JP2019120007A - キャビネット - Google Patents

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Abstract

【課題】引出しを一括して施解錠するオールロック機能、及び地震等の際における引出しの飛び出し防止機能を備えたキャビネットにおいて、部品点数を削減するともに、施錠機構を簡易化する。【解決手段】ロックユニットAは、被操作体が操作されない状態では、引出し3〜5を一括して施錠したオールロック状態になり、前記被操作体が操作された際には、前記オールロック状態を解除する。錠6の施錠状態Lでは、ロックユニットAは前記オールロック状態になり、錠6の解錠状態で引出し3〜5の引手P1〜P3を引かない状態では、前記オールロック状態が継続し、引出し3〜5の飛び出しを防止する。錠6の解錠状態で引出し3〜5の何れか1つの引出しの引手を引いた状態では、当該引手を引く操作に連動する連動機構Bにより前記被操作体が操作され、前記オールロック状態が解除されて当該引出しを引き出すことができる。【選択図】図1

Description

本発明は、上下複数段の引出しを備えたキャビネットに関わり、さらに詳しくは、引出しを一括して施解錠するオールロック機能、及び地震等の際における引出しの飛び出し防止機能を備えたキャビネットに関する。
<オールロック機能、二重引き出し防止機能>
上下複数段の引出しを備えたキャビネットにおいて、引出しを一括して施解錠するオールロック機能及び転倒防止のための二重引き出し防止機能を備えたものがあり、オールロック機能を実現するための装置(オールロック装置)は、二重引き出し防止機能を実現するための装置(二重引き出し防止装置)の部材を共用している(例えば、特許文献1及び2参照)。
なお、特許文献2のキャビネット(ワゴンW)の実施の形態は、3段の引出し(1A,1B,1C)のうち、中段及び下段の引出し(1B,1C)に対してのみ二重引き出し防止機能を備えているが、同様の二重引き出し防止装置により、上段の引出し(1A)も含めて二重引き出し防止機能を備えることも容易である(特許文献2の[0015]参照)。
また、上下複数段の引出しを備えたキャビネットにおいて、引出しを一括して施解錠するオールロック機能を備え、二重引き出し防止機能を備えないものがある(例えば、特許文献3の第8図参照)。
特許文献1の構成では、引出し(2)の側板(9)の外面に設けたストライカー(22)、並びに、キャビネット本体(1)の側部内面側の縦溝(15)内に上下動不能に保持された支持縦枠(16)、支持縦枠(16)の上下の引出し(2)に対応する位置に形成した窓孔(17)に装着したサポートホルダー(18)、サポートホルダー(18)により水平回動可能に支持され、ストライカー(22)の前後動によって水平回動し、クサビ状カム部(90)を有するストッパー(19)、サポートホルダー(18)に上下スライド自在に装着した作動軸(20)、上下の作動軸(20,20)を接続するパイプ(21)、及び最下の作動軸(20)を上向き付勢するばね(77)、並びに施解錠操作によりロックアーム(48)を操作するロック機構等が、オールロック装置及び二重引き出し防止装置を構成する。
ロック機構の錠(10)を施錠した施錠状態では、施錠操作に連動して下向きに回動したロックアーム(48)により最上の作動軸(20)がばね(77)の付勢力に抗して押し下げられ、各作動軸(20)が基準高さよりも低い低位ロック高さとなる。よって、全ての引出し(2)に対応するストッパー(19)が回動不能に保持されるので、全ての引出し(2)は前進不能に保持される。
ロック機構の錠(10)を解錠した解錠状態では、解錠操作に連動してロックアーム(48)が上向きに回動することから、ばね(77)の付勢力により各作動軸(20)が基準高さに復帰するので、任意の引出し(2)を引き出すことができる。
任意の1つの引出し(2)を引き出すと、当該引出し(2)のストライカー(22)が前進してストッパー(19)が回動し、クサビ状カム部(90)が作動軸(20,20)間に入るので、作動軸(20,20)は上下動する。それにより前進した引出し(2)以外の引出し(2)は高位ロック高さ又は低位ロック高さとなる。よって、前進した引出し(2)以外の引出し(2)に対応するストッパー(19)が回動不能に保持されるので、前進した引出し(2)以外の引出し(2)は引き出すことができなくなる。
また、特許文献2の構成では、引出し(1B,1C)の側壁(11b)の前端に設けた、突部(32)を有する被係止部(3)、並びに、筐体(W1)に配設された、各被係止部(3)に係合可能な係止部(4)、一つの引出しが引き出された際に他の引出しを引出し得ないようにロックする連動機構(5)、連動機構(5)を規制する規制部(7)、及び施解錠操作により規制部(7)を操作する操作部(6)等が、オールロック装置及び二重引き出し防止装置を構成する。
係止部(4)は、前記突部(32)が係合する係合溝(42)を有し、水平軸まわりに回動可能な回転駒(41)を備える。
連動機構(5)は、各回転駒(41)の回転端部から側方へ突出させた添接突起(51)と、各添接突起(51)の前端部、及び回転駒(41)の上下の固定ピンの後側に位置して上下方向に延びる紐部材(52)を備える。紐部材(52)の下端は基板部材(K)に止着し、紐部材(52)の上端は上下動子(H1)に取り付ける。上下動子(H1)は、基板部材(K)に固設された支持部材(H)内において、所定範囲内で上下動可能に支持され、ばね(S)により上方へ付勢される。
操作部(6)のシリンダ錠(61)を施錠した施錠状態では、施錠操作に連動して規制部(7)が作動するので上下動子(H1)は下降できなくなる。よって、連動機構(5)の紐部材(52)は前方へ湾曲することができなくなるので、上下の引出し(1B,1C)は前進不能に保持される。
操作部(6)のシリンダ錠(61)を解錠した解錠状態では、解錠操作に連動して規制部(7)による連動機構(5)の規制が解除されることから、上下動子(H1)は下降できるので、任意の引出し(1B又は1C)を引き出すことができる。
任意の引出し(1B又は1C)を引き出すと、当該引出しの被係止部(3)の突部(32)が対応する回転駒(41)の係合溝(42)に係合して回転駒(41)を前方へ回動させ、添接突起(51)も前方に回動して紐部材(52)が前方へ湾曲する。よって、上下動子(H1)が最下位置まで移動し、紐部材(52)はそれ以上の湾曲が不可能な状態となるので、他の引出しは引き出すことができなくなる。
さらに、特許文献3の第8図の構成では、キャビネット等に、回転軸(a)の端部に固定されているピボット(b)、ロックピン(d)が付設されている縦装の連動バー(c)を備え、引出し(k)の側板部にロック部材(l)等を備えており、それらがオールロック装置を構成する。
ピボット(b)の長孔(e)に、連動バー(c)の連動ピン(f)をスライド自在に係合して連結しており、シリンダ錠(g)の施解錠操作により回転軸(a)を回動することにより連動バー(c)を昇降させる。
シリンダ錠(g)を施錠した施錠状態では、施錠操作に連動して連動バー(c)が上昇し、ロックピン(d)がロック部材(l)の前端面を当止するので、上下の引出し(k,k,…)は前進不能に保持される。
シリンダ錠(g)を解錠した解錠状態では、解錠操作に連動して連動バー(c)が下降し、ロックピン(d)はロック部材(l)のガイド溝(m)に係合するので、上下の引出し(k,k,…)を引き出すことができる。
<引出しの飛び出し防止機能>
特許文献1及び2のようなオールロック機能及び二重引き出し防止機能を備えたキャビネット、並びに特許文献3のようなオールロック機能を備えたキャビネットにおいて、錠の解錠状態では、任意の引出しを引き出すことができる。
したがって、地震等の際における引出しの飛び出し防止機能を備えるためには、特許文献1及び2のような前記オールロック装置及び前記二重引き出し防止装置、並びに特許文献3のような前記オールロック装置とは別に、引出しの飛び出し防止を実現するための装置(飛び出し防止装置)を備える必要がある。
前記飛び出し防止装置は、引出しの左右にラッチ装置を設ける構成により実現するのが一般的である(例えば、特許文献4参照)。
このようなラッチ装置は、引出し(2)により垂直軸線(26)まわりに回動可能に支持されたラッチ体(15)のラッチ爪(14)を、キャビネット本体(2)の内側面に向かって弾性付勢している。それにより、引出し(2)を閉じた状態では、ラッチ装置のラッチ爪(14)がキャビネット本体(1)の係合突起(13)に係合しているので、引出し(2)が不意に飛び出すことを防止できる。
そして、引出し(2)の引手(8)を引く動作に連動してラッチ爪(14)が回動し、ラッチ爪(14)が係合突起(13)から外れて係合解除されるため、キャビネット本体(1)から引出し(2)を引き出すことができる。
特許第5537331号公報 特開2003−199633号公報 実願昭60−29523号(実開昭61−146362号)のマイクロフィルム 特許第4659297号公報
前記のとおり、特許文献1若しくは2のような前記オールロック装置及び前記二重引き出し防止装置を備えたキャビネット、又は特許文献3のような前記オールロック装置を備えたキャビネットにおいて、解錠状態での引出しの飛び出しを防止する引出しの飛び出し防止機能を備えるには、特許文献4のようなラッチ装置を備える必要がある。
しかしながら、そのような構成では、前記ラッチ装置が前記オールロック装置と別部品で構成されるので、前記ラッチ装置を備えるためには、部品点数の増大や施錠機構の複雑化を伴う。
上述の背景に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、引出しを一括して施解錠するオールロック機能、及び地震等の際における引出しの飛び出し防止機能を備えたキャビネットにおいて、部品点数を削減するともに、施錠機構を簡易化することである。
本願の発明者は上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
〔1〕キャビネット本体と、前記キャビネット本体に収容される上下複数段の引出しと、前記引出しの一つに設けた錠とを備えた、前記引出しを一括して施解錠するオールロック機能、及び前記引出しの飛び出しを防止する飛び出し防止機能を有するキャビネットであって、
前記オールロック機能を有するロックユニットを備え、
前記ロックユニットは、
その被操作体が操作されない状態では、前記引出しを一括して施錠したオールロック状態になり、
前記被操作体が操作された際には、前記オールロック状態を解除するものであり、
前記錠の施錠状態では、
前記ロックユニットは前記オールロック状態になり、
前記錠の解錠状態で前記上下複数段の引出しの引手を引かない状態では、
前記オールロック状態が継続することにより前記引出しの飛び出しを防止し、
前記錠の解錠状態で前記上下複数段の引出しの何れか1つの引出しの引手を引いた状態では、
当該引手を引く操作に連動する連動機構により前記ロックユニットの前記被操作体が操作され、それにより前記オールロック状態が解除されて当該引出しを引き出すことができる、
キャビネット。
〔2〕前記ロックユニットは、前記引出しの二重引出しを防止する二重引き出し防止機能を有し、
前記錠の解錠状態で前記上下複数段の引出しの何れか1つの引出しの引手を引いた状態では、
当該引手を引く操作に連動する連動機構により前記ロックユニットの前記被操作体が操作され、それにより前記オールロック状態が解除されて当該引出しを引き出すことができ、
当該引出し以外の引出しは、前記ロックユニットが二重引出しを防止するので引き出すことができない、
前記〔1〕に記載のキャビネット。
〔3〕前記錠の施錠状態で作動する規制部材が、前記錠の施錠状態で、
前記連動機構を構成する部材のうちの、何れかの部材の作動軌跡内に突出することにより、当該部材の作動を規制する、
前記〔1〕又は前記〔2〕に記載のキャビネット。
〔4〕前記引手の回動に連動して回動する回動部材を、前記引出しの前板の裏側から突出させ、
前記錠の解錠状態で前記引手を引いて前記回動部材が回動することにより、前記連動機構が作動する、
前記〔1〕〜前記〔3〕の何れかに記載のキャビネット。
〔5〕前記連動機構は、
前記上下複数段の引出しの各引出し毎に設けた、前記キャビネット本体の側部により中間部を支持されて上下方向へ揺動可能な前後方向に長いシーソー状の第1揺動アームと、
前記第1揺動アームの後端部が係合し、前記キャビネット本体の側部により上下方向へスライド可能に支持された上下スライド体と、
前記上下スライド体のスライド動作により揺動する、前記キャビネット本体の側部により中間部を支持されて上下方向へ揺動可能な前後方向に長いシーソー状の第2揺動アームとを含み、
前記錠の施錠状態では、前記第1揺動アームの揺動を規制し、
前記錠の解錠状態で前記上下複数段の引出しの何れか1つの引出しの引手を引くと、
当該引出しに対応する前記第1揺動アームが揺動し、
それにより前記上下スライド体が上下方向へスライドし、
それにより前記第2揺動アームが揺動し、
それにより前記ロックユニットの前記被操作体が操作される、
前記〔1〕〜前記〔4〕の何れかに記載のキャビネット。
〔6〕前記引手の回動に連動して回動する回動部材を、前記引出しの前板の裏側から突出させ、
前記錠の解錠状態で前記引手を引いて前記回動部材が回動することにより、前記連動機構が作動し、
前記回動部材を前記引出しの左右何れか一方に配置するとともに、
前記回動部材の配置箇所に対応させて、前記第1揺動アーム及び前記上下スライド体を、前記キャビネット本体の左右の側部の何れか一方に備え、
前記第2揺動アーム及び前記ロックユニットは、前記キャビネット本体の左右の側部の両方に備え、
左右の前記第2揺動アームを連動シャフトで連結する、
前記〔5〕に記載のキャビネット。
〔7〕前記錠の施錠状態で前記引手を引く操作を行っても、前記連動機構を直接操作して前記連動機構を作動させる部材に所定値以上の回転力を伝達しないように動作するクラッチ機構又は弾性部材を備えてなる、
前記〔1〕〜前記〔6〕の何れかに記載のキャビネット。
以上のように、本発明に係るキャビネットによれば、その構成に基づき、主に以下に示すように作用し、それにより主に以下に示すような効果を奏する。
本発明におけるオールロック機能を有するロックユニットは、その被操作体が操作されない状態では、引出しを一括して施錠したオールロック状態になる。前記ロックユニットは、錠の解錠状態で引出しの引手を引く操作に連動する連動機構により前記被操作体が操作された際には、前記オールロック状態を解除する。
前記ロックユニットを備えたキャビネットは、錠の施錠状態とともに、錠の解錠状態で引出しの引手を引かない状態でも、前記オールロック状態であるので、前記ロックユニットは引出しの飛び出し防止機能も有する。
このように前記ロックユニットに、オールロック機能及び飛び出し防止機能を集約しており、別途ラッチ機構を設ける必要がないので、部品点数を削減可能となる。
その上、錠の解錠状態で、かつ引出しの引手を引かない限り、オールロック状態であることから、前記被操作体の操作を不能にするために前記連動機構の連動を遮断するだけでロック可能であるので、簡易な施錠機構でオールロックが可能となる。
その上さらに、前記ロックユニットにオールロック機能とともに二重引き出し防止機能を持たせることは容易であるので、前記ロックユニットに、オールロック機能、二重引き出し防止機能、及び飛び出し防止機能を容易に集約できる。
本発明の実施の形態に係るキャビネットを前方から見た斜視図であり、引出しを閉止した錠の施錠状態を示している。 同状態でロックユニット及び連動機構等の主要部品を取り出して示す前方から見た斜視図である。 ロックユニットの分解斜視図である。 ロックユニット及び連動機構の動作説明図であり、オールロック状態を示している。 本発明の実施の形態に係るキャビネットを前方から見た斜視図であり、錠を解錠して上段の引出しの引手を引いた状態を示している。 同状態でロックユニット及び連動機構等の主要部品を取り出して示す前方から見た斜視図である。 ロックユニット及び連動機構の動作説明図であり、錠を解錠して上段の引出しの引手を引いた状態を示している。 ロックユニット及び連動機構の動作説明図であり、錠を解錠して中段の引出しの引手を引いた状態を示している。 引出しのストライカーによりロックユニットのロック操作体を駆動する引出しを開ける際の動作説明用要部拡大横断面平面図である。 引出しのストライカーによりロックユニットのロック操作体を駆動する引出しを閉じる際の動作説明用要部拡大横断面平面図である。 ロックユニットの昇降体及び操作体等を取り出して示す要部拡大斜視図である。 ロックユニット及び連動機構の動作説明図であり、図7の状態からさらに上段の引出しを引き出した状態を示している。 同じく動作説明図であり、図8の状態からさらに中段の引出しを引き出した状態を示している。 ロックユニット及び連動機構等の上部を示す要部拡大斜視図であり、錠の施錠状態を示している。 同じく要部拡大斜視図であり、錠の解錠状態を示している。 ロックユニット及び連動機構等の上部の部分分解斜視図である。 クラッチ機構を示す要部拡大斜視図である。 同じく分解斜視図である。
次に、添付図面に示した実施形態に基づき、本発明を更に詳細に説明する。
添付図面に示す本発明の実施の形態に係るキャビネットは、上下多段の引出しを一括して施解錠するオールロック機能、転倒防止のための前記引出しの二重引き出し防止機能、及び地震等の際における前記引出しの飛び出し防止機能を備える。
また、本発明の実施の形態に係るキャビネットは、上段の引出しの鏡板に、認証部、アクチュエータ、及び電池を有する電池式の電子錠を備える。
なお、本発明における錠は、シリンダ錠やダイヤル錠等の機械錠であってもよい。
「電池」は、例えばマンガン乾電池やアルカリ乾電池等のような再充電できない一次電池であってもよいし、例えば鉛蓄電池やリチウムイオン電池のような再充電できる二次電池であってもよい。
以下の実施の形態に示す電池式の電子錠は、引手に隣接して認証部を備えたものである。認証部は、暗証番号をテンキー若しくはタッチパネルで入力する方式だけでなく、指紋認証方式、又は、磁気カード、LSIカード若しくはスマートフォン等から電磁的に入力する方式等であってもよい。
本明細書においては、キャビネットの引出しを引出す方向を前、引出しをキャビネット本体に収容するように押し込む方向を後とし、後方へ向かった状態で左右を定義する。
<キャビネット>
図1の斜視図に示す本発明の実施の形態に係るキャビネット1は、左右の側板7,8、天板9及び背板10を含むキャビネット本体2と、キャビネット本体2内に収容される上下3段の引出し3,4,5を有する。
引出し3,4,5は、鏡板H1,H2,H3に引手P1,P2,P3を備え、上段の引出し3は、引手P1に隣接した認証部Nを有する、電池式の電子錠6を備える。図1に示すキャビネット1において、その電子錠6は施錠状態Lである。
キャビネット1は、図1及び図2の斜視図に示すように、キャビネット本体2の左右の側部G,GにロックユニットA,Aを備えるとともに、ロックユニットAの上端の被操作体D(図3及び図4)を操作するために、引手P1ないしP3を引く操作に連動する連動機構Bを備える。
引出し3ないし5は、引手P1ないしP3を引く操作に連動して回動する操作杆Q1なしQ3を有し、操作杆Q1ないしQ3は、左右の回動支持部材14,14により支持される。
<ロックユニット>
図3の分解斜視図に示すように、ロックユニットAは、平面視コ字状の支持枠体16、支持枠体16に装着する上下3個のガイド体17、各ガイド体17に装着する操作体18、支持枠体16の上下に装着する上部支持体21及び下部支持体22、昇降体20A,20B,20C,20D、ばね受け部材23、並びに圧縮コイルばね24等により構成される。
操作体18には、その側面に操作片19が突設され、図10の要部拡大斜視図に示すように、操作片19の上面は水平面19Aであり、その下側に傾斜面19Bを有する。
操作体18の上下の軸部18A,18Aをガイド体17の上下の軸受け溝17B,17Bに嵌入することにより、操作体18はガイド体17により鉛直軸まわりに回動可能に支持される。
支持枠体16に形成された上段、中段及び下段の開口部16Aに、上段、中段及び下段の各ガイド体17を挿入する。それにより、各ガイド体17の弾性係合片17C,17C,…が支持枠体16の内面に係合した状態で、各ガイド体17は支持枠体16に取り付けられる。
下部支持体22の凸部22Aにばね受け部材23を嵌合するように、下部支持体22にばね受け部材23を載置し、圧縮コイルばね24をばね受け部材23に上方から挿入する。
圧縮コイルばね24の上端部のコイル内に昇降体20Dの下端のばね支持部Iを挿入した状態で、昇降体20Dの上端部を下段のガイド体17の通孔17Aに下方から挿入するように、下部支持体22を支持枠体16の下端から挿入する。それにより、下部支持体22の弾性係合片22B,22Bが支持枠体16の下端部の係合孔16C,16Cに係合するので、下部支持体22は支持枠体16に取り付けられ、昇降体20Dは昇降可能に支持される。
昇降体20Cの下端部を下段のガイド体17の通孔17Aに上方から挿入して下方へ押圧して圧縮コイルばね24を圧縮させながら、昇降体20Cの上端部を中段のガイド体17の通孔17Aに下方から挿入する。それにより、昇降体20Cは昇降可能に支持される。
昇降体20Bの下端部を中段のガイド体7の通孔17Aに上方から挿入して下方へ押圧して圧縮コイルばね24を圧縮させながら、昇降体20Dの上端部を上段のガイド体17の通孔17Aに下方から挿入する。それにより、昇降体20Bは昇降可能に支持される。
昇降体20Aに対して外嵌部材Vは相対的に上下方向へスライド可能であり、昇降体20Aの上端の被操作体Dを上部支持体21の通孔21Aに下方から挿入して外嵌部材Vを上部支持体21の通孔21AとU溝21Dとの間の空間に位置させ、昇降体20AをU溝21Eから下方へ垂下させる。
昇降体20Aの下端部を上段のガイド体17の通孔17Aに上方から挿入するように、上部支持体21を支持枠体16の上端から挿入する。それにより、上部支持体21の弾性係合片21B,21Bが支持枠体16の上端部の係合孔16B,16Bに係合するので、上部支持体21は支持枠体16に取り付けられ、昇降体20Aは昇降可能に支持される。
このようにして組み付けたロックユニットA,Aを図1のキャビネット本体2の左右の側部G,Gである側板7,8の縦溝内に嵌入する。それにより、上部支持体21の弾性係合片21C,21C、及び下部支持体22の弾性係合片22C,22Cが側板7,8の係合孔に係合するので、キャビネット本体2へのロックユニットA,Aの取り付けが完了する。
ロックユニットAにおいて、図3の分解斜視図及び図4の動作説明図に示すように、昇降体20A,20B,20C,20Dは、圧縮コイルばね24により上方へ弾性付勢されている。
そして、被操作体Dが操作されて、圧縮コイルばね24の弾性付勢力に抗して昇降体20A,20B,20C,20Dが押し下げられない限り、図4に示す、上下の昇降体20A,20Bの端部が当接する高さE1、上下の昇降体20B,20Cの端部が当接する高さE2、及び上下の昇降体20C,20Dの端部が当接する高さE3の何れの位置も、操作体18の操作片19の上面である水平面19Aの高さから上方へずれている。
それにより、電子錠6の施錠状態L、及び電子錠6の解錠状態ULで引手P1,P2,P3の何れかを引かない状態、すなわち後述する連動機構Bが作動しない状態では、操作体18が回動できない。
よって、上下複数段の引出し3,4,5のストライカーS1,S2,S3(図9A参照)が操作体18の第1被駆動部18Bに当止されることから、全ての引出し3,4,5を引き出すことができない。
以上のとおり、電子錠6の施錠状態L、及び電子錠6の解錠状態ULで引手P1,P2,P3の何れかを引かない状態で、オールロック状態が保持されるので、キャビネット1はオールロック機能及び引出しの飛び出し防止機能を有する。
<連動機構>
図4の動作説明図に示すように、連動機構Bは、上下複数段の引出し3,4,5の各引出し毎に設けた、第1揺動アーム11,11,11、キャビネット本体2の側部G(図1参照)により上下方向へスライド可能に支持された上下スライド体S、及び、ロックユニットAの被操作体Dを操作するための第2揺動アーム12を含む。
第1揺動アーム11は、前後方向に長いシーソー状であり、支軸Mにより中間部11Cが支持される。よって、第1揺動アーム11は、キャビネット本体2の側部Gにより中間部11Cを支持されており、左右方向軸まわりに上下方向へ揺動可能である。
第2揺動アーム12は、前後方向に長いシーソー状であり、図13の斜視図に示すようにロックユニットAの上部支持体21により中間部12Cを支持される。よって、第2揺動アーム12は、キャビネット本体2の側部Gにより中間部12Cを支持されており、左右方向軸まわりに上下方向へ揺動可能である。
また、左右の第2揺動アーム12,12は、図1及び図2の斜視図に示すように、連動杆Rにより連結される。
上下スライド体Sは、キャビネット本体2の側部Gである側板8により、その縦溝内に上下方向にスライド可能に支持されており、上下の当接片25,26,27,28を備える。
上段の引出し3に対応する第1揺動アーム11の後端部11Bは、上下スライド体Sの上下の当接片25,26の間に位置する。
中段の引出し4に対応する第1揺動アーム11の後端部11Bは、上下スライド体Sの当接片27の下方に位置し、下段の引出し5に対応する第1揺動アーム11の後端部11Bは、上下スライド体Sの当接片28の下方に位置する。
よって、第1揺動アーム11の何れかが揺動して後端部11Bが上昇すると(例えば、図7及び図8参照)、上下スライド体Sが上昇し、それにより上下スライド体Sの頂部に押圧されて第2揺動アーム12の前端部12Aが上昇する。それにより、第2揺動アーム12の後端部12Bが下降するので、ロックユニットAの被操作体Dが押し下げられる。
連動機構Bは、電子錠6の解錠状態ULで引出し3,4,5の引手P1,P2,P3の何れかを引く操作に連動する。
引出し3,4,5は、引手P1,P2,P3の回動に連動して回動する回動部材13を有する。回動部材13は、図4の動作説明図、及び図13の要部拡大斜視図に示すように、引出し3,4,5の前板Fの裏側(後側)へ突出しており、引手P1,P2,P3を引かない状態では、ねじりコイルばね15(図13)の弾性付勢力により後方へ略水平に延びた状態が保持される。
また、引出し3ないし5の引手P1ないしP3を引いた後(例えば図6の引手P1参照)、引手P1ないしP3を離すと、図16の要部拡大斜視図のように、引手P1ないしP3の上部の突片Oと、引出し3ないし5の前板F(図13及び図14)との間に圧縮コイルばね34を配設しているので、引手P1ないしP3、及び操作杆Q1ないしQ3、並びに回動部材13は、圧縮コイルばね34の復元力により元の状態(例えば図2の引手P1参照)に復帰する。
(上段の引出しの引手を引く操作)
図5及び図6の斜視図に示すように、電子錠6の解錠状態ULで上段の引出し3の引手P1を引くと、操作杆Q1が回動し、操作杆Q1の右端部に取り付けた回動部材13が下方へ回動する。
回動部材13により第1揺動アーム11の前端部11Aが図7の動作説明図の矢印のように押し下げられ、第1揺動アーム11が揺動して後端部11Bが上昇する。
よって、前述のとおり、上下スライド体Sが上昇して第2揺動アーム12の後端部12Bが下降するので、ロックユニットAの被操作体Dが押し下げられる。
それにより、図7に示すように、下降する昇降体20Aの鍔部W(図3も参照)が外嵌部材Vに当て止めされた状態で最上の昇降体20Aの位置決めがされる。
また、昇降体20Aの下側の昇降体20B,20C,20Dも、最下の昇降体20Dが圧縮コイルばね24(図3及び図4参照)の復元力で上方へ弾性付勢されているので、昇降体20Aとともに、上下方向の位置決めがされる。
その状態では、図7に示すように、上下の昇降体20A,20Bの端部が当接する高さE1、上下の昇降体20B,20Cの端部が当接する高さE2、及び上下の昇降体20C,20Dの端部が当接する高さE3の何れの位置も、操作体18の操作片19の上面である水平面19Aの高さと一致している。
(中段の引出しの引手を引く操作)
電子錠6の解錠状態ULで中段の引出し4の引手P2を引くと、図8の動作説明図に示すように操作杆Q2が回動し、操作杆Q2の右端部に取り付けた回動部材13が下方へ回動する。
それにより、回動部材13により第1揺動アーム11の前端部11Aが押し下げられ、第1揺動アーム11が揺動して後端部11Bが上昇する。
よって、前述のとおり、上下スライド体Sが上昇して第2揺動アーム12の後端部12Bが下降するので、ロックユニットAの被操作体Dが押し下げられる。
それにより、図8に示すように、下降する昇降体20Aの鍔部W(図3も参照)が外嵌部材Vに当て止めされた状態で最上の昇降体20Aの位置決めがされる。
また、昇降体20Aの下側の昇降体20B,20C,20Dも、最下の昇降体20Dが圧縮コイルばね24(図3及び図4参照)の復元力で上方へ弾性付勢されているので、昇降体20Aとともに、上下方向の位置決めがされる。
その状態では、図8に示すように、上下の昇降体20A,20Bの端部が当接する高さE1、上下の昇降体20B,20Cの端部が当接する高さE2、及び上下の昇降体20C,20Dの端部が当接する高さE3の何れの位置も、操作体18の操作片19の上面である水平面19Aの高さと一致している。
(下段の引出しの引手を引く操作)
電子錠6の解錠状態ULで下段の引出し5の引手P3を引いた場合も、中段の引出し4の引手P2を引いた場合と同様の動作でロックユニットAの被操作体Dが押し下げられる。
それにより、図7及び図8の動作説明図と同様に、上下の昇降体20A,20Bの端部が当接する高さE1、上下の昇降体20B,20Cの端部が当接する高さE2、及び上下の昇降体20C,20Dの端部が当接する高さE3の何れの位置も、操作体18の操作片19の上面である水平面19Aの高さと一致する。
<引出しを引き出す動作>
(上段の引出し)
図5及び図6の斜視図に示すように、電子錠6の解錠状態ULで上段の引出し3の引手P1を引き、さらに引出し3を引き出すと、図9Aの要部拡大横断面平面図及び図10の要部拡大斜視図に示すように、引出し3のストライカーS1の第1駆動部Jが、ロックユニットAにおける操作体18の第1被駆動部18Bを後方から押圧する。
それにより、図11の動作説明図に示すように、上下の昇降体20A,20Bの端部が当接する高さE1の位置が、操作体18の操作片19のである水平面19Aの高さと一致していることから、図9A及び図10の操作体18は、上下の昇降体20A,20Bが当接している位置E1から操作片19が上下の昇降体20A,20Bの間に入るように回動できるので、図9Aの開方向T1へ引出し3を引き出すことができる。
引出し3を引き出して、図9Bの要部拡大横断面平面図に示すように、引出し3のストライカーS1により操作体18が回動すると、図11の動作説明図のように操作片19の傾斜面19Bにより、昇降体20Bが押し下げられるので、昇降体20C,20Dも下降する。
それにより、図11の動作説明図に示すように、上下の昇降体20B,20Cの端部が当接する高さE2の位置、及び上下の昇降体20C,20Dの端部が当接する高さE3の位置は、操作体18の操作片19の上面である水平面19Aの高さから下方へずれている。
よって、上段の引出し3を引き出した状態では、中段の引出し4又は下段の引出し5を引き出すことはできない。
(中段の引出し)
電子錠6の解錠状態ULで中段の引出し4の引手P2を引き、さらに引出し4を引き出すと、上段の引出し3を引き出す動作と同様に動作する。すなわち、図12の動作説明図に示すように、上下の昇降体20B,20Cの端部が当接する高さE2の位置が、操作体18の操作片19の上面である水平面19Aの高さと一致していることから、操作体18は、上下の昇降体20B,20Cが当接している位置E2から操作片19が上下の昇降体20B,20Cの間に入るように回動できるので、図9Aの開方向T1へ引出し4を引き出すことができる。
このように中段の引出し4を引き出した状態では、図12の動作説明図に示すように、上下の昇降体20C,20Dの端部が当接する高さE3位置が、操作体18の操作片19の上面である水平面19Aの高さから下方へずれているので、下段の引出し5を引き出すことはできない。
ここで、上段の引出し3については、上下の昇降体20A,20Bの端部が当接する高さE1の位置は、操作体18の操作片19の上面19Aの高さと一致している。
しかし、上下の昇降体20B,20Cの間に中段の引出し4に対応する操作体18の操作片19が入っていることから、昇降体20Bは下降できない。
したがって、上段の引出し3に対応する操作体18は、上下の昇降体20A,20Bが当接している位置E1から操作片19が上下の昇降体20A,20Bの間に入るように回動できないので、上段の引出し3を引き出すことができない。
よって、中段の引出し4を引き出した状態では、下段の引出し5又は上段の引出し3を引き出すことはできない。
(下段の引出し)
電子錠6の解錠状態ULで下段の引出し5の引手P3を引き、さらに引出し5を引き出すと、上段の引出し3を引き出す動作及び中段の引出し4を引き出す動作と同様に動作する。すなわち、上下の昇降体20C,20Dの端部が当接する高さE3の位置が、操作体18の操作片19の上面である水平面19Aの高さと一致していることから、操作体18は、上下の昇降体20B,20Cが当接している位置E3から操作片19が上下の昇降体20B,20Cの間に入るように回動できるので、図9Aの開方向T1へ引出し5を引き出すことができる。
このように下段の引出し5を引き出した状態では、上下の昇降体20C,20Dの間に下段の引出し5に対応する操作体18の操作片19が入っていることから、昇降体20B,20Cは下降できない。
したがって、上段の引出し3に対応する操作体18は、上下の昇降体20A,20Bが当接している位置E1から操作片19が上下の昇降体20A,20Bの間に入るように回動できないとともに、中段の引出し4に対応する操作体18は、上下の昇降体20B,20Cが当接している位置E2から操作片19が上下の昇降体20B,20Cの間に入るように回動できない。
よって、下段の引出し5を引き出した状態では、上段の引出し3又は中段の引出し4を引き出すことはできない。
以上のとおり、上下複数段の引出し3ないし5のうちの一つの引出しを引き出した状態では、残りの引出しを引き出すことができないので、キャビネット1は二重引き出し防止機能を有する。
引出し3ないし5を引き出し、引き出した引出しの回動部材13が第1揺動アーム11の前端部11Aから離間するように前方へ移動すると、第1揺動アーム11、上下スライド体S、及び第2揺動アーム12は、図4に示す元の位置に復帰する。
すなわち、第1揺動アーム11及び上下スライド体Sは、上下スライド体Sの自重により、前記元の位置に復帰する。そして、第2揺動アーム12は、第2揺動アーム12自体の自重により、又は圧縮コイルばね24により上方へ弾性付勢されている被操作体Dにより、前記元の位置に復帰する。
<引出しを押し込む動作>
図9Bの要部拡大横断面平面図に示すように、引出し3ないし5を引き出した状態から、引出し3ないし5をキャビネット本体2に収容するように閉方向T2へ押し込むと、引出し3ないし5のストライカーS1ないしS3の第2駆動部Kが、ロックユニットAにおける操作体18の第2被駆動部18Cを前方から押圧する。
それにより、上下の昇降体20A,20B、上下の昇降体20B,20C、又は上下の昇降体20C,20Dの間に入っていた操作片19が上下の昇降体20A,20B、上下の昇降体20B,20C、又は上下の昇降体20C,20Dの間から抜けるように操作体18は回動し、操作体18は図9Aの位置へ復帰する。
<施解錠機構>
図15の部分分解斜視図に示すロックユニットA及び連動機構B等の上部の構成部品は、図13の要部拡大斜視図に示すように組み付けられる。
図13の要部拡大斜視図に示す電子錠6の施錠状態Lでは、施錠状態Lで作動する規制部材6Aが、第1揺動アーム11の前端部11Aの下方に位置する。
このように、連動機構Bを構成する部材である第1揺動アーム11の作動軌跡内に規制部材6Aが突出していることから、第1揺動アーム11の作動が規制される。
よって、電子錠6の施錠状態Lでは、前述のとおり連動機構Bは作動しない。
図14の要部拡大斜視図に示す電子錠6の解錠状態ULでは、図13中の矢印Uである規制部材6Aの解除動作方向(左方)へ規制部材6Aが後退しており、第1揺動アーム11の作動軌跡内から規制部材6Aが外れている。
よって、この状態で、引手P1ないしP3の何れかを引くと、操作杆Q1ないしQ3が回動し、それにより回動部材13が回動して第1揺動アーム11を揺動させるので、前述のとおり連動機構Bが作動する。
ここで、電子錠6を施錠状態Lから解錠状態ULにするべく解錠操作すると、予め定めた所定時間(例えば2ないし3秒程度)だけ規制部材6Aは後退する。このような解錠操作をした短時間のみ解錠状態ULであり、解錠操作をしない限り施錠状態Lであるので、省エネルギー化を図ることができる。
なお、前記所定時間は、使い勝手、セキュリティ性、及び電池の消耗(電池交換サイクル)等を考慮して定める。
また、電子錠6の異常や電池切れの際には、別途備えた非常解錠手段にて解錠する。
前述のとおり、電子錠6の規制部材6Aは、解錠状態ULにおける前記所定期間のみ後退し、前記所定時間が過ぎれば元に戻る。したがって、そのタイミングによっては、第1揺動アーム11の前端部11Aの上方に規制部材6Aが戻ってしまい、施錠不良が引き起こされる虞がある。
このような不具合を解消するため、第1揺動アーム11の前端部11Aに、図11及び図12、並びに図13ないし図15に示すように、回動部材13と当接する部分よりも上方へ突出するガード部Xを設けている。すなわち、回動部材13により第1揺動アーム11の前端部11Aが押し下げられた状態で規制部材6Aが戻っても、規制部材6Aにガード部Xに当接するので、第1揺動アームの前端部11Aの上方に規制部材6Aが入り込むことがない。第1揺動アーム11の前端部11Aが上方へ回動した状態に戻れば、規制部材6Aは、第1揺動アーム11の上端部11Aの下側に位置するよう復帰し、施錠状態Lになる。
このような施解錠装置によれば、連動機構Bを構成する部材の一つである第1揺動アーム11の作動方向である上下方向に直交する左右方向へ電子錠6の規制部材6Aを作動させることから、軽い力で施錠できるので、電池式でアクチュエータの作動力が弱い電子錠6であっても、安定かつ確実な動作が可能になる。
なお、規制部材6Aが作動する方向は左右方向でなくてもよく、前後方向や水平斜め方向等であってもよい
また、錠が、電子錠6ではなく、シリンダ錠やダイヤル錠等の機械錠である場合であっても、規制部材6Aであるデッドボルト等で作動部材を直接押さえることがないため、軽い力で施解錠操作が可能となる。
<クラッチ機構>
図1の斜視図に示すように、キャビネット1の引出しP1ないしP3は、クラッチ機構C1ないしC3を備える。
図16の要部拡大斜視図、及び図17の分解斜視図に示すように、第1クラッチ体31、第2クラッチ体32、及び圧縮コイルばね33が、クラッチ機構C1ないしC3を構成する。
第1クラッチ体31は、引手P1ないしP3と一体成形され、左右方向の丸孔35を有し、第2クラッチ体32は、角軸である操作杆Q1ないしQ3が嵌入される、左右方向の角孔を有する。
角軸である操作杆Q1ないしQ3を、引出し3ないし5の前板F(図13及び図14)のブラケット30の丸孔30A、並びに引手P1ないしP3及び第1クラッチ体31の丸孔35に挿通し、第2クラッチ体32の角孔に嵌入し、圧縮コイルばね33のコイル内を通して前板F(図13及び図14)のブラケット30の丸孔30Aに挿通する。
このようにして図16の要部拡大斜視図のように組み付けた状態では、第1クラッチ体31の傾斜面31Aと第2クラッチ体32の傾斜面32Aが当接しており、傾斜面31A及び32A同士を圧接するように、圧縮コイルばね33の復元力を付与している。
図1の斜視図に示す電子錠6の施錠状態Lでは、前述のとおり第1揺動アーム11の作動が規制されるので、回動部材13(図2)の回動も規制される。
それにより、施錠状態Lでは、操作杆Q1ないしQ3、及び操作杆Q1ないしQ3が嵌入している第2クラッチ体32も回動できない。
この状態で、引手P1ないしP3を引く力が大きくクラッチ機構C1ないしC3の第1クラッチ体31に負荷されるトルクが大きい場合、回動する引手P1ないしP3の傾斜面31Aで傾斜面32Aが押圧され、第2クラッチ体32が圧縮コイルばね33の付勢力に抗して左方へ移動する。よって、第1クラッチ体31及び第1クラッチ体31と一体の引手P1ないしP3は空転し、クラッチ機構C1ないしC3は回転力の伝達を遮断する。
このようにクラッチ機構C1ないしC3は、連動機構Bを直接操作して連動機構Bを作動させる部材である回動部材13に所定値以上の回転力を伝達しないように動作するので、施錠状態Lで引手P1ないしP3を引く無理な操作力により連動機構B等の内部機構が破損することを防止できる。
なお、クラッチ機構C1ないしC3に替えて、連動機構Bを直接操作して連動機構Bを作動させる部材である回動部材13に所定値以上の回転力を伝達しないように動作する、例えばねじりコイルばね等の弾性部材を備えるように構成してもよい。
また、前記クラッチ機構又は前記弾性部材を備える位置は、図1のような引出し3ないし5の中央部に限定されるものではなく、引出し3ないし5の左右方向の端部であってもよい。
<本発明の実施の形態に係るキャビネットの作用効果>
ロックユニットAは、被操作体Dが操作されない状態では、引出し3ないし5を一括して施錠したオールロック状態になり、ロックユニットAは、錠6の解錠状態ULで引出し3ないし5の引手P1ないしP3を引く操作に連動する連動機構Bにより被操作体Dが操作された際には、前記オールロック状態を解除する。
ロックユニットAを備えたキャビネット1は、錠6の施錠状態Lとともに、錠6の解錠状態ULで引出し3ないし5の引手P1ないしP3を引かない状態でも、前記オールロック状態であるので、ロックユニットAは引出し3ないし5の飛び出し防止機能も有する。
このようにロックユニットAに、オールロック機能及び飛び出し防止機能を集約しており、別途ラッチ機構を設ける必要がないので、部品点数を削減できる。
その上、錠6の解錠状態ULで、かつ引出し3ないし5の引手P1ないしP3を引かない限り、オールロック状態であることから、被操作体Dの操作を不能にするために連動機構Bの連動を遮断するだけでロック可能であるので、簡易な施錠機構でオールロックが可能となる。
その上さらに、本実施の形態にようにロックユニットAにオールロック機能とともに二重引き出し防止機能を持たせることは容易であるので、ロックユニットAに、オールロック機能、二重引き出し防止機能、及び飛び出し防止機能を容易に集約できる。
その上、図1及び図2の斜視図を参照して説明すると、本実施の形態には、回動部材13を引出し3ないし5の左右何れか一方(右方)に配置するとともに、回動部材13の配置箇所に対応させて、第1揺動アーム11及び上下スライド体Sを、キャビネット本体2の左右の側部G,Gの何れか一方(右方)に備え、第2揺動アーム12及びロックユニットAは、キャビネット本体2の左右の側部G,Gの両方に備え、左右の第2揺動アーム12,12を連動杆Rで連結している。
よって、部品点数の増加を抑制しながら、錠6の施錠状態L、又は錠6の解錠状態ULで引出し3ないし5の引手P1ないしP3を引かない状態において、キャビネット本体2の左右両側で、上下複数段の引出し3ないし5のオールロック状態を保持できるので、施錠の信頼性をより一層向上できる。
以上の実施の形態の記載はすべて例示であり、これに制限されるものではない。本発明の範囲から逸脱することなく種々の改良及び変更を施すことができる。
例えば、以上の実施形態においては、引手P1ないしP3の回動に連動して回動する回動部材13が第1揺動アーム11の前端部11Aを押し下げる構成であるが、引手P1ないしP3を回動方式でなく、前後方向に操作して操作杆Q1ないしQ3の回動に変換する方式を採用したり、回動部材13で直接第1揺動アーム11の前端部11Aを押し下げる方式ではなく、操作杆Q1ないしQ3の回動を上下動に変換し、第1揺動アーム11の前端部11Aを押し下げる方式を採用してもよい。あるいは、第1揺動アーム11や第2揺動アーム11についても、同様に回動を上下動に変換するような構成を採用することも可能である。
また、回動部材13と第1揺動アーム11の前端部11Aに係合手段を設け、解錠時に引手P1ないしP3を引いた状態では前記係合手段の係合を解除し、その他の状態では前記係合手段を係合するようにしてもよい。前記係合手段を設けることにより、回動部材13と第1揺動アーム11によりラッチ機能を持たせることが可能である。
さらに、本発明のキャビネットは、ラッチ装置を備えない構成に限定されるものではなく、要求仕様等に応じて、本発明の構成に付加して、引出しの左右の一方又は両方にラッチ装置を設けてもよい。
1 キャビネット 2 キャビネット本体
3,4,5 引出し 6 電子錠
6A 規制部材 7,8 側板
9 天板 10 背板
11 第1揺動アーム 11A 前端部
11B 後端部 11C 中間部
12 第2揺動アーム 12A 前端部
12B 後端部 12C 中間部
13 回動部材 14 回動支持部材
15 ねじりコイルばね 16 支持枠体
16A 開口部 16B,16C 係合孔
17 ガイド体 17A 通孔
17B 軸受け溝 17C 弾性係合片
18 操作体 18A 軸部
18B 第1被駆動部 18C 第2被駆動部
19 操作片 19A 水平面
19B 傾斜面 20A,20B,20C,20D 昇降体
21 上部支持体 21A 通孔
21B,21C 弾性係合片 21D,21E U溝
22 下部支持体 22A 凸部
22B,22C 弾性係合片 23 ばね受け部材
24 圧縮コイルばね 25,26,27,28 当接片
29,30 ブラケット 29A,30A 丸孔
31 第1クラッチ体 31A 傾斜面
32 第2クラッチ体 32A 傾斜面
32B 角孔 33,34 圧縮コイルばね
35 丸孔
A ロックユニット B 連動機構
C1,C2,C3 クラッチ機構 D 被操作体
E1,E2,E3 上下の昇降体の端部が当接する高さ
F 前板 G 側部
H1,H2,H3 鏡板 I ばね支持部
J 第1駆動部 K 第2駆動部
L 錠の施錠状態 M 支軸
N 認証部 O 突片
P1,P2,P3 引手 Q1,Q2,Q3 操作杆
R 連動杆 S 上下スライド体
S1,S2,S3 ストライカー T1 開方向
T2 閉方向 U 規制部材の解除動作方向
UL 錠の解錠状態 V 外嵌部材
W 鍔部 X ガード部

Claims (7)

  1. キャビネット本体と、前記キャビネット本体に収容される上下複数段の引出しと、前記引出しの一つに設けた錠とを備えた、前記引出しを一括して施解錠するオールロック機能、及び前記引出しの飛び出しを防止する飛び出し防止機能を有するキャビネットであって、
    前記オールロック機能を有するロックユニットを備え、
    前記ロックユニットは、
    その被操作体が操作されない状態では、前記引出しを一括して施錠したオールロック状態になり、
    前記被操作体が操作された際には、前記オールロック状態を解除するものであり、
    前記錠の施錠状態では、
    前記ロックユニットは前記オールロック状態になり、
    前記錠の解錠状態で前記上下複数段の引出しの引手を引かない状態では、
    前記オールロック状態が継続することにより前記引出しの飛び出しを防止し、
    前記錠の解錠状態で前記上下複数段の引出しの何れか1つの引出しの引手を引いた状態では、
    当該引手を引く操作に連動する連動機構により前記ロックユニットの前記被操作体が操作され、それにより前記オールロック状態が解除されて当該引出しを引き出すことができる、
    キャビネット。
  2. 前記ロックユニットは、前記引出しの二重引出しを防止する二重引き出し防止機能を有し、
    前記錠の解錠状態で前記上下複数段の引出しの何れか1つの引出しの引手を引いた状態では、
    当該引手を引く操作に連動する連動機構により前記ロックユニットの前記被操作体が操作され、それにより前記オールロック状態が解除されて当該引出しを引き出すことができ、
    当該引出し以外の引出しは、前記ロックユニットが二重引出しを防止するので引き出すことができない、
    請求項1記載のキャビネット。
  3. 前記錠の施錠状態で作動する規制部材が、前記錠の施錠状態で、
    前記連動機構を構成する部材のうちの、何れかの部材の作動軌跡内に突出することにより、当該部材の作動を規制する、
    請求項1又は2に記載のキャビネット。
  4. 前記引手の回動に連動して回動する回動部材を前記引出しの前板の裏側から突出させ、
    前記錠の解錠状態では、前記回動部材の回動動作により前記連動機構が作動する、
    請求項1〜3の何れか1項に記載のキャビネット。
  5. 前記連動機構は、
    前記上下複数段の引出しの各引出し毎に設けた、前記キャビネット本体の側部により中間部を支持されて上下方向へ揺動可能な前後方向に長いシーソー状の第1揺動アームと、
    前記第1揺動アームの後端部が係合し、前記キャビネット本体の側部により上下方向へスライド可能に支持された上下スライド体と、
    前記上下スライド体のスライド動作により揺動する、前記キャビネット本体の側部により中間部を支持されて上下方向へ揺動可能な前後方向に長いシーソー状の第2揺動アームとを含み、
    前記錠の施錠状態では、前記第1揺動アームの揺動を規制し、
    前記錠の解錠状態で前記上下複数段の引出しの何れか1つの引出しの引手を引くと、
    当該引出しに対応する前記第1揺動アームが揺動し、
    それにより前記上下スライド体が上下方向へスライドし、
    それにより前記第2揺動アームが揺動し、
    それにより前記ロックユニットの前記被操作体が操作される、
    請求項1〜4の何れか1項に記載のキャビネット。
  6. 前記引手の回動に連動して回動する回動部材を、前記引出しの前板の裏側から突出させ、
    前記錠の解錠状態では、前記回動部材の回動動作により前記連動機構が作動し、
    前記回動部材を前記引出しの左右何れか一方に配置するとともに、
    前記回動部材の配置箇所に対応させて、前記第1揺動アーム及び前記上下スライド体を、前記キャビネット本体の左右の側部の何れか一方に備え、
    前記第2揺動アーム及び前記ロックユニットは、前記キャビネット本体の左右の側部の両方に備え、
    左右の前記第2揺動アームを連動杆で連結する、
    請求項5記載のキャビネット。
  7. 前記錠の施錠状態で前記引手を引く操作を行っても、前記連動機構を直接操作して前記連動機構を作動させる部材に所定値以上の回転力を伝達しないように動作するクラッチ機構又は弾性部材を備えてなる、
    請求項1〜6の何れか1項に記載のキャビネット。
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