以下、図1等を参照して、本実施形態に係る駐車場管理システムについて一例を説明する。図1は、本実施形態に係る駐車場管理システム500を備えた駐車場について説明するために駐車場の一部の様子を概念的に示す斜視図である。また、図2は、駐車場管理システム500の構成について説明するためのブロック図である。さらに、図示の例では、駐車場管理システム500において、本実施形態に係る車両検知カウント装置の一例として、車両検知カウント装置VDが組み込まれている。
図1に示すように、駐車場管理システム500は、駐車場全体の統括制御を行う統括部として機能する制御装置100と、駐車場中の検知対象領域である3次元空間の検出範囲における測距データを取得する測距部200と、制御装置100からの指示に従って、駐車場の利用者に駐車状況を提供する駐車状況提供部として機能する表示部300と、制御装置100からの指示に従って、駐車場の管理者に異常等の駐車状況に関する報知を行う管理者用報知部400とを備える。
駐車場管理システム500のうち、制御装置100は、測距部200、表示部300、管理者用報知部400等と接続し、各部から送信される情報を受け付けて各種処理をするとともに、処理結果に応じて各部へ各種指令信号を送信することで、駐車場全体の統括制御を行う。
測距部200は、例えば光走査によって距離画像を取得する距離画像装置すなわち測距装置で構成され、検出範囲に対応する画像の画素ごとに、距離情報を有するデータである測距データの取得を可能としている。測距データに基づく場合、対象物体の位置や形状等を把握できる。本実施形態では、測距データを利用することで、検知された物体について、車両と車両以外のものとの識別を迅速かつ確実に行うことができるようになっている。
また、測距部200は、図示のように、例えば駐車場内の連絡通路AS等の車両VEの通行領域において、車両VEの通行を妨げないようにしつつ、必要な情報を得るべく、連絡通路ASの壁面に沿って上方側、かつ、側方側に設置されている。言い換えると、監視すべき連絡通路ASを俯瞰できる位置に測距部200を設置している。また、このような設置とすることで、連絡通路ASのようにループコイルを埋設できない箇所であっても車両検知を可能としている。
なお、測距部200の具体的な構成の一例については後述する(図5参照)が、ここでは、例えば図3に示すように、検出対象である車両等を俯瞰できる位置から検出範囲を走査するようにパルス光PLを射出し、検出対象である車両等の物体によって反射された反射光の成分を受光することで検知を行っている。この場合、測距データに基づいて、車両の形状といった3次元形状データの取得が可能になる。すなわち、制御装置100は、測距部200で取得した測距データから生成された測距対象物の3次元形状データに基づいて車両の判別を行うことができる。さらに、例えば、制御装置100において各種画像処理を施して、当該3次元形状データから得られる各部の面積や体積、幅等の各種値に基づく特徴点のうち、車種ごとに固有の特徴点を抽出し、抽出された特徴点に基づいて車両の種別を検出する、といったことも可能である。無論、特徴点を抽出することで、四輪であるか、二輪であるか、あるいは人であるか、といったことの判別も可能である。
また、測距部200は、所定のフレーム数あるいはフレームレート(例えば30fps)の動画の撮像が可能となっているものとする。この場合、フレームレート間での画像の変化をみることで、測距部200において取得した通行領域における測距データから車両の通過に関して走行方向についての情報(例えば、図例の場合、1台の車両VEがZ方向に向かったという情報)やその速度等まで含めた状態で確認することが可能になる。
表示部300は、例えばLEDパネル等で構成され、文字等を画像表示することにより、利用者に対して駐車場内の状況に関する情報を提供する。図1の例では、表示部300は、連絡通路ASの出入り口に配置されている。これにより、連絡通路ASの途中に設けられた測距部200での車両検知の結果に応じた案内表示を行うことを可能としている。例えば、図示の場合、駐車場の一部である駐車エリアEBから駐車エリアEAに向かう車両VEにとって、表示部300は、測距部200の走行方向前方側に設置されている。この場合、表示部300は、測距部200において通過検知された車両VEに対して、検知された情報を利用した誘導ができる。なお、上記のような誘導に関する具体例については、図7等を参照して後述する。
管理者用報知部400は、制御装置100での検知結果のうち、管理者に対して通知する必要のある情報を報知するための装置であり、例えば画像表示モニター等の視覚的報知手段やサイレン等の聴覚的報知手段等種々の構成が考えられる。ここでの典型例としては、測距部200における測距について異常が発生している旨を管理者に対して報知する、といったことが想定される。
ここで、駐車場が大型ものであるといった場合には、図2のブロック図において例示するように、測距部200や表示部300は、必要に応じて複数設置されることが想定される。すなわち、駐車場には、必要に応じて、第1測距部200A、第2測距部200B、第3測距部200C…が各所に配置され、これらが全て制御装置100に対して車両等を測距した結果を送付している。一方、第1表示部300A、第2表示部300B、第3表示部300C…が各所に配置され、これらが全て制御装置100に接続され、制御装置100からの指示に従って、設置個所に応じた案内表示を行う。
以下、図2を参照して、制御装置100の構成を説明するととともに、車両検知カウント装置VDの構成について説明する。
まず、図示のように、制御装置100は、主制御部110と、記憶部120と、入力受付部130と、案内用出力部140と、管理者向け出力部150とを備える。
制御装置100のうち、主制御部110は、CPU等の各種演算処理を行うための装置を備えるとともに、記憶部120等の各部と接続され、駐車場管理に必要な情報処理を行うことで、制御装置100の主要部をなす。主制御部110は、例えば、第1測距部200A等で取得された測距データに基づく各種処理を行って車両通過を検知する車両通過検知部110aとして機能したり、各種画像処理を行う画像処理部110bとして機能したりする。なお、画像処理部110bとしての主制御部110は、測距部200で取得した測距データから例えば検知した対象について3次元形状データを求め、求めた3次元形状データから車両に固有の特徴点が抽出できるか否かによって、検知した対象が車両であるか否か、さらには、車両である場合には、車両の種別(車種)が何であるか、といったことが検出可能となる。なお、車種を特定することで、車両の車高等の形状を把握し、最適な駐車場への誘導をするようにしてもよい。
また、本実施形態では、車両通過検知部110aとしての主制御部110は、第1測距部200A等で取得した測距データから、車両の通過を走行方向ととともに検知するものとなっている。
記憶部120は、例えばストレージデバイス等で構成され、各種データを格納する。ここでは、車両通過検知部110aとしての主制御部110における検知結果に基づいて車両の数をカウントするカウンター(カウント記憶部)120aを有している。すなわち、記憶部120は、車両の数をカウントするためのデータ格納領域を有している。
入力受付部130は、各測距部200A,200B,200C…からの測距データを受け付け、主制御部110に送信する。
案内用出力部140は、主制御部110からの画像信号等を含む各種指令信号を、各表示部300A,300B,300C…に対して送信する。
管理者向け出力部150は、200A,200B,200C…からのアラート信号等を含む各種指令信号を、管理者用報知部400に対して送信する。
以上のような構成となっていることで、制御装置100は、駐車場内における車両の通過に関する状況把握を可能とするとともに、これに応じた各種情報伝達(具体的には、利用者への案内や管理者への報知等)を各部へ送信可能にしている。
以下、駐車場管理システム500に含まれる車両検知カウント装置VDの構成について説明する。車両検知カウント装置VDは、上記のような各部を有する駐車場管理システム500のうちの一部によって構成されていると考えることができる。言い変えると、駐車場管理システム500のうち、車両の検知及びカウントを行うための構成が、車両検知カウント装置VDである。具体的には、上記の場合、車両検知カウント装置VDは、測距部200と、車両通過検知部110aとしての主制御部110と、カウンター120aとしての記憶部120とによって構成できる。
以下、車両検知カウント装置VDにおける一連の動作を簡単に説明する。
車両検知カウント装置VDのうち、まず、測距部200は、検出範囲となる通行領域である連絡通路ASあるいは連絡通路ASのうちの特定領域を通過する車両について測距データを取得し、取得した測距データを主制御部110すなわち車両通過検知部110aに送信する。車両通過検知部110aは、取得された測距データに基づいて各種処理を行い、車両通過を検知する。この際、測距データから車両の通過を走行方向ととともに検知する。車両通過検知部110aは、検知結果に関するデータを記憶部120すなわちカウンター120aに送信する。カウンター120aでは、車両通過検知部110aから受け取った情報に基づきデータが更新される。これにより、カウンター120aにおいて、車両通過検知部110aで検知された車両の数がカウントされる。
以上の場合、車両検知カウント装置VDでは、まず、前提として、距離情報を有するデータである測距データに基づくことで、車両と車両以外のものとの識別を迅速かつ確実に行うことができるようになっている。さらに、車両通過検知部110aにおける車両の通過検知とその走行方向の検知とが確実なものとなっており、延いては、カウンター120aにおいて、車両数の正確なカウントができ、駐車場における駐車状況を確実に把握することができる。
以下、図4に示す概念図を参照して、車両の走行方向を含めた通過の様子を捉える方法について一例を説明する。図4は、検知された車両の画像について、各フレームごとの変化の様子を抽象化して示したものである。測距データに基づく画像解析手法については種々の態様が考えられるが、ここでは、説明を単純化するため、取得された測距データに基づいて、Z方向に関して移動する物体について、画像上において一塊とみなされる物体(以下、ラベルと呼ぶ)を抽出し、ラベルの画像上での移動を捉えることによって、車両の走行方向を含めた通過を検知することとする。なお、測距データに基づく物体の位置や大きさ・形状等から判断することで、車両に相当するものについてのラベルが検知対象となっていることは前提とする。図4のうち、例えば最上段に示す1フレーム目には、7つの画像ブロックを一塊とするラベルLA1が描かれている。これが、検出範囲の最も−Z側において車両が検出されたことを示している。ここでは、7つの画像ブロックのうち、中心にある画像ブロックを中心位置(あるいは重心)G1としている。図示において上から下へ向かって、動画のフレームの順すなわち時間の経過を示しており、フレームごとに、車両に相当するラベルLA1,LA2,…,LAnが変遷していく。この場合において、連続するフレーム間、例えば1フレームと2フレームとの間で、1フレームのラベルLA1と、2フレームのラベルLA2とが、同一の車両であることを関連付ける処理がなされる。関連付けについては、種々の方法が考えられるが、例えば、各ラベルLAk(k=1,2,…)の中心位置(あるいは重心)Gkを基準として、連続フレーム間での移動距離が所定範囲内であるか否かによって関連付けを行うことが考えられる。さらに、中心位置Gkの移動方向を検知することで、車両の走行方向を検知できる。図示の場合、+Z方向へ徐々に移動していることが分かる。
なお、検知範囲内に複数の車両が続けて通行する場合等が考えられる。例えば、図示のように、1フレーム〜nフレームまでは、車両に相当するラベルLA1,LA2,…,LAnが、各フレームにおいて1つしか存在しなかったが、次のn+1フレームにおいて、2つのラベルLXn+1と、ラベルLYn+1とが存在する、といった事態になると考えられる。この場合、nフレームでのラベルLAnの中心位置Gnに対するラベルLXn+1の中心位置GXn+1の距離DXと、中心位置Gnに対するラベルLYn+1の中心位置GYn+1の距離DYとを比較することで、同一の車両に相当するラベルの関連付けを行えばよい。図示の場合、例えば距離DXが距離DYよりも小さいことをもってn+1フレームにおける2つのラベルのうち、ラベルLXn+1がnフレームのラベルLAnに対応するものである、すなわちラベルLXn+1がラベルLAn+1であると判断され、関連付けられる。一方、n+1フレームにおけるラベルLYn+1は、別の車両に相当するラベルであると捉えられる。すなわち、1フレーム〜nフレームまでに存在していた車両とは別の車両に関する1フレーム目のラベルとして取り扱う。
以上のような関連付けにより、車両検知カウント装置VDは、1つの検出範囲において、複数の車両が存在する場合も各車両を個々に判別して検知することができる。なお、例えば上記に例示した距離DXとフレームレートの関係から、該当する車両の走行速度を測定してもよい。速度の測定結果を駐車管理における種々の判断に利用することも考えられる。
以下、図5を参照して、測距部200となる距離画像装置の一例について説明する。ここでは、測距部200として、光源から射出された光を、車両の通行領域に向けて走査させ反射光として受光するまでの時間に基づいて距離を計測する距離画像センサーを採用する。図5は、距離画像センサーにより構成される測距部(測距装置)の概略構成の一例について説明するためのブロック図である。
図示の測距部200は、例えばレーザパルス等によるパルス光PLを、検知対象領域DAを含む範囲でリサジュー走査し、該対象領域内に存在する測距対象物である物体Pによる反射光RLを受光して物体Pまでの距離を計測し、その計測結果に基づく距離画像を生成して出力する。
図示のように、距離画像装置である測距部200は、光走査装置50と、パルス光PLを射出する光源部7と、光源部7から射出されたパルス光PLの反射光RLを受光する受光部9と、光源部7から射出されたパルス光PLを反射した物体Pまでの距離を計測する計測部11とを備える。
測距部200のうち、光走査装置50は、光走査によるリサジュー走査を行うための本体部分であり、光源部7からのパルス光PLを、検知対象領域DAを含む範囲に向けて走査させて走査範囲内に存在する物体Pによる反射光RLを受光部9に受光させる。このため、光走査装置50は、電磁駆動型の光走査部3と、光走査部3の動作全般を制御する駆動制御部として機能する光走査制御部4と、光走査制御部4により制御に従って光走査部3を駆動させる駆動部5と、光走査部3の動作における周波数に関するずれ量を検出して光走査制御部4にフィードバック制御用の情報を送信するずれ量検出部6とを備える。
光源部7は、光走査部3に向かって射出タイミングを制御しつつパルス光PLを射出するものであり、レーザダイオード等で構成される。なお、射出タイミングは、例えば対象領域内の計測位置と関連付けられ、対象領域内の一定の位置(複数位置)にパルス光PLが射出されるように制御されている。
受光部9は、例えばフォトセンサーを用いて構成され、光源部7から射出されたパルス光PLが物体Pによって反射された成分である反射光RLを受光して検知する。なお、受光部9は、反射光RLを直接受光するものであってもよいし、光走査部3を介して受光するものであってもよい。
計測部11は、光源部7によるパルス光PLの射出タイミングと、受光部9による反射光RLの受光タイミングとの時間差(光源部7から射出されたパルス光PLが受光部9で反射光RLとして受光されるまでの時間)に基づいて、パルス光PLを反射した物体Pまでの距離を計測する。計測部11による距離の計測結果が、測距データとして制御装置100に出力される。なお、制御装置100では、既述のように、例えば、物体Pについての距離や奥行きが反映された3次元的な画像とすることができる。
測距部200は、以上のような構成を有することで、光走査装置50でのリサジュー走査による設置位置から対象領域内にある物体までの距離を計測した計測結果に基づく距離画像の生成のための測距データの取得及び測距データの制御装置100への出力を可能としている。
また、上記のように、測距部200を、光源部(光源)7から射出されたパルス光PLを、検知対象領域DAに向けて走査させ反射光RLとして受光するまでの時間に基づいて距離を計測することで、測距データを取得する、という構成としたことで、正確かつ迅速に測距データを取得できる。
測距部200は、以上に例示したような検出対象についての距離を計測可能としていることで、3次元空間における位置や大きさ、形状の把握が可能となる。これにより、検出である車両の移動方向や大きさ、高さ(すなわち車高)の情報取得が可能となる。したがって、検出されたものが車両ではない(例えば人である)ことについても検出できる。また、上記において図1等を参照して例示したように、連絡通路ASの壁面に沿って設けられて上り側と下り側との双方が検出され得る状況下にあっても、通過する車両が位置関係や大きさから判断して上りであるか下りであるかといったことも検知できる。さらに、車両形状が分かるので、車両が前進しているのか後退しているのかも把握できる。連絡通路ASの通過に際しては、例えば、図1に示す連絡通路ASのように、片側1車線で上下方向に通行可能となっていることも考えられる。この場合において、連絡通路ASの真ん中あたりを走行する車両も存在し得るが、測距部200で取得される情報からは、このような通行のしかたをする車両を的確に捉えることも可能である。また、この場合、測距部200は、1つに集約した構成でありつつ、通過方向を把握可能となっている。例えば、従来のように、超音波や光センサー等を用いた場合、これらによって通過方向を把握するには、2以上のセンサーを通過方向に関して離間した状態で設けるといったことが必要になると考えられる。
以下、図6及び図7を参照して、駐車管理や利用者への情報提供の一例について説明する。図6は、車両通過検知部110aでの検知結果に基づいて記憶部120すなわちカウンター120aに格納された駐車状況のデータについて、データ表の一例を示す図である。ここでは、図1に例示する各駐車エリアEA,EB…のサブエリアA1,A2,…B1,…における駐車可能台数は、図5中の表において、予め入力されているものとする。一方、図5中の表のうち、現在の駐車台数については、車両通過検知部110aでの検知結果からがカウントされ、それぞれ入力される。すなわち、駐車状況に応じて、随時変更されていく。統括部としての制御装置100は、駐車可能台数と現在の駐車台数とを比較して、各エリアにおける満空状況を判断する。なお、満空状況の判断基準については種々考えられるが、例えば駐車エリアごとに、満車(「満」で表示)、混雑(「混」で表示)、空き有(「空」で表示)を定める閾値を予め設定しておくことが考えられる。制御装置100での満空状況の判断結果に応じて、表示部300によって、例えば図7(A)あるいは図7(B)に示すように、駐車エリアあるいはサブエリアごとに混雑状況を利用者に伝えるとともに適切な駐車エリアへ促す案内表示(誘導)を行うことができる。特に、本実施形態では、測距部200での通過検知において通過する車両の車高を併せて検知しておくことで、表示部300での表示に際して、例えば図7(C)のような誘導も可能となる。すなわち、車高を検知した結果、所定の高さ以上である場合に、高さ制限により不適合である一部の駐車エリアに向かわせないように誘導することができる。
以下、図8及び図9のフローチャートを参照して、本実施形態における車両検知カウント装置VDによる車両の検知及びカウントの動作、さらには、駐車場管理システム500による管理の動作に関して一例を説明する。
まず、図8は、車両検知カウント装置VDによる車両検知についての一連の処理動作の一例を示すフローチャートである。車両検知カウント装置VD、あるいは、駐車場管理システム500の各部が起動して、測距部200による物体検知のための測距動作が開始されると、まず、動作終了していなければ(ステップS101:No)、制御装置100は、測距部200から取得した測距データに基づく物体検知を行う(ステップS102)。ステップS102において、物体検知がされなければ(ステップS102:No)、動作終了していない限りにおいて、物体検知を続ける(ステップS102)。次に、ステップS102において、物体検知がされると(ステップS102:Yes)、制御装置100は、検知した物体と同一の物体を一定時間以上検知し続けているか否かを判定する(ステップS103)。
ステップS103において、同一の物体を一定時間以上検知し続けてはいないと判定されると(ステップS103:No)、制御装置100は、さらに、検知物体が車両であるか否かを判定する(ステップS104)。ステップS104において検知物体が車両であると判定されると(ステップS104:Yes)、制御装置100は、通過判定処理を行い(ステップS105)、さらに、カウント処理(ステップS106)を行う。すなわち、ステップS105の判定処理において、車両の通過が確認されれば、ステップS106での処理として、通過した方向に応じて対象となる駐車エリアにおける駐車台数を増減させる。ステップS106でのカウント処理を終えると、再びステップS101からの動作を繰り返す。
一方、ステップS104において検知物体が車両でないと判定された場合においては(ステップS104:No)、車両の通過判定やカウントの処理を行うことなく、再びステップS101からの動作を繰り返す。
つまり、制御装置100は、駐車場管理システム500における駐車場の管理動作全体を終了させるといった場合のような物体検知の動作が終了する場合(ステップS101:Yes)や、同一の物体の一定時間以上の検知が生じた場合(ステップS103:Yes)にならなければ、ステップS101からステップS106までの車両の検知及びカウントの動作を継続する。これにより、駐車場の各部における車両の移動が把握でき、延いては、駐車場の各箇所での駐車台数を把握管理することが可能となる。
なお、ステップS103において、同一の物体を一定時間以上検知し続けていると判定されると(ステップS103:Yes)、制御装置100は、何らかの異常事態が発生したと判定し、異常を通知する処理をして(ステップS107)、物体検知の動作を強制終了させる(ステップS108)。同一の物体を一定時間以上検知し続けている状態とは、典型的には、車両が通行領域内で停止したまま動かなくなっているとか、看板等の何らかの障害物が測距部200の前に置かれてしまい測定ができなくなっているとかいったことが考えられる。このような事態が発生した場合、制御装置100は、管理者向け出力部150を介して管理者用報知部400による管理者に対する異常事態の報知を行う。
なお、以上のうち、例えば何らかの障害物が測距部200の前に置かれてしまい測定ができなくなっていることについては、測距部200による位置検知の結果から判断することも考えられる。かかる事態が生じた場合、測距部200の至近距離に物体が存在し続けることになり、通常の測距では有りえない至近距離の値で位置検知がなされるからである。以上について、見方を変えると、測距部200にいたずら等をされた場合に対してこれを測距結果から検知できるので、察知能力が高い構成となっていると言える。
次に、図9を参照して、駐車状況提供部である表示部300での表示動作に関して説明する。図9は、表示部300による表示動作に関する一連の処理動作の一例を示すフローチャートである。
車両検知カウント装置VD、あるいは、制御装置100での車両検知の結果、車両についてのカウント情報が変更されたことすなわち車両通過の検知があったことが確認されると(ステップS201:Yes)、制御装置100は、通過した車両が通過先における高さ制限以上の車両であるか否かを判定する(ステップS202)。
ステップS202において、当該車両が高さ制限以上でないと判定された場合は(ステップS202:No)、通常の表示を行わせるための第1出力情報作成を行う(ステップS203a)。つまり、カウント情報が変更された後の状況に応じて、図7(A)や7(B)に例示されるような表示動作を表示部300に行わせるための信号作成を行う。
一方、ステップS202において、当該車両が高さ制限以上であると判定された場合は(ステップS202:Yes)、高さ制限により不適合である一部の駐車エリアに当該車両が向かわないように誘導する表示を行わせるための第2出力情報作成を行う(ステップS203b)。つまり、図7(C)に例示されるような表示動作を表示部300に行わせるための信号作成を行う。
表示部300は、駐車状況提供部として、ステップS203a又はステップS203bにおいて作成された信号に従い、情報の表示すなわち利用者への情報提供のための表示動作を行い(ステップS204)、当該車両が表示部300を通過することが確認されるまで(ステップS205)、表示動作を継続する。当該車両の通過が確認されると(ステップS205:Yes)、表示部300は、表示動作を停止し(ステップS206)、再びステップS201からの動作を繰り返す。なお、ステップS205における車両の通過確認については、表示部300に光センサーを設ける等種々の態様が考えられる。
以上のようにして、車両検知カウント装置VD、あるいは、駐車場管理システム500の制御装置100による表示部300での表示動作がなされる。
以上のように、本実施形態に係る駐車場管理システム500あるいはこれに組み込まれる車両検知カウント装置VDでは、駐車場のうち車両の通行領域における測距データを取得する測距部200と、測距部200で取得した測距データから車両の通過を走行方向ととともに検知する車両通過検知部110aと、車両通過検知部110aにおいて検知された車両の数をカウントするカウンター120aとを備える。これにより、まず、距離情報を有するデータである測距データに基づくことで、車両と車両以外のものとの識別を迅速かつ確実に行うことができる。さらに、測距データを利用して、車両通過検知部110aにおける車両の通過検知とその走行方向の検知とを確実に行っている。これにより、延いては、カウンター120aにおいて、車両数の正確なカウントができ、駐車場における駐車状況を確実に把握することができる。
〔その他〕
この発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
まず、上記では、測距部200について、所定のフレーム数あるいはフレームレートの動画の撮像が可能としているが、連続するフレーム間での関係についての誤検出に関して特に規定していない。しかしながら、例えば降雨時や降雪時における雨滴や雪等の影響で誤検知が生じることが考えられる。これに対応すべく、制御装置100は、所定フレーム数以上連続した検知がなされた場合にのみ物体の存在を認めるようにする連続フレーム処理を行うものとしてもよい。
図10は、連続フレーム処理による上記のような判断処理の一例として、制御装置100(あるいは測距部200)において、3フレーム以上連続した検知がなされたか否かについて判断処理をしている様子を示している。具体的には、図示のように、検知対象領域DAを測距部200での走査による測距領域とした場合に、連続する1フレーム目の走査から3フレーム目の走査までの間において、物体P1のように、3つのフレーム全てにおいて同じ位置で物体P1が検出がなされた場合にのみ、その位置に対象とすべき物体(あるいは物体の一部)が存在することとし、物体P2のように、3つのうち1フレーム目と2フレーム目では検出されたが3フレーム目で検出されなかった場合には、物体P2は、雨滴等が一時的に通過したものであって対象とすべき物体(あるいは物体の一部)ではないと判断する。以上のような構成とすることで、誤検出が発生する可能性を低減できる。
また、測距部200の設置位置についても、種々考えらえ、上記のように、連絡通路ASを俯瞰すべく連絡通路ASの壁面に沿って上方側かつ側方側に設置するほか、例えば、図11(A)等に示すように、駐車場の天井側に設け、上方側から測距を行うようにしてもよい。この場合、図11(B)に示すように、天井に設けた測距部200から車両までの距離DD1と測距部200から床面までの距離DD2との差に基づいて、通過する車両の車高についての検知を行うことで、検知精度をより高める構成になることが期待できる。なお、このように天井側すなわち上方側に測距部200を設置する場合においても、例えば図11(C)及び11(D)に示すように、双方向(すれ違い方向)について走行する各車両の走行方向の検知や、連続する車両の判別についても確実に行えると考えられる。
また、上記では、測距部200として、外環境の明るさによる影響を受けにくい距離画像センサーを用いるものとしているが、これに限らず、条件によっては、ステレオカメラ等を用いて構成することも考えられる。ステレオカメラの場合、例えば太陽光の影響や路面の色の影響等を受けやすいといった問題が考えられるが、視差情報に基づく立体的形状情報の取得は可能であり、設置環境によっては測距部200として適用可能であると考えられる。
また、車両の種類に関して、トレーラー等のような連結物がある場合には、これに応じたペアリング処理を可能としておくことで、連結物の追跡を可能にしておくことも考えられる。
また、駐車場管理システム500では、取得された各種情報を利用した各種管理が可能であり、例えば連続して通過する車両の状況から駐車場内での混雑状況あるいは渋滞状況を把握するといったことも可能である。
制御装置100の構成についても種々の態様が考えられ、駐車場管理のために専用の制御装置を設ける場合のほか、PCやタブレット端末等に必要なソフトウェアを搭載させることによって構成することも可能である。
また、上記実施形態では、測距部200の一例として、電磁駆動式の2次元ガルバノミラーを用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、電磁駆動式、静電方式、圧電方式、熱方式などの各種の駆動方式で光反射面を有する可動部を揺動駆動する構成の光走査部にも適用することができる。