JP2019114895A - マルチバンドアンテナ - Google Patents
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Abstract
【課題】小型で動作周波数の要件を容易に満たしうるマルチバンドアンテナを提供すること。【解決手段】複数の周波数帯で動作するマルチバンドアンテナであって、給電点と、給電点に接続される第1の導体部と、第1の導体部から分岐し、線状の形状を有すると共に、その第1の導体部の逆側の端部は開放端である、少なくとも2つの第2の導体部と、を有する。そして、前記2つの第2の導体部の開放端は、グランド導体における前記給電点が接続される辺と平行な方向で同一の方向を向き、前記2つの第2の導体部は、前記辺と平行な部分における前記2つの第2の導体部の導体間距離が、第1の距離である一部と、当該第1の距離より短い第2の距離である他の一部とを有し、少なくとも前記他の一部において、前記2つの第2の導体部は電磁的に結合することを特徴とする。【選択図】図2
Description
本発明は、マルチバンドアンテナに関する。
近年、様々な電子機器に無線通信機能が搭載されている。また、一つの電子機器に複数の無線通信の規格を搭載する機器も増えてきており、これらの機器においては、それぞれの規格に対応した複数の周波数帯で動作するアンテナを実装する必要がある。また、機器の小型化に応じて、このような複数の周波数帯で動作するアンテナをできるだけ小さいスペースに配置することが要求される。このため、1つのアンテナが複数の動作帯域を持ち、かつ所望のアンテナ動作帯域幅を有することが求められている。
特許文献1には、二つの周波数帯で動作するデュアルバンドアンテナとして、無給電素子を付加することで構成する方法が提案されている。また、特許文献2には、デュアルバンドアンテナもしくはマルチバンドアンテナとして、広帯域なアンテナ特性をもつアンテナの構成が提案されている。
一般に、電子機器は小型化が要求されるため、電子機器の部品であるアンテナについても当然小型化することが要求される。また、無線に関する法律は各国で異なるため、同じ無線通信規格であっても各国で使用する周波数は異なる。そのため、電子機器が世界各国で販売されることを想定すると、例えば無線LANにおける5GHz帯では、主な国に対応するためには5GHzから6GHz程度の非常に広い動作帯域幅を達成するアンテナが要求される。
しかし、従来のアンテナは、小型で、かつ複数の周波数帯で動作し、また無線規格によっては広帯域で動作するという要件を十分に満足するものではないという課題があった。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、小型で動作周波数の要件を容易に満たしうるマルチバンドアンテナを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明に係るマルチバンドアンテナは、
複数の周波数帯で動作するマルチバンドアンテナであって、給電点と、給電点に接続される第1の導体部と、第1の導体部から分岐し、線状の形状を有すると共に、その前記第1の導体部の逆側の端部は開放端である、少なくとも2つの第2の導体部とを有し、前記2つの第2の導体部の開放端は、グランド導体における前記給電点が接続される辺と平行な方向で同一の方向を向き、前記2つの第2の導体部は、前記辺と平行な部分における前記2つの第2の導体部の導体間距離が、第1の距離である一部と、当該第1の距離より短い第2の距離である他の一部とを有し、少なくとも前記他の一部において、前記2つの第2の導体部は電磁的に結合することを特徴とする。
複数の周波数帯で動作するマルチバンドアンテナであって、給電点と、給電点に接続される第1の導体部と、第1の導体部から分岐し、線状の形状を有すると共に、その前記第1の導体部の逆側の端部は開放端である、少なくとも2つの第2の導体部とを有し、前記2つの第2の導体部の開放端は、グランド導体における前記給電点が接続される辺と平行な方向で同一の方向を向き、前記2つの第2の導体部は、前記辺と平行な部分における前記2つの第2の導体部の導体間距離が、第1の距離である一部と、当該第1の距離より短い第2の距離である他の一部とを有し、少なくとも前記他の一部において、前記2つの第2の導体部は電磁的に結合することを特徴とする。
本発明によれば、小型で動作周波数の要件を容易に満たすことができるマルチバンドアンテナを提供することができる。
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
[実施形態1]
本実施形態では、無線LAN(IEEE802.11a/b/g/n)の規格に準拠した無線通信機能で用いられるアンテナについて考える。IEEE802.11a/b/g/nの全てに対応するためには、2.4GHz帯と5GHz帯の両周波数帯で動作するデュアルバンドアンテナが要求される。ここで、上述のように、電子機器の筺体に組み込むアンテナは小型化が要求される。また無線通信機能を電子機器に組み込む場合、無線モジュール基板の各層から導体を取り除いてアンテナ領域を確保し、アンテナ領域にパターンアンテナをプリントして実装することが一般的である。また、アンテナはアンテナ周辺に物体が存在すると、電磁波の放射を妨げることになる。このため、アンテナの周囲にできるだけ物体が存在しない状態にするために、電子機器に組み込まれるアンテナは、周辺物体よりも飛び出した状態で実装されることが要求される。しかし、その電子機器を使用するユーザーの利便性の観点からは、そのような突起部分は少なくすることが重要である。
本実施形態では、無線LAN(IEEE802.11a/b/g/n)の規格に準拠した無線通信機能で用いられるアンテナについて考える。IEEE802.11a/b/g/nの全てに対応するためには、2.4GHz帯と5GHz帯の両周波数帯で動作するデュアルバンドアンテナが要求される。ここで、上述のように、電子機器の筺体に組み込むアンテナは小型化が要求される。また無線通信機能を電子機器に組み込む場合、無線モジュール基板の各層から導体を取り除いてアンテナ領域を確保し、アンテナ領域にパターンアンテナをプリントして実装することが一般的である。また、アンテナはアンテナ周辺に物体が存在すると、電磁波の放射を妨げることになる。このため、アンテナの周囲にできるだけ物体が存在しない状態にするために、電子機器に組み込まれるアンテナは、周辺物体よりも飛び出した状態で実装されることが要求される。しかし、その電子機器を使用するユーザーの利便性の観点からは、そのような突起部分は少なくすることが重要である。
図1は、無線LAN通信機能を持つ無線LANカード102が、ノートPC101のカードスロットに挿しこまれている状態を示す図である。この場合、無線LANカードに実装されるアンテナがノートPC101内に入り込むと、アンテナから放射される電磁波の放射が妨げられる。このため、図1では、無線LANカード102のアンテナ実装部分がノートPC101外にある状態となっている。しかし、このようなアンテナによる突起部が存在すると、例えばユーザが、何らかの作業中に、その突起部にひっかかってしまう可能性がある。したがって、無線LANカード102に実装されるアンテナは薄形、すなわちアンテナが構成される面積が、短辺が長辺に比して極力短い形状であり、ノートPC101より外に出るアンテナ突起部分を極力少なくすることが求められる。
このように、電子機器に組み込まれるアンテナには、アンテナ領域の1辺が極力短く、薄い形状が求められる場合がある。また、小型アンテナにおいては、アンテナに与えられる面積が小さいため、設計の自由度を十分に高く確保することが重要である。このため、以下では、モジュール基板上(平面上)にパターンで構成される、薄い形状の、小型で設計自由度の高いデュアルバンドアンテナの実施形態について説明する。
(アンテナの構成)
図2は本実施形態に係るデュアルバンドアンテナの構成例を示す正面図である。
図2は本実施形態に係るデュアルバンドアンテナの構成例を示す正面図である。
本実施形態に係るデュアルバンドアンテナは、給電点201、第1の導体部202、及び第1の導体部から分岐する2つの第2の導体部203並びに204で構成され、アンテナグランド205を備える。以下では、簡単のため、特に区別する必要がない場合は第1〜第2の導体部202〜204について、単に「導体部」と呼ぶ。
図2において、第1の導体部202と、第2の導体部203及び204とを黒色部分で示す。また、導体で構成されるアンテナグランド205を斜線部分で示す。アンテナグランド205には、実際には、無線機能を実現するための各種部品が実装されるが、本実施形態ではそれらの各種部品は考慮しない。2つの第2の導体部203及び204は、線状の形状を有し、第1の導体部202と接続されない側の端部は開放端である。また、2つの第2の導体部203及び204は、開放端近辺において近接し、結合する。ここでの「結合」とは、静電結合(容量結合)、磁気結合(誘導結合)、又はこれらの両方が混在する電磁結合を含む電磁的な結合を表す。なお、第1の導体部202、第2の導体部203及び204は、実際には基板の平面上にパターンで形成されるため、詳細に観察すると薄い板状の形状を有する。本明細書及び特許請求の範囲において、このような形状を含めて「線状の形状」と表現する。
デュアルバンドアンテナの各導体部およびアンテナグランドの上には、レジスト(絶縁体の保護被膜)がある。また、本実施形態では、2つの第2の導体部203及び204の開放端に対向する位置に、所定の距離だけ離してアンテナグランド205の一部が設けられるようにしている。これは、第2の導体部203及び204の開放端の少なくともいずれかとアンテナグランド205との距離(開放端とアンテナグランド205の領域との最短距離)が所定長以下となるようにアンテナグランド205を設けたものである。このようにすることで、図2のデュアルバンドアンテナの特性を向上させることができる。例えば、上述のように、第2の導体部203(及び204)の開放端とアンテナグランド205との距離を所定長以下とすることで、その範囲にアンテナグランド205がない場合と比べて、給電点201から電力を入力した場合の反射係数を小さくし、動作周波数帯域の幅を広げることができる。
なお、本実施形態では、2つの第2の導体部203及び204の開放端に対向する位置にアンテナグランド205を設けたが、これに限られない。すなわち、第2の導体部203及び204の開放端と、アンテナグランド205が占める領域との最小距離が所定長以下となるのであれば、開放端に対向する位置にアンテナグランド205が設けられなくてもよい。
各導体は、誘電体基板(FR4基板)206の平面上にパターンで形成されている。誘電体基板(FR4基板)206は、比誘電率は例えば4.2である。誘電体基板(FR4基板)206上で、アンテナグランド205が無い部分がアンテナ領域であり、図2では、アンテナ領域のサイズは15mm×5.5mmである。また、誘電体基板、導体部、レジスト全てを合わせた基板の厚さは、0.878mmである。このアンテナ領域のサイズは、IEEE802.11a/b/g/nで用いられる2.4GHz帯と5GHz帯のパターンアンテナとしては従来技術と比較して小型サイズであり、またアンテナ領域は短辺が長辺に比較して十分短い薄い長方形となっている。
図3は、図2に示すデュアルバンドアンテナの反射特性(S11)の、シミュレーション結果を示す図である。図から分かるように、IEEE802.11a/b/g/nで用いられる2.4GHz帯と5GHz帯の両周波数帯において十分な反射特性が得られ、これらの帯域でアンテナとして動作することが分かる。
また、2.4GHz帯に関しては、反射特性が−6dB以下の帯域幅が約100MHzである。無線LANで必要となる帯域幅は約70MHzであるため、無線LANで要求される動作帯域幅を確保できていることが分かる。一方、5GHz帯においては、無線LANのために広い動作帯域幅(約1GHz)が要求される。これに対して、本実施形態のデュアルバンドアンテナは、反射特性が−10dB以下の帯域幅が約1.8GHzである。したがって、本実施形態に係るデュアルバンドアンテナは、無線LANで要求される動作帯域幅と比較して非常に広い動作帯域幅を確保できていることが分かる。
(アンテナの動作)
続いて、本実施形態に係るデュアルバンドアンテナの動作について説明する。
続いて、本実施形態に係るデュアルバンドアンテナの動作について説明する。
(各導体の役割)
まず、第1の導体部202と、第1の導体部202から分岐している2つの第2の導体部203及び204の役割を説明する。
まず、第1の導体部202と、第1の導体部202から分岐している2つの第2の導体部203及び204の役割を説明する。
まず、2つの第2の導体部203及び204のいずれかを含まない構成での、本実施形態に係るアンテナの挙動を示す。導体部204を含まない構成は、図4に示すように、給電点201、導体部202、導体部203、アンテナグランド205、誘電体基板(FR4基板)206で構成されるアンテナとなる。この反射特性(S11)のシミュレーション結果は図5に示す通りであり、共振周波数は約3.25GHzであることが分かる。次に、導体部203を含まない構成は、図6に示すように、給電点201、導体部202、導体部204、アンテナグランド205、誘電体基板(FR4基板)206で構成されるアンテナとなる。この反射特性(S11)のシミュレーション結果は図7に示す通りであり、共振周波数は約6.25GHzであることが分かる。以上のことから、図2に示すデュアルバンドアンテナにおいて、導体部202〜導体部203の経路は主に低域側のアンテナ特性に寄与していることが分かる。また、導体部202〜導体部204の経路は主に高域側のアンテナ特性に寄与していることが分かる。
(導体間距離とアンテナ特性)
次に、導体部203及び204の導体間距離とアンテナ特性の変化の関係について説明する。
次に、導体部203及び204の導体間距離とアンテナ特性の変化の関係について説明する。
デュアルバンドアンテナにおいて、図8に示すように、高域側のアンテナ特性に寄与する導体部204の長さaを変化させ、導体部203及び204の導体間距離dの距離を変化させたときの反射特性のシミュレーション結果を図9に示す。
図9のシミュレーション結果から、低域側および高域側のそれぞれの共振周波数は、距離dが減少するにつれて低い方へシフトすることが分かる。このことから、導体部203及び204の導体間距離dを短くするにつれて、導体部203及び204間の結合が強くなり、高域側と低域側のそれぞれの共振周波数を低い方へシフトすることができる効果が得られることが分かる。なお、この場合、図9の2.4GHz帯の特性に着目すると、導体部203及び204の導体間距離dを短くするにつれて、アンテナ動作帯域幅が狭くなっていることが分かる。なお、図2のデュアルバンドアンテナのdは、0.1mmである。
(結合位置とアンテナ特性)
次に、導体部203及び204の結合する結合位置とアンテナ特性の変化の関係について説明する。
次に、導体部203及び204の結合する結合位置とアンテナ特性の変化の関係について説明する。
図10に示すように、導体部204の長さbを変化させ、導体部203及び204の結合位置を変化させる。図11は、図10の距離tを、1.0mm、2.0mm、3.0mmと変化させたときの反射特性の変化を示す図である。図11から、距離tが増加するにつれて、すなわち、導体部203及び204の結合位置が、低域側の第2の導体部203の開放端から離れるにつれて、2.4GHz帯の共振周波数が低い方へのシフト量が減っていることが分かる。また、図11から、距離tを増加するにつれて、2.4GHz帯のアンテナ動作帯域幅が広くなっていることが分かる。これは、2.4GHz帯での導体部203における導体部204との間の結合が弱まるからであると考えられる。すなわち、開放端に近い位置で結合させることにより、共振周波数を大きく低い方へシフトさせることができるという効果を得ることができる。なお、図1記載のデュアルバンドアンテナのtは、2.0mmである。
一方、5GHz帯の共振周波数には大きな変化はない。これは、tを変化させても、結合位置に導体部204の開放端が含まれる状況には変わりがないからであると考えられる。ただし、距離tを変化させると、主に5GHz帯で動作する導体部202、導体部204の経路が変化することになるため、この経路長の変化により5GHz帯の特性は、若干ではあるが変動する。
以上のように、tを変化させることにより、5GHz帯の動作周波数を大きく変化させずに、2.4GHz帯の動作周波数を大きく変化させることができる。
(結合部分の長さとアンテナ特性)
次に、導体部203及び204とが結合する、結合部分の長さとアンテナ特性の変化との関係について説明する。
次に、導体部203及び204とが結合する、結合部分の長さとアンテナ特性の変化との関係について説明する。
本説明では、図12に示すように、導体部204の長さcを変化させ、導体部203及び204の結合部分の長さを変化させ、その場合のアンテナ特性を示す。図13は、図12における結合部分の長さcを、1.5mm、2.5mm、3.5mmと変化させたときの反射特性を示す図である。図13から、長さcが長くなるにつれて、共振周波数が低い方へシフトしていることが分かる。つまり、導体部203及び204の結合部分の長さが増加するにつれて、導体部203及び204間の結合が強まり、結合が強まるにつれて共振周波数は低い方へシフトしていると考えられる。また、2.4GHz帯の特性に着目すると、導体部204の長さcを長くするにつれてアンテナ動作帯域が狭くなっていることが分かる。一方で、5GHz帯で動作する導体部202、導体部204の経路は、距離cを変化させると大きく変化することになる。このため、5GHz帯の特性においては、結合部分の長さの変化と共に、経路長の変化が共振周波数に影響を与えていると考えられる。なお、図1記載のデュアルバンドアンテナのcは、2.5mmである。
ここで、図12において、導体部204の長さcを延ばしていき、導体部204の開放端部が導体部203の開放端部を超えた場合、導体部203においては、導体部204との結合部分の長さおよび結合位置は変化しないこととなる。このため、この場合には、2.4GHz帯の動作周波数は大きく変化しない。しかし、導体部204においては、導体部203との結合位置は開放端から外れることになり結合位置が変化する。また導体部204の経路長も変化する。これを利用し、5GHz帯側の動作周波数を調整することができると考えられる。ただし、単にcの長さを変化させると、アンテナグランド205との結合の変化により、高域側及び低域側において、動作周波数の変動が生じうることに留意されたい。
上述の通り、導体部203及び204との結合が強固なものになるほど、それぞれの導体部に対応するアンテナの動作周波数が低い方へシフトすることが分かった。そして、本実施形態では、この結合の強さを調整するために、導体間距離、結合をさせる導体の位置関係、及び結合部分の長さの少なくともいずれかを用いることができることを示した。
アンテナは、一般に、動作する周波数が低周波になるほどサイズ(長さ)が大きくなる。一方で、本実施形態によれば、2つの導体間の結合により、低域側と高域側のそれぞれの共振周波数が低い方へシフトする。すなわち、結合により、アンテナは、その実際のサイズより大きいアンテナと同様の共振周波数を得ることができる。本実施形態のアンテナはこの効果を利用し、アンテナサイズの小型化を実現し、かつ、5GHz帯の動作帯域幅は、必要な動作帯域よりもはるかに大きな動作帯域を確保することができている。基本的なアンテナであるモノポールアンテナにおいては、アンテナ長は動作周波数帯の波長のおよそ4分の1にすることが知られている。一方で、本実施形態のようなデュアルバンドアンテナにより、導体部202と導体部203の長さの和は低域側の動作周波数の波長の4分の1より短く、導体部202と導体部204の長さの和は高域側の動作周波数の波長の4分の1より短くすることができる。なお、ここで述べた「波長」とは、アンテナが構成される空間における波長である。例えば、アンテナが自由空間中に構成される場合は自由空間中の波長であり、アンテナが無限に大きな誘電体中に構成される場合は誘電体中の波長である。また、本実施形態のように誘電体基板上にアンテナを構成する場合には、空気層、誘電体層に基づき求められる実効誘電率を用いて算出される波長である。
なお、実際のアンテナ設計時には、上述のように、導体部203及び204の導体間距離、導体部203及び204の結合部分の長さおよび位置を調整して結合の強さを調整する。それによって、2.4GHz帯および5GHz帯のインピーダンスを調整することが可能となり、自由度の高い設計が可能となる。この場合、上述のように結合を強めて共振周波数を低い方へシフトさせた場合、アンテナの動作帯域幅が狭くなる現象も起こるため、設計時には必要なアンテナ動作帯域幅を満たしながら小型化を図るように設計することが重要となることに留意されたい。また、アンテナ領域が狭くなり、アンテナ領域の短辺がさらに短くなると、導体部203及び204が給電点201付近のアンテナグランド205に近付くことで、そのアンテナグランド205と結合し、アンテナ特性に影響を与えうる。ただし、本実施形態に係るアンテナ構成は、アンテナ領域の短辺が短くなっても、導体部203および導体部204の開放端は、給電点201付近のアンテナグランド205から離れて平行に配置されている。このため、本実施形態に係るアンテナは、アンテナグランド205との結合が抑制される構成となっている。
また、本実施形態に係るデュアルバンドアンテナは、結合部分において、給電点201から導体部203の開放端へ向かう方向と、給電点201から導体部204の開放端へ向かう方向とが、同一又は略同一となっている。これにより、結合部分の長さや位置を、他のアンテナ導体と干渉することなく容易に変更することができ、このため、設計の自由度をさらに高めることが可能となる。
以上のように、図2に示すデュアルバンドアンテナの構成により、導体部203及び204で生じる結合の大きさを調整して所望のアンテナ特性を得ることで、薄型で小型、かつ設計自由度の高いデュアルバンドアンテナを実現することが可能となる。
本実施形態に係るデュアルバンドアンテナは、図2に示した形状以外の形状で実現することもできる。例えば、図14に、図2とは異なる基板上に設計した場合のデュアルバンドアンテナの正面図を示す。図14の例では、誘電体基板(FR4基板)の比誘電率は4.4である。誘電体基板(FR4基板)上でアンテナグランドが無い部分がアンテナ領域であり、アンテナ領域の形状は長方形ではない。アンテナ領域の寸法は、図14中に記載の通り、短辺の最大幅は8mmであり、長辺の幅は11.5mmである。図14においても、図2と同様に、黒色部分が導体部であり、斜線部分がアンテナグランドである。また、デュアルバンドアンテナの各導体部およびアンテナグランドの上には、レジストがある。誘電体基板、導体部、レジスト全てを合わせた基板の厚さは、0.7675mmである。
図15は、図14に示すデュアルバンドアンテナの反射特性(S11)のシミュレーション結果を示す図である。
図15に示すように、図14のデュアルバンドアンテナは、2.4GHz帯において反射特性が−6dB以下の帯域幅が約120MHzで、5GHz帯において反射特性が−10dB以下の帯域幅が約1.2GHzという反射特性を得られることが分かった。したがって、図14のデュアルバンドアンテナは、IEEE802.11a/b/g/nで用いられる2.4GHz帯と5GHz帯の両周波数帯で、要求される動作帯域幅と比較して非常に広い動作帯域幅を確保できることが分かった。すなわち、図14のような形態のデュアルバンドアンテナは、IEEE802.11a/b/g/nで用いるアンテナとして動作可能であることが分かった。
なお、本実施形態ではIEEE802.11a/b/g/nに用いる2.4GHz帯と5GHz帯で動作するデュアルバンドアンテナに関して述べたが、これ以外の周波数帯のデュアルバンドアンテナも同様に設計可能である。また本実施形態では、二つの動作周波数帯をもつデュアルバンドアンテナに関して述べたが、アンテナの導体部を増加させることで、さらに多くの動作周波数帯で動作するマルチバンドアンテナとすることもできる。具体的には、上述の説明では2つの第2の導体部203及び204を有する例を示したが、第2の導体部の数を3つ以上にすることによりマルチバンドアンテナとすることができる。この場合、マルチバンドアンテナを構成する複数の第2の導体部のうち、2つの第2の導体部を結合させることで、第2の導体部が2つの場合と同様の効果が得られる。また、例えば複数の第2の導体部を1つの結合部分で結合させても、2つの導体部間の結合の場合と同様の効果が得られる。
また、本実施形態では、デュアルバンドアンテナをFR4基板上に形成するパターンで実現したが、それ以外の例えば板金あるいは導線で構成されてもよいし、あるいはセラミック等の高誘電体部材内の導線で構成されてもよい。さらに、本実施形態では、本実施形態のデュアルバンドアンテナへの給電に関しては給電点のみを示しており、給電点までの給電線を詳細に説明していない。しかしながら、このような給電線は特に制限されるものではなく、例えば、マイクロストリップ線路・スロット線路・コプレーナ線路等に代表される平面回路、あるいは同軸線路、あるいは導波管等々の、電磁波を伝送する伝送線路であってもよい。
また、本実施形態では、導体部203及び204とは、結合部分において、給電点201からそれぞれの導体部の開放端へ向かう方向が同一又は略同一であり、かつ平行又は略平行に配置されたが、それに限られない。すなわち、導体部203及び204とは、互いに少なくとも一部が結合をし、かつ、結合部分の長さや位置を変更しても他のアンテナ導体へ干渉しない位置に配置されていればよい。例えば、導体部203及び204との距離が所定値以下である領域を結合部分として確保し、その部分では、例えば導体部203及び204の少なくともいずれかが波状や湾曲した形状をしていてもよい。
なお、この場合も、導体部203及び204の給電点から開放端へ向かう方向が、全体として反対の方向を向かないようにする。すなわち、少なくとも結合部分の一部において、導体の中心を通る線における給電点から開放端へ向かう方向により定められる、導体部203及び204のそれぞれに対する2つのベクトルの内積が正の値となるようにする。内積が正の値となるということは、2つの導体が延びる方向のなす角が90度未満であることを意味し、概ね同様の方向に2つの導体部が延びていることを示す。結合部分において2つの導体の給電点から開放端へ向かう方向が反対方向とならないことで、2つのアンテナ素子をそれぞれ構成する2つの導体の形状の設計の自由度が大きく向上する。すなわち、2つのアンテナの形状が互いの長さなどを制限することが少なくなり、アンテナ設計の自由度を高めることが可能となる。
また、本実施形態では、導体部203及び204の開放端付近で結合させたが、結合部分が開放端でない部分にあってもよい。すなわち、導体部203及び204の端部においては結合させず、それ以外の箇所で結合させてもよい。このようにすることにより、さらに設計の自由度を高めることが可能となる。
[実施形態2]
実施形態1では、図2および図14の構成のデュアルバンドアンテナについて述べた。本実施形態では、実施形態1で述べたデュアルバンドアンテナの導体部203の形状を工夫することにより、導体部203及び204の導体間距離dの距離を長くすることが可能であることを示す。また、低域側のアンテナ特性を広帯域にすることが可能であることも示す。
実施形態1では、図2および図14の構成のデュアルバンドアンテナについて述べた。本実施形態では、実施形態1で述べたデュアルバンドアンテナの導体部203の形状を工夫することにより、導体部203及び204の導体間距離dの距離を長くすることが可能であることを示す。また、低域側のアンテナ特性を広帯域にすることが可能であることも示す。
本実施形態で用いるデュアルバンドアンテナ正面図を図16に示す。図16記載の誘電体基板(FR4基板)1606、アンテナグランド1605、レジストは、実施形態1と同様のものである。また、誘電体基板、導体部、レジスト全てを合わせた基板の厚さも実施形態1と同様で、0.878mmである。ただし、図16の構成では、実施形態1とは異なり、導体部1603がメアンダライン形状となっている。このようにアンテナの形状をメアンダライン形状にすることにより、導体部1603の経路長を図2の導体部203より長くすることが可能となる。実施形態1で述べたように、図2の導体部203及び204の結合を強くすればするほど、アンテナの動作周波数は低い方へシフトする。また、アンテナは導体の経路長が長ければ長いほど、アンテナの動作周波数は低い方へシフトする。
本実施形態では、図16の導体部1603をメアンダライン形状にし、導体の経路長を図2の導体部203よりも長くしたため、低域側の動作周波数が図2の低域側のアンテナと比して低下することとなる。このため、図16では、低域側の動作周波数を下げるための導体部1603と導体部1604の結合は、図2の導体部203及び204の結合よりも弱い結合でよい。このため、本実施形態では、図16の導体部1603と導体部1604の導体間距離dを0.15mmとしている。
図17は、図16に示すデュアルバンドアンテナの、反射特性(S11)のシミュレーション結果である。ここで、実施形態1で述べた図2のアンテナ特性である図3と、図16のアンテナ特性である図17を比較すると、2.4GHz帯および5GHz帯において、反射特性が−6dB以下の帯域幅はほぼ同等のものが得られている。また、低域側の共振周波数は図3と図17とでほぼ同様の特性を得られている。
ここで、図2の導体部203及び204の導体間距離dは、0.1mmであり、一方で、図16の導体部1603と導体部1604の導体間距離dは、上述の通り、0.15mmである。すなわち、図16のように導体部1603をメアンダライン形状にすることにより、導体間距離dを広げたとしても、図2の構成のデュアルバンドアンテナとほぼ同様の低域側の特性を得ることが可能となる。ここで、上述のように、導体間距離dは結合の強さを決定し、アンテナ動作周波数を決定する役割をもつ。図2の導体間距離dは0.1mmであり、非常に短い距離であり、これはデュアルバンドアンテナを製造する場合、アンテナ特性の誤差の要因となる可能性がある。このため、本実施形態のようにして、導体間距離dを長くすることができるようになることで、設計が容易になるという効果が得られる。
一方、図16のアンテナは、導体部1604についてはメアンダライン形状としておらず、かつ結合が図2の場合と比較して弱いため、高域側の共振周波数は、図3の場合と比較して高いままである。しかしながら、高域側についても、同様に導体部1604をメアンダライン形状とすることにより、共振周波数を下げることは可能である。したがって、本実施形態のようにメアンダライン形状を用いて共振周波数を下げることにより、結合のための導体間距離dの自由度を高め、設計を容易にすることが可能となる。
次に、上述した図16のデュアルバンドアンテナのようにメアンダライン形状を用いて、さらに、各導体部の長さおよび位置を調整した場合のデュアルバンドアンテナ正面図を図18に示す。図18の導体部1803と導体部1804の導体間距離dは0.4mmである。図19に、図18に示すデュアルバンドアンテナの、反射特性(S11)のシミュレーション結果を示す。
図3と図19を比較すると、図2のアンテナ構成では2.4GHz帯において−6dB以下の反射特性を得られる帯域幅が約100MHzであったのに対し、図18のアンテナ構成により、それが約180MHzまで拡大したことが分かる。実施形態1で示したように、結合が弱まるとアンテナ動作帯域が広帯域化する。したがって、本実施形態の図18のように導体部1803をメアンダライン形状の構成にすることで、図2のアンテナ構成と比して2つの導体部1803と導体部1804の結合を弱めることができ、2.4GHz帯のアンテナ動作帯域を広帯域化できる。
なお、本実施形態では導体部1803のみをメアンダライン形状としたが、導体部1804のみ、あるいは導体部1803と導体部1804両方をメアンダライン形状とすることでも同様の効果を得ることが可能である。また、本実施形態では、導体部の経路長を長くする方法として導体部の形状をメアンダライン形状としたが、経路長を長くできる形状であればその他の形状でもよい。
[実施形態3]
アンテナを電子機器の筺体内に組み込んだ場合、アンテナ特性は電子機器の筺体の部材の影響を受けて特性が変動する。これはアンテナに空気よりも大きな誘電率を持つ部材を近接させた場合にアンテナ動作周波数が低い方へシフトすることからも分かる。
アンテナを電子機器の筺体内に組み込んだ場合、アンテナ特性は電子機器の筺体の部材の影響を受けて特性が変動する。これはアンテナに空気よりも大きな誘電率を持つ部材を近接させた場合にアンテナ動作周波数が低い方へシフトすることからも分かる。
このため、アンテナを電子機器の筺体内に組み込んだ場合、アンテナの動作周波数がシフトしてしまうため、アンテナ特性を調整する必要がある。例えば、1つのみの動作周波数帯をもつアンテナの場合、筺体組み込み時のアンテナ特性のシフトはアンテナに接続される整合回路で調整が可能である。しかし、デュアルバンドアンテナを電子機器の筺体内に組み込んだ場合、アンテナ特性のシフトは低域側と高域側の二つの動作周波数帯において生じ、二つの周波数帯それぞれに関してアンテナ特性を調整する必要がある。
本実施形態では、実施形態1で説明したデュアルバンドアンテナを電子機器の筺体に組み込んだ際に、変動するアンテナ特性の調整に関して説明する。
本実施形態で説明するデュアルバンドアンテナは、実施形態1と同様に、IEEE802.11a/b/g/nで用いられる2.4GHz帯と5GHz帯の両周波数帯で動作するデュアルバンドアンテナとする。デュアルバンドアンテナの構成は、実施形態1と同様に図2に示すような構成であり、そのアンテナ特性は図3に示すように2.4GHz帯および5GHz帯で動作するものとする。高域側(5GHz帯)の動作帯域幅は必要な動作帯域幅に比べて非常に大きな動作帯域幅を確保している。
実施形態1で説明したデュアルバンドアンテナを、電子機器の筺体内に組み込んだ場合について考える。この場合、電子機器の筺体の影響を受けて、2.4GHz帯と5GHz帯のアンテナ動作周波数がシフトする。そこで、本実施形態では、図2に記載のデュアルバンドアンテナに誘電体物質を接触又は近接させて付加し、アンテナ特性を調整する方法について説明する。
本実施形態で付加する誘電体物質は、比誘電率が1よりも大きいシート状の誘電体シートとする。誘電体シートは、図2に記載のデュアルバンドアンテナの、導体部202〜204およびアンテナグランド205が存在する側の基板全面に貼りつけてあり、厚さは0.2mm、比誘電率は4.4であるものとする。図20は、上述した誘電体シートを貼りつけたデュアルバンドアンテナの、反射特性(S11)のシミュレーション結果を示す図である。
ここで、実施形態1で述べた誘電体シートを貼りつけていない図2のアンテナのアンテナ特性である図3と、誘電体シートを貼り付けた場合の同様のアンテナのアンテナ特性である図20を比較する。
まず、2.4GHz帯について比較する。図3の2.4GHz帯の反射特性(S11)を見ると、共振周波数は約2.46GHzであり、図20の2.4GHz帯の反射特性(S11)を見ると、共振周波数は約2.24GHzである。これより、2.4GHz帯の共振周波数は、誘電体シートを貼りつけた方が低い方へシフトするということが分かる。次に、5GHz帯について比較する。図3の5GHz帯の反射特性(S11)を見ると、共振周波数は約5.7GHzであり、図20の5GHz帯の反射特性(S11)を見ると、共振周波数は5.45GHzである。これより、5GHz帯の共振周波数においても、誘電体シートを貼りつけた方が低い方へシフトするということが分かる。
アンテナに誘電体シートを貼りつけることで、アンテナ近傍の電磁波の波長を短縮することができ、それにより共振周波数を低い方へシフトさせることができる。電磁波の波長短縮の割合は、誘電体シートの比誘電率、厚さおよび面積の少なくともいずれかにより制御することができる。誘電体シートの比誘電率を高くすると、アンテナの共振周波数はさらに低い方へシフトする。また、誘電体シートの厚みを大きくすると、アンテナの共振周波数はさらに低い方へシフトする。また誘電体シートの面積を大きくして、アンテナに誘電体シートが貼りつけられる面積が大きくなると、アンテナの共振周波数はさらに低い方へシフトする。
なお、ここまで述べてきたように、例えば2.4GHz帯の共振周波数を低い方へシフトするためにアンテナ全体を覆う誘電体シートを用いると、5GHz帯の共振周波数まで低い方へシフトする。しかし、実施形態1でも述べたように、本実施形態のデュアルバンドアンテナの高域側(5GHz帯)の動作帯域幅は必要な動作帯域幅に比べて非常に大きな動作帯域幅を確保している。本アンテナは、結局のところ、無線LANの使用帯域幅においてアンテナとして動作すればよい。このため、誘電体シートを貼りつけることで高域側(5GHz帯)の動作周波数が低い方へシフトすることになっても、本デュアルバンドアンテナにおいては非常に大きな動作帯域幅を確保しているため、それが実用上問題となることは稀と考えられる。
このように、デュアルバンドアンテナにおける一方のバンド(本例では高域側)の動作帯域幅が、要求される動作帯域幅よりはるかに広帯域な場合は、筺体組み込み時のアンテナ特性変動の調整は、他方(低域側)のアンテナ特性にのみ着目して行われてもよい。したがって、図2のようなデュアルバンドアンテナ構成により、組み込み対象の電子機器が複数機種にわたり、アンテナ特性が様々に変動する場合でも、誘電体シートで2.4GHz帯の特性のみを調整することで、機器によらず適切なアンテナ特性を実現できる。これにより、製品組み込み時のアンテナ特性を維持しつつ、アンテナ実装の開発工数を削減することが可能となり、筺体組み込み時のアンテナ特性の最適化を容易にすることができる。
なお、実施形態1で述べたとおり、図2に示したデュアルバンドアンテナにおいて、導体部202、導体部203の経路は主に低域側のアンテナ特性に寄与していることが分かっている。また、導体部202、導体部204の経路は主に高域側のアンテナ特性に寄与していることも分かっている。したがって、低い方へシフトさせたい周波数帯に応じて、誘電体シートの貼りつける箇所を選んでもよい。これにより、より効果的に調整を行なうことができる。例えば、2.4GHz帯を低域にシフトさせる場合には、アンテナ全体ではなく、図2の導体部202及び導体部203近傍に誘電体シートを貼りつけてもよい。さらに、図14、図16又は図18のようなアンテナに対しても、同様の方法により2.4GHz帯の動作周波数を調整することで、アンテナ全体として適切な動作周波数の調整を行うことが可能となる。
また、本実施形態では、基板全面にシート状の誘電体物質を貼りつける場合について述べたが、誘電体シートは大きな厚みを持つ誘電体物質でもよい。また誘電体シートおよび誘電体物質は、アンテナへ貼りつけるだけでなく所定距離の範囲内で離して配置させることでもアンテナ特性を調整することができる。誘電体シートおよび誘電体物質をアンテナに所定距離の範囲内で離して配置してアンテナ特性を調整する場合の所定距離は、アンテナが動作する周波数に依存する。本実施形態のような2.4GHz帯および5GHz帯で動作する無線LAN用のデュアルバンドアンテナにおいては、約10mm以内にすればアンテナ特性の調整を効率良く行なうことができる。
[実施形態4]
上述の実施形態では、誘電体基板(FR4基板)の同一平面上に、導体部の全てを配置する構成について述べた。これに対して、本実施形態のデュアルバンドアンテナは、誘電体基板(FR4基板)の両面に導体部を配置し、第2の導体部の結合部分が誘電体基板(FR4基板)を挟んで対向するように構成される。すなわち、例えば、2つの第2の導体部が、結合部分において、1つが第1の平面に形成されると共に、もう1つが第1の平面とは異なる第2の平面に形成されるようにする。このとき、第1の平面は誘電体基板の表面であり、第2の平面は誘電体基板の裏面である。また、例えば、第1の平面は多層基板の第1の層と第2の層との間の平面であり、第2の平面はその多層基板の第2の層と第3の層との間の平面であってもよい。このような構成において、例えば誘電体基板を挟んで対向する位置に2つの第2の導体部を配置することで、2つの導体部の互いの間の距離を所定の距離以下として、これらの導体部を結合させる。以下では、この構成と、このようにすることで結合部分の線幅で結合量を調整可能であることについて、また、このような構成のアンテナは、高い製造精度を必要とせずに製造可能であることについて、説明する。
上述の実施形態では、誘電体基板(FR4基板)の同一平面上に、導体部の全てを配置する構成について述べた。これに対して、本実施形態のデュアルバンドアンテナは、誘電体基板(FR4基板)の両面に導体部を配置し、第2の導体部の結合部分が誘電体基板(FR4基板)を挟んで対向するように構成される。すなわち、例えば、2つの第2の導体部が、結合部分において、1つが第1の平面に形成されると共に、もう1つが第1の平面とは異なる第2の平面に形成されるようにする。このとき、第1の平面は誘電体基板の表面であり、第2の平面は誘電体基板の裏面である。また、例えば、第1の平面は多層基板の第1の層と第2の層との間の平面であり、第2の平面はその多層基板の第2の層と第3の層との間の平面であってもよい。このような構成において、例えば誘電体基板を挟んで対向する位置に2つの第2の導体部を配置することで、2つの導体部の互いの間の距離を所定の距離以下として、これらの導体部を結合させる。以下では、この構成と、このようにすることで結合部分の線幅で結合量を調整可能であることについて、また、このような構成のアンテナは、高い製造精度を必要とせずに製造可能であることについて、説明する。
本実施形態に係るデュアルバンドアンテナの正面図を図21(a)に、斜視図を図21(b)にそれぞれ示す。このデュアルアンテナにおいて、誘電体基板(FR4基板)2106、アンテナグランド2105、及びレジストは、実施形態1と同様のものである。また、誘電体基板、導体部、及びレジストの全てを合わせた基板の厚さも、実施形態1と同様であり、0.878mmである。ただし、このデュアルアンテナの構造は、実施形態1とは異なり、2つの第2の導体部2103及び2104が、誘電体基板において互いに対向する面上に構成される。すなわち、例えば、図21(b)に示すように、導体部2104は誘電体基板において、第1の導体部2102と同じ面に形成され、一方で、導体部2103は、誘電体基盤の対向面に形成される。なお、図21(a)及び(b)に示すように、2つの導体部2103及び2104の結合部分である開放端部分は、基板面垂直方向から見た場合、お互いが重なり合って形成される。導体部2104が構成される面の対向面に構成される導体部2103は、ビア2107を介して給電点2101及び第1の導体部2102に接続される。
このような構成にした場合、導体部2103と導体部2104との結合の強さは、導体部2103と導体部2104の結合部分の線幅wによって調整することができる。以下、2つの導体部2103及び2104の、結合部分を含む導体の線幅とアンテナ特性の変化との関係について説明する。
図22(a)〜(c)は、図21(a)における、第2の導体部2103及び2104の結合部分を含む導体の線幅wを、0.3mm、0.6mm、0.9mmと変化させたときの反射特性のシミュレーション結果を示す図である。なお、図22(b)の特性は、導体の線幅wを0.6mmに設定した場合に、デュアルバンドアンテナが無線LANの使用帯域幅で動作するように、各導体部の長さを調整した場合に得られた反射特性である。そして、図22(a)及び(c)は、各導体部の長さを図22(b)の測定時における値に固定して、導体の線幅wをそれぞれ0.3mmと0.9mmとに調整した場合に得られた反射特性である。
図22(a)〜(c)から、線幅wが太くなるにつれて、共振周波数が低い方へシフトしていることが分かる。すなわち、導体部2103及び2104の結合部分の線幅が増加するにつれてその結合部分における導体間の結合が強まり、結合が強まるにつれて共振周波数が低い方へシフトしていると考えられる。また、2.4GHz帯および5GHz帯それぞれの特性に着目すると、2つの導体部2103及び2104の線幅wを太くするにつれて、アンテナ動作帯域が狭くなっていることが分かる。
一方、図21の構成は、給電点2101、第1の導体部2102、第2の導体部2104が構成されている誘電体基板の面の対向面に、もう1つの第2の導体部2103を形成した構成をとっているが、このような構成でなければならないわけではない。結合部分を含む導体幅の線幅を変化させて結合の特性を調整することができる構成であれば、例えば、図23のような構成であってもよい。
図23(a)及び(b)に、本実施形態に係るデュアルバンドアンテナの別の構成例の正面図と斜視図とをそれぞれ示す。ここで、このデュアルバンドアンテナの誘電体基板(FR4基板)2306、アンテナグランド2305、及びレジストは、実施形態1と同様のものである。また、誘電体基板、導体部、及びレジストの全てを合わせた基板の厚さも実施形態1と同様で、0.878mmである。このデュアルバンドアンテナでは、図21(b)に示す導体部2103のように、低域側のアンテナ特性に寄与する導体部の全体を誘電体基板の対向面に構成するのではなく、導体部のうち、結合部分を含む一部分を誘電体基板の対向面に構成している。また、図23(b)に示すように、2つの第2の導体部2303及び2304の結合部分である開放端部分は、基板面の垂直方向から見た場合、お互いが重なり合う構造となっている。2つの面に跨って構成されている導体部2303の接続部分は、ビア2307を介して接続されている。
続いて、このような構成においても、2つの導体部2303及び2304の結合の強さを結合部分の線幅wによって調整することができることについて、図24(a)〜(c)を用いて示す。図24(a)〜(c)は、図23における2つの導体部2303及び2304の結合部分を含む導体の線幅wを、0.3mm、0.6mm、0.9mmと変化させたときの反射特性のシミュレーション結果を示す図である。なお、図24(b)の特性は、導体の線幅wを0.6mmに設定した場合に、デュアルバンドアンテナが無線LANの使用帯域幅で動作するように、各導体部の長さを調整した場合に得られた反射特性である。そして、図24(a)及び(c)は、各導体部の長さを図24(b)の測定時における値に固定して、導体の線幅wをそれぞれ0.3mmと0.9mmとに調整した場合に得られた反射特性である。
図24(a)〜(c)から、図23のデュアルバンドアンテナにおいても、線幅wが太くなるにつれて共振周波数が低い方へシフトしていることが分かる。また、2.4GHz帯および5GHz帯それぞれの特性に着目すると、2つの導体部2303及び2304の線幅wを太くするにつれて、アンテナ動作帯域が狭くなっていることが分かる。すなわち、図23の構成においても、図21の構成と同様に、wが大きくなるにつれて結合部分における結合が強くなっていることが分かる。
以上のように、本実施形態のデュアルバンドアンテナの特徴である、結合部分の線幅によって結合の強さを調整するためには、2つの導体部の結合部分のそれぞれが、誘電体基板の両面に対向するように、それぞれ形成されていればよい。このため、同様の効果を得るために、例えば、図21において、2つの第2の導体部2103及び2104の位置関係を入れ替えてもよい。すなわち、給電点2101、第1の導体部2102、及び第2の導体部2103を誘電体基板の同一面に形成し、その対向面にもう1つの第2の導体部2104を形成してもよい。また、図21において、2つの導体部2103又は2104の結合部分のみが、誘電体基板の対向面に形成されてもよい。
なお、本実施形態のデュアルアンテナによれば、実施形態1で示した構成と異なり、導体間距離dが小さな値でなくてもよい。実施形態1においては、導体間距離dは、結合の強さを決定すると共にアンテナ動作周波数を決定する役割を有する。したがって、導体間距離dの誤差が、アンテナ特性に影響を与える場合がある。また、実施形態1で述べたような構成では、例えば、図2に示したデュアルバンドアンテナにおける導体間距離dの値は0.1mmであり、導体間の結合の強さを調整するために導体間距離dの値が非常に短くなる場合がある。したがって、微小な導体間距離を正確に確保するために、高精度な製造プロセスが必要となる。一方で、本実施形態のデュアルバンドアンテナは、結合部分の導体幅wによって導体間の結合の強さを調整できるため、導体間距離dの値を短くすることなく、結合部分の導体幅wによって結合の強さを調整することができる。したがって、本実施形態のデュアルバンドアンテナは、実施形態1に記載のデュアルバンドアンテナの製造プロセスより低精度の製造プロセスで、比較的容易に製造することができる。
次に、本実施形態では2つの導体部の結合部分それぞれが誘電体基板の両面に構成されているが、この誘電体基板の効果について説明する。実施形態1及び2で述べたように、2つの第2の導体部の結合部分の導体間距離は、結合の強さに大きな影響を与える。本実施形態の構造においても、導体間距離は結合の強さに影響を与え、アンテナ特性にも影響を与えると考えられる。このため、本実施形態に係るデュアルアンテナは、結合部分において所定の導体間距離を保つことができる構造であることが要求される場合がある。
誘電体基板上に導体部を構成しない場合、アンテナの導体部は形状を保持する構造体がないため、製造時の導体部への接触や、経年変化等により導体部が変形し、アンテナ特性への影響が大きい結合部分の導体間距離も変化しうる。しかし、本実施形態のように、2つの導体部の結合部分のそれぞれを誘電体基板の両面にそれぞれ構成することにより、結合部分の導体間距離は誘電体基板の厚さに保たれる。このため、誘電体基板がない場合と比較してアンテナ特性が劣化する要因を少なくすることができる。
また、誘電体基板には、電磁界を集中させる効果がある。そのため、2つの導体部の結合部分のそれぞれを誘電体基板の両面にそれぞれ構成することで、その結合部分の間に生じる電磁界は誘電体基板がない場合に比べて大きくなる。したがって、本実施形態のデュアルバンドアンテナは、電磁界が2つの導体部の結合部分に集中することにより、誘電体基板がない場合と比べて、結合部分となる2つの導体部の間に生じる結合を強くすることができる。このように、導体の線幅を太くすることなく結合を強めることができるため、本実施形態のデュアルバンドアンテナは、誘電体基板がない場合と比べて、さらなる小型化が可能である。
また、無線モジュール基板の各層から導体を取り除いてアンテナ領域を確保し、そのアンテナ領域へプリントすることによって、上述の誘電体基板上に構成されるアンテナを作製することができる。これにより、上述のアンテナの作製は容易となり、金属板を折り畳むことなどによって構成されるアンテナに比べて、少ないコストで製造が可能となる。また、誘電体基板上に構成されるアンテナの厚みは誘電体基板の厚みと等しくなるため、アンテナ全体として、誘電体基板の厚みよりも大きな厚みを必要としない。また、上述した構成によれば、例えば、無線モジュール基板を構成する誘電体基板にも、誘電体基板よりも大きな厚みを持たせることなくアンテナを構成することが可能となり、アンテナによる突起部分が少ない構造とすることができる。
また、上述した実施形態では、結合部分を有する2つの第2の導体部を、誘電体基板の両面それぞれに構成する場合について説明したがこれに限られない。例えば、誘電体基板が多層構造となっている場合には、2つの導体部の結合部分を別々の層に構成することにより、同様の効果を得ることができる。すなわち2つの導体部の結合部分はお互いが対向していればよいのであって、誘電体基板の両面でなくとも、お互いが対向することが可能な別々の層に構成されればよい。またこの場合、実施形態1と同様に、アンテナの導体部を増加させることで、さらに多くの動作周波数帯で動作するマルチバンドアンテナとすることもできる。各導体部の結合部分を、必要に応じて多層構造となっている誘電体基板の別々の層に構成して結合させることで、上述の効果を得ることが可能である。また、上述の実施形態では、結合部分を有する2つの導体部の線幅は同じ太さであったが、線幅は異なる太さであってもよい。
また、上述の実施形態では、結合部分を有する2つの導体部は基板面垂直方向から見た場合、お互いが重なり合う構造となっていたが、重なり合わなくても、結合が生じる関係であればどのような構成であってもよい。例えば、2つの導体部の結合部分が、ねじれの関係にあってもよい。また2つの導体部の結合部分の一部が重なり合い、残りの部分が重なり合っていなくてもよい。
また、本実施形態で説明した構造においても、実施形態2のように、導体部をメアンダライン形状にしてもよい。また、本実施形態で説明した構造においても、実施形態3のように、誘電体シートおよび誘電体物質を貼りつけ、または近接させることにより、アンテナの動作周波数を調整してもよい。
また、誘電体基板面の垂直方向から見た場合に、アンテナグランドの面とアンテナの導体部とが重なる構造では、アンテナの導体部からアンテナグランドの面へ向かう方向において、アンテナグランドの面に遮られ、放射される電磁波の強度が著しく減衰しうる。一方で、無線通信機能が電子機器に搭載される場合、その電子機器と通信する対向機器が存在する場所は一定ではない場合があるため、方向によって電磁波の強度が著しく弱いと対向機器との通信が困難となる場合がある。これに対して、本実施形態のアンテナの構成では、アンテナグランドの面とアンテナの導体部とが重ならないアンテナ構造とすることで、アンテナから放射される電磁波を方向によらずまんべんなく放射することが可能となる。
[実施形態5]
実施形態4では、誘電体基板(FR4基板)の両面に導体部を配置し、第2の導体部の結合部分が誘電体基板(FR4基板)を挟んで対向するように構成されるデュアルバンドアンテナについて述べた。上述した実施形態においては、給電点201において、2.4GHz帯あるいは5GHz帯の電磁波が給電されて、アンテナの一部である導体部202を経由して、アンテナから2.4GHz帯あるいは5GHz帯の電磁波が放射される。
実施形態4では、誘電体基板(FR4基板)の両面に導体部を配置し、第2の導体部の結合部分が誘電体基板(FR4基板)を挟んで対向するように構成されるデュアルバンドアンテナについて述べた。上述した実施形態においては、給電点201において、2.4GHz帯あるいは5GHz帯の電磁波が給電されて、アンテナの一部である導体部202を経由して、アンテナから2.4GHz帯あるいは5GHz帯の電磁波が放射される。
本実施形態では、別の給電方法を用いたアンテナ構成について述べる。実施形態1で述べたように、アンテナは、無線機能を実現するためのハードウェアである無線モジュール基板上に構成される。この無線モジュールには、無線機能を処理するための無線ICが実装され、無線ICの無線信号入出力端子において2.4GHz帯あるいは5GHz帯の無線信号の入出力が行われる。すなわち、無線ICの無線信号入出力端子は、無線モジュール基板上の伝送線路を経由し、フィルタ・整合回路等の部品を経由し、伝送線路からアンテナへ接続される。伝送線路の例としては、マイクロストリップ線路、ストリップ線路、スロット線路、コプレーナ線路、コプレーナストリップ線路、サスペンデッド・マイクロストリップ線路、インバーテッド・マイクロストリップ線路等がある。
本実施形態で述べるアンテナ構成およびアンテナに給電するための伝送線路の構成を図25に示す。図25に示すように、無線信号入出力端子2501は、無線モジュール基板上の伝送線路(コプレーナ線路)2502に接続される。ここで、上述したように、無線信号入出力端子2501は無線ICの端子であり、2.4GHz帯あるいは5GHz帯の無線信号の入出力が行われる。伝送線路2502は、途中で分岐しており、分岐した伝送線路2503のそれぞれは、アンテナ領域に存在するアンテナの、導体部2504および導体部2505それぞれに接続されている。そのため、図25から分かるように、アンテナの構成は上述の実施形態1〜4で述べたアンテナ構成とは異なる。
図25において、分岐した伝送線路2503の長さをeとし、伝送線路2502と分岐した伝送線路2503の長さの和を一定とし、分岐した伝送線路2503の長さeを変化させた時の、無線信号入出力端子から電力を入力した場合の反射特性(S11)のシミュレーション結果を図26に示す。まず、図26(a)の反射特性(S11)から分かるように、図25のような構成においても、実施形態1〜4と同様に、2.4GHz帯および5GHz帯ともにデュアルバンドアンテナとして良好な特性を確保している。すなわち、無線信号入出力端子に接続される伝送線路が途中で分岐し、分岐したそれぞれの伝送線路が、図25に示すようなアンテナに接続されるような構成においても良好なデュアルバンドアンテナが実現可能であることが分かる。
次に、分岐した伝送線路2503の長さeを変化させた時の、反射特性(S11)を比較する。図26(a)はe=0.8mm、図26(b)はe=1.8mm、図26(b)はe=2.8mmの反射特性(S11)の結果である。ここで、それぞれの2.4GHz帯および5GHz帯の共振周波数を比較する。図26(a)のe=0.8mmの場合、2.4GHz帯の共振周波数は約2.47GHzであり、5GHz帯の共振周波数は約5.46GHzである。図26(b)のe=1.8mmの場合、2.4GHz帯の共振周波数は約2.45GHzであり、5GHz帯の共振周波数は約5.3GHzである。図26(c)のe=2.8mmの場合、2.4GHz帯の共振周波数は約2.43GHzであり、5GHz帯の共振周波数は約5.17GHzである。以上から、eの長さを長くすればするほど、2.4GHz帯の共振周波数および5GHz帯の共振周波数は、低域にシフトしていることが分かる。すなわち、分岐した伝送線路2503の長さを調整することで、2.4GHz帯および5GHz帯の共振周波数を調整することが可能となる。
以上より、図25で示すようなアンテナ構成およびアンテナに給電するための伝送線路の構成において、分岐した伝送線路の長さを調整することによってアンテナの共振周波数を調整することが可能であることが分かった。
なお、本実施形態で述べた、図25に記載のアンテナの結合部分は、図24に記載のアンテナと同様に、2つの導体部のうち、導体部2505が第1の平面に形成されると共に、導体部2504の一部が第1の平面とは異なる第2の平面に形成されるようにした。しかし、アンテナ構成はこれに限られるものではなく、例えば、図3に記載のアンテナのように、結合部を構成する2つの導体部が同一平面上に構成されていてもよいし、図17に記載のアンテナのように、アンテナを構成する導体部の一部がメアンダ形状を含むものであってもよい。また、導体部2504のすべてが第1の平面に形成されると共に、導体部2505のすべてが第1の平面とは異なる第2の平面に形成されるようにしてもよい。
また、本実施形態で述べた、無線ICの無線信号入出力端子とアンテナ間を接続する伝送線路は、無線ICの無線信号入出力端子に接続された伝送線路2502が途中で分岐し、その分岐した伝送線路2503のそれぞれが、アンテナ領域に存在するアンテナの、導体部2504及び導体部2505に接続されている場合について述べた。しかし、無線ICの無線信号入出力端子とアンテナ間を接続する伝送線路はこれに限られるものではない。
本実施形態の無線ICの無線信号入出力端子は、1つの無線信号入出力端子から、2.4GHz帯および5GHz帯の無線信号が入出力されることを前提としたため、上述の伝送線路の構成となった。しかし、無線ICの2.4GHz帯および5GHz帯の無線信号入出力端子が、それぞれ別の入出力端子を有している無線ICも存在する。その場合、例えば、アンテナに接続する2本の伝送線路(分岐した伝送線路2053に相当)それぞれが、無線ICの2.4GHz帯の無線信号入出力端子と、5GHz帯の無線信号入出力端子に接続される構成としてもよい。またその場合、無線ICの2.4GHz帯の無線信号入出力端子に接続される伝送線路はアンテナの導体部2504に接続され、5GHz帯の無線信号入出力端子に接続される伝送線路はアンテナの導体部2505に接続されるようにしてもよい。これは、アンテナの導体部2504は2.4GHz帯のアンテナ動作により大きく寄与し、アンテナの導体部2505は5GHz帯のアンテナ動作により大きく寄与するためである。
また伝送線路2502には、整合回路が実装されてもよい。また、分岐した伝送線路2503のそれぞれには、整合回路が実装されてもよい。
また本実施形態では、無線機能を実現するためのハードウェアである無線モジュール基板上に、アンテナと無線ICが実装される構成について述べた。しかし、基板にはアンテナのみが実装されてもよく、そのような場合にも、本実施形態で述べた伝送線路およびアンテナ構成は適用可能である。
101 ノートPC、102 無線LANカード、201 給電点、
202 第1の導体部、203,204 第2の導体部
202 第1の導体部、203,204 第2の導体部
Claims (16)
- 複数の周波数帯で動作するマルチバンドアンテナであって、
前記マルチバンドアンテナは、第一の伝送線路と、第二の伝送線路に接続され、
第一の伝送線路に接続される、第1の導体部と、
第二の伝送線路に接続される、第2の導体部と、
を有し、
前記第1の導体部は、線状の形状を有すると共に、その前記第一の伝送線路に接続される側の逆側の端部は開放端であり、
前記第2の導体部は、線状の形状を有すると共に、その前記第二の伝送線路に接続される側の逆側の端部は開放端であり、
前記第1の導体部の開放端と、前記第2の導体部の開放端は、グランド導体における前記第一の伝送線路と第一の導体部が接続され、かつ前記第二の伝送線路と第二の導体部が接続される辺と平行な方向で同一の方向を向き、
前記第一の導体部と前記第二の導体部は、前記辺と平行な部分における前記第一の導体部と前記第二の導体部の導体間距離が、第1の距離である一部と、当該第1の距離より短い第2の距離である他の一部と,を有し、少なくとも前記他の一部において、前記第一の導体部と前記第二の導体部は電磁的に結合することを特徴とするマルチバンドアンテナ。 - 前記第一の導体部と前記第二の導体部の2つはそれぞれ長さが異なり、それぞれ寄与する動作周波数が異なることを特徴とする請求項1に記載のマルチバンドアンテナ。
- 前記第一の導体部と前記第二の導体部のいずれかの前記動作周波数は2.4GHz帯であり、別の前記第2の導体部の前記動作周波数は5GHz帯であることを特徴とする請求項2に記載のマルチバンドアンテナ。
- 前記第一の導体部と前記第二の導体部は、当該前記第一の導体部あるいは前記第二の導体部が寄与する動作周波数における波長の4分の1より短いことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のマルチバンドアンテナ。
- 前記第一の導体部と前記第二の導体部のうち、寄与する前記動作周波数を低くすべき当該前記第一の導体部あるいは前記第二の導体部の前記開放端が、前記結合部分として含まれることを特徴とする請求項2乃至請求項4の何れか一項に記載のマルチバンドアンテナ。
- 少なくとも前記第一の導体部あるいは前記第二の導体部の少なくともいずれかがメアンダライン形状であることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載のマルチバンドアンテナ。
- 前記マルチバンドアンテナは平面上に構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載のマルチバンドアンテナ。
- 前記マルチバンドアンテナは、前記結合部分において、少なくとも前記第一の導体部の一部が第1の平面に配置されると共に、少なくとも前記第二の導体部の一部は前記第1の平面とは異なる第2の平面に配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載のマルチバンドアンテナ。
- 前記第1の平面は前記マルチバンドアンテナが構成される基板の表面であり、前記第2の平面は前記基板の裏面であることを特徴とする請求項8に記載のマルチバンドアンテナ。
- 前記第1の平面は前記マルチバンドアンテナが構成される多層の基板の第1の層と第2の層との間の平面であり、前記第2の平面は前記基板の前記第2の層と第3の層との間の平面であることを特徴とする請求項8に記載のマルチバンドアンテナ。
- 前記基板は誘電体基板であることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載のマルチバンドアンテナ。
- 前記第1の平面に配置される少なくとも前記第一の導体部の一部と、前記第2の平面に配置される少なくとも前記第2の導体部の一部とが、前記結合部分において対向する位置に配置されることを特徴とする請求項8乃至請求項11の何れか一項に記載のマルチバンドアンテナ。
- 比誘電率が1より大きい誘電体物質であって、前記マルチバンドアンテナに接触させて、または所定距離の範囲内で離して配置して付加される誘電体物質をさらに有することを特徴とする請求項1乃至請求項12の何れか一項に記載のマルチバンドアンテナ。
- 前記誘電体物質はシート状の誘電体シートであり、前記マルチバンドアンテナの全体に貼り付けられることを特徴とする請求項13に記載のマルチバンドアンテナ。
- 前記誘電体物質は、前記第一の導体部あるいは前記第二の導体部のうち、動作周波数を低い方へシフトすべき前記第一の導体部あるいは前記第二の導体部にのみ接触させて、または所定距離の範囲内で離して配置して付加されることを特徴とする請求項13に記載のマルチバンドアンテナ。
- 前記前記第一の導体部あるいは前記第二の導体部の開放端の少なくとも1つと、アンテナグランドとの距離が所定長以下となるように、前記アンテナグランドが設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項15のいずれか1項に記載のマルチバンドアンテナ。
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JP2017245879A JP2019114895A (ja) | 2017-12-22 | 2017-12-22 | マルチバンドアンテナ |
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2017
- 2017-12-22 JP JP2017245879A patent/JP2019114895A/ja active Pending
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