JP2019127789A - 削孔用ビット - Google Patents
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Abstract
Description
また、比較的軟弱な砂質土・粘性土地盤を対象としているので、基本的に削孔方式はロータリー式掘削を用いている。
しかし、従来の二重管削孔では、可撓性を有する細径のボーリングロッドを用いた削孔(いわゆる「曲がりボーリング」或いは「自在ボーリング」)にはあまり適用されていない。
従来技術において、削孔経路を修正するために、ボーリングヘッドに板状部材を配置し、削孔方向を修正する際には削孔用ビットを回転せずに(非回転で)推進して、板に受ける反力により削孔用ビットの削孔方向を所定の曲率半径で曲げることにより修正する技術が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
しかし、礫層、岩盤、コンクリート、鋼板等の非常に硬い領域または物体の掘削、削孔への適用を考えた場合には、前述の板状のボーリングヘッドでは削孔自体が出来ず、岩盤などの削孔用の前記の削孔用チップが配置された削孔用ビットは、基本的にその先端は、削孔軸の直角な平面を成しており、急曲線で削孔方向を修正することが出来ないという問題が存在する。
回転高速振動式削孔は、例えば特許文献4に示される高速振動を回転と同時に加える削孔装置を特徴とする削孔方法である。礫層、岩盤、コンクリート、鋼板等の非常に硬い領域または物体の掘削、削孔が可能であるが、鉛直ボーリングを基本に開発されておりロータリー式に準ずるボーリングヘッドである削孔用ビットがあるだけで、前記の細径の可撓性ロッドを用いた自在ボーリングの曲線削孔に対応した削孔用ビットは開発されていない。
また、当該回転高速振動装置は、削孔軸直角方向にも正弦波振動させ、さらに削孔軸で回転も生じさせるため、削孔ロッド(削孔用ビット含む)には高調和振動波が発生するといわれている。
このように、回転高速振動式削孔では、これらの高速振動作用によって高速削孔が可能とされている。この高速削孔に伴って短時間に切削ズリが発生することになり、その切削ズリが効率的に処理される必要がある。鉛直ボーリングとしての回転高速振動式削孔では前述の高速振動によって切削ズリは細粒化され、高速振動の効果と相まってボーリングロッドのアニュラス部へ切削ズリが円滑に流れる。しかし、回転高速振動式削孔を自在ボーリングに適用することを考えた場合には、曲線施工のために削孔用ビットが削孔軸に対し非対称な傾きを持った面を構成するため、この切削ズリを円滑に排出できる削孔用ビットが必要となる。
本発明の削孔用ビット(10)は、礫層、岩盤、凍土壁、(鉄筋)コンクリート、鋼板等の非常に硬い領域または物体の削孔に利用可能であり、従来の軟弱地盤などの曲線削孔にも適用できる。したがって、削孔開始点は軟弱地盤で、削孔到達付近が硬質領域といった複合条件も可能であり、その逆の条件も削孔可能である。
前記硬い物体は、地盤中などに存在する固形物、障害物(埋設管や残置杭、土留めなど)、材料や大きさなど特定できない硬質物である。
ここで、地盤削孔における芯抜き効果とは、硬岩などで断面円形に削孔する場合、円形を全断面同時に削孔するよりも、先行して中心部を削孔してくり抜き、この部分を圧力解放し、削孔した中心部の周辺を緩ませて、この周辺部を後行で削孔すれば効率よく円形削孔できるという効果である。逆芯抜き効果は、この逆の効果であり、円形削孔の周辺部を先行削孔し、後行にて中心部を緩ませて効率よく円形削孔を行うことが出来るという効果である。
当該フラットフェース部(1A)は、前記のように逆芯抜き効果の削孔断面のうち外周部の先行削孔を行う部分である。すなわち、回転切削の削孔トルクや高速振動を削孔地盤に伝達し、削孔するメインの部分になる。フラットフェース部(1A)以外の投影面は、前記スラントフェース部(1B)となり、当該部分は前記のようにフラットフェース部(1A)で切削された切削ズリを後方に誘導する切削ズリの円滑排出機能ならびに後述の削孔方向制御機能を受け持つ部分となる。
すなわち、前記フラットフェース部(1A)とスラントフェース部(1B)の削孔断面に対する割合は、高速削孔重視で削孔する場合と曲線施工重視で削孔する場合とで割合が異なり、高速削孔重視の場合には削孔用ビット全投影面積に対しフラットフェース部(1A)の占有割合を高くし、曲線施工重視の場合にはフラットフェース部(1A)の占有割合を低くし、スラントフェース部(1B)の占有割合を高くする。具体的な前記占有割合の値については、どの程度硬い領域を削孔するか、どの程度の曲率の曲線施工で削孔するかが影響するが、高速削孔性と曲線施工性の両面を確保するには、占有割合としては1/3〜1/5が望ましい。
当該スラントフェース部(1B)は、前記のように切削ズリの円滑排出機能と後述の削孔方向制御機能を受け持つ部分であり、削孔軸に対し傾斜して略平面を成している。当該傾斜角は、切削ズリの円滑排出機能の面ならびに削孔方向制御機能の面では、削孔軸に対し鋭角の方が望ましいが、その場合削孔用ビット自体の削孔軸方向長さが長くなり、削孔用ビットの製作性および費用面で劣ることとなり、かえって削孔方向制御機能も劣っていく。また、削孔軸に対し鈍角に設定した場合、切削ズリの円滑排出機能ならびに削孔方向制御機能が有効に発揮できなくなる。具体的な傾斜角の値については、前記のフラットフェース部の占有割合が影響するが、削孔軸に対して30〜60度の傾斜角の略平面であることが望ましい。
ここで、削孔断面のうち外周領域の一部領域であるフラットフェース部(1A)は、全断面の投影面積と比較して遥かに小さい(1/3〜1/5程度)ので、当該フラットフェース部(1A)における削孔用チップ(2A、2B)に作用する面圧は、従来技術における削孔用ビットに作用する面圧に比較して遥かに高くなる。すなわち、回転高速振動式削孔において削孔装置である回転高速振動装置により発生した回転トルク、スラスト力を当該フラットフェース部(1A)の面に集中的に与えることとなるため、非常に硬い領域または物体(例えば、岩盤、コンクリート)であっても、当該削孔用チップ(2A、2B)により、効率的に削孔される。
そのため、いわゆる切削ズリが微細化するまで削孔用チップ(2A、2B)で地盤を削る必要が無く、削孔された硬い地盤が塊であっても確実に微細化されて、排泥通路となるアニュラス部(3)を良好に流過する。そのため、全面削孔を行う場合に、削孔速度が向上する。
すなわち、スラントフェース部(1B)は、削孔軸に対して30〜60度の略斜平面を成し、その略平面にチップ(2C)が配置され、この面にも回転高速振動装置により高速振動がかかるため、フラットフェース部(1A)で掘削された切削ズリが傾斜面に沿って削孔軸後方に流れるときにチップ(2C)で破砕、微細化され円滑にアニュラス部(3)に排出され、切削ズリの円滑排出機能が発揮できる。
しかし、前記逆芯抜き効果により、フラットフェース部(1A)での掘削により応力が解放され、残された芯部分である領域(U)は緩みが生じ掘削されやすい状態となる。加えて、削孔軸方向に先行するフラットフェース部(1A)の掘削では、フラットフェース部(1A)に配置された削孔用ビット(10)が回転高速振動装置により発生した回転トルク、スラスト力を受けて、高速振動とともにビットが切羽側へ楔または刃のように作用し、残された芯部分である領域(U)の根元の部分を破壊していくことにより、削孔が進むと同時に残された芯部分である領域(U)も、後方で破砕されて細かくなり全断面が効率よく掘削、削孔される。
曲線削孔または修正削孔が終われば、回転高速振動式削孔を再度行う、またはこれを繰り返すことにより3次元的な自在ボーリングが可能となる。
図1、図2において、本発明の実施形態に係る削孔用ビットは、全体を符号10で示されている。削孔用ビット10は回転高速振動式削孔で用いられるビットであり、可撓性を有する細径のボーリングロッドを用いた削孔(いわゆる「曲がりボーリング」或いは「自在ボーリング」)について適用されている。
図示しない回転高速振動式削孔の振動源は地上側に配置されている。そして削孔用ビット10は、非常に硬い領域または物体(例えば、岩盤、コンクリート)や礫混じりの地盤の削孔に利用される。
削孔用ビット10は、ビット本体1と、ビット本体1の掘削方向端部及び側面部において所定位置に配置した削孔用チップ2(削孔用チップ2A、2B、2C、2D)を有している。
フラットフェース部1Aはビット本体1の横断面に平行な略平面部分(図1における垂直面:図1、図2での領域1A)から構成されている。そしてフラットフェース部1Aは、削孔用ビット10(ビット本体1)の全投影断面の1/3〜1/5程度の面積を有している。なお、図2では、フラットフェース部1Aは、削孔用ビット10の外周縁部の円弧と、当該円弧の弦を構成する直線により包囲された形状であるが、フラットフェース部1Aは扇形状、その他の形状であっても良い。
削孔用ビット10の全断面において、フラットフェース部1A以外の領域1B(スラントフェース部)は、フラットフェース部1Aから離れるほど(図1、図2においては下方に行くほど)ボーリングマシン側(図1で右側)に向かう略斜平面を構成している。
図2において、3個の削孔用チップ2Aは概略同一円周上に概略等間隔で配置されており、図1では3個の削孔用チップ2Aの中の1個のみが図示されている。
フラットフェース部1Aの削孔断面のうち外周部分(図1、図2で領域1Aにおける削孔断面のうち外周の部分)には、4個の削孔用チップ2Bが削孔方向に対して斜め外方(図1で斜め上方)に向かう様に配置されている。
図2において、4個の削孔用チップ2Bは概略同一円周上に概略等間隔で配置されているが、図1では4個の削孔用チップ2Bの1個のみが図示されている。
削孔用ビット10におけるフラットフェース部1A近傍の周縁部であって、ビット本体1の側面には、6個の削孔用チップ2Dが削孔断面のうち外周に向かう様に配置されている。6個の削孔用チップ2Dは、図2においては円周方向に概略等間隔に3列配置され、当該3列の削孔用チップ2Dは、その1列において(紙面に垂直な方向において)2個ずつ配置されている。図1では、3列の削孔用チップの内、1列のみ(2個のみ)が示されている。
ここで、図1、図2に示す削孔用チップの配置、設置方向、設置数、形状は、ボーリングの径や削孔対象物の種別、削孔長さなどにより変わり、図示の実施形態ではその一例を示しているに過ぎない。
また、削孔用ビット10のフラットフェース部1A、スラントフェース部1Bには、削孔用チップを細かく砕いたものが全面に植え付けられており、全面削孔の際に削孔効率を向上させている。
ボーリング孔削孔の際には、削孔されたボーリング孔内に各種ツールを挿入する要請が多々存在し、その様な各種ツールを挿入するために中空部分1Cは形成されている。ここで各種ツールとしては、例えば削孔用ビット10の位置と体勢(向き)を計測するための三次元ジャイロ計測装置、サンプル採取用機器等がある。
削孔後(或いは削孔の一時中断時)、各種ツール(例えば三次元ジャイロ計測装置、サンプル採取用機器など)を削孔用ビット10の先端(切羽側)まで挿入する際には、閉鎖用部材(図示せず)を地上側に引き抜いたり、前方に押し出したりして、削孔ロッド10内の中空部分1C及び開口部が開放された状態にして、当該ツールを中空部分1Cに挿入する。
ここで閉鎖用部材は、従来公知の部材(図示せず)を用いることが出来る。例えば、図示しない閉鎖用部材は半径方向外側に張り出す翼を設けており、削孔時は当該翼が中空部分の内壁の係止部(図示せず)に係止することにより引き抜き不可能な状態となっているが、削孔後、地上側から所定のツールを使用することにより、前記翼が半径方向内側に移動(或いは収縮)して係止部から係止解除した状態になり、以て、閉鎖用部材を地上側に引き抜くことが可能になる、という様な構造を採用することが出来る。
また、前記ツール、例えば三次元ジャイロ計測装置を用いて、削孔用ビット10の3次元的位置ならびに計測時点の削孔方向を把握し、所定の線形を維持しているか、または削孔方向の修正が必要か判断し、修正削孔を行う自在ボーリングが出来る。
図示の実施形態に係る削孔用ビット10では、岩盤やコンクリート等の非常に硬い領域または物体が削孔の対象であり、高圧の削孔水を噴射して非常に硬い領域または物体を削孔するのではなく、削孔用チップによる切削により削孔し、削孔水は排泥促進やビットの冷却のため吐出される。そのため、削孔水の吐出圧は比較的低い圧力である。
削孔水流路1Dの開口部1DAは、掘削した排泥により削孔水が閉塞しないような位置に設けられている。図示の実施形態では、開口部1DAは、削孔用ビット10の外周面であって、最も切羽側(図1では左側)に位置している削孔用チップ2Dよりもボーリングマシン側(図1では右側)の背面に設けられている。
上述した様に、図示の実施形態に係る削孔用ビット10は、非常に硬い領域または物体(例えば、岩盤、コンクリート)や礫混じりの地盤の削孔に利用可能である。
図3で示す全断面掘削の際には、矢印R方向に削孔用ビット10を回転しつつ、矢印T方向に削孔用ビット10を移動する。
削孔用ビット10に回転Rを付与して矢印T方向に進行させることにより、フラットフェース部1A(切羽側に突出した領域)に植え込まれた削孔用チップ2A、2Bで礫層、岩盤、コンクリート、鋼板等の非常に硬い領域または物体の掘削、削孔を行う。
ここで、フラットフェース部1Aは、全断面に比較して遥かに小さい(1/3〜1/5程度)ので、フラットフェース部1Aにおける削孔用チップ2A、2Bに作用する面圧は、従来技術に係るビットの削孔用チップに作用する面圧に比較して、遥かに高圧である。そのため、非常に硬い領域または物体(例えば、岩盤、コンクリート)であっても、当該削孔用チップ2A、2Bにより、効率的に削孔することが出来る。
図示の実施形態において、フラットフェース部1Aは、スラントフェース部1Bより切羽側に形成されていることにより、回転切削において削孔断面のうち外周部が先行して切削され、残った中心部は逆芯抜き効果によってスラントフェース部1Bで容易に切削される削孔機能を有している。
ここで、地盤削孔における芯抜き効果とは、硬岩などで断面円形に削孔する場合、円形を全断面同時に削孔するよりも、先行して中心部を削孔してくり抜き、この部分を圧力解放し、削孔した中心部の周辺を緩ませて、この周辺部を後行で削孔すれば効率よく円形削孔できるという効果である。逆芯抜き効果は、芯抜き効果とは逆で、円形削孔の周辺部を先行削孔し、後行にて中心部を緩ませて効率よく円形削孔を行うことが出来る効果である。
前記のように逆芯抜き効果により、フラットフェース部1Aでの掘削により応力が解放され、残された芯部分である領域Uは緩みが生じ掘削されやすい状態となる。加えて、削孔軸方向に先行するフラットフェース部1Aにおける掘削では、フラットフェース部1Aに配置された削孔用ビット10が回転高速振動装置により発生した回転トルク、スラスト力を受けて、高速振動とともに削孔用ビット10が切羽側へ楔または刃のように作用し、残された芯部分である領域Uの根元の部分を破壊していくことにより削孔が進むと同時に、残された芯部分である領域Uも後方で破砕されて細かくなり、全断面が効率よく掘削、削孔される。
それに対して、図1、図2で示す削孔用ビット10を用いて掘削した場合、削孔用ビット10のフラットフェース部1A(に植え込まれた削孔用チップ2A、2B)で削孔された硬い地盤が比較的大きな塊となっても、当該大きな塊は削孔用ビット10のスラントフェース部1Bにより破砕されて細かくなり、さらに、(削孔用ビット10により削孔された)削孔内壁面Hに押し付けられて(擦り付けられて)破砕されて、微細化される。そのため、アニュラス部を容易に通過することが出来る。
すなわち、スラントフェース部1Bは、削孔軸に対して30〜60度の略斜平面を成し、その略平面にチップ2Cが配置され、この面にも回転高速振動装置により高速振動がかかるため、フラットフェース部1Aで掘削された切削ズリが傾斜面に沿って削孔軸後方に流れるときにチップ2Cで破砕、微細化されて、円滑にアニュラス部3に排出され、切削ズリの円滑排出機能が発揮できる。
図3において、切削ズリ(削孔された硬い地盤)が微細化される状態が、矢印S1で示されている。そして、微細化されてアニュラス部を円滑に流過する切削ズリの流れが、矢印を図3の矢印S2で示されている。
なお、削孔用チップ2Cに代えて硬装肉盛にしても良く、或いは微小チップを植え込んでも良い。
また、削孔用ビット10(ビット本体1)の外側面に植え込まれた削孔用チップ2Dは、全面削孔の際に、削孔内壁を掘削して切削ズリの後述するアニュラス部3を形成する機能を有している。
削孔用ビット10のフラットフェース部1A(に植え込まれた削孔用チップ2A、2B)で削孔する場合に、削孔された硬い地盤が微細化するまで削孔用チップ2A、2Bにより削孔する必要が無く、削孔用チップ2A、2Bで削孔された硬い地盤が比較的大きな塊であってもスラントフェース部1Bにより確実に微細化されて、アニュラス部3を良好に流過することが出来る。
そのため図3において、削孔用ビット10で全面削孔を行う場合には、排泥が効率的に行われ、削孔速度が向上する。
なお、削孔用ビット10に付加される振動の方向については、特に限定条件はなく、振動方向の図示は省略する。
発明者による実験では、従来技術に係る削孔用ビットを用いて振動掘削を行う場合に比較して、図1、図2で示す削孔用ビット10を用いた振動掘削では、掘削速度が2〜3倍速くなることが確認されている。
削孔が進行すると、及び/又は、振動が付加されることにより、未削孔領域Uの硬い地盤(例えば岩盤等)は、前記の逆芯抜き効果によりスラントフェース部1Bによって容易に掘削が可能となる。
掘削された未削孔領域Uの硬い地盤の塊は、上述した通り削孔用ビット10のスラントフェース部1Bにより破砕され、且つ、削孔内壁面Hに押し付けられて微細化される。そのため、未削孔領域Uが崩れ落ちた硬い地盤の塊も、図3の全面削孔の切削ズリと同様に、アニュラス部3を良好に流過して、地上側に排出される。
その様な削孔を行う場合には、図1〜図5で示す場合とは異なり、回転R(図3参照)を付加することなく(削孔用ビット10を回転せずに)、振動を付加しつつ、矢印Tで示す方向に推進させる。
振動を付加することにより、削孔用ビット10を回転しなくとも、硬い地盤Gに対して削孔用ビット10が侵入し易い(いわゆる「入りが良い」状態)になる。
削孔用ビット10の位置と体勢(向き)を変更して曲線削孔または修正削孔する際には、図示しない中空部分(図1、図2参照)内に挿入されている図示しない計測機器(例えば三次元ジャイロ計測装置:削孔方向と削孔距離を計測する機能を有する機器)により、削孔用ビット10の位置と体勢(向き)を計測すれば良い。
すなわち、削孔経路修正時に削孔用ビット10の進行する方向を正確に制御することにより、削孔用ビット10の削孔方向を予定された曲線削孔の実施または削孔経路の修正を行うことが可能となる。
例えば、図示の実施形態では、可撓性を有する細径のボーリングロッドを用いた削孔(いわゆる「曲がりボーリング」或いは「自在ボーリング」)について、本発明の削孔用ビットを適用する場合について述べたが、その他の削孔工法についても、本発明は適用可能である。また、機械加工(穿孔加工)についても本発明の削孔用ビットを用いることが可能である。
さらに、図示の実施形態では水平方向の削孔で示されているが、本発明の削孔用ビットは、3次元的な自在ボーリングであり、垂直方向や斜め方向の削孔の方向を限定するものでなく、曲線削孔でなく単直線削孔の削孔に用いても良い。
1A・・・フラットフェース部
1B・・・スラントフェース部
1C・・・中空部分
1D・・・削孔水流路
1DA・・・削孔水流路の開口部
2、2A、2B、2C、2D・・・削孔用チップ
3・・・アニュラス部
10・・・削孔用ビット
R・・・削孔用ビットの回転方向
T・・・削孔用ビットの推進方向
AT・・・削孔用ビットの修正方向
Claims (7)
- 回転高速振動式削孔に用いられる削孔用ビットにおいて、
削孔断面のうち外周領域の一部領域が切羽側に略平面で突出したフラットフェース部を構成し、前記削孔断面の他の領域は、前記フラットフェース部から離れるほどボーリングマシン側に向かう略斜平面を構成しているスラントフェース部であることを特徴とする削孔用ビット。 - 当該フラットフェース部は、スラントフェース部より切羽側に形成されていることにより、回転切削において削孔断面のうち外周部が先行して切削され、残った中心部は逆芯抜き効果によって当該スラントフェース部で容易に切削される削孔機能を有する請求項1の削孔用ビット。
- 当該スラントフェース部は、これより切羽側に位置する当該フラットフェース部より後方に斜面を形成することにより、当該フラットフェース部の切削ズリを後方に送り、ボーリングロッドのアニュラス部へ誘導し、切削ズリの円滑排出機能を有する請求項1、2の何れかの削孔用ビット。
- 当該フラットフェース部は、当該削孔用ビットの全投影断面積の1/3〜1/5を占める請求項1〜3の何れか1項の削孔用ビット。
- 当該スラントフェース部は、削孔軸に対して30〜60度で傾斜した略平面である請求項1〜4の何れか1項の削孔用ビット。
- 細径の可撓性ロッドを用いた自在ボーリングにおいて、曲線削孔を行う場合及び/または修正削孔を行う場合、当該スラントフェース部の略斜平面に作用する掘削抵抗反力により削孔方向を変化させる削孔方向制御機能を有する請求項1〜5の何れか1項の削孔用ビット。
- 削孔用ビットの内側には削孔軸方向に延在する中空部分が形成されている請求項1〜6の何れか1項の削孔用ビット。
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