以下、本発明に係る認証システムおよび認証装置をハンズフリーの入退室管理システムに適用した実施形態について、図面を参照しつつ説明する。ただし、本発明は図面または以下に記載される実施形態には限定されないことを理解されたい。
図1は、入退室管理システムにおける課題の説明図である。図の中央の扉および壁を境界として、左側の公共エリアから右側のセキュリティエリアへの通行は、電気錠が掛かった扉によって物理的に規制されている。公共エリアには通行者aおよびb、セキュリティエリアには通行者cおよびdが居て、それぞれが携帯端末A、B、C、Dを携帯している。以下、公共エリアに居る通行者aおよびbから見て、扉の手前を扉の表側、扉の後ろを扉の裏側という。図1に示されるように、認証装置が携帯端末から一定以上の強度で電波を受信可能な範囲は、扉の裏側から送信される電波が扉を通過するとき若干減衰するので裏側の方が多少狭くなるものの、電波の透過性が高いため、扉の裏側も含まれる。扉の表側における、認証装置が携帯端末から一定以上の強度で電波を受信可能な範囲をエリアXという。対して、扉の裏側における、認証装置が携帯端末から一定以上の強度で電波を受信可能な範囲をエリアYという。
公共エリアにおいて、通行者bは扉から離れたところを通過するが、通行者aは、セキュリティエリアに入場するため、認証装置が設置された扉の前で立ち止まる。すると、通行者aの携帯端末Aは、静止を検知して通行者aのID情報などを有する信号を無線で認証装置に送信する。このとき、図1に示すように、携帯端末AはエリアX内に位置するので、認証装置が携帯端末Aから受信した信号の強度は一定以上である。この場合、認証装置は、この信号を送信した携帯端末Aの利用者である通行者aが扉の近くで静止したので扉を通行する意志を有するとみなし、信号のID情報を登録された正当な利用者のID情報と照合して通行者aの認証を行う。そして、認証装置は、通行者aがセキュリティエリアへの入場が可能な正当な利用者であると認証した場合、扉の電気錠を所定期間解錠して通行者aの通行を許可する。なお、エリアX外に位置する通行者bの携帯端末Bが誤って静止を検知して信号を送信したとしても、携帯端末Bから受信した信号の強度は一定未満となる。このため、認証装置は、携帯端末Bを携帯する通行者bが扉から離れたところに居て扉を通行する意志を有さないとみなし認証を行わないので、扉の電気錠は解錠されない。したがって、公共エリアに位置する携帯端末AおよびCに対して、公共エリアからセキュリティエリアへの通行規制は正しく行われる。
一方、セキュリティエリアにおいて、扉から離れたところを通過する通行者dの携帯端末Dは、静止を検知しないので信号を送信しない。仮に携帯端末Dが、誤って静止を検知して信号を認証装置に送信したとしても、携帯端末Dは、エリアY外に位置しているため、扉の表側の携帯端末Bと同様に、携帯端末Dを携帯する通行者dの認証を行わない。これに対して、扉の裏側で滞留して話をする通行者cの携帯端末Cは、静止を検知して通行者cのID情報などを有する信号を無線で認証装置に送信する。このとき、図1に示すように、携帯端末CはエリアY内に位置するので、認証装置が携帯端末Cから受信した信号の強度は一定以上である。このように、電波は透過性が高いため、扉の裏側の携帯端末Bから送信された信号は、扉を透過して一定以上の強度で認証装置に受信される。また、通行者cは、既に扉の通行を許可されてセキュリティエリア内にいるので、携帯端末Cから送信されるID情報は、登録された正当な利用者のID情報である。したがって、認証装置は、通行者cをセキュリティエリアへの入場が可能な正当な利用者であると判定して、通行を許可するため扉の電気錠を解錠する。このように、認証装置が、通行する意志を有さない扉の裏側に居る通行者cに対しても扉の電気錠を解錠すると、そのとき偶然扉の前に居た通行者aは、認証を受けずに、入場可能な正当な利用者であるか否かに関わらずセキュリティエリアへ入場できる。このため、正当でない部外者がセキュリティエリア内に入場する可能性があるという問題がある。
図2は、本発明による入退室管理システムにおける課題の解決方法の説明図である。本発明では、音の透過性が電波の透過性に比べて低いため扉や壁を通過する音の音圧レベルが低くなることを利用して上記の問題を解決する。図1と同様に、認証装置が携帯端末から一定以上の強度で電波を受信可能な範囲は、エリアX、エリアYである。これに対して、音は透過性が低く指向性もあるため、扉の前面の認証装置から表側へ発せられた音のうち扉を通過する音の音圧レベルは非常に小さくなるので、扉の裏側で音が一定以上の音圧レベルで届く範囲(図2のエリアy)は、扉の表側で音が一定以上の音圧レベルで届く範囲(図2のエリアx)と比べて非常に狭い。このため、認エリアX内又はエリアY内に存在する携帯端末Aおよび携帯端末Cについて、認証装置と同じ扉の表側の公共エリアに存在する携帯端末Aはエリアx内に位置するため認証装置が出力する音を一定以上の音圧レベルで集音できるが、認証装置と異なる扉の裏側のセキュリティエリアに存在する携帯端末Cはエリアy外に位置するためその音を一定以上の音圧レベルで集音できない。これを利用して、本発明では、認証装置は、通行者aのID情報などを有する信号を受信した場合、公共エリアに対して所定の判定音を出力する。そして、一定以上の音圧レベルの判定音を集音した携帯端末Aのみが、ID情報などを有する通行要求信号を認証装置に送信し、集音した判定音の音圧レベルが一定未満の携帯端末Cは、通行要求信号を送信しないようにする。これにより、認証装置は、自装置と同じ扉の表側の公共エリアに存在する携帯端末AのみからID情報を受け取って認証を行い、扉の裏側のセキュリティエリアに存在する携帯端末Cの認証は行わないので、扉の裏側に存在する携帯端末Cに対して誤って扉の電気錠を解錠することを防止できる。このように、本発明に係る認証装置は、扉の表側へ出力した判定音を一定以上の音圧レベルで集音した携帯端末Aに対してのみ認証を行うことによって、扉の裏側に存在する携帯端末Cを認証対象から排除するので、認証の精度を向上させることができる。
一方、図2に示すように、通行者bも、セキュリティエリアに入場するために、認証装置が設置された扉の前で立ち止まった場合、通行者bの携帯端末Bも、静止を検知して通行者bのID情報などを有する信号を無線で認証装置に送信する。その場合、認証装置は、携帯端末Aに対して判定音を出力した後に、携帯端末Bに対しても所定の判定音を出力してしまい、公共エリアには判定音が連続して出力される。これにより、公共エリアにいる人物は、判定音を騒音として不快に感じる可能性がある。そこで、本発明では、認証装置は、ID情報を有する信号を受信してから少なくとも一定期間が経過するまで判定音の出力を保留する。これにより、認証装置は、携帯端末Aから信号を受信してから一定期間内に携帯端末Bから信号を受信した場合、携帯端末A及び携帯端末Bに対してまとめて判定音を出力し、複数の携帯端末の認証を効率良く行うことが可能となる。さらに、認証装置は、公共エリアに判定音を発生させる回数を減少させ、公共エリアにいる人物が、判定音を騒音として不快に感じることを抑制することが可能となる。
図3は、本発明の一実施形態に係る入退室管理システム1の全体構成図である。図3に示すように、入退室管理システム1は、携帯端末10、認証装置20、扉30、および管理装置40を有する。扉30の表側で前方の公共エリアと扉30の裏側で後方のセキュリティエリアとは、扉30や壁によって分離される。公共エリアは第1エリアの一例である。セキュリティエリアは第2エリアの一例であり、公共エリアと隣接し、公共エリアに対して音が遮られている。図3には、携帯端末10に関して、扉30の表側の公共エリアに存在する携帯端末10−1、10−2と、扉30の裏側のセキュリティエリアに存在する携帯端末10−3と、が示されているが、携帯端末10の位置はこれに限定されない。また、認証装置20は扉30に十分近ければ扉の表側のどこに設置されてもよい。認証装置20の周囲の一定の範囲内に位置する携帯端末10は、認証装置20と一定以上の信号強度で無線通信を行うことができる。さらに、認証装置20は、扉30の表側の一定の範囲内に一定の音圧レベル以上で届く判定音を出力できるが、この判定音は、扉30をほとんど透過しないので、扉30の裏側へは当該一定の音圧レベルで届かない。また、認証装置20は、扉30の電気錠31の開閉を制御可能なように電気錠31と通信接続されている。さらに、認証装置20は、ローカルおよび/または広域ネットワーク90を介して管理装置40に接続される。
本発明に係る入退室管理システム1では、公共エリアにおいて、携帯端末10−1の利用者(図2の通行者a)がセキュリティエリアに入場するために認証装置が設置された扉の前で立ち止まった場合、携帯端末10−1は、利用者の歩行動作の静止を検知する。携帯端末10−1は、利用者の歩行動作の静止を検知するというトリガ条件により、携帯端末10−1の識別情報を有するトリガ信号を認証装置20に無線で送信する。トリガ信号は、認証装置20に判定音を出力させるための信号である。なお、トリガ信号は、認証装置20に各携帯端末の利用者の認証を要求するための認証要求信号として使用され得る。認証装置20は、このトリガ信号を一定以上の信号強度で受信すると、携帯端末10−1の認証を開始するため判定音を扉30の表側へ出力する。但し、認証装置20は、トリガ信号を受信してから少なくとも第1期間が経過するまで判定音の出力を保留し、第1期間が経過してから判定音を出力する。
仮に、認証装置20が判定音の出力を保留している間に、携帯端末10−2の利用者(図2の通行者b)がセキュリティエリアに入場するために認証装置が設置された扉の前で立ち止まった場合、携帯端末10−2は、利用者の歩行動作の静止を検知し、携帯端末10−2の識別情報を有するトリガ信号を認証装置20に無線で送信する。この場合、認証装置20は、携帯端末10−1に対する判定音と、携帯端末10−2に対する判定音とをまとめて出力する。
各携帯端末10−1、10−2は、所定期間内に音圧レベルが一定以上の判定音を集音すると、識別情報を有する通行要求信号を認証装置20に無線で送信する。この通行要求信号は、認証装置20に各携帯端末の利用者のセキュリティエリアへの通行を許可することを要求するための信号(認証要求信号)であるとともに、集音した判定音の音圧レベルが閾値以上であったことを示す信号(肯定測定結果)である。すなわち、認証装置20は、携帯端末が集音した判定音の音圧レベルが閾値以上であったことを意味する肯定測定結果として、通行要求信号を受信する。なお、通行要求信号は、トリガ信号と同様に、認証装置20に各携帯端末の利用者の認証を要求するための認証要求信号として使用され得る。認証装置20は、この通行要求信号を一定以上の信号強度で受信すると、トリガ信号の識別情報と通行要求信号の識別情報とが一致することを確認して、一致した識別情報を予め登録された正当な識別情報と照合する。そして、トリガ信号および通行要求信号の識別情報が登録された正当な識別情報と一致すれば、認証装置20は、携帯端末10−1、10−2が認証装置20と同じ公共エリアに存在する正当な利用者の携帯端末であると判定して、扉30の電気錠31を解錠して通行を許可する。
一方、セキュリティエリアにおいて、携帯端末10−3の利用者(図2の通行者c)が扉30の裏側の近辺で滞留して話をしている場合、携帯端末10−3は、利用者の歩行動作の静止を検知し、携帯端末10−3の識別情報を有するトリガ信号を認証装置20に無線で送信する。認証装置20は、このトリガ信号を一定以上の信号強度で受信すると、携帯端末10−3の認証を開始するため判定音を扉30の表側へ出力する。しかしながら、携帯端末10−3は、認証装置20が携帯端末10−3からの信号を一定以上の強度で受信できる扉の近くに位置していたとしても、扉30の裏側では認証装置20からの判定音を一定以上の音圧レベルで集音できない。そのため、携帯端末10−3は、通行要求信号を送信しないため、認証装置20による認証は行われない。
したがって、本発明に係る入退室管理システム1は、扉30の裏側のセキュリティエリアに存在する通行する意志を有さない利用者の携帯端末10−3を認証対象から排除し、扉30の表側の公共エリアに存在する正当な利用者の携帯端末10−1、10−2のみを認証して通行を許可する。さらに、入退室管理システム1は、携帯端末10−1、10−2に対してまとめて判定音を出力することにより、複数の携帯端末の認証を効率良く行うとともに、公共エリアにいる人物が判定音を騒音として不快に感じることを抑制する。
各携帯端末10は、各利用者(人やロボットなど)に携帯されて利用者とともに移動する無線タグやスマートフォンなどの移動情報処理装置である。携帯端末10は、自端末の動きの静止を検知し、認証装置20と無線通信を行い、認証装置20から出力された判定音を集音して音圧レベルを測定する。携帯端末10は、自端末が静止したことを検知すると、自端末の識別情報を有するトリガ信号を認証装置20に無線で送信し、その後、所定期間周囲の音を集音する。携帯端末10は、認証装置20からの判定音を測定した音圧レベルが一定以上であれば、自端末の識別情報を有する通行要求信号を認証装置20に無線で送信する。また、携帯端末10は、認証装置20から通行許可信号を受信したとき、通行が許可されたことを画面に表示してもよい。
認証装置20は、携帯端末10と無線通信を行い、判定音を出力し、携帯端末10の認証を行い、公共エリアからセキュリティエリアへの各利用者の通行を管理する情報処理装置である。認証装置20は、携帯端末10からトリガ信号を無線で受信すると、受信したトリガ信号の強度が一定以上であれば、所定のパターンの判定音を扉30の表側へ出力する。但し、認証装置20は、トリガ信号を受信してから少なくとも第1期間が経過するまで判定音の出力を保留し、第1期間が経過してから判定音を出力する。また、認証装置20は、携帯端末10から通行要求信号を受信すると、通行要求信号の強度が一定以上であり、トリガ信号の識別情報と通行要求信号の識別情報とが一致し、一致した識別情報が登録された利用者の正当なものであれば、携帯端末10の利用者がセキュリティエリアへの入場が可能な正当な利用者であると判定する。この場合、認証装置20は、扉30の電気錠31に解錠信号を送信して解錠させることにより利用者の通行を物理的に許可する。このとき、認証装置20は、通行を許可したことを携帯端末10に通知したり、携帯端末10の利用者のセキュリティエリアへの入場記録をネットワーク90を介して管理装置40に送信する。
扉30は、公共エリアとセキュリティエリアとの間に設置され、電気錠31を解錠または施錠することによって公共エリアとセキュリティエリアとの間の利用者の通行を物理的に規制する。扉30は、常時、電気錠31を施錠状態に保つことによって利用者による公共エリアとセキュリティエリアとの間の通行を物理的に禁止し、認証装置20から解錠信号を受信すると、電気錠31を所定期間だけ解錠して利用者が扉30を通行することを許可する。なお、扉30の表側の公共エリアから裏側のセキュリティエリアへ、またはその逆方向に届く音の音圧レベルは一定以上減少するが、この場合、相互のエリア間で音が遮られると表現する。
管理装置40は、所定の建物全体における各利用者の各エリアの入退場記録を管理するサーバなどの情報処理装置である。管理装置40は、有線/無線通信のローカルおよび/または広域ネットワーク90を介して認証装置20とデータを送受信できる。管理装置40は、複数の認証装置20から利用者の特定のセキュリティエリアに関する入退場記録を受信して、受信した入退場記録に基づいて各エリアにおける利用者の入退場を管理する。
図4は、携帯端末10の構成図である。図4に示すように、携帯端末10は、無線通信部11、動き検出部12、集音部13、操作・表示部14、記憶部15、および制御部16を有する。
無線通信部11は、認証装置20と無線通信を行う無線通信インターフェイスである。無線通信部11は、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)、ZigBee(登録商標)、Wi−Fi(登録商標)(Wireless Fidelity)など、認証装置20の無線通信プロトコルに対応するプロトコルに準じて無線通信を行う。無線通信部11は、制御部16から受け取ったデータまたは信号を無線信号に変換して電波に載せて認証装置20に送信したり、認証装置20から受信した電波上の無線信号をデータまたは信号に変換して制御部16に渡す。また、無線通信部11は、受信した電波の電界強度に基づく信号強度を制御部16に渡す。
動き検出部12は、加速度センサやジャイロセンサなどを有し、携帯端末10の動きを検出するセンサである。動き検出部12は、検出した携帯端末10の動きに関する動き情報を制御部16に渡す。動き情報は、例えば携帯端末10の動きを示す。
集音部13は、マイクロフォンなどを有し、携帯端末10の周囲の音、特に認証装置20から出力された判定音を集音する。集音部13は、20Hz〜20kHzの可聴音以外の音を集音する超音波検出器などを有してもよい。集音部13は、集音した音の情報を制御部16に送る。
操作・表示部14は、タッチパッドと液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどの画面とを組み合わせたタッチパネルなどを有する。操作・表示部14は、ボタン、キー、マイクなどを有してもよい、操作・表示部14は、利用者が携帯端末10に指示やデータを入力する操作部と、携帯端末10の動作状態や処理結果などを利用者に示す表示部とを有するが、操作部と表示部とは別個の装置でもよい。操作・表示部14は、利用者が行った操作に関する情報を制御部16に渡し、制御部16から受け取ったデータを画面などに表示する。
記憶部15は、携帯端末10において実行されるコンピュータプログラムのコードおよびデータを記憶する。例えば、記憶部15は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)などの半導体メモリを有することができる。また、記憶部15は、フラッシュメモリ、磁気記憶装置、光学記憶装置などの任意のタイプの記憶装置を有してもよい。
制御部16は、プロセッサおよび周辺回路を有し、当該プロセッサは、記憶部15に記憶されたコンピュータプログラムを実行することによって携帯端末10が行う種々の動作を実現する。制御部16が実行するコンピュータプログラムは、記憶部15に予め記憶されてもよく、フラッシュメモリ、磁気記憶媒体、光学記憶媒体などのコンピュータ読み取り可能な記憶媒体、または通信回線によって提供されて記憶部15に記憶されてもよい。記憶部15の少なくとも一部および制御部16はマイクロコントローラで構成されてもよい。
図4に示すように、記憶部15は、携帯端末識別情報151、および集音判定音パターン情報152を記憶する。携帯端末識別情報151および集音判定音パターン情報152は、携帯端末10の利用者または入退室管理システム1の管理者によって設定されたり、任意のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体または通信回線を介して提供されて、記憶部15に予め記憶される。
携帯端末識別情報151は、携帯端末10、または携帯端末10を携帯する利用者を一意に識別する識別情報である。例えば、携帯端末識別情報151は、携帯端末10固有に付与されるシリアル番号もしくは識別番号、または携帯端末10を携帯する利用者個人に付与される社員番号もしくは個人番号などの識別情報を有する。この識別情報は、トリガ信号および通行要求信号に含まれて認証装置20に送信され、認証装置20において携帯端末10を携帯する利用者の正当性を認証するために用いられる。
集音判定音パターン情報152は、携帯端末10が集音する判定音を周囲の環境音などから識別する判定音のパターンを表す情報である。ここで、認証装置20が出力する判定音は特定の周波数を用いた合成音であり、集音判定音パターン情報152は、例えばこの合成音を解析して得られる周波数スペクトルである。なお、集音判定音パターン情報152は、特定のメロディを表す一連の音符によるパターンなどを有してもよい。
図4に示すように、制御部16は、記憶部15に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される機能モジュールとして、静止検知手段161、トリガ送信手段162、判定音測定手段163、および通行要求送信手段164を有する。
静止検知手段161は、動き検出部12から携帯端末10の動きに関する動き情報を受け取り、受け取った動き情報に基づいて、携帯端末10を携帯する利用者が静止状態であるか、歩行状態であるかを検知する。例えば、静止検知手段161は、動き検出部12から受け取った携帯端末10の動き情報が、所定の静止期間(例えば1秒)以上静止していることを示した場合、利用者の静止状態を検知して、トリガ送信手段162に通知する。そうでなければ、静止検知手段161は、通行者が歩行中である歩行状態を検知する。静止検知手段161が携帯端末10の静止を検知する基準となる所定の静止期間は、利用者によって任意に変更されてもよい。
トリガ送信手段162は、静止検知手段161が携帯端末10の利用者の静止状態を検知すると、記憶部15に記憶された携帯端末識別情報151の識別情報を読み出し、この識別情報を有するトリガ信号を生成して無線通信部11を介して認証装置20に無線送信する。
判定音測定手段163は、例えば3秒ほどの所定期間に集音部13によって集音された音のパターンを解析する。判定音測定手段163は、音のパターンが集音判定音パターン情報152のパターンと一致した場合、一致した部分の音を判定音として取り出して、その音圧レベルを測定し、通行要求送信手段164に渡す。例えば、判定音測定手段163は、集音部13によって所定期間集音されたアナログ音をデジタル音に変換してフーリエ変換により周波数ごとの強度を求めるスペクトル解析を行ってもよい。
通行要求送信手段164は、判定音測定手段163が判定音の音圧レベルを測定した後に、判定音測定手段163によって測定された判定音の音圧レベルが予め定められた閾値以上であるか否かを判定する。通行要求送信手段164は、音圧レベルが閾値以上である場合にのみ、記憶部15に記憶された携帯端末識別情報151の識別情報を読み出し、この識別情報を有する通行要求信号を生成して無線通信部11を介して認証装置20に無線送信する。音圧レベルの閾値は、携帯端末10が扉30の表側で扉30の周囲の所定の範囲内に位置する場合に集音する判定音の音圧レベルより小さく、かつ携帯端末10が扉30の周囲の所定の範囲外又は扉30の裏側に位置する場合に集音する判定音の音圧レベルより大きい値に設定される。例えば、音圧レベルの閾値は、携帯端末10が扉30からの距離が3m以下、より好ましくは1m以下の所定の範囲内に位置する場合、携帯端末10が、認証装置20との間に扉30などの障害物がない状態で集音した判定音の音圧レベルが取り得る最小値に設定される。また、通行要求送信手段164は、肯定測定結果を送信する手段であってもよい。すなわち、通行要求送信手段は、携帯端末識別情報151と判定音の音圧レベルが閾値以上であるという肯定測定結果と携帯端末識別情報151の識別情報とを有する通行要求信号を生成して無線通信部11を介して認証装置20に無線送信する。
図5は、認証装置20の構成図である。図5に示すように、認証装置20は、無線通信部21、LAN通信部22、音出力部23、電気錠I/F部24、記憶部25、および制御部26を有する。
無線通信部21は、携帯端末10と無線通信を行う無線通信インターフェイスである。無線通信部21は、BLE、ZigBee、Wi−Fiなど、携帯端末10の無線通信プロトコルに対応するプロトコルに準じて無線通信を行う。無線通信部21は、制御部26から受け取ったデータまたは信号を無線信号に変換して電波に載せて携帯端末10に送信したり、携帯端末10から受信した電波上の無線信号をデータまたは信号に変換して制御部26に渡す。また、無線通信部21は、受信した電波の電界強度に基づく信号強度を制御部26に渡す。
LAN通信部22は、認証装置20が接続されるローカルエリアネットワーク(Local Area Network;LAN)および/または広域ネットワーク90を介して管理装置40と通信を行う通信インターフェイスである。例えば、LAN通信部22は、認証装置20が接続されるLANと有線/無線通信を行い、このLANに接続されるインターネットなどの広域ネットワークを介して管理装置40とデータの送受信を行うことができる。この場合、LAN通信部22は、イーサネット(登録商標)(Ethernet(登録商標))、WiFiなど、認証装置20が接続されるLANの有線/無線通信プロトコルに対応するプロトコルに準じて無線通信を行う。なお、ここでは、認証装置20がLANおよび広域ネットワークを経由して管理装置40と通信を行う例を示したが、認証装置20と管理装置40との間の通信は、互いにデータを送受信できればいかなる通信形態で行われてもよい。LAN通信部22は、制御部26から受け取ったデータを管理装置40に送信したり、管理装置40から受信したデータを制御部26に渡す。
音出力部23は、スピーカなどを有し、扉30の表側へ音を出力する。音出力部23は、可聴音以外の音を出力する超音波発生器などを有してもよい。なお、本実施形態では、音出力部23は、認証装置20に組み込まれている例を示すが、認証装置20から分離して、扉30の表側の扉30の前面や扉30周辺の壁に設置されてもよい。この場合、音出力部23は、認証装置20と有線/無線通信で通信可能である。
電気錠I/F部24は、扉30の電気錠31と有線/無線通信で接続され、電気錠31に解錠信号または施錠信号を送信するインターフェイスである。
記憶部25は、認証装置20において実行されるコンピュータプログラムのコードおよびデータを記憶する。例えば、記憶部25は、RAM、ROM、EPROMなどの半導体メモリを有することができる。また、記憶部25は、フラッシュメモリ、磁気記憶装置、光学記憶装置などの任意のタイプの記憶装置を有してもよい。
制御部26は、プロセッサおよび周辺回路を有し、当該プロセッサは、記憶部25に記憶されたコンピュータプログラムを実行することによって認証装置20が行う種々の動作を実現する。制御部26が実行するコンピュータプログラムは、記憶部25に予め記憶されてもよく、フラッシュメモリ、磁気記憶媒体、光学記憶媒体などのコンピュータ読み取り可能な記憶媒体、または通信回線によって提供されて記憶部25に記憶されてもよい。記憶部25の少なくとも一部および制御部26はマイクロコントローラで構成されてもよい。
図5に示すように、記憶部25は、認証対象識別情報251、出力判定音パターン情報252、登録利用者情報253、および入退場記録情報254を記憶する。出力判定音パターン情報252、および登録利用者情報253は、入退室管理システム1の管理者によって設定されたり、任意のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体または通信回線を介して提供されて、記憶部25に記憶される。
認証対象識別情報251は、認証装置20が認証対象としている携帯端末10に関する情報を一時的に記憶したもので、携帯端末10から無線通信部21によって受信されたトリガ信号が有する識別情報を有する。
出力判定音パターン情報252は、音出力部23が出力する判定音のパターンを表す情報である。出力判定音パターン情報252は、携帯端末10の集音判定音パターン情報152と同一の合成音、メロディ、モールス信号などのパターンを表す情報を有する。
登録利用者情報253は、セキュリティエリアへの入場を許可される正当な利用者に関する情報を予め登録したものである。登録利用者情報253は、携帯端末10の携帯端末識別情報151と対応して、正当な利用者の社員番号もしくは個人番号、または、正当な利用者が所持する携帯端末10のシリアル番号もしくは識別番号などの識別情報を有する。
入退場記録情報254は、認証装置20によって公共エリアからセキュリティエリアへの通行が許可されて入場した利用者を記録する情報である。また、認証装置20が扉30の裏側のセキュリティエリア内に設置された場合、セキュリティエリアから公共エリアへ退場した利用者の情報が入退場記録情報254に記録される。
図5に示すように、制御部26は、記憶部25に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される機能モジュールとして、トリガ受信手段261、判定音出力手段262、通行要求受信手段263、正当性照合手段264、存在認証手段265、通行許可手段266、および入退場記録手段267を有する。
トリガ受信手段261は、携帯端末10から無線通信部21を介して受信したトリガ信号の強度が予め定められた閾値以上であれば、このトリガ信号を送信した携帯端末10を認証対象とし、トリガ信号が有する識別情報を記憶部25に認証対象識別情報251として記憶させる。また、トリガ受信手段261は、トリガ信号を送信した携帯端末10を認証対象としたことを判定音出力手段262に通知する。信号強度の閾値は、扉30の表側で扉30の周囲の所定の範囲内に位置する携帯端末10から受信する無線信号の強度より小さく、かつ扉30の周囲の所定の範囲外に位置する携帯端末10から受信する無線信号の強度より大きい値に設定される。例えば、信号強度の閾値は、携帯端末10が扉からの距離が3m以下、より好ましくは1m以下の所定の範囲内に位置する場合、認証装置20が、携帯端末10との間に障害物がない状態で、携帯端末10から受信する無線信号の強度が取り得る最小値に設定される。
判定音出力手段262は、トリガ受信手段261が閾値以上の強度のトリガ信号を受信した場合、記憶部25に記憶された出力判定音パターン情報252で示されるパターンの判定音を、音出力部23によって扉30の表側、即ち公共エリアに対して所定期間出力する。但し、判定音出力手段262は、トリガ受信手段261がトリガ信号を受信してから少なくとも第1期間(例えば1秒間)が経過するまで判定音の出力を保留する。判定音出力手段262は、トリガ信号を受信してから第1期間が経過するまでの間にそのトリガ信号を送信した携帯端末とは異なる携帯端末からの他のトリガ信号を受信した場合、他のトリガ信号を受信したタイミングで第1期間をリスタートする。すなわち、他のトリガ信号を受信すると、他のトリガ信号を受信する前に受信したトリガ信号から計時していた第1期間の計時を止め、他のトリガ信号を受信したときから第1期間の計時を再度開始し、その他のトリガ信号を受信してから少なくとも新たに計時を開始した第1期間が経過するまで判定音の出力を保留する。判定音出力手段262は、トリガ信号受信手段261から通知があったことを受けて、第1期間の間にそれぞれ異なる携帯端末からトリガ信号を受信したと判定する。すなわち、判定音出力手段262は、トリガ信号受信手段261が受信したトリガ信号に含まれる識別情報から、第1期間の間にそれぞれ異なる携帯端末から閾値以上の強度のトリガ信号を受信したと判定する。判定音出力手段262は、最後に受信したトリガ信号から第1期間が経過するまでの間にそのトリガ信号を送信した携帯端末とは異なる携帯端末からのトリガ信号を受信しなかった場合、判定音を出力する。また、判定音出力手段262は、最初にトリガ信号を受信してから第1期間より長い第2期間(例えば3秒間)が経過した場合、最後に受信したトリガ信号から第1期間が経過しているか否かに関わらず、判定音を出力する。第1期間及び第2期間は、管理者により適宜設定及び変更されてもよい。
判定音出力手段262が出力する判定音の音圧レベルおよび方向は、扉30の表側で扉30からの距離が3mまたは1m以下などの所定の範囲内に位置する携帯端末10が認証装置20からの判定音を予め定められた閾値以上の音圧レベルで集音できるように設定される。なお、判定音出力手段262は、判定音を複数回出力してもよい。
通行要求受信手段263は、測定結果取得手段の一例である。通行要求受信手段263は、受信した通行要求信号の強度が閾値以上であれば、閾値以上の強度の通行要求信号を受信したことを正当性照合手段264に通知する。通行要求信号の強度の閾値は、トリガ信号の強度の閾値と同様に予め定められる。また、通行要求受信手段263は、携帯端末10の判定音測定手段163が測定した判定音の音圧レベルが閾値以上である場合、無線通信部21を介して携帯端末10から通行要求信号を受信して、通行要求信号に含まれる肯定測定結果を取得する。すなわち、認証装置20は、携帯端末10が集音した判定音の音圧レベルが閾値以上であったことを意味する肯定測定結果として、通行要求信号を受信する。
正当性照合手段264は、携帯端末10から送信されたトリガ信号及び通行要求信号が有する識別情報に基づいて携帯端末10の利用者がセキュリティエリアへの入場が許可される正当な利用者であるか否かを判定する。正当性照合手段264は、通行要求受信手段263から通行要求信号を受信したと通知されると、受信した通行要求信号が有する識別情報と、認証対象識別情報251として記憶されたトリガ信号の識別情報とを比較する。通行要求信号の識別情報がトリガ信号の識別情報と一致する場合、正当性照合手段264は、トリガ信号又は通行要求信号が有する識別情報を記憶部25に記憶された登録利用者情報253の識別情報と照合して、携帯端末10の利用者が正当な利用者であるか否かを判定する。正当性照合手段264は、トリガ信号又は通行要求信号が有する識別情報が登録利用者情報253の識別情報と一致した場合、携帯端末10の利用者がセキュリティエリアへの入場が許可される正当な利用者であると判定する。
存在認証手段265は、携帯端末10の利用者が認証装置20と同じ扉30の表側の公共エリア内に存在する正当な利用者であるか否かを認証する。存在認証手段265は、通行要求手段263が閾値以上の強度の通行要求信号を受信し、且つ、正当性照合手段264により携帯端末10の利用者が正当であると判定された場合、携帯端末10の利用者が公共エリア内に存在する正当な利用者であると判定する。また、存在認証手段265は、通行要求信号に肯定測定結果が含まれていて通行要求受信手段263が肯定測定結果を取得し、且つ、正当性照合手段264により携帯端末10の利用者が正当であると判定された場合に、携帯端末10の利用者が公共エリア内に存在する正当な利用者であると判定する。
通行許可手段266は、判定音を集音した携帯端末10の利用者に対して公共エリアからセキュリティエリアへの通行を許可する。通行許可手段266は、通行要求受信手段263が肯定測定結果を取得した場合に、携帯端末10が判定音を集音したと判定し、その携帯端末10の利用者に対して公共エリアからセキュリティエリアへの通行を許可する。また、通行許可手段266は、存在認証手段265により携帯端末10の利用者が公共エリア内に存在する正当な利用者であると判定されたか否かにより、携帯端末10の利用者の公共エリアからセキュリティエリアへの通行を許可するか否かを判定する。通行許可手段266は、携帯端末10の利用者が公共エリア内に存在する正当な利用者であると判定された場合、その利用者の通行を許可し、利用者の通行を許可するため解錠信号を電気錠I/F部24を介して扉30の電気錠31に送信する。解錠信号を受信した電気錠31は、扉30の電気錠31を解錠するので、利用者の通行が物理的に許可される。また、通行許可手段266は、利用者に通行を許可したことを通知するための通行許可信号を無線通信部21を介して携帯端末10に送信する。ここで、通行許可手段266は、音声やチャイムなどで通行を許可したことを携帯端末10の利用者に知らせてもよい。一方、通行許可手段266は、携帯端末10の利用者が公共エリア内に存在する正当な利用者であると判定されなかった場合、その利用者の通行を許可せず、解錠信号を電気錠31に送信しない。この場合、扉30の電気錠31は施錠されたままであり、利用者の通行は物理的に禁止される。
入退場記録手段267は、通行許可手段266が携帯端末10の利用者の通行を許可した場合、利用者のセキュリティエリアへの入場記録(または公共エリアからの退場記録)をLAN通信部22を介して管理装置40に送信する。入退場記録手段267は、通行許可手段266が利用者の通行を許可した場合、トリガ信号または通行要求信号の識別情報などを有する入場記録を生成して入退場記録情報254として記憶部25に記憶し、記憶した入退場記録情報254をLAN通信部22を介して管理装置40に送信する。なお、認証装置20が扉30の裏側に設置されている場合、入退場記録手段267は、利用者のセキュリティエリアからの退場記録を入退場記録情報254に記録する。
図6は、入退室管理システム1における各装置の動作シーケンスを示す図である。図6に示される各装置の動作は、各装置の制御部の各手段が記憶部に記憶されたコンピュータプログラムを実行することによって実現される。各装置の各部および各手段の詳細については、上記の説明を参照されたい。
まず、携帯端末10が扉30の表側の公共エリアに存在する場合、即ち携帯端末10が図2の携帯端末AまたはBである場合について説明する(ステップS101〜S105)。
各携帯端末10の静止検知手段161は、動き検出部12が利用者の静止状態を検知すると、利用者がセキュリティエリアへ入場するために入口の扉30の前に立ち止まったとみなす。その場合、トリガ送信手段162は、携帯端末識別情報151を読み出し、読み出した識別情報を有するトリガ信号を生成して、無線通信部11を介して認証装置20に送信する(ステップS101)。
認証装置20のトリガ受信手段261が無線通信部21を介してトリガ信号を受信すると、認証装置20は、判定音出力処理を実行する(ステップS102)。
図7は、認証装置20による判定音出力処理の動作を示すフローチャートである。まず、トリガ受信手段261は、予め定められた閾値以上の強度のトリガ信号を受信したか否かを判定する(ステップS201)。閾値以上の強度のトリガ信号を受信した場合(ステップS201−Yes)、トリガ受信手段261は、認証装置20が携帯端末10から閾値以上の強度で無線信号を受信可能である所定範囲(以下、「受信可能範囲」という)内に携帯端末10が位置していると判定する。その場合、トリガ受信手段261は、携帯端末10の利用者がセキュリティエリアへ入場するため扉30の近くで静止しているとみなし、そのトリガ信号を送信した携帯端末10を認証対象として、トリガ信号が有する識別情報を認証対象識別情報251に記憶する(ステップS202)。一方、受信したトリガ信号の強度が閾値未満である場合、トリガ受信手段261は、携帯端末10の利用者が扉30から離れた位置(受信可能範囲外)に居てセキュリティエリアへ入場する意志を有さないとみなし、この携帯端末10を認証対象としない。その場合、トリガ受信手段261は、新たに予め定められた閾値以上の強度のトリガ信号を受信するまで待機する(ステップS201)。
閾値以上の強度のトリガ信号を最初に受信した場合、判定音出力手段262は、第1期間及び第2期間の計時を開始する(ステップS203)。次に、判定音出力手段262は、第1期間が経過したか否かを判定する(ステップS204)。第1期間が経過していない場合(ステップS204−No)、判定音出力手段262は、第2期間が経過したか否かを判定する(ステップS205)。第2期間が経過していない場合(ステップS205−No)、判定音出力手段262は、トリガ受信手段261が閾値以上の強度の新たなトリガ信号を受信したか否かを判定する(ステップS206)。トリガ受信手段261が閾値以上の強度の新たなトリガ信号を受信していない場合(ステップS206−No)、判定音出力手段262は、処理をステップS204に戻す。一方、トリガ受信手段261は、閾値以上の強度の新たなトリガ信号を受信した場合(ステップS206−Yes)、そのトリガ信号を送信した携帯端末10を認証対象として、トリガ信号が有する識別情報を認証対象識別情報251に記憶する(ステップS207)。なお、新たに受信したトリガ信号の識別情報が既に認証対象識別情報251に記憶されている場合、トリガ受信手段261は、そのトリガ信号を、既にトリガ信号を受信した携帯端末10から再送されたトリガ信号とみなして、特に処理を実行しない。次に、判定音出力手段262は、第1期間の計時をリスタートし(ステップS208)、処理をステップS204に戻す。
一方、ステップS204で第1期間が経過した場合またはステップS205で第2期間が経過した場合、判定音出力手段262は、出力判定音パターン情報252に示されるパターンの判定音を、音出力部23から扉30の表側、即ち公共エリアに対して所定期間出力し(ステップS209)、一連のステップを終了する。
このように、判定音出力手段262は、トリガ受信手段261がトリガ信号を受信してから少なくとも第1期間が経過するまで、判定音の出力を保留する。即ち、判定音出力手段262は、トリガ信号を送信した携帯端末ごとに判定音を出力するが、異なる識別情報をそれぞれ有する複数のトリガ信号を一定期間内に連続して受信した場合、判定音の出力を保留する。そして、判定音出力手段262は、第1期間内にそれぞれ異なる携帯端末10から複数のトリガ信号を受信した場合、その複数のトリガ信号に対してまとめて一つの判定音を出力する。これにより、判定音出力手段262は、公共エリアにいる人物が、判定音を騒音として不快に感じることを抑制することが可能となる。
また、判定音出力手段262は、特定のトリガ信号を受信してから第1期間が経過するまでの間に他のトリガ信号を受信した場合は第1期間の計時をリスタートし、一方、第1期間が経過するまでの間に他のトリガ信号を受信しなかった場合は判定音を出力する。これにより、判定音出力手段262は、一定の間隔をあけてセキュリティエリアへ入場しようとする利用者が三人以上いる場合にも一部の利用者に対する判定音を省略して、まとめて一つの判定音を出力することが可能となる。
また、判定音出力手段262は、最初にトリガ信号を受信してから第2期間が経過した場合、特定のトリガ信号を受信してから第1期間が経過しているか否かに関わらず、判定音を出力する。これにより、判定音出力手段262は、一定の間隔をあけてセキュリティエリアへ入場しようとする利用者が多すぎる場合に、最初の利用者を待たせすぎないように、判定音の出力の保留を終了させることが可能となる。
一方、各携帯端末10の判定音測定手段163は、トリガ送信手段162がトリガ信号を認証装置20に送信した後、認証装置20から出力された判定音の測定を開始する(ステップS103)。すなわち、携帯端末10は、トリガ信号を送信しない限り、集音部13にて周囲の音を集音すること又は音を集音したとしても判定音測定手段163にて測定を開始することはしない。次に、各携帯端末10は、通行要求信号送信処理を実行する(ステップS104)。
図8は、各携帯端末10による通行要求信号送信処理の動作を示すフローチャートである。まず、判定音測定手段163は、所定期間に集音部13によって集音された音のパターンを解析し、解析した音のパターンが集音判定音パターン情報152のパターンと一致するか否かを判定する(ステップS301)。判定音測定手段163は、各パターンが一致した場合(ステップS301−Yes)、集音した音から集音判定音パターン情報152とパターンが一致した部分を判定音として取り出し、取り出した部分の音の音圧レベルを、その判定音の音圧レベルとして取得する。次に、判定音測定手段163は、取得した判定音の音圧レベルが閾値以上であるか否かを判定する(ステップS302)。音圧レベルが閾値以上である場合(ステップS302−Yes)、通行要求送信手段164は、扉30の表側の認証装置20から出力された判定音を閾値以上の音圧レベルで集音可能な所定の範囲(以下、「集音可能範囲」という)内に携帯端末10が位置していると判定する。その場合、通行要求送信手段164は、携帯端末10の利用者が扉30の表側の公共エリアに居て扉30を通行してセキュリティエリアへ入場する意志を有するとみなし、携帯端末識別情報151の識別情報を有する通行要求信号を無線通信部11を介して認証装置20に無線送信し(ステップS303)、一連のステップを終了する。一方、ステップS301で各パターンが一致しなかった場合、またはステップS302で音圧レベルが閾値未満であった場合、通行要求送信手段164は、携帯端末10の利用者が集音可能範囲内に居ないので、セキュリティエリアへ入場する意志を有さないとみなし、通行要求信号を認証装置20に送信せずに一連のステップを終了する。
一方、認証装置20は、通行要求信号通行要求信号を送信した各携帯端末10の利用者の認証処理を実行する(ステップS105)。
図9は、認証装置20による認証処理の動作を示すフローチャートである。まず、存在認証手段265は、判定音が出力されてから所定期間が経過したか否かを判定する(ステップS401)。所定期間が経過した場合(ステップS401−Yes)、存在認証手段265は、トリガ信号を受信した携帯端末10の内、未認証の携帯端末10の利用者については認証できなかったと判定し、認証対象識別情報251からその未認証の携帯端末10の識別情報を消去し(ステップS402)、一連のステップを終了する。
一方、所定期間が経過していない場合(ステップS401−No)、通行要求受信手段263は、携帯端末10から、強度が閾値以上である通行要求信号を受信したか否かを判定する(ステップS403)。
強度が閾値未満である通行要求信号を受信していない場合(ステップS403−No)、通行要求受信手段263は、処理をステップS401へ戻す。なお、通行要求受信手段263は、強度が閾値未満である通行要求信号を受信した場合、携帯端末10は扉30から離れた受信可能範囲外に位置するとみなす。その場合、存在認証手段265は、たとえ携帯端末10が以前に受信可能範囲内に位置して閾値以上の強度のトリガ信号を認証装置20に送信したとしても、現時点で扉30から離れているので携帯端末10の利用者が扉30を通行する意志を有さないとみなし、その携帯端末10を認証対象としない。
一方、強度が閾値以上である通行要求信号を受信した場合(ステップS403−Yes)、通行要求受信手段263は、携帯端末10が受信可能範囲内に位置するとみなす。その場合、存在認証手段265は、携帯端末10の利用者が扉30の近くに居て扉30を通行する意志を有するとみなす。次に、正当性照合手段264は、受信した通行要求信号が有する識別情報が認証対象識別情報251として記憶されたトリガ信号が有する識別情報と一致するか否かを判定する(ステップS404)。
通行要求信号の識別情報がトリガ信号の識別情報と一致しない場合(ステップS404のNo)、正当性照合手段264は、処理をステップS401へ戻す。その場合、存在認証手段265は、携帯端末10の利用者が公共エリアからセキュリティエリアへ入場する意志を有さないとみなし、その携帯端末10を認証対象としない。
一方、通行要求信号の識別情報とトリガ信号の識別情報とが一致する場合(ステップS404−Yes)、正当性照合手段264は、以前にトリガ信号を送信した携帯端末10が、そのトリガ信号に応答して認証装置20が出力した判定音を閾値以上の音圧レベルで集音して通行要求信号を送信したとみなす。即ち、正当性照合手段264は、以前にトリガ信号を送信した携帯端末10の利用者が、扉30の表側の公共エリア内で扉30の近くの集音可能範囲内に居て、扉30を通行してセキュリティエリアへ入場する意志を有するとみなす。その場合、正当性照合手段264は、通行要求信号の識別情報が登録利用者情報253の識別情報と一致するか否かにより、携帯端末10の利用者がセキュリティエリアへの入場が可能な正当な利用者であるか否かを判定する(ステップS405)。
通行要求信号の識別情報が登録利用者情報253の識別情報と一致しない場合(ステップS405−No)、正当性照合手段264は、携帯端末10の利用者がセキュリティエリアへの入場が可能な正当な利用者でないと判定し、処理をステップS401へ戻す。
一方、通行要求信号の識別情報が登録利用者情報253の識別情報と一致する場合(ステップS405−Yes)、正当性照合手段264は、携帯端末10の利用者がセキュリティエリアへの入場が可能な正当な利用者であると判定する(ステップS406)。このように、通行要求受信手段263が閾値以上の強度の通行要求信号を受信し、且つ、正当性照合手段264により携帯端末10の利用者が正当であると判定された場合、存在認証手段265は、携帯端末10の利用者が公共エリアに存在する正当な利用者であると判定する。
存在認証手段265が、各携帯端末10の利用者が公共エリアに存在する正当な利用者であると判定した場合、通行許可手段266は、公共エリアからセキュリティエリアへの各携帯端末10の利用者の通行を許可する。その場合、通行許可手段266は、解錠信号を電気錠I/F部24を介して扉30の電気錠31に送信する(ステップS407)。電気錠31は、認証装置20から解錠信号を受信した場合、所定期間解錠し、公共エリアに存在する携帯端末10の利用者が扉30を通行してセキュリティエリアへ入場することを物理的に許可する。
次に、通行許可手段266は、通行許可信号を各携帯端末10に送信して各携帯端末10の利用者の通行を許可したことを通知する(ステップS408)。各携帯端末10は、通行許可信号を受信した場合、通行が許可されたことを画面に表示したりチャイムや音声を出力することによって、利用者に通行を促す。なお、存在認証手段265が、各携帯端末10の利用者が公共エリアに存在する正当な利用者であると判定しなかった場合、通行許可手段266は解錠信号を電気錠31に送信しないので、扉30の電気錠31は施錠されたままである。
次に、入退場記録手段267は、各携帯端末10の利用者のセキュリティエリアへの入場記録を入退場記録情報254として記憶部25に記憶し、記憶した入退場記録情報254をLAN通信部22を介して管理装置40に送信する(ステップS409)。
次に、存在認証手段265は、利用者が公共エリアに存在する正当な利用者であると判定した携帯端末10の識別情報を認証対象識別情報251から消去する(ステップS410)。次に、存在認証手段265は、認証対象識別情報251に識別情報が残っているか否かを判定することにより、トリガ信号を受信した全ての携帯端末10に対する認証処理を実行したか否かを判定する(ステップS411)。まだ認証処理を実行していない携帯端末10が存在する場合、存在認証手段265は、処理をステップS401へ戻す。一方、トリガ信号を受信した全ての携帯端末10に対する認証処理を実行した場合、存在認証手段265は、一連のステップを終了する。
このように、通行許可手段266は、複数の携帯端末10に対してまとめて出力音を出力し、複数の携帯端末10から通行要求信号を受信した場合、各携帯端末10に対して順次認証処理を行っていく。これにより、通行許可手段266は、最初に通行要求信号を送信した携帯端末10の利用者を長時間待たせることなくセキュリティエリアへ通行させることができる。
次に、携帯端末10が扉30の裏側のセキュリティエリアに存在する場合、即ち携帯端末10が図2の携帯端末Cである場合について説明する(ステップS106〜S109)。
セキュリティエリアに存在する携帯端末10の利用者が他の利用者と会話するために立ち止まると、静止検知手段161は利用者の静止状態を検知し、トリガ送信手段162は、携帯端末識別情報151の識別情報を有するトリガ信号を生成して無線通信部11を介して認証装置20に送信する(ステップS106)。
認証装置20のトリガ受信手段261が無線通信部21を介してトリガ信号を受信すると、認証装置20は、図7に示した判定音出力処理を実行する(ステップS107)。但し、図2の携帯端末Dのように携帯端末10が受信可能範囲外に存在する場合、図7のステップS201において、トリガ受信手段261が閾値以上の強度のトリガ信号を受信しないため、判定音出力手段262は、判定音を出力しない。また、図2の携帯端末Cのように携帯端末10が受信可能範囲内に存在する場合、図7のステップS209において、認証装置20の判定音出力手段262は、判定音を、音出力部23から扉30の表側、即ち公共エリアに対して出力する。
一方、各携帯端末10の判定音測定手段163は、判定音の測定を開始し(ステップS108)、各携帯端末10は、図8に示した通行要求信号送信処理を実行する(ステップS109)。但し、携帯端末10は扉30の裏側で集音可能範囲外に存在するので、図8のステップS301において、集音された音のパターンは集音判定音パターン情報152のパターンと一致せず、判定音の音圧レベルは閾値以上にはならない。認証装置20は携帯端末10から通行要求信号を受信しないので、扉の裏側に居る携帯端末10の利用者は認証対象から排除される。したがって、本発明によれば、携帯端末10が扉30の近くの受信可能範囲内に位置していたとしても、扉30の裏側のセキュリティエリア内に存在する場合、その利用者が正当な利用者であると認証されて扉30の電気錠31が誤って解錠されることが防止される。
以上説明した本発明に係る入退室管理システム1によれば、携帯端末10は認証装置20から出力された判定音を集音し、認証装置20は携帯端末10が集音した判定音の音圧レベルが閾値以上である場合のみ携帯端末10の利用者の認証を行う。認証装置20は、携帯端末10からのトリガ信号を受信してから少なくとも一定期間が経過するまで判定音の出力を保留する。これにより、認証装置20は、ある携帯端末10からトリガ信号を受信してから一定期間内に他の携帯端末10から受信した場合、各携帯端末10に対してまとめて判定音を出力し、各携帯端末10の認証を効率良く行うことが可能となる。さらに、認証装置20は、公共エリアに判定音を発生させる回数を減少させ、公共エリアにいる人物が、判定音を騒音として不快に感じることを抑制することが可能となる。
また、認証装置20は、認証装置20と同じ扉30の表側の公共エリアに存在する携帯端末10の利用者のみを認証対象とするので、認証装置20と同じエリアに存在する正当な利用者を認証する認証の精度を向上させることができる。また、認証装置20は、扉30の裏側のセキュリティエリアに存在する携帯端末10−2の利用者を誤って認証して扉30の電気錠31を解錠し、正当でない利用者がセキュリティエリアに入場するのを防止できるので、入退室管理システム1の安全性を向上させることができる。
また、認証装置20は、携帯端末10から最初に受信したトリガ信号が有する識別情報と、その後に受信した通行要求信号が有する識別情報とが一致しなければ、携帯端末10の利用者を認証対象としない。これにより、トリガ信号を送信した携帯端末10と通行要求信号を送信した携帯端末10とが同一である場合のみ認証を行うので、認証の精度をさらに向上させ、入退室管理システム1の安全性をさらに向上させることができる。
以上、本発明の一実施形態について説明してきたが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
上記実施形態では、認証装置20は、最初にトリガ信号を受信したときから第1期間が経過するまで判定音の出力を保留していたが、最初に受信したトリガ信号を送信した携帯端末とは異なる携帯端末からのトリガ信号を受信したときから判定音の出力を保留してもよい。例えば、認証装置20は、最初に受信したトリガ信号(1回目のトリガ信号という。)に対しては判定音を保留せず出力し、その後、1回目のトリガ信号とは異なる携帯端末からのトリガ信号(2回目のトリガ信号という。)を、1回目のトリガ信号を受信してから所定期間内(例えば1秒)に受信した場合は、2回目のトリガ信号を受信したときから第1期間が経過するまで判定音を保留する。これにより、認証装置20は、通行者が一人の場合には、判定音を保留せず出力することで、扉の前での待機時間を短くすることができるとともに、通行者が複数の場合には、判定音を保留して複数の携帯端末にまとめて判定音を出力することで、通行者が判定音を騒音として不快に感じることを抑制することができる。
上記実施形態では、認証装置20は、複数の携帯端末からトリガ信号を受信し続けている場合、第2期間が経過したタイミングで判定音を出力していたが、それぞれ異なる携帯端末から受信したトリガ信号の数が所定数を超えたタイミングで判定音を出力してもよい。例えば、認証装置20は、複数の携帯端末からのトリガ信号を受信し続けて、第1期間内に二以上の所定数(例えば5)の異なる携帯端末からトリガ信号を受信した場合、第1期間及び第2期間が経過していなくても判定音を出力する。これにより、認証装置20は、第2期間が経過するまでに多数のトリガ信号を受信してしまい、通行要求信号受信後の認証処理が遅延してしまうことを抑制することができる。
上記実施形態では、携帯端末10が、測定した判定音の音圧レベルが閾値以上であるか否かを判定して、通行要求信号を送信したが(図8のステップS303)、判定音の音圧レベルの判定は認証装置20が行ってもよい。例えば、携帯端末10は、判定音の音圧レベルの測定のみを行い、通行要求送信手段は、音圧レベル自体を有する通行要求信号を認証装置20に無線送信してもよい。この通行要求送信手段が、音圧レベル送信手段の例となる。その場合、認証装置20の通行要求受信手段263は、携帯端末10から受信した通行要求信号が有する音圧レベルが、予め定められた閾値以上であるか否かを判定し、音圧レベルが閾値以上である場合に、肯定測定結果を取得する。
上記実施形態では、認証装置20は、携帯端末10から受信した通行要求信号の識別情報がトリガ信号の識別情報と一致するか否かを判定したが(図9のステップS404)、この判定は省略されてもよい。例えば、認証装置20は、トリガ信号または通行要求信号のいずれかが有する識別情報が、登録された識別情報と一致するか否かを判定して通行を許可してもよい。例えば、認証装置20は、トリガ信号を受信した際は判定音の出力のみを行い、通行要求信号の識別情報が登録された識別情報と一致し、かつ音圧レベルが閾値以上である場合、通行を許可する。この場合、トリガ信号および通行要求信号のいずれか一方のみが識別情報を有してもよい。また、認証装置20は、携帯端末10の利用者が正当であるか否かの判定自体(図9のステップS404及びS405)を省略し、携帯端末10の利用者が正当であるか否かに関わらず、通行を許可してもよい。
上記実施形態では、認証装置20は、記憶部25に記憶されたパターンの判定音を出力したが、携帯端末10ごとに異なるパターンの判定音を出力してもよい。この場合、認証装置20は、携帯端末10の識別情報ごとに出力する判定音のパターンを記憶部25に予め記憶し、受信したトリガ信号の識別情報に対応する判定音のパターンを記憶部25から読み出し、読み出したパターンの判定音を出力する。携帯端末10は、集音した音のパターンが記憶部15に記憶された自端末に固有の判定音のパターンであるか否かを判定し、そのパターンと一致する部分の音を判定音として取り出して、その音圧レベルを測定する。
上記実施形態では、携帯端末10が利用者の静止状態を検知したときにトリガ信号を認証装置20に送信したが、本発明は、これに限定されない。例えば、携帯端末10は、利用者による液晶パネルまたはアプリケーション表示画面上での電気錠解錠などの操作を受けたときにトリガ信号を送信してもよい。または、携帯端末10は、認証装置20が一定間隔で送信する所定の無線信号を受信したとき、認証装置20が利用者による入場用ボタンの押下などの操作に応じて送信された所定の無線信号を受信したとき、または、認証装置20が所定の操作に応じて出力した所定の判定音を集音したときなどにトリガ信号を送信してもよい。
上記実施形態では、公共エリアとセキュリティエリアとの間には、電気錠31を有する扉30が設置されたが、扉30は省略されてもよい。例えば、入退室管理システム1は、壁などで物理的に隔てられた2つのエリアに対して、判定音および無線信号を上記実施形態と同様に用いて、2つのエリアのうちのどちら側に携帯端末10の利用者が存在するかを判別して認証してもよい。入退室管理システム1は、複数のエリアを有する建物の随所に認証装置20を設置して、どの携帯端末10の利用者がどのエリアに存在するかを認証することにより、各利用者の位置を把握できる。なお、判定音の指向性および出力方向などにより、相互のエリア間で届く判定音の音圧レベルが一定以上異なる場合、入退室管理システム1は、エリア間に壁などを設置しなくてもよい。