JP2019128372A - 電子バスドラム - Google Patents
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Abstract
【課題】アコースティックバスドラムにより近い叩打感および演奏感を得ることができる電子バスドラムを提供する。【解決手段】電子バスドラム100は、ビーター125によって叩かれるヘッド101を備えている。ヘッド101は、ヘッド枠102を介してフープ107によってシェル103の端部に押し付けられている。フープ107は、ヘッド連結具108がスタンド120の連結具貫通部121aを貫通した状態でシェル103のラグに捩じ込まれることでシェル103に取り付けられている。フープ107とスタンド120との間におけるヘッド連結具108には、ダンパー部材110が設けられている。ダンパー部材110は、ゴム材を円筒状に形成して構成されており、ヘッド101をビーター125の叩打方向に往復変位可能な状態で弾性的に支持している。【選択図】 図4
Description
本発明は、演奏者によるペダル操作によって揺動するビーターで打面を叩くことにより打面の振動を電気的に検出して発音する電子バスドラムに関する。
従来から、演奏者によるペダル操作によって揺動するビーターで打面を叩くことにより打面の振動を電気的に検出して発音する電子バスドラムがある。例えば、下記特許文献1には、ビーターである打撃体5に叩打される打楽器部材20が床面から立ち上る支持部材10に対して第1防振部材30を介して弾性的に支持された電子バスドラムとしての打楽器支持構造体が開示されている。
しかしながら、上記特許文献1に記載された電子バスドラムにおいては、アコースティックバスドラムに対してヘッドの大きさが小さく形成されることが多いため、ビーターによって叩打した際の叩打感が硬いとともに反力も大きいことに加えて叩打時の衝撃による振動の減衰が遅く、アコースティックバスドラムの叩打感および演奏感が十分に得られないという問題があった。
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、アコースティックバスドラムにより近い叩打感および演奏感を得ることができる電子バスドラムを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、ペダル操作で揺動するビーターによって叩かれる打面を構成するヘッドと、ヘッドの叩打を検出するための叩打センサと、ヘッドを床面上で起立した状態で支持するスタンドと、ヘッドとスタンドとの間に設けられてビーターで叩かれたヘッドの全体をスタンドに対してビーターによる叩打方向に変位するように支持するダンパー部材とを備えたことにある。
このように構成した本発明の特徴によれば、電子バスドラムは、ヘッドとスタンドとの間にヘッド全体をビーターによる叩打方向に変位させるダンパー部材を備えているため、ヘッドがビーターの叩打によって叩打方向の前方に向かって変位することで叩打感の硬さおよび演奏者への反力を抑えるとともに叩打時の衝撃による振動を早期に減衰させることができ、アコースティックバスドラムの叩打感および演奏感に近づけることができる。
また、本発明の他の特徴は、前記電子バスドラムにおいて、さらに、筒状体で構成されて同筒状体の一方の端部側にヘッドが配置されるシェルと、ヘッドをシェルまたはスタンドに連結するためのヘッド連結具とを備え、ダンパー部材は、ヘッド連結具が貫通する筒状に形成されてヘッドとスタンドとの間に設けられていることにある。
このように構成した本発明の他の特徴によれば、電子バスドラムは、ダンパー部材がヘッド連結具を貫通する筒状に形成されてヘッドとスタンドとの間に設けられているため、ダンパー部材をヘッド連結具の外周部に効率的に配置して電子バスドラムの構成を大型化することなくヘッドをビーターによる叩打方向の前方に向かって弾性的に変位させることができる。
また、本発明の他の特徴は、前記電子バスドラムにおいて、さらに、環状に形成されてシェルの前記一方の端部にヘッドを押し付けるためのフープを備え、スタンドは、ヘッド連結具が貫通する連結具貫通部を有し、ヘッド連結具は、スタンドの連結具貫通部を貫通してシェルに締め付けられており、ダンパー部材は、フープと連結具貫通部との間に設けられていることにある。
このように構成した本発明の他の特徴によれば、電子バスドラムは、ダンパー部材がフープとスタンドにおける連結具貫通部との間に設けられているため、電子バスドラムが設置される床面の振動およびビーターの操作による振動がスタンドおよびヘッド連結具をそれぞれ介してヘッドに伝達されることを抑えて叩打センサによるヘッドの検出精度を向上させることができる。この場合、ダンパー部材は、連結具貫通部の周囲に突き当てた状態で設けてもよいし、連結具貫通部を貫通した状態で設けてもよい。
また、本発明の他の特徴は、前記電子バスドラムにおいて、ダンパー部材は、連結具貫通部を貫通してシェルとの間に隙間が形成されるように配置されていることにある。
このように構成した本発明の他の特徴によれば、電子バスドラムは、ダンパー部材が連結具貫通部を貫通してシェルとの間に隙間が形成されるように配置されているため、ダンパー部材を連結部貫通部に貫通させて保持させることでダンパー部材およびヘッド連結具の組み付けの作業性を良好にすることができるとともに、ヘッド連結具をシェルに連結する際にダンパー部材を圧縮変形させて弾性力の変化および損傷させることを防止することができる。
また、本発明の他の特徴は、前記電子バスドラムにおいて、ダンパー部材は、一方の端部から他方の端部に亘って中実の筒状に形成されて内周面の全面がヘッド連結具の外周面に接触していることにある。
このように構成した本発明の他の特徴によれば、電子バスドラムは、ダンパー部材が一方の端部から他方の端部に亘って中実の筒状に形成されて内周面の全面がヘッド連結具の外周面に接触しているため、ヘッド連結具を介してヘッドを安定的に支持することができるとともにダンパー部材が種々の形状に変形すること規制して安定的な弾性の発揮および耐久性を向上させることができる。
また、本発明の他の特徴は、前記電子バスドラムにおいて、さらに、ヘッドと叩打センサとの間に、ヘッドの振動の一部を吸収しつつ他の一部を叩打センサに伝達するクッション体を備えることにある。
このように構成した本発明の他の特徴によれば、電子バスドラムは、ヘッドと叩打センサとの間にヘッドの振動の一部を吸収するクッション体を備えているため、スタンドに対してヘッドが変位する際における振動が叩打センサに伝搬することを抑えることができ、ヘッドの変位時における叩打センサによるヘッドの叩打の検出精度の低下を抑えて叩打の検出精度を向上させることができる。
以下、本発明に係る電子バスドラムの一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る電子バスドラム100の外観構成の概略を背面側から示した斜視図である。また、図2は、図1に示した電子バスドラム100においてヘッド101を省略して示した斜視図である。また、図3は、図1に示す電子バスドラム100の外観構成の概略を前面側から示した斜視図である。また、図4は、図1に示す電子バスドラム100の内部構成の概略を示す横断面図である。また、図5は、図1に示す電子バスドラム100の内部構成の概略を示す縦断面図である。この電子バスドラム100は、演奏者(図示せず)によるペダル操作によってビーター125がヘッド101の打面101aを叩打した際の振動を検出して電子的な楽音を発生させる電子打楽器である。
(電子バスドラム100の構成)
電子バスドラム100は、ヘッド101を備えている。ヘッド101は、演奏者によって操作される後述するビーター125によって叩かれることで振動および弾性変形する部品であり、布材または樹脂材をシート状または薄板状に形成して構成されている。具体的には、ヘッド101は、透明または半透明の樹脂製のシート材または薄板材、またはメッシュ状に形成した布材または樹脂材で構成されている。本実施形態においては、ヘッド101は、メッシュ状のシート体を平面視で円形に形成して構成されている。このヘッド101は、外縁部がヘッド枠102によって保持されている。
電子バスドラム100は、ヘッド101を備えている。ヘッド101は、演奏者によって操作される後述するビーター125によって叩かれることで振動および弾性変形する部品であり、布材または樹脂材をシート状または薄板状に形成して構成されている。具体的には、ヘッド101は、透明または半透明の樹脂製のシート材または薄板材、またはメッシュ状に形成した布材または樹脂材で構成されている。本実施形態においては、ヘッド101は、メッシュ状のシート体を平面視で円形に形成して構成されている。このヘッド101は、外縁部がヘッド枠102によって保持されている。
ヘッド枠102は、ヘッド101を円筒状に形成されたシェル103の端部にテンションを張った状態で配置するために部品であり、金属材または樹脂材を環状に形成して構成されている。このヘッド枠102は、ヘッド101の外縁部を保持した状態でシェル103における一方の端部の外周部に嵌合しており、同端部側からフープ107によって押さえられている。これにより、ヘッド101は、シェル103の外側に露出する面が打面101aを構成するとともにシェル103の内側に面する面が裏面101bを構成する。
シェル103は、ヘッド101、緩衝体111および叩打センサ112をそれぞれ支持する部品であり、金属材、樹脂材または木材を円筒状に形成して構成されている。本実施形態においては、シェル103は、樹脂材で構成されている。このシェル103は、ビーター125が対向する一方(図示左側)の端部側の開口部がヘッド101によって閉塞されているとともに、電子バスドラム100の前面側となる他方(図示右側)の端部側の内周部に内側支持部103aが形成されている。また、シェル103の外周部には、ラグ106が形成されている。
内側支持部103aは、緩衝体111、叩打センサ112およびセンターカバー105をそれぞれ支持する部分であり、シェル103の内周面が内側に張り出した環状に形成されている。この場合、内側支持部103aは、ヘッド101側の面に径方向に沿って凸状の板状に延びるリブが周方向に放射状に形成されているとともに、ヘッド101側とは反対側の面(電子バスドラム100の前方側の面)がシェル103の中心部に向かって凹状に窪む円錐面で形成されている。
この内側支持部103aは、ヘッド101側の面に緩衝体111が緩衝体支持プレート104aを介して設けられているとともに、叩打センサ112がセンサ支持プレート104bを介して設けられている。この場合、緩衝体支持プレート104aは、金属材または樹脂材を緩衝体111が載置可能な大きさの平板リング状に形成して構成されており、内側支持部103aにボルトによって取り付けられている。また、センサ支持プレート104bは、金属材または樹脂材を叩打センサ112が載置可能な大きさの円形板状に形成して構成されており、内側支持部103aに図示しないボルトによって取り付けられている。また、内側支持部103aは、ヘッド101側とは反対側の面(電子バスドラム100の前方側の面)に、中心部の貫通孔の開口部を覆う状態で内周縁部にセンターカバー105が設けられている。
センターカバー105は、シェル103における前記他方の端部側の開口部を隙間を介して塞ぐ部品であり、円形の金属板に複数のボスを起立した状態で設けて構成されている。このセンターカバー105は、内側支持部103aの内周縁部に対して離隔した位置にボルトを介して取り付けられている。
ラグ106は、フープ107を貫通して延びるヘッド連結具108が捩じ込まれる部分であり、シェル103の外周面上に径方向外側に凸状に張り出した状態で周方向に沿って複数形成されている。本実施形態においては、ラグ106は、シェル103の外周部に周方向に沿って均等な間隔で6つ形成されている。これらのラグ106は、シェル103の外周面上において、前記一方の端部側にヘッド連結具108が捩じ込まれる雌ネジが開口した向きでシェル103における前記他方の端部側に形成されている。
フープ107は、ヘッド枠102の端面を押してヘッド101をシェル103の端部で張るための部品であり、金属材を段付きの円筒状に形成して構成されている。このフープ107は、一方(図示右側)の端部がヘッド101が張られたシェル103の端部から軸方向外側に突出するとともに、他方(図示左側)の端部側が径方向外側に張り出してヘッド枠102の側面の一部を覆う円筒状に形成されている。また、フープ107における前記他方の端部側の外周部には、フープ107の外周部上に径方向外側に板状に張り出した状態で取付部107aが形成されている。
取付部107aは、ヘッド連結具108が貫通した状態で引っ掛かる部分であり、このヘッド連結具108が貫通する貫通孔を有して形成されている。この取付部107aは、前記ラグ106に対応してフープ107の周方向に沿って複数(本実施形態においては、6つ)形成されている。したがって、フープ107は、取付部107aを貫通してラグ106に締め付けられるヘッド連結具108によってヘッド枠102を押し付けてヘッド101をシェル103の端部上で張った状態で取り付ける。
ヘッド連結具108は、フープ107をヘッド枠102に押さえ付けるための部品であり、金属製の軸体の外周部に雄ネジが形成されたボルトで構成されている。このヘッド連結具108は、フープ107における6つの取付部107aをそれぞれ貫通した状態でラグ106の雌ネジに締め付けられている。これにより、ヘッド101は、ヘッド枠102がラグ106側に押されることによりシェル103の端部に押し付けられて平らな膜状に張られた状態となる。これら6つのヘッド連結具108のうちの4つのヘッド連結具108の外周部には、ダンパー部材110がそれぞれ設けられている。
ダンパー部材110は、ヘッド101をビーター125による叩打方向に弾性的に往復変位させるための部品であり、弾性体を円筒状に形成して構成されている。本実施形態においては、ダンパー部材110は、ゴム材を中実の円筒状に形成して構成されている。この場合、ダンパー部材110の硬さは、ヘッド101をビーター125による叩打方向に弾性的に変位させる変位のさせ易さおよび変位量に応じて適宜設定される。
本実施形態においては、ダンパー部材110は、デュロメータ硬度(温度23℃±2℃、湿度50%±5%)でA50のゴム材を用いている。これにより、本実施形態においては、ダンパー部材110はヘッド101を叩打時に叩打時前の静止位置から最大で3mm程度変位させることができる。なお、ヘッド101を変位させる量は、特に限定されるものではないが、最小で2mm程度、最大で10mm程度が好適である。
このダンパー部材110は、貫通孔の内径が同貫通孔を形成する内周面の全面がヘッド連結具108の外周面に接して摺動する大きさに形成されている。また、ダンパー部材110の外周面には、スタンド嵌合部110aが形成されている。
スタンド嵌合部110aは、スタンド120に設けられる連結具貫通部121aに嵌合する部分であり、ダンパー部材110の外周部の一部が周方向に凹状に凹んだリング状に形成されている。この場合、スタンド嵌合部110aは、連結具貫通部121aの内径と略同一の外径に形成されて連結具貫通部121aが嵌り込むことでダンパー部材110の軸方向への変位を規制している。
このダンパー部材110は、6つのヘッド連結具108のうちのスタンド120に連結された4つのヘッド連結具108ごとにスタンド120に嵌合した状態でフープ107とラグ106との間に設けられている。より具体的には、ダンパー部材110は、一方の端部がフープ107の取付部107aに密着するとともに、スタンド嵌合部110aが連結具貫通部121aに嵌合した状態で設けられている。この場合、ダンパー部材110の他方の端部は、スタンド嵌合部110aを貫通してラグ106に隙間Sを介して対向している。
隙間Sは、ダンパー部材110とラグ106とを接触させないようにするためのものである。この場合、隙間Sは、ヘッド101の往復変位時、特にヘッド101が元の位置に復帰した際にラグ106に接触しない隙間量が設定される。具体的には、隙間Sは、概ね2mm〜10mm以内が好ましい。本実施形態においては、隙間Sは、5mmに設定されている。
緩衝体111は、ヘッド101を裏面101b側から弾性的に押圧して支持する部品であり、樹脂材またはゴム材などの弾性材をヘッド101におけるビーター125によって叩打される叩打部分の周囲を囲む環状に形成して構成されている。より具体的には、緩衝体111は、シェル103の内周面に接しない大きさの環状体で構成されており、この環状体の外周部の一部に切欠き部111aが形成されているとともに中央部に逃げ孔111bが形成されている。この緩衝体111は、ヘッド101の裏面101bに接触した状態で緩衝体支持プレート104aに図示しない接着剤または両面テープなどによって取り付けられている。
切欠き部111aは、叩打センサ112を配置するための部分であり、叩打センサ112に接触しない大きさで切り欠かれている。また、逃げ孔111bは、ビーター125によって叩打されることを避ける部分であり、ヘッド101における叩打部分よりも大きな内径の円形の貫通孔によって構成されている。なお、緩衝体111は、逃げ孔111bを形成することなくビーター125によって叩打される部分を有して構成されていてもよいものである。
叩打センサ112は、ヘッド101の振動を検出する検出器であり、ヘッド101の振動に応じた電気信号を外部に設けられる図示しない信号処理装置に出力する。本実施形態においては、叩打センサ112は、ピエゾ素子によって構成されているが、ヘッド101の叩打を検出できればよく、光センサなど他の検出素子を用いることもできる。この叩打センサ112は、クッション体113を介してヘッド101の裏面101bを押圧した状態でセンサ支持プレート104b上に図示しない両面テープまたは接着剤などによって固着されている。
ここで、信号処理装置は、電子バスドラム100とは別体で設けられるマイクロコンピュータを備えて構成されており、叩打センサ112から出力される検出信号に基づいて楽音信号を出力する電子回路、すなわち、音源である。この信号処理装置には、図示しない外部スピーカが接続されている。
クッション体113は、ヘッド101の振動から叩打センサ112を保護しつつ振動を精度良く叩打センサ112に伝達するための部品であり、ゴム材または弾性を有する樹脂材を円錐台形状に形成して構成されている。この場合、クッション体113は、小径の先端部がヘッド101の裏面101bに押圧されているとともに大径の下面部分に叩打センサ112が図示しない両面テープまたは接着剤を介して取り付けられている。また、クッション体113は、叩打センサ112のヘッド101への追従性を向上させるため、緩衝体111よりも反発弾性率が高い材料で構成するとよい。
スタンド120は、ヘッド101を垂直方向に起立させた姿勢で支持するための部品であり、主として、スタンド本体121および支持脚122をそれぞれ備えている。スタンド本体121は、ヘッド連結具108を介してヘッド101およびシェル103をそれぞれ支持する部品であり、電子バスドラム100を設置する床面上から垂直方向に延びる金属製の板状体で構成されている。このスタンド本体121は、上端部がシェル103の外周部に沿うように凹状の円弧状に窪んで形成されているとともに、ヘッド連結具108に対応する位置に連結具貫通部121aが形成されている。また、スタンド本体121の下端部には、叩打機構124が設けられている。
連結具貫通部121aは、ヘッド連結具108が貫通するとともにダンパー部材110が嵌合する部分であり、スタンド本体121の板面に対して直交する方向に延びる貫通孔で構成されている。この連結具貫通部121aは、内径がヘッド連結具108の外径よりも大きく形成されるとともにダンパー部材110のスタンド嵌合部110aの外径と略同一の大きさに形成されている。また、連結具貫通部121aは、本実施形態においては、ヘッド101から延びる6つのヘッド連結具108のうちの、床面側の4つのヘッド連結具108に対応してスタンド本体121の上端部にそれぞれ形成されている。なお、連結具貫通部121aは、ヘッド101およびシェル103をそれぞれ支持できればよいため、スタンド本体121に少なくとも1つ以上設けられていればよいが、ヘッド101の安定的な支持を考慮すれば、3つ以上設けるとよい。
支持脚122は、垂直方向に延びるスタンド本体121が倒れることを防ぐための部品であり、電子バスドラム100の前方の床面から傾斜した姿勢で延びる金属製の棒状体で構成されている。この支持脚122は、上端部側がスタンド本体121に設けられた脚調整具123に貫通した状態で連結されている。脚調整具123は、支持脚122の軸方向の把持位置および角度を任意に調整することができる器具であり、スタンド本体121の左右方向の両端部にそれぞれ設けられている。なお、図4および図5においては、支持脚122の一部のみを示し、スタンド120の図示を適宜省略している。
叩打機構124は、ヘッド101を叩打するための機械装置であり、主として、ビーター125、揺動支持体126およびペダル127をそれぞれ備えて構成されている。ビーター125は、ヘッド101の打面101aを叩打する部品であり、樹脂製のブロック体からなる心材(図示せず)の外表面をフェルトで覆った円柱体で構成されている。このビーター125は、側面部分から棒状に延びるアーム125aを介して揺動支持体126によって支持されている。なお、ビーター125は、樹脂材、金属材、布材および木材をそれぞれ単体でまたはこれらの材料を適宜組み合わせて構成されるものであり、本実施形態に限定されるものではない。
揺動支持体126は、ビーター125をヘッド101に対して叩打または離隔させる方向に揺動可能に支持するための部品であり、アーム125aを保持して水平方向に延びる揺動軸126aと、この揺動軸126aの両端部をそれぞれ回転自在に支持する支持柱126bとを備えて構成されている。
ペダル127は、演奏者の足による踏み込み操作によってビーター125を揺動させるための部品であり、演奏者の足を載せることができる大きさの金属製の板状体で構成されている。このペダル127は、一方の端部が電子バスドラム100が設置される設置面上に配置されるベース板127aに回転自在に支持されるとともに他方の端部がベルト127bを介してビーター125のアーム125aと揺動軸126aとの取付部分に連結されている。
(電子バスドラム100の作動)
次に、このように構成した電子バスドラム100の作動について説明する。まず、演奏者は、電子バスドラム100、図示しない信号処理装置および外部スピーカをそれぞれ用意した後、電子バスドラム100と信号処理装置とを電気的に接続するとともに、この信号処理装置と外部スピーカとを電気的に接続する。次いで、演奏者は、信号処理装置を操作して電源をONするとともに演奏を行なえる演奏モードに設定する。これにより、電子バスドラム100は、信号処理装置を介してスピーカから楽音を出力可能な状態となる。
次に、このように構成した電子バスドラム100の作動について説明する。まず、演奏者は、電子バスドラム100、図示しない信号処理装置および外部スピーカをそれぞれ用意した後、電子バスドラム100と信号処理装置とを電気的に接続するとともに、この信号処理装置と外部スピーカとを電気的に接続する。次いで、演奏者は、信号処理装置を操作して電源をONするとともに演奏を行なえる演奏モードに設定する。これにより、電子バスドラム100は、信号処理装置を介してスピーカから楽音を出力可能な状態となる。
次に、演奏者は、電子バスドラム100の演奏を行う。具体的には、演奏者は、叩打機構124におけるペダル127を操作することによりビーター125をヘッド101の打面101aに衝突させて叩打する。この場合、ヘッド101は、図6に示すように、ヘッド101の全体がヘッド枠102、フープ107およびヘッド連結具108を介してダンパー部材110によってスタンド120に対して弾性的に支持されているため、ビーター125による押圧方向の前側(電子バスドラム100の前面側)に向かって弾性的に変位する。また、この場合、隙間Sは、ヘッド101の変位量だけ増加する。
すなわち、電子バスドラム100は、ヘッド101およびこのヘッド101が取り付けられたシェル103がスタンド120に対してフローティング状態で支持されているため、ヘッド101をビーター125で叩打した際の叩打感が軟らかくすることができるとともに叩打時の反力を抑えてアコースティックバスドラムに近い叩打感を与えることができる。また、電子バスドラム100は、ダンパー部材110の弾性によって叩打時の衝撃による振動を速やかに減衰させることができる。なお、本実施形態においては、ヘッド101は、ヘッド枠102、フープ107およびヘッド連結具108を介してシェル103に連結されているため、スタンド120に対してこれらの部品と一体的に変位する。
このようなヘッド101の叩打時においては、電子バスドラム100は、ヘッド101に生じた振動がクッション体113を介して叩打センサ112に伝達される。これにより、叩打センサ112は、ヘッド101の振動に応じた電気信号を信号処理装置に出力する。これにより、信号処理装置は、叩打センサ112から出力される検出信号に基づいて楽音を表す楽音信号を生成するとともに、この楽音信号を外部スピーカに出力する。この結果、電子バスドラム100は、演奏者の演奏操作に応じた楽音を外部スピーカから出力することができる。
また、演奏者が叩打機構124におけるペダル127を操作することによりビーター125をヘッド101の打面101aから離隔させた場合には、ヘッド101はダンパー部材110の弾性復元力によってビーター125側に変位して元の位置に復帰する。すなわち、電子バスドラム100は、ビーター125による次のヘッド101の叩打に備えることができる。この場合においても、ヘッド101は、スタンド120に対してヘッド枠102、フープ107、ヘッド連結具108およびシェル103と一体的に変位する。
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、電子バスドラム100は、ヘッド101とスタンド120との間にヘッド101全体をビーター125による叩打方向に弾性的に変位可能に支持するダンパー部材110を備えているため、ヘッド101がビーター125の叩打によって叩打方向の前方に向かって変位することで叩打感の硬さおよび演奏者への反力を抑えるとともに叩打時の衝撃による振動を早期に減衰させることができ、アコースティックバスドラムの叩打感および演奏感に近づけることができる。
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、下記各変形例において、上記実施形態と同様の構成部分については同じ符号を付して、その説明を省略する。
例えば、上記実施形態においては、ダンパー部材110は、ゴム材で構成した。しかし、ダンパー部材110は、ヘッド101とスタンド120との間に直接的または間接的に設けられてヘッド101の全体をビーター125の叩打方向の前側に変位するように構成されていればよい。したがって、ダンパー部材110は、ゴム材以外の弾性体、例えば、発泡樹脂材を含む各種エラストマ材のほか、板バネまたはコイルスプリングなどのばね、更にはオイルまたは空気などの流体を用いたダンパーまたはシリンダなどで構成することもできる。
また、上記実施形態においては、ダンパー部材110は、連結具貫通部121aを貫通した状態で取り付けられている。しかし、ダンパー部材110は、必ずしも連結具貫通部121aを貫通した状態で取り付けられる必要はない。例えば、ダンパー部材110は、図7に示すように、スタンド本体121における連結具貫通部121aの周囲に突き当てた状態で設けることもできる。すなわち、ダンパー部材110は、スタンド嵌合部110aを省略して構成することもできる。
また、上記実施形態においては、ダンパー部材110は、一方の端部がフープ107における取付部107aに突き当たるとともに他方の端部が連結具貫通部121aを貫通して隙間Sを介してラグ106に対向するように配置した。これにより、電子バスドラム100は、ダンパー部材110を連結具貫通部121aに貫通させて保持させることでダンパー部材110およびヘッド連結具108の組み付けの作業性を良好にすることができるとともに、ヘッド連結具108をシェル103に連結する際にダンパー部材110を圧縮変形させて弾性力の変化および損傷させることを防止することができる。しかし、ダンパー部材110は、図8に示すように、他方の端部がラグ106に突き当たるように配置することもできる。
また、ダンパー部材110は、例えば、図9に示すように、スタンド嵌合部110aを省略して一定の外径に形成して連結具貫通部121aに圧入することで連結具貫通部121aに固定することもできる。この場合、ダンパー部材110は、連結具貫通部121aに圧入される部分の外径を他の部分の外径よりも太く形成して構成してもよい。
また、上記実施形態においては、ダンパー部材110は、一方の端部から他方の端部に亘って中実の筒状に形成されて内周面の全面がヘッド連結具108の外周面に接触するように構成されている。これにより、電子バスドラム100は、ヘッド連結具108を介してヘッド101を安定的に支持することができるとともにダンパー部材110が種々の形状に変形すること規制して安定的な弾性の発揮および耐久性を向上させることができる。しかし、ダンパー部材110は、中実以外の形状に形成することもできる。
例えば、ダンパー部材110は、図10に示すように、円筒状に形成されるとともに、内周部の中央部の内径が径方向外側に拡がって形成されて同中央部分がヘッド連結具108の外周面に接触しないように構成することができる。これによれば、ダンパー部材110は、ヘッド101に対する叩打力が小さい場合でもヘッド101を変位させることができる。
また、例えば、ダンパー部材110は、図11に示すように、円筒状に形成されるとともに、内周部の一部の内径を径方向外側に広げて内周面の一部がヘッド連結具108の外周面に接触するとともに他の一部がヘッド連結具108の外周面に接触しないように構成することもできる。この場合、ダンパー部材110は、一方の端部から他方の端部に亘って肉厚を一定に形成してもよいし(図11参照)、一方の端部から他方の端部に亘って肉厚が変化するように形成してもよい。これらによれば、ダンパー部材110は、ヘッド101を安定的に支持しつつヘッド101に対する叩打力が小さい場合でもヘッド101を変位させることができる。
また、上記実施形態においては、ダンパー部材110は、ヘッド連結具108の外周部に配置した。しかし、ダンパー部材110は、ヘッド101とスタンド120との間に設けられてヘッド101の全体をビーター125の叩打方向の前側に変位可能に支持できる位置に配置されていればよいため、ヘッド連結具108以外の場所に設けることもできる。したがって、ダンパー部材110は、例えば、フープ107およびスタンド本体121(またはシェル103)に互い対向し合う面を設けておき、これらの互いに対向する面間に配置して設けることもできる。
また、上記実施形態においては、ヘッド101は、ヘッド枠102およびフープ107を介してヘッド連結具108によってラグ106に連結した。しかし、ヘッド101は、直接的または間接的にスタンド120に連結されて同スタンド120に対してビーター125の叩打方向に弾性的に往復変位可能に配置されていればよい。したがって、ヘッド101は、例えば、ヘッド枠102とフープ107とが一体的に形成されてヘッド101が直接フープ107に保持されるように構成することができる。この場合、ダンパー部材110は、上記実施形態と同様に、ヘッド連結具108の外周部に設けることができる。
また、ヘッド101は、例えば、フープ107などの他の部品を介してボルトまたはリベットなどからなるヘッド連結具108によってスタンド120に取り付けられていてもよい。この場合、ダンパー部材110は、上記実施形態と同様に、ボルトまたはリベットなどからなるヘッド連結具108の外周部に設けることでヘッド101をスタンド120に対して弾性的に変位させることができる。また、ダンパー部材110は、ヘッド連結具108以外の場所、例えば、フープ107およびスタンド本体121に互い対向し合う面を設けておき、これらの互いに対向する面間に配置することもできる。
また、上記実施形態においては、連結具貫通部121aは、貫通孔で構成した。しかし、連結具貫通部121aは、ヘッド連結具108が貫通するように構成されていればよい。したがって、連結具貫通部121aは、スタンド本体121の一部を切り欠いた切欠き部として構成することもできる。
また、上記実施形態においては、電子バスドラム100は、ヘッド101と叩打センサ112との間にクッション体113を配置して構成した。これにより、電子バスドラム100は、スタンド120に対してヘッド101が変位する際における振動が叩打センサ112に伝搬することを抑えることができ、ヘッド101の変位時における叩打センサ112によるヘッド101の叩打の検出精度の低下を抑えて叩打の検出精度を向上させることができる。しかし、電子バスドラム100は、ヘッド101の打面101aまたは裏面101bに叩打センサ112を直接接触させて構成、すなわち、クッション体113を省略して構成することもできる。また、電子バスドラム100は、クッション体113を設ける場合においても、クッション体113を円錐台形状以外の形状、例えば、円柱状、板状またはシート状に形成することもできる。
S…隙間、
100…電子バスドラム、101…ヘッド、101a…打面、101b…裏面、102…ヘッド枠、103…シェル、103a…内側支持部、104a…緩衝体支持プレート、104b…センサ支持プレート、105…センターカバー、106…ラグ、107…フープ、107a…取付部、108…ヘッド連結具、
110…ダンパー部材、110a…スタンド嵌合部、111…緩衝体、111a…切欠き部、111b…逃げ孔、112…叩打センサ、113…クッション体、
120…スタンド、121…スタンド本体、121a…連結具貫通部、122…支持脚、123…脚調整具、124…叩打機構、125…ビーター、125a…アーム、126…揺動支持体、126a…揺動軸、126b…支持柱、127…ペダル、127a…ベース板、127b…ベルト。
100…電子バスドラム、101…ヘッド、101a…打面、101b…裏面、102…ヘッド枠、103…シェル、103a…内側支持部、104a…緩衝体支持プレート、104b…センサ支持プレート、105…センターカバー、106…ラグ、107…フープ、107a…取付部、108…ヘッド連結具、
110…ダンパー部材、110a…スタンド嵌合部、111…緩衝体、111a…切欠き部、111b…逃げ孔、112…叩打センサ、113…クッション体、
120…スタンド、121…スタンド本体、121a…連結具貫通部、122…支持脚、123…脚調整具、124…叩打機構、125…ビーター、125a…アーム、126…揺動支持体、126a…揺動軸、126b…支持柱、127…ペダル、127a…ベース板、127b…ベルト。
Claims (6)
- ペダル操作で揺動するビーターによって叩かれる打面を構成するヘッドと、
前記ヘッドの叩打を検出するための叩打センサと、
前記ヘッドを床面上で起立した状態で支持するスタンドと、
前記ヘッドと前記スタンドとの間に設けられて前記ビーターで叩かれた前記ヘッドの全体を前記スタンドに対して前記ビーターによる叩打方向に変位するように支持するダンパー部材とを備えたことを特徴とする電子バスドラム。 - 請求項1に記載した電子バスドラムにおいて、さらに、
筒状体で構成されて同筒状体の一方の端部側に前記ヘッドが配置されるシェルと、
前記ヘッドを前記シェルまたは前記スタンドに連結するためのヘッド連結具とを備え、
前記ダンパー部材は、
前記ヘッド連結具が貫通する筒状に形成されて前記ヘッドと前記スタンドとの間に設けられていることを特徴とする電子バスドラム。 - 請求項2に記載した電子バスドラムにおいて、さらに、
環状に形成されて前記シェルの前記一方の端部に前記ヘッドを押し付けるためのフープを備え、
前記スタンドは、
前記ヘッド連結具が貫通する連結具貫通部を有し、
前記ヘッド連結具は、
前記スタンドの前記連結具貫通部を貫通して前記シェルに締め付けられており、
前記ダンパー部材は、
前記フープと前記連結具貫通部との間に設けられていることを特徴とする電子バスドラム。 - 請求項3に記載した電子バスドラムにおいて、
前記ダンパー部材は、
前記連結具貫通部を貫通して前記シェルとの間に隙間が形成されるように配置されていることを特徴とする電子バスドラム。 - 請求項2ないし請求項4のうちのいずれか1つに記載した電子バスドラムにおいて、
前記ダンパー部材は、
一方の端部から他方の端部に亘って中実の筒状に形成されて内周面の全面が前記ヘッド連結具の外周面に接触していることを特徴とする電子バスドラム。 - 請求項1ないし請求項5のうちのいずれか1つに記載した電子バスドラムにおいて、さらに、
前記ヘッドと前記叩打センサとの間に、前記ヘッドの振動の一部を吸収しつつ他の一部を前記叩打センサに伝達するクッション体を備えることを特徴とする電子バスドラム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018007843A JP2019128372A (ja) | 2018-01-22 | 2018-01-22 | 電子バスドラム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018007843A JP2019128372A (ja) | 2018-01-22 | 2018-01-22 | 電子バスドラム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019128372A true JP2019128372A (ja) | 2019-08-01 |
Family
ID=67471242
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018007843A Pending JP2019128372A (ja) | 2018-01-22 | 2018-01-22 | 電子バスドラム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2019128372A (ja) |
-
2018
- 2018-01-22 JP JP2018007843A patent/JP2019128372A/ja active Pending
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