JP2019108435A - ビニルエステル樹脂組成物、複合材料及び硬化物 - Google Patents

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慎太郎 山内
恒彦 西村
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恒彦 西村
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Abstract

【課題】本発明は、ホルムアルデヒドの放散量が低減され、作業性が良好で、かつ、樹脂の硬化反応(時間)が影響を受けない、ビニルエステル樹脂組成物を提供することを目的とする。【解決手段】上記目的を達成するため、本発明は、(A)ビニルエステル樹脂と、(B)エチレン性不飽和単量体と、(C)バルビツル酸とを含むビニルエステル樹脂組成物を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、ビニルエステル樹脂組成物、複合材料及び硬化物に関し、更に詳しくは、硬化時のホルムアルデヒド放散量が抑制されたビニルエステル樹脂組成物、それを用いた複合材料及び硬化物に関する。
近年、揮発性有機化合物がシックハウス症候群を引き起こすことが知られている。この揮発性有機化合物の一つとしてホルムアルデヒドが挙げられる。そして、このホルムアルデヒドは、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、及び(メタ)アクリレート樹脂等の熱硬化性樹脂から放散されていることが知られている。
この要因については、熱硬化性樹脂組成物に含有されるスチレンのようなエチレン性不飽和単量体と硬化剤として加えられる有機過酸化物との反応で空気中の酸素を取り込みホルムアルデヒドが発生することが明らかとなっている(非特許文献1)。
また塗膜のホルムアルデヒド放散量の測定方法及び放散等級については日本工業規格(JIS K 5601-4-1:2012)において規定されおり、ホルムアルデヒド非放散樹脂としてはF☆☆☆☆レベル(0.12mg/L以下)が求められる。
これらの対策としてはエチレン尿素によりホルムアルデヒドを捕捉する方法(特許文献1)、エチレン尿素、グアニジン化合物及びヒダントイン化合物の3成分によりホルムアルデヒドを捕捉する方法(特許文献2)等が提案されている。
特開2006−282690号公報 特開2013−6923号公報
J. Am. Chem. Soc., 78, 1017 (1956)
しかしながら、特許文献1の方法は、硬化性樹脂組成物にエチレン尿素を混合する場合に加温が必要であり、工程が煩雑である。さらに、エチレン尿素を混合すると樹脂は硬化しにくくなるという欠点がある。また、特許文献2の場合は、ホルムアルデヒドを捕捉するために3成分を混合する必要がある。
従って、本発明は、ホルムアルデヒドの放散量が低減され、作業性が良好で、かつ、樹脂の硬化反応(時間)が影響を受けない、ビニルエステル樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、エポキシ樹脂と不飽和一塩基酸の反応から得られる(A)ビニルエステル樹脂、(B)スチレン等のエチレン性不飽和単量体、及び(C)バルビツル酸を含む、ビニルエステル樹脂組成物が、硬化時のホルムアルデヒド放散量を低減できることを見出した。
具体的に、本発明は、下記[1]〜[9]である。
[1](A)ビニルエステル樹脂と、(B)エチレン性不飽和単量体と、(C)ホルムアルデヒド捕捉剤としてバルビツル酸とを含むビニルエステル樹脂組成物。
[2]前記(C)バルビツル酸が、(A)ビニルエステル樹脂及び(B)エチレン性不飽和単量体の合計量100質量部に対して、0.001〜10.0質量部含まれる、[1]に記載のビニルエステル樹脂組成物。
[3]前記(C)バルビツル酸が、(A)ビニルエステル樹脂及び(B)エチレン性不飽和単量体の合計量100質量部に対して、0.01〜5.0質量部含まれる、[1]又は[2]に記載のビニルエステル樹脂組成物。
[4]前記(A)ビニルエステル樹脂が、ビスフェノール型ビニルエステル樹脂、ノボラックフェノール型ビニルエステル樹脂から選択される少なくとも1種を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載のビニルエステル樹脂組成物。
[5](D)硬化促進剤を更に含む、[1]〜[4]のいずれかに記載のビニルエステル樹脂組成物。
[6](E)ラジカル重合開始剤を更に含む、[1]〜[5]のいずれかに記載のビニルエステル樹脂組成物。
[7][1]〜[6]のいずれかに記載のビニルエステル樹脂組成物と、繊維補強材、充填材及び骨材からなる群から選択される少なくとも1種とを含む複合材料。
[8][1]〜[6]のいずれかに記載のビニルエステル樹脂組成物の硬化物。
[9][7]に記載の複合材料の硬化物。
本発明によれば、バルビツル酸を使用することで、ホルムアルデヒド放散量を低減したビニルエステル樹脂組成物を提供することができる。またバルビツル酸は常温で容易に樹脂に添加できるため、ビニルエステル樹脂組成物のホルムアルデヒド放散量を低減するための手段としては作業性に優れる。加えて、バルビツル酸を用いると、ビニルエステル樹脂組成物のゲル化時間が促進されるという効果も新たに見出された。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
[ビニルエステル樹脂組成物]
本発明のビニルエステル樹脂組成物は、(A)ビニルエステル樹脂、(B)エチレン性不飽和単量体、及び(C)バルビツル酸を必須成分として含む。
<(A)ビニルエステル樹脂>
本発明で使用される(A)ビニルエステル樹脂は、(メタ)アクリロイルオキシ基を複数有する樹脂であれば特に制限されない。好ましい(A)ビニルエステル樹脂は、2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物(a−1)中のエポキシ基と、エチレン性不飽和基及びカルボキシ基を有する不飽和一塩基酸(a−2)のカルボキシ基との開環反応によって得られるものである。このような(A)ビニルエステル樹脂に関しては、例えば、ポリエステル樹脂ハンドブック(日刊工業新聞社、1988年発行)等に記載されている。
<(a−1)2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物>
(a−1)2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等の脂肪族系グリシジルエーテル類が挙げられる。これらのエポキシ化合物は、一種のみを用いてもよいし、又は二種以上を用いてもよい。これらの中でも、硬化物の機械的強度及び耐食性をより向上させる観点から、ビスフェノール型エポキシ樹脂及びノボラックフェノール型ビニルエステル樹脂からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS及びテトラブロモビスフェノールA等のビスフェノール類とエピクロルヒドリン及び/又はメチルエピクロルヒドリンとを反応させて得られるもの、又はビスフェノールAのグリシジルエーテルと上記ビスフェノール類の縮合物とエピクロルヒドリン及び/又はメチルエピクロルヒドリンとを反応させて得られるものが挙げられる。
ノボラックフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラック又はクレゾールノボラックとエピクロルヒドリン及び/又はメチルエピクロルヒドリンとを反応させて得られるものが挙げられる。
<(a−2)不飽和一塩基酸>
(a−2)不飽和一塩基酸としては、エチレン性不飽和基及びカルボキシ基を有する化合物であればよく、好ましくは、(メタ)アクリル酸、クロトン酸及び桂皮酸であり、より好ましくは(メタ)アクリル酸であり、さらに好ましくはメタクリル酸である。(a−2)不飽和一塩基酸としてメタクリル酸を使用することで、得られる(A)ビニルエステル樹脂が酸又はアルカリによる加水分解されにくくなり、硬化物の耐食性が向上する。
(a−1)2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と(a−2)不飽和一塩基酸とを開環反応させる際の(a−2)不飽和一塩基酸の量は、(a−1)2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物のエポキシ基1当量に対して、好ましくは0.3〜1.5当量であり、より好ましくは0.4〜1.2当量であり、さらに好ましくは0.5〜1.0当量である。(a−2)不飽和一塩基酸の量が、(a−1)2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物のエポキシ基1当量に対して、0.3〜1.5当量であれば、ビニルエステル樹脂組成物の硬化物の硬度がより高くなる。
<(B)エチレン性不飽和単量体>
(B)エチレン性不飽和単量体としては、(A)ビニルエステル樹脂を溶解することができ且つ(A)ビニルエステル樹脂と重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有しているものであれば適宜なものを用いることができる。(B)エチレン性不飽和単量体の具体例としては、スチレン、ビニルトルエン、t-ブチルスチレン、メトキシスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレン、アセナフチレン等のビニル化合物、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカノールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、耐食性を向上させる観点からは、ビニル化合物が好ましく、また、ホルムアルデヒド放散量を更に低減する観点からは、(メタ)アクリレートが好ましい。
(B)エチレン性不飽和単量体の含有量は、(A)ビニルエステル樹脂と(B)エチレン性不飽和単量体との合計に対して、好ましくは15〜85質量%であり、より好ましくは25〜75質量%であり、最も好ましくは30〜65質量%である。(A)ビニルエステル樹脂と(B)エチレン性不飽和単量体と合計に対して、15〜85質量%であれば、硬化物の機械的強度が向上する。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレート及びアクリレートから選択される少なくとも1種を意味し、「(メタ)アクリル酸」とは、メタクリル酸及びアクリル酸から選択される少なくとも1種を意味する。
<ビニルエステル樹脂(A)の合成方法>
本発明で使用される(A)ビニルエステル樹脂は、公知の合成方法により合成することができる。
(A)ビニルエステル樹脂の合成方法としては、例えば、エステル化触媒の存在下で(a−1)2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と(a−2)不飽和一塩基酸とを70〜150℃、好ましくは80〜140℃、さらに好ましくは90〜130℃で反応させる方法が挙げられる。
エステル化触媒としては、例えば、トリエチルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルアニリンもしくはジアザビシクロオクタンなどの三級アミン、トリフェニルホスフィンあるいはジエチルアミン塩酸塩などの公知の触媒が使用できる。
なお、ビニルエステル樹脂(A)を合成した後の未反応の(a−2)不飽和一塩基酸は、前述の(B)エチレン性不飽和単量体に含めるものとする。
<(C)バルビツル酸>
ホルムアルデヒド捕捉剤として使用する(C)バルビツル酸(「バルビツール酸」とも称する)は、市販のものを使用することができる。(C)バルビツル酸は一般に利用される有機溶剤に溶解させて添加してもよく、上記(B)エチレン性不飽和単量体に溶解させて添加してもよい。
(C)バルビツル酸の含有量は、(A)ビニルエステル樹脂と(B)エチレン性不飽和単量体との合計100質量部に対して、好ましくは0.001〜10.0質量部であり、より好ましくは0.005〜7.0質量部であり、最も好ましくは0.01〜5.0質量部である。(C)バルビツル酸の含有量が、(A)ビニルエステル樹脂と(B)エチレン性不飽和単量体との合計100質量部に対して、0.001質量部以上であれば、十分にホルムアルデヒドの低減効果を得ることができ、10.0質量部以下であれば、ゲル化時間に影響なく、ゲル化を迅速に行うことができ、且つ硬化物の機械的強度が向上する。
<(D)硬化促進剤>
本発明のビニルエステル樹脂組成物には、(D)硬化促進剤を添加してもよい。
(D)硬化促進剤は硬化温度や時間等の条件により、好ましいものを選択することができる。(D)硬化促進剤は、特に制限は無いが、金属元素と有機酸の塩が好ましい。
(D)硬化促進剤としては、例えば、コバルト系、バナジウム系、マンガン系などが挙げられ、具体例としては、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸バナジウム、ナフテン酸銅、ナフテン酸バリウムなどが挙げられる。中でも、ホルムアルデヒドの低減効果及びゲル化時間の点から、(D)硬化促進剤として、コバルト系が好ましく、ナフテン酸コバルト及びオクチル酸コバルトがより好ましい。
(D)硬化促進剤の添加量は、(A)ビニルエステル樹脂と(B)エチレン性不飽和単量体との合計100質量部に対して、好ましくは0.05〜1.0質量部であり、より好ましくは0.07〜0.5質量部であり、最も好ましくは0.1〜0.3質量部である。(D)硬化促進剤の添加量が、(A)ビニルエステル樹脂と(B)エチレン性不飽和単量体との合計100質量部に対して、0.05〜1.0質量部であれば、十分な硬度を有する硬化物が得られる。
<(E)ラジカル重合開始剤>
本発明のビニルエステル樹脂組成物に、硬化剤として、(E)ラジカル重合開始剤を添加することにより、ビニルエステル樹脂組成物を硬化させることができる。
なお、本発明のビニルエステル樹脂組成物に(E)ラジカル重合開始剤を添加すると、ビニルエステル樹脂組成物の硬化が始まるので、ビニルエステル樹脂組成物を貯蔵するときは、(E)ラジカル重合開始剤を添加しないことが望ましい。
(E)ラジカル重合開始剤としては、特に制限は無く、公知の熱ラジカル開始剤、光ラジカル開始剤を用いることができる。例えば、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド系、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のパーオキシエステル系、クメンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド系、ジクミルパーオキサイド等ジアルキルパーオキサイド系、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド系、パーオキシケタール系、アルキルパーエステル系、パーカーボネート系等の有機過酸化物が挙げられる。(E)ラジカル重合開始剤は、用途や硬化条件に応じて、適宜選択すればよい。
(E)ラジカル重合開始剤の添加量は、(A)ビニルエステル樹脂と(B)エチレン性不飽和単量体との合計(A)100質量部に対し、好ましくは0.1〜10.0質量部であり、より好ましくは0.2〜6.0質量部であり、最も好ましくは0.3〜3.5質量部である。(E)ラジカル重合開始剤(E)の添加量が、ビニルエステル樹脂(A)と(B)エチレン性不飽和単量体との100質量部に対して、0.1〜10.0質量部であれば、ビニルエステル樹脂組成物のラジカル重合反応が進行し、十分な硬度を有する硬化物が得られる。
<添加剤>
本発明のビニルエステル樹脂組成物には、硬化物の機械的強度を低下させない範囲内で公知の添加剤を添加してもよい。このような添加剤としては、揺変性付与剤、揺変性付与助剤、増粘剤、着色剤、可塑剤、パラフィンワックス類等が挙げられる。
揺変性付与剤としては、シリカ、クレー等の無機粉末が挙げられる。
揺変性付与助剤としては、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリヒドロキシカルボン酸アミド、有機4級アンモニウム塩、BYK−R−605(ビックケミー・ジャパン株式会社製)等が挙げられる。
増粘剤としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛等の金属酸化物が挙げられる。
着色剤としては、有機顔料、無機顔料、染料等が挙げられる。
可塑剤としては、塩素化パラフィン、リン酸エステル、フタル酸エステル等が挙げられる。
パラフィンワックス類は、硬化物の表面の空気遮断効果により表面乾燥性を向上させる目的で加えることができる。パラフィンワックス類としては、石油系ワックス、オレフィンワックス、極性ワックス、特殊ワックス等が挙げられる。
また、本発明の効果を阻害しない限り、本発明においてバルビツル酸以外のホルムアルデヒド捕捉剤の使用を排除するものではない。バルビツル酸以外のホルムアルデヒド捕捉剤としては、エチレン尿素、ヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシベンゼン、2,6−ジヒドロキシトルエン、トリヒドロキシベンゼン(フロログルシノール)、1,4−ナフトキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン、ジヒドロキシ−1,4−ナフトキノン、2−メトキシ−1,4−ナフトキノン、5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン、3−ヒドロキシフラバン、2−((2−メチル−1−オキソ−2−プロペニール)オキシ)エチル−オキソブタネート等の公知の化合物が挙げられる。
[複合材料]
本発明の複合材料は、本実施形態のビニルエステル樹脂組成物と、繊維補強材、充填材及び骨材から選択される少なくとも一種とを含むものである。
<繊維補強材>
繊維補強材としては、ガラス繊維、カーボン繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維などの有機又は無機及び合成又は天然の繊維補強材が挙げられる。繊維補強材としては、チョップ、チョップドストランドマット、コンチニアスストランドマット、ロービング、ロービングクロス、平織り、朱子織り、綾織等のクロス、織物、組物、三次元織物・組物などの形状のものが使用できる。
複合材料に繊維補強材が含まれる場合、繊維補強材の含有量は、複合材料に対して、好ましくは5〜70質量%であり、より好ましくは20〜60質量%である。繊維補強材の含有量が、複合材料に対して、5〜70質量%であると、樹脂の有する耐薬品性を維持しつつ、機械的強度をより向上させることができる。
<充填材>
充填材としては、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、フライアッシュ、硫酸バリウム、タルク、クレー、ガラス粉末、木粉など挙げられ、さらにガラスマイクロバルーン、サラン樹脂のマイクロバルーン、アクリロニトリルのマイクロバルーン、シラスバルーンなどの中空フィラーなどが挙げられる。
複合材料に充填材が含まれる場合、充填材の含有量は、複合材料に対して、好ましくは5〜95質量%であり、より好ましくは10〜90質量%である。充填材の含有量が、複合材料に対して、5〜95質量%であると、十分な機械的強度を有する硬化物を得ることができる。
<骨材>
骨材としては、珪砂、砕石、砂利などの一般骨材、さらに焼却灰などから合成した合成骨材、軽量骨材などが挙げられる。
複合材料に骨材が含まれる場合、骨材の含有量は、複合材料に対して、好ましくは5〜95質量%であり、より好ましくは10〜90質量%である。骨材の含有量が、複合材料に対して、5〜95質量%であると、十分な機械的強度を有する硬化物を得ることができる。
[硬化物]
本発明の硬化物は、上述のビニルエステル樹脂組成物又は複合材料を硬化させることにより得られる。
<ビニルエステル樹脂組成物及び複合材料の硬化方法>
本発明のビニルエステル樹脂組成物及び複合材料は、公知の方法で硬化させることができる。例えば、本発明のビニルエステル樹脂組成物又は複合材料に、(E)ラジカル重合開始剤を添加し、常温又は加熱により硬化させる方法、ビニルエステル樹脂組成物又は複合材料に(D)硬化促進剤を添加し、混合した後、(E)ラジカル重合開始剤を添加することで、常温又は高温下で硬化させる方法等が挙げられる。
<ビニルエステル樹脂組成物及び複合材料の使用方法>
本発明のビニルエステル樹脂組成物及び複合材料は、化学プラントのパイプ、薬液貯蔵タンク、プール、屋内の塗り床材、浴槽、排水槽などの防食材、コンクリート構造物の補強・補修に用いられる繊維強化プラスチック(FRP)の原料として用いることができる。
FRPの成形方法は、目的に応じて適宜選択すればよく、例えば、ビニルエステル樹脂組成物を繊維補強材に含浸させながら対象物に塗布するか又は機械成形し、硬化させる方法、複合材料を対象物に塗布又は機械成形し、硬化させる方法等が挙げられる。
ビニルエステル樹脂組成物を繊維補強材に含浸させながら対象物に塗布するか又は機械成形し、硬化させる方法の例としては、ハンドレイアップ成形法、レジントランスファー成形法、バキュームアシストレジントランスファー成形法等が挙げられる。
ビニルエステル樹脂組成物は、例えば、ハケ、ロール、コテ、ヘラ、シリンジ等の公知の塗布手段を用いて塗布することができる。
複合材料を対象物に塗布するか又は機械成形し、硬化させる方法の例としては、スプレーアップ成形法、フィラメントワインディング成形法、シートワインディング成形法、引き抜き成形法、射出成形法などが挙げられる。
FRPの成形方法は、目的に応じて、適宜選択することができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<ビニルエステル樹脂及びエチレン性不飽和単量体の混合物の調製>
以下の手順に従って、ビニルエステル樹脂及びエチレン性不飽和単量体の混合物を調製した。
(VE−1の合成)
温度計、攪拌機、ガス導入口及び還流冷却器を備えた1Lの四つ口フラスコに、エポキシ当量が188.0であるビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭化成イーマテリアルズ株式会社製アラルダイト(登録商標)AER−2603)434.5g(メタクリル酸に対して1.0当量)、スチレン125.3g及びハイドロキノン0.13gを溶解させたメタクリル酸66.3gを仕込み、撹拌しながら昇温した。100〜110℃になった時点で、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(セイクオールTDMP、精工化学株式会社製)1.9gを溶解させたメタクリル酸132.7gを約30分間かけて滴下し、130℃で反応させた。JIS K 0070に準拠し中和滴定法によって測定した酸価が11mgKOH/g以下になった時点で冷却し、110℃以下になった時点で、スチレン438.6g及びトリメチルハイドロキノン0.2gを加え、ビスフェノールA型ビニルエステル樹脂を合成した。
得られたビニルエステル樹脂100質量部にパラフィンワックス(BYK−S−750N、ビックケミー・ジャパン株式会社製)0.25質量部を添加混合し、ビニルエステル樹脂組成物(VE−1)を作製した。
なお、VE−1において、ビスフェノールA型ビニルエステル樹脂53.0質量部及びスチレン47質量部が含まれる。つまり、ビスフェノールA型ビニルエステル樹脂とスチレンの合計量に対して、スチレンは47質量%となる。
<試験片の作成>
(ビニルエステル樹脂組成物 実施例1〜7、比較例1〜2)
VE−1 100質量部にバルビツル酸(10質量%のアクリロイルモルフォリン溶液)又はエチレン尿素(25質量%のメタノール溶液)を表1に示す通り添加し、さらに8質量%オクチル酸コバルト0.2質量部及びメチルエチルケトンパーオキサイド(日油株式会社製、パーメックN)1質量部を添加して、混合して実施例1〜7のビニルエステル樹脂組成物を調製した。
得られたビニルエステル樹脂組成物をガラスコンテントが30質量%となるようにチョップドストランドマット(150mm×150mm、日東紡績株式会社製)1枚に含浸させながらガラス板(150mm×150mm)に塗布し、23℃で7日間養生させて硬化させ試験体を作成した。
<ホルムアルデヒド放散量の測定>
「JIS K 5601-4-1:2012 塗料成分試験方法:塗膜からの放散成分分析−ホルムアルデヒド」に準拠し、23℃においてホルムアルデヒド放散量の測定を行った。なお、F4☆☆☆☆は放散量0.12mg/L以下、F☆☆☆は放散量0.12mg/L超過0.35mg/L以下、F☆☆は放散量0.35mg/L超過1.8mg/L以下であることを示す。
<ゲル化時間の測定>
下記表1に記載される配合量で、VE−1及びバルビツル酸(実施例1〜7)、VE−1のみ(比較例1)並びにVE−1及びエチレン尿素(比較例2)をそれぞれビーカーに添加して、下記表1に示す配合量の8%オクチル酸コバルトを添加混合した後、樹脂温度を25±0.2℃に調整した直後にメチルエチルケトンパーオキサイド(日油株式会社製パーメックN)を添加混合した。その樹脂を直径18mm、長さ165mmの試験管に深さ100mmまで入れた後25±0.2℃に調整した恒温水槽中でゲル化時間(分)を測定した。
なおゲル化時間とは、パーメックN(日油株式会社製)を添加混合した時間から、発熱反応により樹脂温度が31℃に達するまでの時間(分)である。
<注型物性の測定>
23℃環境下において、下記表1に記載される配合量で、VE−1及びバルビツル酸(実施例1〜7)、VE−1のみ(比較例1)及びVE−1及びエチレン尿素(比較例2)をそれぞれ混合した。その後、さらに下記表1に示す配合量の8%オクチル酸コバルトを添加混合した後、メチルエチルケトンパーオキサイド(日油株式会社製パーメックN)を添加混合して、注型品を作製し、12時間経過後に110℃で2時間の後硬化を実施し試験片とした。
注型物性の測定は、日本工業規格(JIS K 7113:1995)に準拠し引張り強度及び引張り伸び率を測定した。
Figure 2019108435
<結果>
表1から、バルビツル酸を未添加である比較例1はホルムアルデヒド放散等級がF2☆であったが、バルビツル酸を添加した実施例1〜7は、ホルムアルデヒド放散量がより少なく、等級も良かったため、バルビツル酸によるホルムアルデヒド放散は抑制されることが確認された。また、バルビツル酸は比較例2のエチレン尿素を同量添加したときよりも放散量が少なく、かつゲル化時間が適切であった。
本発明のビニルエステル樹脂組成物はホルムアルデヒドの放散量が少なく、JIS K 5601-4-1:2012に規定されるホルムアルデヒド放散等級は最も放散が低いF4☆を満足するものである。本発明のビニルエステル樹脂組成物は耐薬品性にも優れるため、薬品が使用される工場の床ライニング及び薬品貯蔵用FRPタンクに使用可能であり、これら工場内のホルムアルデヒド放散を抑制できるため、工場作業員に対してより安全性が高い。

Claims (9)

  1. (A)ビニルエステル樹脂と、(B)エチレン性不飽和単量体と、(C)バルビツル酸とを含むビニルエステル樹脂組成物。
  2. 前記(C)バルビツル酸が、(A)ビニルエステル樹脂及び(B)エチレン性不飽和単量体の合計量100質量部に対して、0.001〜10.0質量部含まれる、請求項1に記載のビニルエステル樹脂組成物。
  3. 前記(C)バルビツル酸が、(A)ビニルエステル樹脂及び(B)エチレン性不飽和単量体の合計量100質量部に対して、0.01〜5.0質量部含まれる、請求項1又は2に記載のビニルエステル樹脂組成物。
  4. 前記(A)ビニルエステル樹脂が、ビスフェノール型ビニルエステル樹脂、ノボラックフェノール型ビニルエステル樹脂から選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のビニルエステル樹脂組成物。
  5. (D)硬化促進剤を更に含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のビニルエステル樹脂組成物。
  6. (E)ラジカル重合開始剤を更に含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のビニルエステル樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のビニルエステル樹脂組成物と、繊維補強材、充填材及び骨材からなる群から選択される少なくとも1種とを含む複合材料。
  8. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のビニルエステル樹脂組成物の硬化物。
  9. 請求項7に記載の複合材料の硬化物。
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