JP2019105558A - 血液中のヘマトクリット値を測定する測定方法および測定装置 - Google Patents
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Abstract
Description
本実施形態に係る血液中のヘマトクリット値を測定する測定方法は、
血液が接触している電極対に対して異なる周波数の交流信号を印加する第1の工程と、
前記異なる周波数の交流信号各々について前記電極対からの応答値を取得する第2の工程と、
前記異なる周波数の交流信号各々について前記交流信号と前記応答値との相対関係に係る値を算出し、前記異なる周波数の範囲における、周波数に対する前記相対関係に係る値の変化の割合を算出する第3の工程と、
前記変化の割合に基づいて前記血液中のヘマトクリット値を算出する第4の工程と、を含む。
交流信号は、例えば、交流電圧や交流電流である。交流信号の一例として交流電圧を使用した場合には、正弦波の交流電圧が好ましい。ただし、正弦波の交流電圧に限らず、例えば三角波や矩形波の交流電圧であってもよい。交流信号の一例として交流電流を使用した場合であっても、交流電圧の場合と同様に、多様な波形を取り得る。上記測定方法で用いられる電極対は、少なくとも作用極及び対極を含み、電極対は試薬を含まない。血液の成分の多数を占める赤血球の細胞膜は2層からなり、その電気的特性はコンデンサーに近似する。血液に印加する交流電圧の周波数が50kHz以下では赤血球が絶縁物と見なされ、100kHzを超えると、赤血球の細胞膜を透過して容量性電流が流れはじめ、20MHz以上では細胞膜のインピーダンスがほぼ無視できること、並びに血液のインピーダンスは100kHz〜10MHzで大きく低下することが、特許文献3(特公平5−18362号公報)に記載されている。発明者は鋭意研究の結果、インピーダンス(またはアドミッタンス)の変化を利用することでヘマトクリット値を測定できることを突き止めるに至った。さらに、異なる周波数における交流信号に対するインピーダンスに変化があれば、どのような周波数の交流信号であってもヘマトクリット値を測定できることを確認した。そのため、実施形態に係る血液中のヘマトクリット値の測定方法では、血液が接触している電極対に印加する交流信号の周波数に限定は無いが、インピーダンスの変化の大きい周波数を利用することが好ましい。インピーダンスの変化の大きい周波数の範囲は、例えば、血液に含まれる血球の細胞膜を通過して容量性電流が流れ始める周波数から、容量
性電流の流れの変化が一定範囲となる周波数までの範囲である。第1の工程において血液に印加する交流信号は、詳細については後述するが、好ましくは周波数が400kHzから3MHzまで間の交流信号であり、より好ましくは周波数が600kHzから2MHzまでの間の交流信号である。また、交流信号の印加では、選択した少なくとも2点の周波数の交流信号を印加してもよいし、所定の範囲の周波数を連続的に変化させながら交流信号を印加してもよい。
第2の工程において、第1の工程で印加した異なる周波数の交流信号各々について電極対からの応答値を取得する。応答値は、例えば、交流信号が交流電圧であった場合には電流値が応答値であり、交流信号が交流電流であった場合には電圧値が応答値となる。しかしながら、応答値はこれらに限定されるものではない。応答値は、印加した交流信号に対する応答として電極対から取得できる値であればよい。第1の工程において周波数を連続的に変化させながら交流信号が印加された場合には、応答値を取得する周波数を決定し、決定した周波数における応答値を取得する。応答値を取得する周波数は、あらかじめ決められた周波数を使用してもよいし、実際に取得された交流信号に対する応答値の傾向から決定してもよい。
第3の工程において、異なる周波数の交流信号の各々について交流信号と応答値との相対関係に係る値を算出する。相対関係に係る値は、例えば、交流信号を交流電圧とし応答値が血液に流れる電流値とした場合は、インピーダンス値やアドミッタンス値である。インピーダンス値とアドミッタンス値とは、互いに逆数の関係にあるので、いずれか一方を算出すれば他方を算出することは容易である。
第4の工程では、算出した変化の割合に基づいて血液中のヘマトクリット値を算出する。算出においては、例えば、変化の割合とヘマトクリット値との対応関係に基づいてヘマトクリット値を算出する。対応関係は、例えば、変化の割合とヘマトクリット値とを対応
付けた検量線、変化の割合が入力されるとヘマトクリット値を出力する関数等である。バイオセンサでは、上述の通り、製造誤差等によって、製品毎に個体差が生じる場合がある。しかしながら、本実施形態では、測定した相対関係に係る値間の変化の割合を算出することにより、当該誤差の影響を抑制し、血液中のヘマトクリット値の測定精度低下を抑制できる。
の気体を外部に排気するための排気口47が設けられる。採取口45に点着された血液は、毛管現象を利用して、排気口47に向けて流路46内を移動する。排気口47に向けて流れた血液は流路46内の電極対44と接触する。
PUは、マイクロプロセッサユニット(MPU)、プロセッサとも呼ばれる。CPUは、単一のプロセッサに限定される訳ではなく、マルチプロセッサ構成であってもよい。
部105や第2算出部106等によって利用される。
いて算出したアドミッタンス値との関係を例示するグラフである。図6では、縦軸はアドミッタンス値を示し、横軸は印加した交流電圧の周波数を示す。図6の横軸は対数で表記されている。図6に係る測定において、印加した電圧は0.2Vp−pである。図6に係る測定では、10kHzから5MHzの範囲で交流電圧の周波数を変更し、インピーダンス値が測定される。図6に例示されるアドミッタンス値は、5回測定したインピーダンス値の平均値を基に算出したものである。測定対象となる血液は、ヘマトクリット値が10%のもの(図6のグラフA)、ヘマトクリット値が42%のもの(図6のグラフB)、ヘマトクリット値が65%のもの(図6のグラフC)の3種類である。測定対象となる血液のヘマトクリット値は、血液を遠心分離器によって遠心分離してあらかじめ測定している。
バイオセンサ40では、上述の通り、製造誤差等によって、作用極44a、対極44bの抵抗値や流路46の高さh等において製品毎に個体差が生じやすい。本実施形態では、測定した当該製造誤差等の影響を受けたインピーダンス値(またはアドミッタンス値)間の変化の割合を算出することで、作用極44a、対極44bの抵抗値や流路の高さhの誤差による影響が抑制される。そのため、バイオセンサ40が作用極44a、対極44bの
抵抗値や流路46の高さh等に製造誤差等を有する場合でも、当該誤差の影響を抑制し、血液中のヘマトクリット値の測定精度低下を抑制できる。さらに、作用極44a、対極44bの抵抗値の誤差による影響が抑制されることから、作用極44a、対極44bの抵抗値をあらかじめ測定する工程や測定した抵抗値に基づいてヘマトクリット値を補正する工程を省略することができる。その結果、本実施形態では、バイオセンサに上記した製造誤差によるヘマトクリット値への測定精度への影響を簡易な構成で抑制できる。
30・・・測定装置
31・・・筐体
32・・・操作ボタン
33・・・表示パネル
34・・・センサ挿入口
40・・・バイオセンサ
41・・・基板
42・・・スペーサ
43・・・カバー
44・・・電極対
44a・・・作用極
44b・・・対極
45・・・採取口
46・・・流路
101・・・接続部
102・・・印加部
103・・・取得部
104・・・制御部
105・・・第1算出部
106・・・第2算出部
107・・・記憶部
108・・・出力部
Claims (9)
- 血液が接触している電極対に対して異なる周波数の交流信号を印加する第1の工程と、
前記異なる周波数の交流信号各々について前記電極対からの応答値を取得する第2の工程と、
前記異なる周波数の交流信号各々について前記交流信号と前記応答値との相対関係に係る値を算出し、前記異なる周波数の範囲における、前記相対関係に係る値の周波数に対する変化の割合を算出する第3の工程と、
前記変化の割合に基づいて前記血液中のヘマトクリット値を算出する第4の工程と、を含む、
血液中のヘマトクリット値を測定する測定方法。 - 前記電極対は試薬を含まない、
請求項1に記載の測定方法。 - 前記第3の工程では、前記相対関係は、前記交流信号と前記応答値との比であって、
第1の周波数に対応する前記比の値と第2の周波数に対応する前記比の値との差を前記第1の周波数と前記第2の周波数との差で割ることで、前記変化の割合を算出する、
請求項1または2に記載の測定方法。 - 前記第4の工程では、前記変化の割合とヘマトクリット値とを対応付けた検量線に基づいて前記血液中のヘマトクリット値を算出する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の測定方法。 - 前記交流信号は交流電圧であり、前記応答値は前記交流電圧によって前記血液に流れる電流値である、
請求項1から4のいずれか一項に記載の測定方法。 - 前記異なる周波数は、前記血液に含まれる血球の細胞膜を通過して容量性電流が流れ始める周波数から、前記容量性電流の流れの変化が一定範囲となる周波数までの間から選択される、
請求項1から5のいずれか一項に記載のヘマトクリット値を測定する測定方法。 - 前記異なる周波数は、400kHzから3MHzまでの間から選択される、
請求項1から6のいずれか一項に記載の測定方法。 - 前記異なる周波数は、600kHzから2MHzまでの間から選択される、
請求項7に記載の測定方法。 - 血液と接触させる電極対を含むバイオセンサとの接続部と、
前記接続部と接続された前記電極対に対して異なる周波数の交流信号を印加する印加部と、
前記異なる周波数の交流信号各々について前記電極対からの応答値を取得する取得部と、
前記異なる周波数の各々について前記交流信号と前記応答値との相対関係に係る値を算出し、前記異なる周波数の範囲における、前記相対関係に係る値の周波数に対する変化の割合を算出する第1算出部と、
前記変化の割合に基づいて前記血液中のヘマトクリット値を算出する第2算出部と、を備える、
測定装置。
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