JP2019124741A - 感放射線性組成物および感放射線性重合開始剤 - Google Patents

感放射線性組成物および感放射線性重合開始剤 Download PDF

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裕志 角田
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Abstract

【課題】優れた放射線感度と、得られる硬化膜における高い表面硬度および光線透過性との両立が可能な感放射線性組成物を提供する。【解決手段】特定の式で表される化合物(A)と、エチレン性不飽和二重結合を有する重合性化合物とを含有する感放射線性組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、感放射線性組成物および感放射線性重合開始剤に関する。
液晶表示素子等の表示素子には、一般的に、層間絶縁膜、スペーサー、保護膜、ならびにカラーフィルタを構成する各色画素およびブラックマトリックス等のパターニングされた硬化膜が用いられている。このような表示素子用の硬化膜には、例えば、表面硬度に優れることが要求される。
前記硬化膜の形成材料としては、パターンを形成するための工程数が少なく、かつ高い表面硬度が得られることから、ネガ型の感放射線性組成物が広く使用されている。パターン形成用の感放射線性組成物には、例えば、放射線感度および解像度が高いこと等の特性が要求される(特許文献1参照)。
国際公開第2007/071497号
感放射線性重合開始剤は、前記感放射線性組成物において、前述した特性に影響する材料である。しかしながら、従来の感放射線性重合開始剤および感放射線性組成物では、優れた放射線感度と、得られる硬化膜における高い表面硬度および光線透過率との両立が困難であった。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、以下の構成を有する感放射線性組成物および感放射線性重合開始剤により上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、例えば以下の[1]〜[7]に関する。
[1]下記式(1)で表される化合物(A)と、エチレン性不飽和二重結合を有する重合性化合物(B)とを含有する感放射線性組成物。
Figure 2019124741
[式(1)中、R1は、炭化水素基、または前記炭化水素基における水素原子の一部もしくは全部が、炭素数1〜6のアルコキシ基およびハロゲン原子から選ばれる少なくとも1種の置換基で置換された基であり、R1が複数ある場合はそれぞれ同一でも異なってもよく、R2は、有機基であり、R2が複数ある場合はそれぞれ同一でも異なってもよく、Xは、酸素原子、硫黄原子、−NR−(Rは水素原子または下記Yである)、または直接結合であり、Xが複数ある場合はそれぞれ同一でも異なってもよく、Yは、炭化水素基、または前記炭化水素基における水素原子の一部もしくは全部が、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のチオアルコキシ基、ヘテロ環およびハロゲン原子から選ばれる少なくとも1種の置換基で置換された基であり、Yが複数ある場合はそれぞれ同一でも異なってもよく、m1およびm2はそれぞれ0〜4の整数であり、n1およびn2はそれぞれ0〜4の整数であって但しn1+n2は1〜8であり、m1+m2+n1+n2は1〜8である。]
[2]アルカリ可溶性樹脂(C)をさらに含有する前記[1]に記載の感放射線性組成物。
[3]前記式(1)において、前記R1が、炭素数1〜12のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基であり、前記R2が、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数4〜20のシクロアルキル基、シクロアルキル基置換アルキル基、アリール基またはアルコキシアルキル基であり、前記−X−Yで表される基が、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシアルキル基、チオアルコキシアルキル基または窒素又は酸素原子含有複素環基置換アルキル基である前記[1]または[2]に記載の感放射線性組成物。
[4]前記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の感放射線性組成物から形成された硬化膜。
[5]前記[4]に記載の硬化膜を有する表示素子。
[6]前記式(1)で表される化合物。
[7]前記[6]に記載の化合物からなる感放射線性重合開始剤。
本発明によれば、放射線感度に優れるとともに、表面硬度および光線透過率も高い硬化膜を形成することのできる、感放射線性重合開始剤および感放射線性組成物を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
[感放射線性組成物]
本発明の感放射線性組成物は、感放射線性重合開始剤としての式(1)で表される化合物(A)と、エチレン性不飽和二重結合を有する重合性化合物(B)とを含有する。
以下では、化合物(x)を「成分(x)」(xは各成分を区別する記号である)ともいう。また、本発明の感放射線性組成物を単に「本発明の組成物」ともいう。本発明の化合物(A)については以下に合わせて説明する。
<化合物(A)(感放射線性重合開始剤)>
化合物(A)は、下記式(1)で表される。
Figure 2019124741
式(1)中の各記号について説明する。
1は、炭化水素基、または前記炭化水素基における水素原子の一部もしくは全部が、炭素数1〜6のアルコキシ基およびハロゲン原子から選ばれる少なくとも1種の置換基で置換された基(以下「置換炭化水素基1」ともいう)である。R1が複数ある場合はそれぞれ同一でも異なってもよい。
1における炭化水素基としては、例えば、鎖状炭化水素基、脂環含有炭化水素基、芳香環含有炭化水素基が挙げられる。本明細書において、脂環および芳香環をいずれも含有する炭化水素基は、芳香環含有炭化水素基に分類する。
鎖状炭化水素基の炭素数は、好ましくは1〜12、より好ましくは1〜6であり、その具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基等のアルキル基が挙げられる。
脂環含有炭化水素基の炭素数は、好ましくは4〜20、より好ましくは5〜6であり、その具体例としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロデシル基等の単環式シクロアルキル基;イソボルニル基、アダマンチル基等の多環式シクロアルキル基;シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基等のシクロアルキル基置換アルキル基が挙げられる。本明細書において、シクロアルキル基というときは、単環式シクロアルキル基および多環式シクロアルキル基を含む意味で用い、また、メチルシクロヘキシル基のように例えば炭素数1〜4のアルキル置換基を有するシクロアルキル基を含む意味で用いる。
芳香環含有炭化水素基の炭素数は、好ましくは6〜20、より好ましくは6〜8であり、その具体例としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアリール基置換アルキル基(アラルキル基)が挙げられる。本明細書において、アリール基というときは、トリル基のように例えば炭素数1〜4のアルキル置換基を有するアリール基を含む意味で用いる。
置換炭化水素基1において、アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基が挙げられ、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素が挙げられる。置換炭化水素基1としては、例えば、前記のアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基における水素原子の一部または全部が、炭素数1〜6のアルコキシ基およびハロゲン原子から選ばれる少なくとも1種の置換基で置換された基が挙げられる。具体的には、アルコキシアルキル基、アルコキシシクロアルキル基、アルコキシアリール基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化シクロアルキル基、ハロゲン化アリール基が挙げられる。
1は、鎖状炭化水素基または芳香環含有炭化水素基が好ましく、アルキル基またはアリール基がより好ましく、炭素数1〜12のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基がさらに好ましく、メチル基、エチル基、フェニル基が特に好ましく、メチル基が最も好ましい。このような態様であると、発生ラジカルの反応性に優れる。
2は、有機基である。R2が複数ある場合はそれぞれ同一でも異なってもよい。有機基としては、例えば、炭化水素基、前記炭化水素基における水素原子の一部または全部が、炭素数1〜6のアルコキシ基およびハロゲン原子から選ばれる少なくとも1種の置換基で置換された基(以下「置換炭化水素基2」ともいう)、前記置換炭化水素基2以外のヘテロ原子含有基が挙げられる。
2における炭化水素基としては、例えば、鎖状炭化水素基、脂環含有炭化水素基、芳香環含有炭化水素基が挙げられる。これらの具体例は、R1における炭化水素基と同様である。また、置換炭化水素基2の具体例も、置換炭化水素基1と同様である。
ヘテロ原子含有基としては、例えば、ヘテロ環、前記炭化水素基における少なくとも1つの水素原子が前記ヘテロ環で置換された基が挙げられる。ヘテロ環としては、例えば、フルフリル基、チエニル基、テトラヒドロフルフリル基、テトラヒドロチエニル基、これらの基において水素原子の一部または全部が、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基およびハロゲン原子から選ばれる少なくとも1種の置換基で置換された基が挙げられる。
2は、炭化水素基、置換炭化水素基2が好ましく、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキル基置換アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシシクロアルキル基がより好ましく、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数4〜20のシクロアルキル基、シクロアルキル基置換アルキル基、アリール基またはアルコキシアルキル基がより好ましく、ブチル基、ヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、フェニル基、トリル基、ブトキシメチル基が特に好ましい。このような態様であると、化合物(A)の溶解性に優れる。
Xは、酸素原子、硫黄原子、−NR−または直接結合であり、好ましくは酸素原子、硫黄原子または直接結合である。−NR−におけるRは、水素原子または下記Yである。Xが複数ある場合はそれぞれ同一でも異なってもよい。
Yは、炭化水素基、または前記炭化水素基における水素原子の一部もしくは全部が、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のチオアルコキシ基、ヘテロ環およびハロゲン原子から選ばれる少なくとも1種の置換基で置換された基(以下「置換炭化水素基3」ともいう)である。Yが複数ある場合はそれぞれ同一でも異なってもよい。
Yにおける炭化水素基としては、例えば、鎖状炭化水素基、脂環含有炭化水素基、芳香環含有炭化水素基が挙げられる。これらの具体例は、R1における炭化水素基と同様である。
Yの置換炭化水素基3において、アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基が挙げられ、チオアルコキシ基としては、例えば、チオメトキシ基、チオエトキシ基、チオプロポキシ基、チオブトキシ基が挙げられ、ヘテロ環としては、例えば、窒素、酸素および硫黄から選ばれる少なくとも1種を有するヘテロ環が挙げられ、具体的には、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、ピペリジノ基、4−ピペリジル基、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、1−ピロリジル基、モルフォリノ基、モルフォリニル基、オキサゾール基、イソオキサゾール基、チアゾール基、イソチアゾール基、イミダゾール基、ピラゾール基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、トリアゾール基、トリアジン基等の炭素数2〜20の窒素原子含有複素環基、フルフリル基、テトラヒドロフルフリル基等の炭素数4〜20の酸素原子含有複素環基、チエニル基、テトラヒドロチエニル基等の炭素数4〜20の硫黄原子含有複素環基が挙げられ、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素が挙げられる。
置換炭化水素基3としては、例えば、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、チオアルコキシアルキル基、モルフォリニル基等の窒素又は酸素原子含有複素環基置換アルキル基が挙げられる。
Yは、置換炭化水素基3が好ましく、−X−Yで表される基は、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシアルキル基、チオアルコキシアルキル基、モルフォリニル基等の窒素又は酸素原子含有複素環基置換アルキル基が好ましい。このような態様であると、酸素阻害抑制による表面硬化性に優れる。
m1およびm2はそれぞれ0〜4の整数であり、好ましくは0〜2の整数である。n1およびn2はそれぞれ0〜4の整数であって、但しn1+n2は1〜8であり、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜2である。m1+m2+n1+n2は1〜8であり、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜3である。好ましい組合せとしては、例えば、m1=n2=1かつm2=n1=0、n2=1かつm1=m2=n1=0が挙げられる。
また、前述した置換炭化水素基1〜3において、置換基数は、通常は1〜6、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜2である。
成分(A)の具体例を以下に示す。
Figure 2019124741
本発明の組成物中に化合物(A)が含有されていることにより、放射線照射によって照射部において重合性化合物(B)が重合および硬化し、例えばネガ型のパターンを形成することができる。
成分(A)は、感放射線性重合開始剤として使用する場合に高い放射線感度および優れた退色性を示すと共に、成分(A)を含有する感放射線性組成物を用いることで、解像度、光線透明性、後述する多重露光部安定性、および表面硬度に優れた硬化膜を形成することが可能である。このため、成分(A)は感放射線性組成物の成分として有用である。放射線感度および表面硬度については、成分(A)が放射線照射により活性の高いメチルラジカル等のR1ラジカルを発現する化学構造を有することに起因し、光線透明性については、成分(A)が可視光領域に吸収がない又は低いフルオレノン骨格を母核として有することに起因していると考えられる。
例えば、透明部材を形成するための一実施態様では、本発明の組成物を用いて膜厚3.5μmの硬化膜を形成した場合において、前記硬化膜は、400〜800nmの範囲の波長領域における最低光線透過率が好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上である。硬化膜形成条件および測定条件の詳細は実施例に記載する。
成分(A)を含有する感放射線性組成物は、パターンを有する硬化膜の形成に有用であり、例えば、層間絶縁膜、スペーサー、保護膜等の透明部材だけでなく、カラーフィルタを構成する各色画素およびブラックマトリックスのような着色層等の着色部材を形成するために用いることができる。また、本発明の組成物は、後述するような走査型露光装置を用いて大型基板(例えば2200mm×2500mmの10世代基板等)に対するフォトリソグラフィープロセスなど、表示素子の製造プロセス等に好適に使用することができる。
本発明の組成物に含まれる成分(A)は1種でも2種以上でもよい。
本発明の組成物において、成分(A)の含有量は、重合性化合物(B)100質量部に対して、好ましくは0質量部を超えて20質量部以下、より好ましくは0.5〜10質量部、さらに好ましくは1〜8質量部である。このような態様であれば、放射線感度、解像性および残留量低減の観点から好ましい。
成分(A)は、従来公知の化学反応(アシル化、オキシム化、アセチル化反応など)を適宜組み合わせて合成することができる。例えば、後述する合成例に示すように、フルオレノン骨格に対して、−CO−CR2=N−O−CO−R1と必要であれば−X−Yとを導入する。
<重合性化合物(B)>
重合性不飽和化合物(B)は、エチレン性不飽和二重結合を有する。成分(B)を用いることにより、感放射線性組成物から得られるパターンの表面硬度および耐熱性を向上させることができる。
成分(B)としては、(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する(メタ)アクリル酸エステル、すなわち2官能以上の(メタ)アクリル酸エステル(多官能(メタ)アクリレート)が好ましい。前記(メタ)アクリロイル基数は、好ましくは2〜6である。(メタ)アクリロイル基は、エチレン性不飽和二重結合を含む。
2官能の(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート等のアルカンジオールジ(メタ)アクリレート;テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;ビスフェノキシエタノールフルオレンジ(メタ)アクリレート等の芳香環含有ジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
3官能以上の(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)フォスフェートが挙げられ、ヒドロキシ基含有多官能(メタ)アクリレートのジカルボン酸又は酸無水物による変性物も挙げられ、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのフタル酸変性物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートのフタル酸変性物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのコハク酸変性物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートのコハク酸変性物が挙げられ;また、9官能以上の(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、直鎖アルキレン基および脂環式構造を有し、かつ2個以上のイソシアネート基を有する化合物と、分子内に1個以上の水酸基を有し、かつ3〜5個の(メタ)アクリロイロキシ基を有する化合物とを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートが挙げられる。
本発明の組成物に含まれる成分(B)は1種でも2種以上でもよい。
本発明の組成物において、重合性化合物(B)の含有割合は、前記組成物に含まれる固形分100質量%中、通常は10質量%以上、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは20〜70質量%、さらに好ましくは20〜60質量%である。なお、固形分とは溶媒以外の全成分をいう。このような態様であれば、放射線感度、解像性および後述する多重露光部安定性の観点から好ましく、また得られる硬化膜の耐熱性、耐薬品性および強度の観点から好ましい。
<アルカリ可溶性樹脂(C)>
本発明の組成物は、現像性を向上させ、所望の形状を有するパターンを容易に製造することができる点から、アルカリ可溶性樹脂(C)を含有することが好ましい。アルカリ可溶性とは、例えば、2.38質量%濃度のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液等のアルカリ水溶液に溶解または膨潤可能であることを意味する。
成分(C)は、1分子中に1個以上の酸性基を有する樹脂であることが好ましい。酸性基としては、例えば、カルボキシ基、酸無水物基、フェノール性水酸基、スルホ基、マレイミド基、−C(Rc1)(Rc2)OHで表される基等のヒドロキシフッ素化アルキル基が挙げられる。前記式中、Rc1は、フッ素原子または炭素数1〜4のフッ素化アルキル基、特にトリフルオロメチル基等のパーフルオロアルキル基である。Rc2は、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のフッ素化アルキル基、特にトリフルオロメチル基等のパーフルオロアルキル基である。
成分(C)としては、1個以上の酸性基を有するエチレン性不飽和単量体(以下「不飽和単量体(1)」ともいう)と、前記単量体とラジカル共重合可能なエチレン性不飽和単量体(以下「不飽和単量体(2)」ともいう)との共重合体が好ましい。前記共重合体は、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル等の公知のラジカル重合開始剤を用いて、適当な溶媒中で前記不飽和単量体を重合することにより得ることができる。
不飽和単量体(1)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、コハク酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、マレイン酸、シクロヘキセンジカルボン酸等の不飽和モノ又はジカルボン酸;無水マレイン酸、シクロヘキセンジカルボン酸無水物等の酸無水物;p−イソプロペニルフェノール、ヒドロキシスチレン等のフェノール性水酸基含有化合物;マレイミド、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(4−ビニルフェニル)−プロパン−2−オールが挙げられる。
不飽和単量体(1)は、1種単独でまたは2種以上を使用することができる。
不飽和単量体(2)としては、例えば、
スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;
メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の脂環含有(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香環含有(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、オキセタン(メタ)アクリレート等のオキシラニル又はオキセタニル基含有(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=2〜10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=2〜10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=2〜10)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=2〜10)モノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル;
ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ポリシロキサン等の重合体分子鎖の末端にモノ(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー;
その他、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−置換マレイミド、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等のジカルボン酸ジエステル、1,3−ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル;
が挙げられる。
不飽和単量体(2)は、1種単独でまたは2種以上を使用することができる。
不飽和単量体(1)と不飽和単量体(2)との共重合体において、前記共重合体中の不飽和単量体(1)の共重合割合は、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜40質量%である。このような範囲で不飽和単量体(1)を共重合させることにより、保存安定性、アルカリ現像性に優れる組成物を得ることができる。
成分(C)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、現像性等に優れる組成物が得られる等の点から、通常は1,000〜1,000,000、好ましくは2,000〜50,000、より好ましくは3,000〜20,000である。
本発明の組成物に含まれ得る成分(C)は1種でも2種以上でもよい。
本発明の組成物において、アルカリ可溶性樹脂(C)の含有量は、重合性化合物(B)100質量部に対して、好ましくは30〜200質量部、より好ましくは40〜150質量部、さらに好ましくは50〜150質量部、特に好ましくは80〜120質量部である。このような態様であれば、放射線感度および解像性により優れる組成物を得ることができる。
<添加剤、その他成分>
本発明の組成物は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、前記成分以外の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、重合禁止剤、密着剤、界面活性剤、着色剤、分散剤、分散助剤、耐熱性向上剤が挙げられる。これらの添加剤としては、公知の化合物を用いることができ、特に限定されない。
重合禁止剤としては、例えば、硫黄、キノン類、ヒドロキノン類、ポリオキシ化合物、アミン類、ニトロまたはニトロソ化合物が挙げられる。密着剤は、本発明の組成物が適用される基板との密着性を向上させるために配合される成分であり、例えば、官能性シランカップリング剤が好ましく、その例としては、カルボキシ基、メタクリロイル基、ビニル基、イソシアネート基、エポキシ基等の反応性官能基を有するシランカップリング剤が挙げられる。界面活性剤は、本発明の組成物の塗布性を向上するために配合される成分であり、例えば、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤が挙げられる。
各々の添加剤は、重合性化合物(B)100質量部に対して、それぞれ独立に、好ましくは10質量部以下、より好ましくは7.5質量部以下用いることができる。
また、本発明では、必要に応じて、前述した成分(A)(感放射線性重合開始剤)以外の感放射線性重合開始剤を用いてもよく、また重合開始剤とともに増感剤を併用することもできる。
本発明の組成物は、着色剤を含有してもよい。これにより、例えば、着色層を形成するための感放射線性着色組成物を得ることができる。「着色層」とは、例えば、カラーフィルタに用いられる各色画素、液晶表示素子に用いられるブラックマトリックス、ブラックスペーサーを意味する。
着色剤としては、例えば、顔料、染料が挙げられる。
顔料としては、例えば、カラーインデックス(C.I.)名でC.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー80、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー211、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントバイオレット23等の有機顔料;カーボンブラック、チタンブラック等の無機顔料が挙げられる。
顔料としてはレーキ顔料も好ましく、具体的には、トリアリールメタン系染料やキサンテン系染料をイソポリ酸やヘテロポリサン酸でレーキ化したものを挙げることができる。
染料としては、例えば、キサンテン系染料、トリアリールメタン系染料、シアニン系染料、アントラキノン系染料、アゾ系染料等の有機染料が挙げられる。
着色剤の含有割合は、輝度が高く色純度に優れる画素、あるいは遮光性に優れるブラックマトリックス、ブラックスペーサーを形成する点から、感放射線性組成物の固形分中に好ましくは5〜70質量%、より好ましくは5〜60質量%である。
着色剤として顔料を使用する場合、所望により、分散剤、分散助剤と共に使用することができる。分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系等の適宜の分散剤を使用することができるが、ポリマー分散剤が好ましい。具体的には、アクリル系共重合体、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミンが挙げられる。分散助剤としては、例えば、顔料誘導体が挙げられ、具体的には、銅フタロシアニン、ジケトピロロピロール、キノフタロンのスルホン酸誘導体が挙げられる。
<溶媒>
本発明の組成物は、適当な溶媒に溶解または分散した組成物溶液として用いることができる。溶媒としては、感放射線性組成物を構成する各成分を均一に溶解または分散し、各成分と反応せず、適度の揮発性を有する成分が用いられる。
溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、ベンジルアルコール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;エチレングリコールモノ又はジアルキルエーテル、プロピレングリコールモノ又はジアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノ又はジアルキルエーテル、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、エチレングリコールモノアルキルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノアルキルエーテルプロピオネート等のアルキレングリコール類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル等のアルコキシプロピオン酸アルキル;酢酸メチル、酢酸エチル等の他のエステル類が挙げられる。
これらの溶媒のうち、ジエチレングリコールモノ又はジアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、アルコキシプロピオン酸アルキルが好ましい。
溶媒は、1種単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
溶媒は、例えば、本発明の組成物の固形分濃度が通常は10〜60質量%、好ましくは15〜40質量%となる量を用いることができる。
<感放射線性組成物の調製方法>
本発明の組成物は、各成分を所定の割合で混合し、好ましくは適当な溶媒に溶解または分散して調製することができる。調製した組成物は、例えば孔径0.2μm程度のフィルタでろ過することが好ましい。
[硬化膜およびその製造方法]
本発明の硬化膜は、本発明の感放射線性組成物から形成され、したがって露光ムラが少なく、均質な膜厚等を有する。また、前記硬化膜は、表面硬度、光線透過率、耐薬品性等の諸特性も良好である。
前記硬化膜は、通常はパターニングされた硬化膜であり、例えば、層間絶縁膜、スペーサー、保護膜、ならびにカラーフィルタを構成する各色画素およびブラックマトリックスとして用いることができる。
硬化膜の膜厚は、通常は0.5〜20μm、好ましくは1〜10μmである。
本発明の硬化膜は、例えば、本発明の組成物の塗膜を基板上に形成する工程(1)、前記塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程(2)、放射線照射後の前記塗膜を現像する工程(3)、現像後の前記塗膜を加熱する工程(4)を有する方法により、製造することができる。
<工程(1)>
工程(1)では、例えば、基板上に、本発明の組成物を塗布した後、塗布面を加熱(プレベーク)することにより、塗膜を形成する。
基板としては、例えば、ガラス基板、シリコン基板、樹脂基板が挙げられ、より具体的には、ソーダライムガラス、無アルカリガラス等のガラス基板;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリイミド等のプラスチックからなる樹脂基板が挙げられる。
基板の一面には、透明導電膜や金属薄膜が設けられていてもよい。透明導電膜としては、例えば、酸化スズ(SnO2)からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In23−SnO2)からなるITO膜が挙げられる。
組成物の塗布方法としては、例えば、スプレー塗布法、ロール塗布法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法、バー塗布法、インクジェット塗布法等の適宜の方法を採用することができ、スピンコート法、スリットダイ塗布法が好ましい。
プレベークの条件は、組成物中の各成分の種類および配合割合などによって異なるが、通常は70〜120℃で1〜15分程度である。
塗膜の膜厚は、通常は1〜30μm、好ましくは2〜10μmである。
<工程(2)>
工程(2)では、形成された塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する。この場合、塗膜の一部に放射線を照射する際には、通常は所定のパターンを有するフォトマスクを介して放射線を照射する。なお、塗膜の一部は、後述するように放射線が多重に照射(多重露光)されてもよい。
放射線としては、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線が挙げられる。波長が300〜450nmの範囲にある放射線が好ましく、紫外線がより好ましく、前記紫外線は波長365nmの紫外線を含むことが好ましい。
放射線の照射量は、放射線の波長365nmにおける強度を照度計により測定した値として、通常は100〜2000J/m2、好ましくは200〜1000J/m2である。
光源としては、例えば、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、レーザーが挙げられる。放射線の照射装置としては、例えば、光源からの放射線を、フォトマスクとレンズ等とを介して、基板上の塗膜に照射する投影露光装置が挙げられ、走査型露光装置(特開平6−120108号公報、特開平1−298719号公報、特開昭61−164126号公報、特開平7−153683号公報、特開2001−215718号公報参照)を用いてもよい。
近年では、表示素子の大面積化が進み、これに伴って露光装置においても露光領域の拡大が望まれているが、走査型露光装置は、1回の走査での露光範囲が広いため、大型基板の高速の露光が可能となり、表示素子の生産性を高めることができる。
なお、走査型露光装置を用いる場合、塗膜上で、レンズが重なった部分で照射された多重露光部では硬化が不充分になり、膜厚に露光ムラが生じる場合がある。また、ハーフトーンマスクまたは二枚のマスクを用いたフォトリソグラフィー法により感放射線性組成物の塗膜を露光・現像し、凹凸構造を形成する場合に、膜厚に関して多重露光による露光ムラが生じる場合がある。しかしながら、本発明では、上述した化合物(A)を感放射線性重合開始剤として含有する感放射線性組成物を用いるので、解像性といった感放射線性組成物としての一般特性を充分に備え、かつ、多重露光が生じた場合も、膜厚に関して露光ムラの発生を抑制することができる。このように本発明の感放射線性組成物は、多重露光部安定性に優れている。
<工程(3)>
工程(3)では、放射線照射後の前記塗膜を現像する。これにより、前記塗膜の不要な部分を除去して、所定のパターンを形成することができる。当該パターン形成方法においては、通常、ネガ型現像となる。具体的には、工程(2)で放射線が照射された塗膜に対し、現像液により現像を行って放射線の非照射部分を除去する。
現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア等の無機アルカリ類;エチルアミン、n−プロピルアミン等の脂肪族1級アミン類;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン等の脂肪族2級アミン類;トリメチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエチルアミン、トリエチルアミン等の脂肪族3級アミン類;ピロール、ピペリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン等の脂環族3級アミン類;ピリジン、コリジン、ルチジン、キノリン等の芳香族3級アミン類;ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の4級アンモニウム塩等のアルカリ性化合物の水溶液が挙げられる。前記アルカリ性化合物の水溶液には、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒および/または界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
現像方法としては、例えば、液盛り法、ディッピング法、シャワー法が挙げられる。
現像条件は、通常は常温程度で10〜180秒間程度である。
現像後、例えば流水洗浄を30〜90秒間行った後、例えば圧縮空気や圧縮窒素で風乾させることによって、所望のパターンを形成することができる。
<工程(4)>
工程(4)では、現像後の前記塗膜(パターン)を加熱する。
加熱方法としては、例えば、オーブンやホットプレート等の加熱装置を用いて加熱することができる。加熱温度としては、例えば120〜300℃である。加熱時間としては、加熱機器の種類により異なるが、例えば、ホットプレート上で加熱処理を行う場合には5〜40分、オーブン中で加熱処理を行う場合には10〜180分とすることができる。このようにして、目的とするパターン(パターニングされた硬化膜)を基板上に形成することができる。
[表示素子]
本発明の表示素子は、本発明の硬化膜を有する。前記硬化膜は、通常はパターンを有する。前記硬化膜としては、前記表示素子において、例えば、配線間を絶縁する層間絶縁膜、スペーサー、保護膜、カラーフィルタを構成する各色画素、ブラックマトリックス等のパターニングされた硬化膜が挙げられる。
表示素子としては、例えば、液晶表示素子、プラズマディスプレイ素子が挙げられる。
液晶表示素子の構造としては、例えば、透明基板上にカラーフィルタ、絶縁膜、スペーサーを形成し、液晶層を介して配置される2つの配向膜、対向する透明電極、対向する透明基板等を有する構造が挙げられる。また、必要に応じて、偏光板や、カラーフィルタ上に保護膜を設けることもできる。本発明では、カラーフィルタ、絶縁膜、スペーサーおよび保護膜から選ばれる少なくとも1種が、本発明の組成物から形成された硬化膜である。
カラーフィルタを構成する着色層を形成する方法としては、例えば、次の方法が挙げられる。まず、基板の表面上に、必要に応じて、画素を形成する部分を区画するように遮光層(ブラックマトリックス)を形成する。次いで、この基板上に、例えば、赤色の着色剤を含有する本発明の組成物を用いて前述した硬化膜の製造方法に従い赤色の画素パターンが所定の配列で配置された画素アレイを形成する。次いで、緑色または青色の着色剤を含有する本発明の組成物を用いて同様に緑色の画素アレイおよび青色の画素アレイを同一基板上に順次形成する。これにより、赤色、緑色および青色の三原色の画素アレイが基板上に配置されたカラーフィルタが得られる。ただし、各色の画素を形成する順序は、上記順序に限定されない。
以下、本発明を実施例に基づいて更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。以下の実施例等の記載において、特に言及しない限り、「部」は「質量部」を示す。
<化合物(A)の合成例>
[合成例A−1]:化合物(A−1)の製造
以下のスキームに従って化合物(A−1)を製造した。
Figure 2019124741
〈ステップ(I):エーテル化〉
1Lのナス型フラスコに、2−ヒドロキシ−9−フルオレノン18.6g(95mmol)とジメチルスルホキシド200mLとを入れ、撹拌し、2−ヒドロキシ−9−フルオレノンの溶液とした。ここに2−クロロエタノール13.5mL(200mmol)を加えた。この溶液を70℃に加熱し、5時間反応させた。反応液を冷却後、1規定の水酸化ナトリウム水溶液に注ぎ、沈殿物を1規定の水酸化ナトリウム水溶液で数回洗浄し、減圧乾燥した。得られた固体を2−プロパノールに溶解し、再結晶により精製し、2−(2'−ヒドロキシエトキシ)−9−ナフタレノン31.0gを得た。
〈ステップ(II):アシル化〉
2Lのナス型フラスコに上記で合成した2−(2'−ヒドロキシエトキシ)−9−ナフタレノン28.8g(120mmol)を加え、これに塩化メチレン1000mLを加えて2−(2'−ヒドロキシエトキシ)−9−ナフタレノンを溶解し、さらに塩化アルミニウム54.7g(410mmol)を添加後、氷冷により0℃まで反応液温度を降温させた。この反応液系に対して、n−ヘキサン酸塩化物47.1g(350mmol)を滴下した。滴下中は、反応液温度を10〜20℃に保持した。滴下終了後、反応液を20℃で20時間撹拌した。反応液を氷水400g中でクエンチして撹拌し、水200mLを加え、次いでクロロホルム500mLで3回抽出した。有機層を集め、飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄し、蒸留水300mLで洗浄し、溶媒を減圧留去した後、粗成生物を得た。この組成生物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで生成することでアシル体31.1gを得た。
〈ステップ(III):オキシム化〉
300mLのナス型フラスコに、上記で合成したアシル体20.3g(60.0mmol)を量り取り、濃塩酸6.2g(60.0mmol)とジメチルホルムアミド60gとを加え、アシル体と濃塩酸の溶液とした。ここに亜硝酸イソブチル9.2g(88.8mmol)を加え、室温で4時間撹拌した。その後、酢酸エチルと水を加え、有機層を蒸留水で洗浄した。固体が析出した有機層にヘキサンを加え、ろ過したものを減圧乾燥し、オキシム体15.4gを得た。
〈ステップ(IV):アセチル化〉
500mLのナス型フラスコに、上記で合成したオキシム体14.7g(40.1mmol)を量り取り、酢酸n−ブチル100mLを加えオキシム体を溶解し、さらに無水酢酸15.3g(150mmol)を加え、90℃で1時間攪拌した。反応液を室温まで冷却し、水200mLを加えて有機層を抽出し、さらに酢酸n−ブチル100mLで2回抽出した。この有機層をまとめ、蒸留水200mLで洗浄し、有機層を減圧留去して粗生成物を得た。この粗成生物をカラムクロマトグラフィーで精製することで最終生成物の化合物(A−1)10.3gを得た。
化合物(A−1)の1H−NMR、LC−MSを以下の通り測定した。1H−NMR測定(ブルカー株式会社製 AVANCE500型)、およびLC−MS分析(日本ウォーターズ株式会社製 ACQUITY UPLC®システム並びにSYNAPT HDMS(High DefinitionMass Spectrometry)システム)を行い、化合物(A−1)の分析を行った。分析結果は以下の通りであった。
1H−NMR(溶媒:CDCl3)化学シフトδ:8.65、8.21、7.45、7.44、7.07、7.05(フルオレノン環上水素、6H)、4.15〜4.10(水酸基隣接メチレン水素、2H)、4.04〜3.96(エーテル隣接メチレン水素、2H)、2.88〜2.83(C=N隣接メチレン水素、2H)、2.21(アセチル基のメチル水素、3H)、1.41〜1.33、1.13〜1.07(ブチル基の1位以外のメチレン水素、4H)、0.88〜0.79(ブチル基のメチル水素、3H)、0.15(水酸基水素、1H)
LC−MS:m/z=432.1472(M++Na:432.1424(計算値))
[合成例A−2〜A−6]:化合物(A−2)〜(A−6)の製造
化合物(A−2)〜(A−6)は、合成例A−1のステップ(II)以降に記載した方法に従って、対応する置換基を導入し得る試料を用い、対応するフルオレノンのアシル化反応から製造した。化合物(A−2)および化合物(A−6)は9−フルオレノン、化合物(A−3)は2−メチルチオメチル−9−フルオレノン、化合物(A−4)は2−エトキシメチル−9−フルオレノン、化合物(A−5)は2−モルフォリノメチル−9−フルオレノンのアシル化反応からそれぞれ製造した。
Figure 2019124741
化合物(A−2)の1H−NMRおよびLC−MS測定の結果を以下に示す。
1H−NMR(溶媒:CDCl3)化学シフトδ:8.72、8.51、7.52、7.50、7.45、7.34、7.32(フルオレノン環上水素、7H)、2.91〜2.83(C=N隣接メチレン水素、2H)、2.24〜2.16(アセチル基のメチル水素、3H)、1.31〜1.30、1.28〜1.10、(ヘキシル基の1位以外のメチレン水素、8H)、0.94〜0.87(ヘキシル基のメチル水素、3H)、
LC−MS:m/z=400.1573(M++Na:400.1526(計算値))
化合物(A−3)の1H−NMRおよびLC−MS測定の結果を以下に示す。
1H−NMR(溶媒:CDCl3)化学シフトδ:8.83、8.51、7.85、7.68、7.63、7.58(フルオレノン環上水素、6H)、3.53〜3.48(フルオレノン環の隣接水素、2H)、2.48〜2.35(C=N隣接のメチレン水素、2H)、2.22(シクロヘキシル基のメチン水素、1H)、2.14〜2.02(メチルチオ基のメチル水素、3H)、1.85〜1.73(アセチル基のメチル水素、3H)、1.78〜1.67、1.58〜1.42、1.18〜1.02(シクロヘキシル基のメチレン水素、10H)
LC−MS:m/z=472.1533(M++Na:472.1560(計算値))
化合物(A−4)の1H−NMRおよびLC−MS測定の結果を以下に示す。
1H−NMR(溶媒:CDCl3)化学シフトδ:8.71、8.52、7.92、7.58、7.52、7.35(フルオレノン環上水素、6H)、2.71〜2.63(エチル基の1位炭素上のメチレン水素)、2.11〜1.95(アセチル基のメチル水素、3H)、1.52〜1.45(エトキシ基のメチル水素、3H)、1.34〜1.32、1.28〜1.25、1.24〜1.11(ヘキシル基の1位以外のメチレン水素、8H)、1.02〜0.89(ヘキシル基のメチル水素、3H)
LC−MS:m/z=458.1922(M++Na:458.1945(計算値))
化合物(A−5)の1H−NMRおよびLC−MS測定の結果を以下に示す。
1H−NMR(溶媒:CDCl3)化学シフトδ:8.52、8.41、7.82、7.63、7.60、7.55(フルオレノン環上水素、6H)、7.46、7.35、7.30、7.05(C=N隣接ベンゼン環上の水素)、3.92〜3.83(窒素隣接のメチレン水素、2H)、3.92〜3.83、3.53〜3.41、3.20〜3.08、2.42〜2.33(モルフォリン環上のメチレン水素、8H)、2.20〜2.12(ベンゼン環上のメチル水素、3H)、2.05〜1.97(アセチル期のメチル水素、3H)
LC−MS:m/z=505.1733(M++Na:505.1740(計算値))
化合物(A−6)の1H−NMRおよびLC−MS測定の結果を以下に示す。
1H−NMR(溶媒:CDCl3)化学シフトδ:8.68、8.52、7.81、7.65、7.61、7.51、7.40(フルオレノン環上水素、7H)、4.65〜4.53(C=N隣接のメチレン水素、2H)、3.23〜3.18(ブチル基の1位のメチレン水素、2H)、2.05〜1.90(アセチル基のメチル水素、3H)、1.43〜1.33(ブチル基の2位のメチレン水素、2H)、1.11〜1.02(ブチル基の3位のメチレン水素、2H)、0.93〜0.81(ブチル基のメチル水素、3H)
LC−MS:m/z=402.1295(M++Na:402.1318(計算値))
<アルカリ可溶性樹脂(C)(共重合体)の合成例>
[合成例C−1]:共重合体(C−1)の合成
冷却管および撹拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル5部およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート250部を仕込み、続いてメタクリル酸18部、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルメタクリレート25部、スチレン5部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート30部、およびベンジルメタクリレート22部を仕込んで、窒素置換した。次いで、緩やかに攪拌しつつ、溶液の温度を70℃に上昇させ、この温度を5時間保持して重合することにより、固形分濃度28.8質量%の共重合体(C−1)溶液を得た。得られた共重合体(C−1)について、以下の装置および条件を用いて重量平均分子量(Mw)を測定したところ、13,000であった。
装置:GPC−101(昭和電工(株)製)
カラム:GPC−KF−801、GPC−KF−802、GPC−KF−803およびGPC−KF−804を結合
移動相:テトラヒドロフラン
流量:1.0mL/分
試料濃度:1.0質量%
試料注入量:100μL
カラム温度:40℃
検出器:示差屈折計
標準物質:単分散ポリスチレン
<感放射線性組成物の調製>
[実施例1]
化合物(A−1)3部、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物(日本化薬(株)製の「KAYARAD DPHA」)100部、共重合体(C−1)100部(固形分)を含有する前記溶液、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン(和光純薬工業社製の「2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン」)0.1部、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(JNC((株))製の「サイラエースS710」)5部、およびフッ素系界面活性剤((株)ネオス製の「FTX−218」)0.3部を混合し、固形分濃度が30質量%となるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解させた後、孔径0.2μmのメンブランフィルタでろ過して、感放射線性組成物を調製した。
[実施例2〜17および比較例1〜4]
各成分について、表1に記載のとおりの種類および量を使用したこと以外は実施例1と同様にして、感放射線性組成物を調製した。
Figure 2019124741
表1中、各成分の略号は、それぞれ次の化合物を意味する。
<感放射線性重合開始剤>
A−1〜A−6:合成例A−1〜A−6で合成した化合物
cA−1:エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)(BASF社製の「イルガキュアOXE02」)
cA−2:1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−,2−(O−ベンゾイルオキシム)(BASF社製の「イルガキュアOXE01」)
cA−3:2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製の「イルガキュア379」)
Figure 2019124741
<重合性化合物>
B−1:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物((日本化薬(株)製の「KAYARAD DPHA」)
B−2:コハク酸変性ペンタエリスリトールトリアクリレート
(東亞合成(株)製の「アロニックスTO−756」)
<アルカリ可溶性樹脂>
C−1:合成例C−1で合成した共重合体
<重合禁止剤>
D−1:2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン
(和光純薬工業社製の「2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン」)
<シランカップリング剤>
E−1:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
(JNC((株))製の「サイラエースS710」)
<界面活性剤>
F−1:フッ素系界面活性剤((株)ネオス製の「FTX−218」)
<感放射線性組成物および硬化膜の特性評価>
上記のようにして調製した感放射線性組成物およびそれから形成された硬化膜の評価を以下のように実施した。評価結果を表1に示した。以下の評価において、膜厚は光干渉式膜厚測定装置(スクリーン社製の「ラムダエースVM−2210」)により測定した。
[放射線感度]
ガラス基板(「NA35」(NHテクノグラス(株)製))上にスピンナーを用いて感放射線性組成物を塗布した後、90℃にて2分間ホットプレート上でプレベークして膜厚4.0μmの塗膜を形成した。次いで、露光機(キヤノン社の「PLA−501F」:超高圧水銀ランプを使用)を用い、露光量を変化させて複数の矩形遮光部(10μm×10μm)を有するパターンマスクを介して塗膜の露光を行った。次いで、2.38質量%濃度のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(現像液)を用い、液盛り法によって25℃で現像処理を行った。現像処理の時間は100秒であった。現像処理後、超純水で1分間、塗膜の流水洗浄を行い、乾燥させてガラス基板上にパターンを形成した。このガラス基板をクリーンオーブン内にて230℃で30分間ポストベークして硬化膜を得た。この硬化膜の膜厚について、下記式で表される残膜率(パターン状薄膜が適正に残存する比率)が85%以上になる露光量を感度として求め、以下の基準に従って感度を評価した。
残膜率(%)=(現像後膜厚/現像前膜厚)×100
(評価基準)
A:200J/m2未満
B:200J/m2以上400J/m2未満
C:400J/m2以上800J/m2未満
D:800J/m2以上
露光量は、波長365nmにおける強度を照度計により測定した。
[解像性]
放射線感度の評価と同様にして貫通孔を有する硬化膜を形成し、残膜率が85%以上になる露光量での硬化膜の貫通孔の最小径を光学顕微鏡にて観察した。解像性は、以下の基準に従って評価した。
(評価基準)
A:貫通孔の最小径が10μm以上
B:貫通孔の最小径が8μm以上10μm未満
C:貫通孔の最小径が5μm以上8μm未満
D:貫通孔が形成されない
[硬化膜の光線透明性]
フォトマスクを使用せず、露光量を600J/m2としたこと以外は上記[放射線感度]と同様にして、ガラス基板(「NA35」(NHテクノグラス(株)製))上に硬化膜を形成した。分光光度計「150−20型ダブルビーム((株)日立製作所製)」を用い、この硬化膜を有するガラス基板の光線透過率を、硬化膜を有さないガラス基板を参照側として400〜800nmの範囲の波長で測定した。そのときの最低光線透過率の値を、硬化膜の光線透明性の評価として表1に示した。この値が95%以上のとき、硬化膜の光線透明性は良好であると言える。
[硬化膜の鉛筆硬度(表面硬度)]
上記[硬化膜の光線透明性]の評価と同様に形成した硬化膜を有する基板について、JIS K−5400−1990の8.4.1鉛筆引っかき試験により、硬化膜の鉛筆硬度(表面硬度)を測定し、結果を表1に示した。この値が3H又はそれより大きいとき、硬化膜の表面硬度は良好であると言える。
[硬化膜の退色性]
上記[硬化膜の光線透明性]の評価と同様にして、塗膜および硬化膜を形成した。露光前とポストベーク後のそれぞれで、分光光度計「150−20型ダブルビーム((株)日立製作所製)」を用い、380nmの吸光度を測定した。露光前の吸光度を、ポストベーク後の吸光度で割ったものを退色性の値として表1に示した。この値が10以上のとき、硬化膜の退色性は良好であると言える。
露光時は感光特性の発現のため、露光波長での吸収が必要だが、硬化膜の光線透明性のためには可視光付近の吸収が硬化後に無い又は低いことが重要である。退色性を示す塗膜は、良好な感光特性と硬化後の光線透明性とを両立することができる。
[二重露光部安定性]
ライン・アンド・スペース比(L/S)が4:1(ライン幅が400μm、スペース幅が100μm)のマスクを用い、露光量200J/m2で1回露光、露光量100J/m2で2回露光、または露光量200J/m2で2回露光とした以外は上記[放射線感度]の評価と同様に硬化膜を形成した。露光量200J/m2で1回露光して得られた硬化膜と、露光量100J/m2で2回露光、または露光量200J/m2で2回露光して得られた硬化膜との膜厚差を算出し、以下の基準に従って二重露光部安定性を評価した。
二重露光部安定性1(200J/m2の1回露光と100J/m2の2回露光の差)
(評価基準)
A:膜厚差が0.10μm未満
B:膜厚差が0.10μm以上0.20μm未満
C:膜厚差が0.20μm以上0.30μm未満
D:膜厚差が0.30μm以上
二重露光部安定性2(200J/m2の1回露光と200J/m2の2回露光の差)
(評価基準)
A:膜厚差が0.30μm未満
B:膜厚差が0.30μm以上0.50μm未満
C:膜厚差が0.50μm以上0.80μm未満
D:膜厚差が0.80μm以上
表1に示した結果から、本発明の感放射線性組成物を用いた実施例1〜17では、比較例1〜4と比較して、高い放射線感度、解像度および退色性を示すと共に、硬化膜は、光線透明性、表面硬度および二重露光部安定性に優れていた。このように、実施例に係る感放射線性組成物および硬化膜では各種特性がバランスよく発揮されていることが分かった。

Claims (7)

  1. 下記式(1)で表される化合物(A)と、
    エチレン性不飽和二重結合を有する重合性化合物(B)と
    を含有する感放射線性組成物。
    Figure 2019124741
    [式(1)中、
    1は、炭化水素基、または前記炭化水素基における水素原子の一部もしくは全部が、炭素数1〜6のアルコキシ基およびハロゲン原子から選ばれる少なくとも1種の置換基で置換された基であり、R1が複数ある場合はそれぞれ同一でも異なってもよく、
    2は、有機基であり、R2が複数ある場合はそれぞれ同一でも異なってもよく、
    Xは、酸素原子、硫黄原子、−NR−(Rは水素原子または下記Yである)、または直接結合であり、Xが複数ある場合はそれぞれ同一でも異なってもよく、Yは、炭化水素基、または前記炭化水素基における水素原子の一部もしくは全部が、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のチオアルコキシ基、ヘテロ環およびハロゲン原子から選ばれる少なくとも1種の置換基で置換された基であり、Yが複数ある場合はそれぞれ同一でも異なってもよく、
    m1およびm2はそれぞれ0〜4の整数であり、n1およびn2はそれぞれ0〜4の整数であって但しn1+n2は1〜8であり、m1+m2+n1+n2は1〜8である。]
  2. アルカリ可溶性樹脂(C)をさらに含有する請求項1に記載の感放射線性組成物。
  3. 前記式(1)において、
    前記R1が、炭素数1〜12のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基であり、前記R2が、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数4〜20のシクロアルキル基、シクロアルキル基置換アルキル基、アリール基またはアルコキシアルキル基であり、
    前記−X−Yで表される基が、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシアルキル基、チオアルコキシアルキル基または窒素又は酸素原子含有複素環基置換アルキル基である
    請求項1または2に記載の感放射線性組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の感放射線性組成物から形成された硬化膜。
  5. 請求項4に記載の硬化膜を有する表示素子。
  6. 下記式(1)で表される化合物。
    Figure 2019124741
    [式(1)中、
    1は、炭化水素基、または前記炭化水素基における水素原子の一部もしくは全部が、炭素数1〜6のアルコキシ基およびハロゲン原子から選ばれる少なくとも1種の置換基で置換された基であり、R1が複数ある場合はそれぞれ同一でも異なってもよく、
    2は、有機基であり、R2が複数ある場合はそれぞれ同一でも異なってもよく、
    Xは、酸素原子、硫黄原子、−NR−(Rは水素原子または下記Yである)、または直接結合であり、Xが複数ある場合はそれぞれ同一でも異なってもよく、Yは、炭化水素基、または前記炭化水素基における水素原子の一部もしくは全部が、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のチオアルコキシ基、ヘテロ環およびハロゲン原子から選ばれる少なくとも1種の置換基で置換された基であり、Yが複数ある場合はそれぞれ同一でも異なってもよく、
    m1およびm2はそれぞれ0〜4の整数であり、n1およびn2はそれぞれ0〜4の整数であって但しn1+n2は1〜8であり、m1+m2+n1+n2は1〜8である。]
  7. 請求項6に記載の化合物からなる感放射線性重合開始剤。
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