JP2019127992A - 成形体の製造方法、及び、成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】筒状のカラーの成形位置の変動を抑制しながら一体成形することが可能な成形体の製造方法を提供すること。【解決手段】筒状のカラー(20)が一体成形された成形体(1)の製造方法は、カラー(20)を挿入可能な孔部(14)を有する予備成形体(10)を準備する工程と、カラー(20)を保持可能な保持具(34)を有すると共に保持具(34)と予備成形体(10)とが相対移動しないように予備成形体(10)を保持可能な治具(30)に、予備成形体(10)を保持させる工程と、保持具(34)にカラー(20)を保持させる工程と、カラー(20)と孔部(14)との間の隙間(S)に充填剤(40)を注入し、予備成形体(10)にカラー(20)が固定された成形体(1)を構成する工程と、治具(30)から成形体(1)を分離する工程と、を備える。【選択図】図4

Description

本発明は、筒状のカラーが一体成形された成形体の製造方法、及び、そのような成形体、に関する。
従来から、筒状のカラーがインサート成形された樹脂製の成形体が知られている。この種の成形体は、一般に、成形用の金型の所定位置にカラーを配置した状態で金型内に樹脂を注入(射出)することにより、製造される(例えば、特許文献1,2を参照)。
特開2015−116088号公報 特開平10−318220号公報
上述したように成形体を製造(射出成形)する場合、一般に、カラー及び金型の寸法公差などを考慮し、カラーを金型内に配置したときにカラーと金型との間にある程度の隙間が存在するように、金型が設計される。ところが、実際に成形体を製造する際には、金型内を流れる樹脂がカラーに外力を及ぼし、この隙間の分だけカラーの位置が変動する(例えば、傾く)場合がある。特に、高い寸法精度が求められる成形体を製造する場合や、カラーの端面位置を基準に成形体の全体寸法が設計される場合などにおいて、このようなカラーの成形位置の変動は出来る限り抑制されることが望ましい。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、筒状のカラーの成形位置の変動を抑制しながら一体成形することが可能な成形体の製造方法、及び、そのような成形体、を提供することにある。
前述した目的を達成するために、本発明に係る成形体の製造方法は、下記(1)〜(3)を特徴としている。
(1)
筒状のカラーが一体成形された成形体の製造方法であって、
前記カラーを挿入可能な孔部を有する予備成形体を準備する工程と、
前記カラーを保持可能な保持具を有すると共に前記保持具と前記予備成形体とが相対移動しないように前記予備成形体を保持可能な治具に、前記予備成形体を保持させる工程と、
前記保持具に前記カラーを保持させる工程と、
前記カラーと前記孔部との間の隙間に充填剤を注入し、前記予備成形体に前記カラーが固定された前記成形体を構成する工程と、
前記治具から前記成形体を分離する工程と、を備えた、
成形体の製造方法であること。
(2)
上記(1)に記載の製造方法において、
前記保持具は、
前記カラーの中空部に挿入される突起形状を有する、
成形体の製造方法であること。
(3)
上記(1)又は上記(2)に記載の製造方法において、
前記予備成形体と前記充填剤とが同じ樹脂材料から構成される、
成形体の製造方法であること。
上記(1)の構成の成形体の製造方法によれば、上述した従来の成形体の製造方法とは異なり、上述した保持具を有する治具によって予備成形体の孔部にカラーを仮固定した上で、カラーと孔部との間の隙間に充填剤を注入することになる。即ち、カラーの位置が保持具によって仮固定され、更に予備成形体の位置が治具によって仮固定された状態で、充填剤の注入が行われる。その結果、目標とする成形位置にカラーが精度良く配置された成形体が製造される。
したがって、上記構成の成形体の製造方法は、従来の成形体の製造方法(例えば、単純な射出成形)に比べ、カラーの成形位置の変動を抑制しながら成形体を製造できる。
上記(2)の構成の成形体の製造方法によれば、突起形状を有する保持具をカラーの中空部に挿入することで、カラーの傾きや位置ズレを抑制するようにカラーを仮固定できる。更に、カラーの中空部(内側)に保持具が存在するため、カラーと孔部との間(カラーの外側)に充填剤を注入するとき、保持具が注入の妨げにならない。
上記(3)の構成の成形体の製造方法によれば、予備成形体と充填剤とが同じ樹脂材料から構成される。よって、両者の間に熱膨張率や弾性係数などに実質的な差が無いことになる。よって、完成した成形体を実際に使用する際、過酷な温度変化や外力の影響を受けた場合であっても、カラーが成形体から意図せず分離すること等を抑制できる。
更に、前述した目的を達成するために、本発明に係る成形体は、下記(4)を特徴としている。
(4)
筒状のカラーが一体成形された成形体であって、
前記カラーの成形位置に構成されて前記カラーが挿入される孔部と、
前記カラーと前記孔部との間を埋める充填剤と、を備えた、
成形体であること。
上記(4)の構成の成形体によれば、例えば、孔部を有する成形体(予備成形体)を事前に製造した後、その孔部にカラーを収容してカラーと孔部との間の隙間を充填剤で埋めることにより、カラーを成形体に固定できる。これにより、単純な射出成形によって成形体にカラーをインサート成形する場合に比べ、成形時にカラーに及ぼされる外力が小さくなるため、カラーの成形位置の変動が抑制される。
したがって、上記構成の成形体は、従来の成形体に比べ、筒状のカラーの成形位置の変動が抑制されることになる。
本発明によれば、筒状のカラーの成形位置の変動を抑制しながら一体成形することが可能な成形体の製造方法、及び、そのような成形体を提供できる。
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
図1(a)は、本発明の実施形態に係る成形体の一部(本体)を構成するケース(予備成形体)の斜視図であり、図1(b)は、ケースに一体成形されるカラーの斜視図である。 図2は、治具にケースを保持させる際の様子を示す斜視図である。 図3(a)は、ケースを保持する治具の突起部にカラーを挿入・保持させる際の様子を示す斜視図であり、図3(b)は、治具の突起部にカラーが保持された状態にあるフランジ部の周囲を拡大した拡大図である。 図4(a)は、カラーとフランジ部の孔部との間の隙間に充填剤を注入する際の様子を示す斜視図であり、図4(b)は、フランジ部の孔部にカラーが固定されて完成した状態にある成形体のフランジ部の周囲を拡大した拡大図であり、図4(c)は、図4(b)のA−A線断面図である。 図5は、完成した成形体を治具から分離する際の様子を示す斜視図である。
<実施形態>
以下、図1〜図5を参照しながら、本発明の実施形態に係る成形体1の製造方法、及び、成形体1について説明する。
成形体1(図5を参照)は、図1(a)に示すケース10(予備成形体)のフランジ部13の孔部14に、図1(b)に示す円筒状のカラー20が一体成形された成形体である。以下、先ず、成形体1を構成するケース10、及び、カラー20の構成について順に説明する。
図1(a)に示すように、ケース10は、樹脂材料から構成される一体成形品であり、成形体1の本体を構成する部材である。ケース10は、矩形状の枠体部11を有する。枠体部11の内側には、薄板状の平板部12が一体形成されている。平板部12には、複数の貫通孔12aが形成されている。
枠体部11の四隅の外壁面にはそれぞれ、外側に向けて突出するフランジ部13が一体形成されている。各フランジ部13には、上下方向に貫通する円柱状の孔部14が形成されている。孔部14は、カラー20を挿入するための孔であり、孔部14の内径は、カラー20の外径よりも大きい。
図1(b)に示すように、カラー20は、金属および樹脂などから構成される円筒状の部材である。カラー20の外壁面には、複数の凹部21が形成されている。
次いで、図2〜図5を参照しながら、成形体1の製造方法について説明する。先ず、図2を参照しながら、成形体1の製造に必要となる治具30について説明する。治具30は、ケース10の孔部14にカラー20を相対移動不能に仮固定するために使用される。
治具30は、金属および樹脂などから構成される部材であり、平板状の底板部31を有する。底板部31の平面形状は、ケース10を上方からみたときのケース10の輪郭形状と同じ形状(又は、その輪郭形状から相似的に僅かに拡大した形状)を有する。底板部31の外縁には全周に亘って、上方に起立する環状の立壁部32が一体形成されている。
底板部31における、ケース10の4つのフランジ部13に対応するそれぞれの箇所には、フランジ部13の孔部14と同軸的に位置するように、上方に突出する突起部34が一体形成されている。突起部34の各々は、立壁部32におけるケース10のフランジ部13に対応する部分(フランジ対応部33)に囲まれている。突起部34の各々は、円柱状の形状を有しており、突起部34の外径は、カラー20の内径とほぼ等しい(又は、カラー20の内径より僅かに小さい)。
成形体1を製造する際、先ず、図1(a)に示すケース10、図1(b)に示すカラー20、及び、図2に示す治具30を準備する。
次いで、図2に示すように、ケース10の底面が治具30の底板部31に当接するまで、治具30の立壁部32に、ケース10の枠体部11及びフランジ部13を嵌合(内挿)させて、治具30にケース10を相対移動不能に保持させる。この状態では、治具30の突起部34の各々が、ケース10の対応する孔部14と同軸的に位置する状態が保持される。
次いで、図3に示すように、治具30の突起部34の各々に、カラー20をそれぞれ挿入・保持させる(仮固定させる)。上述のように、突起部34の外径は、カラー20の内径と略等しいので、この状態では、図3(b)に示すように、各カラー20が、対応する突起部34(孔部14)と同軸的に位置する状態が保持される。また、上述したように、孔部14の内径は、カラー20の外径よりも大きいので、この状態では、カラー20の外壁面と孔部14の内壁面との間に、円環状の隙間Sが形成される(図3(b)参照)。
次いで、図4に示すように、4つのフランジ部13それぞれに形成された隙間Sに、ポッティング剤注入機50を用いてポッティング剤40を注入して、隙間Sにポッティング剤40を充填させる。このとき、カラー20が突起部34に相対移動不能に保持されているため、カラー20にポッティング剤40の注入圧が作用しても、孔部14に対するカラー20の位置ズレが発生し難い。注入されたポッティング剤40は、カラー20の外壁面に形成された複数の凹部21の内部にも充填される。ポッティング剤40としては、ケース10を構成する樹脂材料と同じ樹脂材料が使用されることが好適である。
隙間Sに充填されたポッティング剤40は、所定時間の経過後に硬化する。これにより、図4(b)及び図4(c)に示すように、各カラー20が、ポッティング剤40を介してフランジ部13の孔部14に固定されて、成形体1が完成する。なお、カラー20の凹部21に充填されたポッティング剤40が硬化することで、カラー20に凹部21が形成されていない場合と比べて、カラー20が孔部14により一層強固に固定され得る。
そして、図5に示すように、完成した成形体1を治具30から分離する。これにより、完成した成形体1が得られる。
以上、本発明の実施形態に係る成形体1の製造方法、及び成形体1によれば、治具30によりケース10の孔部14にカラー20を相対移動不能に仮固定した上で、カラー20と孔部14との間の隙間Sにポッティング剤40を注入することにより、カラー20とケース10とを一体化した成形体1を製造できる。このため、ポッティング剤40の注入時、治具30(突起部34)の働きにより、カラー20が目標とする成形位置からズレることが、従来のインサート成形法に比べて抑制される。
更に、カラー20の中空部に治具30の突起部34を挿入することで、カラー20を保持できる。このため、カラー20と孔部14との間にポッティング剤40を注入するときも、突起部34が注入の妨げにならない。
更に、ケース10とポッティング剤40とが同じ樹脂材料から成形される。よって、完成した成形体1を実際に使用する際、過酷な温度変化や外力の影響を受けた場合であっても、カラー20が成形体1から意図せず分離すること等を抑制できる。
<他の形態>
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
例えば、上記実施形態では、治具30に形成された突起部34をカラー20に挿入することで、カラー20を治具30(ケース10)に対して相対移動不能に保持している。これに対し、カラー20に挿入される突起部34とは異なる保持具によって、カラー20を治具30(ケース10)に対して相対移動不能に保持してもよい。
更に、上記実施形態では、カラー20が円筒状の形状を有し且つ孔部14が円柱状の形状を有している。これに対し、カラー20が角筒状の形状を有し且つ孔部14が角柱状の形状を有していてもよい。この場合、隙間Sとして、矩形の環状隙間が形成される。
ここで、上述した本発明に係る成形体1の製造方法、及び成形体1の実施形態の特徴をそれぞれ以下(1)〜(4)に簡潔に纏めて列記する。
(1)
筒状のカラー(20)が一体成形された成形体(1)の製造方法であって、
前記カラー(20)を挿入可能な孔部(14)を有する予備成形体(10)を準備する工程と、
前記カラー(20)を保持可能な保持具(34)を有すると共に前記保持具(34)と前記予備成形体(10)とが相対移動しないように前記予備成形体(10)を保持可能な治具(30)に、前記予備成形体(10)を保持させる工程と、
前記保持具(34)に前記カラー(20)を保持させる工程と、
前記カラー(20)と前記孔部(14)との間の隙間(S)に充填剤(40)を注入し、前記予備成形体(10)に前記カラー(20)が固定された前記成形体(1)を構成する工程と、
前記治具(30)から前記成形体(1)を分離する工程と、を備えた、
成形体の製造方法。
(2)
上記(1)に記載の製造方法において、
前記保持具(34)は、
前記カラー(20)の中空部に挿入される突起形状を有する、
成形体の製造方法。
(3)
上記(1)又は上記(2)に記載の製造方法において、
前記予備成形体(10)と前記充填剤(40)とが同じ樹脂材料から構成される、
成形体の製造方法。
(4)
筒状のカラー(20)が一体成形された成形体(1)であって、
前記カラー(20)の成形位置に構成されて前記カラー(20)が挿入される孔部(14)と、
前記カラー(20)と前記孔部(14)との間を埋める充填剤(40)と、を備えた、
成形体(1)。
1 成形体
10 ケース(予備成形体)
14 孔部
20 カラー
30 治具
34 突起部(保持具)
40 ポッティング剤(充填剤)

Claims (4)

  1. 筒状のカラーが一体成形された成形体の製造方法であって、
    前記カラーを挿入可能な孔部を有する予備成形体を準備する工程と、
    前記カラーを保持可能な保持具を有すると共に前記保持具と前記予備成形体とが相対移動しないように前記予備成形体を保持可能な治具に、前記予備成形体を保持させる工程と、
    前記保持具に前記カラーを保持させる工程と、
    前記カラーと前記孔部との間の隙間に充填剤を注入し、前記予備成形体に前記カラーが固定された前記成形体を構成する工程と、
    前記治具から前記成形体を分離する工程と、を備えた、
    成形体の製造方法。
  2. 請求項1に記載の製造方法において、
    前記保持具は、
    前記カラーの中空部に挿入される突起形状を有する、
    成形体の製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の製造方法において、
    前記予備成形体と前記充填剤とが同じ樹脂材料から構成される、
    成形体の製造方法。
  4. 筒状のカラーが一体成形された成形体であって、
    前記カラーの成形位置に構成されて前記カラーが挿入される孔部と、
    前記カラーと前記孔部との間を埋める充填剤と、を備えた、
    成形体。
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