JP2019115228A - 蓄電池システムおよび蓄電池システムの制御方法 - Google Patents

蓄電池システムおよび蓄電池システムの制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】蓄電池からの充放電により再生可能エネルギーに基づく発電源の発電電力変化率抑制の遵守率を高める。【解決手段】複数の蓄電池ユニットの出力電力指令値を算出して該複数の蓄電池ユニットを制御する蓄電池システム制御装置は、発電源が電力系統に向けて出力する有効電力の出力変動が所定の範囲内である場合に、複数の蓄電池ユニットの内の第1の蓄電池ユニットに対する出力電力指令値を、複数の蓄電池ユニットの内の他の蓄電池ユニットに対する出力電力指令値より絶対値の小さい値とし、前記有効電力の出力変動が所定の範囲を超過する場合に、第1の蓄電池ユニットに対する出力電力指令値を、第1の蓄電池ユニットからの充放電を増加させる値にして他の蓄電池ユニットからの充放電で不足する電力分を補うことにより、発電源の出力変化率を抑制する。【選択図】 図1

Description

本発明は、蓄電池および蓄電池と交流系統の間の電力変換を行う電力変換装置により構成される蓄電池システムに関し、特に再生可能エネルギーの出力変化を平滑化するための蓄電池システムとして好適である。
COP21の締結を背景にして、世界中でCO排出量を削減するために、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの導入が加速されている。
しかし、上記再生可能エネルギーは、気候条件によりその出力が変化する欠点を備える。系統の容量に比べて上記再生可能エネルギーの導入量が大きくなると、電力の需給バランスを取るため、既存の火力発電所による出力調整が困難になる。
そこで、火力発電所による出力調整を可能にするため、近年再生可能エネルギーの導入時には、発電プラントとしての出力変化率を所定値以下に制限することを電力系統運営者から求められる事例が出てきている。この変化率遵守のための有力な手段として、蓄電池システムを発電プラントに導入し、プラントとしての出力変化率を抑制する方法がある。
また、蓄電池システムのコスト低減方法の一つとして、特許文献1には、kWh単価(容量単価)の安い蓄電要素とkW単価(出力単価)の安い蓄電要素を蓄電池システム内に備え、再生可能エネルギーの出力変動の低周波成分をkWh単価の安い蓄電要素による充放電で平滑化し、上記出力変動の高周波成分をkW単価の安い蓄電要素による充放電で平滑化する手法が開示されている。
特開2007−135355号公報
出力平滑化対象である再生可能エネルギーとして、太陽光発電システムの場合には、雲の移動等による日射の急減時において、また、風力発電の場合には、風速の急低下時において、蓄電池システムからの大きな出力[kW]供給が必要となる。
しかし、蓄電池やキャパシタは、充電率が低い場合、放電可能電力が充電率の高い状態での放電可能電力に比べて小さくなる。そのため、急峻な再生可能エネルギーの出力変化の緩和用にkW単価の安い蓄電池を備えても、Wh残量もしくは放電可能な電力の減少により十分な放電ができず、発電プラントとして変動緩和要求を遵守できない虞がある。
再生可能エネルギーに基づく発電源と電力系統との接続点に接続される蓄電池システムにあって、上記課題を解決するために、本発明に係る蓄電池システムは、複数の蓄電池ユニットと、該複数の蓄電池ユニットの出力電力指令値を算出して該複数の蓄電池ユニットを制御する蓄電池システム制御装置とを備え、蓄電池システム制御装置は、発電源が電力系統に向けて出力する有効電力の出力変動が所定の範囲内である場合に、複数の蓄電池ユニットの内の第1の蓄電池ユニットに対する出力電力指令値を、複数の蓄電池ユニットの内の他の蓄電池ユニットに対する出力電力指令値より絶対値の小さい値とし、前記有効電力の出力変動が所定の範囲を超過する場合に、第1の蓄電池ユニットに対する出力電力指令値を、第1の蓄電池ユニットからの充放電を増加させる値にして他の蓄電池ユニットからの充放電で不足する電力分を補うことにより、発電源の出力変化率を抑制することを特徴とする。
本発明によれば、再生可能エネルギーに基づく電源の出力急減時でも、蓄電池システムが発電プラントの出力変化率を抑制するための放電能力を確保でき、発電プラントとしての出力変動緩和要求に対する遵守率の向上を図ることができる。
実施例1に係る蓄電池システムを備えた太陽光発電プラントが電力系統に接続された構成を示す図である。 蓄電池システム制御装置の演算ブロックを示す図である。 電力変換器203の個別制御装置2000内の演算ブロックを示す図である。 電力変換器303の個別制御装置3000内の演算ブロックを示す図である。 実施例1の動作時の特性を時系列的に示した図である。 変動抑制用蓄電池システム電力算出部の別の形態を備える蓄電池システム制御装置の演算ブロックを示す図である。 電力変換器203の個別制御装置2000内の演算ブロックの別の形態を示す図である。 実施例1を適用する別システムの形態の構成を示す図である。 実施例2に係る蓄電池システム制御装置の演算ブロックを示す図である。 太陽光発電の出力変化を説明する図である。
以下に、本発明に係る蓄電システムの実施形態として、実施例1および2について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施例1に係る蓄電池システム1を備えた太陽光発電プラント600が電力系統5に接続された構成を示す図である。
蓄電池システム1は、再生可能エネルギーの一つである太陽光発電システム40に併設され、太陽光発電プラント600の出力変化率を抑制する機能を奏する。
太陽光発電プラント600は、電力系統5に連系し、該連系点に太陽光発電システム40と蓄電システム1とが電気的に接続されている。
太陽光発電システム40の主回路は、太陽光パネル404、電力変換器403および変圧器402から構成される。電力変換器403は、太陽光パネル404で発電される直流電力を系統5と同一の周波数を持つ交流電力に変換し、当該交流電力を変圧器402を介して系統5へ出力する。
蓄電池システム1は、主に2つの蓄電池ユニット20、30、有効電力計測ユニット10、11および蓄電池システム制御装置100から構成される。有効電力計測ユニット10は、太陽光発電プラント600が系統5に出力する有効電力(P_PLANT)を計測し、有効電力計測ユニット11は、太陽光発電システム40が系統5に出力する有効電力(P_PV)を計測する。計測して検出されたそれぞれの有効電力(P_PLANTおよびP_PV)は、図示しない通信網を介して蓄電池システム制御装置100に出力される。
蓄電池ユニット20、30の主回路は、それぞれ蓄電池204、304、電力変換器203、303および変圧器202、302から構成される。電力変換器203、303が、変圧器202、302を介して系統5に電力を入出力することで、蓄電池204、304が充放電される。
蓄電池204、304の電圧および電流は、電圧センサ205、305および電流センサ207、307により検出され、それぞれの検出値はバッテリコントローラ206、306に出力される。バッテリコントローラ206、306は、蓄電池204、304の充電率SOC1、SOC2、放電可能電力P_Max1、P_Max2、充電可能電力P_Min1、P_Min2をそれぞれ算出する。上記バッテリコントローラ206、306の出力は、図示しない通信網を介して蓄電池システム制御装置100に出力され、充電率SOC1、SOC2は、電力変換器203、303が備える個別制御装置2000、3000にも出力される。
電力変換器203、303の個別制御装置2000、3000は、バッテリコントローラ206、306により算出される蓄電池充電率SOC1、SOC2と、蓄電池システム制御装置100より図示しない通信網を介して受信する太陽光発電プラント600の出力変化率抑制用の出力電力指令値P_Ref1、P_Ref2とをそれぞれ入力する。また、充電率指令値と蓄電池204、304の充電率SOC1、SOC2との偏差を小さくするための充電率制御用電力指令値(P_SOC1、P_SOC2)を算出して、図示しない通信網を介して蓄電池システム制御装置100に出力する。
一方で、電力変換器203、303は、充電率制御用電力指令値(P_SOC1、P_SOC2)と、太陽光発電プラント600の出力変化率抑制用の出力電力指令値(P_Ref1、P_Ref2)との和を系統5に出力する有効電力指令値とし、該有効電力指令値に追従するよう系統5に出力する有効電力を制御する。
電力変換器203、303から変圧器202、302を介して系統5に出力される有効電力、すなわち、蓄電池ユニット20、30が出力する有効電力(P_BESS1、P_BESS2)は、有効電力計測ユニット201、301により計測され、その出力は図示しない通信網を介して蓄電池制御システム100に出力される。
蓄電池システム制御装置100は、各有効電力計測ユニット(10、11、201、301の出力(P_PLANT、P_PV、P_BESS1、P_BESS2)、充電率制御用電力指令値P_SOC1、P_SOC2、蓄電池充電率SOC1、SOC2、蓄電池204の放電可能電力P_Max1と充電可能電力P_Min1、および、蓄電池304の放電可能電力P_Max2と充電可能電力P_Min2、それぞれを図示しない通信網を介して入力し、表示器110にこれらの受信データを表示する。
また、蓄電池システム制御装置100は、太陽光発電プラント600の出力変化率抑制用の出力電力指令値(P_Ref1、P_Ref2)を算出し、図示しない通信網を介して蓄電池ユニット20、30に出力し、太陽光発電プラント600の出力変化率を抑制する。
本実施例1では、以上の構成により、蓄電池システム1が、太陽光発電システム40の出力変化を抑制するための充放電を実施できることになる。
図2は、蓄電池システム制御装置100の演算ブロックを示す図である。本発明の新規な点は、蓄電池システム1を構成する蓄電池ユニット20、30を、太陽光発電システム40の出力変動を抑制するための充放電を常時実施する蓄電池ユニットと、上記太陽光発電システム40の出力変化が急峻なときのみに発電プラント出力の変動抑制用放電を実施させる蓄電池ユニットに分けるべく、蓄電池ユニット20、30それぞれに出力電力指令値を算出する点にある。
蓄電池システム制御装置100の演算ブロックは、大きく分けて、変動抑制用蓄電池システム電力算出部1100および太陽光発電プラント600の出力変化率抑制用の出力電力指令値を蓄電ユニット20と30に分配する電力分配部1200により構成される。本実施例1では、太陽光発電プラント600の単位時間あたりの出力変化幅を所定の値に制限する構成が示されている。
まず、変動抑制用蓄電池システム電力算出部1100について説明する。ここで、蓄電池システム制御装置100の演算周期はΔTとし、太陽光発電プラント600の単位時間あたりの出力変動制限値を、上記演算周期に換算した換算変動上限値ΔPとする。
太陽光発電プラント600が系統5に出力する有効電力の検出値P_PLANTは、一演算周期遅延ブロック1001に入力される。一演算周期遅延ブロック1001の出力は、前回演算時の太陽光発電プラント600の有効電力出力値となり、加算器1002および減算器1003に入力される。
加算器1002は、一演算周期遅延ブロック1001の出力に換算変動上限値ΔPを加算することにより、本制御周期で許容される太陽光発電プラント600の有効電力の出力上限値を算出する。
減算器1003は、一演算周期遅延ブロック1001の出力から換算変動上限値ΔPを減算することにより、本制御周期で許容される太陽光発電プラント600の有効電力の出力下限値を算出する。
一方で、太陽光発電システム40の出力する有効電力検出値P_PVと蓄電池ユニット20が蓄電池204の充電率を制御するための充電率制御用電力指令値P_SOC1とが、加算器1004で加算され、この加算出力と蓄電池ユニット30が蓄電池304の充電率を制御するための充電率制御用電力指令値P_SOC2とが、加算器1005で加算される。
減算器1006は、加算器1005の出力と太陽光発電プラント600の有効電力出力上限値に相当する加算器1002の出力との差を算出し、その差を正の値のみ通過させるリミッタ1008に出力する。リミッタ1008の出力は、太陽光発電システム40と蓄電池充電率制御用電力の和に対する太陽光発電プラント600の有効電力出力上限値の超過量に相当する。
減算器1007は、加算器1005の出力と太陽光発電プラント600の有効電力出力下限値に相当する減算器1003の出力との差を算出し、その差を負の値のみ通過させるリミッタ1009に出力する。リミッタ1009の出力は、太陽光発電システム40と蓄電池充電率制御用電力の和に対する太陽光発電プラント600の有効電力出力下限値の不足量に相当する。
リミッタ1008とリミッタ1009の各出力は加算器1010で加算され、乗算器1011で符号反転される。乗算器1011の出力は、太陽光発電プラント600の出力する有効電力の変化率を抑制するための蓄電池システム1の出力電力指令値であり、電力分配部1200の入力となる。
なお、本実施例1では、太陽光発電プラント600の出力変化率抑制のために、図2に示す変動抑制用蓄電池システム電力算出部1100が行う演算を用いる例を示したが、これに替えて、図6に、変動抑制用蓄電池システム電力算出部1100の別の形態として示すように、太陽光発電システム40の出力P_PVと充電率制御用電力指令値P_SOC1およびP_SOC2との和に対するハイパスフィルタ演算を用いてもよい。すなわち、加算器1004および1005を介した出力(P_PV+P_SOC1+P_SOC2)に対してハイパスフィルタ1020による演算を行い、乗算器1011による符号反転をして電力分配部1200の入力とする。ハイパスフィルタ演算によりプラント出力変動の高調波成分を通し、それを抑制(補償)するための出力電力指令値を出力することができる。
次に、次段の電力分配部1200について説明する。電力分配部1200は、常時の太陽光発電システム40の出力変動を蓄電池ユニット30で補償し、太陽光発電システム40の出力する有効電力P_PVに対して蓄電池ユニット30で補償しきれない電力変動が発生する場合には、蓄電池ユニット20から補償電力を出力するように、出力電力指令値を分配する機能を奏する。
具体的には、変動抑制用蓄電池システム電力算出部1100が出力する出力電力指令値をリミッタ1012に入力する。リミッタ1012は、蓄電池ユニット30のバッテリコントローラ306により算出された蓄電池304の放電可能電力P_Max2および充電可能電力P_Min2を上下限とするリミッタ演算を行い、蓄電池ユニット30用の太陽光発電プラント600の出力変化率抑制用の出力電力指令値P_Ref2を算出する。
また、変動抑制用蓄電池システム電力算出部1100の出力とリミッタ1012の出力の差が減算器1013で算出され、その出力はリミッタ1014に入力される。
リミッタ1014は、蓄電池ユニット20のバッテリコントローラ206により算出された蓄電池204の放電可能電力P_Max1および充電可能電力P_Min1を上下限とするリミッタ演算を行い、蓄電池ユニット20用の太陽光発電プラント600の出力変化率抑制用の出力電力指令値P_Ref1を算出する。
出力変化率抑制用の出力電力指令値P_Ref1およびP_Ref2は、図示しない通信網を介して蓄電池ユニット20および30に出力される。
以上のように、蓄電池ユニット20および30が、太陽光発電プラント600の出力変化率抑制用の出力電力指令値P_Ref1およびP_Ref2に従い、系統5に出力する有効電力を制御することにより、常時の太陽光発電システム40の出力変動を蓄電池ユニット30が補償し、太陽光発電システム40の出力変動が大きい場合には蓄電池ユニット20が電力補償を補助することが可能となる。
次に、蓄電池ユニット20、30の電力変換器203、303が備える個別制御装置2000、3000における有効電力指令値演算について、説明する。
図3は、電力変換器203の個別制御装置2000内の演算ブロックを示す図である。
バッテリコントローラ206により算出された蓄電池204の充電率SOC1および蓄電池システム制御装置100で算出された太陽光発電プラント600の出力変化率抑制用の出力電力指令値P_Ref1を入力とし、充電率制御用電力指令値P_SOC1および電力変換器203が系統5に出力する出力電力指令値P_Ref1_Newを算出する。
充電率SOC1は、減算器2001に入力され、減算器2001は、外部から指定される所定の充電率指令値SOC_Ref1との差を算出し、乗算器2002に出力する。乗算器2002でゲイン補正された値は、充電率制御用電力指令値P_SOC1の上下限値P_SOCMaxおよびP_SOCMin内に制限されるようリミッタ2003により制限される。リミッタ2003の出力は、乗算器2004で符号反転された後、充電率制御用電力指令値P_SOC1として蓄電池システム制御装置100および加算器2005に出力される。
加算器2005は、P_Ref1とP_SOC1を加算し、電力変換器203の新たな出力電力指令値P_Ref1_Newを算出する。電力変換器203は、系統5に出力する有効電力を、この新たな出力電力指令値P_Ref1_Newに一致するように有効電力制御を実施する。
図4は、電力変換器303の個別制御装置3000内の演算ブロックを示す図である。
ここにおいて、蓄電池ユニット20の充電率指令値SOC_Ref1は、蓄電池ユニット30の充電率指令値SOC_Ref2より高い値にして、太陽光発電システム40の出力急減時の補償電力を出力できるようにする。本実施例1では、SOC_Ref1を80%、SOC_Ref2を充電と放電双方の対応が可能なように50%に設定する。これらの充電率指令値SOC_Ref1およびSOC_Ref2は、予め指示される指令値であり、必要に応じて変更してもよい。
蓄電池ユニット20の充電率指令値SOC_Ref1を高くすることにより、太陽光発電システム40の出力する有効電力が急激に低下した場合でも、蓄電池ユニット20は蓄電池204の貯蔵エネルギーを十分備えておくことができるため、太陽光発電プラント600としての出力変動遵守率を高くすることができる。また、充電率を高くして待機することにより、kWとしての放電能力も確保することができるため、よりプラント出力変動抑制の遵守率を高めることができる。
以上では、蓄電池ユニット20の充電率指令値SOC_Ref1を80%としたが、充電率指令値SOC_Ref1を切り替える構成を採用してもよい。図7に示す個別制御装置2000の別の形態では、充電率指令値算出器2100を設けている。充電率が高い状態のままであると蓄電池の劣化進行が速くなるので、充電率指令値算出器2100は、蓄電池204の劣化を防ぐために、充電率指令値SOC_Ref1を、例えば、夜間は50%に抑制し、日中は80%に調整するように、充電率指令値SOC_Ref1を切替えることを可能にする。ここでは、時間的要因に応じて切り替えているが、これに限定されるものではなく、他の要因に応じて切り替えてもよい。
図5は、本実施例1の動作時の特性を時系列に示した図である。
図5では、一番上に、太陽光発電システム40の出力P_PVと蓄電池ユニット20および30の充電率制御用電力指令値P_SOC1およびP_SOC2との和(以降、「和電力Psum」と記す)、並びに、太陽光発電プラント600の出力P_PLANTの合成した時系列特性(合成グラフ)を示し、二番目に、蓄電池ユニット20の出力P_BESS1の時系列特性を示し、三番目に、蓄電池ユニット30の出力P_BESS2の時系列特性を示し、四番目に、蓄電池ユニット20の充電率指令値SOC_Ref1および充電率SOC1の時系列特性を示し、そして五番目に、蓄電池ユニット30の充電率指令値SOC_Ref2および充電率SOC2の時系列特性を示す。
これら時系列特性において、横軸は時間であり、蓄電池システム制御装置2000、3000の演算は時間ΔT毎に実施される。また、太陽光発電プラント600の単位時間における出力変化幅から、蓄電池システム制御装置100の演算周期ΔT間に許容される電力変動幅を換算した値をΔPとする。
時刻iにおいて、和電力Psum[i]と太陽光発電プラント出力P_PLANT[i]は等しいものとする。蓄電池システム制御装置100は、時刻i+1におけるプラント出力P_PLANT[i+1]を、P_PLANT[i]−ΔPからP_PLANT[i]+ΔPの間の許容電力変動幅内に調整するよう、蓄電池ユニット20、30を制御する。
蓄電池ユニット20の充電率は、時刻iにおいて充電率指令値SOC_Ref1と等しいとし、蓄電池ユニット30の充電率は、時刻iにおいて充電率指令値SOC_Ref2よりも小さい値にあるものとし、充電率SOC2と充電率指令値SOC_Ref2との差が小さくなるように、充電率制御用電力指令値P_SOC2が算出されている状態とする。
時刻i+2において、Psum[i+2]がP_PLANT[i+1]+ΔPよりも大きくなるため、蓄電池システム1の電力指令は充電指令となる。また、このとき充電指令値が蓄電池ユニット30の充電可能電力よりも小さいため、図2に示す蓄電池システム制御装置100の電力分配演算に従い蓄電池ユニット30に充電指令が割振られる。蓄電池ユニット30の充電により、太陽光発電プラント600の出力P_PLANT[i+2]は、P_PLANT[i+1]+ΔPとなり、変化率制約を遵守できることになる。
その後、時刻i+7において、太陽光発電システム40の出力P_PVが急減する。Psum[i+7]は、P_PLANT[i+6]−ΔPに比べて大きく下回り、変動抑制用蓄電池システム電力算出部1100の出力は大きな放電電力指令となる。
このとき、上記放電電力指令値は、蓄電池ユニット30の放電可能電力P_Max2を上回るため、蓄電池ユニット30への出力電力指令値P_Ref2はP_Max2となり、不足分の放電電力指令が蓄電池ユニット20への出力電力指令値P_Ref1となる。
蓄電池ユニット20は充電率を高く維持しているため、十分な放電が可能であり、P_PLANT[i+7]の低下をP_PLANT[i+6]−ΔPまでに抑えることができる。時刻i+9まで、蓄電池ユニット20は、図2に示す蓄電池システム制御装置100の電力分配演算に従い放電を続け、これにより、P_PLANT[k](kは自然数)は、変動抑制条件を遵守しながら遷移することが可能となる。
以上より、本実施例1によれば、太陽光発電システム40の出力が急激に低下した場合でも、蓄電池ユニット20からの放電により太陽光発電プラント600の出力変化率を抑制することができ、変動抑制要求に対する遵守率を向上することができる。
また、高い充電率で蓄電池204を待機させる電力分配制御を実施することで、常時の太陽光発電システム40の出力変動抑制を実施する蓄電池ユニット30の放電可能電力が低下した場合でも、太陽光発電プラント600の出力変化率を所定の範囲内に制限するための放電を蓄電池ユニット20が実施できる可能性が高まる。
本実施例1では、出力する有効電力の変動を抑制する対象が太陽光発電システムであったが、この発電システムに拘束されるものではない。太陽光発電システム40の替わりに、本実施例1を適用する別の発電システムとして、例えば図8に示すように、風力発電システム50であっても、同様の効果を奏することができる。
また、本実施例1では、太陽光発電システム40は1台の電力変換システムで構成されているが、複数の電力変換システムで構成されてもよい。その場合は、電力変換システムの出力する有効電力の総和を検出できるよう、有効電力計測ユニット11を配置することで、本実施例1と同等の効果を奏することができる。
さらに、本実施例1では、蓄電池ユニット20および30を一台の蓄電池用電力変換システムで構成しているが、複数の蓄電池用電力変換システムで構成してもよい。その場合、放電可能電力や充電可能電力は、上記複数の蓄電池用電力変換システムの総和としての放電可能電力や充電可能電力、充電率制御用電力指令値を蓄電池システム制御装置100に送信し、蓄電池システム制御装置100は、各蓄電池用電力変換器に対して出力電力指令値を送信すれば、本実施例1と同等の効果を奏することができる。
次に、本発明の実施例2に係る蓄電池システム1について説明する。
図9は、実施例2の蓄電池システム制御装置100_2の演算ブロックを示す図である。なお、実施例1と同じ部品は同じ記号で記し、重複説明を省く。
本実施例2の蓄電池システムと先の実施例1の蓄電池システムとの差異は、蓄電池システム制御装置100の電力分配方法がカレンダー情報によって変更される構成を備える点のみである。そのために、蓄電池システム制御装置100_2は、先の実施例1の蓄電池システム制御装置100に対して、後述する電力分配部1300およびカレンダー機能付き切替器1400を追加した構成となる。したがって、機能的にも、実施例1で説明した蓄電池システム制御装置100が実行する機能(制御態様)に対して、後述する電力分配部1300およびカレンダー機能付き切替器1400による機能(制御態様)が追加されることになる。また、本実施例2においても、実施例1で示した図6または図7による別の形態を採用することも可能である。
図10は、太陽光発電の出力変化を説明する図である。太陽光発電システム40は、例えば太陽光パネル404に雲がかかることなどで発電量が低下する。発電量の低下幅に関しては、発電量がマイナスにはならないため、晴天時に発電可能な電力が大きければ大きいほど、その低下幅の最大値は大きくなる。そのため、図10に示すように、日中に低下幅の最大値が大きくなり、太陽光発電プラントの出力変化率遵守が困難になる。一方、早朝や夕暮れ時には、晴天時の発電可能電力も小さくなるため、出力変動抑制のために必要となる出力最大値は小さくなる。
本実施例2に係る蓄電池システム1の蓄電池システム制御装置100_2は、晴天時に太陽光発電システム40の出力が第1の所定値より大きくなることが想定される時間において、実施例1と同様に蓄電池ユニット20を高い充電率で待機させて、常時の出力変動の抑制を蓄電池ユニット30で担保し、それ以外の時間では、蓄電池ユニット20の定格容量P20と蓄電池ユニット30の定格容量P30との比率に応じて太陽光発電プラント600の出力変化率抑制用の出力電力指令値を割振る。
この蓄電池システム制御装置100_2の構成により、蓄電池ユニット20の稼働率を向上させることができ、また、蓄電池ユニット30の蓄電池304の充放電回数を低減できることから蓄電池304の長寿命化が期待できる。
以下に、本実施例2に係る蓄電池システム1の蓄電池システム制御装置100_2による制御態様について説明する。
変動抑制用蓄電池システム電力算出部1100の出力は、実施例1と同様の電力分配部1200(以下、「第1の電力分配部」という)および実施例2で新たに設けた電力分配部1300(以下、「第2の電力分配部」という)に出力される。
第2の電力分配部1300では、変動抑制用蓄電池システム電力算出部1100の出力を、乗算器1301および1302において、蓄電池ユニット20および30の各定格容量比で乗算し、それぞれの積をリミッタ1303および1304で放電可能電力および充電可能電力以内に制限する。
第1の電力分配部1200のリミッタ1014で算出された蓄電池ユニット20の出力電力指令値と第2の電力分配部1300のリミッタ1304で算出された蓄電池ユニット20の出力電力指令値とは、カレンダー機能付き切替器1400に入力される。太陽光発電システム40の出力が上記第1の所定値より大きくなることが期待できる期間は、第1の電力分配部1200から入力された出力電力指令値を蓄電池ユニット20用の太陽光発電プラント600の出力変化率抑制用の出力電力指令値P_Ref1として出力する。上記期間以外の期間は、リミッタ1304の出力を蓄電池ユニット20用の太陽光発電プラント600の出力変化率抑制用の出力電力指令値P_Ref1として出力する。
同様に、第1の電力分配部1200のリミッタ1012で算出された蓄電池ユニット30の出力電力指令値と第2の電力分配部1300のリミッタ1303で算出された蓄電池ユニット30の出力電力指令値とは、カレンダー機能付き切替器1400に入力される。太陽光発電システム40の出力が上記第1の所定値より大きくなることが期待できる期間は、第1の電力分配部1200から入力された出力電力指令値を蓄電池ユニット30用の太陽光発電プラント600の出力変化率抑制用の出力電力指令値P_Ref2として出力する。上記期間以外の期間は、リミッタ1303の出力を蓄電池ユニット30用の太陽光発電プラント600の出力変化率抑制用の出力電力指令値P_Ref2として出力する。
以上より、本実施例2によれば、太陽光発電システム40の出力が急激に低下した場合でも、蓄電池ユニット20からの放電により太陽光発電プラント600の出力変化率を抑制することができ、変動抑制要求に対する遵守率を向上することができる。
また、高い充電率で蓄電池20を待機する電力分配制御を実施することにより、常時の太陽光発電システム40の出力変動抑制を実施する蓄電池ユニット30の放電可能電力が低下した場合でも、太陽光発電プラント600の出力変化率を所定の範囲内に制限するための放電を蓄電池ユニット20が実施できる可能性が高まる。
さらに、本実施例2によれば、太陽光発電システム40の出力が第1の所定値より低いことが想定される期間においては蓄電ユニット20を太陽光発電プラント600の出力変動抑制用に使うことが可能になるため、蓄電池304の長寿命化が期待できる。
1…蓄電池システム、5…系統、10、11、201、301…有効電力計測ユニット、
20、30…蓄電池ユニット、40…太陽光発電システム、50…風力発電システム、
100…蓄電池システム制御装置、110…表示器、202、302、402…変圧器、
203、303、403…電力変換器、204、304…蓄電池、
205、305…電圧センサ、206、306…バッテリコントローラ、
207、307…電流センサ、404…太陽光パネル、600…太陽光発電プラント、
1001…一演算周期遅延ブロック、
1002、1004、1005、1010、2005、3005…加算器、
1003、1006、1007、1013、2001、3001…減算器、
1008、1009、1012、1014、1303、1304、2003、3003…リミッタ、
1301、1302、2002、2004、3002、3004…乗算器、
1020…ハイパスフィルタ、1100…変動抑制用蓄電池システム電力算出部、
1200、1300…電力分配部(第1の電力分配部、第2の電力分配部)、
1400…カレンダー機能付き切替器、2000、3000…個別制御装置、
SOC1、SOC2…充電率、P_SOC1、P_SOC2…充電率制御用電力指令値、
P_Ref1、P_Ref2…出力変化率抑制用の出力電力指令値、
P_Max1、P_Max2…放電可能電力、
P_Min1、P_Min2…充電可能電力

Claims (13)

  1. 発電源と電力系統との接続点に接続される蓄電池システムであって、
    当該蓄電池システムは、複数の蓄電池ユニットと、該複数の蓄電池ユニットの出力電力指令値を算出して該複数の蓄電池ユニットを制御する蓄電池システム制御装置とを備え、
    前記蓄電池システム制御装置は、前記発電源が前記電力系統に向けて出力する有効電力の出力変動が所定の範囲内である場合に、前記複数の蓄電池ユニットの内の第1の蓄電池ユニットに対する出力電力指令値を、前記複数の蓄電池ユニットの内の他の蓄電池ユニットに対する出力電力指令値より絶対値の小さい値とし、前記有効電力の出力変動が前記所定の範囲を超過する場合に、前記第1の蓄電池ユニットに対する出力電力指令値を、当該第1の蓄電池ユニットからの充放電を増加させる値にして前記他の蓄電池ユニットからの充放電で不足する電力分を補う第1の制御態様により、
    前記発電源の出力変化率を抑制することを特徴とする蓄電池システム。
  2. 請求項1に記載の蓄電池システムであって、
    前記蓄電池システム制御装置は、前記第1の蓄電池ユニットの定格容量と前記他の蓄電池ユニットの定格容量との比率に応じて前記複数の蓄電池ユニットそれぞれの出力電力指令値を割振る第2の制御態様を有し、前記第1の制御態様と当該第2の制御態様とを時間帯に応じて切り替えることにより、
    前記発電源の出力変化率を抑制することを特徴とする蓄電池システム。
  3. 請求項1または2に記載の蓄電池システムであって、
    前記所定の範囲の上限値を前記他の蓄電池ユニットの放電可能電力とし、前記所定の範囲の下限値を前記他の蓄電池ユニットの充電可能電力とする
    ことを特徴とする蓄電池システム。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の蓄電池システムであって、
    前記蓄電池システム制御装置は、前記出力電力指令値を前記有効電力の出力上限値から出力下限値までの幅を超過する前記有効電力の電力量に基づいて算出する
    ことを特徴とする蓄電池システム。
  5. 請求項1から3のいずれか1項に記載の蓄電池システムであって、
    前記蓄電池システム制御装置は、前記出力電力指令値を前記発電源の出力有効電力検出値にハイパスフィルタ演算処理した電力量から算出する
    ことを特徴とする蓄電池システム。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の蓄電池システムであって、
    前記蓄電池システム制御装置は、予め指示される前記第1の蓄電池ユニットに対する充電率指令値を複数用意し切り替えて入力とする
    ことを特徴とする蓄電池システム。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の蓄電池システムであって、
    前記発電源が再生可能エネルギーに基づく電源である
    ことを特徴とする蓄電池システム。
  8. 請求項7に記載の蓄電池システムであって、
    前記再生可能エネルギーに基づく電源が太陽光発電システムである
    ことを特徴とする蓄電池システム。
  9. 請求項7に記載の蓄電池システムであって、
    前記再生可能エネルギーに基づく電源が風力発電システムである
    ことを特徴とする蓄電池システム。
  10. 発電源と電力系統との接続点に接続される蓄電池システムの制御方法であって、
    前記蓄電池システムが備える複数の蓄電池ユニットの出力電力指令値を算出して該複数の蓄電池ユニットを制御する際に、
    前記発電源が前記電力系統に向けて出力する有効電力の出力変動が所定の範囲内である場合に、前記複数の蓄電池ユニットの内の第1の蓄電池ユニットに対する出力電力指令値を、前記複数の蓄電池ユニットの内の他の蓄電池ユニットに対する出力電力指令値より絶対値の小さいにする第1のステップ、および、
    前記有効電力の出力変動が前記所定の範囲を超過する場合に、前記第1の蓄電池ユニットに対する出力電力指令値を、当該第1の蓄電池ユニットからの充放電を増加させる値にして前記他の蓄電池ユニットからの充放電で不足する電力分を補う第2のステップ
    により、前記発電源の出力変化率を抑制する蓄電池システムの制御方法。
  11. 請求項10に記載の蓄電池システムの制御方法であって、
    前記第1の蓄電池ユニットの定格容量と前記他の蓄電池ユニットの定格容量との比率に応じて前記複数の蓄電池ユニットそれぞれの出力電力指令値を割振る第3のステップを有し、前記第1および前記第2のステップによる制御と当該第3のステップによる制御とを時間帯に応じて切り替えることにより、前記発電源の出力変化率を抑制する蓄電池システムの制御方法。
  12. 請求項10または11に記載の蓄電池システムの制御方法であって、
    前記出力電力指令値を、前記有効電力の出力上限値から出力下限値までの幅を超過する前記有効電力の電力量に基づいて算出する
    ことを特徴とする蓄電池システムの制御方法。
  13. 請求項10または11に記載の蓄電池システムの制御方法であって、
    前記出力電力指令値を、前記有効電力の出力に基づいてハイパスフィルタ演算処理した電力量から算出する
    ことを特徴とする蓄電池システムの制御方法。
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