JP2019091749A - コンデンサ、及び該コンデンサの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】導電体薄膜の酸化を抑制することができ、かつ導電体薄膜が誘電体薄膜から剥離するのを防止する。【解決手段】素子本体4は、微小な細孔を有する金属焼結体8と、細孔の内表面を含む表面所定域に原子層単位で堆積された多層膜9とを有する。多層膜9はCuを主成分とする導電体薄膜と、導電体薄膜の両主面に形成されたAl酸化物を主成分とする第1及び第2の誘電体薄膜とからなり、第1の端子電極5aは導電体薄膜に接続され、第2の端子電極5bは、電極層3を介して金属焼結体8接続されている。原子堆積法で金属焼結体8の表面にCu薄膜を形成すると該Cu薄膜は瞬時に酸化してCuOx薄膜を形成し、その後に形成されたAl薄膜との間で酸化還元反応を生じ、導電性薄膜の両主面に誘電体薄膜が形成された多層膜9を得る。【選択図】図1

Description

本発明は、コンデンサ、及び該コンデンサの製造方法に関し、より詳しくは素子本体が複雑な内部形状を有する小型・大容量のコンデンサとその製造方法に関する。
今日、パーソナルコンピュータや携帯情報端末等の電子機器には、多くの各種コンデンサが搭載されている。そして、近年では、誘電体層や導電層を薄膜化し、小型・大容量化が可能なコンデンサも盛んに研究・開発されている。
例えば、特許文献1には、図19に示すように、Si基板101上に形成された三次元立体状のCu薄膜102と、溶液中に浸漬しながら化学的に反応させることによりCu薄膜102上に形成されたチタン酸バリウムやチタン酸ジルコン酸鉛等の高比誘電率を有する誘電体薄膜103と、該誘電体薄膜103の表面に形成されたCuやNi等からなる導電体薄膜(金属層)104とを有し、Si基板101と一体化されたコンデンサが提案されている。
図20は、このコンデンサの製造工程の概略を示す工程図である。
このコンデンサは、図20(a)に示すように、まず、Si基板101上に微細加工された柱状のポリマー105を作製し、次いで、図20(b)に示すように、ポリマー105とポリマー105との間隙にCuめっきを施してCu薄膜102を形成した後、周知のフォトリソグラフィー技術を使用し、図20(c)に示すように、ポリマー105を除去して溝106を作製し、その後ゾルーゲル法等を使用してCu薄膜102の表面に誘電体薄膜103を形成し、該誘電体薄膜103の表面に導電体薄膜(金属層)104を形成し、上記図19に示すようなコンデンサを得ている。
そして、特許文献1では、Cu薄膜102をSi基板101上に柱状に形成することにより表面積を増大させることができることから、Cu薄膜102、誘電体薄膜103及び導電体薄膜104で形成される素子本体の接触面積を増大させることができ、これにより小型・大容量のコンデンサを得ようとしている。
米国特許第8174017号明細書(クレーム1、第4欄第6行目〜同欄第24行目、図3(a)等)
しかしながら、特許文献1は、導電体薄膜104が表面露出しているため、導電体薄膜104がCu等の安価な卑金属材料で形成されている場合は、導電体薄膜104が大気雰囲気に接して容易に酸化され、コンデンサとしての特性劣化を招くおそれがある。
特に、静電容量の取得容量を増大させるためにCu薄膜102の形状を複雑化させて表面積を大きくし、該Cu薄膜102の表面に誘電体薄膜103及び導電体薄膜104を形成した場合、大気雰囲気と接する導電体薄膜104の接触面積も大きくなることから抵抗が増大し、顕著な特性劣化を招くおそれがある。
また、上述したようにCu薄膜102を複雑な形状とし、Cu薄膜102の表面に誘電体薄膜103及び導電体薄膜104を形成した場合、特許文献1のようなゾルーゲル法等では、Cu薄膜102の表面全域に均一で緻密な誘電体薄膜103及び導電体薄膜104を形成するのが困難となり、高性能・高品質のコンデンサを得ることができなくなるおそれがある。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、導電体薄膜をCu等の卑金属材料で形成した場合であっても、導電体薄膜の酸化を抑制することができ、かつ導電体薄膜が誘電体薄膜から剥離するのを防止することができ、緻密で均一な膜質を有する高品質・高信頼性の小型・大容量のコンデンサ、及び該コンデンサの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は上記目的を達成するために、多数の微小な細孔を有する内部形状が複雑な高比表面積基体(金属焼結体、金属箔等)について、緻密で密着性の良好な膜形成が可能な原子堆積(Atomic Layer Deposition;以下、「ALD」という)法を使用し、鋭意研究を行った。すなわち、まず、高比表面積基体内の細孔を含む表面所定域にCu薄膜及びAl薄膜を順次形成することを試みた。すると、Cu薄膜は瞬時に酸化してCu酸化物薄膜を生成し、さらにこのCu酸化物薄膜はその後に成膜されたAl薄膜との間で酸化還元反応を生じ、Cu酸化物はCuに還元され、Alは酸化されてAl酸化物薄膜を生成することが分かった。しかも、AlはCu薄膜を貫通して該Cu薄膜の裏面側に拡散し、その結果、裏面側にもAl酸化物が形成されることとなり、これによりCuを主成分とする導電体薄膜の両主面にAl酸化物を主成分とする誘電体薄膜が形成された緻密で均質かつ密着性の良好な三層構造の多層膜を形成することができることが分かった。そして、導電体薄膜の表面が誘電体薄膜で被覆されることから導電体薄膜は酸化されることもなく、また、密着性が良好であることから導電体薄膜と誘電体薄膜とが剥離することもなく、緻密で均質な膜質を有する高品質・高信頼性のコンデンサを得ることができるという知見を得た。
本発明はこのような知見に基づきなされたものであって、本発明に係るコンデンサは、互いに電気的に絶縁された少なくとも2つの端子電極が素子本体に接続されたコンデンサであって、前記素子本体が、微小な細孔が形成された大きな比表面積を有する導電材料からなる高比表面積基体と、前記細孔の内表面を含む表面所定域に原子層単位で堆積された多層膜とを有し、前記多層膜が、Cuを主成分とする導電体薄膜と、該導電体薄膜の両主面に形成されたAl酸化物を主成分とする第1及び第2の誘電体薄膜とからなり、前記2つ端子電極のうち、一方の端子電極は前記導電体薄膜に電気的に接続されると共に、他方の端子電極は前記高比表面積基体に電気的に接続されていることを特徴としている。
また、本発明のコンデンサは、前記高比表面積基体が、金属焼結体からなるのが好ましく、この場合、前記金属焼結体は、Niを主成分としているのが好ましい。
さらに、本発明のコンデンサは、絶縁性材料からなる基板上に電極層が形成されると共に、前記高比表面積基体は前記電極層を介して前記他方の端子電極に接続されているのが好ましい。
また、本発明のコンデンサは、前記高比表面積基体が、前記2つの端子電極のうちのいずれかの端子電極で覆われているのが好ましい。
また、本発明のコンデンサは、前記高比表面積基体が、金属箔からなるのが好ましく、この場合、前記金属箔は、Alを主成分としているのが好ましい。
さらに、本発明のコンデンサは、前記導電体薄膜と前記一方の端子電極とが前記高比表面積基体の一方の主面側で電気的に接続され、前記高比表面積基体の他方の主面側で該高比表面積基体と前記他方の端子電極とが電気的に接続されているのが好ましい。
また、本発明のコンデンサは、前記導電体薄膜と前記第1及び第2の誘電体薄膜を一組とした多層膜が、原子層単位で堆積された電極薄膜を介して前記表面所定域に複数積層されているのが好ましい。
また、本発明のコンデンサは、前記高比表面積基体が、空隙率は30〜90%であるのが好ましい。
そして、上記コンデンサは、多層膜をALD法で作製することにより、効率良く製造することができる。
すなわち、本発明に係るコンデンサの製造方法は、微小な細孔が形成された大きな比表面積を有する導電材料からなる高比表面積基体を作製する工程と、ALD法を使用して前記細孔の内表面を含む表面所定域にCu薄膜を成膜し、成膜された前記Cu薄膜が瞬時に酸化してCu酸化物薄膜を得る工程と、前記ALD法を使用して前記Cu酸化物薄膜の表面にAl薄膜を成膜し、成膜された前記Al薄膜が瞬時に前記Cu酸化物薄膜と反応すると共にAl成分が前記高比表面積基体側に拡散し、Cuを主成分とする導電体薄膜とAl酸化物を主成分とする第1及び第2の誘電体薄膜とからなる多層膜を得る工程と、前記導電体薄膜を一方の端子電極に電気的に接続し、前記高比表面積基体を他方の端子電極に電気的に接続する工程とを含むことを特徴としている。
また、本発明のコンデンサの製造方法は、絶縁性材料からなる基板上に電極層を形成する工程と、導電性ペーストを前記電極層の一部に塗布して塗布膜を形成する工程とを含み、前記高比表面積基体は、前記塗布膜を熱処理して作製し、前記電極層を介して前記他方の端子電極と接続するのが好ましい。
また、本発明のコンデンサの製造方法は、前記高比表面積基体が、Niを主成分とするのが好ましい。
さらに、本発明のコンデンサの製造方法は、前記多層膜の一方の端部は、前記第1及び第2の誘電体薄膜のうちの一方の誘電体薄膜を除去して前記導電体薄膜を表面露出させ、該導電体薄膜を前記一方の端子電極と電気的に接続させるのが好ましい。
また、本発明のコンデンサの製造方法は、前記高比表面積基体が、Alを主成分とする金属箔であるのが好ましい。
また、本発明のコンデンサの製造方法は、前記一方の端子電極を前記高比表面積基体の一方の主面側に形成し、前記他方の端子電極を前記高比表面積基体の他方の主面側に形成し、前記多層膜の両端は、前記第1及び第2の誘電体薄膜のうちの一方の誘電体薄膜を除去して前記導電体薄膜を表面露出させ、該導電体薄膜を前記一方の端子電極と電気的に接続させるのが好ましい。
さらに、本発明のコンデンサの製造方法は、前記ALD法を使用し、チタン窒化物からなる電極薄膜を作製する工程と、前記導電体薄膜と前記第1及び第2の誘電体薄膜を一組とした多層膜を前記電極薄膜を介して複数回積層する工程とを含むのが好ましい。
本発明のコンデンサによれば、互いに電気的に絶縁された少なくとも2つの端子電極が素子本体に接続されたコンデンサであって、前記素子本体が、微小な細孔が形成された大きな比表面積を有する導電材料からなる高比表面積基体と、前記細孔の内表面を含む表面所定域に原子層単位で堆積された多層膜とを有し、前記多層膜は、Cuを主成分とする導電体薄膜と、該導電体薄膜の両主面に形成されたAl酸化物を主成分とする第1及び第2の誘電体薄膜とからなり、前記2つ端子電極のうち、一方の端子電極は前記導電体薄膜に電気的に接続されると共に、他方の端子電極は前記高比表面積基体に電気的に接続されているので、導電体薄膜の両主面は第1及び第2の誘電体薄膜で覆われることから、導電体薄膜が大気と直接接することもなく該導電体薄膜が酸化するのを抑制することができる。また、誘電体薄膜と導電体薄膜とが剥離することもなく、緻密で膜質の良好な多層膜を得ることができ、漏れ電流の少ない絶縁性が良好な高品質・高信頼性を有する小型・大容量のコンデンサを得ることができる。
本発明のコンデンサの製造方法によれば、微小な細孔が形成された大きな比表面積を有する導電材料からなる高比表面積基体を作製する工程と、ALD法を使用して前記細孔の内表面を含む表面所定域にCu薄膜を成膜し、成膜された前記Cu薄膜が瞬時に酸化してCu酸化物薄膜を得る工程と、前記ALD法を使用して前記Cu酸化物薄膜の表面にAl薄膜を成膜し、成膜された前記Al薄膜が瞬時に前記Cu酸化物薄膜と反応すると共にAl成分が前記高比表面積基体側に拡散し、Cuを主成分とする導電体薄膜とAl酸化物を主成分とする第1及び第2の誘電体薄膜とからなる多層膜を得る工程と、前記導電体薄膜を一方の端子電極に電気的に接続し、前記高比表面積基体を他方の端子電極に電気的に接続する工程とを含むので、ALD法を使用することにより、緻密で均質かつ密着性が良好な膜質の多層膜を形成することができ、漏れ電流が小さく絶縁性が良好な高品質・高信頼性を有する小型・大容量のコンデンサを容易に得ることができる。
本発明に係るコンデンサの一実施の形態(第1の実施の形態)を模式的に示す断面図である。 図1のA部詳細断面図である。 図1のB部詳細断面図である。 図1のC部詳細断面図である。 上記第1の実施の形態に係るコンデンサの製造方法を一実施の形態(第1の実施の形態)を模式的に示す製造工程図(1/3)である。 上記第1の実施の形態に係るコンデンサの製造方法を模式的に示す製造工程図(2/2)である。 上記第1の実施の形態に係るコンデンサの製造方法を模式的に示す製造工程図(3/3)である。 本発明に係るコンデンサの第2の実施の形態を模式的に示す断面図である。 図8のF部詳細断面図である。 図8のG部詳細断面図である。 上記第2の実施の形態に係るコンデンサの製造方法を模式的に示す製造工程図(1/2)である。 上記第2の実施の形態に係るコンデンサの製造方法を模式的に示す製造工程図(2/2)である。 本発明に係るコンデンサの第3の実施の形態を模式的に示す断面図である。 図13のH部詳細断面図である。 図13のI部詳細断面図である。 図13のJ部詳細断面図である。 上記第3の実施の形態に係るコンデンサの製造方法を模式的に示す要部製造工程図(1/2)である。 上記第3の実施の形態に係るコンデンサの製造方法を模式的に示す製造工程図(2/2)である。 特許文献1に記載されたコンデンサの断面図である。 図19のコンデンサの製造工程を示す工程図である。
次に、本発明の実施の形態を添付図面を参照しながら詳説する。
図1は、本発明に係るコンデンサの一実施の形態(第1の実施の形態)を模式的に示す断面図である。
このコンデンサは、絶縁性材料からなる基板1の表面に酸化被膜2が形成されると共に、該酸化被膜2の表面所定域に電極層3が形成されている。素子本体4は、金属焼結体(高比表面積基体)8と多層膜9とからなり、金属焼結体8は前記電極層3に電気的に接続されている。また、第1の端子電極5aは、素子本体4の一部を覆うように酸化被膜2の表面に形成され、さらに第2の端子電極5bが、前記第1の端子電極5aと電気的に絶縁されるように前記電極層3の表面に形成されている。そして、第1の端子電極5aの表面には第1のバンプ6aが形成され、第2の端子電極5bの表面には第2のバンプ6bが形成されている。
ここで、電極層3の形成材料としては、導電性材料であれば特に限定されるものではなく、例えばCu、TiN、Ru、Ni、Pt、Co、Au、Ag等の使用が可能であるが、通常は安価で良導電性を有するCuを好んで使用することができる。
また、第1及び第2の端子電極5a、5bの形成材料としては、電極層3と同様、導電性材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、Cu、Ni、Sn、Au、Ag、Pb等の金属材料やこれらの合金等を使用することができるが、通常は安価で良導電性を有するCuが好んで使用される。
バンプ6a、6bの形成材料としては、良導電性を有すればよく、例えばCu、Sn、Au、及びこれらの合金やはんだを使用することができる。
基板1の形成材料としては、絶縁性材料であれば特に限定されるものではなく、Si、アルミナなどのセラミック材料等が使用可能であるが、通常はSiが好んで使用される。尚、基板1がSiで形成されている場合は、酸化被膜2はSi酸化物(SiO)で形成されることになる。
図2は、図1のA部詳細断面図である。
素子本体4は、上述したように微小な細孔7が形成された大きな比表面積を有する多孔質の金属焼結体(高比表面積基体)8と、前記細孔7の内表面を含む表面所定域に原子層単位で堆積された多層膜9とを有している。
多層膜9は、Cuを主成分とする導電体薄膜10と、該導電体薄膜10の両主面に形成されたAl酸化物を主成分とする第1及び第2の誘電体薄膜11a、11bとからなる三層構造とされている。
これら導電体薄膜10、第1及び第2の誘電体薄膜11a、11bの膜厚は、原子層単位で堆積されているのであれば、特に限定されるものではないが、通常はそれぞれ10〜30nmに形成される。
図3は、図1のB部詳細断面図である。
多層膜9の一方の端部では、第2の誘電体薄膜11aが除去されて導電体薄膜10が表面露出され、第1の端子電極5aと導電体薄膜10とが電気的に接続されている。
図4は、図1のC部詳細断面図である。
多層膜9の他方の端部は、導電体薄膜10が第2の端子電極5bと接しないように導電体薄膜10が除去され、金属焼結体8に電気的に接続された電極層3が第2の端子電極5bに電気的に接続されている。
このように本コンデンサは、素子本体4が、微小な細孔7が形成された大きな比表面積を有する金属焼結体8と、前記細孔7の内表面を含む表面所定域に原子層単位で堆積された多層膜9とを有し、多層膜9は、Cuを主成分とする導電体薄膜10と、該導電体薄膜10の両主面に形成されたAl酸化物を主成分とする第1及び第2の誘電体薄膜11a、11bとからなり、第1の端子電極5aは導電体薄膜10に接続されると共に、第2の端子電極は5bは電極層3を介して金属焼結体8に接続されているので、導電体薄膜10の両主面は第1及び第2の誘電体薄膜11a、11bで覆われることから、導電体薄膜10が大気と接するのを回避でき、したがって該導電体薄膜10が酸化するのを抑制することができる。また、第1の誘電体薄膜11aと導電体薄膜10とが剥離するのを防止でき、緻密で膜質の良好な多層膜9を得ることができ、漏れ電流の少ない絶縁性が良好な高品質・高信頼性を有するコンデンサを得ることができる。
次に、上記コンデンサの製造方法を図5〜図7を参照しながら詳述する。
まず、図5(a)に示すように、厚みが約50μmのSi等の基板1を用意する。次いで、基板1を高温(例えば、800〜1100℃)で熱酸化し、基板1上に厚みが5〜10μmのSiO等の酸化被膜2を形成する。このように基板1に熱酸化を施して該基板1上に酸化被膜2を形成することにより、耐熱性が向上すると共に、密着性が良好で緻密な膜質を有する安定した膜を酸化被膜2上に形成することが可能となる。
次に、図5(b)に示すように、酸化被膜2上の所定領域に厚みが100〜500nmのCu等の電極層3を形成する。この電極層3の形成方法は特に限定されるものではなく、例えば、化学的気相成長(Chemical Vapor Deposition;以下、「CVD」という。)法やスパッタ法を使用することができる。
次いで、Ni等の卑金属材料を主成分とする導電性ペーストを用意する。そして、図5(c)に示すように、電極層3の一部を覆うように酸化被膜2上に導電性ペーストを塗布し、乾燥させて塗布膜12を形成する。
次に、塗布膜12をN−H混合ガスの還元雰囲気下、300〜400℃の温度で2時間程度熱処理を行い、図5(d)示すように、厚みが40〜50μmの多数の微小な細孔7が形成された複雑な内部形状を有する多孔質の金属焼結体8を作製する。すなわち、金属焼結体8は金属粉を熱処理して得られるが、小型・大容量のコンデンサとしての機能を発揮すべく多数の微小な細孔7を金属焼結体8の内部に形成するためには、大きな空隙率を有するのが望ましく、空隙率を大きくすることにより、大きな静電容量を取得することができる。そして、そのためには空隙率は30%以上が好ましく、40%以上がより好ましい。一方、空隙率が過度に大きくなると金属焼結体8の焼結密度が小さくなり、粗な状態となって機械的強度の低下を招くおそれがある。このような観点からは金属焼結体8の空隙率は90%以下が好ましく、80%以下がより好ましい。したがって、金属焼結体8の空隙率が30〜90%、より好ましくは40〜80%となるように熱処理条件を調整するのが望ましく、斯かる観点から熱処理温度は、上述したように300〜400℃の範囲で行うのが望ましい。
尚、金属焼結体8の空隙率は以下の方法で測定することができる。すなわち、まず、金属焼結体8を集束イオンビーム(FIB;Focused Ion Beam)加工し、測定試料を作製する。次いで、この測定試料の所定領域(例えば、縦5μm、横5μm)を透過型電子顕微鏡(TEM;Transmission Electron Microscope)で撮像する。次いで、このTEMで撮像された画像を解析し、金属が存在する面積を測定し、斯かる測定面積と上記所定領域とから空隙率を求めることができる。
次に、図6(e)に示すように、一端が酸化被膜2の一方の端部上に位置し、他端が電極層3を懸架して酸化被膜2の他方の端部上に位置するように、ALD法を使用し、金属焼結体8の内表面を含む表面所定域に多層膜9を形成し、これにより金属焼結体8と多層膜9とからなる素子本体4を作製する。
すなわち、ALD法では、有機金属前駆体を反応室に供給して化学吸着させた後、気相中に過剰に存在する有機金属前駆体をパージして除去し、その後、反応室で反応ガスと反応させ、これにより薄膜を原子層単位で堆積させることができる。したがって、ALD法で上述の過程を繰り返すことにより、原子層単位で薄膜が積層されることとなり、これにより細孔7の内表面の奥深くまで均一で所定膜厚を有する薄膜かつ緻密で密着性に優れた高品質・高信頼性の多層膜9を形成することができる。
図6(e−1)、(e−2)は、多層膜9の両端部近傍の作製手順を示す詳細工程図であって、図6(e−1)、(e−2)の右図は、図6(e)のD部の詳細工程図であり、左図は図6(e)のE部詳細工程図である。尚、金属焼結体8の内表面及び外表面も図6(e−1)、(e−2)と同様の多層膜9が形成される。
すなわち、まず、有機金属前駆体として化学式(1)で示すヘキサフルオロアセチルアセトン銅(I)トリメチルビニルシラン(以下、「Cu(hFa)TMVS」という。)を用意する。
Figure 2019091749
そして、このCu(hFa)TMVSを反応室に供給して被膜形成面(金属焼結体8、電極層3及び酸化被膜2等)に化学吸着させた後、気相中に過剰に存在するCu(hFa)TMVSをパージして除去し、その後、反応室で反応ガスとしてのNHガスと反応させ、これにより被膜形成面に原子層単位で堆積されたCu薄膜を形成する。そして、このCu薄膜は瞬時に残存酸素と反応し、図6(e−1)に示すように、Cu酸化物の薄膜(以下、「CuO薄膜」という。)13が形成される。
次に、有機金属前駆体として化学式(2)で示すジエチルアルミニウムハイドライド(以下、「DEAH」という。)を用意する。
Figure 2019091749
そして、このDEAHを反応室に供給してCuO薄膜13の表面に化学吸着させた後、気相中に過剰に存在するDEAHをパージして除去し、その後、反応室で反応ガスとしてのHガスと反応させ、これにより、CuO薄膜13上に原子層単位で堆積されたAl薄膜が形成されると共に、瞬時にCuO薄膜13とAl薄膜との間で酸化還元反応が生じる。
すなわち、AlはCuに比べて電気化学的に卑なことから、Al薄膜は容易に酸化されてAl酸化物を生成し、一方、CuO薄膜13は還元されてCuを主成分とする導電性薄膜10を生成する。また、Al成分は前記酸化還元反応と同時に導電体薄膜10を貫通して該導電体薄膜10の裏面側に拡散し、これにより図6(e-2)に示すように、Cuを主成分とする導電体薄膜10の両主面にAl酸化物を主成分とする第1及び第2の誘電体薄膜11a、11bが形成され、多層膜9が作製される。
このようにして金属焼結体8と多層膜9とを有する素子本体4が形成され、金属焼結体8と多層膜9を形成する第1の誘電体薄膜11a及び導電性薄膜10とで静電容量を取得することができる。
次に、多層膜9の一方の端部において導電体薄膜10が表面露出し、他方の端部において電極層3が表面露出するようにエッチング処理を行う。
図7(f)は、多層膜9の一方の端部近傍のエッチング処理後を示している。
すなわち、第2の誘電体薄膜11bに可溶なエッチング溶液を使用し、多層膜9の一方の端部近傍に位置する第2の誘電体薄膜11bを溶解除去し、導電体薄膜10を表面露出させる。
図7(g)は、多層膜9の他方の端部近傍のエッチング処理後を示している。
すなわち、まず、第1及び第2の誘電体薄膜11a、11b及び導電体薄膜10に可溶なエッチング溶液をそれぞれ使用し、図7(g)に示すように、第2の誘電体薄膜11b、及び導電体薄膜10、及び第1の誘電体薄膜11aの一部を順次溶解除去し、電極層3を表面露出させ、凹部14を形成する。ここで、導電体薄膜10については、第2の誘電体薄膜11bの内端面に表面露出しないようにその一部を溶解除去する。この際、電極層3がCuで形成されている場合、該電極層3の表層面もこのエッチング処理によって若干溶解除去される。
次に、Cu等の卑金属材料を使用して電解めっき等のめっき処理を施し、図7(h)に示すように、表面露出した前記導電体薄膜10上に第1の端子電極5aを形成し、導電体薄膜10と前記第1の端子電極5aとを電気的に接続する。また、前記凹部14に電解めっき等のめっき処理を施して第2の端子電極5bを形成し、第2の端子電極5bと金属焼結体8とを電極層3を介して電気的に接続する。
その後、第1及び第2の端子電極5a、5bの表面にバンプ6a、6bを形成し、これにより図1に示す本発明のコンデンサが作製される。
このように本製造方法によれば、微小な細孔7が形成された大きな比表面積を有する金属焼結体8を作製する工程と、ALD法を使用して前記細孔の内表面を含む表面所定域にCu薄膜を成膜し、成膜された前記Cu薄膜が瞬時に酸化してCuO薄膜13を得る工程と、前記ALD法を使用して前記CuO薄膜13の表面にAl薄膜を成膜し、成膜された前記Al薄膜が瞬時に前記CuO薄膜と反応すると共にAl成分が金属焼結体8側に拡散し、Cuを主成分とする導電体薄膜10とAl酸化物を主成分とする第1及び第2の誘電体薄膜11a、11bとからなる多層膜9を得る工程と、導電体薄膜10を第1の端子電極5aに電気的に接続し、金属焼結体8を電極層3を介して第2の端子電極5bに電気的に接続する工程とを含むので、ALD法を使用することにより導電体薄膜10の酸化を抑制しつつ、第1の誘電体薄膜11aと導電体薄膜10との剥離を防止できる緻密で均質かつ密着性が良好な膜質の多層膜9を形成することができ、漏れ電流が小さく絶縁性が良好で高品質・高信頼性のコンデンサを容易に得ることができる。
図8は、本発明に係るコンデンサの第2の実施の形態を模式的に示す断面図である。上記第1の実施の形態では、高比表面積基体が金属焼結体8(図1参照)で形成されていたが、本第2の実施の形態では、金属箔で形成されている。
すなわち、本第2の実施の形態は、微小な細孔21が形成された大きな比表面積を有する多孔質の金属箔22と、前記細孔21の内表面を含む表面所定域に原子層単位で堆積された多層膜23とを有し、金属箔22と多層膜23とで素子本体24を形成している。そして、金属箔22の一方の主面側には第1の端子電極25aが形成されると共に、前記金属箔22の他方の主面側には第2の端子電極25bが形成されている。また、前記金属箔22の両端部と第2の端子電極25aとの間には絶縁性材料からなる保護層26a、26bが形成され、第1の端子電極26aと第2の端子電極26bとは互いに電気的に絶縁されている。
ここで、金属箔22の形成材料としては、導電性材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、Al、Ta、Ni、Cu、Ti、Nb、Fe等を使用することができるが、通常はAlを好んで使用することができる。
また、金属箔22の厚みは、特に限定されるものではないが、機械的強度を確保しつつ、所望の小型・大容量化を図る観点からは、10〜1000μmが好ましく、より好ましくは30〜300μmである。
また、金属箔22の空隙率は、第1の実施の形態と同様、30〜90%が好ましく、より好ましくは40〜80%である。
図9は、図8のF部詳細断面図である。
多層膜23は、第1の実施の形態と同様、Cuを主成分とする導電体薄膜27と、該導電体薄膜27の両主面に形成されたAl酸化物を主成分とする第1及び第2の誘電体薄膜28a、28bとからなる三層構造とされ、上述したように多層膜23は細孔21の内表面を含む表面所定域に原子層単位で堆積され、例えばそれぞれ10〜30nmに形成される。
図10は、図8のG部詳細断面図である。尚、この実施の形態では多層膜23の一方の端部近傍のみを図示しているが、他方の端部近傍も同様である。
すなわち、多層膜23の両端部は、第2の誘電体薄膜28bが除去されて導電体薄膜27と第1の端子電極25aとが電気的に接続されている。
このように本第2の実施の形態でも、第1の実施の形態と同様、素子本体23が、微小な細孔21が形成された大きな比表面積を有する金属箔22と、細孔21の内表面を含む表面所定域に原子層単位で堆積された多層膜23とを有し、多層膜23は、Cuを主成分とする導電体薄膜27と、該導電体薄膜27の両主面に形成されたAl酸化物を主成分とする第1及び第2の誘電体薄膜28a、28bとからなり、第1の端子電極25aは導電体薄膜27に電気的に接続されると共に、第2の端子電極25bは金属箔22に電気的に接続されているので、導電体薄膜27の両主面は第1及び第2の誘電体薄膜28a、28bで覆われることから、導電体薄膜27が大気と直接接して該導電体薄膜27が酸化するのを抑制することができる。また、第1の誘電体薄膜28aと導電体薄膜27とが剥離することもなく、緻密で膜質の良好な多層膜23を得ることができ、漏れ電流の少ない絶縁性が良好な高品質・高信頼性のコンデンサを得ることができる。
次に、本第2の実施の形態のコンデンサの製造方法を図11〜図12を参照しながら詳述する。
まず、Al等の金属箔母材に任意の方向に所定電流を通電し、金属箔母材をエッチング加工し、図11(a)に示すように、所定の空隙率、すなわち空隙率が30〜90%、好ましくは40〜80%となるように微小な細孔21を有する金属箔22を作製する。
次に、金属箔22の両端部にプレス加工やレーザ照射を施して前記両端部の細孔21を潰滅させ、図11(b)に示すように、低空隙部29a、29bを形成する。
尚、本第2の実施の形態では、機械的強度を向上させる観点からは、金属箔22の高さHに対する長さLの比(L/H)を3以上、好ましくは4以上とし、これにより低背で小型かつ大容量のコンデンサを得ている。
次に、低空隙部29a、29b上にポリイミド樹脂やエポキ樹脂等の絶縁性材料を塗布して乾燥させ、図11(c)に示すように、保護層26a、26bを形成する。
次に、ALD法を使用し、図12(d)に示すように、細孔21の内表面を含む金属箔22の表面所定域に多層膜23を形成し、これにより金属箔22と多層膜23とからなる素子本体24を得る。
図12(d−1)〜(d−3)は、図12(d)のH部の作製手順を示す詳細工程図である。
すなわち、まず、有機金属前駆体としてCu(hFa)TMVSを使用し、反応ガスとしてNHガスを使用し、第1の実施の形態と同様の方法・手順で、図12(d−1)に示すように、細孔21の内表面を含む金属箔22の表面所定域にCuO薄膜30を形成する。
次に、有機金属前駆体としてDEAHを使用し、反応ガスとしてHガスを使用し、第1の実施の形態と同様の方法・手順で、原子層単位で堆積されたAl薄膜31をCuO薄膜30の表面に成膜すると共に、該Al薄膜31は瞬時にCuO薄膜30との間で酸化還元反応を生じ、Cuを主成分とする導電体薄膜27が形成される。また、Al成分は前記酸化還元反応と同時に導電体薄膜27を貫通して金属箔22側に拡散し、図12(d−2)に示すように、該導電体薄膜27の両主面にはAl酸化物を主成分とする第1及び第2の誘電体薄膜28a、28bが形成され、これにより多層膜23が作製される。
次に、第2の誘電体薄膜28bに可溶なエッチング溶液を使用し、図12(d−3)に示すように、多層膜23の両端部の第2の誘電体薄膜28bを溶解除去する。
その後、金属箔22の両主面に電解めっきを施して第1の端子電極25a及び第2の端子電極25bを形成し、これにより導電体薄膜27が第1の端子電極25aに電気的に接続され、金属箔22が第2の端子電極25bに電気的に接続された第2の実施の形態のコンデンサが作製される。
このように本製造方法によれば、微小な細孔21が形成された大きな比表面積を有する金属箔22を作製する工程と、ALD法を使用して前記細孔21の内表面を含む表面所定域にCu薄膜を成膜し、成膜された前記Cu薄膜が瞬時に酸化してCuO薄膜30を得る工程と、ALD法を使用してCuO薄膜30の表面にAl薄膜を成膜し、成膜された前記Al薄膜が瞬時に前記CuO薄膜30と反応すると共にAl成分が金属箔22側に拡散し、Cuを主成分とする導電体薄膜27とAl酸化物を主成分とする第1及び第2の誘電体薄膜28a、28bとからなる多層膜23を得る工程と、導電体薄膜27を第1の端子電極25aに電気的に接続し、金属箔22を第2の端子電極25bに電気的に接続する工程とを含むので、ALD法を使用することにより、導電体薄膜27の酸化を抑制しつつ、第1の誘電体薄膜28aと導電体薄膜27との剥離を防止できる緻密で均質かつ密着性が良好な膜質の多層膜を形成することができ、漏れ電流が小さく絶縁性が良好で高品質・高信頼性のコンデンサを容易に得ることができる。
図13は、本発明に係るコンデンサの第3の実施の形態を模式的に示す断面図であって、第1の実施の形態では、多層膜9が導電体薄膜10と第1及び第2の誘電体薄膜11a、11bとを一組とした単層構造であったが(図1参照)、本第3の実施の形態では、多層膜が電極薄膜を介して複数積層された積層構造を有している。
すなわち、本第3の実施の形態は、第1の実施の形態と同様、基板1の表面に酸化被膜50が形成されると共に、該酸化被膜50の表面所定領域に電極層41が形成されている。素子本体42は金属焼結体43と多層膜44とからなり、前記金属焼結体43が電極層41に電気的に接続されている。そして、第1の端子電極45aが、素子本体42の一部を覆いかつ多層膜44の一端と接続されるように酸化被膜50の表面に形成されている。また、前記第1の端子電極45aと電気的に絶縁される第2の端子電極45bは、多層膜44の他端と接続されるように前記電極層41の表面に形成されている。そして、第1の端子電極45aの表面には第1のバンプ6aが形成され、第2の端子電極45bの表面には第2のバンプ6bが形成されている。
尚、電極層41は、第1の実施の形態ではCuやNi等の卑金属材料を使用することができるが、本第3の実施の形態では、成膜性を考慮すると、TiN、Ru、Ni、Pt、Co、Au、Ag等を使用するのが好ましく、特にTiNを好んで使用することができる。
図14は、図13のI部詳細断面図である。
金属焼結体43は、第1の実施の形態と同様、多数の微小な細孔46が形成された大きな比表面積を有しており、金属焼結体43の細孔46の内表面を含む表面所定域には積層構造の多層膜44(44a、44b)が原子層単位で堆積されている。
すなわち、多層膜44a、44bは、Cuを主成分とする導電体薄膜と、該導電体薄膜の両主面に形成されたAl酸化物を主成分とする第1及び第2の誘電体薄膜とを一組とし、これら多層膜44aと多層膜44bとが電極薄膜47を介して積層された積層構造とされている。
ここで、電極薄膜47の形成材料は、ALD法による膜形成が可能な材料であればよく、TiN、Ru、Ni、Pt、Co、Au、Ag等の使用が可能であるが、通常はTiNを好んで使用することができる。
また、電極薄膜47の膜厚は、原子層単位で堆積されているのであれば、特に限定されるものではないが、通常は、導電体薄膜や第1及び第2の誘電体薄膜と同様、10〜30nmに形成される。
図15は、図13のJ部詳細断面図である。
多層膜44a、44bは、上述したように導電体薄膜48、51と該導電体薄膜48、51の両主面に形成された第1及び第2の誘電体薄膜49a、49b、52a、52bとからなり、多層膜44aと多層膜44bとは、電極薄膜47を介して積層されている。
そして、多層膜44a、44bの一方の端部は、導電体薄膜48、51が第1の端子電極45aと電気的に接続され、電極薄膜47が前記第1の端子電極45aと電気的に絶縁されるように各薄膜が形成されている。
この多層膜44a、44bの一方の端部は、具体的には、導電体薄膜48、51が第1の端子電極45a内に位置するように形成されると共に、第1及び第2の誘電体薄膜49a、49b、52a、52bは、第1の端子電極45a内に埋め込まれないように形成されている。
図16は、図13のK部拡大断面図である。
多層膜44a、44bの他方の端部は、電極薄膜47が前記第2の端子電極45bと電気的に接続され、導電体薄膜48、49が第2の端子電極45bと電気的に絶縁されるように各薄膜が形成されている。
この多層膜44a、44bの他方の端部は、具体的には、電極薄膜47が第2の端子電極45b内に位置するように形成されると共に、第1及び第2の誘電体薄膜49a、49b、52a、52bは、前記一方の端部と同様、第2の端子電極45b内に埋め込まれないよう形成されている。
このように本第3の実施の形態は、多層膜44が電極薄膜47を介して多層膜44aと多層膜44bとが積層された積層構造とされた以外は、第1の実施の形態と同様の構造を有しており、したがって第1の実施の形態と同様の作用・効果を奏するのはいうまでもない。
次に、上記コンデンサの製造方法を図17〜図18を参照しながら詳述する。
まず、第1の実施の形態と同様の方法・手順で、図17(a)に示すように、 被膜形成面(基板1上の酸化被膜50、電極層41、及び金属焼結体43の表面所定域)にALD法を使用して成膜処理を行い、酸化還元反応を生じさせ、導電体薄膜48が第1及び第2の誘電体薄膜49a、49bで狭持された多層膜44aを作製する。
次に、ALD法を使用し、図17(b)に示すように、第2の誘電体薄膜49b上に電極薄膜47を成膜する。例えば、電極薄膜をTiNで作製する場合は、有機金属前駆体に塩化チタン(IV)(TiCl)を使用することができ、反応ガスにNHガスを使用することができる。
次いで、ALD法を使用して上述と同様の成膜処理を行い、酸化還元反応が生じると共にAl成分が金属焼結体43側に拡散し、これにより図17(c)に示すように、導電体薄膜51が第1及び第2の誘電体薄膜52a、52bで狭持された多層膜44bを電極薄膜47の表面に作製する。
次に、基板1の両端部をハーフカットし、図18(d)に示すように、一方の端部では酸化被膜50を表面露出させ、他方の端部では電極層41を表面露出させ、カット部53a、53bを形成する。
次に、導電体薄膜48、51、電極薄膜47、第1及び第2の誘電体薄膜49a、49b、52a、52bのそれぞれに可溶なエッチング液を各々用意し、エッチング処理を行い、図18(e)に示すように、各薄膜の不要な先端部分を溶解除去する。
すなわち、まず、第1及び第2の誘電体薄膜49a、49b、52a、52bに可溶なエッチング液を使用し、この図18(e)に示すように、第1及び第2の誘電体薄膜49a、49b、52a、52bが第1及び第2の端子電極45a、45b中に埋め込まれない程度に該第1及び第2の誘電体薄膜49a、49b、52a、52bの先端部分を溶解除去する。
次いで、電極薄膜47に可溶なエッチング液を使用し、図18(e)の右図に示すように、電極薄膜47が第1の端子電極45aと接しないように電極薄膜47の先端部分を溶解除去する。
次いで、導電体薄膜48、51に可溶なエッチング液を使用し、図18(e)の左図に示すように、導電体薄膜48、51が第2の端子電極45bと接しないように該導電体薄膜48、51の先端部分を溶解除去する。
次いで、カット部53a、53bに電解めっき等のめっき処理を行い、図18(f)に示すように、第1及び第2の端子電極45a、45bを形成する。
その後、第1及び第2の端子電極45a、45bの表面にバンプ6a、6bを形成し、これにより第3の実施の形態のコンデンサが作製される。
このように本製造方法においても、ALD法を使用し、電極薄膜47を介して多層膜44aと多層膜44bとを積層しているので、第1の実施の形態と同様の作用・効果を得ることができる。
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記第3の実施の形態では、積層構造のコンデンサについて高比表面積基体に金属焼結体を使用したものを例示したが、金属箔を使用した場合も同様であるのはいうまでもない。
また、上記実施の形態では、高比表面積基体として金属焼結体や金属箔を例示したが、脱合金化法等で作製される多孔金属体にも適用可能である。
また、第3の実施の形態では、1個の電極薄膜47を介して多層膜44a、44bを積層したが、多層膜→電極薄膜→多層膜→電極薄膜→多層膜→・・・の順序で3個以上の多層膜を積層させるのも好ましく、これにより、より一層の大容量のコンデンサを得ることができる。
導電体薄膜の酸化抑制と該導電体薄膜と誘電体薄膜とが剥離防止が可能となり、素子本体の内部が複雑な形状を有していても緻密で均質かつ密着性の良好な膜質を有するコンデンサを得ることができる。
1 基板
3、41 電極層
4、24、42 素子本体
5a、25a、45a 第1の端子電極
5b、25b、45b 第2の端子電極
7、21、46 細孔
8、43 金属焼結体(高比表面積基体)
9、23、44 多層膜
10、27、48、51 導電体薄膜
11a、28a、49a、52a 第1の誘電体薄膜
11b、28b、49b、52b 第2の誘電体薄膜
22 金属箔(高比表面積基体)

Claims (18)

  1. 互いに電気的に絶縁された少なくとも2つの端子電極が素子本体に接続されたコンデンサであって、
    前記素子本体が、微小な細孔が形成された大きな比表面積を有する導電材料からなる高比表面積基体と、前記細孔の内表面を含む表面所定域に原子層単位で堆積された多層膜とを有し、
    前記多層膜は、Cuを主成分とする導電体薄膜と、該導電体薄膜の両主面に形成されたAl酸化物を主成分とする第1及び第2の誘電体薄膜とからなり、
    前記2つ端子電極のうち、一方の端子電極は前記導電体薄膜に電気的に接続されると共に、他方の端子電極は前記高比表面積基体に電気的に接続されていることを特徴とするコンデンサ。
  2. 前記高比表面積基体は、金属焼結体からなることを特徴とする請求項1記載のコンデンサ。
  3. 前記金属焼結体は、Niを主成分としていることを特徴とする請求項2記載のコンデンサ。
  4. 絶縁性材料からなる基板上に電極層が形成されると共に、前記高比表面積基体は前記電極層を介して前記他方の端子電極に接続されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のコンデンサ。
  5. 前記高比表面積基体は、前記2つの端子電極のうちのいずれかの端子電極で覆われていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のコンデンサ。
  6. 前記高比表面積基体は、金属箔からなることを特徴とする請求項1記載のコンデンサ。
  7. 前記金属箔は、Alを主成分としていることを特徴とする請求項6記載のコンデンサ。
  8. 前記導電体薄膜と前記一方の端子電極とが前記高比表面積基体の一方の主面側で電気的に接続されると共に、前記高比表面積基体の他方の主面側で該高比表面積基体と前記他方の端子電極とが電気的に接続されていることを特徴とする請求項1、請求項6又は請求項7のいずれかに記載のコンデンサ。
  9. 前記導電体薄膜と前記第1及び第2の誘電体薄膜を一組とした多層膜が、原子層単位で堆積された電極薄膜を介して複数積層されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のコンデンサ。
  10. 前記電極薄膜は、チタン窒化物で形成されていることを特徴とする請求項9記載のコンデンサ。
  11. 前記高比表面積基体は、空隙率が30〜90%であることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれかに記載のコンデンサ。
  12. 微小な細孔が形成された大きな比表面積を有する導電材料からなる高比表面積基体を作製する工程と、
    原子堆積法を使用して前記細孔の内表面を含む表面所定域にCu薄膜を成膜し、成膜された前記Cu薄膜が瞬時に酸化してCu酸化物薄膜を得る工程と、
    前記原子堆積法を使用して前記Cu酸化物薄膜の表面にAl薄膜を成膜し、成膜された前記Al薄膜が瞬時に前記Cu酸化物薄膜と反応すると共にAl成分が前記高比表面積基体側に拡散し、Cuを主成分とする導電体薄膜とAl酸化物を主成分とする第1及び第2の誘電体薄膜とからなる多層膜を得る工程と、
    前記導電体薄膜を一方の端子電極に電気的に接続し、前記高比表面積基体を他方の端子電極に電気的に接続する工程とを含むことを特徴とするコンデンサの製造方法。
  13. 絶縁性材料からなる基板上に電極層を形成する工程と、導電性ペーストを前記電極層の一部に塗布して塗布膜を形成する工程とを含み、
    前記高比表面積基体は、前記塗布膜を熱処理して作製し、前記電極層を介して前記他方の端子電極と接続することを特徴とする請求項12記載のコンデンサの製造方法。
  14. 前記高比表面積基体は、Niを主成分とすることを特徴とする請求項12又は請求項13記載のコンデンサの製造方法。
  15. 前記多層膜の一方の端部は、前記第1及び第2の誘電体薄膜のうちの一方の誘電体薄膜を除去して前記導電体薄膜を表面露出させ、該導電体薄膜を前記一方の端子電極に電気的に接続させることを特徴とする請求項12乃至請求項14のいずれかに記載のコンデンサの製造方法。
  16. 前記高比表面積基体は、Alを主成分とする金属箔であることを特徴とする請求項12記載のコンデンサの製造方法。
  17. 前記一方の端子電極を前記高比表面積基体の一方の主面側に形成し、前記他方の端子電極を前記高比表面積基体の他方の主面側に形成し、前記多層膜の両端は、前記第1及び第2の誘電体薄膜のうちの一方の誘電体薄膜を除去して前記導電体薄膜を表面露出させ、該導電体薄膜を前記一方の端子電極に電気的に接続させることを特徴とする請求項12又は請求項16記載のコンデンサの製造方法。
  18. 前記原子堆積法を使用し、チタン窒化物からなる電極薄膜を作製する工程と、
    前記導電体薄膜と前記第1及び第2の誘電体薄膜を一組とした多層膜を前記電極薄膜を介して複数回積層する工程とを含むことを特徴とする請求項12乃至請求項17のいずれかに記載のコンデンサの製造方法。
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