JP2019113045A - 燃料噴射弁 - Google Patents
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Abstract
【課題】リフト量の変化が生じる可能性のある工程の後においてもリフト量を調整可能な燃料噴射弁を提供すること。【解決手段】燃料が通流するノズルホルダ111は、ノズルホルダ111の外周に設けられ、ノズルホルダ111に軸方向の上流側から付勢される力を受ける第一の部位117と、ノズルホルダ111の外周の第一の部位117よりも軸方向の下流側に設けられ、ノズルホルダ111に軸方向の下流側から付勢される力を受ける第二の部位119とを備え、ノズルホルダ111の第一の部位117と第二の部位119との間に付勢される力により第一の部位117と第二の部位119の間が塑性変形する。【選択図】 図1
Description
本発明は、燃料噴射弁に関する。
燃料噴射弁に関する従来技術としては、例えば、特許文献1に記載のものがある。特許文献1には、簡素な構造で燃料噴射率を変更可能な燃料噴射弁を提供することを目的として、固定コア60、ニードル40、可動コア50、及び、ニードル40及び可動コア50と固定コア60との間に電磁吸引力を発生させるコイル70を備える燃料噴射弁が開示されている。
上記特許文献1に記載の燃料噴射弁において、ニードル40は、磁性材料から形成され本体41より外径が大きいニードル大径部44を有する。可動コア50は、大径内壁面51の内側にニードル大径部44が位置し小径内壁面52の内側に本体41が位置する状態でニードル40とともにハウジング20内を往復移動可能に固定コア60の弁座312側に設けられている。可動コア50は、シール部42と弁座312とが当接しているときニードル40の第2段差面49と固定コア60の弁座312側の端面61との距離d1が弁座312とは反対側の端面57と固定コア60の端面61との距離d2より長くなるよう形成されている。
そして、燃料噴射弁は、コイルへの通電によって発生する磁気吸引力を用いて噴孔から燃料を噴射する。このような燃料噴射弁では、コイルに通電すると、磁気コアと可動コアとの間に磁気吸引力が発生する。可動コアと磁気コアの間に発生した磁気吸引力によって可動コアが磁気コア側に引き寄せられると、弁体に力が伝達され、弁体は弁座から離間する方向に移動する。可動コアおよび弁体は、磁気コアと衝突することにより移動が規制され、停止する。その後、コイルへの通電を中止すると、磁気コアと可動コアの間に形成された磁束が消失し、磁気吸引力が弁体を下流方向(閉弁方向)に付勢する力よりも小さくなると、弁体は下流方向(閉弁方向)に移動し始め、その後、閉弁する。この開弁期間に燃料が内燃機関に供給され燃焼に利用される。
ところで、内燃機関の有害排気成分低減のためには、エンジン(内燃機関)に所望の量の燃料を正確に噴射する燃料噴射弁が求められる。そこで、この内燃機関に所望の量を正確に噴射するために上記特許文献1に記載の従来技術では、可動コアを分割することでリフト量を選択的な可変にする構成が提案されている。ここで、小さいリフト量は、弁座部材のノズルホルダへの圧入量を調整することで、弁座部材と弁体との距離を所望の値を得る。また、大きいリフト量は小さいリフト量に加えて、分割された可動コアの寸法差により所望の値を得る。
しかしながら、特許文献1に記載の従来技術においては、リフト量を調整する工程の後に行われる接合工程(レーザ溶接等)や燃料噴射弁の試験工程等で発生するリフト量の変化を抑制することができないため、精度良く所望のリフト量を得ることが困難となる。また、リフト量の変化には燃料噴射弁の個体間でばらつきがあるため、前述のリフト量の変化と相まって個体間でのリフト量のばらつきが大きくなってしまう恐れがある。リフト量と燃料噴射量との間には相関があるため、リフト量の個体間ばらつきが燃料噴射弁の燃料噴射量の個体間ばらつきの要因となる。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、リフト量の変化が生じる可能性のある工程の後においてもリフト量を調整可能な燃料噴射弁を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、燃料が通流するノズルホルダと、前記ノズルホルダの軸方向の一端に形成された、前記燃料が噴射される燃料噴射孔と、前記ノズルホルダ内に軸方向に移動可能に内包され、前記噴射孔との距離によって前記燃料噴射孔の開度を調整する弁体とを備えた燃料噴射弁において、前記ノズルホルダは、前記ノズルホルダの外周に設けられ、前記ノズルホルダに軸方向の一方から付勢される力を受ける第一の部位と、前記ノズルホルダの外周の前記第一の部位よりも軸方向の他方側に設けられ、前記ノズルホルダに軸方向の他方から付勢される力を受ける第二の部位とを備え、前記ノズルホルダの前記第一の部位と前記第二の部位との間に付勢される力により前記第一の部位と前記第二の部位の間が塑性変形するものとする。
本発明の燃料噴射弁によれば、燃料噴射弁の製作過程におけるリフト量の変化をその変化の発生する工程の後に調整可能とすることにより、リフト量を高精度に調整することができるので、リフト量の個体間ばらつきを修正することができ、個体間ばらつきが小さく燃料噴射量の精度が高い燃料噴射弁を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、本実施の形態では、燃料噴射弁の一例として、弁体を電磁的に駆動する電磁式の燃料噴射弁を例示して説明する。
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態を図1〜図20を参照しつつ説明する。
本発明の第1の実施の形態を図1〜図20を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る燃料噴射弁の全体構成を概略的に示す断面図である。
図1に示す燃料噴射弁100は、例えば、筒内直接噴射式のガソリンエンジン向けの電磁式燃料噴射弁である。なお、本実施の形態では、燃料噴射弁100の軸方向に対して燃料噴射孔の側を下流側、燃料供給口側を上流側と定義して説明する。
図1において、本実施の形態における燃料噴射弁100には、燃料噴射弁を駆動するための駆動装置であるEDU(駆動回路)121及びEDU121の制御を行うECU(エンジンコントロールユニット)120が接続されている。
燃料噴射弁100は、燃料が供給される燃料供給口112を有する磁気コア107と、磁気コア107の下流側に設けられたノズルホルダ111と、ノズルホルダ111内を軸方向に移動することによって燃料噴射弁100による燃料の噴射量を調整する弁体101と、弁体101の移動量を規定する第一可動コア201及び第二可動コア202により構成される可動コア群と、可動コア群や弁体101等を軸方向(すなわち、弁体軸101aに沿う方向)に付勢するための第一スプリング110、第二スプリング203及び第三スプリング204と、EDU121からの駆動電圧(電流)によって発生する磁気的な吸引力で弁体101を駆動するコイル108とから概略構成されている。
ECU120では、燃料噴射弁100による燃料噴射の対象となるエンジン(内燃機関:図示せず)の状態を示す信号を各種センサーから取り込み、エンジンの運転条件に応じて適切な駆動パルスの幅や噴射タイミングの演算を行う。ECU120より出力された駆動パルスは、信号線123を通して燃料噴射弁のEDU121に入力される。EDU121は、燃料噴射弁100のコイル108(後述)に印加する電圧を制御して電流を供給する。また、ECU120は、通信ライン122を通してEDU121と通信を行っており、燃料噴射弁100に供給する燃料の圧力や運転条件によって駆動パルスを制御し、EDU121によって生成する駆動電圧(電流)を切替えることが可能である。なお、EDU121は、ECU120との通信によって制御定数を変化できるようになっており、制御定数に応じて電流波形が変化する。なお、ECU120とEDU121は一体の部品として構成されてもよい。すなわち、燃料噴射弁100を駆動するための駆動装置は、燃料噴射弁100の駆動電圧を発生する装置であれば良く、例えば、ECU120とEDU121とが一体となって駆動装置を構成しても良いし、本実施の形態で例示するようにEDU121単体で駆動装置を構成してもよい。
ここで、燃料噴射弁100における各構成の詳細及び燃料の流れについて説明する。
燃料噴射弁100に供給される燃料は燃料供給口112から供給され、燃料噴射弁100の内部に供給される。燃料噴射弁100は、内部に流路の開閉を行う弁体101を有しており、弁体101を内包するノズルホルダ111の下流側端部には、弁体101の下流側端部と対向して弁体101を支持可能なように弁座部材102が設けられている。また、弁体101の弁座部材102との対向面には、弁座部材102により形成される弁座構造と接触してシール部を形成する弁体シート部115が設けられている。弁座部材102の弁体101の下流側端部との対向部には燃料噴射孔116が形成されており、弁体101と弁座部材102との距離によって燃料噴射孔116の開度が調整される。コイル108に通電がないときには、上流側端部を保持部材110aにより保持された第一スプリング110によって弁体101が弁座部材102に押し付けられ、弁体101と弁座部材102とで燃料をシールする構造となっている。
図2は弁体の上流側端部付近の拡大断面図であり、図3は第一可動コアを抜き出して示す拡大断面図、図4は第二可動コアを抜き出して示す拡大断面図である。
図2に示すように、弁体101の上端にはスリーブ113が取り付けられており、スリーブ113の上端面が第一スプリング110により下流方向に付勢される。スリーブ113のスリーブ下端部113aは弁体101の肩部101bと係合するように構成されており、スリーブ113への下流側への付勢力がスリーブ下端部113aと肩部101bの係合部を介して伝えられることにより、弁体101の全体が下流方向(弁座部材102に向かう方向)に付勢される。また、弁体101の下流側には、外周側に凸となる段付き部131(大径部)を有している。
可動コア群の第一可動コア201及び第二可動コア202は、それぞれ、弁体101の段付き部131の下流側及び上流側に弁体101と同軸状に配置されており、弁体101の上流側の端部は可動コア群の上流側において磁気コア107内に挿入されている。可動コア群(第一可動コア201、第二可動コア202)及び磁気コア107の外周に軸周りを囲むようにコイル108が配置されており、さらにその外周にヨーク109が軸周りを囲むように配置されている。可動コア群(第一可動コア201、第二可動コア202)、磁気コア107、及び、ヨーク109は、磁気コアの外周に位置するコイル108とともに磁気回路を形成し、コイル108への駆動電圧(電流)の供給によって磁気的な吸引力を発生することにより弁体101を駆動する。弁体101および可動コア群(第一可動コア201、第二可動コア202)は、ノズルホルダ111に内包されている。また、可動コア群により段付き部131を介して駆動される弁体101が第一可動コア201及び第二可動コア202とは別体で独立して構成される。
図3に示すように、第一可動コア201は、弁体101と同軸状に配置された円筒形状を有し、内部の下流側寄りを塞ぐ底部を有して構成されており、第一可動コア201の内部空間は上流側に開口する凹み部201cを形成している。第一可動コア201の底部の弁体101の位置(弁体軸101a)とは異なる位置に、燃料を底部の上流側と下流側とで通流するための燃料通路孔が設けられている。また、第一可動コア201は、上流側端部に磁気コア107に対向する第一対向面201aを有しており、第一対向面201aが磁気コア107に吸引される。
図4に示すように、第二可動コア202は、第一可動コア201と別体で構成されており、上流側から下流側に向かってその内径が段階的に大きくなる略円筒形状を有している。なお、第二可動コア202の外径は上流側から下流側にかけて一定である。本実施の形態では、第二可動コア202は、上流側から下流側に向かって3つの大きさの内径を有するよう形成されており、その内径は上流側から順に、1段目が弁体101の外周に沿う大きさ、2段目が弁体101の段付き部131の外周に沿う大きさ、3段目が弁体101の段付き部131の外周よりも十分に大きい大きさにそれぞれ形成されている。また、第二可動コア202は、上流側端部に磁気コア107に対向する第二対向面202aを有しており、第二対向面202aが磁気コア107に吸引されるように構成されている。
第二可動コア202の内周の2段目の下流側端面202i(すなわち、2段目と3段目の境界面)には、燃料を第二可動コア202の上流側と下流側とで通流するための燃料通路孔202dが設けられている。
可動コア群は、第一可動コア201の凹み部201cの内部に、第一可動コア201の内周面201bが第二可動コア202の外周面202bに沿って対向するように、第二可動コア202を内包して構成されていている。このとき、第一可動コア201の凹み部底面201eが第二可動コア202の下流側端面202eと対向する。また、可動コア群では、第一可動コア201と第二可動コア202とで弁体101の段付き部131を内包するように配置されており、段付き部131が第二可動コア202の内周の2段目に収容されて、段付き部131の上流側端面と第二可動コア202の内周の1段目の下流側端面202c(すなわち、1段目と2段目の境界面)に対向し、段付き部131の下流側端面131bが第一可動コア201の凹み部底面201eと対向する。なお、可動コア群は、第一可動コア201の外周面201fがノズルホルダ111の内周面に沿って対向するように配置されている。
可動コア群において、第一可動コア201の軸方向の最大長さをL1、上流側端部(第一対向面201a)から凹み部底面201eまでの深さをL3とすると、第一可動コア201の軸方向の深さL3(すなわち、最大長さL1)が、第二可動コア202の軸方向の最大長さL2に対して長くなるように構成する。
弁体101のスリーブ下端部113aは、第二可動コア202よりも上流側になるよう配置されており、第二可動コア202が上流側に移動した場合に、スリーブ113のスリーブ下端部113a(弁体係合部)が第二可動コア202の第二対向面202aと係合して弁体101を上流側(開弁方向)に移動させる。
第一可動コア201が上流方向へ移動すると、第一可動コア201の第一係合部(凹み部底面201e)と第二可動コア202の第二係合部(下流側端面202e)とが係合することで、第二可動コア202が上流方向に移動する。第二可動コア202が上流方向に移動すると、第二対向面202a(特に、スリーブ下端部113aと係合する範囲を上流側係合部202hと称する)とスリーブ下端部113aとが係合して、弁体101を上流側に移動させる。
第一可動コア201の燃料通路孔201d及び第二可動コア202の燃料通路孔202dは、第一可動コア201及び第二可動コア202が軸方向に移動した際に燃料によって生ずる流体力を低減するために設けられている。したがって、燃料通路孔201d及び燃料通路孔202dの孔部の弁体軸101aに垂直な面における断面積は、外径側の第一可動コア201(外径側可動コア)及び内径側の第二可動コア202(内径側可動コア)が動作する際の排除体積による流体力を緩和するのに十分な面積を有するよう形成されている。
次に、弁体101、第一可動コア201、及び第二可動コア202の間に設けられた空隙の関係と、コイル108に駆動電圧(電流)が印加された際の各部材の動作について説明する。
図5〜図8は、可動コア群(第一可動コア、第二可動コア)、磁気コア、ヨーク、及びコイル108によって形成される磁気回路部を周辺構成とともに抜き出して示す拡大図である。図5はコイルへの駆動電圧(電流)の印加がない状態、図6はコイルへの駆動電圧(電流)の印加を行った状態、図7はコイルへの駆動電圧(電流)の印加を継続した状態、図8はコイルへの駆動電圧(電流)の印加をさらに継続した状態をそれぞれ示している。
また、図9〜図12は、磁気回路部の動作と燃料噴射弁の開閉状態の関係を簡略化して模式的に示す図である。図9は燃料噴射弁の閉弁状態、図10は開弁開始状態、図11は小リフト状態、図12は大リフト状態をそれぞれ示している。
さらに、図13〜図16は、駆動電流値および弁体変位の時間変化を示す図であり、図13は小リフト状態における駆動電流値の時間変化、図14は小リフト状態における弁体変位の時間変化、図15は大リフト状態における駆動電流値の時間変化、図16は大リフト状態における弁体変位の時間変化をそれぞれ示している。
また、図9〜図12は、磁気回路部の動作と燃料噴射弁の開閉状態の関係を簡略化して模式的に示す図である。図9は燃料噴射弁の閉弁状態、図10は開弁開始状態、図11は小リフト状態、図12は大リフト状態をそれぞれ示している。
さらに、図13〜図16は、駆動電流値および弁体変位の時間変化を示す図であり、図13は小リフト状態における駆動電流値の時間変化、図14は小リフト状態における弁体変位の時間変化、図15は大リフト状態における駆動電流値の時間変化、図16は大リフト状態における弁体変位の時間変化をそれぞれ示している。
<1.コイル108への通電がない状態(閉弁状態)>
磁気回路部が図5に示す状態のときは、図9に示すように、弁体101は弁座部材102に設けられた弁座に接触しており、燃料噴射弁100は閉弁状態となっている。
磁気回路部が図5に示す状態のときは、図9に示すように、弁体101は弁座部材102に設けられた弁座に接触しており、燃料噴射弁100は閉弁状態となっている。
図5に示すように、第一可動コア201は、第二スプリング203によって下流側に付勢され、段付き部131の上流側に設けられた接触面131aを介して、静止している。第一可動コア201と弁体101との間には、第二スプリング203が設けられる。第二スプリング203は第二可動コア202を弁体101に取り付けられたスリーブ113のスリーブ下端部113aから引き離す方向(下流側方向)に付勢する。
ノズルホルダ111にはスプリング保持部材114が取り付けられ、第二可動コア202とスプリング保持部材114の間には、第三スプリング204が取り付けられる。第三スプリング204は第一可動コア201をスプリング保持部材114から引き離す方向(上流側方向)に付勢する。第三スプリング204による付勢力Fzと第二スプリング203の付勢力Fmの絶対値は、第二スプリング203の方が大きくなるように設定されている。また磁気コア107の下流側端面107aにおける内周部の内径Dcは、第二可動コア202の第二対向面202a(上流側端面)における外周部の外径Diの方が小さくなるように構成されている。そのため、コイル108へ通電されると、第一可動コア201(外径側可動コア)と磁気コア107および第二可動コア202(内径側可動コア)と磁気コア107の空隙に磁束が発生し、磁気吸引力が生ずる。
また、第二可動コア202は第二スプリング203によって下流側方向に付勢される一方、第一可動コア201は第三スプリング204によって上流側方向に付勢される。上記のように、第二スプリング203の付勢力の方が第三スプリング204の付勢力よりも大きいため、第二可動コア202の下流側端面202eと第一可動コア201の第一係合部(凹み部底面201e)とが接触して、第二可動コア202を弁体101に取り付けられたスリーブ113のスリーブ下端部113aから引き離した状態で維持する。このときの第二可動コア202の第二対向面202aとスリーブ113のスリーブ下端部113aとの間には、空隙g1が設けられ、磁気コア107と第一可動コア201(外径側可動コア)の第一対向面201aとの間には空隙g2が設けられている。また、第一可動コア201の上流側端部の面(第一対向面201a)と第二可動コア202の上流側端部の面(第二対向面202a)との軸方向の位置の差はg3である。
<2.コイル108に駆動電圧(電流)を印加した場合(開弁開始状態)>
図5に示した状態において、コイル108に駆動電圧(電流)が印加されると、磁気回路を構成する磁気コア107、ヨーク109、第一可動コア201と第二可動コア202に磁束が生じ、磁気コア107と第一可動コア201およびの磁気コア107と第二可動コア202との間に磁気吸引力が発生する。
図5に示した状態において、コイル108に駆動電圧(電流)が印加されると、磁気回路を構成する磁気コア107、ヨーク109、第一可動コア201と第二可動コア202に磁束が生じ、磁気コア107と第一可動コア201およびの磁気コア107と第二可動コア202との間に磁気吸引力が発生する。
下記の(式1)に示すように、第一可動コア201と磁気コア107の間に作用する磁気吸引力Fiと第二可動コア202と磁気コア107の間に作用する磁気吸引力Foの和が、中間スプリング(第二スプリング203)の付勢力Fmとゼロスプリング(第三スプリング204)の付勢力Fzの差よりも大きくなると、第一可動コア201と第二可動コア202は一体的に磁気コア107側に吸引されて運動を開始する。
Fo+Fi>Fm−Fz ・・・(式1)
図6では、スリーブ113と第二可動コア202(内径側可動コア)との間に予め設けられた空隙g1分だけ、第二可動コア202(内径側可動コア)及び第一可動コア201(外径側可動コア)が変位した状態(開弁開始状態:図10参照)を示している。コイル108への通電がない状態(図5参照)では、磁気コア107と第一可動コア201(外径側可動コア)の第一対向面201aとの間には空隙g2が設けられていたが、図6の状態では、これらの間の空隙はg21(g21=g2−g1)にまで減少する。第二可動コア202(内径側可動コア)は、弁体101のスリーブ113のスリーブ下端部113a(衝突面)と第二可動コア202の第二対向面202a(上流側端面)が衝突する。
図6では、スリーブ113と第二可動コア202(内径側可動コア)との間に予め設けられた空隙g1分だけ、第二可動コア202(内径側可動コア)及び第一可動コア201(外径側可動コア)が変位した状態(開弁開始状態:図10参照)を示している。コイル108への通電がない状態(図5参照)では、磁気コア107と第一可動コア201(外径側可動コア)の第一対向面201aとの間には空隙g2が設けられていたが、図6の状態では、これらの間の空隙はg21(g21=g2−g1)にまで減少する。第二可動コア202(内径側可動コア)は、弁体101のスリーブ113のスリーブ下端部113a(衝突面)と第二可動コア202の第二対向面202a(上流側端面)が衝突する。
このとき、第一可動コア201ならびに第二可動コア202に蓄えられた運動エネルギが、弁体101の開弁動作に使用される。よって、空隙g1(予備リフト)が設定されていることで運動エネルギを利用でき、開弁動作の応答性を向上させることができる。したがって、高い燃料圧力下でも迅速に開弁することが可能となる。
<3.コイル108への駆動電圧(電流)の印加を継続した場合(小リフト状態)>
図6に示した状態において、コイル108への駆動電圧(電流)の印加を継続し、第一可動コア201(外径側可動コア)が第一対向面201aと磁気コア107との間の空隙g21だけ変位して第一可動コア201(外径側可動コア)の第一対向面201aが磁気コア107に衝突すると、図7に示すように小リフト状態(図11参照)となる。図7においては、第一可動コア201(外径側可動コア)の第一対向面201aが磁気コア107に衝突し、第一可動コア201(外径側可動コア)が上流方向へ向かう動きが規制される。
図6に示した状態において、コイル108への駆動電圧(電流)の印加を継続し、第一可動コア201(外径側可動コア)が第一対向面201aと磁気コア107との間の空隙g21だけ変位して第一可動コア201(外径側可動コア)の第一対向面201aが磁気コア107に衝突すると、図7に示すように小リフト状態(図11参照)となる。図7においては、第一可動コア201(外径側可動コア)の第一対向面201aが磁気コア107に衝突し、第一可動コア201(外径側可動コア)が上流方向へ向かう動きが規制される。
このとき、図13に示すように、コイル108への通電する最大駆動電流401を予め設定した閾値Ithよりも小さくすると、下記の(式2)および(式3)に示す力の関係を満たす。
Fs+Fp<Fi+Fo ・・・(式2)
Fs+Fp>Fi ・・・(式3)
なお、402は最大駆動電流401を流した後に第一可動コア201(外径側可動コア)が磁気コア107に吸引されたまま維持できる保持電流を意味する。また、閾値Ithは、上記(式2)及び(式3)を満たすための駆動電圧(電流)の判定条件として予め設定されたものである。
Fs+Fp>Fi ・・・(式3)
なお、402は最大駆動電流401を流した後に第一可動コア201(外径側可動コア)が磁気コア107に吸引されたまま維持できる保持電流を意味する。また、閾値Ithは、上記(式2)及び(式3)を満たすための駆動電圧(電流)の判定条件として予め設定されたものである。
上記(式2)は、第一可動コア201の磁気吸引力Foと第二可動コア202の磁気吸引力Fiの和の方が、弁体101に作用する流体による差圧力Fpと第一スプリング110による付勢力Fsとの和よりも大きくなる条件を示している。また、上記(式3)は、第二可動コア202の磁気吸引力Fiが、弁体101に作用する流体による差圧力Fpと第一スプリング110による付勢力Fsとの和よりも小さくなる条件を示している。
つまり、上記(式2)及び(式3)の条件を満たした場合、第一可動コア201(外径側可動コア)による磁気吸引力Fo及び第二可動コア202(内径側可動コア)による磁気吸引力Fiによって、弁体101に作用する流体による差圧力Fpと第一スプリング110による付勢力Fsに打ち勝って、第一可動コア201(外径側可動コア)が磁気コア107に接触するまで移動することができる。しかし、第二可動コア202(内径側可動コア)による磁気吸引力Fiだけでは、差圧力Fp及び第一スプリング110による付勢力Fsに打ち勝つことができない。このため、図7に示すように、第一可動コア201(外径側可動コア)と磁気コア107の空隙がなくなり、第二可動コア202(内径側可動コア)と磁気コア107間の空隙g3のみが残った状態(小リフト状態:図11参照)となる。
小リフト状態の場合には、図9に示したように、弁体101は第一可動コア201(外径側可動コア)と磁気コア107との間に設けられた空隙g2分だけ変位する。第一可動コア201(外径側可動コア)は、磁気コア107、又は磁気コア107以外の第一可動コアの運動を規制する部材に衝突することによって軸方向の変位が規制される。これにより、弁体101のリフト量を安定させることができるため、安定した噴射量を供給することができる。
<3−1.コイル108への駆動電圧(電流)の印加を停止した場合>
図7及び図11に示した状態(小リフト状態)において、コイル108への駆動電圧(電流)の印加を停止する(すなわち、電流を遮断する)と、第一可動コア201(外径側可動コア)及び第二可動コア202(内径側可動コア)と磁気コア107の間に生じている磁束が消失する。そして、磁気吸引力が弁体101に作用する流体による差圧力Fpと第一スプリング110による付勢力Fsよりも小さくなると、第一可動コア201(外径側可動コア)及び第二可動コア202(内径側可動コア)は下流側方向への変位を開始する。この動きに伴って弁体101は閉弁方向(下流側方向)への変位を開始し、その後、弁座部材102と衝突して閉弁状態(図6及び図9の状態)となる。結果として、閉弁状態から小リフト状態を経て閉弁状態に至る場合の弁体101の弁体変位量の時間変化は、図14に示す弁体変位量403で示される。
図7及び図11に示した状態(小リフト状態)において、コイル108への駆動電圧(電流)の印加を停止する(すなわち、電流を遮断する)と、第一可動コア201(外径側可動コア)及び第二可動コア202(内径側可動コア)と磁気コア107の間に生じている磁束が消失する。そして、磁気吸引力が弁体101に作用する流体による差圧力Fpと第一スプリング110による付勢力Fsよりも小さくなると、第一可動コア201(外径側可動コア)及び第二可動コア202(内径側可動コア)は下流側方向への変位を開始する。この動きに伴って弁体101は閉弁方向(下流側方向)への変位を開始し、その後、弁座部材102と衝突して閉弁状態(図6及び図9の状態)となる。結果として、閉弁状態から小リフト状態を経て閉弁状態に至る場合の弁体101の弁体変位量の時間変化は、図14に示す弁体変位量403で示される。
<4.コイル108への駆動電圧(電流)をの印加を継続した場合(大リフト状態)>
図15に示すように、コイル108への通電する最大駆動電流404を予め設定した閾値Ithよりも大きくすると、下記(式4)に示す力の関係を満たす。
図15に示すように、コイル108への通電する最大駆動電流404を予め設定した閾値Ithよりも大きくすると、下記(式4)に示す力の関係を満たす。
Fs+Fp>Fi ・・・(式4)
なお、405は最大駆動電流404を流した後に第一可動コア201(外径側可動コア)が磁気コア107に吸引されたまま維持できる保持電流を意味する。
なお、405は最大駆動電流404を流した後に第一可動コア201(外径側可動コア)が磁気コア107に吸引されたまま維持できる保持電流を意味する。
上記(式4)は、第二可動コア202(内径側可動コア)の磁気吸引力Fiが、弁体101に作用する流体による差圧力Fpと第一スプリング110による付勢力Fsとの和よりも大きくなるという条件を示している。
図15に示す駆動電流を流すと、図8に示すように、第一可動コア201(外径側可動コア)が磁気コア107に衝突するまで空隙g2(図5及び図9参照)の分だけ変位し、さらにその後、第二可動コア202(内径側可動コア)が第二可動コア202(内径側可動コア)と磁気コア107との間の空隙g3の分だけ変位する。結果として、弁体101は、空隙g21(g21=g2−g1)と空隙g3の和の分だけ変位する(大リフト状態)。第二可動コア202の変位は、磁気コア107あるいは第二可動コア202の運動を規制する部材に衝突することによって変位が規制される。そのため、弁体101の挙動は安定し、安定した噴射量を供給することができる。
<4−1.コイル108への駆動電圧(電流)の印加を停止した場合>
図8及び図12に示した状態(大リフト状態)において、コイル108への駆動電圧(電流)を停止する(すなわち、電流を遮断する)と、第二可動コア202(内径側可動コア)に生じている磁束が消失する。そして磁気吸引力が弁体101に作用する流体による差圧力Fpと第一スプリング110による付勢力Fsよりも小さくなると、第二可動コア202(内径側可動コア)が下流方向へ変位する。磁束は内径側より消失を開始するのに加え、差圧力Fpと第一スプリング110による付勢力Fsにより、第二可動コア202(内径側可動コア)の方が第一可動コア201(外径側可動コア)に比べて早く閉弁動作に移行する。その結果、第二可動コア202(内径側可動コア)は、第一可動コア201(外径側可動コア)との空隙g3だけ、下流側方向へ移動すると、第一可動コア201(外径側可動コア)と衝突し、第一可動コア201(外径側可動コア)を叩き落としながら、下流側方向に変位する。その後、第二可動コア202(内径側可動コア)の下流側端面202cが弁体101の段付き部131と係合すると、弁体101は閉弁動作を開始し、やがて弁座部材102と衝突して閉弁状態(図6及び図9の状態)となる。結果として、閉弁状態から大リフト状態を経て閉弁状態に至る場合の弁体101の弁体変位量の時間変化は、図16に示す弁体変位量406で示される。
図8及び図12に示した状態(大リフト状態)において、コイル108への駆動電圧(電流)を停止する(すなわち、電流を遮断する)と、第二可動コア202(内径側可動コア)に生じている磁束が消失する。そして磁気吸引力が弁体101に作用する流体による差圧力Fpと第一スプリング110による付勢力Fsよりも小さくなると、第二可動コア202(内径側可動コア)が下流方向へ変位する。磁束は内径側より消失を開始するのに加え、差圧力Fpと第一スプリング110による付勢力Fsにより、第二可動コア202(内径側可動コア)の方が第一可動コア201(外径側可動コア)に比べて早く閉弁動作に移行する。その結果、第二可動コア202(内径側可動コア)は、第一可動コア201(外径側可動コア)との空隙g3だけ、下流側方向へ移動すると、第一可動コア201(外径側可動コア)と衝突し、第一可動コア201(外径側可動コア)を叩き落としながら、下流側方向に変位する。その後、第二可動コア202(内径側可動コア)の下流側端面202cが弁体101の段付き部131と係合すると、弁体101は閉弁動作を開始し、やがて弁座部材102と衝突して閉弁状態(図6及び図9の状態)となる。結果として、閉弁状態から大リフト状態を経て閉弁状態に至る場合の弁体101の弁体変位量の時間変化は、図16に示す弁体変位量406で示される。
<5.磁気回路部および弁体の動作のまとめ>
燃料噴射弁100に供給する電流により、弁体101の変位を大リフト状態と小リフト状態と切り替え可能にするためには、閉弁状態での第一可動コア201と弁体の空隙g1、第二可動コア202と磁気コア107の空隙g2、第一可動コア201と磁気コア107の第一可動コアg3の寸法関係は、大きい順にg2、g3、g1となるように設定する。このように可動コア群を第一可動コア201と、第二可動コア202に分割し、コイル108への駆動電流を変えることで、弁体101の変位を二段階に可変とすることができる。
燃料噴射弁100に供給する電流により、弁体101の変位を大リフト状態と小リフト状態と切り替え可能にするためには、閉弁状態での第一可動コア201と弁体の空隙g1、第二可動コア202と磁気コア107の空隙g2、第一可動コア201と磁気コア107の第一可動コアg3の寸法関係は、大きい順にg2、g3、g1となるように設定する。このように可動コア群を第一可動コア201と、第二可動コア202に分割し、コイル108への駆動電流を変えることで、弁体101の変位を二段階に可変とすることができる。
ここで、本実施の形態における燃料噴射弁100のリフト量の調整について説明する。
図17は、燃料噴射弁のリフト量の第一の調整処理の様子を示す図である。
燃料噴射弁100において、大リフト状態における弁体101のリフト量(大リフト量)は空隙g21(g21=g2−g1)と空隙g3の和であり、空隙g3は第一可動コア201の凹み部201cの深さL3と第二可動コア202の軸方向最大長さL2により形成される。また、小リフト状態における弁体101のリフト量(小リフト量)は図17に示すように、ノズルホルダ111に対して弁座部材102の押し込む量を制御することでリフト量を調整する。調整の際は、図13に示したように、コイル108に印加する駆動電圧を調整して通電する最大駆動電流401を予め設定した閾値Ithよりも小さい値で駆動させることで図11に示す状態(小リフト状態)とさせて行う。ここで、弁体101と弁座部材102の間には空隙g21に相当する空隙が発生しており、この空隙が小リフト量である。この空隙をノズルホルダ111に対する弁座部材102の押し込み量の制御により調整する。小リフト量の調整工程は燃料噴射弁組立時のリフト量集積公差を調整するために行う。
なお、小リフト量の調整の後には、レーザ溶接による弁座部材102とノズルホルダ111との接合や、流量調整工程、試験工程等があり、これら工程において調整されたリフト量は変化する。リフト量と燃料噴射弁の噴射量との間には相関があり、所望のリフト量から変化した場合、所望の量の燃料を正確に噴射することは困難となる。また、リフト量の変化には個体差があるため、リフト量の個体間ばらつきは燃料噴射弁の燃料噴射量の個体間ばらつきの要因となる。そこで、本実施の形態における燃料噴射弁100では、以下のようにリフト量の最終調整処理を行う。
図18〜図20は、燃料噴射弁のリフト量の第二の調整処理(最終調整処理)を説明する図である。図18は本実施の形態の燃料噴射弁におけるノズルホルダを示す拡大断面図であり、図19はノズルホルダの外観を模式的に示す図である。また、図20は、料噴射弁のリフト量の第二の調整処理(最終調整処理)の様子を示す図である。
図18及び図19に示すように、本実施の形態のノズルホルダ111は、ノズルホルダ111の外周に設けられ、ノズルホルダ111に軸方向の一方(例えば、上流側)から付勢される力を受ける第一の部位117と、ノズルホルダ111の外周の第一の部位117よりも軸方向の他方側(例えば、下流側)に設けられ、ノズルホルダ111に軸方向の他方(下流側)から付勢される力を受ける第二の部位119とを備えており、ノズルホルダ111の第一の部位117と第二の部位119との間に付勢される力により第一の部位117と第二の部位119の間を塑性変形させて、弁体101のリフト量の調整を行う。
第一の部位117は、ノズルホルダ111の外周に沿って円環状に形成された溝構造を有し、その溝構造によって上流側から付勢される力の受け面117aが形成されている。また、第二の部位119は、ノズルホルダ111の外周に沿って円環状に形成された溝構造を有し、その溝構造によって下流側から付勢される力の受け面119aを有して形成されている。そして、燃料噴射弁100の上流側から下流側、もしくは下流側から上流側に第一の部位117及び第二の部位119を介して加圧を行い、ノズルホルダ111の力の受け面117a,119aに挟まれた部位を圧縮して塑性変形させる。この時、ノズルホルダ111の塑性変形量を所望の値に制御することでリフト量の調整を行う。
ノズルホルダ111は弁座部材102と溶接による結合を行っているため、ノズルホルダ111の軸方向長さを変更することは小リフト量g21を変更することとなり、小リフト量g21を所望の値に調整可能となる。さらに、塑性変形させる部位を、力を受ける部位と同一の部品とすることで、塑性変形部以外の部位への影響をおさえることが可能となる。また、ノズルホルダ111の軸方向長さが変更されることにより、前記弁体101のリフト量が変更されることを特徴とする。前記の通りノズルホルダ111の軸方向長さを変更することは小リフト量g21を変更することとなるため、小リフト量g21を所望の値に調整可能となる。
なお、本調整工程はリフト量のばらつきが発生する工程の後に行うことが望ましく、燃料噴射弁100の製作過程におけるリフト量の変化をその変化の発生する工程の後に調整可能とすることにより、リフト量を高精度に調整することができるので、リフト量の個体間ばらつきを修正することができ、燃料噴射弁100の個体間ばらつきを小さくすることができるとともに、燃料噴射量の精度を高めることができる。また、第一の部位117と第二の部位119とをそれぞれ円環状に形成したので、円筒形状部品である燃料噴射弁100のノズルホルダ111への第一の部位117と第二の部位119の形成が容易となり、より安価に燃料噴射弁100を製作することができる。
また、図18及び図19に示すように、ノズルホルダ111は、ノズルホルダ111の外周の軸方向における第一の部位117と第二の部位119との間に設けられ、ノズルホルダ111の外周に添って円環状に形成された溝構造、すなわち、径方向内側に凹む構造を有する第三の部位118を備えている。
これにより、リフト量の調整処理においてノズルホルダ111の塑性変形する部分を第一の部位117と第二の部位119の間のさらに限定的な範囲に抑制することが可能となり、ノズルホルダ111のリフト量の調整処理における塑性変形の他の部位への影響を抑えつつ、リフト量の調整を行うことが可能となる。
また、ノズルホルダ111の第一の部位117と第二の部位119にそれぞれ設けた力の受け面117a,119aの面積は、第三の部位の外径118bとノズルホルダ111の内径111aとで形成される径方向断面積よりも大きくなるように形成されている。すなわち、第一の部位117、第二の部位119、及び第三の部位118は、第三の部位118の外径118bとノズルホルダ111の内径111aとで形成される径方向断面積(すなわち、軸方向に垂直な面での断面積)が第一の部位117の力の受け面117a及び第二の部位119の力の受け面119aの面積よりも小さくなるように形成されている。
これにより、リフト量の調整処理において、力の受け面117a,119aに発生する応力よりも第三の部位118に発生する応力を大きくすることができ、第三の部位118が第一の部位117や第二の部位119に先んじて一番初めに塑性変形を行うようになり、他の部位への影響をさらに抑制することが可能となる。
また、リフト量の調整処理において、第三の部位118の塑性変形量が第一の部位117及び第二の部位119の塑性変形量よりも大きくなるように形成されている。
これにより、塑性変形部の限定と塑性変形量の管理が容易となり、ノズルホルダ111の塑性変形部以外の部位への影響をおさえつつリフト量の調整を行うことが可能となる。
また、図12に示すように、本実施の形態におけるリフト量の調整処理は、ノズルホルダ111に設けた第一の部位117及び第二の部位119に対してそれぞれ治具501,502を挿入して行う。具体的には、治具501,502をそれぞれ力の受け面117a,119aに当接させ、片方の治具(例えば、上流側の第一の部位117の力の受け面117aに当接させた治具501)を固定させた状態で、もう片方の治具(例えば、下流側の第二の部位119の力の受け面119aに当接させた治具502)をノズルホルダ111が圧縮される方向(すなわち、上流側方向)に移動させるように加圧を行い、ノズルホルダ111の第三の部位118を塑性変形させる。すなわち、第一の部位117又は第二の部位119の何れか一方が固定された状態で、他方に挿入された治具501,502が動作することで、第一の部位117から下流側に向かって力がかかる、又は第二の部位119から上流側に向かって力がかかるように構成する。
これにより、ノズルホルダ111の圧縮塑性変形によるリフト量の調整を均一に行うことが可能となる。このことは、塑性変形を行った際のノズルホルダ111の軸ずれ防止効果があり、燃料噴射弁100の弁体シート部115のシール性を悪化させずにリフト量の調整処理を行うことができる。また、塑性変形部以外の部位への影響を抑えつつリフト量の調整処理を行うことが可能となる。
<第1の実施の形態の変形例>
第1の実施の形態の変形例を図21及び図22を参照しつつ説明する。
第1の実施の形態の変形例を図21及び図22を参照しつつ説明する。
第1の実施の形態では、第一の部位117及び第二の部位119を凹み形状(溝構造)により形成しているが、本変形例では、力の受け面を有する部位をノズルホルダの外周側に凸となるように形成している。
図21は本変形例の燃料噴射弁におけるノズルホルダを示す拡大断面図であり、図22はノズルホルダの外観を模式的に示す図である。
図21及び図22に示すように、本変形例のノズルホルダ111Aは、ノズルホルダ111Aの外周に設けられ、ノズルホルダ111Aに軸方向の一方(例えば、上流側)から付勢される力を受ける第一の部位117Aと、ノズルホルダ111Aの外周の第一の部位117Aよりも軸方向の他方側(例えば、下流側)に設けられ、ノズルホルダ111Aに軸方向の他方(下流側)から付勢される力を受ける第二の部位119とを備えており、ノズルホルダ111Aの第一の部位117Aと第二の部位119との間に付勢される力により第一の部位117と第二の部位119の間を塑性変形させて、弁体101のリフト量の調整を行う。
第一の部位117Aは、ノズルホルダ111の外周に沿って円環状に形成されたフランジ状の凸構造を有し、その凸構造によって上流側から付勢される力の受け面117bが形成されている。また、第二の部位119は、ノズルホルダ111の外周に沿って円環状に形成された溝構造を有し、その溝構造によって下流側から付勢される力の受け面119aを有して形成されている。そして、燃料噴射弁100の上流側から下流側、もしくは下流側から上流側に第一の部位117A及び第二の部位119を介して加圧を行い、ノズルホルダ111Aの力の受け面117b,119aに挟まれた部位を圧縮して塑性変形させる。この時、ノズルホルダ111Aの塑性変形量を所望の値に制御することでリフト量の調整を行う。
その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
以上のように構成した本実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
<付記>
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内の様々な変形例や組み合わせが含まれる。また、本発明は、上記の実施の形態で説明した全ての構成を備えるものに限定されず、その構成の一部を削除したものも含まれる。
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内の様々な変形例や組み合わせが含まれる。また、本発明は、上記の実施の形態で説明した全ての構成を備えるものに限定されず、その構成の一部を削除したものも含まれる。
例えば、第1の実施の形態の変形例においては、第一の部位117Aのみをノズルホルダ111の外周に沿って円環状に形成されたフランジ状の凸構造とする構成としたが、第二の部位119についても同様に凸構造としてもよい。
また、上記の各構成、機能等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等により実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。
100…燃料噴射弁、101…弁体、101a…弁体軸、101b…肩部、102…弁座部材、107…磁気コア、107a…下流側端面、108…コイル、109…ヨーク、110…第一スプリング、110a…保持部材、111,111A…ノズルホルダ、112…燃料供給口、113…スリーブ、113a…スリーブ下端部、114…スプリング保持部材、115…弁体シート部、116…燃料噴射孔、117…第一の部位、117a…力の受け面、117A…第一の部位、117b…力の受け面、118…第三の部位、119…第二の部位、119a…力の受け面、122…通信ライン、123…信号線、131…段付き部、131a…接触面、131b…下流側端面、201…第一可動コア、201a…第一対向面、201b…内周面、201c…凹み部、201d…燃料通路孔、201e…凹み部底面、201f…外周面、202…第二可動コア、202a…第二対向面、202b…外周面、202c…下流側端面、202d…燃料通路孔、202e…下流側端面、202h…上流側係合部、202i…下流側端面、203…第二スプリング、204…第三スプリング、401,404…最大駆動電流、403,406…弁体変位量、501,502…治具
Claims (9)
- 燃料が通流するノズルホルダと、
前記ノズルホルダの軸方向の一端に形成された、前記燃料が噴射される燃料噴射孔と、
前記ノズルホルダ内に軸方向に移動可能に内包され、前記燃料噴射孔との距離によって前記燃料噴射孔の開度を調整する弁体と
を備えた燃料噴射弁において、
前記ノズルホルダは、
前記ノズルホルダの外周に設けられ、前記ノズルホルダに軸方向の一方から付勢される力を受ける第一の部位と、
前記ノズルホルダの外周の前記第一の部位よりも軸方向の他方側に設けられ、前記ノズルホルダに軸方向の他方から付勢される力を受ける第二の部位とを備え、
前記ノズルホルダの前記第一の部位と前記第二の部位との間に付勢される力により前記第一の部位と前記第二の部位の間が塑性変形することを特徴とする燃料噴射弁。 - 請求項1に記載の燃料噴射弁において、
前記ノズルホルダの外周の軸方向における前記第一の部位と前記第二の部位との間に設けられ、前記ノズルホルダの外周に添って円環状に形成された溝構造を有する第三の部位を備えたことを特徴とする燃料噴射弁。 - 請求項2に記載の燃料噴射弁において、
前記第三の部位は、前記ノズルホルダの前記第三の部位における軸方向に垂直な面での断面積が、前記第一の部位における前記第一の部位に付勢される力の方向と対向する面の面積及び前記第二の部位における前記第二の部位に付勢される力の方向と対向する面の面積よりも小さくなるよう形成されたことを特徴とする燃料噴射弁。 - 請求項2に記載の燃料噴射弁において、
前記第三の部位は、前記ノズルホルダの前記第三の部位における塑性変形の変形量が、前記第一の部位における前記第一の部位に付勢される力による変形量及び前記第一の部位における前記第一の部位に付勢される力による変形量よりも大きくなるように形成されたことを特徴とする燃料噴射弁。 - 請求項1に記載の燃料噴射弁において、
前記第一の部位及び前記第二の部位はそれぞれ前記ノズルホルダの外周に沿って円環状に形成されたことを特徴とする燃料噴射弁。 - 請求項1に記載の燃料噴射弁において、
前記第一の部位及び前記第二の部位の少なくとも一方は、前記ノズルホルダの外周に沿って円環状に形成された溝構造を有することを特徴とする燃料噴射弁。 - 請求項1に記載の燃料噴射弁において、
前記第一の部位及び前記第二の部位の少なくとも一方は、前記ノズルホルダの外周に沿って円環状に形成されたフランジ状の凸構造を有することを特徴とする燃料噴射弁。 - 請求項1に記載の燃料噴射弁において、
前記ノズルホルダは、前記第一の部位又は前記第二の部位の何れか一方に挿入された治具の方向に、前記第一の部位又は前記第二の部位の他方に挿入された治具を近づけるように動かすことで、前記第一の部位と前記第二の部位の間が塑性変形することを特徴とする燃料噴射弁。 - 請求項1に記載の燃料噴射弁において、
前記第一の部位と前記第二の部位の間が塑性変形して前記ノズルホルダの軸方向長さが変更されることを特徴とする燃料噴射弁。
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2017
- 2017-12-26 JP JP2017249454A patent/JP2019113045A/ja active Pending
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