JP2019107825A - 三次元造形物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、特許文献1には、三次元造形物の構成材料である粉末を用いて複数の層を形成して三次元造形物を製造する方法であって、高密度造形部の層を形成するとともに該層を固化し、その後、低密度造形部の層を形成するとともに該層を固化することで、高密度部分と低密度部分とを有する三次元造形物を形成する三次元造形物の製造方法が開示されている。
なお、「合わせる」及び「およそ同一」とは、完全に同じである場合だけでなく概ね同じであればよい意味である。例えば、充填率の違いが3ポイント以下(42%と45%など)である場合や、平均粒径の違いが20%以下(2μmと2.5μm、4μmと5μmなど)である場合や、相対密度の比の違いが2%以下である場合等が該当する。また、「平均粒径」としては、例えば、d50等を採用できる。
図1〜図4は本発明の一の実施形態に係る三次元造形物の製造装置の構成を示す概略構成図である。
ここで、本実施形態の三次元造形物の製造装置は、2種類の材料供給部(ヘッドベース)を備えている。このうち、図1及び図2は、一の材料供給部(第1の粉末とバインダーとを含む第1組成物を供給する材料供給部)のみを表した図である。また、図3及び図4は、別の一の材料供給部(第2の粉末と有機材料である第3の粉末とバインダーとを含む第2組成物を供給する材料供給部)のみを表した図である。
なお、本明細書における「三次元造形」とは、いわゆる立体造形物を形成することを示すものであって、例えば、平板状、いわゆる二次元形状の形状であっても厚さを有する形状を形成することも含まれる。また、「支持する」とは、下側から支持する場合の他、横側から支持する場合や、場合によっては上側から支持する場合も含む意味である。
また、本実施例の第1組成物及び第2組成物は、何れも、三次元造形物を構成する粉末粒子と溶媒と該溶媒に可溶なバインダーとを含む三次元造形用ペースト(流動性材料)である。そして、第1組成物は三次元造形物の積層体の高密度部分を形成する構成材料に対応し、第2組成物は三次元造形物の積層体の低密度部分を形成する構成材料に対応する。ただし、このような三次元造形物の構成材料に限定されず、第1組成物及び第2組成物として、常温ではフィラメント状やペレット状などの固体であって、加熱することで流動状態になるコンパウンドなどを使用してもよい。
そして、図1及び図2で表されるように、一方の端部が基台110に固定され、他方の端部に第1組成物を吐出する第1組成物吐出部1230を備えるヘッドユニット1400を複数保持するヘッドベース1100が保持固定される、ヘッドベース支持部130を備えている。
また、図3及び図4で表されるように、一方の端部が基台110に固定され、他方の端部に第2組成物を吐出する第2組成物吐出部1730を備えるヘッドユニット1900を複数保持するヘッドベース1600が保持固定される、ヘッドベース支持部730と、を備えている。
ここで、ヘッドベース1100と、ヘッドベース1600とは、XY平面において並列に設けられている。
なお、第1組成物吐出部1230と第2組成物吐出部1730とは同様の構成のものである。ただし、このような構成に限定されない。
ここで、層501、502、503、・・・50nは、各々、第1組成物吐出部1230から吐出される第1組成物で形成される第1層310と、第2組成物吐出部1730から吐出される第2組成物で形成される第2層300と、で構成される。
なお、本実施例の形成装置2000で使用される構成材料(第1組成物及び第2組成物)としての三次元造形用ペーストについての詳細は後述する。
同様に、ヘッドユニット1900に備える第2組成物吐出部1730では、制御ユニット400からの制御信号に基づき、材料供給コントローラー1500において第2組成物吐出部1730に備える吐出駆動部1730bにおける吐出ノズル1730aからの材料吐出量などを制御する信号が生成され、生成された信号により吐出ノズル1730aから所定量の第2組成物が吐出される。
図5、並びに、図6〜図8は、ヘッドベース1100に複数保持されるヘッドユニット1400及び第1組成物吐出部1230の保持形態の一例を示し、このうち図6〜図8は、図2に示す矢印D方向からのヘッドベース1100の外観図である。
なお、図示しないが、それぞれのヘッドユニット1401〜1404に備える第1組成物吐出部1230は、吐出駆動部1230bを介して第1組成物供給ユニット1210に供給チューブ1220で繋がれる構成となっている。
図6〜図8は、本実施形態のヘッドユニット1400の配置と、構成層構成部50の形成形態と、の関係を概念的に説明する平面図である。そして、図9及び図10は、構成層構成部50の形成形態を概念的に表す側面図である。
より具体的には、まず、図9で表されるように、ステージ120を+X方向に移動させながら、複数の吐出ノズル1230aから試料プレート121の所定の位置に一定の間隔で材料Mを配置させる。
ただし、ステージ120を+X方向に移動させながら、複数の吐出ノズル1230aから試料プレート121の所定の位置に材料Mが重なるように(間隔を空けないように)配置させる構成(ステージ120のX方向における往復移動で構成層構成部50を形成する構成ではなく、ステージ120のX方向における片側の移動のみで構成層構成部50を形成する構成)としても良い。
図9及び図10で表されるような、上記と同様な動作を行うことで、図7で表されるような、Y方向における2ライン目の構成層構成部50’(構成層構成部50a’、50b’、50c’及び50d’)が形成される。
そして、図9及び図10で表されるような、上記と同様な動作を行うことで、図8で表されるような、Y方向における3ライン目の構成層構成部50’’(構成層構成部50a’’、50b’’、50c’’及び50d’’)が形成され、第1層310を得ることができる。
第1組成物の第1の粉末及び第2組成物の第2の粉末として、例えばマグネシウム(Mg)、鉄(Fe)、コバルト(Co)やクロム(Cr)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)の単体粉末、もしくはこれらの金属を1つ以上含む合金(マルエージング鋼、ステンレス、コバルトクロムモリブデン、チタニウム合金、ニッケル合金、アルミニウム合金、コバルト合金、コバルトクロム合金)などの混合粉末を使用することができる。また、第2組成物の第3の粉末として、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートなどの汎用エンジニアリングプラスチックを用いることが可能である。その他、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトンなどのエンジニアリングプラスチック(樹脂)などの有機材料の単体粉末もしくは混合粉末を使用することができる。そして、第1組成物及び第2組成物として、これらの粉末と、溶剤と、バインダーとを含むペースト状の混合材料にして用いることが可能である。
このように、第1組成物及び第2組成物に特に限定はなく、第1の粉末及び第2の粉末として、上記金属以外の金属やセラミックスなども使用可能である。また、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムなどを好ましく使用可能である。
バインダーとしては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、セルロース系樹脂或いはその他の合成樹脂又はPLA(ポリ乳酸)、PA(ポリアミド)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)或いはその他の熱可塑性樹脂を用いることができる。
ここで、図13は、本実施例に係る三次元造形物の製造方法のフローチャートである。
なお、ステップS130の第1層形成工程とステップS140の第2層形成工程との順番は、逆であってもよい。
そして、ステップS160の終了に伴い、本実施例の三次元造形物の製造方法を終了する。
そして、さらに、本実施例の三次元造形物の製造方法は、第1組成物における第1の粉末と第2組成物における第2の粉末とが同じ材料である場合、第1組成物における第1の粉末の充填率を第2組成物における第2の粉末と第3の粉末との合計の充填率と合わせるとともに、第1の粉末の平均粒径を第2の粉末の平均粒径に合わせることで、ステップS150の焼結工程における前記第1層と前記第2層の収縮率の差を低減するようにしている。具体的には、ユーザーが、第1の粉末の平均粒径と第2の粉末の平均粒径とが略同等なるように第1の粉末及び第2の粉末を選択し、第1組成物における第1の粉末の充填率が第2組成物における第2の粉末と第3の粉末との合計の充填率と略同等となるように第1組成物及び第2組成物の組成を調整している。
一方、第1組成物における第1の粉末と第2組成物における第2の粉末とが異なる材料である場合、第1組成物における第1の粉末の充填率を第2組成物における第2の粉末と第3の粉末との合計の充填率と合わせるとともに、第1の粉末及び第2の粉末を単独に焼結した場合に相対密度がおよそ同一となるように第1の粉末の平均粒径及び第2の粉末の平均粒径が決められていることで、ステップS160の焼結工程における第1層310と第2層300の収縮率の差を低減するようにしている。なお、その具体的な方法については、後述する。
なお、第3の粉末の平均粒径は、第1の粉末及び第2の粉末の平均粒径の3倍以上であることが好ましい。
なお、「合わせる」及び「およそ同一」とは、完全に同じである場合だけでなく概ね同じであればよい意味である。例えば、充填率の違いが3ポイント以下(42%と45%など)である場合や、平均粒径の違いが20%以下(2μmと2.5μm、4μmと5μmなど)である場合や、相対密度の違いが2%以下である場合等が該当する。また、「平均粒径」としては、例えば、d50等を採用できる。
本製造例においては、第1の粉末をCuとし、第2の粉末をCu:Ni=45:55となるCu−Ni合金(Cu−Ni(45−55))とする際の、第1の粉末の平均粒径及び第2の粉末の平均粒径を決める例について説明する。
また、第1の粉末として平均粒径が3μmのCu粉末を採用した場合(図14におけるCuの割合が0wt%に相当)、その焼結温度は約900℃となる。そして、該900℃に対応する焼結温度となる第2の粉末としてのCu−Ni(45−55)の平均粒径は、図14(図14のAセット参照)から1.5μmとなる。
これらをまとめると、下記の表2のようになる。
ここで、図15は、上記形成装置2000(上記三次元造形物の製造方法)により形成されたヒートシンクを表す概略断面図である。また、図16は、上記形成装置2000(上記三次元造形物の製造方法)により形成されたループ・ヒート・パイプを表す概略断面図である。
第1組成物として、第1の粉末であるCuの平均粒径(d50)が2.5μmであって、第1の粉末の充填率が45%のペーストを用意した。また、第2組成物として、第2の粉末であるCuの平均粒径(d50)が2.5μmであり第3の粉末であるPA12(ポリアミド12)の平均粒径(d50)が10μmであって、第2の粉末と第3の粉末とを1:1の質量比で含み、第2の粉末と第3の粉末との合計の充填率が45%のペーストを用意した。そして、上記の第1組成物及び第2組成物を用いて、上記形成装置2000(上記三次元造形物の製造方法)により、図15で表される三次元造形物500(ヒートシンク)を形成した。具体的には、上記の第1組成物及び第2組成物を用いて、第1層形成工程及び第2層形成工程を各々実行し、その後、950℃で焼結工程を実行した。すると、第1層310の対応領域である高密度部分1310と第2層300の対応領域である低密度部分1300との収縮率が同等となり、図15で表されるように、変形などを生じていない三次元造形物500(ヒートシンク)を形成できた。
上記の実施例1の第1組成物及び第2組成物を用いて、上記形成装置2000(上記三次元造形物の製造方法)により、図16で表される三次元造形物500(ループ・ヒート・パイプ:LHP)を形成した。具体的には、上記の第1組成物及び第2組成物を用いて、第1層形成工程及び第2層形成工程を各々実行し、その後、実施例1と同様、950℃で焼結工程を実行した。すると、第1層310の対応領域である高密度部分1310と第2層300の対応領域である低密度部分1300との収縮率が同等となり、図16で表されるように、変形などを生じていない三次元造形物500(LHP)を形成できた。なお、焼結工程後の高密度部分1310及び低密度部分1300の相対密度は、何れも実施例1と同様であった。
上記の実施例1の第1組成物及び第2組成物を用いる代わりに、第1の粉末及び第2の粉末として、Cu以外の粉末を用いることができる。
例えば、第1組成物として上記の実施例1の第1組成物を用い、第2組成物として、第2の粉末であるCu−Ni合金の平均粒径(d50)が1.5μmであり第3の粉末であるPA12(ポリアミド12)の平均粒径(d50)が10μmであって、第2の粉末と第3の粉末とを1:1の質量比で含むペーストを用いることができる。なお、本例においては、第2の粉末であるCu−Ni合金及び第3の粉末であるPA12は、実施例1の第1組成物及び第2組成物の焼結工程後の相対密度比と同様(第1組成物:第2組成物=98%:74%)になるように、焼結工程後の第2層300の対応領域の相対密度が74%となるように計算された平均粒径のものを選んだ。
また、第1組成物として上記の実施例1の第1組成物を用い、第2組成物として、第2の粉末をCuとNiの2種類を含み、Cuの平均粒径(d50)が2.5μmでありNiの平均粒径(d50)が1μmであるとともに、第3の粉末であるPA12(ポリアミド12)の平均粒径(d50)が10μmであって、CuとNiとPA12とを27.5:22.5:50の質量比で含むペーストを用いることができる。なお、本例においては、第2の粉末であるCu及びNi並びに第3の粉末であるPA12は、実施例1の第1組成物及び第2組成物の焼結工程後の相対密度比と同様(第1組成物:第2組成物=98%:74%)になるように、焼結工程後の第2層300の対応領域の相対密度が74%となるように計算された平均粒径のものを選んだ。
また、第1の粉末としてCuを使用し、第2の粉末として、Cu−Ni合金とCuの2種類の粉末、Cu−Ni合金とNiの2種類の粉末、Cu−Ni合金とCuとNiの3種類の粉末、なども使用可能である。さらには、第1の粉末としてAl2O3やAlNなどのCu以外の粉末を用いることもできる。
また、第1の粉末と第2の粉末とが同じ材料である場合、第1の粉末と第2の粉末とが異なる材料である場合、の両方の場合を、積層体の積層方向(Z方向)及び該積層方向と交差する交差方向の少なくとも一方において、併存させてもよい。
111…駆動装置、120…ステージ、121…試料プレート、
130…ヘッドベース支持部、300…第2層、310…第1層、
400…制御ユニット(制御部)、410…ステージコントローラー、
500…三次元造形物(三次元造形物の積層体)、
501、502、503、・・・50n…層、730…ヘッドベース支持部、
1100…ヘッドベース、1200…第1組成物供給装置、
1210…第1組成物供給ユニット、1210a…第1組成物収容部、
1220…供給チューブ、1230…第1組成物吐出部、1230a…吐出ノズル、
1230b…吐出駆動部、1300…低密度部分、1310…高密度部分、
1320…パイプ部、1330…空間部分、1340…セル構造部、1341…基部、
1342…柱状部、1350…接触部、1351…接触部、1360…熱源、
1370…冷却水、1380…蒸気、1390…パイプ、1400…ヘッドユニット、
1400a…保持治具、
1401、1402、1403及び1404…ヘッドユニット、
1500…材料供給コントローラー、1600…ヘッドベース、
1700…第2組成物供給装置、1710…第2組成物供給ユニット、
1710a…第2組成物収容部、1720…供給チューブ、
1730…第2組成物吐出部、1730a…吐出ノズル、1730b…吐出駆動部、
1900…ヘッドユニット、1900a…保持治具、
2000…形成装置(三次元造形物の製造装置)、M…材料(第1組成物、第2組成物)
Claims (5)
- 層を積層することにより三次元造形物を製造する三次元造形物の製造方法であって、
第1の粉末とバインダーとを含む第1組成物を用いて前記層のうちの第1層を形成する第1層形成工程と、
第2の粉末と有機材料である第3の粉末とバインダーとを含む第2組成物を用いて前記層のうちの第2層を形成する第2層形成工程と、
前記第1層と前記第2層とを含む積層体を加熱して前記第1の粉末及び前記第2の粉末を焼結させる焼結工程と、を有し、
前記第1の粉末と前記第2の粉末とが同じ材料である場合、前記第1組成物における前記第1の粉末の充填率を前記第2組成物における前記第2の粉末と前記第3の粉末との合計の充填率と合わせるとともに、前記第1の粉末の平均粒径を前記第2の粉末の平均粒径に合わせることで、前記焼結工程における前記第1層と前記第2層の収縮率の差を低減することを特徴とする三次元造形物の製造方法。 - 層を積層することにより三次元造形物を製造する三次元造形物の製造方法であって、
第1の粉末とバインダーとを含む第1組成物を用いて前記層のうちの第1層を形成する第1層形成工程と、
第2の粉末と有機材料である第3の粉末とバインダーとを含む第2組成物を用いて前記層のうちの第2層を形成する第2層形成工程と、
前記第1層と前記第2層とを含む積層体を加熱して前記第1の粉末及び前記第2の粉末を焼結させる焼結工程と、を有し、
前記第1の粉末と前記第2の粉末とが異なる材料である場合、前記第1組成物における前記第1の粉末の充填率を前記第2組成物における前記第2の粉末と前記第3の粉末との合計の充填率と合わせるとともに、前記第1の粉末及び前記第2の粉末を単独に焼結した場合に相対密度がおよそ同一となるように前記第1の粉末の平均粒径及び前記第2の粉末の平均粒径が決められていることで、前記焼結工程における前記第1層と前記第2層の収縮率の差を低減することを特徴とする三次元造形物の製造方法。 - 請求項1又は2に記載された三次元造形物の製造方法において、
前記積層体は、前記第2層で構成されるセル構造部が形成され、前記セル構造部の内部に前記第1層で構成されるパイプ部が形成されることを特徴とする三次元造形物の製造方法。 - 請求項1又は2に記載された三次元造形物の製造方法において、
前記積層体は、基部と該基部から延びる柱状部とが前記第2層で形成され、前記基部の反対側から前記柱状部の内部に一部が挿入された形状が前記第1層で形成されることを特徴とする三次元造形物の製造方法。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載された三次元造形物の製造方法において、
前記積層体は、前記層の積層方向及び該積層方向と交差する交差方向の少なくとも一方における前記第1層及び前記第2層の存在比率を変化させて形成されることを特徴とする三次元造形物の製造方法。
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