JP2019117845A - リソグラフィ装置及び物品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】基板の周囲の空間に供給するガスに含まれるパーティクルを低減するのに有利なリソグラフィ装置を提供する。【解決手段】基板にパターンを形成するリソグラフィ装置であって、前記基板の周囲の空間にガスを供給するノズルと、前記ガスに含まれるパーティクルを除去するためのフィルタと、前記ノズル及び前記フィルタに接続して前記フィルタから前記ノズルに前記ガスを移送するための経路を形成するチューブと、前記チューブに設けられた電極と、前記電極に電圧を印加する印加部と、を有し、前記チューブは、少なくとも一部に絶縁性の部分を含み、前記電極は、前記絶縁性の部分の外側に設けられていることを特徴とするリソグラフィ装置を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、リソグラフィ装置及び物品の製造方法に関する。
インプリント技術は、ナノスケールの微細パターンの転写を可能にする技術であり、半導体デバイスや磁気記憶媒体の量産用ナノリソグラフィ技術の1つとして注目されている。インプリント技術を用いたインプリント装置では、微細な凹凸パターンが形成されたモールド(原版)を基板上のインプリント材に接触させる(押し付ける)。そして、モールドと基板上のインプリント材とを接触させた状態でインプリント材を硬化させてからモールドを引き離すことで、基板上にパターンを形成する。
インプリント装置では、パターンを形成するために、モールドをインプリント材に接触させたり、モールドをインプリント材から引き離したりすることが必要となるため、モールドの寿命が大きな課題となっている。モールドの寿命を左右する大きな要因の1つは、インプリント装置内で発生するパーティクルである。インプリント装置内で発生するパーティクルとしては、ステージや搬送ロボットなどの各種アクチュエータの動作による摺動や摩擦に起因するパーティクルや局所パージに用いるガスに含まれるパーティクルが考えられる。このようなパーティクルは基板の表面やモールドのパターン面に付着するため、その状態でモールドを基板上のインプリント材に接触させると、モールドのパターンが破損したり、基板上に形成されるパターンに不良が発生したりする。
モールドへのパーティクルの付着のメカニズムの1つとして、基板上のインプリント材からモールドを引き離すことによってモールドの表面が帯電(剥離帯電)し、モールドの近傍の部材の表面に付着しているパーティクルを引き付けるという現象がある。例えば、基板を保持する基板ステージには、各種センサや各種マークが配置され、更に、気流を制御するための平板部材が基板の周囲を取り囲むように配置されている。インプリント装置内で発生するパーティクルは、これらの表面に付着して蓄積されていく。モールドと基板ステージとは常に近接しており、帯電したモールドは、基板ステージとの間に強い電界を発生させるため、かかる電界によって、基板ステージに弱く付着しているパーティクルがモールドに引き付けられて付着してしまう。
そこで、モールドへのパーティクルの付着を低減するための技術が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1では、モールドの周囲を取り囲むように、ガスを供給するノズルを3列で配置している。そして、最外周のノズルから供給するガスで周囲環境からのパーティクルの進入を防止しながら、最内周のノズルから供給するガスでモールドと基板との間の空間を充填(パージ)する。なお、最外周のノズルと最内周のノズルとの間のノズルから供給されるガスは、それらの機能を補助する機能を有する。
特開2014−56854号公報
しかしながら、周囲環境からのパーティクルの進入を防止するためのガスやモールドと基板との間の空間を充填するためのガスにもパーティクルが含まれている。特許文献1では、ガスに含まれているパーティクルを除去するためにフィルタを用いているが、かかるフィルタからも僅かにパーティクルが発生する。また、ガス供給源とノズルとを繋ぐ配管もパーティクルの発生源となる。従って、ノズルから供給されるガスとともに、パーティクルがモールドと基板との間の空間に進入して、モールドや平板部材に付着してしまう可能性がある。
本発明は、このような従来技術の課題に鑑みてなされ、基板の周囲の空間に供給するガスに含まれるパーティクルを低減するのに有利なリソグラフィ装置を提供することを例示的目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一側面としてのリソグラフィ装置は、基板にパターンを形成するリソグラフィ装置であって、前記基板の周囲の空間にガスを供給するノズルと、前記ガスに含まれるパーティクルを除去するためのフィルタと、前記ノズル及び前記フィルタに接続して前記フィルタから前記ノズルに前記ガスを移送するための経路を形成するチューブと、前記チューブに設けられた電極と、前記電極に電圧を印加する印加部と、を有し、前記チューブは、少なくとも一部に絶縁性の部分を含み、前記電極は、前記絶縁性の部分の外側に設けられていることを特徴とする。
本発明の更なる目的又はその他の側面は、以下、添付図面を参照して説明される好ましい実施形態によって明らかにされるであろう。
本発明によれば、例えば、基板の周囲の空間に供給するガスに含まれるパーティクルを低減するのに有利なリソグラフィ装置を提供することができる。
本発明の一側面としてのインプリント装置の構成を示す概略図である。 モールドの構成を示す概略図である。 第1実施形態における電極の構成を説明するための図である。 電極に印加する電圧の一例を示す図である。 パーティクルがチューブの内壁に付着する様子を説明するための図である。 導電性を有する金属管を用いた場合におけるパーティクルの様子を説明するための図である。 第2実施形態における電極の構成を説明するための図である。 電極に印加する電圧の一例を示す図である。 第3実施形態における電極の構成を説明するための図である。 第4実施形態における電極の構成を説明するための図である。 チューブの内壁に付着したパーティクルの除去方法を説明するための図である。 物品の製造方法を説明するための図である。 従来のインプリント装置におけるモールドへのパーティクルの付着のメカニズムを説明するための図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。なお、各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の一側面としてのインプリント装置1の構成を示す概略図である。インプリント装置1は、半導体デバイスや液晶表示素子の製造工程であるリソグラフィ工程に採用され、基板にパターンを形成するリソグラフィ装置である。インプリント装置1は、モールドを用いて基板上にインプリント材のパターンを形成する。本実施形態では、インプリント装置1は、基板上に供給されたインプリント材とモールドとを接触させ、インプリント材に硬化用のエネルギーを与えることにより、モールドの凹凸パターンが転写された硬化物のパターンを形成する。
インプリント材には、硬化用のエネルギーが与えられることによって硬化する硬化性組成物(未硬化状態の樹脂と呼ぶこともある)が用いられる。硬化用のエネルギーとしては、電磁波、熱などが用いられる。電磁波としては、例えば、その波長が10nm以上1mm以下の範囲から選択される、赤外線、可視光線、紫外線などの光を用いる。
硬化性組成物は、光の照射によって、或いは、加熱によって硬化する組成物である。光の照射によって硬化する光硬化性組成物は、重合性化合物と光重合開始剤とを少なくとも含有し、必要に応じて、非重合性化合物又は溶剤を含有してもよい。非重合性化合物は、増感剤、水素供与体、内添型離型剤、界面活性剤、酸化防止剤、ポリマー成分などの群から選択される少なくとも一種である。
インプリント材は、スピンコーターやスリットコーターによって基板上に膜状に付与されてもよい。また、インプリント材は、液体噴射ヘッドによって、液滴状、或いは、複数の液滴が繋がって形成された島状又は膜状で基板上に付与されてもよい。インプリント材の粘度(25℃における粘度)は、例えば、1mPa・s以上100mPa・s以下である。
基板には、ガラス、セラミックス、金属、半導体、樹脂などが用いられ、必要に応じて、その表面に基板とは別の材料からなる部材が形成されていてもよい。具体的には、基板は、シリコンウエハ、化合物半導体ウエハ、石英ガラスなどを含む。
インプリント装置1は、モールドチャック101と、基板チャック106と、同面板107と、主制御部108と、硬化制御部109と、硬化部110と、電荷制御部111と、電荷供給部112と、位置制御部114と、基板ステージ115とを有する。また、インプリント装置1は、ノズル300と、チューブ304と、電極305と、フィルタ306とを有する。なお、図1では、互いに直交する3軸方向に、X軸、Y軸及びZ軸を定義している。
図1に示すように、モールド102と基板105とは、インプリント材104を挟んで対向するように配置される。モールド102は、モールドチャック101に保持(固定)され、基板105は、基板チャック106に保持(固定)される。
モールド102には、基板上のインプリント材104に転写するためのパターンが設けられている。モールド102の材質としては、金属、Si、各種樹脂、各種セラミックなどを用いることができる。特に、インプリント材104が光硬化性のインプリト材である場合には、モールド102の材質として、石英、サファイア、透明樹脂などの光透過性の材質が用いられる。
図2(a)及び図2(b)は、モールド102の構成を示す概略図であって、図2(a)は、モールド102をY軸の負から正の方向に見た図であり、図2(b)は、モールド102をZ軸の正から負の方向に見た図である。図2(a)及び図2(b)を参照するに、モールド102の基板105と対向する面(表面)のうち、基板上のインプリント材104と接する部分であるメサ(インプリント領域)103は、周辺部分に対して凸となる構造を有する。メサ103は、表面張力によって、基板上の硬化前のインプリント材104がメサ103からはみ出すことを防止するため、硬化後のインプリント材104の形状を高精度に規定することが可能となる。
インプリント材104は、モールド102への充填時には流動性を有し、モールド102の離型時には固体である(形状を維持する)ことが求められる。従って、インプリント材104には、上述したように、光硬化性のインプリント材、熱硬化性のインプリント材、熱可塑性のインプリント材が用いられる。特に、光硬化性のインプリント材は、半導体製造及びその関連分野において好適に用いられる。これは、硬化プロセスにおいて温度変化を必要とせず、インプリント装置1の各部材の熱膨張や収縮によるパターンの位置及び形状の変化を防止するとともに、硬化プロセスの制御が容易であるからである。
インプリント材104は、インプリント装置1の外部において、上述したように、スピンコート法、スリットコート法、スクリーン印刷法などを用いて、基板上に予め供給(塗布)されてもよい。また、インプリント材104は、インプリント装置1の内部において、空圧式、機械式、インクジェット式などのディスペンサを用いて、基板上に供給されてもよい。ディスペンサを用いる場合には、モールド102のパターンの粗密に応じてインプリント材104の供給量を局所的に調整することができるため、基板上のインプリント材104の膜厚を高精度に制御することが可能となる。また、ディスペンサを用いる場合には、揮発性の高い低粘度のインプリント材104を選択することができるため、モールド102への充填時間を短縮することが可能となる。従って、高精度、且つ、高スループットが要求される半導体製造及びその関連分野においては、ディスペンサが好適に用いられる。
基板105には、上述したように、加工後の用途(利用法)に合致する材質が選択される。具体的には、半導体回路としての用途であれば、シリコンウエハが選択され、光学素子としての用途であれば、石英、光学ガラス、透明樹脂などが選択され、発光素子としての用途であれば、GaNやSiCが選択される。
硬化部110は、インプリント材104の材質に応じて、インプリント材104を硬化可能に構成される。具体的には、インプリント材104が光硬化性のインプリト材であれば、硬化部110には、光照射機構が用いられ、特に、紫外線領域の波長を有する光(UV光)を照射する光照射機構が一般的に用いられる。また、インプリント材104が熱硬化性のインプリント材であれば、硬化部110には、加熱機構が用いられる。更に、インプリント材104が熱可塑性のインプリント材であれば、硬化部110には、冷却機構、及び、モールド102への充填時にインプリント材を軟化させるための加熱機構が用いられる。チラーやペルチェ素子などの能動的な冷却機構は、インプリント処理に要する時間を短縮するために好適であるが、自然放熱などの受動的な冷却機構であってもよい。
硬化制御部109は、主制御部108の制御下において、硬化部110を制御する。硬化制御部109は、硬化部110を介して、所定のタイミングにおいて、モールド102と基板上のインプリント材104とを接触させた状態でインプリント材104を硬化させる。
基板ステージ115は、基板チャック106を介して基板105を保持して移動する。基板チャック106の周囲には、同面板107が設けられている。同面板107は、その表面と、基板チャック106に保持された基板105の表面(モールド102に対向する面)とがほぼ同一面になるように構成されている。このような構成は、例えば、半導体露光装置などのように基板105を高速で移動させる装置において、基板105の周囲の空間の気流を安定させるために広く用いられている。
位置制御部114は、主制御部108の制御下において、基板ステージ115を制御する。位置制御部114は、基板ステージ115を介して、モールド102と基板105との相対位置を制御(調整)する。
ノズル300は、基板105の周囲の空間にガス303を供給する。例えば、ノズル300は、モールド102と基板105との間の空間SP1に、空間SP1をパージするためのガス303を供給する。また、ノズル300は、モールドと基板105との間の空間SP1に隣接する空間SP2に、空間SP1と空間SP2とを分離するためのガス(エアカーテンを形成するためのガス)303を供給してもよい。
フィルタ306は、ノズル300から供給されるガス303の流れの上流側に、ノズル300から離間して配置される。フィルタ306は、ノズル300から供給するガス303に含まれるパーティクルを除去する(捕集する)ガスフィルタである。
ここで、図13(a)乃至図13(c)を参照して、従来のインプリント装置におけるモールド102へのパーティクルの付着のメカニズムを説明する。具体的には、基板上のインプリント材104からモールド102を引き離すことによってモールド102の表面が帯電(剥離帯電)し、モールド102の近傍の部材の表面に付着しているパーティクルを引き付けるという現象について説明する。
図13(a)は、基板上の硬化したインプリント材104からモールド102を引き離した状態を示している。図13(a)に示すように、モールド102、詳細には、基板上のインプリント材104と接触していたメサ103は、剥離帯電に起因して電荷を帯びている(帯電している)。ここでは、メサ103に帯電する電荷の極性を負とし、図中では−(マイナス)の記号で示す。
メサ103が帯電した状態で、図13(b)に示すように、モールド102が同面板107と対向すると、同面板107に蓄積されたパーティクルPTがメサ103の電荷に静電気力で引き付けられてメサ103に付着する。パーティクルPTは、ノズル300から供給されるガス303にも含まれているし、周囲環境にも浮遊している。
パーティクルPTがメサ103に付着した状態で、図13(c)に示すように、次のインプリント処理を行うと、パーティクルPTがメサ103(モールド102)と基板上のインプリント材104との間に挟まってパターンの不良となる。また、モールド102が破損する場合もあり、このような場合には、モールド102を交換しない限り、以降のインプリント処理でパターンの不良が繰り返し発生することになる。
そこで、本実施形態では、図1に示すように、ノズル300から、チューブ304、電極305及び電荷供給部112からなる帯電フィルタ機構を通過した清浄なガス303を供給する。チューブ304は、ノズル300及びフィルタ306に接続してフィルタ306からノズル300にガス303を移送するための経路を形成する。チューブ304は、少なくとも一部に絶縁性の部分を含み、かかる絶縁性の部分は、例えば、樹脂(樹脂チューブ)からなる。なお、チューブ304は、フィルタ306からノズル300までの全ての経路を絶縁性としてもよい。電極305は、チューブ304に設けられ、具体的には、チューブ304の絶縁性の部分の外側に設けられている。電荷供給部112は、チューブ304に設けられた電極305に電圧を印加する印加部として機能する。
電荷制御部111は、主制御部108の制御下において、電荷供給部112を制御する。電荷制御部111は、電荷供給部112を介して、チューブ304に設けられた電極305に供給する電荷の量を制御(調整)する。電荷供給部112は、本実施形態では、電極305に電圧を印加する電圧源を含むが、電極305に電荷を供給可能な方式を適宜選択可能である。
主制御部108は、硬化制御部109、電荷制御部111、位置制御部114などを介して、インプリント装置1の全体(動作)を制御する。主制御部108は、インプリント装置1の各部を制御して、インプリント処理を行う。
インプリント装置1の構成は、上述した機能を満たせば、図1、図2(a)及び図2(b)に示す構成に限定されるものではない。例えば、基板105を移動させるのではなく、モールド102を移動させる構成としてもよいし、基板105及びモールド102の両方を移動させる構成としてもよい。また、硬化部110は、モールド102の側ではなく、基板105の側に配置してもよい。インプリント材104が光硬化性のインプリント材料である場合、モールド102の材料をSiなどの不透明な材料とし、基板105の材料を石英などの透明な材料とすると、硬化部110を基板105の側に配置しなければならない。
<第1実施形態>
図3(a)及び図3(b)を参照して、チューブ304の絶縁性の部分の外側に配置する電極305の構成について具体的に説明する。図3(a)は、ガス303の流れ方向に平行な面におけるチューブ304の断面を示す図である。図3(b)は、図3(a)に示す破線におけるチューブ304の断面を示す図である。チューブ304は、図3(b)に示すように、円形の断面形状を有する。図3(a)及び図3(b)に示すように、電極305は、本実施形態では、チューブ304の絶縁性の部分の外側の全周を取り囲むように設けられた1つの電極を含む。電極305は、チューブ304に金属を蒸着させることで形成することが可能である。また、チューブ304に対して、シート状の電極305を接着剤などで貼り付けてもよい。
電極305は、配線(不図示)を介して電荷供給部112に接続されている。電荷供給部112は、電極305に電圧を印加して、図4に示すような電圧(−V)で電極305を帯電させる。図4では、縦軸が電圧値を示し、横軸が時間を示している。このように電極305を帯電させることで発生する電界(静電気力)によって、チューブ304の内部に存在するガス303に含まれるパーティクルを引き寄せて、チューブ304の内壁(絶縁性の部分)に付着させることができる。なお、電極305に印加する電圧値は、数十ボルトから数百ボルトであるため、絶縁膜などの絶縁部材(不図示)で電極305の外側を覆うとよい。また、電荷供給部112から電極305に印加する電圧は、正の電圧(+V)であってもよい。
図5(a)及び図5(b)を参照して、電極305を帯電させることで、チューブ304の内部に存在するガス303に含まれるパーティクルPTがチューブ304の内壁に付着する様子を具体的に説明する。ここでは、パーティクルPTが正に帯電している場合を例に説明する。図5(a)に示すように、ガス303に乗って流れる正に帯電したパーティクルPTは、帯電した電極305で発生する静電気力によって、チューブ304の内壁に引き寄せられる。そして、チューブ304の内壁に引き寄せられたパーティクルPTは、図5(b)に示すように、電極305との間に働く静電気力によって、チューブ304の内壁に付着する。チューブ304の内壁は絶縁性の部分であるため、電子の移動は制限される。従って、パーティクルPTが絶縁性の物質であっても導電性の物質であっても、チューブ304の内壁に留まることになる。
一方、図6(a)乃至図6(c)を参照して、チューブ304の代わりに、導電性を有する金属管307を用いた場合について説明する。ここでは、金属管307に負の電圧を印加する場合を例に説明する。図6(a)に示すように、ガス303に乗って流れる正に帯電したパーティクルPTは、負の電圧が印加された金属管307で発生する静電気力によって、金属管307の内壁に引き寄せられて付着する。パーティクルPTが導電性の物質である場合、図6(b)に示すように、金属管307からパーティクルPTに電子が移動し、パーティクルPTは負の電圧に帯電する。負の電圧に帯電したパーティクルPTは、図6(c)に示すように、負の電圧が印加された金属管307と反発し、金属管307の内壁から離脱してしまう。このように、パーティクルPTが導電性の物質である場合には、金属管307の内壁にパーティクルPTを留めることができない。パーティクルPTは、絶縁性の物質でも導電性の物質でもあり得るため、絶縁性の部分を含むチューブ304を用いることが必要であることがわかる。図6(a)乃至図6(c)に示すように、金属管307を用いる場合には、その内壁に絶縁膜を形成することで、チューブ304と同様な効果を得ることができる。但し、内壁に絶縁膜が形成された金属管307を用いた場合、絶縁性の部分を含むチューブ304を用いた場合と比較して、パーティクルの発生が多くなるため、好適な構造ではない。
<第2実施形態>
図7(a)及び図7(b)は、第2実施形態における電極305の構成を示す図である。図7(a)は、ガス303の流れ方向に平行な面におけるチューブ304の断面を示す図である。図7(b)は、図7(a)に示す破線におけるチューブ304の断面を示す図である。図7(a)及び図7(b)に示すように、電極305は、本実施形態では、チューブ304の絶縁性の部分の外側を取り囲むように、互いに離間し、且つ、対向するように設けられた1対の電極305a及び305bを含む。1対の電極305a及び305bのそれぞれは、図7(b)に示すように、半円筒状の形状を有する。
電荷供給部112は、図8に示すように、電極305a及び305bのそれぞれに対して正負の電圧を印加する。図8では、縦軸が電圧値を示し、横軸が時間を示している。本実施形態では、電荷供給部112は、電極305aに負の電圧(−V)を印加し、電極305bに正の電圧(+V)を印加するが、電極305aに正の電圧(+V)を印加し、電極305bに負の電圧(−V)を印加してもよい。これにより、パーティクルPTが正負のどちらに帯電していたとしても、電極305a及び電極305bのいずれか一方によって、チューブ304の内壁に引き寄せて付着させることができる。
<第3実施形態>
図9(a)及び図9(b)は、第3実施形態における電極305の構成を示す図である。図9(a)は、ガス303の流れ方向に平行な面におけるチューブ304の断面を示す図である。図9(b)は、図9(a)に示す破線におけるチューブ304の断面を示す図である。図9(a)及び図9(b)に示すように、電極305は、本実施形態では、チューブ304の絶縁性の部分の外側の全周を取り囲むように、且つ、チューブ304が延在する方向に離間して設けられた複数の電極305c及び305dを含む。例えば、電極305dは、ガス303の流れの上流側に設けられ、電極305cは、ガス303の流れの下流側に設けられる。
電荷供給部112は、図8に示すように、電極305c及び305dのそれぞれに対して正負の電圧を印加する。本実施形態では、電荷供給部112は、電極305dに負の電圧(−V)を印加し、電極305cに正の電圧(+V)を印加するが、電極305dに正の電圧(+V)を印加し、電極305cに負の電圧(−V)を印加してもよい。これにより、パーティクルPTが正負のどちらに帯電していたとしても、電極305c及び電極305dのいずれか一方によって、チューブ304の内壁に引き寄せて付着させることができる。
<第4実施形態>
図10(a)及び図10(b)は、第4実施形態における電極305の構成を示す図である。図10(a)は、ガス303の流れ方向に平行な面におけるチューブ304の断面を示す図である。図10(b)は、図10(a)に示す破線におけるチューブ304の断面を示す図である。図10(a)及び図10(b)に示すように、電極305は、本実施形態では、チューブ304の絶縁性の部分の外側を取り囲むように、互いに離間し、且つ、対向するように設けられた1対の電極305a及び305bを含む。
また、本実施形態では、電極305a及び305bを覆うように絶縁部材(絶縁膜)308が設けられている。更に、本実施形態では、絶縁部材308を覆うようにシールド部材(シールド層)309が設けられている。シールド部材309は、電荷供給部112の基準電圧(GND)に接続している(即ち、接地されている)。シールド部材309は、電極305a及び305bから発生する電界をチューブ304の内部に留め、チューブ304の外側に漏れることを防止する機能を有する。
シールド部材309を設けていない場合、電極305a及び305bから発生する電界は、チューブ304の外側にも働くため、周囲環境に浮遊しているパーティクルを電極305a及び305bの外側に集めてしまう(集塵してしまう)。電極305a及び305bに堆積したパーティクルが剥がれ落ちたりすると、インプリント装置1の内部汚染にもつながる。従って、シールド部材309を設けて、電極305a及び305bの外側に働く集塵作用を抑えることが有効である。
なお、本実施形態では、図7(a)及び図7(b)に示す電極305a及び305b(第2実施形態)に対してシールド部材309を設ける場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図3(a)及び図3(b)に示す電極305(第1実施形態)や図9(a)及び図9(b)に示す電極305c及び305d(第3実施形態)に対してシールド部材309を設けた場合にも同様な効果を得ることができる。
以下、図11(a)乃至図11(d)を参照して、チューブ304の内壁に付着したパーティクルPTの除去方法について説明する。図11(a)乃至図11(d)では、縦軸が電圧値を示し、横軸が時間を示している。チューブ304の内壁に付着したパーティクルPTの除去は、インプリント処理を行っていない期間、即ち、基板105にパターンを形成していない期間(第2期間)に行われる。また、後で詳細に説明するように、チューブ304の内壁に付着したパーティクルPTを除去する際には、電極305に、基板105にパターンを形成している期間(第1期間)において印加した電圧とは逆の電圧を印加する。
チューブ304の内壁に付着したパーティクルPTは、電極305が発生する電界に引き寄せられているため、電極305に印加した電圧とは逆の電圧に帯電している。従って、チューブ304の内壁に付着したパーティクルPTは、ガス303に含まれるパーティクルPTを除去するために電極305に印加した電圧と逆の電圧を印加することで除去することができる。
図11(a)は、第1実施形態で説明した電極305(図3(a)及び図3(b))に対して、チューブ304の内壁に付着したパーティクルPTの除去するために印加する電圧を示している。第1実施形態では、ガス303に含まれるパーティクルPTを除去する際に、電極305に負の電圧(−V)を印加している。従って、チューブ304の内壁に付着したパーティクルPTを除去する際には、電極305に、図11(a)に示すような正の電圧(+V)を印加すればよい。また、図11(b)に示すように、電圧値を変化させながら電極305に正の電圧を印加してもよい。電極305に印加する電圧の変化が急峻である場合には、チューブ304の内壁に付着したパーティクルPTを効果的に除去することができる。従って、電圧値がのこぎり波状、矩形波状、三角波状又は正弦波状に変化するように、電極305に電圧を印加するとよい。また、チューブ304の内壁に付着したパーティクルPTを除去する際には、ガス303に含まれるパーティクルPTを除去する際に電極305に印加した電圧の絶対値よりも大きな電圧を電極305に印加してもよい。
図11(c)及び図11(d)は、それぞれ、第2実施形態で説明した電極305a及び305b(図7(a)及び図7(b))に対して、チューブ304の内壁に付着したパーティクルPTの除去するために印加する電圧を示している。第2実施形態では、ガス303に含まれるパーティクルPTを除去する際に、電極305aに負の電圧(−V)を印加し、電極305bに正の電圧(+V)を印加している。従って、チューブ304の内壁に付着したパーティクルPTを除去する際には、図11(c)や図11(d)に示すように、電極305aに正の電圧(+V)を印加し、電極305bに負の電圧(−V)を印加している。電極305a及び305bのそれぞれには、図11(c)に示すように、電圧値がのこぎり波状に変化する電圧を同時に印加してもよいし、図11(d)に示すように、のこぎり波の位相をずらして交互に電圧を印加してもよい。
チューブ304の内壁から除去されたパーティクルPTは、ガス303に乗って下流側に移動して、ノズル300から排出されることになる。但し、かかるパーティクルPTは、ノズル300に留まってしまう可能性もある。従って、チューブ304の内壁に付着したパーティクルPTを除去する際には、チューブ304を、ノズル300に代えて、チューブ304からのガス303をインプリント装置1の外部に排気する排気部(排気ライン)に接続するとよい。これにより、チューブ304の内壁から除去されたパーティクルPTをインプリント装置1の外部に排出することができる。
インプリント装置1を用いて形成した硬化物のパターンは、各種物品の少なくとも一部に恒久的に、或いは、各種物品を製造する際に一時的に、用いられる。物品とは、電気回路素子、光学素子、MEMS、記録素子、センサ、或いは、型などである。電気回路素子としては、DRAM、SRAM、フラッシュメモリ、MRAMなどの揮発性又は不揮発性の半導体メモリや、LSI、CCD、イメージセンサ、FPGAなどの半導体素子などが挙げられる。型としては、インプリント用のモールドなどが挙げられる。
硬化物のパターンは、上述の物品の少なくとも一部の構成部材として、そのまま用いられるか、或いは、レジストマスクとして一時的に用いられる。基板の加工工程においてエッチング又はイオン注入などが行われた後、レジストマスクは除去される。
次に、物品の具体的な製造方法について説明する。図12(a)に示すように、絶縁体などの被加工材が表面に形成されたシリコンウエハなどの基板105を用意し、続いて、インクジェット法などにより、被加工材の表面にインプリント材104を付与する。ここでは、複数の液滴状になったインプリント材104が基板上に付与された様子を示している。
図12(b)に示すように、インプリント用のモールド102を、その凹凸パターンが形成された側を基板上のインプリント材104に向け、対向させる。図12(c)に示すように、インプリント材104が付与された基板105とモールド102とを接触させ、圧力を加える。インプリント材104は、モールド102と被加工材との隙間に充填される。この状態で硬化用のエネルギーとして光をモールド102を介して照射すると、インプリント材104は硬化する。
図12(d)に示すように、インプリント材104を硬化させた後、モールド102と基板105を引き離すと、基板上にインプリント材104の硬化物のパターンが形成される。この硬化物のパターンは、モールド102の凹部が硬化物の凸部に、モールド102の凸部が硬化物の凹部に対応した形状になっており、即ち、インプリント材104にモールド102の凹凸パターンが転写されたことになる。
図12(e)に示すように、硬化物のパターンを耐エッチングマスクとしてエッチングを行うと、被加工材の表面のうち、硬化物がない、或いは、薄く残存した部分が除去され、溝となる。図12(f)に示すように、硬化物のパターンを除去すると、被加工材の表面に溝が形成された物品を得ることができる。ここでは、硬化物のパターンを除去したが、加工後も除去せずに、例えば、半導体素子などに含まれる層間絶縁用の膜、即ち、物品の構成部材として利用してもよい。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、本発明は、リソグラフィ装置をインプリント装置に限定するものではなく、露光装置や描画装置などのリソグラフィ装置にも適用することができる。ここで、露光装置は、マスク又はレチクル(原版)と投影光学系とを介して基板を露光することにより基板上にパターン(潜像パターン)を形成するリソグラフィ装置である。また、描画装置は、荷電粒子線(電子線)で基板に描画を行うことにより基板上にパターン(潜像パターン)を形成するリソグラフィ装置である。上述の各種物品の製造は、これらのリソグラフィ装置を用いて行ってもよい。
1:インプリント装置 105:基板 300:ノズル 306:フィルタ 304:チューブ 305:電極 112:電荷供給部

Claims (13)

  1. 基板にパターンを形成するリソグラフィ装置であって、
    前記基板の周囲の空間にガスを供給するノズルと、
    前記ガスに含まれるパーティクルを除去するためのフィルタと、
    前記ノズル及び前記フィルタに接続して前記フィルタから前記ノズルに前記ガスを移送するための経路を形成するチューブと、
    前記チューブに設けられた電極と、
    前記電極に電圧を印加する印加部と、を有し、
    前記チューブは、少なくとも一部に絶縁性の部分を含み、
    前記電極は、前記絶縁性の部分の外側に設けられていることを特徴とするリソグラフィ装置。
  2. 前記電極は、前記絶縁性の部分の外側の全周を取り囲むように設けられた1つの電極を含むことを特徴とする請求項1に記載のリソグラフィ装置。
  3. 前記電極は、前記絶縁性の部分の外側を取り囲むように、互いに離間し、且つ、対向するように設けられた1対の電極を含むことを特徴とする請求項1に記載のリソグラフィ装置。
  4. 前記チューブは、円形の断面形状を有し、
    前記1対の電極のそれぞれは、半円筒状の形状を有することを特徴とする請求項3に記載のリソグラフィ装置。
  5. 前記電極は、前記絶縁性の部分の外側の全周を取り囲むように、且つ、前記チューブが延在する方向に離間して設けられた複数の電極を含むことを特徴とする請求項1に記載のリソグラフィ装置。
  6. 前記電極を覆う絶縁部材を更に有することを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載のリソグラフィ装置。
  7. 前記絶縁部材を覆うシールド部材を更に有し、
    前記シールド部材は接地されていることを特徴とする請求項6に記載のリソグラフィ装置。
  8. 前記リソグラフィ装置は、モールドを用いて基板上にインプリント材のパターンを形成し、
    前記ノズルは、前記モールドと前記基板との間の空間に前記ガスを供給することを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれか1項に記載のリソグラフィ装置。
  9. 前記リソグラフィ装置は、モールドを用いて基板上にインプリント材のパターンを形成し、
    前記ノズルは、前記モールドと前記基板との間の空間に隣接する空間に前記ガスを供給することを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれか1項に記載のリソグラフィ装置。
  10. 前記印加部は、
    前記基板に前記パターンを形成している第1期間において、前記電極に電圧を印加し、
    前記基板に前記パターンを形成していない第2期間において、前記電極に前記第1期間において印加した電圧とは逆の電圧を印加することを特徴とする請求項1乃至9のうちいずれか1項に記載のリソグラフィ装置。
  11. 前記印加部は、前記第2期間において、電圧値がのこぎり波状、矩形波状、三角波状又は正弦波状に変化するように、前記電極に前記逆の電圧を印加することを特徴とする請求項10に記載のリソグラフィ装置。
  12. 前記チューブは、前記第2期間において、前記ノズルに代えて、前記チューブからの前記ガスを前記リソグラフィ装置の外部に排気する排気部に接続されることを特徴とする請求項10又は11に記載のリソグラフィ装置。
  13. 請求項1乃至12のうちいずれか1項に記載のリソグラフィ装置を用いて基板にパターンを形成する工程と、
    前記工程で前記パターンが形成された前記基板を処理する工程と、
    処理された前記基板から物品を製造する工程と、
    を有することを特徴とする物品の製造方法。
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