以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1に示すように、異常診断装置10は、電源Bに接続された電力供給回路11と、作動診断回路12と、を備えており、電力供給回路11及び作動診断回路12に対して電気的に接続された電子制御ユニット20における通電の異常、具体的には、短絡の有無を診断するものである。ここで、異常診断装置10は、診断時(例えば、電子制御ユニット20の工場出荷時)において、別体の電子制御ユニット20が電力供給回路11及び作動診断回路12に接続されるものであり、従って、電力供給回路11及び作動診断回路12は、電子制御ユニット20の外部に設けられるものである。
電力供給回路11は、電源B(例えば、商用電源)から供給される電圧を降圧して(例えば、24V程度)、電子制御ユニット20に供給する。電力供給回路11は、図1及び図2に示すように、作動診断回路12から出力される後述の電力遮断信号Sd(電圧)の入力に伴って作動する遮断器11a(例えば、リレーやFET等)を備えており、遮断器11aの作動により、電子制御ユニット20に電力(電圧)を供給する電力供給状態から電力(電圧)の供給を遮断する電力遮断状態に切り替わるようになっている。
作動診断回路12は、電子制御ユニット20に電気的に接続されていて、電力供給回路11からの電力(電圧)が電子制御ユニット20に供給されている状態で、例えば、所定の作動信号(電圧)を供給して電子制御ユニット20を作動させる。そして、作動診断回路12は、電子制御ユニット20の後述する第一回路ブロック21〜第四回路ブロック24の作動に関する予め設定された検査項目について、電子制御ユニット20の作動状態の良否を診断する。尚、電子制御ユニット20の作動の診断については、本発明に直接関係しないため、その説明を省略する。
作動診断回路12は、図1及び図2に示すように、電子制御ユニット20に設けられた出力回路として後述する診断用信号出力回路28からの電圧異常信号Se(異常電圧)を入力するように接続される。作動診断回路12は、図2に示すように、比較回路12aと、ツェナーダイオードを主要構成部品とする電圧基準回路12bと、を有している。本実施形態においては、比較回路12aは、電圧異常信号Seによって表される異常電圧として後述の異常分圧Vdaと、後述する分圧Vdと同一電圧となるように電圧基準回路12bによって予め設定される診断用電圧Vs(例えば、5V程度)と、を比較して判定し、異常分圧Vdaが診断用電圧Vs以上となる短絡発生時に出力を反転した反転出力信号を電力遮断信号Sdとして出力するコンパレータ回路である。
電子制御ユニット20は、図1及び図2に示すように、電力供給回路11からの電力(電圧)を入力する入力ポート20aと、作動診断回路12に対して作動に伴う電圧、具体的には、分圧Vd又は異常電圧としての異常分圧Vdaを少なくとも出力する出力ポート20bと、を備えている。又、電子制御ユニット20は、複数の回路ブロック、即ち、第一回路ブロック21、第二回路ブロック22、第三回路ブロック23及び第四回路ブロック24を備えている。第一回路ブロック21は、電力供給回路11から出力された作動電圧V1(例えば、24V程度)で作動する回路ブロックである。第二回路ブロック22は、作動電圧V1よりも小さい作動電圧V2(例えば、15V程度)で作動する回路ブロックである。第三回路ブロック23は、作動電圧V2よりも小さい作動電圧V3(例えば、8V程度)で作動する回路ブロックである。第四回路ブロック24は、作動電圧V3よりも小さい作動電圧V4(例えば、5V程度)で作動する回路ブロックである。
又、電子制御ユニット20は、電力供給回路11から供給された作動電圧V1を、それぞれ、作動電圧V2、作動電圧V3及び作動電圧V4に降圧する降圧回路25、降圧回路26及び降圧回路27を備えている。降圧回路25〜降圧回路27は、同一の構成を有する二段の降圧回路である。降圧回路25〜降圧回路27は、図3に示すように、それぞれ、一段目回路を構成する抵抗25a〜抵抗27a、分圧抵抗25b〜分圧抵抗27b、トランジスタ25c〜トランジスタ27c及びトランジスタ25c〜トランジスタ27cのベース部に接続されたツェナーダイオード25d〜ツェナーダイオード27dを備えている。又、降圧回路25〜降圧回路27は、二段目回路を構成するトランジスタ25e〜トランジスタ27e及びトランジスタ25e〜トランジスタ27eのベース部に接続されたツェナーダイオード25f〜ツェナーダイオード27fを備えている。
降圧回路25は、図2に示すように、電力供給回路11から出力された作動電圧V1を作動電圧V2に降圧し、第二回路ブロック22に作動電圧V2を供給する。降圧回路26は、降圧回路25から出力された作動電圧V2を作動電圧V3に降圧し、第三回路ブロック23に作動電圧V3を供給する。降圧回路27は、降圧回路25から出力された作動電圧V2を作動電圧V4に降圧し、第四回路ブロック24に作動電圧V4を供給する。尚、降圧回路25〜27については、作動電圧V1を作動電圧V2〜作動電圧V4となるように降圧可能であれば、如何なる構成であっても良い。
又、電子制御ユニット20は、図1及び図2に示すように、入力ポート20aと出力ポート20bとの間に設けられた出力回路としての診断用信号出力回路28を備えている。診断用信号出力回路28は、作動電圧V1〜作動電圧V4の電圧段(或いは、電圧ライン)の間において短絡が生じた場合、作動診断回路12に対して電圧異常信号Se即ち異常電圧である異常分圧Vdaを作動診断回路12へ出力する。診断用信号出力回路28は、図2に示すように、第一抵抗28a1及び第二抵抗28a2からなる分圧回路である抵抗分圧回路28aにより分圧Vd1をダイオード28d1に出力する。又、診断用信号出力回路28は、第一抵抗28b1及び第二抵抗28b2からなる分圧回路である抵抗分圧回路28bにより分圧Vd2をダイオード28d2に出力する。又、診断用信号出力回路28は、第一抵抗28c1及び第二抵抗28c2からなる分圧回路である抵抗分圧回路28cにより分圧Vd3をダイオード28d3に出力する。更に、本実施形態において、診断用信号出力回路28は、作動電圧V4を分圧Vd4として入力するダイオード28d4を有している。
ダイオード28d1〜ダイオード28d4は、それぞれ、作動電圧V1〜作動電圧V4の電圧段の間で短絡が生じていない場合、即ち、電子制御ユニット20の通電が正常状態である場合の分圧Vd1〜Vd4が供給されているときは、出力ポート20bを介して、作動診断回路12に電圧異常信号Seを出力しない。一方、ダイオード28d1〜ダイオード28d4は、それぞれ、作動電圧V1〜作動電圧V4の何れかの電圧段の間で短絡が生じている場合、即ち、電子制御ユニット20の通電が異常状態である場合、正常状態における分圧Vd1〜分圧Vd4よりも高くなった異常電圧である異常分圧Vda1〜異常分圧Vda4が供給されているときは、出力ポート20bを介して、作動診断回路12に電圧異常信号Seを出力する。即ち、ダイオード28d1〜ダイオード28d4は、それぞれ、OR回路を構成している。ここで、ダイオード28d1〜ダイオード28d4は、電圧異常信号Se出力するか否かを決定する閾値が、例えば、診断用電圧Vs(5V程度)に設定されている。
ここで、正常状態において、抵抗分圧回路28a〜抵抗分圧回路28cによって生成される分圧Vd1〜分圧Vd3は、予め設定された診断用電圧Vsとなるように、即ち、同一電圧となるように、それぞれ、作動電圧V1〜作動電圧V4に応じて比例的に分圧される。具体的に、分圧Vd1は、作動電圧V1に対してVs/V1を乗じた値、即ち、診断用電圧Vsとなるように生成される。同様に、分圧Vd2は作動電圧V2に対してVs/V2を乗じて診断用電圧Vsとなるように生成され、分圧Vd3は作動電圧V3に対してVs/V3を乗じて診断用電圧Vsとなるように生成される。尚、本実施形態においては、作動電圧V4は、例えば、5V程度であり、診断用電圧Vsも、例えば、5V程度であって、同一の値になっている。従って、分圧Vd4は、作動電圧V4に対してVs/V4を乗じる、即ち、1/1を乗じることと同じであるため、分圧回路を介さなくても、診断用電圧Vsとなる。
これにより、ダイオード28d1〜ダイオード28d4は、それぞれ、分圧Vd1〜分圧Vd4が供給されている場合には、正常状態であり、作動診断回路12に対して電圧異常信号Seを出力しない。一方、ダイオード28d1〜ダイオード28d4は、後述するように短絡の発生に伴って異常分圧Vda1〜異常分圧Vda4のうちの何れかが供給された場合には、異常状態であり、作動診断回路12に対して電圧異常信号Seを出力する。
このように構成された異常診断装置10は、例えば、製造された電子制御ユニット20の出荷前検査において用いられる。出荷前検査においては、異常診断装置10の電力供給回路11及び作動診断回路12に対して電子制御ユニット20が電気的に接続され、電力供給回路11から電子制御ユニット20に電力(電圧)が供給された状態で、予め設定された検査項目に従った診断が行われ、電子制御ユニット20(具体的には、第一回路ブロック21〜第四回路ブロック24)の作動が検査される。
出荷前検査において、電力供給回路11から作動電圧V1(例えば、24V)が電子制御ユニット20に供給されると、電子制御ユニット20においては、作動電圧V1は第一回路ブロック21に供給されるとともに降圧回路25に供給される。降圧回路25は、作動電圧V1を作動電圧V2(例えば、15V)に降圧し、降圧した作動電圧V2を第二回路ブロックに出力するとともに、降圧回路26及び降圧回路27に出力する。降圧回路26は、作動電圧V2を作動電圧V3(例えば、8V)に降圧し、降圧した作動電圧V3を第三回路ブロック23に供給する。降圧回路27は、作動電圧V2を作動電圧V4(例えば、5V)に降圧し、降圧した作動電圧V4を第四回路ブロック24に供給する。このように、作動電圧V1〜作動電圧V4がそれぞれ第一回路ブロック21〜第四回路ブロック24に供給されることにより、第一回路ブロック21〜第四回路ブロック24は作動可能な状態になる。
一方、出荷前検査においては、電力供給回路11から電子制御ユニット20に供給された作動電圧V1(例えば、24V)は、診断用信号出力回路28の抵抗分圧回路28aに供給される。抵抗分圧回路28aは、分圧Vd1(=V1×Vs/V1)をダイオード28d1に出力する。ダイオード28d1は、分圧Vd1が診断用電圧Vs(例えば、5V)以下であれば、即ち、短絡が生じていなければ、電圧異常信号Seを作動診断回路12に出力しない。従って、分圧Vd1が診断用電圧Vs以下、即ち、短絡が生じていない正常状態では、第一回路ブロック21への作動電圧V1の供給が継続されるため、第一回路ブロック21は作動診断回路12の制御に従って作動することができる。
又、作動電圧V2(例えば、15V)は、抵抗分圧回路28bに供給される。抵抗分圧回路28bは、分圧Vd2(=V2×Vs/V2)をダイオード28d2に出力する。ダイオード28d2は、分圧Vd2が診断用電圧Vs(例えば、5V)以下であれば、即ち、短絡が生じていなければ、電圧異常信号Seを作動診断回路12に出力しない。従って、分圧Vd2が診断用電圧Vs以下、即ち、短絡が生じていない正常状態では、第二回路ブロック22への作動電圧V2の供給が継続されるため、第二回路ブロック22は作動診断回路12の制御に従って作動することができる。
又、作動電圧V3(例えば、8V)は、抵抗分圧回路28cに供給される。抵抗分圧回路28cは、分圧Vd3(=V3×Vs/V3)をダイオード28d3に出力する。ダイオード28d3は、分圧Vd3が診断用電圧Vs(例えば、5V)以下であれば、即ち、短絡が生じていなければ、電圧異常信号Seを作動診断回路12に出力しない。従って、分圧Vd3が診断用電圧Vs以下、即ち、短絡が生じていない正常状態では、第三回路ブロック23への作動電圧V3の供給が継続されるため、第三回路ブロック23は作動診断回路12の制御に従って作動することができる。
更に、作動電圧V4(例えば、5V)は、診断用電圧Vs(例えば、5V)と同圧であるため、分圧Vd4(=V4×Vs/V4=V4×1/1)として、ダイオード28d4に供給される。ダイオード28d4は、分圧Vd4が診断用電圧Vs(例えば、5V)以下であれば、即ち、短絡が生じていなければ、電圧異常信号Seを作動診断回路12に出力しない。従って、分圧Vd4が診断用電圧Vs以下、即ち、短絡が生じていない正常状態では、第四回路ブロック24への作動電圧V3の供給が継続されるため、第四回路ブロック24は作動診断回路12の制御に従って作動することができる。
そして、出荷前検査において、電子制御ユニット20に短絡が生じることなく、予め設定された検査項目の全てに合格すると、電子制御ユニット20は、良品として出荷される。この場合、検査を行っている間において、電子制御ユニット20には、継続して作動電圧V1〜作動電圧V4が供給されている。この状態において、電子制御ユニット20に短絡が生じていないことを確認することにより、潜在的に短絡を生じる可能性が低くなる。
ところで、電子制御ユニット20においては、電力供給回路11から供給される電流は、数十〜数百mAであり、微小である。又、第一回路ブロック21〜第四回路ブロック24を含む電子制御ユニット20の構成部品はハイインピータンスである。このため、作動電圧V1〜作動電圧V4即ち電圧段において、少なくとも二つの電圧段の間に短絡が生じると、短絡が生じた電圧段のうち低電圧の側に対応する分圧Vd1〜分圧Vd4の何れかが高くなって異常分圧Vdaになる。
具体的に、降圧回路26の一段目回路におけるトランジスタ26c(図3を参照)が短絡し、作動電圧V2(例えば、15V)と作動電圧V3(例えば、8V)との間で短絡が生じた場合を例示して説明する。この場合においては、短絡が生じることによって第三回路ブロック23に供給される作動電圧V3が作動電圧V2に等しい作動電圧V3uに高くなり、例えば、8Vから15Vになる。このため、抵抗分圧回路28cは、異常分圧Vda3(=V3u×Vs/V3=15×5/8=9.4)をダイオード28d3に出力する。即ち、抵抗分圧回路28cは、短絡が生じたことにより、正常状態における分圧Vd3(例えば、5V)よりも高電圧の異常分圧Vda3(例えば、9.4V)を出力する。
ダイオード28d3は、異常分圧Vda3が供給されると、異常分圧Vda3は診断用電圧Vs(例えば、5V)よりも大きいため、作動診断回路12に異常分圧Vda3を電圧異常信号Seとして出力する。即ち、ダイオード28d3から出力ポート20bを介して電圧異常信号Se(例えば、異常分圧Vda3)が出力されることにより、電子制御ユニット20の内部において短絡が生じたことが検知される。尚、ダイオード28d3は、電圧異常信号Se(異常分圧Vda3)を出力する際、順方向降下電圧Vfが発生するため、出力される電圧異常信号Se即ち異常分圧Vda3は順方向降下電圧Vf分だけ小さくなる。
作動診断回路12においては、電子制御ユニット20の診断用信号出力回路28のダイオード28d3から電圧異常信号Se(異常分圧Vda3)を入力すると、比較回路12aが異常分圧Vda3と予め設定された診断用電圧Vsとを比較する。そして、比較回路12aは、異常分圧Vda3が診断用電圧Vsよりも大きい場合、電子制御ユニット20が短絡の生じた異常状態であると判定して、電力遮断信号Sd(電圧)を電力供給回路11に出力する。
電力供給回路11においては、遮断器11aが作動診断回路12の比較回路12aから出力された電力遮断信号Sd(電圧)に応じて供給している電力(電圧)を遮断するように作動し、電力供給状態から電力遮断状態に切り替わる。これにより、電子制御ユニット20の内部に短絡が生じた場合には、速やかに電力供給回路11からの電力(電圧)の供給が遮断される。従って、作動電圧V2と作動電圧V3との間で短絡が発生し、作動電圧V3で作動する第三回路ブロック23に作動電圧V2と等しい作動電圧V3uが継続して供給されることが防止される。これにより、第三回路ブロック23を構成する各構成部品に故障が生じることが防止される。
以上の説明からも理解できるように、上記実施形態の電子制御ユニット20は、電源Bからの電力(電圧)を供給し又は遮断する電力供給回路11から供給された電力(電圧)が入力される入力ポート20aと、異なる作動電圧V1〜作動電圧V4によって作動する複数の回路ブロックである第一回路ブロック21〜第四回路ブロック24と、第一回路ブロック21〜第四回路ブロック24の作動に関する診断を行う作動診断回路12に対して作動に伴う電圧を出力する出力ポート20bと、を備えた電子制御ユニットであって、入力ポート20aと、出力ポート20bと、の間に、第一回路ブロック21〜第四回路ブロック24に対して供給されるそれぞれの作動電圧V1〜作動電圧V2のうちの少なくとも二つの電圧段の間で短絡が生じたことを表す異常電圧である異常分圧Vda1〜異常分圧Vda4を作動診断回路12へ出力する出力回路としての診断用信号出力回路28が設けられる。
この場合、電子制御ユニット20は、電力供給回路11から供給される高電圧を、第一回路ブロック21〜第四回路ブロック24の異なる作動電圧V2〜作動電圧V4に降圧する降圧回路25〜降圧回路27を有することができる。
又、上記実施形態の異常診断装置10は、電子制御ユニット20と、電力供給回路11と、電力供給回路11に対して電力(電圧)を遮断することを表す電力遮断信号Sdを出力する作動診断回路12と、を備えた異常診断装置であって、作動診断回路12は、出力回路としての診断用信号出力回路28から異常電圧である異常分圧Vda1〜異常分圧Vda4を表す電圧異常信号Seを入力した場合、電力遮断信号Sdを電力供給回路11に出力し、電力供給回路11は、作動診断回路12から電力遮断信号Sdを入力した場合、電力(電圧)を電子制御ユニット20に供給することを遮断する。
これらによれば、電子制御ユニット20は、第一回路ブロック21〜第四回路ブロック24に対して供給される異なる作動電圧V1〜作動電圧V4の間で短絡が生じた場合に、異常電圧である異常分圧Vda1〜異常分圧Vda4を表す電圧異常信号Seを出力する診断用信号出力回路28を有することができる。これにより、診断用信号出力回路28は、第一回路ブロック21〜第四回路ブロックのそれぞれに供給される作動電圧V1〜作動電圧V4を用いることによって第一回路ブロック21〜第四回路ブロック24のそれぞれに対して設けられることなく、短絡が生じた場合に異常電圧である異常分圧Vda1〜異常分圧Vda4(電圧異常信号Se)を出力することができる。従って、診断用信号出力回路28は、簡単且つ安価な構成により、電子制御ユニット20に短絡が生じたことを正確に検知することができる。
又、作動診断回路12は、電子制御ユニット20の診断用信号出力回路28から電圧異常信号Seを入力することにより、電力遮断信号Sdを電力供給回路11に出力することができる。そして、電力供給回路11は、電力遮断信号Sdを入力することにより、電子制御ユニット20への電力(電圧)の供給を遮断することができる。これらにより、電子制御ユニット20に短絡が生じた場合、電力供給回路11から電子制御ユニット20への電力(電圧)の供給が遮断されるため、電子制御ユニット20において短絡の生じた状態が継続することを防止できる。従って、電子制御ユニット20の第一回路ブロック21〜第四回路ブロック24を含む構成部品(例えば、降圧回路25〜降圧回路27)に故障が発生する可能性を大幅に低減することができ、電子制御ユニット20を保護することができる。
又、診断用信号出力回路28は、電子制御ユニット20に流れる電流ではなく、電圧である作動電圧V1〜作動電圧V4を用いて短絡の有無を検知することができるため、作動電圧V1〜作動電圧V4が供給される全ての部分において短絡が生じているか否かを検知することができる。これにより、特に短絡の影響を排除すべき第一回路ブロック21〜第四回路ブロック24に加えて、電子制御ユニット20の構成する他の部品(例えば、降圧回路25〜降圧回路27等)についても、短絡の有無を検知することができる。従って、異常状態即ち不良品の電子制御ユニット20が出荷されることを防止して、正常状態即ち良品の電子制御ユニット20を確実に出荷することができる。
又、出荷前検査において作動診断回路12が電子制御ユニット20の作動診断を行うことと同時に診断用信号出力回路28は電子制御ユニット20の内部における短絡の有無を検知することができる。従って、例えば、作動診断と短絡の有無の検知とが連続して行われる場合に比べて、短絡の生じた電子制御ユニット20即ち不良品を早期に検知して排除することができる。又、作動診断において短絡の有無が検知されない場合には潜在的に短絡が生じる可能性が低く、出荷後の電子制御ユニット20に短絡が生じるか否かを良好に判断することができる。
この場合、出力回路としての診断用信号出力回路28は、第一回路ブロック21〜第四回路ブロック24に供給される異なる作動電圧V1〜作動電圧V4を、それぞれ、同一電圧となるように作動電圧V1〜作動電圧V4に応じて比例的に分圧する分圧回路としての抵抗分圧回路28a〜抵抗分圧回路28cと、抵抗分圧回路28a〜抵抗分圧回路28cのそれぞれに接続されて、抵抗分圧回路28a〜抵抗分圧回路28cからの分圧Vd1〜分圧Vd4のうちが短絡によって高くなった異常電圧である異常分圧Vda1〜異常分圧Vda4のうちの例えば異常分圧Vda3を作動診断回路12へ出力するダイオード28d1〜ダイオード28d4と、を有するように構成される。
これによれば、診断用信号出力回路28を、簡単且つ安価に構成することができる。又、抵抗分圧回路28a〜抵抗分圧回路28cは、作動電圧V1〜作動電圧V4の間で短絡が生じた場合、速やかに且つ自動的に異常電圧である異常分圧Vda1〜異常分圧Vda3を生成してダイオード28d1〜ダイオード28d3に出力することができる。従って、作動診断回路12は、ダイオード28d1〜ダイオード28d3(例えば、ダイオード28d3)から出力された電圧異常信号Se(例えば、異常分圧Vda3)に応じて速やかに電力遮断信号Sdを出力することができる。その結果、電力供給回路11は、短絡の生じた電子制御ユニット20への電力(電圧)の供給を速やかに遮断することができるため、第一回路ブロック21〜第四回路ブロック24を短絡の影響から保護することができる。
又、これらの場合、作動診断回路12は、電子制御ユニット20に設けられた診断用信号出力回路28、より具体的にダイオード28d1〜ダイオード28d4のうちの例えばダイオード28d3から出力された異常分圧Vda3と、同一電圧となるように予め設定された診断用電圧Vsと、を比較する比較回路12aを備え、比較回路12aは、異常分圧Vda3が診断用電圧Vsよりも高い場合に、第一回路ブロック21〜第四回路ブロック24のうちの少なくとも二つの第二回路ブロック22及び第三回路ブロック23に供給される作動電圧V2及び作動電圧V3の間で短絡が生じていると判定して電力遮断信号Sdを電力供給回路11に出力する。
これによれば、例えば、ダイオード28d1〜ダイオード28d4が、製造上の誤差によって、短絡が生じていないにも拘らず、例えば、分圧Vd3を電圧異常信号Seとして出力した場合であっても、作動診断回路12の比較回路12aが分圧Vd3と診断用電圧Vsとを比較することにより、誤って電力遮断信号Sdを出力することを防止することができる。これにより、より正確に電子制御ユニット20の短絡の有無を検知することができ、より確実に良品の電子制御ユニット20を出荷することができる。従って、電子制御ユニット20の歩留まりを高めることができる。
(変形例)
上記実施形態においては、作動診断回路12が、電子制御ユニット20に設けられた診断用信号出力回路28の四つのダイオード28d1〜ダイオード28d4から電圧異常信号Seを入力可能とされた一つの比較回路12aを有するようにした。これに代えて、図4に示すように、作動診断回路12が、診断用信号出力回路28において第一回路ブロック21〜第四回路ブロック24の数に応じて設けられた四つのダイオード28d1〜ダイオード28d4毎に(対応して)、四つの比較回路12a1〜比較回路12a4を有することも可能である。尚、比較回路12a1〜比較回路12a4及び電圧基準回路12b1〜電圧基準回路12b4の構成は、それぞれ、上記実施形態の比較回路12a及び電圧基準回路12bと同一である。
この変形例においては、図4に示すように、診断用信号出力回路28のダイオード28d1は、出力ポート21b1を介して比較回路12a1に接続されており、電圧異常信号Se即ち異常分圧Vda1を比較回路12a1に出力する。又、診断用信号出力回路28のダイオード28d2は、出力ポート21b2を介して比較回路12a2に接続されており、電圧異常信号Se即ち異常分圧Vda2を比較回路12a2に出力する。又、診断用信号出力回路28のダイオード28d3は、出力ポート21b3を介して比較回路12a3に接続されており、電圧異常信号Se即ち異常分圧Vda3を比較回路12a3に出力する。更に、診断用信号出力回路28のダイオード28d4は、出力ポート21b4を介して比較回路12a4に接続されており、電圧異常信号Se即ち異常分圧Vda4を比較回路12a4に出力する。
このように、変形例においては、作動診断回路12は、比較回路12a1〜比較回路12a4が、電子制御ユニット20に設けられた診断用信号出力回路28のダイオード28d1〜ダイオード28d4毎に(対応して)、換言すれば、第一回路ブロック21〜第四回路ブロック24の数(四つ)に応じて設けられる。これにより、比較回路12a1〜比較回路12a4のうち、電力遮断信号Sdを出力した比較回路を特定することによって、電子制御ユニット20に生じた短絡の電圧段を特定することができる。従って、電子制御ユニット20を修理し易く、又、短絡に伴う電子制御ユニット20の故障解析を効率良く実施することができる。
又、この場合、電子制御ユニット20における第一回路ブロック21〜第四回路ブロック24の回路特性に応じて、例えば、比較回路12a1〜比較回路12a4の診断用電圧Vs1〜診断用電圧Vs4を電圧基準回路12b1〜電圧基準回路12b4によって異ならせることにより、比較回路12a1〜比較回路12a4はより正確に電力遮断信号Sdを出力することができる。これにより、電子制御ユニット20に生じた短絡の電圧段をより正確に特定することができる。その他の効果については、上記実施形態における効果と同様である。
本発明の実施にあたっては、上記実施形態及び変形例に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて、種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態においては、作動診断回路12の比較回路12aが一定の診断用電圧Vsと電圧異常信号Se即ち異常分圧Vdaとを比較するようにした。これに代えて、電圧基準回路12bによる診断用電圧Vsを可変とすることも可能である。このように、診断用電圧Vsを適宜変更することにより、上記変形例と同様の効果が期待できる。
又、上記実施形態及び上記変形例においては、電子制御ユニット20が降圧回路25〜降圧回路27を有するようにした。これに代えて、電力供給回路11が、降圧回路を有し、電子制御ユニット20に作動電圧V1〜作動電圧V4を供給することも可能である。これにより、電子制御ユニット20の回路構成をより簡単に且つ安価にすることができる。
更に、上記実施形態においては、電子制御ユニット20に設けられた診断用信号出力回路28が四つのダイオード28d1〜ダイオード28d4を有するようにした。これに代えて、例えば、分圧Vd1〜分圧Vd4が入力可能な一つのダイオードとすることも可能である。これにより、診断用信号出力回路28の構成をより簡単且つ安価にすることができる。