JP2019095655A - マイクロマニピュレータ - Google Patents

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Abstract

【課題】微小物体の捕捉が容易なエンドエフェクタを備えたマイクロマニピュレータを提供する。【解決手段】マイクロマニピュレータは、微小物体にアクセスするための2つのエンドエフェクタ107、108と、エンドエフェクタ107、108の先端部を近接ないし離間させるアクチュエータを有するハンドリング部と、ハンドリング部を移動させる変位合成部およびZ方向移動部とを備えている。エンドエフェクタ107、108の微小物体に接触する接触部分の形状が互いに異なっている。【選択図】図7

Description

本発明はマイクロマニピュレータに係り、特に、微小物体にアクセスするための2つのエンドエフェクタを備えたマイクロマニピュレータに関する。
従来、例えば、微小部品の組み立てや細胞操作等にマイクロマニピュレータが用いられている。一般に、マイクロマニピュレータは、微小物体にアクセスする(例えば、把持する)ためエンドエフェクタを有するハンドリング部を移動させる移動機構を備えており、マイクロマニピュレータによる作業は、肉眼による顕微鏡視野下や顕微鏡に取り付けられたカメラを介してディスプレイ等のモニタに出力された画像を参照して行われる。
例えば、特許文献1には、ハンドリング部に微小物体を把持するための2本の把持指を有し、これらの把持指にそれぞれ針状エンドエフェクタが装着されたマイクロマニピュレータが開示されている。また、特許文献2には、2つのマイクロマニピュレータを用い、一方のマイクロマニピュレータのハンドリング部の2つの針状エンドエフェクタで液滴中の微小物体(結晶)を捕捉し、他方のマイクロマニピュレータのハンドリング部のエンドエフェクタの形状をループ状とし表面張力を利用して液滴から微小物体を離隔する捕捉装置が開示されている。
特許第4806229号公報 特開2004−325089号公報
ところが、把持対象の微小物体(例えば、細胞や微生物など)が水溶液中に浮遊しているような場合には、特許文献1に開示された針状エンドエフェクタの先端部で微小物体を把持しようとすると、水圧や浮力などの影響で微小物体が2本のエンドエフェクタの先端部間からすり抜けてしまい、簡単に把持(捕捉)することは難しい。
また、特許文献2に開示されたループ状のエンドエフェクタでは表面張力を利用して微小物体を離隔するが、水溶液中では微小物体がループを通り抜けてしまうため使用できず、また、表面張力は水溶液成分により異なるため同じ大きさのループだと微小物体を簡単に離隔することが難しい。
本発明は上記事案に鑑み、微小物体の捕捉が容易なエンドエフェクタを備えたマイクロマニピュレータを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、微小物体にアクセスするための2つのエンドエフェクタと、前記エンドエフェクタの先端部を近接ないし離間させるハンドリング部と、前記ハンドリング部を移動させる移動部と、を備え、前記エンドエフェクタの前記微小物体に接触する接触部分の形状が互いに異なることを特徴とする。
本発明において、エンドエフェクタのいずれか一方の接触部分が凹状であり、いずれか他方の接触部分が凸状であってもよい。この場合に、凹状および凸状の接触部分は、ハンドリング部でエンドエフェクタの先端部を近接させたときに、凸状の接触部分の先端が凹状の接触部分内に侵入可能なようにエンドエフェクタの先端部に形成されていてもよい。また、凹状および凸状の接触部分の少なくとも一方に複数の貫通穴が形成されていてもよい。このとき、貫通穴が網状に形成されていてもよい。
また、エンドエフェクタの先端部の形状が針状または板状であり、エンドエフェクタの後端部がハンドリング部の2つの把持指にそれぞれ装着されていてもよい。このとき、2つの把持指のうち少なくとも一方が可動指であることが望ましい。
さらに、エンドエフェクタの先端部の形状が針状であり、凹状および凸状の接触部分がエンドエフェクタの先端部を切り欠くことにより形成されていてもよい。または、エンドエフェクタの先端部の形状が板状であり、エンドエフェクタのいずれか一方がハンドリング部の固定指に装着されいずれか他方がハンドリング部の可動指に装着されており、可動指に装着されたエンドエフェクタの接触部分がインジェクションであってもよい。このとき、インジェクションはチューブを介してハンドリング部の側面に沿って配設された注射筒に接続されていてもよい。
本発明によれば、エンドエフェクタの微小物体に接触する接触部分の形状が互いに異なるので、微小物体を容易に捕捉することができる、という効果を得ることができる。
本発明が適用可能な第1実施形態の微小物体ハンドリングシステムの概略構成図である。 第1実施形態の微小物体ハンドリングシステムを構成するマイクロマニピュレータの斜視図である。 マイクロマニピュレータの平面図である。 マイクロマニピュレータの正面図である。 マイクロマニピュレータの背面図である。 マイクロマニピュレータを構成するハンドリング部の先端ユニット内部部材の分解斜視図である。 先端ユニットの把持指に装着されたエンドエフェクタの先端部の斜視図であり、(A)はエンドエフェクタ先端部を一方向から見たとき、(B)はエンドエフェクタ先端部を(A)の反対方向から見たとき、(C)はエンドエフェクタ先端部を先端側から見たときを示す。 Z方向移動部の連結部材とハンドリング部の基部ユニットとの関係を模式的に示す説明図である。 ハンドリング部をYZ平面で回動することにより生じるY方向の変位を模式的に示す説明図である。 保存溶液中でのエンドエフェクタ先端部による微小物体への作用を模式的に示す説明図である。 本発明が適用可能な第2実施形態の微小物体ハンドリングシステムを構成するマイクロマニピュレータのハンドリング部のエンドエフェクタを模式的に示す説明図であり、(A)はエンドエフェクタの概略構成、(B)は固定指側のエンドエフェクタの先端部に微小物体を保持した状態、(C)は微小物体にインジェクション先端を差し込み溶液を注液した状態を示す。 保存溶液中での従来のエンドエフェクタ先端部による微小物体への作用を模式的に示す説明図であり、(A)は微小物体が保存溶液に浮遊している状態、(B)は微小物体がバランスを崩す状態を示す。
1.第1実施形態
以下、図面を参照して、本発明を、細胞やマイクロ部品等の微小物体を取り扱うための微小物体ハンドリングシステムに適用した第1の実施の形態について説明する。
1−1.構成
1−1−1.微小物体ハンドリングシステム20
図1に示すように、本実施形態の微小物体ハンドリングシステム20は、定盤1に架台4を介して固定され微小物体を取り扱うためのマイクロマニピュレータ100と、定盤1に固定されマイクロマニピュレータ100により取り扱われる微小物体を載置するためのステージ3と、支柱が定盤1に固定されCCDカメラ5が装着された顕微鏡2と、パーソナルコンピュータ(以下、PCと略称する。)6と、PC6のスレーブコンピュータとしてマイクロマニピュレータ100を制御する、プログラマブル・ロジック・コントローラ(以下、PLCと略称する。)等を内蔵したコントロールボックス8とを備えている。
PC6には、コントロールボックス8との入出力ケーブル、液晶表示装置等のモニタ7への出力ケーブルおよびCCDカメラ5からの入力ケーブルが接続されている。コントロールボックス8は、マイクロマニピュレータ100と接続ケーブル8aで接続されているとともに、ジョイスティックや十字ボタン等を有しコントロールボックス8内のPLCに命令を与えるためのコントローラ(入力装置)9に接続されている。従って、微小物体ハンドリングシステム20のオペレータは、顕微鏡2の接眼レンズから直接、または、モニタ7を介して、ステージ3上に載置された微小物体10を目視することができる。
コントロールボックス8に内蔵されたPLCは、CPU、ROM、RAMの他に、D/Aコンバータ、A/Dコンバータ等を有して構成されており、ROMに格納されたプログラムおよびプログラムデータに従って、PC6から基本動作命令を受信するとともに、PC6に登録商標イーサネット(Ethernet)を介してエンコーダ等で検出したデータや種々のアクチュエータのステータスを送信し、さらに、コントローラ9からの入力された命令を各アクチュエータ制御信号に変換して接続ケーブル8aを介してマイクロマニピュレータ100に出力する。
1−1−2.マイクロマニピュレータ100
図2に示すように、マイクロマニピュレータ100は、架台4(図1参照)に固定される基台150を有しており、大別して、微小物体にアクセスするためのエンドエフェクタ(接触子)を有するハンドリング部103と、ハンドリング部103をYZ平面で回動可能に支持するとともに、ハンドリング部103をZ方向に移動させるZ方向移動部102と、入力されたX方向、Y方向変位およびエンドエフェクタの揺動変位を合成してZ方向移動部102に出力する変位合成部101と、ハンドリング部103のYZ平面での回動により生じるY方向の変位分をオフセットするθv補正部104とで構成されている。
(1)変位合成部101
図3〜図5に示すように、変位合成部101は、Y方向入力リンク141、X方向入力リンク142および出力リンク144を有するパンタグラフ機構140と、X方向入力リンク142にX方向変位を供給するX駆動部121と、Y方向入力リンク141にY方向変位を供給するY駆動部122と、Y方向入力リンク141にエンドエフェクタの揺動変位を供給するθz駆動部123とで構成されている。
<パンタグラフ機構140>
図3に示すように、パンタグラフ機構140は、上述したY方向入力リンク141、X方向入力リンク142の他に7つの接続リンク145を有しており、各リンクは各回転対偶146を中心に回動可能に接続されている。Y方向入力リンク141に入力されたY方向変位およびエンドエフェクタの揺動変位、並びに、X方向入力リンク142に入力されたX方向変位は、これらの接続リンク145を介して合成拡大されて出力リンク144に出力される。このようなパンタグラフ機構の詳細構成、作動原理等は背景技術欄で挙げた特許文献1に詳しく開示されている。なお、パンタグラフ機構140は、X駆動部121、Y駆動部122およびθz駆動部123と干渉しないように上方に配置されている。
<X駆動部121>
図3に示すように、X駆動部121は、基台150に立設された支持部材149に固定されており、エンコーダを有し正逆転可能なX方向アクチュエータ126(ステッピングモータ)と、X方向アクチュエータ126の出力軸であってエンコーダの反対側に配されたボールネジ131に係合するスライダ132と、スライダ132が摺動可能な直進ガイドレール133とで構成されている。スライダ132は上述したパンタグラフ機構140のX方向入力リンク142に接続されている。
<Y駆動部122>
図4に示すように、Y駆動部122は、上述したX駆動部121と交差する方向で基台150に固定されており、X駆動部121と同様に、エンコーダを有し正逆転可能なY方向アクチュエータ125(ステッピングモータ)と、Y方向アクチュエータ125の出力軸であってエンコーダの反対側に配されたボールネジ134に係合するスライダ135と、スライダ135が摺動可能な直進ガイドレール136とで構成されている。θzアクチュエータ127(後述)は、板状のθz取り付け台137、スライダ135を介して直進ガイドレール136に取り付けられている。
<θz駆動部123>
図4に示すように、θz駆動部123は、ハンドリング部103のエンドエフェクタの先端を中心としてハンドリング部103を回動(厳密には回転揺動機構学における揺動に相当するため、以下、揺動という。)させステージ3に載置された微小物体に対するハンドリング部103のエンドエフェクタの先端の姿勢方向を変更する駆動力(上述した揺動変位)を、パンタグラフ機構140のY方向入力リンク141に供給する。θz駆動部123はY駆動部122と一体化されている。
θz駆動部123は、θz取り付け台137に取り付けられた正逆転可能なθzアクチュエータ127(ステッピングモータ)と、両側端部がθz取り付け台137およびカバー138の上面でそれぞれ軸支されθzアクチュエータ127からの駆動力を減速するための減速歯車列148と、減速歯車列148の出力をパンタグラフ機構140のY方向入力リンク141に伝達するためのレバー143とで構成されている。
図3に示すように、レバー143は支点147を中心に回動可能に構成されており、レバー143の先端部はパンタグラフ機構140のY方向入力リンク141と一体化されている。従って、Y方向入力リンク141には、レバー143を介してY駆動部122によるY方向変位およびθz駆動部123による揺動変位が入力される。
なお、上述した接続ケーブル8a(図1参照)は基台150に固定され図示を省略した中継基板に接続されており、この中継基板を介してY方向アクチュエータ125、X方向アクチュエータ126およびθzアクチュエータ127に駆動パルスが供給される。
(2)Z方向移動部102
図4および図5に示すように、Z方向移動部102は、正逆転可能なZ方向アクチュエータ128(ステッピングモータ)と、減速歯車列(不図示)を内蔵しZ方向アクチュエータ128からの回転駆動力を減速するためのギアボックス171と、Z方向直動機構124と、ハンドリング部103と連結するための連結部材164とを有して構成されている。
Z方向直動機構124は、ボールネジ172、ナット173、不図示のスライダおよび直進ガイドレール、ホルダ174で構成されている。すなわち、ギアボックス171の減速歯車列の出力端には下方に延出したボールネジ172が接続されている。ボールネジ172の先端部側は、ギアボックス171に固定されたホルダ174に回転可能に軸支されている。ボールネジ172にはナット173が螺合しており、ナット173には連結部材164を介して不図示のスライダが固定されている。また、ギアボックス171からはボールネジ172と平行するように不図示の直進ガイドレールが配設されており、この直進ガイドレールの先端部側がホルダ174に固定されている。不図示のスライダは不図示の直進ガイドレール上を摺動可能に構成されている。
Z方向移動部102は後述するスライダ機構で変位合成部101に連結されており、Z方向移動部102には上述したパンタグラフ機構140の出力リンク144からの出力が伝達される。なお、連結部材164は、その基部側(図4、図5に示す部分)がボールネジ172が貫通する箇所を除きナット173の底面および側面の大部分を覆うようにナット173の周囲に配されており(図2も参照)、上述したスライダは連結部材164の基部側面に固定されている。
(3)ハンドリング部103
図2〜図5に示すように、ハンドリング部103は、上述したZ方向移動部102と先端ユニット105とを連結する基部ユニット106と、基部ユニット106に固定され把持指を有する先端ユニット105とで構成されている。
<先端ユニット105>
図6に示すように、先端ユニット105は、固定指117と可動指118との2つの把持指を有している。固定指117、可動指118には、それぞれ先端部が微小物体と接触する針状エンドエフェクタ107、108が装着されている。
先端ユニット105のベース111にはメータ等のアクチュエータ129がブラケット113を伴って固定されており、プレート114には固定指117が組み付けられている(固定されている)。プレート114は、固定指117が組み付けられた状態で、ベース111と一定の隙間を形成してベース111に固定されている。この隙間には長板状のレバー112が介在している。レバー112の先端部一側(基部ユニット106の反対側)には可動指118が固定されており、先端部側中央には上下両方向に支点軸112aが突設されている。上述した隙間は、この支点軸112aがプレート114の軸受114aとベース111の軸受111aとに軸支されることにより画定されている。
レバー112の後端部側には略U字状のスリット(切り欠き)112bが形成されている。スリット112bにはアクチュエータ129の出力ピン129aが係合している。また、可動指118はエンドエフェクタ108の先端が固定指117に装着されたエンドエフェクタ107の先端と離間するように、レバー112と一体のバネ保持部112cに保持された捩りコイルバネ115で付勢されている。捩りコイルバネ115の一方のアームはレバー112に固定されており、他方のアームはベース111に立設された支柱111cに巻き掛けられている。このため、アクチュエータ129を駆動すると、レバー112が捩りコイルバネ115の付勢力に抗して支点軸112bを中心として回動することで、固定指117側のエンドエフェクタ107に可動指118側のエンドエフェクタ108が近接する。
図6に示した部材は、可動指118および固定指117を除き、原則的に先端ユニット105のカバーとベース111とで構成されるケーシング内に収容されている。可動指118は筒状部118aと固定部118bとで構成されている。筒状部118aにはエンドエフェクタ108の装着部が貫通している。固定部118bは周面方向で3分割されエンドエフェクタ108の装着部を把持する把持部材とこの把持部材を締め付けることでエンドエフェクタ108の装着部に対して把持部材に握力を与えるネジとで構成されている。エンドエフェクタ108を交換する際には、ネジを所定方向に廻して把持部材の握力を弱めることでエンドエフェクタ108を筒状部118a側から引き抜き、新たなエンドエフェクタ108を筒状部118a、および固定部118bを構成する把持部材を貫通させネジを締める。固定指117側もエンドエフェクタ107に対し同様の構成が採られている。
なお、エンドエフェクタ107およびエンドエフェクタ108は、先端同士が接触するように固定指117および可動指118のネジで調整可能である。このとき、先端同士が接触する際の接触点および支点軸112aの軸芯を結ぶ仮想線とエンドエフェクタ107とがなす角度と、接触点および支点軸112aの軸芯を結ぶ仮想線とエンドエフェクタ108とがなす角度とが同じくなるように調整するようにしてもよい。
<エンドエフェクタ>
ここで、保存溶液中に浮遊している微小物体(例えば、微生物)に対する従来のエンドエフェクタの把持動作について簡単に説明する。
図12(A)に示すように、保存溶液中に浮遊している微小物体10は、保存溶液が微小物体10に作用する力(微小物体を押す力)と微小物体10が保存溶液に作用する力(保存溶液を押す力)とが釣り合っている。この状態において、図12(B)に示すように、従来の針状エンドエフェクタ200a、200bで微小物体10を把持しようとすると、エンドエフェクタ200a、200bの先端部が保存溶液を介して微小物体10に作用する力(微小物体を押す力)が新たに加わることで、保存溶液中に浮遊している微小物体10は図12(A)に示した力のバランスを崩してエンドエフェクタ200a、200bの先端部からの力を避ける方向、すなわちエンドエフェクタ200a、200bの先端部からすり抜ける方向に動く(矢印Aおよび矢印B参照)。このため、保存溶液中で2つの針状エンドエフェクタにより微小物体を簡単に把持することができなかった。
このような保存溶液中での微小物体の特性を踏まえ、図7に示すように、エンドエフェクタ107、108の先端部の微小物体と接触する接触部分には互いに異なる形状が採用されている。固定指117側のエンドエフェクタ107の接触部分には保存溶液の通り抜けが可能なように複数の貫通穴107bが網(目)状に形成されており、このような網状構造はエンドエフェクタ107の先端部を凹状に切り欠いた凹状部107aに設けられている。一方、可動指118側のエンドエフェクタ108の接触部分には、エンドエフェクタ107の凹状部107aの形状に対応して、鋭角に切り欠いた凸状部108aが形成されている。
このため、エンドエフェクタ107の凹状部107aおよびエンドエフェクタ108の凸状部108aは、先端ユニット105のアクチュエータ129を駆動して凸状部108aを凹状部107aに近接させたときに、凸状部108aの先端が凹状部107a内に侵入可能に構成されている。
<基部ユニット106>
基部ユニット106は上部に図示を省略したメスコネクタを内蔵している。図2〜図5はこのメスコネクタにオスコネクタ130が接続された状態を示しており、オスコネクタ130より先のケーブルを捨象している。捨象したケーブルの他端側にもオスコネクタが接続されており、このオスコネクタが上述した中継基板のメスコネクタに接続されている。このため、基部ユニット106は、中継基板を介して供給される先端ユニット105のアクチュエータ129の駆動電力とZ方向移動部102のZ方向アクチュエータ128の駆動パルスを中継する機能を有している。
また、基部ユニット106(ハンドリング部103)はYZ平面で回動可能にZ方向移動部102に連結されている。図8に示すように、Z方向移動部102の連結部材164には、規制ピン165、166がそれぞれ正面側(図8の右側)、背面側(図8の左側)に突設されており、基部ユニット106側の先端部には軸受167が固定されている。軸受167内にはシャフト151が挿通されており、連結部材164は軸受167内でシャフト151を回動可能に軸受167を支持している。
一方、基部ユニット106側では、シャフト151が基部ユニット106の背面側に配された側面部材183(図5も参照)および基部ユニット106の正面側に配された側面部材181(図4も参照)を貫通している。また、シャフト151は、シャフト151に突設された平行ピン168が側面部材183に形成された溝に嵌着することで基部ユニット106に固定されている。
シャフト151の背面側端部にはプーリ153が嵌着しており、プーリ153にはベルト155が巻き掛けられている。また、シャフト151は正面側端部に縮径された縮径部151aを有しており、縮径部151aには雄ネジが螺設されている。縮径部151は回転ダイヤル(ノブ)163の軸方向に形成された雌ネジ部163aと螺合している。
このため、シャフト151の縮径部151aと回転ダイヤル163の雌ネジ部163aとの螺合長が大きく(長く)なる方向に回転ダイヤル163を回すと、回転ダイヤル163の先端面の押圧力により軸受167は側面部材181と側面部材183とに挟まれて回動が規制される。
逆に、縮径部151aと雌ネジ部163aとの螺合長が小さく(短く)なる方向に回転ダイヤル163を回すと、軸受167は側面部材181と側面部材183とによる規制が解かれて回動可能な状態となる。このとき、基部ユニット106は、平行ピン168によりシャフト151と一体化しているため、軸受167(連結部材164ひいてはZ方向移動部102)に対してYZ平面で回動可能な状態となる。なお、側面部材181、183の先端部にはそれぞれ係止爪182、184が形成されており(図4、図5も参照)、これらの係止爪182、184が連結部材164に突設された規制ピン165、166に係止することで基部ユニット106は所定角以上の下方への回動が規制される。
(4)θv補正部104
図9は、シャフト151を中心にハンドリング部103をYZ平面で回動させることにより生じるY方向の変位を模式的に示す説明図である。シャフト151の軸芯をO、軸芯Oからハンドリング部103のエンドエフェクタの先端までの長さをlとし、ハンドリング部103を水平方向から角度θ1回動させた状態を線分Aで表すと、線分AのY方向での長さは(l×cosθ1)で求めることができる。この状態からハンドリング部103を角度θv[θv=(θ2−θ1)]下方に回動させると、軸芯Oからハンドリング部103のエンドエフェクタの先端までは線分Bで表すことができる。線分BのY方向での長さは(l×cosθ2)で求めることができる。
従って、シャフト151の軸芯Oを中心にハンドリング部103をYZ平面でθv度下方に回動させることにより生じるY方向の変位Δlは、Δl=l×(cosθ1−cosθ2)で求めることができる。本実施形態の微小物体ハンドリングシステム20では、顕微鏡2を介してエンドエフェクタの先端を捉えているため、このY方向の変位Δlが所定値を越えるとエンドエフェクタの先端を顕微鏡2で捉えることができなくなる。
θv補正部104は、Z方向移動手段102と変位合成部101の出力リンク144との間のY方向での距離を調整することで、このY方向の変位Δl分を打ち消す(オフセットする)ものである。θv補正部104は、Z方向移動部102と変位合成部101との間に設けられており、カム機構と、スライダ機構と、θv伝達機構とで構成されている。なお、θv伝達機構は厳密には上述した基部ユニット106の一部を構成するものであるが、以下では説明の便宜上、θv補正部104に含まれるものとして説明する。
<カム機構>
カム機構は、図3〜図5に示すように、Z方向移動部102の変位合成部101側に設けられたカム156と、変位合成部101の出力リンク144に固定されカム156に当接するカムフォロア157とで構成されている。
すなわち、Z方向移動部102を構成するホルダ174の変位合成部101側には軸受部材169が固定されており、この軸受部材169がカム156の回動軸となるシャフト152を軸支している。また、カムフォロア157は、変位合成部101の出力リンク144に固定された軸受部材と、この軸受部材に両端部が軸支されたピン状部材とで構成されている(図3参照)。カム156のカム面にはハンドリング部103をYZ平面で回動させることにより生じるY方向の変位Δl分をY方向で打ち消すためのカム曲線が形成されている。換言すれば、カム機構(θv補正部104)は、Z方向移動部102と変位合成部101との間のY方向での距離を調整することで、ハンドリング部103をYZ平面で回動させることにより生じるY方向の変位Δl分をオフセットする。
<スライダ機構>
カム機構によるカム動作を確保するために、スライダ機構は、Z方向移動部102をY方向に移動可能に支持するスライダホルダ160と、引っ張りバネ158、159とで構成されている。
すなわち、スライダホルダ160の上部は出力リンク144に固定されている。スライダホルダ160にはガイドレール162が内蔵されており、Z方向移動部102を構成するホルダ174の変位合成部101側の最下端部からスライダホルダ160に向けて突設されたスライダ161がガイドレール162に摺接することで、Z方向移動部102およびハンドリング部103(基部ユニット106)はY方向に移動可能に構成されている。また、引っ張りバネ158、159はカム156とカムフォロア157とが圧接するための付勢力を付与するためのもので、スライダホルダ160とホルダ174と間に張架されている。このため、Z方向移動部102およびハンドリング部103(基部ユニット106)は、引っ張りバネ158、159の付勢力により常に変位合成部101側に引っ張られている。
<θv伝達機構>
また、θv補正部104には、シャフト151を中心にハンドリング部103をYZ平面で回動させたときの角度θvがハンドリング部103(基部ユニット106)から伝達される。
具体的には、図5に示すように、シャフト152の背面側端部にはプーリ154が嵌着しており、プーリ154にはベルト155が巻き掛けられている。ベルト155はシャフト151に嵌着したプーリ153との間で張架されている。このため、カム156はハンドリング部103がYZ平面で回動したときに同期して回動する。なお、図5(および図2、図8)ではプーリ153により他の部材が隠れるため小径として模式的に示しているが、実際には図5等に示したものより大径となる。
1−2.動作
次に、本実施形態の微小物体ハンドリングシステム20(マイクロマニピュレータ100)の動作について、針状エンドエフェクタ107、108にとって最も厳しい条件と考えられる、保存溶液中に浮遊している微小物体(例えば、微生物)の把持動作を例として説明する。なお、本実施形態では「把持」と「捕捉」とは同義のため、「把持」に統一して説明する。
1−2−1.一般的動作
(1)準備
マイクロマニピュレータ100の操作対象である微小物体10は保存溶液とともに、ステージ3上に載置されたシャーレ内に保存されており、シャーレ上部はカバーで覆われている。オペレータは、カバーを外してシャーレ内にエンドエフェクタ107、108を挿入し(またはカバーに開口を形成し開口を介してシャーレ内にエンドエフェクタ107、108を挿入し)、図1に示すように、シャーレ内の微小物体10、ハンドリング部103のエンドエフェクタ107、108を、顕微鏡2、カメラ5およびPC6を介して、モニタ7の画面内に捉える。
この状態でオペレータがハンドリング部103をYZ平面で回動させたいときには、回転ダイヤル163を所定方向に回す。これにより、回転ダイヤル163の側圧で回動が規制されていたハンドリング部103がYZ平面で回動可能な状態となる。オペレータは例えば基部ユニット106を押圧することで所望角ハンドリング部103をYZ平面で回動させる。
ハンドリング部103の回動に応じて、シャフト151からベルト155を介してシャフト152に回動力が伝達されカム156が回動する。カム156が回動すると、Z方向移動部102およびハンドリング部103(基部ユニット106)はカム曲線に追従するようにスライダ161を介してY方向に移動する。カム曲線はハンドリング部103の回動によって生じるY方向の変位Δlを打ち消すように設定されているため、変位合成部101の出力リンク144からハンドリング部103のエンドエフェクタの先端までの距離は一定(回動前後で同じ)となる。
このため、本実施形態の微小物体ハンドリングシステム20(マイクロマニピュレータ100)では、θv補正部104によりハンドリング部103のYZ平面での回動により生じるY方向の変位Δl分がオフセットされるため、ハンドリング部103をYZ平面でθv度回動させても顕微鏡2の視野下やモニタ7でエンドエフェクタ107、108を捉えることができ、Y方向での調整作業をなくすことができる。
オペレータはハンドリング部103をYZ平面で所望角度回動させた後は、回転ダイヤル163を上述した所定方向の反対方向に回すことにより回転ダイヤル163の側圧でハンドリング部103を固定する。これにより、ハンドリング部103はYZ平面での回動が規制された状態となる。なお、オペレータによるハンドリング部103のYZ平面で回動動作は、上記準備以外に次に述べる全体動作中に行うようにしてもよい。
(2)全体動作
オペレータは、コントローラ9からコントロールボックス8のPLCを介してマイクロマニピュレータ100に、X方向、Y方向、θz方向(エンドエフェクタ107、108の先端部を中心とするハンドリング部103の揺動角度、すなわち、ハンドリング部103の姿勢方向)、Z方向と、把持指に対するハンドリング(開閉)の指令を与えて、微小物体10とエンドエフェクタ107、108との相対関係を制御する。
<Y方向駆動>
Y方向アクチュエータ125に作動信号(駆動パルス)が与えられると、Y方向アクチュエータ125は、ボールネジ134を回転させ、スライダ135を介して、直進ガイドレール136に取り付けられたθzアクチュエータ127の位置を図4の左右方向に移動させる。このとき、PLCは、X方向アクチュエータ126を励磁するとともに、θzアクチュエータ127を励磁してθz=0°の状態を維持している。
<X方向駆動>
X方向アクチュエータ126に作動信号が与えられると、X方向アクチュエータ126は、ボールネジ131を回転させ、スライダ132を介して、パンタグラフ機構140のX方向入力リンク142を図3の上下方向に移動させる。このとき、PLCは、Y方向アクチュエータ125を励磁するとともに、θzアクチュエータ127を励磁してθz=0°の状態を維持している。
<XY方向駆動>
上述したように、X方向、Y方向の入力によりパンタグラフ機構140の出力リンク144にはX方向、Y方向の変位を合成した変位が出力される。上記のX方向駆動およびY方向駆動では、説明を簡単にするために、Y方向駆動を行うときにはX方向アクチュエータ126を励磁した状態のままとしX方向入力リンク142を移動させない例を示し、また、X方向駆動を行うときにはY方向アクチュエータ125を励磁した状態のままとしY方向入力リンク141を移動させない例を示したが、X方向駆動とY方向駆動とを同時に行うことができることはいうまでもない。なお、XY方向駆動を行うときは、パンタフラフ機構140の姿勢を保つため、θzアクチュエータ128を励磁してθz=0°の状態を維持する。
<θz方向駆動>
θzアクチュエータ127に作動信号が与えられると、θzアクチュエータ127は出力軸に連結された減速歯車列148を回転させる。減速歯車列148の出力端に嵌着されたレバー143は、支点147を支点として、パンタグラフ機構140のY方向入力リンク141に揺動変位を与える。
<Z方向駆動>
Z方向アクチュエータ128に駆動信号が与えられると、Z方向アクチュエータ128はギアボックス171内の減速歯車列を介してボールネジ172を回転させ、連結部材164を介して一体化されたハンドリング部103(基部ユニット106)を上述したガイドレールに沿ってZ方向移動させる。
<把持駆動>
アクチュエータ129に駆動電力が与えられると、レバー112は支点軸112aを支点として回動する。これにより、可動指のエンドエフェクタ108の先端部は、固定指のエンドエフェクタ107の先端部に対し、近接、または、離間する動きをする。従って、エンドエフェクタ107、108は、微小物体10の把持ないし把持した微小物体10の開放を行うことができる。
1−2−2.特色的動作(作用)
次に、上記把持駆動に関連して、エンドエフェクタ107、108の先端部による保存溶液中の微小物体10に対する把持動作(作用)についてより具体的に説明する。
<エンドエフェクタ107、108の接触部分の構造>
図7(A)〜(C)に示すように、エンドエフェクタ107、108の先端部の微小物体と接触する接触部分には互いに異なる形状が採用されている。すなわち、エンドエフェクタ107の凹状部107aおよびエンドエフェクタ108の凸状部108aは、先端ユニット105のアクチュエータ129を駆動して凸状部108aを凹状部107aに近接させたときに、凸状部108aの先端が凹状部107a内に侵入可能に構成されている。このため、エンドエフェクタ107、108は、2つの同じ形状を有する針状エンドエフェクタと比べ、基本的に微小物体10を把持しやすい構造が採られている。
<エンドエフェクタ107の凹状部107aの貫通穴網状構造>
図7(A)〜(C)に示すように、エンドエフェクタ107の凹状部107aには複数の貫通穴107bが形成されており、これらの貫通穴107bは網状に配されている。保存溶液はこの網状構造を介して凹状部107aを通り抜けることができる。このため、図10に示すように、図12(B)に示したエンドエフェクタ先端が保存溶液を介して微小物体10に作用する力を低減させることができる(エンドエフェクタ107、108で微小物体10を把持する際の水圧や浮力の影響を低減させることができる。)。また、網状構造を有する凹状部107aはエンドエフェクタ107の先端部を切り欠くことで形成されているため、微小物体10がエンドエフェクタ107の先端部側からすり抜けることを防止することができる(図10参照)。
<エンドエフェクタ108の凸状部108aの構造>
一方、図7(A)〜(C)に示すように、エンドエフェクタ108の凸状部108aはエンドエフェクタ108の先端部を鋭角に切り欠くことで形成されている。このため、図10に示すように、エンドエフェクタ108の凸状部108aがエンドエフェクタ107の凹状部107aに近接する際に、鋭角頂部を境に保存溶液が上下方向でかき分けられる構造となっているため、図12(B)に示したエンドエフェクタ先端が保存溶液を介して微小物体10に作用する力を低減させることができる。従って、微小物体10がエンドエフェクタ108の先端部側からすり抜けることを防止することができる。
2.第2実施形態
次に、本発明を、細胞や微生物等の微小物体を取り扱うための微小物体ハンドリングシステムに適用した第2の実施の形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に示した針状エンドエフェクタに代えて板状エンドエフェクタを用いるものである。なお、本実施形態において第1実施形態と同一の部材には同一の符号を付してその説明を省略し、以下異なる箇所のみ説明する。
2−1.構成
図11(A)に示すように、先端ユニット105の固定指117には板状エンドエフェクタ109が装着されており、可動指118にも板状エンドエフェクタ110が装着されている。
エンドエフェクタ109は、板状部109aと、板状部109aの後端側に固定された針状の装着部109cと、板状部109aの先端部への絞り加工で形成された凹状部109bとで構成されている。一方、エンドエフェクタ110は、板状部110aと、板状部110aの後端側に固定された針状の装着部110cと、板状部110aの先端部へ突設された円錐状(凸状)のインジェクション(注液体)110bとで構成されている。装着部109c、110cは、上述した固定指117、可動指118にそれぞれ装着されている。
このため、エンドエフェクタ110のインジェクション110bは、先端ユニット105のアクチュエータ129を駆動してインジェクション110bをエンドエフェクタ109の先端部に近接させたときに、インジェクション110bの位置がエンドエフェクタ109の凹状部109bの位置に対応している。なお、微小物体10の特性に応じて、固定指117および可動指118のネジを調整することでインジェクション110bの先端がエンドエフェクタ109の凹状部109b内に侵入するように設定してもよい。
板状部110aのインジェクション110bが突設された中央部には貫通穴が形成されている。この貫通穴にはチューブ119が挿入されており、チューブ119の一側はインジェクション110bに接続されている。また、板状部110aのインジェクション110bが突設された面とは反対面側の長手方向と交差する方向の中央部にはチューブ119を保持し案内するためのガイド110dが複数配設されており、チューブ119は板状部110aの長手方向に沿って該長手方向の半分程度の長さがガイド110dで保持されている。
チューブ119は、先端ユニット105の正面側側面、基部ユニット106の正面側側面に同様に配設された図示を省略した複数のチューブガイドで保持されている。チューブ119の他側は注射筒116に接続されている。注射筒116は基部ユニット106の正面側側面に設けられ図示を省略した筒状保持部材で保持固定されている。このため、注射筒116は筒状保持部材を介して基部ユニット106の正面側側面に固定されている。
2−2.動作
第1実施形態で説明した微小物体10の把持駆動に対応して、アクチュエータ129に駆動電力が与えられると、図11(B)に示すように、エンドエフェクタ109の凹状部109bで微小物体10が保持(捕捉)され、次いで、図11(C)に示すように、微小物体10にインジェクション110bの先端部が差し込まれる。両者の動作はほぼ同時に行われる。そして、オペレータは、基部ユニット106の正面側側面に固定された注射筒116から溶液を所定量微小物体10に注液する。
3.作用効果等
次に、本実施形態の微小物体ハンドリングシステム20(マイクロマニピュレータ100)の作用効果等について説明する。
3−1.作用効果
第1実施形態の微小物体ハンドリングシステム20(マイクロマニピュレータ100)では、上記1−2−2で説明したように、先端ユニット105のアクチュエータ129を駆動して凸状部108aを凹状部107aに近接させたときに、微小物体10を把持する際の水圧や浮力の影響を低減させることができるので、保存溶液中に浮遊している微小物体10を把持することができる。
また、第2実施形態の微小物体ハンドリングシステム20(マイクロマニピュレータ100)では、上記2−1で説明したように、エンドエフェクタ109の凹状部109bによる微小物体10の保持動作と、微小物体10へのインジェクション110bの差し込み動作とがほぼ同時に行われるので、微小物体10への処理が必要な場合に素早く対処することができる。
3−2.変形例
なお、上記実施形態では、可動指118に装着されたエンドエフェクタ108、110を固定指117に装着されたエンドエフェクタ107、109に近接させる例を示したが、本発明はこれに制限されるものではなく、可動指118および固定指117として示した双方に装着されたエンドエフェクタを互いに近接させるようにしてもよい。
また、第1実施形態では、固定指117に装着されたエンドエフェクタ107は動かず可動指118に装着されたエンドエフェクタ108が動き、動かない方のエンドエフェクタ107に貫通穴が形成され動く方のエンドエフェクタ108には貫通穴が形成されていない例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。下表1に示すように、変形例1〜7に示す態様を採るようにしてもよい。表1において、○は貫通穴が形成されていることを示し、×は貫通穴が形成されていないことを示す。なお、変形例2、7に示すように、貫通穴が形成されていない態様であっても、凹状、凸状のエンドエフェクタを組み合わせることにより、2つの同じ形状を有するエンドエフェクタと比べ、微小物体をより把持しやすい構造となる。
Figure 2019095655
また、第1実施形態では、保存溶液中に浮遊している微小物体10の把持動作を例示したが、本発明はこれに限ることなく、マイクロマニピュレータ100がステージ3上に載置された微小物体(例えば、細胞やマイクロチップ)を把持可能であることはいうまでもない。
一方、第2実施形態では、ステージ3上に載置された微小物体の保持および注液をほぼ同時に行う例を示したが、保存溶液中で行うようにしてもよい。この場合には、エンドエフェクタ109、110が板状を呈していることから、インジェクション110bの部分を除き、凹状部109bを含めエンドエフェクタ109、110の先端部に貫通穴を網状に形成するようにしてもよい。また、第2実施形態では、矩形状の板状部109a、110aを例示したが、本発明はこれに制限されることなく、微小物体10に応じて任意の形状(例えば、台形状や楕円状)とするようにしてもよい。
また、上記実施形態では、ベルト155によりYZ平面での回動をθv補正部104に伝達する例を示したが、例えば、歯車列で伝達するようにしてもよい。さらに、例示した機構的構成に代えて電気的構成を採用するようにしてよい。例えば、シャフト151に歯車列を介してYZ平面での回動角度を把握するためのエンコーダを配置してその情報をPLCにフィードバックし、PLCがYZ平面での回動により生じるY方向の変位Δlを打ち消すためのY方向の駆動量を演算してアクチュエータを駆動させるようにしてもよい。また、カム機構(カム156およびカムフォロア157)に代えてリニアモータ等の直進アクチュエータを用いるようにしてもよい。
さらに、上記実施形態では、θz駆動部123を例示したが、θz駆動部123を省いたマイクロマニピュレータにも適用可能である。また、上記実施形態では、θz駆動部123の変位をY方向入力リンク141に入力する例を示したが、X方向入力リンク142に入力するようにしてもよい。そして、上記実施形態では、移動部として変位合成部101およびZ方向移動部102を例示したが、本発明はこれに限らず、例えば、X、Y、Z方向に移動可能なアーム等を用いるようにしてもよい。
本発明は微小物体の捕捉が容易なエンドエフェクタを備えたマイクロマニピュレータを提供するものであるため、マイクロマニピュレータの製造、販売に寄与するので、産業上の利用可能性を有する。
10 微小物体
100 マイクロマニピュレータ
101 変位合成部(移動部の一部)
102 Z方向移動部(移動部の一部)
103 ハンドリング部
107、108、109、110 エンドエフェクタ
107a 凹状部(接触部分)
107b 貫通穴
108a 凸状部(接触部分)
110b インジェクション
116 注射筒
117 固定指(把持指)
118 可動指(把持指)
119 チューブ

Claims (10)

  1. 微小物体にアクセスするための2つのエンドエフェクタと、
    前記エンドエフェクタの先端部を近接ないし離間させるハンドリング部と、
    前記ハンドリング部を移動させる移動部と、
    を備え、
    前記エンドエフェクタの前記微小物体に接触する接触部分の形状が互いに異なることを特徴とするマイクロマニピュレータ。
  2. 前記エンドエフェクタのいずれか一方の前記接触部分が凹状であり、いずれか他方の前記接触部分が凸状であることを特徴とする請求項1に記載のマイクロマニピュレータ。
  3. 前記凹状および凸状の接触部分は、前記ハンドリング部で前記エンドエフェクタの先端部を近接させたときに、前記凸状の接触部分の先端が前記凹状の接触部分内に侵入可能なように前記エンドエフェクタの先端部に形成されたことを特徴とする請求項2に記載のマイクロマニピュレータ。
  4. 前記凹状および凸状の接触部分の少なくとも一方に複数の貫通穴が形成されたことを特徴とする請求項2または請求項3に記載のマイクロマニピュレータ。
  5. 前記貫通穴が網状に形成されたことを特徴とする請求項4に記載のマイクロマニピュレータ。
  6. 前記エンドエフェクタの先端部の形状が針状または板状であり、前記エンドエフェクタの後端部が前記ハンドリング部の2つの把持指にそれぞれ装着されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のマイクロマニピュレータ。
  7. 前記2つの把持指のうち少なくとも一方が可動指であることを特徴とする請求項6に記載のマイクロマニピュレータ。
  8. 前記エンドエフェクタの先端部の形状が針状であり、前記凹状および凸状の接触部分が前記エンドエフェクタの先端部を切り欠くことにより形成されたことを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載のマイクロマニピュレータ。
  9. 前記エンドエフェクタの先端部の形状が板状であり、前記エンドエフェクタのいずれか一方が前記ハンドリング部の固定指に装着されいずれか他方が前記ハンドリング部の可動指に装着されており、前記可動指に装着されたエンドエフェクタの前記接触部分がインジェクションであることを特徴とする請求項請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載のマイクロマニピュレータ。
  10. 前記インジェクションはチューブを介して前記ハンドリング部の側面に沿って配設された注射筒に接続されていることを特徴とする請求項9に記載のマイクロマニピュレータ。
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