JP2019092931A - ステント - Google Patents

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Abstract

【課題】アンカー部材を備えるステントにおいて、デリバリーシステムへ収納可能であり、拡径時にアンカー部材が径方向外側に展開可能なステントを提供する。【解決手段】ステント1Aを、素材20により円筒状に構成され、縮径した状態から拡径した状態に変形可能なステント本体部2と、形状記憶特性を有する線材により環状に構成される複数のアンカー部材4Aと、を備えるものとし、アンカー部材4Aは、ステント本体部2の一端部近傍における外周の複数箇所にそれぞれ設けられ、ステント本体部2の側面視において湾曲した湾曲形状に形状記憶され、湾曲形状の凸側がステント本体部2の径方向内側を向くようにステント本体部2に接続して取り付けられる。【選択図】図1

Description

本発明は、生体管路に用いられるステントに関する。
従来、血管や消化管等の生体管路の狭窄性疾患(腫瘍や炎症等)において、狭窄部に網目状の円筒であるステントを留置して、狭窄部を拡張し開存状態を維持する治療が行われている。
ステントとしては、永久留置を想定した金属製ステントの他に、一定期間経過後に抜去が容易な被覆ステントや生分解性の合成樹脂繊維等で構成される生分解性ステントが知られている。
これらステントのうち生分解性ステントは、血管や消化管内で時間の経過と共に分解されるので、ステントを体内から抜去する必要がない。そのため、特に良性の狭窄性疾患に対して用いることで、患者への負担を軽減することが期待されている。
一般的にステントは、デリバリーシステムと呼ばれる細管状の部材に径方向に圧縮された状態で収納されて、内視鏡を用いて狭窄部に運搬される。デリバリーシステムを狭窄部まで近接させた後、デリバリーシステムからステントが放出されて、狭窄部にステントが留置される。
ステント放出後は、形状記憶合金で構成される自己拡張型の金属製ステントの場合、自己の拡張力によってステントの網目を患部に食い込ませることが可能であり、留置部位からの位置ずれは生じにくい。それに対して、膜で覆われた被覆ステントや拡張力の弱い生分解性ステントは、ステントの網目を患部に食い込ませることが困難であるため、留置部位からの位置ずれが生じやすい。
そのため、特許文献1では、留置部位からのステントの移動や逸脱を低減するためのアンカー部材として生分解性の棘状部材をステントの外側に備える被覆ステントが提案されている。
特許第4721704号公報
生分解性の棘状部材を備えるステントを上述のデリバリーシステムに収納した場合、棘状部材は、収納時にステントの径方向内側に圧縮されてくせ付けられてしまうため、ステントがデリバリーシステムから放出された後にステントの径方向外側に展開せず、アンカー部材として十分な機能を発揮することが困難である。
従って、本発明は、アンカー部材を備えるステントにおいて、デリバリーシステム等の細管状の部材へ収納可能であり、ステント拡径時にアンカー部材が径方向外側に展開可能なステントを提供することを目的とする。
本発明は、円筒状に構成され、縮径した状態から拡径した状態に変形可能なステント本体部と、形状記憶特性を有する線材により閉じた環状に構成される複数のアンカー部材と、を備えるステントであって、前記アンカー部材は、前記ステント本体部の一端部の近傍における外周の複数箇所にそれぞれ設けられ、前記ステント本体部の側面視において湾曲した湾曲形状に形状記憶され、前記湾曲形状の凸側が前記ステント本体部の径方向内側を向くように前記ステント本体部に接続して取り付けられるステントに関する。
また、前記アンカー部材は、楕円形状に構成され、前記楕円形状の短軸方向から見て湾曲した湾曲形状に形状記憶され、前記楕円形状の長軸方向が前記ステント本体部の軸方向に沿うように、且つ、前記湾曲形状の凸側が前記ステント本体部の径方向内側を向くように前記ステント本体部に接続して取り付けられることが好ましい。
また、前記アンカー部材は、更に前記ステント本体部の前記一端部とは反対側の他端部の近傍の外周の複数箇所にそれぞれ設けられることが好ましい。
また、前記アンカー部材は、前記線材の一部が前記ステント本体部の内側に挿通されることが好ましい。
また、ステントは、2つの前記アンカー部材の一端部同士が、湾曲形状の凸側を合わせるように接続されて構成された山型アンカー部材を備えることが好ましい。
本発明によれば、アンカー部材が湾曲形状に形状記憶されているので、細管状の部材に収納時には、アンカー部材をステント本体部の軸方向に沿って変形させてステントを縮径した状態とすることができ、細管状の部材からステントが放出された後は、アンカー部材が湾曲形状に戻り、ステント本体部の径方向外側にアンカー部材を展開することができる。
第1実施形態に係るステントを示す斜視図である。 図1に示すステントの側面図である。 図2Aの部分拡大図であり、拡径機構の構成を示す図である。 図2Aに示すステントが拡径した状態を示す図である。 係止部にリング部材を係止させる動作、及び紐状部材を取り外す動作を説明するための係止部における拡大模式図である。 アンカー部材の例を示す模式図である。 図4Aに示すアンカー部材を短軸方向から見た場合の模式図である。 図1に示すステントを縮径した状態で狭窄部に近接させた状態を示す図である。 図5Aに示す状態からステントを拡径して狭窄部に配置した状態を示す図である。 第1実施形態の変形例に係るステントを示す模式図である。 第2実施形態に係るステントを示す斜視図である。 図7に示すステントの側面図である。 図8に示すステントを縮径した状態で狭窄部に近接させた状態を示す図である。 図9Aに示す状態からステントを拡径して狭窄部に配置した状態を示す図である。 本発明の実施例で用いたゲルモデルの説明図である。
以下、本発明のステントの好ましい各実施形態について図面を参照しながら説明する。
<第1実施形態>
図1〜図5を参照して第1実施形態に係るステント1Aについて説明する。図1は、ステント1Aの斜視図であり、図2A〜図2Cは、拡径機構3を説明するための図であり、図3は、拡径機構3においてリング部材を係止部に係止させる動作を説明するための拡大模式図であり、図4Aは、アンカー部材の形状の例を示す模式図であり、図4Bは、アンカー部材を短軸方向から見た場合の形状を示す模式図であり、図5A及び図5Bは、ステント1Aの狭窄部への留置方法を説明するための図である。
図1に示すように、ステント1Aは、ステント本体部2と、拡径機構3と、複数のアンカー部材4Aと、を備える。
図1において、ステント1Aの軸方向におけるX方向側をステント1Aの先端側とし、X方向とは反対側をステント1Aの基端側とする。又、ステント1Aの各構成について、X方向側を先端側、X方向とは反対側を基端側とする。
尚、本実施形態では、ステント1Aが拡径機構3を備える構成を一例として示すが、ステント1Aが拡径機構3を備えていなくてもよい。
ステント本体部2は、筒状部21と延出部22とを備え、縮径した状態と拡径した状態との間で変形可能に構成される。延出部22は、ステント本体部2の基端側に配置される。
筒状部21は、生分解性を有し、円筒状に構成されている。筒状部21は、生分解性の膜で覆われていてもよい。本実施形態では、ステント本体部2は、生分解性を有する複数本の線材20により網目状に編み込まれて円筒状に構成され、外周に線材20によって形成され且つ規則正しく配列される菱形の空孔を多数有する。筒状部21の網目は、ステント本体部2が縮径した状態において、軸方向に粗となり、ステント本体部2が拡径した状態において、軸方向に密となる。
筒状部21の先端側(X方向側)の端部は、2本の線材20の端部が繋がれて形成される。より具体的には、筒状部21の先端側における隣り合う2本の線材20の交差部位においてチューブ(図示せず)を介して接続される。接続に使用されるチューブは、例えば軟質の樹脂により形成され、可撓性を有する。
延出部22は、筒状部21の基端側から複数本の線材20が筒状部21の軸方向の基端側に向かって延出して形成される。
延出部22の基端側の端部は、2本の線材20の端部が繋がれ、ループ状に形成される。尚、ここでの「2本の線材20」とは、筒状部21又は延出部22のみに着目した場合における2本の線材20を意味し、本実施形態において「2本の線材20」は1本の線材20に由来している。
本実施形態では、延出部22は、周方向に所定間隔をあけて複数配置される。延出部22は筒状部21の一端側(基端側)のみに配置される。
ステント本体部2を形成する線材の本数は、本実施形態においては24本であるが特に限定されない。線材の本数は、好ましくは16〜24本である。ステント本体部2の大きさは特に限定されないが、例えば、拡径した状態において、直径が10〜25mmであり、長さが30〜250mmである。
また、延出部22の延出長さは、好ましくは7mm〜30mmである。
線材20としては、体内で分解吸収されて体外に排出されやすい生分解性を有する繊維であれば、どのようなものを用いてもよい。生分解性の繊維としては、例えば、L−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ―バレロラクトン、グリコール酸、トリメチレンカーボネート、パラジオキサノン等のモノマーから合成されるホモポリマー、コポリマー、及びそれらのブレンドポリマーが挙げられる。特に、ポリ−L−乳酸(PLLA)又は乳酸−カプロラクトン共重合体(P(LA/CL))、もしくはこれらのブレンドポリマーからなる繊維を用いることが好ましい。本実施形態では、ポリ−L−乳酸の繊維を用いた。
線材20は、モノフィラメント糸であってもよいし、マルチフィラメント糸であってもよい。又、線材20は、撚りをかけていてもよいし、かけていなくてもよい。生体内の狭窄部においてステント本体部2の径方向外側から加わる圧力に対する反発力を強くする観点から、線材20はモノフィラメント糸であることが好ましく、本実施形態では、線材20としてモノフィラメント糸を用いた。
線材20としての生分解性の繊維の直径は、0.05〜0.4mmであることが好ましい。生分解性の繊維(線材20)の直径が0.05mm未満であると、ステント1Aの強度が低下する傾向にある。生分解性の繊維(線材20)の直径が0.4mmを超えると、縮径した状態における径が大きくなることで、デリバリーシステム等の細管状の部材にステント1Aを収納し難くなる傾向にある。生分解性の繊維(線材20)の直径の上限は、内径が細いデリバリーシステムに収納する観点から、0.3mmであることが更に好ましい。生分解性の繊維(線材20)の直径の下限は、高い強度を維持する観点から、0.2mmであることがより好ましい。本実施形態では、線材20として、直径が0.25mmのものを用いた。
拡径機構3は、ステント本体部2を縮径した状態から拡径した状態に変形させると共にステント本体部2を拡径した状態に維持する。この拡径機構3は、図2A〜図2Cに示すように、リング部材31と、係止部32と、紐状部材33と、を備える。拡径機構3は、同じ径の金属の線材に比べて強度が弱く、自己拡張力の弱い生分解性の繊維で構成されるステント本体部2を拡径した状態に維持して、径方向の圧縮強度を得るためにステント1Aに設けられるものである。
リング部材31は、ステント本体部2を構成する線材20(生分解性の繊維)と同様の生分解性繊維、又は非生分解性合成樹脂繊維等の線材により構成され、ステント本体部2の内部に配置される。また、リング部材31を構成する線材の両端部がステント本体部2(筒状部21)を構成する線材20に結び付けられることでリング状に形成される。リング部材31を非生分解性材料により構成した場合には、体内においてリング部材31が分解されないため、ステント本体部2の拡径状態をより好適に保てる。
また、リング部材31は、後述の係止部32と係合する部分が挿通される第1チューブ311を備えていてもよい。これにより、リング部材31において紐状部材33が掛けられて引っ張られる部分を第1チューブ311により補強することができる。
ステント本体部2におけるリング部材31の取り付け位置は、ステント本体部2を好適に拡径させる観点から、延出部22が配置されていない先端側の端部に近い位置であることが好ましい。
係止部32は、ステント本体部2を構成する線材20(生分解性の繊維)と同様の生分解性繊維、又は非生分解性合成樹脂繊維等の線材によってステント本体部2の基端側に突出した細長いループ状に形成されるループ部材321と、このループ部材321が挿通される第2チューブ322と、を備える。係止部32は、ステント本体部2の基端側の端部に配置される。係止部32は、基端側に突出しているので、後述する紐状部材33の操作により、リング部材31を係止可能となる。係止部32を非生分解性材料により構成した場合には、体内において係止部32が分解されないため、ステント本体部2の拡径状態をより好適に保てる。
係止部32は、ループ部材321が挿通される第2チューブ322を備えることにより、ループ部材321が補強され、更に、係止部32の幅が小さくなることでリング部材31を係合させる動作を容易に行うことができる。
ステント本体部2における係止部32の取り付け位置は、ステント本体部2を好適に拡径させる観点から、筒状部21の基端側の端部に近い位置であることが好ましい。例えば、係止部32は、ステント本体部2における筒状部21の基端を構成する2本の線材20の接続部位から先端側に網目を1つ〜3つ分ずれた交点近傍に取り付けることができる。
紐状部材33は、ステント本体部2を構成する線材20(生分解性の繊維)と同様の生分解性繊維、非生分解性合成樹脂繊維、又は金属製の線材により構成される。紐状部材33の一端部331は、係止部32が挿通可能な環状に形成される。紐状部材33を金属製の線材により構成した場合、紐状部材33を伸び縮みしにくくできるため、体内においてステント本体部2をより正確な位置に留置できる。
より詳細には、本実施形態では、図2Bに示すように、紐状部材の一端部331に係止部32を挿通することにより、紐状部材33の一端部331は係止部32にステント本体部2の基端側の方向に取り外し可能に接続される。そして、紐状部材33は、係止部32との接続部分からステント本体部2の外側を通り、この係止部32の近傍において、ステント本体部2(筒状部21)の網目を通って筒状部21の内側に入る(図2BのA部分参照)。
次いで、紐状部材33は、筒状部21の内側をステント本体部2の先端側に向かって延び、リング部材31に挿通された後、折り返される(図2BのB部分参照)。次いで、紐状部材33は、筒状部21の内側をステント本体部2の基端側に向かって延び、係止部32の近傍において、ステント本体部2の網目(筒状部21の外側から内側に入った網目と同じ網目)を通って筒状部21の外側に出る(図2BのC部分参照)。そして、紐状部材33の他端側は、ステント本体部2の基端側に延びる。
即ち、本実施形態では、紐状部材33は、先端側においてステント本体部2(筒状部21)の内側を延びる部分と、係止部32との接続部の近傍においてステント本体部2を挿通する部分と、ステント本体部2を挿通する部分よりも基端側においてステント本体部2の外側を延びる部分と、を有する。
図3を参照して、リング部材31と係止部32とが係合し、紐状部材33が係止部32から取り外される動作について説明する。
図3(a)に示すように、紐状部材33がリング部材31に挿通された状態のまま、紐状部材33の他端部を基端側に引っ張ると、リング部材31と係止部32とが近接する方向に近付く。リング部材31が係止部32よりも先端側にあるときは、紐状部材の一端部331は、係止部32において先端側に引っ張られた状態であり、紐状部材33は、係止部32に接続されたままである。
次いで、図3(a)の状態から更に紐状部材33の他端部を基端側に引っ張ると、図3(b)に示すように、リング部材31は、紐状部材33の一端部331と共に基端側に移動する。更に紐状部材33の他端部を基端側に引っ張ると、図3(c)に示すように、リング部材31の基端側の端部及び紐状部材33の一端部331は、係止部32の基端側の端部に到達する。
また、紐状部材33は、図2Bに示すように、係止部32との接続部からステント本体部2の外側を通り、この係止部32の近傍において、ステント本体部2(筒状部21)の網目を通って筒状部21の内側に入り筒状部21の内側をステント本体部2の先端側に向かって延びる。そして、リング部材31に挿通された後、折り返されて筒状部21の内側をステント本体部2の基端側に向かって延び、紐状部材33が外側から内側に入った網目と同じ網目を通って筒状部21の外側に出ている。これにより、図3(a)及び(b)に示すように、紐状部材33に引っ張られたリング部材31は、係止部32の近傍において、網目を通ってステント本体部2の内部から外部に出てくる。
次いで、図3(d)に示すように、リング部材31は、紐状部材33から離れると共に、係止部32を外側から内側に乗り越えて、係止部32と係合する。係止部32を乗り越えたリング部材31は、ステント本体部2(筒状部21)の復元力(軸方向に伸びようとする力)により先端側に引っ張られて係止部32に係止される。
紐状部材33の他端部を更に基端側に引っ張ると、図3(e)に示すように、紐状部材33の一端部331は係止部32から取り外される。
上述の拡径機構3は、ステント本体部2の周方向に等間隔で複数配置される。本実施形態では、図1に示すように、拡径機構3は2つ配置される。
以上の拡径機構3によれば、ステント本体部2が縮径した状態において、紐状部材33をステント本体部2の基端側に引っ張ることにより、リング部材31と係止部32とが近接する方向に移動すると共にリング部材31と係止部32とが係合してステント本体部2を拡径した状態に維持し、拡径後、更に紐状部材33をステント本体部2の基端側に引っ張ることにより、紐状部材33の一端部331は係止部32から取り外される。
アンカー部材4Aは、図4Aに示すように、線材40により環状に構成される。本実施形態では、アンカー部材4Aは、楕円形状に構成される。ここで、本明細書における楕円形状とは、図4A(a)に示すような楕円の他、図4A(b)に示す長円や、図4A(c)に示す卵型あるいは雫型等の形状、及び、それらに類似した形状のもの含む。また、アンカー部材4Aは、角張っていない形状であることが好ましい。本実施形態では、アンカー部材4Aとして、図4A(b)に示す長円形状のものを用いた。また、アンカー部材4Aは、楕円形状の短軸方向から見た場合に、図4Bに示すように半円弧を描くように湾曲した形状に形成される。また、アンカー部材4Aは、閉じた楕円形状に構成されることが好ましい。
アンカー部材4Aの形状を閉じた楕円形状とすることで、アンカー部材4Aを構成する線材の端部が露出しないので、ステント1Aが留置される際、また、ステント本体部2が分解された後体外に排出される際も、腸管等の生体管路を傷付けるおそれを低減できる。また、アンカー部材4Aは、湾曲形状に形成されるので、楕円形状の長軸方向に沿って付加された応力を吸収してステント本体部2にかかる応力を低減できる。また、湾曲形状に形状記憶されたアンカー部材4Aは、腸管内を通過可能な程度の小さな部品とすることができるので、ステント本体部2が分解された後、排出されやすい。
アンカー部材4Aのステント本体部2における取り付け場所について説明する。アンカー部材4Aは、ステント1Aを狭窄部Nに留置する際に狭窄部Nの端部の健常部に配置されるように、ステント本体部2の先端部(一端部)近傍の外周に設けられる。本実施形態では、図1に示すように、2つのアンカー部材4Aを、ステント本体部2の先端部(一端部)近傍の外周における対向する2箇所にそれぞれ配置した。このように、複数のアンカー部材4Aを、周方向に均等に配置することで、ステント1Aが狭窄部Nに留置される際に、複数のアンカー部材4Aが均等に応力を受けるので、ステント1Aの狭窄部Nからの逸脱を低減することができる。
また、アンカー部材4Aは、ステント1Aを狭窄部Nに留置する際に狭窄部Nの端部の健常部に配置されて、アンカー部材4Aが狭窄部Nに引っ掛かることにより、ステント1Aの狭窄部Nからの逸脱を低減する(図5B参照)。例えば、ステント1Aが腸管に適用される場合、アンカー部材4Aは腸管の蠕動運動に曝される。よって、蠕動運動によりステント1Aが狭窄部Nをすり抜けてしまわないように、ステント本体部2に取り付けられたアンカー部材4Aを含むステント1Aの径が、狭窄部Nの径よりも大きく、健常部の径と同程度又は少し大きい径を有することが望ましい。また、ステント1Aが狭窄部Nに配置されて蠕動運動に曝された場合にも、前述したようにアンカー部材4は楕円形状の長軸方向に沿って付加された応力を吸収可能であるので、ステント1Aに蠕動運動に対する追従性を持たせることができる。
アンカー部材4Aの取付け個数について、ステント本体部2の一端部の外周について、少なくとも2つ取り付けることが好ましく、強度を高める観点から4つ以上取り付けることがより好ましい。尚、取付け個数の上限は、ステント本体部2の径、及び、細管状の部材に収納可能であるか等の条件により適宜設定できる。
アンカー部材4Aを構成する線材40としては、形状記憶特性を有する線材が用いられ、本実施形態では、ニッケル−チタン合金のワイヤを用いた。線材40としてのニッケル−チタン合金のワイヤの直径は、0.1mm〜0.5mmとすることが好ましい。線材40の直径が0.1mm未満であると、アンカー部材4Aとしての強度が低下する傾向にある。また、線材40の直径が0.5mmを超えると、後述する縮径方法においても縮径した状態における径が大きくなることで、デリバリーシステム等の細管状の部材にステント1Aを収納し難くなる傾向にある。よって、線材40の直径の上限は、内径が細いデリバリーシステムに収納する観点から、0.25mmであることが更に好ましい。線材40の直径の下限は、高い強度を維持する観点から、0.1mmであることがより好ましい。
アンカー部材4Aのステント本体部2への取付け方法について説明する。図1及び図2Aに示すように、アンカー部材4Aは、楕円形状の長軸方向がステント本体部2の軸方向に沿うように、且つ、湾曲形状の凸側がステント本体部2の径方向内側を向くようにステント本体部2に接続して取り付けられる。言い換えれば、アンカー部材4Aは、ステント本体部2の側面視において湾曲した湾曲形状に形状記憶されている。接続方法としては、アンカー部材4Aを構成する線材40の一部分とステント本体部2を構成する線材20の一部分とを接続部材を介して接続してもよいし、接着剤を用いて接続してもよい。本実施形態では、接着剤によりアンカー部材4Aを2つの接続箇所BP(図4A(b)参照)において、ステント本体部2に取り付けた。
また、接続箇所BPについて、図4A(b)に示すように、短軸方向から見て2つの接続箇所BPが重なる位置となるように、アンカー部材4Aを構成する線材40とステント本体部2を構成する線材20とを重ねた状態で接続すればよい。このように接続することで、安定してアンカー部材4Aをステント本体部2に取り付けることができ、アンカー部材4Aのうち接続されていない側の端部が、ステント本体部2の径方向外側に展開することができる。
また、ステント1Aは、拡径機構3により拡径した状態(図2C参照)を維持することでステント本体部2自体の強度が大きくなるので、ステント本体部2に取り付けられるアンカー部材4Aに負荷がかかった場合でも、アンカー部材4Aはステント本体部2により支持されて強度を保つことができる。
また、アンカー部材4Aの線材40の一部を、ステント本体部2との接続箇所BPの近傍において、ステント本体部2の線材20により形成される網目を挿通させて内側に配置した。これにより、線材40の一部を挿通させずにアンカー部材4Aをステント本体部2に接続する場合に比べて、アンカー部材4Aがステント本体部2により支持される点が増えるため、より安定してアンカー部材4Aをステント本体部2に接続でき、アンカー部材4Aとしての強度を大きくできる。
次に、図5A及び図5Bを参照して、内視鏡及びデリバリーシステムを用いてステント1Aを消化管等の狭窄部Nに留置する方法について簡単に説明する。
図5Aに示すように、ステント1Aは、ステント本体部2が縮径した状態となると共に、アンカー部材4Aがステント本体部2の軸方向に沿って伸展した状態で、不図示のデリバリーシステムにリング部材31が取り付けられた側が先端側となるように収納される。内視鏡を消化管等の狭窄部Nに接近させた後、デリバリーシステムを鉗子口から内視鏡の内部に挿入して狭窄部Nに接近させ、前述の拡径機構3を動作させて、ステント1Aをデリバリーシステムの先端から放出し、図5Bに示すようにステント1Aを狭窄部Nに留置する。この際、ステント1Aのアンカー部材4Aは、デリバリーシステムから放出されることにより、形状記憶された形状、即ち楕円形状の短軸方向から見て半円弧を描いた形状に戻る。
このようにして、ステント1Aは、アンカー部材4Aが径方向外側に展開した状態で狭窄部Nに配置される。その結果、狭窄部Nが再狭窄することが防止されると共に、アンカー部材4Aが狭窄部Nに引っ掛かることにより、狭窄部Nからのステント1Aの逸脱が低減される。
以上説明した第1実施形態のステント1Aによれば、以下のような効果を奏する。
(1)ステント1Aを、生分解性の素材(線材20)により円筒状に構成され、縮径した状態から拡径した状態に変形可能なステント本体部2と、形状記憶特性を有する線材40により楕円形状に構成される複数のアンカー部材4Aと、を備えるものとし、アンカー部材4Aは、ステント本体部2の一端部(先端部)の近傍における外周の複数箇所にそれぞれ配置され、楕円形状の側面視において湾曲した湾曲形状に形状記憶され、楕円形状の長軸方向がステント本体部2の軸方向に沿うように、且つ、湾曲形状の凸側がステント本体部2の径方向内側を向くようにステント本体部2に接続して取り付けられるものとした。
これにより、ステント1Aを細管状の部材に収納時には、ステント本体部2の軸方向に沿ってアンカー部材4Aを伸展させてステント1Aを縮径した状態とすることができ、また、ステント1Aを細管状の部材から放出することで、アンカー部材4Aがその形状記憶特性により、ステント本体部2の径方向外側に展開する。よって、ステント1Aが狭窄部Nに留置された場合に、アンカー部材4Aが展開するので、ステント1Aの先端側からの負荷がかかった場合に先端部に配置されたアンカー部材4Aが狭窄部Nに引っ掛かることにより、ステント1Aの狭窄部Nからの逸脱を低減することができる。また、アンカー部材4Aは湾曲形状に形成されるので、楕円形状の長軸方向に沿って付加された応力を吸収してステント本体部2にかかる応力を低減できる。また、アンカー部材4Aの形状を閉じた楕円形状とすることで、アンカー部材4Aを構成する線材40の端部が露出しないので、ステント1Aが留置される際も、ステント本体部2が分解された後に体外に排出される際も、腸管等の生体管路を傷付けるおそれを低減できる。また、ステント1Aは生分解性の素材により構成されるので、狭窄部Nに留置された後、一定時間が経過した後、ステント1Aを構成する各部材は、体内で分解吸収されて体外に排出される。そして、湾曲形状に形状記憶されたアンカー部材4Aは、腸管内を通過可能な程度の小さな部材とすることができるので、ステント本体部2が分解された後、排出されやすい。
(2)アンカー部材4Aを、線材40の一部がステント本体部2の内側を挿通するものとした。これにより、アンカー部材4Aは、ステント本体部2により支持される点が増えるため、より安定してステント本体部2に取り付けられる。よって、アンカー部材4Aとしての強度を大きくすることができ、更にステント1Aの狭窄部Nからの逸脱を低減することができる。
<変形例>
第1実施形態のアンカー部材のステント本体部への取付け方法の変形例について、図6を参照して説明する。
ステント1Bは、ステント本体部2と、拡径機構3と、ステント本体部2の両端部に複数のアンカー部材4と、を備える。アンカー部材4は、第1実施形態で説明したアンカー部材4Aと同様に構成される。
図6(a)に示すように、アンカー部材4をステント本体部2の一端部だけでなく両端部に配置する構成としてもよい。これにより、アンカー部材4は、ステント1Bを留置する際に狭窄部Nの両端部の健常部に配置されて、ステント1Bの先端側からの負荷には先端側に配置されたアンカー部材4が狭窄部Nに引っ掛かることにより、また、ステント1Bの基端側からの負荷には基端側に配置されたアンカー部材4が狭窄部Nに引っ掛かることにより、ステント1Bの狭窄部Nからの逸脱を低減することができる。
図6(b)に示すように、基端側に配置されたアンカー部材4の湾曲形状の凹側がステント本体部2の軸方向内側を向くように、アンカー部材4を配置してもよい。また、両端部に設けられるアンカー部材4の湾曲形状の凹側がステント本体部2の軸方向内側を向くように、アンカー部材4を配置してもよく、先端側に配置されたアンカー部材4Aの湾曲形状の凹側がステント本体部2の軸方向内側を向くように、アンカー部材4を配置してもよい。
図6(c)に示すように、アンカー部材4として、楕円形状の短軸方向から見た場合に、半円弧よりも更に大きい円弧を描くように反らせた形状を有するアンカー部材4Bを、円弧の中央付近でステント本体部2と接続する構成としてもよい。このように、アンカー部材4として、半円弧よりも大きい円弧を描くような湾曲形状を有するアンカー部材4Bを用いる場合に、ステント本体部2の基端部に配置されるアンカー部材4Bのうち、ステント本体部2との接続箇所BPよりも基端側の部分32Bを、前述の拡径機構3における係止部として用いてもよい。この場合、アンカー部材4Bのうち係止部して用いられる基端側の部分32Bに、紐状部材33Bの一端部を接続し、リング部材31に挿通後、他端部はステント本体部2の基端側に延びるように配置する。これにより、紐状部材33Bを基端側に引くことにより、リング部材31をアンカー部材4Bのうち係止部として用いられる基端側の部分32Bに係合させることができる。また、係止部としてアンカー部材4Bの一部を用いることで、ステント1Bの構成部材を減らすことができ、製造コストを低減できる。また、アンカー部材4Bは金属により構成されているので、係止部が生分解性の素材で構成される場合に比べて、係止部の強度を強くすることができる。
アンカー部材4、4Bは、図6(a)〜(c)で示したように、いずれの場合でも、湾曲形状の凸側でステント本体部2と接続されることにより、ステント1Bの縮径時には、アンカー部材4Aをステント本体部2の軸方向に沿って伸展させて変形させることができ、ステント1Bのデリバリーシステムからの放出時には、ステント本体部2の径方向外側に向かって、アンカー部材4、4Bを展開させることができる。
以上説明した第1実施形態の変形例に係るステント1Bによれば、前述の効果(1)及び(2)に加えて、以下のような効果を奏する。
(3)アンカー部材4、4Bを、更にステント本体部2の一端部(先端部)とは反対側の他端部近傍の外周の複数箇所にそれぞれ設けるものとした。これにより、アンカー部材4、4Bは、ステント1Bを留置する際に狭窄部Nの両端部の健常部に配置されて、ステント1Bの先端側からの負荷には先端側に配置されたアンカー部材4、4Bが狭窄部Nに引っ掛かることにより、また、ステント1Bの基端側からの負荷には基端側に配置されたアンカー部材4、4Bが狭窄部Nに引っ掛かることにより、ステント1Bの狭窄部Nからの逸脱を低減することができる。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係るステント1Cついて、図7〜図9を参照して説明する。ステント1Cのうち、ステント1Aと同様の構成については、ステント1Aで付したものと同一の符号を付して説明を省略する。
図7は、ステント1Cの斜視図であり、図8は、ステント1Cの側面図であり、図9A及び図9Bは、ステント1Cの狭窄部への留置方法を説明するための図である。
図7に示すように、ステント1Cは、ステント本体部2と、拡径機構3と、複数の山型アンカー部材4Cと、を備える。
山型アンカー部材4Cは、第1実施形態で説明したアンカー部材4Aと同様に構成されるアンカー部材4を2つ用いて構成される。具体的には、図7及び図8に示すように、山型アンカー部材4Cは、2つのアンカー部材4の長軸方向の一端部同士を、湾曲形状の凸側を合わせるように接続することで構成される。
山型アンカー部材4Cのステント本体部2における取り付け場所について説明する。複数の山型アンカー部材4Cは、第1実施形態の変形例と同様に、ステント本体部2の両端部近傍の外周にそれぞれ設けられる。本実施形態では、図7に示すように、4つの山型アンカー部材4Cをステント本体部2の先端部(一端部)近傍の外周に等間隔となるように4箇所にそれぞれ配置し、同様に4つの山型アンカー部材4Cをステント本体部2の基端部(一端部とは反対側の他端部)近傍の外周に配置した。この際、それぞれの山型アンカー部材4Cと、拡径機構3を構成するリング部材31や係止部32とが干渉しないように、山型アンカー部材4Cをステント本体部2に配置することが好ましい。また、蠕動運動によりステント1Cが狭窄部Nをすり抜けてしまわないように、ステント本体部2に取り付けられた山型アンカー部材4Cを含むステント1Cの径が、狭窄部Nの径よりも大きく、健常部の径と同程度又は少し大きい径を有することが好ましい。
山型アンカー部材4Cのステント本体部2への取付け方法は第1実施形態と同様であり、それぞれのアンカー部材4が、楕円形状の長軸方向がステント本体部2の軸方向に沿うように、且つ、湾曲形状の凸側がステント本体部2の径方向内側を向くようにステント本体部2に接続して取り付けられる。また、山型アンカー部材4Cを構成するアンカー部材4の線材40の一部を、ステント本体部2との接続箇所BPの近傍で、ステント本体部2の線材20により形成される網目から挿通させて内側に配置してもよい。また、山型アンカー部材4Cは、第1実施形態で説明した方法と同様の接続方法によりステント本体部2に取り付けられる。また、ステント1Cは、拡径機構3により拡径した状態を維持することでステント本体部2自体の強度が大きくなるので、ステント本体部2に取り付けられる複数の山型アンカー部材4Cに負荷がかかった場合でも、それぞれの山型アンカー部材4Cはステント本体部2により支持されて強度を保つことができる。
次に、図9A及び図9Bを参照して、内視鏡及びデリバリーシステムを用いてステント1Cを消化管等の狭窄部Nに留置する方法について簡単に説明する。
図9Aに示すように、ステント1Cは、ステント本体部2が縮径した状態で、また、複数の山型アンカー部材4Cがステント本体部2の軸方向に沿って伸展した状態で、不図示のデリバリーシステムにリング部材31が取り付けられた側が先端側となるように収納される。内視鏡を消化管等の狭窄部Nに接近させた後、デリバリーシステムを鉗子口から内視鏡の内部に挿入して狭窄部Nに接近させ、前述の拡径機構3を動作させて、ステント1Cをデリバリーシステムの先端から放出し、図9Bに示すようにステント本体部2が拡径した状態でステント1Cを狭窄部Nに留置する。この際、ステント1Cの山型アンカー部材4Cは、デリバリーシステムから放出されることで、形状記憶された形状、即ち楕円形状の短軸方向から見て半円弧が2つ合わさった山型形状に戻る。
このようにして、ステント1Cは、山型アンカー部材4Cが径方向外側に展開した状態で狭窄部Nに配置される。山型アンカー部材4Cは、ステント本体部2が拡径した状態において、いずれの方向からの負荷に対しても、形状記憶特性により元の山型形状に戻ろうとするので、ステント本体部2の径方向外側に向かって展開した状態を保つことができる。その結果、狭窄部Nが再狭窄することが防止されると共に、山型アンカー部材4Cが狭窄部Nに引っ掛かることにより、狭窄部Nからのステント1Cの逸脱が低減される。
以上説明した第2実施形態のステント1Cによれば、前述した効果(1)〜(3)に加え、以下の効果を奏する。
(4)ステント1Cを、2つのアンカー部材4の長軸方向の一端部同士が、湾曲形状の凸側を合わせるように接続されて構成された山型アンカー部材4Cを含んで構成した。これにより、山型アンカー部材4Cは、ステント本体部2が縮径した状態のときには、ステント本体部2の軸方向に沿って伸展してステント1Cを縮径した状態として細管状の部材に収納することができ、ステント1Cが細管状の部材から放出されてステント本体部2が拡径した状態において、いずれの方向からの負荷に対しても、形状記憶特性により元の山型形状に戻ろうとするので、ステント本体部2の径方向外側に向かって展開した状態を保つことができる。その結果、狭窄部Nが再狭窄することが防止されると共に、山型アンカー部材4Cが狭窄部Nに引っ掛かることにより、狭窄部Nからのステント1Cの逸脱が低減される。
<実施例1>
本発明の第1実施形態に係るステント1Aと同様のステントを作製し、引き抜き強度を測定した結果について説明する。
ステント本体部2の線材20として直径が0.25mmのポリ−L−乳酸のモノフィラメント16本を用い、芯棒径が10mmの芯棒を用いて、編み組みしてステント本体部2を作製した。また、ポリエステルによりリング部材31、及び紐状部材33を作製し、形状記憶合金(ニッケルチタン合金)により係止部32を作製して拡径機構3とした。また、アンカー部材4Aの線材40として直径が0.12mmのニッケル−チタン合金のワイヤを用いてアンカー部材4Aを作製して、ステント本体部2の先端部の外周に等間隔に4つ取り付けた。
このようにして得られたステントを拡径した状態にして、図10に示す腸管狭窄を模したゲルモデルMに配置して、ゲルモデルMから引き抜く際の強度を測定した。その結果、引き抜き強度は、3.4Nとなり、アンカー部材として十分な強度を有することが示された。
<実施例2>
本発明の第2実施形態に係るステント1Cと同様のステントを作製し、引き抜き強度を測定した結果について説明する。
ステント本体部2の線材20として直径が0.25mmのポリ−L−乳酸のモノフィラメント16本を用い、芯棒径が10mmの芯棒を用いて、編み組みしてステント本体部2を作製した。また、ポリエステルによりリング部材31、及び紐状部材33を作製し、形状記憶合金(ニッケルチタン合金)により係止部32を作製して拡径機構3とした。また、山型アンカー部材4Cの線材40として直径が0.12mmのニッケル−チタン合金のワイヤを用いて山型アンカー部材4Cを作製して、ステント本体部2の先端部の外周に等間隔に4つ取り付けた。
このようにして得られたステントを拡径した状態にして、実施例1と同様のゲルモデルMに配置して、ゲルモデルから引き抜く際の強度を測定した。その結果、引き抜き強度は、2.6Nとなり、アンカー部材として十分な強度を有することが示された。
以上、本発明のステントの好ましい各実施形態及び変形例につき説明したが、本発明は、上述の実施形態及び変形例に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、第1実施形態、第1実施形態の変形例、及び第2実施形態、では、ステントが拡径機構を備える構成を示したが、これに限らない。ステントは必ずしも拡径機構を備えている必要はない。
また、拡径機構の一例として、リング部材と、係止部と、紐状部材と、を備えるものとしたが、これに限らない。例えば、拡径機構を、ステント本体部の先端側に一端が接続されてステント本体部の基端側に延びる紐状部材と、この紐状部材に形成される係止部と、ステント本体部の基端側に環状に形成されて紐状部材が挿通される環状部と、を含んで構成してもよい。この場合、紐状部材を基端側に引っ張ってステント本体部を拡径させ、また、係止部を環状部に係止させることで拡径状態を維持させた後、紐状部材は所定の位置にて切断される。即ち、拡径機構は、ステント本体部を拡径すると共に拡径した状態を維持できるものであればどのような構成であってもよい。
また、上述した各実施形態では、ステント本体部を生分解性の素材により構成したが、これに限らない。即ち、本発明のステントを、生分解性を有さない樹脂、又は金属等の生分解性の素材以外の素材により構成されたステント本体部と、このステント本体部に取り付けられたアンカー部材と、を含んで構成してもよい。
また、上述した各実施形態では、アンカー部材を楕円形状に形成したが、これに限らない。即ち、アンカー部材を円形状に形成してもよい。
1A、1B、1C ステント
2 ステント本体部
3 拡径機構
4A、4B、4C アンカー部材
20 線材
21 筒状部
22 延出部
31 リング部材
32、32B 係止部
33、33B 紐状部材
40 線材
BP 接続箇所
M ゲルモデル
N 狭窄部

Claims (5)

  1. 円筒状に構成され、縮径した状態から拡径した状態に変形可能なステント本体部と、
    形状記憶特性を有する線材により環状に構成される複数のアンカー部材と、
    を備えるステントであって、
    前記アンカー部材は、
    前記ステント本体部の一端部の近傍における外周の複数箇所にそれぞれ配置され、
    前記ステント本体部の側面視において湾曲した湾曲形状に形状記憶され、
    前記湾曲形状の凸側が前記ステント本体部の径方向内側を向くように前記ステント本体部に接続して取り付けられるステント。
  2. 前記アンカー部材は、楕円形状に構成され、
    前記楕円形状の短軸方向から見て湾曲した湾曲形状に形状記憶され、
    前記楕円形状の長軸方向が前記ステント本体部の軸方向に沿うように、且つ、前記湾曲形状の凸側が前記ステント本体部の径方向内側を向くように前記ステント本体部に接続して取り付けられる請求項1に記載のステント。
  3. 前記アンカー部材は、更に、前記ステント本体部の前記一端部とは反対側の他端部の近傍の外周の複数箇所にそれぞれ配置される請求項1又は2に記載のステント。
  4. 前記アンカー部材は、前記線材の一部が前記ステント本体部の内側に挿通される請求項1〜3のいずれかに記載のステント。
  5. 2つの前記アンカー部材の一端部同士が、湾曲形状の凸側を合わせるように接続されて構成された山型アンカー部材を備える請求項1〜4のいずれかに記載のステント。
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