JP2019090063A - 複合めっき用めっき液、複合めっき物、および複合めっき用ポリオレフィン樹脂水性分散体 - Google Patents
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Abstract
【課題】複合めっき膜において、ポリオレフィン樹脂粒子が良好に分散され、且つポリオレフィン樹脂粒子とめっき膜との密着性が良好であり、めっき物の防錆性に優れ、さらに、めっき物を曲げた場合にめっき膜の白化や性能の低下が抑制された複合めっき膜およびその複合めっき物を得ることが可能な複合めっき用めっき液を提供する。【解決手段】分子中にアミノ基を有するポリオレフィン樹脂粒子、金属イオン、および媒体を含有することを特徴とする複合めっき用めっき液。【選択図】なし
Description
本発明は、めっき膜の安定性と防錆性に優れた、複合めっき物およびその複合めっき物を得ることが可能な複合めっき用めっき液、複合めっき用ポリオレフィン樹脂水性分散体に関する。
金属の皮膜中に微粒子を共析させる複合めっきは、金属のみのめっき皮膜だけでは得られない様々な機能を付与することが可能であり、産業的に広く用いられている。樹脂粒子としては、フッ素樹脂を用いる方法がよく知られている。例えば、特許文献1では、撥水性及び耐熱性を付与するために、特許文献2では、耐食性を付与するために、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の微粒子をめっき金属と共析させる複合めっき膜が提案されている。
しかしながら、特許文献1または2に記載の複合めっき膜は、防錆性の観点で改善の余地があった。また、フッ素樹脂粒子はめっき膜との密着性に劣るため、前記めっき膜を有する物品を長期使用しているとめっき表面のフッ素樹脂粒子が脱落することがあった。さらに、曲げることが可能な柔らかい材料や厚みの薄い材料に、前記フッ素樹脂を用いた複合めっきを施して曲げた場合、めっき膜に微細なひび割れが発生し、それによりめっき膜が白化し外観が悪化したり、防錆性などのめっき膜の性能が低下することがあった。
本発明は上記問題を解決し、めっき膜を有する物品(以下、めっき物という)の防錆性に優れ、且つ樹脂粒子のめっき膜との密着性に優れ、さらにめっき物を曲げた場合にめっき膜の白化や性能の低下が抑制された、複合めっき膜およびその複合めっき物を得ることが可能な複合めっき用めっき液、複合めっき用ポリオレフィン樹脂水性分散体を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、めっき液に樹脂粒子として特定構造のポリオレフィン樹脂の粒子を用いることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は、以下のとおりである。
(1)分子中にアミノ基を有するポリオレフィン樹脂粒子、金属イオン、および媒体を含有することを特徴とする複合めっき用めっき液。
(2)分子中にアミノ基を有するポリオレフィン樹脂が、オレフィン系炭化水素単位と不飽和カルボン酸無水物単位由来のN−置換イミド単位とを有し、不飽和カルボン酸無水物単位由来のN−置換イミド単位の含有量が0.1モル%以上10モル%未満であり、かつ、不飽和カルボン酸無水物単位由来のN−置換イミド単位のN−置換基が下記一般式(I)で表されるポリオレフィン共重合体Aおよび下記一般式(II)で表されるポリオレフィン共重合体Bの少なくとも一方であることを特徴とする(1)記載の複合めっき用めっき液。
−(CH2)nNR1R2 (I)
(一般式(I)中、R1、R2は炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基、またはH、nは1〜5の整数を示す。)
−(CH2)nN+R3R4R5・X− (II)
(一般式(II)中、R3、R4は炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基、またはH、R5は四級化反応により導入された四級化剤の残基、X−はアニオン性対イオン、nは1〜5の整数を示す。)
(3)分子中にアミノ基を有するポリオレフィン樹脂粒子の数平均粒子径が1〜1000nmの範囲であることを特徴とする(1)または(2)記載の複合めっき用めっき液。
(4)さらに、界面活性剤を含有することを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載の複合めっき用めっき液。
(5)界面活性剤が四級アンモニウム塩型、アルキルアミン塩型、ベタイン型から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする(1)〜(4)いずれかに記載の複合めっき用めっき液。
(6)金属イオンが亜鉛イオンであることを特徴とする(1)〜(5)いずれかに記載の複合めっき用めっき液。
(7)媒体が水性媒体であることを特徴とする(1)〜(6)いずれかに記載の複合めっき用めっき液。
(8)電解複合めっきに用いることを特徴とする(1)〜(7)いずれかに記載の複合めっき用めっき液。
(9)さらに還元剤を含有し、無電解複合めっきに用いることを特徴とする(1)〜(7)いずれかに記載の複合めっき用めっき液。
(10)(1)〜(9)いずれかに記載の複合めっき用めっき液を用いて得られる複合めっき物。
(11)ポリオレフィン共重合体A、Bの少なくとも一方のポリオレフィン共重合体が、水性媒体中に分散した水性分散体であることを特徴とする複合めっき用ポリオレフィン樹脂水性分散体。
(12)ポリオレフィン共重合体の分散粒子の数平均粒子径が1〜1000nmの範囲であることを特徴とする(11)記載の複合めっき用ポリオレフィン樹脂水性分散体。
すなわち、本発明の要旨は、以下のとおりである。
(1)分子中にアミノ基を有するポリオレフィン樹脂粒子、金属イオン、および媒体を含有することを特徴とする複合めっき用めっき液。
(2)分子中にアミノ基を有するポリオレフィン樹脂が、オレフィン系炭化水素単位と不飽和カルボン酸無水物単位由来のN−置換イミド単位とを有し、不飽和カルボン酸無水物単位由来のN−置換イミド単位の含有量が0.1モル%以上10モル%未満であり、かつ、不飽和カルボン酸無水物単位由来のN−置換イミド単位のN−置換基が下記一般式(I)で表されるポリオレフィン共重合体Aおよび下記一般式(II)で表されるポリオレフィン共重合体Bの少なくとも一方であることを特徴とする(1)記載の複合めっき用めっき液。
−(CH2)nNR1R2 (I)
(一般式(I)中、R1、R2は炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基、またはH、nは1〜5の整数を示す。)
−(CH2)nN+R3R4R5・X− (II)
(一般式(II)中、R3、R4は炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基、またはH、R5は四級化反応により導入された四級化剤の残基、X−はアニオン性対イオン、nは1〜5の整数を示す。)
(3)分子中にアミノ基を有するポリオレフィン樹脂粒子の数平均粒子径が1〜1000nmの範囲であることを特徴とする(1)または(2)記載の複合めっき用めっき液。
(4)さらに、界面活性剤を含有することを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載の複合めっき用めっき液。
(5)界面活性剤が四級アンモニウム塩型、アルキルアミン塩型、ベタイン型から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする(1)〜(4)いずれかに記載の複合めっき用めっき液。
(6)金属イオンが亜鉛イオンであることを特徴とする(1)〜(5)いずれかに記載の複合めっき用めっき液。
(7)媒体が水性媒体であることを特徴とする(1)〜(6)いずれかに記載の複合めっき用めっき液。
(8)電解複合めっきに用いることを特徴とする(1)〜(7)いずれかに記載の複合めっき用めっき液。
(9)さらに還元剤を含有し、無電解複合めっきに用いることを特徴とする(1)〜(7)いずれかに記載の複合めっき用めっき液。
(10)(1)〜(9)いずれかに記載の複合めっき用めっき液を用いて得られる複合めっき物。
(11)ポリオレフィン共重合体A、Bの少なくとも一方のポリオレフィン共重合体が、水性媒体中に分散した水性分散体であることを特徴とする複合めっき用ポリオレフィン樹脂水性分散体。
(12)ポリオレフィン共重合体の分散粒子の数平均粒子径が1〜1000nmの範囲であることを特徴とする(11)記載の複合めっき用ポリオレフィン樹脂水性分散体。
本発明の複合めっき用めっき液は、ポリオレフィン樹脂粒子の分散安定性に優れている。そのためポリオレフィン樹脂粒子が良好に分散されためっき膜を有した複合めっき物を得ることが出来る。この複合めっき物は、防錆性に優れ、且つポリオレフィン樹脂粒子とめっき膜との密着性が優れ、さらにはめっき物を曲げた場合のめっき膜の安定性に優れるため、白化や防錆性などの性能の低下が抑制されている。また、本発明の複合めっき用ポリオレフィン樹脂水性分散体は、めっき液と混合しても、ポリオレフィン樹脂粒子の分散安定性に優れている。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の複合めっき用めっき液は、分子中にアミノ基を有するポリオレフィン樹脂粒子を含有するものであり、分子中にアミノ基を有するポリオレフィン樹脂としては、下記ポリオレフィン共重合体A、Bの少なくとも一方を含有することが好ましい。なお、本発明のアミノ基は、NH2のHが他の置換基に置換された置換アミノ基も含む。
ポリオレフィン共重合体A及びBを混在して使用する場合はポリオレフィン共重合体A、Bの混合比率としては特に限定されず、目的に応じて任意の量で配合してよい。
ポリオレフィン共重合体A及びBを混在して使用する場合はポリオレフィン共重合体A、Bの混合比率としては特に限定されず、目的に応じて任意の量で配合してよい。
<ポリオレフィン共重合体A>
本発明に用いられるポリオレフィン共重合体Aは、オレフィン系炭化水素単位と、不飽和カルボン酸無水物単位由来のN−置換イミド単位とを有するもので、ポリオレフィン樹脂粒子のめっき液およびめっき膜中での分散性や、ポリオレフィン樹脂粒子とめっき膜との密着性、めっき物を曲げた場合のめっき膜の安定性、防錆性を向上させる効果が高い。
本発明に用いられるポリオレフィン共重合体Aは、オレフィン系炭化水素単位と、不飽和カルボン酸無水物単位由来のN−置換イミド単位とを有するもので、ポリオレフィン樹脂粒子のめっき液およびめっき膜中での分散性や、ポリオレフィン樹脂粒子とめっき膜との密着性、めっき物を曲げた場合のめっき膜の安定性、防錆性を向上させる効果が高い。
ポリオレフィン共重合体Aには、不飽和カルボン酸無水物単位由来のN−置換イミド単位が0.1モル%以上10モル%未満含有していることが好ましく、不飽和カルボン酸無水物単位由来のN−置換イミド単位のN−置換基が一般式(I)により表される。
−(CH2)nNR1R2 (I)
式(I)中、R1、R2は、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基、またはHであり、炭素数1〜2のアルキル基が好ましい。また一般式(I)中、nは、1〜5の整数であって、2〜4の整数が好ましく、2〜3の整数がより好ましい。
式(I)中、R1、R2は、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基、またはHであり、炭素数1〜2のアルキル基が好ましい。また一般式(I)中、nは、1〜5の整数であって、2〜4の整数が好ましく、2〜3の整数がより好ましい。
本発明では、ポリオレフィン共重合体Aを後述する水性分散体の形態で、複合めっき用めっき液に用いることが好ましいが、水性分散体の形態では、含有する不飽和カルボン酸無水物単位由来のN−置換イミド単位のN−置換基が一般式(I´)で表される置換基であることが、ポリオレフィン樹脂粒子のめっき液およびめっき膜中での分散性や、めっき物を曲げた場合のめっき膜の安定性、防錆性をより高める点、及び水性分散化が容易となる点で好ましい。
−(CH2)nN+R1R2H・X− (I´)
一般式(I´)中、R1、R2、nは、上記と同様のものを示す。X−はアニオン性対イオンを示す。アニオン性対イオンとは、N−置換基中のN+と一組のイオン対を形成することが可能な組成物をいう。
一般式(I´)中、R1、R2、nは、上記と同様のものを示す。X−はアニオン性対イオンを示す。アニオン性対イオンとは、N−置換基中のN+と一組のイオン対を形成することが可能な組成物をいう。
一般式(I)又は(I´)中、R1、R2の炭素数、及びnの整数が、前記の範囲を下回ると、爆発の危険性がある原料を使用する必要があったり、樹脂がゲル化したりするため、ポリオレフィン共重合体を得るのが難しくなる。一方、前記の範囲を上回ると、ポリオレフィン樹脂粒子のめっき液およびめっき膜中での分散性が低下する。
一般式(I)で表される置換基としては、N,N−ジメチルアミノエチル基、N,N−ジメチルアミノプロピル基、N,N−ジメチルアミノブチル基、N,N−ジエチルアミノエチル基、N,N−ジエチルアミノプロピル基、N,N−ジエチルアミノブチル基などが好適に挙げられ、(I´)としてはこれらが中和されたものが好適に挙げられる。中でも、共重合体のポリオレフィン樹脂粒子のめっき液およびめっき膜中での分散性や、めっき物を曲げた場合のめっき膜の安定性の観点から、(I)としては、N,N−ジメチルアミノプロピル基がより好ましく、(I´)としては、それが中和されたものがより好ましい。
<ポリオレフィン共重合体B>
ポリオレフィン共重合体Bとは、ポリオレフィン共重合体Aにおいて一般式(I)で表される置換基の一部又は全てを四級化したものである。
ポリオレフィン共重合体Bとは、ポリオレフィン共重合体Aにおいて一般式(I)で表される置換基の一部又は全てを四級化したものである。
オレフィン系炭化水素単位と不飽和カルボン酸無水物単位由来のN−置換イミド単位とを有し、不飽和カルボン酸無水物単位由来のN−置換イミド単位の含有量が0.1モル%以上10モル%未満であることが好ましく、不飽和カルボン酸無水物単位由来のN−置換イミド単位のN−置換基が一般式(II)で表される置換基であるポリオレフィン共重合体である。
−(CH2)nN+R3R4R5・X− (II)
一般式(II)中、R3、R4は炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基、またはHであり、炭素数1〜2のアルキル基が好ましい。R5は四級化反応により導入された四級化剤の残基であり、炭素数1〜12のアルキル基が好ましい。また、一般式(II)中、nは1〜5の整数であって、2〜4の整数が好ましく、2〜3の整数が好ましい。そして、X−はアニオン性対イオンを示す。アニオン性対イオンとは、N−置換基中のN+と一組のイオン対を形成することが可能な組成物をいう。
一般式(II)中、R3、R4は炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基、またはHであり、炭素数1〜2のアルキル基が好ましい。R5は四級化反応により導入された四級化剤の残基であり、炭素数1〜12のアルキル基が好ましい。また、一般式(II)中、nは1〜5の整数であって、2〜4の整数が好ましく、2〜3の整数が好ましい。そして、X−はアニオン性対イオンを示す。アニオン性対イオンとは、N−置換基中のN+と一組のイオン対を形成することが可能な組成物をいう。
四級化剤としては、一般式(I)で表される置換基を四級化して、一般式(II)で表される置換基とすることが可能なものであればよい。四級化剤の好適な具体例としては、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸などのジアルキル硫酸類;メチルクロライド、エチルクロライド、ベンジルクロライド、メチルブロマイド、エチルブロマイド、ベンジルブロマイド、メチルヨーダイド、エチルヨーダイド、ベンジルヨーダイドなどのハロゲン化アルキル類;エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテルなどのエポキシ類;メタンスルホン酸メチル、パラトルエンスルホン酸メチルなどのアルキル又はアリールスルホン酸メチル類などがあげられる。これらの中でも、ジアルキル硫酸類、ハロゲン化アルキル類が四級化の反応性に優れるためより好ましく、ジアルキル硫酸類が特に好ましい。これらは、単独で用いても2種類以上を併用しても構わない。
一般式(II)中、R3、R4の炭素数、及びnの整数が前記の範囲を下回ると、爆発の危険性がある原料を使用する必要があったり、樹脂がゲル化したりするため、ポリオレフィン共重合体を得るのが難しくなる。一方、前記の範囲を上回ると、ポリオレフィン樹脂粒子のめっき液およびめっき膜中での分散性が低下する。
なお、ポリオレフィン共重合体Bは、一般式(I)で表される置換基と一般式(II)で表される置換基とを共に備えたものでも使用できる。ただし、置換基(I)、(II)の合計は、0.1モル%以上10モル%未満であることが好ましい。
<ポリオレフィン共重合体>
以下、「ポリオレフィン共重合体」とは、「ポリオレフィン共重合体A」と「ポリオレフィン共重合体B」とを総称したものである。本発明におけるポリオレフィン共重合体は、上述のように、正(プラス)の電荷を帯びたカチオン性ポリオレフィン共重合体であることが、ポリオレフィン樹脂粒子のめっき液およびめっき膜中での分散性や、めっき物を曲げた場合のめっき膜の安定性、防錆性をより良好にし、かつ水性分散化を容易にする観点から好ましい。
以下、「ポリオレフィン共重合体」とは、「ポリオレフィン共重合体A」と「ポリオレフィン共重合体B」とを総称したものである。本発明におけるポリオレフィン共重合体は、上述のように、正(プラス)の電荷を帯びたカチオン性ポリオレフィン共重合体であることが、ポリオレフィン樹脂粒子のめっき液およびめっき膜中での分散性や、めっき物を曲げた場合のめっき膜の安定性、防錆性をより良好にし、かつ水性分散化を容易にする観点から好ましい。
上述のように、本発明におけるポリオレフィン共重合体は、構成成分として、オレフィン系炭化水素単位と、不飽和カルボン酸無水物単位由来のN−置換イミド単位とを有するものである。
オレフィン系炭化水素単位としては、炭素数2〜6であるものが好ましく、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−へキセンなどのアルケン類や、ブタジエン、イソプレンなどのジエン類が好適にあげられる。これらの単位を複数有するものであってもよい。中でも、樹脂の製造のし易さ、各種材料に対する密着性などの点から、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテンがより好ましく、エチレン、プロピレンが特に好ましい。
ポリオレフィン共重合体中、オレフィン系炭化水素単位の含有量は、65〜99.9モル%であることが好ましく、70〜99.9モル%がより好ましく、80〜99.9モル%がさらに好ましく、85〜99.9モル%が特に好ましい。オレフィン系炭化水素単位の含有量が65モル%未満であると、ポリオレフィン樹脂粒子のめっき液およびめっき膜中での分散性が悪化することがある。一方、99.9モル%を超えると、ポリオレフィン樹脂粒子のめっき液およびめっき膜中での分散性が悪化したり、ポリオレフィン共重合体の水性分散化が困難となる場合がある。
ここで、不飽和カルボン酸無水物単位由来のN−置換イミド単位について説明する。
上述のように、ポリオレフィン共重合体AにおけるN−置換基イミド単位を構成するN−置換基は、一般式(I)で表されるものである。また、上述のように、ポリオレフィン共重合体BにおけるN−置換基は、一般式(II)で表されるものである。該置換基は、ポリオレフィン共重合体Aで示した一般式(I)で表される置換基を四級化剤で四級化したものである。
不飽和カルボン酸無水物単位由来のN−置換イミド単位を与える不飽和カルボン酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸などが好適に挙げられる。なかでも、オレフィン系炭化水素単位と共重合しやすいことから、無水マレイン酸がより好ましい。
不飽和カルボン酸無水物単位由来のN−置換イミド単位の好適な具体例としては、ポリオレフィン共重合体Aの場合は、N,N−ジメチルアミノエチルマレイミド、N,N−ジメチルアミノプロピルマレイミド、N,N−ジメチルアミノブチルマレイミド、N,N−ジエチルアミノエチルマレイミド、N,N−ジエチルアミノプロピルマレイミド、N,N−ジエチルアミノブチルマレイミドなどがあげられる。これらの2種類以上が共重合されていてもよい。中でも、ポリオレフィン樹脂粒子のめっき液およびめっき膜中での分散性や、めっき物を曲げた場合のめっき膜の安定性、防錆性を良好とする観点から、N,N−ジメチルアミノプロピルマレイミドがより好ましい。一方、ポリオレフィン共重合体Bの場合は、これらを四級化したものなどがあげられ、それらは2種類以上が共重合されていてもよい。
ポリオレフィン共重合体における不飽和カルボン酸無水物単位由来のN−置換イミド単位の含有量としては、0.1モル%以上10モル%未満であることが好ましく、0.1モル%以上5モル%未満であることがより好ましく、0.1モル%以上4モル%未満であることがさらに好ましく、0.1モル%以上3モル%未満であることがさらに好ましく、0.1モル%以上2モル%未満であることが特に好ましく、0.1以上1モル%未満であることが最も好ましい。不飽和カルボン酸無水物単位由来のN−置換イミド単位の含有量が0.1モル%未満であると、ポリオレフィン樹脂粒子のめっき液およびめっき膜中での分散性や防錆性が不十分となる。さらにポリオレフィン共重合体を水性分散化することが困難となる。一方、10モル%以上になると、ポリオレフィン樹脂粒子のめっき液およびめっき膜中での分散性が悪化する場合がある。
ポリオレフィン共重合体は、さらに構成成分として不飽和カルボン酸単位を含有していることが好ましい。不飽和カルボン酸単位を含有することで、ポリオレフィン樹脂粒子のめっき膜への密着性や、ポリオレフィン樹脂粒子のめっき液およびめっき膜中での分散性がより優れるものとなる。不飽和カルボン酸単位としては、無水マレイン酸、マレイン酸、無水イタコン酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、クロトン酸などが好適に挙げられる。中でも、ポリオレフィン樹脂に共重合しやすい無水マレイン酸、マレイン酸、無水イタコン酸、イタコン酸がより好ましく、無水マレイン酸、マレイン酸が特に好ましい。
ポリオレフィン共重合体における不飽和カルボン酸単位の含有量は、酸価を測定することにより求めることができる。本発明において、ポリオレフィン共重合体の酸価(単位:mgKOH/g)は、以下のようにして求めることができる。すなわち、ポリオレフィン共重合体を、テトラヒドロフラン/トルエン/水を、質量比で20/4.8/0.2のように混合した溶媒に溶解し、クレゾールレッドを指示薬としてKOHで滴定を行い、溶液の色調が紫色に変色し、且つその色調が20秒間変化しなくなった時点のKOH消費量(mL)から求めることができる。このようにして求められたポリオレフィン共重合体の酸価は、0.1〜50mgKOH/gであることが好ましく、0.2〜40mgKOH/gがより好ましく、0.5〜30mgKOH/gがさらに好ましく、1.0〜20mgKOH/gが特に好ましい。ポリオレフィン共重合体の酸価が50mgKOH/gを超えると、共重合体の水性分散化が困難になることがある。一方、ポリオレフィン共重合体の酸価が0.1mgKOH/g未満になると、ポリオレフィン樹脂粒子のめっき膜への密着性や、ポリオレフィン樹脂粒子のめっき液およびめっき膜中での分散性の向上効果が低くなることがある。
また、ポリオレフィン共重合体は、上記オレフィン系炭化水素単位、不飽和カルボン酸無水物単位由来のN−置換イミド単位や不飽和カルボン酸単位以外のモノマー単位(以下、「その他のモノマー単位」と称することがある)を有するものであってもよい。
その他のモノマー単位の好適な具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸エステル;マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチルなどのマレイン酸エステル;ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル並びにビニルエステルを塩基性化合物などでケン化して得られるビニルアルコールなどが挙げられる。中でも、ポリオレフィン樹脂粒子のめっき膜への密着性や、ポリオレフィン樹脂粒子のめっき液およびめっき膜中での分散性をより向上させる観点から、その他のモノマー単位として、(メタ)アクリル酸エステル単位を有していることがより好ましい。
ここで、その他のモノマー単位が(メタ)アクリル酸エステル単位を有する場合において、該(メタ)アクリル酸エステル単位の含有量は、0.1〜25モル%であることが好ましく、0.1〜20モル%がより好ましく、1〜15モル%がさらに好ましい。(メタ)アクリル酸エステル単位の含有量が上記範囲を外れると、ポリオレフィン樹脂粒子のめっき膜への密着性や、ポリオレフィン樹脂粒子のめっき液およびめっき膜中での分散性向上効果が乏しくなることがある。
ポリオレフィン共重合体の分子量としては、重量平均分子量で5000〜500000であることが好ましく、10000〜200000がより好ましく、15000〜100000がさらに好ましく、20000〜80000が特に好ましい。重量平均分子量が5000未満であると、ポリオレフィン樹脂粒子のめっき液およびめっき膜中での分散性が乏しくなることがある。一方、重量平均分子量が500000を超えると、共重合体を水性分散化することが困難となることがある。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、ポリスチレン換算により求められる。
ただし、一般にポリオレフィン共重合体は、溶剤に対して難溶であるため、分子量測定が困難となることがある。そのような場合においては、重量平均分子量に代えて、溶融樹脂の流動性を示すメルトフローレート値が分子量の目安とされる。本発明において、メルトフローレート値は、JIS K7210:1999に準じて測定されるものである。ポリオレフィン共重合体のメルトフローレート値としては、0.1〜2000g/10分であることが好ましく、0.5〜1000g/10分であることがより好ましく、1〜500g/10分であることがさらに好ましく、2〜200g/10分であることが特に好ましい。メルトフローレート値が、2000g/10分を超えると、ポリオレフィン樹脂粒子のめっき液およびめっき膜中での分散性が乏しくなることがある。一方、メルトフローレート値が0.1g/10分未満のときは、水性分散化が困難となることがある。
<ポリオレフィン共重合体の製造方法>
まず、ポリオレフィン共重合体Aの製造方法について説明する。
まず、ポリオレフィン共重合体Aの製造方法について説明する。
ポリオレフィン共重合体Aの製造方法としては、例えば、オレフィン系炭化水素単位と不飽和カルボン酸無水物単位とを構成成分とする共重合体と、一般式(I)で表される置換基を有する1級アミンとをイミド化反応させる方法があげられる。かかる方法によれば、原料を入手し易く、きわめて特殊な装置を用いることなくポリオレフィン共重合体Aを得ることが可能である。
以下、オレフィン系炭化水素単位と不飽和カルボン酸無水物単位とを構成成分とする共重合体と、一般式(I)で表される置換基を有する1級アミンとをイミド化反応させる方法について詳しく説明する。
イミド化反応においては、オレフィン系炭化水素単位と不飽和カルボン酸無水物単位とを構成成分として有する共重合体(以下、「無水物含有共重合体」と称することがある)を、原料樹脂として用いる。無水物含有共重合体を構成するオレフィン系炭化水素単位や、不飽和カルボン酸無水物単位の種類や含有量、分子量などは、該無水物含有共重合体をイミド化反応に付して得られたポリオレフィン共重合体組成が、本発明に用いられるポリオレフィン共重合体の構成を満足するものであれば特に制限されない。また、無水物含有共重合体は、オレフィン系炭化水素単位と不飽和カルボン酸無水物単位以外のモノマー単位(その他のモノマー単位)を有するものであってもよい。
無水物含有共重合体の好適な具体例としては、エチレン−無水マレイン酸共重合体、プロピレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸グラフト共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル−無水マレイン酸三元共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル−無水マレイン酸三元共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸プロピル−無水マレイン酸三元共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸ブチル−無水マレイン酸三元共重合体などのエチレン−(メタ)アクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体、プロピレン−無水マレイン酸グラフト共重合体、プロピレン−ブテン−無水マレイン酸グラフト共重合体、プロピレン−ブテン−エチレン−無水マレイン酸グラフト共重合体などがあげられる。
中でも、無水物含有共重合体のイミド化により得られるポリオレフィン共重合体を用いて複合めっき用めっき液となす場合において、ポリオレフィン樹脂粒子のめっき液およびめっき膜中での分散性や、ポリオレフィン樹脂粒子とめっき膜との密着性、めっき物を曲げた場合のめっき膜の安定性、防錆性の向上効果をより向上させる観点から、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル−無水マレイン酸三元共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル−無水マレイン酸三元共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸プロピル−無水マレイン酸三元共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸ブチル−無水マレイン酸三元共重合体などのエチレン−(メタ)アクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体が好ましい。
無水物含有共重合体としては、市販品も好適に使用することができる。例えば、アルケマ社製「ボンダイン」、「ロタダー」、「オレバック」、日本ポリエチレン社製「レクスパールET」、「アドテクス」、日油社製「モディパ」、三洋化成社製「ユーメックス」、三井化学社製「アドマー」、日本製紙ケミカル社製「アウローレン」などがあげられる。
上記無水物含有共重合体と、一般式(III)で表されるアミノ化合物(以下、「アミノ化合物」と称することがある)とを、イミド化反応させることによってポリオレフィン共重合体Aが得られる。一般式(III)で表されるアミノ化合物は、一般式(I)で表される置換基を有する1級アミンである。
H2N−(CH2)nNR1R2 (III)
一般式(III)中、R1、R2は炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基、またはHであり、炭素数1〜2のアルキル基が好ましい。炭素数6以上の場合は、ポリオレフィン樹脂粒子のめっき液およびめっき膜中での分散性の向上効果が低下することがある。
一般式(III)中、R1、R2は炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基、またはHであり、炭素数1〜2のアルキル基が好ましい。炭素数6以上の場合は、ポリオレフィン樹脂粒子のめっき液およびめっき膜中での分散性の向上効果が低下することがある。
また、一般式(III)中、nは1〜5の整数であって、2〜4の整数が好ましく、2〜3の整数がより好ましい。nの範囲が上記を下回ると、取り扱い中に爆発する危険性が高まる傾向にある。一方、nの範囲が上記を上回ると、ポリオレフィン樹脂粒子のめっき液およびめっき膜中での分散性の向上効果が低下することがある。
一般式(I)又は(I´)中、R1、R2の炭素数、及びnの整数が、前記の範囲を下回ると、爆発の危険性がある原料を使用する必要があったり、ポリオレフィン共重合体を得るのが難しくなる。一方、前記の範囲を上回ると、ポリオレフィン樹脂粒子のめっき液およびめっき膜中での分散性が低下することがある。
上述のような一般式(III)で表されるアミノ化合物は、分子内の1級アミンが無水物含有共重合体のカルボン酸無水物とイミド結合する。それにより、一般式(I)で表される置換基を有するN−置換不飽和カルボン酸イミドを生成することが可能となる。
一般式(III)で表されるアミノ化合物としては、N,N−ジアルキルアミノアルキルアミンがあげられる。中でも、ポリオレフィン樹脂粒子のめっき液およびめっき膜中での分散性や、めっき物を曲げた場合のめっき膜の安定性などの観点から、N,N−ジメチルアミノエチルアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、N,N−ジメチルアミノブチルアミン、N,N−ジエチルアミノエチルアミン、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン、N,N−ジエチルアミノブチルアミンなどが好ましく、N,N−ジメチルアミノプロピルアミンがより好ましい。
イミド化反応の際の反応温度としては、50〜300℃が好ましく、70〜250℃がより好ましく、90〜200℃がさらに好ましく、100〜170℃が特に好ましい。反応温度が50℃未満になると、イミド化反応速度が過度に低下することがある。一方、300℃を超えると、それ以上のイミド化反応を促進させる効果が認められず、また、得られる共重合体が着色することがある。イミド化反応に要する時間は特に限定されず、例えば、30秒〜1時間が好ましく、1〜45分がより好ましい。なお、本発明におけるイミド化反応は反応性が高いため、反応を促進するための触媒の添加は通常必要としない。また、イミド化反応を速やかに進行させるために、好ましくはイミド化反応の際、無水物含有共重合体とアミノ化合物とを撹拌するなどの方法で混ぜ合わせる。
さらに、本発明では、無水物含有共重合体とアミノ化合物とをイミド化反応させるとき、無水物含有共重合体中に含まれる全ての不飽和カルボン酸無水物単位をイミド化する必要はなく、目的に応じて一部の単位を残してもよい。不飽和カルボン酸無水物単位の一部をイミド化せずに残しておくことにより、不飽和カルボン酸単位を含有するポリオレフィン共重合体を得ることができる。このようなポリオレフィン共重合体を用いて複合めっき用めっき液をなせば、ポリオレフィン樹脂粒子のめっき液およびめっき膜中での分散性や、ポリオレフィン樹脂粒子のめっき膜への密着性の効果がより優れるものとなる。なお、この場合、ポリオレフィン共重合体に含まれる不飽和カルボン酸単位の含有量は、イミド化反応において、アミノ化合物の添加量などを調整することにより制御できる。
イミド化反応におけるアミノ化合物の添加量としては、無水物含有共重合体中の不飽和カルボン酸無水物単位のモル数に対して、通常、0.2〜10倍当量モル程度の範囲であればよい。含有する不飽和カルボン酸無水物単位のすべてをイミド化せずに、その一部を不飽和カルボン酸無水物単位して残す観点から、0.3〜2倍当量モルが好ましく、0.4〜1.5倍当量モルがより好ましく、0.4〜1倍当量モルがさらに好ましく、0.4〜0.9倍当量モルが特に好ましく、0.4〜0.8倍当量モルが最も好ましい。
次にイミド化反応の具体的な方法について説明するが、これらの方法に限定されるものではない。
イミド化反応は、公知の装置、方法で行うことができる。例えば、無水物含有共重合体とアミノ化合物とを、反応容器内で加熱、撹拌する方法や、押出し機で連続的に加熱、撹拌する方法などがあげられる。
無水物含有共重合体とアミノ化合物を反応容器内で加熱、撹拌する方法としては、撹拌翼と必要に応じて凝縮器を備えた反応容器を用いる方法があげられる。イミド化反応の際は反応容器が耐圧性であれば密閉してもよく、反応容器が耐圧性でなければ加熱によって発生した蒸気を、凝縮器を介して反応容器内に還流してもよい。原料たる無水物含有共重合体とアミノ化合物とは、反応前に一括して反応容器内に投入してもよいし、予め無水物含有共重合体だけを投入しておいて、加熱後、アミノ化合物を投入し、攪拌してもよい。撹拌翼の形状としては、特に限定されるものではない。また、撹拌速度も限定されるものではないが、通常200rpmを超えるような高速回転は必要としないため、200rpm以下が一般的である。また、攪拌は間欠であってもよい。そして、ポリオレフィン共重合体の酸化を抑えるために、反応容器内のガスを窒素ガスに置換してもよい。
さらに、イミド化反応においては、均一性向上の観点から、無水物含有共重合体とアミノ化合物とを50〜300℃に加熱し、無水物含有共重合体を溶融させることが好ましい。また、無水物含有共重合体の溶融粘度が高く撹拌機の負荷が大きいときや、撹拌効率が悪いときは、溶媒を加えてもよい。該溶媒としては、撹拌効率を上げる点で無水物含有共重合体を溶解するようなものが好ましいが、水のように無水物含有共重合体に対して溶解性がないものであってもよい。だたし、溶媒として、不揮発性であるもの、高沸点のもの、及び原料の無水物含有共重合体やアミノ化合物と反応性のあるものは好ましくない。なお、溶媒の沸点は、後述の溶媒を除去する工程において、溶媒を除去しやすくするため、150℃以下が好ましい。上記の溶媒の好適な具体例としては、トルエンやキシレンなどがあげられる。溶媒の投入量は状況によって適宜選択すればよいが、原料たる樹脂の合計量100質量部に対して100質量部程度であれば攪拌効率を十分向上させることができる。
このようにイミド化反応をした後は、反応容器内の未反応アミノ化合物や溶媒を除く工程を設けることが望ましい。未反応アミノ化合物や溶媒を除く方法としては、反応容器内を加熱撹拌し、必要に応じて減圧にして、発生した蒸気を、凝縮器を介して反応容器の外に留去する方法が好ましい。この際の反応容器内の温度は、アミノ化合物や溶媒の沸点より高めに設定することが好ましい。
イミド化反応後、得られたポリオレフィン共重合体を反応容器より払いだす際は、取り扱いのし易い10mm以下のペレットとすることが好ましい。
他方、押出し機を用いてイミド化反応を行うときは、無水物含有共重合体とアミノ化合物とを押出し機で連続的に加熱、撹拌することが好ましい。このような押出し機としては、ホッパーと液注入装置を備えた押出し機を用いることが好ましい。また押出し機は、2軸押出し機であることが好ましい。すなわち、樹脂の温度が50〜300℃になるように加熱された押出し機に、ホッパーより無水物含有共重合体を定量的に供給し、さらにバレル途中に設けられた液注ノズルからアミノ化合物を定量的に投入することで、イミド化反応できる。スクリューの回転速度は限定されず、通常20〜200rpmの範囲であればよい。このように押出し機内でイミド化反応をした後は、上述の反応容器を用いてイミド化反応を行うときと同様に、未反応アミノ化合物を除く工程を設けることが望ましい。未反応アミノ化合物を除く方法としては、押出し機のバレル後半に設けられたベントより押出し機内を減圧にして、発生した蒸気を、凝縮器を介して押出し機の外に留去する方法が好ましい。
以上の様な方法で得られたポリオレフィン共重合体Aは、必要に応じてさらに未反応アミノ化合物を除く工程を設けてもよい。未反応アミノ化合物を除く方法としては、得られたポリオレフィン共重合体Aを加熱乾燥する方法、得られたポリオレフィン共重合体Aを加熱真空乾燥する方法、得られたポリオレフィン共重合体Aを抽出する方法などがあげられる。
次に、ポリオレフィン共重合体Bの製造方法について説明する。ポリオレフィン共重合体Bは、上述のように、ポリオレフィン共重合体A中の一般式(I)で表される置換基の一部又は全てを前記四級化剤で四級化したものである。
四級化剤の添加量としては、一般式(I)で表される置換基のモル数に対して、0.5〜5倍当量モルが好ましく、0.6〜2倍当量モルがより好ましく、0.8〜1.5倍当量モルがさらに好ましく、0.9〜1.0倍当量モルが特に好ましい。四級化剤の添加量が0.5倍当量モル未満の場合には、得られたポリオレフィン共重合体Bの水性分散化が困難となることがあり、一方、5倍当量モルを超える場合には、添加の効果が飽和することがある。
当該置換基を四級化する方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、ポリオレフィン共重合体Aと四級化剤とを、反応容器内で加熱、撹拌する方法や、押出し機で連続的に加熱、撹拌する方法などがあげられる。四級化に好ましい反応温度としては、通常30〜200℃の範囲であり、好ましい反応時間は通常1分以上である。このような反応条件の下で、ポリオレフィン共重合体Aと、四級化剤とを混ぜ合わせることで、一般式(I)で表される置換基の一部又は全てを四級化し、一般式(II)で表される置換基を有するポリオレフィン共重合体Bを得ることができる。
<ポリオレフィン樹脂水性分散体>
本発明の複合めっき用めっき液は、上記ポリオレフィン共重合体が水性媒体中に分散されたポリオレフィン樹脂水性分散体を原料に用いて得られたものが好ましい。
本発明に用いるポリオレフィン共重合体の水性分散体は、ポリオレフィン共重合体Aを水性媒体中に分散させた水性分散体M、ポリオレフィン共重合体Bを水性媒体中に分散させた水性分散体Nが好ましいものである。
本発明の複合めっき用めっき液は、上記ポリオレフィン共重合体が水性媒体中に分散されたポリオレフィン樹脂水性分散体を原料に用いて得られたものが好ましい。
本発明に用いるポリオレフィン共重合体の水性分散体は、ポリオレフィン共重合体Aを水性媒体中に分散させた水性分散体M、ポリオレフィン共重合体Bを水性媒体中に分散させた水性分散体Nが好ましいものである。
まず、本発明に用いられる水性分散体Mについて説明する。
水性分散体Mには、樹脂中和剤が含有されていることが好ましい。樹脂中和剤とはポリオレフィン共重合体Aの含有するアミノ基を中和することが可能な酸性化合物のことである。つまり、水性分散体M中に含まれるポリオレフィン共重合体Aは、一般式(I)で表される置換基の一部又は全てが、樹脂中和剤で中和されていることが好ましい。置換基が樹脂中和剤で中和されることによってポリオレフィン共重合体にアミノカチオンが生成し、アミノカチオン間の電気反発力によってポリオレフィン共重合体が微粒子化され、かつ微粒子間の凝集が解れる。その結果、水性分散体に安定性が付与され、酸性域で安定な水性分散体となる。
つまり、ポリオレフィン共重合体A中の不飽和カルボン酸無水物由来のN−置換イミド単位のN−置換基が、一般式(I´)で表される置換基となることで、ポリオレフィン共重合体Aが水性媒体中に分散し、水性分散体Mを得ることができる。
水性分散体Mにおける樹脂中和剤の含有量としては、ポリオレフィン共重合体Aに含有される一般式(I´)で表される置換基のモル数に対して0.5〜5倍当量モルが好ましく、0.8〜3倍当量モルがより好ましく、1〜2.5倍当量モルがさらに好ましい。酸の含有量が0.5倍当量モル未満になると、水性分散体の形態を安定して保てないことがある。一方、5倍当量モルを超えると、ポリオレフィン樹脂粒子のめっき液およびめっき膜中での分散性が悪化する場合がある。
樹脂中和剤としては、一般式(I)で表される置換基を中和することが可能なものであって、酸解離定数(pKa)が−9〜8であるものが好ましく、pKaが−9〜7であるものがより好ましく、pKaが−5〜6であるものがさらに好ましく、pKaが0〜5であるものが特に好ましい。酸解離定数(pKa)が8を超えると、置換基が中和されにくくなり、水性分散化することが困難となることがある。一方、酸解離定数が−9未満であると、水性分散体を得る際の作業性が困難となることがある。
また、樹脂中和剤は揮発性であることが好ましい。具体的には、沸点が20〜250℃であることが好ましく、30〜200℃がより好ましく、50〜150℃がさらに好ましく、50〜120℃が特に好ましい。樹脂中和剤が不揮発性であると、めっき膜に酸性化合物が残留し、防錆の効果が低下する場合がある。一方、樹脂中和剤の沸点が低すぎると水性分散化の際に揮発する割合が多くなり、所望の中和効率が得られないことがある。
上記のような樹脂中和剤の好適な具体例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、乳酸、クエン酸などの有機酸;塩酸、硫酸、リン酸、硝酸などの無機酸があげられる。これらは単独で用いても2種類以上を併用しても構わない。中でも、置換基の中和に優れることから有機酸がより好ましく、その中でもギ酸、酢酸が特に好ましい。
次に、本発明に用いられる水性分散体Nについて説明する。水性分散体Nは、ポリオレフィン共重合体Bが水性媒体中に分散したものである。ポリオレフィン共重合体Bでは、式(II)で表される置換基が四級化されていることで、既にアミノカチオンを有しているため、樹脂中和剤を含有しなくても、酸性域で安定な分散体となる。
水性分散体M、Nを比べた場合、水性分散体Nは、四級化された置換基を有するポリオレフィン共重合体Bを用いているため、水性分散化が容易となり、製造し易い。しかしながら、めっき膜とした場合、水性分散体Nは、水性分散体Mより、得られるポリオレフィン樹脂粒子のめっき膜への密着性に劣る傾向がある。よって、複合めっき用めっき液としては、ポリオレフィン共重合体Aが分散させた水性分散体Mを用いるほうが好ましい。
以下、「ポリオレフィン樹脂水性分散体」とは、「水性分散体M」、「水性分散体N」を総称するものである。
本発明におけるポリオレフィン樹脂水性分散体では、ポリオレフィン共重合体の数平均粒子径が1〜1000nmの範囲であることが好ましく、その下限としては、10nm以上がより好ましく、30nm以上がさらに好ましく、50nm以上が特に好ましく、70nm以上が最も好ましい。その上限としては、700nm以下がより好ましく、500nm以下がさらに好ましく、300nm以下が特に好ましく、200nm以下が最も好ましい。数平均粒子径が1nm未満の分散体は製造が困難であり、1000nmを超えると、ポリオレフィン樹脂粒子のめっき液およびめっき膜中での分散性が悪化する傾向がある。
本発明に用いられるポリオレフィン樹脂水性分散体のpHとしては、特に限定されないが、pH2〜6であることが好ましい。
また、本発明に用いられるポリオレフィン樹脂水性分散体は、後述するような界面活性剤を含有していても構わない。界面活性剤を含有していることで、水性分散化がより容易になったり、ポリオレフィン樹脂粒子のめっき液およびめっき膜中での分散性が向上する。界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、あるいは両性界面活性剤があげられる。中でも、水性分散化がより容易になったり、ポリオレフィン樹脂粒子のめっき液およびめっき膜中での分散性の観点より、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤が好ましく、四級アンモニウム塩型、アルキルアミン塩型界面活性剤、ベタイン型界面活性剤がより好ましい。
ポリオレフィン樹脂水性分散体中のポリオレフィン共重合体の固形分濃度としては、特に限定されないが、共重合体を繊維基材へ容易に付着させる観点から、好ましくは水性分散体の0.1〜60質量%の範囲であり、より好ましくは0.2〜20質量%の範囲である。
また、ポリオレフィン樹脂水性分散体の粘度としては、同じく共重合体を繊維基材へ容易に付着させる観点から、B型粘度計で20℃条件下にて測定したときの粘度として100000mPa・s以下が好ましく、1000mPa・sがより好ましい。
<ポリオレフィン樹脂水性分散体の製造方法>
次に、本発明に用いられる水性分散体の製造方法について説明する。
次に、本発明に用いられる水性分散体の製造方法について説明する。
水性分散体Mを得るための製造方法は、ポリオレフィン共重合体Aと、樹脂中和剤を含む水性媒体とを80〜250℃で攪拌するものである。なお、この際、界面活性は必須ではないが含有することで分散化し易くなる。具体的には、水性分散体Mを得る際には、密閉可能な容器中で、ポリオレフィン共重合体Aと水性媒体と、酸とを、80〜250℃で攪拌することにより、一般式(I´)で表される置換基を有するポリオレフィン共重合体Aを分散化させることができる。
一方、水性分散体Nを得るための製造方法は、ポリオレフィン共重合体Bと、水性媒体とを80〜250℃で攪拌するものである。この際、界面活性および樹脂中和剤は必須ではないが含有していても構わないが、界面活性剤を含有することで分散化し易くなる。具体的には、水性分散体Nを得る際にも、密閉可能な容器中で、ポリオレフィン共重合体Bと、水性媒体とを80〜250℃で攪拌することにより、ポリオレフィン重合体Bを分散化することができる。
このような密閉可能な容器としては、液体を投入できる槽を備え、槽内に投入されたポリオレフィン共重合体や水性媒体や樹脂中和剤を、適度に攪拌できるものであればよい。そのような装置としては、固/液攪拌装置や乳化機を使用することができ、耐圧性であることがさらに好ましい。
これらの水性分散体の製造方法において、攪拌の方法、攪拌の回転速度は特に限定されない。本発明においては、ポリオレフィン共重合体が水性媒体中で浮遊状態となる程度の低速の攪拌でも、十分に水性化が達成されるため、高速攪拌(例えば、1000rpm以上の攪拌)は必須ではない。このため、簡便な装置でも水性分散体の製造が可能である。
前記のような容器に、ポリオレフィン共重合体Aと水性媒体と酸を、又はポリオレフィン共重合体Bと水性媒体とを投入し、次いで、槽内の温度を80〜250℃、好ましくは90〜200℃、さらに好ましくは100〜190℃の温度に保ちつつ、5〜180分間攪拌を続けることによりポリオレフィン共重合体を十分に分散化させることができる。槽内の温度が80℃未満であると、ポリオレフィン共重合体の分散効果が乏しく、250℃を超えても水性分散化の効果はそれ以上向上しない場合がある。その後、例えば、攪拌下で40℃以下に冷却することにより、所望の水性分散体を得ることができる。
本発明に用いられるポリオレフィン共重合体は、水性分散化がきわめて良好であり、水性媒体中には未分散樹脂がほとんどまたは全く残存することがない。しかしながら、容器内の異物や少量の未分散樹脂を除くために、水性分散体を払い出す際は、濾過工程を設けてもよい。濾過方法は限定されないが、例えば、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(例えば、空気圧0.5MPa)する方法があげられる。このような濾過工程を設けることで、異物や未分散樹脂が存在した場合であっても除去することができ、水性分散体を以降の工程で、問題なく使用することができる。
本発明の複合めっき用めっき液に含まれる分子中にアミノ基を有するポリオレフィン樹脂粒子の含有量は、複合めっき用めっき液100質量%に対して、0.1〜60質量%の範囲が好ましく、その下限としては1質量%以上がより好ましく、2質量%以上が特に好ましく、4質量%以上がさらに好ましく、6質量%以上が最も好ましい。上限としては50質量%以下がより好ましく、40質量%以下が特に好ましく、30質量%以下がさらに好ましく、20質量%以下が最も好ましい。0.1質量%未満では得られるめっき物のめっき膜中のポリオレフィン樹脂粒子が少なすぎるため本発明の効果が得られにくく、60質量%を超えた場合は、本発明の効果が得られにくくさらにめっきがし難くなる。
本発明の複合めっき用めっき液中の、分子中にアミノ基を有するポリオレフィン樹脂粒子の数平均粒子径は、1〜1000nmの範囲であることが好ましく、その下限としては、10nm以上がより好ましく、30nm以上がさらに好ましく、50nm以上が特に好ましく、70nm以上が最も好ましい。その上限としては、700nm以下がより好ましく、500nm以下がさらに好ましく、300nm以下が特に好ましく、200nm以下が最も好ましい。数平均粒子径が1nm未満の場合は製造が困難であり、1000nmを超えると、ポリオレフィン樹脂粒子のめっき液およびめっき膜中での分散性が悪化する傾向がある。
<金属イオン>
本発明における金属イオンは、めっき可能な金属イオンであれば特に限定されることなく、好適な具体例としては、銅、鉛、ニッケル、銀、亜鉛、アルミニウム、白金、パラジウム、アンチモン、イリジウム、インジウム、カドミウム、ガリウム、金、クロム、ゲルマニウム、コバルト、すず、セレン、タリウム、鉄、テルル、砒素、ビスマス、マンガン、ロジウムなどのイオンが挙げられ、銀、亜鉛、アルミニウム、カドミウム、金、クロム、コバルト、すず、鉄、銅、鉛、ニッケル、白金、パラジウムのイオンがより好ましく、防錆性の観点で亜鉛イオンが特に好ましい。イオンの形態としては特に限定されず、単独の金属イオンであっても良いし、錯化剤と結合した錯イオンとして存在していても良い。各金属イオンは、公知の金属めっき液で金属供給源として使用されている任意の物質をソースとすることができ、特に限定されるものではない。例えば、金属元素が亜鉛の場合には、亜鉛イオンのソースとなる物質としては、例えば、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、安息香酸亜鉛、亜硝酸亜鉛、炭酸亜鉛、チオシアン酸亜鉛、リン酸亜鉛、クエン酸亜鉛、塩化亜鉛などが挙げられるがこれらに限定されない。金属イオンのソースとなる化合物は1種類であっても良いし、2種類以上の化合物を混合して使用しても良い。
本発明における金属イオンは、めっき可能な金属イオンであれば特に限定されることなく、好適な具体例としては、銅、鉛、ニッケル、銀、亜鉛、アルミニウム、白金、パラジウム、アンチモン、イリジウム、インジウム、カドミウム、ガリウム、金、クロム、ゲルマニウム、コバルト、すず、セレン、タリウム、鉄、テルル、砒素、ビスマス、マンガン、ロジウムなどのイオンが挙げられ、銀、亜鉛、アルミニウム、カドミウム、金、クロム、コバルト、すず、鉄、銅、鉛、ニッケル、白金、パラジウムのイオンがより好ましく、防錆性の観点で亜鉛イオンが特に好ましい。イオンの形態としては特に限定されず、単独の金属イオンであっても良いし、錯化剤と結合した錯イオンとして存在していても良い。各金属イオンは、公知の金属めっき液で金属供給源として使用されている任意の物質をソースとすることができ、特に限定されるものではない。例えば、金属元素が亜鉛の場合には、亜鉛イオンのソースとなる物質としては、例えば、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、安息香酸亜鉛、亜硝酸亜鉛、炭酸亜鉛、チオシアン酸亜鉛、リン酸亜鉛、クエン酸亜鉛、塩化亜鉛などが挙げられるがこれらに限定されない。金属イオンのソースとなる化合物は1種類であっても良いし、2種類以上の化合物を混合して使用しても良い。
本発明の複合めっき用めっき液に含まれる金属イオンの量は、特に限定されず、めっき膜の厚さやめっき条件等に応じて選択すればよいが、一般に、複合めっき用めっき液1リットル中に金属元素として0.001〜1モルの範囲が好ましく、その下限としては0.002モル以上がより好ましく、0.005モル以上がさらに好ましく、0.01モル以上が特に好ましく、0.05モル以上が最も好ましい。上限としては0.8モル以下がより好ましく、0.6モル以下がさらに好ましく、0.4モル以下が特に好ましく、0.2モル以下が最も好ましい。0.001モル未満であると、めっき反応が遅いか又はほとんど起こらず、1モルを超えても効果はほとんど変わらず経済的に不利である。さらにめっき浴が分解しやすくなる場合がある。
<媒体>
本発明における媒体とは、液体媒体であり、金属イオン、分子中にアミノ基を有するポリオレフィン樹脂粒子を安定的に溶解および分散可能で且つめっきに用いることが可能であれば特に限定されず、非水性媒体であっても水性媒体であっても構わないが、めっきのし易さや環境保全の観点から、水性媒体を用いることが好ましい。
本発明における媒体とは、液体媒体であり、金属イオン、分子中にアミノ基を有するポリオレフィン樹脂粒子を安定的に溶解および分散可能で且つめっきに用いることが可能であれば特に限定されず、非水性媒体であっても水性媒体であっても構わないが、めっきのし易さや環境保全の観点から、水性媒体を用いることが好ましい。
水性媒体とは、水を含有する媒体のことであり、樹脂中和剤や界面活性剤、有機溶媒などを含有していても構わない。媒体中の水の含有量は特に限定されないが、めっきのし易さや環境保全の観点からは、媒体100質量%に対して、5質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましく、80質量%以上が特に好ましく、100質量%が最も好ましい。有機溶媒は特に限定されないが、水溶性であることが好ましく、好適な具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、nプロパノール、プロパノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン(アノン)、ジアセトンアルコールなどのケトン類、安息香酸メチル、安息香酸エチル、サリチル酸メチルなどの芳香族カルボン酸エステル類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、メチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのグリコールエーテルエステル類、・ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどのアルカノールエステル類、エチレングリコール、グリセリンなどの脂肪族ポリオール、アセトニトリルなどのニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類、N−メチル−2−ピロリドンなどのラクタム類、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、スルホランなどの含硫黄溶媒、ヘキサメチルホスホリックトリアミドなどの含燐溶媒などが挙げられる。
非水性媒体とは、水以外の溶剤からなる媒体のことである。但し、水は媒体の原料として積極的に添加していないことを意味し、不純物や生成物として微量の水が含まれていても構わない。非水性媒体中の水の含有量としては、5質量%未満が好ましく、3質量%未満がより好ましく、2質量%未満が特に好ましく、1質量%未満がさらに好ましく、0.5質量%未満が最も好ましい。5質量%を以上の場合は、非水性媒体とは定義し難い。
<界面活性剤>
本発明の複合めっき用めっき液は、界面活性剤を含有していることが好ましい。界面活性剤を含有していることで、ポリオレフィン樹脂粒子のめっき液での分散性が向上し、それによってポリオレフィン樹脂粒子のめっき膜中での分散性が向上する。界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、あるいは両性界面活性剤があげられる。例えば、アニオン性界面活性剤としては、高級アルコールの硫酸エステル塩、高級アルキルスルホン酸塩、高級カルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート塩、ビニルスルホサクシネートなどがあげられる。ノニオン性乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイドプロピレンオキサイドブロック共重合体、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体などのポリオキシエチレン構造を有する化合物やポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどのソルビタン誘導体などがあげられる。そして、カチオン性乳化剤としては、四級アンモニウム塩型、アルキルアミン塩型、脂肪族アミドアミン型、イミダゾリン型、ベンザルコニウム塩型、グアニジン型などが挙げられ、四級アンモニウム塩型としては、炭素数が4〜20である長鎖アルキル基を有する四級アンモニウム塩が好ましく、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、カプリルトリメチルアンモニウムクロライド、ミリスチルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、N−ステアリル−N,N,N−トリ(ポリオキシエチレン)アンモニウムクロライド(エチレンオキサイド合計3モル付加)、セチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、セチルトリエチルアンモニウムブロマイド、ヘキサデシルオクタデシルジメチルアンモニウムクロライドなどのアルキルアンモニウムクロライド、ステアラミドプロピルジメチルアミンや、その他アルキル(アルキル基の炭素数8〜28)ジメチルベンジルアンモニウム塩、ジアルキル(アルキル基の炭素数8〜28)メチルヒドロキシエチルアンモニウム塩等が挙げられる。アルキルアミン塩型としては、炭素数が4〜20である長鎖アルキル基を有するアミン塩が好ましく、アルキル基及び/又はアルケニル基の炭素数が4〜20である長鎖アルキルアミン塩などがあげられる。両性乳化剤としては、ラウリルベタインなどのアルキルベタイン型、ラウリルジメチルアミンオキサイドなどのアルキルアミンオキサイド型などがあげられる。これらは単独でも複数を組み合わせて使用しても構わない。これらの中でも、ポリオレフィン樹脂粒子のめっき液およびめっき膜中での分散性の観点から、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤が好ましく、詳しくは四級アンモニウム塩型、アルキルアミン塩型、ベタイン型が好ましい。
本発明の複合めっき用めっき液は、界面活性剤を含有していることが好ましい。界面活性剤を含有していることで、ポリオレフィン樹脂粒子のめっき液での分散性が向上し、それによってポリオレフィン樹脂粒子のめっき膜中での分散性が向上する。界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、あるいは両性界面活性剤があげられる。例えば、アニオン性界面活性剤としては、高級アルコールの硫酸エステル塩、高級アルキルスルホン酸塩、高級カルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート塩、ビニルスルホサクシネートなどがあげられる。ノニオン性乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイドプロピレンオキサイドブロック共重合体、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体などのポリオキシエチレン構造を有する化合物やポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどのソルビタン誘導体などがあげられる。そして、カチオン性乳化剤としては、四級アンモニウム塩型、アルキルアミン塩型、脂肪族アミドアミン型、イミダゾリン型、ベンザルコニウム塩型、グアニジン型などが挙げられ、四級アンモニウム塩型としては、炭素数が4〜20である長鎖アルキル基を有する四級アンモニウム塩が好ましく、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、カプリルトリメチルアンモニウムクロライド、ミリスチルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、N−ステアリル−N,N,N−トリ(ポリオキシエチレン)アンモニウムクロライド(エチレンオキサイド合計3モル付加)、セチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、セチルトリエチルアンモニウムブロマイド、ヘキサデシルオクタデシルジメチルアンモニウムクロライドなどのアルキルアンモニウムクロライド、ステアラミドプロピルジメチルアミンや、その他アルキル(アルキル基の炭素数8〜28)ジメチルベンジルアンモニウム塩、ジアルキル(アルキル基の炭素数8〜28)メチルヒドロキシエチルアンモニウム塩等が挙げられる。アルキルアミン塩型としては、炭素数が4〜20である長鎖アルキル基を有するアミン塩が好ましく、アルキル基及び/又はアルケニル基の炭素数が4〜20である長鎖アルキルアミン塩などがあげられる。両性乳化剤としては、ラウリルベタインなどのアルキルベタイン型、ラウリルジメチルアミンオキサイドなどのアルキルアミンオキサイド型などがあげられる。これらは単独でも複数を組み合わせて使用しても構わない。これらの中でも、ポリオレフィン樹脂粒子のめっき液およびめっき膜中での分散性の観点から、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤が好ましく、詳しくは四級アンモニウム塩型、アルキルアミン塩型、ベタイン型が好ましい。
複合めっき用めっき液への界面活性剤の添加方法や添加のタイミングは特に限定されず、上述したようにポリオレフィン樹脂水性分散体の製造の際に、界面活性剤を添加して得られたポリオレフィン樹脂水性分散体をめっき液に用いても構わないし、界面活性剤を添加せずにポリオレフィン樹脂水性分散体を得た後で、ポリオレフィン樹脂水性分散体に界面活性剤を添加して、これをめっき液に用いても構わないし、本発明の複合用めっき用めっき液に界面活性剤を添加しても構わない。
界面活性剤の含有量は、ポリオレフィン樹脂粒子のめっき液およびめっき膜中での分散性の観点から、複合めっき用めっき液100質量%に対して、0.0001〜10質量%の範囲が好ましく、その下限としては0.001質量%以上がより好ましく、0.005質量%以上がさらに好ましく、0.01質量%以上が特に好ましく、0.05質量%以上が最も好ましい。上限としては、5質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましく、0.5質量%以下が特に好ましく、0.1質量%以下が最も好ましい。0.0001質量%未満ではポリオレフィン樹脂粒子のめっき液およびめっき膜中での分散性向上の効果が得られにくく、10質量%を超えた場合は、それ以上の添加の効果が得られないばかりか作業性や作業環境に問題(発泡、ミストの飛散、装置の腐食等)が発生するため好ましくない。
<その他の成分>
本発明の複合めっき用めっき液は、分子中にアミノ基を有するポリオレフィン樹脂粒子、金属イオン、界面活性剤、媒体以外のその他の成分を含有していても構わない。その他の成分としては、ダイアモンド粒子、カーボンナノチューブ、無機粒子(シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、セリア、酸化亜鉛、酸化マンガン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化鉄、酸化ニオブ、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化アンチモンなど)、樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリビニリデンフルオライド、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体などのフッ素樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリエステル、炭化水素樹脂、エチルセルロース、酢酸ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセトアミド、ポリオレフィン樹脂など)、還元剤、錯化剤、安定剤(例えば、硝酸鉛、酢酸鉛等の鉛塩;硝酸ビスマス、酢酸ビスマス等のビスマス塩;チオジグリコール酸等の硫黄化合物など)、pH安定剤(ホウ酸、リン酸、亜リン酸、炭酸、それらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩など)、シランカップリング剤、電導性塩、光沢剤、塗料添加剤、粘土鉱物、沈降防止剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、顔料、加水分解防止剤などが挙げられる。これらはめっき液に溶解していても粒子の状態で分散していても構わない。またこれらは単独でも、複数を組み合わせて用いても構わない。その他の成分の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲で添加の目的と効果に適した量を設計すればよく特に限定されないが、複合めっき用めっき液100質量%に対して50質量%以下が好ましく、20質量%以下が好ましい。
本発明の複合めっき用めっき液は、分子中にアミノ基を有するポリオレフィン樹脂粒子、金属イオン、界面活性剤、媒体以外のその他の成分を含有していても構わない。その他の成分としては、ダイアモンド粒子、カーボンナノチューブ、無機粒子(シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、セリア、酸化亜鉛、酸化マンガン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化鉄、酸化ニオブ、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化アンチモンなど)、樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリビニリデンフルオライド、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体などのフッ素樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリエステル、炭化水素樹脂、エチルセルロース、酢酸ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセトアミド、ポリオレフィン樹脂など)、還元剤、錯化剤、安定剤(例えば、硝酸鉛、酢酸鉛等の鉛塩;硝酸ビスマス、酢酸ビスマス等のビスマス塩;チオジグリコール酸等の硫黄化合物など)、pH安定剤(ホウ酸、リン酸、亜リン酸、炭酸、それらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩など)、シランカップリング剤、電導性塩、光沢剤、塗料添加剤、粘土鉱物、沈降防止剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、顔料、加水分解防止剤などが挙げられる。これらはめっき液に溶解していても粒子の状態で分散していても構わない。またこれらは単独でも、複数を組み合わせて用いても構わない。その他の成分の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲で添加の目的と効果に適した量を設計すればよく特に限定されないが、複合めっき用めっき液100質量%に対して50質量%以下が好ましく、20質量%以下が好ましい。
<めっき液の製造方法>
本発明の複合めっき用めっき液の製造方法は特に限定されず、上述した各成分を所望の含有量となる様に混合し、必要ならば、攪拌装置、超音波装置を用いて分散させて、複合めっき用めっき液を得ることができる。また、本発明の複合めっき用めっき液は、使用前に調製して貯蔵することも可能である。又は使用の直前に調製して使用することも可能である。
本発明の複合めっき用めっき液の製造方法は特に限定されず、上述した各成分を所望の含有量となる様に混合し、必要ならば、攪拌装置、超音波装置を用いて分散させて、複合めっき用めっき液を得ることができる。また、本発明の複合めっき用めっき液は、使用前に調製して貯蔵することも可能である。又は使用の直前に調製して使用することも可能である。
<めっき方法>
本発明の複合めっき用めっき液を用いるめっき方法は特に限定されず、電解めっきであっても無電解めっきであっても構わないが、本発明の効果を得やすくする観点から電解めっきに用いることが好ましい。無電解めっきに用いる場合、還元剤を含有していることが好ましい。還元剤としては、特に限定はなく、無電解めっき液で用いられている公知の還元剤を用いることができる。還元剤の好適な具体例としては、次亜リン酸、次亜リン酸塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩)、ジメチルアミンボラン、ヒドラジン等を例示できる。これらは単独でも2種以上を混合して用いても構わない。還元剤の含有量は、複合めっき用めっき液1リットル中に0.001〜0.1モルの範囲が好ましく、0.002〜0.5モルがより好ましい。無電解めっきに用いる場合はさらに、錯化剤を含有していることが好ましく、錯化剤についても特に限定はなく、無電解めっき液で用いられている公知の錯化剤を用いることができる。錯化剤の好適な具体例としては、酢酸、蟻酸等のモノカルボン酸、これらのアンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩等;マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フマール酸等のジカルボン酸、これらのアンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩等;リンゴ酸、乳酸、グリコール酸、グルコン酸、クエン酸等のヒドロキシカルボン酸、これらのアンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩等;エチレンジアミンジ酢酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、これらのアンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩等、エチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸等のアミノポリカルボン酸やそれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等を例示できる。更に、ホスホン酸類、アミノ酸類等も錯化剤として用いることができる。これらは単独でも2種以上を混合して用いても構わない。錯化剤の含有量は、複合めっき用めっき液1リットル中に0.001〜2モルの範囲が好ましく、0.002〜1モルがより好ましい。
本発明の複合めっき用めっき液を用いるめっき方法は特に限定されず、電解めっきであっても無電解めっきであっても構わないが、本発明の効果を得やすくする観点から電解めっきに用いることが好ましい。無電解めっきに用いる場合、還元剤を含有していることが好ましい。還元剤としては、特に限定はなく、無電解めっき液で用いられている公知の還元剤を用いることができる。還元剤の好適な具体例としては、次亜リン酸、次亜リン酸塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩)、ジメチルアミンボラン、ヒドラジン等を例示できる。これらは単独でも2種以上を混合して用いても構わない。還元剤の含有量は、複合めっき用めっき液1リットル中に0.001〜0.1モルの範囲が好ましく、0.002〜0.5モルがより好ましい。無電解めっきに用いる場合はさらに、錯化剤を含有していることが好ましく、錯化剤についても特に限定はなく、無電解めっき液で用いられている公知の錯化剤を用いることができる。錯化剤の好適な具体例としては、酢酸、蟻酸等のモノカルボン酸、これらのアンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩等;マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フマール酸等のジカルボン酸、これらのアンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩等;リンゴ酸、乳酸、グリコール酸、グルコン酸、クエン酸等のヒドロキシカルボン酸、これらのアンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩等;エチレンジアミンジ酢酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、これらのアンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩等、エチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸等のアミノポリカルボン酸やそれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等を例示できる。更に、ホスホン酸類、アミノ酸類等も錯化剤として用いることができる。これらは単独でも2種以上を混合して用いても構わない。錯化剤の含有量は、複合めっき用めっき液1リットル中に0.001〜2モルの範囲が好ましく、0.002〜1モルがより好ましい。
電解めっきの方法は特に限定されず、公知の電解複合めっき方法が採用できる。被めっき材料としては、種々の金属、金属合金などの導電材料を持ちることができ、樹脂、ガラス、セラミックなどの非導電材料の場合は、予め無電解めっきなど表面の導電付与処理を施した材料を用いることができる。被めっき材料の大きさ形状なども特に制限はない。また、めっき時間、温度、電流密度などのめっき条件やめっき槽、陽極の材質や形状サイズ、めっき液の量についても、特に限定されず、公知の電解複合めっき方法を採用または適宜設定すればよい。電流密度は例えば、0.1A/dm2〜50A/dm2の範囲が可能である。高い均一電着性の観点からは、1〜10Adm2の範囲が好ましい、1〜5Adm2がより好ましい。このような方法によって、被めっき材料の表面に複合めっき膜を形成することが可能である。また、この際、めっき膜の形成性、めっき膜中のポリオレフィン樹脂粒子の分散性、めっき膜の外観及び性能の観点から、めっき液を撹拌したり、被めっき材料を揺動等させることがこのましい。
無電解めっきの方法は特に限定されず、公知の無電解複合めっき方法が採用できる。被めっき材料としては、種々の金属、金属合金、樹脂、ガラス、セラミックなどを用いることができる。被めっき材料の大きさ形状なども特に制限はない。被めっき材料はめっき膜の形成性や密着性を高めるために予め触媒などによる表面処理を施してあるのが好ましく、そのような表面処理は公知の方法を採用できる。また、めっき時間、温度などのめっき条件やめっき槽、めっき液の量についても、特に限定されず、公知の無電解複合めっき方法を採用または適宜設定すればよい。例えば、60〜100℃のめっき液に、被めっき材料を30〜90分程度浸漬させることにより、被めっき材料の表面に複合めっき膜を形成することが可能である。また、この際、めっき膜の形成性、めっき膜中のポリオレフィン樹脂粒子の分散性、めっき膜の外観及び性能の観点から、めっき液を撹拌したり、被めっき材料を揺動等させることがこのましい。また、無電解複合めっきにおいては、めっき処理の進行に伴って金属イオンが還元剤により金属に還元され、炭素系複合材が金属と共に共析するため、めっき液中の金属イオン濃度、還元剤濃度、及び炭素系複合材濃度が低下し、pH濃度が変化する。そのため、前記無電解複合めっきにおいては、連続的に又は一定時間毎に無電解複合めっき液中に前記金属イオンとなる水溶性金属塩、前記還元剤、前記炭素系複合材及び必要に応じてpH調整剤等を補給して、これらの濃度を初期濃度の範囲に近い範囲内に維持することが好ましい。
<めっき物>
上記方法などで本発明の複合めっき用めっき液を用いて得られるめっき物は、その表面の少なくとも一部にめっき膜が形成されている。めっき膜中には、分子中にアミノ基を有するポリオレフィン樹脂粒子が分散されており、それによってめっき物は、本発明の効果を発現する。
上記方法などで本発明の複合めっき用めっき液を用いて得られるめっき物は、その表面の少なくとも一部にめっき膜が形成されている。めっき膜中には、分子中にアミノ基を有するポリオレフィン樹脂粒子が分散されており、それによってめっき物は、本発明の効果を発現する。
<めっき膜>
めっき物に形成されためっき膜には、分子中にアミノ基を有するポリオレフィン樹脂粒子が分散されている。めっき膜の厚みは、0.1〜1000μmの範囲が好ましく、その下限としては0.2μm以上がより好ましく、0.5μm以上がさらに好ましく、1μm以上が特に好ましい。上限としては200μm以下がより好ましく、100μm以下がさらに好ましく、50μm以下が特に好ましく、30μm以下が最も好ましい。0.1μm未満の場合は、めっき膜としての外観や防錆性などが悪化する傾向にあり、1000μmを超えて形成してもめっきの効果が変わらない、また厚みの制御が困難となる傾向がある。
めっき物に形成されためっき膜には、分子中にアミノ基を有するポリオレフィン樹脂粒子が分散されている。めっき膜の厚みは、0.1〜1000μmの範囲が好ましく、その下限としては0.2μm以上がより好ましく、0.5μm以上がさらに好ましく、1μm以上が特に好ましい。上限としては200μm以下がより好ましく、100μm以下がさらに好ましく、50μm以下が特に好ましく、30μm以下が最も好ましい。0.1μm未満の場合は、めっき膜としての外観や防錆性などが悪化する傾向にあり、1000μmを超えて形成してもめっきの効果が変わらない、また厚みの制御が困難となる傾向がある。
以下に実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
各種の特性について、以下の方法で測定又は評価した。
1.ポリオレフィン共重合体の特性
(1)ポリオレフィン共重合体の構成
1H−NMR分析機(日本電子社製、「ECA500、500MHz」)を用いて求めた。テトラクロロエタン(d2)を溶媒とし、120℃で測定した。
(1)ポリオレフィン共重合体の構成
1H−NMR分析機(日本電子社製、「ECA500、500MHz」)を用いて求めた。テトラクロロエタン(d2)を溶媒とし、120℃で測定した。
(2)ポリオレフィン共重合体の酸価(不飽和カルボン酸の含有量)
溶媒としてアセトンを用いて、ポリオレフィン共重合体をソックスレイ抽出した後、乾燥した。該ポリオレフィン共重合体0.25gを、30mlのテトラヒドロフラン/トルエン/水の混合溶剤(質量比で20/4.8/0.2)に投入し、完全に溶解するまでホットスターラーで、液温80℃で加熱撹拌した。加熱攪拌の際に発生した蒸気は、ジムロートを介して還流させた。溶解後、液温を60〜70℃まで冷まし、指示薬(KOHで中和したクレゾールレッド0.1質量%水溶液)を1〜2滴滴下した。次いで、液温を60〜70℃に保った状態で撹拌しつつ、0.1モル/LのKOHメタノール溶液を滴下し、ポリオレフィン共重合体溶液の色調が紫色に変色し、かつその色調が20秒間変化しなくなった時点のKOHメタノール溶液の滴定量(mL)から、ポリオレフィン共重合体の酸価(mgKOH/g)を求めた。なお、ポリオレフィン共重合体を添加していない30mlのテトラヒドロフラン/トルエン/水の混合溶剤(質量比で20/4.8/0.2)を用いて、同様の操作をして得た値をブランクとした。測定はn=3で行い、測定値は3回の平均値とした。酸価は以下の式により求めた。
酸価(mgKOH/g)={[滴定量(mL)]−[ブランク滴定量(mL)]}×56.1×0.1×(0.1モル/LのKOHメタノール溶液の補正値)÷[0.25(mg)]
溶媒としてアセトンを用いて、ポリオレフィン共重合体をソックスレイ抽出した後、乾燥した。該ポリオレフィン共重合体0.25gを、30mlのテトラヒドロフラン/トルエン/水の混合溶剤(質量比で20/4.8/0.2)に投入し、完全に溶解するまでホットスターラーで、液温80℃で加熱撹拌した。加熱攪拌の際に発生した蒸気は、ジムロートを介して還流させた。溶解後、液温を60〜70℃まで冷まし、指示薬(KOHで中和したクレゾールレッド0.1質量%水溶液)を1〜2滴滴下した。次いで、液温を60〜70℃に保った状態で撹拌しつつ、0.1モル/LのKOHメタノール溶液を滴下し、ポリオレフィン共重合体溶液の色調が紫色に変色し、かつその色調が20秒間変化しなくなった時点のKOHメタノール溶液の滴定量(mL)から、ポリオレフィン共重合体の酸価(mgKOH/g)を求めた。なお、ポリオレフィン共重合体を添加していない30mlのテトラヒドロフラン/トルエン/水の混合溶剤(質量比で20/4.8/0.2)を用いて、同様の操作をして得た値をブランクとした。測定はn=3で行い、測定値は3回の平均値とした。酸価は以下の式により求めた。
酸価(mgKOH/g)={[滴定量(mL)]−[ブランク滴定量(mL)]}×56.1×0.1×(0.1モル/LのKOHメタノール溶液の補正値)÷[0.25(mg)]
(3)重量平均分子量測定
GPC装置(東ソー社製、「型式HLC−8020GPC」、カラム:TSK−GEL)を用い、40℃で質量平均分子量を測定した。溶離液として、テトラヒドロフランを用いた。TSK標準ポリスチレン換算より求めた。なお、テトラヒドロフランに溶解せず、重量平均分子量を測定できない場合は、下記(4)のメルトフローレート値を分子量の指標とした。
GPC装置(東ソー社製、「型式HLC−8020GPC」、カラム:TSK−GEL)を用い、40℃で質量平均分子量を測定した。溶離液として、テトラヒドロフランを用いた。TSK標準ポリスチレン換算より求めた。なお、テトラヒドロフランに溶解せず、重量平均分子量を測定できない場合は、下記(4)のメルトフローレート値を分子量の指標とした。
(4)ポリオレフィン共重合体のメルトフローレート値(MFR)
JIS K7210:1999記載の方法(190℃、20.2N荷重)に従って測定した。
JIS K7210:1999記載の方法(190℃、20.2N荷重)に従って測定した。
2.水性分散体の特性
(1)水性分散体中のポリオレフィン共重合体の数平均粒子径
水性分散体の数平均粒子径(nm)をマイクロトラック粒度分布計(日機装株式会社製、「UPA150、MODEL No.9340」)を用い、動的光散乱法により求めた。粒子径算出に用いる樹脂の屈折率は1.50とした。
(1)水性分散体中のポリオレフィン共重合体の数平均粒子径
水性分散体の数平均粒子径(nm)をマイクロトラック粒度分布計(日機装株式会社製、「UPA150、MODEL No.9340」)を用い、動的光散乱法により求めた。粒子径算出に用いる樹脂の屈折率は1.50とした。
3.複合めっき用めっき液の特性
(1)めっき液中のポリオレフィン共重合体の数平均粒子径
水性分散体の数平均粒子径(nm)をマイクロトラック粒度分布計(日機装株式会社製、「UPA150、MODEL No.9340」)を用い、動的光散乱法により求めた。粒子径算出に用いる樹脂の屈折率は1.50とした。
(1)めっき液中のポリオレフィン共重合体の数平均粒子径
水性分散体の数平均粒子径(nm)をマイクロトラック粒度分布計(日機装株式会社製、「UPA150、MODEL No.9340」)を用い、動的光散乱法により求めた。粒子径算出に用いる樹脂の屈折率は1.50とした。
4、めっき物の特性
(1)めっき膜の厚み
各実施例および比較例で得られためっき物のカット断面を電子顕微鏡(SEM)で観察し、めっき膜の厚みを測定した。
(1)めっき膜の厚み
各実施例および比較例で得られためっき物のカット断面を電子顕微鏡(SEM)で観察し、めっき膜の厚みを測定した。
(2)めっき膜中のポリオレフィン樹脂粒子の分散性
実施例および比較例で得られためっき物のカット断面を電子顕微鏡(SEM)で観察し、めっき膜中のポリオレフィン樹脂粒子の分散性を下記基準で評価した。
◎:粒子の凝集や不均一な分布がない状態で、めっき膜中に分散している。
○:粒子の凝集はないがやや分布がある状態で、めっき膜中に分散している。
△:粒子の凝集が一部確認されやや分布がある状態で、めっき膜中に分散している。
×:粒子の凝集が確認され分布も不均一な状態であり、めっき膜中に分散していない。
実施例および比較例で得られためっき物のカット断面を電子顕微鏡(SEM)で観察し、めっき膜中のポリオレフィン樹脂粒子の分散性を下記基準で評価した。
◎:粒子の凝集や不均一な分布がない状態で、めっき膜中に分散している。
○:粒子の凝集はないがやや分布がある状態で、めっき膜中に分散している。
△:粒子の凝集が一部確認されやや分布がある状態で、めっき膜中に分散している。
×:粒子の凝集が確認され分布も不均一な状態であり、めっき膜中に分散していない。
(3)ポリオレフィン樹脂粒子とめっき膜との密着性
実施例および比較例で得られためっき物の表面(めっき膜の表面)に、セロハンテープ(ニチバン社製 TF−12)を貼り付け、テープを一気に剥がした。めっき物表面の同一箇所でこの作業を100回繰り返した後、めっき物表面をアセトンでふき取った後で、表面の状態を、電子顕微鏡(SEM)で観察し下記基準で評価した。
○:表面に粒子が確認でき、粒子が脱落した形跡は確認できない。
△:表面に粒子が確認できるが粒子が脱落した形跡(穴)も確認でき、粒子が脱落した形跡の数より粒子の数の方が多く確認できる。
×:表面に粒子が確認できるが粒子が脱落した形跡(穴)も確認でき、粒子の数より粒子が脱落した形跡の数の方が多く確認できる。
実施例および比較例で得られためっき物の表面(めっき膜の表面)に、セロハンテープ(ニチバン社製 TF−12)を貼り付け、テープを一気に剥がした。めっき物表面の同一箇所でこの作業を100回繰り返した後、めっき物表面をアセトンでふき取った後で、表面の状態を、電子顕微鏡(SEM)で観察し下記基準で評価した。
○:表面に粒子が確認でき、粒子が脱落した形跡は確認できない。
△:表面に粒子が確認できるが粒子が脱落した形跡(穴)も確認でき、粒子が脱落した形跡の数より粒子の数の方が多く確認できる。
×:表面に粒子が確認できるが粒子が脱落した形跡(穴)も確認でき、粒子の数より粒子が脱落した形跡の数の方が多く確認できる。
(4)防錆性
実施例および比較例で得られためっき物を、35℃の5質量%塩化ナトリウム水溶液による塩水噴霧試験(JIS Z−2371)を100時間行い、試験後のめっき物表面における発錆の程度を観察し、下記基準で評価した。
○:発錆なし
△:錆は確認できないが、微かな変色がある。
×:錆が確認でき、明らかな変色がある。
実施例および比較例で得られためっき物を、35℃の5質量%塩化ナトリウム水溶液による塩水噴霧試験(JIS Z−2371)を100時間行い、試験後のめっき物表面における発錆の程度を観察し、下記基準で評価した。
○:発錆なし
△:錆は確認できないが、微かな変色がある。
×:錆が確認でき、明らかな変色がある。
(5)曲げに対する安定性1(外観)
実施例および比較例で得られためっき物を、曲げを100回繰り返し、曲げ部分のめっき膜の外観を観察し、下記基準で評価した。
◎:変化なし
○:薄い白化が一部に確認できる。
△:薄い白化が全面に確認できる。
×:明らかな白化が全面に確認できる。
実施例および比較例で得られためっき物を、曲げを100回繰り返し、曲げ部分のめっき膜の外観を観察し、下記基準で評価した。
◎:変化なし
○:薄い白化が一部に確認できる。
△:薄い白化が全面に確認できる。
×:明らかな白化が全面に確認できる。
(6)曲げに対する安定性2(防錆性能の保持性)
実施例および比較例で得られためっき物を、曲げを100回繰り返し、そのめっき物を(4)防錆性と同様の試験と評価をした。
実施例および比較例で得られためっき物を、曲げを100回繰り返し、そのめっき物を(4)防錆性と同様の試験と評価をした。
原料に用いた無水物含有共重合体について、以下に示す。
HX8290:アルケマ社製、「ボンダインHX8290」
UM1001:三洋化成社製、「ユーメックス1001」
原料に用いた樹脂の特性を、表1にまとめて示す。
HX8290:アルケマ社製、「ボンダインHX8290」
UM1001:三洋化成社製、「ユーメックス1001」
原料に用いた樹脂の特性を、表1にまとめて示す。
<アミノ基含有ポリオレフィン樹脂水性分散体の製造>
エチレン−アクリル酸エチル共重合体を、特開昭60−79008号広報に記載された方法を参考に、加水分解処理および、熱減成処理によってエチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体を製造した。このポリオレフィン共重合体を「PO1」とした。「P9」の特性を表1に示した。
エチレン−アクリル酸エチル共重合体を、特開昭60−79008号広報に記載された方法を参考に、加水分解処理および、熱減成処理によってエチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体を製造した。このポリオレフィン共重合体を「PO1」とした。「P9」の特性を表1に示した。
<ポリオレフィン樹脂水性分散体の製造>
製造例1
温度計、撹拌機、液注器、ジムロートを備えた1リットルのセパラブルフラスコに、無水物含有共重合体(原料樹脂)として「HX8290」を250g、トルエンを500g仕込み、撹拌機を100prmで回転させた状態で、フラスコを170℃のオイルバスに投入した。数分後トルエンの沸騰が確認されたが、発生した蒸気はジムロートを介してフラスコ内に還流させた。さらに数分後、「HX8290」が完全に溶解したのを確認した後、アミノ化合物としてN,N−ジメチルアミノプロピルアミン〔H2N−(CH2)3−N(CH3)2〕(以下、DMAPAとする)を、「HX8290」のカルボン酸無水物単位のモル数に対して1.3倍当量モル添加した。添加後のフラスコ内の温度は117℃であり、この状態を保持しイミド化反応を行った。30分後にジムロートの取り付け方向を換えて、さらに徐々に減圧し、フラスコ内のトルエンと未反応アミノ化合物を留去により除去した。フラスコ内からトルエンと未反応アミノ化合物の蒸気が発生しなくなるのを確認して、さらに10分間4kPa(abs)の減圧を保持したところで放圧し、撹拌機を止め、フラスコをオイルバスから取り出し、フラスコ内のポリオレフィン共重合体を得た。得られたポリオレフィン共重合体はポリオレフィン共重合体Aであり、以下<A−1>と称す。以上は、ポリオレフィン樹脂の製造工程である。
以下は水性分散体の製造工程である。撹拌機及びヒーターを備えた密閉できる1リットルの耐圧ガラス容器に、<A−1>を140g(20質量%)、樹脂中和剤としてギ酸をポリオレフィン共重合体中の式(I)で表される置換基のモル数に対して2.0倍当量モル、有機溶媒としてn−プロパノールを245g(35質量%)、さらに原料の総量が700gとなるように蒸留水を仕込んだ。次いで、容器を密閉し、撹拌翼の回転速度を400rpmとして撹拌混合した。撹拌によって容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでヒーターの電源を入れ、容器内温度を130℃にし、さらに120分間撹拌した。その後、ヒーターの電源を切り攪拌したまま冷却した。内温が40℃以下になったところで攪拌を停止し、ガラス容器内の内容物を300メッシュのステンレス製フィルターでろ過し、水性分散体を得た(ろ過後ステンレス製フィルター上に未分散成分は確認できなかった)。得られた水性分散体の種類は、正(プラス)の電荷を帯びたカチオン性ポリオレフィン樹脂の水性分散体であり、以下この水性分散体を<E−1>と称す。
製造例1
温度計、撹拌機、液注器、ジムロートを備えた1リットルのセパラブルフラスコに、無水物含有共重合体(原料樹脂)として「HX8290」を250g、トルエンを500g仕込み、撹拌機を100prmで回転させた状態で、フラスコを170℃のオイルバスに投入した。数分後トルエンの沸騰が確認されたが、発生した蒸気はジムロートを介してフラスコ内に還流させた。さらに数分後、「HX8290」が完全に溶解したのを確認した後、アミノ化合物としてN,N−ジメチルアミノプロピルアミン〔H2N−(CH2)3−N(CH3)2〕(以下、DMAPAとする)を、「HX8290」のカルボン酸無水物単位のモル数に対して1.3倍当量モル添加した。添加後のフラスコ内の温度は117℃であり、この状態を保持しイミド化反応を行った。30分後にジムロートの取り付け方向を換えて、さらに徐々に減圧し、フラスコ内のトルエンと未反応アミノ化合物を留去により除去した。フラスコ内からトルエンと未反応アミノ化合物の蒸気が発生しなくなるのを確認して、さらに10分間4kPa(abs)の減圧を保持したところで放圧し、撹拌機を止め、フラスコをオイルバスから取り出し、フラスコ内のポリオレフィン共重合体を得た。得られたポリオレフィン共重合体はポリオレフィン共重合体Aであり、以下<A−1>と称す。以上は、ポリオレフィン樹脂の製造工程である。
以下は水性分散体の製造工程である。撹拌機及びヒーターを備えた密閉できる1リットルの耐圧ガラス容器に、<A−1>を140g(20質量%)、樹脂中和剤としてギ酸をポリオレフィン共重合体中の式(I)で表される置換基のモル数に対して2.0倍当量モル、有機溶媒としてn−プロパノールを245g(35質量%)、さらに原料の総量が700gとなるように蒸留水を仕込んだ。次いで、容器を密閉し、撹拌翼の回転速度を400rpmとして撹拌混合した。撹拌によって容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでヒーターの電源を入れ、容器内温度を130℃にし、さらに120分間撹拌した。その後、ヒーターの電源を切り攪拌したまま冷却した。内温が40℃以下になったところで攪拌を停止し、ガラス容器内の内容物を300メッシュのステンレス製フィルターでろ過し、水性分散体を得た(ろ過後ステンレス製フィルター上に未分散成分は確認できなかった)。得られた水性分散体の種類は、正(プラス)の電荷を帯びたカチオン性ポリオレフィン樹脂の水性分散体であり、以下この水性分散体を<E−1>と称す。
製造例2
無水物含有共重合体(原料樹脂)の種類をHX8290からUM1001に変更した以外は、製造例1のポリオレフィン樹脂の製造工程と同様の操作を行って、ポリオレフィン共重合体Aを得た。得られたポリオレフィン共重合体Aを<A−2>と称す。
次いで、原料樹脂として<A−1>から<A−2>に変更した以外は、製造例1の水性分散体の製造工程と同様の操作を行って、水性分散体を得た(ろ過後ステンレス製フィルター上に未分散成分は確認できなかった)。得られた水性分散体の種類は、正(プラス)の電荷を帯びたカチオン性ポリオレフィン樹脂の水性分散体であり、以下この水性分散体を<E−2>と称す。
無水物含有共重合体(原料樹脂)の種類をHX8290からUM1001に変更した以外は、製造例1のポリオレフィン樹脂の製造工程と同様の操作を行って、ポリオレフィン共重合体Aを得た。得られたポリオレフィン共重合体Aを<A−2>と称す。
次いで、原料樹脂として<A−1>から<A−2>に変更した以外は、製造例1の水性分散体の製造工程と同様の操作を行って、水性分散体を得た(ろ過後ステンレス製フィルター上に未分散成分は確認できなかった)。得られた水性分散体の種類は、正(プラス)の電荷を帯びたカチオン性ポリオレフィン樹脂の水性分散体であり、以下この水性分散体を<E−2>と称す。
製造例3
撹拌機及びヒーターを備えた密閉できる1リットルの耐圧ガラス容器に、製造例1で得た<A−1>を140g(20質量%)、樹脂中和剤としてギ酸をポリオレフィン共重合体中の式(I)で表される置換基のモル数に対して1.0倍当量モル、界面活性剤として三洋化成社製「レボンTM−16」(四級アンモニウム塩型、有効成分30質量%、塩化セチルトリメチルアンモニウム、以下、「TM−16」と称す。)を14g、有機溶媒としてn−プロパノールを245g(35質量%)、さらに原料の総量が700gとなるように蒸留水を仕込んだ。次いで、容器を密閉し、撹拌翼の回転速度を400rpmとして撹拌混合した。撹拌によって容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでヒーターの電源を入れ、容器内温度を130℃にし、さらに120分間撹拌した。その後、ヒーターの電源を切り攪拌したまま冷却した。内温が40℃以下になったところで攪拌を停止し、ガラス容器内の内容物を300メッシュのステンレス製フィルターでろ過し、水性分散体を得た(ろ過後ステンレス製フィルター上に未分散成分は確認できなかった)。得られた水性分散体の種類は、正(プラス)の電荷を帯びたカチオン性ポリオレフィン樹脂の水性分散体であり、以下この水性分散体を<E−3>と称す。
撹拌機及びヒーターを備えた密閉できる1リットルの耐圧ガラス容器に、製造例1で得た<A−1>を140g(20質量%)、樹脂中和剤としてギ酸をポリオレフィン共重合体中の式(I)で表される置換基のモル数に対して1.0倍当量モル、界面活性剤として三洋化成社製「レボンTM−16」(四級アンモニウム塩型、有効成分30質量%、塩化セチルトリメチルアンモニウム、以下、「TM−16」と称す。)を14g、有機溶媒としてn−プロパノールを245g(35質量%)、さらに原料の総量が700gとなるように蒸留水を仕込んだ。次いで、容器を密閉し、撹拌翼の回転速度を400rpmとして撹拌混合した。撹拌によって容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでヒーターの電源を入れ、容器内温度を130℃にし、さらに120分間撹拌した。その後、ヒーターの電源を切り攪拌したまま冷却した。内温が40℃以下になったところで攪拌を停止し、ガラス容器内の内容物を300メッシュのステンレス製フィルターでろ過し、水性分散体を得た(ろ過後ステンレス製フィルター上に未分散成分は確認できなかった)。得られた水性分散体の種類は、正(プラス)の電荷を帯びたカチオン性ポリオレフィン樹脂の水性分散体であり、以下この水性分散体を<E−3>と称す。
製造例4
撹拌機及びヒーターを備えた、密閉できる1リットルの耐圧ガラス容器に、原料樹脂として無水物含有共重合体「HX−8290」を140g(20質量%)、中和剤としてトリエチルアミンを「HX−8290」の無水マレイン酸単位のモル数に対して2.0倍当量モル、水性媒体中の有機溶媒としてn−プロパノールを140g(20質量%)、さらに原料の総量が700gとなるように蒸留水を仕込み、容器を密閉し、撹拌翼の回転速度を400rpmとして撹拌混合した。撹拌によって容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでヒーターの電源を入れ、容器内温度を130℃にし、さらに120分間撹拌した。その後、ヒーターの電源を切り攪拌したまま冷却した。内温が40℃以下になったところで攪拌を停止し、ガラス容器内の内容物を300メッシュのステンレス製フィルターでろ過し、水性分散体を得た(ろ過後ステンレス製フィルター上に未分散成分は確認できなかった)。得られた水性分散体の種類は、負(マイナス)の電荷を帯びたアニオン性ポリオレフィン共重合体の水性分散体であり、以下この水性分散体を<E−4>と称す。
撹拌機及びヒーターを備えた、密閉できる1リットルの耐圧ガラス容器に、原料樹脂として無水物含有共重合体「HX−8290」を140g(20質量%)、中和剤としてトリエチルアミンを「HX−8290」の無水マレイン酸単位のモル数に対して2.0倍当量モル、水性媒体中の有機溶媒としてn−プロパノールを140g(20質量%)、さらに原料の総量が700gとなるように蒸留水を仕込み、容器を密閉し、撹拌翼の回転速度を400rpmとして撹拌混合した。撹拌によって容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでヒーターの電源を入れ、容器内温度を130℃にし、さらに120分間撹拌した。その後、ヒーターの電源を切り攪拌したまま冷却した。内温が40℃以下になったところで攪拌を停止し、ガラス容器内の内容物を300メッシュのステンレス製フィルターでろ過し、水性分散体を得た(ろ過後ステンレス製フィルター上に未分散成分は確認できなかった)。得られた水性分散体の種類は、負(マイナス)の電荷を帯びたアニオン性ポリオレフィン共重合体の水性分散体であり、以下この水性分散体を<E−4>と称す。
製造例5
温度計、撹拌機、ジムロートを備えた1リットルのセパラブルフラスコに、「PO1」を150g、触媒としてパラトルエンスルホン酸を1g、キシレンを400g、さらにアミノ化合物としてDMAPAを40g仕込み、撹拌機を100prmで回転させた状態で、フラスコを170℃のオイルバスに投入した。10分後にはフラスコ内の「PO1」は完全に溶解しており、フラスコ内の温度は145℃であった。この状態を保持し、17時間後にジムロートの取り付け方向を換えて、さらに徐々に減圧し、フラスコ内のキシレンと未反応アミノ化合物を留去により除去した。フラスコ内からキシレンと未反応アミノ化合物の蒸気が発生しなくなるのを確認して、さらに10分間4kPa(abs)の減圧を保持したところで、放圧し撹拌機を止め、フラスコをオイルバスから取り出し、フラスコ内のアミノ基含有ポリオレフィン樹脂を得た(ポリオレフィン共重合体AまたはBの構造を有さない)。得られた、アミノ基含有ポリオレフィン樹脂を「A−3」とした。「A−3」の特性を表2に示した。以上は、ポリオレフィン樹脂の製造工程である。
次いで、原料樹脂として<A−1>から<A−3>に変更した以外は、製造例1の水性分散体の製造工程と同様の操作を行って、水性分散体を得た(ろ過後ステンレス製フィルター上に未分散成分は確認できなかった)。得られた水性分散体の種類は、正(プラス)の電荷を帯びたカチオン性ポリオレフィン樹脂の水性分散体であり、以下この水性分散体を<E−5>と称す。
温度計、撹拌機、ジムロートを備えた1リットルのセパラブルフラスコに、「PO1」を150g、触媒としてパラトルエンスルホン酸を1g、キシレンを400g、さらにアミノ化合物としてDMAPAを40g仕込み、撹拌機を100prmで回転させた状態で、フラスコを170℃のオイルバスに投入した。10分後にはフラスコ内の「PO1」は完全に溶解しており、フラスコ内の温度は145℃であった。この状態を保持し、17時間後にジムロートの取り付け方向を換えて、さらに徐々に減圧し、フラスコ内のキシレンと未反応アミノ化合物を留去により除去した。フラスコ内からキシレンと未反応アミノ化合物の蒸気が発生しなくなるのを確認して、さらに10分間4kPa(abs)の減圧を保持したところで、放圧し撹拌機を止め、フラスコをオイルバスから取り出し、フラスコ内のアミノ基含有ポリオレフィン樹脂を得た(ポリオレフィン共重合体AまたはBの構造を有さない)。得られた、アミノ基含有ポリオレフィン樹脂を「A−3」とした。「A−3」の特性を表2に示した。以上は、ポリオレフィン樹脂の製造工程である。
次いで、原料樹脂として<A−1>から<A−3>に変更した以外は、製造例1の水性分散体の製造工程と同様の操作を行って、水性分散体を得た(ろ過後ステンレス製フィルター上に未分散成分は確認できなかった)。得られた水性分散体の種類は、正(プラス)の電荷を帯びたカチオン性ポリオレフィン樹脂の水性分散体であり、以下この水性分散体を<E−5>と称す。
製造例1、2、5で得られたポリオレフィン共重合体<A−1>〜<A−3>の特性を表2に、ポリオレフィン樹脂の水性分散体<E−1>〜<E−5>の特性を表3に示す。
実施例1
金属供給源として塩化亜鉛を30gおよび、ポリオレフィン樹脂水性分散体として<E−1>を500g、界面活性剤として「TM−16」を10g、塩化アンモニウムを180g用い、これらを水と混合し、水で1Lにメスアップした。これを2時間撹拌し、目視で固形物なないことを確認して複合めっき用めっき液を得た。本めっき液1L中の亜鉛イオン含有量は0.22モルであり、ポリオレフィン樹脂含有量は10質量%であり、界面活性剤成分含有量は0.3質量%である。以上が、めっき液製造工程である。
以下はめっき物製造工程である。板厚0.8mmの冷間圧延鋼板(SPCC)を被めっき材料とし、複合めっき用めっき液浴温35℃,電流密度2A/dm2で30分間めっきを行った。こうして複合めっき物を得た。得られた複合めっき物のめっき膜の厚みは10μmであった。
金属供給源として塩化亜鉛を30gおよび、ポリオレフィン樹脂水性分散体として<E−1>を500g、界面活性剤として「TM−16」を10g、塩化アンモニウムを180g用い、これらを水と混合し、水で1Lにメスアップした。これを2時間撹拌し、目視で固形物なないことを確認して複合めっき用めっき液を得た。本めっき液1L中の亜鉛イオン含有量は0.22モルであり、ポリオレフィン樹脂含有量は10質量%であり、界面活性剤成分含有量は0.3質量%である。以上が、めっき液製造工程である。
以下はめっき物製造工程である。板厚0.8mmの冷間圧延鋼板(SPCC)を被めっき材料とし、複合めっき用めっき液浴温35℃,電流密度2A/dm2で30分間めっきを行った。こうして複合めっき物を得た。得られた複合めっき物のめっき膜の厚みは10μmであった。
実施例2
ポリオレフィン樹脂水性分散体として<E−1>から<E−2>に変更した以外は、実施例1のめっき液製造工と同様の操作を行って複合めっき用めっき液を得た。本めっき液1L中の亜鉛イオン含有量は0.22モルであり、ポリオレフィン樹脂含有量は10質量%であり、界面活性剤成分含有量は0.3質量%である。
次いで実施例1のめっき物製造工程と同様の操作を行って複合めっき物を得た。得られた複合めっき物のめっき膜の厚みは10μmであった。
ポリオレフィン樹脂水性分散体として<E−1>から<E−2>に変更した以外は、実施例1のめっき液製造工と同様の操作を行って複合めっき用めっき液を得た。本めっき液1L中の亜鉛イオン含有量は0.22モルであり、ポリオレフィン樹脂含有量は10質量%であり、界面活性剤成分含有量は0.3質量%である。
次いで実施例1のめっき物製造工程と同様の操作を行って複合めっき物を得た。得られた複合めっき物のめっき膜の厚みは10μmであった。
実施例3
金属供給源として塩化亜鉛を30gおよび、ポリオレフィン樹脂水性分散体として<E−3>を500g、塩化アンモニウムを180g用い、これらを水と混合し、水で1Lにメスアップした。これを2時間撹拌し、目視で固形物なないことを確認して複合めっき用めっき液を得た。本めっき液1L中の亜鉛イオン含有量は0.22モルであり、ポリオレフィン樹脂含有量は10質量%であり、界面活性剤成分含有量は0.3質量%である。
次いで、実施例1のめっき物製造工程と同様の操作を行って複合めっき物を得た。得られた複合めっき物のめっき膜の厚みは10μmであった。
金属供給源として塩化亜鉛を30gおよび、ポリオレフィン樹脂水性分散体として<E−3>を500g、塩化アンモニウムを180g用い、これらを水と混合し、水で1Lにメスアップした。これを2時間撹拌し、目視で固形物なないことを確認して複合めっき用めっき液を得た。本めっき液1L中の亜鉛イオン含有量は0.22モルであり、ポリオレフィン樹脂含有量は10質量%であり、界面活性剤成分含有量は0.3質量%である。
次いで、実施例1のめっき物製造工程と同様の操作を行って複合めっき物を得た。得られた複合めっき物のめっき膜の厚みは10μmであった。
実施例4
界面活性剤として「TM−16」から花王社製「ファーミンDM2098」(アルキルアミン塩型、有効成分98質量%、ジメチルラウリルアミン、以下、「DM2098」と称す。)に変更し、「DM2098」の使用量を3.06gとした以外は、実施例1のめっき液製造工程と同様の操作を行って複合めっき用めっき液を得た。本めっき液1L中の亜鉛イオン含有量は0.22モルであり、ポリオレフィン樹脂含有量は10質量%であり、界面活性剤成分含有量は0.3質量%である。なお、めっき液中の「DM2098」は、ポリオレフィン樹脂水性分散体の含有するギ酸によって、ジメチルラウリルアミンのギ酸塩として存在する。
次いで、実施例1のめっき物製造工程と同様の操作を行って複合めっき物を得た。得られた複合めっき物のめっき膜の厚みは10μmであった。
界面活性剤として「TM−16」から花王社製「ファーミンDM2098」(アルキルアミン塩型、有効成分98質量%、ジメチルラウリルアミン、以下、「DM2098」と称す。)に変更し、「DM2098」の使用量を3.06gとした以外は、実施例1のめっき液製造工程と同様の操作を行って複合めっき用めっき液を得た。本めっき液1L中の亜鉛イオン含有量は0.22モルであり、ポリオレフィン樹脂含有量は10質量%であり、界面活性剤成分含有量は0.3質量%である。なお、めっき液中の「DM2098」は、ポリオレフィン樹脂水性分散体の含有するギ酸によって、ジメチルラウリルアミンのギ酸塩として存在する。
次いで、実施例1のめっき物製造工程と同様の操作を行って複合めっき物を得た。得られた複合めっき物のめっき膜の厚みは10μmであった。
実施例5
界面活性剤として「TM−16」から花王社製「アンヒトール20BS」(ベタイン型、有効成分30質量%、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、以下、「20BS」と称す。)に変更した以外は、実施例1のめっき液製造工程と同様の操作を行って複合めっき用めっき液を得た。本めっき液1L中の亜鉛イオン含有量は0.22モルであり、ポリオレフィン樹脂含有量は10質量%であり、界面活性剤成分含有量は0.3質量%である。
次いで、実施例1のめっき物製造工程と同様の操作を行って複合めっき物を得た。得られた複合めっき物のめっき膜の厚みは10μmであった。
界面活性剤として「TM−16」から花王社製「アンヒトール20BS」(ベタイン型、有効成分30質量%、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、以下、「20BS」と称す。)に変更した以外は、実施例1のめっき液製造工程と同様の操作を行って複合めっき用めっき液を得た。本めっき液1L中の亜鉛イオン含有量は0.22モルであり、ポリオレフィン樹脂含有量は10質量%であり、界面活性剤成分含有量は0.3質量%である。
次いで、実施例1のめっき物製造工程と同様の操作を行って複合めっき物を得た。得られた複合めっき物のめっき膜の厚みは10μmであった。
実施例6
界面活性剤として「TM−16」から三洋化成社製「カチオンG−50」(ベンザル型、有効成分51質量%、塩化ベンザルコニウム、以下、「G−50」と称す。)に変更し、「G−50」の使用量を5.88gとした以外は、実施例1のめっき液製造工程と同様の操作を行って複合めっき用めっき液を得た。本めっき液1L中の亜鉛イオン含有量は0.22モルであり、ポリオレフィン樹脂含有量は10質量%であり、界面活性剤成分含有量は0.3質量%である。
次いで、実施例1のめっき物製造工程と同様の操作を行って複合めっき物を得た。得られた複合めっき物のめっき膜の厚みは10μmであった。
界面活性剤として「TM−16」から三洋化成社製「カチオンG−50」(ベンザル型、有効成分51質量%、塩化ベンザルコニウム、以下、「G−50」と称す。)に変更し、「G−50」の使用量を5.88gとした以外は、実施例1のめっき液製造工程と同様の操作を行って複合めっき用めっき液を得た。本めっき液1L中の亜鉛イオン含有量は0.22モルであり、ポリオレフィン樹脂含有量は10質量%であり、界面活性剤成分含有量は0.3質量%である。
次いで、実施例1のめっき物製造工程と同様の操作を行って複合めっき物を得た。得られた複合めっき物のめっき膜の厚みは10μmであった。
実施例7
界面活性剤を用いなかった以外は、実施例1のめっき液製造工程と同様の操作を行って複合めっき用めっき液を得た。本めっき液1L中の亜鉛イオン含有量は0.22モルであり、ポリオレフィン樹脂含有量は10質量%であり、界面活性剤成分含有量は0質量%である。
次いで、実施例1のめっき物製造工程と同様の操作を行って複合めっき物を得た。得られた複合めっき物のめっき膜の厚みは10μmであった。
界面活性剤を用いなかった以外は、実施例1のめっき液製造工程と同様の操作を行って複合めっき用めっき液を得た。本めっき液1L中の亜鉛イオン含有量は0.22モルであり、ポリオレフィン樹脂含有量は10質量%であり、界面活性剤成分含有量は0質量%である。
次いで、実施例1のめっき物製造工程と同様の操作を行って複合めっき物を得た。得られた複合めっき物のめっき膜の厚みは10μmであった。
実施例8
ポリオレフィン樹脂水性分散体として<E−1>から<E−5>に変更した以外は、実施例1のめっき液製造工と同様の操作を行って複合めっき用めっき液を得た。本めっき液1L中の亜鉛イオン含有量は0.22モルであり、ポリオレフィン樹脂含有量は10質量%であり、界面活性剤成分含有量は0.3質量%である。
次いで実施例1のめっき物製造工程と同様の操作を行って複合めっき物を得た。得られた複合めっき物のめっき膜の厚みは10μmであった。
ポリオレフィン樹脂水性分散体として<E−1>から<E−5>に変更した以外は、実施例1のめっき液製造工と同様の操作を行って複合めっき用めっき液を得た。本めっき液1L中の亜鉛イオン含有量は0.22モルであり、ポリオレフィン樹脂含有量は10質量%であり、界面活性剤成分含有量は0.3質量%である。
次いで実施例1のめっき物製造工程と同様の操作を行って複合めっき物を得た。得られた複合めっき物のめっき膜の厚みは10μmであった。
比較例1
ポリオレフィン樹脂水性分散体として<E−1>から、フッ素樹脂水性分散体としてダイキン工業社製「ポリフロンPTFE D−210C」(ポリテトラフルオロエチレンのノニオン性水性分散体、樹脂成分濃度60質量%。数平均粒子径220μm、以下、「D−210C」と称す。)に変更し、「D−210C」の使用量を160gとした以外は、実施例1のめっき液製造工と同様の操作を行って複合めっき用めっき液を得た。本めっき液1L中の亜鉛イオン含有量は0.22モルであり、ポリテトラフルオロエチレン含有量は10質量%であり(ポリオレフィン樹脂含有量は0質量%)、界面活性剤成分含有量は0.3質量%である。
次いで実施例1のめっき物製造工程と同様の操作を行って複合めっき物を得た。得られた複合めっき物のめっき膜の厚みは10μmであった。
ポリオレフィン樹脂水性分散体として<E−1>から、フッ素樹脂水性分散体としてダイキン工業社製「ポリフロンPTFE D−210C」(ポリテトラフルオロエチレンのノニオン性水性分散体、樹脂成分濃度60質量%。数平均粒子径220μm、以下、「D−210C」と称す。)に変更し、「D−210C」の使用量を160gとした以外は、実施例1のめっき液製造工と同様の操作を行って複合めっき用めっき液を得た。本めっき液1L中の亜鉛イオン含有量は0.22モルであり、ポリテトラフルオロエチレン含有量は10質量%であり(ポリオレフィン樹脂含有量は0質量%)、界面活性剤成分含有量は0.3質量%である。
次いで実施例1のめっき物製造工程と同様の操作を行って複合めっき物を得た。得られた複合めっき物のめっき膜の厚みは10μmであった。
比較例2
ポリオレフィン樹脂水性分散体として<E−1>から<E−4>に変更した以外は、実施例1のめっき液製造工と同様の操作を行ったところ、ポリオレフィン樹脂粒子がめっき液中に分散せず、凝集沈殿した。よって、複合めっきに供するに至らなかった。
ポリオレフィン樹脂水性分散体として<E−1>から<E−4>に変更した以外は、実施例1のめっき液製造工と同様の操作を行ったところ、ポリオレフィン樹脂粒子がめっき液中に分散せず、凝集沈殿した。よって、複合めっきに供するに至らなかった。
実施例、比較例で得られた、めっき液とめっき物を用いて各種評価をした。評価結果を表4に示す。
実施例1〜8の結果から、分子中にアミノ基を有するポリオレフィン樹脂粒子および、金属イオン、媒体を含有することを特徴とする複合めっき用めっき液より得られためっき物は、ポリオレフィン樹脂粒子の分散性と密着性、防錆性、めっき膜の安定性に優れることが確認された。他方、比較例1では、樹脂粒子の密着性やめっき膜の安定性に劣った。比較例2では、複合めっき用めっき液を得ることができなかった。
Claims (12)
- 分子中にアミノ基を有するポリオレフィン樹脂粒子、金属イオン、および媒体を含有することを特徴とする複合めっき用めっき液。
- 分子中にアミノ基を有するポリオレフィン樹脂が、オレフィン系炭化水素単位と不飽和カルボン酸無水物単位由来のN−置換イミド単位とを有し、不飽和カルボン酸無水物単位由来のN−置換イミド単位の含有量が0.1モル%以上10モル%未満であり、かつ、不飽和カルボン酸無水物単位由来のN−置換イミド単位のN−置換基が下記一般式(I)で表されるポリオレフィン共重合体Aおよび下記一般式(II)で表されるポリオレフィン共重合体Bの少なくとも一方であることを特徴とする請求項1記載の複合めっき用めっき液。
−(CH2)nNR1R2 (I)
(一般式(I)中、R1、R2は炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基、またはH、nは1〜5の整数を示す。)
−(CH2)nN+R3R4R5・X− (II)
(一般式(II)中、R3、R4は炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基、またはH、R5は四級化反応により導入された四級化剤の残基、X−はアニオン性対イオン、nは1〜5の整数を示す。) - 分子中にアミノ基を有するポリオレフィン樹脂粒子の数平均粒子径が1〜1000nmの範囲であることを特徴とする請求項1または2記載の複合めっき用めっき液。
- さらに、界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の複合めっき用めっき液。
- 界面活性剤が四級アンモニウム塩型、アルキルアミン塩型、ベタイン型から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の複合めっき用めっき液。
- 金属イオンが亜鉛イオンであることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の複合めっき用めっき液。
- 媒体が水性媒体であることを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載の複合めっき用めっき液。
- 電解複合めっきに用いることを特徴とする請求項1〜7いずれかに記載の複合めっき用めっき液。
- さらに還元剤を含有し、無電解複合めっきに用いることを特徴とする請求項1〜7いずれかに記載の複合めっき用めっき液。
- 請求項1〜9いずれかに記載の複合めっき用めっき液を用いて得られる複合めっき物。
- ポリオレフィン共重合体A、Bの少なくとも一方のポリオレフィン共重合体が、水性媒体中に分散した水性分散体であることを特徴とする複合めっき用ポリオレフィン樹脂水性分散体。
- ポリオレフィン共重合体の分散粒子の数平均粒子径が1〜1000nmの範囲であることを特徴とする請求項11記載の複合めっき用ポリオレフィン樹脂水性分散体。
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- 2017-11-10 JP JP2017217434A patent/JP2019090063A/ja active Pending
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