JP2019109514A - 吸収型の近赤外線フィルタ - Google Patents

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Abstract

【課題】現在のフィルタは、色ずれ、色収差、迷光、またはゴーストなどのような問題を持ちやすく、写真画像のプレゼンテーションに影響を及ぼす。【解決手段】吸収型の近赤外線フィルタは、第1多層膜10と、第2多層膜12と、重量パーセントで1%〜3%の間の赤外線吸収染料を有する吸収膜とを備えており、赤外線域では、吸収膜のうち80%の透過率を持つ波長と第1多層膜10のうち80%の反射率を持つ波長との差が130nm〜145nmの間で変動し、吸収膜のうち50%の透過率を持つ波長と第1多層膜10のうち50%の反射率を持つ波長との差が75nm〜90nmの間で変動し、吸収膜のうち20%の透過率を持つ波長と第1多層膜10のうち20%の反射率を持つ波長との差が25nm〜45nmの間で変動する。【選択図】図1

Description

本出願は、参照によって組込まれる、2017年12月19日に出願された中国特許出願第201711371902.6号の優先権を主張する。
本開示は、フィルタの技術分野に関し、詳細には吸収型の近赤外線フィルタに関する。
一般に、人間の目は約400nm〜700nmの間で変動する可視光波長を知覚する。不可視光には、700nm〜1200nmの間で変動する波長を有する赤外線と、100nm〜400nmの間で変動する波長を有する紫外線とが含まれる。赤外線は、人間の視力に適した色に影響を及ぼさないが、カメラ、ビデオカメラ、または携帯電話カメラなどのような写真装置に対しては当てはまらない。写真レンズは一般に、レンズマウント(取付具)内に複数の光学レンズ、フィルタ、および、電荷結合素子(CCD)または相補型金属酸化膜半導体(CMOS)などのような画像感知部品(イメージ・センシング・コンポーネント)を設けられている。画像感知部品は、400nm〜1200nmの間で変動する波長を有する光を感知する高感度を備え、不可視光内の赤外線を捕捉(捕獲)できる。画像への赤外線の影響を回避するために、フィルタまたはフィルタリングレンズを画像感知要素の前面に取り付ける(設置する)ことは、赤外線が画像感知要素に入るのを阻止(ブロック)して画像のカラーシフト(色ずれ)減少を補正するのに必要である。今のところ、フィルタには、反射型フィルタと、吸収型フィルタとが含まれる。しかしながら、現在のフィルタは、色ずれ、色収差、迷光、またはゴーストなどのような問題を持ちやすく、写真画像のプレゼンテーションに影響を及ぼす。
本開示の実施の形態は、吸収型の近赤外線フィルタを提供して、色ずれ、色収差、迷光、またはゴーストなどのような問題を解決し画質を向上させる。
本開示が提供する吸収型の近赤外線フィルタは、第1多層膜と、第2多層膜と、第1多層膜と第2多層膜との間の吸収膜とを備える。吸収膜は、1%〜3%の重量パーセントを持つ赤外線吸収染料を備えており、赤外線域内では、吸収膜のうち80%の透過率を持つ波長と第1多層膜のうち80%の反射率を持つ波長との差は130nm〜145nmの間で変動し、吸収膜のうち50%の透過率を持つ波長と第1多層膜のうち50%の反射率を持つ波長との差は75nm〜90nmの間で変動し、吸収膜のうち20%の透過率を持つ波長と第1多層膜のうち20%の反射率を持つ波長との差は25nm〜45nmの間で変動する。
しかしながら、理解されるべきことは、この概要が本開示の態様および実施の形態の全てを含まないこと、この概要が何らかの方法で限定または制限するということを意味しないこと、および、本書で公開されたような開示が自明な改良および変形を包含する技術において通常の知識を有する人によって理解されることである。
新規と思われる典型的な実施の形態の特徴、ならびに、典型的な実施の形態に特有の要素および/または工程(ステップ)は、添付の請求項において詳細に説明される。図は、説明の目的だけのためであり、一定の縮尺率で描かれていない。構成(構造)および動作方法の両方に関しての典型的な実施の形態は、添付の図面と併用してあとに続く詳細な説明を参照して最も良く理解されるだろう。
本開示における吸収型の近赤外線フィルタの模式図である。 本開示における吸収膜の模式図である。 本開示における吸収膜の別の実施の形態の模式図である。 本開示における吸収膜の別の実施の形態の模式図である。 本開示における第1および第2実施の形態の吸収型の近赤外線フィルタの赤外線スペクトルを示す図である。 本開示における第1および第2実施の形態の吸収型の近赤外線フィルタの紫外線スペクトルを示す図である。 本開示における第3および第4実施の形態の吸収型の近赤外線フィルタの赤外光スペクトルを示す図である。 本開示における第4実施の形態の吸収型の近赤外線フィルタの紫外線スペクトルを示す図である。
さて、本開示は、この開示の典型的な実施の形態を示した添付図面を参照して、より詳細にこの後に記述されるだろう。しかしながら、本開示は、多くの異なる形式(形態)で具現化(具体化)されても良く、本書で説明される実施の形態に制限されるように解釈されるべきではない。もっと正確に言えば、これらの実施の形態は、この本開示が綿密かつ完結であるとともに本開示の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。
ある用語は、明細書の記載と後の請求項との至る所で使用されて、特有の構成要素(部品)に言及する。当業者が正しく理解するように、製造業者(メーカー)は違った名前で部品(構成要素)に言及するかもしれない。この書類は、名前ではなく機能において異なる構成要素の間の相違を示すよう意図していない。以下の記述および請求項において、用語「含む/含んで」および「備える/備えて」は制限のない方式で使用され、こうして「含むが制限されない」として解釈されるべきである。「実質の/実質的に」は、受け入れられる誤差範囲内では、当業者がある誤差範囲内の技術的問題を解決してその基礎の技術的効果を達成するかもしれないことを意味する。以下の記述は、本開示を実施する最良の予想態様(モード)である。この記述は、開示の一般原則の説明目的のためなされ、制限する意味に取られるべきではない。開示の範囲は、添付の請求項を参照して最も適切に決定される。
さらに、用語「含む」、「含有する」、およびそれらのどんな変化でも、非排他的な包含に及ぶよう意図されている。したがって、一連の要素を含むプロセス、方法、物(物体、対象)、または装置(デバイス)は、それらの要素だけではなく特に明確に述べられていない他の要素をも含む、または、当該プロセス、方法、物、または装置の固有の要素を含んでも良い。もしそれ以上の制限がなされるならば、「・・・を含む」によって制限される要素は、当該要素を含んだプロセス、方法、物品、または装置に既存する他の同じ要素を排除しない。
以下の実施の形態では、同一参照符号は、この開示の至る所で同一または類似の要素に言及するために使用される。
図1は、本開示における吸収型の近赤外線フィルタの模式図を示す。図で示されるように、吸収型の近赤外線フィルタ1は、第1多層膜10、第2多層膜12、第1多層膜11と第2多層膜12との間の吸収膜11を備える。本開示の吸収膜11は、赤外線吸収膜、または、赤外線および紫外線を吸収する能力を持つ複合吸収膜のみを含んでも良い。代替として、吸収膜11には、赤外線吸収膜/層と紫外線吸収膜/層との両方が含まれても良い。
第1多層膜10と第2多層膜12とはそれぞれ、複数の層によって積み重ねら(積層さ)れている。第1多層膜10と第2多層膜12とにおける複数の層のそれぞれの材料(原料)は、TiO、SiO、Y、MgF、Al、Nb、AlF、Bi、Gd、LaF、PbTe、Sb、SiO、SiN、TA2Os、ZnS、ZnSe、ZrO、およびNaAlFから成るグループから選択された少なくとも1つを備える。第1多層膜10と第2多層膜12とのうち一方は、赤外線カット構造を備え、他方は反射防止構造を備える。第1多層膜10の厚さと第2多層膜12の厚さとの差は0nm〜4000nmの間である。
図2は、本開示における吸収膜の模式図を示す。吸収膜11は、透明基板111と、単一の赤外線吸収層112とを備える。透明基板111は、第1表面111aと、第1表面111aの反対側の第2表面111bとを有する。第1多層膜10または第2多層膜12は透明基板111の第1表面111a上に形成され、赤外線吸収層112は透明基板111の第2表面111b上に形成されている。もし第1多層膜10が透明基板111の第1表面111a上に形成されるならば、第2多層膜12は赤外線吸収膜構造112上にめっきされ、第1多層膜10に対向される。もし第2多層膜12が透明基板111の第1表面111a上に形成されるならば、第1多層膜10は赤外線吸収構造112上に形成され、第2多層膜12に対向される。
赤外線吸構造112は、透明樹脂と、赤外線吸収染料(ダイ)とを含む。赤外線吸収染料は液化され、透明樹脂内に分散されている。透明樹脂の材料は、エポキシ樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリシクロオレフィン、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリオキシアルキレン、およびポリビニル・ブチラールから成るグループから選択される。透明樹脂は85%以上の光透過率を有する。代替として、透明樹脂は90%以上の光透過率を有する。透明基板111の材料が、たとえば、ガラス、アクリル(PMMA)、または石英からなっても良い。透明基板111は、赤外線吸収基板を構成するために、赤外線吸収着色材を備えても良い。透明基板111がガラスから成ることを考慮して、ガラスはフルオロリン酸塩系の赤外線フィルタガラスまたはリン酸塩系の赤外線フィルタガラスである。吸収膜11内に含有される赤外線吸収染料の重量パーセントは、1%〜3%の間である。赤外線吸収染料の材料は、アゾ化合物、ジオニウム化合物、ジチオフェノール金属複合体、フタロシアニン化合物、スクアライン化合物、およびシアニン化合物から成るグループから選択された少なくとも1つを備える。代替として、赤外線吸収染料の材料は、フタロシアニン化合物、スクアライン化合物、およびシアニン化合物から成るグループから選択された少なくとも1つを備える。赤外線吸収染料によって吸収される光(光線)の波長は650nm〜1100nmの間であり、代替として650nm〜750nmの間であっても良い。赤外線吸収構造112は、赤外線吸収溶液を最初に調整することによって準備される。赤外線吸収溶液は、赤外線吸収染料と溶媒との混合物である。溶媒は、ケトン、エーテル、エステル、アルコール、アルコールエステル、炭化水素、またはキルピンから選択される。赤外線吸収溶液はさらに、レべリング剤、帯電防止剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、分散剤、難燃剤、保湿剤、または可塑剤とともに添加される。赤外線吸収溶液は、溶解され透明樹脂内に分散されて赤外線吸収被膜液を形成する。それから、赤外線吸収被膜液は、透明基板111上に塗布される。被膜方法は、浸漬被覆、鋳型コーティング(被覆)、吹き付けコーティング、スピンコーティング、ビードコーティング、バーコーティング、またはナイフコーティングによって選択されても良い。本実施の形態の赤外線吸収被膜液は、コーティング回転スピードが300rpm〜1100rpmの間である被覆方法により透明基板111に塗布される。赤外線吸収被膜液がその被膜方法によって透明基板111に塗布された後に、透明基板111に塗布された赤外線吸収被膜液は順次、熱的に乾燥され硬化されて、赤外線吸収層112を透明基板111の上に形成する。硬化は、熱硬化、光硬化、または、熱硬化と光硬化の両方の何れかを使って行われ得る。熱硬化の温度は100℃〜180℃の間であり、光硬化の光束は8000J/m〜10000J/mの間である。
図3は、本開示における吸収膜の別の実施の形態の模式図を示す。吸収膜11には、透明基板111、赤外線紫外線混合吸収膜113が含まれる。赤外線紫外線混合吸収膜は、透明基板111上に形成される。赤外線紫外線混合吸収膜113は、赤外線吸収染料と紫外線吸収染料とを透明樹脂に添加することによって形成される。吸収膜11内に含有される赤外線吸収染料の重量パーセントは1%〜3%の間であり、吸収膜11内に含有される紫外線吸収染料の重量パーセントは4%〜10%の間である。紫外線吸収染料の材料は、アゾメチン化合物、ランタノイド化合物、ベンゾトリアゾール化合物、およびトリアジン化合物から成るグループから選択された少なくとも1つを備える。赤外線吸収染料の材料は上述され、ここでは記述されないだろう。透明基板111の材料は、たとえば、ガラス、アクリル(PMMA)、または石英からなる。別の実施の形態では、透明基板111はさらに、赤外線吸収着色材を含有し、赤外線吸収基板を形成する。透明基板111がガラス材料から成ることを考慮して、ガラスは、フルオロリン酸塩系の赤外線フィルタガラスまたはリン酸塩系の赤外線フィルタガラスである。
図4は、本開示における吸収膜の別の実施の形態の模式図を示す。吸収膜11には、透明基板111と、赤外線紫外線積層吸収膜114とが含まれる。赤外線紫外線積層吸収膜114は透明基板111上に形成される。赤外線紫外線積層吸収膜114は赤外線吸収層1141と紫外線吸収層1142とを備える。赤外線吸収層1141は、透明基板と、赤外線吸収染料とを備える。吸収膜11は重量パーセントで1%〜3%の間に赤外線吸収染料を含有し、紫外線吸収層1142は透明基板と紫外線吸収染料とを備える。吸収膜11は、重量パーセントで4%〜10%の間に紫外線吸収染料を含有する。本実施の形態では、赤外線吸収層1141は透明基板111上に形成され、紫外線吸収層1142は赤外線吸収層1141上に形成される。別の実施の形態では、赤外線吸収層1141と紫外線吸収層1142との位置は反転されても良い。すなわち、紫外線吸収層1142は最初に透明基板111上に設けられ、赤外線吸収層1141は紫外線吸収層1142上に設けられる。別の実施の形態では、透明基板111は赤外線吸収顔料であっても良い。赤外線吸収層1141の透明樹脂の材料、紫外線吸収層1142の透明樹脂の材料、赤外線吸収層1141の赤外線染料の材料、紫外線吸収層1142の紫外線吸収染料の材料は、上述され、ここでは記述されないだろう。紫外線吸収層1142の準備方法と、赤外線吸収層1141の準備方法とは、図1の赤外線吸収構造の準備方法と同じであり、ここでは記述されないだろう。紫外線吸収染料1142の準備方法と、赤外線吸収層1141の準備方法とは、図1の赤外線吸収構造の準備方法と同じであり、ここでは記述されないだろう。
吸収膜11が単一の赤外線吸収膜(図2で示されるように)であり、赤外線紫外線混合吸収膜(図3で示されるように)であり、または、赤外線紫外線積層吸収膜(図4で示されるように)であることを考慮して、本開示による吸収膜11と第1多層膜10とのスペクトルによれば、本開示の吸収膜11は以下の条件を満たす:
(1)赤外線域では、吸収膜11のうち80%の透過率を持つ波長(λT80%)と第1多層膜10のうち80%の反射率を持つ波長(λR80%)との差は130nm〜145nmの間で変動し;
(2)赤外線域では、吸収膜11のうち50%の透過率を持つ波長(λT50%)と第1多層膜10のうち50%の反射率を持つ波長(λR50%)との差は75nm〜90nmの間で変動し;
(3)赤外線域では、吸収膜11の20%で透過率を持つ波長(λT20%)と、第1多層膜10の20%で反射率を持つ波長(λR20%)との絶対差は、25nm〜45nmの間で変動し;
(4)赤外線域では、吸収膜11のうち80%の透過率を持つ波長(λT80%)と吸収膜11のうち50%の透過率を持つ波長(λT50%)との絶対差は50nm未満であり;
(5)赤外線域では、吸収膜11のうち50%の透過率を持つ波長(λT50%)と吸収膜11のうち20%の透過率を持つ波長(λT20%)との絶対差は42nm未満である。
吸収膜11が赤外線紫外線吸収機能(図3で示されるように)を持つ単一の複合吸収膜であること、または、赤外線吸収膜と紫外線吸収膜(図4で示されるように)の組合せであることを考慮して、本開示による吸収膜11と第1多層膜10とのスペクトルによれば、本開示の吸収膜11は以下の条件を満たす:
(1)紫外線域では、吸収膜11のうち80%の透過率を持つ波長(λT80%)と第1多層膜10のうち80%の反射率を持つ波長(λR80%)との差は23nm〜40nmの間で変動し;
(2)紫外線域では、吸収膜11のうち50%の透過率を持つ波長(λT50%)と第1多層膜10のうち50%の反射率を持つ波長(λR50%)との差は3nm〜14nmの間で変動し;
(3)紫外線域では、吸収膜11のうち20%の透過率を持つ波長(λT20%)と第1多層膜10のうち20%の反射率を持つ波長(λR20%)との差は−15nm〜2.5nmの間で変動し;
(4)紫外線域では、吸収膜11のうち80%の透過率を持つ波長(λT80%)と吸収膜11のうち50%で透過率を持つ波長(λT50%)との絶対差は23nm未満であり;
(5)紫外線域では、吸収膜11のうち50%で透過率を持つ波長(λT50%)と吸収膜11のうち20%の透過率を持つ波長(λT20%)との絶対差は16nm未満であり;
(6)赤外線域での吸収膜11のうち80%の透過率を持つ波長(λT80%)と紫外線域での吸収膜11のうち80%の透過率を持つ波長(λT80%)との差は126nm〜164nmの間で変動し;
(7)赤外線域での吸収膜11のうち50%の透過率を持つ波長(λT50%)と紫外線域での吸収膜11のうち50%の透過率を持つ波長(λT50%)との差は195nm〜239nmの間で変動し;
(8)赤外線域での吸収膜11のうち20%の透過率を持つ波長(λT20%)と紫外線域での吸収膜11のうち20%の透過率を持つ波長(λT20%)との差は244nm〜309nmの間で変動する。
第1実施の形態
この実施の形態における吸収型の近赤外線フィルタの構造は単一の赤外線吸収膜を備え、赤外線吸収膜は赤外線吸収染料を備える。この実施の形態の第1多層膜の厚さは4000nm〜4500nmの間である。二層膜構造の厚さは600nm〜700nmの間である。この実施の形態における第1多層膜と第2多層膜とは、図2で示されるように、非対称的に被覆(コーティング)されている。
表1は、10組の吸収膜に対する実際のデータを与える。この実施の形態の吸収膜は、単一の赤外線吸収膜A1である。各組における赤外線吸収構造A1の赤外線吸収染料の重量パーセントは異なっている。赤外線吸収構造A1を形成するための回転速度は、400rpm〜650rpmの間である。第1透過率スペクトル曲線21、第2透過率スペクトル曲線22、第3透過率スペクトル曲線23、第4透過率スペクトル曲線24、および第1反射率スペクトル曲線25を例示する図5を参照する。第1透過率スペクトル曲線21、第2透過率スペクトル曲線22、第3透過率スペクトル曲線23、および第4透過率スペクトル曲線24はそれぞれ、以下の表ではNo.1、No.2、No.5、およびNo.10として赤外線域内の赤外線吸収膜A1の透過率スペクトル曲線を例示する。第1反射率スペクトル曲線25は赤外線域内での第1多層膜R1の反射率スペクトル曲線である。
赤外線吸収構造A1と第1多層膜R1(図5)とのスペクトル曲線によれば、赤外線域では、赤外線吸収膜A1のうち80%の透過率を持つ波長(λT80%)と第1多層膜R1のうち80%の反射率を持つ波長(λR80%)との差(A1(λT80%)−R1(λR80%))、赤外線吸収膜A1のうち50%の透過率を持つ波長(λT50%)と第1多層膜R1のうち50%の反射率を持つ波長(λR50%)との差(A1(λT50%)−R1(λR50%))、赤外線吸収膜A1のうち20%の透過率を持つ波長(λT20%)と第1多層膜R1のうち20%の反射率を持つ波長(λR20%)との差(A1(λT20%)−R1(λR20%))、赤外線吸収膜A1のうち50%の透過率を持つ傾斜角0度〜30度の間の差(Δλ(0°−30°)T50%)、および、赤外線吸収膜A1のうち20%の透過率を持つ傾斜角0度〜30度の間の差(Δλ(0°−30°)T20%)が計算される。
Figure 2019109514
上記表1におけるNo.3〜No.10から以下のことが要約されるだろう。赤外線吸収構造A1内に含有される赤外線吸収染料の重量パーセントは1%〜3%の間になるように制御され、赤外線吸収構造A1を形成するための回転速度は400rpm〜650rpmの間に制御される。赤外線吸収構造A1と第1多層膜R1とのそれぞれのスペクトルは以下の条件を満たす:赤外線吸収膜A1のうち80%の透過率を持つ波長と第1多層膜R1のうち80%の反射率を持つ波長との間の差は135nm〜145nmの間の範囲に入り、赤外線吸収膜A1のうち50%の透過率を持つ波長と第1多層膜R1のうち50%の反射率を持つ波長との間の差は75nm〜90nmの間の範囲に入り、および、赤外線吸収膜A1のうち20%の透過率を持つ波長と第1多層膜R1のうち20%の反射率を持つ波長との間の差は25nm〜45nmの間の範囲に入る。
赤外線吸収構造A1のスペクトルが上記条件を満たす場合、赤外線吸収膜A1のうち50%の透過率を持つ傾斜角0度〜30度の間の差は2nm未満であり、赤外線吸収膜A1のうち20%の透過率を持つ傾斜角0度〜30度の間の差は6nm未満である。これは、赤外線吸収膜A1に関して傾斜角0度〜30度の間でスペクトル曲線のずれ(オフセット)が小さいことを示す。近赤外線フィルタの被覆(コーティング)によって引き起こされる色ずれ、色収差、迷色、およびゴーストの問題は効果的に解決される。本実施の形態の赤外線吸収構造A1の透明基板は、上記効果を達成するために赤外線吸収着色材を含有しても良い。
第2実施の形態
第1実施の形態における吸収型の近赤外線フィルタと異なって、本実施の形態の吸収型の近赤外線フィルタは、赤外線紫外線混合吸収膜A2を採用する。赤外線紫外線吸収層吸収構造A2は、図3で示されるように、赤外線吸収染料と紫外線吸収染料とを有する。
表2は、10組の吸収膜に対する実際のデータを与える。吸収膜は赤外線紫外線混合層吸収膜A2である。それぞれの赤外線紫外線混合層吸収膜A2の赤外線吸収染料と紫外線吸収染料との重量パーセントは異なる。赤外線吸収構造A2を被覆形成するための回転速度は400rpm〜650rpmの間である。図5および図6を参照する。第2実施の形態における赤外線紫外線混合層吸収膜A2と第1多層膜R1との赤外線域内でのスペクトル曲線は、第1実施の形態における赤外線吸収膜A1と第1多層膜R1とのものに類似している。したがって、この実施の形態における赤外線域内での赤外線紫外線混合層吸収膜A2のスペクトル曲線は図5に当てはまるかもしれない。図6は、第5透過率スペクトル曲線31、第6透過率スペクトル曲線32、第7透過率スペクトル曲線33、第8透過率スペクトル曲線34、および、第2反射率スペクトル曲線35を含む。第5透過率スペクトル曲線31、第6透過率スペクトル曲線32、第7透過率スペクトル曲線33、第8透過率スペクトル曲線34はそれぞれ、以下の表においてNo.1、No.2、No.5、およびNo.10として紫外線域内での赤外線紫外線混合層吸収膜A2の透過率スペクトル曲線を例示する。第2反射率スペクトル曲線35は、紫外線域では第1多層膜R1の反射率スペクトル曲線である。
赤外線紫外線混合層吸収膜A2および第1多層膜R1(図5)のスペクトル曲線によれば、赤外線域では、赤外線紫外線混合層吸収膜A2のうち80%の透過率を持つ波長(λT80%)と第1多層膜R1のうち80%の反射率を持つ波長(λR80%)との差(A2(λT80%)−R1(λR80%))、赤外線紫外線混合層吸収膜A2のうち50%の透過率を持つ波長(λT50%)と第1多層膜R1のうち50%の反射率を持つ波長(λR50%)との差(A2(λT50%)−R1(λR50%))、赤外線紫外線混合層吸収膜A2のうち20%の透過率を持つ波長(λT20%)と第1多層膜R1のうち20%の反射率を持つ波長(λR20%)との差(A2(λT20%)−R1(λR20%))、赤外線紫外線混合層吸収膜A2のうち50%の透過率を持つ傾斜角0度〜30度の間の差(Δλ(0°−30°)T50%)、および、赤外線紫外線混合層吸収膜A2のうち20%の透過率を持つ傾斜角0度〜30度の間の差(Δλ(0°−30°)T20%)が計算される。
赤外線紫外線混合層吸収膜A2および第1多層膜R1(図6)のスペクトル曲線によれば、紫外線域では、赤外線紫外線混合層吸収膜A2のうち80%の透過率を持つ波長(λT80%)と第1多層膜R1のうち80%の反射率を持つ波長(λR80%)との差(A2(λT80%)−R1(λR80%))、赤外線紫外線混合層吸収膜A2のうち50%の透過率を持つ波長(λT50%)と第1多層膜R1のうち50%の反射率を持つ波長(λR50%)との差(A2(λT50%)−R1(λR50%))、赤外線紫外線混合層吸収膜A2のうち20%の透過率を持つ波長(λT20%)と第1多層膜R1のうち20%の反射率を持つ波長(λR20%)との差(A2(λT20%)−R1(λR20%))、赤外線紫外線混合層吸収膜A2のうち50%の透過率を持つ傾斜角0度〜30度の間の差(Δλ(0°−30°)T50%)、および、赤外線紫外線混合層吸収膜A2のうち20%の透過率を持つ傾斜角0度〜30度の間の差(Δλ(0°−30°)T20%)が計算される。
Figure 2019109514
上記の表2においてNo.3〜No.10から以下のことが要約されるだろう。赤外線紫外線混合吸収膜A2に含有された赤外線吸収染料の重量パーセントは1%〜3%の間になるように制御され、赤外線紫外線混合吸収膜A2に含有された紫外線吸収染料の重量パーセントは4%〜10%の間になるように制御され、赤外線紫外線混合吸収膜A2を形成するための回転速度は400rpm〜650rpmの間で制御される。
この実施の形態における赤外線紫外線混合吸収膜A2は次の条件を満たす:赤外線域では、赤外線紫外線混合吸収膜A2のうち80%の透過率を持つ波長と第1多層膜R1のうち80%の反射率を持つ波長との差は135nm〜145nmの間の範囲に入り、赤外線紫外線混合吸収膜A2のうち50%の透過率を持つ波長と第1多層膜R1のうち50%の反射率を持つ波長との差は75nm〜90nmの間の範囲に入り、赤外線紫外線混合吸収膜A2のうち20%の透過率を持つ波長と第1多層膜R1のうち20%の反射率を持つ波長との差は25nm〜45nmの間の範囲に入り;紫外線域では、赤外線紫外線混合吸収膜A2のうち80%の透過率を持つ波長と第1多層膜R1のうち80%の反射率を持つ波長との差は23nm〜40nmの間の範囲に入り、赤外線紫外線混合吸収膜A2のうち50%の透過率を持つ波長と第1多層膜R1のうち50%の反射率を持つ波長との差は3nm〜13nmの間の範囲に入り、および、赤外線紫外線混合吸収膜A2のうち20%の透過率を持つ波長と第1多層膜R1のうち20%の反射率を持つ波長との差は−15nm〜0nmの間の範囲に入る。
この実施の形態における赤外線紫外線混合吸収膜A2が上記の条件を満たす場合、赤外線域では、赤外線紫外線混合吸収膜A2のうち50%の透過率を持つ傾斜角0度〜30度の間の差は2nm未満であり、および、赤外線紫外線混合吸収膜A2のうち20%の透過率を持つ傾斜角0度〜30度の間の差は6nm未満であり;紫外線域では、赤外線紫外線混合吸収膜A2のうち50%の透過率を持つ傾斜角0度〜30度の間の差は−1nm〜2nmであり、および、赤外線紫外線混合吸収膜A2のうち20%の透過率を持つ傾斜角0度〜30度の間の差は9nm未満である。これはまた、赤外線紫外線混合吸収膜A2に関して傾斜角0度〜30度の間のスペクトル曲線のずれが小さいこと示す。近赤外線フィルタのコーティングによって引き起こされる色ずれ、色収差、迷色、およびゴーストの問題は効果的に解決される。
表3は、赤外線紫外線混合吸収膜A2に関して赤外線域では80%の透過率を持つ波長と紫外線域では80%の透過率を有する波長との差(IR(λT80%)−UV(λT80%))、赤外線紫外線混合吸収膜A2に関して赤外線域では50%の透過率を持つ波長と紫外線域では50%の透過率を持つ波長との間の差(IR(λT50%)−UV(λT50%))、および、赤外線紫外線混合吸収膜A2に関して赤外線域では20%の透過率を持つ波長と紫外線域では20%の透過率を持つ波長との間の差(IR(λT20%)−UV(λT20%))を例示する。
Figure 2019109514
正しく理解されることは、赤外線紫外線混合吸収膜A2に関して赤外線域では80%の透過率を持つ波長と紫外線域では80%の透過率を持つ波長との差が126nm〜161nmの間で変動し、赤外線紫外線混合吸収膜A2に関して赤外線域では50%の透過率を持つ波長と紫外線域では50%の透過率を持つ波長との差が196nm〜237nmの間で変動し、および、赤外線紫外線混合吸収膜A2に関して赤外線域では20%の透過率を持つ波長と紫外線域では20%の透過率を持つ波長との差が245nm〜308nmの間で変動することである。
この実施の形態における赤外線紫外線混合吸収膜A2のスペクトルでは、650nm〜700nmの間での波長の光通過(貫通)領域に対する450nm未満の波長の光通過領域の比率は10未満である。すなわち、赤外線紫外線混合層吸収膜A2の赤外線域と紫外線域とのスペクトル曲線は対称である。これはまた、赤外線紫外線混合層吸収膜A2のスペクトル曲線が紫外線域または赤外線域に移動(シフト)していないことを明らかにする。したがって、目に見えない(非可視)領域はCMOS感知要素の機能を妨げず、ゴーストの発生を低減する。
また、上述の効果は、本実施の形態の赤外線紫外線混合層吸収膜A2を、赤外線吸収構造と紫外線吸収構造とに分離して置き換えることにより(図4で示されるように)達成され得る。本実施の形態の赤外線紫外線混合吸収膜A2の透明基板は、上記効果を達成するために赤外線吸収着色材を含んでも良い。
第3実施の形態
第3実施の形態の吸収型の近赤外線フィルタを考慮して、第1多層膜の厚さと第2多層膜の厚さとの差は1000nm未満である。この実施の形態における第1多層膜の厚さと第2多層膜の厚さとはそれぞれ3300nm〜3900nmの間で変動する。要するに、本実施の形態における第1多層膜と第2多層膜は、図2で示されるように、対称的にコーティング(被覆)されている。
表4は、10組の吸収膜に対する実際のデータを与える。この実施の形態の吸収膜は単一の赤外線吸収膜A1である。それぞれの組の赤外線吸収構造A1における赤外線吸収染料の重量パーセントは異なっている。赤外線吸収構造A1を形成するための回転速度は400rpm〜650rpmの間である。第9透過率スペクトル曲線41、第10透過率スペクトル曲線42、第11透過率スペクトル曲線43、第12透過率スペクトル曲線44、および、第3反射率スペクトル曲線45を例示する図7を参照する。第9透過率スペクトル曲線41、第10透過率スペクトル曲線42、第11透過率スペクトル曲線43、および第12透過率スペクトル曲線44はそれぞれ、以下の表のNo.1、No.2、No.5、およびNo.10として赤外線域内における赤外線吸収膜A1の透過性スペクトル曲線を例示する。第3反射率スペクトル曲線45は第1多層膜R1の反射率スペクトル曲線である。
赤外線吸収構造A1および第1多層膜R1(図7)のスペクトル曲線によれば、赤外線域では、赤外線吸収膜A1のうち80%の透過率を持つ波長(λT80%)と第1多層膜R1のうち80%の反射率を持つ波長(λR80%)との差(A1(λT80%)−R1(λR80%))、赤外線吸収膜A1のうち50%の透過率を持つ波長(λT50%)と第1多層膜R1のうち50%の反射率を持つ波長(λR50%)との差(A1(λT50%)−R1(λR50%))、赤外線吸収膜A1のうち20%の透過率を持つ波長(λT20%)と第1多層膜R1のうち20%の反射率を持つ波長(λR20%)との差(A1(λT20%)−R1(λR20%))、赤外線吸収膜A1のうち50%の透過率を持つ傾斜角0度〜30度の間の差(Δλ(0°−30°)T50%)、および、赤外線吸収膜A1のうち20%の透過率を持つ傾斜角0度〜30度の間の差(Δλ(0°−30°)T20%)が計算される。
Figure 2019109514
上記の表4においてNo.4〜No.10から以下のことが要約されるだろう。赤外線吸収構造A1内に含有される赤外線吸収染料の重量パーセントは1%〜3%の間になるように制御され、赤外線吸収構造A1を形成するための回転速度は400rpm〜650rpmの間で制御(コントロール)される。赤外線吸収構造A1のそれぞれのスペクトルは次の条件を満たす:赤外線吸収膜A1のうち80%の透過率を持つ波長と第1多層膜R1のうち80%の反射率を持つ波長との差は130nm〜137nmの間の範囲内に入り、赤外線吸収膜A1のうち50%の透過率を持つ波長と第1多層膜R1のうち50%の反射率を持つ波長との差は77nm〜85nmの間の範囲内に入り、および、赤外線吸収膜A1のうち20%の透過率を持つ波長と第1多層膜R1のうち20%の反射率を持つ波長との差は30nm〜42nmの間の範囲内に入る。
赤外線吸収構造A1のスペクトルが上記の条件を満たす場合、赤外線吸収膜A1のうち50%の透過率を持つ傾斜角0度〜30度の間の差は2nm未満であり、および、赤外線吸収膜A1のうち20%の透過率を持つ傾斜角0度〜30度の間の差は6nm未満である。これは、赤外線吸収膜A1に関する傾斜角0度〜30度の間のスペクトル曲線のずれ(オフセット)が小さいことを示す。近赤外線フィルタのコーティングによって引き起こされる色ずれ、色収差、迷光、およびゴーストの問題は、効果的(実質的)に解決される。本実施の形態の赤外線吸収構造A1における透明基板は、上記の効果を達成するために赤外線吸収着色材をも含有しても良い。
第4実施の形態
第3実施の形態における吸収型の近赤外線フィルタと異なって、本実施の形態における吸収型の近赤外線フィルタは、図3で示されるように、赤外線紫外線混合吸収膜A2を採用する。
表2は、10組の吸収膜に対する実際のデータを以下で与える。吸収膜は赤外線紫外線混合層吸収膜A2である。赤外線紫外線混合層吸収膜A2のそれぞれの赤外線吸収染料と紫外線吸収染料との重量パーセントは異なっている。赤外線吸収構造A2を被覆形成するための回転速度は400rpm〜650rpmの間である。図7および図8を参照して、この実施の形態における赤外線紫外線混合層吸収膜A2および第1多層膜R1の赤外線域内でのスペクトル曲線は、第2実施の形態における赤外線吸収膜A1および第1多層膜R1に類似する。したがって、この実施の形態の赤外線域内では赤外線紫外線混合層吸収膜A2のスペクトル曲線は図7に当てはまるかもしれない。図8は、第13透過率スペクトル曲線51、第14透過率スペクトル曲線52、第15透過率スペクトル曲線53、第16透過率スペクトル曲線54、および第4反射率スペクトル曲線55を含む。第13透過率スペクトル曲線51、第14透過率スペクトル曲線52、第15透過率スペクトル曲線53、および第16透過率スペクトル曲線54はそれぞれ、以下の表におけるNo.1、No.2、No.5、およびNo.10として紫外線域内での赤外線紫外線混合層吸収膜A2の透過率スペクトル曲線を例示する。第4反射率スペクトル曲線55は紫外線域内での第2多層膜R2の反射率スペクトル曲線である。
赤外線紫外線混合層吸収膜A2、第1多層膜R1、及び第2多層膜R2のスペクトル曲線によれば(図7および図8で示されるように)、赤外線域内では、赤外線紫外線混合層吸収膜A2のうち80%の透過率を持つ波長と第1多層膜R1のうち80%の反射率を持つ波長との間の差(A2(λT80%)−R1(λR80%))、赤外線紫外線混合層吸収膜A2のうち50%の透過率を持つ波長と第1多層膜R1のうち50%の反射率を持つ波長との間の差(A2(λT50%)−R1(λR50%))、赤外線紫外線混合層吸収膜A2のうち20%の透過率を持つ波長と第1多層膜R1のうち20%の反射率を持つ波長との間の差(A2(λT20%)−R1(λR20%))、赤外線紫外線混合層吸収膜A2のうち50%の透過率を持つ傾斜角0度〜30度の間の差(Δλ(0°−30°)T50%)、および、赤外線紫外線混合層吸収膜A2のうち20%の透過率を持つ傾斜角0度〜30度の間の差(Δλ(0°−30°)T20%)が計算される。
紫外線域内では、赤外線紫外線混合層吸収膜A2のうち80%の透過率を持つ波長と第2多層膜R2のうち80%の反射率を持つ波長との差(A2(λT80%)−R2(λR80%))、赤外線紫外線混合層吸収膜A2のうち50%の透過率を持つ波長と第2多層膜R2のうち50%の反射率を持つ波長との差(A2(λT50%)−R2(λR50%))、赤外線紫外線混合層吸収膜A2のうち20%の透過率を持つ波長と第2多層膜R2のうち20%の反射率を持つ波長との差(A2(λT20%)−R2(λR20%))、赤外線紫外線混合層吸収膜A2のうち50%の透過率を持つ傾斜角0度〜30度の間の差(Δλ(0°−30°)T50%)、および、赤外線紫外線混合層吸収膜A2のうち20%の透過率を持つ傾斜角0度〜30度の間の差(Δλ(0°−30°)T20%)が計算される。
Figure 2019109514
上記の表5においてNo.4〜No.10から以下のことが要約されるだろう。赤外線紫外線混合吸収膜A2に含有される赤外線吸収染料の重量パーセントは1%〜3%の間になるように制御され、赤外線紫外線混合吸収膜A2に含有される紫外線吸収染料の重量パーセントは4%〜10%の間になるように制御され、赤外線紫外線混合吸収膜A2を形成するための回転速度は400rpm〜650rpmの間に制御されている。この実施の形態の赤外線紫外線混合吸収膜A2は次の条件を満たす:赤外線域では、赤外線紫外線混合吸収膜A2のうち80%の透過率を持つ波長と第1多層膜R1のうち80%の反射率を持つ波長との差は130nm〜137nmの範囲内に入り、赤外線紫外線混合吸収膜A2のうち50%の透過率を持つ波長と第1多層膜R1のうち50%の反射率を持つ波長との差は77nm〜85nmの範囲内に入り、および、赤外線紫外線混合吸収膜A2のうち20%の透過率を持つ波長と第1多層膜R1のうち20%の反射率を持つ波長との差は30nm〜42nmの範囲内に入る。
紫外線域では、赤外線紫外線混合吸収膜A2のうち80%の透過率を持つ波長と第2多層膜R2のうち80%の反射率を持つ波長との差は25nm〜37nmの範囲内に入り、赤外線紫外線混合吸収膜A2のうち50%の透過率を持つ波長と第2多層膜R2のうち50%の反射率を持つ波長との差は6nm〜14nmの範囲内に入り、および、赤外線紫外線混合吸収膜A2のうち20%の透過率を持つ波長と第2多層膜R2のうち20%の反射率を持つ波長との差は−6nm〜2.5nmの範囲内に入る。
この実施の形態の赤外線紫外線混合吸収膜A2が上記の条件を満たす場合、赤外線域では、赤外線紫外線混合吸収膜A2のうち50%の透過率を持つ傾斜角0度〜30度の間の差は2nm未満であり、および、赤外線紫外線混合吸収膜A2のうち20%の透過率を持つ傾斜角0度〜30度の間の差は6nm未満であり、紫外線域では、赤外線紫外線混合吸収膜A2のうち50%の透過率を持つ傾斜角0度〜30度の間の差は−1nm〜2nmの間で変動し、および、赤外線紫外線混合吸収膜A2のうち20%の透過率を持つ傾斜角0度〜30度の間の差は8nm未満である。これは、赤外線紫外線混合吸収膜A2に関して傾斜角0度〜30度の間でのスペクトル曲線のずれ(オフセット)が小さいことをも示す。近赤外線フィルタのコーティング(被覆)によって引き起こされる色ずれ、色収差、迷光、およびゴーストの問題は、効果的に解決される。
表6は、赤外線紫外線混合吸収膜A2に関して赤外線域内では80%の透過率を持つ波長と紫外線域内では80%の透過率を持つ波長との差(IR(λT80%)−UV(λT80%))、赤外線紫外線混合吸収膜A2に関して赤外線域内では50%の透過率を持つ波長と紫外線域内では50%の透過率を持つ波長との差(IR(λT50%)−UV(λT50%))、および、赤外線紫外線混合吸収膜A2に関して赤外線域内では20%の透過率を持つ波長と紫外線域内では20%の透過率を持つ波長との差(IR(λT20%)−UV(λT20%))を例示する。
Figure 2019109514
正しく理解されることは、赤外線紫外線混合吸収膜A2に関して赤外線域では80%の透過率を持つ波長と紫外線域では80%の透過率を持つ波長との差が130nm〜164nmの間で変動し、赤外線紫外線混合吸収膜A2に関して赤外線域では50%の透過率を持つ波長と紫外線域では50%の透過率を持つ波長との差が197nm〜239nmの間で変動し、および、赤外線紫外線混合吸収膜A2に関して赤外線域では20%の透過率を持つ波長と紫外線域では20%の透過率を持つ波長との差が245nm〜309nmの間で変動することである。
この実施の形態の赤外線紫外線混合吸収膜A2のスペクトルでは、650nm〜700nmの間の波長の光通過領域に対する450nm未満の波長の光通過領域の比率は10未満である。すなわち、赤外線紫外線混合層吸収膜A2における赤外線域および紫外線域のスペクトル曲線は対称的である。これは、赤外線紫外線混合層吸収膜A2のスペクトル曲線が紫外線域または赤外線域に移動(シフト)しないことをも例示する。したがって、目に見えない(非可視)領域はCMOS感知要素の機能を妨げず(損なわず)、ゴーストの発生を低減する。
上記の効果はまた、この実施の形態の赤外線紫外線混合層吸収膜A2を、赤外線吸収構造と紫外線吸収構造とに別々に置き換えることにより達成され得る。本実施の形態の赤外線紫外線混合吸収膜A2の透明基板は、上記の効果を達成するために赤外線吸収着色材を含んでも良い。
要約すれば、本開示は、吸収型の近赤外線フィルタを開示する。本開示における吸収型の近赤外線フィルタの吸収膜内の赤外線吸収染料および/または紫外線吸収染料の含有量は、当該吸収膜が少なくとも以下の条件を満たすように調整される:赤外線域では、吸収膜のうち80%の透過率を持つ波長と第1多層膜のうち80%の反射率を持つ波長との差が130nm〜145nmの間で変動し、吸収膜のうち50%の透過率を持つ波長と第1多層膜のうち50%の反射率を持つ波長との差が75nm〜90nmの間で変動し、吸収膜のうち20%の透過率を持つ波長と第1多層膜のうち20%の反射率を持つ波長との差が25nm〜45nmの間で変動し、吸収膜のうち80%の透過率を持つ波長と吸収膜のうち50%の反射率を持つ波長との絶対差が50nm未満であり、および、吸収膜のうち50%の透過率を持つ波長と吸収膜のうち20%の透過率を持つ波長との絶対差が42nm未満である。上記の様々な実施の形態は、本開示における吸収型の近赤外線フィルタが色ずれ、色収差、迷光、およびゴーストなどのような問題を回避でき、像(映像)の質を向上させることを示す。
用語「備える」、「備えて」、またはそれらの他の異なるものが、非限定的な包含を包み込むよう意図されて、一連の要素のプロセス、方法、品物、または装置(デバイス)がそのような要素を含むだけでなく、明確にリストされていない他の要素、すなわち、そのようなプロセス、方法、品物、または装置に固有の要素をも含むように理解されるべきである。「・・・を備えて」という言葉使いによって定義された要素は、当該要素を備えるプロセス、方法、品物、または装置における同一要素の存在を排除しない。
本開示はその好適な実施の形態に関して説明されたが、本開示を制限することは意図されていない。ここで特に記述された実施の形態を超えて例示した実施の形態の他の変更が当該開示の趣旨から逸脱せずになされることは、この本開示を考慮する当業者にとって明らかであろう。したがって、そのような変更は、添付の請求項によってもっぱら制限されるように開示の範囲内で考慮される。

Claims (20)

  1. 吸収型の近赤外線フィルタであって、
    第1多層膜と、
    第2多層膜と、
    前記第1多層膜と前記第2多層膜との間にあり、1%〜3%の重量パーセントを持つ赤外線吸収染料を備える吸収膜と、
    を備え、
    赤外線域では、前記吸収膜のうち80%の透過率を持つ波長と前記第1多層膜のうち80%の反射率を持つ波長との差は130nm〜145nmの間で変動し、前記吸収膜のうち50%の透過率を持つ波長と前記第1多層膜のうち50%の反射率を持つ波長との差は75nm〜90nmの間で変動し、前記吸収膜のうち20%の透過率を持つ波長と前記第1多層膜のうち20%の反射率を持つ波長との差は25nm〜45nmの間で変動する、
    吸収型の近赤外線フィルタ。
  2. 請求項1記載の吸収型の近赤外線フィルタにおいて、
    前記吸収膜のうち80%の透過率を持つ波長と前記吸収膜のうち50%の透過率を持つ波長との絶対差は50nm未満であり、および、前記吸収膜のうち50%の透過率を持つ波長と前記吸収膜のうち20%の透過率を持つ波長との絶対差は42nm未満である、
    吸収型の近赤外線フィルタ。
  3. 請求項1記載の吸収型の近赤外線フィルタにおいて、
    前記吸収膜は、透明基板と、当該透明基板の上に形成された赤外線吸収構造とを備え、前記赤外線吸収染料は前記赤外線吸収構造内に分散されている、
    吸収型の近赤外線フィルタ。
  4. 請求項3記載の吸収型の近赤外線フィルタにおいて、
    前記透明基板はさらに赤外線吸収顔料を備えている、
    吸収型の近赤外線フィルタ。
  5. 請求項1記載の吸収型の近赤外線フィルタにおいて、
    前記吸収膜はさらに重量パーセントで4%〜10%の間の紫外線吸収染料を備えている、
    吸収型の近赤外線フィルタ。
  6. 請求項5記載の吸収型の近赤外線フィルタにおいて、
    紫外線域では、前記吸収膜の透過率を持つ波長と前記第1多層膜のうち80%の反射率を持つ波長との差は23nm〜40nmの間で変動し、前記吸収膜11のうち50%の透過率を持つ波長と前記第1多層膜10のうち50%の反射率を持つ波長との差は3nm〜14nmの間で変動し、前記吸収膜11のうち20%の透過率を持つ波長と前記第1多層膜10のうち20%の反射率を持つ波長との差は−15nm〜2.5nmの間で変動する、
    吸収型の近赤外線フィルタ。
  7. 請求項6記載の吸収型の近赤外線フィルタにおいて、
    前記紫外線域では、前記吸収膜のうち80%の透過率を持つ波長と前記吸収膜のうち50%の透過率を持つ波長との絶対差は23nm未満であり、前記吸収膜のうち50%の透過率を持つ波長と前記吸収膜のうち20%の透過率を持つ波長との絶対差は16nm未満である、
    吸収型の近赤外線フィルタ。
  8. 請求項6記載の吸収型の近赤外線フィルタにおいて、
    前記紫外線域では、前記赤外線域内の前記吸収膜のうち80%の透過率を持つ波長と前記紫外線域内の前記吸収膜のうち80%の透過率を持つ波長との差は126nm〜164nmの間で変動し、前記赤外線域内の前記吸収膜のうち50%の透過率を持つ波長と前記紫外線域内の前記吸収膜のうち50%の透過率を持つ波長との差は195m〜239nmの間で変動し、赤外線域内の前記吸収膜のうち20%の透過率を持つ波長と前記紫外線域内の前記吸収膜のうち20%の透過率を持つ波長との差は244nm〜309nmの間で変動する、
    吸収型の近赤外線フィルタ。
  9. 請求項5記載の吸収型の近赤外線フィルタにおいて、
    前記吸収膜は、透明基板と、当該透明基板の上に形成された赤外線紫外線混合層とを備え、前記赤外線吸収染料と前記紫外線吸収染料とは赤外線吸収構造内で分散されている、
    吸収型の近赤外線フィルタ。
  10. 請求項9記載の吸収型の近赤外線フィルタにおいて、
    前記透明基板はさらに赤外線吸収顔料を備えている、
    吸収型の近赤外線フィルタ。
  11. 請求項5記載の吸収型の近赤外線フィルタにおいて、
    前記吸収膜は、透明基板と、当該透明基板の上に形成された赤外線紫外線積層吸収膜とを備え、当該赤外線紫外線積層吸収膜は赤外線吸収層と紫外線吸収層とを備え、当該赤外線吸収層は前記透明基板の上に形成され、前記紫外線吸収層は前記赤外線吸収層の上に形成され、前記赤外線吸収染料は前記赤外線吸収構造内で分散され、前記紫外線吸収染料は前記紫外線吸収構造内で分散されている、
    吸収型の近赤外線フィルタ。
  12. 請求項11記載の吸収型の近赤外線フィルタにおいて、
    前記透明基板はさらに赤外線吸収顔料を備えている、
    吸収型の近赤外線フィルタ。
  13. 請求項5記載の吸収型の近赤外線フィルタにおいて、
    前記吸収膜は、透明基板と、当該透明基板の上に形成された赤外線紫外線積層吸収膜とを備え、当該赤外線紫外線積層吸収膜は赤外線吸収層と紫外線吸収層とを備え、当該紫外線吸収層は前記透明基板の上に形成され、前記赤外線吸収層は前記紫外線吸収層の上に形成され、前記赤外線吸収染料は前記赤外線吸収構造内で分散され、前記紫外線吸収染料は前記紫外線吸収構造内で分散されている、
    吸収型の近赤外線フィルタ。
  14. 請求項12記載の吸収型の近赤外線フィルタにおいて、
    前記透明基板はさらに赤外線吸収顔料を備えている、
    吸収型の近赤外線フィルタ。
  15. 請求項1記載の吸収型の近赤外線フィルタにおいて、
    前記第1多層膜の厚さと前記第2多層膜の厚さとの差は3000nmより大きく、前記赤外線域では、前記吸収膜のうち80%の透過率を持つ波長と前記第1多層膜のうち80%の反射率を持つ波長との差は135nm〜145nmの間の範囲内に入る、
    吸収型の近赤外線フィルタ。
  16. 請求項1記載の吸収型の近赤外線フィルタにおいて、
    前記第1多層膜の厚さと前記第2多層膜の厚さとの差は1000nm未満であり、赤外線域では、前記赤外線吸収膜のうち80%の透過率を持つ波長と前記第1多層膜のうち80%の反射率を持つ波長との差は130nm〜137nmの間の範囲内に入り、前記赤外線吸収膜のうち50%の透過率を持つ波長と前記第1多層膜のうち50%の反射率を持つ波長との差は77nm〜85nmの間の範囲内に入り、および、前記赤外線吸収膜のうち20%の透過率を持つ波長と前記第1多層膜のうち20%の反射率を持つ波長との差は30nm〜42nmの間の範囲内に入る、
    吸収型の近赤外線フィルタ。
  17. 請求項8記載の吸収型の近赤外線フィルタにおいて、
    前記第1多層膜の厚さと前記第2多層膜の厚さとの差は3800nmより大きく、前記紫外線域では、前記吸収膜のうち50%の透過率を持つ波長と前記第1多層膜のうち50%の反射率を持つ波長との差は3nm〜13nmの間の範囲内に入り、および、前記吸収膜のうち20%の透過率を持つ波長と前記第1多層膜のうち20%の反射率を持つ波長との差は−15nm〜0nmの間の範囲内に入る、
    吸収型の近赤外線フィルタ。
  18. 請求項17記載の吸収型の近赤外線フィルタにおいて、
    前記赤外線域での前記吸収膜の透過率を持つ波長と前記紫外線域での前記吸収膜のうち80%の反射率を持つ波長との差は126nm〜161nmの間で変動する、
    吸収型の近赤外線フィルタ。
  19. 請求項8記載の吸収型の近赤外線フィルタにおいて、
    前記第1多層膜の厚さと前記第2多層膜の厚さとの差は1000nm未満であり、前記紫外線域では、前記吸収構造のうち80%の透過率を持つ波長と前記第1多層膜のうち80%の反射率を持つ波長との差は25nm〜37nmの間の範囲内に入り、前記吸収構造のうち50%の透過率を持つ波長と前記第1多層膜のうち50%の反射率を持つ波長との差は6nm〜14nmの間の範囲内に入り、および、前記吸収構造のうち20%の透過率を持つ波長と前記第1多層膜のうち20%の反射率を持つ波長との差は−6nm〜2.5nmの間の範囲内に入る、
    吸収型の近赤外線フィルタ。
  20. 請求項19記載の吸収型の近赤外線フィルタにおいて、
    前記吸収構造に関して前記赤外線域では80%の透過率を持つ波長と前記紫外線域では80%の透過率を持つ波長との差は130nm〜164nmの間で変動する、
    吸収型の近赤外線フィルタ。
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