは反対側の第2面によって摺擦されることが可能であることを特徴とする像加熱装置。
  2. 前記均熱部材は、前記ニップよりも記録材の搬送方向の下流側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。
  3. 前記均熱部材は、前記ニップよりも記録材の搬送方向の上流側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。
  4. 前記均熱部材は、その表面が記録材の搬送方向に対してカウンター方向に移動するように回転しながら記録材の前記第2面によって摺擦されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の像加熱装置。
  5. 前記均熱部材は、前記第2回転体の回転に伴い従動回転することを特徴とする請求項4に記載の像加熱装置。
  6. 前記均熱部材は、その表面が記録材の搬送方向に対して順方向に移動するように回転しながら記録材の前記第2面によって摺擦されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の像加熱装置。
  7. 前記均熱部材は、駆動源によって回転駆動されることを特徴とする請求項6に記載の像加熱装置。
  8. 前記均熱部材は、その表面移動速度と記録材の搬送速度との間に相対速度差を有するように回転駆動されることを特徴とする請求項7に記載の像加熱装置。
  9. 前記均熱部材は、前記第2回転体に対して接離可能であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の像加熱装置。
  10. 前記均熱部材は、前記ニップに供給される記録材の前記第2回転体の回転軸線方向の幅が所定値よりも小さい場合に前記第2回転体に接触し、前記ニップに供給される記録材の前記第2回転体の回転軸線方向の幅が前記所定値よりも大きい場合に前記第2回転体から離間することを特徴とする請求項9に記載の像加熱装置。
  11. 前記均熱部材は、前記ニップで前記第1回転体と前記第2回転体とに挟持されて搬送される記録材の前記第2面に接触可能な第1位置と、前記第1位置よりも前記ニップで前記第1回転体と前記第2回転体とに挟持されて搬送される記録材の搬送軌跡から離れた第2位置と、の間で変位可能であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の像加熱装置。
  12. 前記均熱部材は、前記ニップで前記第1回転体と前記第2回転体とに挟持されて搬送される記録材の前記第1面及び前記第2面の両方に画像が担持されている場合には、前記第2位置に配置されることを特徴とする請求項11に記載の像加熱装置。
  13. 前記均熱部材の前記第2回転体と接触する部分は、金属で形成されていることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の像加熱装置。
  14. 前記第1回転体は、無端状のフィルムであり、前記第1回転体の内周面側には、前記第1回転体に接触して前記ニップにおける前記第1回転体を加熱する加熱部材が配置されていることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の像加熱装置。
  15. 記録材にトナーで画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段により形成された画像を担持した記録材を加熱する請求項1乃至14のいずれか1項に記載の像加熱装置と、を有することを特徴とする画像形成装置。
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