JP2019124236A - 高圧ガスタンクの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】タンクの表面に保護層を接着する際に、保護層の補強層への追従性を高め、接着剤の硬化を促進することができる高圧ガスタンクの製造方法を提供する。【解決手段】保護層15を有する高圧ガスタンクの製造方法であって、高圧ガスタンクを構成するタンク11の補強層14が表面に凹凸部14aを有し、水分により軟化する保護層15を、軟化させつつ、湿気硬化型の接着剤20により凹凸部14aの表面に接着することを特徴とする。【選択図】図7

Description

本発明は、保護層が接着される高圧ガスタンクの製造方法に関する。
この種の高圧ガスタンクの製造方法として、円筒状のシリンダー部と、シリンダー部の両端に位置する半球体状のドーム部とを有するタンクのドーム部の外周面に熱硬化性樹脂からなる繊維強化樹脂層としての補強層を形成し、補強層にドーム部包囲部材としての保護層を接着するものが開示されている(特許文献1参照)。
特開2014−190495号公報
しかしながら、特許文献1に記載の高圧ガスタンクの製造方法においては、図12(a)に示すように、シリンダー部1、ドーム部2および補強層3からなるタンク4の補強層3の表面が比較的に大きな凹凸部5を有している。保護層6をドーム部2に密着させて保護層6とタンク4とを一体化させるには、接着面積を確保するため、図12(b)に示すように、接着剤7を厚く塗って凹凸部5と保護層6との間の隙間を埋める必要があるという問題がある。または、凹凸部5を研磨することで凹凸部5の無い滑らかな表面にする研磨工程が必要になるという問題もある。また、図12(c)に示すように、保護層6をドーム部2に矢印a方向に加圧しても保護層6の変形が小さく、保護層6の補強層3の凹凸部5のある表面への追従性が良くないという問題がある。また、補強層3の表面へ接着剤を厚く塗ると、接着剤7の硬化時間が比較的に長くなってしまうという問題がある。
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、タンクの表面に保護層を接着する際に、保護層の補強層への追従性を高め、接着剤の硬化を促進することができる高圧ガスタンクの製造方法を提供することを課題とする。
本発明に係る高圧ガスタンクの製造方法は、保護層を有する高圧ガスタンクの製造方法であって、前記高圧ガスタンクを構成するタンクが凹凸形状の表面を有し、水分により軟化する前記保護層を、軟化させつつ、湿気硬化型の接着剤により前記表面に接着することを特徴とする。
本発明に係る高圧ガスタンクの製造方法においては、保護層を水分により軟化させつつ、湿気硬化型の接着剤により凹凸形状の表面に接着するように構成されている。この構成により、保護層は、軟化した状態でタンクの凹凸形状のある表面に加圧されて接着されるので、保護層は、表面の凹凸形状に追従して変形する。その結果、接着剤を厚く塗って凹凸形状を埋める必要がなくなり、適度の厚さの接着剤により、接着剤の硬化が促進される。また、接着剤が湿気硬化型で構成されているので、保護層の水分などの湿気により接着剤の硬化が促進される。
本発明によれば、タンクの表面に保護層を接着する際に、保護層の補強層への追従性を高め、接着剤の硬化を促進することができる高圧ガスタンクの製造方法を提供することができる。
本発明の実施形態に係る高圧ガスタンクの製造方法により作製される高圧ガスタンクの図であり、図1(a)は、高圧ガスタンクの分解斜視図を示し、図1(b)は、高圧ガスタンクの斜視図を示し、図1(c)は、保護層の断面図を示す。 本発明の実施形態に係る高圧ガスタンクの製造方法を示す工程図。 本発明の実施形態に係る高圧ガスタンクの製造方法により補強層が形成された高圧ガスタンクの斜視図であり、図3(a)は、外周部がヘリカル巻きで形成された補強層を示し、図3(b)は、外周部がフープ巻きで形成された補強層を示す。 本発明の実施形態に係る高圧ガスタンクの製造方法に適用する高圧ガスタンクを硬化させた後の補強層の表面の図であり、図4(a)は、硬化した補強層を有する高圧ガスタンクの側面図を示し、図4(b)は、硬化した補強層の凹凸の状態を表した高圧ガスタンクの一部を拡大した拡大側面図を示す。 本発明の実施形態に係る高圧ガスタンクの製造方法に適用する高圧ガスタンクの図であり、図5(a)は、保護層の内周側に吸水した状態を示し、図5(b)は、保護層に接着剤を塗布した状態を示し、図5(c)は、加圧保持機構により保護層を高圧ガスタンクに加圧保持した状態を示す。 本発明の実施形態に係る高圧ガスタンクの製造方法に適用する保護層の図であり、図6(a)は、保護層を内側から見た保護層の外観図を示し、図6(b)は、保護層の内側に接着剤を塗布した保護層のタンクへの装着前の状態を示す。 本発明の実施形態に係る高圧ガスタンクの製造方法に適用する保護層を接着する工程を示す図であり、図7(a)は、保護層をタンクに接着する前の保護層とタンクの部分拡大断面図を示し、図7(b)は、保護層をタンクに突き当てた状態の保護層とタンクの部分拡大断面図を示し、図7(c)は、保護層をタンクに対して加圧した状態の保護層とタンクの部分拡大断面図を示す。 本発明の実施形態に係る高圧ガスタンクの製造方法に適用する保護層のポリウレタンの圧縮物性のグラフであり、図8(a)は、ポリウレタンの常態時におけるストロークと試験力との関係を表すグラフを示し、図8(b)は、ポリウレタンの吸水時におけるストロークと試験力との関係を表すグラフを示す。 本発明の実施形態に係る高圧ガスタンクの製造方法に適用する保護層のポリウレタンの圧縮物性を表すグラフで、ポリウレタンの加熱60℃におけるストロークと試験力との関係を表すグラフを示す。 本発明の実施形態に係る高圧ガスタンクの製造方法に適用する接着剤の接着強度を説明する図であり、図10(a)は、接着強度の引張試験の模式図を示し、図10(b)は、温度と接着強度との関係を表すグラフを示す。 本発明の実施形態に係る高圧ガスタンクの製造方法に適用する接着剤の接着強度を説明する図であり、図11(a)は、湿度と接着強度との関係を表すグラフを示し、図11(b)は、硬化時間と接着強度との関係を表すグラフを示す。 従来の高圧ガスタンクの製造方法において、保護層を接着する工程を示す図であり、図12(a)は、保護層をタンクに接着する前の保護層とタンクの部分拡大断面図を示し、図12(b)は、保護層をタンクに突き当てた状態の保護層とタンクの部分拡大断面図を示し、図12(c)は、保護層をタンクに対して加圧した状態の保護層とタンクの部分拡大断面図を示す。 従来の高圧ガスタンクの製造方法において、保護層の内側に塗布した接着剤の図であり、図13(a)は、保護層の内側に接着剤を塗布した状態を示し、図13(b)は、保護層のタンクへの装着後の接着剤の一部が未接触の状態を示す。
本発明に係る高圧ガスタンクの製造方法を適用した実施形態に係る高圧ガスタンク10の製造方法について図面を参照して説明する。
まず、高圧ガスタンク10の構成について説明する。高圧ガスタンク10は、図1(a)、図1(b)、図1(c)に示すように、タンク11と、口金12、13と、タンク11の外周面に形成された補強層14と、一対の保護層15とにより構成されている。高圧ガスタンク10は、気体を透過させにくい性質、いわゆるガスバリア性を有しており内部には水素などの比較的高圧のガスが充填されるように構成されている。
タンク11は、筒状の中空容器からなり、ポリアミド樹脂(PA)などのプラスチックを炭素繊維(Carbon Fiber)で強化した炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics、以下CFRPという。)で形成されている。なお、タンク11の材料は、いわゆるナイロン(登録商標)などの高い機械的強度を有するエンジニアリングプラスチックや金属材料であってもよい。
タンク11は、シリンダー部16と、一対のドーム部17とを有している。シリンダー部16は円筒状に形成され、各ドーム部17はそれぞれ中空の略半球体からなり、シリンダー部16と一体的に形成されている。各ドーム部17は、図示しない口金装着部を有しており、口金装着部には口金12、13が装着されている。
口金12は、金属材料からなり、略半球状に形成されたドーム部17からタンク11の軸線方向に突出している。口金13は、口金12と同様、金属材料からなり、略半球状に形成されたドーム部17からタンク11の軸線方向に突出している。
補強層14は、繊維束Fがタンク11の外周面に巻き付けられて形成されている。繊維束Fは、エポキシ樹脂(EP)などのプラスチックをガラス繊維(Glass Fiber)で強化したガラス繊維強化プラスチック(GFRP:Glass Fiber Reinforced Plastics)で形成されている。なお、補強層14の材料は、カーボン繊維(Carbon Fiber)、アラミド繊維(Aromatic Polyamide Fiber)などの繊維をプラスチックの中に入れて強度を向上させた複合材料であってもよい。
繊維束Fは、数十本の単繊維を撚り合わせて1本の糸にした、いわゆるマルチフィラメントが、数千〜数万本程度束ねられた繊維束からなる。補強層14の形成は、例えば、図示しないフィラメントワインディング装置(Filament Winding Process、以下FW装置という。)によって行われる。
このFW装置は、太い繊維束Fを引伸ばして細くするとともに,あまい撚りを与えて粗糸とし、巻き取ったいわゆる粗紡糸(ガラスロービングなどのロービング)に樹脂を含浸させながら、または、樹脂が含浸された粗紡糸にテンションをかけ、被加工物に連続的に巻き付ける製造装置をいう。粗紡糸に含浸させる樹脂は、例えば、エポキシ樹脂(EP)、ポリエステル樹脂(PE)やポリアミド樹脂(PA)などの熱硬化性樹脂からなる。このFW法によれば、巻き付ける際の角度を調整することにより、被加工物の軸方向および周方向の強度を調整することができる。
一対の保護層15は、多孔質構造の衝撃吸収性樹脂で構成されている。多孔質構造の衝撃吸収性樹脂としては、例えば、ウレタンゴム、ニトリルゴム、フッ素ゴムなどのゴム材料が挙げられる。各保護層15は、図1(a)、図1(c)に示すように、タンク11のドーム部17と同様の形状で作製する。各保護層15は、中央部分に貫通孔15aを有しており、ドーム部17に取り付けられる際に口金12、13が挿入されるように構成されている。また、保護層15の内周面15bは、ドーム部17の外周面と同様の曲面形状で形成されており、ドーム部17に取り付けられる際に、内周面15bがドーム部17の外周面を覆うように構成されている。
本実施形態に係る高圧ガスタンク10の製造方法について説明する。高圧ガスタンク10の製造方法は、図2に示すように、高圧ガスタンク、口金および保護層作製工程と、補強層形成工程と、加熱や急冷による硬化工程と、保護層接着工程とを含んで構成されている。各工程は、順に行われる。なお、本実施形態の保護層接着工程は、本発明に係る高圧ガスタンクの製造方法を構成している。
高圧ガスタンク、口金および保護層作製工程においては、タンク11、口金12、13および一対の保護層15が作製される(ステップS1)。タンク11は、長手方向の中央部分で分割し、シリンダー部16およびドーム部17を有する一方側のタンクと、一方側のタンクと同様、シリンダー部16およびドーム部17を有する他方側のタンクとをCFRPで成形することによりそれぞれ作製する。また、口金12、13は、金型鋳造や切削などの金属加工によりそれぞれ作製する。
次いで、作製した一方側のタンクの貫通孔に口金12を挿入し、一方側のタンクと口金12とを嵌合させる。また、作製した他方側のタンクの貫通孔に口金13を挿入し、他方側のタンクと口金13とを嵌合させる。次いで、口金12が装着された一方側のタンクのシリンダー部16の開口する一方端部と、口金13が装着された他方側のタンクのシリンダー部16の開口する一方端部とが対向するようにして突き合わされ、互いの軸線を一致させるようにして、一方側のタンクと他方側のタンクとを組み付ける。
組み付けられた一方側のタンクと他方側のタンクをレーザー融着などの接合手段により接合する。この接合により、一方側のタンクと他方側のタンクが一体化されるとともに、口金12、13とがそれぞれ装着されたタンク11が作製される。
各保護層15は、多孔質構造の衝撃吸収性樹脂、例えば、ポリウレタン(PU)からなるウレタンゴム、ニトリルゴム、フッ素ゴムなどのゴム材料により、図1(a)、図1(c)に示すように、タンク11のドーム部17と同様の形状で成形することにより作製する。各保護層15がポリウレタン(PU)からなるウレタンゴムで作製された場合には、ポリウレタン(PU)は、密度(g/cm)が、0.25±0.1g/cm、引張強度(kPa)が、1960kPa、伸び(%)が、110%の物性を有している。
補強層形成工程においては、繊維束Fが巻き付けられた複数のボビンがFW装置にセットされ、ボビンから巻き出された繊維束FがFW装置の各構成要素にセットされ、FW装置が稼働し、FW装置によって繊維束Fがタンク11の外周面に巻き付けられて補強層14が形成される(ステップS2)。FW装置は、タンク11の口金12、13を支持する支持部と、タンク11を軸心周りに回転させる回転駆動部とを有す図示しない繊維束巻付機構を備えている。繊維束巻付機構は、繊維束Fのタンク11の軸線方向への往復移動と、タンク11の回転との協働により、タンク11の外周面に繊維束Fを巻き付けるように構成されている。
繊維束巻取機構は、繊維束Fのタンク11の軸線方向への移動速度(m/sec)と、タンク11の回転速度(rpm)とを図示しない制御部により制御することで、タンク11の繊維束Fの巻き付け方をヘリカル巻きやフープ巻きに変化できるように構成されている。
ヘリカル巻きは、図3(a)に示すように、繊維束Fの巻回軌跡がタンク11の軸線CLに対して、例えば10°〜30°程度の低角度θで交差する巻き付け方で、繊維束Fがタンク11のシリンダー部16と、一対のドーム部17の全体に亘って螺旋状に繰り返し巻回される。
フープ巻きは、図3(b)に示すように、繊維束Fの巻回軌跡がタンク11の軸線CLに対して、例えば90°程度の直角に近い角度で交差する巻き付け方で、繊維束Fがタンク11のシリンダー部16の外周面に繰り返し巻回される。
加熱や急冷による硬化工程においては、補強層14の加熱や急冷による硬化処理が行われる(ステップS3)。補強層14の硬化は、図示しない加熱炉や高周波誘導加熱を誘起する誘導加熱コイルなどの加熱装置によって行われ、補強層14内のエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂が加熱処理により硬化する。
加熱処理は、加熱開始から所定の温度(℃)までは、経過時間(min)と温度との関係が一定の割合で上昇するよう加熱する。その後、所定の温度で所定の時間保持される。そして、所定の温度からガラス転移点までは、経過時間(min)と温度との関係が一定の割合で徐々に下降するように徐冷させる。徐冷は、品質に影響を及ぼさないように経過時間(min)と温度との関係が管理される。なお、所定の温度および所定の時間は、タンク11および補強層14の構造、大きさ、材質などの設定諸元や実験値などのデータに基づいて適宜選択される。
加熱による硬化処理において、補強層14が加熱により硬化すると、補強層14の外周面に巻き付けられた繊維束Fは、図4(a)に示すように、凹凸部14aを有する補強層となり、タンク11の機械的強度が高められる。凹凸部14aは、図4(b)に示すように、保護層15を接着する破線の四角で囲む領域では、凸部が1mm〜5mm程度の高さを有している。なお、本実施形態の凹凸部14aは、本発明に係る高圧ガスタンクの製造方法のタンクの凹凸形状に対応する。
急冷による硬化処理は、加熱による硬化処理に続いて行われる(ステップS3)。加熱による硬化処理における徐冷がガラス転移点で終了すると、急冷を開始する。急冷は、徐冷速度よりも速い速度で温度を下降させ、冷却時間の短縮が図られる。冷却速度は品質に影響を及ぼさないので、可能な限り急速に冷却される。
保護層接着工程においては、各保護層15がタンク10の補強層14に接着される(ステップS4)。保護層接着工程においては、まず、図5(a)に示すように、各保護層15の内周側を吸水させ、内周面15bからnで示す所定の深さの範囲の保護層15を軟化させる。保護層15の外周側は、保護層15を補強層14に接着する際の加圧で変形しないよう所定の硬度が維持されている。
次いで、図5(b)に示すように、各保護層15を接着剤塗布台Tの上に載置し、保護層15の内周面15bに接着剤20をそれぞれ塗布する。具体的には、図6(b)に示すように、保護層15の貫通孔15aの周囲と、保護層15の開口する縁の周囲に所定の幅および所定の厚みで接着剤20をそれぞれ塗布する。
接着剤20は、空気中の水分と反応して硬化する湿気硬化型からなり、例えば、シアノアクリレート系、シリコーンゴム系や変性アクリルシリコーンからなる。接着剤20の所定の幅および所定の厚みは、補強層14の表面の凹凸の形状、タンクの構造、大きさ、材質などの設定諸元や、実験値などのデータに基づいて適宜選択される。
続いて、各保護層15を加熱し、各保護層の温度(℃)を上昇させる。なお、接着剤20が塗布される前に、各保護層15を加熱してもよく、接着剤20の塗布と同時に各保護層15を加熱してもよい。
次いで、接着剤20が塗布された各保護層15を、図5(c)に示すように、加圧保持機構30にそれぞれセットする。各保護層15は、図1(a)、図7(a)に示すように、各保護層15に塗布された接着剤20が、補強層14の凹凸部14aに対向する姿勢で加圧保持機構30に保持される。そして、加圧保持機構30で保持された保護層15は、加圧保持機構30により、タンク11のドーム部17の方向に移動して、図7(b)に示すように、接着剤20の表面が補強層14の凹凸部14aに押し当てられる。
次いで、図7(c)に示すように、保護層15は、加圧保持機構30により、矢印b方向に加圧される。そして、加圧保持機構30による加圧により、軟化した各保護層15の内周側は、補強層14の表面の凹凸にならって変形し、塗布された接着剤20は、薄く均一に延ばされる。
これにより、各保護層15および接着剤20は、補強層14の表面の凹凸に追従しつつ密着し、良好な接着界面が確保され、接着剤20により保護層15と補強層14とが互いに接合される。その結果、接着剤20が薄膜化され硬化時間(min)が短縮されるのに加えて、吸水された保護層15内の水分により接着剤20の硬化が促進されるとともに、加熱による保護層15の熱により、さらに接着剤20の硬化が促進される。
以上のように構成された実施形態に係る高圧ガスタンク10の製造方法の効果について説明する。
本実施形態に係る高圧ガスタンク10の製造方法は、各保護層15を水分により軟化させつつ、湿気硬化型の接着剤20により補強層14の凹凸部14aの表面に接着する保護層接着工程(ステップS4)を含んで構成されている。保護層接着工程では、各保護層15の内周側の吸水および加熱が行われ、接着剤20が各保護層15の内周面15bに塗布され、加圧保持機構30により各保護層15がタンク11に装着されて加圧される。
これにより、軟化した各保護層15の内周側は、補強層14の表面の凹凸にならって変形し、塗布された接着剤20は、薄く均一に延ばされて、各保護層15とタンク11とが互いに接着される。その結果、接着剤20が薄膜化され硬化時間(min)が短縮されるのに加えて、吸水された保護層15内の水分により接着剤20の硬化が促進されるとともに、加熱による保護層15の熱により、さらに接着剤20の硬化が促進されるという効果が得られる。
図12(a)に示す保護層6への吸水や加熱が行われていない従来の高圧ガスタンクの製造方法においては、図12(c)に示すように、保護層6が矢印a方向に加圧されても、保護層6の変形が少ない。その結果、図13(a)に示すように、保護層6の装着前に、保護層6の内周面6bに塗布した接着剤7が、装着後には、図13(b)に示すように、保護層6の内周面6bの縁側では補強層3の凹凸部5に接触して多くが潰されて接触面積が大きくなっているが、保護層6の内周面6bの貫通孔6a周辺では、補強層3の凹凸部5に接触していない未接触部分が多くあった。接着剤7の未接触部分が多くあると、接着剤7の潰し量が少なく硬化時間が長くなるという問題があった。本実施形態に係る高圧ガスタンク10の製造方法においては、このような問題が解決されるという効果が得られる。また、従来の高圧ガスタンクの製造方法において、補強層の凹凸部を研磨して滑らかにする研磨工程が必要となる問題や、凹凸部を埋める接着剤の厚塗りにより接着剤の硬化時間が長いという問題が解消されるという効果が得られる。
本実施形態に係る高圧ガスタンク10の製造方法における保護層15を構成するポリウレタン(PU)の圧縮物性について、75%圧縮時試験力で評価を行った。圧縮物性は、図8(a)、図8(b)、図9に示すように、ポリウレタンの常態時、吸水時、加熱60℃に分けて、それぞれ常態時−1、常態時−2、常態時−3、耐水−1、耐水−2、耐水−3、60℃−1、60℃−2、60℃−3について別々にテストピースで評価を行った。評価は、JISK7220に基づいて行った。テストピースへの吸水は、水に所定時間浸漬させることによって行った。テストピースには、15〜20cm□で厚さ数十mm程度の形状のポリウレタンを使用した。
図8(a)、図8(b)、図9に示すグラフは、それぞれ横軸にストローク(mm)、縦軸に試験力(N)を表しており、ストローク、即ちテストピースの変位量(mm)は、それぞれ最大を15mmとし、最大点変位における試験力(N)である最大点試験力(N)と、75%変位における試験力(N)である75%試験力(N)を測定した。
<ポリウレタンの常態時>
ポリウレタンの常態時−1、常態時−2、常態時−3は、図8(a)に示すように、
75%試験力が、1482.1N〜1586.5Nの範囲にあり平均(ave)が1524Nであった。また、最大点試験力が1507.1N〜1594.6Nの範囲にあるので比較的に高い試験力が測定された。また、ストロークと試験力の関係を示す曲線は、ともに同様の曲線を示している。
<ポリウレタンの吸水時>
ポリウレタンの耐水−1、耐水−2、耐水−3は、図8(b)に示すように、75%試験力が、1077.3N〜1379.8Nの範囲にあり平均(ave)が1207Nであった。また、最大点試験力が1101.5N〜1403.4Nの範囲にあるのでポリウレタンの常態時と比較的して低い試験力が測定された。また、ストロークと試験力の関係を示す曲線は、ともに同様の曲線を示している。したがって、ポリウレタンに吸水することでポリウレタンが20%軟化していることが分かった。
<ポリウレタンの加熱60℃>
ポリウレタンの60℃−1、60℃−2、60℃−3は、図9に示すように、75%試験力が、1105.9N〜1124.6Nの範囲にあり平均(ave)が1104Nであった。また、最大点試験力が1106.3N〜1145.6Nの範囲にあるのでポリウレタンの常態時と比較的して低い試験力が測定された。また、ストロークと試験力の関係を示す曲線は、ともに同様の曲線を示している。したがって、ポリウレタンを60℃で加熱することでポリウレタンが27%軟化していることが分かった。
本実施形態に係る高圧ガスタンク10の製造方法における接着剤20の接着強度(N)
を評価するため、変性アクリルシリコーンからなる接着剤20について、以下のように接着強度の試験を行った。試験法はJISK6833(接着剤−一般試験方法−第1部:基本特性の求め方)に基づいて行った。まず、図10(a)に示すように、接着剤20で接着したテストピースTPを作製し、恒温恒湿槽内で加湿加熱した後、引張試験を行い、温度感度、湿度感度および厚み感度について評価を行った。
テストピースTPは、幅25mm×長さ100mm×厚み1.6mmのアルミニウム板Alを2枚作製し接着剤20を塗布して、2枚のアルミニウム板Alを接着することにより作製した。接着剤20の厚みは1mmで塗布範囲は25mm×40mmとした。作製したテストピースTPは、恒温恒湿槽内で加湿加熱し硬化させた。硬化時間は10minとした。硬化後に引張速度(1mm/min)で、一方のアルミニウム板Alを図10(a)に示す矢印方向に引張り、他方のアルミニウム板Alを、一方のアルミニウム板Alと反対方向に引張ることで引張試験を行った。
<温度感度>
図10(b)は、温度に対する接着剤20の感度を表すグラフで、湿度40%での温度感度を×印で、湿度30%での温度感度を△印で表している。グラフは、横軸に温度(℃)、縦軸に接着強度(N)を示している。湿度40%のグラフによれば、温度30℃で接着強度は2N〜3Nとなっているが、温度が上昇し50℃では接着強度は14N〜17Nとなり、70℃では接着強度はほぼ36Nとなっている。グラフで示すように、温度と接着強度は比例関係にあり、温度が上昇すると直線的に接着強度も上昇するという関係にある。このグラフで示されるように、接着剤20を加熱することで、保護層15の貼り付け時間を短縮することができることが分かった。
湿度30%のグラフによれば、温度30℃で接着強度は2〜3Nとなっているが、温度が上昇し50℃では接着強度は5〜10Nとなり、70℃では接着強度はほぼ36Nとなっている。湿度40%のグラフと同様、温度と接着強度は比例関係にあり、温度が上昇すると直線的に接着強度も上昇するという関係にある。このグラフで示されるように、接着剤20を加熱することで、保護層15の接着の硬化時間を短縮することができることが分かった。
<湿度感度>
図11(a)は、湿度に対する接着剤20の感度を表すグラフで、横軸に湿度(%)、縦軸に接着強度(N)を示している。このグラフによれば、湿度30%で接着強度はほぼ10Nとなっているが、湿度が上昇し、湿度40%では、接着強度は13N〜17Nで、湿度50%では、接着強度は17N〜20Nで、湿度60%では接着強度27N〜30Nとなっている。グラフで示すように、湿度と接着強度は比例関係にあり、湿度が上昇すると直線的に接着強度も上昇するという関係にある。このグラフで示されるように、接着剤20を保護層15からの水分で加湿することで、保護層15の接着の硬化時間を短縮することができることが分かった。
<厚み感度>
図11(b)は、接着剤20の厚みに対する接着剤20の感度を表すグラフで、接着剤20の厚みが0.2mmを□印で、接着剤20の厚みが1mmを◇印で表している。横軸に接着剤20の硬化時間(min)、縦軸に接着強度(N)を示している。厚みが0.2mmのグラフによれば、硬化時間10minで接着強度はほぼ10Nとなっているが、硬化時間20minでは、接着強度はほぼ42Nで、硬化時間30minでは、接着強度はほぼ95Nとなっている。厚みが1mmのグラフによれば、硬化時間30minで接着強度はほぼ20Nとなっているが、硬化時間40minでは、接着強度はほぼ30Nで、硬化時間50minでは、接着強度はほぼ35Nとなっている。
厚みが0.2mmの接着剤20は、厚みが1mmの接着剤20に対して、著しく硬化時間が短くなっている。即ち、厚みが1mmの接着剤20の硬化時間と接着強度との関係は、硬化時間の経過に対して接着強度の高まりが小さくなっている。これに対して、厚みが0.2mmの接着剤20の硬化時間と接着強度との関係は、硬化時間の経過に対して接着強度の高まりが大きくなっており、硬化時間が著しく短縮されていることがわかる。
本実施形態に係る高圧ガスタンク10の製造方法においては、ポリウレタンの圧縮物性の評価および接着剤20の接着強度の評価の結果から分かるように、保護層15の補強層14の凹凸部14aへの追従性を高め、接着剤20の硬化時間を短縮することができるという効果が得られる。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
10・・・高圧ガスタンク、11・・・タンク、12,13・・・口金、14・・・補強層、14a・・・凹凸部、15・・・保護層、15a・・・貫通孔、15b・・・内周面、16・・・シリンダー部、17・・・ドーム部、20・・・接着剤、30・・・加圧保持機構

Claims (1)

  1. 保護層を有する高圧ガスタンクの製造方法であって、
    前記高圧ガスタンクを構成するタンクが凹凸形状の表面を有し、
    水分により軟化する前記保護層を、軟化させつつ、湿気硬化型の接着剤により前記表面に接着することを特徴とする高圧ガスタンクの製造方法。
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