JP2019104841A - 低摩擦摺動部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、潤滑油存在下での摩擦特性が改善された摺動部材を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、モリブデン系摩擦調整剤及び/又はモリブデン系酸化防止剤を含有する潤滑油存在下で摺動する低摩擦摺動部材であって、少なくとも相手材と接触して摺動する摺動面がクロム(Cr)を含有する材料で構成され、前記Cr含有材料中のCr含有量が、前記Cr含有材料全体を100%としたときに、0.4質量%以上である、低摩擦摺動部材に関する。【選択図】図2

Description

本発明は、潤滑油存在下で摺動する低摩擦摺動部材に関する。
自動車では、エンジン、トランスミッション等の様々な機器に摺動部材が用いられており、そのような摺動部材の摺動特性を向上させるために様々な開発がなされている。摺動部材の摩擦係数を低減することは自動車の燃費の向上にも繋がるので、特に重要視されている。
摺動面間に作用する摩擦係数は、摺動面の表面状態と摺動面間の潤滑状態により異なる。このため摩擦係数の低減を図る場合、摺動面の材料及び摺動面間へ供給する潤滑油の改良が検討される。
例えば特許文献1には、非晶質の炭素膜中に鉄を含有し、少なくとも摺動時に炭素膜中の鉄の一部が摩擦面に露出していることを特徴とする低フリクション炭素薄膜が記載されており、該炭素薄膜は、Mo、W、Cr及びVのうちの1種又は2種以上を含有していること、潤滑油としてモリブデン系極圧添加剤を用いることが記載されている。
また、Cr含有鋼や、Crを含む非晶質炭素膜(Cr−DLC膜)、窒化クロム膜、結晶質の炭化クロム膜を摺動面に有する摺動部材と、モリブデンジチオカーバメート(MoDTC)やモリブデン(Mo)の三核体を含む潤滑油とを組み合わせることにより、摩擦係数が低減することが知られている(特許文献2〜4及び非特許文献1)。
ここで、近年、ますます強化される燃費規制に対応するために、自動車のエンジン等の摺動部材で使用される潤滑油として、流体潤滑領域での粘性抵抗を低減するために、より低粘度の潤滑油が求められている。このような低粘度の潤滑油は、流体潤滑領域での摩擦低減に関しては大きく貢献するが、一方で高い荷重条件下では摩擦面から容易に排除され、境界潤滑領域の割合の増加といった背反も増加する。例えば、エンジンピストンの上死点や低回転数の運転時等、境界潤滑領域となる摩擦条件下では、表面間の接触により摩擦が増大し、焼付等の深刻な問題に発展する可能性がある。
特開2000−320673号公報 特開2016−17174号公報 特開2016−84852号公報 特開2017−149881号公報
トライボロジスト第36巻、第3号(1991)242〜248頁
前記の通り、従来の摺動部材では、境界潤滑領域での摩擦低減が十分ではない場合があった。それ故、本発明は、潤滑油存在下での摩擦特性が改善された摺動部材を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するための手段を種々検討した結果、モリブデン系摩擦調整剤及び/又はモリブデン系酸化防止剤を含有する潤滑油と、所定量のCrを含有する材料を摺動面に用いた摺動部材とを組み合わせることにより摩擦が大幅に低減することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)モリブデン系摩擦調整剤及び/又はモリブデン系酸化防止剤を含有する潤滑油存在下で摺動する低摩擦摺動部材であって、少なくとも相手材と接触して摺動する摺動面がクロム(Cr)を含有する材料で構成され、前記Cr含有材料中のCr含有量が、前記Cr含有材料全体を100%としたときに、0.4質量%以上である、低摩擦摺動部材。
本発明により、潤滑油存在下での摩擦特性が改善された摺動部材を提供することが可能となる。
実施例における摩擦試験方法の概略を示す斜視図である。 実施例における、実施例1〜21及び比較例1〜11の摩擦試験の結果を示す図である。 実施例における、炭化物形成Cr含有材、Cr固溶材及びCr非含有材の摩擦試験結果を示す図である。 実施例における、MoトリマーについてのMo添加量と摩擦係数の関係を示す図である。 実施例における、MoDTCについてのMo添加量と摩擦係数の関係を示す図である。 実施例における、MoDTPについてのMo添加量と摩擦係数の関係を示す図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
本発明は、モリブデン(Mo)系摩擦調整剤及び/又はモリブデン(Mo)系酸化防止剤(以下、モリブデン(Mo)系添加剤とも記載する)を含有する潤滑油存在下で摺動し、少なくとも相手材と接触して摺動する摺動面がクロム(Cr)を含有する材料で構成されている低摩擦摺動部材に関する。
摺動部材とは、相対移動する摺動面を有する機械部品を意味し、具体的には、動弁系を構成するカム、バルブリフタ(例えば、摺動面がカムとの接触面)、フォロワ、シム、バルブ、バルブガイド等、その他、シリンダライナー、ピストン(例えば、摺動面がピストンスカート)、ピストンリング、ピストンピン、クランクシャフト、歯車、ロータ、ロータハウジング、バルブ、バルブガイド、ポンプ等が挙げられる。本発明の摺動部材は、自動車等のエンジンユニットや駆動系ユニット(変速機等)に好適に利用される。
本発明の摺動部材は、少なくとも相手材と接触して摺動する摺動面がCrを含有する材料で構成されている。すなわち、本発明の摺動部材は、相対移動する摺動面の一方又は両方の摺動面がCr含有材料で構成されている。本発明の摺動部材は、少なくとも摺動面がCr含有材料で構成されていればよい。したがって、摺動部材は、Cr含有材料を基材上に有するものであってもよく、また、摺動部材全体がCr含有材料で構成されるものであってもよい。
摺動部材の基材は、各種装置の摺動部品であれば形状及び材質等に特に限定はなく、金属系基材(例えば鋼材)、セラミックス系基材、プラスチック系基材、ゴム系基材等のいずれであってもよい。
Cr含有材料中のCr含有量は、Cr含有材料全体を100%としたときに、0.4質量%以上であり、好ましくは1質量%以上である。Cr含有材料中のCr含有量が0.4質量%以上であると、Mo系添加剤を含む潤滑油との組み合わせにおいて、摩擦係数が有意に低減する。なお、Cr含有量の上限は100質量%である。
Cr含有材料としては、Crを含有するものであれば特に限定されずに、Crを含有する無機材料又は有機材料を用いることができる。Cr含有材料としては、好ましくはCr含有鋼材(ステンレス鋼材を含む)、Cr含有鋳鉄、Crを含有する非晶質炭素(いわゆるダイヤモンドライクカーボン(DLC))、結晶質の炭化クロム(CrC)、窒化クロム(CrN)、Cr含有めっき及びCr含有材料を用いた表面改質処理材料を用いることができる。
本発明において、Cr含有鋼材は、Cr含有ステンレス鋼材を含む。Cr含有鋼材は、Cr含有量が、好ましくは0.4質量%〜20質量%である。Cr含有鋼材のCr含有量は、選択した鋼材の種類に応じて変わる。Cr含有鋼材は、金属めっきが施されているものであってもよい。Cr含有鋼材として、例えば低クロム鋼SPG21、クロム鋼SCr及びステンレス鋼SUS440Cが用いられる。Cr含有鋼材を用いる場合、摺動部材全体をCr含有鋼材で構成することが好ましい。
Cr含有鋳鉄は、Cr含有量が、好ましくは0.4質量%〜5質量%である。Cr含有鋳鉄として、例えば、ねずみ鋳鉄(片状黒鉛鋳鉄)、球状黒鉛鋳鉄等が用いられる。Cr含有鋳鉄を用いる場合、摺動部材全体をCr含有鋳鉄で構成することが好ましい。
Crを含有するDLCは、鋼材や鋳鉄材等の基材上に、Cr含有DLCを膜の形状で有することが好ましい。基材へのCr含有DLCの成膜は、公知の方法により行うことができる。Cr含有DLCは、Cr含有量が、好ましくは0.4質量%〜30質量%である。Cr含有DLCとしては公知のDLCを用いることができるが、その組成は、例えば0.4質量〜49質量%のCrと、0質量%〜30質量%の水素(H)と、残部が炭素(C)及び不純物とからなる。
結晶質のCrCは、鋼材や鋳鉄材等の基材上に、結晶質CrCを膜の形状で有することが好ましい。基材への結晶質CrCの成膜は、公知の方法により行うことができる。結晶質CrCは、Cr含有量が、好ましくは40質量%〜75質量%である。CrCは、主にCrとCとからなるが、それ以外の元素として、低摩擦特性を阻害しないか、又は低摩擦特性を改善するドープ元素(例えばO、N等)を含有していてもよい。CrC中のCrとCは、CrCの他、Cr又はCrとして存在してもよい。
CrNは、鋼材や鋳鉄材等の基材上に、CrNを膜の形状で有することが好ましい。基材へのCrNの成膜は、公知の方法により行うことができる。CrNは、Cr含有量が、好ましくは40質量%〜65質量%である。CrNは、主にCrとNとからなるが、それ以外の元素として、低摩擦特性を阻害しないか、又は低摩擦特性を改善するドープ元素(例えばO等)を含有していてもよい。CrN中のCrとNは、主にCrNとして存在しているが、一部がCrN等であってもよい。
Cr含有めっきは、鋼材や鋳鉄材等の基材上にCr含有めっきを有することが好ましい。Cr含有めっきは、Cr含有量が、好ましくは80質量%〜100質量%であり、より好ましくはCr含有めっきはCrからなり、すなわちCr含有量が100質量%である。
Cr含有材料を用いた表面改質処理材料は、例えば鋼材や鋳鉄材等の基材に表面改質処理を施した材料であり、特に限定されずに、例えばCr含有材料のメディアを用いたショットブラスト材等が挙げられる。Cr含有材料を用いた表面改質処理材料は、Cr含有量が、好ましくは0.4質量%〜20質量%である。
一般に、材料がCrと炭素(C)を含む場合、Crは炭化物(CrC)に変化しやすいが、本発明において、Cr含有材料中のCrは、CrCの形態で存在していてもよい。また、Cr含有材料中のCrは、好ましくは固溶状態で存在する。本発明では、Crの存在形態に関わらず、摺動面にCrが存在することで、潤滑油中のMo系添加剤との組み合わせにおいて摩擦係数が低減するが、Crが固溶状態で存在すると、例えばCrCとして存在する場合と比較して摩擦係数をより低減することができる。本発明において、Crが固溶状態で存在することは、材料表面の組織観察により確認できる。好ましい実施形態において、Cr含有材料は、Crが固溶状態で存在するCr含有鋳鉄である。
潤滑油は、モリブデン系摩擦調整剤及び/又はモリブデン系酸化防止剤を含有する。本発明において、モリブデン系摩擦調整剤及び/又はモリブデン系酸化防止剤を含有する潤滑油と、Cr含有材料を摺動面に備える摺動部材とを組み合わせると、Crの作用により、摺動部材表面に低摩擦な皮膜が形成されるため、摩擦係数が大幅に低減し、例えばMo系添加剤を含まない場合と比較して摩擦係数が約50%以上低減する。
本発明の摺動部材における低摩擦化のメカニズムは以下のように推定される。具体的には、Mo系添加剤が硫黄(S)を含有する場合、酸化力の強いCrによりMo系添加剤が還元されて、摺動面上に二硫化モリブデン(MoS)皮膜を形成することができる。MoSは、層状構造に基づく低剪断特性を摺動面間で発揮することで、摺動面同士の直接接触が回避され、摩擦係数(特に境界潤滑領域における摩擦係数)を低減できる。したがって、好ましい実施形態において、モリブデン系摩擦調整剤及び/又はモリブデン系酸化防止剤は、硫黄(S)を含有するものである。
モリブデン系摩擦調整剤及びモリブデン系酸化防止剤としては、従来用いられる公知のものを用いることができ、例えばアデカサクラルーブ200、アデカサクラルーブ165、アデカサクラルーブ525、アデカサクラルーブ600、アデカサクラルーブ300、アデカサクラルーブ310G、アデカサクラルーブ700、アデカサクラルーブ710及びモリブデン(Mo)のトリマー(モリブデンの三核体)等が挙げられる。なお、これらのモリブデン系摩擦調整剤及びモリブデン系酸化防止剤の中には、摩擦調整特性及び酸化防止特性の両方を有するものもある。モリブデン系摩擦調整剤及びモリブデン系酸化防止剤としては、Cr含有材料との相互作用・添加剤の還元性等の観点から、モリブデンジチオカーバメート(MoDTC)及びモリブデンジチオホスフェート(MoDTP)が好ましく、また、モリブデン酸ジアルキルアミン塩(Mo−Amn)及びMoトリマーも好ましい。Moトリマーは、例えばMo又はMoからなり、Moからなると好ましい。Moトリマーは、そのような三核体からなる骨格(分子構造)を備える限り、末端に結合している官能基や分子量等は問わない。参考までに、実施例で用いたMoからなる硫化モリブデン化合物の一例を以下に示す。式中のRはヒドロカルビル基である。
Figure 2019104841
潤滑油中のモリブデン系摩擦調整剤及び/又はモリブデン系酸化防止剤の含有量は、潤滑油全体に対してMo量に換算して好ましくは25ppm〜5000ppm、より好ましくは50ppm〜5000ppmである。モリブデン系摩擦調整剤及び/又はモリブデン系酸化防止剤の含有量が25ppm以上であると十分な摩擦低減効果が得られる。モリブデン系摩擦調整剤では、潤滑油中のモリブデン系摩擦調整剤の含有量は、潤滑油全体に対してMo量に換算して好ましくは200ppm以上であり、より好ましくは400ppm以上である。モリブデン系酸化防止剤では、潤滑油中のモリブデン系酸化防止剤の含有量は、潤滑油全体に対してMo量に換算して好ましくは50ppm以上であり、より好ましくは200ppm以上である。
潤滑油に用いられる基油(ベースオイル)としては、特に限定されずに、従来用いられる動物・植物油、鉱油、合成油等を用いることができる。基油は1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上の混合物で用いてもよい。なお、基油の動粘度や粘度指数等は特に限定されず、摺動部材に通常用いられ得る範囲内に制御されていればよい。
潤滑油は、Mo系添加剤以外の添加物を含んでいてもよい。Mo系添加剤以外の添加物としては、例えば摩耗防止剤(例えばジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)、好ましくはセカンダリーアルキルタイプのZnDTP等)、防錆剤、金属不活性剤、加水分解防止剤、帯電防止剤、消泡剤、酸化防止剤(例えばZnDTP、好ましくはセカンダリーアルキルタイプのZnDTP等)、分散剤、清浄剤、極圧剤、摩擦調整剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、増粘剤、金属清浄剤(例えば過塩基性カルシウムスルホネート等)、無灰分散剤(例えばポリブテニルコハク酸イミド等)、腐食防止剤等が挙げられる。添加物は、例えば、摩耗防止剤及び酸化防止剤として用いられるZnDTPのように、2つ以上の用途で用いることもできる。Mo系添加剤以外の添加物の含有量は、潤滑油全体に対して通常20質量%以下であり、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下である。
本発明の摺動部材は、前記のモリブデン系摩擦調整剤及び/又はモリブデン系酸化防止剤を含有する潤滑油存在下で摺動する。本発明の摺動部材では大幅な摩擦低減が達成されるため、本発明の摺動部材は、摺動面同士の接触が主となる境界潤滑条件下で用いると特に大きな効果が得られる。例えば、40℃における動粘度が20〜40mm/sであるような低粘度の潤滑油の存在下で、所定の摺動面の粗さや摺動速度にて、例えば面圧300MPa以上のような高荷重条件下で摺動部材を摺動すると、潤滑油は摩擦面から容易に排除されてしまい、境界潤滑領域の割合が増加して摺動面同士の接触により摩擦が増大することがあるが、本発明の摺動部材は、大幅な摩擦低減が達成されるため、このような摺動条件においても好適に利用することができる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
Cr含有量の異なるサンプルと、Mo系添加剤(Mo系摩擦調整剤又はMo系酸化防止剤)を含む潤滑油との組み合わせについて摩擦試験を行った。
Cr含有量の異なるサンプルとして、Cr含有鋼材SPG21、Cr含有鋼材SCr、Cr含有鋳鉄、SUS材メディアによるショットブラスト材(SUSショット)、ステンレス鋼材SUS440C、窒化クロム(CrN)、Crめっきを用いた。これらのCr含有サンプルのCr含有量を表1に示す。SUSショット、CrN、Crめっきでは、鋼材(S45C)の基材にこれらを成膜又はショットブラストした。また、Cr非含有サンプルとして炭素鋼材S45Cを用いた。
Mo系摩擦調整剤としてモリブデンジチオカーバメート(MoDTC)及びモリブデンジチオホスフェート(MoDTP)を用い、Mo系酸化防止剤として、下記のMoトリマー(Mo三核体)を用いた。
Figure 2019104841
試験潤滑油(供試油)として、エンジン油を想定したモデル油を作製した。具体的には、試験潤滑油は、炭化水素系基油(SK lubricants社製 YUBASE8)に、セカンダリーアルキルタイプのジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)(ADEKA社製 1371)0.8質量%、塩基価が300mgKOH/gの過塩基性カルシウムスルホネート(ADEKA社製 6477C)2.0質量%及びポリブテニルコハク酸イミド(ADEKA社製 6412)6.0質量%を添加し、実施例1〜21及び比較例9〜11では、MoDTC、MoDTP又はMoトリマーを試験潤滑油全体に対してMo量に換算して800ppmとなるように添加し、比較例1〜8ではMo系添加剤を添加せずに、60℃にて30分間撹拌して作製した。
摩擦試験は、図1に示すような、摺動部がディスク形状のサンプルとボール形状のSUJ2鋼球(φ10mm)で構成されているボールオンディスク型の摩擦試験機を用いて行った。ディスク形状のサンプルとして各種Cr含有材料を用い、ボール側の材質はSUJ2で固定した。摩擦試験は、まず、ディスク形状のサンプルとSUJ2鋼球を、アセトンを用いて10分間超音波洗浄し、乾燥した後、摩擦試験機に取り付け、試験潤滑油をサンプルとSUJ2鋼球の間に配置した。その後、SUJ2鋼球をディスク形状のサンプルに押し付けて規定荷重を印加し、SUJ2鋼球を左右に往復摺動させ、摺動中の摩擦係数(μ)を計測した。試験条件は、荷重50N、周波数50Hz、ストローク1mm、温度100℃、試験時間30分とした。
表1に、摩擦試験を行った実施例1〜21及び比較例1〜11のCr含有材料及び試験潤滑油中のMo系添加剤の構成を示す。
Figure 2019104841
実施例1〜21及び比較例1〜11の摩擦試験の結果を、Cr含有量と摩擦係数の関係として図2に示す。図2より、Cr非含有サンプルでは、Mo系添加剤を潤滑油に添加することにより摩擦係数がわずかに低減したが、Cr含有サンプルでは、いずれのCr含有サンプルにおいても、Mo系添加剤を潤滑油に添加することにより、摩擦係数が約50%以上低減した。したがって、摺動面がCrを含有する材料で構成されていると、Mo系添加剤の摩擦低減効果が有意に大きくなり、また、潤滑油にMo系添加剤を用いることにより、Cr含有材料の摩擦係数が有意に低減することが示された。また、Cr含有材料中のCr含有量の増加に伴い摩擦係数が低減していく傾向があった。
Cr含有材料の組織の摩擦特性への影響について
Cr含有材料の組織が摩擦特性に与える影響を調べるために、前記のCr含有鋳鉄材を用いて、材料表面において、Crが固溶せずに炭化物を形成している場合(炭化物形成Cr含有材)と、Crが固溶している場合(Cr固溶材)について、前記の摩擦試験を行い、摩擦係数を比較した。
炭化物形成Cr含有材は、鋳造により炭素成分とケイ素成分を調整することによって作製した。炭化物形成Cr含有材において、炭化物を形成していることは材料表面の組織観察によって確認した。また、Cr固溶材は、上記同様、鋳造により炭素成分とケイ素成分を調整することによって作製した。Cr固溶材において、Crが固溶していることは材料表面の組織観察によって確認した。
摩擦試験は、炭化物形成Cr含有材とCr固溶材について、Mo添加量が800ppmとなるようにMoDTCを配合した試験潤滑油を用いて、実施例10と同様にして行った。図3に、炭化物形成Cr含有材及びCr固溶材の摩擦試験結果を、Cr非含有材(S45C)(比較例10)の結果とともに示す。図3より、Cr非含有材と比較すると、Crを含有する炭化物形成Cr含有材とCr固溶材は、いずれも摩擦係数の低減が認められたが、Cr固溶材では摩擦係数がより低減していた。
Mo添加量の摩擦特性への影響について
Mo添加量が摩擦特性に与える影響を調べた。Cr含有材料としてSUS440Cを用い、Moトリマー、MoDTC又はMoDTPのそれぞれを種々のMo添加量で配合した試験潤滑油を用いて、摩擦試験を行った。Mo添加量は、試験潤滑油全体に対してMo量に換算して0、25、50、100、200、400、800、1000、2000ppmとなるようにした。また、MoDTPではMo添加量5000ppmの試験潤滑油についても摩擦試験を行った。
図4に、MoトリマーについてのMo添加量と摩擦係数の関係を示し、図5に、MoDTCについてのMo添加量と摩擦係数の関係を示し、図6に、MoDTPについてのMo添加量と摩擦係数の関係を示す。図4、図5及び図6より、いずれのMo系添加剤を用いた場合においても、Mo添加量の増加に伴い、摩擦係数の低減が認められた。Moトリマーの場合、25ppm以上、好ましくは50ppm以上のMo添加量にて十分な摩擦低減効果が得られた。またMoDTC及びMoDTPの場合、200ppm以上、好ましくは400ppm以上のMo添加量にて十分な摩擦低減効果が得られた。

Claims (1)

  1. モリブデン系摩擦調整剤及び/又はモリブデン系酸化防止剤を含有する潤滑油存在下で摺動する低摩擦摺動部材であって、少なくとも相手材と接触して摺動する摺動面がクロム(Cr)を含有する材料で構成され、前記Cr含有材料中のCr含有量が、前記Cr含有材料全体を100%としたときに、0.4質量%以上である、低摩擦摺動部材。
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