JP2019103211A - モータ及びそれを用いた電動工具 - Google Patents

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諒 鈴木
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Abstract

【課題】筒状のハウジングにモータを軸方向に挿入して装着する電動工具のモータの結線構造を改良する。【解決手段】筒形のハウジング内に収容されるモータのステータ30において、各相が第1のコイルと第2のコイルの直列接続により構成され、これら3相分をデルタ結線とした。この際、同相内の第1のコイルと第2のコイルを接続する同相渡り線と、異相のコイルとの間を接続する異相渡り線のすべてを、ステータコア31の一方側のインシュレータ40側において、周方向溝42を用いて結線する。周方向溝42は、インシュレータ40の外周面41aに形成されるもので、周方向に連続するように形成される。同相渡り線と異相渡り線のうち周方向に延びる部分をすべて周方向溝内に配置する。【選択図】図5

Description

本発明はモータハウジングの内部にモータを保持する電動工具に関し、特にステータへのコイルの巻き線方法の改良に関する。
ディスクグラインダ等の携帯用電動工具では、モータを保持するモータハウジングから後方側に突出するように連結されたハンドルを設けて、作業者は一方の手でハンドルを把持して、他方の手でモータハウジング自体を又はモータハウジングの取り付けられるサイドハンドルを押さえながら作業を行う。ディスクグラインダのハウジングは金属製又は合成樹脂製のハウジングを有するが、中型以上の大きなディスクグラインダではモータのサイズや出力が大きくなるために、モータハウジングは軸線を通る平面にて分割する形状ではなく、円筒状の一体形状のものとし、その後方側に左右分割式のハンドルハウジングを取り付ける。モータは円筒状のモータハウジングの前方側(ハンドルハウジングとは反対側)の開口から、軸方向後方に向けてモータハウジング内に挿入される。このようなモータの取付け構造を有するグラインダとして、特許文献1が知られている。ここではモータハウジングは合成樹脂の一体成形として、モータハウジングによって固定される軸受と、モータハウジングの前方側開口を覆う部材にて固定される軸受によってモータの回転軸を軸支する。
近年、電動工具はブラシレスDCモータを採用することで、高精度の回転制御を行うと共に更なる高出力化を図る傾向にある。ブラシレスDCモータは、半導体スイッチング素子を用いたインバータ回路を用いて駆動される。インバータ回路に用いられる半導体スイッチング素子は、FET(電界効果トランジスタ)やIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)等が用いられる。ブラシレスDCモータは内側に永久磁石を用いたロータを設け、外側にコイルを巻いたステータが設けられる。特許文献1に示すモータのコイルは三相とされ、スター結線にされていた。
特開2017−13141号公報
特許文献1に示すものよりも更に大型化させたグラインダが知られている。大型のグラインダでは使用するモータのサイズも大きくなるが、例えば75φの大型のステータコアを用いるようなブラシレスDCモータの巻線時には、ステータコアの端面の一方側(結線側)と他方側(反対側)のインシュレータの巻付部の外周を巻くようにして複数のコイルを形成して、結線側のインシュレータにて各相の巻き線を接続する配線(渡り線)を行う必要があった。その場合、インシュレータの外周面に沿って周方向に渡り線を配置する必要があり、インシュレータの外面位置よりも配線位置が外側になってしまう。インシュレータの外面位置よりも配線位置が外側になる場合には、一体成形した円筒状のモータハウジングの一方側の開口から、軸方向にスライドさせながらモータを取りつける構造であって、結線側のインシュレータを先に差し込むような配置の場合は、ステータコアの外径よりも外側に結線が存在することになり、モータをハウジングの内部に挿入する組み立て工程の作業性を阻害する虞があった。また、結線方法としてスター結線を採用すると他方側のインシュレータにおいて中間点の配線を行う必要があり、コイルの結線作業が煩わしかった。
本発明は上記背景に鑑みてなされたもので、その目的は、ステータコアへのコイルの結線方法を改良して配線を効率良く行うことができるようにしたモータ及びそれを用いた電動工具を提供することにある。
本発明の他の目的は、インシュレータの周方向に配線する渡り線の総数を削減して、インシュレータの外周面に形成する周方向溝内に渡り線をすべて収容するようにしたモータ及びそれを用いた電動工具を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、インシュレータの周方向に配線する渡り線の配線方向を一方向で済むようにして、コイルの自動巻き機によって自動配線を可能としたモータ及びそれを用いた電動工具を提供することにある。
本願において開示される発明のうち代表的なものの特徴を説明すれば次の通りである。
本発明の一つの特徴によれば、ロータと、径方向内側に突出する複数のティースを有するステータコアと、樹脂製であってステータコアの一端側に配置される第1のインシュレータと他端側に配置される第2のインシュレータと、第1及び第2のインシュレータを用いてティースの周囲に巻かれるコイルと、を有するモータであって、コイルは各相を構成する第1のコイルと第2のコイルが直列に接続された3相のデルタ結線とし、同相内の第1のコイルと第2のコイルを接続する同相渡り線と、異相のコイルとの間を接続するものであって引き出し部が設けられる異相渡り線のすべてを、ステータコアの一方側に配置される第1のインシュレータ部にて結線する。また、第2のインシュレータの外周面に径方向内側に向けて窪み、周方向に連続する周方向溝を形成し、同相渡り線と異相渡り線のうち周方向に延びる部分をすべて周方向溝内に配置した。第1のコイルと第2のコイルは巻き数が同じであって、各相を構成する第1及び第2のコイルと同相渡り線、異相渡り線は同一太さの絶縁被覆されたニクロム線等の電線であり、周方向溝の径方向深さは、電線の直径の2倍以上とし、周方向溝の軸方向幅は電線の直径の2倍以上とし、周方向溝の径方向深さは電線の直径の2倍以上とした。
本発明の他の特徴によれば、第1のインシュレータのステータコアと接する側とは反対側の軸方向端面に、デルタ結線の引き出し線保持部を形成し、周方向溝はステータコアと引き出し線保持部との間に位置する外周面に形成される。引き出し線保持部はU相、V相、W相用に3箇所設けられ、それぞれに対応する引き出し接続用の金属端子が引き出し線保持部に設けられ、第2のインシュレータの外周面において周方向溝と金属端子を連結するために軸方向に延びる連結溝が引き出し線保持部の近傍に設けられる。また、連結溝は、複数のティースに隣接する位置に設けられ、周方向溝内に配置される同相渡り線と異相渡り線の本数は、連結溝の接続される領域以外では2本となるようにした。
本発明の他の特徴によれば、デルタ結線の引き出し用にU極端子、V極端子、W極端子を有し、U極端子からV極端子にかけて第1のコイル(U1)と第2のコイル(U2)が順に接続され、V極端子からW極端子にかけて第2のコイル(V2)と第1のコイル(V1)が順に接続され、W極端子からU極端子にかけて第1のコイル(W1)と第2のコイル(W2)が順に接続され、ステータコアは6つのティースを有し、各ティースは周方向にU1、V1、W1、U2、V2、W2相用に割り当てられるように構成した。また、ブラシレス方式のモータと、モータの他端側に延びる回転軸に接続される動力伝達部と、動力伝達部によって駆動される先端工具保持部と、モータと動力伝達部を覆うと共に把持部が形成されたハウジングを有する電動工具を構成した。ハウジングのうち、モータを収容する部分は円筒形の一体型であって、一端側の開口からステータコアを挿入される。
本発明によれば、インシュレータの結線側のインシュレータ側面に周方向に連続する溝を設け、渡り線を溝内に通すことでモータ体格を超えることなく結線が行えるため、筒型ハウジングにステータの圧入が容易に行えるので組立作業性が向上する。また、巻方向を一方向巻とすることで、周方向に連続する溝の内部に配線する配線は最大2本とすることができる。渡り線を結線側のみとすることで、ステータ上下を反す作業を省くことができるため特殊な設備を追加することなく、コイルの自動巻き機によって全自動でコイルを巻くことができる。さらに、周方向に延びる渡り線を溝内に収めることにより、冷却風の流れに曝されることから遮断できるので、冷却風に含まれる粉塵から渡り線を守り、渡り線とステータコア間の耐圧不良を防ぐことができる。
本発明の上記及び他の目的ならびに新規な特徴は、以下の明細書の記載及び図面から明らかになるであろう。
本発明の実施例に係る電動工具であるディスクグラインダ1の全体構成を示す縦断面図である。 図1のディスクグラインダ1の駆動制御系の回路構成図である。 図1のモータハウジング10の後方側に装着されるインバータ回路部20の搭載状況を示す展開斜視図である。 図1のモータ5のステータ30を示す斜視図である(コイルの巻回前の状態)。 図4のステータ30を示す図であって、(1)は側面図、(2)は背面図である。 従来例におけるステータコイルの巻き方を説明するための図である。 本実施例に係るステータコイルの巻き方を説明するための図である。 本実施例に係るステータコイルの自動コイル巻き機を用いた巻き方を説明するための図である。 図4の周方向溝42の形状とニクロム線50の配線との位置関係を示す図である。 (1)はモータ5のロータ70及び冷却ファン13の側面図であり、(2)は(1)のD−D部の断面図(ロータコア71の側面図)である。 (1)は図1のA−A部の断面図であり、(2)は図1のB−B部の断面図であり、(3)は図1のC−C部の断面図である。 図9のバランサ部材85、95の形状を示す斜視図である。 本発明の第2の実施例に係るステータ130を示す図であって、(1)は側面図、(2)は背面図である(コイルを巻回後の状態)
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、本明細書においては、前後左右、上下の方向は図中に示す方向であるとして説明する。
図1は本発明の実施例に係るディスクグラインダ1の全体構成を示す断面図である。ディスクグラインダ1は、円筒形のモータハウジング10の内部に駆動源たるモータ5が収容される胴体部2と、モータ5によって駆動される作業機器(ここでは先端工具として砥石98を用いるグラインダ)を作動させる動力伝達部3と、胴体部2の後方側に設けられ作業者が把持するためのハンドル部4を有して構成される。ハンドル部4は、胴体部2に対して回動機構を介して接続されることにより、モータ5の回転軸線A1を中心に所定角度だけ回動可能(摺動可能)なように構成される。
モータハウジング10の内部には、ブラシレス方式のモータ5が収容される。モータ5は、永久磁石を有するロータ70が内周側に配置され、外周側にコイルを有するステータ30を有する。モータ5の回転軸60は、モータハウジング10の中央部付近に設けられる軸受15bと、モータハウジング10の前方側開口を覆うギヤケース6によって保持される前方側の軸受15aにより回動可能に保持される。動力伝達部3は、ギヤケース6に軸受9a、9bによって軸支されるスピンドル8に取付けられたディスク状の砥石98と、ホイルガード29を備える。ギヤケース6内には、一対の傘歯車7a、7bが配置され、モータ5の回転軸60の回転力を方向変換してスピンドル8に伝達する。スピンドル8の下端には、受け金具14aを介して押さえ金具14bによって先端工具保持部が形成され、砥石98が固定される。ギヤケース6の上部にはサイドハンドル取付孔6bが設けられ、ギヤケース6右側面及び左側面にも同様のサイドハンドル取付孔(図示せず)が設けられる。
モータハウジング10の後端側開口からインバータ回路部20が挿入され、その後に開口部分は支持部材133と中間部材125によって覆われる。支持部材133は左右方向に分割可能に構成して、左右の分割片の間に中間部材125の揺動支持軸を挟み込む。中間部材125の外周面には2本の径方向に突出するフランジ部126が形成され、フランジ部に沿って把持部を形成するハンドルハウジング16が回動可能なように保持される。
インバータ回路部20の回路基板27はモータ5の外形よりもわずかに大きい径の略円環形の多層基板であり、その面がモータ5の回転軸線A1と直交する向きに配置される。回路基板27上には6つの絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)等のスイッチング素子(後述)が搭載される。スイッチング素子を搭載した回路基板27は、容器状の円筒ケース21の内部に固定される。インバータ回路部20を収容する部分のモータハウジング10の内径は、モータ5を収容する部分に比べてやや太くなるように形成される。回転軸線A1方向にみて軸受15bとステータ30の間には、円環状の小さなセンサ基板122が搭載される。センサ基板122は円環状の基板部分を有し、ステータ30と面する側に、ロータ70により発生する磁界を直接検出するための3つのホールIC121(図2で後述)が60度間隔にて搭載される。
モータ5の前方側であって軸受15aとの間には冷却ファン13が設けられる。冷却ファン13は遠心ファンであってモータ5側の空気を吸引して径方向外側に排出する。冷却ファン13の後方には、回転軸60の周囲に所定の大きさの貫通穴を形成し冷却ファンの流入口を形成するファンガイド12が設けられる。冷却ファン13によって起こされる空気流によって、ハンドルハウジング16の図示しない風穴から取り込まれた空気を、モータハウジング10内に吸引し、モータ5の後方側から前方側への空気の流れ(空気流)を生成する。最初に、ハンドルハウジング16に形成されるスリット状の空気取入孔(図示せず)から外気が取り込まれ、中間部材125と支持部材133に形成される貫通孔や風窓(図1では図示されない)を流れてモータハウジング10の後方側開口からモータハウジング10の内部空間に流入する。流入した空気は、最初にインバータ回路部20に搭載された電子部品を冷却し、インバータ回路部20の側方の切り込み部を通過し、インバータ回路部20の円筒ケース21の外周側であって、モータハウジング10との間の隙間を通って軸受ホルダ109付近に到達する。軸受ホルダ109の外周側には図示しない風窓が複数形成されており、その風窓を通過した空気流はモータ5側に到達する。
モータ5側に到達した空気流は、ロータ70とステータ30の間、及び、ステータ30とモータハウジング10の内壁部分との間を通過するように流れ、冷却ファン13の軸心付近から吸引されて冷却ファン13の径方向外側に流れ、軸受ホルダ11の外周側に形成された空気孔を通過する。軸受ホルダ11から排出される冷却風の一部は、ギヤケース6に形成された排気口(図示せず)を介して矢印79aのように外部に排出され、残りは軸受ホルダ11の下側付近の排気口(図示せず)を介して矢印79bのように外部に排出される。以上のように本実施例ではモータハウジング10を筒型の一体型とすることで、回転軸線A1を含む断面にて分割したモータハウジングで支持するよりも、モータ5を強固に軸支可能とし、十分な剛性を確保できた。
ハンドル部4は、作業時に作業者が把持する部分となるもので、その筐体はプラスチックの成型によって左右二分割式にて構成されたハンドルハウジング16からなり、4本の図示しないネジによって固定される。ハンドル部4は回転軸線A1回りに図1の状態から一方側に90度、他方側に90度回転させることができ、その回転させた状態でハンドル部4をモータハウジング10に対して固定できる。この回転軸線A1まわりの回転を実現するために回動機構は、中間部材125の後方側外周縁に形成されたリブ状に形成されたフランジ部126と、ハンドルハウジング16に形成された回転溝125aが嵌め合わされることにより実現される。
中間部材125の後方には、制御回路部19が収容される。制御回路部19は、回転軸線A1と直交する方向に延びるようにハンドルハウジング16により挟持される。制御回路部19は、浅い容器状のケースの内部に第2の回路基板たる制御回路基板(図示せず)を収容し、モータ5の制御回路(後述)が搭載される。このようにインバータ用と制御用の回路を別基板(回路基板27と制御回路部19内の図示しない回路基板)に分けることで、単一基板に全回路を集中させたときの回路基板の大型化を抑制できる。
ハンドル部4の後端側には商用交流電源供給用の電源コード99が接続される。ハンドルハウジング16の中央部分には、モータ5のオン・オフを制御するためのトリガスイッチ18が配置される。トリガスイッチ18は、トリガレバー17を操作させることでオン又はオフに切り換える。
モータ5は、動力伝達部3を取りつける前に、モータハウジング10の前方側から回転軸線A1方向後方側に向けて挿入され、モータ5をモータハウジング10に突き当たる所定位置まで挿入させる。すると、ステータ30の後端部に位置する合成樹脂製のインシュレータ40(図4にて後述)がモータハウジング10の軸受ホルダ109に突き当たる。回転軸60の後端部分を軸支する軸受15bはボールベアリングであり、その外輪側が軸受ホルダ109によって保持される。軸受ホルダ109はモータハウジング10と一体成形にて製造し、軸受ホルダ109を支えるためにモータハウジング10の内壁と軸受ホルダ109の間には複数のリブが格子状に形成される。
次に図2を用いてモータ5の駆動制御系の主な回路構成を説明する。外部から商用交流電源100が電源コード99によって供給されて、直流に整流される。ブリッジダイオード112は商用交流電源100から入力される交流を全波整流し、平滑回路113へ出力する。平滑回路113は、ブリッジダイオード112によって整流された電流の中に含まれている脈流を、直流に近い状態に平滑化してインバータ回路118へ出力する。平滑回路113は、電解コンデンサ114とコンデンサ115と放電用の抵抗116を含んで構成される。インバータ回路118は6つのスイッチング素子Q1〜Q6を含んで構成され、演算部110から供給されるゲート信号H1〜H6によってスイッチング動作が制御される。スイッチング素子Q1〜Q6は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を用いているが、電界効果トランジスタ(FET)を用いるようにしても良い。インバータ回路118の出力は、モータ5のコイルのU相、V相、W相に接続される。ブリッジダイオード112の出力側には低電圧電源回路119が接続される。低電圧電源回路119は演算部110が稼働するための安定した基準電圧(低電圧)の直流を供給する公知の電源回路である。
モータ5のステータ30の内側では、永久磁石を有するロータ70が回転する。ロータ70の近傍には3つのホールIC121による回転位置検出素子が設けられ、演算部110はロータ70の出力を監視することによりロータ70の回転位置を検出する。ホールIC121を搭載するセンサ基板122(図1参照)は、ロータ70の片側端面に対面する位置に配置される。
演算部110は、モータ5のオン・オフ及び回転制御を行うための制御部であって、図示しないマイクロコンピュータ(以下、「マイコン」と称する)を用いて主に構成される。演算部110は制御回路部19(図1参照)の回路基板に搭載され、トリガスイッチ18の操作に伴い入力される起動信号に基づき、モータ5を回転させるためにコイルU、V、Wへの通電時間と駆動電圧を制御する。尚、ここでは図示していないが、モータ5の回転速度を設定する変速ダイヤルを設けて、変速ダイヤルによって設定された速度に合わせるように演算部110がモータ5の速度調整をしても良い。
演算部110の出力は、インバータ回路118の6個のスイッチング素子Q1〜Q6の各ゲートに接続される。インバータ回路118の6個のスイッチング素子Q1〜Q6の各エミッタ又は各コレクタは、デルタ結線されたコイルのU相、V相、W相に接続される。スイッチング素子Q1〜Q6は、演算部110から入力されるゲート信号H1〜H6に基づきスイッチング動作を行い、商用交流電源100から整流回路111を介して供給された直流電圧を、3相(U相、V相、W相)電圧Vu、Vv、Vwとして、モータ5の各相に供給する。モータ5に供給される電流の大きさは、平滑回路113とインバータ回路118との間に接続されたシャント抵抗117の両端の電圧値を検出することにより演算部110によって検出される。
次に図3の部品展開図を用いてモータハウジング10とその後方側に収容されるインバータ回路部20の内部構造を説明する。モータハウジング10は、合成樹脂の一体成形によって製造されるもので、モータ5を収容するモータ収容部102の前方側に外径が大きく形成されたファン収容部101が形成される。ファン収容部101の内部には冷却ファン13(図1参照)を収容するために外径が大きく形成されるとともに、外周の4箇所には、ギヤケース6(図1参照)をネジで固定するためのネジボス部105a〜105d(但し、図では105bは見えない)が形成される。モータハウジング10の後方開口部付近には、インバータ回路部20を収容するための大径の回路基板収容部104が形成される。ここでは、モータ収容部102の直径に対して回路基板収容部104の直径が大きいように形成される。そのため、モータ収容部102から回路基板収容部104に至る接続部分は、テーパー状に広がるテーパー部103となっている。テーパー部103の内側部分には、軸受15bを保持する部分となる軸受ホルダ109(ともに図1参照)が形成される。モータハウジング10の内側には、ステータ30の回転軸A1方向回りの回転を防ぐための凹部(図11にて後述)が形成される。本実施例では、一体の筒型として成形したモータハウジング10でステータ30を支持することで、左右二分割式のモータハウジングの場合と比較してステータ30を強固に保持することができ、モータ5の高出力化に対応できる。特に、ステータ30は積層鉄心で形成されて比重が大きく総重量が重いので、モータハウジング10を一体成型で形成するのは強度的に好適である。
インバータ回路部20は、回路基板27に電子部品が搭載されたIGBT回路素子群26と、それらを収容するための容器状の円筒ケース21によって形成される。円筒ケース21は略円筒状の外周面24の一方側(前方側)を底面23にて塞いだもので、その内部空間にIGBT回路素子群26が収容される。このように円筒ケース21内にモータ駆動用のスイッチング素子群を配置することにより、モータ5に近い部分にスイッチング素子を搭載して回路基板27からモータ5への配線を短くすることができる。また、インバータ回路部20の製造とモータハウジング10への組立ては、モータ5のモータハウジング10への組み込みとは独立して行うことができるので効率の良い組立てが可能となる。円筒ケース21は、開口側がハンドル部4側(後向き)、即ち空気の吸気側になるように配置され、閉鎖面である底面23がモータ5側(前向き)になるように配置される。
インバータ回路部20が、モータハウジング10の回路基板収容部104内に収容されると、その後方側から支持部材133が装着される。支持部材133は、モータハウジング10の後方側開口を閉鎖する部材である。支持部材133の中心軸付近には貫通孔134a、134bが形成され、ハンドル部4の前側端部を構成するコーン状の揺動支持部材(図示せず)を挟み込むにして接続する。支持部材133は右側部133aと左側部133bが接合された状態で4つのネジ穴137a〜137d(図3ではネジ穴137aと137cは見えない)を用いて図示しないネジによりモータハウジング10の後方側開口部分に固定される。
モータハウジング10の後方側開口部分にはネジを貫通させるに穴の形成されたネジボス106a〜106dが形成される。またネジボス106a〜106dの近傍には円筒ケース21の外周面を保持するための軸方向に延びるリブ107a、107bやレール部108が形成される。支持部材133の外周部であってネジが貫通する部分には、前方側に延在する半円筒状の押さえ部材136a〜136dが形成される。押さえ部材136a〜136dはモータハウジング10側のネジボス106a〜106dの円筒状の外周面と当接すると共に、円筒ケース21の後方側開口縁の一部を保持する。貫通孔134a、134bよりも径方向外側には網状構成により、軸方向に風を流すための複数の風窓135a、135bが形成される。
円筒ケース21の外周形状は、モータハウジング10の回路基板収容部104の内側形状に沿った形で軸方向に連続する窪みが形成される。回り止め保持部25a〜25dは、モータハウジング10の円筒状のネジボス106a〜106dを避けるために窪ませた部分である。円筒ケース21の左右両側の段差部24aや切り欠き部分24bは、支持部材133の軸方向後方側から流れてIGBT付近に当たった冷却風をモータ5側へ流す風路として作用する。
回路基板27に搭載される主要な電子部品は、6つの半導体スイッチング素子Q1〜Q6(図ではQ4、Q5は見えない)である。スイッチング素子Q1〜Q3には、独立した金属製の放熱板が取り付けられ、その面方向が左右及び前後方向に延びるように、即ち冷却風の流入方向に対して平行になるように配置される。スイッチング素子Q1〜Q3の上方側には3つのスイッチング素子Q4〜Q6(図ではQ4、Q5は見えない)がその面方向が左右及び前後方向に延びるように配置される。これらのスイッチング素子Q4〜Q6のエミッタ端子は共通に接地されるため共通の左右方向に長い金属の放熱板が設けられる。スイッチング素子Q1とQ2とQ3とQ4〜Q6は、非導電部材からなる仕切り板28によって遮蔽される。
回路基板27の上部にはブリッジダイオード112が設けられる。ブリッジダイオード112の下側部分には、2つのコンデンサ114、115が搭載される。回路基板27には、トリガスイッチ18から接続される電力線を半田付けするための端子と、モータ5へU相、V相、W相の駆動電力を伝達する電力線を半田付けするための端子(図示せず)と、制御回路部19との接続用ワイヤハーネスのコネクタ端子(図示せず)が設けられる。モータ5に接続される電力線は、円筒ケース21の外周部の段差部24aとモータハウジング10の内壁面との間にできる空間を介してステータ30(図1参照)の引出し線54a〜54c(図7にて後述)に接続される。
図4はモータ5のステータ30を示す斜視図であって、コイルの巻回前の状態を示す。モータ5のステータ30には、軸方向の前側と後方側に2つのインシュレータ35、40が設けられ、第1のインシュレータ35と第2のインシュレータ40間において、ステータコア31のティース34a〜34fを囲むようにして6つのコイルが巻かれる。インシュレータ35、40は、合成樹脂等の非導電体の部材により構成される。インシュレータ40の外周側には円筒部分が形成され、その内側に向けて6本の巻付部44a〜44fが突出するようにして設けられ、巻付部44a〜44fの外周側に沿うようにしてコイルが巻き付けられる。インシュレータ40の円環部41は、円柱状の外周面41aと、回転軸線A1と直交する円環状の平面たる円環端面41cが形成される。外周面41aと円環端面41cの形状については、図5にて後述する。回転軸線A1の軸方向から見たインシュレータ40の投影形状は、ステータ30の投影形状と同じとする。従って、インシュレータ40は円環部41から内周側に伸びる複数本の巻付部44a〜44fが形成され、巻付部44a〜44fの最内周側は周方向及び軸方向に延在することによって巻回したコイルの脱落を防ぐストッパ部45a〜45f(符号は図5を参照)が形成される。モータ5のコイル(図示せず)は、前方のインシュレータ35の巻付部と、後方のインシュレータ40の巻付部44a〜44fに渡るようにして銅製のニクロム線を複数回巻き付ける。巻き付けて形成された6組のコイルはデルタ結線となるように配線される。インシュレータ40の円環部41には、軸方向に突出する3つの引出し部46〜48が形成される。引出し部46〜48はデルタ結線されるコイルの巻き付けをガイドする役割を果たすと共に、デルタ結線の中間点となるため駆動電力供給用の引き出し線を保持・接続される接続箇所となる。引出し部46〜48は、軸方向凸部46a、47a、48aと、窪み部46b、47b、48bと、金属端子59a、59b、59c(図9にて詳述)を装着するための端子取付け溝46c、47c、48cを含んで形成される。
インシュレータ40の巻付部44a〜44fの近傍、即ち巻付部44a〜44fより回転方向の一方側の円環端面41cには、径方向に連続する径方向溝43a〜43fが形成される。径方向溝43a〜43fは巻き付けられたコイルから径方向外側への2本の引き出し線(異相渡り線56a〜56c)を配線するためのスロット部となるもので、円環端面41cよりも軸方向前方側に切り欠かれた形状とされる。径方向溝43a〜43fの円周方向一方側(巻付部44a〜44fとは離れた側)には、回転軸方向から見た際の形状が略L字状の壁部49a〜49fが形成される。壁部49a〜49fは、コイルからの引き出し線(異相渡り線56a〜56c)を安定して保持するために形成され、径方向溝43a〜43fに沿って径方向に延びる壁面と、円環端面41cの内周面に沿って周方向に所定距離だけ延びる壁面を有し、軸方向視で略L字状の形状とされる。
図5(1)はステータ30の側面図であり、(2)は背面図である。ステータコア31の外周面の左右方向両側には、径方向外側に突出するものであって軸方向に連続した凸部たるキー32a、32bが形成される。ステータコア31の外形は、キー32a、32bを除いて円形であって、その前後に配置されるインシュレータ35、40の外形は円形に形成される。図5(1)から見るとステータコア31の外径に対してインシュレータ35、40の外径がわずかに小さいように見えるが、この差は、ステータ30を筒状のモータハウジング10の軸方向に挿入する際に、インシュレータ35がモータハウジングの内壁面に強くあたることを避けるためである。このようにステータコア31の外径がインシュレータ35、40よりもほんのわずかだけ外径が大きいことで、ステータコア31がモータハウジング10の内壁部分に安定して接触する
インシュレータ40の外周面41aには、径方向に窪むような凹部であって、周方向に連続して形成される周方向溝42が形成される。また周方向溝42とクロスするようして回転軸線A1方向に外周面を切り欠いたような径方向溝43a〜43fが形成される。径方向溝43a〜43fは、回転軸線A1方向の後方側からみてインシュレータ40の巻付部44a〜44fの一方側にだけ形成される。巻付部44a〜44fのうち、巻付部44aの径方向外側にはW相引出し部48が形成され、巻付部44cの径方向外側にはU相引出し部46が形成され、巻付部44eの径方向外側にはV相引出し部47が形成される。
図6(1)は、従来のコイルの結線方法を説明するための図である。本実施例のモータ5のステータコア31は、6極のティースを有し、そこにU1、U2、V1、V2、W1、W2の6つのコイル(51a〜53a)が形成される。各ティースの周囲にはニクロム線が数回から数十回程度巻かれることにより6つのコイルのそれぞれが形成される。本実施例では、U相、V相、W相の引出し線54a〜54cの間に、第1のコイル(U1、V1、W1)と第2のコイル(U2、V2、W2)の2つずつのコイルが配置されたデルタ結線としたものであり、3本の引出し線54a〜54cに3相交流の励磁電流が供給される。引出し線54aと54bの間にはU2コイル51bとU1コイル51aが直列に接続され、引出し線54bと54cの間にはW2コイル53bとW1コイル53aが直列に接続され、引出し線54cと54aの間にはV2コイル52bとV1コイル52aが直列に接続される。ここで、ステータコア31の各ティース34a〜34fに巻かれる部分がコイルになるが、コイル部分から引き出されて別のコイルと接続するための部分が“渡り線”となる。“渡り線”には、同相コイル間を接続する“同相渡り線”と、異相コイル間を接続する“異相渡り線”の2種類がある。同相渡り線は、U2コイル51bとU1コイル51aを接続する同相渡り線55a、W2コイル53bとW1コイル53aを接続する同相渡り線55b、V2コイル52bとV1コイル52aを接続する同相渡り線55cがある。一方、異相渡り線は、V1コイル52aとU2コイル51bを接続する異相渡り線56a、U1コイル51aとW2コイル53bを渡り線56b、W1コイル53aとV2コイル52bを接続する渡り線56cが設けられる。ここで、異相渡り線56a〜56c異相渡り線56a、56b、56cの中間点付近には、電流供給用の引出し線54a〜54cが接続される。引出し線54a〜54cは金属端子(図示せず)にて置き換えても良い。
図6(2)は、従来のステータコアへの巻き方と結線方法を説明するための図である。ステータコア31のティース34a〜34fは、U相引出し部46から周方向に(右から左方向に)、W2、U1、V1、W1、U2、V2に割り当てられる。ここでは円周方向に配置されるティース34a〜34fを円周上から平面上に展開して図示したので、左右方向の丸aと丸bの配線部分は接続される部分であり、電気的に接続状態にある。また、W1相用のティース34dとU2相のティース34cはU2と隣接するものである。引出し部46〜48は、図6(1)に示す引出し線54a、54b、54cが接続される金属端子(図示せず)の固定部材であり、これら引出し部46〜48の金属端子に接触するようにしニクロム線を引出し部46〜48にも巻き付けながら配線される。ティース34a〜34fに図6(1)の結線方法を実現すると、(2)のようになる。各ティースにおける巻き方向は、同じ方向であり、各ティースの根元の一方側から例えば右巻きに巻き初めて、所定回数巻いたらコイル部分を巻き終え、渡り線部分へ移行する。尚、ここでは引出し部46から巻き初めて、引出し部46で巻き終えるまで、連続した1本のニクロム線を最後まで切断すること無く一筆書きのようにして巻き付ける。
コイルの巻き付けは、U相用の引出し部46から巻き付けを開始する。従来例のコイルの巻き線方法では、図6(2)に示すように引出し部46からU1ティース34bまで結線され、U1ティース34bにU1コイル51aが形成される。U1ティース34bにコイルを巻き終えると、U2ティース34eまで約半周ほど周方向に同相渡り線55aが配線される。U2ティース34eにU2コイル51bを巻き終えると、U2ティース34eに隣接する引出し部47に接続される。
引き続いて引出し部47から、約半周ほど周方向に配線されV1ティース34aまで異相渡り線56aにて結線され、V1ティース34aにV1コイル52aが形成される。V1ティース34aにV1コイル52aを巻き終えると、V2ティース34dまで約半周ほど周方向に同相渡り線55cが配線されV2ティース34dまで結線される。V2ティース34dにV2コイル52bを巻き終わると異相渡り線56cにて約半周ほど周方向に配線され、引出し部48に接続される。引出し部48の所定箇所(図示しない金属端子と接触する位置)を通過させたあとに、異相渡り線56cにてW1ティース34fまで結線され、W1ティース34fにW1コイル53aが形成される。W1ティース34fにW1コイル53aを巻き終えると、W2ティース34cまで約半周ほど周方向に同相渡り線55bにて配線される。W2ティース34cにW2コイル53bを巻き終えると、W2ティース34cに隣接する引出し部46に接続され、巻き終わりとなる。
以上のように結線されると、同相又は異相のコイル間を接続するために周方向に渡って配線される渡り線の数は、図中に点線で囲むようにV2ティース34dとW2ティース34cの間が4本、W2ティース34cとU1ティース34bの間が4本、U1ティース34bとV1ティース34aの間が4本となり、残りの区間が2本となる。つまり、従来のモータにおいて周方向に渡って配線される渡り線の数は、周方向の約半周で4本となり、残りが2本となっていた。また、4本の渡り線のうち同相渡り線55cは、他の渡り線とは別に逆方向に巻くことになるので、配線に必要とされる長さが長くなる。また、渡り線のうち逆方向に巻く部分があるため、各ティースにニクロム線を巻くための自動コイル巻き機を用いて、全自動で結線を行うことができなかった。
図7は本実施例に係るモータの結線方法を説明するための図である。本実施例のモータ5のステータコア31も従来と同様に6極のティースを有し、そこにU1、U2、V1、V2、W1、W2の6つのコイルが形成される。しかしながら、図6(1)と図7(1)のV1、V2のコイル位置を比較するとわかるように、デルタ結線におけるV1コイル52aとV2コイル52bの配線順を逆にした。デルタ結線におけるそれ以外のU1、U2、W1、W2コイル53bの配線順は同じである。一方、図7(2)に示すようにステータコア31のティース34a〜34fの物理的な配置位置は同じである。このようにV1コイル52aとV2コイル52bの配線順序を逆にすると、引出し部47に到達した巻き付けは、異相渡り線56aによって隣接するV2ティース34dに結線され、V2ティース34dにV2コイル52bが形成される。V2ティース34dにV2コイル52bを巻き終えると、V1ティース34aまで約半周ほど周方向に同相渡り線55cが配線される。V1ティース34aにV1コイル52aを巻き終えると、V1ティース34aに隣接する引出し部48に接続される。それ以外のU1、U2、W1、W2への結線方法は図6で示した方法と同じである。このように配線すると、渡り線の周方向に向かう配線部分に関しては、点線にて囲むようにどの円周位置においても2本で済むので、全体に渡る配線長を短くすることができる。
図8は自動コイル巻き機を用いたステータコイルの巻き方を説明するための別の図であり、図7の展開図とは異なって円周方向に連続するように図示したが、図示している内容と結線方法は図7と同じである。図7にて説明したように本実施例のステータコイルの渡り線(同相渡り線55a〜55c、異相渡り線56a〜56c)は、周方向の一方方向にだけ向くので、自動コイル巻き機を用いて、全自動で結線を行うことができるようになった。ステータコイルは、ニクロム線をU相引出し部46から巻き始める。U相引出し部46、V相引出し部47、W相引出し部48は図4に示すように周方向に等間隔に配置されており、ここでは各引き出し部に隣接するステータコア31の各ティース34a〜34fを、順にV1、U1、W2、V2、U2、W1と定義した。ニクロム線をステータコア31の各ティース34a〜34fに巻く際には、ティース34a〜34fの径方向側面に絶縁材58a〜58f(図11で後述)を配置し、ティース34a〜34fの回転軸方向の端面にインシュレータ35とインシュレータ40を配置し、絶縁材58a〜58fとインシュレータ35、40の各ティースの周囲を巻くようにする。
U相引出し部46にてニクロム線の巻き始め部分を固定したら、周方向溝42の内部にニクロム線が沿うように約60度巻いて異相渡り線56bとし、径方向溝43b(図4も参照)を通してU1ティース34bの周囲を複数回巻いてU1コイル51aを形成する。図8では説明のためにU1ティース34bの周囲を1回だけ巻くように図示しているが、実際には数回から数十回ほど巻かれる。ステータコア31の各ティースへのコイルの巻く方向は統一されており、各ティースを外周側から径方向内側に見たときに、ティースの特定方向回り(例えば時計回り)になるようにする。U1ティース34bのコイルを形成したらは、再び径方向溝43b(図4も参照)を通して元の周方向溝42に戻り、渡り線55aで示すように周方向溝42内に約180度這わせて、径方向溝43eを通してU2ティース34eに到達させて、U2ティース34eに複数回巻いてU2コイル51bを形成する。U2ティース34eのコイルを巻き終えたら、径方向溝43eを通して元の周方向溝42に戻り、V相引出し部47に到達させる。V相引出し部47では端子取付け溝46cに装着される図示しない金属端子と接触させることにより導通状態とし、そのままニクロム線を切断すること無く矢印56aのように再び周方向溝42に戻して、約60度這わせて径方向溝43dを介してV2ティース34dに到達させる。
V2ティース34dにてV2コイル52bを形成したら、再び径方向溝43d(図4も参照)を通して元の周方向溝42に戻り、渡り線55cで示すように周方向溝42内に約180度這わせて、径方向溝43aを通してV1ティース34aに到達させて、V1ティース34aに複数回巻いてV1コイル52aを形成する。V1コイル52aを巻き終えたら、径方向溝43aを通して元の周方向溝42に戻り、W相引出し部48に到達させる。W相引出し部48では端子取付け溝48cに装着される図示しない金属端子と接触させることにより導通状態とし、そのままニクロム線を切断すること無く矢印56cのように再び周方向溝42に戻して、約60度這わせて径方向溝43fを介してW1ティース34fに到達させる。
W1ティース34fのコイルを形成したらは、再び径方向溝43f(図4も参照)を通して元の周方向溝42に戻り、渡り線55bで示すように周方向溝42内に約180度這わせて、径方向溝43cを通してW2ティース34cに到達させて、W2ティース34cに複数回巻いてU2コイル51bを形成する。U2コイル51bのコイルを巻き終えたら、径方向溝43cを通してU相引出し部46に到達させて、図示しない金属端子と接触させることにより巻き始め部分と導通状態する。以上のようにしてニクロム線の巻き付け作業を行うことによって、周方向溝42内は一方方向への巻き付けだけですむ。
図9は図4の周方向溝42の形状とニクロム線50の配線との位置関係を示すための部分断面図であり、(1)は図5の一部拡大図である。ここでは右上にニクロム線50の断面を示すように、その直径はdであるとする。周方向溝42は、その幅(回転軸線A1方向の長さ)がWで、深さ(溝の径方向の深さ)Dとすると、W>2d、D>2dの関係となるような寸法とされる。図7にて説明したように周方向溝42の内部に配線される渡り線の本数は最大で2本である。従って、径方向に2本のニクロム線50が重なったとしても、D>2の関係であればニクロム線50が外周面41aよりも外側に突出することを防止できる。また、W>2dの関係であれば、軸方向においても横に2本のニクロム線50を並べることができる。図9(2)は周方向溝42にニクロム線50を配線した状態を示す図であり、軸方向に並んだ同相渡り線55aと、異相渡り線56cが軸方向に並んでいることが理解できよう。尚、リブ41bの外縁位置は、(1)にて示すように外周面41aの外縁位置よりもその差tだけわずかに小さくなっている。これは、ステータを圧入する際にハウジングのリブとインシュレータのリブを接触させないためである。この状態であってもリブ41bよりニクロム線50が突出しないようにするためには、D>2d+tの関係とすると好ましい。このように、周方向溝42の深さを深めにすれば、冷却ファン13によって吸引された冷却風と共に金属粉塵が吸引されてモータ5の内部を流れるとしても、周方向に配線される渡り線にぶつかる虞を大幅に減らすことができるので、ニクロム線50の被覆部分が剥がれて周方向溝42内の渡り線どうしが短絡することをほぼ回避でき、モータの更なる長寿命化を実現できる。特に、金属加工を行うグラインダ等の電動工具では、作業によって金属粉が生じるため、より一層モータの長寿命化の効果が高い。
図10(1)は、モータ5のロータ70及び冷却ファン13の側面図であり、(2)は(1)のD−D部の断面図(ロータコア71の側面図に相当)である。ロータ70及び冷却ファン13の組立体は、中心軸となる回転軸60と、回転軸60の周囲に配置される略円筒状のロータコア71と、ロータコア71の前方側において回転軸60と同心上に固定される冷却ファン13を含んで構成される。回転軸60は、前後の2箇所にて軸受15a、15b(図1参照)にて軸支されるものであり、軸受15a、15bの取り付け部には軸受が圧入されるために外周面を研磨して同軸度を向上させた軸受保持部60b、60eが形成される。軸受保持部60bの前方側は、傘歯車7a(図1参照)を保持するための細径部60aが形成され、軸受保持部60bの後方側には、軸方向の一部の外周面に、周方向に連続する凹凸部60fを形成した冷却ファン取付部60cが形成される。冷却ファン取付部60cに固定される冷却ファン13は遠心ファンであり、冷却ファン13が回転することにより回転軸60の軸方向から取り込んだ空気を半径方向外側に排出する。冷却ファン13は合成樹脂の一体成形で製造され、内周側には回転軸60に形成された凹凸部60fに対応する凹凸部を有する取付部13aが形成され、凹凸部60fと取付部13aの凹凸が嵌合することによって空転しないように冷却ファン13を回転軸60に固定する。
ステータ30は複数の鋼板を積層した積層鉄心にて構成される。回転軸60のロータコア71を保持する部分は、外周面を絶縁材によるモールド部材65によって覆われたシャフトモールド部60dである。モールド部材65としては樹脂が用いられる。シャフトモールド部60dにロータコア71が固定されることにより、回転軸60とロータコア71の金属部分はモールド部材65を介した接続となるため、電気的に非導通状態となる。ロータコア71の前側端部及び後側端部には、回転バランスを取るためにバランサ部材85、95が同軸上に設けられる。バランサ部材85、95は回転軸方向に所定の厚さを持った非磁性金属製の円環状の質量体であって、外周面の周方向の1カ所又は複数箇所に、径方向に所定のドリル穴、溝、面取り等を形成して局所的な質量を削減することによって、図10(1)にて示す回転体の回転バランスの精度を高める。図10(1)では矢印85a、95aのように周方向に連続する小さい溝部を形成しているが、これはドリル加工をする際に、ドリルの先端の位置を軸方向に決定し易くするために設けられるものである。従って、周方向溝85a、95aは設けなくても良い。本実施例ではバランサ部材85とロータコア71の前端面71aの間に円板状の樹脂スペーサ80を介在させ、バランサ部材95とロータコア71の後端面71bの間に円板状の樹脂スペーサ90を介在させた。樹脂スペーサ80、90の外径はロータコア71の外径と同じであって、軸方向の厚さは、樹脂スペーサ80、90に比べて薄い。本実施例では、スペーサ部材(樹脂スペーサ80、90)の外径をロータコア71の外径よりtだけわずかに小さくしており、ロータコア71の径が39.8mmに対してt=0.5mm程度である。一方、ロータコア71に対するバランサ部材85の径D80は15%程度小さく構成され、ロータコア71に対するバランサ部材95の径D80は30%程度小さく構成される。
図10(2)は(1)のD−D部の断面図である。この図はロータコア71の端面を前方側から見た正面図に相当する。ロータコア71には、周方向に等間隔で積層鉄心を切り抜いたスロット73a〜73dが形成される。スロット73a〜73dは、ロータコア71の横断面で回転軸60を中心とした正方形の四辺にそれぞれ位置するように配置される。それらスロット73a〜73dの内部には回転軸線A1方向に4つの板状のマグネット76a〜76dが回転軸線A1方向に圧入され、接着剤にて固定される。軸方向に連続する小径部75a〜75dは、ロータコア71を構成する多数の鋼板を固定する際の位置決め用のカシメである。 ここで、ロータコア71の外周面71cにおいて、各マグネット76a〜76dの短辺が接近する付近には、ロータコア71の外周面を略V状または、谷状に径方向内側に向けて窪むようなV字溝74a〜74dが形成される。V字溝74a〜74dは、ロータコア71の軸方向の全長に亘って前端面71aから後端面71bまで連続して形成される軸方向溝である。軸方向溝の断面形状が略V字といっても、底部分が平面になる又は湾曲するような形状であるので、略U字状ともいえる形状であるが、このような谷状の溝部をロータコア71の軸方向の全長分形成することによって、ロータコア71の外周側に冷却風が通りやすくなる上に、マグネット76a〜76dによる磁気特性を改善してロータコア71から発生する磁束の乱れを改善できる。回転軸60の外周側であって、ロータコア71の中心穴72との間にはモールド部材65が介在する。モールド部材65は、回転軸60の外周側の特定部分、即ちシャフトモールド部60dにだけ形成される。このようにモールド部材65を介在させることによってロータコア71と回転軸60が電気的に絶縁されることになる。
図11(1)は図1のA−A部の断面図であり、(2)は図1のB−B部の断面図であり、(3)は図1のC−C部の断面図である。ここで(1)(2)は回転軸線A1方向の前方から見た図であり、(3)は後方側から見た図であるので、左右方向の向きが異なることに注意されたい。図11(2)の断面図にて示すように、ステータコア31は内向きに6つの磁極片を有し、それら磁極片の内側空間には、ロータコア71が配置される。ロータコア71は、その外周面がステータコア31の磁極片に対してわずかな隙間を有するように隣接する。ステータコア31を保持するモータハウジング10は、合成樹脂の一体成形にて筒状に形成され、回転軸60の軸方向を通る分割面が存在しない。ステータコア31はモータハウジング10の軸方向前方側から後方側に挿入されることによって保持される。モータハウジング10の内側には軸方向に連続する多数のリブ(凸部)が形成され、ステータコア31の外側に所定の軸方向通路が形成されるようにして、冷却風がモータ5の外周側の軸方向後方から前方側に流れるようにした。また、モータハウジング10に形成される凹部(キー溝)に、ステータコア31のキー32a、32bが位置するので、モータ5がモータハウジング10内で回転方向に移動しないように保持される。
図11(1)のA−A部は、ロータ70の前方側から見た側面図に相当する。ロータコア71の前端面(風下側端部)には、V字断面形状を有するロータコア71(図10参照)と同じ断面外縁形状の樹脂スペーサ80を設けられ、その前方側にはロータコア71のV字溝74a〜74dの底部の直径とほぼ同径とされるバランサ部材85が設けられる。このように、V字断面形状を有するロータコア71と同形状の樹脂スペーサ80をバランサ部材85とロータコア71の間に配置することによってロータコア71の前端面71a(図10参照)の金属面が露出しない状態とすることができる。また、樹脂スペーサ80の前側に小径のバランサ部材85を配置することにより、回転バランス調整を従来と同様に行うことが可能である。バランサ部材85の外径は、ロータコア71のV字溝74a〜74dの底部(回転軸心と一番近い点)と同じ又はそれよりも小さい径となるようにし、さらに、回転軸60を通る永久磁石の法線方向でみた際に、永久磁石の外側面の位置よりも小さくなるように形成される。このように形成することによって、V字溝74a〜74d部分を通って軸方向後方から前方側に流れる冷却風が、樹脂スペーサ80によって流れが阻害されることなくスムーズに流れるようになった。特に、バランサ部材85はロータコア71の風下側にあるので、バランサ部材85の外径がV字溝74a〜74dの底部よりも大きい場合には、バランサ部材85とロータコア71とで囲われる空間に粉塵が溜まってしまい、冷却ファン13による空気流でも除去が困難となってしまうが、本発明によれば、ロータコア71の風下側に粉塵が溜まってしまうことを抑制できる。ロータコア71の前端側にはインシュレータ35が設けられ,インシュレータ35の径方向に延びる巻付部にはコイル58a〜58fが形成される。図11ではニクロム線によるコイル部分の詳細図示を省略し、コイルの占める部分を長方形にて図示している。また、ステータコア31の各磁極部分には第3のインシュレータを介して、磁極部分と非接触状態を保ってコイルを巻くが、図11では第3のインシュレータの図示も省略している。
図11(3)はロータ70の後方側から見た背面図に相当する図である。本図で明白なように、バランサ部材95の大きさはロータコア71や樹脂スペーサ90に比べて十分小さい径とされる。このようにバランサ部材95を小さくすれば、バランサ部材95の外周側に、ロータコア71の回転位置を検出するホールICを搭載するセンサ基板122(図1参照)を配置することができ、バランサ部材95の外周側の空間を有効利用できる。一方で、樹脂スペーサ90の外縁形状をロータコア71の外縁形状と同じようにV字溝91a〜91dを形成したので、ロータコア71の後端面71b(図10参照)の金属面が露出しない状態とすることができ、冷却風と共にハンドルハウジング16内からモータハウジング10の内部空間に到達した金属粉塵が、ロータコア71の軸方向の後端面71bに直接付着することを防止できる。また、樹脂スペーサ90にもV字溝が同じように形成されるので、冷却風の軸方向の流れを阻害することなく、ロータコア71の端面に付着した異物によってモータロックを引き起こす虞を大幅に回避できる。
図12はバランサ部材85、95の単体形状を示す斜視図である。ここでは外周面85b、95bに形成される周方向溝85a、95a(図10参照)の図示を省略している。バランサ部材85、95は、ロータ70の回転バランスを向上させる目的であるので、バランス調整用の径方向穴を開ける前の状態(バランス調整前の状態)では軸対称の略円環状の形状である。それぞれの中央には貫通穴85c、95cが形成され、軸方向にはそれぞれ厚さT、Tとされる。ここでは外径の差を考慮してT<Tとしたことによりそれぞれの質量を等しくしている。貫通穴85c、95cの内径は、シャフトモールド加工が終了した後に回転軸60のシャフトモールド部60d(図10参照)に圧入するのに最適な大きさとされる。回転バランスの調整行程においては、図10のように回転軸60にステータ70と冷却ファン13を組み立てた状態において回転軸60の径方向から図示しないドリル刃をバランサ部材85、95の外周面に押し当てて、そこに微小の穴を形成し、穴によって取り除かれた金属部分の質量軽減によって回転体の質量分布の不揃いをなくすようにする。この際、ドリルは鉄系の金属製であるため、ロータコア71に設けられているマグネット76a〜76d側に磁力によって引きつけられるため、穿孔作業に支障が出やすい。本実施例で樹脂スペーサ80、90を設けたことによりバランサ部材85、95とロータコア71との距離をわずかに離すことができるので、バランス取り作業の作業性を向上させることができる。また、ドリル刃がロータコア71の端面に引き寄せられたとしても樹脂スペーサ80、90の存在により、従来よりも引き離しがし易い。
以上、本実施例によれば樹脂スペーサ80、90の大きさが、ロータコア71とほぼ同じ大きさとすることで、ロータコア71の軸方向の端面が外部に露出しないように構成したので、ロータコア71の端面に鉄粉等をつきにくく構成することができた。また、バランサ部材85、95も従来同様に設けているので、ロータ70の回転の釣り合い調整は従来同様に行うことができる。尚、回転軸60にシャフトモールド成形を行う際に、モールド箇所としてロータコア71の両側端面も含めることにより回転軸60とロータコア71の両側端面を一体にモールドすることによって、樹脂スペーサ80、90部分をモールド部材65と一体に成形しても良い。
次に図13を用いて本発明の第二の実施例を説明する。第二の実施例の基本的な構造は第一の実施例と同様であり、ステータコア131の軸方向の長さが大きい点と、後方側の第2のインシュレータ140の形状が異なる点である。前方側のインシュレータ35は、円環部36の大きさが一致すれば第一の実施例と同じ部品を用いることができる。インシュレータ140は、本発明によるデルタ結線の方法を実現するだけでなく、従来のスター結線などにも広く対応できるように、コイルの引出し部146〜148、166〜168が合計6カ所形成されたものである。インシュレータ140の外周面141aには、先述した第一の実施例と同様の思想により、周方向溝142が形成される。周方向溝142は、径方向に窪むような凹部であって、周方向に連続して形成される。また周方向溝142とクロスするようして回転軸線A1方向に円環端面141c及びリブ141bを切り欠いたような径方向溝143a〜143fが形成される。
径方向溝143a〜143fは、回転軸線A1方向の後方側からみてインシュレータ140の巻付部158a〜158fの時計回り側に形成される。また、各巻付部158a〜158fの径方向外側にはそれぞれ、引出し部146〜148、166〜168が形成される。ここでは、引出し部146〜148だけが用いられ、引出し部166〜168はコイルの巻き付け及び配線用には用いられていない。尚、引出し部のどれを用いるかは、モータが装着されるハウジング部分の形状や、モータへの駆動電流用の配線の位置に応じて変更しても良い。引出し部146〜148にはそれぞれ金属端子159a〜159cが装着され、金属端子159a〜159cには異相渡り線156a〜156cを接触させて導通状態にて固定される。例えば図に示すように、引き出し部147には金属端子159cが取りつけられる。金属端子159cの一部には切り抜いた部分を外側に折り曲げたコイル線保持部160cが形成され、コイル線保持部160cに異相渡り線156aが係止される。
ステータコア131の各ティースの周囲には、合成樹脂製の巻付部158a〜158fが設けられる。巻付部158a〜158fはステータコア131の各ティースの周方向の後方側をカバーする部材であって、コイルと各ティースとの間を絶縁するものである。
以上のように第2の実施例では、モータのコイルをデルタ結線として、ステータコアの一端側(後側)の形状を工夫することによって、コイルの自動巻付け機を用いて効率良く巻回することが可能となった。また、インシュレータ40における周方向の渡り線が、冷却風に曝されないように配線されるので、金属粉が飛び散るような環境下においても、寿命が長くて安定して動作する電動工具を実現できた。
以上、本発明を実施例に基づいて説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。例えば、電動工具は上述したグラインダだけに限定されるものではなく、モータを用いたその他の種々な動力工具での適用が可能である。また、モータの他端側に延びる回転軸に動力伝達部が接続されるモータ機器であれば、その他の動力機械や、動力機械用のモータに適用できる。
1 ディスクグラインダ 2 胴体部 3 動力伝達部 4 ハンドル部
4b サイドハンドル取付孔 5 モータ 6 ギヤケース
6b サイドハンドル取付孔 7a、7b 傘歯車
8 スピンドル(出力軸) 9a、9b 軸受 10 モータハウジング
11 軸受ホルダ 12 ファンガイド 13 冷却ファン
13a 取付部 14a 受け金具 14b 押さえ金具
15a、15b 軸受 16 ハンドルハウジング 17 トリガレバー
18 トリガスイッチ 19 制御回路部 20 インバータ回路部
21 円筒ケース 23 底面 24 外周面 24a 段差部
24b 切り欠き部分 25a〜25d 回り止め保持部
26 IGBT回路素子群 27 回路基板 28 仕切り板
29 ホイルガード 30 ステータ 31 ステータコア
32a、32b キー 34a〜34f ティース
35 (第1の)インシュレータ 36 円環部
38a〜38d ストッパ部 40 (第2の)インシュレータ
41 円環部 41a 外周面
41b リブ 41c 円環端面 42 周方向溝
43a〜43f 径方向溝 44a〜44f 巻付部
45a〜45f ストッパ部 46 U相引出し部 47 V相引出し部
48 W相引出し部 46a、47a、48a 軸方向凸部
46b、47b、48b 窪み部 46c、47c、48c 端子取付け溝
49a〜49f 壁部 50 ニクロム線
51a U1コイル 51b U2コイル
52a V1コイル 52b V2コイル
53a W1コイル 53b W2コイル
54a〜54c 引出し線 55a〜55c 同相渡り線
56a〜56c 異相渡り線 58a〜58f 絶縁材
57b 金属端子 59a、59b、59c 金属端子 60 回転軸
60a (回転軸の)細径部 60b、60e (回転軸の)軸受保持部
60c (回転軸の)冷却ファン取付部
60d (回転軸の)シャフトモールド部 60f (回転軸の)凹凸部
65 モールド部材 70 ロータ 71 ロータコア
71a 前端面 71b 後端面 71c 外周面 72 中心穴
73a〜73d スロット 74a〜74d V字溝
75a〜75d 小径部 76a〜76d マグネット
80 樹脂スペーサ 80a 貫通穴 80b 外周面
85 バランサ部材 85a 周方向溝 90 樹脂スペーサ
90a 貫通穴 91a〜91d (樹脂スペーサ90の)V字溝
95 バランサ部材 95a 周方向溝 98 砥石
99 電源コード 100 商用交流電源 101 ファン収容部
102 モータ収容部 103 テーパー部 104 回路基板収容部
105a ネジボス部 106a〜106d ネジボス
107a、107b リブ 108 レール部 109 軸受ホルダ
110 演算部 111 整流回路 112 ブリッジダイオード
113 平滑回路 114 電解コンデンサ 115 コンデンサ
116 抵抗 117 シャント抵抗 118 インバータ回路
119 低電圧電源回路 121 ホールIC 122 センサ基板
125 中間部材 125a 回転溝 126 フランジ部
130 ステータ 131 ステータコア 133 支持部材
133a 右側部 133b 左側部 134a 貫通孔
135a 風窓 136a 部材 137a ネジ穴
140 インシュレータ 141a 外周面 141b リブ
141c 円環端面 142 周方向溝 143a〜143f 径方向溝
146〜148 引出し部 156a〜156c 異相渡り線
158a〜158f 巻付部 159a〜159c 金属端子
166〜168 引出し部 Q1〜Q6 スイッチング素子
d ニクロム線50の直径 W (周方向溝52の)軸方向幅
D (周方向溝52の径方向)深さ
t 外周面41aとリブ41bの外縁位置との差
A1 回転軸線
本願において開示される発明のうち代表的なものの特徴を説明すれば次の通りである。
本発明の一つの特徴によれば、ロータと、径方向内側に突出する複数のティースを有するステータコアと、樹脂製であってステータコアの一端側に配置される第1のインシュレータと他端側に配置される第2のインシュレータと、第1及び第2のインシュレータを用いてティースの周囲に巻かれるコイルと、を有するモータであって、コイルは各相を構成する第1のコイルと第2のコイルが直列に接続された3相のデルタ結線とし、同相内の第1のコイルと第2のコイルを接続する同相渡り線と、異相のコイルとの間を接続するものであって引き出し部が設けられる異相渡り線のすべてを、ステータコアの一方側に配置される第1のインシュレータ部にて結線する。また、第2のインシュレータの外周面に径方向内側に向けて窪み、周方向に連続する周方向溝を形成し、同相渡り線と異相渡り線のうち周方向に延びる部分をすべて周方向溝内に配置した。第1のコイルと第2のコイルは巻き数が同じであって、各相を構成する第1及び第2のコイルと同相渡り線、異相渡り線は同一太さの絶縁被覆されたエナメル線等の電線であり、周方向溝の径方向深さは、電線の直径の2倍以上とし、周方向溝の軸方向幅は電線の直径の2倍以上とし、周方向溝の径方向深さは電線の直径の2倍以上とした。
本発明の実施例に係る電動工具であるディスクグラインダ1の全体構成を示す縦断面図である。 図1のディスクグラインダ1の駆動制御系の回路構成図である。 図1のモータハウジング10の後方側に装着されるインバータ回路部20の搭載状況を示す展開斜視図である。 図1のモータ5のステータ30を示す斜視図である(コイルの巻回前の状態)。 図4のステータ30を示す図であって、(1)は側面図、(2)は背面図である。 従来例におけるステータコイルの巻き方を説明するための図である。 本実施例に係るステータコイルの巻き方を説明するための図である。 本実施例に係るステータコイルの自動コイル巻き機を用いた巻き方を説明するための図である。 図4の周方向溝42の形状とエナメル線50の配線との位置関係を示す図である。 (1)はモータ5のロータ70及び冷却ファン13の側面図であり、(2)は(1)のD−D部の断面図(ロータコア71の側面図)である。 (1)は図1のA−A部の断面図であり、(2)は図1のB−B部の断面図であり、(3)は図1のC−C部の断面図である。 図9のバランサ部材85、95の形状を示す斜視図である。 本発明の第2の実施例に係るステータ130を示す図であって、(1)は側面図、(2)は背面図である(コイルを巻回後の状態)
図4はモータ5のステータ30を示す斜視図であって、コイルの巻回前の状態を示す。モータ5のステータ30には、軸方向の前側と後方側に2つのインシュレータ35、40が設けられ、第1のインシュレータ35と第2のインシュレータ40間において、ステータコア31のティース34a〜34fを囲むようにして6つのコイルが巻かれる。インシュレータ35、40は、合成樹脂等の非導電体の部材により構成される。インシュレータ40の外周側には円筒部分が形成され、その内側に向けて6本の巻付部44a〜44fが突出するようにして設けられ、巻付部44a〜44fの外周側に沿うようにしてコイルが巻き付けられる。インシュレータ40の円環部41は、円柱状の外周面41aと、回転軸線A1と直交する円環状の平面たる円環端面41cが形成される。外周面41aと円環端面41cの形状については、図5にて後述する。回転軸線A1の軸方向から見たインシュレータ40の投影形状は、ステータ30の投影形状と同じとする。従って、インシュレータ40は円環部41から内周側に伸びる複数本の巻付部44a〜44fが形成され、巻付部44a〜44fの最内周側は周方向及び軸方向に延在することによって巻回したコイルの脱落を防ぐストッパ部45a〜45f(符号は図5を参照)が形成される。モータ5のコイル(図示せず)は、前方のインシュレータ35の巻付部と、後方のインシュレータ40の巻付部44a〜44fに渡るようにして銅製のエナメル線を複数回巻き付ける。巻き付けて形成された6組のコイルはデルタ結線となるように配線される。インシュレータ40の円環部41には、軸方向に突出する3つの引出し部46〜48が形成される。引出し部46〜48はデルタ結線されるコイルの巻き付けをガイドする役割を果たすと共に、デルタ結線の中間点となるため駆動電力供給用の引き出し線を保持・接続される接続箇所となる。引出し部46〜48は、軸方向凸部46a、47a、48aと、窪み部46b、47b、48bと、金属端子59a、59b、59c(図9にて詳述)を装着するための端子取付け溝46c、47c、48cを含んで形成される。
図6(1)は、従来のコイルの結線方法を説明するための図である。本実施例のモータ5のステータコア31は、6極のティースを有し、そこにU1、U2、V1、V2、W1、W2の6つのコイル(51a〜53a)が形成される。各ティースの周囲にはエナメル線が数回から数十回程度巻かれることにより6つのコイルのそれぞれが形成される。本実施例では、U相、V相、W相の引出し線54a〜54cの間に、第1のコイル(U1、V1、W1)と第2のコイル(U2、V2、W2)の2つずつのコイルが配置されたデルタ結線としたものであり、3本の引出し線54a〜54cに3相交流の励磁電流が供給される。引出し線54aと54bの間にはU2コイル51bとU1コイル51aが直列に接続され、引出し線54bと54cの間にはW2コイル53bとW1コイル53aが直列に接続され、引出し線54cと54aの間にはV2コイル52bとV1コイル52aが直列に接続される。ここで、ステータコア31の各ティース34a〜34fに巻かれる部分がコイルになるが、コイル部分から引き出されて別のコイルと接続するための部分が“渡り線”となる。“渡り線”には、同相コイル間を接続する“同相渡り線”と、異相コイル間を接続する“異相渡り線”の2種類がある。同相渡り線は、U2コイル51bとU1コイル51aを接続する同相渡り線55a、W2コイル53bとW1コイル53aを接続する同相渡り線55b、V2コイル52bとV1コイル52aを接続する同相渡り線55cがある。一方、異相渡り線は、V1コイル52aとU2コイル51bを接続する異相渡り線56a、U1コイル51aとW2コイル53bを渡り線56b、W1コイル53aとV2コイル52bを接続する渡り線56cが設けられる。ここで、異相渡り線56a〜56c異相渡り線56a、56b、56cの中間点付近には、電流供給用の引出し線54a〜54cが接続される。引出し線54a〜54cは金属端子(図示せず)にて置き換えても良い。
図6(2)は、従来のステータコアへの巻き方と結線方法を説明するための図である。ステータコア31のティース34a〜34fは、U相引出し部46から周方向に(右から左方向に)、W2、U1、V1、W1、U2、V2に割り当てられる。ここでは円周方向に配置されるティース34a〜34fを円周上から平面上に展開して図示したので、左右方向の丸aと丸bの配線部分は接続される部分であり、電気的に接続状態にある。また、W1相用のティース34dとU2相のティース34cはU2と隣接するものである。引出し部46〜48は、図6(1)に示す引出し線54a、54b、54cが接続される金属端子(図示せず)の固定部材であり、これら引出し部46〜48の金属端子に接触するようにしエナメル線を引出し部46〜48にも巻き付けながら配線される。ティース34a〜34fに図6(1)の結線方法を実現すると、(2)のようになる。各ティースにおける巻き方向は、同じ方向であり、各ティースの根元の一方側から例えば右巻きに巻き初めて、所定回数巻いたらコイル部分を巻き終え、渡り線部分へ移行する。尚、ここでは引出し部46から巻き初めて、引出し部46で巻き終えるまで、連続した1本のエナメル線を最後まで切断すること無く一筆書きのようにして巻き付ける。
以上のように結線されると、同相又は異相のコイル間を接続するために周方向に渡って配線される渡り線の数は、図中に点線で囲むようにV2ティース34dとW2ティース34cの間が4本、W2ティース34cとU1ティース34bの間が4本、U1ティース34bとV1ティース34aの間が4本となり、残りの区間が2本となる。つまり、従来のモータにおいて周方向に渡って配線される渡り線の数は、周方向の約半周で4本となり、残りが2本となっていた。また、4本の渡り線のうち同相渡り線55cは、他の渡り線とは別に逆方向に巻くことになるので、配線に必要とされる長さが長くなる。また、渡り線のうち逆方向に巻く部分があるため、各ティースにエナメル線を巻くための自動コイル巻き機を用いて、全自動で結線を行うことができなかった。
図8は自動コイル巻き機を用いたステータコイルの巻き方を説明するための別の図であり、図7の展開図とは異なって円周方向に連続するように図示したが、図示している内容と結線方法は図7と同じである。図7にて説明したように本実施例のステータコイルの渡り線(同相渡り線55a〜55c、異相渡り線56a〜56c)は、周方向の一方方向にだけ向くので、自動コイル巻き機を用いて、全自動で結線を行うことができるようになった。ステータコイルは、エナメル線をU相引出し部46から巻き始める。U相引出し部46、V相引出し部47、W相引出し部48は図4に示すように周方向に等間隔に配置されており、ここでは各引き出し部に隣接するステータコア31の各ティース34a〜34fを、順にV1、U1、W2、V2、U2、W1と定義した。エナメル線をステータコア31の各ティース34a〜34fに巻く際には、ティース34a〜34fの径方向側面に絶縁材58a〜58f(図11で後述)を配置し、ティース34a〜34fの回転軸方向の端面にインシュレータ35とインシュレータ40を配置し、絶縁材58a〜58fとインシュレータ35、40の各ティースの周囲を巻くようにする。
U相引出し部46にてエナメル線の巻き始め部分を固定したら、周方向溝42の内部にエナメル線が沿うように約60度巻いて異相渡り線56bとし、径方向溝43b(図4も参照)を通してU1ティース34bの周囲を複数回巻いてU1コイル51aを形成する。図8では説明のためにU1ティース34bの周囲を1回だけ巻くように図示しているが、実際には数回から数十回ほど巻かれる。ステータコア31の各ティースへのコイルの巻く方向は統一されており、各ティースを外周側から径方向内側に見たときに、ティースの特定方向回り(例えば時計回り)になるようにする。U1ティース34bのコイルを形成したらは、再び径方向溝43b(図4も参照)を通して元の周方向溝42に戻り、渡り線55aで示すように周方向溝42内に約180度這わせて、径方向溝43eを通してU2ティース34eに到達させて、U2ティース34eに複数回巻いてU2コイル51bを形成する。U2ティース34eのコイルを巻き終えたら、径方向溝43eを通して元の周方向溝42に戻り、V相引出し部47に到達させる。V相引出し部47では端子取付け溝46cに装着される図示しない金属端子と接触させることにより導通状態とし、そのままエナメル線を切断すること無く矢印56aのように再び周方向溝42に戻して、約60度這わせて径方向溝43dを介してV2ティース34dに到達させる。
V2ティース34dにてV2コイル52bを形成したら、再び径方向溝43d(図4も参照)を通して元の周方向溝42に戻り、渡り線55cで示すように周方向溝42内に約180度這わせて、径方向溝43aを通してV1ティース34aに到達させて、V1ティース34aに複数回巻いてV1コイル52aを形成する。V1コイル52aを巻き終えたら、径方向溝43aを通して元の周方向溝42に戻り、W相引出し部48に到達させる。W相引出し部48では端子取付け溝48cに装着される図示しない金属端子と接触させることにより導通状態とし、そのままエナメル線を切断すること無く矢印56cのように再び周方向溝42に戻して、約60度這わせて径方向溝43fを介してW1ティース34fに到達させる。
W1ティース34fのコイルを形成したらは、再び径方向溝43f(図4も参照)を通して元の周方向溝42に戻り、渡り線55bで示すように周方向溝42内に約180度這わせて、径方向溝43cを通してW2ティース34cに到達させて、W2ティース34cに複数回巻いてU2コイル51bを形成する。U2コイル51bのコイルを巻き終えたら、径方向溝43cを通してU相引出し部46に到達させて、図示しない金属端子と接触させることにより巻き始め部分と導通状態する。以上のようにしてエナメル線の巻き付け作業を行うことによって、周方向溝42内は一方方向への巻き付けだけですむ。
図9は図4の周方向溝42の形状とエナメル線50の配線との位置関係を示すための部分断面図であり、(1)は図5の一部拡大図である。ここでは右上にエナメル線50の断面を示すように、その直径はdであるとする。周方向溝42は、その幅(回転軸線A1方向の長さ)がWで、深さ(溝の径方向の深さ)Dとすると、W>2d、D>2dの関係となるような寸法とされる。図7にて説明したように周方向溝42の内部に配線される渡り線の本数は最大で2本である。従って、径方向に2本のエナメル線50が重なったとしても、D>2の関係であればエナメル線50が外周面41aよりも外側に突出することを防止できる。また、W>2dの関係であれば、軸方向においても横に2本のエナメル線50を並べることができる。図9(2)は周方向溝42にエナメル線50を配線した状態を示す図であり、軸方向に並んだ同相渡り線55aと、異相渡り線56cが軸方向に並んでいることが理解できよう。尚、リブ41bの外縁位置は、(1)にて示すように外周面41aの外縁位置よりもその差tだけわずかに小さくなっている。これは、ステータを圧入する際にハウジングのリブとインシュレータのリブを接触させないためである。この状態であってもリブ41bよりエナメル線50が突出しないようにするためには、D>2d+tの関係とすると好ましい。このように、周方向溝42の深さを深めにすれば、冷却ファン13によって吸引された冷却風と共に金属粉塵が吸引されてモータ5の内部を流れるとしても、周方向に配線される渡り線にぶつかる虞を大幅に減らすことができるので、エナメル線50の被覆部分が剥がれて周方向溝42内の渡り線どうしが短絡することをほぼ回避でき、モータの更なる長寿命化を実現できる。特に、金属加工を行うグラインダ等の電動工具では、作業によって金属粉が生じるため、より一層モータの長寿命化の効果が高い。
図11(1)のA−A部は、ロータ70の前方側から見た側面図に相当する。ロータコア71の前端面(風下側端部)には、V字断面形状を有するロータコア71(図10参照)と同じ断面外縁形状の樹脂スペーサ80を設けられ、その前方側にはロータコア71のV字溝74a〜74dの底部の直径とほぼ同径とされるバランサ部材85が設けられる。このように、V字断面形状を有するロータコア71と同形状の樹脂スペーサ80をバランサ部材85とロータコア71の間に配置することによってロータコア71の前端面71a(図10参照)の金属面が露出しない状態とすることができる。また、樹脂スペーサ80の前側に小径のバランサ部材85を配置することにより、回転バランス調整を従来と同様に行うことが可能である。バランサ部材85の外径は、ロータコア71のV字溝74a〜74dの底部(回転軸心と一番近い点)と同じ又はそれよりも小さい径となるようにし、さらに、回転軸60を通る永久磁石の法線方向でみた際に、永久磁石の外側面の位置よりも小さくなるように形成される。このように形成することによって、V字溝74a〜74d部分を通って軸方向後方から前方側に流れる冷却風が、樹脂スペーサ80によって流れが阻害されることなくスムーズに流れるようになった。特に、バランサ部材85はロータコア71の風下側にあるので、バランサ部材85の外径がV字溝74a〜74dの底部よりも大きい場合には、バランサ部材85とロータコア71とで囲われる空間に粉塵が溜まってしまい、冷却ファン13による空気流でも除去が困難となってしまうが、本発明によれば、ロータコア71の風下側に粉塵が溜まってしまうことを抑制できる。ロータコア71の前端側にはインシュレータ35が設けられ,インシュレータ35の径方向に延びる巻付部にはコイル58a〜58fが形成される。図11ではエナメル線によるコイル部分の詳細図示を省略し、コイルの占める部分を長方形にて図示している。また、ステータコア31の各磁極部分には第3のインシュレータを介して、磁極部分と非接触状態を保ってコイルを巻くが、図11では第3のインシュレータの図示も省略している。
1 ディスクグラインダ 2 胴体部 3 動力伝達部 4 ハンドル部
4b サイドハンドル取付孔 5 モータ 6 ギヤケース
6b サイドハンドル取付孔 7a、7b 傘歯車
8 スピンドル(出力軸) 9a、9b 軸受 10 モータハウジング
11 軸受ホルダ 12 ファンガイド 13 冷却ファン
13a 取付部 14a 受け金具 14b 押さえ金具
15a、15b 軸受 16 ハンドルハウジング 17 トリガレバー
18 トリガスイッチ 19 制御回路部 20 インバータ回路部
21 円筒ケース 23 底面 24 外周面 24a 段差部
24b 切り欠き部分 25a〜25d 回り止め保持部
26 IGBT回路素子群 27 回路基板 28 仕切り板
29 ホイルガード 30 ステータ 31 ステータコア
32a、32b キー 34a〜34f ティース
35 (第1の)インシュレータ 36 円環部
38a〜38d ストッパ部 40 (第2の)インシュレータ
41 円環部 41a 外周面
41b リブ 41c 円環端面 42 周方向溝
43a〜43f 径方向溝 44a〜44f 巻付部
45a〜45f ストッパ部 46 U相引出し部 47 V相引出し部
48 W相引出し部 46a、47a、48a 軸方向凸部
46b、47b、48b 窪み部 46c、47c、48c 端子取付け溝
49a〜49f 壁部 50 エナメル
51a U1コイル 51b U2コイル
52a V1コイル 52b V2コイル
53a W1コイル 53b W2コイル
54a〜54c 引出し線 55a〜55c 同相渡り線
56a〜56c 異相渡り線 58a〜58f 絶縁材
57b 金属端子 59a、59b、59c 金属端子 60 回転軸
60a (回転軸の)細径部 60b、60e (回転軸の)軸受保持部
60c (回転軸の)冷却ファン取付部
60d (回転軸の)シャフトモールド部 60f (回転軸の)凹凸部
65 モールド部材 70 ロータ 71 ロータコア
71a 前端面 71b 後端面 71c 外周面 72 中心穴
73a〜73d スロット 74a〜74d V字溝
75a〜75d 小径部 76a〜76d マグネット
80 樹脂スペーサ 80a 貫通穴 80b 外周面
85 バランサ部材 85a 周方向溝 90 樹脂スペーサ
90a 貫通穴 91a〜91d (樹脂スペーサ90の)V字溝
95 バランサ部材 95a 周方向溝 98 砥石
99 電源コード 100 商用交流電源 101 ファン収容部
102 モータ収容部 103 テーパー部 104 回路基板収容部
105a ネジボス部 106a〜106d ネジボス
107a、107b リブ 108 レール部 109 軸受ホルダ
110 演算部 111 整流回路 112 ブリッジダイオード
113 平滑回路 114 電解コンデンサ 115 コンデンサ
116 抵抗 117 シャント抵抗 118 インバータ回路
119 低電圧電源回路 121 ホールIC 122 センサ基板
125 中間部材 125a 回転溝 126 フランジ部
130 ステータ 131 ステータコア 133 支持部材
133a 右側部 133b 左側部 134a 貫通孔
135a 風窓 136a 部材 137a ネジ穴
140 インシュレータ 141a 外周面 141b リブ
141c 円環端面 142 周方向溝 143a〜143f 径方向溝
146〜148 引出し部 156a〜156c 異相渡り線
158a〜158f 巻付部 159a〜159c 金属端子
166〜168 引出し部 Q1〜Q6 スイッチング素子
エナメル線50の直径 W (周方向溝52の)軸方向幅
D (周方向溝52の径方向)深さ
t 外周面41aとリブ41bの外縁位置との差
A1 回転軸線

Claims (11)

  1. ロータと、径方向内側に突出する複数のティースを有するステータコアと、樹脂製であって前記ステータコアの一端側に配置される第1のインシュレータと他端側に配置される第2のインシュレータと、前記第1及び前記第2のインシュレータを用いて前記ティースの周囲に巻かれるコイルと、を有するモータであって、
    前記コイルは、各相を構成する第1のコイルと第2のコイルが直列に接続された3相のデルタ結線とし、
    同相内の前記第1のコイルと前記第2のコイルを接続する同相渡り線と、異相のコイルとの間を接続するものであって引き出し部が設けられる異相渡り線のすべてを、前記ステータコアの一方側に配置される前記第2のインシュレータ部にて結線し、
    前記第2のインシュレータの外周面に径方向内側に向けて窪み、周方向に連続する周方向溝を形成し、前記同相渡り線と前記異相渡り線のうち周方向に延びる部分をすべて前記周方向溝内に配置したことを特徴とするモータ。
  2. 前記第1のコイルと前記第2のコイルは巻き数が同じであって、
    前記各相を構成する前記第1及び第2のコイルと前記同相渡り線、前記異相渡り線は同一太さの絶縁被覆された電線であり、
    前記周方向溝の径方向深さは、前記電線の直径の2倍以上であることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
  3. 前記周方向溝の軸方向幅は、前記電線の直径の2倍以上であることを特徴とする請求項2に記載のモータ。
  4. 前記周方向溝の径方向深さは、前記電線の直径の2倍以上であることを特徴とする請求項2又は3に記載のモータ。
  5. 前記第1のインシュレータの前記ステータコアと接する側とは反対側の軸方向端面に、前記デルタ結線の引き出し線保持部を形成し、
    前記周方向溝は前記ステータコアと前記引き出し線保持部との間に位置する外周面に形成されることを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載のモータ。
  6. 前記引き出し線保持部はU相、V相、W相用に3箇所設けられ、それぞれに対応する引き出し接続用の金属端子が前記引き出し線保持部に設けられ、
    前記第2のインシュレータの外周面において前記周方向溝と前記金属端子を連結するために軸方向に延びる連結溝が前記引き出し線保持部の近傍に設けられることを特徴とする請求項5に記載のモータ。
  7. 前記連結溝は、複数の前記ティースに隣接する位置に設けられることを特徴とする請求項6に記載のモータ。
  8. 前記周方向溝内に配置される前記同相渡り線と前記異相渡り線の本数は、前記連結溝の接続される領域以外では2本であることを特徴とする請求項7に記載のモータ。
  9. 前記デルタ結線の引き出し用にU極端子、V極端子、W極端子を有し、
    前記U極端子からV極端子にかけて第1のコイル(U1)と第2のコイル(U2)が順に接続され、
    前記V極端子からW極端子にかけて第2のコイル(V2)と第1のコイル(V1)が順に接続され、
    前記W極端子からU極端子にかけて第1のコイル(W1)と第2のコイル(W2)が順に接続され、
    前記ステータコアは6つのティースを有し、各ティースは周方向にU1、V1、W1、U2、V2、W2相用に割り当てられることを特徴とする請求項8に記載のモータ。
  10. 請求項1から9のいずれか一項に記載のブラシレス方式の前記モータと、
    前記モータの他端側に延びる回転軸に接続される動力伝達部と、
    前記動力伝達部によって駆動される先端工具保持部と、
    前記モータと前記動力伝達部を覆うと共に把持部が形成されたハウジングを有する
    電動工具。
  11. 前記ハウジングのうち、前記モータを収容する部分は円筒形の一体型であって、一端側の開口から前記ステータコアを挿入されることを特徴とする請求項10に記載の電動工具。

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