JP2019095315A - 騒音評価装置、騒音評価方法および騒音評価プログラム - Google Patents

騒音評価装置、騒音評価方法および騒音評価プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】架空送電設備の騒音評価を、高精度に、かつ、処理負荷軽減を図り迅速に行うことを可能にする。【解決手段】送電線を有する架空送電設備の周辺環境の音の測定結果を周波数解析して得られる音の周波数スペクトルを現地測定スペクトルとして取得する現地音取得部22aと、現地測定スペクトルの一部を構成する所定周波数帯の特徴量を抽出し、その特徴量から周辺環境の暗騒音の周波数スペクトルである暗騒音スペクトルを推定する暗騒音推定部22bと、現地測定スペクトルと暗騒音スペクトルとの差分に基づき現地測定スペクトルにおける卓越量を算出し、その卓越量を架空送電設備の騒音評価の指標とする卓越量算出部22cと、を備えて騒音評価装置2を構成する。【選択図】図2

Description

本発明は、騒音評価装置、騒音評価方法および騒音評価プログラムに関する。
送電線を有する架空送電設備からは、様々な騒音が発生する可能性がある。例えば、代表的なものとして、送電線からの電線風音が発生し得る。このような騒音が発生すると、その大きさによっては、近隣住民からの苦情発生が予測される。そのため、架空送電設備については、その周辺で得られる測定音のレベルを、その架空送電設備によらず発生する暗騒音のレベルと対比させて、測定音が暗騒音よりも卓越した卓越量を算出することで、騒音のレベルを定量的に評価することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−171625号公報
架空送電設備からの騒音の評価にあたっては、特に暗騒音の特定および卓越量の算出を、高精度に行うことが非常に重要である。しかも、測定音が膨大なデータ量となり得ることから、処理負荷軽減を図り迅速に行えるようにすることが好ましい。
本発明は、架空送電設備の騒音評価を、高精度に、かつ、処理負荷軽減を図り迅速に行うことが可能な騒音評価装置、騒音評価方法および騒音評価プログラムを提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、
送電線を有する架空送電設備の周辺環境の音の測定結果を周波数解析して得られる当該音の周波数スペクトルを現地測定スペクトルとして取得する現地音取得部と、
前記現地音取得部で取得した現地測定スペクトルの一部を構成する所定周波数帯の特徴量を抽出し、当該特徴量から前記周辺環境の暗騒音の周波数スペクトルである暗騒音スペクトルを推定する暗騒音推定部と、
前記現地測定スペクトルと前記暗騒音スペクトルとの差分に基づき前記現地測定スペクトルにおける卓越量を算出し、当該卓越量を前記架空送電設備の騒音評価の指標とする卓越量算出部と、
を備える騒音評価装置が提供される。
本発明の他の態様によれば、
送電線を有する架空送電設備の周辺環境の音の測定結果を周波数解析して得られる当該音の周波数スペクトルを現地測定スペクトルとして取得する現地音取得工程と、
前記現地音取得工程で取得した現地測定スペクトルの一部を構成する所定周波数帯の特徴量を抽出し、当該特徴量から前記周辺環境の暗騒音の周波数スペクトルである暗騒音スペクトルを推定する暗騒音推定工程と、
前記現地測定スペクトルと前記暗騒音スペクトルとの差分に基づき前記現地測定スペクトルにおける卓越量を算出し、当該卓越量を前記架空送電設備の騒音評価の指標とする卓越量算出工程と、
を備える騒音評価方法が提供される。
本発明のさらに他の態様によれば、
コンピュータに、
送電線を有する架空送電設備の周辺環境の音の測定結果を周波数解析して得られる当該音の周波数スペクトルを現地測定スペクトルとして取得する現地音取得ステップと、
前記現地音取得ステップで取得した現地測定スペクトルの一部を構成する所定周波数帯の特徴量を抽出し、当該特徴量から前記周辺環境の暗騒音の周波数スペクトルである暗騒音スペクトルを推定する暗騒音推定ステップと、
前記現地測定スペクトルと前記暗騒音スペクトルとの差分に基づき前記現地測定スペクトルにおける卓越量を算出し、当該卓越量を前記架空送電設備の騒音評価の指標とする卓越量算出ステップと、
を実行させるための騒音評価プログラムが提供される。
本発明によれば、架空送電設備の騒音評価を、高精度に、かつ、処理負荷軽減を図り迅速に行うことができる。
本発明の一実施形態に係る騒音評価装置を含んで構成される騒音評価システムの概略構成例を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る騒音評価装置の構成例を示すブロック図である。 本発明の一実施形態に係る騒音評価方法の電線風音評価モードにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る騒音評価装置で取得する現地測定スペクトルの一具体例を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る騒音評価装置が電線風音評価モードにおいて着目する所定周波数帯の一具体例を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る騒音評価装置が電線風音評価モードにおいて抽出する特徴量の一具体例を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る騒音評価装置が電線風音評価モードにおいて推定する暗騒音スペクトルの一具体例を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る騒音評価方法のコロナ騒音評価モードにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る騒音評価装置で取得する現地測定スペクトルの他の一具体例を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る騒音評価装置がコロナ騒音評価モードにおいて着目する所定周波数帯の一具体例を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る騒音評価装置がコロナ騒音評価モードにおいて推定する暗騒音スペクトルの一具体例を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る騒音評価方法のがいし風音評価モードにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る騒音評価装置で取得する現地測定スペクトルのさらに他の一具体例を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る騒音評価装置ががいし風音評価モードにおいて着目する所定周波数帯の一具体例を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る騒音評価装置ががいし風音評価モードにおいて推定する暗騒音スペクトルの一具体例を示す説明図である。
<本発明の一実施形態>
(1)騒音評価システムの概略構成
まず、本発明の一実施形態に係る騒音評価装置を含んで構成される騒音評価システムについて、図1を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態で説明する騒音評価システム1は、架空送電設備10の騒音評価に用いられるものである。
(架空送電設備)
ここで、騒音評価システム1による騒音評価の対象物となる架空送電設備10について簡単に説明する。架空送電設備10は、所定の間隔で設けられる複数の鉄塔11と、各鉄塔11の間に延線される送電線12と、鉄塔11と送電線12との間を絶縁するがいし(碍子)13と、を有して構成されている。
このような構成の架空送電設備10からは、様々な騒音が発生する可能性がある。具体的には、例えば、送電線12からの風音(以下「電線風音」という。)、送電線12からのコロナ音(以下「コロナ騒音」という。)、がいし13からの風音(以下「がいし風音」という。)等が、騒音として発生し得る。
これらの騒音は、それぞれ固有の周波数帯および音色を有しており、その大きさ(音量レベル)が一定レベルを超えると、架空送電設備10の近隣住民からの苦情発生を招き得る。これに対して、騒音評価システム1を用いて騒音レベルを定量的に評価すれば、苦情の原因となる騒音が架空送電設備10から発生しているか否かを判定することが可能となる。
(騒音評価システム)
騒音評価システム1は、上述したように、架空送電設備10から発生している騒音レベルを定量的に評価するものである。そのために、騒音評価システム1は、本実施形態に係る騒音評価装置2と、騒音計3と、風速計4と、湿度計5と、これらの間を接続する有線または無線の通信回線6と、を有して構成されている。
騒音計3は、架空送電設備10の周辺環境の音を測定するもので、架空送電設備10の付近(例えば、鉄塔11の近傍)に配置されて、その周辺音の測定結果を電気信号に変換して出力するように構成されている。
風速計4は、架空送電設備10の周辺環境の風速および風向を測定するもので、架空送電設備10の付近(例えば、鉄塔11の近傍)に配置されて、その周辺の風速および風向の測定結果を電気信号に変換して出力するように構成されている。
湿度計5は、架空送電設備10の周辺環境の湿度を測定するもので、架空送電設備10の付近(例えば、鉄塔11の近傍)に配置されて、その周辺の湿度の測定結果を電気信号に変換して出力するように構成されている。
通信回線6は、騒音計3、風速計4および湿度計5と騒音評価装置2との間の通信を可能にするものであればよく、有線または無線の別を問わず、また通信プロトコル等が特に限定されるものではない。
なお、ここでは、騒音計3、風速計4および湿度計5が騒音評価装置2とは別体で構成され、これらの間が通信回線6を介して接続されている場合を例に挙げているが、これに限定されることはなく、これらが一体で構成されていてもよい。ただし、それぞれが別体で構成されていれば、通信回線6を介することで、騒音評価装置2を架空送電設備10とは離れて配置することも可能となり、その騒音評価装置2の配置の自由度を十分に確保し得るようになる。
(2)騒音評価装置の構成
次に、上述した騒音評価システム1を構成する騒音評価装置2、すなわち本実施形態に係る騒音評価装置2について、図2を参照しながら説明する。
(ハードウエア構成)
本実施形態に係る騒音評価装置2は、騒音評価のために必要となる情報処理を行うもので、当該情報処理を行うコンピュータ装置としてのハードウエア資源を備えたものである。具体的には、図2に示すように、騒音評価装置2は、通信インタフェース部21と、CPU(Central Processing Unit)22と、RAM(Random Access Memory)23と、記憶部24と、操作インタフェース部25と、これらを互いに接続する内部バス26と、を備えて構成されている。
通信インタフェース部21は、通信回線6を介して騒音計3、風速計4および湿度計5との間の通信を行うものである。なお、通信インタフェース部21は、通信回線6の他に、インターネットに代表される広域ネットワーク回線と接続して通信を行うものであってもよい。
CPU22は、記憶部24から読み出した所定プログラムを実行することで、騒音評価のために必要となる情報処理を行うための各種機能を実現するものである。なお、CPU22が実現する各種機能については、詳細を後述する。
RAM23は、CPU22が情報処理を行う際のワークエリアとして用いられるもので、例えば情報処理の際に各種データの一時記憶等を行うようになっている。
記憶部24は、例えば、HDD(Hard disk drive)またはSSD(Solid State Drive)といった大容量記憶装置からなるもので、CPU22が実行する所定プログラムを記憶保持するものである。なお、記憶部24は、当該所定プログラムに加えて、他のプログラムや各種データ等を記憶保持するものであってもよい。
操作インタフェース部25は、例えば、液晶パネル、タッチパネル、各種スイッチ等の組み合わせからなるもので、騒音評価装置2の利用者が操作するために用いられるものである。
(機能構成)
上述したハードウエア構成の騒音評価装置2では、CPU22が所定プログラムを実行することで、以下のような機能構成(ソフトウエア構成)が実現される。すなわち、CPU22は、所定プログラムの実行により、現地音取得部22a、暗騒音推定部22b、卓越量算出部22c、風速判定部22d、湿度判定部22eおよびデータ整理部22fとして機能し得るようになっている。
現地音取得部22aは、騒音計3から出力される電気信号を受け取り、その電気信号(すなわち、騒音計3による測定結果)に基づいて、架空送電設備10の周辺環境の測定音の周波数スペクトルを取得するものである。
音の周波数スペクトルは、周波数を横軸として、それぞれの周波数帯の音成分の強さをグラフ状に示したものである。このような周波数スペクトルは、音の測定結果について周波数解析を行うことで得られる。周波数解析は、例えば1/3オクターブバンド分析によって行うことが考えられる。オクターブバンド分析は、音の周波数解析手法の一つであり、CPB(Constant Percentage Bandwidth:定比幅)分析とも呼ばれ、主に騒音や振動の評価に用いられる。1/3オクターブバンド分析は、周波数の1オクターブを3分割した各点で周波数分析を行う手法のことである。
以下、騒音計3の測定結果に基づく架空送電設備10の周辺環境の音の周波数スペクトルを「現地測定スペクトル」という。
なお、現地音取得部22aは、最終的に現地測定スペクトルを取得するものであればよい。つまり、現地音取得部22aは、現地測定スペクトルを得るための周波数解析を行う機能を有したものであってもよいし、例えば騒音計3が周波数解析を行う機能を有していれば、その騒音計3から現地測定スペクトルを受け取るものであってもよい。
暗騒音推定部22bは、現地音取得部22aが取得した現地測定スペクトルに基づいて、架空送電設備10の周辺環境の暗騒音の周波数スペクトルを推定するものである。
暗騒音は、評価の対象となる音以外の騒音であり、騒音測定時のバックグラウンドノイズまたは背景雑音に相当するものである。
以下、架空送電設備10の周辺環境の暗騒音の周波数スペクトルを「暗騒音スペクトル」という。
ところで、暗騒音推定部22bでは、現地音取得部22aが取得した現地測定スペクトルの全体ではなく、その現地測定スペクトルの一部を構成する所定周波数帯に着目し、その所定周波数帯に関する特徴量を抽出した上で、抽出した特徴量から暗騒音スペクトルを推定するようになっている。ここで、所定周波数帯とは、評価対象となる騒音の種類に応じて予め定められた周波数帯のことをいうが、その詳細については後述する。また、特徴量とは、周波数スペクトル(特に着目した所定周波数帯に関する部分)にどのような特徴があるかを定量化したものであるが、その詳細については後述する。つまり、暗騒音推定部22bによる暗騒音スペクトルの推定手法については詳細を後述する。
卓越量算出部22cは、現地音取得部22aが取得した現地測定スペクトルと暗騒音推定部22bが推定した暗騒音スペクトルとの差分に基づいて、現地測定スペクトルにおける卓越量を算出するものである。
卓越量とは、現地測定スペクトルにおいて他のレベル(具体的には暗騒音スペクトル)よりも群を抜いて突出している量のことである。卓越量は、架空送電設備10の周辺環境における測定音が暗騒音よりもどれだけ卓越しているかを示すもので、例えばその大きさ(音量レベル)が一定レベルを超えると近隣住民からの苦情発生を招き得るといったように、架空送電設備10の騒音評価の指標となり得るものである。
なお、卓越量算出部22cによる卓越量の算出手法については詳細を後述する。
風速判定部22dは、風速計4から出力される電気信号を受け取り、その電気信号(すなわち、風速計4による測定結果)に基づいて、架空送電設備10の周辺環境の風速が所定の風速閾値を超えるか否かを判定するものである。このような判定を風速判定部22dが行うことで、架空送電設備10の周辺環境において、特定種類の騒音(例えば、電線風音またはがいし風音)が発生する状況にあるか否かを判別し得るようになる。
湿度判定部22eは、湿度計5から出力される電気信号を受け取り、その電気信号(すなわち、湿度計5による測定結果)に基づいて、架空送電設備10の周辺環境の湿度が所定の湿度閾値を超えるか否かを判定するものである。このような判定を湿度判定部22eが行うことで、架空送電設備10の周辺環境において、特定種類の騒音(例えば、コロナ騒音)が発生する状況にあるか否かを判別し得るようになる。
データ整理部22fは、卓越量算出部22cによる卓越量の算出結果について、例えば統計的にデータ整理を行って、その整理後のデータを必要に応じて出力するものである。データ出力先としては、例えば、記憶部24内の所定記憶領域、操作インタフェース部25の液晶パネル、通信インタフェース部21を介して接続するネットワーク回線上の他装置等、が挙げられる。
(プログラム)
上述した各部22a〜22fは、CPU22が所定プログラムを実行することによって実現される。換言すると、この所定プログラムは、コンピュータ装置としてのハードウエア資源を備える騒音評価装置2を各部22a〜22fとして機能させるものであり、本発明の一実施形態に係る騒音評価プログラムに相当するものである。
このような騒音評価プログラムは、騒音評価装置2の記憶部24にインストールされて用いられる。その場合に、騒音評価プログラムは、記憶部24へのインストールに先立ち、騒音評価装置2で読み取り可能な記録媒体に格納されて提供されるものであってもよいし、あるいは騒音評価装置2と接続するネットワーク回線を通じて当該騒音評価装置2へ提供されるものであってもよい。
なお、各部22a〜22fとしての機能を実現させる騒音評価プログラムは、その全てが専用に開発されたものであってもよいが、表計算ソフトウエア等の一般的な汎用ソフトウエアプログラムを少なくとも一部に活用して構築されたものであってもよい。
(3)騒音評価方法
次に、上述した構成の騒音評価システム1による処理動作例、すなわち本発明の一実施形態に係る騒音評価方法について説明する。
架空送電設備10の騒音評価にあたり、騒音評価システム1では、騒音計3が所定タイミング(例えば、1秒毎)で測定を行い、その都度、測定結果を騒音評価装置2に出力する。風速計4および湿度計5についても同様である。
これらの測定結果を受け取る騒音評価装置2では、CPU22が所定プログラムを実行することにより、以下のような騒音評価処理を行う。騒音評価処理は、電線風音に関する騒音評価を行う電線風音評価モード時の処理動作と、コロナ騒音に関する騒音評価を行うコロナ騒音評価モード時の処理動作と、がいし風音に関する騒音評価を行うがいし風音評価モード時の処理動作と、に分けられる。以下、各モード時の処理動作について、詳細を説明する。
(3−1)電線風音評価モード
まず、電線風音評価モードにおける処理動作について、図3〜図7を参照しながら説明する。
(S101:モード判定)
図3に示すように、騒音評価装置2は、電線風音評価モードであるか否かの判定を行う。このモード判定は、例えば、風速計4による測定結果を基に、架空送電設備10の周辺環境の風速が所定の風速閾値(例えば、8m/s)を超えるか否かを、風速判定部22dが判定することによって行えばよい。つまり、風速判定部22dは、風速計4による測定結果を監視し、風速閾値を超える風速になった場合、架空送電設備10において電線風音が発生し得る状況にあるため、電線風音評価モードに移行したと判定する。ただし、必ずしもこれに限定されることはなく、例えば、操作インタフェース部25にて所定操作があった場合や、通信インタフェース部21を介して接続するネットワーク回線上の他装置からの指示があった場合等に、電線風音評価モードであると判定するようにしてもよい。
このように、電線風音評価モードであるか否かの判定を行えば、電線風音評価モード時にのみ電線風音に関する騒音評価のための処理動作を行うことが可能となり、騒音評価装置2における処理負荷の軽減が図れるようになる。
(S102:現地音測定)
電線風音評価モードとなったら、騒音評価装置2では、騒音計3による測定結果を基に、現地音取得部22aが現地測定スペクトルを取得する。現地測定スペクトルは、現地音取得部22aが周波数解析(例えば、1/3オクターブバンド分析)を行うことで得たものであってもよし、周波数解析を行う機能を有した騒音計3から受け取ったものであってもよい。
現地測定スペクトルとしては、例えば、図4に示すようなものが挙げられる。かかる現地測定スペクトルは、1/3オクターブバンド分析によって得られたもので、音の周波数[単位:Hz]を横軸として、1オクターブを3分割したそれぞれの周波数帯の音成分の強さ(すなわち、騒音レベル[単位:dB])を、グラフ状に示したものである。このような現地測定スペクトルを、現地音取得部22aは、騒音計3の測定タイミング毎に取得することになる。
(S103:所定周波数帯着目)
現地測定スペクトルを取得したら、その現地測定スペクトルに基づいて、暗騒音推定部22bが暗騒音スペクトルを推定する。そのために、暗騒音推定部22bは、先ず、取得した現地測定スペクトルの全体ではなく、その現地測定スペクトルの一部を構成する所定周波数帯に着目する。
所定周波数帯は、評価対象となる騒音の種類に応じて予め定められた周波数帯であるが、評価対象が電線風音の場合、以下のような周波数帯となる。
図5に示すように、電線風音は、送電線12の径によって変わり得るが、概ね1/3オクターブ分析における50Hzから250Hzまでの少なくとも一つの周波数帯で発生する。つまり、電線風音の場合、1/3オクターブ分析における50Hzから250Hzまでの範囲にある卓越周波数帯のいずれか1つまたは複数で、現地測定スペクトルにおける卓越量が発生することになる。
その一方で、所定周波数帯は、電線風音の場合、後述するように、現地測定スペクトルにおいて騒音レベルが最大のピーク周波数帯を特定するために用いられる。このことを考慮して、卓越量の影響によるピーク周波数帯の誤認識を防ぐべく、所定周波数帯は、卓越量が発生する卓越周波数帯を除いた範囲にある周波数帯、すなわち1/3オクターブ分析における50Hzから250Hzまでの範囲を除く周波数帯とする。
なお、ピーク周波数帯は、1/3オクターブ分析における800Hz、1kHz、1.25kHzの各周波数帯のいずれかに存在することが経験則から知られている。そのため、所定周波数帯については、卓越周波数帯を除いた範囲からさらに絞り込み、1/3オクターブ分析における800Hz、1kHz、1.25kHzの各周波数帯を含むものとしてもよい。このように、所定周波数帯を800Hz、1kHz、1.25kHzの各周波数帯に絞り込めば、ピーク周波数帯を検出する際の処理負荷の軽減が図れるようになる。
(S104:特徴量抽出)
所定周波数帯に着目したら、次いで、暗騒音推定部22bは、その所定周波数帯に関する特徴量を抽出する。
具体的には、図6に示すように、暗騒音推定部22bは、所定周波数帯において騒音レベルが最大のピーク周波数帯を特定する。図例の場合であれば、1/3オクターブ分析における800Hzの周波数帯がピーク周波数帯となる。そして、ピーク周波数帯を特定したら、暗騒音推定部22bは、ピーク周波数帯よりも高周波数側の周波数帯に向けて騒音レベルが減少していることから、当該高周波数側についてのみ周波数帯毎のレベル減少分を算出し、その算出結果に基づいてピーク周波数帯から高周波数側に向けての減少分を表すスペクトル形状(すなわち、図中における右下がりのスペクトル形状)を特定する。
評価対象が電線風音の場合、暗騒音推定部22bは、このようにして特定したスペクトル形状を、所定周波数帯に関する特徴量として抽出する。
(S105:暗騒音スペクトル推定)
特徴量を抽出したら、次いで、暗騒音推定部22bは、その特徴量から暗騒音スペクトルを推定する。
具体的には、図7に示すように、暗騒音推定部22bは、ピーク周波数帯(すなわち、1/3オクターブ分析における800Hzの周波数帯)を中心にして対称性を有するように、特徴量として抽出したスペクトル形状を反転させる。そして、特徴量を反転させて得られる周波数スペクトルを、暗騒音スペクトルとして推定する。
これは、暗騒音スペクトルを構成する各周波数帯の騒音レベルについては、一般に正規分布またはガウス分布を示すであろうという知見に基づくものである。
なお、暗騒音スペクトルの推定は、卓越量が発生し得る卓越周波数帯の範囲(すなわち、1/3オクターブ分析における50Hzから250Hzまでの範囲)についてのみ行うようにしてもよい。その場合、卓越周波数帯を除いた範囲にある周波数帯については、現地測定スペクトルをそのまま暗騒音スペクトルとすればよい。
(S106:卓越量算出)
その後は、卓越量算出部22cが、現地測定スペクトルと暗騒音スペクトルとの差分に基づいて、現地測定スペクトルにおける卓越量を算出する。
卓越量の算出に際して、卓越量算出部22cは、まず、実際に卓越量が発生する卓越周波数帯を特定する。具体的には、架空送電設備10の送電線12を構成する本線および地線のそれぞれの外径[単位:m]が既知であり、また架空送電設備10の周辺環境の風速[単位:m/s]が風速計4によって得られるので、本線の外径をd(本)、地線の外径をd(地)、風速をV、周波数[単位:Hz]をfとし、以下の(1)式を用いて、実際に卓越量が発生する卓越周波数帯を算出する。
f=0.2×(V/d) ・・・(1)
ただし、算出にあたり、風速Vについては、風速計4が地表近く(例えば地上10m程度)に配されるのに対して送電線12については高所に配されることから、このことを考慮して、風速計4の測定結果である風速値と、これを2倍した高所想定風速値と、のそれぞれを用いる。その結果、本線について風速計4の測定結果を用いて算出した卓越周波数帯f(本1)と、本線について高所想定風速値を用いて算出した卓越周波数帯f(本2)と、地線について風速計4の測定結果を用いて算出した卓越周波数帯f(地1)と、地線について高所想定風速値を用いて算出した卓越周波数帯f(地2)と、が得られることになる。
つまり、卓越量が発生し得る卓越周波数帯の範囲(50Hzから250Hzまでの範囲)のうち、上述の算出で得られた卓越周波数帯f(本1),f(本2),f(地1),f(地2)を、実際に卓越量が発生する卓越周波数帯として特定する。
そして、卓越周波数帯を特定したら、特定した各卓越周波数帯における騒音レベルを合成した合成騒音値を算出する。合成騒音値の算出は、以下の(2)式を用いて行えばよい。
L=10×Log10(10(L1/10)+10(L2/10)+・・・) ・・・(2)
ただし、L:合成騒音値、Li:個々の卓越周波数帯における騒音レベルの値
合成騒音値の算出は、現地測定スペクトルによって特定される騒音レベルと暗騒音スペクトルによって特定される騒音レベルとのそれぞれについて行う。これにより、現地測定スペクトルについての合成騒音値と、暗騒音スペクトルについての合成騒音値と、が得られることになる。そして、それぞれの合成騒音値が得られたら、卓越量算出部22cは、これらの差分を算出して、その算出結果を卓越量[単位:dB]とする。
(S107:評価判定・データ集計)
卓越量算出部22cが卓越量を算出したら、データ整理部22fは、その算出結果について統計的なデータ整理を行う。具体的には、例えば、データ整理部22fは、卓越量の算出結果を、その基になった現地測定スペクトルの取得年月日および時刻、並びに、そのときの風速および風向の測定結果と対応付けて、記憶部24内の所定記憶領域に記憶保持させる。その際に、データ整理部22fは、卓越量の算出結果が予め設定されている一定レベル(例えば、5dB)を超えると、架空送電設備10の近隣住民からの苦情発生を招き得る状況にあると判断する。そして、卓越量の算出結果の記憶保持にあたり、例えば、一定レベルを超える卓越量が発生した日の中で、卓越量上位3個の周波数分析グラフ(重ね合わせ)を作成し、また、その卓越量上位3個の発生時刻の行を色分けする、といった統計的なデータ整理を行う。このようなデータ整理を行えば、一定レベルを超える卓越量の発生状況を容易に把握し得るようになる。一定レベルを超える卓越量が所定の単位時間内(例えば、1分間以内)に集中的に複数発生している場合は、その単位時間内で最も大きな卓越量発生時刻を代表値とし、卓越量の上位データは別の時間帯から算出するようにすれば、上位データの抽出を離散的に行えるようになり、データ整理の精度向上や信頼性向上等が図れるようになる。
なお、データ整理部22fによる整理後のデータは、操作インタフェース部25での所定操作や、通信インタフェース部21を介して接続するネットワーク回線上の他装置からのデータ要求等に応じて、その操作インタフェース部25や他装置等に対して出力される。
(S108:モード終了)
以上のような一連の処理動作を、騒音評価装置2は、風速計4による測定結果に基づいて電線風音評価モードが終了したと判断するまで、現地音取得部22aが現地測定スペクトルを取得する毎(すなわち、騒音計3による測定タイミング毎)に繰り返し行う。
(3−2)コロナ騒音評価モード
続いて、コロナ騒音評価モードにおける処理動作について、図8〜図11を参照しながら説明する。
(S201:モード判定)
図8に示すように、騒音評価装置2は、コロナ騒音評価モードであるか否かの判定を行う。このモード判定は、例えば、湿度計5による測定結果を基に、架空送電設備10の周辺環境の湿度が所定の湿度速閾値(例えば、80%)を超えるか否かを、湿度判定部22eが判定することによって行えばよい。つまり、湿度判定部22eは、湿度計5による測定結果を監視し、湿度閾値を超える湿度になった場合、架空送電設備10においてコロナ騒音が発生し得る状況にあるため、コロナ騒音評価モードに移行したと判定する。ただし、必ずしもこれに限定されることはなく、例えば、操作インタフェース部25にて所定操作があった場合や、通信インタフェース部21を介して接続するネットワーク回線上の他装置からの指示があった場合等に、コロナ騒音評価モードであると判定するようにしてもよい。
このように、コロナ騒音評価モードであるか否かの判定を行えば、コロナ騒音評価モード時にのみコロナ騒音に関する騒音評価のための処理動作を行うことが可能となり、騒音評価装置2における処理負荷の軽減が図れるようになる。
(S202:現地音測定)
コロナ騒音評価モードとなったら、騒音評価装置2では、騒音計3による測定結果を基に、現地音取得部22aが現地測定スペクトルを取得する。現地測定スペクトルの取得は、上述した電線風音評価モードの場合と同様に行えばよい。このときに取得する現地測定スペクトルとしては、例えば、図9に示すようなものが挙げられる。
(S203:所定周波数帯着目)
現地測定スペクトルを取得したら、その現地測定スペクトルに基づいて、暗騒音推定部22bが暗騒音スペクトルを推定する。そのために、暗騒音推定部22bは、先ず、取得した現地測定スペクトルの全体ではなく、その現地測定スペクトルの一部を構成する所定周波数帯に着目する。
所定周波数帯は、評価対象となる騒音の種類に応じて予め定められた周波数帯であるが、評価対象がコロナ騒音の場合、以下のような周波数帯となる。
図10に示すように、コロナ騒音の場合、卓越量が発生する卓越周波数帯は、架空送電設備10が対応する商用電源周波数から一意に特定される。具体的には、例えば、東日本地域の場合、架空送電設備10が対応する商用電源周波数が50Hzであり、これに対応して卓越量が100Hzの周波数帯で発生する。つまり、卓越周波数帯は、50Hzの商用電源周波数から一意に特定される100Hzの周波数帯となる。また、例えば、西日本地域の場合、架空送電設備10が対応する商用電源周波数が60Hzであり、これに対応して卓越量が125Hzの周波数帯で発生する。つまり、卓越周波数帯は、60Hzの商用電源周波数から一意に特定される125Hzの周波数帯となる。
所定周波数帯は、コロナ騒音の場合、後述するように、卓越周波数帯に関する暗騒音スペクトル推定の基になる特徴量を抽出するために用いられる。このことを踏まえ、コロナ騒音の場合、所定周波数帯は、卓越周波数帯を挟んで低周波側および高周波側のそれぞれに位置する各周波数帯とする。具体的には、例えば、東日本地域の場合であれば、卓越周波数帯が100Hzの周波数帯なので、これを挟んで低周波側および高周波側のそれぞれに位置する80Hzの周波数帯および125Hzの周波数帯が、所定周波数帯となる。また、例えば、西日本地域の場合であれば、卓越周波数帯が125Hzの周波数帯なので、これを挟んで低周波側および高周波側のそれぞれに位置する100Hzの周波数帯および160Hzの周波数帯が、所定周波数帯となる。
(S204:特徴量抽出)
所定周波数帯に着目したら、次いで、暗騒音推定部22bは、その所定周波数帯に関する特徴量を抽出する。具体的には、暗騒音推定部22bは、所定周波数帯として着目した各周波数帯について、それぞれの騒音レベルの平均値を算出し、その算出結果を所定周波数帯に関する特徴量として抽出する。つまり、コロナ騒音の場合、特徴量は、卓越周波数帯を挟む各周波数帯の騒音レベルの平均値に基づいて特定されることになる。
(S205:暗騒音スペクトル推定)
特徴量を抽出したら、次いで、暗騒音推定部22bは、その特徴量から暗騒音スペクトルを推定する。
具体的には、図11に示すように、暗騒音推定部22bは、特徴量として算出した平均値を、卓越周波数帯における暗騒音の騒音レベルを示す暗騒音スペクトルとして推定する。これは、卓越周波数帯とこれを挟む所定周波数帯の間では、暗騒音の騒音レベルが線形性を有する関係を示すであろうという知見に基づくものである。
(S206:卓越量算出)
その後は、卓越量算出部22cが、現地測定スペクトルと暗騒音スペクトルとの差分に基づいて、現地測定スペクトルにおける卓越量を算出する。具体的には、卓越量算出部22cは、卓越周波数帯について、現地測定スペクトルの騒音レベルと暗騒音スペクトルの騒音レベルとの差分を算出して、その算出結果を卓越量[単位:dB]とする。
(S207:評価判定・データ集計)
卓越量算出部22cが卓越量を算出したら、データ整理部22fは、その算出結果について統計的なデータ整理を行う。具体的には、上述した電線風音評価モードの場合と同様のデータ整理を行う。
(S208:モード終了)
以上のような一連の処理動作を、騒音評価装置2は、湿度計5による測定結果に基づいてコロナ騒音評価モードが終了したと判断するまで、現地音取得部22aが現地測定スペクトルを取得する毎(すなわち、騒音計3による測定タイミング毎)に繰り返し行う。
(3−3)がいし風音評価モード
次いで、がいし風音評価モードにおける処理動作について、図12〜図15を参照しながら説明する。
(S301:モード判定)
図12に示すように、騒音評価装置2は、がいし風音評価モードであるか否かの判定を行う。このモード判定は、例えば、風速計4による測定結果を基に、架空送電設備10の周辺環境の風速が所定の風速閾値(例えば、8m/s)を超えるか否かを、風速判定部22dが判定することによって行えばよい。つまり、風速判定部22dは、風速計4による測定結果を監視し、風速閾値を超える風速になった場合、架空送電設備10においてがいし風音が発生し得る状況にあるため、がいし風音評価モードに移行したと判定する。なお、がいし風音評価モードを判定するための風速閾値は、電線風音評価モードを判定するための風速閾値と同一であってもよいが、それぞれが異なる値に設定されていてもよい。また、がいし風音評価モードの判定は、必ずしも風速閾値に基づくものである必要はなく、例えば、操作インタフェース部25にて所定操作があった場合や、通信インタフェース部21を介して接続するネットワーク回線上の他装置からの指示があった場合等に、電線風音評価モードであると判定するようにしてもよい。
このように、がいし風音評価モードであるか否かの判定を行えば、がいし風音評価モード時にのみ電線風音に関する騒音評価のための処理動作を行うことが可能となり、騒音評価装置2における処理負荷の軽減が図れるようになる。
(S302:現地音測定)
がいし風音評価モードとなったら、騒音評価装置2では、騒音計3による測定結果を基に、現地音取得部22aが現地測定スペクトルを取得する。現地測定スペクトルの取得は、上述した電線風音評価モードの場合またはコロナ騒音評価モードの場合と同様に行えばよい。このときに取得する現地測定スペクトルとしては、例えば、図13に示すようなものが挙げられる。
(S303:所定周波数帯着目)
現地測定スペクトルを取得したら、その現地測定スペクトルに基づいて、暗騒音推定部22bが暗騒音スペクトルを推定する。そのために、暗騒音推定部22bは、先ず、取得した現地測定スペクトルの全体ではなく、その現地測定スペクトルの一部を構成する所定周波数帯に着目する。
所定周波数帯は、評価対象となる騒音の種類に応じて予め定められた周波数帯であるが、評価対象ががいし風音の場合、以下のような周波数帯となる。
図14に示すように、がいし風音の場合、卓越量が発生する卓越周波数帯は、架空送電設備10が有するがいし13のサイズ(すなわち、架空送電設備10に固有の既知の値)から一意に特定される。具体的には、がいし13のサイズによって、例えば、500Hzの周波数帯、630Hzの周波数帯または800Hzの周波数帯のいずれかに卓越量が発生する。つまり、卓越周波数帯は、がいし13のサイズから一意に特定される500Hz、630Hzまたは800Hzのいずれかの周波数帯となる。
所定周波数帯は、がいし風音の場合、後述するように、卓越周波数帯に関する暗騒音スペクトル推定の基になる特徴量を抽出するために用いられる。このことを踏まえ、がいし風音の場合、所定周波数帯は、卓越周波数帯を挟んで低周波側および高周波側のそれぞれに位置する各周波数帯とする。具体的には、図例のように、卓越周波数帯が630Hzの周波数帯であれば、これを挟んで低周波側および高周波側のそれぞれに位置する500Hzの周波数帯および800Hzの周波数帯が、所定周波数帯となる。
(S304:特徴量抽出)
所定周波数帯に着目したら、次いで、暗騒音推定部22bは、その所定周波数帯に関する特徴量を抽出する。具体的には、暗騒音推定部22bは、所定周波数帯として着目した各周波数帯について、それぞれの騒音レベルの平均値を算出し、その算出結果を所定周波数帯に関する特徴量として抽出する。つまり、がいし風音の場合、特徴量は、卓越周波数帯を挟む各周波数帯の騒音レベルの平均値に基づいて特定されることになる。
(S305:暗騒音スペクトル推定)
特徴量を抽出したら、次いで、暗騒音推定部22bは、その特徴量から暗騒音スペクトルを推定する。
具体的には、図15に示すように、暗騒音推定部22bは、特徴量として算出した平均値を、卓越周波数帯における暗騒音の騒音レベルを示す暗騒音スペクトルとして推定する。これは、卓越周波数帯とこれを挟む所定周波数帯の間では、暗騒音の騒音レベルが線形性を有する関係を示すであろうという知見に基づくものである。
(S306:卓越量算出)
その後は、卓越量算出部22cが、現地測定スペクトルと暗騒音スペクトルとの差分に基づいて、現地測定スペクトルにおける卓越量を算出する。具体的には、卓越量算出部22cは、卓越周波数帯について、現地測定スペクトルの騒音レベルと暗騒音スペクトルの騒音レベルとの差分を算出して、その算出結果を卓越量[単位:dB]とする。
(S307:評価判定・データ集計)
卓越量算出部22cが卓越量を算出したら、データ整理部22fは、その算出結果について統計的なデータ整理を行う。具体的には、上述した電線風音評価モードの場合と同様のデータ整理を行う。
(S308:モード終了)
以上のような一連の処理動作を、騒音評価装置2は、風速計4による測定結果に基づいてがいし風音評価モードが終了したと判断するまで、現地音取得部22aが現地測定スペクトルを取得する毎(すなわち、騒音計3による測定タイミング毎)に繰り返し行う。
(3−4)各モードの関係
以上に説明したように、本実施形態に係る騒音評価装置2は、電線風音評価モード、コロナ騒音評価モードまたはがいし風音評価モードのそれぞれにおいて、現地測定スペクトルの卓越量を求め、例えば卓越量が一定レベル(例えば、5dB)を超えると苦情発生を招き得る状況にあるといったように、その卓越量を架空送電設備10の騒音評価の指標とする。
なお、電線風音評価モード、コロナ騒音評価モード、がいし風音評価モードの各モードについては、それぞれ同時期に処理動作を行う必要が生じる場合も生じ得る。その場合には、例えば、ある時刻に得られた現地測定スペクトルに対して、予め設定された順に従いつつ、各モードによる処理動作を順に行うようにすることが考えられる。
(4)本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
(a)本実施形態によれば、架空送電設備10に関する騒音測定結果である現地測定スペクトルを取得すると、騒音評価装置2が自動的に(すなわち、人手の介在を要することなく)現地測定スペクトルから暗騒音スペクトルを推定し、これらの差分から卓越量を算出して架空送電設備10の騒音評価の指標とする。したがって、騒音計3が所定タイミング(例えば、1秒毎)に測定を行い、これにより現地測定スペクトルに関して大量のデータ(例えば、1ヶ月間でトータル約250万データ)を取得する場合であっても、これらのデータを容易かつ迅速に処理しつつ、架空送電設備10についての騒音評価を行うことが可能となる。
しかも、本実施形態によれば、卓越量の算出に必要となる暗騒音スペクトルの推定にあたり、現地測定スペクトルの特徴量を抽出した上で、その特徴量から暗騒音スペクトルを推定する。したがって、推定される暗騒音スペクトルは、架空送電設備10の周辺環境の実際の騒音発生状況の特徴が反映されたものとなり、その周辺環境の暗騒音スペクトルの推定を高精度に行い得るようになる。
さらに、本実施形態によれば、現地測定スペクトルの特徴量の抽出にあたり、その現地測定スペクトルの全体ではなく、その一部を構成する所定周波数帯に着目する。したがって、所定周波数帯の着目から特徴量の抽出を経て卓越量の算出に至るまでの一連の処理について、処理対象となる周波数帯を絞り込むことで、処理負荷の軽減が図れるようになる。
つまり、本実施形態によれば、架空送電設備10の騒音評価にあたり、特に暗騒音の特定および卓越量の算出を、高精度に、かつ、処理負荷軽減を図り迅速に行うことが可能となる。
(b)本実施形態によれば、風速の測定結果が風速閾値を超えているときに電線風音評価モードであると判定し、その電線風音評価モード時に現地音取得部22aで取得した現地測定スペクトルについて算出した卓越量を、架空送電設備10の電線風音に関する騒音評価の指標とする。つまり、電線風音評価モードであるか否かの判定を行い、電線風音評価モード時にのみ電線風音に関する騒音評価のための処理動作を行う。したがって、電線風音に関する騒音評価について、騒音評価装置2における処理負荷の軽減が図れる。
(c)本実施形態によれば、電線風音評価モード時において、卓越周波数帯を除く周波数帯を所定周波数帯として着目し、その所定周波数帯のピーク周波数帯から高周波数側に向けて騒音レベルが減少するスペクトル形状を特徴量として特定し、ピーク周波数帯を中心にそのスペクトル形状を反転させて得られる周波数スペクトルを暗騒音スペクトルとして推定する。つまり、電線風音評価モード時には、卓越周波数帯の範囲が広くなり得ることから(例えば、50Hzから250Hzまでの範囲)、各周波数帯の騒音レベルが一般に正規分布またはガウス分布を示すという知見に基づいて、暗騒音スペクトルの推定を行う。したがって、暗騒音スペクトルの推定を、必要十分な精度を担保しつつ、少ない処理負荷で迅速に行うことができる。
(d)特に、本実施形態で説明したように、1/3オクターブ分析における50Hzから250Hzまでの範囲の少なくとも一つの周波数帯を含む卓越周波数帯に対して、所定周波数帯については、卓越周波数帯を除いた範囲からさらに絞り込み、1/3オクターブ分析における800Hz、1kHz、1.25kHzの各周波数帯を含むものとすれば、更なる処理負荷の軽減が図れるようになる。
(e)また、本実施形態で説明したように、暗騒音スペクトルの推定は、卓越量が発生し得る卓越周波数帯の範囲についてのみ行うようにしてもよく、その場合にも、更なる処理負荷の軽減が図れるようになる。
(f)本実施形態によれば、湿度の測定結果が湿度閾値を超えているときにコロナ騒音評価モードであると判定し、そのコロナ騒音評価モード時に現地音取得部22aで取得した現地測定スペクトルについて算出した卓越量を、架空送電設備10のコロナ騒音に関する騒音評価の指標とする。つまり、コロナ騒音評価モードであるか否かの判定を行い、コロナ騒音評価モード時にのみコロナ騒音に関する騒音評価のための処理動作を行う。したがって、コロナ騒音に関する騒音評価について、騒音評価装置2における処理負荷の軽減が図れる。
(g)本実施形態によれば、コロナ騒音評価モード時において、卓越周波数帯を挟んで低周波側および高周波側のそれぞれに位置する各周波数帯を所定周波数帯として着目し、各周波数帯の騒音レベルの平均値に基づいて特徴量を特定した上で、その特徴量として算出した平均値を卓越周波数帯における暗騒音の騒音レベルを示す暗騒音スペクトルとして推定する。つまり、コロナ騒音評価モード時には、卓越周波数帯が商用電源周波数から一意に特定されることから(例えば、100Hzまたは125Hzのいずれかの周波数帯)、その卓越周波数帯を挟む両隣の各周波数帯を所定周波数帯として着目し、暗騒音の騒音レベルが各周波数帯で線形性を有する関係を示すという知見に基づいて、各周波数帯の騒音レベルの平均値から暗騒音スペクトルの推定を行う。したがって、暗騒音スペクトルの推定を、必要十分な精度を担保しつつ、少ない処理負荷で迅速に行うことができる。
(h)本実施形態によれば、風速の測定結果が風速閾値を超えているときにがいし風音評価モードであると判定し、そのがいし風音評価モード時に現地音取得部22aで取得した現地測定スペクトルについて算出した卓越量を、架空送電設備10のがいし風音に関する騒音評価の指標とする。つまり、がいし風音評価モードであるか否かの判定を行い、がいし風音評価モード時にのみがいし風音に関する騒音評価のための処理動作を行う。したがって、がいし風音に関する騒音評価について、騒音評価装置2における処理負荷の軽減が図れる。
(i)本実施形態によれば、がいし風音評価モード時において、卓越周波数帯を挟んで低周波側および高周波側のそれぞれに位置する各周波数帯を所定周波数帯として着目し、各周波数帯の騒音レベルの平均値に基づいて特徴量を特定した上で、その特徴量として算出した平均値を卓越周波数帯における暗騒音の騒音レベルを示す暗騒音スペクトルとして推定する。つまり、がいし風音評価モード時には、架空送電設備10が有するがいし13のサイズから卓越周波数帯が一意に特定されることから(例えば、500Hz、630Hzまたは800Hzのいずれかの周波数帯)、その卓越周波数帯を挟む両隣の各周波数帯を所定周波数帯として着目し、暗騒音の騒音レベルが各周波数帯で線形性を有する関係を示すという知見に基づいて、各周波数帯の騒音レベルの平均値から暗騒音スペクトルの推定を行う。したがって、暗騒音スペクトルの推定を、必要十分な精度を担保しつつ、少ない処理負荷で迅速に行うことができる。
<本発明の他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
上述の実施形態では、電線風音評価モード、コロナ騒音評価モード、がいし風音評価モードの各モードに対応している場合について説明したが、必ずしも各モードの全てに対応している必要はなく、いずれか一つまたは複数のモードのみに対応していても構わない。
また、評価対象となる騒音は、電線風音、コロナ騒音、がいし風音の各騒音以外であってもよい。その場合であっても、評価対象となる騒音の種類に応じて予め定められた所定周波数帯に着目して特徴量を抽出した上で、その特徴量に基づいて暗騒音スペクトルを推定して卓越量を算出することで、騒音評価を高精度に、かつ、処理負荷軽減を図り迅速に行うことが可能となる。
<本発明の好ましい態様>
以下、本発明の好ましい態様について付記する。
(付記1)
本発明の一態様によれば、
送電線を有する架空送電設備の周辺環境の音の測定結果を周波数解析して得られる当該音の周波数スペクトルを現地測定スペクトルとして取得する現地音取得部と、
前記現地音取得部で取得した現地測定スペクトルの一部を構成する所定周波数帯に関する特徴量を抽出し、当該特徴量から前記周辺環境の暗騒音の周波数スペクトルである暗騒音スペクトルを推定する暗騒音推定部と、
前記現地測定スペクトルと前記暗騒音スペクトルとの差分に基づき前記現地測定スペクトルにおける卓越量を算出し、当該卓越量を前記架空送電設備の騒音評価の指標とする卓越量算出部と、
を備える騒音評価装置が提供される。
(付記2)
好ましくは、付記1に記載の騒音評価装置であって、
前記周辺環境における風速の測定結果を取得し、当該測定結果が所定の風速閾値を超えるか否かを判定する風速判定部を備え、
前記卓越量算出部は、前記風速の測定結果が前記風速閾値を超えているときに前記現地音取得部が取得した現地測定スペクトルについて算出した卓越量を、前記架空送電設備の電線風音に関する騒音評価の指標とする。
(付記3)
好ましくは、付記1または2に記載の騒音評価装置であって、
前記所定周波数帯は、前記卓越量が発生する卓越周波数帯を除く周波数帯であり、
前記特徴量は、前記所定周波数帯において騒音レベルが最大のピーク周波数帯から当該ピーク周波数帯よりも高周波数側の周波数帯に向けて騒音レベルが減少することを表すスペクトル形状によって特定されるものであり、
前記暗騒音スペクトルは、前記ピーク周波数帯を中心にして対称性を有するように前記スペクトル形状を反転させて得られる周波数スペクトルである。
(付記4)
好ましくは、付記3に記載の騒音評価装置であって、
前記所定周波数帯は、1/3オクターブ分析における800Hz、1kHz、1.25kHzの各周波数帯を含み、
前記卓越周波数帯は、1/3オクターブ分析における50Hzから250Hzまでの範囲の少なくとも一つの周波数帯を含む。
(付記5)
好ましくは、付記1から4のいずれか1つに記載の騒音評価装置であって、
前記暗騒音推定部は、前記卓越量が発生する卓越周波数帯の範囲についてのみ前記暗騒音スペクトルの推定を行う。
(付記6)
好ましくは、付記1に記載の騒音評価装置であって、
前記周辺環境における湿度の測定結果を取得し、当該測定結果が所定の湿度閾値を超えるか否かを判定する湿度判定部を備え、
前記卓越量算出部は、前記湿度の測定結果が前記湿度閾値を超えているときに前記現地音取得部が取得した現地測定スペクトルについて算出した卓越量を、前記架空送電設備のコロナ騒音に関する騒音評価の指標とする。
(付記7)
好ましくは、付記1または6に記載の騒音評価装置であって、
前記所定周波数帯は、前記卓越量が発生する卓越周波数帯を挟んで低周波側および高周波側のそれぞれに位置する各周波数帯であり、
前記特徴量は、前記各周波数帯の騒音レベルの平均値に基づいて特定されるものであり、
前記暗騒音スペクトルは、前記平均値を前記卓越周波数帯の騒音レベルとするものである。
(付記8)
好ましくは、付記7に記載の騒音評価装置であって、
前記卓越周波数帯は、前記架空送電設備が対応する商用電源周波数から一意に特定される周波数帯である。
(付記9)
好ましくは、付記1に記載の騒音評価装置であって、
前記周辺環境における風速の測定結果を取得し、当該測定結果が所定の風速閾値を超えるか否かを判定する風速判定部を備え、
前記卓越量算出部は、前記風速の測定結果が前記風速閾値を超えているときに前記現地音取得部が取得した現地測定スペクトルについて算出した卓越量を、前記架空送電設備のがいし風音に関する騒音評価の指標とする。
(付記10)
好ましくは、付記1または9に記載の騒音評価装置であって、
前記所定周波数帯は、前記架空送電設備が有するがいしのサイズから一意に特定される周波数帯である卓越周波数帯を挟んで低周波側および高周波側のそれぞれに位置する各周波数帯であり、
前記特徴量は、前記各周波数帯の騒音レベルの平均値に基づいて特定されるものであり、
前記暗騒音スペクトルは、前記平均値を前記卓越周波数帯の騒音レベルとするものである。
(付記11)
本発明の他の一態様によれば、
送電線を有する架空送電設備の周辺環境の音の測定結果を周波数解析して得られる当該音の周波数スペクトルを現地測定スペクトルとして取得する現地音取得工程と、
前記現地音取得工程で取得した現地測定スペクトルの一部を構成する所定周波数帯に関する特徴量を抽出し、当該特徴量から前記周辺環境の暗騒音の周波数スペクトルである暗騒音スペクトルを推定する暗騒音推定工程と、
前記現地測定スペクトルと前記暗騒音スペクトルとの差分に基づき前記現地測定スペクトルにおける卓越量を算出し、当該卓越量を前記架空送電設備の騒音評価の指標とする卓越量算出工程と、
を備える騒音評価方法が提供される。
(付記12)
本発明のさらに他の一態様によれば、
コンピュータに、
送電線を有する架空送電設備の周辺環境の音の測定結果を周波数解析して得られる当該音の周波数スペクトルを現地測定スペクトルとして取得する現地音取得ステップと、
前記現地音取得ステップで取得した現地測定スペクトルの一部を構成する所定周波数帯に関する特徴量を抽出し、当該特徴量から前記周辺環境の暗騒音の周波数スペクトルである暗騒音スペクトルを推定する暗騒音推定ステップと、
前記現地測定スペクトルと前記暗騒音スペクトルとの差分に基づき前記現地測定スペクトルにおける卓越量を算出し、当該卓越量を前記架空送電設備の騒音評価の指標とする卓越量算出ステップと、
を実行させるための騒音評価プログラムが提供される。
(付記13)
本発明のさらに他の一態様によれば、
送電線を有する架空送電設備の周辺環境における風速の測定結果を取得し、当該測定結果が所定の風速閾値を超えるか否かを判定する風速判定部と、
前記架空送電設備の周辺環境の音の測定結果を周波数解析して得られる当該音の周波数スペクトルを現地測定スペクトルとして取得する現地音取得部と、
前記現地音取得部で取得した現地測定スペクトルの一部を構成する所定周波数帯に関する特徴量を抽出し、当該特徴量から前記周辺環境の暗騒音の周波数スペクトルである暗騒音スペクトルを推定する暗騒音推定部と、
前記現地測定スペクトルと前記暗騒音スペクトルとの差分に基づき前記現地測定スペクトルにおける卓越量を算出し、当該卓越量を前記架空送電設備の電線風音に関する騒音評価の指標とする卓越量算出部と、
を備え、
前記現地測定スペクトルは、前記風速の測定結果が前記風速閾値を超えていると前記風速判定部が判定したときに前記現地音取得部が取得した周波数スペクトルであり、
前記所定周波数帯は、前記卓越量が発生する卓越周波数帯を除く周波数帯であり、
前記特徴量は、前記所定周波数帯において騒音レベルが最大のピーク周波数帯から当該ピーク周波数帯よりも高周波数側の周波数帯に向けて騒音レベルが減少することを表すスペクトル形状によって特定されるものであり、
前記暗騒音スペクトルは、前記ピーク周波数帯を中心にして対称性を有するように前記スペクトル形状を反転させて得られる周波数スペクトルである
騒音評価装置が提供される。
(付記14)
本発明のさらに他の一態様によれば、
送電線を有する架空送電設備の周辺環境における湿度の測定結果を取得し、当該測定結果が所定の湿度閾値を超えるか否かを判定する湿度判定部と、
前記架空送電設備の周辺環境の音の測定結果を周波数解析して得られる当該音の周波数スペクトルを現地測定スペクトルとして取得する現地音取得部と、
前記現地音取得部で取得した現地測定スペクトルの一部を構成する所定周波数帯に関する特徴量を抽出し、当該特徴量から前記周辺環境の暗騒音の周波数スペクトルである暗騒音スペクトルを推定する暗騒音推定部と、
前記現地測定スペクトルと前記暗騒音スペクトルとの差分に基づき前記現地測定スペクトルにおける卓越量を算出し、当該卓越量を前記架空送電設備のコロナ騒音に関する騒音評価の指標とする卓越量算出部と、
を備え、
前記現地測定スペクトルは、前記湿度の測定結果が前記湿度閾値を超えていると前記湿度判定部が判定したときに前記現地音取得部が取得した周波数スペクトルであり、
前記所定周波数帯は、前記卓越量が発生する卓越周波数帯を挟んで低周波側および高周波側のそれぞれに位置する各周波数帯であり、
前記特徴量は、前記各周波数帯の騒音レベルの平均値に基づいて特定されるものであり、
前記暗騒音スペクトルは、前記平均値を前記卓越周波数帯の騒音レベルとするものである
騒音評価装置が提供される。
(付記15)
本発明のさらに他の一態様によれば、
送電線を有する架空送電設備の周辺環境における風速の測定結果を取得し、当該測定結果が所定の風速閾値を超えるか否かを判定する風速判定部と、
前記架空送電設備の周辺環境の音の測定結果を周波数解析して得られる当該音の周波数スペクトルを現地測定スペクトルとして取得する現地音取得部と、
前記現地音取得部で取得した現地測定スペクトルの一部を構成する所定周波数帯に関する特徴量を抽出し、当該特徴量から前記周辺環境の暗騒音の周波数スペクトルである暗騒音スペクトルを推定する暗騒音推定部と、
前記現地測定スペクトルと前記暗騒音スペクトルとの差分に基づき前記現地測定スペクトルにおける卓越量を算出し、当該卓越量を前記架空送電設備のがいし線風音に関する騒音評価の指標とする卓越量算出部と、
を備え、
前記現地測定スペクトルは、前記風速の測定結果が前記風速閾値を超えていると前記風速判定部が判定したときに前記現地音取得部が取得した周波数スペクトルであり、
前記所定周波数帯は、前記架空送電設備が有するがいしのサイズから一意に特定される周波数帯である卓越周波数帯を挟んで低周波側および高周波側のそれぞれに位置する各周波数帯であり、
前記特徴量は、前記各周波数帯の騒音レベルの平均値に基づいて特定されるものであり、
前記暗騒音スペクトルは、前記平均値を前記卓越周波数帯の騒音レベルとするものである
騒音評価装置が提供される。
1 騒音評価システム
2 騒音評価装置
3 騒音計
4 風速計
5 湿度計
6 通信回線
10 架空送電設備
11 鉄塔
12 送電線
13 がいし
21 通信インタフェース部
22 CPU
22a 現地音取得部
22b 暗騒音推定部
22c 卓越量算出部
22d 風速判定部
22e 湿度判定部
22f データ整理部
23 RAM
24 記憶部
25 操作インタフェース部
26 内部バス

Claims (9)

  1. 送電線を有する架空送電設備の周辺環境の音の測定結果を周波数解析して得られる当該音の周波数スペクトルを現地測定スペクトルとして取得する現地音取得部と、
    前記現地音取得部で取得した現地測定スペクトルの一部を構成する所定周波数帯に関する特徴量を抽出し、当該特徴量から前記周辺環境の暗騒音の周波数スペクトルである暗騒音スペクトルを推定する暗騒音推定部と、
    前記現地測定スペクトルと前記暗騒音スペクトルとの差分に基づき前記現地測定スペクトルにおける卓越量を算出し、当該卓越量を前記架空送電設備の騒音評価の指標とする卓越量算出部と、
    を備える騒音評価装置。
  2. 前記周辺環境における風速の測定結果を取得し、当該測定結果が所定の風速閾値を超えるか否かを判定する風速判定部を備え、
    前記卓越量算出部は、前記風速の測定結果が前記風速閾値を超えているときに前記現地音取得部が取得した現地測定スペクトルについて算出した卓越量を、前記架空送電設備の電線風音に関する騒音評価の指標とする
    請求項1に記載の騒音評価装置。
  3. 前記所定周波数帯は、前記卓越量が発生する卓越周波数帯を除く周波数帯であり、
    前記特徴量は、前記所定周波数帯において騒音レベルが最大のピーク周波数帯から当該ピーク周波数帯よりも高周波数側の周波数帯に向けて騒音レベルが減少することを表すスペクトル形状によって特定されるものであり、
    前記暗騒音スペクトルは、前記ピーク周波数帯を中心にして対称性を有するように前記スペクトル形状を反転させて得られる周波数スペクトルである
    請求項1または2に記載の騒音評価装置。
  4. 前記周辺環境における湿度の測定結果を取得し、当該測定結果が所定の湿度閾値を超えるか否かを判定する湿度判定部を備え、
    前記卓越量算出部は、前記湿度の測定結果が前記湿度閾値を超えているときに前記現地音取得部が取得した現地測定スペクトルについて算出した卓越量を、前記架空送電設備のコロナ騒音に関する騒音評価の指標とする
    請求項1に記載の騒音評価装置。
  5. 前記所定周波数帯は、前記卓越量が発生する卓越周波数帯を挟んで低周波側および高周波側のそれぞれに位置する各周波数帯であり、
    前記特徴量は、前記各周波数帯の騒音レベルの平均値に基づいて特定されるものであり、
    前記暗騒音スペクトルは、前記平均値を前記卓越周波数帯の騒音レベルとするものである
    請求項1または4に記載の騒音評価装置。
  6. 前記周辺環境における風速の測定結果を取得し、当該測定結果が所定の風速閾値を超えるか否かを判定する風速判定部を備え、
    前記卓越量算出部は、前記風速の測定結果が前記風速閾値を超えているときに前記現地音取得部が取得した現地測定スペクトルについて算出した卓越量を、前記架空送電設備のがいし風音に関する騒音評価の指標とする
    請求項1に記載の騒音評価装置。
  7. 前記所定周波数帯は、前記架空送電設備が有するがいしのサイズから一意に特定される周波数帯である卓越周波数帯を挟んで低周波側および高周波側のそれぞれに位置する各周波数帯であり、
    前記特徴量は、前記各周波数帯の騒音レベルの平均値に基づいて特定されるものであり、
    前記暗騒音スペクトルは、前記平均値を前記卓越周波数帯の騒音レベルとするものである
    請求項1または6に記載の騒音評価装置。
  8. 送電線を有する架空送電設備の周辺環境の音の測定結果を周波数解析して得られる当該音の周波数スペクトルを現地測定スペクトルとして取得する現地音取得工程と、
    前記現地音取得工程で取得した現地測定スペクトルの一部を構成する所定周波数帯に関する特徴量を抽出し、当該特徴量から前記周辺環境の暗騒音の周波数スペクトルである暗騒音スペクトルを推定する暗騒音推定工程と、
    前記現地測定スペクトルと前記暗騒音スペクトルとの差分に基づき前記現地測定スペクトルにおける卓越量を算出し、当該卓越量を前記架空送電設備の騒音評価の指標とする卓越量算出工程と、
    を備える騒音評価方法。
  9. コンピュータに、
    送電線を有する架空送電設備の周辺環境の音の測定結果を周波数解析して得られる当該音の周波数スペクトルを現地測定スペクトルとして取得する現地音取得ステップと、
    前記現地音取得ステップで取得した現地測定スペクトルの一部を構成する所定周波数帯に関する特徴量を抽出し、当該特徴量から前記周辺環境の暗騒音の周波数スペクトルである暗騒音スペクトルを推定する暗騒音推定ステップと、
    前記現地測定スペクトルと前記暗騒音スペクトルとの差分に基づき前記現地測定スペクトルにおける卓越量を算出し、当該卓越量を前記架空送電設備の騒音評価の指標とする卓越量算出ステップと、
    を実行させるための騒音評価プログラム。
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