JP2019128471A - レンズ装置の調整機構 - Google Patents
レンズ装置の調整機構 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2019128471A JP2019128471A JP2018010439A JP2018010439A JP2019128471A JP 2019128471 A JP2019128471 A JP 2019128471A JP 2018010439 A JP2018010439 A JP 2018010439A JP 2018010439 A JP2018010439 A JP 2018010439A JP 2019128471 A JP2019128471 A JP 2019128471A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- lens
- ring
- hole
- adjustment
- peripheral surface
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Abstract
【課題】 チルト方向の変位を排除又は低減し、レンズ支持筒部を、常に光軸方向へ平行移動(変位)させることにより、光学上のコントロールを高精度に行うとともに、大幅なコストダウンを図り、大型化する不具合を回避する。【解決手段】 調整用リング部4に、この調整用リング部4の内周面における雌ネジ部6wに内端が開口し、かつ調整用リング部4の径方向Fdに沿って形成した貫通孔部7を有し、この貫通孔部7に、レンズ支持筒部5の外周面における雄ネジ部6mに当接する滑り部材8,この滑り部材8をレンズ支持筒部5の内方向に付勢する圧縮弾性部材9,及び貫通孔部7に固定して圧縮弾性部材9の外端を規制する閉塞部材10を収容したガタ防止機構部Pを設ける。【選択図】 図1
Description
本発明は、調整用リング部とレンズ支持筒部間にヘリコイドネジ機構部を介在させたレンズ装置の調整機構に関する。
一般に、カメラのレンズ装置において、フォーカスリング等の操作フィーリングを高めることは、フィーリング性の向上のみならず、正確で迅速なフォーカス調整等を確保する上で重要である。ところで、このようなレンズ装置に備える調整機構は、調整用リング部の回動操作変位をレンズの光軸進退変位に変換する必要があるため、通常、ヘリコイドネジ機構部を用いた運動変換手段を内蔵する。この場合、ネジ噛合するヘリコイドネジ機構部は、少なからずガタつきが発生するため、このガタつきを防止するガタ防止機構部を備えた調整機構も提案されている。
従来、この種の調整機構を備えたレンズ装置としては、本出願人が既に提案した特許文献1により開示されるマニュアル操作レンズが知られている。このマニュアル操作レンズは、ガタつきを解消すると同時に、本来、マニュアル操作に要求される良好な操作フィーリング及び高い操作精度を確保するとともに、ガタ防止機構部に係わる構成全体のサイズダウン及びコストダウンを図ることを目的としたものであり、具体的には、規制ガイド機構部を、固定側枠体又は可動側枠体の一方に設けた光軸方向のガイドチャンネル部と他方に設けたガイドチャンネル部により構成してなるレンズであって、被ガイド部を、所定の弾性を有する素材によりU形に形成するとともに、ガイドチャンネル部の内壁に、当該ガイドチャンネル部の長手方向に所定の幅寸法で接触する当接部を形成したものである。
しかし、上述した従来のレンズ装置(マニュアル操作レンズ)に備える調整機構は、次のような解決すべき課題も存在した。
第一に、調整用リング部を回動操作する際における周方向のガタつきは有効に解消されるため、操作フィーリングを確保したり正確で迅速なフォーカス調整を行う観点からはその目的を達成し得るが、チルト方向のガタつきに対しては必ずしも有効に解消されるとは言えない。特に、交換レンズの場合、様々な種類が存在し、サイズ的に大型の交換レンズも少なくない。交換レンズが大型化した場合、レンズの重さも大きくなるため、チルト方向の変位も大きくなる。したがって、この場合には、チルト方向に変位した状態、即ち、非平行状態での移動によりフォーカス調整が行われ、結果的に、フォーカス調整の精度を確保できなくなる虞れがあった。
第二に、ガタ防止機構部の構成が煩雑化する傾向があるとともに、複雑な形状を有する部品が必要になる。しかも、部品や加工工程での高い精度が要求されるため、これらに基づくコストアップが無視できない。また、配設スペースを確保する必要があるため、レンズ全体の大型化を招きやすいとともに、既存のレンズ装置に、配設スペースを確保できない場合には、後付的に追加できないなど、汎用性を高める観点からも更なる改善の余地があった。
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決したレンズ装置の調整機構の提供を目的とするものである。
本発明に係るレンズ装置Mの調整機構1は、上述した課題を解決するため、レンズ鏡筒2の固定筒3に支持され、かつ周方向Ffへ回動変位可能な調整用リング部4と、周方向Ffへの回動変位が規制され、かつ光軸方向Fsへ進退変位可能なレンズL…を支持するレンズ支持筒部5と、調整用リング部4の内周面に形成した雌ネジ部6w,及びレンズ支持筒部5の外周面に形成し、かつ雌ネジ部6wに螺合する雄ネジ部6mからなるヘリコイドネジ機構部6とを少なくとも有してなる調整機構であって、調整用リング部4に、この調整用リング部4の内周面における雌ネジ部6wに内端が開口し、かつ調整用リング部4の径方向Fdに沿って形成した貫通孔部7を有し、この貫通孔部7に、レンズ支持筒部5の外周面における雄ネジ部6mに当接する滑り部材8,この滑り部材8をレンズ支持筒部5の内方向に付勢する圧縮弾性部材9,及び貫通孔部7に固定して圧縮弾性部材9の外端を規制する閉塞部材10を収容したガタ防止機構部Pを設けてなることを特徴とする。
この場合、発明の好適な態様により、貫通孔部7は、調整用リング部4の内周面における雌ネジ部6wの谷部6wvに開口させることができるとともに、滑り部材8は、金属素材により形成した球体8rを用いることができ、特に、球体8rと圧縮弾性部材9の内端間には、球体8rが点接触可能なセパレータ部材11を介在させることが望ましい。また、圧縮弾性部材9には、圧縮スプリング9sを用いることができるとともに、閉塞部材10には、貫通孔部7の少なくとも一部に形成したネジ孔部7nに螺着するネジ体10n(10ne)を用いることができる。一方、調整用リング部4は、少なくとも二以上のリングメンバ4a,4bを用いた積層構造により構成し、貫通孔部7の外端を、最外層を構成する外側リングメンバ4aよりも内方に位置する内側リングメンバ4bの外周面に開口させ、この内側リングメンバ4bよりも外方に位置するリングメンバ4aにより貫通孔部7の外端を覆う構成を設けることができる。他方、調整機構1には、フォーカス調整を行うフォーカス調整機構1fを適用できるとともに、ガタ防止機構部Pは、カメラボディに対して所定のマウントを介して着脱する交換レンズMcに適用できる。
このような構成を有する本発明に係るレンズ装置Mの調整機構1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
(1) ガタつきの原因となるヘリコイドネジ機構部6における雄ネジ部6m側を、雌ネジ部6w側に対して、弾性圧力により押え付けるため、特に、チルト方向のガタつきを排除又は低減することができる。この結果、レンズL…を支持するレンズ支持筒部5を、光軸方向Fsへ平行移動させることが可能になり、光学上のコントロールを高精度に行うことができる。したがって、レンズL…の重量が大きくなり、チルト方向の変位が大きくなる大型のレンズ装置Mに用いて最適となる。
(2) ガタ防止機構部Pの構成の単純化、即ち、単純形状の汎用部品を利用できるとともに、単純な加工工程により容易に実施できるため、大幅なコストダウンを図ることができる。しかも、別途の配設スペースを確保する必要がないため、レンズ装置M全体が大型化する不具合を回避できるとともに、既存の交換レンズMc(レンズ装置M)にも後付的に適用できるなど、汎用性に優れる。
(3) 好適な態様により、貫通孔部7の内端を、調整用リング部4の内周面における雌ネジ部6wの谷部6wvに開口させれば、付勢された滑り部材8を、雄ネジ部6mにおける山部上端の平坦湾曲面に圧接させることができるため、円滑かつ安定な動作を確保できる。
(4) 好適な態様により、滑り部材8として、金属素材により形成した球体8rを用いれば、球体8rの転動作用により、加圧による所定の圧接力を維持しつつ摩擦の少ない滑らかな動作を確保できる。
(5) 好適な態様により、球体8rと圧縮弾性部材9の内端間に、球体8rが点接触可能なセパレータ部材11を介在させれば、球体8rの転動作用をより高めることができるため、摩擦の少ない滑らかな動きを確保できるなど最適な形態として実施できる。
(6) 好適な態様により、圧縮弾性部材9として、圧縮弾性スプリング9sを用いれば、汎用部材により構成できるとともに、必要な弾性圧力を容易に得れるため、コストパフォーマンスの観点から最適な形態として実施できる。
(7) 好適な態様により、閉塞部材10として、貫通孔部7の少なくとも一部に形成したネジ孔部7nに螺着するネジ体10nを用いれば、ネジ孔部7nに対して、ネジ体10nを螺着するのみで固定できるため、容易かつ確実に固定することができる。しかも、必要により螺着位置を変更可能となり、圧縮弾性部材9の弾性圧力、即ち、雄ネジ部6m側を、雌ネジ部6w側に対して押え付ける力を任意の大きさに調整することができる。この結果、ヘリコイドネジ機構部6におけるガタ防止作用及び操作フィーリング作用に係わる最適化を図ることができる。
(8) 好適な態様により、調整用リング部4を、少なくとも二以上のリングメンバ4a,4bを用いた積層構造により構成し、貫通孔部7の外端を、最外層を構成する外側リングメンバ4aよりも内方に位置する内側リングメンバ4bの外周面に開口させ、この内側リングメンバ4bよりも外方に位置するリングメンバ4aにより貫通孔部7の外端を覆うように構成すれば、ガタ防止機構部Pを外観的に遮蔽できるため、ガタ防止機構部Pを付加した場合であっても、外観性が損なわれる不具合を回避できる。
(9) 好適な態様により、調整機構1に、フォーカス調整を行うフォーカス調整機構1fを適用すれば、ヘリコイドネジ機構部6のガタつきの悪影響が最も大きく出やすいフォーカス調整機構1fの改善を図ることができるため、レンズ装置Mにおけるフォーカス調整の高精度化及び高品質化を図ることができる。
(10) 好適な態様により、ガタ防止機構部Pを、カメラボディに対して所定のマウントを介して着脱する交換レンズ1cに適用すれば、特に、大型のレンズ装置Mが含まれる交換レンズMcに適用できるため、本発明に係るレンズ装置Mの調整機構1における用途の観点から最適な用途となる。
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
まず、本実施形態に係る調整機構1を備えるレンズ装置M全体の概略構成について、図3を参照して説明する。
図3に例示するレンズ装置Mは、交換レンズMcであり、図示を省略したカメラボディに対して装着又は離脱することができる。通常、カメラには標準レンズが付属するが、交換レンズMcには、広角レンズや望遠レンズ等の様々な種類が含まれるとともに、大きさも大型レンズから小型レンズまで様々である。本実施形態に係る調整機構1は、特に、大型のレンズ装置Mに用いてその効果が大きいため、交換レンズMcへの適用は、用途の観点から最適となる。
図3は、調整機構1を除いてレンズ装置Mの全体を仮想線で示す。このレンズ装置Mは、固定筒3を含むレンズ鏡筒2を備え、このレンズ鏡筒2の後端部に、上述したカメラボディにおける所定のマウントに対して着脱するマウント装着部3mを備える。また、レンズ鏡筒2の内部には、複数のレンズLo…を配し、各レンズLo…はレンズ保持枠H…により保持されている。
一方、図3において、実線部分は、本実施形態に係る調整機構1であり、より具体的には、フォーカス調整を行うフォーカス調整機構1fを示す。このように、本実施形態に係る調整機構1として、特に、フォーカス調整機構1fを適用すれば、ヘリコイドネジ機構部6のガタつきの悪影響が最も大きく出やすいフォーカス調整機構1fの改善を図ることができるため、レンズ装置Mにおけるフォーカス調整の高精度化及び高品質化を図れる利点がある。
次に、本実施形態に係るフォーカス調整機構1f(調整機構1)の基本構成について、図3を参照して説明する。
4fは、調整用リング部4となるフォーカスリング部であり、レンズ鏡筒2の固定筒3により、周方向Ffへ回動変位可能に支持される。この場合、フォーカスリング部4fは、固定筒3に形成した段差部等により、周方向Ffへ回動変位可能に支持されるも、光軸方向Fsへの変位は規制される。また、例示のフォーカスリング部4fは、二つのリングメンバ4a,4bを用いて積層構造に構成する。具体的には、合成樹脂素材によりそれぞれ一体形成したアウタリング部4aとインナリング部4bを備え、アウタリング部4aを外側に配し、インナリング部4bを内側に配して構成する。なお、4arはアウタリング部4aの外周面に装着した滑止用のゴム製カバーリング部を示す。
他方、5は、合成樹脂素材により形成したレンズ支持筒部であり、レンズL…の組合わせにより構成するフォーカス調整用のレンズ群Lmを支持する。例示の場合、レンズ群Lmには、複合レンズL…を含む6枚のレンズL…を備える。また、レンズ支持筒部5の外周部には、周方向の所定位置に等間隔置きに配したスライダ25…を固定する。このスライダ25…は、金属素材によりL形に折曲形成する。これにより、各スライダ25…は、固定筒3に形成したガイドスリット26…に係合し、光軸方向Fsへ進退変位自在に支持される。したがって、レンズ支持筒部5は、周方向Ffへの回動変位が規制され、かつ光軸方向Fsへ進退変位可能となる。
さらに、各スライダ25…により支持筒リング部27の内周面を支持する。この場合、各スライダ25…をL形に折曲し、放射方向に突出した取付部25c…を、支持筒リング部27の端面にネジ止めする。これにより、各スライダ25…と支持筒リング部27は一体に固定される。
この支持筒リング部27は、レンズ支持筒部5の一部となり、この支持筒リング部27の外周面には、図1に示すヘリコイドネジ機構部6を構成する雄ネジ部6mを形成する。一方、上述したフォーカスリング部4fにおけるインナリング部4bの内周面には、図1に示すヘリコイドネジ機構部6を構成する雌ネジ部6wを形成する。これにより、雌ネジ部6wと雄ネジ部6mが噛合(螺合)するヘリコイドネジ機構部6が構成される。
次に、本実施形態に係るフォーカス調整機構1fの要部を構成するガタ防止機構部Pについて、図1〜図4を参照して具体的に説明する。
このガタ防止機構部Pは、図3に、円A部で示すように、フォーカスリング部4fに設ける。この円A部を抽出拡大した構成を図1に示す。
図1に示すように、ガタ防止機構部Pは、フォーカスリング部4fに形成した貫通孔部7を備える。具体的には、フォーカスリング部4fを構成するインナリング部4bの周面部における所定位置に、インナリング部4bの径方向Fdに沿って貫通形成する。この場合、貫通孔部7の内端は、図4に示すように、インナリング部4bの内周面に形成した雌ネジ部6w、特に、雌ネジ部6wにおける谷部6wvに開口させる。このように、雌ネジ部6wの谷部6wvに開口させれば、後述する付勢された滑り部材8(球体8r)を、雄ネジ部6mにおける山部上端の平坦湾曲面6mtに圧接させることができるため、円滑かつ安定な動作を確保できる。
また、貫通孔部7の外端は、図4に示すように、インナリング部4bの外周面に開口させ、この開口縁には、外広がりのテーパ面7tを形成する。これにより、後述する図4(a)に示すネジ体10nの頭部10nhを嵌合させることができる。したがって、ネジ体10nの頭部10nhはインナリング部4bの外周面から突出しないように考慮する。なお、テーパ面7tを設けるか否かは任意である。例えば、図4(b)に、変更例として示す頭部を有しないネジ体10neを用いた場合には不要である。このため、貫通孔部7の一部、具体的には、貫通孔部7の外端寄りの内周面には、ネジ体10nが螺着するネジ孔部7nを形成する。
そして、この貫通孔部7の内部に、図1に示すように、内端側から、滑り部材8,セパレータ部材11,圧縮弾性部材9を収容し、閉塞部材10により貫通孔部7の外端を閉塞する。
この場合、滑り部材8は、レンズ支持筒部5(支持筒リング部27)の外周面に形成した雄ネジ部6mに当接する機能を備える。図4に示すように、例示の滑り部材8には、金属素材により形成した球体8rを用いた。この球体8rの外径は、貫通孔部7の内径よりも稍小さく選定する。したがって、この球体8rの下端が雄ネジ部6mにおける山部上端の平坦湾曲面6mtに圧接する。このような球体8rを用いれば、球体8rの転動作用により、加圧による所定の圧接力を維持しつつ摩擦の少ない滑らかな動作を確保できる。
セパレータ部材11は、図4に示すように、金属素材により一体に形成する。セパレータ部材11は、下端面を平坦に形成した円盤部11pを備えるとともに、この円盤部11pの上面に、円柱状に形成した小径の係合部10sを備える。これにより、球体8rは、セパレータ部材11(円盤部11p)の下端面に点接触するとともに、係合部10sは、後述する圧縮弾性部材9(圧縮スプリング9s)の内端に挿入する。このようなセパレータ部材11を用いれば、球体8rの転動作用をより高めることができるため、摩擦の少ない滑らかな動きを確保できるなど最適な形態として実施できる利点がある。
圧縮弾性部材9は、球体8rをレンズ支持筒部5の内方向(中心方向)に付勢する機能を備える。例示の圧縮弾性部材9には、コイルスプリングによる圧縮スプリング9sを用いた。この圧縮スプリング9sは、球体8rを雄ネジ部6mに対して所定の弾性圧力により押え付ける機能を有するため、ヘリコイドネジ機構部6におけるガタ防止及び操作フィーリングの双方においてバランスのとれた作用が生じるように、その弾性圧力を選定する。圧縮弾性部材9として、このような圧縮スプリング9sを用いれば、汎用部材により構成できるとともに、必要な弾性圧力を容易に得れるため、コストパフォーマンスの観点から最適な形態として実施できる。
閉塞部材10は、貫通孔部7に固定することにより圧縮スプリング9sの外端を規制する機能を備える。この閉塞部材10には、前述したように、図4(a)に示す頭部10nhを有するネジ体10nを用いてもよいし、図4(b)に示す頭部の無いネジ体10neを用いてもよい。いずれの場合も、前述した貫通孔部7に形成したネジ孔部7nに螺着することにより固定できる。なお、ネジ体10n(10ne)の下端には、円柱状に形成した小径の係合部10sを一体に形成し、圧縮スプリング9sの外端に挿入する。
このように、閉塞部材10として、図4(a),(b)に示すネジ体10nを用いれば、ネジ孔部7nに対して、ネジ体10nを螺着するのみで固定できるため、容易かつ確実に固定することができる。特に、図4(b)に示すネジ体10neを用いれば、必要により螺着位置を変更できるため、圧縮弾性部材9の弾性圧力、即ち、雄ネジ部6m側を、雌ネジ部6w側に対して押え付ける力を任意の大きさに調整可能となり、ヘリコイドネジ機構部6におけるガタ防止作用及び操作フィーリング作用に係わる最適化を図ることができる利点がある。
次に、ガタ防止機構部Pを含む本実施形態に係るフォーカス調整機構1f、特に、要部の組立方法について説明する。
まず、レンズ支持筒部5に対してインナリング部4bの組付けを行う。図4に示すレンズ支持筒部5とインナリング部4bが組付後の状態となる。そして、図4に示す貫通孔部7の内部に、外側(図中、上側)から球体8rを投入する。次いで、セパレータ部材11を収容し、さらに、圧縮スプリング9sを収容する。これらの収容が終了したなら、ネジ体10n(又はネジ体10ne)をネジ孔部7nに螺着して固定する。これにより、ガタ防止機構部Pの組付けは終了する。
ガタ防止機構部Pの組付けが終了したなら、インナリング部4bに対して、ゴム製カバーリング部4arを装着したアウタリング部4aの組付けを行う。インナリング部4bとアウタリング部4aを組付けた状態が図1となり、これにより、フォーカスリング部4fの組付けが終了する。
この場合、アウタリング部4aの光軸方向Fsにおける後端位置(図3中、右端位置)は、インナリング部4bの光軸方向Fsにおける後端位置にほぼ一致,又は図3に示すように、この後端位置よりも後方に位置するように選定する。これにより、貫通孔部7の外端は、インナリング部4bよりも外方に位置するアウタリング部4aにより覆われ、ガタ防止機構部Pは外観的に遮蔽される。したがって、ガタ防止機構部Pを付加した場合であっても、外観性が損なわれる不具合は回避される。
よって、このような本実施形態に係るフォーカス調整機構1fによれば、基本構成として、フォーカスリング部4fに、このフォーカスリング部4fの内周面における雌ネジ部6wに内端が開口し、かつフォーカスリング部4fの径方向Fdに沿って形成した貫通孔部7を有し、この貫通孔部7に、レンズ支持筒部5の外周面における雄ネジ部6mに当接する滑り部材8,この滑り部材8をレンズ支持筒部5の内方向に付勢する圧縮スプリング9s,及び貫通孔部7に固定して圧縮スプリング9sの外端を規制する閉塞部材10を収容したガタ防止機構部Pを設けてなるため、ガタ防止機構部Pの構成の単純化、即ち、単純形状の汎用部品を利用できるとともに、単純な加工工程により容易に実施でき、大幅なコストダウンを図ることができる。しかも、別途の配設スペースを確保する必要がないため、レンズ装置M全体が大型化する不具合を回避できるとともに、既存の交換レンズMc(レンズ装置M)にも後付的に適用できるなど、汎用性に優れる。
次に、ガタ防止機構部Pを含む本実施形態に係るフォーカス調整機構1fの機能及び作用について説明する。
フォーカス調整機構1fは、使用者がマニュアル操作、即ち、フォーカスリング部4fを手で回動操作すれば、一体に備える雌ネジ部6wも同時に周方向Ffへ回動変位する。この際、雌ネジ部6wに螺合する雄ネジ部6mは、レンズ支持筒部5に一体に有するとともに、このレンズ支持筒部5は、周方向Ffへの回動変位が規制され、かつ光軸方向Fsへの進退変位が許容されているため、フォーカスリング部4fの回動変位量に対応した光軸方向Fsへの進退変位量に運動変換され、最近接位置から無限遠位置までのいわばピント調整を行うことができる。
この際、ガタつきの原因となるヘリコイドネジ機構部6における雄ネジ部6m側は、雌ネジ部6w側に対して、ガタ防止機構部Pからの弾性圧力により押え付けられているため、レンズL…を支持するレンズ支持筒部5を光軸方向Fsへ平行移動(変位)する。これにより、光学上のコントロールを高精度に行うことが可能となる。したがって、本実施形態に係るフォーカス調整機構1fは、レンズL…の重量が大きくなり、チルト方向の変位が大きくなる大型のレンズ装置Mに用いて最適となる。
なお、図5(a)〜(c)には、本実施形態に係る調整機構1に備えるガタ防止機構部Pの変更例を示す。
図5(a)に示す変更例は、ガタ防止機構部Pにおけるセパレータ部材11を使用しない例を示す。したがって、この点を除き、図1に示したガタ防止機構部Pと同じに構成となる。この変更例では、球体8rが圧縮スプリング9sの内端に直接接触するため、セパレータ部材11を介在させる場合と異なり、球体8rとの点接触が保証されない。しかし、線接触は可能になり、摩擦の少ない滑らかな動作を確保する観点からは、図1のガタ防止機構部Pより劣るものの実用的観点からの使用可能性は確保される。
図5(b)に示す変更例は、図1に示したガタ防止機構部Pにおける円盤状のセパレータ部材11の代わりに球体を用いた例を示す。したがって、構成的には、図1に示したガタ防止機構部Pのセパレータ部材11を除き、代わりに球体8rを収容した構成、即ち、球体8r…を二個収容した構成となる。この変更例は、図1に示したガタ防止機構部Pに比べ、貫通孔部7の内部における占有体積が大きくなるが、摩擦の少ない滑らかな動作を確保する観点からは、図5(a)に示したガタ防止機構部Pよりも優れる。
図5(c)に示す変更例は、図1に示したガタ防止機構部Pを、光軸方向Fsにおける異なる二個所の位置に配した例を示す。このように、ガタ防止機構部P…の配設する数量は任意であり、図1に示すような一個所であってもよいし、図5(c)に示す二個所であってもよい。更に、図示を省略した三個所以上であってもよい。ガタ防止機構部P…の数量を二個所以上に選定すれば、ヘリコイドネジ機構部6における雄ネジ部6mと雌ネジ部6wの平行移動性を高めることができ、よりガタつき防止作用を高めることができる。
なお、図5(a)〜(c)において、図1と同一部分については同一符号を付し、その構成を明確にするとともに、その詳細な説明を省略する。
以上、変更例を含む好適実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,手法等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
例えば、フォーカス調整機構1fは、マニュアル操作方式を例示したが、オートフォーカス方式、更には、これら両方式を切換える方式であってもよい。また、調整機構1として、フォーカス調整機構1fを例示したが、ズーミング調整機構など、ヘリコイドネジ機構部6を利用する各種調整機構1に適用できる。一方、貫通孔部7は、調整用リング部4の内周面における雌ネジ部6wの谷部6wvに開口させた場合を示したが、雌ネジ部6wの山部に開口させる場合を排除するものではない。さらに、滑り部材8として、金属素材により形成した球体8rを例示したが、その他、低摩擦係数かつ高耐摩耗性等を有する素材により形成した当接性の滑り部材8を排除するものではない。また、圧縮弾性部材9として、圧縮スプリング9sを用いた例を示したが、その他、圧縮ゴム部材や圧縮板バネ等の同様の機能を有する各種圧縮弾性部材9により置換可能である。同様に、閉塞部材10も、ネジ体10nの代わりに、閉塞機能を有する他の閉塞部材10により置換可能である。なお、レンズ装置Mとして、交換レンズMcを例示したが、カメラボディに一体のレンズ装置であってもよい。この場合、カメラボディとしては、デジタルカメラをはじめ、フィルムタイプカメラやビデオカメラ等の各種カメラボディに適用できる。なお、デジタルカメラは、一眼レフタイプであってもよいし、ファインダータイプであってもよい。さらに、プロジェクタに使用するレンズ装置Mなど、各種光学機器のレンズ装置Mに適用可能である。
本発明に係るレンズ装置Mの調整機構1は、標準レンズ,望遠レンズ,マクロレンズ等の各種レンズ装置に備える調整機構に利用(適用)できる。
1:調整機構,1f:フォーカス調整機構,2:レンズ鏡筒,3:固定筒,4:調整用リング部,4a:リングメンバ(外側リングメンバ),4b:リングメンバ(内側リングメンバ),5:レンズ支持筒部,6:ヘリコイドネジ機構部,6w:雌ネジ部,6m:雄ネジ部,6wv:雌ネジ部の谷部,7:貫通孔部,7n:貫通孔部のネジ孔部,8:滑り部材,8r:球体,9:圧縮弾性部材,9s:圧縮スプリング,10:閉塞部材,10n(10ne):ネジ体,11:セパレータ部材,M:レンズ装置,Mc:交換レンズ,P:ガタ防止機構部,Ff:周方向,Fs:光軸方向,Fd:径方向,L…:レンズ
Claims (9)
- レンズ鏡筒の固定筒に支持され、かつ周方向へ回動変位可能な調整用リング部と、周方向への回動変位が規制され、かつ光軸方向へ進退変位可能なレンズを支持するレンズ支持筒部と、前記調整用リング部の内周面に形成した雌ネジ部,及び前記レンズ支持筒部の外周面に形成し、かつ前記雌ネジ部に螺合する雄ネジ部からなるヘリコイドネジ機構部とを少なくとも有してなるレンズ装置の調整機構であって、前記調整用リング部に、この調整用リング部の内周面における雌ネジ部に内端が開口し、かつ前記調整用リング部の径方向に沿って形成した貫通孔部を有し、この貫通孔部に、前記レンズ支持筒部の外周面における雄ネジ部に当接する滑り部材,この滑り部材を前記レンズ支持筒部の内方向に付勢する圧縮弾性部材,及び前記貫通孔部に固定して前記圧縮弾性部材の外端を規制する閉塞部材を収容したガタ防止機構部を設けてなることを特徴とするレンズ装置の調整機構。
- 前記貫通孔部は、前記調整用リング部の内周面における前記雌ネジ部の谷部に開口させることを特徴とする請求項1記載のレンズ装置の調整機構。
- 前記滑り部材は、金属素材により形成した球体を用いることを特徴とする請求項1又は2記載のレンズ装置の調整機構。
- 前記球体と前記圧縮弾性部材の内端間には、前記球体が点接触可能なセパレータ部材を介在させることを特徴とする請求項3記載のレンズ装置の調整機構。
- 前記圧縮弾性部材は、圧縮スプリングを用いることを特徴とする請求項1又は4記載のレンズ装置の調整機構。
- 前記閉塞部材は、前記貫通孔部の少なくとも一部に形成したネジ孔部に螺着するネジ体であることを特徴とする請求項1記載のレンズ装置の調整機構。
- 前記調整用リング部は、少なくとも二以上のリングメンバを用いた積層構造により構成し、前記貫通孔部の外端を、最外層を構成する外側リングメンバよりも内方に位置する内側リングメンバの外周面に開口させ、この内側リングメンバよりも外方に位置するリングメンバにより前記貫通孔部の外端を覆う構成を備えることを特徴とする請求項1記載のレンズ装置の調整機構。
- 前記調整機構は、フォーカス調整を行うフォーカス調整機構であることを特徴とする請求項1記載のレンズ装置の調整機構。
- 前記ガタ防止機構部は、カメラボディに対して所定のマウントを介して着脱する交換レンズに適用することを特徴とする請求項1記載のレンズ装置の調整機構。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018010439A JP2019128471A (ja) | 2018-01-25 | 2018-01-25 | レンズ装置の調整機構 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018010439A JP2019128471A (ja) | 2018-01-25 | 2018-01-25 | レンズ装置の調整機構 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019128471A true JP2019128471A (ja) | 2019-08-01 |
Family
ID=67472621
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018010439A Pending JP2019128471A (ja) | 2018-01-25 | 2018-01-25 | レンズ装置の調整機構 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2019128471A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112263451A (zh) * | 2020-10-28 | 2021-01-26 | 中国人民解放军陆军特色医学中心 | 一种抑制近视度数加深的矫正仪 |
US20210132324A1 (en) * | 2019-10-31 | 2021-05-06 | Canon Kabushiki Kaisha | Lens apparatus and image pickup apparatus |
-
2018
- 2018-01-25 JP JP2018010439A patent/JP2019128471A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20210132324A1 (en) * | 2019-10-31 | 2021-05-06 | Canon Kabushiki Kaisha | Lens apparatus and image pickup apparatus |
US11693206B2 (en) * | 2019-10-31 | 2023-07-04 | Canon Kabushiki Kaisha | Lens apparatus and image pickup apparatus |
JP7336356B2 (ja) | 2019-10-31 | 2023-08-31 | キヤノン株式会社 | レンズ装置および撮像装置 |
CN112263451A (zh) * | 2020-10-28 | 2021-01-26 | 中国人民解放军陆军特色医学中心 | 一种抑制近视度数加深的矫正仪 |
CN112263451B (zh) * | 2020-10-28 | 2022-11-08 | 中国人民解放军陆军特色医学中心 | 一种抑制近视度数加深的矫正仪 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US8757903B2 (en) | Diaphragm device of lens | |
US7940480B2 (en) | Optical transmission device | |
JPH04353811A (ja) | レンズ鏡筒 | |
JP6553871B2 (ja) | カメラ用交換レンズ | |
JP2019128471A (ja) | レンズ装置の調整機構 | |
US20100103543A1 (en) | Variable power lens | |
WO2017115465A1 (ja) | レンズ鏡筒およびこれを備えたカメラ | |
US20110181768A1 (en) | Image pickup apparatus | |
US6888685B2 (en) | Retracting mechanism of a zoom lens barrel | |
US20070183026A1 (en) | Adjustable lens device | |
US9563039B2 (en) | Lens apparatus and optical apparatus | |
JP6701127B2 (ja) | レンズ装置、撮像装置、およびレンズ装置の製造方法 | |
JP2863605B2 (ja) | ズームレンズ鏡筒 | |
JPH03212604A (ja) | ねじマウントレンズ鏡筒 | |
JP2018151500A (ja) | レンズ鏡筒及び撮像装置 | |
JPH10161000A (ja) | 固定焦点レンズ式カメラ | |
JP2008003258A (ja) | レンズ鏡筒 | |
JP2007003581A (ja) | レンズ鏡筒 | |
JP6805898B2 (ja) | レンズ鏡筒の回転進退機構及びレンズ鏡筒 | |
JP4727635B2 (ja) | 双眼鏡 | |
JPH0219768Y2 (ja) | ||
JP2010026322A (ja) | レンズ鏡筒 | |
JP2005062342A (ja) | 鏡筒駆動機構 | |
JP4239154B2 (ja) | ズームレンズ装置 | |
JP2010122658A (ja) | レンズ鏡筒の位置調整機構 |