JP2019122116A - 電力変換装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】HEMTを備えた構造において還流損失の低減を図ることができる電力変換装置を提供する。【解決手段】電力変換装置1は、上段HEMT13,15のソースおよび下段HEMT14,16のドレインが接続された直列回路をそれぞれ含むアーム回路10,11と、上段ダイオード51および上段スイッチング素子52を含む直列回路を有し、上段ダイオード51のカソードが上段HEMT13,15のドレインに接続される態様で、上段HEMT13,15にそれぞれ並列接続された上段バイパス回路41,42と、下段ダイオード55および下段スイッチング素子56を含む直列回路を有し、下段ダイオード55のアノードが下段HEMT14のソースに接続される態様で、下段HEMT14,16にそれぞれ並列接続された下段バイパス回路44,45と、を含む。【選択図】図2

Description

本発明は、HEMT(High Electron Mobility Transistor:高電子移動度トランジスタ)を備えた電力変換装置に関する。
ワイドバンドギャップ半導体である窒化ガリウム(GaN)を用いた半導体パワーデバイスとして、HEMT(High Electron Mobility Transistor:高電子移動度トランジスタ)が知られている。
HEMTは、高速動作、高耐圧および低損失を実現できる次世代型の半導体パワーデバイスとして注目を集めている。HEMTは、高速信号処理を要する高速コンピュータ等に利用され得るが、特許文献1の図1に開示されているように、電力変換装置のスイッチング素子としての利用も図られている。
特開2014―220486号公報
しかしながら、電力変換装置には、還流電流に起因する還流損失の問題がある。たとえば、電力変換装置を構成するスイッチング素子がMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)である場合、還流電流の大部分は、MISFETに並列接続されたボディダイオードを流れる。したがって、還流電流に起因する還流損失の大部分はボディダイオードで生じる。
これに対して、電力変換装置を構成するスイッチング素子がHEMTである場合、還流電流はHEMTのソースおよびドレインの間を流れる。この場合、還流電流に起因する還流損失の大部分はHEMTで生じる。
HEMTの動作電圧は、ボディダイオードの動作電圧よりも高い。したがって、HEMTを備えた電力変換装置は、MISFETを備えた電力変換装置よりも還流損失が増加するという問題を有している。
そこで、本発明は、HEMTを備えた構造において還流損失の低減を図ることができる電力変換装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、高電圧側の上段HEMT(13,15,17)および低電圧側の下段HEMT(14,16,18)をそれぞれ有し、前記上段HEMTのソースおよび前記下段HEMTのドレインが接続されることによりそれぞれ構成された複数のアーム回路(10,11,12)と、各前記アーム回路の前記上段HEMTに並列接続された上段バイパス回路(41,42,43)と、各前記アーム回路の前記下段HEMTに並列接続された下段バイパス回路(44,45,46)と、を含み、各前記上段バイパス回路は、上段ダイオード(51)および前記上段ダイオードのアノードに接続された上段スイッチング素子(52)を含む直列回路を有し、前記上段ダイオードのカソードが前記上段HEMTのドレインに接続される態様で、各前記アーム回路の前記上段HEMTに並列接続されており、各前記下段バイパス回路は、下段ダイオード(55)および前記下段ダイオードのカソードに接続された下段スイッチング素子(56)を含む直列回路を有し、前記下段ダイオードのアノードが前記下段HEMTのソースに接続される態様で、各前記アーム回路の前記下段HEMTに並列接続されている、電力変換装置(1)である。
括弧内の数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表すが、この発明の範囲は当該形態に限定されない。以下、この項において同じ。
この電力変換装置では、或るアーム回路(以下、「当該アーム回路」という。)の上段HEMTのソースからドレインに向けて還流電流が流れ込む動作条件が満たされている場合において、当該アーム回路の上段HEMTを流れるべき還流電流を当該アーム回路に接続された上段バイパス回路に流し込むことができる。
この場合、たとえば、当該アーム回路の下段HEMTがオン状態からオフ状態に切り換わった後、当該アーム回路の上段HEMTがオフ状態からオン状態に切り換わる前の間のデッドタイムにおいて、当該アーム回路の上段HEMTに接続された上段バイパス回路において上段スイッチング素子をオン状態に維持すると共に、当該アーム回路の下段HEMTに接続された下段スイッチング素子をオフ状態に維持すればよい。
これにより、当該アーム回路の上段HEMTにおいて発生すべき還流損失を、当該アーム回路に接続された上段バイパス回路の上段ダイオードにおいて発生させることができる。上段ダイオードの動作電圧は、上段HEMTの動作電圧よりも低い。したがって、上段ダイオードで生じる還流損失は、上段HEMTで生じる還流損失よりも小さい。その結果、還流損失を低減できる。
また、この電力変換装置では、当該アーム回路の下段HEMTのソースからドレインに向けて還流電流が流れ込む動作条件が満たされている場合において、当該アーム回路の下段HEMTを流れるべき還流電流を下段バイパス回路に流し込むことができる。
この場合、たとえば、当該アーム回路の上段HEMTがオン状態からオフ状態に切り換わった後、当該アーム回路の下段HEMTがオフ状態からオン状態に切り換わる前の間のデッドタイムにおいて、当該アーム回路の下段HEMTに接続された下段バイパス回路において下段スイッチング素子をオン状態に維持すると共に、当該アーム回路の上段HEMTに接続された上段スイッチング素子をオフ状態に維持すればよい。
これにより、当該アーム回路の下段HEMTにおいて発生すべき還流損失を、当該アーム回路に接続された下段バイパス回路の下段ダイオードにおいて発生させることができる。下段ダイオードの動作電圧は、下段HEMTの動作電圧よりも低い。したがって、下段ダイオードで生じる還流損失は、下段HEMTで生じる還流損失よりも小さい。その結果、還流損失を低減できる。
よって、還流電流に起因する還流損失の低減を図ることができる電力変換装置を提供できる。
この電力変換装置において、上段スイッチング素子は、当該アーム回路の下段HEMTがオフ状態からオン状態に切り換わった後、当該アーム回路の下段HEMTがオン状態からオフ状態に切り換わる前に、オフ状態からオン状態に切り換えられてもよい。
この電力変換装置において、上段スイッチング素子は、当該アーム回路の上段HEMTがオフ状態からオン状態に切り換わった後、当該アーム回路の上段HEMTがオン状態からオフ状態に切り換わる前に、オン状態からオフ状態に切り換えられてもよい。
この電力変換装置において、下段スイッチング素子は、当該アーム回路の上段HEMTがオフ状態からオン状態に切り換わった後、当該アーム回路の上段HEMTがオン状態からオフ状態に切り換わる前に、オフ状態からオン状態に切り換えられてもよい。
この電力変換装置において、下段スイッチング素子は、当該アーム回路の下段HEMTがオフ状態からオン状態に切り換わった後、当該アーム回路の下段HEMTがオン状態からオフ状態に切り換わる前に、オン状態からオフ状態に切り換えられてもよい。
請求項2に記載の発明は、各前記上段バイパス回路は、前記上段ダイオードおよび前記上段スイッチング素子の接続部、ならびに、前記下段HEMTのソースの間に介装された上段抵抗(54)を含み、各前記下段バイパス回路は、前記下段ダイオードおよび前記下段スイッチング素子の接続部、ならびに、前記上段HEMTのドレインの間に介装された下段抵抗(58)を含む、請求項1に記載の電力変換装置である。
この電力変換装置によれば、上段スイッチング素子がオフになった場合、上段ダイオードの逆回復電流を上段抵抗に流し込むことができる。これにより、上段ダイオードの逆回復電流が、当該アーム回路の下段HEMTに流れ込むのを抑制できる。その結果、上段ダイオードの逆回復電流に起因する貫通電流の発生を抑制できる。
また、下段スイッチング素子がオフになった場合、下段ダイオードの逆回復電流を下段抵抗に流し込むことができる。これにより、下段ダイオードの逆回復電流が、当該アーム回路の上段HEMTに流れ込むのを抑制できる。その結果、下段ダイオードの逆回復電流に起因する貫通電流の発生を抑制できる。
この電力変換装置において、上段ダイオードの逆回復時間は、上段スイッチング素子がオン状態からオフ状態に切り換わった後、下段HEMTがオフ状態からオン状態に切り換わるまでの間の時間よりも短く設定されていてもよい。
この電力変換装置において、下段ダイオードの逆回復時間は、下段スイッチング素子がオン状態からオフ状態に切り換わった後、上段HEMTがオフ状態からオン状態に切り換わるまでの間の時間よりも短く設定されていてもよい。
図1は、本発明の一実施形態に係る電力変換装置の電気的構造を示す回路図である。 図2は、上段バイパス回路の構造および下段バイパス回路の構造を具体的に説明するための回路図である。 図3は、制御部で実行される制御例を説明するためのタイムチャートである。 図4は、上段バイパス回路の回路動作を説明するための回路図である。 図5は、制御部で実行される制御例を説明するためのタイムチャートである。 図6は、下段バイパス回路の回路動作を説明するための回路図である。
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電力変換装置1の電気的構造を示す回路図である。
以下では、電力変換装置1が、三相モータ2に電力を供給する三相インバータ回路である形態例について説明する。
図1を参照して、電力変換装置1は、直流電源3、電源スイッチ4、平滑コンデンサ5、インバータ部6および制御部7を含む。
電源スイッチ4は、直流電源3に接続されている。電源スイッチ4は、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor:MIS型の電界効果トランジスタ)等のスイッチング素子を備えた電源リレーであってもよい。平滑コンデンサ5は、電源スイッチ4を介して直流電源3に接続されている。インバータ部6は、平滑コンデンサ5に並列接続されている。
インバータ部6は、U相アーム回路10、V相アーム回路11およびW相アーム回路12を含む。U相アーム回路10、V相アーム回路11およびW相アーム回路12は、三相モータ2のU相巻線、V相巻線およびW相巻線にそれぞれ対応している。U相アーム回路10、V相アーム回路11およびW相アーム回路12は、平滑コンデンサ5に並列接続されている。
U相アーム回路10は、高電圧側のU相上段HEMT(High Electron Mobility Transistor:高電子移動度トランジスタ)13および低電圧側のU相下段HEMT14が直列接続された直列回路を含む。U相上段HEMT13は、上段アームを構成している。U相下段HEMT14は、下段アームを構成している。
V相アーム回路11は、高電圧側のV相上段HEMT15および低電圧側のV相下段HEMT16が直列接続された直列回路を含む。V相上段HEMT15は、上段アームを構成している。V相下段HEMT16は、下段アームを構成している。
W相アーム回路12は、高電圧側のW相上段HEMT17および低電圧側のW相下段HEMT18が直列接続された直列回路を含む。W相上段HEMT17は、上段アームを構成している。W相下段HEMT18は、下段アームを構成している。
U相上段HEMT13、V相上段HEMT15、W相上段HEMT17、U相下段HEMT14、V相下段HEMT16およびW相下段HEMT18は、ノーマリオフデバイスであってもよいし、ノーマリオンデバイスであってもよい。
U相上段HEMT13、V相上段HEMT15およびW相上段HEMT17は、第1ゲート電極、第1ソース電極および第1ドレイン電極をそれぞれ有している。U相下段HEMT14、V相下段HEMT16およびW相下段HEMT18は、第2ゲート電極、第2ソース電極および第2ドレイン電極をそれぞれ有している。
U相アーム回路10、V相アーム回路11およびW相アーム回路12は、それぞれ、U相上段HEMT13、V相上段HEMT15およびW相上段HEMT17の第1ソース電極、ならびに、U相下段HEMT14、V相下段HEMT16およびW相下段HEMT18の第2ドレイン電極が接続されることによって形成されている。
U相上段HEMT13、V相上段HEMT15およびW相上段HEMT17は、第1閾値電圧Vth1をそれぞれ有している。U相上段HEMT13、V相上段HEMT15およびW相上段HEMT17は、第1ドレイン電圧VD1が第1ソース電圧VS1以上(VD1≧VS1)のとき、第1ゲート電極および第1ソース電極の間の第1ゲート・ソース電圧VGS1が第1閾値電圧Vth1よりも大きい(VGS1>Vth1)場合に、オフ状態からオン状態に移行する。
第1ゲート・ソース電圧VGS1が第1閾値電圧Vth1以下(VGS1≦Vth1)になると、U相上段HEMT13、V相上段HEMT15およびW相上段HEMT17は、オン状態からオフ状態に移行する。
U相上段HEMT13、V相上段HEMT15およびW相上段HEMT17は、第1ドレイン電圧VD1が第1ソース電圧VS1未満(VD1<VS1)のとき、第1ゲート電極および第1ドレイン電極の間の第1ゲート・ドレイン電圧VGD1が第1閾値電圧Vth1よりも大きい(VGD1>Vth1)場合に、オフ状態からオン状態に移行する。
第1ゲート・ドレイン電圧VGD1が第1閾値電圧Vth1以下(VGD1≦Vth1)になると、U相上段HEMT13、V相上段HEMT15およびW相上段HEMT17は、オン状態からオフ状態に移行する。
U相下段HEMT14、V相下段HEMT16およびW相下段HEMT18は、第2閾値電圧Vth2をそれぞれ有している。U相下段HEMT14、V相下段HEMT16およびW相下段HEMT18は、第2ドレイン電圧VD2が第2ソース電圧VS2以上(VD2≧VS2)のとき、第2ゲート電極および第2ソース電極の間の第2ゲート・ソース電圧VGS2が第2閾値電圧Vth2よりも大きい(VGS2>Vth2)場合に、オフ状態からオン状態に移行する。
第2ゲート・ソース電圧VGS2が第2閾値電圧Vth2以下(VGS2≦Vth2)になると、U相下段HEMT14、V相下段HEMT16およびW相下段HEMT18は、オン状態からオフ状態に移行する。
U相下段HEMT14、V相下段HEMT16およびW相下段HEMT18は、第2ドレイン電圧VD2が第2ソース電圧VS2未満(VD2<VS2)のとき、第2ゲート電極および第2ドレイン電極の間の第2ゲート・ドレイン電圧VGD2が第2閾値電圧Vth2よりも大きい(VGD2>Vth2)場合に、オフ状態からオン状態に移行する。
第2ゲート・ドレイン電圧VGD2が第2閾値電圧Vth2以下(VGD2≦Vth2)になると、U相下段HEMT14、V相下段HEMT16およびW相下段HEMT18は、オン状態からオフ状態に移行する。
U相上段HEMT13、V相上段HEMT15およびW相上段HEMT17、ならびに、U相下段HEMT14、V相下段HEMT16およびW相下段HEMT18は、2DEG(2 Dimensional Electron Gas:二次元電子ガス)をチャネルとした構造を有している性質上、還流ダイオードを有していない。
U相上段HEMT13、V相上段HEMT15およびW相上段HEMT17、ならびに、U相下段HEMT14、V相下段HEMT16およびW相下段HEMT18には、還流ダイオードは接続されていない。
U相アーム回路10においてU相上段HEMT13およびU相下段HEMT14の間のU相接続部19には、U相配線20が接続されている。U相配線20は、三相モータ2のU相巻線に接続されている。
V相アーム回路11においてV相上段HEMT15およびV相下段HEMT16の間のV相接続部21には、V相配線22が接続されている。V相配線22は、三相モータ2のV相巻線に接続されている。
W相アーム回路12においてW相上段HEMT17およびW相下段HEMT18の間のW相接続部23には、W相配線24が接続されている。W相配線24は、三相モータ2のW相巻線に接続されている。
制御部7は、U相上段ドライバ回路部25、U相下段ドライバ回路部26、V相上段ドライバ回路部27、V相下段ドライバ回路部28、W相上段ドライバ回路部29およびW相下段ドライバ回路部30を含む。また、制御部7は、マイクロコンピュータ31を含む。
U相上段ドライバ回路部25は、U相上段HEMT13の第1ゲート電極およびマイクロコンピュータ31の間に接続されている。U相上段ドライバ回路部25は、マイクロコンピュータ31からのオンオフ指令に応じて、U相上段HEMT13のオンオフを交互に切り替えるオンオフ信号を生成し、U相上段HEMT13の第1ゲート電極に出力する。
U相下段ドライバ回路部26は、U相下段HEMT14の第2ゲート電極およびマイクロコンピュータ31の間に接続されている。U相下段ドライバ回路部26は、マイクロコンピュータ31からのオンオフ指令に応じて、U相下段HEMT14のオンオフを交互に切り替えるオンオフ信号を生成し、U相下段HEMT14の第2ゲート電極に出力する。
V相上段ドライバ回路部27は、V相上段HEMT15の第1ゲート電極およびマイクロコンピュータ31の間に接続されている。V相上段ドライバ回路部27は、マイクロコンピュータ31からのオンオフ指令に応じて、V相上段HEMT15のオンオフを交互に切り替えるオンオフ信号を生成し、V相上段HEMT15の第1ゲート電極に出力する。
V相下段ドライバ回路部28は、V相下段HEMT16の第2ゲート電極およびマイクロコンピュータ31の間に接続されている。V相下段ドライバ回路部28は、マイクロコンピュータ31からのオンオフ指令に応じて、V相下段HEMT16のオンオフを交互に切り替えるオンオフ信号を生成し、V相下段HEMT16の第2ゲート電極に出力する。
W相上段ドライバ回路部29は、W相上段HEMT17の第1ゲート電極およびマイクロコンピュータ31の間に接続されている。W相上段ドライバ回路部29は、マイクロコンピュータ31からのオンオフ指令に応じて、W相上段HEMT17のオンオフを交互に切り替えるオンオフ信号を生成し、W相上段HEMT17の第1ゲート電極に出力する。
W相下段ドライバ回路部30は、W相下段HEMT18の第2ゲート電極およびマイクロコンピュータ31の間に接続されている。W相下段ドライバ回路部30は、マイクロコンピュータ31からのオンオフ指令に応じて、W相下段HEMT18のオンオフを交互に切り替えるオンオフ信号を生成し、W相下段HEMT18の第2ゲート電極に出力する。
U相上段HEMT13、V相上段HEMT15、W相上段HEMT17、U相下段HEMT14、V相下段HEMT16およびW相下段HEMT18が、所定のスイッチングパターンでオンオフ駆動されることにより、直流電源3からの直流信号が、三相モータ2を正弦波駆動させるための交流信号に変換される。
電力変換装置1は、U相上段HEMT13、V相上段HEMT15およびW相上段HEMT17にそれぞれ並列接続された複数の上段バイパス回路41,42,43を含む。また、電力変換装置1は、U相下段HEMT14、V相下段HEMT16およびW相下段HEMT18にそれぞれ並列接続された複数の下段バイパス回路44,45,46を含む。
複数の上段バイパス回路41,42,43は、より具体的には、U相上段HEMT13に並列接続されたU相上段バイパス回路41、V相上段HEMT15に並列接続されたV相上段バイパス回路42、および、W相上段HEMT17に並列接続されたW相上段バイパス回路43を含む。
複数の上段バイパス回路41,42,43は、それぞれ、U相上段HEMT13、V相上段HEMT15およびW相上段HEMT17を流れるべき還流電流を迂回させる迂回回路(Detour circuit)として形成されている。
複数の下段バイパス回路44,45,46は、より具体的には、U相下段HEMT14に並列接続されたU相下段バイパス回路44、V相下段HEMT16に並列接続されたV相下段バイパス回路45、および、W相下段HEMT18に並列接続されたW相下段バイパス回路46を含む。
複数の下段バイパス回路44,45,46は、それぞれ、U相下段HEMT14、V相下段HEMT16およびW相下段HEMT18を流れるべき還流電流を迂回させる迂回回路(Detour circuit)として形成されている。
以下、図2を参照して、複数の上段バイパス回路41,42,43の回路構成および複数の下段バイパス回路44,45,46の回路構成について具体的に説明する。図2は、複数の上段バイパス回路41,42,43の回路構成および複数の下段バイパス回路44,45,46の回路構成を具体的に説明するための回路図である。
V相上段バイパス回路42の回路構成およびW相上段バイパス回路43の回路構成は、U相上段バイパス回路41の回路構成と略同様である。V相下段バイパス回路45の回路構成およびW相下段バイパス回路46の回路構成は、U相下段バイパス回路44の回路構成と略同様である。
以下では、U相上段バイパス回路41の回路構成およびU相下段バイパス回路44の回路構成を例にとって説明する。また、U相上段バイパス回路41に関する説明は、V相上段バイパス回路42およびW相上段バイパス回路43に準用され、U相下段バイパス回路44に関する説明は、V相下段バイパス回路45およびW相下段バイパス回路46に準用されるものとし、それらの説明は省略する。また、図2では、W相アーム回路12側の構造の図示を省略する。
U相上段バイパス回路41は、上段ダイオード51および上段スイッチング素子52を含む直列回路を有している。上段ダイオード51は、アノード電極およびカソード電極を有している。
上段スイッチング素子52は、この形態では、ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極を有するn型のMISFETを含む。上段スイッチング素子52のソース電極およびドレイン電極には、上段還流ダイオード53が並列接続されていてもよい。
上段ダイオード51のアノード電極は、上段スイッチング素子52のソース電極に接続されている。上段ダイオード51のカソード電極は、U相上段HEMT13のドレイン電極に接続されている。上段スイッチング素子52のドレイン電極は、U相上段HEMT13のソース電極に接続されている。
U相上段バイパス回路41は、上段抵抗54をさらに含む。上段抵抗54は、上段ダイオード51および上段スイッチング素子52の接続部と、U相下段HEMT14のソース電極との間に介装されている。上段ダイオード51の逆回復電流は、上段抵抗54を流れる。これにより、上段ダイオード51に逆回復電荷が供給される。
一方、U相下段バイパス回路44は、下段ダイオード55および下段スイッチング素子56を含む直列回路を有している。下段ダイオード55は、アノード電極およびカソード電極を有している。
下段スイッチング素子56は、この形態では、ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極を有するn型のMISFETを含む。下段スイッチング素子56のソース電極およびドレイン電極には、下段還流ダイオード57が並列接続されていてもよい。
下段ダイオード55のアノード電極は、U相下段HEMT14のソース電極に接続されている。下段ダイオード55のカソード電極は、下段スイッチング素子56のドレイン電極に接続されている。上段スイッチング素子52のソース電極は、U相下段HEMT14のドレイン電極に接続されている。
U相下段バイパス回路44は、下段抵抗58をさらに含む。下段抵抗58は、下段ダイオード55および下段スイッチング素子56の接続部と、U相上段HEMT13のドレイン電極との間に介装されている。下段ダイオード55の逆回復電流は、下段抵抗58を流れる。これにより、下段ダイオード55に逆回復電荷が供給される。
制御部7は、上段ドライバ回路部61および下段ドライバ回路部62を含む。
上段ドライバ回路部61は、上段スイッチング素子52のゲート電極およびマイクロコンピュータ31に接続されている。上段ドライバ回路部61は、マイクロコンピュータ31からのオンオフ指令に応じて、上段スイッチング素子52のオンオフを交互に切り替えるオンオフ信号を生成し、上段スイッチング素子52のゲート電極に出力する。
上段スイッチング素子52がオフ状態からオン状態になると、U相上段バイパス回路41が開放される。たとえば、U相上段HEMT13の第1ソース電極から第1ドレイン電極に向けて還流電流が流れる動作条件の場合にU相上段バイパス回路41を開放することによって、U相上段HEMT13に流れるべき還流電流をU相上段バイパス回路41に流し込むことができる。
すなわち、上段ドライバ回路部61は、U相上段HEMT13の第1ソース電極から第1ドレイン電極に向けて還流電流が流れる動作条件の場合に、当該還流電流をU相上段バイパス回路41に迂回させる還流電流迂回手段を構成している。
下段ドライバ回路部62は、下段スイッチング素子56のゲート電極およびマイクロコンピュータ31に接続されている。下段ドライバ回路部62は、マイクロコンピュータ31からのオンオフ指令に応じて、下段スイッチング素子56のオンオフを交互に切り替えるオンオフ信号を生成し、下段スイッチング素子56のゲート電極に出力する。
下段スイッチング素子56がオフ状態からオン状態になると、U相下段バイパス回路44が開放される。たとえば、U相下段HEMT14の第2ドレイン電極から第2ソース電極に向けて還流電流が流れる動作条件の場合にU相下段バイパス回路44を開放することによって、U相下段HEMT14に流れるべき還流電流をU相下段バイパス回路44に流し込むことができる。
すなわち、下段ドライバ回路部62は、U相下段HEMT14の第2ドレイン電極から第2ソース電極に向けて還流電流が流れる動作条件の場合に、当該還流電流をU相下段バイパス回路44に迂回させる還流電流迂回手段を構成している。
図3は、制御部7における制御の一例を説明するためのタイムチャートである。図4は、U相上段バイパス回路41の回路動作を説明するための回路図である。図4は、図2に対応する部分の回路図である。
以下では、U相上段HEMT13において第1ソース電極から第1ドレイン電極に向けて還流電流が流れ込む動作条件が成立している場合について説明する。ここでは、V相上段HEMT15がオン状態であり、V相下段HEMT16がオフ状態である。
図3および図4を参照して、制御部7は、U相下段HEMT14をオン状態からオフ状態に切り換えた後、所定の第1前段デッドタイムTD11を介して、U相上段HEMT13をオフ状態からオン状態に切り換える。
また、制御部7は、U相上段HEMT13をオン状態からオフ状態に切り換えた後、所定の第1後段デッドタイムTD12を介して、U相下段HEMT14をオフ状態からオン状態に切り換える。
第1前段デッドタイムTD11では、第1ソース電圧VS1の持ち上がりによってU相上段HEMT13の第1ソース電圧VS1が第1ドレイン電圧VD1よりも高くなる(VS1>VD1)と共に、第1ゲート電圧VG1が第1ドレイン電圧VD1を超える(VG1>VD1)。
そして、U相上段HEMT13の第1ゲート・ドレイン電圧VGD1が第1閾値電圧Vth1を超えると(VGD1>Vth1)、U相上段HEMT13は、オフ状態であるにもかかわらず、オン状態に移行する。
そのため、U相上段HEMT13において第1ソース電極から第1ドレイン電極に向けて還流電流が流れ込む。この還流電流は、より具体的には、V相上段HEMT15から三相モータ2を介してU相上段HEMT13に流れ込む(二点鎖線で示した矢印参照)。これにより、U相上段HEMT13において還流損失P1が生じる。
一方、第1後段デッドタイムTD12では、U相上段HEMT13はオン状態からオフ状態に移行する。この場合も、第1前段デッドタイムTD11と同様に、第1ソース電圧VS1の持ち上がりによってU相上段HEMT13は、オフ状態であるにもかかわらず、オン状態に移行する。
そのため、U相上段HEMT13において第1ソース電極から第1ドレイン電極に向けて還流電流が流れ込む。この還流電流は、より具体的には、V相上段HEMT15から三相モータ2を介してU相上段HEMT13に流れ込む(二点鎖線で示した矢印参照)。これにより、U相下段HEMT14において還流損失P2が生じる。
電力変換装置1では、U相上段HEMT13における還流損失P1を低減すべく、少なくとも第1前段デッドタイムTD11において、制御部7が、U相上段バイパス回路41の上段スイッチング素子52をオン状態に維持すると共にU相下段バイパス回路44の下段スイッチング素子56をオフ状態に維持する。
これにより、U相上段HEMT13を流れるべき還流電流をU相上段バイパス回路41に流し込むことができる(実線で示した矢印参照)。U相上段バイパス回路41では、上段ダイオード51に還流電流が流れ込む。
上段ダイオード51は、順方向電圧VF1(たとえば0.6V程度)で動作する。上段ダイオード51の順方向電圧VF1は、U相上段HEMT13の第1ソース電極および第1ドレイン電極の間の第1ソース・ドレイン電圧VSD1(たとえば3V程度)よりも小さい(VF1<VSD1)。
これにより、第1前段デッドタイムTD11だけについて見ると、還流損失P1を80%程度低減できる。また、第1後段デッドタイムTD12における還流損失P2を加味しても、還流損失P1および還流損失P2の合計値である総還流損失P1+P2を、40%程度低減できる。
また、制御部7は、この形態では、第1前段デッドタイムTD11に先立って上段スイッチング素子52をオフ状態からオン状態に切り換え、第1前段デッドタイムTD11の後に上段スイッチング素子52をオン状態からオフ状態に切り換えている。
つまり、制御部7は、U相下段HEMT14をオフ状態からオン状態に切り換えた後、U相下段HEMT14をオン状態からオフ状態に切り換える前に、上段スイッチング素子52をオフ状態からオン状態に切り換えている。
また、制御部7は、U相上段HEMT13をオフ状態からオン状態に切り換えた後、U相上段HEMT13をオン状態からオフ状態に切り換える前に、上段スイッチング素子52をオン状態からオフ状態に切り換えている。
これにより、第1前段デッドタイムTD11の全期間において、U相上段バイパス回路41に還流電流を流し込むことができる。よって、U相上段HEMT13における還流損失P1を適切に低減できる。
上段スイッチング素子52がオン状態からオフ状態に切り換えられると、上段抵抗54に逆回復電流Irr1が流れ、上段ダイオード51に逆回復電荷が供給される。
上段ダイオード51の逆回復時間Trr1は、上段スイッチング素子52がオン状態からオフ状態に切り換えられた後、U相下段HEMT14がオフ状態からオン状態に切り換えられるまでの間の期間よりも短く設定されている。これにより、U相下段HEMT14がオフ状態からオン状態に切り換えられる際に、U相下段HEMT14において逆回復電流Irr1に起因する貫通電流の発生を抑制できる。
上段ダイオード51の逆回復時間Trr1は、さらに具体的には、上段スイッチング素子52がオン状態からオフ状態に切り換えられた後、U相上段HEMT13がオン状態からオフ状態に切り換えられるまでの間の期間よりも短く設定されている。これにより、U相下段HEMT14において逆回復電流Irr1に起因する貫通電流の発生を適切に抑制できる。
図5は、制御部7における制御の一例を説明するためのタイムチャートである。図6は、U相下段バイパス回路44の回路動作を説明するための回路図である。図6は、図2に対応する部分の回路図である。
以下では、U相下段HEMT14において第2ソース電極から第2ドレイン電極に向けて還流電流が流れ込む動作条件が成立している場合について説明する。ここでは、V相下段HEMT16がオン状態であり、V相上段HEMT15がオフ状態である。
図5および図6を参照して、制御部7は、U相上段HEMT13をオン状態からオフ状態に切り換えた後、所定の第2前段デッドタイムTD21を介して、U相下段HEMT14をオフ状態からオン状態に切り換える。
また、制御部7は、U相下段HEMT14をオン状態からオフ状態に切り換えた後、所定の第2後段デッドタイムTD22を介して、U相上段HEMT13をオフ状態からオン状態に切り換える。
第2前段デッドタイムTD21では、第2ソース電圧VS2の持ち上がりによってU相下段HEMT14の第2ソース電圧VS2が第2ドレイン電圧VD2よりも高くなる(VS2>VD2)と共に、第2ゲート電圧VG2が第2ドレイン電圧VD2を超える(VG2>VD2)。
そして、U相下段HEMT14の第2ゲート・ドレイン電圧VGD2が第2閾値電圧Vth2を超えると(VGD2>Vth2)、U相下段HEMT14は、オフ状態であるにもかかわらず、オン状態に移行する。
そのため、U相下段HEMT14において第2ソース電極から第2ドレイン電極に向けて還流電流が流れ込む。この還流電流は、より具体的には、U相下段HEMT14から三相モータ2を介してV相下段HEMT16に流れ込む(二点鎖線で示した矢印参照)。これにより、U相下段HEMT14において還流損失P3が生じる。
一方、第2後段デッドタイムTD22では、U相下段HEMT14はオン状態からオフ状態に移行する。この場合も、第2前段デッドタイムTD21と同様に、第2ソース電圧VS2の持ち上がりによってU相下段HEMT14は、オフ状態であるにもかかわらず、オン状態に移行する。
そのため、U相下段HEMT14において第2ソース電極から第2ドレイン電極に向けて還流電流が流れ込む。この還流電流は、より具体的には、U相下段HEMT14から三相モータ2を介してV相下段HEMT16に流れ込む(二点鎖線で示した矢印参照)。これにより、U相下段HEMT14において還流損失P4が生じる。
電力変換装置1では、U相下段HEMT14における還流損失P3を低減すべく、少なくとも第2前段デッドタイムTD21において、制御部7が、U相下段バイパス回路44の下段スイッチング素子56をオン状態に維持すると共に、U相上段バイパス回路41の上段スイッチング素子52をオフ状態に維持する。
これにより、U相下段HEMT14を流れるべき還流電流をU相下段バイパス回路44に流し込むことができる(実線で示した矢印参照)。U相下段バイパス回路44では、下段ダイオード55に還流電流が流れ込む。
下段ダイオード55は、順方向電圧VF2(たとえば0.6V程度)で動作する。下段ダイオード55の順方向電圧VF2は、U相下段HEMT14の第2ソース電極および第2ドレイン電極の間の第2ソース・ドレイン電圧VSD2(たとえば3V程度)よりも小さい(VF2<VSD2)。
これにより、第2前段デッドタイムTD21だけについて見ると、還流損失P3を80%程度低減できる。また、第2後段デッドタイムTD22における還流損失P4を加味しても、還流損失P3および還流損失P4の合計値である総還流損失P3+P4を、40%程度低減できる。
また、制御部7は、第2前段デッドタイムTD21に先立って下段スイッチング素子56をオフ状態からオン状態に切り換え、第2前段デッドタイムTD21の後に下段スイッチング素子56をオン状態からオフ状態に切り換えている。
つまり、制御部7は、この形態では、U相上段HEMT13をオフ状態からオン状態に切り換えた後、U相上段HEMT13をオン状態からオフ状態に切り換える前に、下段スイッチング素子56をオフ状態からオン状態に切り換えている。
また、制御部7は、U相下段HEMT14をオフ状態からオン状態に切り換えた後、U相下段HEMT14をオン状態からオフ状態に切り換える前に、下段スイッチング素子56をオン状態からオフ状態に切り換えている。
これにより、第2前段デッドタイムTD21の全期間において、U相下段バイパス回路44に還流電流を流し込むことができる。これにより、U相下段HEMT14における還流損失P3を適切に低減できる。
下段スイッチング素子56がオン状態からオフ状態に切り換えられると、下段抵抗58に逆回復電流Irr2が流れ、下段ダイオード55に逆回復電荷が供給される。
下段ダイオード55の逆回復時間Trr2は、下段スイッチング素子56がオン状態からオフ状態に切り換えられた後、U相上段HEMT13がオフ状態からオン状態に切り換えられるまでの間の期間よりも短く設定されている。これにより、U相上段HEMT13がオフ状態からオン状態に切り換えられる際に、U相上段HEMT13において逆回復電流Irr2に起因する貫通電流の発生を抑制できる。
下段ダイオード55の逆回復時間Trr2は、さらに具体的には、下段スイッチング素子56がオン状態からオフ状態に切り換えられた後、U相下段HEMT14がオン状態からオフ状態に切り換えられるまでの間の期間よりも短く設定されている。これにより、U相上段HEMT13において逆回復電流Irr2に起因する貫通電流の発生を適切に抑制できる。
以上、電力変換装置1によれば、制御部7は、第1前段デッドタイムTD11において、U相上段バイパス回路41の上段スイッチング素子52をオン状態に維持すると共に、U相下段バイパス回路44の下段スイッチング素子56をオフ状態に維持する。
これにより、U相上段HEMT13を流れるべき還流電流をU相上段バイパス回路41に流し込むことができるから、U相上段HEMT13において発生すべき還流損失を、U相上段バイパス回路41の上段ダイオード51において発生させることができる。
上段ダイオード51の動作電圧(順方向電圧VF1)は、U相上段HEMT13の動作電圧(第1ソース・ドレイン電圧VSD1)よりも小さい。したがって、上段ダイオード51で生じる還流損失は、U相上段HEMT13で生じる還流損失よりも小さい。よって、還流損失を低減できる。
また、電力変換装置1によれば、制御部7は、第2前段デッドタイムTD21において、U相下段バイパス回路44の下段スイッチング素子56をオン状態に維持すると共に、U相上段バイパス回路41の上段スイッチング素子52をオフ状態に維持する。
これにより、U相下段HEMT14を流れるべき還流電流をU相下段バイパス回路44に流し込むことができるから、U相下段HEMT14において発生すべき還流損失を、U相下段バイパス回路44の下段ダイオード55において発生させることができる。
下段ダイオード55の動作電圧(順方向電圧VF2)は、U相下段HEMT14の動作電圧(第2ソース・ドレイン電圧VSD2)よりも小さい。したがって、下段ダイオード55で生じる還流損失は、U相下段HEMT14で生じる還流損失よりも小さい。よって、還流損失を低減できる。
このように、本実施形態に係る電力変換装置1によれば、還流電流に起因する還流損失の低減を図ることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はさらに他の形態で実施することもできる。
前述の各実施形態では、電力変換装置1が、三相モータ2に電力を供給する三相インバータ回路である形態例について説明した。しかし、電力変換装置1に係る構造は、DCモータ等に電力を供給するHブリッジ回路に適用されてもよい。
前述の各実施形態において、MISFET以外のデバイスからなる上段スイッチング素子52および下段スイッチング素子56が採用されてもよい。MISFET以外のデバイスとしては、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、HEMT(High Electron Mobility Transistor)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、BJT(Bipolar junction transistor)等を例示できる。
上段スイッチング素子52および下段スイッチング素子56として、MISFETに代えてIGBTが採用された場合、前述の実施形態の説明は、MISFETの「ドレイン」がIGBTの「コレクタ」と読み替えられ、MISFETの「ソース」がIGBTの「エミッタ」と読み替えられる。
上段スイッチング素子52および下段スイッチング素子56として、MISFETに代えてBJTが採用された場合、前述の実施形態の説明は、MISFETの「ゲート」がBJTの「ベース」と読み替えられ、MISFETの「ドレイン」がBJTの「コレクタ」と読み替えられ、MISFETの「ソース」がBJTの「エミッタ」と読み替えられる。
前述の各実施形態において、上段スイッチング素子52に接続された上段還流ダイオード53は、上段スイッチング素子52のボディダイオードであってもよいし、上段スイッチング素子52に外部接続されたディスクリートダイオードであってもよい。
前述の各実施形態において、下段スイッチング素子56に接続された下段還流ダイオード57は、下段スイッチング素子56のボディダイオードであってもよいし、下段スイッチング素子56に外部接続されたディスクリートダイオードであってもよい。
前述の電力変換装置1は、三相モータ2に電力を供給するインバータ回路として、車両用の電動パワーステアリング装置に組み込まれてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
1…電力変換装置、10…U相アーム回路、11…V相アーム回路、12…W相アーム回路、13…U相上段HEMT、14…U相下段HEMT、15…V相上段HEMT、16…V相下段HEMT、17…W相上段HEMT、18…W相下段HEMT、41…U相上段バイパス回路、42…V相上段バイパス回路、43…W相上段バイパス回路、44…U相下段バイパス回路、45…V相下段バイパス回路、46…W相下段バイパス回路、51…上段ダイオード、52…上段スイッチング素子、54…上段抵抗、55…下段ダイオード、56…下段スイッチング素子、58…下段抵抗

Claims (2)

  1. 高電圧側の上段HEMTおよび低電圧側の下段HEMTをそれぞれ有し、前記上段HEMTのソースおよび前記下段HEMTのドレインが接続されることによりそれぞれ構成された複数のアーム回路と、
    各前記アーム回路の前記上段HEMTに並列接続された上段バイパス回路と、
    各前記アーム回路の前記下段HEMTに並列接続された下段バイパス回路と、を含み、
    各前記上段バイパス回路は、上段ダイオードおよび前記上段ダイオードのアノードに接続された上段スイッチング素子を含む直列回路を有し、前記上段ダイオードのカソードが前記上段HEMTのドレインに接続される態様で、各前記アーム回路の前記上段HEMTに並列接続されており、
    各前記下段バイパス回路は、下段ダイオードおよび前記下段ダイオードのカソードに接続された下段スイッチング素子を含む直列回路を有し、前記下段ダイオードのアノードが前記下段HEMTのソースに接続される態様で、各前記アーム回路の前記下段HEMTに並列接続されている、電力変換装置。
  2. 各前記上段バイパス回路は、前記上段ダイオードおよび前記上段スイッチング素子の接続部と、前記下段HEMTのソースとの間に介装された上段抵抗を含み、
    各前記下段バイパス回路は、前記下段ダイオードおよび前記下段スイッチング素子の接続部と、前記上段HEMTのドレインとの間に介装された下段抵抗を含む、請求項1に記載の電力変換装置。
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