JP2019104796A - ポリエチレンパイプ用組成物、ポリエチレンパイプ及びポリエチレンパイプの製造方法 - Google Patents

ポリエチレンパイプ用組成物、ポリエチレンパイプ及びポリエチレンパイプの製造方法 Download PDF

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隆人 稲宮
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央尚 片岡
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Abstract

【課題】電子線照射を用いた架橋が可能であり、優れた塩素耐久性及び表面外観を実現できる、ポリエチレンパイプ用組成物の提供。【解決手段】ポリエチレンと、前記ポリエチレン100質量部に対して0.5質量部以上のフェノール系酸化防止剤と、前記ポリエチレン100質量部に対して0.15質量部以上のリン系酸化防止剤とを含み、前記フェノール系酸化防止剤が、少なくともN,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]を、前記ポリエチレン100質量部に対して0.15質量部以上含有し、前記リン系酸化防止剤が、少なくとも、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジ−ホスファイトを含有することを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエチレンパイプ用組成物、ポリエチレンパイプ及びポリエチレンパイプの製造方法に関するものである。
近年、施工性に優れ、腐食の心配のないプラスチック配管が、給水・給湯用の配管として用いられている。その中でも、架橋ポリエチレンパイプは、高温でのクリープ特性が優れることから広く普及しつつある。ただし、ポリエチレン等のポリマー化合物からなるパイプは、塩素等の酸化性物質や、光などの影響で、劣化しやすいことが知られている。
そのため、上述した架橋ポリエチレンパイプでは、その材料中に酸化防止剤を含むことが一般的である。
例えば特許文献1〜3には、材料中にリン系酸化防止剤を含むことによって、ポリエチレンパイプの耐久性を確保する技術が開示されている。また、特許文献4及び5には、リン系酸化防止剤に加えて、フェノール系酸化防止剤を併用した技術が開示されている。
ただし、ポリエチレンを架橋させるためには、ポリマーにシラノール基を予めグラフトした状態で、パイプ成型時に触媒と混合させ、水分と接触させる工程を経る方法が普及しているものの、製造時の工程が煩雑あり、改善が望まれていた。
そのため、養生工程が不要な電子線による架橋の実施も行われている。
特表2014−527551号公報 特開平11−159666号公報 特開平06−73244号公報 国際公開第2005/056657号 特開2001−59045号公報
しかしながら、ポリエチレンパイプの材料(以下、「ポリエチレンパイプ用組成物」という。)に電子線の照射を行う場合、酸化防止剤に架橋を阻害する作用があることから、電子線の照射量を増やす必要があり、電子線照射後に残存する酸化防止剤の量を増やすことができない、という問題が新たに生じることがわかった。そして、電子線照射による酸化防止剤の崩壊が進んだ場合、所望の酸化防止作用が得られず、パイプの耐久性(特に、塩素耐久性)が低下することが考えられる。また、電子線照射による酸化防止剤の崩壊に対して、酸化防止剤の含有量を多くすることも考えられるが、その場合には、ポリエチレンパイプの表面外観の悪化を招くおそれがあった。
そこで、本発明の目的は、電子線照射を用いた架橋が可能であり、優れた塩素耐久性及び表面外観を実現できる、ポリエチレンパイプ用組成物を提供することにある。また、本発明の目的は、塩素耐久性及び表面外観に優れた、ポリエチレンパイプ、並びに、優れた塩素耐久性及び表面外観を有するポリエチレンパイプを得ることができる、ポリエチレンパイプの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するべく鋭意研究を行った。そして、ポリエチレンパイプ用組成物中に、いずれも電子線照射に耐性があるフェノール系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤、具体的には、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]及びビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジ−ホスファイトを含有させることによって、電子線照射による酸化防止作用の低下を抑制しつつ、特性が異なる酸化防止剤の作用によって、ポリエチレンパイプの塩素耐久性及び表面外観についても高いレベルで両立できることを見出した。
すなわち、本発明のポリエチレンパイプ用組成物は、ポリエチレンと、前記ポリエチレン100質量部に対して0.5質量部以上のフェノール系酸化防止剤と、前記ポリエチレン100質量部に対して0.15質量部以上のリン系酸化防止剤とを含み、前記フェノール系酸化防止剤が、少なくともN,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]を、前記ポリエチレン100質量部に対して0.15質量部以上含有し、前記リン系酸化防止剤が、少なくとも、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジ−ホスファイトを含有することを特徴とする。
上記構成により、電子線照射を用いた架橋が可能であり、ポリエチレンパイプの優れた塩素耐久性及び表面外観を実現できる。
また、本発明のポリエチレンパイプ用組成物では、前記ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジ−ホスファイトの含有量が、前記ポリエチレン100質量部に対して0.1質量部以上であることが好ましい。
優れた成形性を実現できるためである。
本発明のポリエチレンパイプは、本発明のポリエチレンパイプ用組成物を、電子線照射によって架橋させた架橋物を用いたことを特徴とする。
上記構成により、優れた塩素耐久性及び表面外観を実現できる。
本発明のポリエチレンパイプの製造方法は、本発明のポリエチレンパイプ用組成物を、成形し、該成形物に電子線を照射する工程を具えることを特徴とする。
上記構成により、優れた塩素耐久性及び表面外観を有するポリエチレンパイプを得ることができる。
本発明によれば、電子線照射を用いた架橋が可能であり、優れた塩素耐久性及び表面外観を実現できる、ポリエチレンパイプ用組成物を提供することができる。また、本発明によれば、塩素耐久性及び表面外観に優れた、ポリエチレンパイプ、並びに、優れた塩素耐久性及び表面外観を有するポリエチレンパイプを得ることができる、ポリエチレンパイプの製造方法を提供することができる。
<ポリエチレンパイプ用組成物>
以下に、本発明のポリエチレンパイプ用組成物の一実施形態について詳細に説明する。
本発明のポリエチレンパイプ用組成物は、ポリエチレンと、
前記ポリエチレン100質量部に対して0.5質量部以上のフェノール系酸化防止剤と、
前記ポリエチレン100質量部に対して0.15質量部以上のリン系酸化防止剤と
を含むポリエチレンパイプ用組成物である。
(ポリエチレン)
本発明のポリエチレンパイプ用組成物は、主成分としてポリエチレンを含む。ポリエチレンを含むことで、パイプ製造時の耐ドローダウン性(溶融状態での形状保持性)や、押出成形性に優れ、また、得られたポリエチレンパイプは高温でのクリープ特性に優れる、という効果がある。
ここで、前記ポリエチレンについては、特に限定はされない。
例えば、良好な耐熱性を確保する観点から、前記ポリエチレンの融点は、120℃以上であることが好ましく、130℃以上であることがより好ましい。一方、前記ポリエチレンの融点は、製品の可撓性等の観点から、140℃以下であることが好ましい。
また、良好な強度を確保する観点から、前記ポリエチレンの密度は、0.935g/cm3以上であることが好ましく、0.940g/cm3以上であることがより好ましい。一方、前記ポリエチレンの密度は、製品の可撓性等の観点から、0.950g/cm3以下であることが好ましい。
さらに、前記ポリエチレンは、分子量の目安となるMFR(JIS-K6760、荷重2.16kg)が0.02g/10分以上であることが好ましく、0.04g/10分以上であることがより好ましく、0.1g/10分以上であることがさらに好ましい。良好なドローダウン性、強度等を有しつつ、成形時の流動性等の成形性悪化を防ぐことができるためである。また、前記MFRの上限値については、10g/10分以下であることが好ましく、0.2g/10分以下であることがより好ましい。より優れたドローダウン性、強度等を確保できるためである。
なお、本発明のポリエチレンパイプ用組成物における、前記ポリエチレンの含有量は、特に限定はされないが、95質量%以上であることが好ましく、97質量%であることがより好ましい。良好なパイプ製造時の耐ドローダウン性や、押出成形性を確保できるからである。
(フェノール系酸化防止剤)
本発明のポリエチレンパイプ用組成物は、上述したポリエチレンに加えて、フェノール系酸化防止剤を含む。
ポリエチレンパイプ用組成物中にフェノール系酸化防止剤を適量含有することで、 高い塩素耐久性を実現できる。
そして、本発明のポリエチレンパイプ用組成物では、前記フェノール系酸化防止剤が、少なくともN,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]を、前記ポリエチレン100質量部に対して0.15質量部以上含有する。
N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]については、ポリエチレンパイプの塩素耐久性向上に大きく寄与できるとともに、電子線に対しても耐久性があるため、ポリエチレンパイプ用組成物を架橋するために電子線の照射を増加した場合であっても、崩壊が進まず、所望の酸化防止性能を得ることができる。
ここで、前記N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]の含有量は、前記ポリエチレン100質量部に対して0.15質量部以上含有する必要があり、0.17質量部以上含有することが好ましく、0.2質量部以上含有することがより好ましい。電子線に対する耐久性をより高めることができ、より優れた塩素耐久性を実現できるからである。
また、前記N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]の含有量については、特に限定はされないが、成形時の表面外観性の悪化を抑制する観点から、前記ポリエチレン100質量部に対して0.85質量部以下とすることが好ましく、0.5質量部以下とすることがより好ましい。
なお、前記フェノール系酸化防止剤については、前記N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]のみから構成することもできるが、必要に応じて、その他のフェノール系酸化防止剤(以下、「その他のフェノール系酸化防止剤」ということがある。)を含むことも可能である。
例えば、前記その他のフェノール系酸化防止剤として、2’,3−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]プロピオノヒドラジド、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、4,4’,4’’−(1−メチルプロパニル−3−イリデン)トリス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、6,6’−ジ−tert−ブチル−4,4'−ブチリデン−m−クレゾール、オクタデシル3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル) プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルメチル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ベンゼンプロパン酸,3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ,C7−C9側鎖アルキルエステル、3,3’3”,5,5’,5”−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a”−(メシチレン−2,4,6トリイル)トリ−p−クレゾール、N−フェニルベンゼンアミンと2,4,4−トリメチルペンテンとの反応生成物、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール等を含むことが可能である。
また、前記フェノール系酸化防止剤の含有量については、前記ポリエチレン100質量部に対して0.5質量部以上であり、0.55質量部以上であることが好ましく、0.6質量部以上であることがより好ましい。より優れた塩素耐久性を実現できるからである。
なお、前記フェノール系酸化防止剤の含有量については、特に限定はされないが、成形時の表面外観性の悪化を抑制する観点から、前記ポリエチレン100質量部に対して0.85質量部以下とすることが好ましい。
(リン系酸化防止剤)
また、本発明のポリエチレンパイプ用組成物は、上述したポリエチレン及びフェノール系酸化防止剤に加えて、リン系酸化防止剤をさらに含む。
ポリエチレンパイプ用組成物中にリン系酸化防止剤を適量含有することで、良好な表面外観や成形性を維持しつつ、優れた塩素耐久性を実現できる。
そして、本発明のポリエチレンパイプ用組成物では、前記リン系酸化防止剤が、少なくともビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジ−ホスファイトを含有する。
ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジ−ホスファイトについては、ポリエチレンパイプの、表面外観や成形性を悪化させることなく、塩素耐久性向上に寄与できるとともに、電子線に対しても耐久性があるため、ポリエチレンパイプ用組成物を架橋するために高強度の電子線を照射した場合であっても、崩壊が進まず、所望の酸化防止性能を得ることができる。
ここで、前記ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジ−ホスファイトの含有量は、特に限定はされず、ポリエチレンパイプに要求される塩素耐久性等に応じて適宜変更することができる。例えば、良好な表面外観や成形性を維持しつつ、塩素耐久性をより向上できる点からは、前記ポリエチレン100質量部に対して、0.1質量部以上含有することが好ましく、0.15質量部以上含有することがより好ましく、0.2質量部以上含有することがさらに好ましい。リン系酸化防止剤の電子線に対する耐久性をより高めることができ、より優れた表面外観や、塩素耐久性を実現できるからである。
なお、前記ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジ−ホスファイトの含有量については、特に限定はされないが、成形時の表面外観性の悪化を抑制する観点から、前記ポリエチレン100質量部に対して0.5質量部以下とすることが好ましく、0.4質量部以下とすることがより好ましく、0.3質量部以下とすることがさらに好ましい。
なお、前記リン系酸化防止剤については、前記ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジ−ホスファイトのみから構成することもできるが、必要に応じて、その他のリン系酸化防止剤(以下、「その他のリン系酸化防止剤」ということがある。)を含むことも可能である。
例えば、前記その他のリン系酸化防止剤としては、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2′−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン−トリホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、テトラ(C12−C15混合アルキル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、ジフェニルモノオクチルホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸等が挙げられる。
また、前記リン系酸化防止剤の含有量については、前記ポリエチレン100質量部に対して0.15質量部以上であり、0.17質量部以上であることが好ましく、0.2質量部以上であることがより好ましい。より優れた表面外観や、塩素耐久性を実現できるからである。
なお、前記リン系酸化防止剤の含有量については、特に限定はされないが、成形時の表面外観性の悪化をさらに抑制する観点から、前記ポリエチレン100質量部に対して0.5質量部以下とすることが好ましい。
また、ポリエチレンパイプの塩素耐久性及び表面外観をより高いレベルで両立できる点からは、前記ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジ−ホスファイトの含有量に対する、上述したN,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]の含有量の割合が60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。より優れた塩素耐久性を確保できるためである。また、前記割合は、570%以下であることが好ましく、450%以下であることがより好ましく、170%以下であることがさらに好ましく、140%以下であることが最も好ましい。前記割合を570%以下とすることで、より優れた外観性を確保できるためである。
なお、本発明のポリエチレンパイプ用組成物における、前記フェノール系酸化防止剤と、前記リン系酸化防止剤の合計含有量については、特に限定はされないが、ポリエチレンパイプ成形時の表面外観性の悪化をさらに抑制する観点から、前記ポリエチレン100質量部に対して1.0質量部以下であることが好ましい。
(その他の成分)
なお、本発明のポリエチレンパイプ用組成物については、上述したポリエチレン、フェノール系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤の他にも、本発明の特性を損なわない範囲で、各種添加剤や補助資材を含むことができる。例えば、フェノール系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤以外の酸化防止剤、ダイカス発生防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、架橋剤、滑剤、アンチブロッキング剤、加工性改良剤、充填剤、分散剤、気泡防止剤、着色剤、カーボンブラック、並びに、ポリエチレン以外の他のポリオレフィン(ポリプロピレン、高圧法ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体等)等を含むこともできる。
<ポリエチレンパイプ>
本発明のポリエチレンパイプは、上述した本発明のポリエチレンパイプ用組成物を、電子線照射によって架橋させた架橋物を用いたものである。
本発明のポリエチレンパイプ用組成物を電子線照射によって架橋してなる架橋物を用いることによって、電子線照射による架橋を施した場合であっても、優れた塩素耐久性及び表面外観を得ることができる。
また、本発明のポリエチレンパイプの用途については、特に限定はされない。例えば、給水、給湯及び冷暖房配管、床暖房用配管、温泉引湯管、地熱水用配管、太陽熱集熱器からの配管、屋根融雪配管、ロードヒーティング配管、化学工場のような各種プラント配管、熱交換器配管等が挙げられる。それらの中でも、本発明のポリエチレンパイプは、給水・給湯用の配管として用いられることが好ましい。本発明のポリエチレンパイプは、塩素耐久性及び表面外観や、耐熱性に優れるためである。
さらに、発明のポリエチレンパイプ用組成物を架橋してなる架橋物については、その架橋度が、JIS K 6796(1998年)に準拠して測定したゲル分率が、60%以上であることが好ましい。高い架橋度によって、ポリエチレンパイプの塩素耐久性やJIS K6769に規定する熱間内圧クリープ性能を高いレベルで維持できるためである。一方、前記架橋物のゲル分率の上限値については、75%以下であることが好ましい。ポリエチレンパイプ製造時の成形性を高めることができるためである。
<ポリエチレンパイプの製造方法>
本発明のポリエチレンパイプの製造方法は、上述した本発明のポリエチレンパイプ用組成物を、成形し、電子線を照射する工程を具える。
本発明のポリエチレンパイプ用組成物を材料として用いることによって、電子線照射によって架橋を行った場合であっても、優れた塩素耐久性及び表面外観を有するポリエチレンパイプを得ることができる。
なお、前記ポリエチレンパイプ用組成物を成形する方法については、特に限定はされず、ポリエチレンパイプの用途に応じて、公知の方法によって適宜成形することができる。
また、前記電子線を照射する条件についても、特に限定はされず、適宜条件を設定することができる。
例えば、確実に架橋を施すことができるとともに、エチレンパイプの優れた塩素耐久性及び表面外観を実現できる点からは、装置のエネルギーによって変わるものの、吸収線量が140〜300kGy程度になるように照射することが好ましい。より具体的には、3MeVのエネルギーで、140〜165kGyの吸収線量となるような電子線照射であることがより好ましい。
なお、材料として用いるポリエチレンパイプ用組成物については、上述した本発明のポリエチレンパイプ用組成物の中で説明した内容と同様である。
また、得られたポリエチレンパイプについては、上述した本発明のポリエチレンパイプの中で説明した内容と同様である。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(サンプル1〜22)
表1に示した成分組成に従って、各サンプルとなるポリエチレンパイプ用組成物を調製した。なお、表1に示す各成分の含有量については、ポリエチレン100質量部に対する質量部で示している。
(評価)
上述のポリエチレンパイプ用組成物の各サンプル及びポリエチレンパイプの各サンプルについて、以下の評価を行った。
(1)架橋効率(ゲル分率が65%となる際の吸収線量)
ポリエチレンパイプの各サンプルの作製時において、組成物をパイプに成形し、架橋を行ったときの、パイプのゲル分率(%)の推移について、JIS K 6796(1998年)に準拠して測定し、ゲル分率が65%に達した際の吸収線量(kGy)を得た。なお、吸収線量については、少ない程、架橋効率に優れることを示す。得られた吸収線量については、以下の基準に従って、架橋効率の性能を評価した。
得られた吸収線量の値及び評価結果を表1に示す。
○:160kGy未満
×:160kGy以上
(2)酸化防止性能(酸化誘導時間)
各組成物をパイプに成形し、架橋を行った。各パイプから、5mgの板状(厚さ:0.5mm)のサンプルを切り出し、各サンプルについて、DSC−60(島津製作所)を用いて、220℃に加熱し、酸素導入からピーク出現までの時間を酸化誘導時間(OIT)(分)として測定した。なお、OITについては、長い程、酸素防止性能に優れることを示す。測定したOITについては、以下の基準に従って、酸化防止性能を評価した。
測定したOIT及び評価結果を表1に示す。
○:40分以上
△:30分以上、40分未満
×:30分未満
(3)塩素耐久性(塩素水浸漬後の酸化誘導時間)
各組成物をパイプに成形し、架橋を行った。JIS K 7162のType 1BA寸法の打ち抜き刃により、各パイプからダンベルを打ち抜いてサンプルを作成した。各サンプルについて、180ppm、95℃の塩素水に4日間浸漬(塩素水は1日ごとに交換)させた。そして、塩素水に浸漬させた後の酸化誘導時間:OIT(分)を、DSC-60(島津製作所)を用いて測定した。なお、OITについては、長い程、酸素防止性能に優れることを示す。測定したOITについては、以下の基準に従って、酸化防止性能を評価した。
測定したOIT及び評価結果を表1に示す。
○:10分以上
×:10分未満
(4)表面外観性(成形時の肌)
各組成物をパイプに成形し、架橋を行った。各パイプについて、表面を、長さ10cmの範囲で全周反射光にて検査し、以下の基準に従って表面外観性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
○:直径1mm以上の窪みが10個未満であり、成形後の肌が良好
×:直径1mm以上の窪みが10個以上であり、成形後の肌が不良
(5)総合評価
上述した(1)〜(4)の評価の結果に基づいて、以下の基準に従って、総合評価を行った。評価結果を表1に示す。
○:×の評価項目がない
×:×の評価項目がある
Figure 2019104796
*1:日本ポリエチレン(株)製、高密度ポリエチレン、MFR0.8、融点135℃
*2:日本ポリエチレン(株)製、高密度ポリエチレン、MFR0.14、融点134℃
*3:BASF社製、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]
*4:BASF社製、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート
*5:BASF社製、3,3’3”,5,5’,5”−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a”−(メシチレン−2,4,6トリイル)トリ−p−クレゾール
*6:BASF社製、オクタデシル3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート
*7:BASF社製、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジ−ホスファイト
*8:ADEKA社製、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト
表1の結果から、実施に該当する各サンプルについては、総合評価がいずれも○であるが、比較例に該当する各サンプルについては、総合評価が△又は×であり、実施例に該当するサンプルの方がより高い性能を示すことがわかった。
本発明によれば、電子線照射を用いた架橋が可能であり、優れた塩素耐久性及び表面外観を実現できる、ポリエチレンパイプ用組成物を提供することができる。また、本発明によれば、塩素耐久性及び表面外観に優れた、ポリエチレンパイプ、並びに、優れた塩素耐久性及び表面外観を有するポリエチレンパイプを得ることができる、ポリエチレンパイプの製造方法を提供することができる。

Claims (4)

  1. ポリエチレンと、前記ポリエチレン100質量部に対して0.5質量部以上のフェノール系酸化防止剤と、前記ポリエチレン100質量部に対して0.15質量部以上のリン系酸化防止剤とを含み、
    前記フェノール系酸化防止剤が、少なくともN,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]を、前記ポリエチレン100質量部に対して0.15質量部以上含有し、
    前記リン系酸化防止剤が、少なくとも、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジ−ホスファイトを含有することを特徴とする、ポリエチレンパイプ用組成物。
  2. 前記ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジ−ホスファイトの含有量が、前記ポリエチレン100質量部に対して0.1質量部以上であることを特徴とする、請求項1に記載のポリエチレンパイプ用組成物。
  3. 請求項1又は2に記載のポリエチレンパイプ用組成物を、電子線照射によって架橋させた架橋物を用いたことを特徴とする、ポリエチレンパイプ。
  4. 請求項1又は2に記載のポリエチレンパイプ用組成物を、成形し、該成形物に電子線を照射する工程を具えることを特徴とする、ポリエチレンパイプの製造方法。
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