JP2019108720A - 杭体施工方法 - Google Patents
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H=h1×α×β−h2
(ここで、Hは前記貯留部の高さ、h1は前記貯留部及び前記固定部の総高さ、α:前記地盤に分布する所定値以上の粒径の土が存在している比率、β:前記貯留部及び前記固定部における前記地盤の土が残存している比率)。
H=h1×α×β−h2
(ここで、Hは前記貯留部の高さ、h1は前記貯留部及び前記固定部の総高さ、α:前記地盤に分布する所定値以上の粒径の土が存在している比率、β:前記貯留部及び前記固定部における前記地盤の土が残存している比率)。
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、杭体を地盤に施工するための杭体施工方法に関する。ここで、「杭体」とは、地盤上に設けられた構造物が沈下することを防止するために、当該構造物の荷重を地盤中の所定の地層に伝達するための建設部材である。また、この杭体を用いて施工される「構造物」の用途については、例えば、アパートやマンションの如き集合住宅、オフィスビル、商業施設、及び公共施設等を含む概念である。
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
最初に、実施の形態に係る杭体施工方法にて施工された基礎構造体の構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る基礎構造体を示す断面図である。以下の説明では、図1のX方向を基礎構造体の左右方向(−X方向を基礎構造体の左方向、+X方向を基礎構造体の右方向)、図1のY方向を基礎構造体の上下方向(+Y方向を基礎構造体の上方向、−Y方向を基礎構造体の下方向)、X方向及びZ方向に直交する方向を前後方向(図1の紙面の手前側に至る方向を基礎構造体の前方向、図1の紙面の奥側に至る方向を基礎構造体の後方向)と称する。
まず、杭孔10の構成について説明する。杭孔10は、杭体20を挿入するための孔である。この杭孔10は、地盤G(原地盤)に形成されており、具体的には、図1に示すように、地盤Gの地表面GSから鉛直下方向に向けて形成されている。
次に、杭体20の構成について説明する。杭体20は、長尺状体にて形成されており、杭孔10の内部において、上側固定部60及び下側固定部50に囲繞されるように設けられている。具体的には、図1に示すように、杭孔10の軸心と杭体20の軸心とが略一致するように設けられていると共に、杭体20の杭頭部(杭体20の上端部)が地表面GSよりも下方に位置し、且つ杭体20の杭底部(杭体20の下端部)が杭孔10の下側固定部50(具体的には、下側固定部50の下端部又はその近傍部分)に対応する部分に位置するように設けられている。
次に、構真柱30の構成について説明する。構真柱30は、地盤Gの地下に設けて構造物を支持する支持柱であり、例えば公知の杭施工用の構真柱30(一例として、鋼製柱)等を用いて構成されている。また、構真柱30は、図1に示すように、杭体20よりも上方の位置に設けられており、杭体20(具体的には、杭体20の上端部)に対して接合されている。
次に、貯留部40の構成について説明する。この貯留部40は、沈降物を貯留するためのものである。ここで、「沈降物」とは、杭孔10内に沈降するものを意味し、例えば、後述する第1硬化剤41、後述する第2硬化剤51、及び後述する第3硬化剤61の薬剤成分(例えば、セメント成分)、地盤Gの砂や礫等を含む概念である。この貯留部40は、略長尺状の柱状体にて形成されており、図1に示すように、杭孔10の下端部に設けられている。
H=h1×α×β−h2・・・式(1)
(ここで、
H:貯留部40の高さ、
h1:貯留部40及び下側固定部50の総高さ
α:存在比率、
β:残存比率、
h2:下側固定部50の高さ)
g:重力加速度、
d:粒子径、
ρw:分散媒の密度、
ρs:粒子の密度)
s=7.2v・・・式(3)
H=h1×α×β−h2
=3×0.8×0.3−h2
=0.72−h2・・・式(4)
ここで、第1硬化剤41は、貯留部40を形成するために用いられるものであり、実施の形態では、根固め液、混和剤、及び遅延剤を含んで構成されている(いずれも図示省略)。
図1に戻り、次に、下側固定部50の構成について説明する。下側固定部50は、杭体20の下端部を固定するための固定部である。この下側固定部50は、略長尺状の柱状体にて形成されており、図1に示すように、貯留部40よりも上方の位置に設けられている。
ここで、第2硬化剤51は、下側固定部50を形成するために用いられるものであり、実施の形態では、根固め液、混和剤、及び遅延剤を含んで構成されている。なお、この第2硬化剤51は、第1硬化剤41の同一名称の構成要素と略同一に構成されているので、その詳細な説明を省略する。
次に、上側固定部60の構成について説明する。上側固定部60は、杭体20の下端部以外の部分及び構真柱30を固定するためのものである。この上側固定部60は、略長尺状の柱状体にて形成されており、図1に示すように、下側固定部50よりも上方の位置に設けられている。
ここで、第3硬化剤61は、上側固定部60を形成するために用いられるものであり、実施の形態では、根固め液、混和剤、及び遅延剤を含んで構成されている。この第3硬化剤61は、第1硬化剤41とほぼ同様に構成されているものの、根固め液の水とセメントの配合率については、以下の通りに設定している。すなわち、実施の形態では、杭体20の施工(具体的には、後述する調整工程)が阻害されないように、杭体20及び構真柱30を固定できる配合率に設定しており、一例として、第1硬化剤41よりも低い配合率に設定している。
袋状体70は、杭体20の位置又は傾きを調整する調整手段である。ここで、「杭体20の位置又は傾きを調整する」とは、例えば、構真柱30の傾きを所定の傾き(例えば、1/500等)以内に設定すること、構真柱30の下端部の位置又は杭体20の杭頭部の位置を杭孔10の軸心から所定距離(例えば100mm)以内にする設定すること等を含む概念である。この袋状体70は、杭体20の外周面のうち、上側固定部60と対応する位置に設けられており、具体的には、図1に示すように、袋状体70が地表面GSから露出しない位置に配置されており、杭体20の外周面に対して複数箇所(実施の形態では、杭体20の前方、後方、右方、及び左方の計4箇所)に取り付けられている。
続いて、実施の形態に係る杭体施工方法について説明する。図4は、後述する杭体施工方法の杭孔形成工程を示す断面図である。図5は、後述する杭体施工方法の貯留部形成工程を示す断面図である。図6は、後述する杭体施工方法の下側固定部形成工程を示す断面図である。図7は、後述する杭体施工方法の上側固定部形成工程を示す断面図である。図8は、後述する杭体施工方法の取付工程を示す断面図である。図9は、後述する杭体施工方法の挿入工程を示す断面図である。図10は、後述する杭体施工方法の調整工程を示す断面図である。図4から図10に示すように、杭体施工方法は、杭孔形成工程、貯留部形成工程、下側固定部形成工程、上側固定部形成工程、取付工程、挿入工程、及び調整工程を含んでいる。
杭孔形成工程は、杭孔10を地盤Gに形成する工程である。この杭孔形成工程においては、図4に示すように、掘削装置80を用いて地盤Gを掘削することにより、杭孔10を形成する。
貯留部形成工程は、貯留部40を形成する工程である。この貯留部形成工程においては、図5に示すように、掘削装置80を用いて第1硬化剤41を杭孔10の貯留部40に対応する部分に充填させることにより、貯留部40を形成する。
下側固定部形成工程は、下側固定部50を形成する工程(固定部形成工程)である。この下側固定部形成工程においては、図6に示すように、掘削装置80を用いて第2硬化剤51を杭孔10の下側固定部50に対応する部分に充填させることにより、下側固定部50を形成する。
上側固定部形成工程は、上側固定部60を形成する工程である。この上側固定部形成工程においては、図7に示すように、掘削装置80を用いて第3硬化剤61を杭孔10の上側固定部60に対応する部分に充填させることにより、上側固定部60を形成する。
取付工程は、袋状体70及び構真柱30を杭体20に取り付ける工程である。この取付工程においては、図8に示すように、クレーン(図示省略)や調整架台90を用いて、袋状体70及び構真柱30を杭体20に取り付ける。
挿入工程は、貯留部形成工程において充填された第1硬化剤41、下側固定部形成工程において充填された第2硬化剤51、及び上側固定部形成工程において充填された第3硬化剤61が硬化する前に、杭体20を杭孔10に挿入する工程である。この挿入工程においては、図9に示すように、調整架台90を用いて、杭体20の杭底部が下側固定部50内に位置するように杭体20を杭孔10に挿入する。
調整工程は、貯留部形成工程において充填された第1硬化剤41、下側固定部形成工程において充填された第2硬化剤51、及び上側固定部形成工程において充填された第3硬化剤61が硬化する前(実施の形態では、貯留部40の攪拌が完了してから2hоur程度経過したタイミング)に、杭体20の位置又は傾きを調整する工程である。この調整工程においては、図10に示すように、調整架台90及び袋状体70を用いて、杭体20の位置又は傾きを調整する。
次に、本件出願人が行った各種の試験結果について説明する。ここでは、混和剤として増粘剤を用いた第1硬化剤41の効果を確認するために行われた脱水試験、せん断試験(ベーンせん断試験)、及び一軸圧縮試験の試験結果について説明する。
最初に、上記脱水試験、せん断試験、及び一軸圧縮試験の試験対象について説明する。図11は、試験体の特性を示す図である。この試験対象は、増粘剤を含まない試験体(以下、「第1試験体」と称する)と、増粘剤を含む試験体との2つの種類に分けられ、さらに、増粘剤を含む試験体は、増粘剤の添加量が異なる2つの種類に分けられる(以下、「第2試験体」、「第3試験体」と称する)。
次に、脱水試験について説明する。ここで、「脱水試験」とは、所定荷重下における試験体の脱水量を測定する試験である。この脱水試験の試験方法については任意であるが、例えば、公知の小型の脱水試験機に試験体をセットし、脱水試験機によって試験体に対して所定の圧縮荷重が加えられてから所定時間(ここでは30分)経過するまでの試験体の脱水量を測定すること等が該当する。
次に、せん断試験について説明する。ここで、「せん断試験」とは、試験体のせん断強度を測定する試験である。このせん断試験の試験方法については任意であるが、例えば、公知の室内ベーン試験機に試験体をセットし、試験体に挿入された室内ベーン試験機のロッドを回転させることで当該回転の抵抗をせん断強度として所定時間毎に測定すること等が該当する。
続いて、一軸圧縮試験について説明する。ここで、「一軸圧縮試験」とは、試験体の一軸圧縮強度を測定する試験である。この一軸圧縮試験の試験方法については任意であるが、例えば、所定期間経過した後の試験体(ここでは、4週間経過後の試験体が該当する)を公知の一軸圧縮試験機にセットし、一軸圧縮試験機によって所定速度で試験体に対して一方向の圧縮荷重を加えることで試験体の一軸圧縮強度を測定すること等が該当する。
このように実施の形態によれば、貯留部40を第1硬化剤41の充填によって形成する貯留部形成工程と、下側固定部50を第2硬化剤51の充填によって形成する固定部形成工程と、第1硬化剤41及び第2硬化剤51が硬化する前に、杭体20を杭孔10に挿入する挿入工程と、第1硬化剤41及び第2硬化剤51が硬化する前に、挿入工程において挿入された杭体20の位置又は傾きを調整する調整工程と、を含むので、貯留部40に沈降物を貯留することができるため、下側固定部50に沈降物が貯留することを回避できる。よって、貯留部形成工程を含まない場合に比べて、調整工程において沈降物によって杭体20の位置又は傾きの調整が妨げられることを回避できることから、杭体20の施工性を向上させることが可能となる。
H=h1×α×β−h2
(ここで、H:貯留部40の高さ、h1:貯留部40及び下側固定部50の総高さ、α:存在比率、β:残存比率、h2:下側固定部50の高さ)。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
上記実施の形態では、基礎構造体1が、構真柱30を備えていると説明したが、これに限られず、例えば、構真柱30に代えて、柱体又はやっとこを備えてもよい。この場合には、杭体20の杭頭部が地表面GSに対して略面一になるように位置し(又は地表面GSよりも上方に位置し)、且つ杭体20の杭底部が杭孔10の下側固定部50に対応する部分に位置するように設けられ、柱体又はやっとこは、地表面GSよりも上方に位置するように設けられてもよい。
上記実施の形態では、第1硬化剤41、第2硬化剤51、及び第3硬化剤61は、同一の構成要素を含んで構成されていると説明したが、これに限られず、例えば、異なる構成要素を含んで構成されてもよい。
上記実施の形態では、袋状体70の取付数が4つであると説明したが、これに限られず、例えば、4つ未満であってもよく、あるいは4つ以上であってもよい。ここで、袋状体70の取付数が1つである場合には、例えば、内部の空間が複数に区切られた袋状体70を、杭体20の全周を覆うように設けることにより、各区切られた空間に適宜注入材を注入することにより、杭体20の位置又は傾きを調整してもよい。
上記実施の形態では、貯留部形成工程、下側固定部形成工程、及び上側固定部形成工程の各々において、各種の硬化剤が充填された後に攪拌作業を行うと説明したが、これに限られず、例えば、この攪拌作業を省略してもよい。
付記1の杭体施工方法は、杭体を地盤に施工するための杭体施工方法であって、杭孔を前記地盤に形成する杭孔形成工程と、前記杭孔の下端部に位置する貯留部であり、前記杭孔内に沈降する沈降物を貯留するための貯留部を第1硬化剤の充填によって形成する貯留部形成工程と、前記貯留部よりも上方に位置する固定部であり、前記杭体の下端部を固定するための固定部を第2硬化剤の充填によって形成する固定部形成工程と、前記貯留部形成工程において充填された前記第1硬化剤及び前記固定部形成工程において充填された前記第2硬化剤が硬化する前に、前記杭体を前記杭孔に挿入する挿入工程と、前記貯留部形成工程において充填された第1硬化剤及び前記固定部形成工程において充填された第2硬化剤が硬化する前に、前記挿入工程において挿入された前記杭体の位置又は傾きを調整する調整工程と、を含む。
H=h1×α×β−h2
(ここで、Hは前記貯留部の高さ、h1は前記貯留部及び前記固定部の総高さ、α:前記地盤に分布する所定値以上の粒径の土が存在している比率、β:前記貯留部及び前記固定部における前記地盤の土が残存している比率)。
付記1に記載の杭体施工方法によれば、杭孔の下端部に位置する貯留部を第1硬化剤の充填によって形成する貯留部形成工程と、貯留部よりも上方に位置する固定部を第2硬化剤の充填によって形成する固定部形成工程と、第1硬化剤及び第2硬化剤が硬化する前に、杭体を杭孔に挿入する挿入工程と、第1硬化剤及び第2硬化剤が硬化する前に、挿入工程において挿入された杭体の位置又は傾きを調整する調整工程と、を含むので、貯留部に沈降物を貯留することができるため、固定部に沈降物が貯留することを回避できる。よって、貯留部形成工程を含まない場合に比べて、調整工程において沈降物によって杭体の位置又は傾きの調整が妨げられることを回避できることから、杭体の施工性を向上させることが可能となる。
H=h1×α×β−h2
(ここで、Hは前記貯留部の高さ、h1は前記貯留部及び前記固定部の総高さ、α:前記地盤に分布する所定値以上の粒径の土が存在している比率、β:前記貯留部及び前記固定部における前記地盤の土が残存している比率)、
10 杭孔
20 杭体
30 構真柱
40 貯留部
41 第1硬化剤
50 下側固定部
51 第2硬化剤
60 上側固定部
61 第3硬化剤
70 袋状体
80 掘削装置
81 軸部
82 掘削部
83 噴射部
84 攪拌部
90 調整架台
G 地盤
GS 地表面
Claims (6)
- 杭体を地盤に施工するための杭体施工方法であって、
杭孔を前記地盤に形成する杭孔形成工程と、
前記杭孔の下端部に位置する貯留部であり、前記杭孔内に沈降する沈降物を貯留するための貯留部を第1硬化剤の充填によって形成する貯留部形成工程と、
前記貯留部よりも上方に位置する固定部であり、前記杭体の下端部を固定するための固定部を第2硬化剤の充填によって形成する固定部形成工程と、
前記貯留部形成工程において充填された前記第1硬化剤及び前記固定部形成工程において充填された前記第2硬化剤が硬化する前に、前記杭体を前記杭孔に挿入する挿入工程と、
前記貯留部形成工程において充填された第1硬化剤及び前記固定部形成工程において充填された第2硬化剤が硬化する前に、前記挿入工程において挿入された前記杭体の位置又は傾きを調整する調整工程と、
を含む杭体施工方法。 - 前記貯留部の高さを、下記式に基づいて設定した、
H=h1×α×β−h2
(ここで、Hは前記貯留部の高さ、h1は前記貯留部及び前記固定部の総高さ、α:前記地盤に分布する所定値以上の粒径の土が存在している比率、β:前記貯留部及び前記固定部における前記地盤の土が残存している比率)、
請求項1に記載の杭体施工方法。 - 前記第1硬化剤及び前記第2硬化剤の各々は、
根固め液と、
前記根固め液の粘性及び分散性を高めるための混和剤と、を含む、
請求項1又は2に記載の杭体施工方法。 - 前記根固め液における前記混和剤の配合率を、重量比1%以下とした、
請求項3に記載の杭体施工方法。 - 前記混和剤は、高性能AE減衰剤又は増粘剤を含む、
請求項3又は4に記載の杭体施工方法。 - 前記第1硬化剤及び前記第2硬化剤の各々は、前記根固め液の硬化を遅延させるための遅延剤を含む、
請求項3から5のいずれか一項に記載の杭体施工方法。
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