JP2019127932A - マフラ - Google Patents

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Abstract

【課題】マフラで発生する共鳴音を低減する効果を向上するとともに、マフラのケーシングが振動することで発生する放射音を低減可能なマフラを提供する。【解決手段】ケーシングと、消音部材と、を備える。消音部材は、ケーシングの内壁面に沿って配置される。消音部材は、壁部と、開口部と、を備える。壁部は、第1の方向に沿って延在し、第1の方向に沿って窪み部を形成する板状の部位である。開口部は、壁部に形成され、窪み部と内壁面とにより覆われた空間である消音空間と、内壁面に囲まれた内部空間のうち消音空間以外の空間と、を連通する。【選択図】図2

Description

本開示は、マフラに関する。
車両に搭載されるマフラでは、閉管共鳴による共鳴音が発生する。特許文献1には、この共鳴音を低減可能なマフラが開示されている。すなわち、特許文献1に記載のマフラは、ケーシングと、セパレータと、共鳴部と、を備える。ケーシングは、排気音を低減するための排気流路を内部に有する。セパレータは、ケーシングの内壁面に囲まれた内部空間を複数の室に仕切る。共鳴部は、セパレータに設けられ、その長手方向の一端部が上記複数の室の1つに開口し、他端部が覆われるサイドブランチ型共鳴器を形成する。
特開2002−276329号公報
しかしながら、特許文献1に記載のマフラでは、上記共鳴部がセパレータに設けられる。このため、マフラの伸張方向等に発生する共鳴音を低減するには、上記共鳴部の長手方向の長さを適切に確保できない場合がある。また、内燃機関から排出される排ガスには、周期的な圧力の変化(脈動圧)が存在する。そして、マフラ内に導入される排ガスの脈動圧によりケーシングは振動し、音(放射音)が発生する。特許文献1に記載のマフラでは、この放射音を抑制することについて何ら考慮されていない。
本開示は、マフラで発生する共鳴音を低減する効果を向上するとともに、マフラのケーシングが振動することで発生する放射音を低減可能なマフラを提供することを目的としている。
本開示の一態様は、マフラであって、ケーシングと、消音部材と、を備える。ケーシングは、排気音を低減するための排気流路を内部に有する。消音部材は、ケーシングの内壁面に沿って配置される。消音部材は、壁部と、開口部と、を備える。壁部は、第1の方向に沿って延在し、第1の方向に沿って窪み部を形成する板状の部位である。開口部は、壁部に形成され、窪み部とケーシングの内壁面とにより覆われた空間である消音空間と、ケーシングの内壁面に囲まれた内部空間のうち消音空間以外の空間と、を連通する。
このような構成によれば、消音部材の第1の方向の長さを適切に設定することで、共鳴音と逆位相の音波を発生させ、共鳴音を低減できる。また、ケーシングの内壁面に沿って消音部材が配置されるため、消音部材がセパレータに搭載される構成と比較して、消音部材の第1の方向の長さを確保できる。よって、上記構成と比較して共鳴音を低減する効果を向上できる。さらには、消音部材がケーシングの内壁面に取り付けられるため、ケーシングの剛性を向上し、ケーシングの振動による放射音を抑制できる。したがって、マフラで発生する共鳴音を低減する効果を向上するとともに放射音を抑制できる。
本開示の一態様では、開口部の開口面積が、消音空間の断面積と略同一でもよい。
また、本開示の一態様では、窪み部における第1の方向の一端部が覆われ、他端部に開口部が形成されていてもよい。
このような構成によれば、ケーシングの両端部の近傍に位置する、共鳴音の音圧の腹に開口部を配置し得る。よって、共鳴音を効果的に低減でき得る。
本開示の一態様では、壁部は、小窪み部と、小窪み部と第1の方向において連続し、小窪み部よりも大きく窪んだ大窪み部と、を窪み部として形成してもよい。そして、小窪み部の第1の方向の大窪み部と反対側の端部に開口部が形成されていてもよい。
このような構成によれば、消音部材により、ヘルムホルツ共鳴器を形成できる。このため、特定の周波数の共鳴音を減衰可能となる。
本開示の一態様では、窪み部における第1の方向の両端部が覆われてもよい。そして、開口部が、壁部における窪み部を形成する部分の第1の方向の中央部に形成されていてもよい。
このような構成によれば、ケーシングの中央部の近傍に位置する、共鳴音の音圧の腹に開口部を配置し得る。よって、共鳴音を効果的に低減でき得る。
本開示の一態様では、消音部材は、第1の方向が直線状である壁部を備え、当該壁部の延在方向がケーシングの伸張方向と一致するように配置されていてもよい。なお、ここでいう「一致」とは、厳密な意味での一致に限るものではなく、目的とする効果を奏するのであれば厳密に一致でなくてもよい。
このような構成によれば、消音部材が、壁部の延在方向とケーシングの伸張方向とが一致しないように位置する構成と比較して、ケーシングの剛性を向上できる。よって、上記構成と比較して、放射音を抑制できる。
本開示の一態様では、消音部材が、窪み部の一端の縁部に沿って延びるフランジ状の取付け部を備えていてもよい。そして、取付け部がケーシングの内壁面に接合されていてもよい。
このような構成によれば、消音部材がフランジ状の取付け部を有しない構成と比較して、消音部材とケーシングの内壁面との接触面積を向上できる。したがって、上記構成と比較して、ケーシングの剛性を向上させ、放射音を抑制できる。
本開示の一態様は、ケーシングの内壁面に囲まれた内部空間を仕切るセパレータを更に備えてもよい。セパレータは、フランジ部と、凹部と、を有してもよい。フランジ部は、当該セパレータの外縁部に沿って設けられる。凹部は、消音部材を通す空間である挿通空間をケーシングの内壁面との間に形成する。フランジ部がケーシングの内壁面に接合され、挿通空間に消音部材が通されていてもよい。
このような構成によれば、セパレータと消音部材との組付け性を向上させることができる。また、セパレータがフランジ部を有しない構成と比較して、セパレータとケーシングとの接触面積を向上できる。したがって、上記構成と比較して、ケーシングの剛性を向上させ、放射音を抑制できる。
本開示の一態様は、消音部材とケーシングの内壁面との間、及び、消音部材とセパレータとの間、の少なくとも一方に配置された弾性部材を更に備えてもよい。
このような構成によれば、弾性部材がケーシングの振動を吸収するダンパーとして作用するため、放射音を抑制できる。また、弾性部材を弾性変形させて各部材の相対位置を適宜調節できるため、各部材の組付け性を向上できる。
本開示の一態様は、ケーシングの内壁面に沿って配置された追加の消音部材を更に備えてもよい。追加の消音部材は、壁部と、開口部と、を備えてもよい。壁部は、第2の方向に沿って延在し、第2の方向に沿って窪み部を形成する板状の部位である。開口部は、追加の消音部材の壁部に形成され、追加の消音部材の窪み部とケーシングの内壁面とにより覆われた空間である追加の消音空間と、ケーシングの内部空間のうち消音空間以外の空間と、を連通する。
このような構成によれば、マフラが消音部材を1つだけ備える構成と比較して、共鳴音を一層抑制できる。
図1は、本実施形態のマフラの内部を透過的に示した斜視図である。 図2は、本実施形態のマフラの内部を透過的に示した上面図である。 図3は、図2のIII−III断面図である。 図4は、図2のIV−IV断面図である。 図5は、閉塞端部に小孔が形成された消音部材を示す図である。 図6は、両端部が覆われ、中央部に開口部が形成された消音部材を示す図である。 図7は、ヘルムホルツ共鳴器を形成可能な消音部材を示す図である。 図8Aは、消音部材の断面形状を示す図(1)、図8Bは、消音部材の他の断面形状を示す図(2)、図8Cは、消音部材の他の断面形状を示す図(3)である。 図9Aは、消音部材の閉塞端部の形状を示す図(1)、図9Bは、消音部材の閉塞端部の形状を示す図(2)、図9Cは、消音部材の閉塞端部の形状を示す図(3)である。 図10は、消音部材の他の配置例を示す図(1)である。 図11は、消音部材の他の配置例を示す図(2)である。 図12は、消音部材の他の配置例を示す図(3)である。 図13は、消音部材の他の形状を示す図(2)である。 図13は、セパレータに孔部が形成されていない場合の消音部材の配置例を示す図である。 図15Aは、弾性部材が配置される箇所を示す図、図15Bは、消音部材とケーシングとの間の弾性部材の配置箇所の拡大図、図15Cは、消音部材とセパレータとの間の弾性部材の配置箇所の拡大図である。 図16Aは、2つの消音部材と同様の効果を奏し得る1つの部材を示す図、図16Bは、図16AのXVIB−XVIB断面図である。
以下、図面を参照しながら、本開示を実施するための形態を説明する。
[1.構成]
図1及び図2に示すマフラ1は、車両に搭載され、車両の内燃機関から排出される排ガスの排気流路の一部を構成する。マフラ1は、ケーシング10と、複数(この例では2つ)のセパレータ11,12と、インレットパイプ13と、アウトレットパイプ14と、複数(この例では2つ)の消音部材15,16と、を備える。
<ケーシング>
ケーシング10は、排気音を低減するための排気流路を内部に有する。ケーシング10は、シェル部材101と、前蓋部材102及び後蓋部材103と、を備える。シェル部材101は、あらかじめ定められた伸張方向10aに伸びる筒状の部材である。前蓋部材102及び後蓋部材103は、シェル部材101の伸張方向10aの両端開口部を閉塞する。シェル部材101の伸張方向10aが、ケーシング10の伸張方向10aである。また、図1等では、ケーシング10の短手方向は符号10b、鉛直方向は符号10cで示される。
<セパレータ>
セパレータ11,12(第1セパレータ11及び第2セパレータ12)は、ケーシング10の内壁面に囲まれた内部空間を仕切る部材である。セパレータ11,12により、上記内部空間は、複数の室に区画される。本実施形態では、上記内部空間は、後蓋部材103側から第1室31、第2室32及び第3室33の3つの室に区画される。
図2及び図3に示すように、第1セパレータ11は、本体部111と、フランジ部112と、を有する。本体部111は、略楕円状の平板状の部位である。フランジ部112は、本体部111の外縁部に沿って設けられたフランジ状の部位である。
図3に示すように、本体部111には、第1室31と第2室32とを連通する連通孔111a,111bが形成されている。連通孔111aには、アウトレットパイプ14が挿通される。また本体部111には、インレットパイプ13が挿通される挿通孔111cが形成されている。
第1セパレータ11は、凹部113を有する。凹部113は、挿通空間114aをシェル部材10の内壁面との間に形成するためのものである。挿通空間114aは、消音部材15を通す空間である。凹部113は、本体部111の外周のうち本体部111の長手方向(図3の上下方向)に沿った側に設けられる。また、凹部113は略半円状に形成されている。特に、凹部113は、当該凹部113の周方向の両端部(略半円弧の両端部)に、本体部111とシェル部材101の内壁面との間にわずかな隙間113aを形成するための湾曲部113bを有する。湾曲部113bにより形成される隙間113aには、後述する消音部材15のフランジ状の取付け部152が通される。
第2セパレータ12は、基本的な構造は第1セパレータ11と同様であるため、説明を省略する。なお、第2セパレータ12は、本体部121と、フランジ部122と、を有する。
<インレットパイプ>
インレットパイプ13は、内燃機関からの排ガスをケーシング10内に導入するためのパイプである。インレットパイプ13は、前蓋部材102、第2セパレータ12及び第1セパレータ11を貫通して設けられている。インレットパイプ13の下流端は、第1室31に開口している。
<アウトレットパイプ>
アウトレットパイプ14は、図示しないマフラ1の下流にあるパイプに接続されて排ガスをケーシング10から排出するためのパイプである。アウトレットパイプ14は、後蓋部材103、第1セパレータ11及び第2セパレータ12を貫通して設けられている。アウトレットパイプ14の上流端は、第3室33に開口している。
<消音部材>
消音部材15,16(第1消音部材15及び第2消音部材16)は、ケーシング10(具体的にはシェル部材101)の内壁面に沿って配置される。消音部材15,16は、ケーシング10を内部から補強するとともに、ケーシング10の内部にサイドブランチ型共鳴器を形成するために設けられる。
第1消音部材15は、壁部151と、取付け部152と、開口部153と、を備える。
壁部151は、ケーシング10の内壁面の第1の方向(本実施形態では一直線状の方向)15aに沿って延在する。また、壁部151は、第1の方向15aに沿って窪み部151aを形成する板状の部位である。すなわち、壁部151は、第1の方向15aに沿って伸びた細長い形状である。窪み部151aにおける第1の方向15aの一端部は覆われ、他端部には開口部153が形成されている。具体的には、壁部151は、胴体部151bと閉塞部151cとを有する。
胴体部151bは、第1の方向15aに沿って伸びた長手方向を有する。胴体部151bは、図8Aに示すように、第1の方向15aに垂直な断面における断面形状が略U字状(具体的には半円弧状)である。また、胴体部151bの内径は、第1の方向15aに沿って略一定である。なお、図8Aは、図2のIII−III断面の図である。
閉塞部151cは、胴体部151bの長手方向の一端部を覆う。閉塞部151cは、第1の方向15aに垂直な断面における断面形状が略U字状(具体的には半円弧状)である。また、閉塞部151cは、胴体部151bと反対側に同心円状に縮径する。この閉塞部151c(すなわち、第1消音部材15の閉塞端部)の外形は、図9Aに示すように、側面視で1/4円弧状である。一方、胴体部151bの閉塞部151cによって覆われていない方の他端部は開口し、開口部153が形成される。胴体部151b及び閉塞部151cにより、一端部が覆われた窪み部151aが形成される。
図1〜図3に示す取付け部152は、窪み部151aの一端(図1においては上方に位置する端)の縁部に沿って位置する。換言すれば、取付け部152は、窪み部151aの第1の方向15a周りの周方向の縁部に沿って位置する。窪み部151aがケーシング10の内壁面で閉じられる(覆われる)ようにケーシング10(具体的にはシェル部材101)の内壁面に取り付けられる。本実施形態では、取付け部152は、窪み部151aの上記一端の縁部に沿って延びるフランジ状の部位である。そして、フランジ状の取付け部152がケーシング10の内壁面に溶接等により接合される。これにより、窪み部151aとケーシング10の内壁面とにより覆われた空間である消音空間155が形成される。換言すれば、壁部151の内壁面とケーシング10の内壁面との間に第1の方向15aに伸びる略半円柱状の消音空間155が形成される。
開口部153は、消音空間155と、ケーシング10の内壁面に囲まれた内部空間のうち消音空間155以外の空間と、を連通する。開口部153は、窪み部151a(胴体部151b)における第1の方向15aの閉塞端部(閉塞部151c)と反対側の端部に形成される。
開口部153の開口面積は、消音空間155の断面積と略同一である。ここでいう消音空間155の断面積とは、消音空間155の第1の方向15aに垂直な断面であって、第1の方向15aの所定の位置における断面の断面積である。具体的には、ここでいう断面積は、胴体部151bを通過する断面の断面積である。特に、本実施形態では、胴体部151bの内径が第1の方向15aに沿って略一定であるため、上記断面積は、消音空間155の第1の方向15aに沿って断面積が略一定である部分の断面積ともいえる。なお、図8Aでは、消音空間155の上記断面がハッチングにより示されている。
第2消音部材16は、消音部材15と形状及び大きさが同一である。第2消音部材16は、第1消音部材15の壁部151、取付け部152、開口部153、窪み部151a、胴体部151b及び閉塞部151cにそれぞれ対応する構成として、壁部161、取付け部162、開口部163、窪み部161a、胴体部161b及び閉塞部161cを備える。なお、第2消音部材16は、直線状の第2の方向16aに沿って延在する。また、第2消音部材16の窪み部161aとケーシング10の内壁面とにより覆われた空間である消音空間165が形成される。
第1消音部材15の第1の方向15aの長さL1と、第2消音部材16の第2の方向16aの長さL2(L2=L1)とは、マフラ1の特定周波数の共鳴音を低減するように設定される。具体的には、第1消音部材15によるサイドブランチ型共鳴器の共鳴周波数Fsは、Fs=c/(4×L1)で与えられる。ここで、cは音速である。この周波数Fsが、マフラ1の共鳴音のn次モード(nは自然数)の周波数Fn(Fn=(n×c)/(2×L))と一致するように消音部材15,16の長さL1,L2が設定される。なお、Lはマフラ1(ケーシング10)の伸張方向10aの長さである。換言すれば、n次モードの共鳴音の低減する場合、消音部材15,16の長さL1,L2は、およそL1=L2=(n×L)/2に設定される。本実施形態では、消音部材15,16により周波数が1次モードである共鳴音を低減するため、消音部材15,16の長さL1,L2は、およそL1=L2=L/2となるように設定される。すなわち、消音部材15,16の長さL1,L2は、マフラ1の伸張方向10aの長さLよりも短い。
また、本実施形態では、消音部材15,16は、シェル部材101の内壁面のうち、面積がより大きな面に取り付けられる。具体的には、シェル部材101の内壁面のうち、曲率半径が大きい2つの面(図3の左右両側に位置する面)の一方に消音部材15,16が配置される。
また、消音部材15,16は、ケーシング10の伸張方向10aに沿って延在するように配置される。換言すれば、第1消音部材15の第1の方向15aと、第2消音部材16の第2の方向16aと、がケーシング10の伸張方向10aと略一致するように配置される。
さらに、消音部材15,16の開口部153,163は、ケーシング10の内部において、共鳴音の音圧の腹に位置するように配置される。
本実施形態では、第1消音部材15は、その開口部153が後蓋部材103の内壁面の近傍(すなわち、一次モードの腹)に位置し、反対側の端部がマフラ1の長手方向の中央近傍(すなわち、一次モードの節)に位置するように配置される。他方、第2消音部材16は、その開口部163が前蓋部材102の内壁面の近傍(すなわち、一次モードの腹)に位置し、反対側の端部がマフラ1の中央近傍(すなわち、一次モードの節)に位置するように配置される。なお、このように、開口部153,163を共鳴音の腹に配置するのは、低減される音圧を最大にできるからである。なお、図2には、1次モード及び2次モードの腹及び節の位置が模式的に示されている。
[2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)本実施形態では、マフラ1は、シェル部材101の内壁面に沿って配置された消音部材15,16を備える。したがって、消音部材15の第1の方向15aの長さL1と消音部材16の第2の方向16aの長さL2とを適切に設定することで、共鳴音と逆位相の音波を発生させ、共鳴音を低減できる。また、ケーシング10の内壁面に沿って消音部材15,16が配置されるため、消音部材15,16がセパレータ11,12に搭載される構成と比較して、消音部材15,16の長さL1,L2を確保できる。よって、上記構成と比較して共鳴音を低減する効果を向上できる。さらには、消音部材15,16がケーシング10の内壁面に取り付けられるため、ケーシング10の剛性を向上させ、ケーシング10の放射音を抑制できる。したがって、マフラ1で発生する共鳴音を低減する効果を向上するとともに放射音を抑制できる。
(2)本実施形態では、消音部材15の窪み部151a,161aの方向15a,16aの一端部が覆われ、他端部に開口部153,163が形成されている。したがって、ケーシング10の伸張方向10aの両端部の近傍に位置する、共鳴音の音圧の腹に開口部153,163を配置しやすい。よって、共鳴音を効果的に低減でき得る。
(3)本実施形態では、消音部材15,16は、壁部151,161の延在方向(すなわち、方向15a,16a)がケーシング10の伸張方向10aと一致するように配置される。したがって、消音部材15,16が、壁部151,161の延在方向とケーシング10の伸張方向10aとが一致しないように配置される構成(例えば壁部151,161の延在方向が伸張方向10aに対して垂直である構成)と比較して、ケーシング10の剛性を向上できる。よって、上記構成と比較して、放射音を抑制できる。
(4)本実施形態では、消音部材15,16のフランジ状の取付け部152,162がケーシング10の内壁面に接合されている。
したがって、消音部材15,16がフランジ状の取付け部152,162を有しない構成と比較して、消音部材15,16とケーシング10の内壁面との接触面積を向上できる。したがって、上記構成と比較して、ケーシング10の剛性を向上させ、放射音を抑制できる。
(5)本実施形態では、セパレータ11,12のフランジ部112,122がケーシング10の内壁面に接合されている。また、例えばセパレータ11については、セパレータ11の凹部113により形成される挿通空間114aに第1消音部材15の窪み部151a及び取付け部152が通されている。
したがって、セパレータ11と消音部材15との組付け性を向上させることができる。また、セパレータ11,12がフランジ部112,122を有しない構成と比較して、セパレータ11,12とケーシング10の内壁面との接触面積を向上できる。したがって、上記構成と比較して、ケーシング10の剛性を向上させ、放射音を抑制できる。
[3.他の実施形態]
以上、本開示を実施するための形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
(1)ケーシングの形状は上記実施形態の形状に限られない。例えば、シェル部材の伸張方向10aに垂直な断面形状は、楕円状以外の形状であってもよく、真円状、多角形状等であってもよい。
(2)上記実施形態において、シェル部材101、前蓋部材102及び後蓋部材103は互いに一体成形されていてもよい。また、上記実施形態では、ケーシング10は、シェル部材101、前蓋部材102及び後蓋部材103の3部材から構成されるが、ケーシングの構成はこれに限られない。例えば、ケーシングは、当該ケーシングの下部を形成する下ケースと、当該ケーシングの上部を形成する上ケースと、の2部材から構成されていてもよい。
(3)上記実施形態において、マフラは、1つのセパレータを備えていてもよい。またマフラは、2つ以外の複数のセパレータを備えていてもよい。
(4)例えば、第1消音部材15には、開口部153とは別の少なくとも1つの開口(小孔)が形成されていてもよい。この場合において、例えば第1消音部材15における第1の方向15aの覆われた一端部(閉塞部151c)に、少なくとも1つの開口が形成されていてもよい。例えば、図5に示す丸で囲まれた部分に少なくとも1つの開口が形成されていてもよい。少なくとも1つの開口は、消音空間155とケーシング10の内部空間のうち消音空間155以外の空間とを連通する。また、少なくとも1つの開口の開口面積は、開口部153の開口面積よりも小さい(この例では、開口部153の開口面積よりも極めて小さい。)。
このような構成によれば、第1消音部材15の上記一端部に少なくとも1つの開口が形成されていない構成と比較して、より広い周波数帯域の排気音を減衰できることが実験によりわかる。なお、開口の位置は閉塞部151cに限られない。例えば、少なくとも1つの開口は、第1消音部材15の第1の方向15aの中央部やその他の箇所に形成されていてもよい。
(5)消音部材は、図6に示すような構成でもよい。すなわち、図6に示す消音部材17は、窪み部171aにおける第3の方向17aの両端部が覆われている。そして、開口部173が、壁部171における窪み部171aを形成する部分の第3の方向17aの中央部(例えば図中、丸で囲まれた部分)に形成されている。なお、開口部173の開口面積は、消音空間175の断面積(例えば図中のA−A断面の断面積)と略同一である。
このような構成によれば、ケーシング10における伸張方向10aの中央部の近傍に位置する、共鳴音の音圧の腹(例えば図2に示す2次モードの腹)に開口部173を配置しやすい。よって、共鳴音を効果的に低減でき得る。
また例えば、一端部が覆われ、他端部に開口部が形成された消音部材を用いて2次モードの共鳴音を低減するためには、上記2つの消音部材の開口部を2次モードの腹(すなわち、ケーシング10における伸張方向10aの中央部)でつき合わせて配置することが考えられる。この場合、2つの消音部材が必要であり、また、マフラの製造工程において2つの消音部材を突き合わせて配置する作業が発生する。これに対して、消音部材17によれば、2つの消音部材を突き合わせ作業は不要であり、1つの消音部材17を配置すればよい。よって、特定周波数の共鳴音を低減可能なマフラを製造する際に、部品点数を削減できるとともに作業工数を低減できる。
(6)例えば、消音部材は、図7に示すような構成でもよい。図7に示す消音部材18は、第4の方向18aに沿って窪み部181aを形成する板状の壁部181を備える。窪み部181aは、小窪み部181bと、大窪み部181cと、を有する。
小窪み部181b及び大窪み部181cは、窪みの形状及び大きさが第4の方向18aに沿って略同一である。大窪み部181cは、小窪み部181bと第4の方向18aにおいて連続し、小窪み部181bよりも大きく窪んでいる。大窪み部181cにおける第4の方向18aの端部であって小窪み部181bと反対側の端部は覆われている。また、小窪み部181bにおける第4の方向18aの端部であって大窪み部181cと反対側の端部には、開口部183が形成されている。この開口部183は、窪み部181aとケーシング10の内壁面とに覆われた空間である消音空間185と、ケーシング10の内部空間のうち消音空間以外の空間と、を連通する。なお、開口部183の開口面積は、小部分空間183aの断面積と略同一である。小部分空間155aは、消音空間185の一部であって、小窪み部181bとケーシング10の内壁面とに覆われた空間として形成される。
このような構成によれば、消音部材18をケーシング10の内壁面に取り付けることにより、ヘルムホルツ共鳴器を形成できる。このため、特定の周波数の共鳴音を減衰可能となる。なお、上記の例において、小径胴体部181a及び大窪み部181cの形状及び大きさは第4の方向18aに沿って一定でなくてもよい。
(7)消音部材の断面形状は上記実施形態の形状に限られない。例えば、図8Bに示すように、消音部材の断面形状は矩形状(より一般には多角形状)であってもよい。また例えば、図8Cに示すように、消音部材の断面形状は波打った形状、具体的には、略M字状であってもよい。また消音部材の断面形状は、上記以外の任意の曲線形状であってもよい。
(8)消音部材の閉塞端部の形状は上記実施形態のものに限られない。例えば、図9Bに示すように、閉塞端部の外形は側面視で直角状であってもよい。また、図9Cに示すように、閉塞端部の外形は側面視で折れ線状であってもよい。
(9)消音部材の配置の仕方は上記実施形態のものに限られない。例えば、消音部材15,16のケーシング10の伸張方向10aの位置を変化させてもよい。例えば、図10に示すように、開口部153,163が2次モードの腹(ケーシング10の伸張方向10aの中央部)に配置するようにしてもよい。なお、この場合、第1消音部材15の閉塞端部が伸張方向10aの一方側を向くように配置され、第2消音部材16の閉塞端部が伸張方向10aの他方側を向くように配置される。
また例えば、図11に示すように、消音部材15,16の延在方向(第1の方向15a及び第2の方向16a)がケーシング10の伸張方向10aと一致しないように消音部材15,16が配置されてもよい。図11に示す例では、消音部材15は、第1の方向15aが伸張方向10aと直角になるように配置される。また、消音部材16は、第2の方向16aが伸張方向10aと直角以外の角度をなすように配置される。
また例えば、図12に示す消音部材21〜23のように、消音部材のケーシング10の短手方向10b及び鉛直方向10cの位置は任意であってもよい。
(10)上記実施形態では、消音部材15,16は、一直線状の方向15a,16aに沿って延在するが、消音部材の形状はこれに限られない。例えば、図13に示す消音部材19,20は、一直線状以外の方向19a,20aに沿って延在する。なお、図12に示す例では、方向19a,20aはL字状である。また、消音部材は、曲線状の方向に沿って延在する形状でもよい。
(11)例えば、図14に示すようにセパレータ21に連通孔等の孔部がない場合、共鳴音の音圧の腹がセパレータ21の近傍に発生する。この場合、消音部材15の開口部153がセパレータ21の近傍に位置するように消音部材15が配置されてもよい。セパレータの孔部が極小さい場合も同様である。
(12)例えば、マフラ1は、消音部材15,16とケーシング10の内壁面との間、及び、消音部材15,16とセパレータ11,12との間、の少なくとも一方に配置された弾性変形可能な弾性部材を備えてもよい。例えば、第1消音部材15の取付け部152とシェル部材101の内壁面との間(例えば図15Aの符号10dの丸で囲まれた部分)に、図15Bで示すように弾性部材221を設けてもよい。なお、この例では、取付け部152は、他の部材(弾性部材221)を介して間接的にシェル部材101の内壁面に取り付けられる。また例えば、第1消音部材15と第1セパレータ11との間に(例えば図15Aの符号10eの丸で囲まれた部分)に、図15Cで示すように弾性部材222を設けてもよい。なお、弾性部材221,222としては、例えばワイヤメッシュが使用される。
このような構成によれば、弾性部材221,222がケーシング10の振動を吸収するダンパーとして作用するため、放射音を抑制できる。また、弾性部材221,222を弾性変形させて各部材101,11,15の相対位置を適宜調節できるため、各部材101,11,15の組付け性を向上できる。
(13)例えば、図16A及び図16Bに示す消音部材23をマフラに搭載することで、1つの部材23で、消音部材15,16のような消音部材を2つ搭載した場合と同様の効果を奏することができる。すなわち、消音部材23は、第5の方向23aに沿って延在する壁部231を有する。壁部231は、図16Bに示すように、消音部材23がケーシング10の内壁面に取り付けられた状態において、ケーシング10の内壁面に当接する当接部232を有する。当接部232は、壁部231における第5の方向23aの両端部以外の箇所(例えば第5の方向23aの中央部)に位置する。すなわち、当接部232の第5の方向23aの一方の隣に窪み部231aが形成され、他方の隣に31bが形成されている。また、窪み部231a,231bの当接部232と反対側の端部にはそれぞれ開口部233a,233bが形成されている。このような構成によれば、壁部231とケーシング10の内壁面との間に、当接部232を挟んで2つの消音空間235a,235bを形成可能である。
(14)上記実施形態では、胴体部151b,161bの内径は、方向15a,16aに沿って一定であるが、胴体部の形状はこれに限られない。例えば、胴体部の内径は、前記方向に沿って一定でなくてもよい。この場合も、開口部の開口面積は、消音空間の前記方向における所定の位置での断面積と略同一であってもよい。
(15)上記実施形態において、消音部材15,16の取付け部152,153は、フランジ状でなくてもよい。
(16)上記実施形態において、マフラは、1つの消音部材を備えていてもよい。またマフラは、2つ以外の複数の消音部材を備えていてもよい。
(17)上記実施形態において、マフラ1は、インレットパイプ13及びアウトレットパイプ14の2本のパイプを備えるが、パイプの数はこれに限られない。マフラ1は、1つ又は2つ以外の複数のパイプを備えていてもよい。
(18)上記実施形態において第1消音部材15の第1の方向15aの長さL1と、第2消音部材16の第2の方向16aの長さL2と、が互いに相違していてもよい。このような構成によれば、マフラが消音部材を1つだけ備える構成と比較して、共鳴音を一層抑制できる。また、消音空間155,165の長さL1,L2を適宜調節することで、複数の振動モードの共鳴音を抑制できる。
(19)上記実施形態では、ケーシング10と消音部材15,16とは別部材であるが、ケーシングと消音部材とは一体化されていてもよい。例えば、ケーシングの壁部を内側及び外側の2重に形成し、内側の壁部を内側に窪ませることで、消音空間を形成してもよい。すなわち、内側の壁部における上記窪ませた部位を消音部材として機能させてもよい。
(20)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言によって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
1…マフラ、10…ケーシング、
15,16,17,18,19,21,23…消音部材、
101…シェル部材、152,162…取付け部、
153,163,173,233a,233b…開口部、
155,165,175,235a,235b…消音空間、
151a,161b,171a,181a,231a,231a…窪み部。

Claims (10)

  1. 排気音を低減するための排気流路を内部に有するケーシングと、
    前記ケーシングの内壁面に沿って配置された消音部材と、
    を備え、
    前記消音部材は、
    前記内壁面の第1の方向に沿って延在し、前記第1の方向に沿って窪み部を形成する板状の壁部と、
    前記壁部に形成され、前記窪み部と前記内壁面とにより覆われた空間である消音空間と、前記内壁面に囲まれた内部空間のうち前記消音空間以外の空間と、を連通する開口部と、
    を備えるマフラ。
  2. 請求項1に記載のマフラであって、
    前記開口部の開口面積が、前記消音空間の前記第1の方向に垂直な断面における断面積と略同一である、マフラ。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のマフラであって、
    前記窪み部における前記第1の方向の一端部が覆われ、他端部に前記開口部が形成されている、マフラ。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のマフラであって、
    前記壁部は、小窪み部と、前記小窪み部と前記第1の方向において連続し、前小窪み部よりも大きく窪んだ大窪み部と、を前記窪み部として形成し、
    前記小窪み部の前記第1の方向の前記大窪み部と反対側の端部に前記開口部が形成されている、マフラ。
  5. 請求項1又は請求項2に記載のマフラであって、
    前記窪み部における前記第1の方向の両端部が覆われ、
    前記開口部が、前記壁部における前記窪み部を形成する部分の前記第1の方向の中央部に形成されている、マフラ。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のマフラであって、
    前記消音部材は、前記第1の方向が直線状である前記壁部を備え、当該壁部の延在方向が前記ケーシングの伸張方向と一致するように配置されている、マフラ。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のマフラであって、
    前記消音部材は、前記窪み部の一端の縁部に沿って延びるフランジ状の取付け部を備え、
    前記取付け部が前記内壁面に接合されている、マフラ。
  8. 請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のマフラであって、
    前記内壁面に囲まれた内部空間を仕切るセパレータを更に備え、
    前記セパレータは、
    当該セパレータの外縁部に沿って設けられたフランジ部と、
    前記消音部材を通す空間である挿通空間を前記内壁面との間に形成するための凹部と、
    を有し、
    前記フランジ部が前記内壁面に接合され、前記挿通空間に前記消音部材が通されている、マフラ。
  9. 請求項8に記載のマフラであって、
    前記消音部材と前記内壁面との間、及び、前記消音部材と前記セパレータとの間、の少なくとも一方に配置された弾性部材を更に備えるマフラ。
  10. 請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載のマフラであって、
    前記内壁面に沿って配置された追加の消音部材を更に備え、
    前記追加の消音部材は、
    前記内壁面の第2の方向に沿って延在し、前記第2の方向に沿って窪み部を形成する板状の壁部と、
    前記追加の消音部材の前記壁部に形成され、前記追加の消音部材の前記窪み部と前記内壁面とにより覆われた空間である追加の消音空間と、前記内部空間のうち前記追加の消音空間以外の空間と、連通する開口部と、
    を備えるマフラ。
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