JP2019092440A - エビ料理の提供方法及びエビの養殖方法 - Google Patents

エビ料理の提供方法及びエビの養殖方法 Download PDF

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Abstract

【課題】クルマエビ科のエビを、従来皆無であった踊り食い可能な状態にて良好な食感を伴いつつ供することができるエビ料理の提供方法を提供する。【解決手段】クルマエビ科に属する稚エビを閉鎖型の陸上養殖池にて、与える飼料の総重量に占めるカルシウム含有率を2質量%以下に制限しつつ3cm以上12cm以下に設定される目標体長に至るまで飼育する。水で満たした主食器60に目標体長に達した活きエビSPを泳がせた状態で盛り付けることにより踊り食い可能な形態で提供する。【選択図】図15

Description

この発明はエビ料理の提供方法に関するものであり、特にエビを生きて泳がせた状態で提供する料理の提供方法及びエビの養殖方法に関するものである。
エビは我が国で最も好まれる魚介類の一つであり、特にクルマエビ、バナメイエビ、ウシエビ(通称:ブラックタイガーエビ)、クマエビ及びコウライエビ(通称:タイショウエビ)などのクルマエビ科に属するエビは、大型でぷりぷりした食感を特徴とする食べ応えのある品種で人気があり膨大な量が消費されている。
上記の品種は冷凍輸入品が多く市場に出回っており、てんぷらやフライといった加熱調理形態で食するが一般的である。一方、近海で漁獲された高級品種の車エビは、一部のものが活きエビとしてすし屋や料亭などに卸され、生きたまま殻をむいて刺身で食する「踊り」と称される調理方法が珍重されている。
他方、他品種のごく一部のエビ、具体的には小型の深海品種であるサクラエビについては、成長しきっても3〜4cm程度までであり、殻も柔らかいので丸ごとかき揚げやから揚げにしたり、トッピングに用いたりする食べ方が一般化している。また、この品種については、駿河湾をはじめとした大消費地に近い漁場が存在し、清水や興津といった水揚げ港の近隣を中心に、季節にはどんぶりなどの具として生のサクラエビが供されている。そして、その究極の食べ方として、生きたサクラエビを、海水を張った食器中で泳がせ、これを生きたまま箸でつまんで食する「踊り食い」が一部の店舗で実施されている(非特許文献1)。また、こうした踊り食いを前提とした宅配サービスも行われている(非特許文献2)。通常のサクラエビと比較して身の弾力と甘さは段違いともいわれ、反響を呼んでいる。
鮨処やましちインターネットホームページ(http://yamashiti.jugem.jp/?cid=1) 全国の地方新聞社厳選お取り寄せサイト よんななクラブ(http://www.47club.jp/18M-000076age/goods/detail/10040187) インターネットショップ特正本店ホームページ(http://tokushou.co.jp/ebi/ebi23.html)
しかしながら、サクラエビ自体は前述の通り深海にしか生息しない養殖不能な品種であり、踊り食いに供されているのは天然もののみであるから、収穫期(4月ないし5月)以外は賞味することができず、数量も極めて限られたものとなる。そこで、サクラエビ以外の養殖可能な品種のエビ、特に消費量の大きいクルマエビ科のエビ(例えばバナメイエビ)を利用することが考えられる。しかし、クルマエビ科のエビについては、次の理由により踊り食いないしこれに準じた調理方法は全く試みられてこなかった。
(1)クルマエビ科のエビのほとんどは3〜4cmの体長でもサクラエビと比較して殻が堅く、踊り食いしたときの食感が非常に悪く、消化も悪いため食べた後の胃への負担が大きい。
(2)サクラエビについてもそうであるが、海から水揚げされたエビを生きたまま料理として供しようとする場合、寄生虫や病原性微生物類(特に腸炎ビブリオ菌等)を排除するための処置や管理に非常にコストがかかる。
(3)サクラエビが成長末期のサイズでそのまま踊り食いに供されるのに対し、クルマエビ科のエビは踊り食いに適すると思われるサイズは稚エビ段階に近く弱りやすい。特に、消毒のための養生期間から、料理として供したときの器の中での保持期間に至るまで活かし続けた状態を保つのは容易ではない。この事情は、サクラエビの場合にもある程度当てはまることであり、例えば非特許文献2には次のような記載がある。
「なお「桜えび」は、たいへんデリケートな生き物のため、到着時、少し弱っているものがありますが、ご了承のうえ、ご理解いただいた方のみお受けいたします。」
本発明の課題は、養殖可能なクルマエビ科のエビについて、従来皆無であった踊り食い可能な状態にて良好な食感を伴いつつ供することができるエビ料理の提供方法と、踊り食いに好適な軟質の殻をもつエビを効率的に養殖する方法とを実現することにある。
上記課題を解決するために、本発明のエビ料理の提供方法は、クルマエビ科に属する稚エビを閉鎖型の陸上養殖池にて、与える飼料の総重量に占めるカルシウム含有率を2質量%以下に制限しつつ3cm以上12cm以下に設定される目標体長に至るまで飼育するとともに、目標体長に達した活きエビを陸上養殖池より収穫し、水で満たした主食器に活きエビを泳がせた状態で盛り付けることにより踊り食い可能な形態で提供することを特徴とする。また、本発明のエビの養殖方法は、クルマエビ科に属する稚エビを閉鎖型の陸上養殖池にて、与える飼料の総重量に占めるカルシウム含有率を2質量%以下に制限しつつ3cm以上20cm以下に設定される目標体長に至るまで飼育することを特徴とする。
クルマエビ科のエビに限らず、エビは稚エビ段階から脱皮を繰り返して成長する。エビの殻は多糖類であるキチン質を主成分とし、タンパク質、カロテノイドなどの色素、及びカルシウム塩を中心とした無機塩類などと複合した構造体として形成されている。このとき、カルシウム塩の含有量が高くなるほどエビの殻は固くなる傾向にある。
本発明者は、クルマエビ科のエビの陸上養殖に長年携わってきた経験において、エビに与える飼料に、丈夫で保護力の高い殻を形成するため通常配合されるカルシウム源(例えば牡蠣殻粉末など)の配合量について鋭意検討を行った。その結果、従来エビの成長に不可欠と見られていたカルシウム源の配合をあえて制限して養殖を継続した場合、エビの成長は意外にも妨げられず、脱皮の際に新たに形成される殻がカルシウムの摂取が抑制される分、通常よりも軟化することがわかった。そして、さらに検討した結果、与える飼料の総重量に占めるカルシウム含有率を2質量%以下(0質量%を含む)に制限しつつ3cm以上12cm以下の大きさまでエビを成長させた時、生きたまま食しても殻の固さが気にならず、クルマエビ科のエビの弾力(プリプリ感)と甘みは、究極の鮮度のみが実現する最高レベルにまで引き立てられるようになることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。これにより、従来のサクラエビを大きく凌駕する味わいを有したエビの踊り食いが可能となる。また、閉鎖系の陸上養殖池にて品質管理された飼料に基づき生育するエビは寄生虫等の懸念が皆無であり、水質も一定に保たれるので生食に関する安全性も大きく向上する。
なお、カルシウム成分を多く配合した通常の飼料を用いて養殖したクルマエビであっても、脱皮した直後のものは殻が柔らかく、「ソフトシェルシュリンプ」と称され市販されている(例えば、非特許文献3)。上記非特許文献3には、次のような記載がある。
「海老は通常、成長の過程で脱皮を繰り返しますが、それ以外にも、強いストレスがかかると脱皮してしまう場合があります。養殖池で水揚げし、冷凍加工場へ運送中のストレスによって脱皮してしまった海老を集めて、急速冷凍したのが、ソフトシェルシュリンプです。ソフトシェルシュリンプは、頭を残していますので、殻・海老味噌にある海老本来の風味を味わって頂く事が出来ます。また、殻にはカルシウム、キトサンが多く含まれており、それらを効率良く摂取する事ができます。一般的な海老料理であれば、そのままお使いになれます。海老フライ・唐揚げ・エビチリ等々。今まで頭を落とし、殻をとった状態で調理していた海老料理も、新しい食感・風味で召し上がっていただく事ができます。」
しかし、上記文献の記載からも明らかな通り、ソフトシェルシュリンプはストレスにより偶発的に脱皮したものを集めたものであって、カルシウム成分を抑制した飼料により殻のカルシウム含有量を意図的に減少させ、ソフト化したものとは根本的に相違する。このことは、上記文献において「また、殻にはカルシウム、キトサンが多く含まれており、それらを効率良く摂取する事ができます。」と記されていることからも明らかである。また、本発明のようにカルシウム成分を抑制した飼料により陸上養殖したクルマエビ科のエビは、偶発的に脱皮したものを用いるソフトシェルシュリンプと異なり、脱皮時期とは無関係に大半が安定して殻の柔らかい状態で収穫できる利点もある。
本発明においては、水で満たした主食器に目標体長に達した活きエビを泳がせた状態で盛り付けることにより踊り食い可能な形態で提供する。実際に踊り食いにするかどうかは料理を実際に食べる人の判断にゆだねられるのであって、例えば口の中でも生きて動く食感に抵抗のある人は、主食器内かあるいは後述するつけ汁の中で動かなくなるのを待って食することも当然可能である。この場合も、生きたまま食するのに限りなく準じた鮮度でエビを味わうことができる。
また、活きエビを泳がせた状態で盛り付けて提供するとともに、料理が出された後、被提供者自身による加熱プロセスを経て食されるように提供してもよい。この場合も、加熱の直前まで生きていたエビを使用するため鮮度については踊り食いに近い状態を確保することができる。また、加熱により甘みや香りがより引き立つほか、殻が加熱によりさらに軟化してかみ砕きやすくなるので食感が向上し、若干大きく育ったエビであっても殻ごと(例えば頭ごと)食べられる利点が生ずる。例えば、主食器に盛り付けられた活きエビとともに熱汁で満たした鍋を提供し、活けエビを該鍋の熱汁にくぐらせて食することが可能である。従来、鍋の具としてエビを用いる場合、生きていても火が通ってから殻をむいて食べるのが一般的であったが、本発明では殻が軟化した状態で生育したエビを用いるため、生きたエビをしゃぶしゃぶのごとく湯にくぐらせ、殻つきのまま丸ごと食するという斬新な食べ方が実現する。
本発明において料理に供するエビの体長を3cm以上12cm以下に限定するのは、3cm未満ではエビが小さすぎ、一匹ずつ食する踊り食いの形態に鑑みたときの満足感が乏しくなるとともに、料理として成立する分量だけ盛り付けようとしたときエビの数を大きく確保しなければならず、コストアップが避けがたくなるためである。この場合、エビの体長は、より望ましくは3.5cm以上、さらに望ましくは4cm以上に確保されているのがよい。従来、踊り食いが実現しているサクラエビの場合、3.5cm以上あるいは4cm以上のサイズは上限に近い大型ともいえ、深海性で養殖自体が不能のため、このサイズのものだけを集めるのは非常に大変である。しかし、陸上養殖が可能なクルマエビ科のエビは、数ミリの稚エビ段階から起算しても数か月程度で当該の体長まで一律に到達し、大きさの揃ったものを容易に入手できるため、踊り食いというこれまで特異であった料理形態を一挙に普及させることが可能となる。
他方、エビの体長が12cmを超えると、踊り食いにする場合はもちろん、前記のように加熱して用いる場合でも殻が厚く固くなりすぎ、殻ごと食べる場合の食感が損なわれる。特に加熱せず踊り食いするのに好適なエビの体長は10cm以下、より望ましくは7cm以下、さらに望ましくは6cm以下である。一方、踊り食いに限定せず、揚げ物や煮物などの加熱調理を前提にする場合は、加熱により殻が軟化することから、より大きい個体まで成長させても殻(あるいは頭)ごと食べさせることが十分可能であり、この場合のエビの体長の上限は20cm程度まで引き上げることができる。
次に、本発明においてエビに与える飼料については、カルシウム含有率が2質量%を超えると、上記の体長のクルマエビ科のエビを踊り食いにする際に殻が堅くなりすぎ、食感が損なわれることにつながる。飼料のカルシウム含有率はより望ましくは1質量%以下、より望ましくは0.5質量%以下とするのがよく、本発明者の経験によると、カルシウム含有率を完全にゼロとしても、クルマエビ科のエビは十分生育可能であることが判明している。カルシウムは、エビの殻の主成分であるキチンの必須構成成分ではなく、カルシウムをほとんど含有しないキチンであっても単体で十分な保形性がある。上記の事実は、エビの殻におけるカルシウムは、外敵から身を守るために殻の固さを増加させる副次的な成分に過ぎないのであって、殻自体の成長や脱皮には必須でないことを示しているといえる。
すなわち、エビの成長にとってカルシウムは必須の成分ではなく、全くカルシウムを含有しない飼料を用いても、エビの成長には本質的な影響が及ばない、ということである。この点は、エビ養殖業界において看過されてきた重要なポイントの一つと言える。ただし、エビを特に高密度で養殖しようとしたとき、殻があまりに柔らかいと共喰いが進展しやすい場合があり、踊り食いに適した殻の柔らかさを維持できる範囲内で、通常の養殖条件よりは抑制した配合量にてカルシウムを添加した飼料を一時的に施した方がよい場合もありえる。こうした場合も含め、本発明においてエビに与える飼料については、養殖開始から収穫までの全期間の合計量においてカルシウム含有率が2質量%以下に制限されていればよく、脱皮時期等を考慮して2質量%を超えるカルシウムを含有した飼料を一時的に施すことは可能である。
本発明にて使用するクルマエビ科の活きエビとしては、代表種であるクルマエビとすることも可能ではあるが、クルマエビは水底の砂中に潜って生育する習性があるため池中での飼育密度が上げられず、養殖といえども別格の高級品種となるので、これを数cm程度で食してしまうのは料理としては極度に高価につく問題がある。したがって、従来、冷凍を中心とした輸入エビに頼っていた普及品種、特に、バナメイエビ、ウシエビ(通称:ブラックタイガーエビ)、クマエビ及びコウライエビ(通称:タイショウエビ)より選ばれるいずれかを用いるのがよい。このうち、バナメイエビは、生育が早く、養殖密度も上げやすいこと、及び味にも優れるのでコストパフォーマンスが高いこと、殻がより柔らかいこと、遊泳力が強く、踊り食いしたときの活きのよさが際立つこと、などから本発明に特に好適に採用できる。
次に、活きエビは、魚、イカ、タコ、貝類及び甲殻類より選ばれる1種以上の魚介肉とでんぷん質との混合物を飼料として用いて飼育されたものを使用するのがよい。こうした形態の飼料はエビが好んで食べるので、生育を早めることができる。魚ないし甲殻類の肉を使用する場合、カルシウム含有量が前述の範囲を逸脱しないよう、骨や殻の成分がなるべく排除されたものを用いることが望ましい。でんぷん質は飼料のバインダーの役割も兼ねており、小麦粉や片栗粉などを使用できるが、自動給餌のためのペレタイジングを考えた場合、より粘結性の高い小麦粉の使用が推奨される。魚介肉の配合比率は特に制限はないが、例えば20質量%以上90質量%以下である(残部が例えばでんぷん質)。
活きエビは、巡回流発生機構を有した陸上養殖池にて巡回流に逆らって遊泳させることにより脱皮促進したものを使用するのがよい。活きエビを使用する料理の中でも、踊り食いについては、客に出された後も器の中で食べる直前まで生きて泳いでいる状態を保つ必要があり、鮮度及び活性度については最高のものが求められる。上記のように、陸上養殖池にて巡回流に逆らって遊泳させつつ生育させたエビは、池中でよく運動しているため収穫してからも活性度が高く、器の中や、あるいは後述する消毒養生処理中も元気に泳ぎ続ける状態を長時間維持することができる。また、遊泳中に脱皮が促進される結果、飼料に配合されるカルシウム成分が抑制された状態で体長が急速に増加するため、エビの殻は、より柔らかく薄い踊り食いに適したものとなる。
また、活きエビは、腐植形成微生物と共存させた状態で飼育されたものを使用するとさらによい。池中にてエビと腐植形成微生物とを共存させると、エビの排泄物や死骸を栄養源として腐植形成微生物の活動が活発化し、水質汚染の原因となる腐敗物質が腐植化される。これにより、池の水質が清浄に保たれ水中の酸素欠乏も抑制されるので、池中を遊泳するエビは水底付近で活発に活動できるようになり、上述の効果がさらに高められる。
この場合、陸上養殖池は二価鉄を含有する鉱物モジュールに水を流通させつつ循環させるものを使用できる。活きエビは、鉱物モジュールから溶出した二価鉄を含有する水中にて腐植形成微生物と共存させた状態で飼育されたものが使用されることとなる。この形態は、河川等の流入がある近海湾内に類似した、エビの生育に好都合な環境を疑似的に与えるものである。すなわち、近海の湾へは森林からの腐植形成微生物を含む有用微生物が溶け込んだ河川水が腐植とともに流入する。この河川水には、土壌中に含有される微量の鉄成分が含まれるが、特に火成岩を中心に多く含有される還元性の二価鉄(Fe(II)イオン:主として酸化鉄(II)の形態)成分は、腐植の主成分であるフルボ酸鉄やフミン酸鉄等の鉄錯体形成に必須であることが知られている(ちなみに、腐植に含有される二価鉄成分は植物(あるいは植物性プランクトン)の生育促進においても重要な役割を果たす)。
従って、腐植形成微生物を含む陸上養殖池の水は、二価鉄成分を含有することで腐植形成微生物の増殖ひいてはエビの排泄物や死骸の腐植化が促進され、また、浮遊する腐植質を核とした腐植形成微生物のフロック形成とその安定化にも寄与する。その結果、閉鎖された陸上養殖池の水を長期にわたって清浄に保つことができる。これは当然、池内で生育するエビの脱皮及び成長促進と活性度向上(踊り食い形態で提供する際の活きの良さ)にも寄与する。また、二価鉄を含有する鉱物モジュール(玄武岩、安山岩、溶岩など、火成岩系の鉱物である)は、溶出する二価鉄イオンが錯体化しやすく、微生物による腐植形成時に特に取り込まれやすい特性があること、鉱物中の二価鉄は徐放性であり、薬剤等と異なり頻繁な添加作業が不要であるなど、本発明に採用する上で好適である。
また、陸上養殖池は水として塩分濃度が2質量%以下の汽水が循環流通されるものを用い、活きエビは該汽水中にて腐植形成微生物と共存させた状態で飼育されたものを使用するとさらによい。汽水域では腐植形成微生物の活性及び繁殖がより顕著であり、池内で生育するエビの脱皮及び成長促進と活性度向上の効果はさらに高められる。
踊り食い形態で活きエビを提供する場合、エビを泳がせる食器中の水は、料理が過度に塩辛くならないよう塩分濃度(例えば1重量%以下:特に淡水)を下げることが望ましい。すなわち、活きエビを泳がせるため主食器に満たす水として塩分濃度が1質量%以下のものを使用することが望ましい。汽水中で生育したエビは塩分濃度の低い水中でもより長時間活かしておくことが可能となり、こうした低塩分濃度の水とともに盛り付けた場合においても、より活きのよい状態で踊り食いを楽しむことができる。
前述の通り、閉鎖された陸上養殖の場合、活きエビに寄生虫が取り込まれるリスクはほとんどないが、海産のエビの場合問題になるのは、海水中に生息する病原性菌、特に腸炎ビブリオ菌の残留である。腸炎ビブリオ菌は好塩性のグラム陰性桿菌であり、海水と淡水が混じり合う汽水域を中心に沿岸の海水中に広く棲息することが知られている。魚介類に付着した腸炎ビブリオ菌は15℃以上の気温で急速に増殖する。生鮮海産物を扱う料理店等では、腸炎ビブリオ菌の増殖がほぼ不活性化する4℃以下にて食材を保管することが厳重に励行されている。また腸炎ビブリオ菌は塩分濃度が3重量%程度のとき増殖を最も引き起こしやすいといわれているが、逆に塩分濃度の低い水、具体的には塩分濃度が0.5質量%以下の水(特に、真水)に触れると死滅する特性も有する。したがって、魚介類を生食させる場合は、真水でよく洗うことが有効であることはよく知られた事実である。
クルマエビ科のエビは海水中ないし汽水中での養殖となり、かつ、エビの活動を活発化するために池の水温は23℃〜28℃に保たれるから、この池から収穫されるエビは腸炎ビブリオ菌に対して恰好の増殖環境が与えられているともいえる。そこで、本発明の場合、活きエビは、陸上養殖池から収穫した後、塩分濃度が0.5質量%以下の養生水中にて消毒処理後、主食器に盛り付けるとよい。特に、養生水として残留塩素濃度が0.1mg/L以上1.0mg/L以下の水道水を使用することが、腸炎ビブリオ菌を確実に死滅させる上で最も簡単で安価な方法となる(これは、我が国の水道水にて採用されている殺菌用の塩素の標準的な濃度範囲である)。
この場合、養生時間は最低でも30分程度、好ましくは1時間以上2時間以下の範囲内で行うことが望ましいが、塩分濃度の低い養生水、特に塩素を含んだ水道水中では、エビの衰弱が進みやすいジレンマがある。したがって、こうした養生処理に耐えきるだけの体力をエビに付加することが、クルマエビ科のエビの踊り食いを実現する上では重要である。前述したごとく、巡回流に逆らって遊泳させることにより脱皮促進すること、あるいは、腐植形成微生物と共存させた状態(特に鉱物モジュールから溶出した二価鉄を含有する水中にて腐植形成微生物と共存させた状態)で飼育することで、こうした低塩分濃度の養生水中でも相当の長時間活かしておけるエビが得られ、より元気のよい状態で活きエビを踊り食いに供することが可能となる。この場合、活きエビを泳がせるための主食器に満たす水として、残留塩素濃度が0.1mg/L以上1.0mg/L以下の水道水を使用することは手軽で安価な方法であり、上記のごとく長時間活かしておくことのできるエビの場合には特に有効な手法となる。
踊り食いに供する場合、クルマエビ科のエビは小型でも非常に動きが活発で、活きのよいエビの場合は盛り付けた食器の外に跳ねて飛び出してしまうこともある。そこで、主食器として、水と活きエビとを投入するための開口を有した本体と、水と活きエビとを投入した本体の開口を着脱可能に閉鎖する蓋部とを備えたものを使用すれば、エビの飛び出しを効果的に防止することができる。また、主食器とは別の器に満たした活きエビのつけ汁を合わせて提供することも可能であるが、該つけ汁用の器として蓋付きのものを使用すれば、該蓋つきの器中にてつけ汁を活けエビに吸わせることができ、より美味に食することが可能となる。
陸上養殖池中に巡回流を発生させることは、カルシウム成分を制限した給餌条件にて脱皮促進し、殻がより柔らかく踊り食いしたときの食感が良好なエビを得る上で望ましいことをすでに述べた。この場合、簡易な機構により巡回流を発生できる池構造として下記のようなものを例示できる。すなわち、方形の底部を有するとともにその周縁に沿って側壁が形成された池本体と、池本体を満たす水中に沈める形で底部上に配置され、外部から供給される酸素含有気体を水面に向けて噴き上げる主散気部と、一端に池本体の水を流出させる流出口が形成され、他端に池本体に水を流入させる流入口が形成された循環管路と、循環管路上に設けられた循環ポンプとを備え、
池本体の方形の平面外形線において、互いに隣接する二辺のうち第一辺に沿う向きを幅方向、第二辺に沿う向きを奥行方向と定義したとき、循環管路の流入口が奥行方向第一端側にて幅方向第一端側に寄せて開口形成される一方、流出口が幅方向第二端側にて、流入口と奥行方向第二端側壁部との間に位置するように開口形成され、
主散気部の底部における配置位置が、奥行方向においては奥行方向第二端側壁部からの距離が流入口と流出口とを結ぶ仮想線からの距離よりも小さくなり、かつ、幅方向においては幅方向中心線からの距離が、流入口及び流出口のいずれからの距離よりも小さくなるように定められ、
主散気部が形成する幅方向第二端側壁部と奥行方向第二端側壁部とに沿う壁面流に、流入口からの流れの一部を取り込みつつ合流させ、流入口から幅方向第一端側壁部、奥行方向第二端側壁部及び幅方向第二端側壁部に順次沿って流出口に向けて流れる迂回巡回流を形成する。
上記の位置関係で水循環のための流入口及び流出口とを池本体に形成し、池底部に上記の位置関係で主散気部を配置することで、流入口より入った水が主散気部からの気流により池本体の側壁に沿って迂回しつつ流出口に向かう流れが形成され、ひいては池本体の側壁内周に沿った緩やかな巡回流を定常的に形成できるようになる。その結果、極めて簡単な機構によりながら、酸欠等の水流死角が池本体内に形成されにくくなり、より個体数密度の高い陸上養殖が可能となる。また、形成される水流は緩やかであり、稚エビや稚魚など養殖対象種が小さい場合も、水流に逆らった遊泳が容易となり、ストレスが溜まりにくく、死滅率の低い健全な養殖状態を維持できる。なお、流入口と流出口は、各々複数孔の開口として形成することも可能である。この場合、流入口と流出口の空間的な位置は、複数の開口の中心の空間的な平均座標点により定められるものとする。
上記の池構造において迂回巡回流が顕著に形成される理由は次のごとくである。すなわち、池本体はごく単純な方形平面形状に形成され、中の貯留水は池外部の循環管路を経てポンプにより循環流動される。その循環のための水の流入口は、奥行方向第一端側にて幅方向第一端側に寄せて開口形成される。他方、流出口は幅方向第二端側にて、流入口と奥行方向第二端側壁部との間に位置するように開口形成される。幾何学的な厳密性を無視して表現すれば、奥行方向第一端側の一方の角部付近にある流入口から池本体内に水が入り、幅方向においてこれと反対側にある側壁部(幅方向第二側壁部)の中間付近に開口する流出口から水が流れ出るイメージである。これにより、前記角部から池本体に入った水は、反対の側壁部中間付近に向け、上記の仮想線に沿って斜めに流れようとする。
他方、池の底部には、奥行方向においては奥行方向第二端側壁部からの距離が流入口と流出口とを結ぶ上記仮想線からの距離よりも小さくなり、かつ、幅方向においては、幅方向中心線からの距離が、流入口及び流出口のいずれからの距離よりも小さくなる位置に主散気部が配置される。これにより、池本体の幅方向の中間付近にて、流入口と流出口とを直結する仮想線(静的には水が最も流れやすい方向)から奥行方向に離間した位置に、気流が水面に向けて噴き上げられる。
例えば奥行方向にて手前幅方向の一方(例えば、左側とする)の角に流入口が位置するように池本体をみたとき、池奥側の水は幅方向他方(例えば右側とする)の側壁部中間に形成された流出口に向けて流れようとするが、上記主散気部からの放射状の気流により、奥側の側壁部(池奥方向第二側壁部)及び右側の側壁部(幅方向第二側壁部)に押しやられ、これら両側壁部に沿う壁面流を形成する。該壁面流により失われる池奥左側の水は、流入口から池奥側に向かう流れの一部を取り込むことで補われ、結果として、流入口から左側の側壁(幅方向第一端側壁部)、奥側の側壁(奥行方向第二端側壁部)及び右側の側壁(幅方向第二端側壁部)の順に沿って流出口に流れ込む迂回巡回流が形成される。
上記の池構造には、幅方向中心線よりも幅方向第一端側壁部寄りにて、奥行方向における流入口と主散気部との間に補助散気部を配置することができる。このような補助散気部からの気流により、流入口から流出口へ直接向かおうとする流れの一部を、巡回流区間をなす幅方向第一端側壁部の側に誘導することができ、迂回巡回流の形成をより顕著なものとすることができる。流出口が流入口の幅方向真正面に位置していると、水は池の内側をほとんど通らずに、奥行方向端部の側壁に沿って短絡して流れてしまい、迂回巡回流の形成が困難となる。一方、流入口に対し流出口が対角線方向反対側に位置している場合も、流通抵抗となる主散気部の両側に流れが多少迂回するだけで流出口に直接流れてしまい、巡回流の顕著な形成は見込めない。したがって、流出口は、奥行方向において、奥行方向中心線からの距離が、流入口からの距離及び奥行方向第二端側壁部からの距離のいずれよりも小さくなるように(つまり、幅方向第二側壁部の中央付近に対応する領域に)形成位置を定めておくことが、迂回巡回流を顕著に形成する観点において望ましい。
池本体は、池上面開口に沿って配置される懸架枠と接地面上にて懸架枠を下方から支持する支持柱体とを備えた支持枠体と、可撓姓樹脂シートにて底部と側壁とを一体的に形成するとともに、側壁をなす樹脂シート部分の上縁が懸架枠に結合され、内部に注水された状態にて支持枠体に懸架状態で支持される簡易貯水部とを備えたものとして構成できる。この場合、流出口は簡易貯水部の側壁をなす樹脂シートを貫通する形で開口形成することができる。可撓姓樹脂シートからなる簡易貯水部とその支持枠体で池本体を形成することで、陸上養殖用池構造の基本構成は大幅に軽量化かつ単純化できる。このような簡易貯水部は、樹脂シート製の側壁には流出口を貫通形成することが容易であり、池本体内の水を水面と平行な流れ成分を主体に流出口から排出でき、単に構成が簡易であるばかりでなく、本発明特有の巡回流の形成にも有利に貢献する。特に、循環管路の流出口の形成側末端を簡易貯水部の側壁の上部に結合し、該側壁を貫通する形で流出口を開口させるとともに、簡易貯水部内に貯留される水の上層部分を、該流出口を経て循環管路内に流入させるようにしておくと、湧き上がった後放射状の水面流を作る主散気部からの気流と、上層部の水を流出口から側方に導く流れとを、迂回巡回流の形成のためにより連携させやすくなる。
また、循環管路は、流入口の形成側末端が簡易貯水部の上方に配置されるとともに流入口を簡易貯水部内の水面に向けて下向きに開口するように形成しておくとさらによい。簡易貯水部に対し液面上方から水を流下させることにより、簡易貯水部の側壁部に流入口を孔設するための加工が不要となるばかりでなく、落下した水流を液面に沿って緩やかに広げることができる。その結果、形成される迂回巡回流の速度との整合も取りやすく、流入水特有の激流によりエビが受けるストレスを緩和することができる。
この場合、循環管路は、流出口から簡易貯水部の接地面よりも下方に位置する揚水ポイントまで単調に下る形で配設でき、揚水ポイントに設けられた循環ポンプにより簡易貯水部内の水面よりも上方に循環水を汲み上げつつ流入口に導くよう構成できる。流出口から接地面よりも下方の揚水ポイントまで下り形態の循環管路区間を設けることで、池本体から流出する水の位置エネルギーをより大きく確保することができ、迂回巡回流のより顕著な形成に貢献する。また、この下り形態の循環管路区間を利用してここに濾過槽を設けると、濾過槽の圧損が水の位置エネルギーにより補われ、濾過槽の通水速度が高められて濾過効率を向上することができる。この場合、循環管路の揚水ポイントよりも上流側に位置する部分の一部を、池本体の側方にて該池本体の接地面から掘り下げ形成された槽収容凹部内に配設し、該槽収容凹部内に循環水を濾過する濾過槽を設けておくと大型の濾過槽の設置も容易となる。
次に、簡易貯水部は、水を満たした状態において、側壁の下縁から底部の外周縁に連なる移行部分の垂直断面形状を、外向きに凸となるアール面状に形成することができる。簡易貯水部の下部にこのようなアール面状の部分を形成しておくことで、池底部付近によどみが生じにくくなり、迂回巡回流の水深方向への広がりも確保しやすくなる。また、エビ(特に稚エビ)はこうしたアール面形状の区域に好んで集まって遊泳する習性があり、水中での活動を活発化させ、脱皮促進も図ることができる。さらに、アール面形状の区域は、エビを貯水部から収穫する際も網をふるいやすく、特に遊泳方向後ろ側(エビは流れに逆らって泳ぐので、迂回巡回流を前方から受け止める向きとなる)から網ですくうと、一度に大量のエビを網内に導くことができ、収穫時の作業効率を高めることができる。
本発明の作用及び効果の詳細については、「課題を解決するための手段」の欄にすでに記載したので、ここでは繰り返さない。
陸上養殖池の一例を示す平面図。 同じく側面図。 同じく正面図。 池本体の要部を拡大して示す側面図。 懸架枠と簡易貯水部との結合構造の一例を示す断面図。 底部支持体による簡易貯水部と支持柱体との結合構造を示す断面図。 簡易貯水部の底部に形成されるアール面状部分を拡大して示す断面図。 循環配管の簡易貯水部側壁への取り付け構造の一例を示す断面図。 加熱機構の詳細を示す模式図。 フィルタリングタンクの内部構成例を示す断面模式図。 迂回巡回流が形成される様子を示す説明図。 稚エビが水流に逆らって遊泳する様子を示す説明図。 陸上養殖したエビを消毒養生する工程説明図。 エビの活性に応じた消毒養生中の影響を説明する図。 活きエビを踊り食い可能な状態で提供する料理形態の一例を示す図。 エビの活性が低い場合の料理提供後のエビの状態を示す説明図。 エビの踊り食いに好適な箸の形態の一例を示す図。 図17の箸の作用説明図。 鍋料理に活きエビをくぐらせる料理の一例を示す図。 活きエビを釣り上げて食する料理の提供形態の例を示す図。 図20の料理形態の作用説明図。
以下、本発明を実施するための形態について、添付の図面を用いて詳細に説明する。
図1〜3は本発明のエビ料理の提供方法、具体的には踊り食いを前提とした料理に使用するエビを養殖するのに好適な陸上養殖池の一例を示す平面図、側面図及び正面図である。陸上養殖池1は、池本体2、主散気部3、循環管路6及び循環ポンプ7を要部とする循環閉鎖型の池として構成されている。池本体2は、方形(本実施形態では長方形:正方形状でもよい)の底部2bを有するとともにその周縁に沿って側壁2sが形成されている。図11に示すように、主散気部3は、池本体2内にて水没させる形で底部2b上に配置され、外部から供給される酸素含有気体を水面に向けて噴き上げる。また、図1に示すように、循環管路6は、一端に池本体2の水を流出させる流出口4が形成され、他端に池本体2に水を流入させる流入口5が形成されており、その途上に循環ポンプ7が設けられている。
図1において、池本体2の長方形状の平面外形線において、互いに隣接する二辺のうち第一辺(短辺)に沿う向きを幅方向、第二辺(長辺)に沿う向きを奥行方向と定義する。循環管路6の流入口5は、奥行方向第一端側(図面下側)にて幅方向第一端側(図面左側)に寄せて開口形成されている。他方、流出口4は、幅方向第二端側(図面右側)にて、流入口5と奥行方向第二端側壁部WB2との間に位置するように開口形成されている。
本実施形態においては、流出口4は、奥行方向において、奥行方向中心線OWからの距離DCが、流入口5からの距離DB1及び奥行方向第二端側壁部WB2からの距離DB2のいずれよりも小さくなるように(つまり、幅方向第二側壁部WA2の中央付近に対応した領域に)配置されている。なお、流出口4は奥行方向にて2か所に分散して形成されており、その空間的な位置は、2つの流出口4の開口中心の空間座標の平均により代表させる。
また、主散気部3は、底部2bに対し、奥行方向においては奥行方向第二端側壁部WB2からの距離DA2が、流入口5と流出口4とを結ぶ仮想線VDLからの距離DA1よりも小さくなり、かつ、幅方向においては幅方向中心線OLからの距離dcが、流入口5からの距離da1及び流出口4からの距離da2のいずれよりも小さくなるように配置されている。また、本実施形態においては、幅方向においては幅方向中心線OLよりも幅方向第一端側壁部WA1寄りとなり、奥行方向においては流入口5と主散気部3との中間となる位置に補助散気部8が配置されている。補助散気部8は2つ配置されており、一方が奥行方向において流出口4と主散気部3との中間となる位置に、他方が同じく流入口4と流出口5との中間となる位置に、それぞれ配置されている。
主散気部3及び補助散気部8は、気孔を多数形成した散気板あるいは連通気孔が多数形成されたセラミック、樹脂ないし金属製の散気モジュール(いわゆるエアストーン)、あるいは旋回流式のマイクロバブルノズルなど周知の構成を有するものであり、気体供給管20を介してエアポンプ21により酸素含有気体としての空気が供給されるようになっている。図11に示すように、散気部3,8より噴出する空気中の酸素は池本体2内の水に溶解し、水中のエビSPが消費する酸素を補うとともに、水中にて噴き上げる気流AFにより、巡回流の形成を補助する役割を果たす。なお、酸素含有気体はボンベ等から供給される純酸素であってもよいし、酸素濃縮装置等により酸素富化された空気であってもよい。
エビSPは例えばバナメイエビであるが、ウシエビ(通称:ブラックタイガーエビ)、クマエビ及びコウライエビ(通称:タイショウエビ)などであってもよい。また、循環される水は塩分濃度が1.5質量%以上2.0質量%以下の汽水とされている。
次に、池本体2は、池上面開口に沿って配置される懸架枠9と接地面GS(図2及び図3)上にて懸架枠9を下方から支持する支持柱体10とを備えた支持枠体11と、可撓姓樹脂シート(例えばポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂等)にて底部2bと側壁2sとが一体的に形成された簡易貯水部12とを備える。簡易貯水部12は、側壁2sをなす樹脂シート部分の上縁が懸架枠9に結合され、内部に注水された状態にて支持枠体11に懸架状態で支持される。本実施形態において、簡易貯水部12は奥行方向寸法が例えば9.8m、幅方向寸法が4.9m、高さが1.3m程度であり、満水水位1.0〜1.1mにて貯水量はおおむね50tである。
懸架枠9は鋼製であり、図4に示すように、池本体2の上部開口の4つのコーナー部に配置される円弧状のコーナージョイント9cと、支持柱体10が結合される各々直管状の複数の支持ジョイント9jと、両端がこれらコーナージョイント9cないし支持ジョイント9jの内側に挿入結合される直管状の複数の本体管9mからなる。また、支持柱体10は、本実施形態では、図6に示すように断面が扁平長方形状をなし、正面形状がU字状の一体鋼製フレーム部材とされている。支持ジョイント9jの側面下部にはソケット部9sが一体形成され、支持柱体10の上部両端が差し込まれて固定される。
図4に戻り、簡易貯水部12は、側壁2sの上縁部に沿って袋状の懸架枠収容部12fが形成され、その内部に懸架枠9が収容されている。図5に示すように、懸架枠収容部12fは、側壁部本体12mとは別体の長尺の可撓姓樹脂シート材を幅方向中央で折り返し、その幅方向両縁部間に側壁部本体12mの上縁部を挟み込んで積層部分を作り、該積層部分に対し長手方向に沿って結合部12b(例えば、熱圧着部、シーム溶接部、縫合部ないしそれらの組み合わせ)を形成することで側壁部本体12mに結合されている。また、懸架枠収容部12fの外側にて結合部12bの上方には、収容された懸架枠9に結合される複数の支持柱体10を下方に延出させるための支持柱体延出孔12pが、図4に示すように、懸架枠収容部12fの長手方向に沿って断続的に形成されている。
簡易貯水部12は、図7に示すように、側壁2sの下縁から底部2bの外周縁に連なる移行部分12rの垂直断面形状が、水を満たした状態において外向きに凸となるアール面状に形成されている。図4に示すように、移行部分12rの形状は、底部2bの接地部の寸法E2が側壁2sの上部開口の寸法E1よりも小さくなるように調整されている。図4に示すように、垂直断面形状において側壁2sは貯留水圧に基づき、上縁から下縁に向けて下り勾配形状にて外向きに張り出した後、極大点Mxを経て内向きに収縮する形でアール面状の移行部分12rを形成しつつ、接地面の外周縁に連なる膨出形態とされている。これにより、注水後の移行部分12rのアール面の半径をより大きく確保できている。また、簡易貯水部12の移行部分12rの内面には、可撓性樹脂(例えば、側壁2sと同じ材質)よりなる補強シート12tが積層されている。補強シート12tの上下縁部は結合部12g,12hにより側壁2s及び底部2bに対し結合されている。
次に、図4に示すように、支持枠体11の支持柱体10は、簡易貯水部12の側壁2sの上側部分に接する形で極大点Mxよりも外側に位置する接地点に向け、外向きに下る傾斜形態で配設されている。そして、支持柱体10の下端部(U字の底をなす直線部分)と底部2bの接地部分外縁とは、可撓姓樹脂シートからなる底部支持体13により突っ張り形態にて結合されている。底部支持体13はU字型の支持柱体10の下端部に結合される帯状部材であり、図6に示すように、第一端側が底部2bの接地部分外縁に対し結合部13bにより結合されるとともに、第二端側は支持柱体10の下端部に三角形状の折返し展張部13cを形成しつつ巻き回されて第一端側に重ね合わされ、接着ないし熱溶着により相互に結合される。
満水状態の簡易貯水部12は静水圧により側方に膨らみつつ、高さ方向にはつぶれる形で変形しようとする。他方、外向き斜めに配設された支持柱体10の全長は一定なので、簡易貯水部12の高さ減少を伴うつぶれ変形は、支持柱体10の傾斜角を増加させる形で外向きに開かせつつ、その接地点を底部2bの接地部分外縁から遠ざけようとする。そこで、支持柱体10の下端部と底部2bの接地部分外縁とを上記のように底部支持体13により結合しておくと、簡易貯水部12のつぶれ変形力が底部支持体13の突っ張り力に変換され、注水された簡易貯水部12を強固に支持することができる。
図2に示すように、簡易貯水部12の側壁上部には給餌器46が設置され、ここからペレット化された飼料が、簡易貯水部12の上部開口より水面に落下するように供給される。エビは簡易貯水部12内を遊泳しながらこの飼料を食べて生育する。給餌量は、エビの種類と飼育密度(例えばバナメイエビの場合は水1トン当たり300匹〜500匹、ウシエビの場合は水1トン当たり600匹〜800匹等)に応じ、残餌の腐敗等による水質低下(飼料投入量が多すぎる場合)、及びエビ同士の共喰い(飼料投入量が少なすぎる場合)がなるべく生じないように適宜調整する。
飼料の組成は本発明のポイントともいえる部分であり、与える飼料の総重量に占めるカルシウム含有率を2質量%以下(望ましくは1質量%以下、さらに望ましくは0.5質量%以下)に制限したものを使用する。具体的には、魚、イカ、タコ、貝類及び甲殻類より選ばれる1種以上の魚介肉とでんぷん質(例えば小麦粉)との混合物であり、含有物としてはありふれたものであるが、エビの殻の成長促進を図るために通常10質量%程度は添加されるカルシウム源(例えば牡蠣殻粉末など)の添加量を、カルシウム含有率が上記の範囲のものとなるように大幅に削減したものが使用される。
次に、図2に示すように、循環管路6は、流入口5の形成側末端となる戻り管部6dが簡易貯水部12の上方に配置され、流入口5を簡易貯水部12内の水面に向けて下向きに開口している。他方、循環管路6の流出口4の形成側末端となる流出管部6aが簡易貯水部12の側壁2sの上部に結合され、該側壁2sを貫通する形で流出口4を開口させている。本実施形態では、流出口4は奥行方向に間隔をおいて2か所形成され、各々流出管部6aが接続されている。
図8は、流出口4への流出管部6aの接続形態の一例を示すもので、側壁2sに形成された貫通孔に樹脂製のねじ継手4aを内側からはめ込み、そのフランジ部を周方向に溶接結合することにより流出口4が形成される。他方、流出管部6aの末端にフランジ継手6jを形成し、これをねじ継手4aにシール材4bを介して重ね合わせ、外側に継手ナット型のキャップ6eを被せてねじ継手4aと螺合締結することにより流出管部6aが液密に接続される。
図11に示すように、簡易貯水部12内に貯留される水の上層部分は、該流出口4を経て循環管路6(流出管部6a)内に流入する。図2及び図3に示すように、循環管路6は、流出口4から簡易貯水部12の接地面GSよりも下方に位置する揚水ポイントPPまで単調に下る形で配設され、揚水ポイントPPに設けられた循環ポンプ7により簡易貯水部12内の水面よりも上方に循環水を汲み上げつつ流入口5に導かれる。
また、循環管路6の揚水ポイントPPよりも上流側に位置する部分の一部(符号6b、6c)は、池本体2の側方(本実施形態では、図1に示すごとく奥行方向第一端側壁部WB1に隣接する位置)にて、接地面GSから掘り下げ形成された槽収容凹部24内に配設されている。そして、該部分6aの途上にて槽収容凹部24内には循環水を濾過する濾過槽23が設けられている。
本実施形態では、濾過槽23は3連の樹脂製ローリータンク23a,23b,23cにて構成されている。このうち、下流側の2つのタンク23b,23cが槽収容凹部24内に配置され(図3に示すごとく、タンク設置面は階段状に形成されている)、最も上流側のタンク23aは池本体2の接地面GS上に配置されている。これら3つのタンク23a,23b,23cを相互につなぐ接続管路6bは、上流側がタンク下部に接続され、下流側はタンク上部に接続されている。また、最も下流側のタンク23cの下部は、図2に示すように、揚水ポイントPPを形成する揚水槽25と接続管路6cにより連通接続されている。循環ポンプ7は該揚水槽25内に配置される水中ポンプとして構成されており、ここに戻り管部6dが接続される。なお、池の水交換や収穫時の便宜を図るため、池本体2内の水を排出する排水管31を池本体2の下部に設け、排水ポンプ32により排水する機構を設けることも可能である。
図3に示す3つあるタンク23a,23b,23cのうち、最も上流側のタンク23aはフィルタリングタンクであり、図10にその内部構造の一例を示している。タンク23aの底部には、二価鉄を含有する鉱物モジュール(例えば玄武岩、安山岩、軽石、溶岩等)が敷き詰められており(例えば、池容量が50トン、循環流量が100L/分のとき、3〜4cm径の鉱物片を50kg〜150kg程度使用する)、その上に不織布やスポンジからなるフィルタ42が積層されている。循環管路6から流入する水は、フィルタ42の積層体の上部に置かれた水流分散材41に当たって拡散しつつフィルタ42を流通する。ここで、水に含まれるエビの糞や残餌、死骸などが濾過されるとともに、鉱物モジュール43の層を通過する際に二価鉄成分が水中に徐放的に溶出する。
また、2番目のタンク23bは好気性菌繁殖槽であり、腐植質(フィルタリングされたエビの糞や残餌、死骸を好気性菌で腐植化(コンポスト化)したもの、あるいは市販の腐植質ペレット)が、図示しないフィルタにより固形物の流出が妨げられた状態で充てんされている。このタンクの内部では、二価鉄成分を溶け込ませた水の流入により腐植形成微生物が活発に増殖し、そのまま除菌されることなく下流側のタンク23cを経て簡易貯水部12内に戻される。その結果、簡易貯水部12内の水には腐植形成微生物(及び腐植質)とエビとが共存する状態となる。腐植形成微生物を含む水は、二価鉄成分を含有することで微生物増殖ひいてはエビの糞や死骸の腐植化が促進され、また、浮遊する腐植質を核とした腐植形成微生物のフロック形成とその安定化にも寄与するので、閉鎖された陸上養殖池の水を長期にわたって清浄に保つことができる。腐植形成微生物は、土壌中に存在する一般的なもので、芽胞菌類(バチルス属細菌など)、放線菌類、真菌類などからなる。他方、3番目のタンク23cは有用嫌気性菌(硝化菌や脱窒菌)の繁殖槽とされており、上記好気性菌繁殖槽と共同して水質の浄化及び酸素富化に寄与している。
図1及び図2に示すように、陸上養殖池1の池本体2は、樹脂シート製の簡易貯水部12を土面からなる接地面GP上に配置している。本実施形態では、寒冷地向けの仕様として、接地面GP(土面)と底部2bとの間に押出発泡ポリスチレン断熱材(商標名:スタイロフォーム)等からなる断熱材層が配置されている。
また、図1に示すように、簡易貯水部12の底部2b上には、貯留水の加熱機構14が配設されている。図9に示すように、加熱機構14は、上記底部上に配設される液状加熱媒体14fの流通管路14aと、簡易貯水部12の外に設けられ液状加熱媒体14fを昇温する媒体昇温部14hと、該媒体昇温部14hと流通管路14aとの間で液状加熱媒体14fを循環送液させる媒体循環ポンプ14pとを備えている。貯留水は流通管路壁を介した液状加熱媒体14fからの伝熱により加熱される。
流通管路14aは、樹脂ホースなどの可撓性材料で構成されており、底部2bの全体に加熱域が形成されるよう、つづら折れ状に配設されている。液状加熱媒体14fは例えばエチレングリコールを主成分とするもの(例えば、JIS K 2234等に規定されたエンジン用不凍液)が使用される。加熱機構14は液状加熱媒体14fのリザーバタンク14hを備え、電源14sにより抵抗発熱する電熱線ヒータ14nにより液状加熱媒体14fを加熱する。
エチレングリコールは揮発性が低く、加熱媒体としての取り扱いが容易である。また、比熱も水に近接する大きな値を有し、かつ比重は水よりも若干大きいので、軽い樹脂ホースからなる流通管路14aを水底に沈め、底部付近の水に対する加熱効率を高めることができる。さらに、凍結温度が低く、底部水が極度に冷えている場合でも加熱循環を容易に継続することができる。なお、流通管路14aは、少なくとも水中に没する区間部分を継ぎ目のない一体の樹脂ホースにて形成し、リザーバタンク14hとの接続部を池本体2の外に配置することが望ましい。
陸上養殖池1の池本体2は、図1に示すように、ごく単純な方形平面形状に形成されており、貯留水は池外部の循環管路6を経て循環ポンプ7により循環流動される。その循環のための水の流入口5は、奥行方向第一端側(図面下側)にて幅方向第一端側(図面左側)に寄せて開口形成されており、流出口4が幅方向第二端側(図面右側)にて、流入口5と奥行方向第二端側壁部WB2との間に位置するように開口形成されている。つまり、図面左下側の角部付近にて流入口5から池本体2内に水が入り、図面右側の側壁部(幅方向第二側壁部)WA2の中間付近に開口する流出口4から水が流れ出る。
これにより、図11に示すように、流入口5から池本体2に入った水は、反対の側壁部WA2の中間付近に向け、前述の仮想線VDL(図1)に沿う斜めの直接流DFを形成しようとする。他方、池の底部2bには主散気部3が配置され、その位置は、図1に示すように、奥行方向第二端側壁部WB2からの距離DA2が上記仮想線VDLからの距離DA1よりも小さくなり、かつ、幅方向中心線OLからの距離dcが、流入口5及び流出口4からの各距離da1,db2のいずれよりも小さくなるように設定されている。これにより、図11に示すごとく、池本体2の幅方向の中間付近にて、静的には水が最も流れやすくなる直接流DFの経路から奥行方向に離間した位置に、気流AFが水面に向けて噴き上げられる。
池本体2の池奥側(図面上側)の水は、図面右側の側壁部WA2の中間に形成された流出口4に向けて流れ込もうとするが、主散気部3からの放射状の気流AFにより該水流は、奥側の側壁部WB2(池奥方向第二側壁部)及び右側の側壁部WA2(幅方向第二側壁部)に押しやられ、これら両側壁部WB2,WA2に沿う壁面流WF2,WF1を形成する。この壁面流WF2,WF1により失われる池奥左側の水は、流体力学の連続の式に基づき、直接流DFの一部を幅方向左側壁部WA1に沿った壁面流WF3として取り込むことにより補われる。本実施形態では、さらに補助散気部8からの気流AFにより、直接流DFの一部が幅方向第一端側壁部WA1の側に積極的に押しやられることで、壁面流WF3の形成が促進されている(ただし、池本体2の寸法が小さい場合は、補助散気部8を省略しても迂回巡回流を十分に形成できる場合がある)。
その結果、流入口5から左側の側壁(幅方向第一端側壁部WA1)に沿う壁面流WF3、奥側の側壁(奥行方向第二端側壁部WB2)に沿う壁面流WF2及び右側の側壁(幅方向第二端側壁部WA2)に沿う壁面流WF1が、流出口4に流れ込む迂回巡回流を形成することとなる。すなわち、本発明によると、主散気部3が形成する壁面流WF2,WF1に、流入口5からの流れの一部を壁面流WF3として取り込みつつ合流させ、流入口5から幅方向第一端側壁部WA1、奥行方向第二端側壁部WB2及び幅方向第二端側壁部WA2に各々沿って流出口4に向かう迂回巡回流が形成されるのである。
上記の位置関係で水循環のための流入口5及び流出口4を池本体2に形成し、池底部2bに上記の位置関係で主散気部3を配置することで、流入口5より入った水が主散気部3からの気流AFにより池本体2の側壁WA1,WB2及びWA2に沿って迂回しつつ流出口4に向かう流れが形成され、ひいては池本体2の側壁2sの内周に沿った巡回流を定常的に形成できる。これにより、極めて簡単な機構によりながら、酸欠等の水流死角が池本体2内に形成されにくくなり、個体数密度の高い陸上養殖が可能となる。
また、図1に示すように、循環管路6の流出管部6aを簡易貯水部12の側壁2sの上部に結合し、図11に示すように、貯留される水の上層部分を流出口4から流出管部6a内に流入させるようにしておくことで、水底から湧き上がりつつ放射状の水面流を作る主散気部3からの気流AFと、上層部の水を流出口4から側方に導く流れSFとの、迂回巡回流の形成のための連携が促進されている。さらに、戻り管部6d先端の流入口5が水面に向けて下向きに開口しており、液面上方から水が流下するようになっているので、落下した水流を液面に沿って緩やかに広げることができる。その結果、形成される迂回巡回流の速度との整合も取りやすく、流入水特有の激流によりエビが受けるストレスを緩和することができる。
図7に示すように、簡易貯水部12の下部にアール面状の移行部分12rが水圧を利用して膨出形成されていることで、底部2b付近のよどみが生じにくくなり、迂回巡回流の水深方向への広がりも確保しやすくなっている。また、エビSP(特に稚エビ)はこうしたアール面形状の区域を好んで集まって遊泳する習性があり、水中での活動が活発化し、脱皮促進を図ることができる。さらに、アール面形状の区域は、エビSPを収穫する際も網をふるいやすく、特に遊泳方向後ろ側(エビは流れに逆らって泳ぐので、迂回巡回流を前方から受け止める向きとなる)から網ですくうと、一度に大量のエビSPを網内に導くことができ、収穫時の作業効率を高めることができる。
上記のような陸上養殖池1に、例えば体長3mm程度までの稚エビを、種別に応じた前述の飼育密度で投入し、水温を調整した後(例えば、バナメイエビであれば23℃〜28℃)、水流の循環を開始するとともに、散気部3,8からのエアレーションを開始する。すると、上記の巡回流が池本体2の内部に発生する。
形成される水流は緩やかであり、図12に示すごとく、稚エビSPの水流に逆らった遊泳が容易となる。特に図7のアール面状に膨出した移行部分12rは、水流に逆らった遊泳をエビが特に活発に行う領域となる。これにより、稚エビSPはストレスが溜まりにくくなり、動きを活発化させることができるので、死滅率の低い健全な養殖状態を安定に維持できるようになる。その結果、稚エビの脱皮SPが良好に促される。
他方、稚エビSPに与えられる飼料は前述の通りカルシウム成分が大幅に制限されたものであり、遊泳活性化により脱皮を促進すれば、カルシウムの摂取が抑制された状態で稚エビSPの体長が急速に増加するため、エビの殻は柔らかく薄い踊り食いに適したものとなる。また、巡回流に逆らって遊泳させつつ生育させたエビは、池中でよく運動しているため収穫してからも活動力が高く、料理として出す際の器の中や、あるいは後述する消毒養生処理中も元気に泳ぎ続ける状態を長時間維持することができる。
そして、養殖に使用する水は、二価鉄成分を含有しているので腐植形成微生物の増殖ひいてはエビの排泄物や死骸の腐植化が促進され、また、浮遊する腐植質を核とした腐植形成微生物のフロック形成も安定的に進む。その結果、閉鎖された陸上養殖池の水を長期にわたって清浄に保つことができる。また、池内で生育するエビの脱皮及び成長促進と活性度、具体的には踊り食い形態で提供する際の活きの良さは、さらに飛躍的に向上する。また、塩分濃度が2質量%以下の汽水が用いられていることで、腐植形成微生物の活性及び繁殖がより顕著であり、池内で生育するエビの脱皮及び成長促進と活性度向上の効果がさらに高められる。また、塩分濃度の低い水に移し替えられたときのエビの衰弱も進みにくくなる。
図13に示すごとく、このようにして3cm以上12cm以下の目標体長までに成長したエビSPは、タモTM等で養殖池1より収穫し、消毒養生用の水槽51に移す。この水槽51には、塩素消毒された通常の水道水52(残留塩素濃度0.1mg/L以上1.0mg/L以下)が張られている。塩水中で繁殖しやすい腸炎ビブリオ菌にエビSPがもし汚染されていても、水道水52内にて例えば30分以上、好ましくは1時間以上2時間以下の範囲内で養生すると、エビSPに付着していた腸炎ビブリオ菌はほぼ完全に死滅させることができる。また、閉鎖循環系で稚エビ段階から適正な飼料を用いて生育させたエビSPは寄生虫汚染の懸念がない。以上から、消毒養生処理を経たエビSPは安心して踊り食いに供することができる。なお、塩素消毒された水道水ではなく、井戸水などの淡水を用いても腸炎ビブリオ菌を死滅させることができるが、この場合は、養生時間を塩素消毒された水道水の場合よりも若干長めに設定することが望ましい。
しかしながら、水道水による消毒養生は、汽水中で生育したエビSPには負荷の大きい処理であり、通常の手法で養殖されたエビでは、この処理に耐えきるだけの体力がなく、図14の右下に示すごとく、相当量のエビSPは弱ってしまい、踊り食いに供する前にかなりの数が死んでしまい、歩留まりが極度に悪化する懸念がある。しかし、エビの脱皮及び成長促進と活性度向上にかかる上記説明したような対策(巡回流中での遊泳、腐植形成微生物(及び二価鉄)との共存飼育)を講じた手法で飼育した活きエビSPは極めて健康であり、水道水による消毒養生を経ても十分活発に泳ぎ続ける体力を温存することができる。
図15に示すように、このような活きエビSPを、透明ガラス等からなる本体60aと蓋60bとを有する主食器60に、淡水(水道水)61か塩分濃度が1質量%以下の汽水とともに生きた状態で盛り付け、踊り食い可能な状態で提供する。エビSPが弱っていると、この時も図16に示すように、食べる前に死んで動かなくなってしまうエビが少なからず発生するが、上記のように体力を温存した活きエビであれば、食べる直前まで生きて元気に泳ぐ状態を維持することができる。この場合、あまりにエビが元気なため、本体60aから跳ねて外に飛び出してしまうこともあり得るが、蓋60bを被せておくことでエビSPの飛び出しを防止することができる。また、主食器60は本体60a及び蓋60bとも透明なので、料理の被提供者は蓋を被せた状態でもエビの泳ぐ様を観察することができる。
また、図15においては、エビのつけ汁(みりん、しょうゆなどとの合わせ出し)66を本体65aと蓋65bからなる器65に入れ、エビSPと合わせて供されている。料理の被提供者は主食器60内の泳ぐエビSPを箸などでつまみ、つけ汁66につけて、生きたまま踊り食いとして味わうことができる。また、つけ汁66に浸した後蓋65bを被せ、だし汁をエビSPに吸わせて食するとさらに奥深い味わいを楽しむことができる(蓋65bを被せることで、エビSPが暴れてつけ汁66が飛び跳ねることも防止できている)。なお、エビを生きたまま口に入れることに抵抗のある人は、エビSPが動かなくなるまでつけ汁66内に浸してから味わうこともできる。
図17は、エビの踊り食いを食する際に用いるのに好適な箸の一例を示すものである。この箸70は後端部70aが角状断面、残余の本体部70bが丸状断面を有した竹製又は木製のものであり、滑りにくくするために素材表面が露出したものを用いている(この実施形態では、竹製の割り箸として構成している)。そして、図18に示すように、生きたエビSPをつまむときは、箸70をひっくり返して持ち、角状断面の後端部70aでエビSPをつまむようにすると、エビSPが動いても箸70から脱落しにくくなり、そのままつけ汁に浸した後そのまま(あるいは、エビの動きが鈍れば箸70を再度ひっくり返して本体部70bの先端でつまんで)口に運ぶようにするとよい。
クルマエビ科のエビの場合、このように踊り食いに適しているのは、食したときの満足感が損なわれないのが体長3cm以上(好ましくは3.5cm以上)のものであり、殻が柔らかく食感に優れているのは、7cm程度までのもの(好ましくは6cm程度までのもの)である。しかし、図19に示すように、熱した煮汁67sを張った鍋67にて、野菜などの他の具材67gとともに鍋料理に入れるようにすると、さらに大きなエビSPであってもおいしく食することができる。このとき、エビSPは鍋67に入れる直前までは活きた状態のものであり、箸70でつまんで熱した煮汁67s中にしゃぶしゃぶ感覚でさっと(5〜10秒程度)くぐらせ、半生状態で食するようにするとよい。これにより、エビが大きい分甘さと弾力が一層引き立つばかりでなく、生きた状態ではやや固かった殻が熱を通すことで軟化してかみ砕きやすくなり、香りのよい殻や頭とともに丸ごと食することができるので、エビの味を堪能することができる。
なお、踊り食いに関しては、工夫によりさらに種々の提供形態が可能である。例えば図20に示すように、活きエビSPを水槽状の容器81に泳がせた状態で客CLに出し、客に釣り糸80sの付いた小型の釣り竿80を箸70及びつけ汁66とともに供する。活きエビSPが元気であれば、客CLが垂れる釣り糸80s(の、図示しない釣り針)にエビSPが図21に示すように食いつくので、これを釣り上げることができる。客CLは、釣り針から外したエビSPをつけ汁66につけて生きたまま食する。これは、釣りと料理の究極のコラボレーション形態と見ることもできる。
なお、揚げ物や煮物などの加熱調理を前提にする場合は、加熱により殻が軟化することから、より大きい個体まで成長させても殻(あるいは頭)ごと食べさせることが十分可能であり、エビを体長20cm程度まで成長させてから収穫することも可能である。
以下、本発明の効果を確認するために、種々の条件にてエビの試験養殖を行なうとともに、成長途上のエビを種々の体長にて生きたまま収穫し、踊り食いに供したときの食味等を調べた。以下、その詳細について説明する。使用した陸上養殖池は、図1〜図3に示す形態のものであり、塩分濃度が1.8〜2.5%の汽水域となる種々の条件となるように調整した人工海水を50t注入した(溶質成分の相対組成は、塩化ナトリウム77.9質量%、塩化マグネシウム9.4質量%、硫酸マグネシウム6.2質量%、硫酸カルシウム4.1質量%、塩化カリウム2.0質量%、残微量成分)。池中の水は、循環ポンプ7により100L/分の流量にて循環させるとともに、主散気部3及び補助散気部8の作動により2m/分の速度で迂回巡回を発生させた。また、水温は加熱機構14により外気温と無関係に28±1℃に維持した。
また、フィルタリング用のタンク23a(容積500L)の底には、二価鉄を含有する鉱物モジュールとして、直径15〜30mmに砕いた溶岩片(鉄(II)イオン含有率:約10質量%)を約100kg敷き詰め、その上にはスポンジ及び不織布からなるフィルタを厚さ約40cmとなるように充てんした。また、好気性菌繁殖槽となるタンク23bには、タンク23aと同様のフィルタを厚さ10cmとなるように敷き詰めた後、市販の腐植質ペレット(EZ901:エンザイム株式会社製、芽胞菌類、放線菌類、真菌類などの一般土壌好気性菌を含有)を30kg投入し、さらにその上に同様のフィルタを厚さ20cmとなるように敷き詰め、好気性バイオフィルタ槽として構築した。また、タンク23cは、硝化菌及び脱窒菌を含む有用嫌気性菌の繁殖槽とした。
上記の陸上養殖池に300匹/トンの密度となるようにバナメイエビの稚エビ(体長約5mm)を投入した。池内の水は、これら3つのタンクを通過する際にタンク内の微生物が取り込まれつつ循環継続される。池内の稚エビには、骨を取り除いた魚肉(フィッシュミール)に対し小麦粉20質量%、及び水10質量%を配合したものをベースとし、これに牡蠣殻粉末(カルシウム含有率:40質量%)を0〜10質量%の範囲にて、表1の種々の値に配合した飼料を、エビの成長段階に合わせた適量(エビの体長に合わせて変化する:食べ残しがなるべく生じず、かつ、共喰いが発生しない程度)を与えつつ養殖を継続した。なお、表1には、飼料中のカルシウム成分の含有率も合わせて示している。
各養殖条件にて養殖中のエビは、平均体長が3cm、4cm、5cm、7cm及び10cmとなるまでの到達日数をサンプリングによって求めた。また、各体長のエビは100匹ずつ100Lの養殖水とともにサンプリングを行ない、ここに菌濃度108cfu/mLの腸炎ビブリオ菌液10ccを加えて水温を28℃に維持しつつ24時間放置して菌汚染処理を行った。この菌汚染処理後のエビを取り出し、残留塩素濃度0.5mg/Lの水道水(水温:20℃)を40L注入した消毒養生用の水槽51に入れ、30分後及び60分後のエビの生存率を確認した。また、死滅率が50%に到達する養生時間を限界養生時間として特定するとともに、その段階で取り出したエビ25gを検体としてすりつぶし、食品衛生検査指針「生食用鮮魚介類の成分規格腸炎ビブリオ検査の方法」に従って菌数を確認するとともに、菌汚染が認められなかったもの(菌数10/g未満)を陰性(−)、1×102/g未満にて菌汚染の痕跡が見られたものを擬陽性(±)、1×102/g以上にて菌汚染が見られたものを陽性(+)として評価した。
一方、菌汚染処理しないエビを50匹ずつ同様にサンプリングし、残留塩素濃度0.5mg/Lの水道水(水温:20℃)を40L注入した消毒養生用の水槽51に入れ、60分消毒養生処理した後、次の2種類の調理方法により10人の試食者に供して、味および食感を評価させた。
(1)踊り食い(図15に示す形態):水道水を張った器にエビ5匹を泳がせたものに、昆布・カツオの合わせ出し、みりん及び薄口醤油で味付けしたつけ汁を副えて供し、エビを生きたままつけ汁に浸した後、そのまま頭から食する。殻の固さが気にならず美味と感じた人が9人以上であった場合を「◎」、同じく6人以上8人以上であった場合を「〇」、3人以上5人以下であった場合を「△」、2人以下であった場合を「×」として判定した。
(2)活け鍋(図19に示す形態):水道水を張った器にエビ5匹を泳がせたものを、沸騰した昆布だしを張った鍋及びポン酢とともに供し、生きたエビを箸でつまんで鍋に入れ、5秒後に引き上げてポン酢をつけて頭から食する。評価については(1)と同様である。以上の結果を表1に示す。
Figure 2019092440
飼料中のカルシウム含有率を2質量%以下にとどめて飼育したエビ(番号1〜4)は、体長が4cm程度までは火を通さない踊り食いでも殻の固さが気になりにくく、良好な食感が維持できているのに対し、この値を超えるカルシウム含有率の飼料で飼育したエビ(番号5:比較例)は、体長3cm程度の矮小な段階でも殻がかなり固くなり、踊り食いには適さなくなっていることがわかる(火を通す活け鍋の場合でも、多くの人が殻の固さが気になると感じている)。また、エビの殻の固さ低下に伴う食感の向上は、飼料中のカルシウム含有率が下がるほど顕著であり、例えばカルシウム源である牡蠣殻粉末を全く配合しない番号1のエビは、体長7cmまで成長しても比較的良好な食感を維持していることがわかる。活け鍋であれば10cm程度まで成長したものでも頭から食することができ、エビの大きさも相まって非常に食べ応えのある食感を楽しむことができた。
また、いずれも汽水域にて腐植形成微生物と共存させる条件での飼育であり、溶岩片からの二価鉄成分の溶出により微生物活動の更なる活性化が図られている結果、養殖されるエビの活度が飛躍的に向上しており、水道水中での消毒養生処理に関しては、30分後程度の養生であれば全数が生存し、60分後でも80%が生存することができている。その結果、腸炎ビブリオ菌をほぼ完全に不活性化できる水道水消毒養生処理を経てもなお、水道水中でエビが元気に泳ぎ回る状態で踊り食いに供することが可能となっている。また、塩素を含有した水道水中での限界生存時間は、エビのサイズが大きくなるほど長くなっていることもわかる。
一方、番号6は、タンク23aに二価鉄鉱物モジュールを投入しない点を除いて、番号1と同じ条件で養殖を行った場合の結果を示すものであり、二価鉄の溶出が不足する分だけ腐植形成微生物の活動が鈍り、エビの成長に関する生理活性も影響を受ける結果、番号1よりはエビの成長が鈍っていることがわかる(同じ体調に到達するのに番号6のほうが番号1よりもより多くの日数がかかっている)。また、エビの活度も番号1ほどではなく、塩素含有水道水中での限界生存時間が短くなる結果、体長の小さい段階(3cm程度まで)では、生きた状態で供することが可能な消毒時間が短時間側にシフトし、消毒不足の懸念が生じることがわかる。ただし、カルシウム含有率を押さえて殻を軟化させる効果は同様に確保できており、飼育日数はかかってもエビを成長させれば(例えば体長5cm以上)限界生存時間が延びる結果、消毒養生時間を十分に確保しても生きた状態で供することが可能となり、踊り食いでの提供が可能であることがわかる。
また、番号7は、タンク23bへの腐植形成ペレットの投入もさらに省略した場合であり、番号6よりもエビの成長が鈍るほか、エビの活度はさらに低下して、塩素含有水道水中での限界生存時間がより短くなっている。しかし、ここでもカルシウム含有率を押さえて殻を軟化させる効果は同様に確保できており、さらに飼育日数をかけてエビを成長させれば(例えば体長7cm以上)、十分消毒時間をとっても生きた状態で供することが可能となり、踊り食いでの提供が十分可能となる点については、番号6と同じである。
また、番号8は、飼育水中の塩分濃度を2.5質量%に増加させた点以外は番号1と同様の条件となっている。ここでも、番号6及び番号7ほどではないが、エビの成長の鈍化と活度低下(塩素含有水道水中での限界生存時間が短時間側にシフト)の傾向がみられる。ここでも、より成長させてから踊り食いに供することで問題点を解消できる点については同様である。
なお、同様の試験養殖を、バナメイエビに替えてウシエビ(ブラックタイガーエビ)を用いても実施したが、成長に要する期間がバナメイエビの約1.5倍程度必要であった点を除き、特に踊り食いの食感等については表1とほぼ同様の結果が得られた点についても付言する。すなわち、ウシエビを用いても同様の踊り食いが可能となった。
1 陸上養殖池
60 主食器
60a 本体
60b 蓋
61 水
65 器
65a 本体
65b 蓋
SP 活きエビ

Claims (17)

  1. クルマエビ科に属する稚エビを閉鎖型の陸上養殖池にて、与える飼料の総重量に占めるカルシウム含有率を2質量%以下に制限しつつ3cm以上12cm以下に設定される目標体長に至るまで飼育するとともに、前記目標体長に達した活きエビを前記陸上養殖池より収穫し、水で満たした主食器に前記活きエビを泳がせた状態で盛り付けることにより踊り食い可能な形態で提供することを特徴とするエビ料理の提供方法。
  2. 前記活きエビは、与える飼料の総重量に占めるカルシウム含有率を1質量%以下に制限しつつ飼育されたものを使用する請求項1記載のエビ料理の提供方法。
  3. 前記活きエビが、バナメイエビ、ウシエビ、クマエビ及びコウライエビより選ばれるいずれかである請求項1又は請求項2に記載のエビ料理の提供方法。
  4. 前記活きエビの前記目標体長が3.5cm以上5cm以下に設定される請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のエビ料理の提供方法。
  5. 前記活きエビは、魚、イカ、タコ、貝類及び甲殻類より選ばれる1種以上の魚介肉とでんぷん質との混合物を前記飼料として用いて飼育されたものが使用される請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のエビ料理の提供方法。
  6. 前記活きエビは、巡回流発生機構を有した前記陸上養殖池にて巡回流に逆らって遊泳させることにより脱皮促進したものが使用される請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のエビ料理の提供方法。
  7. 前記活きエビは、腐植形成微生物と共存させた状態で飼育されたものが使用される請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のエビ料理の提供方法。
  8. 前記陸上養殖池は二価鉄を含有する鉱物モジュールに水を流通させつつ循環されるものであり、前記活きエビは前記鉱物モジュールから溶出した二価鉄を含有する水中にて前記腐植形成微生物と共存させた状態で飼育されたものが使用される請求項7記載のエビ料理の提供方法。
  9. 前記陸上養殖池は塩分濃度が2質量%以下の汽水が循環流通されるものであり、前記活きエビは該汽水中にて前記腐植形成微生物と共存させた状態で飼育されたものが使用される請求項7又は請求項8に記載のエビ料理の提供方法。
  10. 前記活きエビは、前記陸上養殖池から収穫した後、塩分濃度が0.5質量%以下の養生水中にて消毒処理後、前記主食器に盛り付けられる請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のエビ料理の提供方法。
  11. 前記養生水として残留塩素濃度が0.1mg/L以上1.0mg/L以下の水道水が使用される請求項10記載のエビ料理の提供方法。
  12. 前記活きエビを泳がせるための前記主食器に満たす水として塩分濃度が1質量%以下のものが使用される請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載のエビ料理の提供方法。
  13. 前記活きエビを泳がせるための前記主食器に満たす前記水として残留塩素濃度が0.1mg/L以上1.0mg/L以下の水道水が使用される請求項12記載のエビ料理の提供方法。
  14. 前記主食器として、前記水と前記活きエビとを投入するための開口を有した本体と、前記水と前記活きエビとを投入した前記本体の前記開口を着脱可能に閉鎖する蓋部とを備えたものが使用される請求項1ないし請求項13のいずれか1項に記載のエビ料理の提供方法。
  15. 前記主食器とは別の器に満たした前記活きエビのつけ汁が合わせて提供されるとともに、該つけ汁用の前記器として蓋付きのものが使用され、該蓋付きの器中にて前記つけ汁を前記活けエビに吸わせて食することが可能とされた請求項14記載のエビ料理の提供方法。
  16. 前記主食器に盛り付けられた前記活きエビとともに熱汁で満たした鍋が提供され、前記活けエビを該鍋の前記熱汁にくぐらせて食することが可能とされた請求項14記載のエビ料理の提供方法。
  17. クルマエビ科に属する稚エビを閉鎖型の陸上養殖池にて、与える飼料の総重量に占めるカルシウム含有率を2質量%以下に制限しつつ3cm以上20cm以下に設定される目標体長に至るまで飼育することを特徴とするエビの養殖方法。
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