JP2019099984A - 断熱シートおよびその製造方法、ならびに電子機器および電池ユニット - Google Patents
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Abstract
Description
シリカエアロゲルと不織布繊維とからなるエアロゲル複合断熱シートは、これまでいくつか知られている。その多くは取扱性が改善されつつある。しかし、これらは、5MPaの圧縮に耐えられる強度と、圧縮時における0.01m2K/W以上といった高い熱抵抗値とを持ち合わせていなかった。
0.30MPa〜5MPaで加圧したときの本実施の形態の断熱シートの圧縮率は、40%以下であり、30%以下であることがさらに好ましい。当該圧縮率は、卓上形精密万能試験機(例えば、オートグラフAGS−X(SHIMADZU製))により測定される値である。
0.30MPa〜5MPaで加圧したときの本実施の形態の断熱シートの熱抵抗は、0.010m2K/W以上であることが好ましく、0.015m2K/W以上であることがさらに好ましい。当該熱抵抗は、0.30MPa〜5MPaで加圧したときの断熱シートの厚みを下記の熱伝導率で割ることで求められる値である。
本実施の形態の断熱シートの熱伝導率は、圧縮率の大きさにもより一概にはいえないが、100mW/mK以下であればよい。当該熱伝導率は、熱流計により測定される値である。
本実施の形態の断熱シートのかさ密度は0.3g/cm3〜0.5g/cm3であることが好ましい。
本実施の形態の断熱シートを構成する高密度エアロゲルの比表面積は、300m2/g〜600m2/gであることが好ましい。さらに、細孔容積は、1.5ml/g未満であることが好ましい。また、高密度エアロゲルの平均細孔径は10〜70nmであることが好ましい。高密度エアロゲルの細孔特性は、高精度ガス/蒸気吸着量測定装置により測定される値である。
本実施の形態の断熱シートの厚さは、0.03mm〜3.0mmの範囲内にあることが好ましく、0.05mm〜1.5mmの範囲内にあることがより好ましい。断熱シートの厚みが、0.03mmよりも薄い場合には厚さ方向の断熱効果が低下することがある。断熱シートが、真空に近いレベルの非常に低い熱伝導率を実現しなければ、その一方の面から他方の面への厚さ方向の伝熱を低減できない。また特に、断熱シートの厚みが、0.05mm以上厚いと、厚さ方向の断熱効果が確保できる。一方、断熱シートが、1.5mmよりも厚い場合、車載・産業機器への組み込みが難しいことがある。特に、車載分野では、3.0mmより厚くなると、機器への組み込みは一層難しくなる。
本実施の形態の断熱シートの重量に占める高密度エアロゲルの割合は、不織布繊維の目付け、かさ密度、厚みによって最適な範囲が異なるため、一概にはいえない。しかし、断熱シートの重量に占める高密度エアロゲルの割合は、少なくとも50重量%以上あればよい。割合が、50重量%未満の場合、熱抵抗が小さくなると同時に、断熱シートの強度を維持することができなくなる。又、割合が80重量%以下であればよい。割合が80重量%より高い場合、熱抵抗は上がるものの、柔軟性が不足し、繰り返しの使用により、高密度エアロゲルの脱落が起こる可能性がある。
以下、本実施の形態の断熱シートを得るための不織布繊維や、高密度エアロゲルの原料種等について説明する。
・不織布繊維の目付
本実施の形態の断熱シートの製造に用いられる不織布繊維の目付けとしては、高密度エアロゲルの支持体として必要最低限の剛性を維持するため、5〜200g/m2が好ましい。目付けは単位面積あたりの繊維の重量である。
不織布繊維のかさ密度は、実施の形態の断熱シートにおける高密度エアロゲルの含有率を高めて、より熱伝導率を低減させるという観点から、100〜500kg/m3の範囲が好ましい。連続体として機械的強度が伴った不織布繊維を形成するためには、かさ密度は少なくとも100kg/m3あることが好ましい。また、不織布繊維のかさ密度が500kg/m3より大きい場合、不織布繊維中の空間体積が少なくなるため、充填することができる高密度エアロゲルが相対的に減り、熱抵抗値が小さくなりやすい。
実施の形態の断熱シートの製造に用いられる不織布繊維の材質は、無機繊維系のグラスウール、グラスペーパー、ロックウール;樹脂系のポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE);天然系の羊毛やセルロースなどを利用することができる。これらの中でも特に、無機繊維であることが好ましい。
・高密度エアロゲルの原料種
高密度エアロゲルの原料には、アルコキシシラン、水ガラスなどの汎用的なシリカ原料が用いられる。本実施の形態では、シリカ濃度が所望の範囲となるように、シリカ原料に水を加え、シリカ原料を水に分散もしくは溶解させた、分散液あるいは溶液を使用する。
本実施の形態では、上記原料種をゲル化させるためのゲル化剤として、炭酸エステルを用いる。炭酸エステルは、一般に酸性環境下では変化し難いが、塩基性条件下では炭酸とアルコールに加水分解することが知られている。本実施の形態では、この加水分解により生成した炭酸をゲル化に利用している。
本実施の形態の断熱シートの製造方法の概略を図2に示す。基本的な合成手順としては、(a)〜(c)の3ステップから構成される。
水ガラス組成物に炭酸エステルを混合して作製した塩基性ゾルを、不織布繊維に含浸させ、ゲル化させる。そして、塩基性ゾルを含浸させた不織布繊維をフィルムで挟んだ状態で2軸ロールなどを用いて厚み規制を行い、ヒドロゲル−不織布繊維の複合体を生成する。このとき、必要に応じてヒドロゲル−不織布繊維の複合体を水洗してもよいし、水洗しなくともよい。
ステップ(a)で生成したヒドロゲル−不織布繊維の複合体を、シリル化剤と混合して表面修飾させる。シリル化の方法、およびシリル化剤は、公知の方法、および公知の材料とすることができる。中でも、ヒドロゲル−不織布繊維の複合体を塩酸水溶液に浸漬させた後、シロキサンとアルコールとの混合液で処理する方法が、迅速にシリル化処理を行うことができ、好ましい。
ステップ(b)で得られた表面修飾したヒドロゲル−不織布繊維の複合体中に含まれる液体を、当該液体の臨界温度および当該液体の臨界圧力未満で乾燥することによって除去する。
実施例では、ゲル化剤として炭酸エチレンを用い、水ガラス組成物中のシリカ濃度を変えて断熱シートを作製した。そして、得られた断熱シートのかさ密度、熱伝導率、圧縮率、および熱抵抗値をそれぞれ以下の方法で評価した。
各評価の合格基準は、以下のようにした。
断熱シートのかさ密度は0.3g/cm3以上0.5g/cm3以下を合格とした。断熱シートのかさ密度が0.3g/cm3未満であると、断熱シートに加重をかけたときに潰れやすい。かさ密度が0.5g/cm3より大きいと、加重に対して潰れにくくなるが、熱伝導率が高くまた熱抵抗が小さくなる。このため、圧縮時に断熱シートに熱連鎖が起きやすくなる。
断熱シートの熱伝導率は、100mW/mK以下を合格とした。断熱シートの熱伝導率が100mW/mKより高いと、熱抵抗が小さくなるため、圧縮時に熱連鎖が起きやすくなる。
断熱シートにおけるエアロゲル充填率は50重量%以上80%重量以下を合格とした。エアロゲルの充填率が、50重量%未満の場合、潰れやすく圧縮時における熱抵抗が小さくなる。エアロゲルの充填率が、80重量%より大きい場合、潰れにくいが、固体の伝熱成分が増加するため圧縮時における熱抵抗が小さくなることがある。
断熱シートにおけるエアロゲルの比表面積は300m2/g以上、600m2/g以下を合格とした。断熱シートにおけるエアロゲルの比表面積が、300m2/gより小さいと、多孔体を構成する粒子の粒径が大きいことから熱伝導率が高くまた熱抵抗が小さくなる。そのため、圧縮時に熱連鎖が起きやすくなる。一方、断熱シートにおけるエアロゲルの比表面積が、600m2/gより大きい場合、多孔体を構成する粒子の粒径が小さく、圧縮時に潰れやすくなる。そのため、熱抵抗が小さくなり、熱連鎖が起きやすくなる。
断熱シートの細孔容積は1.5ml/g未満を合格とした。断熱シートの細孔容積が1.5ml/g以上であると、圧縮時に潰れやすくなる。そのため、熱抵抗が小さくなり、熱連鎖が起きやすくなる。
5.0MPaにおける断熱シートの圧縮率は、40%以下を合格とした。高負荷時においても、効果的に熱連鎖を抑制するためには、断熱シートが圧縮にある程度耐えて、固体の伝熱成分の増加を抑制する必要がある。5.0MPaにおける断熱シートの圧縮率が、40%より高いと従来の断熱シートに対する優位性が損なわれる。
5.0MPaで圧縮した時の断熱シートの熱抵抗値が0.01m2K/W以上である場合を合格とした。熱抵抗値を評価する際、実際に荷重を加え、熱伝導率を測定すればよい。しかし、特に荷重が高い場合、圧縮により潰れ、圧縮時における熱伝導率を測定することは難しい。そこで、圧縮率から求めた断熱シートの厚みと、熱流計HFMで測定した熱伝導率との実測値から熱抵抗値を算出して比較評価した。5.0MPaにおける熱抵抗値が0.01m2K/W未満では、圧縮時において、熱連鎖が起きやすくなる。
全てを満足する条件を総合評価として合格とした。
水ガラス原料を蒸留水で希釈して調製した水ガラス組成物100重量部(20.5g)(シリカ濃度14重量%)に、炭酸エチレン(白色結晶)の水溶液を6重量部(炭酸エチレンの量:1.23g)添加してよく攪拌、溶解させて塩基性ゾル(以下、「ゾル溶液」とも称する)を調製した。
水ガラス組成物中のシリカ濃度を16重量%、また炭酸エチレン水溶液の添加量を3重量部に変更した以外は、実施例1と同様のプロセス条件にてシートを作製した。この断熱シートを評価した結果、圧縮率は30.1%、熱抵抗値は0.017m2K/Wであり、総合評価として合格であった。
水ガラス組成物中のシリカ濃度を18重量%に変更した以外は、実施例2と同様のプロセス条件にてシートを作製した。この断熱シートを評価した結果、圧縮率は23.3%、熱抵抗値は0.015m2K/Wであり、総合評価として合格であった。
水ガラス組成物中のシリカ濃度を20重量%に変更した以外は、実施例2と同様のプロセス条件にてシートを作製した。この断熱シートを評価した結果、圧縮率は21.3%、熱抵抗値は0.015m2K/Wであり、総合評価として合格であった。
グラスペーパーの厚みを1.03mmに変更した以外は、実施例4と同様のプロセス条件にてシートを作製した。この断熱シートを評価した結果、圧縮率は21.0%、熱抵抗値は0.026m2K/Wであり、総合評価として合格であった。
炭酸エチレン水溶液の添加量を4重量部に変更した以外は、実施例5と同様のプロセス条件にてシートを作製した。この断熱シートを評価した結果、圧縮率は14.1%、熱抵抗値は0.025m2K/Wであり、総合評価として合格であった。
炭酸エチレン水溶液の添加量を5重量部に変更した以外は、実施例5と同様のプロセス条件にてシートを作製した。この断熱シートを評価した結果、圧縮率は13.8%、熱抵抗値は0.022m2K/Wであり、総合評価として合格であった。
炭酸エチレン水溶液の添加量を6重量部に変更した以外は、実施例5と同様のプロセス条件にてシートを作製した。この断熱シートを評価した結果、圧縮率は10.4%、熱抵抗値は0.023m2K/Wであり、総合評価として合格であった。
水ガラス組成物中のシリカ濃度を6重量%に変更した以外は、実施例1と同様のプロセス条件にてシートを作製した。この断熱シートを評価した結果、圧縮率は72.5%、熱抵抗値は0.013m2K/Wであり、総合評価として不合格であった。
水ガラス組成物中のシリカ濃度を8重量%に変更した以外は、実施例1と同様のプロセス条件にてシートを作製した。この断熱シートを評価した結果、圧縮率は67.3%、熱抵抗値は0.015m2K/Wであり、総合評価として不合格であった。
水ガラス組成物中のシリカ濃度を10重量%に変更した以外は、実施例1と同様のプロセス条件にてシートを作製した。この断熱シートを評価した結果、圧縮率は63.8%、熱抵抗値は0.015m2K/Wであり、総合評価として不合格であった。
水ガラス組成物中のシリカ濃度を12重量%に変更した以外は、実施例1と同様のプロセス条件にてシートを作製した。この断熱シートを評価した結果、圧縮率は52.4%、熱抵抗値は0.016m2K/Wであり、総合評価として不合格であった。
水ガラス組成物中のシリカ濃度を6重量%に変更し、塩酸12規定をゲル化剤として用いた以外は、実施例1と同様のプロセス条件にてシートを作製した。この断熱シートを評価した結果、圧縮率は71.9%、熱抵抗値は0.013m2K/Wであり、総合評価として不合格であった。
シリカ濃度6重量%の水ガラス組成物をイオン交換樹脂によりNaイオン除去して調製したゾルに、1規定のアンモニア水溶液をゲル化剤として用いた以外は、実施例1と同様のプロセス条件にてシートを作製した。この断熱シートを評価した結果、圧縮率は74.6%、熱抵抗値は0.013m2K/Wであり、総合評価として不合格であった。
・断熱シートの圧縮特性
0.30〜5MPaで加圧したときの実施の形態の断熱シートの圧縮率は、40%以下であることが好ましく、30%以下であることがさらに好ましい。図3は、各実施例および比較例で作製した断熱シートを5MPaで加圧した時の圧縮率と、水ガラス組成物中のシリカ濃度との関係を示すグラフである。圧縮率が40%より大きいと圧縮時における熱連鎖を抑制することが難しい。圧縮率が30%以下であれば、圧縮時における熱連鎖を効果的に抑制することができる。
0.30〜5MPaで加圧したときの本実施の形態の断熱シートの熱抵抗は、0.010m2K/W以上であることが好ましく、0.015m2K/W以上であることがさらに好ましい。図4は、各実施例および比較例で作製した断熱シートを5MPaで加圧したときの熱抵抗と、水ガラス組成物中のシリカ濃度との関係を示すグラフである。熱抵抗が0.010m2K/W未満の場合、圧縮時における熱連鎖を抑制することが難しい。熱抵抗が0.015m2K/W以上であれば、圧縮時における熱連鎖を効果的に抑制することができる。
本実施の形態の断熱シートの熱伝導率は、圧縮率の大きさにもより一概にはいえないが、100mW/mK以下であればよい。図5は、各実施例および比較例で作製した断熱シートの熱伝導率と、水ガラス組成物中のシリカ濃度との関係を示すグラフである。熱伝導率が100mK/Wより大きい場合、圧縮時における熱連鎖を抑制することが難しい。
本実施の形態の断熱シートのかさ密度は0.3〜0.5g/cm3であることが好ましい。図6は、各実施例および比較例で作製した断熱シートについて、横軸に断熱シート作製時の水ガラス組成物中のシリカ濃度、縦軸に得られた断熱シートのかさ密度をプロットしたものである。図6より、炭酸エチレンを用いた場合、シリカ濃度の増加と共に、断熱シートのかさ密度は増加する傾向にある。一方、塩酸やアンモニア水を用いた場合は、シリカ濃度6重量%において、かさ密度が0.2g/cm3であった。かさ密度0.3g/cm3未満の場合、高い荷重を加えると潰れやすくなる。そのため、圧縮率が大きく、熱抵抗が小さくなってしまう。また、かさ密度が0.5g/cm3より大きい場合、シリカ一次粒子の著しい粗大化やエアロゲル自体の収縮が起きており、無負荷時においても期待する熱抵抗値が得られない。
本実施の形態の高密度エアロゲルの比表面積は300〜600m2/gが好ましい。図7は、実施例1および4、ならびに比較例で作製した断熱シートについて、横軸に断熱シート作製時の水ガラス組成物中のシリカ濃度、縦軸にエアロゲルの比表面積をプロットしたものである。図7より、炭酸エチレンを用いた場合は、シリカ濃度の増加と共に、エアロゲルの比表面積は次第に減少し、シリカ濃度14重量%付近で極小値をとる傾向にあることが分かる。
図8は、実施例1および4、ならびに比較例で作製した断熱シートについて、横軸に断熱シート作製時の水ガラス組成物中のシリカ濃度、縦軸にエアロゲルの細孔容積をプロットしたものである。図8より、炭酸エチレンを用いた場合は、シリカ濃度の増加と共に、エアロゲルの細孔容積は次第に減少し、シリカ濃度14重量%付近で極小値をとる傾向にあることが分かる。塩酸を用いた場合は、シリカ濃度6重量%において細孔容積が2.0ml/gであり、アンモニア水を用いた場合は、シリカ濃度6重量%において細孔容積が4.4ml/gであった。細孔容積が1.5ml/g以上の場合、高い荷重を加えると潰れやすくなり、圧縮率が大きく、熱抵抗が小さくなる。したがって、エアロゲルの平均細孔径は10〜70nmが好ましい。
図9は、実施例1および4、ならびに比較例で作製した断熱シートについて、横軸に断熱シート作製時の水ガラス組成物中のシリカ濃度、縦軸にエアロゲルの平均細孔径をプロットしたものである。図9より、炭酸エチレンを用いた場合は、シリカ濃度が10重量%以下では平均細孔径はおよそ60nmとなり、シリカ濃度が14重量%以上では平均細孔径がおよそ30〜40nmであることが分かる。塩酸を用いた場合は、シリカ濃度6重量%において平均細孔径が約40nmであり、アンモニア水を用いた場合は、シリカ濃度6重量%において平均細孔径が約30nmであった。平均細孔径が10nm未満の場合は、シリカ一次粒子の著しい粗大化やエアロゲル自体の収縮が起きており、無負荷時においても期待する熱抵抗値が得られない。また平均細孔径が70nmより大きい場合は、空気の対流を抑制することが難しくなるため、熱抵抗が小さくなる。
図10に、実施例および比較例における断熱シート作製時の水ガラス組成物中のシリカ濃度と、得られた断熱シートの圧縮率との関係を示す。各断熱シートには5MPa〜0.3MPaの圧力を印加した。5MPaの圧力を印加した場合、実施例1〜4の断熱シートの圧縮率は、いずれも40%以下であり、好ましい値となった。2MPaの圧力を印加した場合、実施例1〜4の断熱シートの圧縮率は、30%以下であり、より好ましい値であった。1MPaの圧力を印加した場合、実施例1〜4の断熱シートの圧縮率は、20%以下であり、さらに好ましい値であった。なお、圧縮時の熱抵抗も同様の傾向がある。実施例1〜4の断熱シートは、0.30〜5.0MPaの圧力を印加した場合に、その熱抵抗が0.010m2K/W以上であった。
上述したように、実施例1〜4では、シリカ濃度14〜20重量%の水ガラス組成物と炭酸エチレンとを用いて断熱シートを作製した。その結果、5.0MPaにおける圧縮率はいずれも40%以下と小さく、また熱抵抗値はいずれも0.01m2K/W以上であった。一方、比較例1〜4では、シリカ濃度6〜12重量%の水ガラス組成物と炭酸エチレンとを用いて断熱シートを作製した。その結果、5.0MPaにおける圧縮率はいずれも40%より大きかった。
断熱シートは、エアロゲルと不織布繊維とを主成分として含み、他の化合物を主成分として含まない。エアロゲルと不織布繊維との合計が、断熱シート全体の重量の90重量%以上である。
11 筐体
12 電子部品
13 基板
15 電池
101 珪酸ナトリウム
102 ヒドロキシルイオン
103 炭酸エチレン
104 炭酸イオン
105 エチレングリコール
106 ヒドロゲル
107 炭酸ナトリウム
Claims (12)
- 水ガラス組成物に炭酸エステルを加えて作製した塩基性ゾルを、不織布繊維に含浸させ、ヒドロゲル−不織布繊維の複合体を生成する複合体生成工程と、
前記複合体を、シリル化剤と混合して表面修飾させる表面修飾工程と、
前記複合体に含まれる液体を、前記液体の臨界温度未満および臨界圧力未満で乾燥することによって除去する乾燥工程と、
を含む、断熱シートの製造方法であり、
前記断熱シートの0.30〜5.0MPaにおける圧縮率が40%以下である、断熱シートの製造方法。 - 前記複合体生成工程における、前記炭酸エステルの添加量が、前記水ガラス組成物100重量部に対して、1〜10重量部である、請求項1記載の断熱シートの製造方法。
- 前記塩基性ゾルは、pH10以上である、請求項1または2記載の断熱シートの製造方法。
- 前記複合体生成工程における、水ガラス組成物中のSiO2濃度が、14重量%以上22重量%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の断熱シートの製造方法。
- 前記不織布繊維が無機繊維である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の断熱シートの製造方法。
- 前記炭酸エステルが、水に可溶であり、かつpH10以上の塩基性条件下で容易に加水分解して炭酸イオンとジオールとを生成する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の断熱シートの製造方法。
- エアロゲルと不織布繊維とを含み、0.30〜5.0MPaにおける圧縮率が40%以下である、断熱シート。
- 0.30〜5.0MPaで圧縮した時の熱抵抗が0.01m2K/W以上である、請求項7記載の断熱シート。
- 前記エアロゲルは、比表面積が300m2/g以上600m2/g以下、細孔容積が1.5ml/g未満である、請求項7または8記載の断熱シート。
- 前記断熱シートのかさ密度が0.3g/cm3以上0.5g/cm3以下である、請求項7〜9のいずれか1項に記載の断熱シート。
- 発熱を伴う電子部品と筐体との間に、請求項7〜10のいずれか1項に記載の断熱シートを配置した、電子機器。
- 電池間に、請求項7〜10のいずれか1項に記載の断熱シートを配置した、電池ユニット。
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