〔映像表示装置〕
後述する実施形態1〜4の構成を含む映像表示装置について説明する。図1は、映像表示装置1の構成を示すブロック図である。図2は、映像表示装置1に設けられるバックライトパネル40の構成を示すブロック図である。
(映像表示装置1の全体構成)
図1に示すように、映像表示装置1は、表示パネル10の背面に設置されるバックライトパネル40の複数の光源としてのLED50の輝度を映像信号に応じて制御することにより、表示映像のダイナミックレンジを拡大する表示装置である。
この映像表示装置1は、大別して、液晶パネル等から成る表示パネル10と、タイミングコントローラ20と、表示ドライバ30と、バックライトパネル40とを備えている。
タイミングコントローラ20は、第1タイミングコントローラ21と、第2タイミングコントローラ22とを含んでいる。第1タイミングコントローラ21は、映像信号から表示データおよび制御信号を抽出して、表示ドライバ30へ与える。第2タイミングコントローラ22は、映像信号から輝度データおよび制御信号を生成してLEDドライバ60へ与える。映像表示装置1において、第2タイミングコントローラ22およびバックライトパネル40によってバックライト装置が構成されている。
表示ドライバ30は、表示パネル10に構成される複数の画素(図示せず)へ表示データを書き込む回路である。
バックライトパネル40は、表示パネル10の背後から表示パネル10に光を照射する。バックライトパネル40は、基板40aと、複数のLED50と、複数のLEDドライバ60とを有している。基板40a上には、複数のLED50が略均等な間隔をおいてマトリクス状に配置されている。4つのLED50は1つのエリアを構成している。また、バックライトパネル40には、従来技術のLEDドライバに対して小型化された複数のLEDドライバ60が実装されている。
LEDドライバ60は、LED50の点灯輝度を制御情報に基づいて制御する。LEDドライバ60は、4つのLED50の中心に配置されることにより、バックライトパネル40において略均等な間隔をおいて配置されている。また、LEDドライバ60と、その周囲に配置されるLED50との距離は略等しくなる。また、各行方向に配列されるLEDドライバ60は、第2タイミングコントローラ22とシリアルに接続されている。
なお、1つのLEDドライバ60が中心となって、当該LEDドライバ60の周囲に配置されるLED50の個数は4個に限定されず、2個、3個あるいは5個以上であってもよい。
1つのLEDドライバ60は、第2タイミングコントローラ22からの輝度データおよび制御信号に基づいて、当該LEDドライバ60の周囲に配置された4つのLED50を駆動する。なお、LEDドライバ60が駆動するLED50の個数は4つに限らない。
また、映像表示装置1は、LEDドライバ60として、後述するLEDドライバ60A〜60E(図3、図5、図7、図9および図12参照)を備えている。
(LEDドライバ60と第2タイミングコントローラ22との接続構成)
図2に示すように、バックライトパネル40において、LEDドライバ60は、m列かつn行のマトリクス状にm×n個配置されている。
第2タイミングコントローラ22からの輝度データDATA(制御情報,デジタル信号)および制御信号CTLは、各列における先頭のm個のLEDドライバ60(1−1)〜60(m−1)に入力される。また、輝度データDATAおよび制御信号CTLは、各列の第2段以降に設けられたn−1個のLDEドライバ60(1−2)〜60(1−n),60(2−2)〜60(2−n),…,60(m−2)〜60(m−n)に順次転送されていく。輝度データDATAおよび制御信号CTLを転送する方法については、後に詳しく説明する。
〔参考列1〕
(LEDドライバ60Aの構成)
後述する各実施形態1〜3のLEDドライバ60C〜60Eの前提となる参考例1のLEDドライバについて説明する。
図3は、本参考例に係るLEDドライバ60Aの構成を示す回路図である。
なお、図3においては、1つのLED駆動部61が描かれているが、LEDドライバ60Aは4つのLED50を駆動するために4つのLED駆動部61を有している。このように4つのLED駆動部を有するのは、後述する図5、図7、図9および図12に示すLEDドライバ60B〜60Eについても同じである。
あるいは、図3に示すLEDドライバ60Aは、DAコンバータ61aを4つのLED50について共通化することで駆動電流を同じとし、実施形態1〜3で用いられるPWM制御によって4つのLED50の個々の輝度を制御してもよい。このような構成は、後述する図5に示すLEDドライバ60Bでも採用することができる。
図3に示すように、本参考例に係るLEDドライバ60Aは、LED駆動部61と、SPカウンタ62と、データラッチ回路63と、スタートパルス出力部64と、クロック出力部65とを有している。
LED駆動部61は、DAコンバータ61aと、オペアンプ61bと、トランジスタ61cと、抵抗61dとを含んでいる。LED駆動部61は、従来のLEDドライバ160(図20参照)と同等に構成されている。
DAコンバータ61aは、入力されるデータをアナログの基準電圧Vrefに変換する。オペアンプ61bは、一方の入力端子に入力される基準電圧Vrefと他方の入力端子に入力される電圧との差に応じた電圧を出力する。
トランジスタ61cのゲートには、オペアンプ61bの出力電圧が入力される。トランジスタ61cのドレインには、LED50のカソードが接続されている。トランジスタ61cのソースは、抵抗61dを介してグランドラインに接続されるとともに、オペアンプ61b他方の入力端子に接続されている。LED50のアノードは電源に接続されている。オペアンプ61bおよびトランジスタ61cから成るフィードバック回路により、LED50には、基準電圧Vrefに対応する駆動電流が流れる。これにより、LED50は、輝度データDATAで表される所望の輝度に調整される。
SPカウンタ62に入力されるスタートパルスSPは、制御信号CTLの1つであり、1行分の輝度データDATAが連なるデータ列の直前に1つ出力されるパルスである。第2タイミングコントローラ22は、スタートパルスSPの出力タイミングにより、各段のLEDドライバ60Aにおけるデータラッチが適正に行われるように、輝度データDATA、スタートパルスSPおよびクロックCLKを、予め定められた相互のタイミングで出力している。
SPカウンタ62は、スタートパルスSPをカウントするカウンタである。SPカウンタ62は、スタートパルスSPを所定の設定値までカウントすると、イネーブル信号ENBをイネーブル端子ENから出力する。イネーブル信号ENBは、データラッチ回路63がデータ取り込みを開始するために必要な信号である。SPカウンタ62は、上記の設定値を定めるためのkビットの設定端子を有している。例えば、カウント値は、図3に示す3ビット(k=3)である場合、1から8までの設定が可能である。
また、SPカウンタ62は、入力されるスタートパルスSPをシリアルの輝度データDATAの末尾のタイミングまで遅延させてスタートパルスSPoutとして出力する。SPカウンタ62は、スタートパルスSPを遅延させるために、例えば、クロックCLKに同期してスタートパルスSPをシフトさせるシフトレジスタを有していてもよい。
この設定を使用して、各行の先頭のLEDドライバ60A、すなわち第1列のLEDドライバ60A(1−1),60A(2−1),…,60A(m−1)のイネーブル信号ENBを出力するタイミングを決定する。例えば、LEDドライバ60A(1−1)のカウント値を“1”に設定し、LEDドライバ60A(2−1)のカウント値を“2”に設定する。この場合、スタートパルスSPが1発出力されると、LEDドライバ60A(1−1)は、スタートパルスSPをイネーブル信号ENBとして出力する。第2行の輝度データDATAのデータ列における先頭のスタートパルスSPが2発目に出力されると、LEDドライバ60A(2−1)は、2つのスタートパルスSPをカウントした結果、スタートパルスSPをイネーブル信号ENBとして出力する。このようにして、スタートパルスSPのパルス数のカウント値に応じて、列方向の先頭のLEDドライバ60Aがイネーブル信号ENBを出力するタイミングを制御する。
設定値が設定されるのは、第2タイミングコントローラ22に接続される各行の先頭のLEDドライバ60A(1−1)〜60A(m−1)である。その他のLEDドライバ60Aの設定値は“1”に設定される。この設定は、バックライトパネル40を構成するプリント基板に形成された電源ラインおよびグランドラインへの接続によって実現される。例えば、“1”のカウント値が上記の3ビットに設定される場合、設定端子の第1ビットが電源ラインに接続され、設定端子の第2ビットおよび第3ビットはグランドラインに接続される。
データラッチ回路63は、入力されるシリアルの輝度データDATAをサンプリングしてパラレルに変換するとともに、変換されたパラレルの輝度データDATAをラッチする回路である。データラッチ回路63は、イネーブル端子ENを有しており、SPカウンタ62から供給されるイネーブル信号ENBをイネーブル端子ENで受けると、輝度データDATAのサンプリングを開始する。データラッチ回路63は、例えば輝度データDATAが8ビットで構成されていれば、サンプリングを8回行う事により、8ビットの輝度データDATAを取得する。
スタートパルス出力部64は、データラッチ回路63のサンプリング終了後に、SPカウンタ62から出力されるスタートパルスSPoutを、次段のLEDドライバ60Aへ出力する。スタートパルス出力部64は、入力されたスタートパルスSPoutを減衰した状態で次段へ出力しないように増幅するバッファである。
クロック出力部65は、入力されたクロックCLKを減衰した状態で次段へ出力しないように増幅するバッファである。
(LEDドライバ60Aの動作)
第1行における初段のLEDドライバ60A(1−1)および第2段のLEDドライバ60A(1−2)の動作について説明する。
図4は、LEDドライバ60A(1−1),60A(1−2)の動作を示すタイミングチャートである。
図4に示すように、輝度データDATA、クロックCLKおよびスタートパルスSP(SP1)は、第2タイミングコントローラ22から同期して送出される。まず、LEDドライバ60A(1−1)において、SPカウンタ62は、入力されるスタートパルスSP1をカウントしたカウント値が、設定値である“1”となるので、スタートパルスSP1をイネーブル信号ENBとして出力する。
データラッチ回路63は、イネーブル信号ENB(スタートパルスSP1)を受けると、輝度データDATAのサンプリングを開始して、入力されたシリアルの輝度データDATA(d0〜d7)を1ビットずつサンプリングしてパラレルのビットデータD01〜D71に変換する。データラッチ回路63は、クロックCLKのタイミングでスタートパルスSP1を8ビットのシフトレジスタによってシフトしていくことで、ラッチパルスD0(Lat1)〜D70(Lat1)を発生する。データラッチ回路63は、ラッチパルスD0(Lat1)〜D70(Lat1)に同期して、ビットデータD01〜D71を順次1ビットずつ取り込んで保持する。
SPカウンタ62は、ラッチパルスD7(Lat1)が出力される次のタイミングでスタートパルスSPoutを出力する。スタートパルスSPoutの出力により、LEDドライバ60A(1−1)におけるデータサンプリングの終了が次段のLEDドライバ60A(1−2)に伝えられる。
次段のLEDドライバ60A(1−2)では、スタートパルスSPoutがスタートパルスSP2として入力されると、SPカウンタ62がスタートパルスSP2を設定値で定められた1つカウントすることにより、スタートパルスSP2をイネーブル信号ENBとして出力する。
データラッチ回路63は、イネーブル信号ENB(スタートパルスSP2)を受けると、入力されたシリアルの輝度データDATA(d0〜d7)を1ビットずつサンプリングしてパラレルのビットデータD02〜D72に変換する。データラッチ回路63は、スタートパルスSP2に基づいて発生したラッチパルスD0(Lat2)〜D70(Lat2)に同期して、ビットデータD02〜D72を順次1ビットずつ取り込んで保持する。
LEDドライバ60A(1−1),61A(1−2)において、DAコンバータ61aが上記のように取得された輝度データDATAをアナログの基準電圧Vrefを発生する。オペアンプ61bは、オペアンプ61bと抵抗61dの端子電圧の差に応じた電圧を出力する。これにより、LED50は、トランジスタ61cにより輝度データDATAに応じた駆動電流が供給されることにより、輝度データDATAで規定された輝度で点灯する。
以上のように、カスケード接続されたLEDドライバ60Aの間でスタートパルスSPを順次伝達することにより、それぞれのLEDドライバ60Aがシリアルの輝度データDATAを順次取り込むことができる。したがって、多数のLEDドライバ60が配置されたバックライトパネル40において、LEDドライバ60としてLEDドライバ60Aを適用すると、バックライトパネル40に形成される配線を少なくすることができる。
なお、図4に示すように、輝度データDATAの最終ビット値d7と、次の輝度データDATAの先頭ビット値d0との間には、スタートパルスSPoutを出力する都合上、1クロック分の間隔を設ける必要がある。
〔参考列2〕
(LEDドライバ60Bの構成)
他の参考例2のLEDドライバについて説明する。
図5は、本参考例に係るLEDドライバ60Bの構成を示す回路図である。
図5に示すように、本参考例に係るLEDドライバ60Bは、上述のLEDドライバ60Aと同じく、LED駆動部61と、データラッチ回路63と、スタートパルス出力部64と、クロック出力部65とを有している。また、LEDドライバ60Bは、LEDドライバ60AのSPカウンタ62に代えて、CLKカウンタ66を有している。
CLKカウンタ66は、クロックCLKをカウントするカウンタである。CLKカウンタ66は、クロックCLKのカウントを開始すると、所定数のクロックのカウントを終えると、イネーブル信号ENBをイネーブル端子ENから出力する。イネーブル信号ENBは、データラッチ回路63がデータ取り込みを開始するために必要な信号である。CLKカウンタ66は、カウントを有効にする順番(設定値K)を設定するためのkビットの設定端子を有している。例えば、設定値Kは、図5に示す10ビット(k0〜k9)である場合、1024個(K=1024)のLEDドライバ60Bが輝度データDATAを取り込む順番を設定できる。
(LEDドライバ60Bの動作)
第1行における初段のLEDドライバ60B(1−1)および第2段のLEDドライバ60B(1−2)の動作について説明する。
図6は、LEDドライバ60B(1−1),60B(1−2)の動作を示すタイミングチャートである。
図6に示すように、LEDドライバ60B(1−1)において、CLKカウンタ66の設定端子には、設定値Kが“0”に設定され、LEDドライバ60B(1−2)において、CLKカウンタ66の設定端子には、設定値Kが“1”に設定されている。
LEDドライバ60B(1−1)のCLKカウンタ66は、リセット後のクロックCLKにおける最初のクロックパルスの立ち上がりに同期して立ち上がるイネーブル信号ENBを出力する。
データラッチ回路63は、クロックCLKの8クロックの間で発生したラッチパルスD0(Lat1)〜D70(Lat1)に同期して、輝度データDATAのパラレルに変換されたビットデータD01〜D71を順次1ビットずつ取り込んで保持する。データラッチ回路63は、イネーブル信号ENBが立ち下がると停止する。
次段のLEDドライバ60B(1−2)において、クロックCLKの8クロック後に、設定値Kが“1”のCLKカウンタ66のイネーブル信号ENBが立ちあがる。データラッチ回路63は、クロックCLKの次の8クロックの間で発生したラッチパルスD0(Lat2)〜D70(Lat2)に同期して、ビットデータD02〜D72を順次1ビットずつ取り込んで保持する。データラッチ回路63は、イネーブル信号ENBが立ち下がると停止する。
このように、それぞれのLEDドライバ60Bは、CLKカウンタ66の設定値Kによって決められた順で輝度データDATAを取得することで、駆動するLED50の点灯輝度を設定することができる。
また、LEDドライバ60Bによれば、LEDドライバ60Aで用いられるスタートパルスSPが必要なくなる。これにより、第2タイミングコントローラ22とLEDドライバ60Bとの間の配線の数を少なくすることができるとともに、カスケード接続における信号の遅延による接続の不具合を防止することができる。また、スタートパルスSPを用いないので、輝度データDATA(d0〜d7)同士の間にスタートパルスSPを配置する間隔を設ける必要がなくなる。それゆえ、データ転送の高速化を図ることができる。
なお、LEDドライバ60Bは、輝度データDATAの取得開始前にCLKカウンタ66をリセットする必要がある。このため、LEDドライバ66Bは、図示しないリセット回路を備える。
リセット回路としては、例えば、電源の立ち上がりで、LEDドライバ60Bにおけるラッチ等の内部回路をリセットするパワーオンリセット回路が用いられる。その他、リセット回路としては、クロックCLKをLowに固定している期間に輝度データDATAがLow、High、Lowと変化するとCLKカウンタ66がリセットされるといったリセット回路等が用いられる。あるいは、配線数を削減する効果は得られなくなるが、CLKカウンタ66のリセット端子にリセット信号を入力するリセット回路を設けてもよい。
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1について、図7および図8を参照して説明すれば、以下の通りである。なお、本実施形態において、前述の参考例1,2における構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記して、その説明を省略する。
上述した参考例1,2のLEDドライバ60A,60Bは、輝度データDATAをシリアルで転送しながら取り込む。しかしながら、図3および図5に示すように、LEDドライバ60A,60Bは、DAコンバータ61aおよびデータラッチ回路63を必要とする。これに対し、実施形態1〜3では、DAコンバータ61aおよびデータラッチ回路63を用いないLEDドライバ60について説明する。
(LEDドライバ60Cの構成)
図7は、本実施形態に係るLEDドライバ60Cの構成を示す回路図である。
図7に示すように、LEDドライバ60Cは、クロック出力部65と、CLKカウンタ66と、LED駆動部70とを有している。
LED駆動部70は、スイッチ制御部71と、スイッチ72,73と、トランジスタ74,75と、コンデンサ76(容量素子)とを有している。トランジスタ74,75およびコンデンサ76は、輝度信号ADATAにしたがった駆動電流をLED50に供給するアナログ駆動部を構成している。スイッチ制御部71およびスイッチ72,73は、複数のLEDドライバ60Cに対して指定された順序で輝度信号ADATAを取り込む取込部(取込部,第1取込部)を構成している。
スイッチ制御部71は、CLKカウンタ66から出力されるイネーブル信号ENBがHighであるときに、スイッチ72,73をONさせるON信号をスイッチ72,73に与える。スイッチ制御部71は、CLKカウンタ66から出力されるイネーブル信号ENBがLowであるときに、スイッチ72,73をOFFさせるOFF信号をスイッチ72,73に与える。
スイッチ72は、アナログの輝度信号ADATA(制御情報,アナログ信号)をトランジスタ74に伝送する経路を開閉する。輝度信号ADATAは、第2タイミングコントローラ22に設けられたDAコンバータ(図示せず)によって輝度データDATAがアナログに変換された、輝度を表す電流または電圧の信号である。
トランジスタ74のゲートとドレインとは接続され、トランジスタ74のソースはグランドラインに接続されている。トランジスタ74のゲートには、スイッチ73の一端が接続され、トランジスタ75(駆動トランジスタ)のゲートには、スイッチ73の他端とコンデンサ76の一端とが接続されている。コンデンサ76の他端はグランドラインに接続されている。
トランジスタ75のドレインはLED50のカソードに接続され、トランジスタ75のソースはグランドラインに接続されている。
(LEDドライバ60Cの動作)
第1行における初段のLEDドライバ60C(1−1)および第2段のLEDドライバ60C(1−2)の動作について説明する。
図8は、LEDドライバ60Cの動作を示すタイミングチャートである。
図8に示すように、LEDドライバ60C(1−1)において、CLKカウンタ66は、設定値Kが“0”であるので、クロックCLKの最初の8クロックの間にカウントが有効になり、Highのイネーブル信号ENBを出力する。スイッチ制御部71がイネーブル信号ENBに応じてON信号を出力すると、スイッチ72が閉じる。すると、輝度信号ADATAがLEDドライバ60C(1−1)の内部に取り込まれる。また、スイッチ73も閉じるので、トランジスタ74,75がカレントミラー回路を構成する。このため、トランジスタ75には、トランジスタ74に流れる電流に応じた駆動電流が流れる。これにより、LED50は、輝度信号ADATAに応じた輝度で点灯する。
コンデンサ76の端子電圧Vcは、イネーブル信号ENBがHighである期間に輝度信号ADATAに応じた値を保っている。また、コンデンサ76は、イネーブル信号ENBがLowに変化しても上記の値を保持している。
LEDドライバ60C(1−2)において、CLKカウンタ66は、設定値Kが“1”であるので、クロックCLKの次の8クロックの間にカウントが有効になり、Highのイネーブル信号ENBを出力する。スイッチ72がスイッチ制御部71によって閉じると、輝度信号ADATAがLEDドライバ60C(1−2)の内部に取り込まれる。また、スイッチ73が閉じることで構成されるトランジスタ74,75のカレントミラー回路を通じて、LED50に駆動電流が供給される。これにより、LED50は、輝度信号ADATAに応じた輝度で点灯する。
コンデンサ76は、イネーブル信号ENBがHighである期間の端子電圧Vcの値を、イネーブル信号ENBがLowに変化しても保持している。
本実施形態のLEDドライバ60Cによれば、輝度信号ADATAをスイッチ72を介して時分割で取り込むことにより、参考例1,2のLEDドライバ60A,60Bが有するDAコンバータ61a(図3および図5参照)を省略することができる。それゆえ、第2タイミングコントローラ22にDAコンバータを設けることで輝度信号ADATAの取り込みを実現できる。したがって、映像表示装置1の大幅なコストダウンを図ることができる。
また、LEDドライバ60Cによれば、参考例2のLEDドライバ60Bと同じく、カスケード接続されたLEDドライバ60Cの間でクロックCLKを伝達する。これにより、それぞれのLEDドライバ60Cが輝度データADATAを順次取り込むことができる。したがって、バックライトパネル40に形成される配線を少なくすることができる。
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2について、図9〜図11を参照して説明すれば、以下の通りである。なお、本実施形態において、前述の参考例1,2および実施形態1における構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記して、その説明を省略する。
(LEDドライバ60Dの構成)
図9は、本実施形態に係るLEDドライバ60Dの構成を示す回路図である。
図9に示すように、LEDドライバ60Dは、SPカウンタ62と、スタートパルス出力部64と、クロック出力部65と、LED駆動部70とを有している。
LED駆動部80は、LED駆動部70と、インターフェース部81(第2取込部,第2保持部)と、PWM信号生成部82と、スイッチ制御部83と、スイッチ84とを有している。トランジスタ75,82、コンデンサ76およびPWM信号生成部82は、輝度データDATAにしたがって駆動電流をLED50に供給するデジタル駆動部を構成している。
インターフェース部81は、データ端子Dに輝度データDATAおよび輝度信号ADATAが同一の信号線を通じて入力される。インターフェース部81は、クロック端子CKに入力されるクロックCLKのタイミングで動作する。インターフェース部81は、SPカウンタ62からのHighのチップセレクト信号CSがチップセレクト端子Cに入力される期間に動作する。
インターフェース部81は、データ端子Dに輝度データDATAが入力されるとき、複数のLEDドライバ60Dに対して指定された順序で、輝度データDATAをサンプリングして(取り込んで)保持し、PWM信号生成部82に送出する。また、インターフェース部81は、輝度データDATAが入力される期間に、輝度データDATAが入力されていることを示す第1信号をスイッチ制御部83に出力する。一方、インターフェース部81は、輝度信号ADATAが入力される期間に、輝度信号ADATAが入力されていることを示す第2信号をスイッチ制御部83に出力する。
PWM信号生成部82は、インターフェース部81から供給されるサンプリングデータに基づいてPWM信号を生成する。
スイッチ制御部83は、インターフェース部81から第1信号が入力されているときにスイッチ72,73をOFFさせるOFF信号を出力する。また、スイッチ制御部83は、インターフェース部81から第2信号が入力されているときにスイッチ72,73をONさせるON信号を出力する。
(LEDドライバ60Dの動作)
第1行における初段のLEDドライバ60D(1−1)および第2段のLEDドライバ60D(1−2)の動作について説明する。
図10は、LEDドライバ60Dの動作を示すタイミングチャートである。
図10に示すように、輝度データDATA、クロックCLKおよびスタートパルスSP(SP1)は、第2タイミングコントローラ22から同期して送出される。まず、LEDドライバ60D(1−1)において、SPカウンタ62は、入力されるスタートパルスSP1をカウントしたカウント値が、設定値である“1”となるので、スタートパルスSP1をチップセレクト信号CSとして出力する。
インターフェース部81は、チップセレクト信号CSを受けると、参考例1のLEDドライバ60Aと同じく、入力されたシリアルの輝度データDATA(d0〜d7)を1ビットずつサンプリングしてパラレルのビットデータD01〜D71に変換する。インターフェース部81は、クロックCLKのタイミングでスタートパルスSP1を8ビットのシフトレジスタによってシフトしていくことで、ラッチパルスD0(Lat1)〜D70(Lat1)を発生する。インターフェース部81は、ラッチパルスD0(Lat1)〜D70(Lat1)に同期して、ビットデータD01〜D71を順次1ビットずつ取り込んで保持し、サンプリングデータとしてPWM信号生成部82に送出する。
スイッチ84は、PWM信号生成部82によってサンプリングデータに基づいて生成されたPWM信号によって定まるデューティ比で開閉動作する。これにより、LED50は、断続的に駆動電流が供給されることで点滅する。
また、スイッチ制御部83は、輝度データDATAが入力されている期間にインターフェース部81から第1信号が与えられると、スイッチ72をOFFさせる。これにより、LED駆動部70には、輝度データDATAが入力されない。
インターフェース部81は、輝度データDATAに続いて輝度信号ADATAが入力されると、スイッチ制御部83に第2信号を与える。すると、スイッチ制御部83は、スイッチ72,73をONさせる。また、PWM信号生成部82は、サンプリングデータが入力されていない期間に、スイッチ84を引き続きPWM信号によって定まるデューティ比で開閉動作させる。これにより、LED駆動部70に輝度信号ADATAが入力されるので、LED駆動部70によってLED50に駆動電流が供給される。この結果、LED50は点灯する。
SPカウンタ62は、輝度信号ADATAに続いて入力される輝度信号ADATA(Analog)が終了するタイミングでスタートパルスSPoutを出力する。
次段のLEDドライバ60D(1−2)では、SPカウンタ62がスタートパルスSP2(スタートパルスSPout)をカウントすることにより、スタートパルスSP2をチップセレクト信号CSとして出力する。
インターフェース部81は、チップセレクト信号CS(スタートパルスSP2)を受けると、入力されたシリアルの輝度データDATA(d0〜d7)をサンプリングしてパラレルのビットデータD02〜D72に変換する。インターフェース部81は、スタートパルスSP2に基づいて発生したラッチパルスD0(Lat2)〜D70(Lat2)に同期して、ビットデータD02〜D72を順次取り込んでPWM信号生成部82に送出する。そして、LED50は、PWM信号生成部82によって生成されたPWM信号によってスイッチ84が開閉することで点滅する。
輝度データDATAに続いて輝度信号ADATAが入力される期間では、初段のLEDドライバ60D(1−1)と同じく、LED駆動部70によるLED50の駆動が行われる。
以上のように、LEDドライバ60Dによれば、カスケード接続されたLEDドライバ60Dの間でスタートパルスSPを順次伝達することにより、それぞれのLEDドライバ60Dがシリアルの輝度データDATAとアナログの輝度信号ADATAを順次取り込むことができる。したがって、参考例1のLEDドライバ60Aと同じく、バックライトパネル40に形成される配線を少なくすることができる。
また、LEDドライバ60Dでは、PWM信号によってLED50の点滅時間を制御している。これにより、例えば、人の目に感知できない速度で、点灯と消灯とを1:7の割合で繰り返すと、明るさを1/8に低下することができる。
上記のように、LEDドライバ60Dは、輝度データDATAと輝度信号ADATAとを組み合わせてLED50の点灯を制御する。このような構成は、明るいシーン、暗いシーン等で変化するベースの輝度を、輝度信号ADATAに基づいて設定し、さらに輝度データDATAに基づいてより細かな輝度を設定することができる。
(LEDドライバ60Dの他の動作)
第1行における初段のLEDドライバ60D(1−1)および第2段のLEDドライバ60D(1−2)の他の動作について説明する。
図11の(a)および(b)は、LEDドライバ60Dの他の動作を示すタイミングチャートである。
輝度データDATAは、上述のPWM信号によるデューティ比を決定するデータであり、頻繁に変更される。これに対し、輝度信号ADATAは、LED50に流す駆動電流を設定するための信号であり、ほとんど変更されない。ただし、駆動電流をほとんど変更しないものの、本駆動方法ではコンデンサ76に保持した電圧で駆動電流を決めているので、時々は輝度信号ADATAを取り込むことにより、コンデンサ76で保持した電圧をリフレッシュする必要がある。
このため、本駆動方法では、輝度データDATAを何度も書き替えて、輝度データADATAを時々書き替えるという制御を行う。
図11の(a)に示すように、輝度データDATAの末尾(d7)とそれに続く次の輝度データDATAの先頭(d0)との間には、1ビットのフラグ(DorA)が設けられている。このフラグ(DorA)は、次のデータ設定期間に、輝度データDATAの取り込みを行うか、輝度信号ADATAの取り込みを行うかを表すフラグであり、通常“0”に設定されている。
インターフェース部81は、フラグ(DorA)が“0”である場合、次のスタートパルスSPのタイミングで輝度データDATA(デジタル)を取り込む。また、インターフェース部81は、フラグ(DorA)が“1”である場合、次のスタートパルスSPのタイミングで輝度信号ADATAを取り込むように、スイッチ制御部83に第2信号を与える。このようなフラグ設定に基づいて、輝度信号ADATAを繰り返し書き替えるとともに、間欠的に輝度信号ADATAを書き込む。
例えば、10個のLEDドライバ60Dが連結されている場合、第2タイミングコントローラ22は、これらのLEDドライバ60Dに輝度データDATAを一通り書き込むまでは輝度信号ADATAを送出し続ける。また、第2タイミングコントローラ22は、輝度データDATAを連続して送出しながら、コンデンサ76の電圧をリフレッシュすべきタイミングでフラグ(DorA)を“1”に書き替える。このとき、第2タイミングコントローラ22は、10個のLEDドライバ60Dに対応する全てのフラグ(DorA)を“1”に書き替える。
これにより、次のデータ設定周期に輝度信号ADATAによる電流値を設定することができる。具体的には、各LEDドライバ60Dは、次のスタートパルスSPのタイミングで、輝度信号ADATAを受け付ける状態(スイッチ72,73のON状態)になって、コンデンサ76の電圧をリフレッシュする。
第2タイミングコントローラ22は、通常、輝度信号ADATAを送出したデータ設定周期の次のデータ設定周期に輝度データDATAを送出する。また、第2タイミングコントローラ22は、輝度信号ADATAの書き込みが行われるデータ設定周期の次のデータ設定周期では、自動的に輝度データDATAの書き込みが行われるようにフラグ設定を“0”に戻す。このような制御は、あるLEDドライバ60Dが輝度信号ADATA用を取り込んだ直後に輝度データDATAを1ビットだけ送って、その直後に、次のLEDドライバ60Dが輝度信号ADATAを取り込むのは煩雑であることからなされる制御である。
図11の(a)に示すように、連結されたLEDドライバ60D(1−1),60D(1−2),…において、それぞれのインターフェース部81は、上述のように輝度データDATAの取り込みを行う。それぞれのインターフェース部81は、取り込んだ輝度データDATAに続いて設けられているフラグが“1”であることを認識すると、次のデータ設定期間に、図11の(b)に示すように、スタートパルスSP1,SP2,…で規定される期間T1,T2,…に輝度信号ADATA(Analog)を取り込む。
上記の動作によれば、インターフェース部81がフラグの値に応じて輝度データDATAまたは輝度信号ADATAの取り込みを行うので、スイッチ制御部83が適切にスイッチ72,73の開閉動作を制御することができる。
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3について、図12〜図15を参照して説明すれば、以下の通りである。なお、本実施形態において、前述の参考例1,2および実施形態1,2における構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記して、その説明を省略する。
(LEDドライバ60Eの第1の構成)
図12は、本実施形態に係るLEDドライバ60Eの第1の構成を示す回路図である。
図12に示すように、LEDドライバ60Eは、SPカウンタ62と、スタートパルス出力部64と、クロック出力部65と、LED駆動部90とを有している。
LED駆動部90は、LED駆動部80と、カレントミラー回路91(伝達阻止回路)とを有している。
カレントミラー回路91は、LED駆動部80におけるスイッチ73とコンデンサ76との接続点と、LED駆動部80におけるトランジスタ75のゲートとに接続されている。
上述したLEDドライバ60D(図9参照)では、LED50が点灯していないときに駆動電流を設定するとともに、LED駆動部80のコンデンサ76に端子電圧Vcを保持させると、LED50に駆動電流を流していない状態となる。この状態は、LED50の順方向電圧Vfが低い状態である。このため、端子電圧Vcが保持されたときのトランジスタ75のドレイン電圧は比較的高い値になっている。
また、PWM信号生成部82がLED50を点滅させるためにスイッチ84をONさせると、駆動電流がLED50に流れるためにLED50の順方向電圧Vfが高くなるので、トランジスタ75のドレイン電圧が低下する。ドレイン電圧が低下すると、トランジスタ75のゲート−ドレイン間の寄生容量の影響により、ゲートに接続されているコンデンサ76に保持されている端子電圧Vcが低下してしまう。これによりゲート電圧が低下すると、設定した駆動電流より少ない電流がLED50に流れてしまう。
そこで、ゲート電圧の低下の影響によりコンデンサ76の容量値に変動が生じないように、LEDドライバ60Eでは、トランジスタ75のゲートとコンデンサ76との間にカレントミラー回路91が設けられている。カレントミラー回路91により、コンデンサ76の容量値による電圧はゲートに伝わるが、ゲート電圧の変動はコンデンサ76に伝わらない。これにより、コンデンサ76の容量値は、ゲート電圧の低下の影響を受けて変動することはない。
(LEDドライバ60Eの第2の構成)
図13は、本実施形態に係るLEDドライバ60Eの第2の構成を示す回路図である。
図13に示すように、LEDドライバ60Eの第2の構成は、上記のLED駆動部90に代えて、LED駆動部90Aを有している。
LED駆動部90Aは、LED駆動部80と、ボルテージフォロワ92(伝達阻止回路)とを有している。ボルテージフォロワ92の反転入力端子は、スイッチ73とコンデンサ76との接続点に接続されている。また、ボルテージフォロワ92の出力端子は、トランジスタ75のゲートとボルテージフォロワ92の非反転入力端子とに接続されている。
上記のように構成されるLED駆動部90Aでは、ボルテージフォロワ92により、上述のカレントミラー回路91(図12参照)と同様に、コンデンサ76の容量値による電圧はゲートに伝わるが、ゲート電圧の変動はコンデンサ76に伝わらない。これにより、コンデンサ76の容量値は、ゲート電圧の低下の影響を受けて変動することはない。
(LEDドライバ60Eの第4の構成)
図14は、本実施形態に係るLEDドライバ60Eの第3の構成を示す回路図である。
図14に示すように、LEDドライバ60Eの第3の構成は、上記のLED駆動部90に代えて、LED駆動部90Bを有している。
LED駆動部90Bは、LED駆動部90Aと、スイッチ93,94とを有している。スイッチ93,94の開閉は、PWM信号生成部82によって制御される。スイッチ93の一端は、ボルテージフォロワ92の出力端子に接続され、スイッチ93の他端は、トランジスタ75のゲートに接続されている。スイッチ94の一端は、トランジスタ75のゲートに接続され、他端はグランドラインに接続されている。
スイッチ93は、LED50に駆動電流を流すときにONするように制御される一方、LED50に駆動電流を流さないときにOFFするように制御される。スイッチ94は、LED50に駆動電流を流さないときにONするように制御される一方、LED50に駆動電流を流すときにOFFするように制御される。
上記のように構成されるLED駆動部90Bでは、スイッチ93が、PWM信号生成部82によってサンプリングデータに基づいて生成されたPWM信号によって定まるデューティ比で開閉動作する。これにより、LED50は、断続的に駆動電流が供給されることで点滅する。また、スイッチ94が、LED50に駆動電流を流さないときにONするので、トランジスタ75のゲートに蓄積された電荷がグランドラインに放出される。
(LEDドライバ60Eの第4の構成)
図15は、本実施形態に係るLEDドライバ60Eの第4の構成を示す回路図である。
図15に示すように、LEDドライバ60Eの第4の構成は、上記のLED駆動部90に代えて、LED駆動部100を有している。
LED駆動部100は、LED駆動部90と、オペアンプ101とを有している。オペアンプ101の非反転入力端子は、カレントミラー回路91の出力側の2つのトランジスタ91a,91bの接続点に接続されている。オペアンプ101の反転入力端子は、トランジスタ75とスイッチ84との接続点に接続されている。また、オペアンプ101の出力端子は、トランジスタ75のゲートおよびトランジスタ91bのゲートに接続されている。
上記のように構成されるLED駆動部100では、トランジスタ75のゲート電圧を電源の電圧付近まで高めることができる。これにより、トランジスタ75の最大限の能力を利用することができる。したがって、トランジスタ75のサイズを小さくすることで、LED駆動部100を構成するチップのサイズを小さくすることができる。よって、映像表示装置1のコストダウンを図ることができる。
〔実施形態4〕
本発明の実施形態4について、図16および図17を参照して説明すれば、以下の通りである。なお、本実施形態において、前述の参考例1,2および実施形態1〜3における構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記して、その説明を省略する。
図16は、本実施形態に係るバックライトパネル40Aの構成を示す図である。図17は、本実施形態の比較例に係るバックライトパネル40の構成を示す図である。
一般に、LED素子は温度により発光輝度が変化するので、バックライトパネル40上で所望の輝度で発光するようにLED50の点灯を制御するには、バックライトパネル40における温度の均一性が求められる。前述のバックライトパネル40(図1参照)では、LED50が略均一に配置される。これにより、4つのLED50の中心に配置されているLEDドライバ60の発熱をバックライトパネル40上で均一に分布させることができる。
しかしながら、LED50を単に均一に配置しただけでは温度分布が均一にならない場合がある。図17に示す比較例としてのバックライトパネル40では、内側に配置されるLED50は、4方向からLEDドライバ60から発熱の影響を受ける。しかしながら、バックライトパネル40の側端縁の付近に配置される外周部のLED50は、1方向もしくは2方向からしかLEDドライバ60による発熱の影響を受けない。このため、バックライトパネル40の外周部は内側部に比べてわずかに温度が低くなる。したがって、バックライトパネル40では、温度分布が均一でない。
温度分布の不均一性を改善するため、本実施形態に係るバックライトパネル40Aには、複数の発熱源5が設けられている。発熱源5は、LEDドライバ60と同じ構造を有しているドライバ(以降、ダミードライバと称する)であるか、あるいは、負荷抵抗と、この負荷抵抗に電流を流すダミードライバとを組み合わせたものである。発熱源5は、バックライトパネル40Aにおいて、LED50およびLEDドライバ60が配置されている面と同じ面に実装されている。また、発熱源5は、バックライトパネル40Aの基板40aにおける周辺部、より詳しくは、基板40aの側端縁の近傍に配置されている。
発熱源5は、LEDドライバ60と同じ構造を有するダミードライバを含む。このような発熱源5がLEDドライバ60の電流と同じ大きさの電流を流すと、LEDドライバ60と比べてLED50に及ぼす発熱の影響が大きすぎる。
例えば、LEDドライバ60の電流が10mAであり、LED50のアノードの電圧が5Vであり、LED50の順方向電圧VFが3Vである場合を考える。この場合、LED50が接続されているLEDドライバ60には、5VからLED50で3V降下した残りの2Vしか印加されない。したがって、LEDドライバ60で発熱する熱量は、20(mW)(=2(V)×10(mA))となる。
これに対し、LED50が接続されていないダミードライバがLEDドライバ60と同じ電流を流す場合、ダミードライバに5Vが印加されるので50(mW)(=5(V)×10(mA))の熱量となる。
負荷抵抗をダミードライバに接続して発熱源5を構成した場合でも、負荷抵抗の抵抗値を200Ωとすれば、ダミードライバには、負荷抵抗で2V降下した残りの3Vが印加される。ただし、負荷抵抗で20mWの熱量が発生し、ダミードライバで30mWの熱量が発熱する。したがって、ダミードライバと負荷抵抗との組み合わせを発熱源5として使用すると、合計で50mWを発熱することになる。
また、バックライトパネル40Aの周辺部に発熱源5を実装するスペースを広く確保することができないため、LED50が接続されるLEDドライバ60に比べて、発熱源5に用いられるダミードライバは、LED50に少し近い位置に配置される。したがって、発熱源5は、LEDドライバ60と同じ発熱量であったとしても、直近のLED50に与える発熱の影響が大きくなる。
そこで、発熱源5は、LEDドライバ60がLED50に流す電流を基準にした、当該電流よりも少ない電流を流す。例えば、発熱源5は、直近のLEDドライバがLED輝度制御に流す電流に対して、一定の割合で減じた電流を流す。
ここで、バックライトパネル40Aの周辺部に配置されるLED50と当該LED50の直近に配置されているLEDドライバ60との距離を第1距離D1とする。また、上記のLED50と当該LED50の直近に配置されている発熱源5との距離を第2距離D2とする。LEDドライバ60としては、上述したLEDドライバ60C〜60Eのいずれかが用いられる。
発熱源5が流す電流は、第2タイミングコントローラ22によって制御される。LEDドライバ60がLED50に流す電流をI1とし、発熱源5が流す電流をI2とすると、電流I1,I2は、(I1/M×I2)=D1/D2の関係を満たすように制御される。ここで、Mは、上記の一定の割合であり、0<M<1を満たす実数である。したがって、発熱源5に供給される電流I2は、次式で表される。
I2=(D2/M×D1)×I1
バックライトパネル40Aの外周部より内側に配置されるLED50は、その周囲に配置される複数のLED50による発熱の影響を受ける。これに対し、周辺部に配置されるLED50は、発熱源5に流れる電流を上記のように制御することにより、バックライトパネル40Aの側端縁から発熱源5による熱が与えられる。これにより、周辺部に配置されるLED50は、内側のLED50が周囲のLEDドライバ60から受ける発熱の影響と同程度に、直近のLEDドライバ60および発熱源5による発熱の影響を受ける。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係るバックライト装置は、基板40aと、当該基板40a上にマトリクス状に配置された複数のLEDドライバ60と、当該LEDドライバ60によって駆動され、各LEDドライバ60の周囲に配置された複数のLED素子(LED50)と、上記基板40aの周辺部に配置された複数の発熱源5と、を備えている。
上記の構成によれば、基板の周辺部に配置されたLED素子は、基板の周辺部に配置された発熱源によっても熱が与えられる。これにより、基板の周辺部に配置されたLED素子は、基板の内側に配置されたLED素子が周囲のLEDドライバから熱の影響を受けるのと同様に、周囲に配置されたLEDドライバおよび発熱源から熱の影響を受ける。
本発明の態様2に係るバックライト装置は、上記態様1において、上記LEDドライバ60が、当該LEDドライバ60の周囲に配置された上記LED素子に流れる電流を制御することにより各LED素子の輝度を調整し、上記発熱源5が、流を流すことで発熱する素子であり、当該発熱源5の直近の上記LEDドライバ60が上記LED素子に流す電流の値を基準にした電流を流してもよい。
上記の構成によれば、発熱源が流す電流をLEDドライバが流す電流を基準にして制御するので、発熱源の発熱を所望に制御することを容易に行うことができる。
本発明の態様3に係るバックライト装置は、上記態様2において、上記基板40aの周辺部に配置される上記LED素子との直近の上記LEDドライバ60との第1距離をD1とし、当該LED素子と当該LED素子の直近の上記発熱源5との第2距離をD2とし、上記LEDドライバ60が流す電流をI1とし、上記発熱源5が流す電流をI2とし、Mを0<M<1を満たす実数とすると、I2=(D2/M×D1)×I1という関係が満たされてもよい。
上記の構成によれば、発熱源がLEDドライバと同じ電流を流すと、その発熱量が大きくなる場合、発熱源の発熱量を上記の式に基づいて容易に制御することができる。
本発明の態様4に係るバックライト装置は、上記態様1から3のいずれかにおいて、上記発熱源5は、上記LEDドライバ60と同じ構造を有するドライバを含んでいてもよい。
上記の構成によれば、発熱源をLEDドライバと同じ半導体プロセスで製造することができる。これにより、発熱源を別途異なる製造方法により製造する必要がない。したがって、バックライト装置の製造コストを低減することができる。
本発明の態様5に係るバックライト装置は、上記態様1から4のいずれかにおいて、上記LEDドライバ60が、周囲に配置された複数の上記LED素子のそれぞれと略等しい距離となる位置に配置されていてもよい。
上記の構成によれば、1つのLEDドライバが周囲のLED素子に均等に発熱の影響を及ぼす。これにより、LEDドライバの配置位置を基準にして発熱源の配置位置を容易に定めることができる。
本発明の態様6に係る表示装置は、表示パネル10と、当該表示パネル10の背後から上記表示パネル10に光を照射する、上記態様1から5のいずれかのバックライト装置と、を備えている。
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。