JP2019094858A - 内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料噴射制御に関する異常をより適切に検出することができる内燃機関の燃料噴射制御装置を提供する。【解決手段】ECU40は、燃料噴射弁30の駆動特性に関するパラメータを取得する取得部と、取得部により取得した駆動特性に関するパラメータに基づいて、駆動特性のずれを補償する補正量を算出する補正量算出部と、補正量算出部により算出した補正量が所定の制御範囲から外れた場合に、駆動特性のずれに起因する異常が生じていると判定する第1異常判定部と、第1異常判定部により駆動特性のずれに起因する異常が生じていると判定されておらず、かつ取得部により取得した駆動特性に関するパラメータが異常を示した場合に、駆動特性のずれに起因する異常とは異なる異常が生じていると判定する第2異常判定部と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関の燃料噴射制御装置に関する。
内燃機関においては、例えば燃料噴射弁により多段噴射を行う場合に微少噴射が実施されることがある。燃料噴射弁の弁体において微少噴射を実施可能なリフト領域では、燃料噴射弁の個体差による駆動特性の相違が比較的大きく現れる。そこで従来、噴射パルスのオフ後における燃料噴射弁の端子電圧をフィルタ処理することにより、燃料噴射弁の閉弁タイミングを特定するパラメータとして電圧変曲点時間を算出し、その算出した電圧変曲点時間を用いて、燃料噴射弁のリフト量ばらつきに起因する噴射量ばらつきを補正することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2015−96722号公報
燃料噴射弁の経年劣化等が生じると、噴射量ばらつきを補償するための補正量が正常範囲から逸脱することがある。かかる場合には、その補正量に基づき燃料噴射系に異常が生じていると判定することにより、異常に応じた適切な措置を講じることが可能となる。したがって、燃料噴射弁による燃料噴射を適切に制御するには、燃料噴射系に生じた異常を的確に検出することが必要である。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、燃料噴射制御に関する異常をより適切に検出することができる内燃機関の燃料噴射制御装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について説明する。
本発明は、燃料噴射弁(30)による燃料噴射を制御する内燃機関(11)の燃料噴射制御装置に関する。請求項1に記載の発明は、前記燃料噴射弁の駆動特性に関するパラメータを取得する取得部と、前記取得部により取得した前記駆動特性に関するパラメータに基づいて、前記駆動特性のずれを補償する補正量を算出する補正量算出部と、前記補正量算出部により算出した前記補正量が所定の制御範囲から外れた場合に、前記駆動特性のずれに起因する異常が生じていると判定する第1異常判定部と、前記第1異常判定部により前記駆動特性のずれに起因する異常が生じていると判定されておらず、かつ前記取得部により取得した前記駆動特性に関するパラメータが異常を示した場合に、前記駆動特性のずれに起因する異常とは異なる異常が生じていると判定する第2異常判定部と、を備える。
第1異常判定部は、燃料噴射弁の駆動特性のずれを補償するための補正量が正常範囲を逸脱し、適切な噴射量を維持できなくなる異常を検出する。この第1異常判定部は、燃料噴射弁の経年劣化等を検出するのに適している。一方、燃料噴射弁の駆動特性に関するパラメータを用いて算出した補正量が正常範囲内にあっても、駆動特性に関するパラメータ自体が異常を示していることがある。また、駆動特性に関するパラメータが異常を示した場合に、その異常を示したパラメータを用いて、燃料噴射弁の駆動特性のずれを補償するための補正量を算出すると、燃料噴射弁の噴射量を適切に制御できないことが懸念される。この点、上記構成によれば、駆動特性に関するパラメータの異常を、燃料噴射弁の駆動特性のずれを補償する補正量とは切り分けて検出することにより、燃料噴射系に生じている異常をより適切に検出することができる。
エンジン制御システムの概略構成図。 燃料噴射制御についての機能ブロック図。 燃料噴射弁の駆動状態を示す図であり、(a)はフルリフト状態、(b)はパーシャルリフト状態を示す図。 パーシャルリフト領域とフルリフト領域とを示す図。 噴射パルスオフ後のマイナス端子電圧の推移及び電圧変曲点時間を表すタイムチャート。 補正量異常診断の具体的態様を示すタイムチャート。 信号異常診断の具体的態様を示すタイムチャート。 信号異常診断処理の処理手順を示すフローチャート。 補正量異常診断処理の処理手順を示すフローチャート。 電圧変曲点時間算出処理の処理手順を示すフローチャート。 噴射量学習の実施態様を示す図。(a)はリフト学習であり、(b)はゼロリフト学習である。
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態は、車両用の筒内噴射式の多気筒ガソリンエンジンを制御する制御システムとして具体化している。まず、図1を用いてエンジン制御システムの概略構成を説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一又は均等である部分には、図中、同一符号を付しており、同一符号の部分についてはその説明を援用する。
エンジン11において、吸気管12の最上流部にはエアクリーナ13が設けられ、エアクリーナ13の下流側には、吸入空気量を検出するエアフローメータ14が設けられている。エアフローメータ14の下流側には、モータ15によって開度調節されるスロットルバルブ16と、スロットルバルブ16の開度(スロットル開度)を検出するスロットル開度センサ17とが設けられている。
スロットルバルブ16の下流側にはサージタンク18が設けられている。サージタンク18には、吸気管圧力を検出する吸気管圧力センサ19が設けられている。また、サージタンク18には、エンジン11の各気筒21に空気を導入する吸気マニホールド20が接続されている。エンジン11の各気筒21には、それぞれ筒内に燃料を直接噴射する電磁式の燃料噴射弁30が取り付けられている。エンジン11のシリンダヘッドには、気筒21ごとに点火プラグ22が取り付けられており、各気筒21の点火プラグ22の火花放電によって筒内の混合気に着火される。
エンジン11の排気管23には、排気を検出対象にして混合気の空燃比又はリッチ/リーン等を検出する排気センサ24が設けられている。排気センサ24は、空燃比センサ、酸素センサ等である。排気センサ24の下流側には、排気を浄化する三元触媒等の触媒25が設けられている。
エンジン11のシリンダブロックには、冷却水温を検出する冷却水温センサ26や、ノッキングを検出するノックセンサ27が取り付けられている。クランク軸28の外周側には、クランク軸28が所定クランク角回転するごとにパルス信号を出力するクランク角センサ29が取り付けられている。クランク角センサ29のクランク角信号に基づいて、クランク角やエンジン回転速度が検出される。これら各種センサの出力はECU40に入力される。
ECU40は、マイクロコンピュータを主体として構成された電子制御ユニットであり、内蔵されたROM(記憶媒体)に記憶されている制御プログラムを用い、各種センサの検出信号に基づいてエンジン11の各種制御を実施する。ECU40が燃料噴射制御装置に相当する。ECU40は、エンジン運転状態に応じた要求噴射量を算出し、その要求噴射量に基づいて燃料噴射弁30の駆動を制御するとともに、点火プラグ22の点火時期を制御する。
ECU40は、図2に示すように、燃料噴射制御を実施するエンジン制御用のマイコン41と、燃料噴射弁駆動用の駆動IC42とを備えている。マイコン41は、エンジン運転状態に基づいて要求噴射量を算出するとともに、算出した要求噴射量に基づいて噴射パルスTi(噴射指令値)を設定する。また、設定した噴射パルスTiを駆動IC42に出力する。駆動IC42は、マイコン41から入力した噴射パルスTiにより燃料噴射弁30を駆動し、要求噴射量分の燃料を燃料噴射弁30から噴射させる。本実施形態では、噴射パルス演算部43が要求噴射量及び噴射パルスを算出し、駆動制御部48が、噴射パルスTiにより燃料噴射弁30を駆動する。駆動IC42の演算部49には、燃料噴射弁30のマイナス端子電圧Vmが入力される。
本実施形態において、エンジン11は4気筒ガソリンエンジンであり、各気筒に設けられた燃料噴射弁30による燃料噴射として、1燃焼サイクル内の吸気行程及び圧縮行程の少なくとも一方において噴射パルスTiに基づき燃料を噴射する。4つの気筒(第1気筒♯1〜第4気筒♯4)の燃焼順序は「♯1→♯3→♯4→♯2」である。燃料噴射に際しては、燃焼順序が一つ置きとなる2つの気筒をひとまとめにしてそれぞれ駆動グループ1,2としており、駆動グループごとの駆動系統で各燃料噴射弁30が駆動される。本実施形態では、第1気筒♯1及び第4気筒♯4が駆動グループ1に属し、第2気筒♯2及び第3気筒♯3が駆動グループ2に属している。
燃料噴射弁30には、マイナス端子電圧Vmを検出する電圧センサ51や、電磁部(コイル)に流れる通電電流を検出する電流センサ52が設けられている(図1参照)。電圧センサ51及び電流センサ52の検出結果はECU40に逐次入力される。
燃料噴射制御としては、燃料噴射弁30の弁体をフルリフト位置まで到達させて、フルリフト状態で所望量の燃料を噴射するフルリフト噴射と、燃料噴射弁30の弁体がフルリフト位置に到達する前のパーシャルリフト状態で弁体の開弁側への移動を終了させ、その状態で所望の微少量の燃料を噴射するパーシャルリフト噴射とを実施している。パーシャルリフト噴射は、例えば分割噴射の実施時において、メイン噴射(例えば吸気行程噴射)の後に実施される燃料噴射(例えば圧縮行程噴射)で行われる。
フルリフト噴射及びパーシャルリフト噴射について、図3を用いて説明する。なお、図3中、(a)はフルリフト噴射時の動作を示し、(b)はパーシャルリフト噴射時の動作を示している。
図3に示すように、燃料噴射弁30は、通電により電磁力を生じさせる電磁部としてのコイル31と、磁性体よりなる固定コア32と、磁性体よりなり電磁力によって固定コア32の側に吸引される可動コア33と、可動コア33と一体的に駆動されるニードル状の弁体34と、弁体34を閉弁側に付勢する第1スプリング35と、可動コア33を反閉弁側に付勢する第2スプリング36とを有している。コイル31への通電に伴い弁体34が弁座から離れて開弁側に移動することにより燃料噴射弁30が開弁状態となり、燃料噴射が行われる。なお、第2スプリング36の付勢力は、第1スプリング35の付勢力よりも小さく設定されている。
図3(a)、(b)では噴射パルス幅が相違している。図3(a)に示すように、弁体リフト量がフルリフト量となる場合には、噴射パルス幅が比較的長くなる。この場合、弁体34が、可動コア33が固定コア32側のストッパ32aに突き当たる位置であるフルリフト位置に到達する。一方、図3(b)に示すように、弁体リフト量がパーシャルリフト量となる場合には、噴射パルス幅が比較的短くなる。この場合、弁体34が、可動コア33がストッパ32aに突き当たる手前の状態であり、フルリフト位置に到達しないパーシャルリフト状態となる。噴射パルスの立ち下がりに伴いコイル31の通電が停止されると、可動コア33と弁体34とが閉弁位置に戻ることで燃料噴射弁30が閉弁状態となり、燃料噴射が停止される。なお、可動コア33と弁体34とが別体で構成されているため、弁体34が閉位置に到達した際には、弁体34はその閉位置で保持されるのに対し、可動コア33は単独でより先端側に移動する。
図4は、パーシャルリフト噴射を実施するパーシャルリフト領域と、フルリフト噴射を実施するフルリフト領域とを示す図である。図4に示すように、パーシャルリフト領域及びフルリフト領域のいずれにおいても、噴射パルス幅(すなわち通電時間)が長いほど、燃料噴射量が直線的に多くなる傾向を有する。
燃料噴射弁30は、噴射パルスのオフ後に、誘電起電力によってマイナス端子電圧Vmが変化する。この特性について図5を用いて説明する。なお、図5中、(a)は噴射パルスのオンオフの推移、(b)はマイナス端子電圧Vmの推移、(c)は差分Vdiffの推移、(d)は電圧変曲点時間Tdiffの推移をそれぞれ示している。
燃料噴射弁30のコイル31に通電して開弁させ、その後、噴射パルス幅に対応する時間の経過後に通電を停止させると、通電オフ直後の所定期間では、バッテリ電圧VBよりも高いフライバック電圧(逆起電圧)が発生する(図5(b)参照)。本実施形態では、このフライバック電圧を利用して、燃料噴射弁30における実際の閉弁タイミングを特定している。具体的には、マイナス端子電圧Vmの電圧変曲点が生じるまでの時間である電圧変曲点時間Tdiffを算出し、電圧変曲点時間Tdiffにより閉弁タイミングを特定する。電圧変曲点時間Tdiffによれば、燃料噴射弁30の閉弁タイミングのバラツキによる噴射量ばらつきを把握できる。電圧変曲点時間Tdiffは駆動IC42の演算部49により次のようにして算出される。
演算部49はまず、パーシャルリフト噴射による燃料噴射の実施期間中に、噴射パルスをオフした後のマイナス端子電圧Vmを、ノイズ成分の周波数よりも低い第1周波数f1をカットオフ周波数とする第1ローパスフィルタでフィルタ処理(なまし処理)した第1フィルタ電圧Vsm1を算出する。第1ローパスフィルタは、カットオフ周波数(第1周波数f1)よりも低い周波数帯域を通過域とするローパスフィルタである。
また、演算部49は、噴射パルスをオフした後のマイナス端子電圧Vmを、第1周波数f1よりも低い第2周波数f2をカットオフ周波数とする第2ローパスフィルタでフィルタ処理(なまし処理)した第2フィルタ電圧Vsm2を算出する。こうした処理により、演算部49は、マイナス端子電圧Vmからノイズ成分を除去した第1フィルタ電圧Vsm1と、閉弁位置検出用の第2フィルタ電圧Vsm2とを算出する。第2ローパスフィルタは、カットオフ周波数(第2周波数f2)よりも低い周波数帯域を通過域とするローパスフィルタである。
続いて、第1フィルタ電圧Vsm1と第2フィルタ電圧Vsm2との差分Vdiff(=Vsm1−Vsm2)を算出する。また、噴射パルスのオフ後の基準タイミングから、差分Vdiffが閾値Vtを超えるタイミング(図5のt4)までに要した時間を算出し、これを電圧変曲点時間Tdiffとする。基準タイミングとしては、噴射パルスをオフした後にマイナス端子電圧Vmが判定値Voffを下回るタイミング(換言すれば、マイナス端子電圧Vmが判定値Voffに対して大から小となる最初のタイミング)が設定されており、図5のt3が基準タイミングに相当する。なお、電圧変曲点時間Tdiffの算出処理はエンジン11の気筒毎に行い、気筒毎に閉弁タイミングを算出する。電圧変曲点時間Tdiffが「燃料噴射弁30の駆動特性に関するパラメータ」に相当する。
なお、基準タイミングを、噴射パルスのオン時(図5のt1)、あるいは噴射パルスのオフ時(図5のt2)としてもよい。閾値Vtは、燃圧や燃温等に応じた可変値であってもよく、あるいは予め設定された固定値であってもよい。
次に、電圧変曲点時間算出の実行例について図5を用いて説明する。パーシャルリフト噴射の実施期間中では、燃料噴射弁30のマイナス端子電圧Vmを第1ローパスフィルタでフィルタ処理した第1フィルタ電圧Vsm1が算出されるとともに、燃料噴射弁30のマイナス端子電圧Vmを第2ローパスフィルタでフィルタ処理した第2フィルタ電圧Vsm2が算出される。更に、第1フィルタ電圧Vsm1と第2フィルタ電圧Vsm2との差分Vdiffが算出される。
基準タイミングt3で電圧変曲点時間Tdiffが「0」にリセットされ、電圧変曲点時間Tdiffの算出が開始される。そして、所定の演算周期Tsで電圧変曲点時間Tdiffをカウントアップする処理が繰り返される。その後、差分Vdiffが閾値Vtを超えるタイミングt4で、電圧変曲点時間Tdiffのカウントアップが終了される。これにより、基準タイミングt3から、差分Vdiffが閾値Vtを超えるタイミングt4までの時間が電圧変曲点時間Tdiffとして算出され、次の基準タイミングt6まで保持される。電圧変曲点時間Tdiffのカウントアップが終了したタイミングt4から次の基準タイミングt6までの期間に、エンジン制御用のマイコン41により電圧変曲点時間Tdiffが駆動IC42から取得される。
燃料噴射弁30のパーシャルリフト領域では、噴射パルスをオンからオフに切り替えてからリフト開始位置に戻り閉弁するまでに要する時間が、燃料噴射弁30の個体差や経時変化等の影響を受けて変化しやすく、噴射量ばらつきが大きくなりやすい。本実施形態では、燃料噴射弁30の閉弁タイミングに応じて電圧変曲点時間Tdiffが変化する、つまり電圧変曲点時間Tdiffと噴射量との間には相関関係があることに着目し、電圧変曲点時間Tdiffにより噴射量ばらつきを学習(以下、「リフト学習」という。)するとともに、リフト学習により算出した学習値を用いてパーシャルリフト噴射の噴射パルスを補正している。
本実施形態の燃料噴射制御について、図2の機能ブロック図を用いてさらに説明する。図2に示すように、ECU40のマイコン41は、噴射パルス演算部43、通電補正部44、異常診断部45及び異常記録部46を備えている。また、駆動IC42は、駆動制御部48及び演算部49を備えている。
噴射パルス演算部43は、要求噴射量に基づいて噴射パルスTiを算出し、その算出した噴射パルスTiを駆動IC42の駆動制御部48に出力する。駆動制御部48は、噴射パルス演算部43から入力した噴射パルスTiに基づいて燃料噴射弁30を駆動し、要求噴射量に対応する燃料量を燃料噴射弁30から噴射させる。駆動IC42の演算部49は、燃料噴射弁30のマイナス端子電圧Vmを入力し、マイナス端子電圧Vmを用いて電圧変曲点時間Tdiffを算出する。演算部49は、電圧変曲点時間Tdiffを表す信号(以下、「リフト特性信号」という。)をマイコン41の通電補正部44に出力する。
通電補正部44は、演算部49から電圧変曲点時間Tdiffを取得し、電圧変曲点時間Tdiffを用いて通電補正量Qkを算出する。通電補正量Qkは、閉弁タイミングのばらつきに起因する噴射量ばらつきを補償するための学習値である。ここでは、リフト学習の実行中に演算部49から取得した電圧変曲点時間Tdiffを用いて算出する。通電補正部44で算出した通電補正量Qkは噴射パルス演算部43に入力される。噴射パルス演算部43は、通電補正量Qkを用いて要求噴射量を算出する。通電補正量Qkには上限ガード及び下限ガードが設けられており、上限値Quと下限値Qdとの間の制御範囲A内の値が設定される(図6参照)。なお、通電補正部44が「取得部」及び「補正量算出部」に相当する。
燃料噴射弁30の経時劣化等により適切な燃料噴射が実施できなくなると、通電補正量Qkが制御範囲Aから外れ、上限値Qu又は下限値Qdに張り付いた状態になる。そこで本実施形態では、異常診断部45に補正量診断部45Aを設け(図2参照)、補正量診断部45Aにより通電補正量Qkが制御範囲Aから外れているか否かの異常診断(以下、補正量異常診断処理という。)を実施している。
具体的には、図6に示すように、リフト学習により学習した通電補正量Qkの更新が許可され(時刻t21)、これにより更新実行フラグFkがオフからオンに切り替えられると、通電補正部44は、通電補正量Qkの更新を開始する(時刻t22)。通電補正量Qkの更新に必要な期間が経過すると、通電補正部44は、その期間経過後の時刻t23で補正量異常判定実行フラグFjをオフからオンに切り替える。これに伴い、異常診断部45の補正量診断部45Aは補正量異常診断処理を実行する。
補正量異常診断処理では、補正量診断部45Aは、通電補正部44から通電補正量Qk(学習値)を入力するとともに、その入力した通電補正量Qkが、上限値Quと下限値Qdとの間の制御範囲A内の値か否かを判定する。そして、通電補正量Qkが制御範囲A内の値であれば、その気筒(図6では第1気筒♯1〜第3気筒♯3)について通電補正量Qkは正常であると判定する。一方、通電補正量Qkが上限値Qu又は下限値Qdに張り付いた場合には、その気筒(図6では第4気筒♯4)について通電補正量Qkの異常が発生していると判定する。なお、通電補正量Qkの異常が「燃料噴射弁30の駆動特性のずれに起因する異常」に相当する。図6(a)では、正常な気筒の通電補正量Qkを一点鎖線で示し、異常が生じている気筒の通電補正量Qkを実線で示している。
補正量異常診断処理の結果(通電補正量異常の有無)は異常記録部46に記憶され、異常記録部46から噴射パルス演算部43に入力される。噴射パルス演算部43に通電補正量異常有りの診断結果が入力されると、噴射パルス演算部43は、異常有りと判定された気筒について、更新された通電補正量Qkによる噴射量補正を禁止する。
なお、同一又は異なる気筒に対して通電補正量異常有りと複数回診断された場合には、マイコン41は、その異常を警告装置(例えばスピーカや表示装置)により運転者に通知するようにしてもよい。補正量異常診断処理は、リフト学習により通電補正量Qkが更新される都度、各気筒について実行される。リフト学習は、エンジン11の始動時に、より具体的には、点火遅角等により触媒温度を早期に上昇させる触媒早期暖機制御の実行中に行われる。
ここで、通電補正量Qkが制御範囲A内の値を示している場合でも、駆動IC42からマイコン41へ出力される電圧変曲点時間Tdiffの信号自体が異常な場合がある。このような異常は、例えば燃料噴射弁30が想定外の動きをしたり、演算部49での演算処理自体が一時的又は継続的に正しく行われなかったりした場合に起こることが考えられる。また、電圧変曲点時間Tdiffを表す信号(リフト特性信号)の出力自体に異常が生じた場合、その電圧変曲点時間Tdiffを用いて学習した通電補正量Qkは適正な値とは言えず、かかる場合、適切な燃料噴射量制御を実現できなくなることが懸念される。そこで本実施形態では、リフト特性信号の出力異常を通電補正量Qkの異常とは切り分けて検出し、これを記憶することにより、燃料噴射システムの異常診断をより精度良く実施するようにしている。
本実施形態では、マイコン41の異常診断部45は信号診断部45Bを有しており(図2参照)、信号診断部45Bによってリフト特性信号の出力異常診断(以下、信号異常診断処理という。)を実施している。以下、信号異常診断処理について図7を用いてさらに説明する。なお、補正量診断部45Aが「第1異常判定部」に相当し、信号診断部45Bが「第2異常判定部」に相当する。
図7中、(a)はリフト特性信号の出力の推移、(b)はリフト学習の許否の推移、(c)は信号異常判定実行フラグFiの推移、(d)は信号異常カウンタCの推移をそれぞれ示している。信号異常判定実行フラグFiは、信号異常診断処理の実行が許可されたか否かを示すフラグであり、リフト学習の実行中である場合にオンされ、これにより信号異常診断処理の実行が許可される。信号異常カウンタCは、リフト特性信号の出力異常が検出された場合にカウントアップされるカウンタである。図7(a)では、正常な気筒の出力を点線で示し、異常が生じている気筒の出力を実線で示している。図7(a)の横軸は時間を示し、縦軸は電圧変曲点時間Tdiffの大きさを表している。例えば第1気筒♯1について、リフト学習が開始されてから第n回目の燃料噴射での電圧変曲点時間TdiffはT(n)である。
図7において、リフト学習が開始されたことに伴い信号異常判定実行フラグFiがオフからオンに切り替えられると、信号診断部45Bは信号異常診断処理を開始する(時刻t31)。各気筒のリフト特性信号が下限値Vdと上限値Vuとの間の出力範囲B内にあれば、信号診断部45Bは信号異常カウンタCをカウントアップせずに前回値を保持する。その後、信号異常診断処理を実施中に第4気筒♯4のリフト特性信号が上限値Vuを超えると、信号診断部45Bは、リフト特性信号が出力範囲Bから外れている間、第4気筒♯4の信号異常カウンタC4をカウントアップする(時刻t32〜)。信号異常カウンタCは異常記録部46に記憶され、異常記録部46から通電補正部44に入力される。通電補正部44にリフト特性信号の異常有りの診断結果が入力されると、通電補正部44は、異常有りと判定された気筒について通電補正量Qkの更新を禁止する。
リフト学習が終了し信号異常判定実行フラグFiがオフされると、信号診断部45Bは、そのオフ時の信号異常カウンタCの気筒ごとの値を異常記録部46に記憶させる。また、信号診断部45Bは、信号異常カウンタCが異常判定値Cthよりも大きくなった場合に、その気筒においてリフト特性信号の出力異常が生じていると判定する。また、その異常診断の結果を異常記録部46に記憶させる。信号異常カウンタCの値はリセットされずにそのまま保持され、次回の信号異常診断では前回のカウンタ値からカウントアップされる。リフト特性信号の出力異常が「燃料噴射弁30の駆動特性のずれに起因する異常とは異なる異常」に相当する。
次に、信号異常診断処理の処理手順について図8のフローチャートを用いて説明する。この処理は、ECU40のマイコン41により所定の演算周期(例えば数msec毎)で繰り返し実行される。
図8において、ステップS101では、信号異常診断の実行条件が成立しているか否か(信号異常判定実行フラグFiがオンか否か)を判定する。信号異常診断の実行条件としては、通電補正量Qkの学習実行条件が成立していること、つまりリフト学習の実行中であることを少なくとも含んでいる。リフト学習の実行条件としては、エンジン始動後の所定期間において触媒早期暖機制御の実行中であること、及び今回のトリップでリフト学習が未完了であることが含まれている。なお、リフト学習は1トリップに1回実行される。
信号異常診断の実行条件が成立している場合には、ステップS102へ進み、リフト特性信号が出力範囲Bから外れているか否かを判定する。リフト特性信号が出力範囲B内の値であれば、ステップS102で否定判定され、そのまま本ルーチンを終了する。
一方、リフト特性信号が出力範囲Bから外れている場合には、ステップS103へ進み、通電補正量Qkの学習及び更新を禁止する。つまり、今回のトリップでは、リフト学習による通電補正量Qkの更新を禁止する。またステップS104では、信号異常カウンタCを予め定めた所定値だけ(例えば1)カウントアップする。
その後、ステップS105では、信号異常カウンタCが異常判定値Cth(例えば2〜4)よりも大きいか否かを判定し、C>CthであればステップS106へ進み、通電補正量異常が生じていないか否かを判定する。ここでは、前回のトリップでの補正量異常診断の結果を取得し、その取得した情報により通電補正量Qkの異常の有無を判定する。通電補正量異常が生じていなければ、ステップS107へ進み、リフト特性信号の出力異常が生じていることをバックアップ用メモリ(不揮発性記憶領域)に記憶する。通電補正量異常が生じている場合には、以下の図9の補正量異常診断処理により通電補正量異常有りと判定される。ステップS106で否定判定された場合、リフト特性信号の出力異常有りの異常内容を通電補正量異常とともに記憶してもよい。
なお、リフト学習の実行条件が不成立になると、別ルーチンにより信号異常判定実行フラグFiがオフにされる。この場合、ステップS101では否定判定され、信号異常診断処理が終了される。また、信号異常診断処理が終了すると更新実行フラグFkがオンに切り替えられる。本実施形態では、今回の信号異常診断でリフト特性信号が出力範囲Bから外れたことが検出された場合には、今回のトリップでの通電補正量Qkの更新を禁止する一方、信号異常カウンタCが異常判定値Cthを超えていない限り、次回以降の信号異常診断ではリフト特性信号が出力範囲B内であれば通電補正量Qkの更新を許容する。
次に、補正量異常診断処理の処理手順について図9のフローチャートを用いて説明する。この処理は、ECU40のマイコン41により所定の演算周期(例えば数msec毎)で繰り返し実行される。
図9において、ステップS200では、更新実行フラグFkがオンか否かを判定する。更新実行フラグFkがオフの場合にはステップS200で否定判定され、そのまま本ルーチンを終了する。一方、更新実行フラグFkがオンの場合にはステップS201へ進む。ステップS201では、通電補正量Qkの学習更新処理を実行する。この学習更新処理では、例えば今回のトリップで燃料噴射毎に取得した電圧変曲点時間Tdiffの平均値を気筒ごとに算出し、これを学習値として通電補正量Qkを更新する。ステップS202では、通電補正量Qkの更新完了に伴い、更新実行フラグFkをオフにし、補正量異常判定実行フラグFjをオンにする。
続くステップS203では、通電補正量Qkが上下限に張り付いているか否かを判定する。通電補正量Qkが制御範囲A内の値であれば、ステップS203で否定判定されてそのまま本ルーチンを終了する。一方、通電補正量Qkが上下限に張り付いている場合には、ステップS204へ進み、通電補正量異常が生じたことをバックアップ用メモリに記憶する。また、ステップS205では、通電補正量異常が生じていることを運転者に通知する。ステップS206では、補正量異常判定実行フラグFjをオフにし、本ルーチンを終了する。
次に、電圧変曲点時間Tdiffの算出処理について図10のフローチャートを用いて説明する。この処理は、駆動IC42により所定の演算周期で繰り返し実行される。
図10において、ステップS301では、燃料噴射弁30のマイナス端子電圧Vmを取得する。続くステップS302では、マイナス端子電圧Vmを第1ローパスフィルタでフィルタ処理して第1フィルタ電圧Vsm1を算出する。第1ローパスフィルタは、第1フィルタ電圧の前回値Vsm1(k−1)とマイナス端子電圧の今回値Vm(k)とを用いて、第1フィルタ電圧の今回値Vsm1(k)を求めるデジタルフィルタであり、下記(1)式で実装されている。
Vsm1(k)=
{(n1−1)/n1}×Vsm1(k−1)+(1/n1)×Vm(k) …(1)
なお、第1ローパスフィルタの時定数n1は、マイナス端子電圧Vmのサンプリング周波数fs(=1/Ts)と、第1ローパスフィルタのカットオフ周波数(第1周波数f1)とを用いた下記(2)式の関係を満たすように設定されている。
1/fs:1/f1=1:(n1−1) …(2)
続くステップS303では、マイナス端子電圧Vmを第1周波数f1よりも低い第2周波数f2をカットオフ周波数とする第2ローパスフィルタでフィルタ処理した第2フィルタ電圧Vsm2を算出する。第2ローパスフィルタは、第2フィルタ電圧の前回値Vsm2(k−1)と、マイナス端子電圧の今回値Vm(k)とを用いて第2フィルタ電圧の今回値Vsm2(k)を求めるデジタルフィルタであり、下記(3)式で実装されている。
Vsm2(k)=
{(n2−1)/n2}×Vsm2(k−1)+(1/n2)×Vm(k) …(3)
なお、第2ローパスフィルタの時定数n2は、マイナス端子電圧Vmのサンプリング周波数fs(=1/Ts)と、第2ローパスフィルタのカットオフ周波数(第2周波数f2)とを用いた下記(4)式の関係を満たすように設定されている。
1/fs:1/f2=1:(n2−1) …(4)
続くステップS304では、第1フィルタ電圧Vsm1と第2フィルタ電圧Vsm2との差分Vdiff(=Vsm1−Vsm2)を算出する。なお、差分Vdiffが0以上にならないようにガード処理して、マイナス成分だけを抽出するようにしてもよい。
続くステップS305では、閾値Vtを取得するとともに、電圧変曲点時間の前回値Tdiff(k−1)を取得する。ステップS306では、噴射パルスがオフか否かを判定する。ステップS306で肯定判定された場合には、ステップS307へ進み、燃料噴射弁30のマイナス端子電圧Vmが判定値Voffを下回るタイミング(判定値Voffよりも大から小になるタイミング)であるか否かを判定する。ステップS307で肯定判定された場合にはステップS309へ進み、電圧変曲点時間の今回値Tdiff(k)を「0」にリセットする。
一方、ステップS307で否定判定された場合には、ステップS308へ進み、第1フィルタ電圧Vsm1と第2フィルタ電圧Vsm2との差分Vdiffが閾値Vtを超えたか否か(閾値Vtよりも小から大になったか否か)を判定する。ステップS308で否定判定された場合には、ステップS310へ進み、電圧変曲点時間の前回値Tdiff(k−1)に所定値Ts(本ルーチンの演算周期)を加算して電圧変曲点時間の今回値Tdiff(k)を求めることで、電圧変曲点時間Tdiffをカウントアップする。
一方、ステップS308で、差分Vdiffが閾値Vtを超えたと判定されるとステップS311へ進み、電圧変曲点時間の今回値Tdiff(k)を前回値Tdiff(k−1)に保持する。これにより、噴射パルスのオフ後に燃料噴射弁30のマイナス端子電圧Vmが判定値Voffを下回るタイミング(基準タイミング)から、差分Vdiffが閾値Vtを超えるタイミングまでの時間を電圧変曲点時間Tdiffとして算出する。
なお、ステップS306で噴射パルスがオフではない(つまり、噴射パルスがオンである)と判定された場合には、今回値Tdiff(k)を前回値Tdiff(k−1)で保持し、電圧変曲点時間Tdiffの算出値を次の基準タイミングまで保持する。
以上詳述した本実施形態によれば、次の優れた効果が得られる。
電圧変曲点時間Tdiffを用いて算出した通電補正量Qkが正常範囲内にあっても、電圧変曲点時間Tdiffの出力自体が異常を示していることがある。この点、上記構成によれば、リフト特性信号の出力異常を、燃料噴射弁の駆動特性のずれを補償する補正量とは切り分けて検出するため、燃料噴射システムに生じている異常を適切に検出することができる。
また、電圧変曲点時間Tdiffが異常を示し、その異常が継続するとやがて通電補正量Qkが制御範囲Aから逸脱することが想定される。この点、上記構成によれば、駆動特性に関するパラメータである電圧変曲点時間Tdiffに異常が現れた段階でその異常を検出するため、リフト特性信号の出力異常が通電補正量Qkの異常として現れるよりも前の段階で異常(出力信号異常)を検出することができる。
パーシャルリフト噴射の実施中に、リフト特性信号が異常を示していることの異常判定を実施することにより、リフト特性信号の出力異常を診断するための機会を別途設けなくても駆動特性の異常判定を実施することができる。
燃料噴射弁30による燃料噴射量と、弁体34がリフト開始位置に戻るタイミング(すなわち閉弁タイミング)とは相関性を有している。これに鑑み、燃料噴射弁30の駆動特性に関するパラメータとして、弁体34がリフト開始位置に戻るタイミングを特定するパラメータである電圧変曲点時間Tdiffを算出し、電圧変曲点時間Tdiffにより燃料噴射弁30の駆動特性のずれを補償する補正量(通電補正量Qk)を算出することにより、各燃料噴射弁30が有する定常的なずれを把握することができる。また、通電補正量Qkを用いた異常診断は、経年劣化に関する異常の検出に適している。
マイコン41に入力される駆動特性に関するパラメータ(電圧変曲点時間Tdiff)の出力値が異常値を示している場合に、その異常を示した電圧変曲点時間Tdiffを用いて通電補正量Qkを算出し更新すると、実際の通電補正量Qkからずれた値により通電補正量Qkを更新してしまうことが考えられる。この場合、燃料噴射制御を適正に実施できないことが懸念される。そこで、電圧変曲点時間Tdiffが異常を示した場合には、その異常を示した電圧変曲点時間Tdiffを用いた通電補正量Qkの更新を禁止する構成とした。この構成によれば、燃料噴射制御の制御性が低下することを抑制することができる。
信号異常診断処理が終了した場合には信号異常カウンタCの値をそのまま保持し、次回の信号異常診断では前回のカウンタ値からカウントアップする構成とした。この構成によれば、1回の信号異常診断処理の診断時間が短くても、異常が生じている場合にはできるだけ早期に異常を検出することができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について第1実施形態との相違点を中心に説明する。第1実施形態では、パーシャルリフト噴射を実施している期間で電圧変曲点時間Tdiffを取得するとともに、その取得した電圧変曲点時間Tdiffを用いて噴射量学習(リフト学習)を実施する構成について説明した。これに対し本実施形態では、リフト学習に加え、弁体34が駆動しない範囲の通電時間で燃料噴射弁30に通電するゼロリフト通電を実施し、ゼロリフト通電を実施している期間に取得した電圧変曲点時間Tdiffを用いて噴射量学習(以下、「ゼロリフト学習」という。)及び信号異常診断を実施している。
ゼロリフト学習について詳しくは、噴射パルス演算部43からの指令信号を入力すると、駆動IC42の演算部49は、燃料噴射弁30から燃料を噴射しない期間(本実施形態では、減速時の燃料カット中)に、弁体34が駆動しない範囲の噴射パルスで燃料噴射弁30に通電する(図11(b)参照)。そして、通電オフ後のマイナス端子電圧Vmを用いて、図10に示す処理により電圧変曲点時間Tdiffを所定の演算周期で(例えば、燃料噴射弁30からの噴射毎に)繰り返し算出し、通電補正部44に出力する。
通電補正部44は、入力した電圧変曲点時間Tdiffを用いて、パーシャルリフト噴射の噴射量を補正するための通電補正量Qkを算出し、噴射パルス演算部43に出力する。つまり、通電補正部44は、リフト学習により通電補正量Qk1を算出するとともに、ゼロリフト学習により通電補正量Qk2を算出する。噴射パルス演算部43は、通電補正部44から入力した通電補正量Qk1,Qk2を用いて噴射パルスTiを算出する。ゼロリフト学習は、1トリップに1回実施される。
ゼロリフト学習を実施している期間には、異常診断部45は、リフト学習の場合と同様に電圧変曲点時間Tdiffを取得し、電圧変曲点時間Tdiffが異常を示しているか否か、つまり、リフト特性信号が出力範囲B内の値であるか否かを判定している。そして、リフト特性信号が出力範囲Bから外れていると判定された場合には、その異常を異常記録部46に記憶するとともに、今回のトリップでは通電補正量Qkの更新を禁止する。また、異常診断部45は、通電補正量Qkの異常は検出されていないにもかかわらず、信号異常カウンタCが異常判定値Cthよりも大きくなった場合には、リフト特性信号の出力異常が生じていると判定し、その異常内容を記憶する。
ただし、ゼロリフト通電時には弁体34は動いていないため、パーシャルリフト噴射に比べて電圧変曲点時間Tdiffの出力ばらつきが小さい。そこで、リフト学習での出力範囲B1と、ゼロリフト学習での出力範囲B2とを異ならせている。具体的には、ゼロリフト学習での出力範囲B2は、リフト学習での出力範囲B1よりも上限値Vuと下限値Vdとの差(縦軸方向の幅)が小さく設定されている。これにより、ゼロリフト学習時の信号異常診断では、電圧変曲点時間Tdiffの小さい変化で異常有りと診断されやすくなっている。
ゼロリフト学習中に実行される信号異常診断処理は、基本的にはリフト学習中に実行される信号異常診断処理と同じである。具体的には、信号異常診断の実行条件として、リフト学習の実行中であることの代わりにゼロリフト学習の実行であることを含み、図8のステップS101では、ゼロリフト学習の実行中である場合に肯定判定される。そして、ステップS102以降の処理と同じ処理が実行される。ゼロリフト学習の実行条件としては、車両減速中の燃料カット中であること、及び今回のトリップでゼロリフト学習が未完了であることが含まれている。なお、リフト学習の実行条件には、エンジン始動後の所定期間において触媒早期暖機制御の実行中であること、及び今回のトリップでリフト学習が未完了であることに加え、ゼロリフト学習が以前に行われたことが含まれている。
以上詳述した第2実施形態によれば、第1実施形態で説明した効果に加え、次の優れた効果が得られる。
パーシャルリフト噴射を実施する機会(具体的には、触媒早期暖機中)は限られているため、リフト特性信号に基づく異常診断の機会を十分に確保できないことが懸念される。この点、ゼロリフト学習の実施中(具体的には、車両減速時の燃料カット中)にもリフト特性信号に基づく異常診断を実施することにより、出力信号異常の診断機会を十分に確保することができる。
ゼロリフト通電を実施している場合では弁体34は動いていないため、パーシャルリフト噴射に比べてリフト特性信号のばらつきが小さい。この点に着目し、パーシャルリフト噴射の実施時における出力範囲B1と、ゼロリフト通電の実施時における出力範囲B2とを異なる幅に設定して異常診断を実施する構成とした。このような構成とすることにより、リフト特性信号を用いた異常診断において誤検出を抑制することができる。
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態の内容に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
・上記第1実施形態ではリフト学習中に信号異常診断を実施し、上記第2実施形態ではリフト学習中及びゼロリフト学習中に信号異常診断を実施したが、ゼロリフト学習中にのみ信号異常診断を実施する構成としてもよい。また、リフト学習中又はゼロリフト学習中に限らず、それ以外のエンジン運転状態において(例えば常時)信号異常診断を実施する構成としてもよい。
・今回の信号異常診断でリフト特性信号が出力範囲Bから外れたことが検出された場合には、今回のトリップだけでなく次回以降のトリップでの通電補正量Qkの更新を禁止する構成としてもよい。
・上記実施形態では、信号異常診断後でも信号異常カウンタCの値をリセットせずにそのまま保持したが、信号異常診断処理を実行する毎に信号異常カウンタCをリセットするようにしてもよい。
・噴射指令値に所定の係数を加算又は乗算して異常判定値を算出し、その算出した異常判定値とリフト特性信号とを比較することにより電圧変曲点時間Tdiffが異常を示しているか否かを判定する構成としてもよい。
・上記実施形態では、リフト特性信号が出力範囲Bから外れた場合に電圧変曲点時間Tdiffが異常を示したとして、信号異常カウンタCをカウントアップする構成とした。ここで、演算が適切に行われなかったために電圧変曲点時間Tdiffが算出されず、リフト特性信号が一時的に出力されないことがある。この点を考慮し、演算周期毎にリフト特性信号が出力されない場合に、電圧変曲点時間Tdiffが異常を示したとして信号異常カウンタCをカウントアップしてもよい。
・上記実施形態では、車両減速時の燃料カット中にゼロリフト学習を実行したが、車両の運転状態が、燃料噴射弁30を駆動しない運転状態であればよい。例えば、イグニッションオン後、エンジンが始動される前にゼロリフト学習を実施してもよい。また、車両停止中の燃料カット中にゼロリフト学習を実施するようにしてもよい。
・上記の各構成要素は概念的なものであり、上記実施形態に限定されない。例えば、一つの構成要素が有する機能を複数の構成要素に分散して実現したり、複数の構成要素が有する機能を一つの構成要素で実現したりしてもよい。
11…エンジン(内燃機関)、30…燃料噴射弁、34…弁体、40…ECU(取得部、補正量算出部、第1異常判定部、第2異常判定部、噴射制御部、通電制御部)、41…マイコン、42…駆動IC。

Claims (6)

  1. 燃料噴射弁(30)による燃料噴射を制御する内燃機関(11)の燃料噴射制御装置であって、
    前記燃料噴射弁の駆動特性に関するパラメータを取得する取得部と、
    前記取得部により取得した前記駆動特性に関するパラメータに基づいて、前記駆動特性のずれを補償する補正量を算出する補正量算出部と、
    前記補正量算出部により算出した前記補正量が所定の制御範囲から外れた場合に、前記駆動特性のずれに起因する異常が生じていると判定する第1異常判定部と、
    前記第1異常判定部により前記駆動特性のずれに起因する異常が生じていると判定されておらず、かつ前記取得部により取得した前記駆動特性に関するパラメータが異常を示した場合に、前記駆動特性のずれに起因する異常とは異なる異常が生じていると判定する第2異常判定部と、
    を備える内燃機関の燃料噴射制御装置。
  2. 前記燃料噴射弁の弁体(34)がフルリフト位置に到達しない通電時間で前記燃料噴射弁を開弁駆動するパーシャルリフト噴射を実施する噴射制御部を備え、
    前記取得部は、前記パーシャルリフト噴射を実施している期間での前記弁体のリフト挙動を表すパラメータを前記駆動特性に関するパラメータとして取得し、
    前記第2異常判定部は、前記パーシャルリフト噴射を実施している期間に、前記駆動特性のずれに起因する異常とは異なる異常の有無を判定する、請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  3. 前記取得部は、前記パーシャルリフト噴射においてリフトされた前記弁体がリフト開始位置に戻るタイミングを特定するパラメータを前記駆動特性に関するパラメータとして取得する、請求項2に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  4. 前記燃料噴射弁の弁体が駆動しない通電時間で前記燃料噴射弁に通電するゼロリフト通電制御を実施する通電制御部を備え、
    前記取得部は、前記ゼロリフト通電制御を実施している期間での前記弁体のリフト挙動を表すパラメータを前記駆動特性に関するパラメータとして取得し、
    前記第2異常判定部は、前記ゼロリフト通電制御を実施している期間に、前記駆動特性のずれに起因する異常とは異なる異常の有無を判定する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  5. 前記弁体がフルリフト位置に到達しない通電時間で前記燃料噴射弁を開弁駆動するパーシャルリフト噴射を実施する噴射制御部を備え、
    前記取得部は、前記パーシャルリフト噴射を実施している期間での前記弁体のリフト挙動を表すパラメータと、前記ゼロリフト通電制御を実施している期間での前記弁体のリフト挙動を表すパラメータとを前記駆動特性に関するパラメータとして取得し、
    前記第2異常判定部は、前記パーシャルリフト噴射を実施している期間に前記駆動特性に関するパラメータが第1範囲から外れた場合に、前記駆動特性のずれに起因する異常とは異なる異常が生じていると判定するとともに、前記ゼロリフト通電制御を実施している期間に前記駆動特性に関するパラメータが第2範囲から外れた場合に、前記駆動特性のずれに起因する異常とは異なる異常が生じていると判定し、
    前記第1範囲と前記第2範囲とが異なる、請求項4に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  6. 前記第2異常判定部により前記補正量の異常とは異なる異常が生じていると判定された場合に、異常を示した前記駆動特性に関するパラメータを用いた前記補正量の更新を禁止する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
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