JP2019115309A - 作業車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】走行車体の進行方向が基準線からずれた際、既作業位置を荒らす範囲を狭めると共に、作業装置の作業位置のずれの発生を抑える作業車両を提供する。【解決手段】走行車体に圃場内で作業を行う作業装置を設け、走行車体の走行輪を操舵する操舵部材を設け、操舵部材を操作して走行車体を走行経路上で自動走行させる自動操舵装置を設け、自動操舵装置を作動させて走行車体を設定された走行経路に沿って走行させる制御装置を設けた作業車両において、走行車体の向きを検知する方向検知部材を設け、制御装置は、方向検知部材が検知する機体の向きと設定された走行経路が所定値以上異なると、作業装置による作業済みでない方向に走行車体を移動させ、設定された走行経路に向かう方向に操舵部材を操舵させる構成とする。【選択図】図5
Description
本発明は、圃場内を走行して作業装置で対地作業する作業車両に関するものである。
従来構成として、圃場の二点でGPS装置等を用いて位置座標を取得し、これらの位置座標から直進走行用の基準線を作成し、走行車体の現在の位置情報が基準線からずれていると、自動操舵装置でハンドルを操舵して基準線側に自動的に移動させ、自動直進させる作業車両に関する技術がある。
しかしながら、上記の作業車両においては、基準線から走行車体が離れて向かう進行方向が、既に作業を行っている側であっても基準線側に戻そうとするので、既作業領域内を走行車体の車輪等で踏み荒らし、作業者が手作業しなければならなくなる問題がある。
また、走行車体の進行方向が未作業側であっても、ずれた量や角度によっては基準線上に移動するまでに時間がかかり、その間作業装置がずれた位置で作業することになり、未作業位置が発生したり、作業位置の重複が生じたりする問題がある。
本発明は、走行車体の進行方向が基準線からずれた際、既作業位置を荒らす範囲を狭めると共に、作業装置の作業位置のずれの発生を抑える作業車両を提供することを目的とする。
請求項1の発明は、走行車体(2)に圃場内で作業を行う作業装置(4)を設け、該走行車体(2)の走行輪(10,11)を操舵する操舵部材(34)を設け、該操舵部材(34)を操作して走行車体(2)を走行経路上で自動走行させる自動操舵装置(205)を設け、前記自動操舵装置(205)を作動させて前記走行車体(2)を設定された走行経路に沿って走行させる制御装置(100)を設けた作業車両において、前記走行車体(2)の向きを検知する方向検知部材(203)を設け、前記制御装置(100)は、該方向検知部材(203)が検知する機体の向きと設定された走行経路が所定値以上異なると、前記作業装置(4)による作業済みでない方向に走行車体(2)を移動させ、設定された走行経路に向かう方向に前記操舵部材(34)を操舵させる構成としたことを特徴とする作業車両である。
請求項2の発明は、前記方向検知部材(203)が検知する機体の向きと設定された走行経路が所定値以上異なると、前記作業装置(4)を停止させ、前記制御装置(100)は、前記自動操舵装置(205)により前記走行車体(2)を設定された走行経路に移動させると共に、前記方向検知部材(203)が検知する方向が作業装置(4)の停止前の方向と一致すると走行車体(2)を停止させることを特徴とする請求項1に記載の作業車両である。
請求項3の発明は、前記操舵部材(34)の操舵操作方向や操作量を検知する操舵検知部材(34a)を設け、前記走行車体(2)の位置情報を取得する位置情報取得装置(200)を設け、前記制御装置(100)は、前記走行車体(2)の旋回走行の開始位置で該位置情報取得装置(200)が取得した位置情報を元に次の作業工程の開始位置を算出すると共に、前記走行車体(2)が旋回走行を終了したことを操舵検知部材(34a)が検知したとき、算出された作業工程の開始位置と前記位置情報取得装置(200)から取得した位置情報が所定値以上異なっているときは、前記作業装置(4)を作動させず、算出された作業工程の開始位置まで前記走行車体(2)を後進させることを特徴とする請求項1または2に記載の作業車両である。
請求項4の発明は、前記制御装置(100)は、走行車体(2)の移動速度が所定値以上になると前記自動操舵装置(205)による操舵部材(34)の操舵角度の範囲を狭く規制し、移動速度が所定値未満になると前記自動操舵装置(205)による操舵部材(34)の操舵角度の範囲の規制を解除することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の作業車両である。
請求項1の発明によって、設定された走行経路とは異なる方向に移動する走行車体(2)を走行経路に移動させる際、作業装置(4)の未作業位置で切り返し走行して走行車体(2)を移動させることにより、作業装置(4)で作業を行った箇所を走行輪(10,11)で荒らすことを防止できる。
請求項2の発明によって、請求項1の発明の効果に加えて、走行車体(2)が設定された走行経路上に位置し、且つ停止前の進行方向と同じ方向を向くと走行停止することにより、作業装置(4)による作業位置のずれを抑えることができる。
請求項3の発明によって、請求項1または2の発明の効果に加えて、旋回後の走行車体(2)の到達位置が設定された走行経路から異なる位置であると、作業装置(4)を作動させずに走行車体(2)を自動後進させることにより、作業装置(4)に作業されない位置が発生することや、重複して作業されることを防止できる。
請求項4の発明によって、請求項1から3のいずれか1項の発明の効果に加えて、走行速度が速いときは自動操舵装置(205)による操舵部材(34)の操舵角度の範囲を狭く規制することにより、走行車体(2)の進行方向を変更する際、速度を落とすことなく設定された走行経路に移動させることができる。
以下、図面を参照しながら、本発明における作業車両の一例である、実施の形態の苗移植機の構成及び動作について具体的に説明する。
図1、図2に示す作業車両は、走行車体2に走行輪である左右の前輪10,10を機体前側に左右方向に回動可能に各々設け、左右の後輪11,11を機体後側に各々設けると共に、機体後部には、昇降シリンダ45の伸縮により上下回動する昇降リンク機構3を介して作業装置4、例えば苗植付装置や播種機を昇降可能に設ける。なお、この作業装置4は、他にも圃場を耕すロータリ式の耕耘機などでもよい。
また、走行車体2の後側上部で、且つ昇降リンク機構3よりも機体前側には、貯留する肥料を圃場に供給する施肥装置5を設け、作業装置4を下降させて対地作業させる際、施肥装置5も作動状態となり、対地作業に連動して圃場に肥料が供給される構成とする。
前記走行車体2の機体前側上部には、主変速レバー31や副変速レバー33を装着し、ハンドル34のハンドルポストを内装すると共に、燃料タンク(図示省略)を内装するボンネット32を設け、該ボンネット32の左右両側には左右間隔を空けて、補充用の苗を載置する予備苗枠38,38を各々設ける。さらに、ボンネット32の後方、即ち走行車体2の中央部には、エンジン20を覆うエンジンカバー30を設け、該エンジンカバー30の上部に前記主変速レバー31、副変速レバー33及びハンドル34等を操作する作業者が着座する作業座席41を設ける。
そして、前記エンジン20から駆動力を受けるHST23を設け、HST23からミッション24を介して前記前輪10,10、後輪11,11に駆動力を伝動すると共に、PTO軸(図示省略)を介して作業装置4に伝動する構成とする。なお、PTO軸には作業装置4へ駆動力を伝動する状態と伝動しない状態を切り替える作業クラッチ25を設ける。
前記走行車体2は、圃場内で作業走行をする際、圃場から出入りするスペースを確保すべく、圃場の外周辺、所謂枕地沿いを最後に作業走行すべく、各作業条の作業開始位置と作業終了位置は、この枕地を避けた範囲とする。そして、作業終了位置で作業装置4を停止させ、上昇させた状態で枕地を約180度旋回で走行し、次の作業条に移動する、というものが一般的である。
このとき、作業開始位置から作業終了位置までの走行は基本的に直進走行となるが、走行車体2は土質や凹凸、傾斜等の圃場条件、及び重量バランスなどにより、作業者が逐次ハンドル34を操舵して直進走行となる方向に機体を誘導する必要がある。しかしながら、直進走行位置に常に合わせ続けることは技術を要するものであり、作業者の熟練度が低ければ操舵することで別方向にずれが生じ、作業装置4による作業軌跡が蛇行したものとなり、隣接する作業条との間に非作業位置(例えば、耕耘されない、苗が植え付けられない、等)が生じることや、作業位置が重複してしまう問題が生じる。
この問題を防止すべく、走行車体2の前部にアンテナフレーム201を設け、該アンテナフレーム201の上部に走行車体2の位置情報を衛星または中継装置(図示省略)から取得するGPSユニット200を設けると共に、加速度等を検知することにより機体の進行方向や傾斜を検知するIMU203を設ける。
また、前記ハンドル34を電動モータ等によって操舵する自動操舵装置205を設け、該自動操舵装置205を制御する制御装置100を設ける。なお、該制御装置100は、自動操舵装置205の制御だけでなく、機体各部の制御や、GPSユニット200が取得する位置情報の記録や、記録した各情報に基づく演算処理にも活用するものとする。
作業者は任意の2点、例えば最初の作業開始位置と作業終了位置でGPSユニット200が取得する位置座標を結んだ線を基準線とし、前記制御装置100は、他の作業条で作業をする走行車体2がこの基準線と略平行になるように、前記自動操舵装置205でハンドル34を回動させ、前輪10,10を回動させて機体の進行方向を補正する構成とする。
前記走行車体2には、前記左右の後輪11,11へ伝動するドライブシャフト(図示省略)の回転数を検知する後輪回転センサ120,120を設け、前記制御装置100は、該後輪回転センサ120,120の回転数から走行車体2の移動距離や走行速度を算出するものとする。
あるいは、前記走行車体2の移動距離や走行速度は、GPSユニット200が取得する二点の位置情報から制御装置100が算出する構成としてもよく、後輪回転センサ120,120とGPSユニット200が取得する二点の位置情報を組み合わせる構成としてもよい。
なお、作業開始位置とは、作業装置4を下降させた、または作業クラッチ25が入状態になった位置であり、作業終了位置とは作業装置4を上昇させた、または作業クラッチ25が切状態になった位置を指す。
また、旋回走行の際に自動操舵が作動すると旋回軌跡が乱れ、枕地を荒らしたり次の作業条の作業開始位置に機体を移動させる手間が生じるので、旋回動向に伴う作業装置4の昇降や作業クラッチ25の入切と同時に、制御装置100が自動操舵装置205を停止させる構成としてもよいが、この構成では旋回走行の直前まで自動操舵装置205が作動しており、旋回の開始されるタイミングが遅くなる問題がある。従って、制御装置100は、旋回開始位置に走行車体2が所定距離(例:8〜12m)まで接近するとブザー等の報知装置206を作動させ、作業者に、例えば図3で示す自動操舵スイッチ207を操作して自動操舵装置205を停止させることを促す構成としてもよい。
これにより、作業者はハンドル34を操舵して直進走行位置に機体を位置させ続ける必要が無く、作業装置4の作業状態や、苗や肥料等の作業資材の残量の確認を行うことができ、作業精度の向上が図られる。
しかしながら、圃場の傾斜や土質、及びGPS衛星との通信状況により、走行車体2の進行方向が、制御装置100が基準線から算出した走行経路とずれた方向になることがある。
位置ずれが発生すると、制御装置100は自動操舵装置205を作動させ、作業車両2の現在の位置情報及び進行方向と走行経路を比較して、走行経路上に位置情報を一致する位置までハンドル34を操舵制御するが、走行経路上に走行車体2が移動するまでは作業装置4の作業位置は本来の作業位置とは異なる位置を作業することになる。
このとき、作業位置が直前の作業条から離れていると未作業位置が発生すると共に、既作業位置は次に作業走行する作業位置に入り込んでしまうので、未作業位置には作業者が手作業で作業を施す必要が生じ、余分な労力を費やすことになり、既作業位置については自動操舵装置205を停止させて該当位置を回避する操作を作業者が行うか、或いは自動操舵装置205は入状態として重複作業を行わねばならず、作業者の負担や、作業資材の余分な消費が生じる。
また、自動操舵装置205で走行経路に走行車体2を復帰させるとき、移動経路によっては既作業位置に走行車体2や作業装置4の一部が入り込んでしまい、作業された圃場面を荒らしてしまう問題がある。自動操舵装置205を切状態にして作業者がハンドル34を操作すればこの問題は生じないが、作業者が余分な労力を費やす必要がある。
この影響をできるだけ小さくするには、図5に示すとおり、制御装置100は、算出した走行経路と、IMU203が検知する走行車体2の現在の進行方向が為す角度が所定値を超えると、自動操舵装置205は停止させず、作業クラッチ25を切状態として作業装置4を停止させると共に、昇降シリンダ45を収縮させて作業装置4を上昇させる。そして、現在の位置情報から走行車体2が既作業位置に入り込んでいるか、現在の作業位置または次の作業位置、即ち未作業位置に入り込んでいるかを判定し、既作業位置に入り込んでいればハンドル34を回動させて未作業位置に到達するまで走行させる。
一方、現在の作業位置または未作業位置にいるときは、一旦未作業位置に走行車体2を移動させ、その後走行経路側に走行するようにハンドル34を回動させる。このとき、未作業位置から走行経路に到達するまでの距離が、最短となるように制御装置100は自動操舵装置205を作動させるものとする。そして、走行経路上に走行車体2が到達すると、制御装置100はHST23の出力を低下させ、走行車体2をその場に停止させる。
この後、作業者は前記主変速レバー31を中立位置から後進方向に操作して走行車体2を後進させ、作業装置4が停止して作業が中止された位置で作業装置4を下降させると共に、作業クラッチ25を入状態にして作業を再開する。
これにより、走行車体2が走行経路から許容できない範囲に移動した際、作業装置4がすぐに停止して作業を行わなくなることにより、未作業位置や作業の重複する位置の面積を抑えることができるので、作業者の労力の軽減や、余分な作業資材の消費が軽減される。
また、走行経路への移動は制御装置100により自動で行われるので、作業者がハンドル34を操作して位置を合わせる操作を行う必要が無く、作業能率の低下や作業者の労力の増加が防止される。
また、走行車体2の走行経路への復帰の切り返し走行を未作業位置で行うことにより、切り返し走行中に作業を行った圃場面を荒らすことが防止される。
また、作業者が作業再開位置まで走行車体2を後進させることにより、作業クラッチ25が切状態になった位置を制御装置100に記録させ、自動後進させる制御が必要ないので、制御装置100の負担が軽減される。
上記の走行車体2は、枕地手前の位置で自動操舵装置205を停止させ、作業者がハンドル34を操舵して旋回走行を行う。この時、大凡180度の円弧を描く旋回ができれば、旋回後に作業装置4で作業を行う作業条が、直前の作業条と重複することなく、且つ未作業位置が発生することのないものとなる。しかしながら、作業者のハンドル34の操作や、枕地の圃場条件によっては旋回走行軌跡に乱れが生じ、旋回後に到達する位置が作業開始位置とは異なるものになることがあり、作業位置の重複や未作業位置の発生、といった問題が生じ得る。
この問題を解消すべく、図6に示すとおり、制御装置100は、直前の作業条の走行経路から旋回後の作業条の走行経路の開始位置とGPSユニット200が取得する現在の走行車体2の位置情報を比較し、現在の走行車体2の位置情報が到達すべき位置からずれていると判定したとき、作業クラッチ25が入状態になることを規制すると共に自動操舵装置205を作動させ、走行車体2を所定距離前方に移動させつつ走行経路上に機体を誘導する。そして、走行車体2が走行経路上に位置すると、HST23を後進側に出力し、その作業条の開始位置に走行車体2が到達するまで機体を後進させ、開始位置に到達するとHST23の出力を下げて停止させる。
これにより、旋回走行が円滑に行えない圃場であっても、自動的にその作業条の作業走行の開始位置に走行車体2を移動させることができ、作業装置4が隣接する既作業条から離れて未作業位置が発生することも、重複して作業することも防止できるので、作業精度が向上する。
前記自動操舵装置205による直進走行制御では、走行車体2の高速走行時に大きくハンドル34が切られると、走行経路を通り越して走行してしまい、走行経路に戻すまでに走行車体2が蛇行して余分な時間を費やす恐れがある。
この問題に対応すべく、図7に示すとおり、制御装置100は、後輪回転センサ120,120が検知する回転数から算出される走行速度、あるいはGPSユニット200が取得する二点間から算出される走行速度が所定速度以上、即ち高速走行中であると判断したときは、自動操舵装置205によるハンドル34の操舵角度に規制をかけ、高速走行と判断する速度未満であるときよりも操舵角度の範囲を小さくする。走行速度が所定速度未満になると、この規制を解除する。
なお、ハンドル34には、回動量を検知するハンドルポテンショメータ34aを設け、ハンドルの回動量を検知する構成とする。
これにより、高速走行時に位置ずれが生じたとき、走行車体2の進行方向が急激に変わり、蛇行しながら走行経路上に移動することを防止できるので、不要な走行が生じず、作業能率が向上する。
また、既作業位置に走行車体2が入り込むことを防止できるので、作業装置4の既作業位置を荒らすことが防止される。
上記の直進走行制御や、旋回後の位置合わせなどの制御を、走行車体2に搭載する制御装置100で処理させようとすると、制御装置100の大型化や、コストが増加する恐れがある。また、スイッチ類を増やすとボンネット32の上部にさらにスイッチが配置されることにより、目的のスイッチを探す必要が生じて操作性が低下すると共に、誤操作の発生する恐れが生じる。
これらの問題に対応すべく、図4に示すとおり、走行車体2には制御装置100を設けるものの、GPSユニット200やIMU203が取得した情報は通信装置810を用いてタブレット等の情報端末800に送信され、該情報端末800のCPU805で、あるいは制御装置100とCPU805で走行経路の算出や位置ずれの判定などを行う構成とする。また、情報端末800には走行車体2や作業装置4の操作を遠隔で行うアプリケーションをインストールしておき、アプリケーションを起動すると、走行車体2の走行及び作業装置4の作業を停止させる停止アイコン820や、走行を開始させると共に作業装置4を作動させる走行アイコン830、自動操舵装置205の入切を切り替える入切アイコン840等を表示し、作業者が触れることで操作できる構成としてもよい。
これにより、制御装置100の大型化が防止され、走行車体2側、例えばボンネット32の内部空間等を活かして配置することができる。
しかしながら、スイッチ類を情報端末800に表示されるものだけとすると、作業者は圃場端付近に到達する度にハンドル34から手を放し、片手で情報端末800を手に取ってもう片方の手で入切スイッチ840を操作しなければならず、走行車体2の操作に支障を来す恐れがある。
この問題に対応すべく、図2に示すとおり、ハンドル34の中央部や、予備苗枠38の支柱の機体内側、主変速レバー31や副変速レバー33等に自動操舵装置205の入切を切り替える入切スイッチ850を設ける構成とするとよい。
これにより、作業者はハンドル34を片手で握り、もう片方の手で入切スイッチ850を操作することができるので、ハンドル34の操舵操作中であっても容易に操作を行える。
なお、図8に示すとおり、所定値以上の位置ずれが発生した状態で走行車体2が走行を継続するときは、位置ずれが発生していることを情報端末800に送信し、この送信が行われた後に停止アイコン820が操作されると、走行車体2側の制御装置100は、何らかの走行停止を拒否する条件が整っていたとしても、強制的にHST23の出力を0まで下げる、あるいはエンジン20を停止させて、走行車体2の走行を停止させるものとする。
これにより、作業者が走行車体2の状態を目視確認し、畦や壁が近い等、自動操舵装置205により走行車体2を未作業位置に移動させて走行経路上へ復帰させることが困難な状況であると判断したときは、強制的に走行を停止させ、手動操作で走行車体2を走行経路上に移動させることができ、走行車体2が畦や壁にぶつかって損傷することが防止される。
前記IMU203を設けていることにより、走行車体2の左右方向のブレだけでなく、圃場の凹凸による上下回動も検知することができる。前記走行車体2の上下変動量、もしくは上下変動の発生回数が多いときには、作業装置4の圃場までの上下高さが変動しやすい状態である。
前記作業装置4には、圃場面に接地して圃場面の凹凸をある程度均すフロート55が上下回動可能に設けられている。この上下回動量をポテンショメータ55aで検知し、角度変化が正負のどちらかにおいて所定値以上であるときは、作業装置4の作業高さが不適切になると判断し、昇降シリンダ45を伸縮させて昇降リンク機構3を上下回動させ、作業装置4の上下位置を変更する。
図9に示すとおり、前記制御装置100は、IMU203が所定値以上の走行車体2の上下変化量を検知する、あるいは所定時間内に所定値以上の走行車体2の上下動を検知すると、昇降シリンダ45を伸縮させる前記ポテンショメータ55aの検知角度を小さくし、僅かなフロート55の回動であっても作業装置4を昇降させる構成とする。これに加えて、昇降シリンダ45が油圧式である時は油圧ポンプ(図示省略)から昇降シリンダ45への作動油の供給量を多くすると共に、電動式である時は通電量を変えて伸縮速度を速くするものとする。
これにより、走行車体2が圃場の凹凸により上下、即ちピッチング方向に大きく回動する状態でも、作業装置4の上下位置を素早く変更することができ、作業装置4の作業精度の低下が防止される。
また、図10に示すとおり、IMU203が所定時間内に検知する、走行車体2の左右方向(ヨーイング方向)の変動数が所定回数以上であるときは、制御装置100は、例えばHST23の開度を下げ、自動操舵装置205の電動モータの作動量を増大させる制御を行う。
これにより、走行車体2の走行速度が減少し、且つ自動操舵装置205によるハンドル34の操舵速度が速くなるので、走行経路に復帰するときの応答性が向上する。
上記の作業では、圃場のある地点、例えば最初に直進走行して作業を行う作業条の開始位置と終了位置から基準線を作成するが、この基準線と走行車体2の移動する位置から各作業条の走行経路を設定すると、基準線と略平行に直進することが前提となる作業経路が設定される。これにより、圃場の外形線を割り出したときに内角に鈍角となる箇所が生じる、所謂変形圃場で作業を行うとき、通常とは異なる旋回が必要な個所でも基準線に基づく走行経路が設定されてしまい、自動操舵装置205を切状態にして作業者がハンドル34を手動操作する区間が長くなることになる。
この問題に対応すべく、圃場内での作業開始時に、領域認識スイッチ500を操作し、圃場の外周に沿って作業装置4による作業走行を行い、作業装置4が下降されたとき、またはIMU203が検知する進行方向の変化量が所定値以上となるときにGPSユニット200が取得する位置情報のうち、制御装置100が少なくとも三カ所以上の位置情報を用いて多角形となる作業領域情報Zを作成する構成とし、作成された作業領域情報Zから走行経路を算出する構成とする。
あるいは、以前の走行車体2の作業領域の認識走行、空撮画像とGPS座標の組み合わせなど、事前に取得した作業領域情報Zを制御装置100、または情報端末800のCPU805に読み込ませることにより、走行経路を算出する構成としてもよい。
走行経路は、圃場の三辺が為す角度がいずれも略直角になる位置では、圃場の一辺に略平行となる位置で、且つ略同じ距離で設定するが、圃場の三辺が為す角度に鈍角となるものがあるときは、斜辺に当たる部分で作業条毎に旋回位置が異なるので、平略行ではあるが長さを異ならせて設定する。
また、内角が鈍角となる箇所の鈍角の中心から対辺に向かって仮想仕切り線を引き、この仮想仕切り線で一つの圃場の作業領域を四角形になる部分と三角形、或いは他の多角形となる部分とに分割し、分割された作業領域ごとに走行経路を設定する構成とすると、制御装置100やCPU805は形状の異なる別の圃場として走行経路の算出を行うので、演算処理の負荷が軽減される。
なお、前記した圃場内の作業の開始位置と終了位置の位置座標を結んで算出する基準線や、走行車体2を走行させて認識させる作業範囲は、同一の圃場で作業を行う度にデータを制御装置100や情報端末800のストレージに記録し、複数回の作業データを比較検証可能なものとするとよい。
前記GPSユニット200で走行車体2の位置情報を正確に取得するには、圃場の凹凸による機体の上下回動や、前輪10,10が圃場に足を取られるなどによって生じる左右方向の回動をできるだけ速やかに取得する必要がある。このためGPSユニット200を機体の左右中央付近に配置するだけでなく、できるだけ機体前側寄りとなる位置に配置するとよい。
これにより、走行車体2の挙動を早期に取得できるので、自動操舵装置205による走行経路への復帰の開始や、作業装置4の昇降感度の変化が速くなるので、走行経路上で作業装置4を適切な高さに保つことができ、作業精度が向上する。
一方、アンテナフレーム201の撓みは左右中央部で最大になるので、機体左右中心位置を避け、左右どちらかの予備苗枠38,38に寄せて配置することも考えられる。
これにより、アンテナフレーム201の撓みによる位置情報のずれを回避できるので、走行経路上への走行車体2の移動が確実になる。
自動操舵装置205による自動直進走行で作業精度を確保しても、エンジン20やHST23の出力が安定していないと走行車体2の移動が不安定になり、作業条における作業間隔にバラつきが生じたり、既に作業を行った作業位置で重複して作業を行ってしまう問題が生じる。
この問題を解消すべく、エンジン20の回転数、HST23の出力、GPSユニット200が取得する二点の位置座標から算出されるスリップ率、IMU203が検知する走行車体2のピッチング量等の基準値を制御装置100やCPU805に記録しておき、基準値から数値が所定値以上変動すると、自動操舵装置205を停止させ、自動直進走行に適さない状態であることを情報端末800に送信する構成とする。
これにより、自動操舵装置205を用いるとかえって作業精度が落ちる位置では、作業者による手動操作を行わせることができるので、作業精度の低下が防止される。
2 走行車体
4 作業装置(苗植付装置)
10 前輪(走行輪)
11 後輪(走行輪)
34 ハンドル(操舵部材)
34a ハンドルポテンショメータ(操舵検知部材)
100 制御装置
200 GPSユニット(位置情報取得装置)
203 IMU(方向検知部材)
205 自動操舵装置
4 作業装置(苗植付装置)
10 前輪(走行輪)
11 後輪(走行輪)
34 ハンドル(操舵部材)
34a ハンドルポテンショメータ(操舵検知部材)
100 制御装置
200 GPSユニット(位置情報取得装置)
203 IMU(方向検知部材)
205 自動操舵装置
Claims (4)
- 走行車体(2)に圃場内で作業を行う作業装置(4)を設け、該走行車体(2)の走行輪(10,11)を操舵する操舵部材(34)を設け、該操舵部材(34)を操作して走行車体(2)を走行経路上で自動走行させる自動操舵装置(205)を設け、前記自動操舵装置(205)を作動させて前記走行車体(2)を設定された走行経路に沿って走行させる制御装置(100)を設けた作業車両において、
前記走行車体(2)の向きを検知する方向検知部材(203)を設け、前記制御装置(100)は、該方向検知部材(203)が検知する機体の向きと設定された走行経路が所定値以上異なると、前記作業装置(4)による作業済みでない方向に走行車体(2)を移動させ、設定された走行経路に向かう方向に前記操舵部材(34)を操舵させる構成としたことを特徴とする作業車両。 - 前記方向検知部材(203)が検知する機体の向きと設定された走行経路が所定値以上異なると、前記作業装置(4)を停止させ、
前記制御装置(100)は、前記自動操舵装置(205)により前記走行車体(2)を設定された走行経路に移動させると共に、前記方向検知部材(203)が検知する方向が作業装置(4)の停止前の方向と一致すると走行車体(2)を停止させることを特徴とする請求項1に記載の作業車両。 - 前記操舵部材(34)の操舵操作方向や操作量を検知する操舵検知部材(34a)を設け、前記走行車体(2)の位置情報を取得する位置情報取得装置(200)を設け、前記制御装置(100)は、前記走行車体(2)の旋回走行の開始位置で該位置情報取得装置(200)が取得した位置情報を元に次の作業工程の開始位置を算出すると共に、
前記走行車体(2)が旋回走行を終了したことを操舵検知部材(34a)が検知したとき、算出された作業工程の開始位置と前記位置情報取得装置(200)から取得した位置情報が所定値以上異なっているときは、前記作業装置(4)を作動させず、算出された作業工程の開始位置まで前記走行車体(2)を後進させることを特徴とする請求項1または2に記載の作業車両。 - 前記制御装置(100)は、走行車体(2)の移動速度が所定値以上になると前記自動操舵装置(205)による操舵部材(34)の操舵角度の範囲を狭く規制し、移動速度が所定値未満になると前記自動操舵装置(205)による操舵部材(34)の操舵角度の範囲の規制を解除することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の作業車両。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017251746A JP2019115309A (ja) | 2017-12-27 | 2017-12-27 | 作業車両 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017251746A JP2019115309A (ja) | 2017-12-27 | 2017-12-27 | 作業車両 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019115309A true JP2019115309A (ja) | 2019-07-18 |
Family
ID=67304775
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017251746A Pending JP2019115309A (ja) | 2017-12-27 | 2017-12-27 | 作業車両 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2019115309A (ja) |
-
2017
- 2017-12-27 JP JP2017251746A patent/JP2019115309A/ja active Pending
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