X線撮影装置の概略図。
X線撮影装置における表示装置の周辺部分の拡大概略斜視図。
投影型の表示部を備えた表示装置の説明図。
X線撮影装置の構成を示すブロック図。
投影型の表示部に合成画像を表示する方法のフローチャート。
X線CT撮影及び視野カメラで撮影した視野画像の説明図。
投影型の表示部に表示する合成画像の生成方法の説明図。
投影型の表示部に表示する合成画像の生成方法の説明図。
X線CT撮影及び表示部に表示される合成画像の説明図。
X線CT撮影及び表示部に表示される合成画像の説明図。
他の実施形態において投影型の表示部に表示する合成画像の説明図。
他の実施形態において投影型の表示部に合成画像を表示する方法のフローチャート。
他の実施形態において投影型の表示部に表示する合成画像の説明図。
X線CT撮影及び表示装置に表示する他の合成画像の説明図。
異なる構成のX線撮影装置の概略正面図。
投影型の表示部を備えた他の表示装置の拡大概略斜視図。
投影型の表示部を備えた他の表示装置のブロック図。
投影型の表示部を備えた、距離測定によりX線検出器などの位置を検出する表示装置の拡大概略斜視図。
投影型の表示部を備えた、距離測定によりX線検出器などの位置を検出する表示装置のブロック図。
距離測定を用いて合成画像を表示部に表示する方法のフローチャート。
X線CT撮影において、視野カメラで撮影した視野画像及び距離測定画像の説明図。
距離測定を用いた合成画像の生成方法の説明図。
距離測定を用いた合成画像の生成方法の説明図。
透過型の表示部を備えた他の表示装置の拡大概略斜視図。
透過型の表示部に合成画像を表示する方法のフローチャート。
透過型の表示部に表示する合成画像の生成方法の説明図。
透過型の表示部に表示する合成画像の生成方法の説明図。
ここで、図1乃至図10は、X線CT撮影中において頭部MHを旋回するX線発生器11及びX線検出器12が表示されない合成画像Icを投影型の表示部22に表示する表示装置20について説明し、図11乃至図13はX線CT撮影中において所定の位置にX線検出器12が固定された合成画像Icを表示部22に表示する表示装置20について説明する。
図14はX線CT撮影中において表示部22にX線発生器11及びX線検出器12が表示されず、撮影の残り時間が合成画像Ic中に表示される表示装置20について説明する。
図15は座位にてX線CT撮影を行えるX線撮影装置1について説明し、図16及び図17は投影型である表示部22aで構成されたヘッドマウント型の表示装置20aを備えたX線撮影装置1aについて説明する。
図18乃至図23は、X線発生器11及びX線検出器12の位置を距離測定により検出できる投影型の表示部22bで構成されたヘッドマウント型の表示装置20bを備えたX線撮影装置1bについて説明し、図24乃至図27は透過型である表示部22cで構成されたヘッドマウント型の表示装置20cを備えたX線撮影装置1cについて説明する。
以下、図1乃至図10に基づいて、投影型の表示部22を備えた表示装置20及び表示装置20を備えたX線撮影装置1について詳述する。
図1はX線撮影装置1の概略図を示し、図2はX線撮影装置1に備えられた表示装置20の周辺を拡大して表示したX線撮影装置1の拡大概略斜視図を示し、図3は投影型の表示部22を備えた表示装置20を説明する説明図を示し、図4はX線撮影装置1の構成を表すブロック図を示す。
図3について詳述すると、図3は被写体M1の視野範囲Vを覆う表示装置20についての説明図であり、図3(a)は表示装置20の幅方向に対する形状及び大きさを説明するための概略平面図を示し、図3(b)は表示装置20の上下方向に対する形状及び大きさを説明するための概略側面図を示す。
なお、被写体M1の高さ方向を上下方向とし、被写体M1の正面に対して左右方向を幅方向とし、被写体M1の正面側を前方、背面側を後方とする。被写体M1の側面に対して前後の方向は、単に前後方向または奥行方向とする。
X線撮影装置1は、立位で被写体の頭部を撮影する歯科用のX線CT撮影装置であり、図1に示すように、例えば撮影されたX線CT撮影の投影データを収集する本体部2と、本体部2において収集した投影データにフィルターを掛けるなどによって逆投影をコンピュータ処理することでCT撮影画像などの画像を生成する情報処理装置8とに大別される。この本体部2は、好ましくは中空の縦長直方体状の防X線室70に収容され、防X線室70の外部に配置された情報処理装置8と接続ケーブル84によって接続されている。
なお、本実施形態において、X線撮影装置1はX線CT撮影を実行しているが、例えばパノラマ撮影など他のX線撮影を実行してもよい。また、歯科用に限らず頭頚部撮影用X線CT撮影装置などであってもよい。
本体部2は、被写体M1の頭部MHに向けてX線の束で構成するX線ビームを出射するX線発生器11及びX線ビームを形成するビーム成形機構13とで構成されたX線発生部11Aと、X線発生器11から出射されたX線を検出するX線検出器12とで構成されたX線撮影部10と、被写体M1の頭部MHの視野範囲Vを覆うように配置された表示装置20と、X線発生器11とX線検出器12とを支持する旋回アーム30と、上下方向に延びる支柱40と、旋回アーム30を吊り下げるとともに支柱40に対して上下方向に昇降移動してX線発生器11などを患者の頭部MHの位置に合わせる上部フレーム51と頭部MHを固定する被写体固定部522を上下方向に昇降移動可能な下部フレーム52で構成される昇降部50と、本体制御部60と、後述する三次元位置測定マーカ24、三次元位置測定マーカ24と共働して位置などを検出する三次元位置検出部90から構成されている。
X線発生器11及びX線検出器12は、図1及び図2に示すように、逆U字状である旋回アーム30の両端部にそれぞれ吊り下げ固定されており、互いに対向するように支持されている。X線発生器11の前には、例えば、4枚の可動のX線遮蔽板を組んで上下左右を囲むように開口を形成し、X線発生器11から発生したX線の一部の通過を規制し、残りの通過を許容してX線ビームを形成するビーム成形機構13が備えられる。このビーム成形機構13の駆動によって、X線発生器11から発生したX線の上下左右の規制量を変更し、X線ビームとして、X線コーンビームBxやX線細隙ビームなどを形成する。このX線発生器11とビーム成形機構13はX線発生部11Aを構成する。
旋回アーム30は、上下方向に延びる旋回軸31を介して、上部フレーム51に吊り下げ固定されており、旋回軸31を旋回中心Scとして旋回する。なお、上部フレーム51の内部には、上記旋回軸31を吊り下げる軸受がXYテーブル(図示省略)に固定され、軸受をX軸モータとY軸モータを駆動することで上記旋回軸31は水平面域内で任意の位置に移動可能に備えられる。
なお、このXYテーブルは、旋回軸31をXY平面内で2次元移動させる、軸2次元移動機構または軸2次元水平移動機構の一例である。
昇降部50を構成する上部フレーム51と下部フレーム52は、それぞれ上下方向に沿って立設された支柱40に支持された基端部から所定の方向に延出するとともに、先端側が一方向に向けて突出するように構成されている。
具体的には、図2に示すように、上部フレーム51及び下部フレーム52の基端部分が支柱40から所定の方向(図中右前方)に突出するとともに、中央部分よりも基端側において突出方向左側(図中右方向)に折れ曲がった構成である。
このように構成された上部フレーム51には、旋回アーム30における旋回軸31が取り付けられており、上部フレーム51を支柱40に沿って上下方向に移動させることによって、旋回アーム30を上下方向に昇降移動させることができる。
一方、下部フレーム52は、基端部が支柱40に支持されるとともに中央部分が折れ曲がった板状の被写体保持用アーム521と、被写体保持用アーム521に設けられた被写体M1の顎(頭部MH)を固定するチンレストである被写体固定部522とで構成され、被写体保持用アーム521には表示装置20が組付けられている。このように構成されることにより、被写体固定部522に頭部MHを固定した被写体M1の前方には支柱40が配置されず、操作者は被写体M1の正面から被写体M1の頭部MHをX線撮影装置1に対して位置付けできる。
このように構成された上部フレーム51は、下部フレーム52と独立して支柱40に沿って昇降可能であり、X線CT撮影などを実行する際に適宜被写体固定部522に対して固定された被写体M1の頭部MHの位置に対してX線発生器11とX線検出器12とが吊下げ固定された旋回アーム30の位置を調整できる。
なお、被写体固定部522は、被写体M1(頭部MH)を左右から固定するヘッドホルダやイヤロッドなどで構成してもよい。
表示装置20は、頭部MHの前方において被写体M1の視野範囲Vを覆うように配置され、X線CT撮影中に仮想の静止画像を被写体M1に見せるための表示装置であり、図2に示すように、被写体保持用アーム521に表示装置20を固定支持する支持部21と、被写体M1の視野範囲Vを覆うように円弧状に形成された投影型の表示部22と、表示部22の上方において被写体M1の前方の情景を撮像する視野カメラ23とで構成され、視野カメラ23には上方に向かって三方に突出するように配置した三次元位置測定マーカ24が備えられている。
なお支持部21は被写体保持用アーム521に固定されているが、被写体保持用アーム521から取り外しできる構成としてもよい。
表示部22は、後述する視野カメラ23で撮像した撮影画像Irに基づいて合成した合成画像Icを表示する投影型のスクリーンであり、図3に示すように、X線発生器11とX線検出器12との間に挟まれた頭部MHの前方側であって、X線発生器11及びX線検出器12が旋回中心Scを回転軸として旋回することで形成される平面視ドーナッツ状の旋回領域Dと頭部MHとの間に設けられている。
この表示部22は、図3(a)に示すように、平面視で円弧状に形成されており、被写体M1がX線発生器11及びX線検出器12を支持する旋回アーム30や、X線発生器11やX線検出器12が見えないように被写体M1の視野範囲Vを覆うように構成されている。
具体的には、表示部22は、被写体M1の視野範囲V(被写体M1の正面を基準とした場合の被写体M1の幅方向およそ±115度の範囲)を覆うように、被写体M1の正面を基準として幅方向(被写体M1の左右方向)±120°の位置に両端が配置されるように円弧形状に形成されたシート体である。
また、表示部22の高さは、図3(b)に示すように、被写体M1の正面を基準とした場合における上方の視野範囲Vである仰角が60度を超える位置に上端が配置されている。また、下端はX線発生器11及びX線検出器12を支持する旋回アーム30の下端部分が見えないように、被写体M1の下唇の位置となるように配置されている。
なお、表示部22の両端の位置や高さ、形状は、本実施形態の内容に限定する必要はなく、旋回アーム30の移動が被写体M1の視野範囲Vに入らなければどのような形状や端部の位置、高さでもよく、例えば幅方向両端が±120よりも小さくても大きくてもよいし、また例えば表示部22の下端が被写体M1の視野範囲Vにおける俯角60度となる位置に配置されるように表示部22の高さを適宜変更してよい。より具体的には、表示部22を頭部MHに近づけた場合、表示部22の高さ方向を小さくできる。
撮像部に対応する視野カメラ23は、被写体M1の正面側に広がる情景を映せるように表示部22の上方に備えられている。より具体的には、視野カメラ23は被写体M1の前方の情景を動画である撮影画像Irとして記録するカメラ本体231と、撮影画像Irを撮像するカメラ部232とで構成されている。
カメラ本体231は、表示部22の上方に設置された視野カメラ23の本体である。表示部22に表示される視認情景Ivを撮像するカメラ本体231は表示装置20をX線撮影装置1から除去した場合に被写体M1の視野に広がる情景と極力近い情景を確保するため、被写体M1の前後方向における目の位置と略同じ位置となるように後方に配置されている。
三次元位置測定マーカ24は、三次元位置検出部90と共働して、表示装置20の位置及び姿勢を検知するためのマーカであり、空間で三角形を描くように配置された3つのターゲット24aと、これらのターゲット24aを先端に固定した3本のアーム24bとで構成し、これらの3本のアーム24bのそれぞれが、互いに交差するように立設されている。
三次元位置検出部90は、表示装置20に配置した三次元位置測定マーカ24のターゲット24aを撮像する一組の赤外線位置検出カメラで構成し、後述する位置検出処理部60jで、得られたデジタル画像を二値化処理して、それぞれの三次元位置を演算して、測定対象の三次元位置データを得ることができる。これにより得られた三次元位置データに基づいて表示装置20に表示する画像を調整できる。この三次元位置検出部90は、例えば支柱40に固定した図示しないアームやX線撮影装置1が置かれる部屋の壁等、適宜の箇所に設けるようにできる。
なお、3つのターゲット24aの代わりに、ジャイロで構成する姿勢検出機(図示省略)を備え、表示装置20の三次元位置及び姿勢を測定する構成であってもよい。
さらには、ターゲット24aの代わりに反射板を用い、反射板にレーザ光線を照射して、その反射光を測定することによって、三次元位置を測定する構成や、反射部で反射する赤外線により位置検出する赤外線センサ検出部、又は、磁気発生源と磁気検出器と、あるいは電波発信機から発信された電波信号により位置検出する電波検出部で構成してもよく、さらには磁気発生器と磁気検出器を使用してもよい。
本体制御部60は、本体部2の各構成の動作を制御する制御部であり、図1に示すように、旋回アーム30のX線検出器12を吊り下げ固定する側の内部に配置されている。
詳しくは、本体制御部60には、図4に示すように、X線発生器11、X線検出器12を駆動させるX線検出器駆動部12K、旋回アーム30の昇降及び旋回を駆動する旋回駆動部30K、下部フレーム52の昇降を駆動する被写体保持部駆動部52K、表示装置20、三次元位置検出部90、操作部として機能する操作部61、撮影画像等表示部62、記憶部63、及び演算部64が接続され、各構成と通信して構成を制御している。
なお、操作部61には、CT撮影前に操作することで、旋回アーム30を撮影開始位置Psに移動させる操作スイッチであるスタンバイスイッチ65aと、操作し続けることで、X線発生器11からX線検出器12に向かってX線コーンビームBxを照射するとともに、旋回アーム30を旋回させて選択されたX線CT撮影を実行する操作スイッチである撮影駆動スイッチ65bを備えたスイッチ部65が接続されている。
また、撮影駆動スイッチ65bには、従来から「デッドマンスイッチ」と称される周知の押下スイッチを用いることができ、さらに、1回目のONで旋回アーム30を撮影開始位置Psに移動させ、2回目のON(押下げ続け)の間、X線コーンビームBxを照射し続ける、スタンバイスイッチ65aの機能も兼ねることができる。
記憶部63は、表示部22に表示する合成画像Icや視野カメラ23で撮影した撮影画像Ir、撮影画像Irを撮影するための制御プログラム、合成画像Icを生成のため演算プログラム、X線CT撮影するための撮影プログラムなどの本体制御部60によって各構成を制御するための制御プログラム、X線CT撮影された投影データ、X線CT画像のようなボリュームデータに基づいて生成されたX線撮影画像等を記憶する記憶部である。
演算部64は、記憶部63に記憶された種々の投影データ及び演算プログラムに基づいて三次元X線画像を生成する演算部であり、記憶部63に記憶する投影データからX線CT画像を生成するX線画像生成部641と、記憶部63に記憶する撮影画像Irや合成画像Icから一部分の情報を切り取って合成前処理静止画像Ibを生成する空間情報画像切取部642と、撮影画像Irに対して切り取った空間情報画像Ixを合成前処理静止画像Ibに対して貼り付ける空間情報画像貼付部643とで構成されている。
このように各構成と接続された本体制御部60は、図4に示すように、記憶部63に記憶した制御プログラムと協働して、所望のX線撮影(ここではX線CT撮影とする)に応じた撮影プログラムを読み込むプログラム設定制御部60a、旋回駆動部30Kを制御する旋回アーム駆動制御部60b、取得した投影データに基づいて三次元X線画像の生成を制御するX線画像生成制御部60c、X線発生器11及びX線検出器12の位置を検出する旋回位置情報取得部18を制御し位置情報Ipの読み取り制御を行う位置情報読取制御部60d、X線検出器12を駆動制御するX線検出器駆動制御部60e、被写体保持部駆動部52Kを駆動制御する被写体保持部駆動制御部60f、表示部22に表示する表示情報を制御する表示情報制御部60g、視野カメラ23を制御するカメラ制御部60h、X線発生器11を駆動制御するX線発生部駆動制御部60i、三次元位置検出部90を制御し表示装置20の位置や傾きなどを検知する位置検出処理部60jとして機能する。
具体的にプログラム設定制御部60aは、記憶部63に記憶された撮影プログラムの条件などを読み込む読込制御や、操作者が設定した設定情報を撮影プログラムに反映させる処理を実行する。旋回アーム駆動制御部60bは、プログラム設定制御部60aの制御により読込み・設定された撮影プログラムの撮影条件に基づいて旋回駆動部30Kの駆動を制御し、旋回アーム30の移動や旋回などを制御する。
なお、旋回アーム30の移動や旋回等とは、旋回軸31を旋回させることによる旋回アーム30の旋回のみならず、旋回軸31の平行移動や昇降移動に基づく、旋回アーム30の平行移動や昇降移動や、上部フレーム51の昇降移動による旋回アーム30の昇降移動であってもよい。
X線画像生成制御部60cは、記憶部63に記憶した投影データを読み込むとともに、読み込まれた投影データに基づいて三次元X線画像を生成するX線画像生成部641を制御する制御部である。位置情報読取制御部60dは、X線発生器11及びX線検出器12の位置をX線撮影の条件及び撮影時間などから位置情報Ipを把握する機能を有する旋回位置情報取得部18を制御することで、X線発生器11とX線検出器12の位置を把握する。
なお旋回位置情報取得部18は、本実施形態では、X線撮影条件からX線発生器11及びX線検出器12の旋回位置情報を取得する構成であるが、例えばX線発生器11及びX線検出器12の位置を検出するため旋回軸31に取付けられたポテンショメータや、赤外線や超音波、磁気などを利用してX線発生器11及びX線検出器12の旋回位置情報を取得するセンサなどで構成されてもよい。
X線検出器駆動制御部60eは、X線検出器12をX線コーンビームBxの検出ができるように制御するのみならず、旋回アーム30に保持されているX線検出器12の上下左右方向の移動も制御する。被写体保持部駆動制御部60fは、被写体保持部駆動部52Kを駆動制御することにより、被写体固定部522の位置を測定に合わせた位置に移動させることができる。
表示情報制御部60gは、撮影画像Irを読み込む制御をする画像読込制御部60gaと、表示部22に表示する合成画像Icの生成を制御する画像生成演算制御部60gbとで構成されている。なお、画像読込制御部60gaは撮影画像Irの一部を静止画として読み込むこともできる。この表示情報制御部60gと位置情報読取制御部60dとで表示制御部として機能する。
カメラ制御部60hは、視野カメラ23による撮影画像Irの撮影を制御するとともに、取得した撮影画像Irを記憶部63に保存することを制御し、X線発生部駆動制御部60iは、ビーム成形機構13の開口の高さ及び幅を制御することで例えばコーンビームなどを生成する制御を行う。
位置検出処理部60jは、三次元位置検出部90を制御するとともに、得られたデジタル画像を二値化処理して、それぞれの三次元位置を演算して、表示装置20の三次元位置データを得るとともに、表示情報制御部60gと協働して、合成画像Icを表示装置20の角度や位置、奥行に合わせて調整して表示部22に表示する。
本体部2を収容する防X線室70の壁の外側には、本体制御部60の制御に基づいて、本体制御部60に対して各種の命令入力を実現するための操作ボタン等で構成された操作部61が取り付けられている。
情報処理装置8は、情報処理本体部81と、例えばX線CT撮像画像などを映す撮影画像等表示部62としても機能する液晶モニタ等のディスプレイ装置からなる撮影画像等表示部82と、キーボードやマウス等で構成される操作部83で構成され、情報処理本体部81の内部に備えた制御部によって各構成を制御するため制御プログラム等を読み込み制御し、X線撮影装置1の測定に関する制御を行っているが、詳細については割愛する。
次に、X線撮影装置1を用いたX線CT撮影中において、表示部22に表示される合成画像Icの生成方法について図5乃至図10に基づいて説明する。
ここで、合成画像Icとは、視野カメラ23で撮影された撮影画像Irに基づいて生成された合成の動画である。
はじめに、X線撮影装置1を用いたX線CT撮影において、図2に示す表示装置20を構成する表示部22に表示される合成画像Icを生成する生成方法を図5のフローチャートに基づき簡単に説明する。
X線CT撮影の前段階として、X線発生器11及びX線検出器12が撮影開始位置Psに配置されていない状態における視野画像に対応する調整静止画像Ieを予め撮影し、記憶部63に保存してある(ステップs0)。
被写体M1の口腔内のX線CT撮影をするにあたり、被写体M1の頭部MHを被写体固定部522に固定する。そして操作部61を操作することで、被写体保持部駆動制御部60fの制御により被写体保持部駆動部52Kが駆動し、被写体M1の顎部を固定した被写体固定部522を昇降させることができる。これにより、X線コーンビームBxを照射するための所望の位置に頭部MHを配置できる。
次に、操作者が図1及び図4に示される撮影画像等表示部82や操作部83などにより、X線CT撮影の撮影条件を入力することで、プログラム設定制御部60aの制御により、記憶部63から該当するX線CT撮影の撮影プログラムが読み込まれるとともに、撮影条件の入力を受け付けて撮影プログラムに反映される(ステップs1)。
そして、操作者がスイッチ部65を操作することで、旋回アーム駆動制御部60bの制御により旋回駆動部30Kが駆動し、X線発生器11及びX線検出器12が撮影条件で定めた撮影開始位置Psに配置され(ステップs2)、カメラ制御部60hの制御により視野カメラ23が動画である撮影画像Irの撮影を開始する(ステップs3)。なお、撮影画像Irは記憶部63に保存される。
このとき、位置情報読取制御部60dが旋回位置情報取得部18を制御することで、撮影条件からX線発生器11とX線検出器12の位置情報Ipを取得し(ステップs4)、また予め撮影された調整静止画像Ieを読み込むとともに(ステップs5)、位置情報Ipに基づいて調整静止画像IeからX線発生器11及びX線検出器12に対応する画像を空間情報画像Ixとして切り取る(ステップs6)。
そして、画像読込制御部60gaの制御により、記憶部63に記憶されている撮影画像Irから、撮影開始位置Psにおける静止画像を撮影静止画像Ir1として読み込み、撮影静止画像Ir1からX線発生器11及びX線検出器12に対応する画像を位置情報Ipに基づき切取画像Idとして切り取る(ステップs7)。すなわち、切取画像Idの部分が欠落した合成前処理静止画像Ibを生成する。そして、合成前処理静止画像Ibに対して、X線発生器11及びX線検出器12に対応する位置、すなわち、切取画像Idが存在していた位置に切取画像Idに代えて空間情報画像Ixを張り付ける処理を行い、合成静止画像Ic1を生成する(ステップs8)。
なお、ステップs7において生成される、切取画像Idの部分が欠落した撮影静止画像Ir1のような合成の準備の済んだ画像を合成前処理静止画像Ibとする。
そして表示部22の電源が入力されるとともに、表示部22には合成静止画像Ic1が表示される(ステップs9)。すなわち、被写体M1は表示部22を介して何も映っていない合成静止画像Ic1を視ることとなる。
この状態で、操作者が撮影駆動スイッチ65bを操作することでX線CT撮影が開始される(ステップs10)。
X線CT撮影が開始されることにより、X線発生器11などの旋回中は、X線発生部駆動制御部60iの制御によりX線発生器11からはX線コーンビームBxが照射されるとともに、X線検出器駆動制御部60eの制御によりX線検出器駆動部12Kが駆動し、X線検出器12で被写体M1の投影データが収集され、記憶部63に記憶される。
このとき、X線発生器11及びX線検出器12を吊下げ固定した旋回アーム30が撮影開始位置Psから回動するとともに(ステップs11)、視野カメラ23がX線発生器11及びX線検出器12が撮影開始位置Psから回動する視野画像である撮影画像Irを引き続き撮像し、記憶部63に保存する。
さらに、位置情報読取制御部60dが旋回位置情報取得部18を制御することで、回動したX線発生器11とX線検出器12の位置情報Ipを把握する(ステップs12)。
次に、画像読込制御部60gaの制御により記憶部63から直前に撮影された画像、すなわち撮影開始位置Psから回動する直前の撮影静止画像Ir1を読み込むとともに(ステップs13)、回動後の位置における視野画像である撮影静止画像Ir2を読み込み、空間情報画像切取部642の制御により、位置情報Ipに基づいた撮影静止画像Ir2におけるX線発生器11及びX線検出器12に対応する位置の空間情報画像Ixを、直前に撮影した撮影静止画像Ir1から切り取り、記憶部63に保存する(ステップs14)。
また、画像読込制御部60gaの制御により現在の撮影静止画像Ir2から、X線発生器11及びX線検出器12の位置情報Ipに対応する画像を切取画像Idとして切り取り、合成前処理静止画像Ibを生成するとともに(ステップs15)、画像生成演算制御部60gbの制御により、空間情報画像貼付部643が撮影静止画像Ir1から切り取った空間情報画像Ixを合成前処理静止画像Ibにおける切取画像Idの位置に貼り付ける処理をして合成静止画像Ic2を生成し(ステップs16)、表示部22に表示する(ステップs17)。
そして、X線CT撮影が終了しない場合(ステップs18:No)は、X線発生器11及びX線検出器12をさらに回動し(ステップs11)、以下同じの工程を行う(ステップs13〜s18)。これにより、表示部22には静止画像である合成静止画像Ic1、Ic2…が連続して表示される。すなわち、表示部22にはあたかも動画である合成画像Icが表示される。
一方で、X線CT撮影が終了する場合(ステップs18:Yes)は、表示装置20の電源を落とし、終了する。
上述のX線CT撮影中において表示部22に表示する合成画像Icの生成について、図6乃至図10に基づいてより詳細に説明する。
はじめに、X線CT撮影中において被写体M1が見る視認情景Ivと視野カメラ23により撮像される撮影画像Irについて図6に基づいて簡単に説明する。
図6はX線撮影装置1によるX線CT撮影及びX線CT撮影において視野カメラ23で撮像した撮影画像Irの説明図を示す。
詳述すると、図6(a)乃至図6(c)は被写体M1の頭部MHを挟んで対向配置されたX線発生器11とX線検出器12とが旋回している状態において表示装置20に固定された視野カメラ23で撮像される撮影画像Irの変化を示す。
また、図6(a)乃至(c)において、左側には頭部MHを挟んで対向配置されたX線発生器11及びX線検出器12の旋回を表した平面図を示し、右側上方に表示部22がない場合に被写体M1の視野範囲Vに映る視認情景Ivを示し、右側下方に視野カメラ23が撮像する撮影画像Irを示す。
なお、以下において、旋回中心Scを旋回軸とした旋回アーム30の回動に合わせた各位置における静止画像を撮影静止画像Irn(nは整数とする。)とし、撮影開始位置Psにおける撮影静止画像Irnを撮影静止画像Ir1とする。
X線CT撮影中において視野カメラ23で撮像された撮影画像Irは、図6(a)乃至(c)に示すように、表示部22がない場合に被写体M1の視野範囲Vに映る視認情景Ivと同じく、X線検出器12(及びX線発生器11)を吊り下げ固定している旋回アーム30(以下、説明を分かりやすくするため、旋回アーム30を省略して、X線検出器12とする。)が被写体M1の頭部MHの視野を左方から右方に横切る撮影静止画像Irnがコマ送りされた動画となる。
次に、被写体M1と旋回領域Dとの間に配置された表示部22に表示され、被写体M1が見ることとなる合成画像Ic及びその生成方法及び被写体M1が見る情景について図7乃至図10に基づいて説明する。
図7及び図8は投影型の表示部22に表示される合成画像Icおよびその生成方法についての説明図を示す。
詳しくは、図7(a)はX線発生器11及びX線検出器12が撮影開始位置Psに配置されていない状態において予め撮影された静止画像である調整静止画像Ieを示し、図7(b)はX線検出器12が撮影開始位置Psにおいて撮像された撮影画像Irの一フレームに相当する撮影静止画像Ir1を示し、図7(c)は撮影静止画像Ir1から切取画像Idを切り取った合成前処理静止画像Ib1を示し、図7(d)は撮影静止画像Ir1に基づいて生成された合成画像Icの一フレームに相当する合成静止画像Ic1を示す。
図8(a)はX線検出器12が撮影開始位置Psにおいて撮像された撮影画像Irの一フレームに相当する撮影静止画像Ir1を示し、図8(b)は旋回アーム30が撮影開始位置Psから回動した位置で撮像された撮影画像Irの一フレームに相当する撮影静止画像Ir2を示し、図8(c)は撮影静止画像Ir2から切取画像Idを切り取った合成前処理静止画像Ib2を示し、図8(d)は撮影静止画像Ir2に基づいて生成された合成画像Icの一フレームに相当する合成静止画像Ic2を示す。
なお、図7及び図8では、撮影静止画像Ir1や合成静止画像Ic1などにおいては表示されないX線検出器12を破線で表し、その位置を便宜上示している。
また、図7及び図8において、撮影静止画像Irnは、撮影開始位置Psから順にX線発生器11及びX線検出器12の回動に対応して、それぞれ撮影静止画像Ir1、Ir2・・・とする。
また、X線発生器11及びX線検出器12が撮影開始位置Psに配置されていない状態の静止画である調整静止画像Ieや、撮影開始位置Psにおいて撮像された撮影静止画像Ir1、旋回アーム30が旋回している最中に撮像される撮影静止画像Ir2などを、便宜上6パートに分割し、左からそれぞれパートA、B、C、D、E、Fとする。
なお、調整静止画像IeにおけるパートAを『A0』、パートBを『B0』・・・とし、撮影開始位置Psに対応する撮影静止画像Ir1におけるパートAを『A1』、パートBを『B1』・・・とし、撮影静止画像Ir2におけるパートAを『A2』、パートBを『B2』・・・と定義する。
また便宜上、旋回アーム30の旋回によりX線検出器12は撮影静止画像Ir1乃至Ir6におけるパートA〜Fを順に移動することとする。
すなわち、X線検出器12は、撮影開始位置PsではA1に配置されており、旋回アーム30の回動に合わせてX線検出器12は撮影静止画像Ir2におけるB2に移動し、以下、パートA〜Fを順に移動することとする。
はじめに、図7(a)に基づいて、予め撮像された調整静止画像Ieについて説明する。
調整静止画像Ieは、X線CT撮影の前に予め撮影された静止画像である(ステップs0)。具体的には、X線発生器11及びX線検出器12が撮影開始位置Ps以外の位置に配置された状態、例えばX線検出器12が『D0』の位置に配置されている場合に撮像された静止画像であり、記憶部63に保存されている。
なお、X線検出器12は必ずしも『D0』に配置されている必要はなく、撮影開始位置PsにおいてX線発生器11及びX線検出器12が配置されている位置と対応する位置でなければどこでもよい。また、調整静止画像Ieの取得は、撮影静止画像Ir1の取得のタイミングにできるだけ近いタイミングで、例えば撮影開始直前に行うのが好ましい。
次に、図7(b)に示すように、撮影開始位置PsにX線発生器11及びX線検出器12が配置された場合における撮影静止画像Ir1では、位置情報読取制御部60dの制御により得られたX線検出器12の位置情報IpからX線検出器12が『A1』に表示されていることが認識される(ステップs4)。
この位置情報Ipに基づいて、撮影静止画像Ir1における『A1』に対応する、調整静止画像Ieの『A0』の画像を空間情報画像Ixとして切り取るとともに(ステップs6)、直前の撮影静止画像Ir1においてX線検出器12が表示されている『A1』を切取画像Idとして切り取ることで、図7(c)に示すように、切取画像Idの部分が欠落した合成前処理静止画像Ib1を生成する(ステップs7)。そして、図7(d)に示すように、切取画像Id(『A1』)の代わりに空間情報画像Ix(『A0』)を張り付けることで、合成静止画像Ic1が生成され(ステップs8)、表示部22に表示される(ステップs9)
換言すると、生成された合成静止画像Ic1は、図7(d)に示すように、左から調整静止画像Ieに基づく『A0』と、撮影静止画像Ir1に基づく『B1』『C1』『D1』『E1』『F1』とで構成されており、合成静止画像Ic1にはX線検出器12及び旋回アーム30が表示されていない。
なお、上述の空間情報画像Ixは補填用画像の一種である。この補填用画像にはX線発生器11やX線検出器12など、通常にX線撮影すると旋回移動する要素が写っていない画像と、写っている画像とがある。本実施形態の場合、空間情報画像Ixは旋回移動する要素が写っていない補填用画像の例である。
次に、図8に示すように、旋回アーム30が回動してX線検出器12が『B2』の位置に配置された場合について説明する。この場合、図8(b)に示すように、位置情報読取制御部60dの制御により、X線検出器12が撮影静止画像Ir2における『B2』に配置されている旨の位置情報Ipが得られる(ステップs13)。
そのため、図8(a)に示すように、撮影静止画像Ir2における『B2』に対応する撮影静止画像Ir1の『B1』を空間情報画像Ixとして切り取るとともに(ステップs14)、図8(c)に示すように、撮影静止画像Ir2においてX線検出器12が表示されている『B2』を切取画像Idとして切り取ることで、切取画像Idの部分が欠落した撮影静止画像Ir2、すなわち合成前処理静止画像Ib2を生成し(ステップs15)、切取画像Id(『B2』)の代わりに空間情報画像Ix(『B1』)を張り付けることで、撮影静止画像Ir2に対応する合成静止画像Ic2が生成され(ステップs16)、表示部22に表示される(ステップs17)。
このように生成された合成静止画像Ic2では、図8(d)に示すように、左から『A2』、『B1』『C2』『D2』『E2』『F2』によって構成されており、表示部22にはX線検出器12及び旋回アーム30が表示されない。
このように、X線CT撮影が終了するまで(ステップs18:Yes)旋回アーム30の回動に合わせて順に生成された合成静止画像Ic1、Ic2、Ic3…が生成され、図9及び図10に示すように、順番にコマ送りされて表示部22に表示される。このため、被写体M1はX線検出器12及び旋回アーム30が表示されない合成画像Icを視ることとなる。
以下、図9及び図10に基づいて、表示部に表示される合成画像Icについて詳述する。
ここで、図9(a)乃至図9(c)及び図10(a)乃至図10(c)はX線CT撮影中、すなわち被写体M1の頭部MHを挟んで対向配置されたX線発生器11とX線検出器12とが旋回する場合における表示部22に表示される動画である合成画像Icを、X線発生器11とX線検出器12の位置毎に合成された各フレームの合成静止画像Icn(nは整数を表す。)として示す。すなわち、表示部22に表示される合成画像Icは合成静止画像Icnをコマ送りした動画である。
また、図9(a)乃至(c)及び図10(a)乃至(c)は、左側にX線CT撮影において被写体M1の頭部MHの周囲を旋回するX線発生器11及びX線検出器12の旋回を示した平面図を示し、右側上方に表示装置20がない場合において被写体M1が見る視認情景Ivを示し、右側下方に被写体M1が表示部22を介して見る合成画像Icを示す。また、図9及び図10では、実際の合成画像Icにおいては表示されないX線検出器12を破線で表し、その位置を便宜上示している。
例えば、図9(a)に示すように、X線検出器12などが撮影開始位置Psに配置されている場合、表示装置20がなければ、被写体M1は左側の端部にX線検出器12(旋回アーム30)が見えることとなるが、表示部22に表示される合成画像IcにはX線検出器12(旋回アーム30)が表示されないため、被写体M1は何も表示されない画面を見ることとなる。
そして、X線CT撮影が開始することにより、図9(b)乃至(c)及び図10(a)乃至(c)に示すように、X線発生器11及びX線検出器12が時計回りに旋回する。これにより、表示装置20がない場合には被写体M1の視野において左方から右方に向かって横切るX線検出器12(旋回アーム30)が見えるが、表示部22にはX線検出器12などが映し出される撮影画像Irの代わりにX線検出器12(旋回アーム30)などが映し出されていない合成画像Icが表示されるため、表示部22にはX線検出器12(旋回アーム30)などが表示される。
このため、被写体M1は、X線発生器11及びX線検出器12が撮影開始位置Psから旋回中心Scを旋回軸として旋回している間、何も表示されない表示部22を見ることとなる。すなわち、被写体M1の視野をX線検出器12(旋回アーム30)などが横切ることがないため、被写体M1の頭部MHを確実に固定できる。
なお、上述の例では、便宜上、撮影静止画像Irnなどを6つのパートに分けているが、実際のデータ処理では得られた各ピクセルに対して位置情報Ipを取得し切取処理などを行う構成としてもよい。
このように表示装置20が備えられたX線撮影装置1では、被写体M1はX線発生器11及びX線検出器12を吊り下げ固定している旋回アーム30が映らない合成画像Icを見ることとなるため、旋回アーム30が被写体M1の視野を横切ることがない。つまり、被写体M1が回動するX線検出器12を目で追うことで頭部MHが動き、得られたX線CT画像がぼけてしまうことがなく、頭部MHが不用意に動くことを防止でき、鮮明なX線CT画像を取得することができる。
このように、被写体M1を挟んで対向配置したX線発生器11とX線検出器12とが旋回中心Scの周りを旋回して被写体M1のX線画像を生成するX線撮影装置1とともに使用され、旋回するX線発生器11及びX線検出器12の旋回領域Dより旋回中心Sc側における被写体M1の前方の視野範囲Vを覆うように配置されるとともに、X線発生器11及びX線検出器12の旋回に応じて所定の表示内容(図9及び図10に示す合成画像Ic)を被写体M1に対して表示する表示部22が備えられた表示装置20とすることにより、被写体M1の視野範囲Vを覆うように配置された表示部22に所定の表示内容(合成画像Ic)が表示された状態でX線CT撮影が行われるため、X線発生器11とX線検出器12が旋回するX線CT撮影中において、被写体M1の視野では、X線発生器11とX線検出器12を吊り下げ固定している旋回アーム30が移動することはなく、注意が逸れることを防止でき、被写体M1の頭部MHが動くことを防止できる。
また、表示部22は、被写体M1の視野範囲Vに映し出される現実の情景を撮影した撮影画像Irを基に生成した合成画像Icが表示される、すなわち現実の情景に基づいた情景を視認できる構成である。詳述すると、表示部22に表示される合成画像Icは、撮影画像IrにおいてX線発生器11及びX線検出器12の少なくとも一方によって遮られる部分に対応する仮想の空間情報画像Ixが、撮影画像IrにおけるX線発生器11及びX線検出器12に対応する位置(切取画像Id)に表示されるため、表示部22にはX線発生器11やX線検出器12を吊り下げ固定している旋回アーム30が映し出されない。
確かに、空間情報画像Ixの領域は仮想の領域であるが、これを除いては、現実の情景をそのまま視認できる。また、空間情報画像Ixの領域にしても、現実と無関係な画像を表示するのではなく、ほとんどが僅かな時間差のある現実の情景である。調整静止画像Ieを撮影開始直前に取得する場合はなおさらである。
したがって、合成画像Icは現実の情景に基づいた情景ということができ、当該情景を見つつも、目でX線発生器11やX線検出器12を吊り下げ固定している旋回アーム30を追うことがなく、不用意に頭部MHが動くことが防止できる。
また、被写体M1の視野を遮る部分の空間情報に対応する位置に空間情報画像Ixを貼り付けた合成画像Icが表示部22に表示されるため、例えば、空間情報画像以外の部分については表示部22がない状態での被写体M1の視野と同じ情景となる。これにより、被写体M1がX線CT撮影中に視野範囲Vを表示部22で覆われていることによる不安や緊張を緩和でき、被写体M1の心的負担を軽減でき、より被写体M1の頭部MHが動くことを防止できる。
なお、本実施形態では、表示部22には合成画像Icを表示しているが、必ずしも合成画像Icである必要はなく、例えば調整静止画像Ieを表示してもよい。
また、X線発生器11及びX線検出器12の旋回位置に関する位置情報Ipを取得する旋回位置情報取得部18が備えられることにより、表示部22に表示されるX線発生器11及びX線検出器12に対応した位置を正確に把握することができるため、被写体M1の視野を移動するX線発生器11又はX線検出器12に対応した部分の切取画像Idに、対応する直前の空間情報画像Ixのみを精度よく置き換えることができる。このように合成画像Icに置き換える部位を低減することができ、すなわち被写体M1の視野との情景の差異を低減できるため、よりリアルな画像である合成画像Icを被写体M1に提供することができる。
このため、例えば表示部22に表示される画像が静止画である場合や置き換えられる空間情報画像Ixの範囲が大きいために表示部22に表示される合成静止画像Icnに連続性がなく合成画像Icがとびとびの動画となる場合に比べ、連続した滑らかな合成画像Icとすることができるため、被写体M1の視野との情景の差異を低減できる。これにより、被写体M1は周囲の状況をより把握することができ、被写体M1の心的負担を軽減でき、被写体M1は表示部22により集中することができるため、不用意に頭部MHが動くことがより確実に防止できる。
また、視認情景Ivを撮影画像Irとして撮像する視野カメラ23が備えられることにより、表示装置20がない場合に被写体M1が見える撮影画像Irを視野カメラ23で取得することができるため、被写体M1の視野に合わせた仮想の合成画像Icを表示部22に表示できる。すなわち、リアルな合成画像Icを表示部22に表示できるため、被写体M1の視野との情景の差異をより低減できる。
また、表示装置20が被写体M1の頭部の前面における視野範囲Vを覆う位置においてX線撮影装置1に設置されることにより、所定の位置(視野範囲Vを覆う位置)に表示部22が配置されるため、安定した空間画像を表示部22に表示できる。
さらに、三次元位置測定マーカ24及び三次元位置検出部90、すなわち表示部22の三次元位置を検知する三次元位置検知部を備えることにより、表示装置20の位置や角度を検知することができるため、その位置に合わせた撮影画像Irや合成画像Icを表示部22に表示することができ、より被写体M1の視野との情景の差異をより低減できる。
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の、医療用X線撮影装置はX線撮影装置1に対応し、以下同様に、
空間情報は、視認情景Ivに対応し、
撮像部は視野カメラ23に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
本実施形態において、表示部22には旋回するX線発生器11やX線検出器12により遮られる被写体M1の視野における一部分に対応するように空間情報画像Ixを張り付けた合成画像Icを表示している。この合成画像Icは、X線検出器12などが被写体M1の視野範囲Vを横切らないように加工されているため、頭部MHが動くことを防止しているが、表示部22に表示される画像は、必ずしもこれに限定されない。
例えば、頭部MHが動くことを防止できるように、被写体M1の視野範囲Vを横切るものがないような画像を表示することが好ましい。また、図11に示すように、X線撮影中に回動するX線発生器11及びX線検出器12が撮影開始位置Psの配置されている合成画像Icを表示部22に表示してもよい。
ここで、図11(a)はX線発生器11及びX線検出器12が撮影開始位置Psに配置されている場合における表示部22に表示される合成画像Icの一フレームを示し、図11(b)及び(c)はX線発生器11及びX線検出器12が撮影開始位置Psから時計回りに回動した場合において表示部22に表示される合成画像Icをそれぞれ示す。
なお、図11(b)及び(c)では、表示部22には表示されない、回動しているX線検出器12及び旋回アーム30を破線で表示する。
このように、X線撮影中であってもX線発生器11及びX線検出器12が撮影開始位置Psに固定して配置されている合成画像Icが表示部22に表示されているため、すなわち被写体M1の視野範囲VをX線発生器11及びX線検出器12が横切ることがないため、頭部MHが移動することを確実に防止できる。
以下、X線発生器11及びX線検出器12が撮影開始位置Psの配置されているような合成画像Icを表示部22に表示する方法について、図12のフローチャート及び図13に基づいて簡単に説明する。
なお、図13は、表示部22に表示される合成画像Icの生成方法を示し、詳しくは、図13(a)は撮影開始位置Psにおける撮影静止画像Ir1を示し、図13(b)はX線発生器11及びX線検出器12を回動させた位置における撮影静止画像Ir2を示し、図13(c)は撮影静止画像Ir2から切取画像Idを削除した合成前処理静止画像Ib2を示し、図13(d)は表示部22に表示される合成静止画像Ic2を示す。
はじめに、ステップs1〜s3と同様に、操作者が撮影画像等表示部82などにより、X線CT撮影の撮影条件を入力し、撮影条件を撮影プログラムに反映したのちに(ステップt1)、操作者がスイッチ部65を操作することで、X線発生器11及びX線検出器12が撮影条件で定めた撮影開始位置Psに配置するように旋回アーム30が回動する(ステップt2)。そして、カメラ制御部60hの制御により撮影開始位置Psにおいて、撮影画像Irを視野カメラ23で撮像を開始する(ステップt3)。なお撮影画像Irは記憶部63に保存される。
次に、画像読込制御部60gaにより、記憶部63から撮影開始位置Psにおける撮影静止画像Ir1を読み込む制御が行われるとともに(ステップt4)、撮影開始位置での位置情報Ipを撮影条件から読み取り(ステップt5)、画像生成演算制御部60gbの制御により、演算部64を構成する空間情報画像切取部642により撮影静止画像Ir1に写り込んだX線発生器11及びX線検出器12の画像を位置情報Ipに基づいて開始位置画像Imとして切取、記憶部63に保存する(ステップt6)。また、撮影静止画像Ir1を表示部22に表示する(ステップt7)
この状態で、操作者が撮影駆動スイッチ65bを操作することでX線CT撮影が開始される(ステップt8)。
X線CT撮影が開始されることにより、ステップs10〜s18と同様に、X線発生器11及びX線検出器12を吊下げ固定した旋回アーム30が撮影開始位置Psから回動する(ステップt9)。このため、カメラ制御部60hの制御による視野カメラ23により、撮影開始位置PsからX線発生器11及びX線検出器12が回動する撮影画像Irが引き続き撮像され、記憶部63に保存される。
また、位置情報読取制御部60dが旋回位置情報取得部18を制御することで、回動した位置におけるX線発生器11とX線検出器12の位置情報Ipを把握される(ステップt10)。なお、X線発生器11及びX線検出器12が回動した、現在の状態における撮影静止画像を撮影静止画像Ir2とする(図13(b)参照)。
次に、画像読込制御部60gaの制御により記憶部63から回動の直前の撮影静止画像Ir1が読み込まれ(ステップt11)、図13(a)に示すように、空間情報画像切取部642の制御により、回動した位置におけるX線発生器11及びX線検出器12の位置情報Ipに対応する位置の空間情報画像Ixを、撮影静止画像Ir1から切り取り、記憶部63に保存する(ステップt12)。
そして、画像読込制御部60gaの制御により現在の撮影静止画像Ir2から、図13(c)に示すように、撮影静止画像Ir2取得タイミングでのX線発生器11及びX線検出器12の位置情報Ipに対応する画像及び撮影開始位置Psにおける位置情報Ipに対応する画像を切取画像Idとして切り取ることで、切取画像Idの部分が欠落した撮影静止画像Ir1すなわち合成前処理静止画像Ib2を生成する(ステップt13)。
そして、画像生成演算制御部60gbの制御により、図13(d)に示すように、空間情報画像貼付部643の制御により撮影静止画像Ir1から切り取った空間情報画像Ixを撮影静止画像Ir2における切取画像Idの位置に貼り付けるとともに、保存してあった開始位置画像Imを撮影静止画像Ir2において対応する位置に貼り付ける処理をして合成静止画像Ic2を生成し(ステップt14)、表示部22に表示する(ステップt15)。なお、開始位置画像Imも空間情報画像Ixも補填用画像の一種であり、本実施形態の場合、開始位置画像Imは旋回移動する要素が写っている補填用画像である。
その後、X線CT撮影が終了しない場合(ステップt16:No)は、X線発生器11及びX線検出器12をさらに回動し(ステップt9)、以下同じの工程を行う(ステップt9〜t16)。
一方で、X線CT撮影が終了する場合(ステップt16:Yes)は、表示装置20の電源を落とし、終了する。
このように生成された旋回するX線発生器11及びX線検出器12の各位置に対応する合成静止画像Icnを、連続でコマ送りすることにより、あたかもX線発生器11及びX線検出器12が撮影開始位置Psに固定されているかのように見える合成画像Icが表示部22に表示される(図11参照)。
なお、表示部22に表示されるX線発生器11及びX線検出器12は、現実と同じように奥行が見えるよう立体視で表示することが好ましい。
また、この図11及び図13で示す実施形態では、X線検出器12を撮影開始位置Psに固定した合成画像Icを表示部22に表示する例を示したが、X線発生器11やX線検出器12を被写体頭部の正面に固定した合成画像Icを表示してもよい。すなわち、ステップs0における調整静止画像IeからX線検出器12に対応する開始位置画像Imとして切り取り、撮影静止画像Irnにおける対応する箇所に貼りつけてもよい。これにより、被写体M1がX線検出器12を注視することにより頭部MHが左方に傾くことを防止できる。
また表示部22に表示される合成画像Icは、例えば、図14に示すように、撮影開始や撮影終了あるいは残撮影時間などX線CT撮影に関するメッセージ、被写体M1が凝視する凝視画像などを表示してもよい。
具体的には、図14(a)乃至図14(c)に示すように、表示部22には合成画像Icを表示するとともに、旋回アーム30の旋回に応じてX線CT撮影に要する残り時間を表示するように構成されてもよい。
このように表示部22にX線CT撮影の残り時間や、メッセージを表示させることにより、被写体M1の視野においてX線発生器11とX線検出器12が移動することがなく、かつ、被写体M1が頭部MHを静止しておかなければならない時間などを把握することができるため、心理的負担を軽減することができ、より確実に頭部MHが動くことを防止できる。
また、表示部22に被写体M1が凝視する凝視画像などを表示することにより、被写体M1が子供である場合などに、被写体M1の視野においてX線発生器11とX線検出器12が移動することがなく、かつ、意識を凝視画像に向けることができるため、頭部MHが動くことを防止できる。
なお、表示部22に表示される情報は撮影の残り時間に限定されず、例えば静止画像や撮影状況、文章などを表示してもよい。
さらにまた、本実施形態では、被写体M1が直立した状態でX線CT撮影を行うこととしているが、例えば図15に示すように、被写体M1が着座するチェアー5を備えており、チェアー5を制御して被写体M1に対する旋回アーム30の位置を設定する構成としてもよい。なお、図15に示す例では、表示装置20はチェアー5における肘掛部分に固定されている。
また、本実施形態では、図4に示す実施形態と異なり、上部フレーム51内部の軸2次元移動機構または軸2次元水平移動機構を略して、チェアー5をXY平面内で2次元移動させる被写体保持部2次元移動機構または被写体保持部2次元水平移動機構を備えるように構成してよい。また、さらに被写体保持部をZ方向に移動させる機構を加え、被写体保持部3次元移動機構を構成するようにしてもよい。
また、本実施形態では、旋回軸31を支柱40で上部フレーム51を支持することで、旋回アーム30が旋回軸31を旋回軸として旋回させる構成としているが、必ずしも支柱40は必須ではなく、例えば、旋回アーム30が横向きにU字状に形成されており、上下方向に立設した上部フレーム51に支持されるような構成であってもよい。
また、表示装置20は、視野範囲Vを覆うように平面視で円弧状に形成されているが、必ずしもこのような湾曲タイプである必要はなく、例えば、平面状に形成された複数の板状の表示部22を、旋回軸から視て円弧状となるように並べて配置してもよい。具体的には、旋回軸から視て頭部MH側に開口した凹状となるように板状の表示部22を配置した場合などでもよい。
なお、表示部22は例えば有機ELや液晶モニタなど、対応可能な技術を選択することができる。
さらにまた、表示装置20は、図16に示すように、被写体M1の頭部に装着し、少なくとも被写体M1の視野範囲Vを覆う頭部装着型の表示装置20aとしてもよい。
このような表示装置20aはX線撮影装置1aと独立した表示装置であり、被写体M1の頭部MHに装着することにより被写体M1の視野範囲Vを覆うことができるため、よりコンパクトなサイズとすることができる。また、表示装置20aの外枠に鉛板を備えた場合には、X線に対する感受性の高い高感受性部位である目の近辺を保護できる。
以下、表示装置20aとX線撮影装置1aとの関係を、図16及び図17に示すブロック図で説明する。なお、X線撮影装置1a及び表示装置20aのうち、X線撮影装置1及び表示装置20と同じ構成については同じ符号を付し、その説明を省略する。
X線撮影装置1aは、X線撮影装置1と同様に、例えばX線CT撮影を実行して、投影データを収集する本体部2と、本体部2において収集した投影データを処理して、CT撮影画像などの三次元X線画像を生成する情報処理装置8とに大別される。
本体部2は、被写体M1に向けてX線の束で構成するX線コーンビームBxやX線細隙ビームを出射するX線発生器11と、X線発生器11で出射されたX線を検出するX線検出器12とで構成されたX線撮影部10と、X線発生器11とX線検出器12とをそれぞれ支持する旋回アーム30と、上下方向に延びる支柱40と、昇降部50と、本体制御部60xとで構成している。
本体制御部60xは、本体部2の各構成の動作を制御する制御部であり、X線検出器12の内部に配置されている。
詳しくは、本体制御部60xには、X線発生器11、X線検出器12を駆動させるX線検出器駆動部12K、旋回アーム30の昇降及び旋回を駆動する旋回駆動部30K、下部フレーム52の昇降を駆動する被写体保持部駆動部52K、操作部として機能する操作部61、撮影画像等表示部62、記憶部63a、演算部64a、スイッチ部65、及び通信インターフェイス66a(以下において、通信I/F66aという)が接続され、各構成と通信して各構成を制御している。
記憶部63aは、本体制御部60xによって各構成を制御するための制御プログラム、X線CT撮影された投影データ、投影データやX線CT画像のようなボリュームデータに基づいて生成された三次元X線撮影画像等を記憶する記憶部である。
演算部64aは記憶部63aに記憶された種々のデータに基づいて画像を生成する演算部であり、記憶部63aに記憶する投影データから三次元X線画像を生成するX線画像生成部641を有する。通信I/F66aは、表示装置20aに設けた通信I/F26と接続された、表示装置20aと通信するためのインターフェイスである。
一方、表示装置20aは、図16に示すように、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を用いた表示装置20aを頭部MHに固定するヘッドバンド21aと、表示部22に対応し、同様の合成画像Icを表示する表示部22aと、表示部22aに固定された視野カメラ23とで構成され、三次元位置検出部90とともに表示装置20の三次元位置を測定する三次元位置測定マーカ24が備えられているとともに、表示装置20の内部には表示部側制御部25aが内蔵されている。
詳述すると、表示部側制御部25aは、表示部22a、視野カメラ23、通信I/F66aとの通信に用いられる通信インターフェイス26a(以下において、通信I/F26aという)、表示部側記憶部27、表示部側演算部28と接続されており、撮影画像Irを読み込む制御をする画像読込制御部60gcと、表示部22aに表示する合成画像Icの生成を制御する画像生成制御部60gdと、視野カメラ23を制御するカメラ制御部60hとで構成されている。
画像読込制御部60gcは、画像読込制御部60gaに対応し、表示部側記憶部27に記憶する撮影画像Irを読み込む読込処理を制御する。画像生成制御部60gdは、画像生成演算制御部60gbに対応し、撮影画像Irに対して他の画像の張り付けや削除、不要な画像情報の有無の判定などを行い、表示部22aに表示する合成画像Icなどの生成を制御する。
また、カメラ制御部60hは、視野カメラ23による撮影画像Irの撮像を制御するとともに、取得した撮影画像Irを表示部側記憶部27に保存することを制御する。
表示部側記憶部27は、HMDの内部に形成されており、表示部22aに表示する合成画像Icや視野カメラ23で取得した撮影画像Ir、撮影画像Irから切り取った空間情報画像Ixなどの画像、撮影画像Irを撮影するための制御プログラム、合成画像Icを生成のため演算プログラムなど表示部側制御部25aによって各構成を制御するための制御プログラムなどを記憶する。
表示部側演算部28は、表示部側記憶部27に記憶された種々のデータに基づいて合成画像Icなどの画像を生成する演算部であり、表示部側記憶部27に記憶する撮影画像Irから一部分の情報を切り取る空間情報画像切取部642と、合成前処理静止画像Ibに対して切り取った空間情報画像Ixを撮影画像Irに貼り付ける空間情報画像貼付部643とで構成されている。
このように構成された表示装置20aは、被写体M1の頭部MHに装着させることができ、その装着状態でX線撮影装置1aによってX線CT撮影を行うことできる。その際に、表示装置20と同様に、表示部22aに合成画像Icを表示させることができるため、表示装置20同様の効果を奏する。
また、表示装置20aにより表示装置20を備えていないX線撮影装置であっても、被写体M1の視野においてX線発生器11とX線検出器12が移動することがなく、X線発生器11やX線検出器12の移動に伴って、被写体M1の頭部MHが不用意に動くことを防止できる。
なお、本実施形態においては、表示装置20aが頭部MHに装着されるので、その装着の三次元位置に個体差が生じることがある。切取画像Idを切り取るべき位置は個体ごとに変わるので、三次元位置測定マーカ24の位置情報を、切取画像を切り取る範囲を演算上定めるのに利用することができる。
また、三次元位置測定マーカ24の位置情報を補正情報として用いることもできる。仮に、調整静止画像Ieの撮影の際に、頭部MHが右に傾いた状態であったなら、位置検出処理部60jは表示情報制御部60gと共働して右への傾き分をキャンセルした切取画像Idを生成した上で合成前処理静止画像Ibに貼ることができる。
さらにまた、三次元位置測定マーカ24の位置情報に基づいて、表示装置20に対するX線発生器11及びX線検出器12の距離を測定することができ、表示部22aに表示される合成画像Icにおける空間情報画像Ixなどのサイズ調整をし、奥行の調整を行うことができる。
上記のような、表示装置20を備えたX線撮影装置1や、表示装置20aを備えたX線撮影装置1aの例では、位置情報読取制御部60dが旋回位置情報取得部18を制御することで、X線発生器11とX線検出器12の位置情報Ipを取得しているが、必ずしもこの構成である必要はなく、例えば視野カメラ23bを用いてX線発生器11及びX線検出器12の位置を検出する構成としてもよい。
以下、X線発生器11及びX線検出器12の位置を、視野カメラ23bを用いて検出する表示装置20aについて、図18乃至図23に基づき簡単に説明する。
図18は、距離測定によりX線発生器11及びX線検出器12の位置を検出できるヘッドマウント型の表示装置20bを備えたX線撮影装置1bの拡大概略斜視図を示し、図19は表示装置20bを備えたX線撮影装置1bのブロック図を示す。なお、表示装置20bのうち、表示装置20及び表示装置20aと同じ構成については同じ符号を付し、その説明を省略する。
図20は距離測定による合成画像Iscを表示部22bに表示する方法のフローチャートを示し、図21は、X線CT撮影において視野カメラ23bで撮影した視野画像である撮影画像Ir及び距離情報Isの説明図を示す。詳述すると、図21(a)及び図21(b)において、左側には頭部MHを挟んで対向配置されたX線発生器11及びX線検出器12の旋回を表した平面図を示し、右側上方にRGBカメラ232aで撮像した撮影画像Irを示し、右側下方にIRカメラ232b、232cで測定した視野カメラ23bからの距離を計測した距離情報Isを示す。なお、図21(a)は撮影開始位置Psの状態を、図21(b)はX線発生器11及びX線検出器12が回動した状態を示す。
図22及び図23は、距離測定を用いた合成画像Iscの生成方法の説明図を示し、図22(a)はX線発生器11及びX線検出器12が撮影開始位置Ps以外の位置に配置された状態における距離情報Iseを示し、図22(b)はX線発生器11及びX線検出器12が撮影開始位置Psに配置された状態における距離情報Is1を示し、図22(c)は視野カメラ23bで撮影された調整静止画像Ieを示し、図22(d)は撮影開始位置Psにおける撮影静止画像Ir1を示し、図22(e)は距離情報Iseと距離情報Is1に基づいて生成された合成静止画像Isc1を示す。
同様に、図23(a)は撮影開始位置Psにおける距離情報Is1を示し、図23(b)はX線発生器11及びX線検出器12が撮影開始位置Psから回動した位置における距離情報Is2を示し、図23(c)は撮影開始位置Psにおける撮影静止画像Ir1を示し、図23(d)はX線発生器11及びX線検出器12が撮影開始位置Psから回動した位置における撮影静止画像Ir2を示し、図22(e)は距離情報Is1と距離情報Is2に基づいて生成された合成静止画像Isc2を示す。なお、図22(e)及び図23(e)では、本来見えない旋回アーム30及びX線検出器12、差分領域Rdを点線でその位置を示す。
X線撮影装置1bは、X線撮影装置1及びX線撮影装置1aと同様に、本体部2と情報処理装置8とに大別される。
本体部2は、X線撮影装置1aと同様に、X線発生器11とX線検出器12とで構成されたX線撮影部10と、X線発生器11とX線検出器12とをそれぞれ支持する旋回アーム30と、支柱40と、昇降部50と、本体制御部60yとで構成している。
本体制御部60yは、位置情報読取制御部60d及び、位置検出処理部60j、旋回位置情報取得部18、三次元位置検出部90が含まれないことを除いて、本体制御部60xと同様に構成されている。
また表示装置20b、図18に示すように、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を用いた表示装置20bを頭部MHに固定するヘッドバンド21aと、表示部22に対応し、合成画像Iscを表示する表示部22aと、表示部22aに固定された視野カメラ23bとで構成され、表示装置20の内部には表示部側制御部25aが内蔵されている。一方で、表示装置20bは表示装置20aと異なり、三次元位置測定マーカ24が備えられていない。
撮像部に対応する視野カメラ23bは、被写体M1の正面側を映せるように表示部22aの上方に備えられ、被写体M1の前方の情景を動画である撮影画像Ir及び、視野カメラ23bとX線検出器12などとの距離を測定して得られた距離情報Isを記録するカメラ本体231xと、撮影画像Irを撮影するRGBカメラ232aと、距離情報Isを生成する赤外線カメラ(IRカメラ)232b、232cとで構成されている。
RGBカメラ232aは撮影画像Irを撮影するとともに、撮影画像Irにおける色彩情報をピクセルごとに記録できる色彩カメラである。
IRカメラ232b、232cは、赤外線を前方に照射するとともに、物体に反射した赤外線を読取り、赤外線が往復した時間を割り出すことで、三次元距離を計算し距離情報Isを生成する。なお、生成された距離情報Isは表示部側記憶部27に保存してもよいし、通信I/F26a及び通信I/F66aを介して記憶部63に記憶してもよい。
表示部側制御部25aに対応する表示部側制御部25bは、図19に示すように、表示部22a、視野カメラ23b、通信I/F66aとの通信に用いられる通信インターフェイス26a(以下において、通信I/F26aという)、表示部側記憶部27、表示部側演算部28bと接続されており、撮影画像Ir及び距離情報Isを読み込む制御をする画像読込制御部60geと、表示部22aに表示する合成画像Iscの生成を制御する画像生成制御部60gfと、視野カメラ23を制御するカメラ制御部60haとで構成されている。
具体的に、カメラ制御部60haはRGBカメラ232aを用いた撮影画像Irの撮影のみならず、IRカメラ232b,232cから赤外線を照射するとともに物体に反射した赤外線を読取り、物体までの距離を測定して距離情報Isを生成する制御も行う。
表示部側演算部28bは、表示部側記憶部27に記憶された種々のデータに基づいて合成画像Iscなどの画像を生成する演算部であり、表示部側記憶部27に記憶された撮影画像Irに対応する距離情報Isを比較するとともに、距離の差が所定の値と比較して大きい場合などに、その範囲を判別して認識する距離情報演算部645と、距離情報演算部645で比較された距離情報Isなどに基づいて表示部側記憶部27に記憶する撮影画像Irや合成画像Iscから一部分の情報を、空間情報画像Isxや切取画像Idなどとして切り取る空間情報画像切取部642と、切り取った空間情報画像Isxを撮影画像Irに貼り付ける空間情報画像貼付部643とで構成されている。
次に、X線撮影装置1bを用いたX線CT撮影中において、表示部22に表示される合成画像Iscの生成方法について図20乃至図22に基づいて説明する。なお、X線撮影装置1、1aにおけるフローチャートと同様の工程についてはその説明を簡略する。
ここで、合成画像Iscとは、視野カメラ23で撮影された撮影画像Ir及び距離情報Isに基づいて生成された合成の動画である。
X線CT撮影の前段階として、X線発生器11及びX線検出器12が撮影開始位置Psに配置されていない状態における視野画像に対応する調整静止画像Ieを予め撮影し、記憶部63及び表示部側記憶部27に保存するとともに(ステップu01)、カメラ制御部60haの制御により、この位置における視野カメラ23bからの距離を測定した距離情報Iseを生成して保存する。(ステップu02)。
被写体M1の歯列弓や顎顔面領域のX線CT撮影をするにあたり、被写体M1の頭部MHを被写体固定部522に固定するとともに、被写体固定部522を昇降させることでX線コーンビームBxを照射するための所望の位置に頭部MHを配置する。
次に、ステップs1と同様に、操作者がX線CT撮影の撮影条件を入力して、X線CT撮影の撮影プログラムを反映させるとともに(ステップu1)、操作者がスイッチ部65を操作することで、X線発生器11及びX線検出器12が撮影条件で定めた撮影開始位置Psに配置される(ステップu2)。
そして、カメラ制御部60haの制御により視野カメラ23bが動画である撮影画像Irの撮影を開始するとともに(ステップu3)、視野カメラ23bからX線検出器12などとの三次元距離情報dを計測して距離情報Isを生成する(ステップu4)。なお、撮影画像Ir及び距離情報Isは表示部側記憶部27及び記憶部63に保存される。
距離情報Is及び三次元距離情報dについて詳述すると、IRカメラ232b,232cにより測定される三次元距離情報dは、図21に示すように、視野カメラ23bからX線検出器12や防X線室70などまでの距離をさし、これらの三次元距離情報dをピクセルごとに表示した画像情報が距離情報Isとなる。
なお、図21(a)では説明を簡易化するために、撮影開始位置Psにおける視野カメラ23bからX線検出器12(X線検出器12を内蔵する旋回アーム30の一部)までの三次元距離情報dを『65』とし、旋回アーム30のうちX線検出器12を吊り下げる部位までの三次元距離情報dを『70』とし、旋回アーム30の旋回部分までの三次元距離情報dを『30』とし、防X線室70までの三次元距離情報dを『255』とするが、実際はピクセルごとに三次元距離情報dが細かく異なり、視野カメラ23bからの三次元距離を正確に測定できる。
また、図21(b)に示すように、X線検出器12が回動した場合における三次元距離情報dは、X線検出器12及び旋回アーム30のうちX線検出器12を吊り下げる部分、旋回アーム30の旋回部分、防X線室70に対してそれぞれ、『60』、『65』、『30』、『255』となり、旋回アーム30が旋回されても視野カメラ23bに対する正確な距離情報Isをピクセルごとに計測される。
次に、予め撮影された調整静止画像Ieを読み込むとともに(ステップu5)、距離情報演算部645の制御により、調整静止画像Ieの撮影時に測定した距離情報Iseと、撮影開始位置Psにおける距離情報Is1とを比較して三次元距離情報dが一定以上の値(ここではd=10とする。)となる範囲である差分領域Rdを認識し(ステップu6)、差分領域Rdに対応する画像を調整静止画像Ieから空間情報画像Isxとして切り取る(ステップu7)。
また、画像読込制御部60geの制御により、表示部側記憶部27に記憶されている撮影画像Irから、撮影開始位置Psにおける静止画像を撮影静止画像Ir1として読み込み、差分領域Rdに対応する画像を切取画像Idとして切り取り(ステップu8)、撮影静止画像Ir1における差分領域Rdに対応する位置に空間情報画像Ixを張り付ける処理を行い、合成静止画像Isc1を生成する(ステップu9)。
そして表示部22の電源が入力されるとともに、表示部22には合成静止画像Isc1が表示される(ステップu10)。すなわち、被写体M1は表示部22を介して何も映っていない合成静止画像Isc1を視ることとなる。
具体的には、図22(a)及び図22(b)に示すように、距離情報Iseの左側端部における三次元距離情報dは『255』であるが、撮影静止画像Ir1においてはX線検出器12が表示され、三次元距離情報dが『30』、『70』、『65』となっている。
したがって、距離情報Iseと距離情報Isにおける三次元距離情報dの差が『225』、『185』、『190』となり、一定の値(ここでは便宜上『10』とする。)よりも大きな値となる。これにより、三次元距離情報dの差が『10』よりもピクセルを含む領域を差分領域Rdとして認識する(ステップu6)。
次に、図22(c)及び図22(d)に示すように、調整静止画像Ie及び撮影静止画像Ir1における差分領域Rdに対応する箇所をそれぞれ空間情報画像Isx及び切取画像Idとして切り取り(ステップu7,u8)、撮影静止画像Ir1における切取画像Idを切り取った箇所、すなわち差分領域Rdに対応する箇所に空間情報画像Isxを貼り付けて合成静止画像Isc1を生成する(図22(e)参照)。
このように計測された距離情報Is同士を比較することで、撮影画像Irにおいて頭部MHの前方にX線発生器11及びX線検出器12が移動してきたことを認識するとともに、認識したX線発生器11及びX線検出器12に該当する部分を削除した合成静止画像Isc1を生成することができる。
この状態で、操作者が撮影駆動スイッチ65bを操作することでX線CT撮影が開始される(ステップu11)。X線CT撮影が開始されることにより、X線発生器11などの旋回中は、X線コーンビームBxが照射され、被写体M1の投影データが収集される。
このとき、X線発生器11及びX線検出器12を吊下げ固定した旋回アーム30が撮影開始位置Psから回動するとともに(ステップu12)、視野カメラ23が撮影画像Irを引き続き撮影するとともに、回動したX線発生器11及びX線検出器12に対応する位置において距離情報Isを生成して表示部側記憶部27及び記憶部63に保存する(ステップu13)。
次に、記憶部63から直前に撮影された画像、すなわち撮影開始位置Psから回動する直前の撮影静止画像Ir1及び現在の撮影静止画像Ir2を読み込むとともに(ステップu14)、撮影静止画像Ir1における距離情報Is1と、撮影静止画像Ir2における距離情報Is2とを比較して三次元距離情報dが一定以上の値(d=10)となる範囲である差分領域Rdとして認識し(ステップu15)、差分領域Rdに対応する画像を撮影静止画像Ir1から空間情報画像Isxとして切り取る(ステップu16)。
また、画像読込制御部60geの制御により、表示部側記憶部27に記憶されている撮影静止画像Ir2を読み込み、差分領域Rdに対応する画像を切取画像Idとして切り取るとともに(ステップu17)、撮影静止画像Ir2における差分領域Rdに対応する位置に空間情報画像Isxを張り付ける処理を行い、合成静止画像Isc2を生成する(ステップu18)。
そして表示部22の電源が入力されるとともに、表示部22には合成静止画像Isc1が表示される(ステップu19)。すなわち、被写体M1は表示部22を介して何も映っていない合成静止画像Isc2を視ることとなる。
詳述すると、図23(a)及び図23(b)に示すように、距離情報Is1と距離情報Is2を比較することで、距離情報Is1において三次元距離情報dが『255』であるが、撮影静止画像Ir2においてX線検出器12が表示される位置においては、距離情報Is2における三次元距離情報dが『30』、『70』、『65』となり、距離情報Is1と距離情報Is2における三次元距離情報dの差が『225』、『185』、『190』となり、一定の値(『10』)よりも大きな値となる。このため、三次元距離情報dの差が『10』より大きいピクセルを含む領域を差分領域Rdとして認識する(ステップu15)。
次に、図23(c)及び図23(d)に示すように、撮影静止画像Ir1及び撮影静止画像Ir2における差分領域Rdに対応する箇所をそれぞれ空間情報画像Isx及び切取画像Idとして切り取り、撮影静止画像Ir1における切取画像Idを切り取った箇所、すなわち差分領域Rdに対応する箇所に空間情報画像Isxを貼り付けて合成静止画像Isc2を生成する(図22(e)参照)。
このように計測された距離情報Is同士を比較することで、撮影画像Irにおいて頭部MHの前方にX線発生器11及びX線検出器12が移動してきたことを認識するとともに、認識したX線発生器11及びX線検出器12に該当する部分を削除した合成静止画像Isc2を生成することができる。
そして、X線CT撮影が終了しない場合(ステップu20:No)は、X線発生器11及びX線検出器12をさらに回動し(ステップu12)、以下同じの工程を行う(ステップu13〜s18)。これにより、表示部22には静止画像である合成静止画像Isc1、Isc2…が連続して表示される。すなわち、表示部22にはあたかもX線発生器11やX線検出器12が横切っていないかのような動画である合成画像Iscが表示される。
一方で、X線CT撮影が終了する場合(ステップu20:Yes)は、表示装置20の電源を落とし、終了する。
これにより、表示部22には、X線検出器12などが表示されない合成画像Iscが表示され、X線CT撮影中において被写体M1の頭部MHが動くことを防止できるといった効果をはじめ、X線撮影装置1、1aと同様の効果を奏する。
なお、表示部22には、X線撮影装置1aの表示部22に表示された合成画像Icが表示される構成としてもよい。
また、表示装置20bは、三次元位置測定マーカ24を備えない構成であるが、必ずしもこれに限定されるわけではなく、三次元位置測定マーカ24を備えた構成であっても構わない。なお三次元位置測定マーカ24を備えた場合には、これに対応する三次元位置検出部90などをX線撮影装置1bは備える。
また、視野カメラ23bはIRカメラ232b、232cを二つ備えたステレオタイプとしているが、IRカメラ232cはRGBカメラ232aに組み込まれた構成でもよく、さらには、三次元距離情報dの測定は必ずしも赤外線で行う必要はなく、距離を三次元情報として測定できれば他の技術を用いてもよい。
さらにまた、図1及び図16、図18では、表示装置20及び表示装置20a、20bを投影型の表示装置や投影型のヘッドマウントディスプレイを使用した表示装置としているが、図24に示すように、被写体M1が表示部22cを介さないで視る視認情景Ivを視認可能に透過する半透過型の表示装置20cで構成されてもよい。
以下、表示装置20cの構成について簡単に説明する。なお、表示装置20及び表示装置20aと同様の構成については同じ符号を付し、その説明を省略する。
表示装置20cは表示装置20aと同様に、X線撮影装置1cとは独立した表示装置であり、ヘッドバンド21aに対応するヘッドバンド21cと、表示部22に対応する透過型の表示部である表示部22cと、視野カメラ23とで構成されており、三次元位置検出部90とともに表示装置20の三次元位置を測定する三次元位置測定マーカ24が備えられているとともに、表示部側制御部25aを内蔵している。
次に、このように構成された半透過型の表示装置20cに基づく合成情景画像Ivxの表示方法について、図25に示すフローチャートに基づいて簡単に説明する。
はじめに、表示装置20cを用いて被写体M1の口腔内のX線CT撮影をするにあたり、被写体M1の頭部MHに表示装置20cを装着し、被写体M1の視野範囲Vを表示部22cで覆うとともに、頭部MHを固定するため被写体M1の顎部を被写体固定部522に配置させ、X線コーンビームBxの照射位置を合わせる。
次に操作者が、撮影画像等表示部82などによりX線CT撮影の撮影条件を入力することで、撮影プログラムが読み込まれ(ステップv1)、続いてスイッチ部65を操作することで、旋回アーム30が回動してX線発生器11及びX線検出器12が撮影条件で定めた撮影開始位置Psに配置される(ステップv2)。また、同時に通信I/F66a及び通信I/F26aを介して撮影画像Irの撮影命令が送受信され、視野カメラ23により撮影が開始される(ステップv3)。なお、撮影された撮影画像Irは表示部側記憶部27に保存される。
また、表示部側制御部25aを構成する画像読込制御部60gaの制御により、表示部側記憶部27から撮影開始位置Psでの撮影静止画像Ir1を読み込む制御が行われるとともに、画像生成制御部60gdの制御により、撮影条件から読み取った位置情報Ipに基づいて撮影静止画像Ir1に写り込んだX線発生器11及びX線検出器12の画像を開始位置画像Imとして切り取り、表示部側記憶部27に保存する(ステップv4)。
この状態で、操作者が撮影駆動スイッチ65bを操作することでX線CT撮影が開始される(ステップv5)。
X線CT撮影が開始されることにより、X線発生器11及びX線検出器12を支持する旋回アーム30が旋回中心Scを旋回軸として回動を開始する(ステップv6)。また、位置情報読取制御部60dが旋回位置情報取得部18を制御することで、X線発生器11とX線検出器12の位置情報Ipを把握する(ステップv7)。なお、位置情報Ipは通信I/F66a及び通信I/F26aを介して表示部側記憶部27に記憶される。
この状態で、画像読込制御部60gaの制御により表示部側記憶部27から直前に撮影した視野画像である撮影静止画像Ir1を読み込むとともに(ステップv8)、画像生成制御部60gdの制御により、空間情報画像切取部642が表示部側記憶部27に保存した位置情報Ipを利用して撮影静止画像Ir1における現在のX線発生器11及びX線検出器12に対応する位置を空間情報画像Ixとして切り取るとともに、表示部側記憶部27に保存する(ステップv9)。
そして、画像生成制御部60gdの制御により、表示部22cを透過している視認情景Ivに対して空間情報画像Ixが貼り付けられているか否かを判定し(ステップv10)、空間情報画像Ixが貼り付けられている場合には(ステップv10:Yes)、貼り付けられている空間情報画像Ixを削除する(ステップv11)。また、視認情景Ivにおける位置情報Ipの位置に切り取った空間情報画像Ixを貼り付けるとともに、開始位置画像Imを所定の位置に貼り付けて(ステップv12)、表示部22に表示する(ステップv13)。これにより被写体M1は、開始位置にX線検出器12が固定された合成情景画像Ivxが表示部22cを介して見える。
空間情報画像Ixが貼り付けられていない場合には(ステップv10:No)、視認情景Ivにおける位置情報Ipの位置に切り取った空間情報画像Ixを貼り付けるとともに、開始位置画像Imを所定の位置に貼り付けて(ステップv12)、表示部22cに表示する(ステップv13)。これにより被写体M1は、表示部22を介して開始位置にX線検出器12が固定された合成情景画像Ivxが見える。
その後、被写体M1のX線CT撮影が終了しているか否かを判定し(ステップv14)、X線CT撮影が終了していない場合(ステップv14:No)は、X線発生器11及びX線検出器12の回動を続け(ステップv6)、X線CT撮影が終了した場合(ステップv14:Yes)は、表示装置20cの電源を落として終了する。
以下、空間情報画像Ixを貼り付けることにより表示部22cを介して被写体M1が視認できる合成情景画像Ivxについて、図26及び図27に基づいて簡単に説明する。
ここで図26及び図27について詳述すると、図26(a)は撮影開始位置Psにおける撮影静止画像Ir1を示し、図26(b)はX線発生器11及びX線検出器12が撮影開始位置Psから回動した位置で被写体M1が見る情景である視認情景Ivを示し、図26(c)はX線発生器11及びX線検出器12が撮影開始位置Psから回動した位置において表示部22cに表示される合成情景画像Ivx1を示す。
図27(a)はX線発生器11及びX線検出器12が撮影開始位置Psから回動した位置での撮影静止画像Ir2を示し、図27(b)はX線発生器11及びX線検出器12がさらに回動した位置での視認情景Ivを示し、図27(c)はX線発生器11及びX線検出器12がさらに旋回した位置において表示部22に表示される合成情景画像Ivx2を示す。
また、図26(a)及び図27(a)では、図7と同様に、撮影静止画像Ir1、Ir2を便宜上6分割して表示する。
入力されたX線CT撮影の撮影条件を読み込んで(ステップv1)、撮影条件に基づいた撮影開始位置PsにX線発生器11等が移動したあと(ステップv2)、視野カメラ23により撮影画像Irの撮影を開始する(ステップv3)。そして、撮影開始位置Psにおける撮影画像Irの一フレームである撮影静止画像Ir1から、図26(a)に示すように、X線検出器12の位置における画像を開始位置画像Imとして切り取り、表示部側記憶部27に保存する(ステップv4)。
一方で、X線CT撮影の開始に合わせた(ステップv5)旋回アーム30の回動により(ステップv6)、図26(b)に示すように、X線検出器12が左端から右方に移動する。
この状態において、旋回位置情報取得部18を制御することにより、撮影静止画像Ir1におけるX線検出器12の位置情報Ipを取得し(ステップv7)、視認情景IvにおいてX線検出器12が撮影静止画像Ir1における『B1』に配置されていることが認識される。
この位置情報Ipに基づいて、図26(a)に示すように、撮影静止画像Ir1における『B1』を空間情報画像Ixとして切り取り保存する(ステップv8、s9)。そして、図26(c)に示すように、表示部22cを透過して見える視認情景Ivにおける『B1』に対応する位置に空間情報画像Ix1を貼り付けるとともに、開始位置画像Imを所定の位置(撮影静止画像Ir1における『A1』の位置)に貼り付ける。(ステップv12)。
これにより、被写体M1には表示部22cを介して撮影開始位置PsにX線検出器12が固定された合成情景画像Ivx1が見える(図26(c)参照)。
またX線CT撮影が続く場合(ステップv14:Yes)、旋回アーム30の回動に合わせて(ステップv6)、視認情景IvにおけるX線検出器12の位置情報Ipを取得する(ステップv7)。すなわち、旋回されたX線検出器12が撮影静止画像Ir2における『C2』に配置されていることが認識される(図27(b)参照)。
そしてこの位置情報Ipに基づいて、図27(a)に示すように、撮影静止画像Ir1における『C2』を空間情報画像Ix2として切り取り保存するともに(ステップv8、s9)、図27(c)に示すように、合成情景画像Ivxにおいて貼り付けられた『B1』に対応する空間情報画像Ix1を削除する(ステップv10、v11)。
また、図27(c)に示すように、表示部22cを透過して見える視認情景Ivにおいて『C1』に対応する位置に空間情報画像Ixを貼り付けるとともに、開始位置画像Imを所定の位置(撮影静止画像Ir1における『A1』の位置)に貼り付けて表示部22cに表示する(ステップv12、v13)。これにより被写体M1は、表示部22cを介して開始位置にX線検出器12が固定された合成情景画像Ivx2が見える。
このようにX線CT撮影中に、開始位置画像Im及び空間情報画像Ixが対応する位置にX線検出器12の移動に伴って順次貼り付けられた合成情景画像Ivx1、Ivx2が順次表示部22cに表示されるため、被写体M1は表示部22cを介して常に左端にX線検出器12が固定されている動画を見ることとなる。
なお、表示部22cに表示されるX線発生器11及びX線検出器12は、現実と同じように奥行が見えるよう立体視で表示される。
また、上述の実施形態では、X線検出器12が撮影開始位置Psの位置に固定されているように、表示部22cに表示されているが、例えばX線検出器12や旋回アーム30自体も無背景の合成情景画像Ivxを貼り付けることで削除してもよく、また表示部22cの中央部分にX線発生器11やX線検出器12を表示してもよい。
上述のように、視認情景Ivを視認可能に透過する半透過型の表示部22cで構成することにより、例えば被写体M1の視野を横切るX線発生器11やX線検出器12を対応する空間情報画像Ixに置き換えることができる。すなわち、空間情報画像Ix以外の部分については、現実の情景となるため、被写体M1は周囲の状況を正確に把握でき、心理的な負担がより低減できる。
また、上記説明では、X線CT撮影装置での実施例で述べたが、この発明は、
歯科用パノラマX線撮影装置において、適用してもよい。また、上記実施例の説明では、撮像部を使用しているが、HMDを使用する場合は、撮像部を使用しないで、全て実際の撮影時とは異なる草原や海の画像を表示装置20などに表示してもよい。
また、視認情景Ivは、被写体M1の視野に映る情景をさしているが、例えば、X線撮影装置1cの実施形態に示すように、透過したリアルな空間情報や、予め記憶しておいた空間情報画像、撮影した静止画あるいは動画などの空間情報画像としてもよい。すなわち、表示部に撮影した静止画あるいは動画など映す構成としてもよい。
さらにまた、上述のX線撮影装置1cでは、X線検出器12などが映った部分を切取画像Idとして切り取らずに空間情報画像Ixを上書きする構成としているが、撮影静止画像Irnから切取画像Idを切り取る構成としてもよい。
また、表示部22に表示される空間情報画像Ixは、X線撮影の直前の空間情報画像Ixとしているが、X線CT撮影と並行して取得した空間情報画像や、予め記憶しておいた空間情報画像としてもよい。なお、この空間情報画像は動画や静止画としてもよい。
また、上述の実施例は適宜組み合わせを変更することができる。例えば、表示装置20cに合成画像Icなどを表示する構成としてもよく、また表示装置20を透過型にしたり、合成画像Iscを表示したりしてもよく、また、合成画像Iscの方法を透過型の表示装置20cに用いてもよい。