以下、本発明に係るレンズ、光源装置及び発光装置の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。なお、以下の実施形態で説明する構成は本発明の一例にすぎない。本発明は、以下の実施形態に限定されず、本発明の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
まず、本実施形態の発光装置を説明する。本実施形態の発光装置は、建物の避難口を表示するための避難口誘導灯器具(以下、誘導灯器具という)1である。誘導灯器具1は、誘導灯信号装置から信号を受けた場合に誘導効果を高めるために光源(本実施形態の光源装置3)を点滅させる点滅形避難口誘導灯器具として構成されている。なお、以下の説明においては、特に断りのない限り、図1に矢印で示す向きにおいて、誘導灯器具1の上下、左右及び前後の各方向を規定する。
誘導灯器具1は、図1及び図2に示すように、表示ユニット2、光源装置3、駆動装置4、筐体10などを有している。
筐体10は、それぞれ長方形の前壁11、後壁12及び4つの側壁13を有する直方体状に形成されている。ただし、本実施形態における筐体10は、本体100とプレート101で構成されている。本体100は、前面が開放された箱形に形成されており、筐体10の後壁12と4つの側壁13を構成している。プレート101は、四角形の平板状に形成された主部1010と、主部1010の4つの辺から後方へ立ち上がる4つの側部1011とを有している。プレート101の主部1010は筐体10の前壁11を構成している。プレート101の4つの側部1011は筐体10の4つの側壁13の前端部分を構成している。プレート101は、一対の取付ばね102によって着脱可能に本体100に取り付けられる。本体100の前面にプレート101が取り付けられることによって筐体10が構成される。なお、筐体10(本体100及びプレート101)は、鋼板などの不燃物で形成されている。
筐体10の内底面(後壁12の前面)には取付台15がねじ止めされている。取付台15は、合成樹脂材料によって前面と下面が開放された箱形に形成されている。表示ユニット2及び駆動装置4は取付台15に取り付けられた状態で筐体10内に収容されている。
表示ユニット2は、表示板20と、光源ブロック21と、点灯ブロック22と、第1蓄電池ブロック23とを有している。
表示板20は、アクリル樹脂又はポリカーボネート樹脂などの透光性を有する合成樹脂材料によって四角形の板状に形成されている。ただし、表示板20は、前後方向の厚みを上端から下端に向かって徐々に小さくするように形成されている。表示板20の前面には避難口を示すピクトグラムが描かれている。
光源ブロック21は、1つ以上のLEDと、LEDから放射される光を導光する導光部材と、LED及び導光部材を収容するケース210とを備える。ケース210の下面には導光部材から出射する光をケース210の外に放射するための開口が設けられている。光源ブロック21は、図2に示すように、取付台15の上部に取り付けられる。また、表示板20は、上側面を光源ブロック21のケース210の開口に対向させるようにして取付台15に取り付けられる。
第1蓄電池ブロック23は、電気絶縁性を有する合成樹脂製の電池ケースに複数の電池セルを収容して構成されている。電池セルは、ニッケル水素電池のような蓄電池である。第1蓄電池ブロック23は、取付台15の右端に収容されている(図2参照)。
点灯ブロック22は、常用点灯回路と、第1充電回路と、非常用点灯回路と、第1制御回路とを有している。常用点灯回路は、外部電源(例えば、商用の電力系統)から供給される電力でLEDを点灯させる。第1充電回路は、外部電源から供給される電力で第1蓄電池ブロック23の電池セルを充電する。非常用点灯回路は、外部電源の電力供給が停止した場合、第1蓄電池ブロック23から放電される電力でLEDを点灯させる。第1制御回路は、外部電源の給電状況を監視し、外部電源から電力供給されているときは常用点灯回路と第1充電回路を動作させるとともに非常用点灯回路を停止させる。また、第1制御回路は、外部電源の電力供給が停止(停電)したときは常用点灯回路と第1充電回路を停止させるとともに非常用点灯回路を動作させる。
さらに、第1制御回路は、第1充電回路を動作させているときに第1表示素子を発光させて充電中であることを表示する。第1制御回路は、第1点検スイッチがオンされている間、常用点灯回路及び第1充電回路を強制的に停止させるとともに非常用点灯回路を強制的に動作させて光源ブロック21のLEDを点灯させる。第1制御回路は、自己点検スイッチが所定時間(例えば、2秒)以上オンされると自己点検動作を行う。また、第1制御回路は、受光素子において赤外線を通信媒体とする制御信号を受信した場合も自己点検動作を行う。自己点検動作は、規定時間(20分又は60分)が経過するまで常用点灯回路及び第1充電回路を強制的に停止させるとともに非常用点灯回路を強制的に動作させて光源ブロック21のLEDを点灯させる動作である。そして、第1制御回路は、規定時間が経過したら非常用点灯回路を停止させて非常用点灯回路の入力電圧、すなわち、第1蓄電池ブロック23の電池電圧を測定し、電池電圧の測定値に基づいて第1蓄電池ブロック23の良否を判定する。第1制御回路は、第1蓄電池ブロック23を良好と判定した場合に第1表示素子を連続して発光させ、第1蓄電池ブロック23を不良と判定した場合に第1表示素子を間欠的に発光(点滅)させる。
表示ユニット2は、筐体10の前壁11(プレート101の主部1010)に設けられた四角形状の窓110から表示板20の前面を露出させるようにして筐体10内に収容される。表示ユニット2は、光源ブロック21から表示板20の上面に光を入射させ、表示板20全体を発光させることにより、表示板20の前面の輝度を高めてピクトグラムの視認性を高めている。
光源装置3は、図3に示すように、固体光源である発光ダイオード(Light Emitting Diode)30と、LED30を支持するホルダ31と、一対の端子板32と、放熱板33と、レンズ9とを有している。
LED30は、四角形状の実装基板301の中央に少なくとも1個のLEDチップが実装されて構成されている。LEDチップは、例えば、青色光を放射する青色発光ダイオードである。また、LEDチップを含む実装基板301の実装面(下面)は、LEDチップから放射される青色光を波長変換する蛍光物質が混入された封止樹脂で封止されている。なお、封止樹脂は上下方向から見て円形に形成されており、封止樹脂の表面がLED30の発光面300となる。
さらに、実装基板301は、その対角の位置にある一対の角部にそれぞれ電極を有している。一方の電極は、LEDチップのカソードと電気的に接続され、他方の電極は、LEDチップのアノードと電気的に接続されている。これらの電極は、一対の端子板32のうちの対応する端子板32と電気的に接続されている。
ホルダ31は、ポリカーボネート樹脂などの合成樹脂材料によって円板状に形成されている。ホルダ31の中央部にLED30が保持されている。ホルダ31は一対の突起311を有している。一対の突起311はホルダ31の中央部を挟んで対向する位置に配置されている。各突起311には貫通穴312が1つずつ貫通している。また、ホルダ31は、端子板保持部310を有している。端子板保持部310は、上向きに伸びた角筒状に形成され、一対の端子板32を内部に収容して保持している。
レンズ9は、レンズ本体90と、レンズ本体90の周縁から第1方向(レンズ本体90の厚み方向に直交する方向)へ突出するフランジ91と、フランジ91から第1方向へ突出する一対の固定片92とを備える。レンズ本体90とフランジ91と一対の固定片92とは、例えば、ガラス材料のプレス成形によって一体に形成される。一対の固定片92のそれぞれにねじ挿通穴920が貫通している。なお、レンズ9については後に詳細に説明する。
放熱板33は、平板状の固定部330と、固定部330の右端における後端から上向きに突出するねじ止め部331と、固定部330の左端における後端から上向きに突出する引掛部332とを有している。放熱板33は、更に、固定部330の右端における前後方向の中央から上向きに突出する突片333を有している。固定部330とねじ止め部331と引掛部332と突片333とは、例えば、アルミ板によって一体に形成されている。
固定部330の右端の前端及び左端の後端のそれぞれにねじ穴334が1つずつ設けられている。固定部330にはホルダ31とレンズ9が固定される。レンズ9の各固定片92のねじ挿通穴920及びホルダ31の各突起311の貫通穴312に1本ずつ固定ねじ34が挿通される。そして、各固定ねじ34が放熱板33の固定部330に設けられている2つのねじ穴334のうちの対応するねじ穴334にねじ込まれる。その結果、レンズ9とホルダ31が2本の固定ねじ34によって放熱板33の固定部330にねじ止めされる(固定される)。
ねじ止め部331は、鈎形に形成されている。ねじ止め部331の先端には円形の穴335が貫通している。引掛部332も鈎形に形成されている。突片333は、長方形状に形成されている。突片333は、固定部330に固定されたホルダ31の端子板保持部310に沿うように配置されている。
光源装置3は、取付部材6に取り付けられる。光源装置3が取り付けられた取付部材6が、筐体10に取り付けられる。つまり、本実施形態の光源装置3は、筐体10に直接取り付けられるのではなく、取付部材6を介して筐体10に間接的に取り付けられる。
取付部材6は、固定片60と、第1取付片61と、第2取付片62と、保護片63とを有している。固定片60、第1取付片61、第2取付片62及び保護片63は、金属板によって一体に形成されている。固定片60は長尺の平板状に形成されている。固定片60は、長手方向(左右方向)の一端(左端)と中央とにそれぞれねじ挿通穴600が設けられている。
第1取付片61は、長尺の平板状に形成されている。ただし、第1取付片61の長手方向の長さは、固定片60の長手方向の長さの約3分の2である。第1取付片61は、固定片60の短手方向(上下方向)の一端(下端)から前方へ突出している。第1取付片61は、第1ねじ穴(不図示)、第2ねじ穴(不図示)、第1引掛穴613、第2引掛穴(不図示)を有している。第1ねじ穴は、第1取付片61の長手方向(左右方向)のほぼ中央に設けられている。第2ねじ穴は、第1取付片61の長手方向の一端(右端)に設けられている。第1引掛穴613は角穴からなり、第1取付片61の長手方向の他端(左端)に設けられている。第2引掛穴は台形状の穴からなり、第1取付片61の長手方向のほぼ中央に設けられている。
第2取付片62は、通線穴を有する矩形の枠状に形成されている。ただし、第2取付片62の長手方向の長さは、固定片60の長手方向の長さの約3分の1である。第2取付片62は、固定片60の短手方向の他端(上端)において、第1取付片61と向き合わない部位から前方へ突出している。第2取付片62は、第3ねじ穴と第3引掛穴を有している。第3ねじ穴は、第2取付片62の左端の前端に設けられている。第3引掛穴621は、角穴と半円形の穴とを繋いだ形状に形成されている。第3引掛穴621は、第2取付片62の右端の前端に設けられている。
保護片63は、L字状に形成されている。保護片63は、第1取付片61の長手方向の中央における前端から上向きに突出している。保護片63の先端部分には角穴からなる確認窓630が設けられている。
光源装置3は、放熱板33の引掛部332の先端を第1取付片61の第1引掛穴613の縁に引っ掛けた状態で、ねじ止め部331の穴335に挿通されるねじを第1取付片61の第1ねじ穴にねじ込むことによって第1取付片61に固定される。つまり、光源装置3は、ねじ止め部331及び引掛部332の上下方向の高さ分だけ固定部330を第1取付片61から離した状態で取付部材6に取り付けられる。
ここで、第1取付片61には光源装置3だけでなく第1スイッチブロック16も取り付けられる。第1スイッチブロック16は、上述した第1点検スイッチ、自己点検スイッチ、第1表示素子、受光素子が実装されたプリント配線板と、プリント配線板を収容する第1ケース160と、第1点検スイッチを操作するための第1押釦161とを備える。第1ケース160は、合成樹脂材料によって直方体形状の箱形に形成されている。第1ケース160の一面(下面)には、第1押釦161が収容される第1操作穴162と、第1操作穴162よりも径の小さい第2操作穴163と、第1表示穴164と、第1操作穴162とほぼ同径の受光穴165とが設けられている。第1押釦161は円柱状に形成されており、上下方向に移動可能な状態で第1操作穴162内に収容されている。第1ケース160内において第1操作穴162と上下方向に対向する位置に、押釦スイッチからなる第1点検スイッチが配置されている。したがって、第1ケース160の外から押された第1押釦161が第1ケース160内に移動し、第1押釦161の上端で第1点検スイッチが押操作されてオンする。第1ケース160内において第2操作穴163と上下方向に対向する位置に、押釦スイッチからなる自己点検スイッチが配置されている。すなわち、自己点検スイッチは、第2操作穴163を通して第1ケース160の外から挿入される細い工具(例えば、ドライバなど)の先端で押操作されてオンする。第1ケース160内において第1表示穴164と上下方向に対向する位置に第1表示素子が配置されている。すなわち、第1表示素子の発する光は第1表示穴164を通して第1ケース160の外に放射される。第1ケース160内において受光穴165と上下方向に対向する位置に受光素子が配置されている。すなわち、自己点検用のリモートコントローラから送信される制御信号が受光穴165を通して受光素子で受光(受信)される。
第1ケース160は、固定片1600と引掛片を有している。固定片1600は第1ケース160の右側面の上端から第1ケース160の上面と平行に突出している。固定片1600には丸穴からなる挿通穴1601が設けられている。引掛片は鈎形に形成され、第1ケース160の左側面の上端から上向きに突出している。第1スイッチブロック16は、第1ケース160の引掛片を第1取付片61における第2引掛穴の縁に引っ掛け、かつ、固定片1600の挿通穴1601に挿通したねじを第2ねじ穴にねじ込むことによって第1取付片61に取り付けられる。
第2取付片62には第2スイッチブロック17が取り付けられる。第2スイッチブロック17は、第2点検スイッチ及び第2表示素子が実装されたプリント配線板と、プリント配線板を収容する第2ケース170と、第2点検スイッチを操作するための第2押釦171とを備える。第2ケース170は、合成樹脂材料によって直方体形状の箱形に形成されている。第2ケース170の一面(下面)には、第2押釦171が収容される第3操作穴172と、第3操作穴172よりも径の小さい第2表示穴173とが設けられている。第2押釦171は円柱状に形成されており、上下方向に移動可能な状態で第3操作穴172内に収容されている。第2ケース170内において第3操作穴172と上下方向に対向する位置に、押釦スイッチからなる第2点検スイッチが配置されている。したがって、第2ケース170の外から押された第2押釦171が第2ケース170内に移動し、第2押釦171の上端で第2点検スイッチが押操作されてオンする。第2ケース170内において第2表示穴173と上下方向に対向する位置に第2表示素子が配置されている。すなわち、第2表示素子の発する光は第2表示穴173を通して第2ケース170の外に放射される。
第2ケース170は、固定片1700と引掛片1702を有している。固定片1700は第2ケース170の前側面の上端から第2ケース170の上面と平行に突出している。固定片1700には丸穴からなる挿通穴1701が設けられている。引掛片1702は鈎形に形成され、第2ケース170の右側面の上端から上向きに突出している。第2スイッチブロック17は、第2ケース170の引掛片1702を第2取付片62における第3引掛穴621の縁に引っ掛け、かつ、固定片1700の挿通穴1701に挿通したねじを第3ねじ穴にねじ込むことによって第2取付片62に取り付けられる。
取付部材6の固定片60が筐体10の内底面(後壁12の前面)における下端部分に固定される。光源装置3のレンズ9は、筐体10の下側の側壁13における長手方向(左右方向)の中央に設けられた挿通穴14を通して筐体10の外に突出する。また、筐体10の下側の側壁13には、第1ケース160の第1操作穴162、第2操作穴163、第1表示穴164及び受光穴165、第2ケース170の第3操作穴172及び第2表示穴173と各々一対一に対応した複数の穴131〜136が設けられている。穴131は、第1操作穴162と対向している。したがって、第1押釦161の先端部分が穴131を通して筐体10の外に突出する。穴132は第2操作穴163と対向している。穴133は第1表示穴164と対向している。穴134は受光穴165と対向している。穴135は第3操作穴172と対向している。したがって、第2押釦171の先端部分が穴135を通して筐体10の外に突出する。穴136は第2表示穴173と対向している。
駆動装置4は、光源装置3のLED30を駆動する駆動回路と、駆動回路に電力を供給するための第2蓄電池ブロック5を充電する第2充電回路と、駆動回路及び第2充電回路を制御する第2制御回路とを有する。第2制御回路は、信号線を介して誘導灯信号装置から信号を受信したとき、駆動回路を制御し、通常時は外部電源から供給される電力でLED30を駆動してLED30を発光させる。また、第2制御回路は、外部電源の停電時は第2蓄電池ブロック5から供給される電力でLED30を駆動してLED30を発光させる。ただし、第2制御回路は、誘導効果を高めるためにLED30を間欠駆動するように駆動回路を制御する。例えば、第2制御回路は、約500ms毎に約50msの期間だけLED30を駆動して発光させるように駆動回路を制御することが好ましい。第2充電回路は、外部電源から供給される電力で第2蓄電池ブロック5を充電する。さらに、第2制御回路は、第2充電回路を動作させているときに第2表示素子を発光させて充電中であることを表示する。第2制御回路は、第2点検スイッチがオンされている間、第2充電回路を強制的に停止させるとともに駆動回路を制御して第2蓄電池ブロック5から供給される電力で光源装置3のLED30を発光させる。
第2蓄電池ブロック5は、複数本の乾電池型の電池セルが熱収縮チューブに包まれて構成されている。各電池セルは、ニッケル水素電池のような蓄電池である。第2蓄電池ブロック5は、取付台15の左隣に収容されている(図2参照)。
誘導灯器具1は、筐体10の後壁12を壁面に当てるようにして壁に直に取り付けられる。ただし、誘導灯器具1は、筐体10の上側の側壁13を天井面に当てるようにして天井に直に取り付けられる場合もある。つまり、壁又は天井に直に取り付けられた誘導灯器具1では、光源装置3の光軸(LED30の光軸C1)が筐体10の下面からほぼ真下に向いている。ここで、一般社団法人日本照明工業会規格JIL5502「誘導灯器具及び避難誘導システム用装置技術基準」の改正追補附属書3に、誘導灯表示板の表示方向を0°としたときに水平方向±60°の範囲で光源装置3の光度が満たすべき値が規定されている。すなわち、表示方向(筐体10の前壁11の表面の法線方向)に対する角度をθ°としたとき、θ=0°のときの光源装置3の光度は111cd(カンデラ)以上が必要である。また、θ=±45°のときの光源装置3の光度は74cd(カンデラ)以上が必要である。さらに、θ=±60°のときの光源装置3の光度は49cd(カンデラ)以上が必要である。したがって、光源装置3のレンズ9は、光軸C1と直交する方向(前方向)の輝度を高めるような配光特性を実現することが好ましい。
一方、誘導灯器具には、筐体10の一部(本体100)が壁に設けられた埋込穴に埋め込まれるようにして壁に設置される、埋込型の誘導灯器具1A(変形例1)もある。埋込型の誘導灯器具1Aでは、光源装置3のレンズ9が筐体10の前面に設けられた挿通穴14を通して筐体10の外に突出する(図4参照)。誘導灯器具1Aでは、レンズ9の光軸C1が表示方向に一致している。そして、埋込型の誘導灯器具1Aにおいても、上記規格の角度特性(配光条件)を満足する必要がある。
さらに、誘導灯器具には、筐体10の前面と後面の両面に表示板20が設けられた、両面型の誘導灯器具1B(変形例2)もある(図5参照)。両面型の誘導灯器具1Bでは、本体100と、一対のプレート101とで筐体10が構成されている。そして、本体100の後面に表示板と光源ブロックが取り付けられている。誘導灯器具1Bでは、筐体10の前方向と後方向の2つの方向が表示方向となるから、上記規格の角度特性を前後両方向において満足する必要がある。
そこで、本実施形態のレンズ9は、上述した変形例1、2を含む3タイプの誘導灯器具1;1A;1Bにおいて、上記規格の角度特性を満足することができる配光特性を実現するように構成されている。その結果、本実施形態のレンズ9は、3タイプの誘導灯器具1;1A;1Bの全てにおいて共通して使用することができる。ゆえに、各タイプの誘導灯器具1;1A;1B毎に専用のレンズを使用する場合と比較して、部品(レンズ)の共通化による部品点数の削減と部品(レンズ)の製造コストの削減とを図ることができる。
以下、本実施形態のレンズ9について、図面を参照して詳細に説明する。
レンズ9は、図6及び図7に示すように、レンズ本体90と、フランジ91と、一対の固定片92とを備える。レンズ本体90は、LED30から放射される光が入射する入射面900を裏面に有している(図7参照)。レンズ本体90は、入射面900から入射した光が出射する出射面901を表面に有している(図6参照)。入射面900の外形は、図7における左右方向を長軸方向とする長円形に形成されている。また、出射面901の外形は、図6における左右方向を長軸方向とする長円形に形成されている。ただし、入射面900の外形の長軸の長さに対する短軸の長さの比率は、出射面901の外形の長軸の長さに対する短軸の長さの比率よりも高くなっている。また、入射面900の外形の長軸と出射面901の外形の長軸とは平行である。
ここで、レンズ9に対して第1仮想平面P1と第2仮想平面P2とを設定する。第1仮想平面P1は、レンズ9の光軸C1を含む(光軸C1と平行な)平面であり、かつ、入射面900の長軸を含む平面である。また、第2仮想平面P2は、レンズ9の光軸C1を含む(光軸C1と平行な)平面であり、かつ、第1仮想平面P1と直交する平面である。図8は、第1仮想平面P1を断面とするレンズ9の縦断面図であり、図10は、第2仮想平面P2を断面とするレンズ9の横断面図である。また、図9は、レンズ9の縦断面図の要部拡大図であり、図11は、レンズ9の横断面図の要部拡大図である。なお、図8に示すように、レンズ本体90の裏面において、入射面900を挟んで対向する位置に2つの凹み93が設けられている。これら2つの凹み93は、ホルダ31の前面に設けられた2つの位置決め突起313(図3参照)とはめ合わされることにより、ホルダ31に対してレンズ9を位置決めし、LED30の光軸C1とレンズ9の光軸C1を一致させている。
第1仮想平面P1と入射面900との交わりである曲線(以下、第1入射曲線L11と呼ぶ。)を想定する。第1入射曲線L11は、光軸C1と平行な方向においてLED30の発光面300と対向する中央部X1と、中央部X1を囲む周辺部X2とを有する(図8及び図9参照)。中央部X1は、周辺部X2に対してLED30に向かって突出している。周辺部X2は、LED30から離れる向きに凹んでいる。また、第1仮想平面P1と出射面901との交わりである曲線(以下、第1出射曲線L21と呼ぶ。)を想定する。第1出射曲線L21は、光軸C1と平行な方向においてLED30の発光面300と対向し、かつ、LED30から離れる向きに突出した第1の外側中央部Y1を有する(図8参照)。第1出射曲線L21は、第1の外側中央部Y1を囲み、かつ、LED30から離れる向きに突出した第1の外側周辺部Y2を有する(図8参照)。
また、第2仮想平面P2と入射面900との交わりである曲線(以下、第2入射曲線L12と呼ぶ。)を想定する。第2入射曲線L12は、LED30から離れる向きに凹んでいる(図10及び図11参照)。第2仮想平面P2と出射面901との交わりである曲線(以下、第2出射曲線L22と呼ぶ。)を想定する。第2出射曲線L22は、光軸C1と平行な方向においてLED30の発光面300と対向し、かつ、LED30から離れる向きに突出した第2の外側中央部Z1を有する(図10参照)。第2出射曲線L22は、第2の外側中央部Z1を囲み、かつ、LED30から離れる向きに突出した第2の外側周辺部Z2を有する(図10参照)。
さらに、レンズ9は、第1の外側中央部Y1の曲率が第2の外側中央部Z1の曲率よりも小さく、かつ、第2の外側周辺部Z2の曲率が第1の外側周辺部Y2の曲率よりも大きくなるように形成されている(図8及び図10参照)。なお、第1の外側周辺部Y2の曲率及び第2の外側周辺部Z2の曲率は、光軸C1から離れるに従って大きくなっている(図8及び図10参照)。
図12Aは、レンズ9の第1仮想平面P1における配光特性を示し、図12Bは、レンズ9の第2仮想平面P2における配光特性を示している。なお、それぞれの配光特性における横軸は、光軸C1を0°とした傾き角であり、それぞれの配光特性における縦軸は、光度(単位はカンデラ[cd])である。ただし、図12Aに示す配光特性の縦軸の目盛と、図12Bに示す配光特性の縦軸の目盛とは異なっている。
ここで、誘導灯器具1;1A;1Bにおいては、入射面900の長軸方向を筐体10の左右方向に一致させるように、レンズ9が筐体10の下面又は前面に配置されている。したがって、誘導灯器具1;1Bでは、入射面900の短軸を筐体10の前後方向に一致させるようにレンズ9が筐体10の下面に配置されている。そのため、誘導灯器具1;1Bでは、第2仮想平面P2における配光特性の±90°の光度が、θ=0°のときの規格値(111cd以上)を満足しなければならない。図12Bから明らかなように、第2仮想平面P2における配光特性の±90°の光度は、0°の光度に対する減少量が比較的に少ないので、θ=0°のときの規格値(111cd以上)を容易に満足させることができる。また、θ=±45°及びθ=±60°における光度は、第2仮想平面P2における配光特性の±90°の光度よりも小さく、かつ、第1仮想平面P1における配光特性の±90°の光度よりも大きい。したがって、レンズ9の配光特性によれば、θ=±45°及びθ=±60°における光度の規格値を容易に満足させることができる。
一方、レンズ9が筐体10の前面に配置されている誘導灯器具1Aでは、第1仮想平面P1における配光特性の0°、±45°及び±60°のそれぞれの光度に、θ=0°、θ=±45°及びθ=±60°における光度の規格値を容易に満足させることができる。
図13Aは、比較例1のレンズ9R1における第1仮想平面の断面図を示し、図13Bは、比較例1のレンズ9R1の第1仮想平面における配光特性を示している。また、図14Aは、比較例1のレンズ9R1における第2仮想平面の断面図を示し、図14Bは、比較例1のレンズ9R1の第2仮想平面における配光特性を示している。図13Aに示すように、比較例1のレンズ9R1は、入射面900Rの全体が出射面901Rに近付く向き(図における上向き)に凹んでいる点で本実施形態のレンズ9と異なっている。図13B及び図14Bから明らかなように、比較例1のレンズ9R1の配光特性の0°の光度が大きく減少しているので、θ=0°のときの規格値(111cd以上)を満足させることは困難である。ゆえに、比較例1のレンズ9R1は、筐体10の下面に配置される誘導灯器具1;1Bには使用できるが、筐体10の前面に配置される誘導灯器具1Aには使用できない。
図15Aは、比較例2のレンズ9R2における第1仮想平面の断面図を示し、図15Bは、比較例2のレンズ9R2の第1仮想平面における配光特性を示している。また、図16Aは、比較例2のレンズ9R2における第2仮想平面の断面図を示し、図16Bは、比較例2のレンズ9R2の第2仮想平面における配光特性を示している。図15Aに示すように、比較例2のレンズ9R2は、第1の外側中央部Y1の曲率が第2の外側中央部Z1の曲率よりも大きい点で本実施形態のレンズ9と異なっている。さらに、図16Aに示すように、比較例2のレンズ9R2は、第2の外側周辺部Z2の曲率が第1の外側周辺部Y2の曲率よりも小さい点で本実施形態のレンズ9と異なっている。図15B及び図16Bから明らかなように、比較例2のレンズ9R2の配光特性の±45°〜60°の光度が大きく減少しているので、θ=±45°及びθ=60°のときの規格値を満足させることは困難である。ゆえに、比較例2のレンズ9R2は、筐体10の前面に配置される誘導灯器具1Aには使用できるが、筐体10の下面に配置される誘導灯器具1;1Bには使用できない。
これに対して本実施形態のレンズ9は、入射面900の中央部X1が周辺部X2に対してLED30に向かって突出していることにより、中央部X1の光度を周辺部X2の光度よりも高くすることができる。さらに、本実施形態のレンズ9は、第1の外側中央部Y1の曲率が第2の外側中央部Z1の曲率よりも小さく、かつ、第2の外側周辺部Z2の曲率が第1の外側周辺部Y2の曲率よりも大きいため、比較例2のレンズ9R2に比べて広角の配光特性を実現できる。つまり、本実施形態のレンズ9は、複数の配光条件を満たすことが可能である。その結果、本実施形態のレンズ9は、複数種類の誘導灯器具1;1A;1Bに共通に使用することができるから、光源装置3及び誘導灯器具1;1A;1B(発光装置)の製造コストの削減を図ることができる。
ところで、本実施形態の発光装置に相当する誘導灯器具は、図17及び図18に示すような誘導音付点滅形避難口誘導灯器具(以下、誘導灯器具1C;1Dと呼ぶ。)でもかまわない。誘導灯器具1C(変形例3);1D(変形例4)は、筐体10内にスピーカを収容している。筐体10の前壁11にスピーカ用の窓111が開口している。この窓111は、カバー112で塞がされている。ただし、カバー112は、カバー112の厚み方向に貫通する多数の穴を有している。誘導灯器具1C;1Dは、誘導灯信号装置から信号を受信した場合、「避難口はこちらです。」というような音声メッセージをスピーカから出力するように構成されている。
本実施形態のレンズ9は、変形例3の誘導灯器具1C及び変形例4の誘導灯器具1Dのいずれにも使用することができる。したがって、本実施形態のレンズ9は、光源装置3及び誘導灯器具1C;1D(発光装置)の製造コストの削減を図ることができる。
上述のように本発明の第1の態様に係るレンズ(9)は、透光性を有する媒質からなるレンズ本体(90)を備える。レンズ本体(90)は、固体光源(LED30)から放射される光が入射する入射面(900)と、入射面(900)から入射した光が出射する出射面(901)とを有する。固体光源の光軸(C1)と平行な第1仮想平面(P1)と入射面(900)との交わりである第1入射曲線(L11)は、光軸(C1)と平行な方向において固体光源の発光面(300)と対向する中央部(X1)と、中央部(X1)を囲む周辺部(X2)とを有する。中央部(X1)は、周辺部(X2)に対して固体光源に向かって突出している。周辺部(X2)は、固体光源から離れる向きに凹んでいる。光軸(C1)と平行し、かつ、第1仮想平面(P1)と直交する第2仮想平面(P2)と入射面(900)との交わりである第2入射曲線(L12)は、固体光源から離れる向きに凹んでいる。第1仮想平面(P1)と出射面(901)との交わりである第1出射曲線(L21)は、光軸(C1)と平行な方向において固体光源の発光面(300)と対向し、かつ、固体光源から離れる向きに突出した第1の外側中央部(Y1)を有する。第1出射曲線(L21)は、第1の外側中央部(Y1)を囲み、かつ、固体光源から離れる向きに突出した第1の外側周辺部(Y2)を有する。第2仮想平面(P2)と出射面(901)との交わりである第2出射曲線(L22)は、光軸(C1)と平行な方向において固体光源の発光面(300)と対向し、かつ、固体光源から離れる向きに突出した第2の外側中央部(Z1)を有する。第2出射曲線(L22)は、第2の外側中央部(Z1)を囲み、かつ、固体光源から離れる向きに突出した第2の外側周辺部(Z2)を有する。第1の外側中央部(Y1)の曲率が第2の外側中央部(Z1)の曲率よりも小さく、かつ、第2の外側周辺部(Z2)の曲率が第1の外側周辺部(Y2)の曲率よりも大きい。
第1の態様に係るレンズ(9)は、入射面(900)の中央部(X1)が周辺部(X2)に対して固体光源に向かって突出していることにより、中央部(X1)の光度を周辺部(X2)の光度よりも高くすることができる。さらに、第1の態様に係るレンズ(9)は、第1の外側中央部(Y1)の曲率が第2の外側中央部(Z1)の曲率よりも小さく、かつ、第2の外側周辺部(Z2)の曲率が第1の外側周辺部(Y2)の曲率よりも大きいために広角の配光特性を実現できる。その結果、第1の態様に係るレンズ(9)は、複数の配光条件を満たすことが可能である。
本発明の第2の態様に係るレンズ(9)は、第1の態様に係るレンズ(9)との組合せにより実現され得る。第2の態様に係るレンズ(9)において、第1の外側周辺部(Y2)の曲率及び第2の外側周辺部(Z2)の曲率は光軸(C1)から離れるに従って大きくなることが好ましい。
第2の態様に係るレンズ(9)は、配光特性を更に広角に拡げることができる。
本発明の第3の態様に係るレンズ(9)は、第1又は第2の態様との組合せにより実現され得る。第3の態様に係るレンズ(9)において、光軸(C1)の方向から見た入射面(900)の外形が長円形であることが好ましい。
第3の態様に係るレンズ(9)は、指向性を有する配光特性を実現することができる。
本発明の第4の態様に係るレンズ(9)は、第1〜第3のいずれか一つとの組合せにより実現され得る。第4の態様に係るレンズ(9)において、光軸(C1)の方向から見た出射面(901)の外形が長円形であることが好ましい。
第4の態様に係るレンズ(9)は、指向性を有する配光特性を実現することができる。
本発明の第5の態様に係るレンズ(9)は、第1〜第4の態様のいずれか一つとの組合せにより実現され得る。第5の態様に係るレンズ(9)において、入射面(900)の外形の長軸の長さに対する短軸の長さの比率は、出射面(901)の外形の長軸の長さに対する短軸の長さの比率よりも高いことが好ましい。さらに、入射面(900)の外形の長軸と出射面(901)の外形の長軸とが平行であることが好ましい。
第5の態様に係るレンズ(9)は、配光特性を更に広角に拡げることができる。
本発明の第6の態様に係る光源装置(3)は、第1〜第5の態様のいずれか一つのレンズ(9)と、レンズ(9)の入射面(900)に発光面(300)を対向させるように配置される固体光源(LED30)とを備える。
第6の態様に係る光源装置(3)は、第1〜第5の態様のいずれか一つのレンズ(9)を備えることにより、複数の配光条件を満たすことが可能である。
本発明の第7の態様に係る発光装置(誘導灯器具1;1A;1B;1C;1D)は、第6の態様に係る光源装置(3)と、光源装置(3)を駆動する駆動装置(4)と、光源装置(3)及び駆動装置(4)を収容する筐体(10)とを有する。
第7の態様に係る発光装置は、第6の態様に係る光源装置(3)を有することにより、複数の配光条件を満たすことが可能である。
本発明の第8の態様に係る発光装置は、第7の態様との組合せにより実現され得る。第8の態様に係る発光装置において、筐体(10)は、前壁(11)と、前壁(11)の厚み方向において前壁(11)と対向する後壁(12)と、前壁(11)と後壁(12)の周縁を囲む側壁(13)とを有することが好ましい。前壁(11)と後壁(12)の少なくとも一方は、レンズ本体(90)が挿通される挿通穴(14)を有していることが好ましい。
第8の態様に係る発光装置は、筐体(10)の前方又は後方に光源装置(3)の光を配光することができる。
本発明の第9の態様に係る発光装置は、第7の態様との組合せにより実現され得る。第9の態様に係る発光装置において、筐体(10)は、前壁(11)と、前壁(11)の厚み方向において前壁(11)と対向する後壁(12)と、前壁(11)と後壁(12)の周縁を囲む側壁(13)とを有することが好ましい。側壁(13)は、レンズ本体(90)が挿通される挿通穴(14)を有していることが好ましい。
第9の態様に係る発光装置は、筐体(10)の前方及び後方に光源装置(3)の光を配光することができる。