本発明の一実施形態にかかる船舶は、
複数の船体と、
前記複数の船体に支持される被支持体と、
推進装置と、
を備えた船舶であって、
自船の前部が向く方向を船舶船首方向とし、
前記各船体の船首尾線を船首側に延ばした方向を前記各船体のそれぞれの船体船首方向として、
前記複数の船体は、前記船舶船首方向を含む全方位へ移動する場合において、前記各船体が受ける抵抗の総和が増大するように、少なくともいずれか1体の前記船体の船体船首方向が、少なくとも他の1体の前記船体の船体船首方向に対して非平行とされる、非平行配置をとっており、
自船の位置を定点に保持させるように、自船の位置を前記船舶船首方向を含む全方位に移動させる、定点保持動作を行う(第1の構成)。
上記構成によれば、非平行配置では、複数の船体は、船舶船首方向を含む全方位へ移動する場合において、各船体が受ける抵抗の総和が増大するように、少なくともいずれか1体の船体の船体船首方向が、少なくとも他の1体の船体の船体船首方向に対して非平行とされている。非平行配置の状態では、船舶は、船舶船首方向を含むどの方位に移動する場合であっても、いずれかの船体の船首尾線と交差する方向に移動することとなり、複数の船体を略平行に配置して線首尾線に沿った方向に移動させる場合よりも、抵抗が大きくなる。この増大した抵抗は、ブレーキ効果を生み出すこととなり、船舶は風などの外乱を受けた場合でも移動しにくくなる。また、推進装置を停止した場合の惰性による移動を抑制することができる。このため、自船の位置を定点に保持するための定点保持動作を容易に行うことができる。また、推進装置を頻繁に作動させずに定点保持動作を行うことが可能であるため、定点保持動作中のエネルギー消費量を抑制することができる。
本発明の一実施形態にかかる船舶は、
複数の船体と、
前記複数の船体に支持される被支持体と、
前記複数の船体のうち少なくともいずれか1体と前記被支持体を接続する、船体方向変更部と、
推進装置と、
を備えた船舶であって、
自船の前部が向く方向を船舶船首方向とし、
前記各船体の船首尾線を船首側に延ばした方向を前記各船体のそれぞれの船体船首方向として、
前記船体方向変更部は、前記船体の船体船首方向を、少なくとも他のいずれか1体の前記船体の船体船首方向に対して変更可能に構成されており、
前記複数の船体は、前記船舶船首方向を含む全方位へ移動する場合において、前記各船体が受ける抵抗の総和が増大するように、前記船体方向変更部によって変更された前記船体の船体船首方向が、少なくとも他の1体の前記船体の船体船首方向に対して非平行とされる、非平行配置をとることが可能であり、
前記非平行配置の状態において、自船の位置を定点に保持させるように、自船の位置を前記船舶船首方向を含む全方位に移動させる、定点保持動作を行う(第2の構成)。
上記構成によれば、非平行配置では、複数の船体は、船舶船首方向を含む全方位へ移動する場合において、各船体が受ける抵抗の総和が増大するように、船体方向変更部によって変更された船体の船体船首方向が、少なくとも他の1体の船体の船体船首方向に対して非平行とされている。非平行配置の状態では、船舶は、船舶船首方向を含むどの方位に移動する場合であっても、いずれかの船体の船首尾線と交差する方向に移動することとなり、複数の船体を略平行に配置して線首尾線に沿った方向に移動させる場合の抵抗の総和よりも、抵抗が大きくなる。この増大した抵抗は、ブレーキ効果を生み出すこととなり、船舶は風などの外乱を受けた場合でも移動しにくくなる。また、推進装置を停止した場合の惰性による移動を抑制することができる。このため、自船の位置を定点に保持するための定点保持動作を容易に行うことができる。また、推進装置を頻繁に作動させずに定点保持動作を行うことが可能であるため、定点保持動作中のエネルギー消費量を抑制することができる。
上記第2の構成において、
前記船体方向変更部は、前記各船体の船体船首方向が他の前記船体の船体船首方向に対して相互に平行となるように配置された状態である平行配置と、前記非平行配置と、を切り替え可能としてもよい(第3の構成)。
上記構成によれば、平行配置では、各船体の船体船首方向が他の船体の船体船首方向に対して相互に平行となるように配置される。このため、平行配置では、非平行配置の場合よりも各船体が受ける抵抗の総和を減少することができ、エネルギー消費量を抑制することができる。
上記第3の構成において、
前記定点保持動作を行う運転モードを定点保持モードとし、前記定点保持動作させずに前記船舶の位置を移動させる運転モードを航行モードとして、
前記定点保持モードでは、前記複数の船体の配置を前記非平行配置とし、
前記航行モードでは、前記複数の船体の配置を前記平行配置とし、
前記航行モードと前記定点保持モードを切り換える場合、前記船体方向変更部は、前記平行配置と前記非平行配置の切り替えを実行してもよい(第4の構成)。
上記構成によれば、船体方向変更部は、航行モードと定点保持モードを切り換える場合、平行配置と非平行配置の切り替えを実行する。定点保持動作を行う場合には、平行配置から非平行配置に切り換えることで、船体の抵抗の総和を大きくしてブレーキ効果を高め、定点保持動作を容易に行うことができる。また、航行モードでは、非平行配置よりも抵抗の総和が小さい平行配置に切り換えることで、ブレーキ効果を抑制して、エネルギー消費量を抑制することができる。
上記第2から第4の構成において、
前記平行配置と、前記非平行配置を切り換える場合に、前記船体方向変更部および前記推進装置を制御する制御部をさらに備えてもよい(第5の構成)。
上記構成によれば、制御部は、平行配置と非平行配置を切り換える場合に船体方向変更部および推進装置を制御するため、平行配置と非平行配置を切り換えて定点保持動作を自動で行うことができる。
上記第2から第5の構成において、
前記船体方向変更部は、回頭モーメントを生じさせるために前記複数の船体のうち少なくとも1体の船体の船体船首方向を変更させるようにしてもよい(第6の構成)。
上記構成によれば、船体方向変更部が複数の船体のうち少なくとも1体の船体の船体船首方向を変更させることで、船舶に回頭モーメントを生じさせることが可能となる。これにより、船舶の姿勢制御を行いながら、定点保持動作を行うことが可能となる。
上記第1から第6の構成において、
自船の向きを制御可能な状態とする運転モードをヘディング変更モードとして、
前記ヘディング変更モードを実行中に、前記定点保持動作を行うことを可能としてもよい(第7の構成)。
上記構成によれば、ヘディング変更モードを実行中に、定点保持動作を行うことが可能であるため、船舶の姿勢制御を行いながら、定点保持動作を行うことが可能となる。
上記第1から第7の構成において、
前記各船体に囲まれた領域内に仮想の点を設定するとするとともに、前記仮想の点から放射状に延びる仮想の直線を設定し、
前記複数の船体は、前記非平行配置において、前記各船体の船体船首方向が、前記仮想の直線に重なるように配置されてもよい(第8の構成)。
上記構成によれば、複数の船体は、非平行配置において、各船体の船首尾線が放射状に延びる仮想の直線に重なるように配置されているため、推進装置による推力を放射状に異なった方向に向けやすくなり、推力の増減による操舵が行いやすくなる。このため、定点保持動作の実行が容易になる。
上記第8の構成において、
前記船舶が水平方向へ移動する場合における流体抵抗の中心点を抵抗中心点とし、
前記仮想の点は前記抵抗中心点に設定されてもよい(第9の構成)。
上記構成によれば、複数の船体は、非平行配置において、各船体の船首尾線が抵抗中心点から放射状に延びる仮想の直線に重なるように配置されているため、推力の増減による船舶の回頭モーメントを抑制することができ、推力の増減による操舵が行いやすくなる。このため、定点保持動作の実行が容易になる。
上記第8の構成において、
前記船舶が水平方向へ移動する場合における流体抵抗の中心点を抵抗中心点とし、
前記仮想の点は前記抵抗中心点以外に設定されてもよい(第10の構成)。
上記構成によれば、複数の船体は、非平行配置において、各船体の船首尾線が抵抗中心点以外の点から放射状に延びる仮想の直線に重なるように配置されているため、推力の増減によって船舶の回頭モーメントを生じさせることができ、船舶の姿勢制御を行いながら、定点保持動作を行うことが可能となる。
上記第1から第10の構成において、
前記複数の船体は、前記非平行配置において、前記各船体の船体船首方向が相互に非平行となるように配置されてもよい(第11の構成)。
上記構成によれば、複数の船体は、非平行配置において、各船体の船首方向が相互に非平行となるように配置されているため、推進装置による推力の方向を異なる方向に向けやすくなり、推力の増減による操舵が行いやすくなる。このため、定点保持動作の実行が容易になる。
上記第1から第11の構成において、
前記複数の船体は、3体または4体の前記船体で構成されており、前記非平行配置において、
前記3体の場合は、前記複数の船体は、平面視で略Y字状に配置され、
前記4体の場合は、前記複数の船体は、平面視で略X字状に配置されてもよい(第12の構成)。
上記構成によれば、3体または4体の複数の船体が、略Y字状または略X字状に配置されるため、各船体による抵抗のバランスがとりやすくなり、推力の増減による操舵が行いやすくなる。このため、定点保持動作の実行が容易になる。
上記第1から第12の構成において、
前記非平行配置において、
いずれかの前記船体の船体船首方向と、他のいずれかの前記船体の船体船首方向とがなす角度は10度以上としてもよい(第13の構成)。
上記構成によれば、非平行配置において、いずれかの船体の船体船首方向と、他のいずれかの船体の船体船首方向とがなす角度は、10度以上である。このため、船舶は、船舶船首方向を含むどの方位に移動する場合であっても、定点保持動作を行うために十分なブレーキ効果を生み出すことができる。
上記第1から第13の構成において、
前記定点保持動作において、自船の位置を前記船舶船首方向を含む全方位に移動させる場合、
少なくともいずれか1体の前記船体の船体船首方向と、自船の移動方向とがなす角度は、5度以上となるようにしてもよい(第14の構成)。
上記構成によれば、非平行配置において自船の位置を移動させる場合、少なくともいずれか1体の船体の船体船首方向と、自船の移動方向とがなす角度は、5度以上となる。このため、船舶は、船舶船首方向を含むどの方位に移動する場合であっても、定点保持動作を行うために十分なブレーキ効果を生み出すことができる。
上記第1から第14の構成において、
前記複数の船体は、それぞれ平面視で前記各船体の船首尾線に沿って推力を発生させる推進装置が設けられており、
前記各推進装置の推力を制御することにより、自船の位置を前記船舶船首方向を含む全方位に移動可能としてもよい(第15の構成)。
上記構成によれば、各船体の推力は、各船体の船首尾線に沿っているため、各船体の船首方向が非平行となるように配置されていることにより、推進装置による推力の方向が異なる方向に向くことになり、推力の増減による操舵が行いやすくなる。
[実施形態1]
以下、図面を参照し、本発明の実施形態1に係る船舶100を詳しく説明する。図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。なお、説明を分かりやすくするために、以下で参照する図面においては、構成が簡略化または模式化して示されたり、一部の構成部材が省略されたりしている。また、各図に示された構成部材間の寸法比は、必ずしも実際の寸法比を示すものではない。
本実施形態にかかる船舶100は、自動運転を行いながら、海洋や湖沼における水中環境調査等の作業を実行する船舶である。船舶100は、例えば、自動運転を行いながら複数の目標位置(例えば水中環境調査を行う目標位置TP1、TP2〜TPN)に順次移動して、各目標位置TP1〜TPNで自船の位置を保持(定点保持)しながら、水質調査や水中撮影等の水中環境調査を実行する。
本実施形態では、自船の位置を定点(例えば、目標位置TP1〜TPN)に保持する定点保持動作を行う運転モードを定点保持モードとする。また、例えば、目標位置TP1から次の目標位置TP2への移動のように、定点保持動作を行わずに自船の位置を移動させる運転モードを航行モードとする。船舶100は、複数の船体を有しており、運転モードに合わせて複数の船体の配置を変更することが可能である。定点保持モードでは、船舶100は、大きなブレーキ効果が得られるように、船体が受ける抵抗の総和を増大させる配置をとるようにする。航行モードでは、船舶100は、ブレーキ効果は不要であるため、船体が受ける抵抗の総和を減少させる配置をとるようにする。船舶100は、定点保持モードと航行モードを切り換える場合に、複数の船体のそれぞれの向きを変更し、各運転モードに適合した船体の配置に変更することができる。
[全体構成]
まず、船舶100の全体構成について説明する。図1は、船舶100の各船体10が平行配置PAとされた状態を示す平面図である。図1に示すように、船舶100は、4体の船体10(第1船体101、第2船体102、第3船体103、第4船体104)、被支持体30、船体方向変更部50、推進装置70、および制御部180を備えている。本実施形態では、第1船体101、第2船体102、第3船体103、および第4船体104は、同一の船型を有している。以下の説明において、第1船体101、第2船体102、第3船体103、および第4船体104を区別せずに説明する場合には、単に船体10という場合がある。
本実施形態では、各船体10の向きは固定されておらず、運転モードに適合した配置となるように各船体10の向きを変更できるように構成されている(図1、図3、図4参照)。各船体10の配置は、図1に示す平行配置PAのほか、図4に示す非平行配置NPAをとることも可能である。平行配置PAは、主に航行モードにおける配置であり、非平行配置NPAは、主に定点保持モードにおける配置である。平行配置PAおよび非平行配置NPAは、図1や図4に示した配置に限定されず、様々な配置を取ることが可能である。また、各船体10の配置が変化するため、船舶100の前後左右と、各船体10の前後左右の関係は一定ではない。そこで船舶100と各船体10のそれぞれの向きを区別するため、以下のように定義する。
船舶100の前部は、各船体10の向きに関わらず、第1船体101および第2船体102が配置されている側とし、船舶100の後部は、第3船体103および第4船体104が配置されている側とする。船舶100の左部は、第1船体101および第4船体104が配置されている側とし、船舶100の右部は、第2船体102および第3船体103が配置されている側とする。船舶100の前部が向く方向を船舶船首方向HD(または、ヘディングHD)とし、矢印HDで示す。被支持体30には、船舶船首方向HD(ヘディングHD)を示す三角形の表示30BAを付している。さらに以下の図において、矢印Fは船舶100の前方を示し、矢印Bは船舶100の後方を示す。矢印Rは船舶100の右方、矢印Lは船舶100の左方を示す。矢印Uは船舶100の上方、矢印Dは船舶100の下方を示す。
図1の平行配置PAの状態では、各船体10は相互に平行に配置されており、各船体10の船首10Fは同じ方向を向いている。各船体10には船首尾方向を示す仮想の船首尾線Lが示されている。各船体10の船首尾線Lを船首10F側に延ばした方向を船体船首方向DFとし、船体船首方向DFと反対の方向を船体船尾方向DBとする。各船体10の船首10Fには、船首10Fの向きを示す略三角形の表示10FAを付している。
各船体10の船型は排水量型であり、船首尾線Lに対して左右対称である。船幅は、船首尾線Lの中央部Wにおいて最も広くなっている。船首尾線Lの長さは、船幅に対して長く、各船体10は平面視で長細い船型を有している。水面位置における船首尾線L方向の長さをLWとし、水面位置における船幅方向の長さをBWとして、BW/LWは、1.0以下であればよく、0.5以下であれば好ましい。本実施形態では、BW/LWは約0.25である。船首10F側と船尾10B側の船型は、中央部Wに対して略対称であり、船幅は、中央部Wから船首10Fおよび船尾10Bに向かうにしたがって漸次細くなっている。このため、各船体10が船体船首方向DFまたは船体船尾方向DBに移動する場合に流体から受ける抵抗は、比較的小さい。一方、船首尾線Lに交差する方向(斜め方向や横方向)に移動する場合に流体から受ける抵抗は、船体船首方向DFおよび船体船尾方向DBに移動する場合に受ける抵抗よりも大きい。
本実施形態では、定点保持モードでは、流体から受ける抵抗が大きくなるように各船体10を配置(非平行配置NPA)することにより、船舶100が風などの外乱によって定点から移動しにくくなるようにして(ブレーキ効果)、定点保持動作を容易にしている。非平行配置NPAでは、複数の船体10は、船舶船首方向HDを含む全方位へ移動する場合において、各船体10が受ける抵抗の総和が増大するように、少なくともいずれか1体の船体10の船体船首方向DFが、少なくとも他の1体の船体10の船体船首方向DFに対して非平行とされている(図4参照)。一方、航行モードでは、ブレーキ効果は不要であるため、流体から受ける抵抗が小さくなるように各船体10を配置(平行配置PA)して、船舶100が定点保持動作を行わない場合のエネルギー消費量を抑制している。平行配置PAでは、図1に示すように、各船体10の船体船首方向DFが他の船体10の船体船首方向DFに対して相互に平行となるように配置された状態となっている。
船体方向変更部50は、各船体10と被支持体30を接続する部分である。船体方向変更部50は、各船体船首方向DFを、それぞれ他の船体船首方向DFに対して変更可能に構成されている。船体方向変更部50は、各船体10に設けられている。各船体10の船首尾線L上であって、中央部Wよりもやや船首10F側には、船体方向変更部50の支持軸51が上下方向に立設されている(図2参照)。各船体10は、支持軸51を介して被支持体30に接続されている。
各船体10は、支持軸51の軸心が平面視で仮想の正方形SQの各頂点に位置するように配置されている。つまり、各支持軸51は、前後方向および左右方向に等間隔に配置されている。ここで、仮想の正方形SQの対角線上に仮想線SQ1、仮想線SQ2、仮想線SQ3、および仮想線SQ4を設定する。仮想線SQ1、仮想線SQ2、仮想線SQ3、および仮想線SQ4が交わる仮想点SQCは、仮想の正方形SQの図心に位置している。言い換えると、仮想線SQ1、仮想線SQ2、仮想線SQ3、および仮想線SQ4は、仮想点SQCから放射状に延びる等間隔かつ同じ長さの直線である。つまり、各船体10の支持軸51は、仮想点SQCから放射状に延びる仮想線SQ1、仮想線SQ2、仮想線SQ3、および仮想線SQ4の端部に配置されている。
本実施形態では、各船体10はそれぞれ船体方向変更部50により、支持軸51を中心として水平方向に全方位(360度)、船体船首方向DFを変更可能に構成されている(図3参照)。各支持軸51の前後方向および左右方向の間隔は、各船体10の船体船首方向DFを変化させた場合に、各船体10が相互に干渉しないように設定されている。
被支持体30は、各船体10によって支持されている。被支持体30は、被支持体本体31および4本のアーム33を有している。
被支持体本体31は、被支持体30の基体をなす部分である。被支持体本体31は、平面視で仮想の正方形SQに重なるように配置されている。被支持体本体31は、各船体10が船体船首方向DFを変化させた場合に各船体10と干渉しないように、各船体10の上方に配置されている(図2参照)。被支持体本体31の中央部には、上下方向に貫通する作業口32が形成されている。作業口32は、例えば、水中環境調査等で用いる機器を昇降させる場合に用いられる。被支持体本体31の内部には、収容空間が構成されている。収容空間には、制御部180、および電源装置(図示せず)等が収容されている。また、被支持体本体31の上面には、現在位置情報取得部190が設けられている。現在位置情報取得部190は、GPSセンサ191、方位センサ192、風向・風速センサ193を有している(図6参照)。
アーム33は、各船体10に対応して設けられている。アーム33は、各船体10に設けられている支持軸51を保持して、各船体10と被支持体本体31を接続する。アーム33は、それぞれ被支持体本体31から各船体10の支持軸51まで、前述した仮想線SQ1、仮想線SQ2、仮想線SQ3、および仮想線SQ4に沿って延びている。アーム33は、各船体10と干渉しないように、各船体10の上方に配置されている(図2参照)。
船体方向変更部50は、各船体10と被支持体30を接続している。船体方向変更部50は、船体船首方向DFを、他の船体船首方向DFに対して変更可能に構成されている。各船体10に設けられた船体方向変更部50は、各船体船首方向DFをそれぞれ水平方向に全方位(360度)に変更可能である(図3参照)。船体方向変更部50の動作は、制御部180によって制御されている。船体方向変更部50の具体的な構成については後述する。
推進装置70は、各船体10に配置されており、各船体10の推進力を発生させる。推進装置70は、プロペラ軸71、プロペラ72、およびモータ73を有している。
プロペラ軸71は、各船体10の船尾10Bにおいて、平面視で船首尾線Lに沿うように配置されている。プロペラ72は、プロペラ軸71の後端部に取付けられている。
モータ73は、プロペラ軸71に接続されており、プロペラ72を回転させて推力を発生させる。モータ73は、回転数および回転方向を変化させることが可能である。モータ73の回転数を変化させることで、プロペラ72の回転数を変化させ、各船体10の推力の大きさを変化させる。また、モータ73の回転方向を正逆に変化させることで、プロペラ72の回転方向を変化させ、各船体10の推力を前進方向または後進方向に切り換える。各船体10のモータ73を駆動させる電力は、被支持体30に搭載された電源装置(図示せず)から供給される。推進装置70の動作は、制御部180によって制御される。本実施形態の船舶100は、操舵装置を備えておらず、各船体10の配置と、各船体10の推進装置70による推力の配分の組み合わせにより、船舶100の移動方向を制御する。
制御部180は、船舶100の自動運転を制御する船舶制御システム200を構成する(図6参照)。制御部180は、船舶100の自動運転を制御するため、各船体10に設けられた船体方向変更部50、および推進装置70の動作を制御する。制御部180の具体的な構成については後述する。
図2は、図1のA―A線における側面断面図である。図2では、第1船体101および第4船体104の内部と、被支持体30が見えている。各船体10の内部には、主に船体方向変更部50、および推進装置70が設けられている。
船体方向変更部50は、支持軸51、軸受け部53、モータ55を有している。支持軸51は、船体10の中央部Wよりもやや船首10F側において上下方向に延びるように立設されている。支持軸51の下部は、船体10の内部に配置されている。支持軸51の下部には、軸受け部53が支持軸51に対して回転可能に設けられている。軸受け部53は、船体10の内部に固定されている。支持軸51の上部は、被支持体30のアーム33の先端部に固定されている。このため、船体10は、支持軸51およびアーム33に対して回転可能に構成されている。
モータ55は、軸受け部53とともに船体10の内部に固定されている。モータ55は、回転軸551を有しており、第1ギヤ571が取り付けられている。支持軸51の下部には、第2ギヤ572が取り付けられている。第1ギヤ571と第2ギヤ572は噛み合わされており、モータ55の回転軸551の回転力が支持軸51に伝達されるように構成されている。モータ55の回転軸551を回転させると、その回転力により、軸受け部53、モータ55および船体10が支持軸51を中心として回転する。
モータ55は、回転軸551の回転角度を制御可能なモータを用いている。モータ55として、例えばサーボモータやステッピングモータなどを用いることができる。モータ55の回転軸551の回転角度を制御して、支持軸51回りの回転角度を制御することにより、船体船首方向DFの向きを制御することができる。各船体10のモータ55を駆動させる電力は、被支持体30に搭載された電源装置(図示せず)から供給される。
図3は、第1船体101の船体船首方向DFの変更動作を説明する平面図である。各船体船首方向DFの変更動作について、第1船体101を例に挙げて説明する。
図3では、第1船体101が姿勢101PAから姿勢101NPAに変化する状態を示している。姿勢101PAは、図1に示した平行配置PAにおける第1船体101の姿勢である。姿勢101PAは、第1船体101の船体船首方向DFが船舶船首方向HDと平行になっている。これに対して、姿勢101NPAは、第1船体101の船体船首方向DFが仮想点SQCを向いており、第1船体101の船首尾線Lが仮想線SQ1に重なる状態である。姿勢101PXは、姿勢101PAから姿勢101NPAに変更される途中の状態を示している。
姿勢101PAから姿勢101NPAへの変更では、第1船体101の船体船首方向DFは、支持軸51を中心に右回りに角度θ1=135度変更されている。この船体船首方向DFの変更は、第1船体101に設けられた船体方向変更部50を制御部180で制御することによって実行される(図1参照)。第1船体101と同様に、第2船体102、第3船体103、および第4船体104についても各船体10に設けられた船体方向変更部50を制御部180で制御することによって船体船首方向DFの変更が実行される(図4参照)。
なお、船体方向変更部50の動作は、図3に示した動作に限定されない。例えば、図3では、船体船首方向DFは、支持軸51を中心に右回りに変更されたが、左回りに変更されてもよい。また、船体船首方向DFの変更角度θ1は、任意の角度に設定することが可能である。
図4は、船舶100の各船体10が非平行配置NPAとされた状態を示す平面図である。図4に示すように、各船体10は、船体船首方向DFを他の船体船首方向DFに対して非平行となるように変更させることが可能である。図4では、各船体10は、船首尾線Lが平面視で略X字状となるように配置されている。
非平行配置NPAでは、複数の船体10は、船舶船首方向HDを含む全方位へ移動する場合において、各船体10が受ける抵抗の総和を増大させてブレーキ効果が得られるように、少なくともいずれか1体の船体10の船体船首方向DFが、少なくとも他の1体の船体10の船体船首方向DFに対して非平行とされている。非平行配置NPAでは、いずれかの船体10の船体船首方向DFと、他のいずれかの船体10の船体船首方向DFとがなす角度は、10度以上であることが好ましい。10度以上とすることにより、定点保持動作において、自船の位置を船舶船首方向HDを含む全方位に移動させる場合、少なくともいずれか1体の船体10の船体船首方向DFと、自船の移動方向とがなす角度は、5度以上となり、船体10は、流体から大きな抵抗を受け、ブレーキ効果を得ることができる。
図4に示す配置は、非平行配置NPAの一例であり、非平行配置NPAは、図4に示す配置に限定されない。図4では、第1船体101と第3船体103、および、第2船体102と第4船体104は非平行になっていないが、例えば、各船体10の船体船首方向DFが相互に非平行となるように配置される場合も非平行配置NPAに含まれる(図19参照)。
また、各船体10の船体船首方向DFが相互に平行となるように配置された配置が平行配置PAである。図1の配置は、平行配置PAの一例であり、平行配置PAについても図1に示す配置に限定されない。例えば、図1の平行配置PAでは、各船体船首方向DFと船舶船首方向HD(ヘディングHD)が平行であるが、各船体船首方向DFが相互に平行になっていればよく、必ずしも各船体船首方向DFと船舶船首方向HD(ヘディングHD)が平行でなくてもよい(図20参照)。
図4に示す非平行配置NPAでは、各船体船首方向DFは、仮想点SQCを向いており、各船体10の船首尾線Lは、それぞれ仮想線SQ1、SQ2、SQ3およびSQ4に重なっている。図1に示した平行配置PAから図4に示した非平行配置NPAへの変更は、各船体10の船体船首方向DFを仮想点SQCに向けるように変更することで実行される。具体的には、第1船体101は、船体船首方向DFを右回りに135度変更されている(図3参照)。同様に、第2船体102の船体船首方向DFは、支持軸51を中心に左回りに角度135度、第3船体103の船体船首方向DFは、支持軸51を中心に左回りに角度45度、第4船体101の船体船首方向DFは、支持軸51を中心に右回りに角度45度、それぞれ変更されている。船体方向変更部50は、各船体船首方向DFを変更することにより、各船体10の配置を非平行配置NPAと平行配置PAに切り替えることが可能である。
図4に示した非平行配置NPAでは、各船体10の船体船首方向DFは、仮想点SQCを向いており、反対に各船体10の船体船尾方向DBは、仮想点SQCから放射状に外方に向いている。この状態で各船体10の推進装置70の出力の配分を制御することにより(図7参照)、船舶100の移動方向を前方F、後方B、左方L、右方R、および斜め方向を含む水平方向に全方位(360度)に自在に制御すること可能である。また、非平行配置NPAの状態の船舶100が全方位に自在に移動することにより、各船体10は、船体船首方向DFまたは船体船尾方向DBだけでなく、船首尾線Lに交差する方向(例えば、斜め方向、横方向)にも移動することとなる。船首尾線Lに交差する方向(例えば、斜め方向、横方向)に移動する場合に流体から受ける抵抗は、船体船首方向DFおよび船体船尾方向DBに移動する場合に受ける抵抗よりも大きい。各船体10が前後方向、横方向、および斜め方向に移動する場合に流体から受ける抵抗について、次に図5を用いて説明する。
図5は、船体10の移動方向MDに対する船体船首方向DFの角度と、船体10が流体から受ける抵抗の大きさのおおよその関係を示すグラフである。縦軸は船体10が流体から受ける抵抗の大きさを示している。横軸は、船体10の移動方向MDに対する船体船首方向DFの角度を示している。
図5に示すように、船体10の移動方向MDに対する船体船首方向DFの角度を変化させると、船体10が流体から受ける抵抗の大きさも変化する。船体10が船体船首方向DFまたは船体船尾方向DBに移動する場合、すなわち、船体10が船首尾線Lに沿った方向に移動する場合は、流体から受ける抵抗は、比較的小さい。一方、船体10が船体船首方向DFに対して斜め方向または横方向に移動する場合、すなわち、船体10が船首尾線Lに交差する方向に移動する場合は、流体から受ける抵抗は、船体船首方向DFまたは船体船尾方向DBに移動する場合に受ける抵抗よりも大きい。
具体的には、船体10が船体船首方向DFに移動する場合(0度、360度)、および船体10が船体船尾方向DBに移動する場合(180度)に流体から受ける抵抗は、比較的小さい。これに対して、船体10が船体船首方向DFに対して斜め方向に移動する場合は、角度が増加するにしたがって、船体が流体から受ける抵抗は増大する。そして、例えば、45度、135度、225度、315度の状態で流体から受ける抵抗は、船体10が船体船首方向DF(0度)または船体船尾方向DB(180度)に移動する場合よりも比較的大きくなっている。また、船体10が船体船首方向DFに対して横方向に移動する場合(90度、270度)に流体から受ける抵抗は、船体10が斜め方向(45度、135度、225度、315度)に移動する場合よりもさらに大きくなっている。本発明では、船体10が船体船首方向DFおよび船体船尾方向DBに対して斜め方向(例えば、5度以上)あるいは横方向に移動する場合に流体から受ける抵抗が、船体船首方向DFおよび船体船尾方向DBに移動する場合の抵抗よりも大きくなることを利用して、定点移動動作における風等の外乱による船舶100の移動を抑制させている(ブレーキ効果)。
また、各船体10の船型は、中央部Wに対して船首10F側と船尾10B側が略対称である。このため、船体10が船体船首方向DFに移動する場合(0度)と船尾方向VBに移動する場合(360度)とで、流体から受ける抵抗は略等しい。また、船体10が船体船首方向DFに対して斜め方向に移動する場合(例えば、45度、135度、225度、315度)に流体から受ける抵抗はそれぞれ略等しく、船体10が船体船首方向DFに対して横方向に移動する場合(90度、270度)に流体から受ける抵抗もそれぞれ略等しい。つまり、船体10の移動方向MDと、船首尾線Lとが成す角度(内角)が等しい場合には、流体から受ける抵抗はそれぞれ略等しくなっている。
本実施形態では、船舶100が非平行配置NPAの状態では、各船体船首方向DFは、仮想点SQCを向いている。言い換えると、各船体船首方向DFは、仮想点SQC(=抵抗中心点DC)から放射状に延びる仮想線SQ1、仮想線SQ2、仮想線SQ3、および仮想線SQ4に重なるように配置されている。つまり、各船体10は、仮想の正方形SQの対角線が交わる点である仮想点SQCに対して対称に配置されている(図4参照)。
このため、本実施形態では、船舶100が非平行配置NPAの状態において水平方向に移動する場合、移動する方向が変化することで船舶100が流体から受ける抵抗の大きさは変化するが、流体から受ける抵抗の中心点は、ほとんど変化しない。平面視における抵抗の中心点の位置を抵抗中心点DCとすると、本実施形態では、抵抗中心点DCは、仮想の正方形SQの対角線が交わる点である仮想点SQCに一致する(図4参照)。
図6は、船舶制御システム200の構成を示す概略図である。船舶制御システム200は、船舶100の自動運転を制御するシステムである。図6では、船舶制御システム200のうち、主に船舶100の移動を制御するための構成を示している。船舶制御システム200は、制御部180、現在位置情報取得部190、各船体10に設けられている船体方向変更部50および推進装置70を備えている。
現在位置情報取得部190は、GPSセンサ191、方位センサ192、風向・風速センサ193を有している。GPSセンサ191は、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号を受信する。GPSセンサ191で受信されたGPS信号は、制御部180に入力される。制御部180は、GPSセンサ191からのGPS信号に基づいて、船舶100の現在位置の座標、現在位置から目標位置までの距離および方位を算出する。
方位センサ192は、船舶100のヘディングHD(船舶船首方向HD)の方位を検出する。方位センサ192からの検出信号は、制御部180に入力される。制御部180は、方位センサ192からの検出信号に基づいて、船舶100のヘディングHDの方位を算出する。
風向・風速センサ193は、船舶100が受けている風(見かけの風)の風向および風速を検出する。風向・風速センサ193からの検出信号は、制御部180に入力される。制御部180は、風向・風速センサ193からの検出信号に基づいて、船舶100が受けている風の風向および風速を算出する。
制御部180には、各船体10に設けられている船体方向変更部50および推進装置70が接続されている。制御部180は、各船体10の船体方向変更部50および推進装置70を制御することにより、船舶100の自動運転を制御する。
制御部180は、メモリ181、現在位置情報算出部182、運転モード判定部183、船体方向制御部185、および推進装置制御部187を備えている。
メモリ181は、船舶100の自動運転に関するデータを記憶している。メモリ181には、経路データDE1、第1運転モード判定基準データDE2、船体方向制御データDE3、航行モード推力配分データDE4、および定点保持モード推力配分データDE5が保存されている。
経路データDE1には、例えば、水中環境調査等を行う複数の調査位置(目標位置)TP1〜TPNに関する位置データ、および複数の目標位置TP1〜TPNまで所定の順序で航行するための経路に関するデータ等が記録されている。
第1運転モード判定基準データDE2には、運転モードを航行モードと定点保持モードのいずれにするか判定するための判定基準が記録されている。本実施形態では、第1運転モード判定基準データDE2には、現在位置から目標位置までの距離に基づいて、運転モードを航行モードと定点保持モードのいずれにするか判定するための判定基準が記録されている。具体的には、現在位置から目標位置までの距離が所定の基準距離Rを上回っている場合には、運転モードを航行モードとし、現在位置から目標位置までの距離が所定の基準距離Rを下回っている場合には、運転モードを定点保持モードとする判定基準が記録されている。また、船舶100が目標位置に到達した場合、すなわち、現在位置から目標位置までの距離が0になった場合には、定点保持モードのままその位置を保持し続けるようにする判定基準も記録されている。
船体方向制御データDE3には、各船体10に設けられた船体方向変更部50の動作に関するデータが記録されている。具体的には、運転モード(航行モード、定点保持モード)に適合した各船体10の配置をとるための設定と、各船体10を設定された配置にするための船体方向変更部50の動作に関するデータが記録されている。
本実施形態では、航行モードでは各船体10が平行配置PA(図1参照)をとるように設定されている。そして、各船体10が平行配置PAをとるために、各船体船首方向DFと、船舶100のヘディングHDとがなす角度が、各船体10とも0度となるように船体方向変更部50の動作データが設定されている。
また、本実施形態では、定点保持モードでは各船体10が非平行配置NPA(図4参照)の状態となるように設定されている。そして、各船体10が非平行配置NPAの状態となるために、各船体10の船体船首方向DFと、船舶100のヘディングHDとがなす角度が、船体10ごとに所定の角度となるように船体方向変更部50の動作データが設定されている。本実施形態では、図4に示した非平行配置NPAの状態となるように、第1船体101は、船体船首方向DFを船舶100のヘディングHDに対して右回りに135度変更した角度になるように船体方向変更部50の動作データが設定されており、同様に、第2船体102の船体船首方向DFは、左回りに角度135度、第3船体103は、左回りに角度45度、第4船体101は、右回りに角度45度、それぞれ船舶100のヘディングHDに対して変更した角度になるように船体方向変更部50の動作データが設定されている。
航行モード推力配分データDE4には、航行モードにおける、推進装置70の推力の配分に関するデータが記録されている。本実施形態では、航行モードでは船舶100は平行配置PAをとるため、平行配置PAにおける船舶100のヘディングHDの方位と、現在位置から目標位置までの方位との関係に応じて、各推進装置70に出力させる推力の配分に関するデータが記録されている。
例えば、船舶100をヘディングHDへ向けて直進させる場合については、各船体10の推進装置70の推力が前進方向に均等に出力されるように推進装置70の動作データが設定されている。また、船舶100をヘディングHDに対して右方向に旋回させる場合については、船舶100の左部に配置されている第1船体101および第4船体104の推力を、船舶100の右部に配置されている第2船体102および第3船体103の推力よりも大きくするように推進装置70の動作データが設定されている。反対に、船舶100をヘディングHDに対して左方向に旋回させる場合については、船舶100の右部に配置されている第2船体102および第3船体103の推力を、船舶100の左部に配置されている第1船体101および第4船体104の推力よりも大きくするように推進装置70の動作データが設定されている。
定点保持モード推力配分データDE5には、定点保持モードにおける、推進装置70の推力の配分に関するデータが記録されている。本実施形態では、定点保持モードでは船舶100は非平行配置NPAの状態となるため、非平行配置NPAにおける船舶100のヘディングHDの方位と、現在位置から目標位置までの方位との関係に応じて、各推進装置70に出力させる推力の配分に関するデータが記録されている。定点保持モード推力配分データDE5については、図7を用いて説明する。
図7は、非平行配置NPAの船舶100のヘディングHDに対する移動方向MDと、各推進装置70に出力させる推力の配分との関係を示すマップの一例である。図7の縦軸は、各船体10の推進装置70のそれぞれの出力の割合(0〜100)を示し、横軸は、船舶100のヘディングHDと移動方向MDのなす角度である。船舶100のヘディングHDは、矢印HDおよび三角形の表示30BAによって示されており、船舶100の上方の矢印MDは船舶100の移動方向を示している。各船体10の横の1から4の数字は、第1船体101から第4船体104のうち、推進装置70によって推力を発生させる船体10を示している。
図7に示すように、船舶100をヘディングHDに向けて移動させる場合、船舶100のヘディングHDと船舶100の移動方向MDがなす角度は0度である。この場合は、第3船体103と第4船体104の推進装置70による推力の配分は均等(100:100)とされている。
船舶100をヘディングHDに対して右斜め45度に移動させる場合、船舶100のヘディングHDと船舶100の移動方向MDがなす角度は45度である。この場合は、第4船体104の推進装置70の推力を(100)としており、第3船体103の推進装置70の推力を(0)としている。
船舶100をヘディングHDに対して0度から右斜め45度の間の方位に移動させる場合、第4船体104の推進装置70による推力は一定(100)とされ、第3船体103の推進装置70による推力は変化させている(100〜0)。これは、第3船体103と第4船体104の推進装置70による推力の配分を変化させることによって船舶100の移動方向を0度から右斜め45度の間で変化させることができるためである。同様に、各船体10の推進装置70の出力の配分を変化させることで、船舶100を水平方向の全方位に自在に移動させることが可能である。
なお、航行モード推力配分データDE4、および定点保持モード推力配分データDE5は、例示したものに限定されない。例えば、各船体10の推進装置70の推力については、前進方向のみとしたが、後進方向の推力を組み合わせてもよい。その場合、船舶100を移動させる推力の総和が大きくなり、船舶100の移動速度が増大する。
また、船舶100が受ける風の風力によっては船舶100の移動速度が変化する場合があるため、各推進装置70の推力の配分に加えて、推力の増減についてのデータを設定してもよい。例えば、風力が基準風力を下回った場合と基準風力を上回った場合とで、各推進装置70の推力の配分を変えずに、各推進装置70の推力の絶対値を増減させてもよい。
図6に戻って、現在位置情報算出部182は、現在位置情報取得部190からの検出信号に基づいて、現在位置における位置情報および風に関する情報を算出する。具体的には、GPSセンサ191からのGPS信号に基づいて、船舶100の現在位置の座標(現在位置GPS座標)を算出し、方位センサ192からの検出信号に基づいて、船舶100のヘディングHDの方位を算出し、風向・風速センサ193からの検出信号に基づいて、船舶100が受けている風の風向および風速を算出する。また、現在位置情報算出部182は、メモリ181に記憶されている経路データDE1に記録された目標位置および経路に関するデータを参照して、目標位置までの距離、および船舶100のヘディングHDに対する目標位置の方位を算出する。
運転モード判定部183は、メモリ181に記憶されている第1運転モード判定基準データDE2を参照して、目標位置までの移動に適合した運転モード(航行モード、または定点保持モード)を判定する。本実施形態では、第1運転モード判定基準データDE2、および、現在位置情報算出部182で算出された目標位置までの距離を参照して、現在位置から目標位置までの距離が所定の基準距離Rを上回っている場合には、運転モードを航行モードと判定し、現在位置から目標位置までの距離が所定の基準距離Rを下回っている場合には、運転モードを定点保持モードと判定する。また、現在位置から目標位置までの距離が0の場合には、船舶100が目標位置に到達したとして、運転モードを定点保持モードとしたままその位置を保持し続けるようにすると判定する。
船体方向制御部185は、メモリ181に記憶されている船体方向制御データDE3を参照し、運転モード判定部183で判定された運転モード(航行モード、定点保持モード)に対応させて、各船体10に設けられた船体方向変更部50の動作を制御する。本実施形態では、航行モードでは各船体10が平行配置PAをとるように各船体10に設けられた船体方向変更部50の動作を制御する。また、定点保持モードでは各船体10が非平行配置NPAをとるように各船体10に設けられた船体方向変更部50の動作を制御する。
推進装置制御部187は、メモリ181に記憶されている航行モード推力配分データDE4および定点保持モード推力配分データDE5を参照し、運転モード判定部183で判定された運転モード(航行モード、または定点保持モード)に対応させて、各船体10に設けられた推進装置70の動作を制御する。本実施形態では、運転モード判定部183で運転モードが航行モードと判定された場合、推進装置制御部187は、航行モード推力配分データDE4を参照して、各船体10に設けられた推進装置70の動作を制御する。また、運転モード判定部183で運転モードが定点保持モードと判定された場合、推進装置制御部187は、定点保持モード推力配分データDE5を参照して、各船体10に設けられた推進装置70の動作を制御する。また、運転モード判定部183で運転モードを定点保持モードとしたままその位置を保持し続けるようにすると判定された場合、推進装置制御部187は、各船体10に設けられた推進装置70の動作を停止するように制御する。
[動作]
次に、船舶100の動作について説明する。図8は、航行モードで目標位置TP1に向けて移動する船舶100の平面図である。図9は、定点保持モードで自船の位置を目標位置TP1に保持する定点保持動作を行う船舶100の平面図である。図10は、運転モード判定のフローを示す図である。
以下の説明では、船舶100が自動運転によって目標位置TP1まで移動し、目標位置TP1付近に到達後には、自船の位置を目標位置TP1付近に保持して定点保持動作を行いながら、目標位置TP1付近において水質調査や水中撮影等を行う場合について説明する。なお、以下では、主に船舶100の移動について説明し、水質調査や水中撮影等の内容の説明については省略する。
図8および図9に示すように、目標位置TP1の周囲には、基準距離Rを半径とする仮想のエリアRAが示されている。基準距離Rは、第1運転モード判定基準データDE2に記録された、運転モードを航行モードと定点保持モードのいずれにするか判定するための判定基準である。
図8に示す状態では、船舶100はエリアRAの外側において目標位置TP1に向けて移動している。現在位置情報算出部182は、現在位置情報取得部190からの検出信号に基づいて、現在位置における位置情報(現在位置GPS座標)等を算出する。また、現在位置情報算出部182は、メモリ181に記憶されている経路データDE1に記録された目標位置TP1および経路に関するデータを参照して、目標位置TP1までの距離、および船舶100のヘディングHDに対する目標位置TP1の方位を算出する。
運転モード判定部183は、第1運転モード判定基準データDE2、および、現在位置情報算出部182で算出された目標位置TP1までの距離を参照して、現在位置から目標位置TP1までの距離が所定の基準距離Rを上回っていると判定し、運転モードを航行モードと判定する。
運転モードが航行モードと判定されると、船体方向制御部185は、各船体10が航行モードに対応した平行配置PAをとるように、各船体10に設けられた船体方向変更部50の動作を制御する。
また、運転モードが航行モードと判定されると、推進装置制御部187は、航行モード推力配分データDE4を参照して、各船体10に設けられた推進装置70の動作を制御する。図8の状態では、目標位置TP1は、船舶100をヘディングHDに対して角度θ2の方位に位置している。この場合、推進装置制御部187は、航行モード推力配分データDE4を参照して、船舶100がヘディングHDに対して角度θ2の方位に移動するように、各船体10に設けられた推進装置70の動作を制御する。
図9に示す状態では、船舶100はエリアRAに到達した状態で目標位置TP1に向けて移動している。現在位置情報算出部182は、現在位置情報取得部190からの検出信号に基づいて、現在位置における位置情報(現在位置GPS座標)等を算出する。また、現在位置情報算出部182は、メモリ181に記憶されている経路データDE1に記録された目標位置TP1および経路に関するデータを参照して、目標位置TP1までの距離、および船舶100のヘディングHDに対する目標位置TP1の方位を算出する。
図9では、運転モード判定部183は、第1運転モード判定基準データDE2、および、現在位置情報算出部182で算出された目標位置TP1までの距離を参照して、現在位置から目標位置TP1までの距離が所定の基準距離Rを下回っていると判定し、運転モードを定点保持モードと判定する。
運転モードが定点保持モードと判定されると、船体方向制御部185は、各船体10が定点保持モードに対応した非平行配置NPAをとるように、各船体10に設けられた船体方向変更部50の動作を制御する。各船体10が非平行配置NPAをとることにより、ブレーキ効果が得られることになり、定点保持動作が容易になる。
また、運転モードが定点保持モードと判定されると、推進装置制御部187は、定点保持モード推力配分データDE5を参照して、各船体10に設けられた推進装置70の動作を制御する。図9の状態では、目標位置TP1は、船舶100をヘディングHDに対して角度θ3の方位に位置している。この場合、推進装置制御部187は、定点保持モード推力配分データDE5を参照して、船舶100がヘディングHDに対して角度θ3の方位に移動するように、各船体10に設けられた推進装置70の動作を制御する。
図9の状態から船舶100がさらに目標位置TP1に向けて移動し、目標位置TP1に到達した場合、現在位置情報算出部182は、目標位置TP1までの距離が0であると算出する。
運転モード判定部183は、現在位置情報算出部182で算出された現在位置から目標位置TP1までの距離が0の場合には、船舶100が目標位置TP1に到達したとして、運転モードを定点保持モードとしたままその位置を保持し続けるようにすると判定する。
運転モードが定点保持モードとしたままその位置を保持し続けるようにすると判定されると、船体方向制御部185は、各船体10が定点保持モードに対応した非平行配置NPAを続けるように、各船体10に設けられた船体方向変更部50の動作を制御する。非平行配置NPAが継続されることにより、ブレーキ効果が得られ、船舶100を目標位置TP1に保持しやすくなる。
また、運転モードが定点保持モードとしたままその位置を保持し続けるようにすると判定されると、推進装置制御部187は、各船体10に設けられた推進装置70の動作を停止するように制御する。
目標位置TP1に到達した船舶100は、定点保持モードとしたままその位置を保持し続けるようにするが、風などの外乱がある場合には、船舶100はブレーキ効果によって移動しにくいものの、徐々に位置が変動する場合がある。現在位置から目標位置TP1までの距離が0ではなくなった場合、船舶100は目標位置TP1に再度到達するように各船体10の推進装置70の動作が制御される。
[運転モード判定フロー]
図10は、運転モードを判定するフローを示す図である。図10では、船舶制御システム200の制御のうち、運転モードを判定するためのフローを示している。
図10に示すような運転モード判定フローがスタートすると(スタート)、まず、ステップSA1で、現在位置情報算出部182は、現在位置情報取得部190からの検出信号に基づいて、現在位置における位置情報(現在位置GPS座標)等を算出する。また、ステップSA2で、現在位置情報算出部182は、メモリ181に記憶されている経路データDE1に記録された目標位置TP1および経路に関するデータを参照して、目標位置TP1までの距離を算出する。
ステップSA3では、運転モード判定部183は、第1運転モード判定基準データDE2、および、現在位置情報算出部182で算出された目標位置TP1までの距離を参照して、現在位置から目標位置TP1までの距離が所定の基準距離Rを上回っているかどうかを判定する。ステップSA3で、現在位置から目標位置TP1までの距離が所定の基準距離Rを上回っていると判定された場合は(ステップSA3でYes)、ステップSA6に進み、運転モードを航行モードと判定し、フローを終了する(エンド)。ステップSA3で、現在位置から目標位置TP1までの距離が所定の基準距離Rを上回っていないと判定された場合は(ステップSA3でNo)、ステップSA4に進む。
ステップSA4では、現在位置から目標位置TP1までの距離が0であるかどうかを判定する。ステップSA4で、現在位置から目標位置TP1までの距離が0ではないと判定された場合は(ステップSA4でNo)、ステップSA5に進み、運転モードを定点保持モードと判定し、フローを終了する(エンド)。ステップSA3で、現在位置から目標位置TP1までの距離が0であると判定された場合は(ステップSA4でYes)、ステップSA7に進み、運転モードを定点保持モードとしたままその位置を保持し続けるようにすると判定し、フローを終了する(エンド)。
[実施形態2]
実施形態2の船舶100Aは、船舶100Aの船舶船首方向HD(ヘディングHD)を制御可能な運転モードであるヘディング変更モードを有する点が実施形態1と異なっている。本実施形態では、ヘディング変更モードは実行状態(オン)と停止状態(オフ)を切り換えることが可能であり、運転モードが定点保持モードである場合において、ヘディング変更モードのオン/オフを切り換えることができる。なお、本実施形態では、運転モードが航行モードである場合には、ヘディング変更モードをオンにすることはできない。以下の説明において、実施形態1と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略し、実施形態1と異なる構成についてのみ説明する。
実施形態1で説明した船舶100では、非平行配置NPAの状態において、各船体船首方向DFは、抵抗中心点DCに向けられている(図4参照)。抵抗中心点DCは流体から受ける抵抗の中心点である。各船体10の推進装置70の推力が抵抗中心点DCに向けられている状態では、推力の増減だけでは抵抗中心点DC回りの回頭モーメントを生じさせにくい。このため、実施形態1の船舶100は、推進装置70の制御だけでヘディングHDを制御することは難しい。
図11は、実施形態2にかかる船舶100Aの運転モードが定点保持モード+ヘディング変更モードオンの状態における非平行配置NPAの一例を示す平面図である。図11に示した各船体10の配置は、第1船体101、第2船体102、および第3船体103については、実施形態1の非平行配置NPA(図4参照)と同様であるが、第4船体104の配置が異なっている。図11のように、複数の船体10のうち、少なくとも1体の第4船体104の配置を変更することにより、全ての船体船首方向DFが一点に向けられた状態が解除される。複数の船体10のうち、少なくとも1体の船体船首方向DFを抵抗中心DC以外の方向へ向けることで、推力の増減によって回頭モーメントを発生させることが可能になる。これにより、船舶100AのヘディングHDを制御することが可能となる。
なお、ヘディング変更モードがオン状態である非平行配置NPAの他の例として、複数の船体船首方向DFが一点に向けられており、かつ、その一点を抵抗中心点DC以外の点であるとしてもよい。この場合、推力の増減によって回頭モーメントを発生させることが可能になり、船舶100AのヘディングHDの向き(方位)を制御することが可能となる。
以下では、航行モードと定点保持モードを切り替え可能であり、定点保持モードにおいてヘディング変更モードのオン/オフ切り替えが可能である船舶制御システム200Aの構成および船舶100Aの動作について説明する。
図12は、船舶制御システム200Aの構成を示す概略図である。船舶制御システム200Aは、船舶100Aの自動運転を制御するシステムである。図12では、船舶制御システム200Aのうち、主に船舶100Aの移動を制御するための構成を示している。船舶制御システム200Aは、制御部180A、現在位置情報取得部190、各船体10に設けられている船体方向変更部50および推進装置70を備えている。
制御部180Aには、各船体10に設けられている船体方向変更部50および推進装置70が接続されている。制御部180Aは、各船体10の船体方向変更部50および推進装置70を制御することにより、船舶100Aの自動運転を制御する。
制御部180Aは、メモリ181A、現在位置情報算出部282、運転モード判定部283、船体方向制御部285、および推進装置制御部287を備えている。
メモリ181Aは、船舶100Aの自動運転に関するデータを記憶している。メモリ181Aには、経路データDE1、第1運転モード判定基準データDE2、第2運転モード判定基準データDE12、船体方向制御データDE13、航行モード推力配分データDE4、第1定点保持モード推力配分データDE15、および第2定点保持モード推力配分データDE16が保存されている。
第2運転モード判定基準データDE12には、ヘディング変更モードをオン/オフのいずれにするか判定するための判定基準が記録されている。本実施形態では、船舶100AのヘディングHDと目的位置の方位との関係に基づいてヘディング変更モードをオン/オフのいずれにするか判定するための判定基準が記録されている。具体的には、船舶100AのヘディングHDの方位と、現在位置から目的位置までの方位との差異が所定の基準角度α未満である場合にはヘディング変更モードをオフとし、船舶100AのヘディングHDの方位と、現在位置から目的位置までの方位との差異が基準角度α以上である場合にはヘディング変更モードをオンとする判定基準が記録されている。
船体方向制御データDE13には、各船体10に設けられた船体方向変更部50の動作に関するデータが記録されている。具体的には、運転モード(航行モード、定点保持モード+ヘディング変更モードオン、定点保持モード+ヘディング変更モードオフ)に適合した各船体10の配置をとるための設定と、各船体10を設定された配置にするための船体方向変更部50の動作に関するデータが記録されている。
本実施形態では、航行モードでは各船体10が平行配置PA(図1参照)をとるように設定されている。そして、各船体10が平行配置PAをとるために、各船体船首方向DFと、船舶100AのヘディングHDとがなす角度が、各船体10とも0度となるように船体方向変更部50の動作データが設定されている。
また、本実施形態では、定点保持モードについてはヘディング変更モードのオン/オフにより異なるデータが記録されている。運転モードが「定点保持モード+ヘディング変更モードオフ」では各船体10が非平行配置NPA(図4参照)をとるように設定されている。そして、各船体10が図4に示した非平行配置NPAをとるために、各船体船首方向DFと、船舶100AのヘディングHDとがなす角度が、船体10ごとに所定の角度となるように船体方向変更部50の動作データが設定されている。また、運転モードが「定点保持モード+ヘディング変更モードオン」では各船体10が異なる非平行配置NPA(図11参照)をとるように設定されている。そして、各船体10が図11に示した非平行配置NPAをとるために、各船体船首方向DFと、船舶100AのヘディングHDとがなす角度が、船体10ごとに所定の角度となるように船体方向変更部50の動作データが設定されている。
第1定点保持モード推力配分データDE15には運転モード「定点保持モード+ヘディング変更モードオフ」における推進装置70の推力の配分に関するデータが記録されている。第1定点保持モード推力配分データDE15に記録されているデータは、実施形態1の定点保持モード推力配分データDE5と同様であるため、説明を省略する。
第2定点保持モード推力配分データDE16には、運転モード「定点保持モード+ヘディング変更モードオン」における、推進装置70の推力の配分に関するデータが記録されている。本実施形態では、運転モード「定点保持モード+ヘディング変更モードオン」では船舶100Aは図11に示す非平行配置NPAをとるため、非平行配置NPAにおける船舶100AのヘディングHDの方位と、現在位置から目標位置までの方位との関係に応じて、各推進装置70に出力させる推力の配分に関するデータが記録されている。具体的には、第1船体101から第4船体104の推進装置70のうち、第1船体101から第3船体103の推進装置70は、主に定点保持動作を行うように推力が配分されており、第4船体104の推進装置70は、主に船舶100Aの回頭モーメントを発生させて、船舶100AのヘディングHDが目標位置の方位を向くように推力が配分されている。
現在位置情報算出部282は、現在位置情報取得部190からの検出信号に基づいて、現在位置における位置情報および風に関する情報を算出する。具体的には、GPSセンサ191からのGPS信号に基づいて、船舶100Aの現在位置の座標(現在位置GPS座標)を算出し、方位センサ192からの検出信号に基づいて、船舶100AのヘディングHDの方位を算出し、風向・風速センサ193からの検出信号に基づいて、船舶100Aが受けている風の風向および風速を算出する。また、現在位置情報算出部282は、メモリ181Aに記憶されている経路データDE1に記録された目標位置および経路に関するデータを参照して、目標位置までの距離、船舶100AのヘディングHDに対する目標位置の方位、および、船舶100AのヘディングHDの方位と、現在位置から目的位置までの方位との差異を算出する。
運転モード判定部283は、メモリ181Aに記憶されている第1運転モード判定基準データDE2、および第2運転モード判定基準データDE12を参照して、目標位置までの移動に適合した運転モード(航行モード、定点保持モード+ヘディング変更モードオン、定点保持モード+ヘディング変更モードオフ)を判定する。本実施形態では、第1運転モード判定基準データDE2および、現在位置情報算出部282で算出された目標位置までの距離を参照して、現在位置から目標位置までの距離が所定の基準距離Rを上回っている場合には、運転モードを航行モードと判定し、現在位置から目標位置までの距離が所定の基準距離Rを下回っている場合には、運転モードを定点保持モードと判定する。また、第2運転モード判定基準データDE12および、現在位置情報算出部282で算出された船舶100AのヘディングHDの方位と現在位置から目的位置までの方位との差異を参照して、その差異が所定の基準角度α未満である場合にはヘディング変更モードをオフと判定し(定点保持モード+ヘディング変更モードオフ)、その差異が基準角度α以上である場合にはヘディング変更モードをオンと判定する(定点保持モード+ヘディング変更モードオン)。また、現在位置から目標位置までの距離が0の場合には、船舶100Aが目標位置に到達したとして、運転モードを定点保持モードとしたままその位置を保持し続けるようにすると判定する。
船体方向制御部285は、メモリ181Aに記憶されている船体方向制御データDE13を参照し、運転モード判定部283で判定された運転モード(航行モード、定点保持モード+ヘディング変更モードオン、定点保持モード+ヘディング変更モードオフ)に対応させて、各船体10に設けられた船体方向変更部50の動作を制御する。本実施形態では、航行モードでは各船体10が平行配置PA(図1参照)をとるように各船体10に設けられた船体方向変更部50の動作を制御する。また、運転モード「定点保持モード+ヘディング変更モードオフ」では各船体10が図4に示した非平行配置NPAをとるように各船体10に設けられた船体方向変更部50の動作を制御する。また、運転モード「定点保持モード+ヘディング変更モードオン」では各船体10が図11に示した非平行配置NPAをとるように各船体10に設けられた船体方向変更部50の動作を制御する。
推進装置制御部287は、メモリ181Aに記憶されている航行モード推力配分データDE4、第1定点保持モード推力配分データDE15、および第2定点保持モード推力配分データDE16を参照し、運転モード判定部283で判定された運転モード(航行モード、定点保持モード+ヘディング変更モードオン、定点保持モード+ヘディング変更モードオフ)に対応させて、各船体10に設けられた推進装置70の動作を制御する。本実施形態では、運転モード判定部283で運転モードが航行モードと判定された場合、推進装置制御部287は、航行モード推力配分データDE4を参照して、各船体10に設けられた推進装置70の動作を制御する。
また、運転モード判定部283で運転モード「定点保持モード+ヘディング変更モードオフ」と判定された場合、推進装置制御部287は、第1定点保持モード推力配分データDE15を参照して、各船体10に設けられた推進装置70の動作を制御する。
また、運転モード判定部283で運転モード「定点保持モード+ヘディング変更モードオン」と判定された場合、推進装置制御部287は、第2定点保持モード推力配分データDE16を参照して、各船体10に設けられた推進装置70の動作を制御する。
また、運転モード判定部283で運転モードを定点保持モードとしたままその位置を保持し続けるようにすると判定された場合、推進装置制御部287は、各船体10に設けられた推進装置70の動作を停止するように制御する。
[動作]
次に、船舶100Aの動作について説明する。図13は、航行モードで目標位置TP11に向けて移動する船舶100Aの平面図である。図14は、定点保持モード+ヘディング変更モードオフで自船の位置を目標位置TP11に保持する定点保持動作を行う船舶100Aの平面図である。図15は、定点保持モード+ヘディング変更モードオンで自船の位置を目標位置TP11に保持する定点保持動作を行う船舶100Aの平面図である。図16は、運転モード判定のフローを示す図である。
以下の説明では、船舶100Aが自動運転によって目標位置TP11まで移動し、目標位置TP11付近に到達後には、自船の位置を目標位置TP11付近に保持して定点保持動作を行いながら、目標位置TP11付近において水質調査や水中撮影等を行う場合について説明する。なお、以下では、主に船舶100Aの移動について説明し、水質調査や水中撮影等の内容の説明については省略する。
図13、図14、および図15に示すように、目標位置TP11の周囲には、基準距離Rを半径とする仮想のエリアRAが示されている。基準距離Rは、第1運転モード判定基準データDE2に記録された、運転モードを航行モードと定点保持モードのいずれにするか判定するための判定基準である。
図13に示す状態では、船舶100AはエリアRAの外側において目標位置TP11に向けて移動している。現在位置情報算出部282は、現在位置情報取得部190からの検出信号に基づいて、現在位置における位置情報(現在位置GPS座標)等を算出する。また、現在位置情報算出部282は、メモリ181Aに記憶されている経路データDE1に記録された目標位置TP11および経路に関するデータを参照して、目標位置TP11までの距離、船舶100AのヘディングHDに対する目標位置TP11の方位、および、船舶100AのヘディングHDの方位と現在位置から目的位置までの方位との差異を算出する。
運転モード判定部283は、第1運転モード判定基準データDE2および、現在位置情報算出部282で算出された目標位置TP11までの距離を参照して、現在位置から目標位置TP11までの距離が所定の基準距離Rを上回っていると判定し、運転モードを航行モードと判定する。
運転モードが航行モードと判定されると、船体方向制御部285は、各船体10が航行モードに対応した平行配置PAをとるように、各船体10に設けられた船体方向変更部50の動作を制御する。
また、運転モードが航行モードと判定されると、推進装置制御部287は、航行モード推力配分データDE4を参照して、各船体10に設けられた推進装置70の動作を制御する。図13の状態では、目標位置TP11は、船舶100AのヘディングHDに対して角度θ12の方位に位置している。この場合、推進装置制御部287は、航行モード推力配分データDE4を参照して、船舶100AがヘディングHDに対して角度θ2の方位に移動するように、各船体10に設けられた推進装置70の動作を制御する。
図14に示す状態では、船舶100AはエリアRAに到達した状態で目標位置TP11に向けて移動している。現在位置情報算出部282は、現在位置情報取得部190からの検出信号に基づいて、現在位置における位置情報(現在位置GPS座標)等を算出する。また、現在位置情報算出部282は、メモリ181Aに記憶されている経路データDE1に記録された目標位置TP11および経路に関するデータを参照して、目標位置TP11までの距離、および船舶100AのヘディングHDに対する目標位置TP11の方位を算出する。また、現在位置情報算出部282は、メモリ181Aに記憶されている経路データDE1に記録された目標位置TP11および経路に関するデータを参照して、目標位置TP11までの距離、船舶100AのヘディングHDに対する目標位置TP11の方位、および、船舶100AのヘディングHDの方位と現在位置から目的位置までの方位との差異を算出する。
図14では、運転モード判定部283は、第1運転モード判定基準データDE2および、現在位置情報算出部282で算出された目標位置TP11までの距離を参照して、現在位置から目標位置TP11までの距離が所定の基準距離Rを下回っていると判定し、運転モードを定点保持モードと判定する。
また、運転モード判定部283は、第2運転モード判定基準データDE12および、現在位置情報算出部282で算出された船舶100AのヘディングHDの方位と現在位置から目的位置TP11までの方位との差異(角度θ13)を参照して、その差異(角度θ13)が所定の基準角度α未満である場合にはヘディング変更モードをオフと判定し(定点保持モード+ヘディング変更モードオフ)、その差異(角度θ13)が基準角度α以上である場合にはヘディング変更モードをオンと判定する(定点保持モード+ヘディング変更モードオン)。
運転モードが「定点保持モード+ヘディング変更モードオフ」と判定されると、船体方向制御部285は、各船体10が定点保持モードに対応した非平行配置NPA(図4参照)をとるように、各船体10に設けられた船体方向変更部50の動作を制御する。各船体10が非平行配置NPAをとることにより、ブレーキ効果が得られることになり、定点保持動作が容易になる。
運転モードが「定点保持モード+ヘディング変更モードオフ」と判定されると、推進装置制御部287は、第1定点保持モード推力配分データDE15を参照して、各船体10に設けられた推進装置70の動作を制御する。図14の状態では、目標位置TP11は、船舶100AをヘディングHDに対して角度θ13の方位に位置している。この場合、推進装置制御部287は、第1定点保持モード推力配分データDE15を参照して、船舶100AがヘディングHDに対して角度θ13の方位に移動するように、各船体10に設けられた推進装置70の動作を制御する。
一方、運転モードが「定点保持モード+ヘディング変更モードオン」と判定されると、船体方向制御部285は、各船体10が「定点保持モード+ヘディング変更モードオン」に対応した非平行配置NPA(図11および図15参照)をとるように、各船体10に設けられた船体方向変更部50の動作を制御する。この場合も、各船体10が非平行配置NPAをとることにより、ブレーキ効果が得られることになり、定点保持動作が容易になる。
運転モードが「定点保持モード+ヘディング変更モードオン」と判定されると、推進装置制御部287は、第2定点保持モード推力配分データDE16を参照して、各船体10に設けられた推進装置70の動作を制御する。図15の状態では、船舶100AのヘディングHDの方位は、目標位置TP11の方位に一致している。この場合、推進装置制御部287は、第2定点保持モード推力配分データDE16を参照して、船舶100AのヘディングHDが目標位置TP11に向いた状態で、目標位置TP11の方位に移動するように、各船体10に設けられた推進装置70の動作を制御する。
図15の状態から船舶100Aがさらに目標位置TP11に向けて移動し、目標位置TP11に到達した場合、現在位置情報算出部282は、目標位置TP11までの距離が0であると算出する。
運転モード判定部283は、現在位置情報算出部282で算出された現在位置から目標位置TP11までの距離が0の場合には、船舶100Aが目標位置TP11に到達したとして、運転モードを定点保持モードとしたままその位置を保持し続けるようにすると判定する。
運転モードが定点保持モードとしたままその位置を保持し続けるようにすると判定されると、船体方向制御部285は、各船体10が定点保持モードに対応した非平行配置NPAを続けるように、各船体10に設けられた船体方向変更部50の動作を制御する。非平行配置NPAが継続されることにより、ブレーキ効果が得られ、船舶100を目標位置TP1に保持しやすくなる。
また、運転モードが定点保持モードとしたままその位置を保持し続けるようにすると判定されると、推進装置制御部287は、各船体10に設けられた推進装置70の動作を停止するように制御する。
目標位置TP11に到達した船舶100Aは、定点保持モードとしたままその位置を保持し続けるようにするが、風などの外乱がある場合には、船舶100Aはブレーキ効果によって移動しにくいものの、徐々に位置が変動する場合がある。現在位置から目標位置TP11までの距離が0ではなくなった場合、船舶100Aは目標位置TP11に再度到達するように各船体10の推進装置70の動作が制御される。
[運転モード判定フロー]
図16は、運転モードを判定するフローを示す図である。図16では、船舶制御システム200Aの制御のうち、運転モードを判定するためのフローを示している。
図16に示すような運転モード判定フローがスタートすると(スタート)、まず、ステップSB1で、現在位置情報算出部282は、現在位置情報取得部190からの検出信号に基づいて、現在位置における位置情報(現在位置GPS座標)等を算出する。また、ステップSB2で、現在位置情報算出部282は、メモリ181に記憶されている経路データDE1に記録された目標位置TP11および経路に関するデータを参照して、目標位置TP11までの距離を算出し、ステップSB3で、船舶100AのヘディングHDに対する目標位置TP11の方位を算出し、ステップSB4で、船舶100AのヘディングHDの方位と現在位置から目的位置までの方位との差異を算出し、ステップSB5に進む。
ステップSB5では、運転モード判定部283は、第1運転モード判定基準データDE2、および、現在位置情報算出部282で算出された目標位置TP11までの距離を参照して、現在位置から目標位置TP11までの距離が所定の基準距離Rを上回っているかどうかを判定する。ステップSB5で、現在位置から目標位置TP11までの距離が所定の基準距離Rを上回っていると判定された場合は(ステップSB5でYes)、ステップSB10に進み、運転モードを航行モードと判定し、フローを終了する(エンド)。ステップSB5で、現在位置から目標位置TP11までの距離が所定の基準距離Rを上回っていないと判定された場合は(ステップSB5でNo)、ステップSB6に進む。
ステップSB6では、現在位置から目標位置TP11までの距離が0であるかどうかを判定する。ステップSB6で、現在位置から目標位置TP11までの距離が0ではないと判定された場合は(ステップSB6でNo)、ステップSB7に進み、運転モードを定点保持モードと判定し、ステップSB8に進む。ステップSB6で、現在位置から目標位置TP11までの距離が0であると判定された場合は(ステップSB6でYes)、ステップSB11に進み、運転モードを定点保持モードとしたままその位置を保持し続けるようにすると判定し、フローを終了する(エンド)。
ステップSB8では、運転モード判定部283は、第2運転モード判定基準データDE12および、現在位置情報算出部282で算出された船舶100AのヘディングHDの方位と現在位置から目的位置TP11までの方位との差異を参照して、その差異が所定の基準角度α以上であるかどうかを判定する。ステップSB8で、船舶100AのヘディングHDの方位と現在位置から目的位置TP11までの方位との差異が所定の基準角度α以上であると判定された場合は(ステップSB8でYes)、ステップSB9に進み、運転モードを「定点保持モード+ヘディング変更モードオン」と判定し、フローを終了する(エンド)。ステップSB8で、船舶100AのヘディングHDの方位と現在位置から目的位置TP11までの方位との差異が所定の基準角度α未満であると判定された場合は(ステップSB8でNo)、ステップSB12に進み、運転モードを「定点保持モード+ヘディング変更モードオフ」と判定し、フローを終了する(エンド)。
[変形例]
本発明に係る船舶は、上記説明した本実施形態に限定されない。
本実施形態の船舶は、自動運転を行うとしたが、外部から無線通信等によって制御されてもよい。また、一部または全部の運転をオペレータによる操縦としてもよい。例えば、オペレータが定点保持動作の操作を行ってもよい。
本実施形態では、各船体10に船体方向変更部50を設けて船体船首方向DFを変更できるようにしたが、複数の船体のうちの一部の船体10に船体方向変更部50を設けて船体船首方向DFを変更できるようにしてもよい。例えば、4体の船体10のうち、2体の船体船首方向DFを変更可能とし、残りの2体の船体船首方向DFを固定としてもよい。また、各船体10に船体方向変更部50を設けずに、各船体10を非平行配置NPAの状態で固定してもよい。
本実施形態では、船舶は4体の船体を有する構成としたが、2体、3体、または5体以上の船体10を有する構成としてもよい。図17は3体の船体10を有する船舶100Bを示す平面図であり、図17Aは、平行配置PAの状態、図17Bは、非平行配置NPAの状態である。図17Bに示すように、3体の船体10の場合、非平行配置NPAの状態では、平面視で略Y字状に配置されるようにしてもよい。
図18は、非平行配置NPAの他の例を示す平面図である。本実施形態で説明した非平行配置NPAでは、推進装置70を外側に向ける配置としたが(図4参照)、図18に示すように、推進装置70を内側に向ける配置としてもよい。
本実施形態で説明した非平行配置NPA(図4)では、第1船体101と第3船体103、および、第2船体102と第4船体104は非平行になっていないが、例えば、各船体船首方向DFが相互に非平行となるように配置されてもよい。図19は、非平行配置NPAにおいて、各船体10の船体船首方向DFが相互に非平行となる状態を示す平面図である。
本実施形態で説明した平行配置PAでは、各船体船首方向DFと船舶船首方向HD(ヘディングHD)が平行であるが、各船体船首方向DFが相互に平行になっていればよく、図20に示すように、必ずしも各船体船首方向DFと船舶船首方向HD(ヘディングHD)が平行でなくてもよい。図20は、平行配置PAにおいて、各船体10の船体船首方向DFと船舶100の船舶船首方向HD(ヘディングHD)が平行でない状態を示す平面図である。
本実施形態2では、運転モードが航行モードである場合には、ヘディング変更モードをオンにすることはできないとしたが、運転モードが航行モードである場合に、ヘディング変更モードをオンにできるようにしてもよい。航行モードでヘディング変更モードオンにした場合、図20に示すように、各船体10を平行に保ったまま、船舶100のヘディングHDに対して各船体船首方向DFを変化させながら移動してもよい。
本実施形態では、各船体10に推進装置70を設けたが、一部の船体10に推進装置70を設けるようにしてもよい。推進装置は、ポッド推進器であってもよい。また、異なる種類の推進装置を各船体10に配置してもよい。
各船体10の船型は、排水量型の船型としたが、これに限定されない。複数の船体10の船型は、全て同じでなくてもよい。たとえば、直方体や円柱状の浮体を組み合わせてもよい。
本実施形態では、被支持体30は、平面視で、各船体10に囲まれた領域(各船体10の外縁部を含める閉じた領域)の内側に配置している。安定性の面から、被支持体30は各船体10に囲まれた領域内に配置されることが好ましいが、配置される位置は限定されない。例えば、被支持体30の一部が各船体10に囲まれた領域の外部に配置されていてもよい。また、被支持体30は、全体が水面上にある場合に限定されず、一部または全部が水中にあってもよい。
本実施形態では、水中環境調査を自動運転で行う小型の船舶について説明したが、大きさは限定されるものではない。例えば、作業員が搭乗して各種作業を行うことができる大きさや設備を備えた船舶であってもよい。また、水中環境調査を行う位置に運搬し、定点保持動作のみを行って、水中環境調査等を行うようにしてもよい。
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施形態を適宜変形して実施することが可能である。