JP2019106350A - 透明電極シートの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】フレキシブルデバイスに適用するときに要求される所望の透過率と抵抗値を持つ透明電極シートを製造する透明電極シートの製造方法を提供する。【解決手段】金属ナノ粒子と溶媒とを含有するインクを絶縁性の透明基材の表面に格子状に印刷する印刷工程と、インクを焼成して金属ナノ粒子を焼結させて金属配線とする焼成工程を含む透明電極シートの製造方法。透明基材表面で金属配線のびる方向をX軸方向及びY軸方向とし、X軸方向及びY軸方向で互いに隣接する2本の配線で区画される透明基材の部分を単位面積部A、単位面積部にて透明基材の配線のない部分を単位開口Ou、単位開口を区画する金属配線の配線幅をW、単位開口の幅をGとし、配線幅Wと幅Gとで決定される単位開口の面積率を基に、配線の充填分画fを次式(1)で定義し、f=W/(G+W)・・・(1)、充填分画fが所定の範囲内の値になるように設定する工程を含む。【選択図】図2

Description

本発明は、金属ナノ粒子と溶媒とを含有するものを印刷用のインクとし、このインクを絶縁性の透明基材の表面に格子状に印刷する印刷工程と、インクを焼成して金属ナノ粒子を焼結させて金属配線を得る焼成工程とを含む透明電極シートの製造方法に関する。
タッチスクリーンや有機ELディスプレイ等のフレキシブルデバイスは、軽量性及び柔軟性を有することから、次世代の電子デバイスとして注目されている。このようなフレキシブルデバイスに利用される透明電極としては、高い透過率を有する酸化インジウムスズ膜(ITO膜)等の透明導電膜が一般に知られている。この場合、透明電極膜は、真空蒸着装置やスパッタリング装置等の成膜装置により一様に形成される膜であるため、膜自体の抵抗値を低くするには限界がある。
ここで、近年では、電圧降下やジュール熱の発生を抑制するために、透明電極の低抵抗化が更に要求されている。このため、成膜した透明導電膜の一部をドライエッチング装置によりエッチングすることが考えられているが、これでは、電極材料の使用効率が低くなり、しかも、生産工程が増えて製造コスト高を招来する。
このことから、金属ナノ粒子と溶媒とを含有するインクを印刷用のインクとし、このインクを例えばプラスチックフィルムのような絶縁性の透明基材の表面に格子状に印刷し、印刷したインクを所定温度で焼成して導電性を発現させて金属配線とした透明電極シートが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この透明電極シートでは、金属配線の配線幅が10μm以上に設定されていたため、これを上記フレキシブルデバイスに適用すると、透明電極シートの透過率が低下するばかりか、金属配線が視認できるという問題がある。このため、フレキシブルデバイスに適用したときに金属配線の存在が無視できる程度までその視認性を低下させつつ、透過率を高めるには、金属配線の配線幅を可及的に狭く設定する必要があるが、これでは、配線幅を狭くすればする程、低抵抗化の要請を満たすことが難しくなる。そこで、フレキシブルデバイスに利用される透明電極シートを製造する際に、所望の透過率と抵抗値を実現できる金属配線の配線幅を簡単に決定できる手法の開発が早急に求められている。
特開2013−89397号公報
本発明は、以上の点に鑑み、フレキシブルデバイスに適用するときに要求される所望の透過率と抵抗値を持つ透明電極シートを製造することができる透明電極シートの製造方法を提供することをその課題とするものである。
上記課題を解決するために、本発明は、金属ナノ粒子と溶媒とを含有するものを印刷用のインクとし、このインクを絶縁性の透明基材の表面に格子状に印刷する印刷工程と、インクを焼成して金属ナノ粒子を焼結させて金属配線とする焼成工程とを含む透明電極シートの製造方法において、透明基材表面で金属配線が夫々のびる方向をX軸方向及びY軸方向とし、X軸方向及びY軸方向で互いに隣接する夫々2本の配線で区画される透明基材の部分を単位面積部、単位面積部にて透明基材の配線のない部分を単位開口、単位開口を区画する金属配線の配線幅をW、単位開口の幅をGとし、これら配線幅Wと幅Gとで決定される単位開口の面積率を基に、単位面積部における配線の充填分画fを次式(1)で定義し、
f=W/(G+W)・・・(1)
充填分画fが所定の範囲内の値になるように配線幅Wと幅Gとの値を設定する工程を含むことを特徴とする。
ここで、本発明者らは、鋭意研究を重ね、上式(1)のように定義した配線の充填分画fと、透過率及び抵抗値との間に相関関係があることを知見するのに至った。この知見に基づき、金属配線の配線幅Wと幅Gとの値を決定すれば、フレキシブルデバイスに適用するときに要求される金属配線の低い視認性、高い透過率及び低抵抗値を持つ透明電極シートを製造することができる。
ところで、透明基材としてシート状のものを用い、このシート状の透明基材を走行させながら、走行経路上に配置した印刷機を用いて印刷し、印刷機の下流に配置した加熱手段を用いて焼成する場合、印刷機のインクタンク内のインクの濃度が経時変化したり、ブランケットローラが経時劣化したりすることに起因して、所望の抵抗値または透過率を実現できなくなることがある。このため、透明電極フィルムの生産管理を簡単に行うことが望まれる。
そこで、本発明においては、透明電極シートの抵抗値または透過率を測定する工程と、抵抗値または透過率の測定値から充填分画に換算し、この換算した充填分画が予め設定される所定範囲内の値になるように、前記印刷機のインクタンク内の前記インクの濃度と、前記加熱手段の焼成温度との少なくとも一方を調整する工程とを更に含むことが好ましい。インク濃度の変化量または焼成温度の変化量と充填分画の変化量との関係を予め求めておき、換算した充填分画が所定範囲内に戻るように、インク濃度と焼成温度との少なくとも一方の調整量を設定することで、透明電極フィルムの生産管理を簡単に行うことができ、有利である。
また、インク濃度と焼成温度との少なくとも一方を調整しても、前記換算した充填分画が所定範囲を超える場合には、メンテナンスが必要であると判断することができる。この場合、前記シート状の透明基材の走行を停止する工程を更に含み、例えば前記印刷機のブランケットローラを交換する等のメンテナンスを行うことが好ましい。
尚、本発明において、インクに含有される金属ナノ粒子としては、その平均粒子径が1nm〜100nmの範囲内であるものを用いることができ、また、インクに含有される溶媒としては、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、イソデカン、イソドデカン、トルエン、キシレン、テトラリン、デカヒドロナフタレン、ドデシルベンゼン及びメシチレンから選ばれる少なくとも1種を単独でまたは組み合わせて用いることができる。金属ナノ粒子の金属は、Ag、Au、Cu、Ni、Pd、In、Sn、Rh、Ru、Pt、In及びSnから選択された少なくとも1種の金属又はこれらの金属の少なくとも2種からなる合金であり、目的・用途に応じて適宜選択することができる。
本発明の実施形態の透明電極シートの製造方法を実施する透明電極シートの製造装置を示す模式図。 (a)及び(b)は、配線の充填分画fを定義する方法を説明する図。 (a)は、配線の充填分画fと透過率Tとの関係を示すグラフであり、(b)は、配線の充填分画fとシート抵抗Rgとの関係を示すグラフ。
以下、図面を参照して、透明基材Ftをシート状で絶縁性を有するものとし、印刷用のインクを金属ナノ粒子と溶媒とを含有するインクとし、このインクを透明基材の表面に格子状に印刷する印刷工程と、インクを焼成してAgナノ粒子を焼結させて金属配線を得る焼成工程とを含む場合を例として、本発明の実施形態の透明電極シートの製造方法について説明する。
図1は、本実施形態の透明電極シートの製造方法を実施する透明電極シートの製造装置(以下「製造装置MM」という)を示す。製造装置MMは、シート状の透明基材Ftを走行させる走行手段1を備える。走行手段1は、ロール状に巻回されたシート状の透明基材Ftを繰り出す繰出ローラ11と、後述する金属配線が形成された透明基材Ft(透明電極シートSt)をロール状に巻き取る巻取ローラ12と、これら繰出ローラ11と巻取ローラ12との間で透明基材Ftを案内する複数のガイドローラ13a〜13eとを備える。繰出ローラ11,巻取ローラ12は、図示省略するモータの回転軸が接続されており、回転自在に構成されている。尚、ガイドローラ13d,13eは、後述する測定ユニット4の導電性ローラを兼用する。シート状の透明基材Ftの走行経路上には、印刷機2が配置されている。
印刷機2は、例えば、グラビア印刷機であり、透明基材Ftの表面に格子状にインクを印刷するものである。グラビア印刷機2を例に説明すると、グラビア印刷機2は、供給手段21aから供給される印刷用のインクIkが貯留されるインクタンク21と、周面にインクIkが充填される凹部22aが開設された版胴22と、凹部22aに充填されたインク以外の余分なインクを削ぎ落とすブレード23と、版胴22からインクが転写されるブランケットローラ24と、インクが転写されたブランケットローラ24に透明基材Ftを押し付ける圧胴25とを備える。凹部22aは、後述する金属配線Lx,Lyに対応させて形成されている。版胴22、ブランケットローラ24及び圧胴25は、図示省略のモータの回転軸が接続されており、回転自在に夫々構成されている。尚、供給手段21aからは、予め調製されたインクを供給するだけでなく、溶媒のみを供給してインクの濃度調整ができるようになっている。グラビア印刷機2の構成は公知であるため、ここではこれ以上の詳細な説明を省略する。印刷機2の下流には、焼成ユニット3が配置されている。
焼成ユニット3は、透明基材Ftに印刷されたインクを所定温度に加熱する加熱手段31を有する。加熱手段31としては、ホットプレート、ランプ等を用いることができる。焼成ユニット3の下流側には、測定ユニット4が配置されている。
測定ユニット4は、走行手段1のガイドローラを兼用する2本の導電性ローラ13d,13eと、電源41とを備える公知の表面抵抗計であり、電源41から導電性ローラ13d,13eの間に所定の電圧を印加し、焼成後の透明電極シートStのシート抵抗値を測定できるようになっている。
上記製造装置MMは、公知のマイクロコンピュータやシーケンサ等を備えた制御手段(図示省略)を備え、制御手段により、各ローラを回転させるモータの稼働、供給手段21aの稼働、電源41の稼働等を統括管理するほか、後述するインクIkの濃度調整や、加熱手段31の焼成温度の調整を行うことができるようになっている。以下、上記製造装置MMを用いて実施される本発明の透明電極シートStの製造方法の実施形態について、透明基材Ftをプラスチックフィルムとし、透明基材Ftの表面に格子状の金属配線を形成する場合を例に説明する。
走行手段1を構成する複数のローラに透明基材Ftを巻き掛けた後、繰出ローラ11を回転させて透明基材Ftを繰り出すと共に巻取ローラ12を回転させて透明基材Ftを巻き取ることで透明基材Ftを一方向に走行させる。これと共に、グラビア印刷機2の供給手段21aからインクタンク(インク貯留部)21に予め調製された印刷用インクIkを供給し、版胴22を回転させてその外周面に後述する金属配線Lx,Lyに対応させて形成された凹部22aにインクIkを充填し、余分なインクIkをブレード23で削ぎ落とし、版胴22からブランケットローラ24にインクIkを転写する。圧胴25で保持される透明基材Ftの部分が対向するブランケットローラ24に押し付けられると、ブランケットローラ24から透明基材FtにインクIkが印刷される。印刷されるインクの厚みdは、0.1μm〜1μmの範囲に設定される。
ここで、透明基材Ftの材料としては、例えば、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー及びポリイミドから選ばれる少なくとも1種を用いることができる。印刷用のインクIkとしては、分散剤で表面が覆われたAgナノ粒子と、このAgナノ粒子を分散させるための溶媒たる低極性溶媒とを含むAgインクが好適に用いられる。Agインクの市販の製品の商品名としては、例えば、AgナノメタルインクAg1T、Au1T(株式会社アルバック製)を挙げることができる。Agナノ粒子としては、その平均粒子径が1nm〜100nmの範囲内であるものを用いることができる。平均粒子径が1nm未満になると、比表面積が増大してAgナノ粒子表面を被覆する分散剤の量が増大するため、焼成時に分散剤の脱離が不十分になり、金属配線の抵抗値が高くなる場合がある。一方、平均粒子径が100nmを超えると、Agインク中のAgナノ粒子の分散性が低下するという場合がある。分散剤としては、炭素数6〜18の脂肪酸及び炭素数6〜12の脂肪族アミンの少なくとも一方を用いることができる。分散剤の炭素数が6未満では、Agインク中でのAgナノ粒子の分散性が低下する場合がある一方で、炭素数が12を超えると、焼成時にAgナノ粒子表面からの脂肪酸や脂肪族アミンの脱離が不十分となり、金属配線の抵抗値が高くなる場合がある。脂肪酸としては、例えば、カルボン酸を用いることができる。具体的には、炭素数6のヘキサン酸、2−エチル酪酸、ネオヘキサン酸(2,2−ジメチル酪酸);炭素数7のヘプタン酸、2−メチルヘキサン酸、シクロヘキサンカルボン酸;炭素数8のオクタン酸、2−エチルヘキサン酸、ネオオクタン酸(2,2−ジメチルヘキサン酸);炭素数9のノナン酸;炭素数10のデカン酸、ネオデカン酸(2,2−ジメチルオクタン酸);炭素数11のウンデカン酸、炭素数12のドデカン酸、炭素数14のミリスチン酸、炭素数16のパルミチン酸、炭素数18のステアリン酸、オレイン酸、リノール酸及びリノレン酸から選択された少なくとも1種を単独でまたは組み合わせて用いることができる。脂肪族アミンとしては、例えば、炭素数6のヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン;炭素数7のヘプチルアミン;炭素数8のオクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン;炭素数9のノニルアミン;炭素数10のデシルアミン及び炭素数12のドデシルアミンから選択された少なくとも1種を単独でまたは組み合わせて用いることができる。また、低極性溶媒としては、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、イソデカン、イソドデカン、トルエン、キシレン、テトラリン、デカヒドロナフタレン、ドデシルベンゼン及びメシチレンから選ばれる少なくとも1種の液状炭化水素を単独でまたは組み合わせて用いることができる
グラビア印刷機2により透明基材Ft表面に印刷されたインクは、焼成ユニット3の加熱手段31を用いて所定温度に加熱、焼成される。これにより、Agナノ粒子から分散剤が脱離し、Agナノ粒子同士が焼結して金属配線Lx,Lyとすることができる。焼成温度は、120〜250℃の範囲で設定することができる。
透明基材Ftの表面に金属配線Lx,Lyが形成された透明電極シートStは、測定ユニット4に送られ、測定ユニット4により抵抗値が測定される。具体的には、電源41から2本の導電性ローラ13d,13eの間に所定の電圧を印加し、これらローラ13d,13e間の透明電極シートStの抵抗値を測定する。
ところで、透明電極シートStをフレキシブルデバイスに適用するには、金属配線Lx,Lyの視認性が低く、高い透過率と低い抵抗値とを併せ持つことが要求されるが、このような透明電極シートStを簡単に製造することは従来困難であった。
そこで、本実施形態では、以下に説明するように配線の充填分画fを定義し、充填分画fが所定の範囲内の値になるように金属配線Lx,Lyの配線幅Wと単位開口の幅Gとを決定するようにした。即ち、図2も参照して、透明基材Ft表面で金属配線Lx,Lyが夫々のびる方向をX軸方向及びY軸方向とし、X軸方向及びY軸方向で互いに隣接する夫々2本の配線(X軸方向で互いに隣接する2本の配線x,LxとY軸方向で互いに隣接する2本の配線Ly,Ly)で区画される透明基材Ftの部分を単位面積部A、透明基材Ftの配線Lx,Lyのない部分を単位開口Ou、単位開口Ouを区画する配線の線幅をW、単位開口Ouの幅をGとすると、単位開口Ouの面積率Sは、これら線幅Wと幅Gとを用いて下式(A)のように表すことができ、この面積率Sは、単位面積部Aにおける配線の充填分画fを用いて下式(B)のように表すことができる。
S=G/(G+W)・・・(A)
S=(1−f)・・・(B)
上式(A)及び(B)を基に、配線の充填分画fは下式(1)のように定義することができる。
f=W/(G+W)・・・(1)
また、透明電極シートStの可視光の透過率Tは、配線Lx,Lyの充填分画fを用いて下式(2)で表すことができる。但し、透過率Tは、透明基材Ftの寄与を無視した値である。
T=(1−f)・・・(2)
配線の充填分画fが1よりも十分に小さい場合、上式(2)は、下式(3)で近似される。
T=1−2f・・・(3)
ここで、上式(3)を検証するために、以下の実験を行った。即ち、印刷用のインクIkとして前述のAgナノメタルインク(株式会社アルバック製)を用いて、金属配線Lx,Lyの配線幅Wを5μm、配線の厚みを0.6μmとし、単位開口Ouの幅Gが100,150,200,300,500,1000μm(このとき、充填分画fは、0.048,0.032,0.024,0.016,0.010,0.005)となるように金属配線Lx,Lyを形成し、それぞれの透明電極シートStの透過率Tを測定し、透過率Tの測定値をプロットしたものを図3(a)に示す。これら充填分画fと透過率Tの測定値との間には相関関係があり、この相関関係から1次の近似直線を求めたところ、下式(4)が得られた。下式(4)は、上式(3)と概略一致することが検証により確認された。ここで、上式(3)と下式(4)との相違は、光の散乱による拡散透過光の影響によるものと考えられる。
T=0.9799−1.6486f・・・(4)
また、上記のように単位開口Ouの幅Gを変化させて金属配線Lx,Lyを夫々形成し、透明電極シートFtのシート抵抗Rg(Ω/□)を夫々測定した。
ここで、透明電極シートFtのシート抵抗Rgは、下式(5)のように表される。
Rf=ηρ/d=R・f・・・(5)
上式(5)中、Rfは、充填分画fが1のとき、即ち、透明基材Ftの全面がAgで覆われた場合)のシート抵抗であり、ηは、補正因子であり、ρは、バルクのAgの比抵抗(1.6μΩ・cm)であり、dは、配線の厚みである。本実施形態のようにインクIkを塗布して配線Lx,Lyを形成する場合、得られる配線Lx,Lyの比抵抗は、バルクのAgの比抵抗よりも高くなるため、補正因子ηが用いられている。
上記測定したシート抵抗Rgと充填分画f=1を上式(5)に代入してシート抵抗Rfを夫々算出し、その平均値Rfを算出した結果、下式(6)のようにRf=0.142Ω/□となった。
Rf=ηρ/d=0.142(Ω/□)・・・(6)
配線の厚みd=0.6μmを上式(6)に代入すると、下式(7)が得られる。
ηρ=8.5μΩ・cm・・・(7)
上式(5)及び上式(6)より、下式(8)が得られる。
Rg=0.142/f・・・(8)
上式(8)で表される曲線と、シート抵抗Rgの測定値とを図3(b)に示す。これより、充填分画fとシート抵抗Rgとの間には相関関係があることが判った。
このように、本発明者らは、鋭意研究を重ね、上式(1)のように定義した配線の充填分画fと、透過率T及び抵抗値Rgとの間に相関関係があることを知見するのに至った。この知見に基づけば、所望の透過率Tと抵抗値Rgを実現する充填分画fの範囲を設定することができる。例えば、90%以上の透過率Tと100Ω/□以下の抵抗値Rgを実現する充填分画fの範囲は、0.001以上0.048以下であり、90%以上の透過率Tと50Ω/□以下の抵抗値Rgを実現する充填分画fの範囲は、0.003以上0.048以下であり、90%以上の透過率Tと10Ω/□以下の抵抗値Rgを実現する充填分画fの範囲は、0.014以上0.048以下であり、95%以上の透過率Tと10Ω/□以下の抵抗値Rgを実現する充填分画fの範囲は、0.014以上0.018以下である。
そして、充填分画fが上記何れかの範囲内となるように、金属配線Lx,Lyの配線幅Wと幅Gの値を設定し、その設定値に基づき版胴22の凹部22aを形成すれば、フレキシブルデバイスに適用するときに要求される高い透過率Tと低い抵抗値Rgを持つ透明電極シートStを実現することができる。このとき、配線幅Wを10μm未満、好ましくは、5μm以下に設定すれば、金属配線Lx,Lyの視認性を低くすることができる。
ところで、本実施形態の如くシート状の透明基材Ftを走行させながら、走行経路上に配置したグラビア印刷機2を用いて印刷し、グラビア印刷機2の下流に配置した焼成ユニット3の加熱手段31を用いて焼成する場合、インクタンク21内のインクIkの溶媒が揮発して濃度(や粘度)が経時変化したり、ブランケットローラ24が経時劣化したりすることに起因して、所望の抵抗値Rgまたは透過率Tを実現できなくなることがある。このため、透明電極シートStの品質を保つために、生産管理を行う必要があるが、その生産管理を簡単に行うことが望まれる。
そこで、本実施形態は、測定ユニット4により透明電極シートStの抵抗値Rgを測定する。本発明者らが知見した充填分画fと抵抗値Rgとの相関関係を用いて、抵抗値Rgの測定値から充填分画fに換算し、換算した充填分画fが予め設定される所定範囲内の値となるように、インクタンク21内のインクIkの濃度を調製する。例えば、供給手段21aから溶媒のみを供給して、インクIkの濃度を薄くする。このとき、インク濃度の変化量(例えば、溶媒添加量)と充填分画fの変化量との関係を予め求めておき、換算した充填分画が所定範囲内に戻るように、インク濃度の調整量(溶媒添加量)を設定することで、透明電極シートStの生産管理を簡単に行うことができ、有利である。
また、インク濃度を調整しても、換算した充填分画が所定範囲を超える場合には、製造装置MMのメンテナンスが必要であると判断することができる。この場合、シート状の透明基材Ftの走行を停止し、例えば、グラビア印刷機2のブランケットローラ24を新品に交換する等のメンテナンスを行うことが好ましい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記のものに限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、インクに含有される金属ナノ粒子の金属としてAgを用いる場合を例に説明したが、金属は、Agに限定されず、Au、Cu、Ni、Pd、In、Sn、Rh、Ru、Pt、In及びSnから選択された少なくとも1種の金属又はこれらの金属の少なくとも2種からなる合金を選択して用いることができる。
上記実施形態では、換算した充填分画が所定範囲内に戻るように、インク濃度を調整しているが、加熱手段31による焼成温度を調整してもよい。この場合も、焼成温度の変化量と充填分画fの変化量との関係を予め求めておき、換算した充填分画が所定範囲内に戻るように、焼成温度を設定することで、透明電極シートStの生産管理を簡単に行うことができる。
上記実施形態では、印刷機2としてグラビア印刷機を用いる場合を例に説明したが、印刷機2はこれに限定されず、親水部と疎水部を形成した刷版(アルミ板)を備える平版印刷機を用いることができる。平版印刷機としては、刷版の親水部に水を供給すると共に刷版の疎水部にインクタンクから所定濃度のインクIkを供給し、これをブランケットに転写して印刷する公知の構成を有するものを用いることができるため、ここではこれ以上の説明を省略する。この場合、グラビア印刷機を用いる場合と比較して、インクIkの厚みの制御性が低いものの、上記実施形態の如く予め求めたインク濃度の変化量(例えば、溶媒添加量)と充填分画fの変化量との関係を用いてインク濃度の調整量(溶媒添加量)を設定することで、透明電極シートStの生産管理を簡単に行うことができ、有利である。
ところで、上記実施形態では、測定ユニット4により抵抗値Rgを測定する場合を例に説明したが、配線Lx,Lyの厚みが変化すれば、抵抗値Rgも変化することから、抵抗値Rgを監視することは配線Lx,Lyの厚みの誤差を監視していると言える。ここで、同じ分量のインクIkが広がる場合、焼成後の配線Lx,Lyの断面積が変わらなければ、抵抗値Rgは同一となるが、透過率Tが変化することがある。そこで、測定ユニット4として、透過率Tを測定する透過率測定手段を設けることが好ましい。この透過率測定手段に代えて2次元画像検査手段を設けてもよい。この場合、CCD等で取得した画像から配線の2次元2値画像を得て、配線の面積比に基づき透過率Tを測定することができる。尚、透過率測定手段や2次元画像検査手段では配線Lx,Lyの厚みを取得できないことから、測定ユニット4が抵抗値測定手段を備えることは必須である。
A…単位面積部、f…充填分画、Ft…透明基材、Ik…インク、Lx,Ly…金属配線、Ou…単位開口、W…金属配線の配線幅。

Claims (3)

  1. 金属ナノ粒子と溶媒とを含有するものを印刷用のインクとし、このインクを絶縁性の透明基材の表面に格子状に印刷する印刷工程と、インクを焼成して金属ナノ粒子を焼結させて金属配線とする焼成工程とを含む透明電極シートの製造方法において、
    透明基材表面で金属配線が夫々のびる方向をX軸方向及びY軸方向とし、X軸方向及びY軸方向で互いに隣接する夫々2本の配線で区画される透明基材の部分を単位面積部、単位面積部にて透明基材の配線のない部分を単位開口、単位開口を区画する金属配線の線幅をW、単位開口の幅をGとし、これら線幅Wと幅Gとで決定される単位開口の面積率を基に、単位面積部における配線の充填分画fを次式(1)で定義し、
    f=W/(G+W)・・・(1)
    充填分画fが所定の範囲内の値になるように配線幅Wと幅Gとの値を設定する工程を含むことを特徴とする透明電極シートの製造方法。
  2. 請求項1記載の透明電極シートの製造方法であって、透明基材としてシート状のものを用い、このシート状の透明基材を走行させながら、走行経路上に配置した印刷機を用いて印刷し、印刷機の下流に配置した加熱手段を用いて焼成するものにおいて、
    焼成後の透明電極シートの抵抗値または透過率を測定する工程と、
    抵抗値または透過率の測定値から充填分画に換算し、この換算した充填分画が予め設定される所定範囲内の値になるように、前記印刷機のインクタンク内の前記インクの濃度と、前記加熱手段の焼成温度との少なくとも一方を調整する工程とを更に含むことを特徴とする透明電極シートの製造方法。
  3. 前記換算した充填分画が所定の範囲を超えると、前記シート状の透明基材の走行を停止する工程を更に含むことを特徴とする請求項2記載の透明電極シートの製造方法。
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