JP2019105821A - ポジ型感光性樹脂組成物及び有機el発光装置 - Google Patents

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【課題】発光効率が低下しにくい有機EL発光装置を形成しやすいポジ型感光性樹脂組成物を提供する。【解決手段】アルカリ可溶性樹脂(A)と、平均粒径が200nm以下の吸湿剤(B)と、塩基性の極性官能基と酸性の極性官能基とのうち少なくとも一方を有する分散剤(C)と、ポジ型感光剤(D)とを含有する。吸湿剤(B)を含有しているため、吸湿剤(B)で水分を吸収することができる。分散剤(C)を含有しているため、吸湿剤(B)が平均粒径200nm以下のナノ粒子であっても、分散性を高めることができる。【選択図】なし

Description

本発明は、ポジ型感光性樹脂組成物及び有機EL発光装置に関する。詳しくは、本発明は、絶縁層等を形成するために用いられるポジ型感光性樹脂組成物、及びこのポジ型感光性樹脂組成物の硬化物を備える有機EL発光装置に関する。
従来、有機EL発光装置(有機エレクトロルミネッセンス発光装置)は、照明、ディスプレイなどに適用されており、今後の普及が期待されている。
有機EL発光装置としては各種のものが提案されている。例えば、特許文献1〜3には、基板上に形成された第一電極と、第一電極上に形成された少なくとも有機化合物からなる発光層を含む薄膜層と、薄膜層上に形成された第二電極とを含む表示装置が開示されている。
有機EL発光装置の課題として、長期信頼性が挙げられる。発光層を構成する有機化合物は、一般的に、ガス成分や水分により劣化しやすく、これらに曝されると薄膜層の機能が低下し、発光輝度の低下などの不具合が発生することがあった。そこで、第一電極及び第二電極並びに薄膜層の全体をガスバリア膜で被覆したり、さらに樹脂層で被覆(封止)したりすることで、有機EL発光装置の長期信頼性を向上させている。
国際公開WO2016/047483号 特開2002−091343号公報 特開2002−116715号公報
しかし、有機EL発光装置を長時間発光させると、ガスバリア膜が薄くなったり、ガスバリア膜と樹脂層に亀裂等の欠陥が生じたりすることがあり、そこから水分等が浸入して薄膜層に到達することがあった。そして、薄膜層に達した水分等により有機化合物の劣化が生じて有機EL発光装置の発光効率が低下するという問題があった。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、発光効率が低下しにくい有機EL発光装置を形成しやすいポジ型感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
また本発明は、発光効率が低下しにくい有機EL発光装置を提供することを目的とする。
本発明に係る一態様のポジ型感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂(A)と、平均粒径が200nm以下の吸湿剤(B)と、塩基性の極性官能基と酸性の極性官能基とのうち少なくとも一方を有する分散剤(C)と、ポジ型感光剤(D)とを含有することを特徴とする。
本発明に係る一態様の有機EL発光装置は、前記ポジ型感光性樹脂組成物の硬化物を備えることを特徴とする。
本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物では、吸湿剤(B)を含有しているため、吸湿剤(B)で水分を吸収することができる。従って、ポジ型感光性樹脂組成物を含有して絶縁膜や隔壁を形成した場合に、有機化合物を含有する薄膜層に水分が到達しにくくなり、発光効率が低下しにくい有機EL発光装置を形成しやすい。
また本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物では、分散剤(C)を含有しているため、吸湿剤(B)が平均粒径200nm以下のナノ粒子であっても、分散性を高めることができ、均質なポジ型感光性樹脂組成物が得やすくなる。
図1は、本発明に係る有機ELデバイスの一実施形態を示す断面図である。 図2は、本発明に係る有機ELデバイスの他の一実施形態を示す断面図である。
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
1.ポジ型感光性樹脂組成物
本実施形態に係るポジ型感光性樹脂組成物(以下、組成物(X)という場合がある)は、アルカリ可溶性樹脂(A)と、平均粒径が200nm以下の吸湿剤(B)と、塩基性の極性官能基と酸性の極性官能基とのうち少なくとも一方を有する分散剤(C)と、ポジ型感光剤(D)とを含有する。
[アルカリ可溶性樹脂(A)]
アルカリ可溶性樹脂(A)としては、ポリイミド、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾオキサゾール前駆体、ポリアミノアミド、ポリアミド、アルカリ可溶性基を有するラジカル重合性モノマーから得られる重合体、カルド樹脂、フェノール樹脂、環状オレフィン重合体、シロキサン樹脂などが挙げられるが、これに限定されない。これらの樹脂を2種以上含有してもよい。これらのアルカリ可溶性樹脂(A)の中でも、耐熱性に優れ、高温下におけるアウトガス量が少ないものが好ましい。具体的には、ポリイミド、ポリイミド前駆体、またはポリベンゾオキサゾール前駆体の中から選ばれる少なくとも1種以上のアルカリ可溶性樹脂またはそれらの共重合体が好ましい。
ここでアルカリ可溶性とは、樹脂をγ−ブチロラクトンに溶解した溶液をシリコンウェハー上に塗布し、120℃で4分間プリベークを行って膜厚10μm±0.5μmのプリベーク膜を形成し、該プリベーク膜を23±1℃の2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に1分間浸漬した後、純水でリンス処理したときの膜厚減少から求められる溶解速度が50nm/分以上であることをいう。
アルカリ可溶性樹脂(A)は、下記の一般式(1)または(2)で表される構造のうち少なくともいずれかを有するポリマーを含むことが好ましい。
Figure 2019105821
(一般式(1)中、Rは炭素数が2以上の2価以上8価以下の有機基、Rは炭素数が2以上の2価以上6価以下の有機基、Rは水素または炭素数が1以上20以下の有機基をそれぞれ示す。mは0以上4以下の整数、p、qは0以上4以下の整数(ただしp+q>0)をそれぞれ示す。)
Figure 2019105821
(一般式(2)中、Rは炭素数が2以上の4価以上8価以下の有機基、Rは炭素数2以上の2価以上6価以下の有機基をそれぞれ示す。rおよびsはそれぞれ0以上4以下の整数を示す。)
ポリマー全体に対する(1)及び(2)の構造単位の含有量は、耐熱性が向上するため50モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、90モル%以上がさらに好ましい。またポリマ−は、一般式(1)または(2)のいずれかの構造単位単独で構成されていても、一般式(1)および(2)の両方の構造単位で構成されていてもかまわない。
一般式(1)で示される構造単位は、加熱あるいは適当な触媒により、イミド環、オキサゾール環、その他の環状構造を有するポリマーとなり得る。一般式(1)で示される構造単位は、ポリイミド前駆体のポリアミド酸もしくはポリアミド酸エステル、またはポリベンゾオキサゾール前駆体のポリヒドロキシアミドであることが好ましい。これらは、加熱後環状構造となることで、耐熱性、耐溶剤性が飛躍的に向上する。
一般式(1)中のRは、酸の構造成分を表しており、炭素数2以上の2価以上8価以下の有機基を示す。2価となる酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(カルボキシフェニル)プロパンなどの芳香族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸などを挙げることができる。3価となる酸としては、トリメリット酸、トリメシン酸などのトリカルボン酸などを挙げることができる。4価以上となる酸としてはピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピリジンテトラカルボン酸、ペリレンテトラカルボン酸などのテトラカルボン酸や、そのカルボキシル基2個をメチル基やエチル基としたジエステル化合物、ブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸などの脂肪族テトラカルボン酸や、そのカルボキシル基2個をメチル基やエチル基としたジエステル化合物を挙げることができる。また、ヒドロキシフタル酸、ヒドロキシトリメリット酸などの水酸基を有する酸も挙げることができる。これら酸成分は単独でも2種以上併用しても構わないが、テトラカルボン酸を1モル%以上40モル%以下含むことが好ましい。また、アルカリ現像液に対する溶解性や感光性の観点から、水酸基を有する酸成分を50モル%以上用いることが好ましく、70モル%以上がより好ましい。
一般式(2)で示される構造単位は、イミド環をもつものである。上記一般式(2)中のRは、酸の構造成分を表しており、炭素数2以上の4価以上8価以下の有機基を示す。具体的には以下の4価以上となる酸の成分を使用することが好ましいがこれに限定されない。
4価以上となる酸としてはピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピリジンテトラカルボン酸、ペリレンテトラカルボン酸などのテトラカルボン酸や、そのカルボキシル基2個をメチル基やエチル基としたジエステル化合物、ブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸などの脂肪族テトラカルボン酸や、そのカルボキシル基2個をメチル基やエチル基としたジエステル化合物を挙げることができる。これら酸成分は単独でも2種以上併用しても構わないが、テトラカルボン酸を1モル%以上40モル%以下含むことが好ましい。また、アルカリ現像液に対する溶解性や感光性の観点から、水酸基を有する酸成分を50モル%以上用いることが好ましく、70モル%以上がより好ましい。
一般式(1)中のRは、耐熱性の面から芳香族環を含有し、炭素数6以上30以下の3価または4価の有機基であることが好ましい。
具体的には、一般式(1)中のR(COOR(OH)は、一般式(3)で示されることが好ましい。
Figure 2019105821
(一般式(3)中、R10およびR12はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数2以上20以下の2価以上4価以下の有機基を示す。R11は炭素数3以上20以下の3価以上6価以下の有機基を示す。R13およびR14はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素または炭素数1以上20以下の1価の有機基を示す。tおよびvは0以上2以下の整数、uは1以上4以下の整数を示す。ただし、t+v≦2である。)
得られるポリマーの耐熱性の点から、R10およびR12は芳香族環を含むものが好ましく、特に好ましい構造としてトリメリット酸、トリメシン酸、ナフタレントリカルボン酸などの残基が挙げられる。
また、R11は炭素数3以上20以下の3価以上6価以下の有機基を示している。さらに、u個の水酸基はアミド結合と隣り合った位置にあることが熱閉環の進行をより容易とさせる点で好ましい。このような例として、フッ素原子を含んだ、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、フッ素原子を含まない、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)プロパン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,4−ジアミノ−フェノール、2,5−ジアミノフェノール、1,4−ジアミノ−2,5−ジヒドロキシベンゼンのアミノ基が結合したものなどを挙げることができる。
また、一般式(3)のR13およびR14はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、水素または炭素数1以上20以下の1価の有機基を示しており、水素または炭素数1以上20以下の炭化水素基が好ましい。炭素数を20以下とすることで、アルカリ現像液に対する適度な溶解性が得られる。tおよびvは0以上2以下の整数を示しているが、好ましくは1または2である。ただし、t+v≦2である。また、uは1〜4の整数を表している。この範囲であれば、良好なパターン加工性が得られる。
一般式(3)で表される構造の中で、好ましい構造を例示すると下記に示す構造が挙げられるが、これらに限定されない。
Figure 2019105821
また、一般式(1)中のRおよび一般式(2)中のRは、それぞれ炭素数2以上の2価以上4価以下の有機基を示しており、ジアミン構造の残基を表している。
ジアミンは単独でも2種以上併用しても構わない。ジアミンの具体的な例として以下に挙げるがこれに限定されない。
ジェファーミンKH−511、ジェファーミンED−600、ジェファーミンED−900、ジェファーミンED−2003、ジェファーミンEDR−148、ジェファーミンEDR−176(以上商品名、HUNTSMAN(株)製)など、ポリエチレンオキサイド基を含有するジアミン、D−200、D−400、D−2000、D−4000(以上商品名、HUNTSMAN(株)製)のポリオキシプロピレンジアミン、ビス(アミノ−ヒドロキシ−フェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(トリフルオロメチル)ベンチジンなどのフッ素原子を有するジアミン、フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルエーテル、アミノフェノキシベンゼン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ビス(アミノフェノキシフェニル)プロパン、ビス(アミノフェノキシフェニル)スルホン等のフッ素原子を有さないジアミン、あるいはこれらの芳香族環にアルキル基やハロゲン原子で置換した化合物、ジアミノジヒドロキシピリミジン、ジアミノジヒドロキシピリジン、ヒドロキシ−ジアミノ−ピリミジン、ジアミノフェノール、ジヒドロキシベンチジン、ジアミノ安息香酸、ジアミノテレフタル酸などの化合物や、シクロヘキシルジアミン、メチレンビスシクロヘキシルアミン、ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン、一般式(1)中のR(OH)および一般式(2)中のR(OH)が、一般式(4)〜(6)のいずれかで示される構造のものを挙げることができる。
これらの中で、アルカリ現像液に対する溶解性や感光性の観点から、水酸基を有するジアミン成分を60モル%以上用いることが好ましい。
Figure 2019105821
一般式(4)のR15およびR17は炭素数2以上20以下の3価または4価の有機基を示し、R16は炭素数2以上30以下の2価の有機基を示す。wおよびxは1あるいは2を示す。一般式(5)のR18およびR20は炭素数2以上20以下の2価の有機基を示し、R19は炭素数3以上20以下の3価以上6価以下の有機基を示す。yは1〜4の整数を示す。一般式(6)のR21は炭素数2以上20以下の2価の有機基を示し、R22は炭素数3以上20以下の3価以上6価以下の有機基を示す。zは1以上4以下の整数を示す。
一般式(4)において、R15およびR17は炭素数2以上20以下の3価または4価の有機基を示しており、得られるポリマーの耐熱性の点より芳香族環を有するものが好ましい。−R15(OH)−および−R17(OH)−の例として、具体的にはヒドロキシフェニル基、ジヒドロキシフェニル基、ヒドロキシナフチル基、ジヒドロキシナフチル基、ヒドロキシビフェニル基、ジヒドロキシビフェニル基、ビス(ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン基、ビス(ヒドロキシフェニル)プロパン基、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン基、ヒドロキシジフェニルエーテル基、ジヒドロキシジフェニルエーテル基などが挙げられる。また、ヒドロキシシクロヘキシル基、ジヒドロキシシクロヘキシル基などの脂肪族の基も使用することができる。R16は炭素数2以上30以下の2価の有機基を表している。得られるポリマーの耐熱性の点より芳香族環を有するものが好ましい。このような例としてはフェニル基、ビフェニル基、ジフェニルエーテル基、ジフェニルヘキサフルオロプロパン基、ジフェニルプロパン基、ジフェニルスルホン基などが挙げられる。これ以外にも脂肪族のシクロヘキシル基なども使用することができる。
一般式(5)において、R18およびR20は炭素数2以上20以下の2価の有機基を表している。得られるポリマーの耐熱性より芳香族環を有するものが好ましい。このような例として、前述のR16の例として示した基が挙げられる。R19は炭素数3以上20以下の3価以上6価以下の有機基を示しており、得られるポリマーの耐熱性より芳香族環を有するものが好ましい。−R19(OH)−の例として、前述の−R15(OH)−および−R17(OH)−の例として示した基が挙げられる。
一般式(6)において、R21は炭素数2以上20以下の2価の有機基を表している。得られるポリマーの耐熱性から芳香族環を有するものが好ましい。このような例として、前述のR16の例として示した基が挙げられる。R22は炭素数3以上20以下の3価以上6価以下の有機基を示しており、得られるポリマーの耐熱性より芳香族環を有するものが好ましい。−R22(OH)−の例として、前述の−R15(OH)−および−R17(OH)−の例として示した基が挙げられる。
一般式(4)で表される構造の中で、好ましい構造を例示すると下記に示す構造が挙げられるが、これらに限定されない。
Figure 2019105821
また、一般式(5)で表される構造の中で、好ましい構造を例示すると下記に示す構造が挙げられるが、これらに限定されない。
Figure 2019105821
また、一般式(6)で表される構造の中で、好ましい構造を例示すると下記に示す構造が挙げられるが、これらに限定されない。
Figure 2019105821
また、一般式(1)のRは、水素または炭素数1以上20以下の1価の有機基を示している。得られる感光性樹脂組成物溶液の溶液安定性の観点からは、Rは炭素数1以上20以下の1価の有機基が好ましいが、アルカリ水溶液に対する溶解性の観点からは、水素が好ましい。本実施形態においては、水素と炭素数1以上20以下の1価の有機基を混在させることができる。このRの水素と炭素数1以上20以下の1価の有機基の量を調整することで、アルカリ水溶液に対する溶解速度が変化するので、この調整により適度な溶解速度を有した感光性樹脂組成物を得ることができる。好ましい範囲は、10モル%以上90モル%以下が水素原子である。また、アルカリ現像液に対する溶解性の観点から、有機基の炭素数は20以下である。以上よりRは、炭素数1以上16以下の炭化水素基を少なくとも1つ以上含有し、その他は水素原子であることが好ましい。
一般式(1)または(2)で表される構造を主成分とするポリマーは、例えば次の方法により重合液を得ることができる。
ポリアミド酸またはポリアミド酸エステルの場合、例えば、低温中でテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物、末端封止に用いるモノアミノ化合物を反応させる方法、テトラカルボン酸二無水物とアルコールとによりジエステルを得、その後ジアミン化合物、モノアミノ化合物と縮合剤の存在下で反応させる方法、テトラカルボン酸二無水物とアルコールとによりジエステルを得、その後残りのジカルボン酸を酸クロリド化し、ジアミン化合物、モノアミノ化合物と反応させる方法などがある。
ポリヒドロキシアミドの場合、ビスアミノフェノール化合物とジカルボン酸ジクロライドを反応させる方法などによって得ることができる。
ポリイミドの場合は、上記ポリアミド酸またはポリアミド酸エステルを得た後、加熱あるいは酸や塩基などの化学処理で脱水閉環することで得ることができる。
重合液を得る溶剤としては、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラメチル尿素、スルホラン、ジメチル−2−ピペリドン、ジメチルスルホキシド、ジグリムがあげられるがこれに限定されない。
一般式(1)または(2)で表される構造を主成分とするポリマーの重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)でポリスチレン換算により測定した値が2000以上100,000以下であることが好ましく、5000以上50,000以下であることがより好ましく、10,000以上30,000以下の範囲内であることがさらに好ましい。一般式(1)または(2)で表される構造を主成分とするポリマーの重量分子量が2,000以上100,000以下の範囲内であることにより、ポリマーのアルカリ現像液への溶解性が得られ、露光部と未露光部のコントラストが得られるため好ましい。
[吸湿剤(B)]
組成物(X)は、吸湿剤(B)を更に含有する。吸湿剤(B)は、吸湿性を有する無機粒子であることが好ましく、例えばゼオライト粒子、シリカゲル粒子、塩化カルシウム粒子、及び酸化チタンナノチューブ粒子からなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有することが好ましい。吸湿剤(B)がゼオライト粒子を含有することが特に好ましい。
平均粒径200nm以下のゼオライト粒子は、例えば一般的な工業的用ゼオライトを粉砕することで製造できる。ゼオライト粒子を製造するに当たって、ゼオライトを粉砕してから水熱合成などによって結晶化させてもよく、この場合、ゼオライト粒子は特に高い吸湿性を有することができる。このようなゼオライト粒子の製造方法は、特開2016−69266号公報、特開2013−049602号公報などにより公知である。
ゼオライト粒子は、ナトリウムイオンを含有するゼオライトを含むことが好ましく、ナトリウムイオンのうちA型ゼオライト、X型ゼオライト及びY型ゼオライトからなる群から選択される少なくとも一種の材料を含むことがより好ましい。ゼオライト粒子がA型ゼオライトのうち4A型ゼオライトを含むことが特に好ましい。これらの場合、ゼオライト粒子は、水分の吸着に好適な結晶構造を有する。
平均粒径200nm以下のゼオライト粒子の製造方法の一具体例を示す。まず、原料であるゼオライト粉を準備し、このゼオライト粉を物理粉砕する。例えばゼオライト粉を水と混合してスラリーを調製し、このスラリーをビーズミル粉砕機にかけることで、ゼオライト粉を物理粉砕できる。
続いて、水熱合成によりゼオライト粉を結晶化させる。例えば物理粉砕後のゼオライト粉を含むスラリーを、オートクレーブで加熱することで、水熱合成を行うことができる。水熱合成の条件は、例えば加熱温度150℃以上200℃以下の範囲内、加熱時間15時間以上24時間以下の範囲内である。
続いて、ゼオライト粉を乾燥する。乾燥温度は例えば150℃以上200℃以下の範囲内であり、乾燥時間は例えば2時間以上3時間以下の範囲内である。続いて、必要に応じ、乾燥後のゼオライト粉を乳鉢などを用いて解砕してから篩いにかけることで粒径を整える。
続いて、必要に応じ、ゼオライト粉にイオン交換処理を施す。特にゼオライト粉がLTAなどのナトリウムを含むゼオライトである場合は、ゼオライト粉中のナトリウムをマグネシウムと交換するイオン交換処理を施すことが好ましい。
イオン交換処理は、例えばゼオライト粉を、マグネシウムイオンを含有する水溶液中に分散させて混合物を調製し、この混合物を加熱することで行われる。より具体的には、イオン交換処理は例えば次のように行われる。まずゼオライト粉を、塩化マグネシウム及び水と混合し、得られた混合物を加熱しながら撹拌する処理をする。この処理の間、撹拌を一時的に停止してから混合物の上澄みを捨て、続いて混合物に水を補充してから撹拌を再開するという操作を、適当な間隔をあけて複数回繰り返すことが好ましい。この処理における加熱温度は40℃以上80℃以下の範囲内、処理時間は6時間以上8時間以下の範囲内であることが好ましい。
イオン交換処理を施した場合、続いて、ゼオライト粉を乾燥する。乾燥温度は例えば150℃以上200℃以下の範囲内であり、乾燥時間は例えば2時間以上3時間以下の範囲内である。続いて、必要に応じ、乾燥後のゼオライト粉を乳鉢などを用いて解砕してから篩いにかけることで粒径を整える。これにより、平均粒径200nm以下のゼオライト粒子を得ることができる。
ゼオライト粉の結晶化を、シリケート及びアルカリ金属酸化物の存在下で行うこともできる。その場合の平均粒径200nm以下のゼオライト粒子の製造方法の具体例を示す。まず、ゼオライト粉を準備する。ゼオライト粉は、aM12O・bSiO2・Al23・cMeの組成を有することが好ましい。M1はアルカリ金属、プロトン、又はアンモニウムイオン(NH4 +)であり、Meはアルカリ土類金属であり、aは0.01以上1以下の範囲内の数であり、bは20以上80以下の範囲内の数であり、cは0以上1以下の範囲内の数である。ゼオライト粉は、ナトリウムイオンを含有するゼオライトを含むことが好ましく、ナトリウムイオンのうちA型ゼオライト、X型ゼオライト及びY型ゼオライトからなる群から選択される少なくとも一種の材料を含むことがより好ましい。ゼオライト粉がA型ゼオライトのうち4A型ゼオライトを含むことが特に好ましい。このゼオライト粉を物理粉砕する。例えばゼオライト粉をビーズミル粉砕機にかけることで、ゼオライト粉を物理粉砕できる。
物理粉砕後のゼオライト粉を、M22O、SiO2及びH2Oを含有する溶液に分散させ、スラリーを調製する。M2はアルカリ金属であり、好ましくはK又はNaである。M22O/H2Oのモル比は例えば0.003以上0.01以下の範囲内であり、SiO2/H2Oのモル比は例えば0.006以上0.025以下の範囲内である。ゼオライト粉の量は、例えば溶液100mlに対して0.5g以上10g以下である。
このスラリーをオートクレーブで加熱することで、ゼオライト粉の結晶化を行うことができる。その条件は、例えば加熱温度100℃以上230℃以下の範囲内、加熱時間1時間以上24時間以下の範囲内である。続いて、ゼオライト粉を洗浄してから乾燥させる。これにより、平均粒径200nm以下のゼオライト粒子を得ることができる。
ゼオライト粒子のpHは7以上10以下であることが好ましい。ゼオライト粒子のpHが7以上であると、ゼオライト粒子の結晶が破壊されにくくなり、そのためゼオライト粒子を含有する組成物(X)から作製された硬化物が特に高い吸湿性を有することができる。また、ゼオライト粒子のpHが10以下であると、組成物(X)を硬化させる場合にゼオライト粒子が硬化を阻害しにくい。
なお、ゼオライト粒子のpHは、イオン交換水99.95gにゼオライト粒子0.05gを入れて得られた分散液を、90℃で24時間加熱してから、分散液の上澄みのpHをpH測定器で測定することで得られる値である。pH測定器としては、例えば堀場製作所製のコンパクトpHメータ<LAQUAtwin>B−711を用いることができる。
ゼオライト粒子のpHが7以上10以下であるためには、ゼオライト粒子が、カウンターカチオンとしてプロトンを有するFAU Y型のゼオライトからなることが好ましい。
ゼオライト粒子を作製する過程において、ゼオライトの水熱合成を行う場合に、pHの調整のための処理を施してもよい。pHの調整のための処理は、例えば水熱合成のために調製されたゼオライト粉を含むスラリーを加熱する前、スラリーの加熱中、又はスラリーの加熱後に行われる。pHの調整は、例えばスラリーに酸を添加することで行われる。酸は、例えば塩酸、硫酸、硝酸といった無機酸と、ギ酸、酢酸、シュウ酸といった有機酸とからなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有する。
吸湿剤(B)の平均粒径は、10nm以上200nm以下であることが好ましい。この平均粒径が200nm以下であれば、硬化物は特に高い透明性を有することができる。また、この平均粒径が10nm以上であれば、吸湿剤(B)の良好な吸湿性を維持できる。なお、この平均粒径は、動的光散乱法による測定結果から算出されるメディアン径、すなわち累積50%径(D50)である。なお、測定装置としては、マイクロトラック・ベル株式会社のナノトラックNanotrac Waveシリーズを用いることができる。
吸湿剤(B)の平均粒径は、150nm以下であることがより好ましく、100nm以下であれば更に好ましく、70nm以下であれば特に好ましい。また、吸湿剤(B)の平均粒径が20nm以上であることが好ましく、50nm以上であればより好ましい。この場合、硬化物は、特に良好な透明性と吸湿性とを有することができる。
吸湿剤(B)の累積90%径(D90)が200nm以下であることも好ましい。この場合、硬化物は特に高い透明性を有することができる。
組成物(X)における吸湿剤(B)の含有量は、アルカリ可溶性樹脂(A)100質量部に対して、0.01質量部以上30質量部以下であることが好ましい。吸湿剤(B)の割合がアルカリ可溶性樹脂(A)100質量部に対して0.01質量部以上であれば硬化物は特に高い吸湿性を有することができる。また、吸湿剤(B)の割合がアルカリ可溶性樹脂(A)100質量部に対して30質量部%以下であれば組成物(X)の粘度を特に低減でき、組成物(X)がインクジェット法で塗布可能な程度の十分な低粘度を有することもできる。吸湿剤(B)の割合は、アルカリ可溶性樹脂(A)100質量部に対して0.03質量部以上であれば更に好ましく、0.05質量部以上であれば特に好ましい。また、吸湿剤(B)の割合は、25質量部以下であればより好ましく、20質量部以下であれば特に好ましい。
組成物(X)は、吸湿剤(B)以外の無機充填材を更に含有してもよい。特に、組成物(X)は、ナノサイズの高屈折率粒子を含有することが好ましい。高屈折率粒子の例はジルコニア粒子を含む。組成物(X)が高屈折率粒子を含有すると、硬化物の良好な透明性を維持しながら、硬化物を高屈折率化することができる。高屈折率粒子の平均粒径は、5nm以上30nm以下の範囲内であることが好ましく、10nm以上20nm以下の範囲内であれば更に好ましい。
組成物(X)中の高屈折率粒子の割合は、硬化物が所望の屈折率を有するように適宜設計される。特に高屈折率粒子は、硬化物の屈折率が1.45以上、1.55未満の範囲内になるように組成物(X)に含有されることが好ましい。組成物(X)は、溶剤を含有しないことが好ましい。この場合、組成物(X)から硬化物を作製する際に組成物(X)を乾燥させて溶剤を揮発させるような必要がなくなる。
上述の成分を混合することで、組成物(X)を調製できる。組成物(X)は25℃で液状であることが好ましい。
[分散剤(C)]
組成物(X)は、分散剤(C)を更に含有する。分散剤(C)は、吸湿剤(B)に吸着しうる界面活性剤である。分散剤(C)は、例えば吸湿剤(B)の粒子に吸着しうる吸着基(アンカーともいう)と、吸着基が吸湿剤(B)の粒子に吸着することでこの粒子に付着する鎖状又は櫛形状の分子骨格であるテールとを、有する。分散剤(C)は、例えばテールがアクリル系の分子鎖であるアクリル系分散剤と、テールがウレタン系の分子鎖であるウレタン系分散剤と、テールがポリエステル系の分子鎖であるポリエステル系分散剤とからなら群から選択される少なくとも一種の成分を含有する。
組成物(X)が分散剤(C)を含有すると、吸湿剤(B)を組成物(X)中及び硬化物中で良好に分散させることができる。このため、硬化物が吸湿剤(B)を含有するにもかかわらず、硬化物の透明性が吸湿剤(B)によって低下されにくい。また、分散剤(C)は、組成物(X)の保管中における吸湿剤(B)の凝集を効果的に抑制できる。そのため組成物(X)の保存安定性が吸湿剤(B)によって低下されにくい。
さらに、硬化物と窒化ケイ素及び酸化ケイ素との間の密着性が分散剤(C)によって低下されにくい。これは、分散剤(C)が前記のように吸湿剤(B)に吸着しやすいため、分散剤(C)が硬化物と窒化ケイ素及び酸化ケイ素との間の界面に影響を与えにくいからであると、考えられる。このため、組成物(X)の硬化物はガラス製の基材との高い密着性を有することができる。
分散剤(C)の沸点は200℃以上であることが好ましい。この場合、組成物(X)から分散剤(C)が揮発しにくいことから、組成物(X)の保存安定性が更に向上する。
分散剤(C)は、吸着基として、塩基性の極性官能基と酸性の極性官能基とのうちいずれか一方又は両方を有することが好ましい。この場合、吸湿剤(B)を組成物(X)中及び硬化物中で特に良好に分散させることができる。これは、分散剤(C)が塩基性の極性官能基と酸性の極性官能基とのうちいずれか一方又は両方を有することで、吸湿剤(B)に吸着しやすく、そのため吸湿剤(B)を分散させる作用が著しく発現するためと考えられる。
分散剤(C)は、ポリマーを含んでもよい。ポリマーの重量平均分子量は例えば1000以上である。ポリマーは、例えば、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルとの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルとの塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物の塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエステルポリアミン、及びステアリルアミンアセテートからなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有する。分散剤がポリマーを含有すると、ポリマーが吸湿剤(B)の粒子に吸着した際に生じる立体障害効果が向上することで、吸湿剤(B)の分散性が向上しうる。
分散剤(C)は、例えば塩基性の極性官能基を有する分散剤(F1)と酸性の極性官能基を有する分散剤(F2)とのうち、いずれか一方又は両方を含有できる。
塩基性の極性官能基を有する分散剤(F1)における塩基性の極性官能基は、例えばアミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、及び含窒素複素環基からなる群から選択される少なくとも一種の基を含む。分散剤(F1)が塩基性の極性官能基を有すると、分散剤(F1)は吸湿剤(B)に吸着しやすいため、吸湿剤(B)の分散性が向上しうる。塩基性の極性官能基は、分散剤(F1)の吸湿剤(B)への吸着能を特に高めることができること、吸湿剤(B)の分散性を特に向上できること、及び組成物(X)の粘度を特に低下できることから、アミノ基を含むことが好ましい。
塩基性の極性官能基を有する分散剤(F1)は、例えば商品名:ソルスパース24000(アミン価:41.6mgKOH/g)、商品名:ソルスパース32000(アミン価:31.2mgKOH/g)、商品名:ソルスパース39000(アミン価:25.7mgKOH/g)、商品名:ソルスパースJ100、商品名:ソルスパースJ200等の日本ルーブルリゾール株式会社製のソルスパースシリーズ;商品名:DisperBYK−108、DisperBYK−2013、DisperBYK−180、DISPERBYK−106、DisperBYK−162(アミン価:13mgKOH/g)、商品名:DisperBYK−163(アミン価:10mgKOH/g)、商品名:DISPERBYK−168(アミン価:11mgKOH/g)、商品名:DISPERBYK−2050(アミン価:30.7mgKOH/g)、商品名:DISPERBYK−2150(アミン価:56.7mgKOH/g)等のビックケミー・ジャパン株式会社製のDisperBYKシリーズ;商品名:BYKJET−9151(アミン価:17.2mgKOH/g)、商品名:BYKJET−9152(アミン価:27.3mgKOH/g)等のビックケミー・ジャパン株式会社製のBYKJETシリーズ、;及び商品名:アジスパーPB821(アミン価:11.2mgKOH/g)、商品名:アジスパーPB822(アミン価:18.2mgKOH/g)、商品名:アジスパーPB881(アミン価:17.4mgKOH/g)等の味の素ファインテクノ株式会社製のアジスパーシリーズを含む。
分散剤(F1)のアミン価は、10mgKOH/g以上であることが好ましく、10mgKOH/g以上30mgKOH/g以下がより好ましく、15mgKOH/g以上30mgKOH/g以下が更に好ましい。また、分散剤(F1)は、リン酸基を有さないことが好ましい。分散剤(F1)がリン酸基を有する場合は、リン酸基に由来する酸価がアミン価の値以下であることが好ましい。この場合、分散剤(F1)が、吸湿剤(B)を特に良好に分散させることができ、組成物(X)の保存安定性を特に高めることができ、硬化物の透明性を特に高めることができ、更に硬化物と窒化ケイ素及び酸化ケイ素との間の密着性を特に高めることができる。分散剤(F1)に含まれうる成分のうち、アミノ基を有しリン酸基を有さない分散剤の例は、ビックケミー社製のDISPERBYK−108を含み、アミノ基及びリン酸基を有しかつリン酸基に由来する酸価がアミン価の値以下である分散剤の例は、ビックケミー社製のDISPERBYK−2013及びビックケミー社製のDISPERBYK−180を含む。
酸性の極性官能基を有する分散剤(F2)における酸性の極性官能基は、例えばカルボキシル基である。分散剤(F2)は、例えばビックケミー社製のDISPERBYK−P105を含有する。
吸湿剤(B)100質量部に対する分散剤(C)の量は、5質量部以上60質量部以下であることが好ましい。分散剤(C)の量が5質量部以上であれば、分散剤(C)の利点を特に発揮させることができる。分散剤(C)の量が60質量部以下であれば、硬化物と、窒化ケイ素及び酸化ケイ素との間の密着性を、より高めることができる。分散剤(C)の量は15質量部以上であればより好ましい。分散剤(C)の量は50質量部以下であればより好ましく、40質量部以下であればより更に好ましく、30質量部以下であれば特に好ましい。
[ポジ型感光剤(D)]
組成物(X)は、ポジ型感光剤(D)を含有する。ポジ型感光剤(D)としては各種のものが使用可能であるが、キノンジアジド化合物を含有することが好ましい。キノンジアジド化合物は、2種以上含有してもよい。
キノンジアジド化合物の例としては、ポリヒドロキシ化合物にキノンジアジドのスルホン酸がエステルで結合したもの、ポリアミノ化合物にキノンジアジドのスルホン酸がスルホンアミド結合したもの、ポリヒドロキシポリアミノ化合物にキノンジアジドのスルホン酸がエステル結合および/またはスルホンアミド結合したものなどが挙げられる。キノンジアジド化合物は、例えば、5−ナフトキノンジアジドスルホニルクロライドとポリヒドロキシ化合物をトリエチルアミン存在下で反応させることにより得ることができる。
また上記ポリヒドロキシ化合物、ポリアミノ化合物、ポリヒドロキシポリアミノ化合物は反応させず添加することもできる。
これらポリヒドロキシ化合物やポリアミノ化合物の全ての官能基がキノンジアジドで置換されていなくてもよいが、露光部と未露光部のコントラストの観点からは、官能基全体の50モル%以上がキノンジアジドで置換されていることが好ましい。このようなキノンジアジド化合物を用いることで、一般的な紫外線である水銀灯のi線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)に感光するポジ型の感光性樹脂組成物を得ることができる。
ポリヒドロキシ化合物は、Bis−Z、BisP−EZ、TrisP−HAP、TrisP−PA、TrisP−SA、TrisOCR−PA、BisOCHP−Z、BisP−MZ、BisP−PZ、BisP−IPZ、BisOCP−IPZ、BisP−CP、BisRS−2P、BisRS−3P、BisP−OCHP、メチレントリス−FR−CR、BisRS−26X、DML−MBPC、DML−MBOC、DML−OCHP、DML−PCHP、DML−PC、DML−PTBP、DML−34X、DML−EP,DML−POP、ジメチロール−BisOC−P、DML−PFP、DML−PSBP、DML−MTrisPC、TriML−P、TriML−35XL、TML−BP、TML−HQ、TML−pp−BPF、TML−BPA、TMOM−BP、HML−TPPHBA、HML−TPHAP(以上、商品名、本州化学工業(株)製)、BIR−OC、BIP−PC、BIR−PC、BIR−PTBP、BIR−PCHP、BIP−BIOC−F、4PC、BIR−BIPC−F、TEP−BIP−A、46DMOC、46DMOEP、TM−BIP−A(以上、商品名、旭有機材工業(株)製)、2,6−ジメトキシメチル−4−t−ブチルフェノール、2,6−ジメトキシメチル−p−クレゾール、2,6−ジアセトキシメチル−p−クレゾール、ナフトール、テトラヒドロキシベンゾフェノン、没食子酸メチルエステル、ビスフェノールA、ビスフェノールE、メチレンビスフェノール、BisP−AP(商品名、本州化学工業(株)製)などが挙げられるが、これらに限定されない。
ポリアミノ化合物は、1,4−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド等が挙げられるが、これらに限定されない。
また、ポリヒドロキシポリアミノ化合物は、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3,3’−ジヒドロキシベンジジン等が挙げられるが、これらに限定されない。
本実施形態のキノンジアジド化合物は5−ナフトキノンジアジドスルホニル基、4−ナフトキノンジアジドスルホニル基のいずれも好ましく用いられる。4−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物は水銀灯のi線領域に吸収を持っており、i線露光に適している。5−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物は水銀灯のg線領域まで吸収が伸びており、g線露光に適している。本実施形態においては、露光する波長によって4−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物、5−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物を選択することが好ましい。また、同一分子中に4−ナフトキノンジアジドスルホニル基、5−ナフトキノンジアジドスルホニル基を併用した、ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物を得ることもできるし、4−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物と5−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物を混合して使用することもできる。
また、キノンジアジド化合物の数平均分子量は2,500以下が好ましく、1,500以下がより好ましく、1,200以下がさらに好ましい。数平均分子量が2,500以下であれば、パターン形成後の熱処理においてキノンジアジド化合物(D)が十分に熱分解し、耐熱性、機械特性、接着性に優れた硬化膜を得ることができる。一方、プリベーク時に揮発することを抑えるべく、分子量は300以上が好ましく、350以上がより好ましい。
キノンジアジド化合物の含有量は、溶剤を除く組成物(X)の全量に対して、4質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは6質量%以上であり、また12質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは9質量%以下である。キノンジアジド化合物の含有量が4質量%以上であると、優れた感度でパターンを形成することができ、キノンジアジド化合物の含有量が12質量%以下であると、キノンジアジド化合物(D)の硫黄原子に由来する画素シュリンクを抑制することができ、有機EL発光装置の長期信頼性を向上させることができる。
[架橋剤(E)]
組成物(X)は、必要に応じて、架橋剤(E)をさらに含有していてもよい。架橋剤(E)は、アルカリ可溶樹脂(A)及び溶解促進剤などを架橋し、樹脂中に取り込まれる化合物であり、含有することによって硬化膜の架橋度が高くなる。これによって、硬化膜の耐薬品性と耐湿熱性が向上し、かつ熱硬化時のパターンリフローによるパターン解像度の低下が抑制される。
架橋剤(E)としては、一般式(7)で表されるものが使用可能である。
Figure 2019105821
23の構造は以下のようなものが例示される。
Figure 2019105821
(式中、R23は直接結合または1価以上4価以下の連結基を示す。R24は炭素数1以上20以下の1価の有機基、Cl、Br、I、またはFを示す。R25およびR26は、CHOR28(R28は水素原子または炭素数1以上6以下の1価の炭化水素基)を示す。R27は水素原子、メチル基、またはエチル基を示す。hは0以上2以下の整数、iは1以上4以下の整数を示す。iが2以上4以下の場合、複数のR24〜R27はそれぞれ同じでも異なってもよいが、同一のベンゼン環がR23を2つ有する場合は、R23は同じである。R23を表す1価以上4価以下の連結基の例において、R29〜R51は水素原子、炭素数1以上20以下の1価の有機基、Cl、Br、I、またはFを示す。)
組成物(X)において、一般式(7)で表される架橋剤は、未置換のものや多量化したものなどが混入すると、組成物(X)の架橋反応が十分進まない場合がある。このため、一般式(7)で表される化合物の純度は、80%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。純度が80%以上であれば、組成物(X)の架橋反応を十分に行い、吸水性基となる未反応基を少なくすることができるため、組成物(X)の吸水性を小さくすることができる。高純度の架橋剤(E)を得るためには、再結晶、蒸留などを行い、目的物だけを集める方法などがある。架橋剤(E)の純度は液体クロマトグラフィー法により求めることができる。
さらに、架橋剤(E)としては、一般式(8)で表されるメチロール系構造、エポキシ構造、オキセタン構造の群から選択される構造を2個以上有する化合物が挙げられる。上記構造の組み合わせは特に限定されないが、選択される構造は同じものであることが好ましい。
Figure 2019105821
一般式(8)で表されるメチロール系構造を2個以上有するメチロール系化合物において、R60は水素、炭素数1以上10以下のアルキル基のいずれかを表す。なお、化合物中の複数のR60はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−デシル基が挙げられる。
メチロール系構造を2個以上有するメチロール系化合物の具体例としては、メチロール系構造を2つ有するものとして、DM−BI25X−F、46DMOC、46DMOIPP、46DMOEP(以上、商品名、旭有機材工業(株)製)、DML−MBPC、DML−MBOC、DML−OCHP、DML−PC、DML−PCHP、DML−PTBP、DML−34X、DML−EP、DML−POP、DML−OC、ジメチロール−Bis−C、ジメチロール−BisOC−P、DML−BisOC−Z、DML−BisOCHP−Z、DML−PFP、DML−PSBP、DML−MB25、DML−MTrisPC、DML−Bis25X−34XL、DML−Bis25X−PCHP(以上、商品名、本州化学工業(株)製)、ニカラックMX−290(商品名、(株)三和ケミカル製)、2,6−ジメトキシメチル−4−t−ブチルフェノール、2,6−ジメトキシメチル−p−クレゾール、2,6−ジアセトキシメチル−p−クレゾールなどが挙げられる。メチロール系構造を3つ有するものとしては、TriML−P、TriML−35XL、TriML−TrisCR−HAP(以上、商品名、本州化学工業(株)製)などが挙げられる。メチロール系構造を4つ有するものとしては、TM−BIP−A(商品名、旭有機材工業(株)製)、TML−BP、TML−HQ、TML−pp−BPF、TML−BPA、TMOM−BP(以上、商品名、本州化学工業(株)製)、ニカラックMX−280、ニカラックMX−270(以上、商品名、(株)三和ケミカル製)などが挙げられる。メチロール系構造を6つ有するものとしては、HML−TPPHBA、HML−TPHAP、HMOM−TPPHBA、HMOM−TPHAP(以上、商品名、本州化学工業(株)製)、ニカラックMW−390、ニカラックMW−100LM、ニカラック30−HM(以上、商品名、(株)三和ケミカル製)などが挙げられる。
これらのうち、本発明では熱架橋性基を少なくとも2つ含有するものが好ましく、特に好ましくは、熱架橋性基を2つ有するものとして46DMOC、46DMOEP、DML−MBPC、DML−MBOC、DML−OCHP、DML−PC、DML−PCHP、DML−PTBP、DML−34X、DML−EP、DML−POP、ジメチロール−BisOC−P、DML−PFP、DML−PSBP、DML−MTrisPC、ニカラックMX−290、B−a型ベンゾオキサジン、B−m型ベンゾオキサジン、2,6−ジメトキシメチル−4−t−ブチルフェノール、2,6−ジメトキシメチル−p−クレゾール、2,6−ジアセトキシメチル−p−クレゾールなど、熱架橋性基を3つ有するものとしてTriML−P、TriML−35XLなど、熱架橋性基を4つ有するものとしてTM−BIP−A、TML−BP、TML−HQ、TML−pp−BPF、TML−BPA、TMOM−BP、“ニカラック”MX−280、“ニカラック”MX−270など、熱架橋性基を6つ有するものとしてHML−TPPHBA、HML−TPHAP、HMOM−TPPHBA、HMOM−TPHAPなどが挙げられる。また、さらに好ましい例として、“ニカラック”MX−280、“ニカラック”MX−270、“ニカラック”MW−100LM、“ニカラック”MW−390、“ニカラック”30HM(商品名、(株)三和ケミカル製)などが挙げられる。
架橋剤(E)の含有量は、アルカリ可溶性樹脂(A)100質量部に対して5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましい。5質量部以上であると、硬化膜の架橋密度が高くなり、耐薬品性が向上するため好ましい。さらに10質量部以上であるとより高い機械特性が得られる。一方、組成物(X)の保存安定性、機械強度の観点から、50質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましく、30質量部以下がさらに好ましい。
[その他の成分]
組成物(X)は、SiN等の下地基板との接着性を高めるために、さらにシラン化合物を含有していてもよい。
また組成物(X)は、粘度調整のために、さらに溶剤を含有していてもよい。この溶剤としては、γ−ブチロラクトンなどの極性の非プロトン性溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、ジアセトンアルコールなどのケトン類、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチルなどのエステル類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類などが挙げられ、これらの溶剤を2種以上含有してもよい。
組成物(X)の粘度は、塗膜均一性が向上するため、1mPa・s以上になるように調整することが好ましく、5mPa・s以上になるように調整することがより好ましい。一方、ポジ型感光性樹脂組成物の保存安定性、塗布時の送液の容易性の観点から、ポジ型感光性組成物の粘度を1000mPa・s以下になるように調整することが好ましく、100mPa・s以下になるように調整することがより好ましい。
[組成物(X)の製造方法]
組成物(X)の製造方法の一例を示す。
(A)〜(D)成分、溶剤および必要によりその他成分をガラス製のフラスコやステンレス製の容器に入れてメカニカルスターラーなどによって撹拌溶解させる方法、超音波で溶解させる方法、遊星式撹拌脱泡装置で撹拌溶解させる方法などが挙げられる。
この際、ポジ型感光性樹脂組成物の粘度は、塗布性より1mPa・s以上10000mPa・s以下が好ましい。また、異物を除去するために0.001μm以上5μm以下のポアサイズのフィルターで濾過してもよい。ポアサイズが大きすぎると異物が除去しきれず、デバイスを作製後に欠点や不良になる。ポアサイズが小さすぎるとろ過に時間がかかる。
[組成物(X)を用いたパターン形成]
組成物(X)を用いたパターン形成方法の一例を示す。
組成物(X)は基板上に塗布される。基板はシリコンウエハー、セラミックス類、ガリウムヒ素、金属、ガラス、金属酸化絶縁膜、窒化ケイ素、透明電極として有機EL素子等に使用されるITOが挙げられるが、これらに限定はされない。塗布方法は、インクジェットによる塗布、スピンナを用いた回転塗布、スプレー塗布、ロールコーティング、スリットダイコーティングなどの方法が挙げられる。また、塗布膜厚は、塗布手法、組成物の固形分濃度、粘度などによって異なるが、通常、デバイスの設計により乾燥後の膜厚が0.1μm以上150μm以下になるように塗布される。
次に、組成物(X)を塗布した基板を乾燥して感光性樹脂膜を得る。乾燥はオーブン、ホットプレート、赤外線などを使用し、50℃以上150℃以下の範囲で1分以上数時間以下の範囲内で行うことが好ましい。低温、短時間すぎると溶媒が揮発せず感光性膜を得られず、高温、長時間すぎると感光剤等が分解する可能性がある。
次に、この感光性樹脂膜上に所望のパターンを有するマスクを通して化学線を照射し、露光する。露光に用いられる化学線としては紫外線、可視光線、電子線、X線などがあるが、本発明では水銀灯のi線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)を用いることが好ましい。これはこの化学線でナフトキノン化合物が容易に反応するためである。
ここで、組成物(X)の光の波長365nmにおける光透過率が50%以上であることが好ましい。この光透過率は、組成物(X)からなる膜厚1.5μmのプリベーク膜において測定される。光透過率は、例えば、日立ハイテクノロジーの分光光度計(U-4100)を用いて測定することができる。この場合、露光に用いられる化学線が組成物(X)の膜の深部にまで到達しやすくなり、露光が充分に行われる。
感光性樹脂膜から耐熱性樹脂のパタ−ンを形成するには、露光後、現像液を用いて露光部を除去すればよい。現像液は、テトラメチルアンモニウムの水溶液、ジエタノールアミン、ジエチルアミノエタノール、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ジエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、酢酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエチルメタクリレート、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのアルカリ性を示す化合物の水溶液が好ましい。また場合によっては、これらのアルカリ水溶液にN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、ジメチルアクリルアミドなどの極性溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソブチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類などを単独あるいは数種を組み合わせたものを添加してもよい。現像後は水にてリンス処理をする。ここでもエタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類などを水に加えてリンス処理をしてもよい。
現像後、200℃以上500℃以下の温度を加えて耐熱性樹脂被膜に変換する。この加熱処理は温度を選び、段階的に昇温するか、ある温度範囲を選び連続的に昇温しながら5分〜5時間実施する。一例としては、130℃、200℃、350℃で各30分ずつ熱処理する。あるいは室温より320℃まで2時間かけて直線的に昇温するなどの方法が挙げられる。
組成物(X)により形成した耐熱性樹脂被膜は、電子部品に好適に用いることができ、LSI(Large Scale Integration)などの半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜、有機EL素子の絶縁膜、TFT基板の平坦化膜などに使用することができる。
[有機EL発光装置]
本実施形態の有機EL発光装置は、組成物(X)の硬化物を絶縁膜及び隔壁(バンク部分)などとして備えている。
図1は、本実施形態の有機EL発光装置の第一例を示している。この有機EL発光装置600は、トップエミッション型の発光装置であって、1つ分のサブピクセルが図示されている。有機EL発光装置600は、有機EL素子120を備えている。有機EL素子120は、第1電極121、有機発光層122および第2電極123を含む。第1電極121はITO(酸化インジウムスズ(スズドープ酸化インジウム))などで形成される透明電極であって、ガラス基板などの基板101上に設けられている。有機発光層122は、正孔注入層621、正孔輸送層622、有機発光層623および電子輸送層624を含む。有機EL発光装置600は、さらに、有機EL素子120上に封止層240を備え、封止層240上にガスバリア膜(パッシベーション層)132を備える。封止層240は、ガスバリア膜(パッシベーション層)241と樹脂層(封止材)242を備える。
有機ELデバイス600には、複数の有機EL素子120が設けられており、隣り合う有機EL素子120を区画するように、隔壁617が設けられている。この隔壁617は、組成物(X)を使用して上記のようなパターン形成方法によって形成される。隔壁617の形状や大きさは任意であるが、例えば、第一電極の幅寸法L1が80μm、有機EL素子120の幅寸法L2が70μmの場合、隔壁617は断面略台形に形成され、その底辺L3が100μm、高さHが1μmに形成される。
そして、隔壁617は吸湿剤(B)を含有する組成物(X)の硬化物であるため、ガスバリア膜132,241及び樹脂層242に亀裂等の欠陥が生じて、そこから水分が浸入しても、隔壁617中の吸湿剤(B)で吸収することができる。従って、水分が有機EL素子120に到達しにくくなって、有機EL素子120中の有機化合物の劣化が生じにくくなって有機EL発光装置600の発光効率が低下しにくく、長期信頼性が得やすくなる。
図2は、本実施形態の有機EL発光装置の第二例を示している。この有機EL発光装置601の構造の第二例を、図2を参照して説明する。なお、図1に示す第一例と共通する要素については、図1と同じ符号を付して、詳細な説明を適宜省略する。
図2に示す有機EL発光装置601も、トップエミッションタイプである。有機EL発光装置601は、基板101、基板101と間隔をあけて対向する透明基板103、基板101の透明基板103と対向する面の上にある有機EL素子120、及び有機EL素子120を覆う第一の樹脂層242を備える。
有機EL素子120は、第一例の場合と同様、例えば一対の電極(第1電極及び第二電極)121、123と、電極121、123間にある有機発光層122とを備える。有機発光層122は、例えば正孔注入層621、正孔輸送層622、有機発光層623及び電子輸送層624を備え、これらの層は前記の順番に積層している。
有機EL発光装置601は複数の有機EL素子120を備え、かつ複数の有機EL素子120が、基板101上でアレイ9(以下素子アレイ9という)を構成している。素子アレイ9は、隔壁617も備える。隔壁617は、基板101上にあり、隣合う二つの有機EL素子120の間を仕切っている。隔壁617は、例えば感光性の樹脂材料をフォトグラフィ法で成形することで作製される。素子アレイ9は、隣合う有機EL素子120の電極123及び電子輸送層624同士を電気的に接続する接続配線8も備える。接続配線8は、隔壁617上に設けられている。
有機EL発光装置601は、有機EL素子120を覆うガスバリア膜132、241も備える。ガスバリア膜132、241は窒化ケイ素又は酸化ケイ素から作製されることが好ましい。第一のガスバリア膜241は素子アレイ9に直接接触した状態で、素子アレイ9を覆うことで、有機EL素子120を覆っている。第二のガスバリア膜132は、第一のガスバリア膜241に対して、素子アレイ9とは反対側の位置に配置され、かつ第二のガスバリア膜132と第一のガスバリア膜241との間には間隔があけられている。第一のガスバリア膜241と第二のガスバリア膜132との間に、第一の樹脂層242が充填されている。すなわち、有機EL素子120と、有機EL素子120を覆う第一の樹脂層242との間に、第一のガスバリア膜241が介在している。
さらに、第二のガスバリア膜132と透明基板103との間に、第二の樹脂層(封止材)152が充填されている。第二の樹脂層152は、例えば透明な樹脂材料から作製される。第二の樹脂層152の材質は特に制限されない。第二の樹脂層152の材質は、第一の樹脂層242と同じであっても、異なっていてもよい。
[有機EL発光装置の作製方法]
図1に示す第一例の有機EL発光装置600の作製方法について説明する。
まず、基板101を準備する。この基板101の一面上に隔壁を、組成物(X)を用いてフォトグラフィ法等で作製する。この基板101の一面上に、有機EL素子120を設ける。有機EL素子120は、蒸着法、塗布法といった適宜の方法で作製できる。特に有機EL素子120をインクジェット法などの塗布法で作製することが好ましい。次に、ガスバリア膜241を設ける。ガスバリア膜241は、例えば蒸着法で作製できる。次に、基板101の一面及び有機EL素子120を覆うように樹脂層242を形成する。樹脂層242を形成する方法は、例えばキャスティング法又はインクジェット法である。次に、樹脂層242の表面にガスバリア膜132を設ける。ガスバリア膜132は、例えばプラズマCVD法といった蒸着法で作製できる。
図2に示す第二例の有機EL発光装置1の作製方法について説明する。
まず、基板101を準備する。この基板101の一面上に隔壁617を組成物(X)を用いてフォトグラフィ法等で作製する。続いて、基板101の一面上に複数の有機EL素子120を設ける。有機EL素子120は、蒸着法、塗布法といった適宜の方法で作製できる。特に有機EL素子120を、インクジェット法といった塗布法で作製することが好ましい。これにより、基板101に素子アレイ9を作製する。次に、素子アレイ9の上に第一のガスバリア膜241を設ける。第一のガスバリア膜241は、例えばプラズマCVD法といった蒸着法で作製できる。
次に、第一のガスバリア膜241の上に紫外線硬化製樹脂等の樹脂を、例えばインクジェット法で成形して、塗膜を作製する。有機EL素子120の形成と塗膜の塗布のいずれにもインクジェット法を適用すれば、有機EL発光装置601の製造効率を特に向上できる。続いて、塗膜に紫外線を照射することで硬化させて、樹脂層242を作製する。樹脂層242の厚みは例えば5μm以上50μm以下である。次に、樹脂層242の上に第二のガスバリア膜132を設ける。第二のガスバリア膜132は、例えばプラズマCVD法といった蒸着法で作製できる。
次に、基板101の一面上に、第二のガスバリア膜132を覆うように、紫外線硬化性の樹脂材料を設けてから、この樹脂材料に透明基板103を重ねる。透明基板103は、例えばガラス製基板又は透明樹脂製基板である。次に外部から透明基板103へ向けて紫外線を照射する。紫外線は透明基板103を透過して紫外線硬化性の樹脂材料へ到達する。これにより、紫外線硬化性の樹脂材料が硬化し、第二の樹脂層152が作製される。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
[合成例1 ヒドロキシル基含有酸無水物(a)の合成]
乾燥窒素気流下、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(BAHF)183g(0.5モル)とアリルグリシジルエーテル342g(3モル)をガンマブチロラクトン(GBL)1000gに溶解させ、−15℃に冷却した。ここにGBL500gに溶解させた無水トリメリット酸クロリド221g(1.1モル)を反応液の温度が0℃を越えないように滴下した。滴下終了後、0℃で4時間反応させた。この溶液をロータリーエバポレーターで濃縮して、トルエン10Lに投入して、下記式で表されるヒドロキシル基含有酸無水物(a)を得た。
Figure 2019105821
[合成例2 ヒドロキシル基含有ジアミン化合物(b)の合成]
BAHF183g(0.5モル)をアセトン1L、プロピレンオキシド174g(3モル)に溶解させ、−15℃に冷却した。ここに3−ニトロベンゾイルクロリド204g(1.1モル)をアセトン1Lに溶解させた溶液を滴下した。滴下終了後、−15℃で4時間反応させ、その後室温に戻した。析出した白色固体をろ別し、50℃で真空乾燥した。
得られた固体300gを3Lのステンレスオートクレーブに入れ、メチルセルソルブ2.5Lに分散させ、5%パラジウム−炭素を20g加えた。ここに水素を風船で導入して、還元反応を室温で行った。約2時間後、風船がこれ以上しぼまないことを確認して反応を終了させた。反応終了後、ろ過して触媒であるパラジウム化合物を除き、ロータリーエバポレーターで濃縮し、下記式で表されるヒドロキシル基含有ジアミン化合物(b)を得た。
Figure 2019105821
[合成例3 ヒドロキシル基含有ジアミン(c)の合成]
2−アミノ−4−ニトロフェノール154g(1モル)をアセトン500mL、プロピレンオキシド300g(3.4モル)に溶解させ、−15℃に冷却した。ここにイソフタル酸クロリド112g(0.55モル)をアセトン600mLに溶解させた溶液を徐々に滴下した。滴下終了後、−15℃で4時間反応させた。その後、室温に戻して生成している沈殿をろ過で集めた。
この沈殿をGBL2Lに溶解させて、5%パラジウム−炭素30gを加えて、激しく攪拌した。ここに水素ガスを入れた風船を取り付け、室温で水素ガスの風船がこれ以上縮まない状態になるまで攪拌を続け、さらに2時間水素ガスの風船を取り付けた状態で攪拌した。攪拌終了後、ろ過でパラジウム化合物を除き、溶液をロータリーエバポレーターで半量になるまで濃縮した。ここにエタノールを加えて、再結晶を行い、下記式で表されるヒドロキシル基含有ジアミン(c)の結晶を得た。
Figure 2019105821
[合成例4 キノンジアジド化合物(d)の合成]
乾燥窒素気流下、TrisP−HAP(商品名、本州化学工業(株)製)、15.31g(0.05モル)と5−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド40.28g(0.15モル)を1,4−ジオキサン450gに溶解させ、室温にした。ここに、1,4−ジオキサン50gと混合させたトリエチルアミン15.18gを系内が35℃以上にならないように滴下した。滴下後30℃で2時間攪拌した。トリエチルアミン塩を濾過し、ろ液を水に投入させた。その後、析出した沈殿をろ過で集めた。この沈殿を真空乾燥機で乾燥させ、下記式で表されるキノンジアジド化合物(d)を得た。
Figure 2019105821
[合成例6 ポリイミド前駆体A−1の合成]
乾燥窒素気流下、4,4’−ジアミノフェニルエーテル(DAE)50.1g(0.25モル)、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(SiDA)12.4g(0.05モル)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)500gに溶解させた。ここに合成例1で得られたヒドロキシ基含有酸無水物(a)214g(0.30モル)をNMP140gとともに加えて、20℃で1時間反応させ、次いで50℃で4時間反応させた。その後、N、N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール71.4g(0.6モル)をNMP50gで希釈した溶液を10分かけて滴下した。滴下後、50℃で3時間攪拌し重合液を得た。この重合液を水5Lに加えスラリー化した。このスラリーを減圧濾過し脱水したのち、5Lの水を加えメカニカルスターラーで攪拌後減圧濾過し脱水を2回繰り返した。この後、80℃の真空乾燥機で20時間乾燥し、ポリイミド前駆体A−1を得た。
[合成例7 ポリイミド前駆体A−2の合成]
乾燥窒素気流下、合成例2で得られたヒドロキシル基含有ジアミン(b)136g(0.225モル)をNMP500gに溶解させた。ここに合成例1で得られた3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸無水物(ODPA)77.6g(0.25モル)をピリジン300gとともに加えて、40℃で2時間反応させた。その後、末端封止剤として、3−エチニルアニリン5.8g(0.05モル)を加え、さらに40℃で1時間反応させた。その後、N、N−ジメチルホルムアミドジエチルアセタール73.5g(0.5モル)をNMP50gで希釈した溶液を10分かけて滴下した。滴下後、40℃で2時間攪拌し重合液を得た。この重合液を水5Lに加えスラリー化した。このスラリーを減圧濾過し脱水したのち、5Lの水を加えメカニカルスターラーで攪拌後減圧濾過し脱水を2回繰り返した。この後、80℃の真空乾燥機で72時間乾燥し、ポリイミド前駆体A−2を得た。
[合成例8 ポリイミド前駆体A−3の合成]
乾燥窒素気流下、合成例3で得られたヒドロキシル基含有ジアミン化合物(c)151g(0.40モル)、SiDA12.4g(0.05モル)をNMP500gに溶解させた。ここにODPA155g(0.5モル)をNMP210gとともに加えて、20℃で1時間反応させ、次いで50℃で1時間反応させた。その後、末端封止剤として、4−アリルアニリン9.5g(0.08モル)を加え、さらに50℃で1時間反応させた。その後、N,N−ジメチルホルムアミドジエチルアセタール132g(0.9モル)をNMP150gで希釈した溶液を10分かけて滴下した。滴下後、40℃で3時間攪拌し重合液を得た。この重合液を水5Lに加えスラリー化した。このスラリーを減圧濾過し脱水したのち、5Lの水を加えメカニカルスターラーで攪拌後減圧濾過し脱水を2回繰り返した。この後、80℃の真空乾燥機で20時間乾燥し、ポリイミド前駆体A−3を得た。
[合成例9 ポリベンゾオキサゾール前駆体A−4の合成]
乾燥窒素気流下、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸ジクロライド(DEDC)1モルと1−ヒドロキシベンゾトリアゾール2モルとを反応させて得られたジカルボン酸誘導体197g(0.40モル)とBAHF183g(0.50モル)をNMP500gに溶解させ、75℃で12時間攪拌した。次に、末端封止剤として、NMP300gに溶解させた3−アリルベンゼンジカルボン酸無水物37.6g(0.20モル)を加え、さらに75℃で12時間攪拌し、重合液を得た。この重合液を水5Lに加えスラリー化した。このスラリーを減圧濾過し脱水したのち、5Lの水を加えメカニカルスターラーで攪拌後減圧濾過し脱水を2回繰り返した。この後、80℃の真空乾燥機で36時間乾燥し、ポリベンゾオキサゾール前駆体A−4を得た。
[合成例10 ポリイミドA−5の合成]
乾燥窒素気流下、BAHF49.6g(0.135モル)とSiDA3.7g(0.015モル)をNMP200gに溶解させ、ODPA46.7g(0.15モル)を加えて撹拌し、室温で5時間反応させた。その後、200℃まで加熱し2時間イミド化させ、重合液を得た。
上記重合液を水2Lに加えスラリー化した。このスラリーを減圧濾過し脱水したのち、5Lの水を加えメカニカルスターラーで攪拌後減圧濾過し脱水を2回繰り返した後、80℃の真空乾燥機で72時間乾燥し、ポリイミドA−5を得た。
[ゼオライト粒子1]
ゼオライト粒子1は、下記の方法で製造され、そのD50は20nm、そのD90は50nm、そのpHは10である。
出発物質のゼオライト粉として平均粒径5μmの4A型ゼオライト・ナトリウムイオンを用意し、このゼオライト粉100gとイオン交換水100gとを混合してスラリーを調製した。
このスラリーに粒径100μmのジルコニアビーズ400gを入れてから、ビーズミル粉砕機でスラリー中のゼオライト粉を3時間粉砕することで、Na系ゼオライトの平均粒径を120nmにした。このときのスラリー流量は10kg/h、スラリー粘度は10mPa・sである。
続いて、スラリーから粒径100μmのジルコニアビーズを取り除き、その代わりに粒径50μmのジルコニアビーズ400gを入れてから、ビーズミル粉砕機でスラリー中のNa系ゼオライトを1時間粉砕することで、ゼオライト粉の平均粒径を70nmにした。このときのスラリー流量は10kg/h、スラリー粘度は6mPa・sである。
続いて、スラリーから粒径50μmのジルコニアビーズを取り除き、その代わりに粒径30μmのジルコニアビーズ450gを入れてから、ビーズミル粉砕機でスラリー中のゼオライト粉を1時間粉砕することで、ゼオライト粉の平均粒径を20nmにした。このときのスラリー流量は10kg/h、スラリー粘度は4mPa・sである。
続いて、スラリーを、180℃の温度下で2〜3時間放置することで、微粉砕されたゼオライト粉を得た。このゼオライト粉を乳鉢で解砕してから、メッシュを通過させることで粒径を整えることで、ゼオライト粒子1を得た。
なお、ゼオライト粒子のpHは次の方法で測定した。ポリエチレン製の瓶にゼオライト粒子0.05gとイオン交換水99.95gとを入れてから、瓶を恒温槽に入れて、90℃で24時間加熱した。続いて、瓶の中の液の上澄みのpHを、堀場製作所製のコンパクトpHメータ<LAQUAtwin>B−711を用いて測定した。
[ゼオライト粒子2]
ゼオライト粒子2は、下記の方法で製造され、そのD50は60nm、そのD90は110nm、そのpHは10である。
出発物質のゼオライト粉として平均粒径5μmの4A型ゼオライト・ナトリウムイオンを用意し、このゼオライト粉100gとイオン交換水100gとを混合してスラリーを調製した。このスラリー中のゼオライト粉を、ゼオライト粒子1の場合に準じた方法で、平均粒径が60nmになるように粉砕した。
続いて、スラリーを、180℃の温度下で2〜3時間放置することで、微粉砕されたゼオライト粉を得た。このゼオライト粉を乳鉢で解砕してから、メッシュを通過させることで粒径を整えることで、ゼオライト粒子2を得た。
[ゼオライト粒子3]
ゼオライト粒子3は、下記の方法で製造され、そのD50は150nm、そのD90は250nm、そのpHは10である。
出発物質のゼオライト粉として平均粒径5μmの4A型ゼオライト・ナトリウムイオンを用意し、このゼオライト粉100gとイオン交換水100gとを混合してスラリーを調製した。このスラリー中のゼオライト粉を、ゼオライト粒子1の場合に準じた方法で、平均粒径が150nmになるように粉砕した。
続いて、スラリーを、180℃の温度下で2〜3時間放置することで、微粉砕されたゼオライト粉を得た。このゼオライト粉を乳鉢で解砕してから、メッシュを通過させることで粒径を整えることで、ゼオライト粒子3を得た。
[ゼオライト粒子4]
ゼオライト粒子4は、下記の方法で製造され、そのD50は60nm、そのD90は110nm、そのpHは10である。
出発物質のゼオライト粉として平均粒径5μmの4A型ゼオライト・ナトリウムイオンを用意し、このゼオライト粉100gとイオン交換水100gとを混合してスラリーを調製した。このスラリー中のゼオライト粉を、ゼオライト粒子1の場合に準じた方法で、平均粒径が60nmになるように粉砕した。
処理後のスラリー中のゼオライト粉に、次の方法で水熱合成処理を施した。スラリー50gをフッ素樹脂製容器に入れ、このフッ素樹脂製容器を、オートクレーブのステンレススチール製(SUS316製)容器に入れた。ステンレススチール製容器は、容量100cc、耐熱温度200℃、耐圧力50MPaであり、安全弁を備えた蓋により密閉される密閉構造を有する。このステンレススチール製容器を乾燥機に配置して密閉し、180℃で24時間加熱した。次に、乾燥機からステンレススチール製容器を取り出し、これを常温の水の中に入れることで急冷した。
ステンレススチール製容器からフッ素樹脂製容器を取り出し、これをバットに入れて、180℃の温度下で2〜3時間放置することで、フッ素樹脂製容器内のスラリーを乾燥した。これにより、微粉砕されたゼオライト粉を得た。このゼオライト粉をフッ素樹脂製容器から取り出し、乳鉢で解砕してから、メッシュを通過させることで粒度を整えることで、ゼオライト粒子4を得た。
[ゼオライト粒子5]
ゼオライト粒子5は、表面処理が施されていない粉末品である東ソー製の品番ゼオラム4A、100メッシュパス品であり、そのD50は13μm、そのD90は30μm、そのpHは10である。
[分散剤]
ソルスパース32000:ポリエチレンイミンを主骨格とする脂肪酸アミンの櫛型樹脂分散剤、アミン価:31.2mgKOH/g、沸点200℃以上、ルーブリゾール社製、品名ソルスパース32000。
[実施例1〜10及び比較例1,2]
表1に示す配合割合(単位は質量%)で、アルカリ可溶性樹脂(A)、吸湿剤(B)、分散剤(C)及びポジ型感光剤(D)並びに架橋剤(E)を配合して組成物(ワニス)を得た。架橋剤(E)としては、下記構造式を有するMX−280(株式会社三和ケミカル製)を用いた。
Figure 2019105821
[有機EL発光装置の作成]
ガラス製の基板上に厚み130nmのITO電極を作製した後、長さ9mm、幅80μmのストライプ形状にパターニングした。このストライプ状第一電極は100μmピッチとした。このITOをパターニングしたガラス基板上に1.5μmとなるように各実施例及び各比較例の組成物(ワニス)を用いたプリベーク膜を作製し、露光、現像、キュア等の加工することで、幅70μm、長さ250μmの開口部をあけ、しかも、第一電極の端部を覆うような形状の樹脂からなる厚さ約1μm絶縁層を形成させた。上記のプリベーク膜の作製にあたっては、ホットプレートを用い120℃×3分の条件で加熱した。露光は所定のフォトマクスを用いてパターニングした。キュアはクリーンオープン中で実施した。現像は2.38wt%TMAHを現像液として用いて60秒間行った。そして、現像後の基板をクリーンオーブンで250℃60分熱処理し、上記のような約1μm絶縁層を形成した。
その基板に、真空蒸着法で、厚み60nmのα−NPDの層、厚み60nmのAlq3の層、厚み0.5nmのフッ化リチウムの層、及び厚み100nmのアルミニウムの層を順次作製した。これにより、ITOストライプ状第一電極上に、パターニングされた発光層が形成され、第一電極と直交するようにストライプ状第二電極が配置された単純マトリクス型カラー有機電界発光表示装置を作製した。
次に、基板上に、有機EL素子を覆う平面視寸法13mm×13mm、厚み約250nmの窒化ケイ素の層を、プラズマCVD法にて作製した。この窒化ケイ素の層上に組成物を、インクジェットプリンター(マイクロジェット社製、「NanoPrinter300」)にて塗布した。続いて、組成物にパナソニック電工株式会社製のLED−UV照射器(ピーク波長365nm)を用いて、約30mW/cm2の条件で50秒間紫外線照射して光硬化させることで、封止材を作製した。さらに、基板上に、有機EL素子を覆う平面視寸法12mm×12mm、厚み約250nmの窒化ケイ素の層(パッシベーション層)を、プラズマCVD法にて作製した。これにより、有機EL発光装置を得た。
[感度の評価]
得られた感光性樹脂膜の露光部の膜厚が0μmであった場合は、上記露光時間がより短い条件で、膜厚が0μmより厚い場合は上記露光時間がより長い条件で、上記測定を繰り返し、現像後に露光部の膜厚が0μmとなる露光量のうち、最小のものを感度として評価した。感度を比較し良い順に、60mJ/cm以下を◎、60mJ/cmより大きく100mJ/cm以下を○、100mJ/cmより大きく200mJ/cm以下を△、200mJ/cmを超えるもの×と評価した。
[初期発光特性]
製造直後の有機EL素子に3Vの電圧を印加して有機EL素子を発光させた。このときの有機EL素子の発光状態(ダークスポット及び有機EL素子周辺消光の有無)を目視で観察した。その結果、ダークスポット及び周辺消光が無く均一に発光した場合を「◎」と評価した。有機EL素子全体の20%以下の領域にダークスポットと周辺消光のいずれかが認められた場合を「○」と評価した。有機EL素子全体の20%以上70%未満の領域にダークスポットと周辺消光のいずれかが認められた場合を「△」と評価した。有機EL素子全体の70%以上の領域にダークスポットと周辺消光のいずれかが認められた場合を「×」と評価した。
[耐久性]
上記の初期発光特性の試験のために作製した有機EL発光装置を、85℃、85%RHの条件下に100時間暴露した後、有機EL素子に3Vの電圧を印加して有機EL素子を発光させた。このときの有機EL素子の発光状態(ダークスポット及び有機EL素子周辺消光の有無)を目視で観察した。
その結果、ダークスポット及び周辺消光が無く均一に発光した場合を「◎」と評価した。有機EL素子全体の20%以下の領域にダークスポットと周辺消光のいずれかが認められた場合を「○」と評価した。有機EL素子全体の20%以上70%未満の領域にダークスポットと周辺消光のいずれかが認められた場合を「△」と評価した。有機EL素子全体の70%以上の領域にダークスポットと周辺消光のいずれかが認められた場合を「×」と評価した。
Figure 2019105821
本実施形態のポジ型感光性樹脂組成物は以下の態様を含む。
第1の態様は、アルカリ可溶性樹脂(A)と、平均粒径が200nm以下の吸湿剤(B)と、塩基性の極性官能基と酸性の極性官能基とのうち少なくとも一方を有する分散剤(C)と、ポジ型感光剤(D)とを含有する。
この場合、ポジ型感光性樹脂組成物は、吸湿剤(B)を含有しているため、吸湿剤(B)で水分を吸収することができる。従って、ポジ型感光性樹脂組成物を含有して絶縁膜や隔壁を形成した場合に、有機化合物を含有する薄膜層に水分が到達しにくくなり、発光効率が低下しにくい有機EL発光装置を形成しやすい。またポジ型感光性樹脂組成物は、分散剤(C)を含有しているため、吸湿剤(B)が平均粒径200nm以下のナノ粒子であっても、分散性を高めることができ、均質なポジ型感光性樹脂組成物が得やすくなる。
第2の態様は、第1の態様において、前記アルカリ可溶性樹脂(A)は、一般式(1)または(2)で表される構造のうち少なくともいずれかを有するポリマーを含むである。
この場合、ポジ型感光性樹脂組成物は、耐熱性及び耐溶剤性に優れる絶縁膜及び隔壁などを形成することができる。
第3の態様は、第1又は第2の態様において、前記吸湿剤(B)は、ゼオライト粒子を含有する。
この場合、ポジ型感光性樹脂組成物は、吸湿性に優れる絶縁膜及び隔壁などを形成することができる。
第4の態様は、第1乃至第3のいずれか一つの態様において、前記吸湿剤(B)の含有量が、前記アルカリ可溶性樹脂(A)100質量部に対して、0.01質量部以上30質量部以下である。
この場合、ポジ型感光性樹脂組成物は、吸湿性に優れる絶縁膜及び隔壁などを形成することができる。
第5の態様は、第1乃至第4のいずれか一つの態様において、前記分散剤(C)の含有量が、前記吸湿剤(B)100質量部に対して、5質量部以上60質量部以下である。
この場合、ポジ型感光性樹脂組成物は、吸湿剤(B)の分散性を向上させることができる。
第6の態様は、第1乃至第5のいずれか一つの態様において、光の波長365nmにおける光透過率が50%以上である。
この場合、ポジ型感光性樹脂組成物は、感光性に優れるものとなる。
第7の態様は、第1乃至第6のいずれか一つの態様において、前記ポジ型感光剤(D)がキノンジアジド化合物である。
この場合、ポジ型感光性樹脂組成物は、感光性に優れるものとなる。
第8の態様は、第1乃至第7のいずれか一つの態様において、さらに、一般式(7)で表される架橋剤(E)を含有する。
この場合、ポジ型感光性樹脂組成物の硬化膜の耐薬品性と耐湿熱性が向上し、かつ熱硬化時のパターンリフローによるパターン解像度の低下が抑制される。
第9の態様は、第1乃至第8のいずれか一つのポジ型感光性樹脂組成物の硬化物を備える。
この場合、有機EL発光装置は、ポジ型感光性樹脂組成物の硬化物を含む吸湿性に優れる絶縁膜及び隔壁を有することになる。
第10の態様は、有機EL素子(120)と、有機EL素子(120)を区画する隔壁(617)とを備える。隔壁(617)が第1乃至第8のいずれか一つのポジ型感光性樹脂組成物の硬化物を含む。
この場合、ポジ型感光性樹脂組成物の硬化物を含む吸湿性に優れる隔壁(617)を有することになる。
120 有機EL素子
600 有機EL発光装置
617 隔壁

Claims (10)

  1. アルカリ可溶性樹脂(A)と、
    平均粒径が200nm以下の吸湿剤(B)と、
    塩基性の極性官能基と酸性の極性官能基とのうち少なくとも一方を有する分散剤(C)と、
    ポジ型感光剤(D)と
    を含有するポジ型感光性樹脂組成物。
  2. 請求項1において、
    前記アルカリ可溶性樹脂(A)は、一般式(1)または(2)で表される構造のうち少なくともいずれかを有するポリマーを含む
    ポジ型感光性樹脂組成物。
    Figure 2019105821
    (一般式(1)中、Rは炭素数が2以上の2価以上8価以下の有機基、Rは炭素数が2以上の2価以上6価以下の有機基、Rは水素または炭素数が1以上20以下の有機基をそれぞれ示す。mは0以上4以下の整数、p、qは0以上4以下の整数(ただしp+q>0)をそれぞれ示す。)
    Figure 2019105821
    (一般式(2)中、Rは炭素数が2以上の4価以上8価以下の有機基、Rは炭素数2以上の2価以上6価以下の有機基をそれぞれ示す。rおよびsはそれぞれ0以上4以下の整数を示す。)
  3. 請求項1又は2において、
    前記吸湿剤(B)は、ゼオライト粒子を含有する
    ポジ型感光性樹脂組成物。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項において、
    前記吸湿剤(B)の含有量が、前記アルカリ可溶性樹脂(A)100質量部に対して、0.01質量部以上30質量部以下である
    ポジ型感光性樹脂組成物。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項において、
    前記分散剤(C)の含有量が、前記吸湿剤(B)100質量部に対して、5質量部以上60質量部以下である
    ポジ型感光性樹脂組成物。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項において、
    光の波長365nmにおける光透過率が50%以上である
    ポジ型感光性樹脂組成物。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一項において、
    前記ポジ型感光剤(D)がキノンジアジド化合物である
    ポジ型感光性樹脂組成物。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一項において、
    さらに、一般式(7)で表される架橋剤(E)を含有する
    ポジ型感光性樹脂組成物。
    Figure 2019105821
    (式中、R23は直接結合または1価以上4価以下の連結基を示す。R24は炭素数1以上20以下の1価の有機基、Cl、Br、I、またはFを示す。R25およびR26は、CHOR28(R28は水素原子または炭素数1以上6以下の1価の炭化水素基)を示す。R27は水素原子、メチル基、またはエチル基を示す。hは0以上2以下の整数、iは1以上4以下の整数を示す。iが2以上4以下の場合、複数のR24〜R27はそれぞれ同じでも異なってもよいが、同一のベンゼン環がR23を2つ有する場合は、R23は同じである。R23を表す1価以上4価以下の連結基の例において、R29〜R51は水素原子、炭素数1以上20以下の1価の有機基、Cl、Br、I、またはFを示す。)
  9. 請求項1乃至8のいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物の硬化物を備える
    有機EL発光装置。
  10. 有機EL素子と、前記有機EL素子を区画する隔壁とを備え、
    前記隔壁が請求項1乃至8のいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物の硬化物を含む
    有機EL発光装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019112552A (ja) * 2017-12-25 2019-07-11 三菱ケミカル株式会社 分散液、樹脂複合材、及び電子デバイス

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