以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
[実施の形態1]
図1は、本開示における、電池パックの回収から製造・販売までの物流の一態様を示した図である。以下では、図1に示される物流の態様を「電池物流モデル」と称する。この電池物流モデルでは、電池パックを搭載した複数の車両から使用済みの電池パックが回収され、回収された電池パックに含まれる再利用可能なセルを用いて電池パックが製造・販売される。
なお、本開示において「電池パックを製造する」とは、電池パックに含まれる複数のセルの少なくとも一部を交換用セルに交換して電池パックを製造することを意味する。交換用セルは、基本的には、回収された電池パックから取出される再利用可能なセルであるが、新品のセルであってもよい。
図1を参照して、回収業者31は、車両60−1,60−2,・・・から使用済みの電池パックを回収する。車両60−1,60−2,・・・は、それぞれ電池パック62−1,62−2,・・・を搭載しており、各電池パックは、複数のセルを含んで構成される。また、回収業者31は、回収した電池パックを解体し、電池パックからセルを取出す。電池パックからのセルの取出しは、セル毎であってもよいし、いくつかのセルが纏められたモジュール毎であってもよい。
なお、この電池物流モデルでは、セル毎に当該セルを特定するためのIDが付与されており、各セルの情報が管理サーバ20によって管理される。そして、回収業者31は、電池パックから取出された各セルのIDを、端末(図示せず)を用いて管理サーバ20へ送信する。
検査業者32は、回収業者31によって回収された各セルの性能検査を行なう。具体的には、検査業者32は、回収されたセルの電気的特性を検査する。たとえば、検査業者32は、セルの容量、抵抗値、OCV(Open Circuit Voltage)、SOC(State Of Charge)等の電気的特性を検査する。そして、検査業者32は、検査結果に基づいて、再利用可能なセルと再利用不可能なセルとを分別し、再利用可能なセルについては性能回復業者33へ引き渡し、再利用不可能なセルについてはリサイクル業者36へ引き渡す。なお、各セルの検査結果は、検査業者32の端末(図示せず)を用いて管理サーバ20へ送信される。
性能回復業者33は、検査業者32によって再利用可能とされたセル(交換用セル)の性能を回復させるための処理を行なう。一例として、性能回復業者33は、過放電状態までセルを放電させたり、過充電状態までセルを充電したりすることによって、セルの容量を回復させる。なお、検査業者32による検査において性能低下が小さいと判断されたセルについては、性能回復業者33による性能回復処理を省略してもよい。各セルの性能回復結果は、性能回復業者33の端末(図示せず)を用いて管理サーバ20へ送信される。
電池パック製造業者34は、性能回復業者33によって性能が回復されたセルを用いて電池パックの製造を行なう。この実施の形態1では、電池パック製造業者34は、電池パックを製造するための情報を、端末(図示せず)を用いて管理サーバ20から取得し、その取得された情報に従って電池パックを製造する。
詳しくは、この実施の形態1では、車両10に搭載される電池パックのリビルド品を製造するためのリビルド情報が管理サーバ20において生成され、電池パック製造業者34の端末へ送信される。電池パック製造業者34は、そのリビルド情報に従って、車両10の電池パックに含まれる複数のセルの少なくとも一部を、性能回復業者33により性能が回復されたセル(交換用セル)に交換して、車両10の電池パックのリビルド品を製造する。
販売店35は、電池パック製造業者34によって製造された電池パックを車両用として販売したり、住宅等で利用可能な定置用として販売したりする。この実施の形態1では、車両10が販売店35に持ち込まれ、販売店35において、車両10の電池パックが電池パック製造業者34により製造されたリビルド品に交換される。
リサイクル業者36は、検査業者32によって再利用不可能とされたセルを解体し、新たなセルやその他製品の原料として利用するための再資源化を行なう。
図2は、図1に示した電池物流モデルにおける処理の流れを示した図である。図2とともに図1を参照して、回収業者31によって、車両60−1,60−2,・・・から使用済みの電池パックが回収・解体され(ステップS1)、電池パックから使用済みのセルが取出される。
電池パックから取出された使用済みの各セルは、検査業者32に引き渡され、検査業者32によって、使用済みの各セルの性能検査が行なわれる(ステップS2)。具体的には、上述のように各セルの電気的特性(容量等)が検査される。この性能検査によって、再利用可能なセルと再利用不可能なセルとに分別され、再利用不可能なセルについては、リサイクル業者36へと引き渡される。
性能検査によって再利用可能とされたセルは、性能回復業者33に引き渡され、性能回復業者33によって、セルの性能を回復するための処理が行なわれる(ステップS3)。たとえば、過放電状態までセルを放電させたり、過充電状態までセルを充電したりすることによって、セルの容量が回復される。
性能が回復されたセルは、電池パック製造業者34へ引き渡され、電池パック製造業者34によって、性能回復されたセルを用いて電池パックが製造される(ステップS4)。この実施の形態1では、電池パックを製造するための情報(リビルド情報)が管理サーバ20において生成され、電池パック製造業者34によって、そのリビルド情報に従って電池パックが製造される。
そして、電池パック製造業者34により製造された電池パックは、販売店35に引き渡され、車両用として、或いは住宅等で利用可能な定置用として販売される(ステップS5)。
再び図1を参照して、車両10は、電池パックを搭載し(図示せず)、この電池物流モデルにおいて電池パックのリビルドが行なわれる車両である(以下では、車両10を「対象車両」と称する場合がある。)。上述のように、この実施の形態1では、車両10に搭載された電池パックに含まれる複数のセルの少なくとも一部を交換用セルに交換して車両10用の電池パックが再構築される。
詳細は後述するが、概略的には、車両10に搭載される電池パック内の組電池の温度情報が車両10から管理サーバ20へ送信され、管理サーバ20に蓄積される。また、管理サーバ20は、電池パックを搭載した車両60−1,60−2,・・・から回収された電池パック62−1,62−2,・・・に含まれる再利用可能なセルの情報を蓄積する。
電池パックの交換を希望する車両10(対象車両)のユーザが販売店35へ車両10を引き渡すと、販売店35の端末から管理サーバ20へ車両10を特定するための情報が送信される。管理サーバ20は、蓄積されている車両10の組電池の温度情報を取得し、車両10における組電池の使用履歴を生成する。そして、管理サーバ20は、生成された組電池の使用履歴と、再利用可能なセルの情報とを参照して、車両10に搭載される電池パックのリビルド品を構成するためのリビルド情報を生成する。
生成されたリビルド情報は、管理サーバ20から電池パック製造業者34の端末へ送信され、電池パック製造業者34において、性能回復された再利用可能なセルの中からリビルド情報に基づくセルが選択されて、車両10の電池パックのリビルド品が製造される。製造されたリビルド品は、車両10が持ち込まれた販売店35へ配送され、車両10の電池パックがリビルド品に交換される。
なお、上記では、回収業者31、検査業者32、性能回復業者33、電池パック製造業者、及び販売店35は、互いに個別の業者としたが、業者の区分はこれに限定されるものではない。たとえば、検査業者32と性能回復業者33とが一の業者であってもよい。或いは、回収業者31は、電池パックを回収する業者と、回収された電池パックを解体する業者とに分かれていてもよい。また、上記各業者及び販売店の各拠点は限定されない。各業者及び販売店の各拠点は別々であってもよいし、複数の業者或いは販売店が同一拠点にあってもよい。
また、上記では、セル毎に検査及び性能回復が行なわれるものとしたが、いくつかのセルが纏められたモジュール毎に検査や性能回復が行なわれるものとしてもよい。
図3は、図1に示した電池物流モデルに適用される電池管理システムの構成例を示した図である。図3を参照して、電池管理システム1は、車両10と、管理サーバ20と、端末41〜45と、通信ネットワーク50とを備える。
車両10、管理サーバ20、及び各端末41〜45は、インターネット或いは電話回線等の通信ネットワーク50を介して互いに通信可能に構成される。なお、車両10は、通信ネットワーク50の基地局51と無線通信によって情報の授受が可能に構成される。
端末41は、回収業者31の端末であり、端末42は、検査業者32の端末である。また、端末43は、性能回復業者33の端末であり、端末44は、電池パック製造業者34の端末である。端末45は、販売店35の端末である。
図4は、図3に示した車両10、管理サーバ20、及び電池パック製造業者34の端末44の構成を詳細に示した図である。図4を参照して、車両10は、電池パック110と、温度センサ112と、電力制御ユニット(PCU:Power Control Unit)120と、モータジェネレータ(MG:Motor Generator)130と、駆動輪140と、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)150と、記憶部160と、通信装置170とを含む。
電池パック110は、複数のセルにより構成される組電池を含んで構成され、たとえば、複数のリチウムイオン二次電池が直列及び/又は並列に適宜接続された組電池を含んで構成される。電池パック110は、MG130により駆動輪140を駆動するための電力をPCU120へ供給する。
温度センサ112は、電池パック110内の組電池の温度Tiを検出し、その検出値をECU150へ出力する。温度センサ112は、少なくとも、組電池の外周近傍に配置されるセル(又はモジュール)の温度、及び組電池の中央部に配置されるセル(又はモジュール)の温度を検出する。
図5は、電池パック110の構成の一例を示した図である。図5を参照して、電池パック110内の組電池は、複数のモジュール114−1〜114−3によって構成される。モジュール114−2は、電池パック110の中央部に配置され、モジュール114−1,114−3は、電池パック110の端部に配置される。
温度センサ112は、たとえば、複数の熱電対112−1〜112−3によって構成される。熱電対112−1は、モジュール114−1に含まれるセルの温度を検出する。熱電対112−2は、モジュール114−2に含まれるセルの温度を検出する。熱電対112−3は、モジュール114−3に含まれるセルの温度を検出する。すなわち、熱電対112−1,112−3は、組電池の外周近傍(パック端部)に配置されるセルの温度を検出し、熱電対112−2は、組電池の中央部(パック中央部)に配置されるセルの温度を検出する。
再び図4を参照して、MG130は、回転電機であって、たとえば三相交流モータジェネレータである。MG130は、PCU120によって駆動され、駆動輪140を回転させる。また、MG130は、車両10の制動時等に回生発電を行なうことも可能である。MG130により発電された電力は、PCU120により整流されて電池パック110に充電される。
PCU120は、インバータ及びコンバータを含んで構成され(いずれも図示せず)、ECU150からの駆動信号に従ってMG130を駆動する。PCU120は、MG130の力行駆動時は、電池パック110に蓄えられた電力を交流電力に変換してMG130へ供給し、MG130の回生駆動時(車両10の制動時等)は、MG130が発電した電力を整流して電池パック110へ供給する。
ECU150は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ(ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory))、各種信号を入出力するための入出力ポート等を含んで構成される(いずれも図示せず)。ECU150は、車両10が所望の状態となるようにPCU120及び電池パック110の充放電を制御する。また、ECU150は、温度センサ112から温度Tiの検出値を取得し、組電池の温度頻度情報を生成して記憶部160へ出力する。
組電池の温度頻度情報は、第1の温度頻度情報と、第2の温度頻度情報とを含む。温度頻度情報とは、温度毎の温度頻度を示す情報であり、温度頻度とは、温度毎に、その温度の頻度を指標する頻度値を示したものである。そして、第1の温度頻度情報は、電池パック110内の組電池の外周近傍に配置されるセルについての、温度毎の温度頻度を示す情報であり、パック端部のセルの温度を検出する熱電対112−1,112−3(図5)の検出値に基づいて生成される。第2の温度頻度情報は、電池パック110内の組電池の中央部に配置されるセルについての、温度毎の温度頻度を示す情報であり、パック中央部のセルの温度を検出する熱電対112−2(図5)の検出値に基づいて生成される。
上記のような温度頻度情報によって示される電池の温度履歴は、一般的に、電池の使用形態や使用環境等によって変化する。複数のセルから成る組電池を含む電池パック110においては、各セルが同じ電池パック110内に収容されていても、使用形態や使用環境等によってセル間に温度のばらつきが生じる。このセル間の温度ばらつきによってセル間に劣化のばらつきが発生し、それによりセル間に容量のばらつきが発生し、その結果、相対的に容量の小さいセルにおいて過充電が生じる可能性がある。
そこで、この実施の形態1では、温度差が最も顕著に現われる、組電池の外周近傍(パック端部)に配置されるセルと組電池の中央部(パック中央部)に配置されるセルとの間の温度ばらつきを考慮して、電池パック110のリビルド品が製造される。
概略的には、車両10に搭載される電池パック110についての温度頻度情報(パック端部のセルについての第1の温度頻度情報、及びパック中央部のセルについての第2の温度頻度情報)が取得され、相対的に温度が高く劣化しやすいと判定される部位(パック端部又は中央部)に相対的に劣化しにくいセルが配置されるリビルド品が製造される。このようなリビルド品は、電池パック内のセル間の劣化ばらつきを低減することができるので、劣化ばらつきに起因する過充電の発生リスクを低減することができる。
この実施の形態1では、リビルド品を製造するためのリビルド情報は、管理サーバ20において生成される。そのため、ECU150は、電池パック110の組電池の温度頻度情報を生成して記憶部160に蓄積し、記憶部160から温度頻度情報を定期的に読み出して通信装置170により管理サーバ20へ送信する。
管理サーバ20は、情報処理装置210と、通信装置220と、再利用品データベース(DB)230と、電池情報データベース(DB)240とを含む。
再利用品DB230は、回収業者31により回収された中古の電池パック62−1,62−2,・・・(図1)に含まれ、かつ、検査業者32により再利用可能とされたセルの情報を蓄積する。この情報は、たとえば、検査業者32によって各セルの性能評価(劣化状態の評価)を実施することで収集され、各セルの劣化状態や、各セルの劣化しにくさを示す指標(劣化速度、セル容量、セル抵抗、負極の厚み、目付量等であり、詳細は後述)を含む。
電池情報DB240は、車両10から定期的に受信する、電池パック110の組電池の温度頻度情報(パック端部のセルについての第1の温度頻度情報、及びパック中央部のセルについての第2の温度頻度情報)を、車両10を特定するIDと紐付けて蓄積する。
情報処理装置210は、CPU、メモリ、入出力バッファ等を含んで構成される(いずれも図示せず)。情報処理装置210は、電池パック110の交換を行なう車両10を特定するための情報を販売店35の端末45から通信装置220により受信すると、電池情報DB240に記憶された車両10についてのデータと、再利用品DB230に記憶された再利用可能なセルについてのデータとを用いて、電池パック110のリビルドを行なうためのリビルド情報を生成する。このリビルド情報を生成するための具体的な処理の詳細については、後ほど説明する。そして、情報処理装置210は、生成されたリビルド情報を通信装置220により電池パック製造業者34の端末44へ送信する。
電池パック製造業者34の端末44は、通信装置71と、制御部72と、表示部73とを含む。通信装置71は、管理サーバ20により生成されたリビルド情報を管理サーバ20から取得する。制御部72は、取得されたリビルド情報に従って、性能回復業者33により性能回復されたセルの中から交換用セルを選択し、選択された交換用セルの情報を表示部73に表示させる。電池パック製造業者34は、表示部73に表示された交換用セルの情報に基づいて、車両10の電池パック110のリビルド品を製造する。
なお、この端末44は、本開示における「電池製造支援装置」の一実施例に対応する。また、通信装置71は、本開示における「取得部」の一実施例に対応し、制御部72は、本開示における「選択部」の一実施例に対応する。
図6は、車両10のECU150により実行される処理の手順を説明するフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、所定時間毎又は所定条件の成立時にメインルーチンから呼び出されて繰り返し実行される。
図6を参照して、ECU150は、電池パック110に含まれる組電池の温度を取得する(ステップS10)。具体的には、上述のように、温度センサ112は、組電池の外周近傍(パック端部)に配置されるセルの温度、及び組電池の中央部(パック中央部)に配置されるセルの温度を検出し、ECU150は、温度センサ112から上記の各温度の検出値を取得する。
次いで、ECU150は、取得されるパック端部のセルの温度について温度頻度を算出し、パック中央部のセルの温度についても温度頻度を算出する。一例として、パック端部のセルの温度が30℃近傍である状態が所定時間継続すると、パック端部のセルについて30℃の頻度値がカウントアップされる。
ECU150は、ステップS20において算出される温度頻度が温度毎に算出された温度頻度情報を生成して記憶部160に蓄積する(ステップS30)。詳しくは、ECU150は、パック端部のセルについての温度毎の頻度を示す第1の温度頻度情報、及びパック中央部のセルについての温度毎の頻度を示す第2の温度頻度情報を生成して記憶部160へ出力する。
そして、ECU150は、記憶部160に蓄積された第1及び第2の温度頻度情報を記憶部160から定期的に読み出し、通信装置170によって管理サーバ20へ送信する(ステップS40)。このように、車両10に搭載される電池パック110について、パック端部のセルについての温度履歴を示す第1の温度頻度情報、及びパック中央部のセルについての温度履歴を示す第2の温度頻度情報が生成され、管理サーバ20に送信されて蓄積される。
図7は、管理サーバ20により実行される処理の手順を説明するフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、電池パック110の交換を行なう車両10(対象車両)を特定するための情報を販売店35の端末45から受信すると実行される。
図7を参照して、管理サーバ20(情報処理装置210)は、対象車両(車両10)の上記情報を販売店35の端末45から受信する(ステップS110)。次いで、管理サーバ20は、対象車両(車両10)の組電池の温度頻度情報(第1及び第2の温度頻度情報)を電池情報DB240から取得する(ステップS120)。すなわち、管理サーバ20は、端末45から受信する情報によって特定される対象車両(車両10)の組電池の温度頻度情報を電池情報DB240から取得する。
次いで、管理サーバ20は、電池情報DB240から取得した車両10の組電池の温度頻度情報に基づいて、車両10の組電池の温度頻度分布を生成する(ステップS130)。具体的には、管理サーバ20は、第1の温度頻度情報に基づいて、車両10の電池パック110におけるパック端部のセルについての温度頻度分布を生成し、第2の温度頻度情報に基づいて、電池パック110におけるパック中央部のセルについての温度頻度分布を生成する。さらに、管理サーバ20は、生成された温度頻度分布に基づいて、車両10の組電池の使用履歴を生成する(ステップS140)。
図8,図9は、図7のステップS130において生成される温度頻度分布、及び図7のステップS140において生成される組電池の使用履歴の一例を示した図である。
図8を参照して、実線k1は、第1の温度頻度情報に基づいて生成される、パック端部のセルについての温度頻度分布を示し、点線k2は、第2の温度頻度情報に基づいて生成される、パック中央部のセルについての温度頻度分布を示す。
温度Tedge,Tcen、及び温度差ΔT1は、温度頻度分布に基づいて生成される組電池の使用履歴を示す。温度Tedgeは、パック端部のセルについての温度頻度分布を示す実線k1の頻度ピークの温度であり、温度Tcenは、パック中央部のセルについての温度頻度分布を示す点線k2の頻度ピークの温度である。温度差ΔT1は、温度Tedgeと温度Tcenとの差である。この図8では、Tedge>Tcenとなる場合が示されている。すなわち、車両10の電池パック110について、パック端部のセルの温度がパック中央部のセルの温度よりも高くなるような使用形態であることが理解される。なお、このような使用形態は、走行負荷(電池負荷)が全般的に高い場合にみられる傾向がある。
他の例として、図9を参照して、実線k3は、第2の温度頻度情報に基づいて生成される、パック中央部のセルについての温度頻度分布を示し、点線k4は、第1の温度頻度情報に基づいて生成される、パック端部のセルについての温度頻度分布を示す。なお、温度差ΔT2は、温度Tcenと温度Tedgeとの差である。この図9では、Tedge<Tcenとなる場合が示されている。すなわち、車両10の電池パック110について、パック中央部のセルの温度がパック端部のセルの温度よりも高くなるような使用形態であることが理解される。なお、このような使用形態は、走行負荷(電池負荷)が全般的に低い場合にみられる傾向がある。
そして、この実施の形態1では、管理サーバ20が、対象車両の電池パックのリビルドを行なうためのリビルド情報を生成するにあたり、対象車両の電池パックの使用履歴がTedge>Tcenを示す場合には(図8)、管理サーバ20は、パック中央部に配置されるセルよりも劣化しにくいセルがパック端部に配置されるリビルドを行なうためのリビルド情報を生成する。一方、対象車両の電池パックの使用履歴がTedge<Tcenを示す場合には(図9)、管理サーバ20は、パック端部に配置されるセルよりも劣化しにくいセルがパック中央部に配置されるリビルドを行なうためのリビルド情報を生成する。このようなリビルド品は、電池パック内のセル間の劣化ばらつきを低減することができる。
なお、劣化しにくいセルとしては、種々の指標を用いて、相対的に劣化しにくいと判定されるセルを採用することができる。
図10は、セル容量の時間的な変化を示した図である。図10を参照して、セル容量は、使用期間の経過とともに低下する(劣化)。一般に、セル容量の低下度合いは、容量の低下が進むにつれて小さくなる。そこで、たとえば、現時点のセル容量が同等の2つのセルについて、新品時に対して容量低下が進んでいるセルは、容量低下が進んでいないセルに対して、相対的に劣化しにくいセルであるといえる。
また、図11は、セル抵抗の時間的な変化を示した図である。図11を参照して、セル抵抗は、使用期間の経過とともに上昇する(劣化)。一般に、セル抵抗の上昇度合いは、抵抗の上昇が進むにつれて小さくなる。そこで、たとえば、現時点のセル抵抗が同等の2つのセルについて、新品時に対して抵抗上昇が進んでいるセルは、抵抗上昇が進んでいないセルに対して、相対的に劣化しにくいセルであるといえる。
或いは、特に図示しないが、負極厚みの薄いセル(たとえば厚み公差の下限に近いセル)や、目付量の小さいセル(たとえば目付量公差の下限に近いセル)は、負極厚みの厚いセル(厚み公差の上限に近いセル)や、目付量の大きいセル(目付量公差の上限に近いセル)と比べて、相対的に劣化速度が小さく、このようなセルも相対的に劣化しにくいセルとして採用し得る。この指標は、リビルド品のセルに新品のセルを用いる場合にも採用し得る。
なお、電池パックの使用履歴がTedge>Tcenを示す場合には(図8)、温度Tedgeと温度Tcenとの温度差ΔT1が大きいほど、パック中央部に配置されるセルに対してより劣化しにくいセルがパック端部に配置されるようにしてもよい。同様に、電池パックの使用履歴がTedge<Tcenを示す場合には(図9)、温度Tcenと温度Tedgeとの温度差ΔT2が大きいほど、パック端部に配置されるセルに対してより劣化しにくいセルがパック中央部に配置されるようにしてもよい。
この実施の形態1では、Tedge>Tcenの場合(図8)、温度差ΔT1を参照して、パック端部のセルの劣化速度がパック中央部のセルの劣化速度と同等となるようなリビルドを行なうためのリビルド情報が生成される。
図12は、Tedge>Tcenの場合にリビルド品のセルの選択方法を説明する図である。図12を参照して、横軸はセル温度Tの逆数を示し、縦軸は劣化速度β(たとえば内部抵抗増加速度)の自然対数値を示す。図示されるように、劣化速度βについて、アレニウス則に従う温度依存性が理解される。
実線k11は、パック中央部のセルの劣化曲線を示す。点線k12は、パック端部のセルの劣化曲線を示す。実線k11で示されるパック中央部のセルに対して、温度Tedgeと温度Tcenとの温度差ΔT1に応じて、劣化速度βが同等の点線k12で示されるパック端部のセルを採用することによって、パック中央部とパック端部とで劣化速度が同等となり得るリビルド品を構成することができる。
一方、Tedge<Tcenの場合には(図9)、温度差ΔT2を参照して、パック中央部のセルの劣化速度がパック端部のセルの劣化速度と同等となるようなリビルドを行なうためのリビルド情報が生成される。
図13は、Tedge<Tcenの場合にリビルド品のセルの選択方法を説明する図である。図13を参照して、実線k13は、パック端部のセルの劣化曲線を示す。点線k14は、パック中央部のセルの劣化曲線を示す。実線k13で示されるパック端部のセルに対して、温度Tcenと温度Tedgeとの温度差ΔT2に応じて、劣化速度βが同等の点線k14で示されるパック中央部のセルを採用することによって、パック中央部とパック端部とで劣化速度が同等となり得るリビルド品を構成することができる。
再び図7を参照して、ステップS140において車両10の組電池の使用履歴が生成されると、管理サーバ20は、パック端部のセルの使用履歴を示す温度Tedgeが、パック中央部のセルの使用履歴を示す温度Tcenよりも高いか否かを判定する(ステップS150)。
温度Tedgeが温度Tcenよりも高いと判定されると(ステップS150においてYES)、管理サーバ20は、温度差ΔT1、及び再利用可能なセルの情報が格納された再利用品DB230を参照して、上述のように、パック端部のセルの劣化速度がパック中央部のセルの劣化速度と同等となるように、パック端部に劣化しにくいセルが選択されるリビルドを行なうためのリビルド情報を生成する(ステップS160)。
一方、ステップS150において温度Tedgeが温度Tcenよりも低いと判定されると(ステップS150においてNO)、管理サーバ20は、温度差ΔT2及び再利用品DB230を参照して、上述のように、パック中央部のセルの劣化速度がパック端部のセルの劣化速度と同等となるように、パック中央部に劣化しにくいセルが選択されるリビルドを行なうためのリビルド情報を生成する(ステップS170)。
そして、ステップS160又はS170においてリビルド情報が生成されると、管理サーバ20は、生成されたリビルド情報に従うリビルド品の製造指令を電池パック製造業者34の端末44へ送信する(ステップS180)。これにより、電池パック製造業者34によって、車両10に搭載される電池パック110のリビルド品が製造される。このようなリビルド情報に従うリビルド品は、車両10における電池パック110の使用形態の下で、セル間の劣化ばらつきが小さいものとなる。さらに、管理サーバ20は、生成されたリビルド情報を、車両10が引き渡された販売店35の端末45へ送信する(ステップS190)。
図14,図15は、リビルドされた電池パック110の端部及び中央部におけるセルの劣化量及び温度を示した図である。図14は、電池パック110の使用履歴がTedge>Tcenである場合を示し、図15は、電池パック110の使用履歴がTedge<Tcenである場合を示す。
図14を参照して、この例では、パック端部のセルの温度は、パック中央部のセルの温度よりも高く、セル間で温度差ΔT1の温度ばらつきが生じている。この温度差ΔT1に応じて、パック端部のセルの劣化速度がパック中央部のセルの劣化速度と同等となるように、パック端部に劣化しにくいセルを選択してリビルド品が構成される。これにより、パック端部と中央部とで温度差ΔT1が生じるような使用形態の下で、パック端部のセルの劣化量とパック中央部のセルの劣化量とは同等となっている。
図15を参照して、この例では、パック中央部のセルの温度は、パック端部のセルの温度よりも高く、セル間で温度差ΔT2の温度ばらつきが生じている。この温度差ΔT2に応じて、パック中央部のセルの劣化速度がパック端部のセルの劣化速度と同等となるように、パック中央部に劣化しにくいセルを選択してリビルド品が構成される。これにより、パック端部と中央部とで温度差ΔT2が生じるような使用形態の下で、パック端部のセルの劣化量とパック中央部のセルの劣化量とは同等となっている。
このように、本実施の形態1によれば、リビルドされた電池パック110は、パック端部と中央部とでセル間の劣化ばらつきを低減することができるので、劣化ばらつきに起因する過充電の発生リスクを低減することができる。
図16は、比較例として、セル間の温度ばらつきを考慮しないリビルド品のセルの選択方法を説明する図である。また、図17は、比較例として、セル間の温度ばらつきを考慮せずにリビルドされた電池パックの端部及び中央部におけるセルの劣化量及び温度を示した図である。
図16を参照して、比較例では、電池パックの使用履歴がTedge>Tcenであるけれども、そのような温度ばらつき(ΔT1)を考慮せずに、パック中央部のセルと同等の劣化しにくさ(線k15)を有するセルがパック端部に採用される。そうすると、図示されるように、温度が相対的に高いパック端部のセルの劣化速度は、パック中央部のセルの劣化速度よりも高くなる。
その結果、図17を参照して、この比較例によるリビルド品では、温度が相対的に高いパック端部のセルの劣化量が、パック中央部のセルの劣化量よりも大きくなる。すなわち、セル間の温度ばらつきを考慮しない比較例によるリビルド品は、セル間の劣化ばらつきが発生してしまう。
図18は、本実施の形態1において製造されるリビルド品と上記の比較例によるリビルド品とにおいて、パック端部のセルとパック中央部のセルとの劣化ばらつきの評価結果の一例を示した図である。この例では、劣化ばらつきの評価として、パック端部のセルとパック中央部のセルとについて、走行後の抵抗増加率を確認した。
図18を参照して、比較例によるリビルド品では、パック端部のセルの抵抗増加率(118.2%)と、パック中央部のセルの抵抗増加率(111.4%)とに、ばらつき(劣化ばらつき)が生じている。
一方、本実施の形態1において製造されたリビルド品(実施例)では、パック端部のセルの抵抗増加率(111.4%)と、パック中央部のセルの抵抗増加率(111.3%)とのばらつき(劣化ばらつき)が抑えられている。
以上のように、この実施の形態1によれば、温度が高く劣化しやすい部位に相対的に劣化しにくいセルが配置されたリビルド品を製造することができる。このようなリビルド品は、電池パック内のセル間の劣化ばらつきを低減することができるので、劣化ばらつきに起因する過充電の発生リスクを低減することができる。このように、この実施の形態1によれば、セル間の温度ばらつきを考慮して適切な交換用セルを選択することができる。
また、この実施の形態1においては、電池パックの使用履歴がTedge>Tcenを示す場合には、温度差ΔT1が大きいほど、パック中央部に配置されるセルに対してより劣化しにくいセルがパック端部に配置される。また、Tedge<Tcenの場合には、温度差ΔT2が大きいほど、パック端部に配置されるセルに対してより劣化しにくいセルがパック中央部に配置される。したがって、この実施の形態1によれば、温度Tedgeと温度Tcenとの温度差に応じて、どの程度劣化しにくいセルを選択すればよいかを決定することができる。
なお、上記では、車両10の電池パック110の温度情報が管理サーバ20に収集され、管理サーバ20において、組電池の温度頻度分布が生成され、生成された温度頻度分布に基づいて組電池の使用履歴が生成されるものとしたが、車両10において組電池の温度頻度分布を生成し、管理サーバ20は、組電池の温度頻度分布を車両10から取得して組電池の使用履歴を生成してもよい。或いは、車両10において組電池の使用履歴まで生成し、管理サーバ20は、組電池の使用履歴を車両10から取得してもよい。
また、上記では、車両10の電池パック110の温度情報が管理サーバ20に収集され、管理サーバ20において電池パック110のリビルドを行なうためのリビルド情報が生成されるものとしたが、管理サーバ20を用いることなく、たとえば、電池パック110の温度情報は車両10に蓄積し、リビルド情報の生成は電池パック製造業者34や販売店35の端末44,45等において行なってもよい。
また、車両10の電池パック110の温度情報は車両10に蓄積し、車両10が販売店35に持ち込まれた際に、販売店35の端末45に車両10を接続して電池パック110の温度情報を端末45から管理サーバ20へ送信するようにしてもよい。
また、上記では、組電池の温度頻度の算出、及び温度頻度情報の生成は、車両10において行なわれるものとしたが、車両10は、組電池の温度検出、及び検出された温度の管理サーバ20への送信のみを行ない、温度頻度の算出及び温度頻度情報の生成は、管理サーバ20で行なってもよい。
[実施の形態2]
実施の形態1では、対象車両(車両10)に搭載される電池パックの情報が収集され、その収集された情報に基づいて対象車両(車両10)の電池パックのリビルドが行なわれるものとした。
この実施の形態2では、電池パックを搭載する複数の車両から電池パックの情報が管理サーバに収集され、その収集された情報(ビッグデータ)に基づいて電池パックのリビルドが行なわれる。
図19は、実施の形態2における電池管理システムの構成例を示した図である。図19を参照して、電池管理システム1Aは、複数の車両10−1,10−2,・・・と、管理サーバ20Aと、端末41〜45と、通信ネットワーク50とを備える。車両10−1,10−2,・・・の各々は、電池パックを搭載する。
詳細は後述するが、この電池管理システム1Aの動作の一例について概略的に説明すると、この電池管理システム1Aでは、各車両10−1,10−2,・・・に搭載される電池パック内の組電池の温度情報が、各車両の走行負荷(走行頻度や走行時間等)や走行地域等の情報とともに各車両から通信ネットワーク50を通じて管理サーバ20Aへ送信される。送信された各車両の組電池の温度情報は、走行負荷や走行地域毎に管理サーバ20Aに蓄積される。また、管理サーバ20Aは、集約拠点に回収された中古の電池パック62−1,62−2,・・・に含まれる再利用可能なセルの情報を蓄積する。
販売店35の端末45からは、電池パックのリビルド品の仕様(使用状況(負荷)や使用地域等)を入力することができる。リビルド品の仕様が端末45に入力されると、端末45から管理サーバ20Aへリビルド品の仕様情報が送信される。管理サーバ20Aは、走行負荷や走行地域毎に蓄積された組電池の温度情報から、端末45から受信したリビルド品の仕様に沿う温度情報を取得し、その取得した温度情報から組電池の使用履歴を生成する。そして、管理サーバ20Aは、生成された組電池の使用履歴と、再利用可能なセルの情報を参照して、端末45から入力された仕様に合ったリビルド品を構成するためのリビルド情報を生成する。
生成されたリビルド情報は、管理サーバ20Aから電池パック製造業者34の端末44へ送信され、電池パック製造業者34によって、再利用可能なセルの中からリビルド情報に基づくセルが選択され、仕様に合った電池パックのリビルド品が製造される。
図20は、図19に示した管理サーバ20Aの構成を詳細に示した図である。なお、車両10−1,10−2,・・・の各々の構成は、図4に示した車両10と基本的に同じであるので、各車両の詳細な構成については説明を繰り返さない。
図20を参照して、管理サーバ20Aは、情報処理装置210Aと、通信装置220と、再利用品DB230と、電池情報DB240Aとを含む。なお、管理サーバ20Aの通信装置220は、本開示における「情報取得部」の一実施例に対応する。
電池情報DB240Aは、車両10−1,10−2,・・・の各々から通信ネットワーク50を通じて通信装置220により定期的に取得される、各車両に搭載される電池パックの組電池の温度情報、走行頻度や走行時間等の走行負荷の情報、走行地域の情報等を蓄積する。また、電池情報DB240Aは、電池情報DB240Aに蓄積された上記の各種情報に基づいて情報処理装置210Aにより生成される、走行負荷や走行地域毎の組電池の温度頻度情報を蓄積する。
情報処理装置210Aは、電池パックのリビルド品の仕様情報を販売店35の端末45から通信装置220により受信すると、その受信した仕様情報と、電池情報DB240Aに記憶された走行負荷や走行地域毎の組電池の温度頻度情報と、再利用品DB230に記憶された再利用可能なセルの情報とを用いて、仕様情報に合うリビルド品を製造するためのリビルド情報を生成する。リビルド情報を生成するための具体的な処理の詳細については、後ほど説明する。
そして、情報処理装置210Aは、生成されたリビルド情報を通信装置220により電池パック製造業者34の端末44へ送信する。これにより、電池パック製造業者34によって、管理サーバ20Aにより生成されたリビルド情報に従って、販売店35の端末45から入力された仕様情報に沿うリビルド品が製造される。
図21は、図20に示した管理サーバ20Aにより実行される温度情報収集処理の手順を説明するフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、所定時間毎又は所定条件の成立時にメインルーチンから呼び出されて繰り返し実行される。
図21を参照して、管理サーバ20Aは、各車両10−1,10−2,・・・から以下に示す各種情報を取得する(ステップS210)。すなわち、管理サーバ20Aは、各車両に搭載される電池パックの組電池の温度情報を各車両から取得する。詳しくは、図5で説明したように、各車両において、組電池の外周近傍(パック端部)に配置されるセルの温度、及び組電池の中央部(パック中央部)に配置されるセルの温度が検出される。そして、これらの検出温度が温度情報として各車両から管理サーバ20Aへ送信され、管理サーバ20Aは、この温度情報を各車両から受信する。
また、管理サーバ20Aは、各車両の走行負荷を示す走行頻度や走行時間等の情報を各車両から取得する。さらに、管理サーバ20Aは、各車両の走行地域の情報も各車両から取得する。走行地域の区分としては、たとえば、気候の相違が区別できるような地域区分(たとえば暑い地域や寒い地域等)とすることができる。
次いで、管理サーバ20Aは、各車両から収集された上記情報に基づいて、走行負荷や走行地域毎に、パック端部のセルの温度について温度頻度を算出するとともに、パック中央部のセルの温度について温度頻度を算出する(ステップS220)。
そして、管理サーバ20Aは、ステップS220において算出される温度頻度に基づいて、走行負荷や走行地域毎に、温度毎にその頻度が算出された温度頻度情報を生成し、生成した温度頻度情報を電池情報DB240Aに蓄積する(ステップS230)。詳しくは、管理サーバ20Aは、走行負荷や走行地域毎に、パック端部のセルについての温度毎の頻度を示す第1の温度頻度情報、及びパック中央部のセルについての温度毎の頻度を示す第2の温度頻度情報を生成して電池情報DB240Aへ出力する。
図22は、販売店35の端末45により実行される処理の手順を説明するフローチャートである。図22を参照して、販売店35の端末45は、電池パックのリビルド品の仕様の入力を受け付ける(ステップS310)。リビルド品の仕様としては、たとえば、組電池の使用状況(負荷)や使用地域等の情報を含む。そして、端末45は、入力されたリビルド品の仕様を示す仕様情報を、通信ネットワーク50を通じて管理サーバ20Aへ送信する(ステップS320)。
図23は、管理サーバ20Aにより実行されるリビルド情報生成処理の手順を説明するフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、電池パックのリビルド品の仕様情報を販売店35の端末45から受信すると実行される。
図23を参照して、管理サーバ20A(情報処理装置210A)は、リビルド品の仕様情報を端末45から受信する(ステップS410)。次いで、管理サーバ20Aは、受信した仕様情報に沿う組電池の温度頻度情報(第1及び第2の温度頻度情報)を電池情報DB240A(図20)から取得する(ステップS420)。すなわち、管理サーバ20Aは、端末45から受信した仕様情報に含まれる組電池の使用状況(負荷)や使用地域等に合う走行負荷や走行地域についての組電池の温度頻度情報を電池情報DB240Aから取得する。
次いで、管理サーバ20Aは、電池情報DB240Aから取得した組電池の温度頻度情報に基づいて、組電池の温度頻度分布を生成する(ステップS430)。具体的には、管理サーバ20Aは、パック端部のセルについての温度毎の頻度を示す第1の温度頻度情報に基づいて、パック端部のセルについての温度頻度分布を生成し、パック中央部のセルについての温度毎の頻度を示す第2の温度頻度情報に基づいて、パック中央部のセルについての温度頻度分布を生成する。
さらに、管理サーバ20Aは、生成された温度頻度分布に基づいて、組電池の使用履歴を生成する(ステップS440)。具体的には、実施の形態1と同様に、管理サーバ20Aは、パック端部のセルについての温度頻度分布における頻度ピークの温度を示す温度Tedge、パック中央部のセルについての温度頻度分布における頻度ピークの温度を示す温度Tcen、温度Tedgeと温度Tcenとの大小関係、Tedge>Tcenの場合の温度Tedgeと温度Tcenとの温度差ΔT1、Tedge<Tcenの場合の温度Tcenと温度Tedgeとの温度差ΔT2等の情報を生成する。
そして、ステップS440において組電池の使用履歴が生成されると、管理サーバ20Aは、ステップS450へ処理を移行する。ステップS450〜S490の処理は、実施の形態1において図5で説明したステップS150〜S190の処理とそれぞれ同じであり、これらの処理については説明を繰り返さない。
以上のように、この実施の形態2によれば、管理サーバ20Aに収集された複数の車両についての組電池の温度情報(ビッグデータ)を用いて、たとえば、ユーザの使用地域(暑い地域/寒い地域等)や使用負荷(走行頻度や走行時間)に応じたリビルド品を製造することができる。
なお、上記の実施の形態1,2では、管理サーバ20,20Aにおいて、電池パック110のリビルドを行なうためのリビルド情報が生成されるものとしたが、管理サーバ20,20Aと異なる端末において、管理サーバ20,20Aで生成された車両10の組電池の使用履歴を管理サーバ20,20Aから取得してリビルド情報を生成してもよい。このような端末は、図1に示した端末41〜45のいずれかであってもよいし、別途設けられる端末であってもよい。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。