JP2019127495A - 記録液セット、それを用いた画像形成方法、およびフィルム積層物の製造方法 - Google Patents

記録液セット、それを用いた画像形成方法、およびフィルム積層物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】インクの滲みを抑制し、かつ基材との密着性やラミネート強度に優れた画像形成物を付与しうる記録液セットを提供すること。【解決手段】光重合性基を有する水溶性樹脂と、樹脂粒子とを含む処理液と、顔料と水とを含み、光重合性化合物および光重合開始剤を実質的に含まないインクと、を有する、記録液セット。【選択図】なし

Description

本発明は、記録液セット、それを用いた画像形成方法、およびフィルム積層物の製造方法に関する。
インクジェット方式は、簡易かつ安価に画像を形成できることから、各種印刷分野で用いられている。インクジェット方式で用いられるインク(インクジェットインク)としては、環境負荷を低減できるなどの観点から、水および水系の溶剤を用いた水性インクが多く用いられている。
一方で、水性インクは、フィルムなどの非吸水性の基材に対しては吸収されにくいため、インクの滲みが生じたり、基材との密着性が得られにくかったりするという問題があった。
これに対し、特許文献1には、色剤、光重合性オリゴマーまたはモノマーのいずれか一方、および水性溶媒を少なくとも含むインク組成物と、重合開始剤、光重合性モノマーまたはオリゴマーのいずれか一方、および水性溶媒を少なくとも含む反応液とを接触させ、硬化反応させて、画像を形成する画像形成方法が開示されている。
特許文献2には、光重合性化合物、酸、および水を含む処理液と、着色剤、光重合開始剤および水を含む水性インクとからなるインクセットが開示されている。
特開2000−119574号公報 特開2014−237742号公報
しかしながら、特許文献1のインクは、少なくとも光重合性オリゴマーまたはモノマーのいずれかを含むため、これらの成分が意図しない反応を生じやすく、保存安定性や吐出安定性が低下しやすかった。また、インク組成物を非吸水性の基材に付与した後、反応液を重ねる場合は、反応液でインクを定着させる前に滲みが生じやすかった。
これに対し、特許文献2では、処理液が付与された基材上に、インクを付与する。処理液が付与された基材は、インクの吸収性が高められているため、インクの滲みをある程度は抑制できると考えられる。しかしながら、得られる画像は、基材に対する密着性が十分なものではなかった。また、得られた画像形成物にフィルムをさらに積層(ラミネート)する際に、画像から樹脂などが溶出しやすく、フィルムと画像形成物との間の接着強度(ラミネート強度)も十分なものではなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、インクの滲みを抑制し、かつ基材との密着性やラミネート強度に優れた画像形成物を付与しうる記録液セット、それを用いた画像形成方法およびフィルム積層物の製造方法を提供することを目的とする。
[1] 光重合性基を有する水溶性樹脂と、樹脂粒子とを含む処理液と、顔料と水とを含み、光重合性化合物および光重合開始剤を実質的に含まないインクと、を有する、記録液セット。
[2] 前記樹脂粒子の含有量は、前記光重合性基を有する水溶性樹脂と前記樹脂粒子の合計量に対して10質量%以上80質量%以下である、[1]に記載の記録液セット。
[3] 前記光重合性基を有する水溶性樹脂は、光重合性基がグラフトされたポリビニルアルコールである、[1]または[2]に記載の記録液セット。
[4] 前記光重合性基は、マレイミド基である、[1]〜[3]のいずれかに記載の記録液セット。
[5] 前記処理液は、顔料を凝集させる化合物をさらに含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の記録液セット。
[6] 前記顔料を凝集させる化合物は、多価金属塩または酸である、[5]に記載の記録液セット。
[7] 前記インクは、樹脂粒子を実質的に含まない、[1]〜[6]のいずれかに記載の記録液セット。
[8] フィルム基材上に、[1]〜[7]のいずれかに記載の記録液セットの処理液を塗布する処理液塗布工程と、前記処理液を乾燥させて、処理層を形成する処理液乾燥工程と、前記処理層上に、前記記録液セットのインクをインクジェット法により付与するインク付与工程と、前記付与したインクを乾燥させるインク乾燥工程と、前記付与したインクに活性光線を照射して、前記光重合性基を有する水溶性樹脂を硬化させる活性光線照射工程とを有する、画像形成方法。
[9] [8]に記載の画像形成方法で、フィルム基材上に画像を形成する画像形成工程と、前記画像上に接着剤層を介してフィルムを積層するフィルム積層工程とを有する、フィルム積層物の製造方法。
本発明によれば、インクの滲みを抑制し、かつ基材との密着性やラミネート強度に優れた画像形成物を付与しうる記録液セット、それを用いた画像形成方法およびフィルム積層物の製造方法を提供することができる。
本発明の記録液セットは、光重合性基を有する水溶性樹脂と、樹脂粒子とを含む処理液と;顔料と、水とを含み、光重合性化合物を含まないインクとを含む。それにより、インクの保存安定性や吐出安定性を損なうことなく、基材に対する画像の密着性やラミネート強度を高めることができる。
この理由は明らかではないが、以下のように推測される。本発明の記録液セットを用いた画像形成方法は、処理液を、基材上に塗布して処理層を形成した後、インクを付与して画像を形成する。処理層上にインクが付与されると、処理層に含まれる光重合性基を有する水溶性樹脂が、当該付与されたインク中に溶解および拡散して、インクを増粘させる。それにより、インクの滲みを抑制できる。
次いで、インクを乾燥させる過程で、処理層中の樹脂粒子を融着させつつ、付与されたインクに紫外線を照射することで、インク中に溶解および拡散した光重合性基を有する水溶性樹脂を硬化させることができる。それにより、基材に対する画像の密着性やラミネート強度を高めることができる。
このように、処理液に、光重合性基を有する水溶性樹脂と、樹脂粒子とを含有させることで、画像の密着性やラミネート強度を高めることができるため、インクに光重合性化合物を含有させる必要がない。それにより、保存中に光重合性化合物が反応することなどによる、インクの保存安定性や吐出安定性の低下を抑制することができる。本発明は、このような知見に基づいてなされたものである。
1.記録液セット
本発明の記録液セットは、処理液と、インクとを有する。
1−1.処理液
処理液は、光重合性基を有する水溶性樹脂と、樹脂粒子とを含む。
(光重合性基を有する水溶性樹脂)
光重合性基を有する水溶性樹脂は、側鎖に光重合性基を有する水溶性樹脂であってもよいし、主鎖に光重合性基を有する水溶性樹脂であってもよい。このような光重合性基を有する水溶性樹脂を処理液に用いることで、光重合性のモノマーや低分子オリゴマーに比べて、疎な架橋構造の形成が可能となる。それにより、後述する活性光線照射工程でのインクの硬化収縮を少なくすることができ、得られる画像形成物のカールやひび割れを抑制しうる。中でも、光重合性基を有する水溶性樹脂は、側鎖に光重合性基を有する水溶性樹脂であることが好ましい。
側鎖に光重合性基を有する水溶性樹脂は、水溶性樹脂に含まれる親水性基(例えばヒドロキシ基やカルボキシル基など)の少なくとも一部を、当該親水性基と反応する官能基(例えばアルコキシ基など)と光重合性基とを有する修飾化合物で変性した(反応させた)ものでありうる。
光重合性基を有する水溶性樹脂を構成する水溶性樹脂の例には、ポリビニルアルコール、ポリアルキレンオキサイド(例えばポリエチレンオキサイドなど)、ポリビニルピロリドン、水溶性ポリビニルアセタール、ポリ−N−ビニルアセトアミド、ポリアクリルアミド、ポリアクリロイルモルホリン、ポリヒドロキシアクリルアクリレート(例えばグリセリンモノメタクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート(共)重合体など)、ポリアクリル酸、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン、カゼインなどが含まれる。これらの樹脂は、共重合体であってもよい。
水溶性樹脂の重合度は、特に制限されないが、画像の密着性やラミネート強度を高める観点から、500以上であることが好ましく、1700以上であることがより好ましい。水溶性樹脂の重合度は、Gel Permeation Chromatography(GPC)により測定することができる。
光重合性基を有する水溶性樹脂を構成する光重合性基は、光二量化型、光分解型、光解重合型、光変性型、光重合型などの変性基でありうる。光重合性基の例には、(メタ)アクリレート基、マレイミド基、ジアゾ基、シンナモイル基、スチルバゾニウム基、スチルキノリウム基、(メタ)アクリルアミド基、スチリル基、ビニル基などが含まれる。
中でも、光重合性基を有する水溶性樹脂は、マレイミド基を有する水溶性樹脂であることが好ましい。光重合開始剤が存在しなくても、またはその量が少量であっても、活性光線の照射によって光重合が可能であるからである。また、マレイミド基を有する水溶性樹脂は、得られる画像形成物において、画像の密着性が改善される傾向にある。すなわち、光重合開始剤を使用すると、その光分解物が基材と処理液との界面に移行し、密着性に悪影響を及ぼすと推定されるが、マレイミド基は光重合性開始剤がなくても光重合が可能であるため、光重合開始剤を用いないことで、画像の密着性を向上させうるからであると考えられる。また、活性光線の照射によって生じる光重合開始剤の分解物による臭気や安全性の低下を抑制する観点からも、側鎖にマレイミド基を有する水溶性樹脂が好ましい。マレイミド基を有する水溶性樹脂は、水などへの溶解性が高いことなどから、マレイミド基を有するポリビニルアルコールであることがより好ましい。
光重合性基を有する水溶性樹脂(好ましくは側鎖にマレイミド基を有する水溶性樹脂)の具体例は、特に限定されないが、特開2009−221286号公報に記載の下記一般式(1)で表される、マレイミド基を有する水溶性樹脂が挙げられる。
Figure 2019127495
一般式(1)中、Rは、無置換もしくは置換された芳香族環、または炭素数1〜10の直鎖もしくは分岐アルキレン基を表す。Yは、下記一般式(2)から選択される基を表す。Xは、炭素数1〜8の直鎖または分岐アルキレン基を表し、nは、0〜10の整数を表す。Yは、下記一般式(3)から選択される基を表し、mは、0または1の整数を表す。Zは、無置換もしくは置換された芳香族環、あるいは炭素数1〜10の直鎖または分岐アルキレン基を表す。jは、1〜3の整数を表す。kは、0または1を表す。
Figure 2019127495
一般式(2)中、Rは、水素原子または炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐アルキル基を表す。Rは、水素原子または炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐アルキル基を表す。
Figure 2019127495
光重合性基を有する水溶性樹脂の光重合性基の含有量(変性量)は、水溶性樹脂に対して1%以上30%以下、好ましくは3%以上15%以下でありうる。光重合性基の含有量(変性量)が1%以上であると、光重合性が十分に得られやすく、30%以下であると、水溶性が損なわれにくい。
光重合性基を有する水溶性樹脂は、一種のみが含まれてもよく、二種以上が含まれてもよい。
光重合性基を有する水溶性樹脂の含有量は、特に制限されないが、処理液の固形分に対して10質量%以上80質量%以下であることが好ましい。光重合性基を有する水溶性樹脂の含有量が10質量%以上であると、処理層上にインクが付与された際のインクの滲みを十分に抑制しやすく、かつ得られる画像形成物における画像の密着性やラミネート強度(特にラミネート強度)を十分に高めやすく、80質量%以下であると、得られる画像形成物の伸縮によるカールを起きにくくし、プリント処理時のハンドリングし易く良好なプリント品質が得られやすい。光重合性基を有する水溶性樹脂の含有量は、特に制限されないが、処理液の固形分に対して30質量%以上70質量%以下であることが好ましい。
(樹脂粒子)
樹脂粒子は、水分散性(非水溶性)の熱可塑性樹脂で構成された粒子である。そのような樹脂粒子は、得られる画像形成物に耐水性を付与しつつ、画像の密着性やラミネート強度を高めうる。
樹脂粒子は、特に限定されないが、ポリウレタン構造を有する樹脂粒子(以下、ポリウレタン樹脂粒子と略記することもある)、ポリオレフィン構造を有する樹脂粒子(以下、ポリオレフィン樹脂粒子と略記することもある)、アクリル樹脂粒子などが挙げられる。中でも、画像の密着性とラミネート強度をさらに向上させやすい観点から、ポリウレタン樹脂粒子およびポリオレフィン樹脂粒子が好ましい。
ポリウレタン樹脂粒子は、好ましく用いられる、顔料を凝集させる化合物との相溶性の観点から、カチオン性またはノニオン性のポリウレタン樹脂粒子であることが好ましい。カチオン性のポリウレタン樹脂粒子の例には、第一工業製薬株式会社製の「スーパーフレックス620」および「スーパーフレックス650」(「スーパーフレックス」は同社の登録商標)、三洋化成工業株式会社製の「パーマリンUC−20」(「パーマリン」は同社の登録商標)、大原パラヂウム化学株式会社製の「パラサーフUP−22」などが挙げられる。ノニオン性のポリウレタン樹脂微粒子の例には、第一工業製薬株式会社製の「スーパーフレックス500M」および「スーパーフレックスE−2000」などを挙げることができる。
ポリオレフィン樹脂粒子は、レトルトなど耐熱性が求められる用途でも密着性が得られやすい観点から、ポリプロピレン樹脂粒子であることが好ましい。ポリオレフィン樹脂粒子、特にポリプロピレン樹脂粒子は、ポリエチレンやポリプロピレンなどの疎水的なフィルム基材に対する画像の密着性をさらに向上させうる。ポリオレフィン樹脂粒子は、塩素原子やカルボキシル基などの極性基をさらに有していてもよい。
ポリオレフィン樹脂粒子の例には、日本製紙社製の「スーパークロンE−415」(「スーパークロン」は同社の登録商標)(ポリプロピレン樹脂粒子)、日本製紙社製の「アウローレンAE−301」(「アウローレン」は同社の登録商標)(ポリオレフィン樹脂粒子)などの市販品を用いることができる。
樹脂粒子は、一種のみが含まれてもよく、二種以上が含まれてもよい。例えば、ポリオレフィン樹脂粒子と、ポリオレフィン樹脂粒子とを併用してもよい。
樹脂粒子の平均粒子径は、10nm以上10μm以下であることが好ましく、10nm以上1μm以下であることがより好ましく、10nm以上500nm以下であることがさらに好ましく、10nm以上300nm以下であることがさらに好ましく、10nm以上200nm以下であることがさらに好ましい。樹脂粒子の平均粒子径の測定は、動的光散乱法、電気泳動法などを用いた市販の粒径測定機器で測定することができるが、測定が簡便で、かつ該粒子径領域を精度よく測定できる観点から、動的光散乱法で測定することが好ましい。
樹脂粒子の含有量は、光重合性基を有する水溶性樹脂と樹脂粒子の合計量に対して10質量%以上80質量%以下であることが好ましい。樹脂粒子の含有比率が10質量%以上であると、特に高湿下での画像の密着性を高めやすく、80質量%以下であると、(光重合性基を有する水溶性樹脂による硬化作用が得られやすいため)特にラミネート強度を高めやすい。樹脂粒子の含有量は、高湿下での画像の密着性をさらに高める観点では、光重合性基を有する水溶性樹脂と樹脂粒子の合計量に対して50質量%以上80質量%以下であることが好ましく、ラミネート強度をさらに高める観点では、光重合性基を有する水溶性樹脂と樹脂粒子の合計量に対して20質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。
光重合性基を有する水溶性樹脂と樹脂粒子の合計含有量は、特に制限されないが、処理液の固形分に対して60質量%以上100質量%以下であることが好ましい。光重合性基を有する水溶性樹脂と樹脂粒子の合計含有量が60質量%以上であると、得られる画像形成物における画像の密着性やラミネート強度(特にラミネート強度)を十分に高めやすい。光重合性基を有する水溶性樹脂と樹脂粒子の合計含有量は、インクの滲みを一層抑制しやすくし、かつ画像の密着性やラミネート強度を一層高めやすくする観点では、処理液の固形分に対して70質量%以上85質量%以下であることがより好ましい。
(光重合開始剤)
処理液は、光重合性基を有する水溶性樹脂の種類によっては、光重合開始剤をさらに含むことが好ましい。
光重合開始剤は、光重合性基を有する水溶性樹脂における光重合性基が、ラジカル重合性基であるときは光ラジカル開始剤であり、カチオン重合性基であるときは光酸発生剤である。前述の通り、光重合性基を有する水溶性樹脂における光重合性基は、ラジカル重合性基であることが好ましいことから、光重合開始剤は、光ラジカル開始剤であることが好ましい。
光ラジカル開始剤は、開裂型ラジカル開始剤または水素引き抜き型ラジカル開始剤でありうる。
開裂型ラジカル開始剤の例には、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン及び2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノンを含むアセトフェノン系の開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテルを含むベンゾイン系の開始剤、2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシドを含むアシルホスフィンオキシド系の開始剤、ベンジル並びにメチルフェニルグリオキシエステルが含まれる。
水素引き抜き型ラジカル開始剤の例には、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン及び3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンを含むベンゾフェノン系の開始剤、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン及び2,4−ジクロロチオキサントンを含むチオキサントン系の開始剤、ミヒラーケトン及び4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノンを含むアミノベンゾフェノン系の開始剤、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン並びにカンファーキノンが含まれる。
光重合開始剤の含有量は、光重合性を有する水溶性樹脂を十分に硬化させうる範囲であればよく、光重合性を有する水溶性樹脂の全質量に対して5質量%以上30質量%以下であることが好ましい。
(顔料を凝集させる化合物)
処理液は、インクに含まれる顔料を凝集させる化合物をさらに含むことが好ましい。顔料を凝集させる化合物を含む処理液から得られる処理層は、インクを付与した際に、インク中の顔料を凝集させることにより、高速な印刷時にも滲みの発生を一層抑制しうる。
顔料を凝集させる化合物としては、インクに含まれる顔料がアニオン性の分散顔料である場合、酸またはカチオン性化合物であることが好ましい。
酸は、pH変動によってインク中のアニオン性の分散顔料を凝集させることができる。酸の例には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、シュウ酸、フマル酸、リンゴ酸、クエン酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、安息香酸、2−ピロリドン−5−カルボン酸、乳酸、アクリル酸またはその誘導体、メタクリル酸またはその誘導体、アクリルアミドまたはその誘導体、スルホン酸誘導体、リン酸またはその誘導体などが含まれる。中でも、無機酸よりも有機酸を用いることが好ましい。有機酸を用いることによって、処理液を構成する樹脂等の他の成分との相溶性を向上でき、さらに得られる処理層を乾燥させても塩になりにくいため、透明性に優れる効果も得られやすい。
カチオン性化合物は、塩析によってインク中のアニオン性の分散顔料を凝集させることができる。カチオン性化合物の例には、多価金属塩やカチオン性界面活性剤またはカチオン性樹脂などが含まれる。多価金属塩の例には、カルシウム塩(塩化カルシウム2水和物など)、マグネシウム塩、アルミニウム塩、亜鉛塩等の水溶性の塩が含まれる。カチオン性界面活性剤(陽イオン性界面活性剤ともいう)の例には、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩などが含まれる。カチオン性樹脂としては、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリドなどが含まれる。
中でも、顔料を凝集させる化合物は、多価金属塩または酸であることが好ましい。多価金属塩または酸を含む処理液が活性光線の照射により硬化することで、顔料を凝集させる化合物の使用時に発生しやすいひび割れを効果的に抑制することができると考えられる。
顔料を凝集させる化合物は、一種を単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
顔料を凝集させる化合物の含有量は、特に制限されないが、多価金属塩の場合は、処理液中の固形分に対して10質量%以上30質量%以下であることが好ましい。顔料を凝集させる化合物の含有量が10質量%以上であると、滲みをより一層抑制しやすく、30質量%以下であると、ラミネート時の硬化性が損なわれにくいだけでなく、ひび割れを効果的に抑制しやすい。酸の含有量は、処理液がpKa未満となるような量であればよい。顔料を凝集させる化合物の含有量は、多価金属塩である場合はICP発光分析で、酸である場合は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で、それぞれ測定することができる。
(その他の成分)
処理層は、本発明の効果を損なわない範囲で、界面活性剤、架橋剤、防黴剤、殺菌剤などの他の成分をさらに含みうる。
1−2.インク
次に、画像を構成するインクについて説明する。インクとしては、色材として顔料と、水とを含む。
(顔料)
顔料としては、特に限定されず、水分散性顔料、溶剤分散性顔料のいずれも使用可能である。顔料の例には、不溶性顔料、レーキ顔料などの有機顔料、あるいは酸化チタンやカーボンブラックなどの無機顔料が含まれる。
不溶性顔料は、特に限定されないが、例えば、アゾ、アゾメチン、メチン、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、キナクリドン、アントラキノン、ペリレン、インジゴ、キノフタロン、イソインドリノン、イソインドリン、アジン、オキサジン、チアジン、ジオキサジン、チアゾール、フタロシアニン、ジケトピロロピロールなどが好ましい。
有機顔料は、特に限定されないが、例えば、以下のものを好ましく例示できる。
イエローまたはオレンジなどに用いる顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー15:3、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー155などが挙げられる。
マゼンタまたはレッドなどに用いる顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド222、C.I.ピグメントバイオレット19などが挙げられる。
シアンまたはグリーンなどに用いる顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7などが挙げられる。
ブラックなどに用いる顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック6、C.I.ピグメントブラック7などが挙げられる。
白色に用いる顔料としては、例えば、酸化チタンが挙げられる。
中でも、顔料は、アニオン性の分散顔料であることが好ましい。アニオン性の分散顔料としては、例えば、表面にアニオン性基を導入した顔料や、アニオン性基を有する顔料分散剤によって分散された顔料などを挙げることができる。
アニオン性基の例には、カルボキシル基、スルホン酸基などが含まれる。また、アニオン性基は、アルカリ中和されていることが好ましい。アニオン性基を中和するアルカリの例には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウムなどの金属塩基化合物や、アンモニアや、トリエチルアミン、ピリジン、モルホリンなどの有機アミンや、モノエタノールアミンなどのアルカノールアミンなどが含まれる。
インク中に分散した状態における、顔料の平均粒子径は、50nm以上200nm以下であることが好ましい。これにより、顔料の分散安定性を向上でき、インクの保存安定性を向上できる。顔料の平均粒子径は、樹脂粒子の平均粒子径と同様の方法で測定することができる。
これらの顔料は、例えば、顔料分散剤によりインク中に分散させた状態で存在させて使用することができる。
顔料分散剤は、酸価を有する高分子分散剤(樹脂分散剤ともいう)であることが好ましい。顔料分散剤の酸価は、特に制限されないが、50mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であることが好ましい。
酸価は、JIS K 0070に準じて測定することができる。具体的には、フーリエ変換赤外分光光法(FT−IR)やHNMR、またはガスクロマトグラフィー−質量分析法(GC/MS)などによって顔料分散剤の種類を特定し、同一の顔料分散剤の酸価をJIS K 0070に準じて測定すればよい。
顔料分散剤の例には、アクリル系分散剤が含まれる。アクリル系分散剤は、ポリ(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸共重合体から選択される一種または複数種を好適に用いることができる。
アクリル系分散剤は、モノマー成分として、(メタ)アクリル酸を含む。アクリル系分散剤として、(メタ)アクリル酸の重合体(即ち、ポリ(メタ)アクリル酸)、あるいは必要に応じてスチレンなどの他のモノマー成分を共重合した共重合体(即ち、(メタ)アクリル酸共重合体)を好適に用いることができる。
アクリル系分散剤の例には、BASF社製の「ジョンクリル819」(「ジョンクリル」は同社の登録商標)(酸価75mgKOH/g)、「ジョンクリル67」(酸価213mgKOH/g)などの市販品を用いることができる。顔料分散剤は、1種を単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
分散機としては、従来公知のボールミル、サンドミル、ラインミル、高圧ホモジナイザーなどを使用できる。中でも、サンドミルによって顔料を分散させると、粒度分布がシャープとなるため好ましい。また、サンドミル分散に使用するビーズの材質は、特に制限されないが、ビーズ破片の生成やイオン成分のコンタミネーションを防止する観点から、ジルコニアまたはジルコンであることが好ましい。さらに、このビーズ径は、0.3mm以上3.0mm以下であることが好ましい。
顔料の含有量は、特に制限されないが、無機顔料についてはインクの全質量に対して7質量%以上18質量%以下であることが好ましく、有機顔料についてはインクの全質量に対して0.5質量%以上7質量%以下であることが好ましい。
(その他の成分)
インクは、本発明の効果を損なわない範囲で、水溶性有機溶剤や、界面活性剤などの添加剤をさらに含んでいてもよい。
(水溶性有機溶剤)
水溶性有機溶剤の例には、1価アルコール類、グリコール類(2価アルコール類)、3価アルコール類、グリコールエーテル類、アセテート類、アミン類、アミド類などを好ましく挙げることができる。
1価アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノールなどを好ましく挙げることができる。
グリコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、エチレンオキサイド基の数が5以上のポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、プロピレンオキサイド基の数が4以上のポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、チオジグリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、3−メチル−2,4−ペンタンジオールなどを好ましく挙げることができる。
3価アルコール類としては、例えば、グリセリン、ヘキサントリオールなどを好ましく挙げることができる。
グリコールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル、トリプロピレングリコールジブチルエーテル等を好ましく挙げることができる。
アセテート類としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテートなどを好ましく挙げることができる。
アミン類としては、例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等を好ましく挙げることができる。
アミド類としては、例えば、2−ピロリジノン、ジメチルイミダゾリジノン、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどを好ましく挙げることができる。これらの水溶性有機溶剤は、1種を単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
中でも、処理層に含まれる樹脂粒子がポリオレフィン樹脂粒子である場合、インク中に含有する最も多い水溶性有機溶剤はグリコール類であることが好ましい。それにより、必要以上に処理層に含まれる樹脂粒子などを膨潤、溶解させることを抑制し、良好な密着性を得ることができる。ここで、インク中に含まれる最も多い水溶性有機溶剤は、インクが溶剤を複数種含有するのであればインク中で最も配合量(質量ベース)が大きい水溶性有機溶剤を指し、インクが1種の水溶性有機溶剤を単独で含有するのであれば当該水溶性有機溶剤を指す。
(界面活性剤)
インクは、吐出性向上や濡れ性向上のため、界面活性剤を含んでいることが好ましい。界面活性剤は格別限定されず、例えば、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤などを挙げることができる。
陽イオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩などを好ましく挙げることができる。
陰イオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸石鹸、N−アシル−N−メチルグリシン塩、N−アシル−N−メチル−β−アラニン塩、N−アシルグルタミン酸塩、アシル化ペプチド、アルキルスルフォン酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルメチルタウリン、硫酸化油、高級アルコール硫酸エステル塩、第2級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、第2級高級アルコールエトキシサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、モノグリサルフェート、脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩などを好ましく挙げることができる。
両性界面活性剤としては、例えば、カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタインなどを好ましく挙げることができる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン2級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアミンオキサイド、アセチレングリコール、アセチレンアルコールなどを好ましく挙げることができる。
これらの界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。インクにおける界面活性剤の含有量は、格別限定されないが、0.1質量%以上5.0質量%以下の範囲であることが好ましい。
インクは、処理液に関して説明した光重合性化合物、光重合開始剤および樹脂粒子を実質的に含まないことが好ましい。実質的に含まないとは、光重合性化合物、光重合開始剤および樹脂粒子の含有量が、インク質量に対してそれぞれ5質量%以下であることを意味する。光重合性化合物、光重合開始剤および樹脂粒子の含有量は、それぞれ、より好ましくはインク質量に対して3質量%以下であり、最も好ましくはインク質量に対して2質量%以下である。これにより、インクジェット法におけるインク射出特性を安定化させ、ノズルの目詰りも良好に防止できる効果が得られる。
なお、光重合性化合物とは、光の照射により重合または架橋する化合物である。光重合性化合物は、ラジカル重合性化合物であってもよいし、カチオン重合性化合物であってもよく、好ましくはラジカル重合性化合物である。ラジカル重合性化合物は、例えばラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物(モノマー、オリゴマー、ポリマーあるいはこれらの混合物)であり、その代表的な例には、(メタ)アクリレートなどが含まれる。光重合性化合物には、モノマーだけでなく、オリゴマー、ポリマーや、これらの混合物、変性物、重合性官能基を有するオリゴマー、ポリマーなども含まれる。
2.画像形成方法
本発明の画像形成方法は、1)前述の記録液セットの処理液を、フィルム基材上に塗布する処理液塗布工程と、2)フィルム基材上に塗布された処理液を乾燥させて処理層を形成する処理液乾燥工程と、3)処理層上に、前述の記録液セットのインクを、インクジェット法により付与するインク付与工程と、4)処理層上に付与されたインクを乾燥させるインク乾燥工程と、5)処理層上に付与されたインクに、活性光線を照射してインクおよび処理層に含まれる光重合性基を有する水溶性樹脂を硬化させる活性光線照射工程とを有する。なお、4)の工程(インク乾燥工程)と5)の工程(活性光線照射工程)は、この順で行ってもよいし、5)の工程(活性光線照射工程)の後、4)の工程(インク乾燥工程)を行ってもよいし、4)の工程(インク乾燥工程)と5)の工程(活性光線照射工程)とを同時に行ってもよい。
2−1.処理液塗布工程について
処理液塗布工程では、フィルム基材上に、前述の記録液セットの処理液を塗布する。
(フィルム基材)
フィルム基材は、特に制限されないが、インク非吸収性またはインク微吸収性のフィルム基材であることが好ましい。フィルム基材を構成する樹脂の例には、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、ナイロンなどのポリアミド、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリ乳酸などの生分解性樹脂が挙げられる。特に、ポリオレフィンフィルム、ポリエチレンフィルム、ナイロンフィルムなどが好ましい。
フィルム基材は、未延伸フィルムまたは延伸フィルムのいずれであってもよく、1軸または2軸方向に延伸された延伸フィルムであることが好ましい。
フィルム基材は、コロナ放電処理やオゾン処理、低温プラズマ処理、フレーム処理、グロー放電処理などの表面処理が施されていてもよい。画像の密着性とラミネート強度を高めやすくする観点では、フィルム基材の表面は、コロナ放電処理されていることが好ましい。コロナ処理されたフィルム表面の濡れ張力は、45mN/m以上70mN/m以下であることが好ましく、50mN/m以上60mN/m以下であることがより好ましい。また、フィルム基材は、帯電防止加工や防曇加工が施されていてもよい。
フィルム基材上への処理液の塗布方法は、特に限定されないが、例えばローラー塗布法、カーテン塗布法、スプレー塗布法、インクジェット法などを好ましく挙げることができる。中でも、ローラー塗布機などをインクジェット装置に連結して用いることができ、粘度が比較的高い処理液でも効率よく塗布できる観点などから、ローラー塗布法が好ましい。
2−2.処理液乾燥工程について
処理液乾燥工程では、フィルム基材上に塗布された処理液を乾燥させて、処理層を形成する。
処理液の乾燥は、処理液の溶媒成分である水や水溶性有機溶剤などを除去しつつ、処理液に含まれる樹脂粒子が完全には融着しないような条件で乾燥を行うことが好ましい。それにより、得られる処理層は、さらなる成膜の進行の余地を残した状態(不完全な成膜状態)となる。不完全な成膜状態とは、加熱によって樹脂粒子を溶融させず、微粒子としての形状を残している状態であるか、または樹脂粒子が溶融していたとしても、樹脂が完全に混和または硬化する前の状態をいう。このように、得られる処理層が不完全な成膜状態であることにより、インクジェット法によって付与されるインクが浸透しやすく、付与されたインク間での滲みが防止されるものと推定される。処理液の乾燥温度は、例えば50℃以上100℃以下としうる。処理液の乾燥時間は、例えば3秒以上30秒以下としうる。
処理液の乾燥は、例えば、乾燥炉や熱風送風機などのような非接触加熱型の乾燥装置を用いて行ってもよいし、ホットプレートや熱ローラーなどのような接触加熱型の乾燥装置を用いて行ってもよい。
乾燥温度は、(a)乾燥炉や熱風送風機等のような非接触加熱型の乾燥装置を用いる場合には、炉内温度または熱風温度などのような雰囲気温度、(b)ホットプレートや熱ローラーなどのような接触加熱型の乾燥装置を用いる場合には、接触加熱部の温度、あるいは、(c)被乾燥面の表面温度から選ばれるいずれか1つを処理液の乾燥の全期間において測定することで得ることができ、測定場所としては(c)被乾燥面の表面温度を測定することがより好ましい。
得られる処理層の厚みは、0.3μm以上3.0μm以下であることが好ましい。処理層の厚みが0.3μm以上であると、インクの滲みを抑制しつつ、画像の密着性やラミネート強度を高めやすい。処理層の厚みが3.0μm以下であると、水分や熱による変形応力を低減できるので、画像の密着性やラミネート強度が損なわれにくい。処理層の厚みは、0.5μm以上2μm以下であることがより好ましい。
2−3.インク付与工程について
インク付与工程では、フィルム基材上に、前述の記録液セットのインクを、インクジェット法により付与する。
インクジェット法は、特に制限されず、インクを装填したインクジェットヘッドを備えるプリンターを用いることができる。具体的には、デジタル信号に基づいてインクジェットヘッドのノズルからインクを液滴として吐出させ、これをフィルム基材の処理層上に着弾させて印字を行うことができる。
インクジェットヘッドは、オンデマンド方式、コンティニュアス方式のいずれであってもよい。インクジェットヘッドの液滴吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(「バブルジェット」はキヤノン社の登録商標)型など)、いずれの方式を用いてもよい。特に、電気−機械変換方式に用いられる電気−機械変換素子として圧電素子を用いたインクジェットヘッド(ピエゾ型インクジェットヘッドともいう)が好適である。
2−4.インク乾燥工程について
インク乾燥工程では、フィルム基材上に付与されたインクを乾燥させる。
インクの乾燥は、主にインクの溶媒成分である水や水溶性有機溶剤などを除去しつつ、処理層中の樹脂粒子を適度に溶融または融着させつつ、処理層からインクへの光重合性基を有する水溶性樹脂の溶出を促進させうる程度に行うことが好ましい。すなわち、樹脂粒子を適度に溶融または融着させつつも、不完全な成膜状態を維持するように行うことが好ましい。それにより、処理層上にインクが付与された際に、光重合性基を有する水溶性樹脂がインク中に溶出しやすいため、インクを増粘させやすく、滲みを抑制しやすい。また、インクにより形成される画像の密着性を高めることができ、さらにはフィルムをラミネート(熱圧着)した際のラミネート強度を高めることができる。
インクの乾燥温度は、例えば50℃以上100℃以下としうる。インクの乾燥時間は、例えば3秒以上30秒以下としうる。
インクの乾燥は、前述の処理液の乾燥と同様の方法で行うことができる。また、インクの乾燥温度も、前述の処理液乾燥工程での乾燥温度と同様に測定することができる。
2−5.活性光線照射工程について
活性光線照射工程では、処理層上に付与されたインクに活性光線を照射する。それにより、インクまたは処理層に含まれる、光重合性基を有する水溶性樹脂を硬化させて、画像を形成する。
活性光線の照射は、インク中に溶出した(顔料の近傍まで移動した)光重合性基を有する水溶性樹脂が十分に光硬化するような条件で行うことが好ましい。
活性光線は、特に限定されず、電子線、紫外線、α線、γ線、およびエックス線のいずれであってもよいが、中でも、紫外線が好ましい。活性光線の照射量は、インクや処理層に含まれる光重合性基を有する水溶性樹脂を十分に硬化させうる程度であればよい。
以上のように、処理液乾燥工程では、処理液に含まれる樹脂粒子が完全には融着しないような条件で乾燥を行う。それにより、得られる処理層は、インクジェット法によって付与されるインクが浸透しやすく、付与されたインク間での滲みが防止されるものと推定される。特にインクが高速で付与されるシングルパス方式においても、処理層に対するインクの浸透が早いために、滲みを抑制することができる。
一方で、インク乾燥工程では、処理層中の樹脂粒子を適度に融着させつつ、処理層中の光重合性基を有する水溶性樹脂のインクへの移動を促進するような条件で乾燥を行う。それにより、インクをフィルム基材に定着させやすくしつつ、処理層中の光重合性基を有する水溶性樹脂のインクへの移動が促進され、光重合性基を有する水溶性樹脂が顔料の近傍まで移動しやすい。
さらに、処理層にインクを付与した後の活性光線照射工程では、インク中に溶出した(顔料の近傍まで移動した)光重合性基を有する水溶性樹脂が十分に光硬化するような条件で活性光線の照射を行う。それにより、光重合性基を有する水溶性樹脂が活性光線の照射により十分に硬化しうるので、画像の密着性およびラミネート強度が高まるものと推定される。
それにより、画像の滲みを防止しつつ、密着性とラミネート強度を高めることができる。
このように、本発明の画像形成方法で得られる画像形成物は、画像中の光重合性基を有する水溶性樹脂が十分に硬化されており、画像の密着性が高い。それにより、ラミネート時などにおいて、熱や水または接着剤による当該水溶性樹脂の拡散や溶解を抑制しやすいため、高い接着強度(ラミネート強度)を有するライネート積層物が得られやすい。したがって、本発明の画像形成方法で得られる画像形成物は、ラミネート用途に適している。
3.フィルム積層物
本発明のフィルム積層物は、前述の画像形成物と、接着剤層と、フィルム層とを有する。
フィルム層は、特に制限されず、各種フィルムでありうる。接着剤層は、画像形成物の画像面とフィルム層との間に配置されており、これらを接着させるものであればよい。
そのようなラミネート積層物は、1)フィルム基材上に、前述の画像形成方法で画像形成層を形成する工程と、2)得られた画像形成層上に、接着剤層を介してフィルムを積層する工程とを有する。
フィルムの積層方法は、特に限定されず、一般的に用いられている接着剤塗布型のドライラミネートや、溶融樹脂を用いた押出しラミネートなどが好ましく適用できる。特にレトルトやボイル用途に適したドライラミネートにおいて、本発明の記録液セットや画像形成方法を用いることにより、高いラミネート強度が得られやすい。
ドライラミネート法には、ポリオールとポリイソシアネートの2液硬化系接着剤を有機溶剤で希釈して塗布乾燥後にフィルムを貼り合せて接着するソルベントタイプと、有機溶剤を使用せず加熱による粘度制御により塗布する所謂ノンソルベントタイプ、水性エマルジョンを接着剤に用いて塗布乾燥して用いる水性タイプとがあり、いずれも適用可能である。特に強い接着性が求められる用途には、ソルベントタイプ、ノンソルベントタイプを特に好ましく適用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.光重合性基を有する水溶性樹脂の調製
<光重合性基を有する水溶性樹脂1の調製>
2Lセパラブルフラスコに、鹸化率88%、重合度1700のポリ酢酸ビニルの鹸化物を118g、イオン交換水を530g入れ、90℃で加熱撹拌し、ポリ酢酸ビニルの鹸化物を溶解させた。この溶液を60℃まで冷却した後、イソプロピルアルコールを175g、下記修飾化合物1を6.4g、リン酸を6.2g加え、10時間撹拌した。反応溶液を45℃まで冷却し、イオン交換樹脂(ダイヤイオンWA20、三菱化学社製)70gを加え、12時間撹拌した。その後、イオン交換樹脂をろ過し、ポリ酢酸ビニルの鹸化物を主鎖とする、光重合性基を有する水溶性樹脂1の15質量%水溶液を得た。
(修飾化合物1)
Figure 2019127495
<光重合性基を有する水溶性樹脂2の調製>
1Lのセパラブルフラスコに、鹸化率88%、重合度1700のポリ酢酸ビニルの鹸化物を77g、イオン交換水を360g入れ、90℃で加熱撹拌し、ポリ酢酸ビニルの鹸化物を溶解させた。この溶液を60℃まで冷却した後、イソプロピルアルコールを120g、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシルを50mg、下記修飾化合物2を7.7g、リン酸を4.2g加え、8時間撹拌した。反応溶液を45℃まで冷却し、イオン交換樹脂(ダイヤイオンWA20、三菱化学社製)50gを加え、18時間撹拌した。その後、イオン交換樹脂をろ過し、ポリ酢酸ビニルの鹸化物を主鎖とする、光重合性基を有する水溶性樹脂2の15質量%水溶液を得た。
(修飾化合物2)
Figure 2019127495
<光重合性基を有する水溶性樹脂3の調製>
窒素気流下で、1Lのセパラブルフラスコにグリセリンモノメタクリレートを66g、メチルアクリレートを10g、イオン交換水を60g、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを20g入れ、80℃に加熱した。アゾビスイソブチロニトリル2gを1時間かけて添加し、さらに5時間加熱撹拌を続けた。その後、アゾビスイソブチロニトリル0.2gをさらに加え、85℃に昇温して1時間加熱した。
得られた高分子化合物の溶液を60℃まで冷却し、イオン交換水を300g、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを100g、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシルを50mg、修飾化合物1を8.7g、リン酸を4.2g加え、15時間撹拌した。反応溶液を45℃まで冷却し、イオン交換樹脂(ダイヤイオンWA20、三菱化学社製)50gを加え、24時間撹拌した。その後、イオン交換樹脂をろ過し、主鎖に沿って1,2−ジオール基を複数有したアクリル共重合体を主鎖として有する、光重合性基を有する水溶性樹脂3の15質量%水溶液を得た。
2.記録液セットの調製
(1)処理液の調製
<処理液1の調製>
光重合性基を有する水溶性樹脂1の15質量%水溶液を46.7質量部、光重合開始剤としてBASF社製のIRGACURE2959を1質量部、樹脂粒子1の分散液を23.3質量部[第一工業製薬株式会社製、スーパーフレックス620、平均粒子径20nm、不揮発分30質量%(カチオン性ポリウレタンエマルジョン)]、顔料を凝集させる化合物として酢酸カルシウム一水和物の15質量%水溶液を18質量部、イオン交換水(残部:全量が100質量部となる量)を、撹拌しながら順次添加した後、5.0μmのフィルターによりろ過して、処理液1を得た。なお、ろ過前後で、実質的な組成変化はなかった。
<処理液2および3の調製>
光重合性基を有する水溶性樹脂1の水溶液を、光重合性基を有する水溶性樹脂2または3の水溶液に変更した以外は処理液1と同様にして処理液2および3を得た。
<処理液4の調製>
樹脂粒子分散液を添加せず、かつ光重合開始剤を添加しなかった以外は処理液2と同様にして処理液4を得た。
<処理液5の調製>
光重合性開始剤を添加しなかった以外は処理液2と同様にして処理液5を得た。
<処理液6の調製>
光重合性基を有する水溶性樹脂2の水溶液を、光重合性基を有する水溶性樹脂1の水溶液に変更した以外は処理液1と同様にして処理液6を得た。
<処理液7の調製>
酢酸カルシウム一水和物の15質量%水溶液を添加しなかった以外は処理液5と同様にして処理液7を得た。
<処理液8の調製>
光重合性基を有する水溶性樹脂2の水溶液を、光重合性基を有する水溶性樹脂3の水溶液に変更した以外は処理液7と同様にして処理液8を得た。
<処理液9の調製>
酢酸カルシウム一水和物の15質量%水溶液を添加せず、マロン酸3gを添加した以外は処理液5と同様にして処理液9を得た。
<処理液10の調製>
光重合性樹脂2の15質量%水溶液を、鹸化率88%、重合度1700のポリ酢酸ビニル鹸化物の15質量%水溶液に変更した以外は処理液5と同様にして処理液10を得た。
<処理液11の調製>
光重合性樹脂2の15質量%水溶液を添加しなかった以外は処理液5と同様にして処理液11を得た。
<処理液12の調製>
光重合性樹脂1を荒川化学工業株式会社製EM−90(ウレタンアクリレートエマルジョン、不揮発分40質量%)に変更して17.5質量部添加した以外は処理液1と同様にして処理液12を得た。
<処理液13の調製>
光重合性樹脂2の15質量%水溶液を42.0質量部、樹脂粒子の分散液を2.3質量部に変更した以外は処理液5と同様にして処理液13を得た。
<処理液14の調製>
光重合性樹脂2の15質量%水溶液を18.7質量部、樹脂粒子の分散液を37.3質量部に変更した以外は処理液5と同様にして処理液14を得た。
<処理液15の調製>
樹脂粒子1の分散液を樹脂粒子2の分散液[第一工業製薬株式会社製、スーパーフレックス500M、平均粒子径140nm、不揮発分40質量%(ノニオン性ポリウレタンエマルジョン)]に変更し、添加量を17.5質量部に変更した以外は処理液5と同様にして処理液15を得た。
<処理液16の調製>
樹脂粒子1の分散液を樹脂粒子3の分散液[日本製紙株式会社製スーパークロンE415、不揮発分25質量%(塩素化ポリオレフィンエマルジョン)]に変更し、添加量を28.0質量部に変更した以外は処理液5と同様にして処理液16を得た。
(2)インクの調製
<インク1の調製>
顔料分散剤としてスチレン−アクリル酸共重合体(BASF社製の「ジョンクリル678」、分子量8500、酸価215)4.5質量%、25%アンモニア水溶液1.25質量%、顔料としてDIC社製の「GNKA−SD」(ピグメントブルー15:3)15質量%、残部としてイオン交換水を加えた混合液をプレミックスした後、0.5mmのジルコニアビーズを体積率で50%充填したサンドグラインダーを用いて分散し、顔料の含有量が15質量%のシアン顔料分散体(単に顔料分散体ともいう)を得た。この顔料分散体に含まれる顔料粒子の、動的光散乱法によって測定した平均粒子径は、122nmであった。
得られた顔料分散体29.8質量部、エチレングリコール15.0質量部、プロピレングリコール10.0質量部、シリコーン系界面活性剤(信越化学工業製、KF−351A)0.3質量部、イオン交換水(残部)の量により100質量部に調整し、混合撹拌した。十分に撹拌した後、5.0μmのフィルターにより濾過してインクを得た。なお、濾過前後でインクに実質的な組成変化はなかった。
3.画像形成方法
<試験1>
(1)処理液塗布工程
上記調製した処理液1を、フィルム基材としてのコロナ処理済ポリエステルフィルム(フラムラ化学社製のFE2001、厚さ25μm)上に、ワイヤーバーを用いて、湿潤膜厚10μmの条件にて塗布した。
(2)処理液乾燥工程
次いで、フィルム基材上に塗布された処理液を80℃の熱風で15秒乾燥させて、処理層を形成した。乾燥後の処理層について、その断面をSEMにより観察し、膜厚を求めた。膜厚は1.2μmであった。
(3)インク付与工程
本工程では、シングルパス方式(1パス印字)による画像形成を行った。
具体的には、コニカミノルタ社製の独立駆動インクジェットヘッド(360dpi、吐出量14pL)2つをノズルが互い違いになるように並設して、720dpi×720dpiの画像をシングルパス方式で印刷できるヘッドモジュールを作成した。
かかるヘッドモジュールを2つ用意し、フィルム基材を搬送する搬送ステージの搬送方向に沿って並設した。各ヘッドモジュールは、搬送方向(搬送ステージの移動軸)と交差するように設置した。このようにして、フィルム基材を1回パスさせる際に、印字率200%、即ち2色分のインク付量(22.5cc/m)を印刷できるようにした。
そして、搬送ステージ上にフィルム基材をセットし、50m/分、20m/分および5m/分の速度でそれぞれ搬送を行い、フィルム基材がヘッド下を通過する際に、シングルパス方式で画像を形成した。
画像の形成は、上記調製したインク1を用いて、インク付量22.5cc/mの7cm四方のベタ中にサイズ6ポイントの文字を抜き文字として配置した画像を形成した。
(4)インク乾燥工程および処理層の活性光線照射工程
得られた画像形成物を、80℃の温風で15秒間乾燥させた。次いで、ベルトコンベア上に設置したLEDランプ(浜松ホトニクス社製385nm、画像形成物とランプの距離2mm、最大出力3800mW/cm(浜松ホトニクス社製 紫外線積算光量計:C9536−02で測定))を用い、前述の画像形成物を200mm/秒の速度で搬送しながらランプ出力3800mW/cmで紫外線を照射して、最終的な画像形成物を得た。
<試験2〜16>
表1に示される処理液を用いた以外は試験1と同様にして処理層を形成した後、画像形成を行い、画像形成物を得た。なお、試験4および13では、処理層の厚みも表1に示されるように変更した。
試験1〜16で得られた画像形成物の、画像の密着性およびラミネート強度を、以下の方法で評価した。また、試験1〜16における滲み許容プリント速度を、以下の方法で評価した。
<評価方法>
(1)(高湿下での)密着性
得られた画像を、30±2℃、相対湿度85±3%RHの条件下で12時間保存した。その後、得られた画像の表面を1mm幅で25マスの格子状にクロスカットし、その基盤目上にセロハン製粘着テープ(ニチバン社製LP−24)を粘着させ、直ちにテープを垂直に引き剥がした。画像の密着性を、剥がれたマスの数により、以下の基準に基づいて評価した。
◎:全マス剥離せず、テープへの着色も全く見られず密着性は良好
〇:全マス剥離しないが、テープに若干の着色が見られるが、実用上問題ないレベル
△:1〜2マス剥離し、テープに剥離部分が移行しているが、実用上問題ないレベル
×:3マス以上の剥離が見られ、実用上問題となるレベル
△以上であれば、良好と判断した。
(2)滲み許容プリント速度
各試験において搬送速度50m/分、20m/分および5m/分の各条件で画像形成した画像の抜き文字部分を観察し、滲みが無く、抜き文字の線がいずれの部分においても消えていない搬送速度を確認した。そして、以下の基準で評価した。
◎:滲み許容プリント速度が50m/分以上
○:滲み許容プリント速度が20m/分以上50m/分未満
△:滲み許容プリント速度が5m/分以上20m/分未満
×:滲み許容プリント速度が5m/分未満
△以上であれば、良好と判断した。
(3)ラミネート強度
得られたフィルム積層物を15mm幅に切断して、試験片とした。この試験片の画像/ナイロンフィルム間の剥離強度を、T型剥離試験機を用いて測定した。そして、以下の基準で評価した。
◎:剥離強度が5N/15mm以上
○:剥離強度が2N/15mm以上5N/15mm未満
△:剥離強度が1N/15mm以上2N/15mm未満
×:剥離強度が1N/15mm未満
△以上であれば、良好と判断した。
試験1〜16の評価結果を表1に示す。
Figure 2019127495
表1に示されるように、光重合性基を有する水溶性樹脂(a)と樹脂粒子(b)とを含む処理液を用いて得られた試験1〜3、5〜9および13〜16の画像形成物は、いずれも良好な滲み許容プリント速度を有しつつ、良好な画像の密着性やラミネート強度が得られることがわかる。
特に、(b)/[(a)+(b)]*100を50質量%以上とすることで、得られる画像形成物における高湿下での画像の密着性をさらに高めることができることがわかる(試験5、13および14の対比)。
また、光重合性基を有する水溶性樹脂(a)の主鎖をPVAとすることで、ラミネート強度をさらに高めることができることがわかる(試験1と3の対比)。
また、光重合性基を有する水溶性樹脂(a)の光重合性基をマレイミド基とすることで、滲み許容プリント速度と密着性をさらに高めることができることがわかる(試験5と6の対比)。
また、光重合開始剤を含まないことで、画像の密着性をさらに高めることができることがわかる(試験2と5の対比)。
また、処理層が、顔料を凝集させる化合物をさらに含むことで、滲み許容プリント速度をさらに高めることができることがわかる(試験5と7の対比、試験3と8の対比)。
これに対して、光重合性基を有しない水溶性樹脂を用いた試験10および11の画像形成物は、いずれも密着性とラミネート強度が低いことがわかる。また、光重合性基を有する水分散性樹脂であるウレタンアクリレートを用いた試験12の画像形成物は、ラミネート強度が低いことがわかる。
本発明によれば、インクの滲みを抑制し、かつ基材との密着性やラミネート強度に優れた画像形成物を付与しうる記録液セット、それを用いた画像形成方法およびフィルム積層物の製造方法を提供することができる。

Claims (9)

  1. 光重合性基を有する水溶性樹脂と、樹脂粒子とを含む処理液と、
    顔料と水とを含み、光重合性化合物および光重合開始剤を実質的に含まないインクと、
    を有する、
    記録液セット。
  2. 前記樹脂粒子の含有量は、前記光重合性基を有する水溶性樹脂と前記樹脂粒子の合計量に対して10質量%以上80質量%以下である、
    請求項1に記載の記録液セット。
  3. 前記光重合性基を有する水溶性樹脂は、光重合性基がグラフトされたポリビニルアルコールである、
    請求項1または2に記載の記録液セット。
  4. 前記光重合性基は、マレイミド基である、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の記録液セット。
  5. 前記処理液は、顔料を凝集させる化合物をさらに含む、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の記録液セット。
  6. 前記顔料を凝集させる化合物は、多価金属塩または酸である、
    請求項5に記載の記録液セット。
  7. 前記インクは、樹脂粒子を実質的に含まない、
    請求項1〜6のいずれか一項に記載の記録液セット。
  8. フィルム基材上に、請求項1〜7のいずれか一項に記載の記録液セットの処理液を塗布する処理液塗布工程と、
    前記処理液を乾燥させて、処理層を形成する処理液乾燥工程と、
    前記処理層上に、前記記録液セットのインクをインクジェット法により付与するインク付与工程と、
    前記付与したインクを乾燥させるインク乾燥工程と、
    前記付与したインクに活性光線を照射して、前記光重合性基を有する水溶性樹脂を硬化させる活性光線照射工程と
    を有する、画像形成方法。
  9. 請求項8に記載の画像形成方法で、フィルム基材上に画像を形成する画像形成工程と、
    前記画像上に接着剤層を介してフィルムを積層するフィルム積層工程と
    を有する、
    フィルム積層物の製造方法。
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