JP2019090034A - 塗装金属板用塗料 - Google Patents

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Abstract

【課題】保存安定性が高く、加熱装置を汚染することが少なく、さらに表面に雨筋汚れが生じ難く、かつ耐傷付き性の高い塗装金属板を作製可能である塗装金属板用塗料を提供する。【解決手段】Si原子の総モル数に対して5〜50モル%のシラノール基を含むシリコーンレジンと、バインダ樹脂として、ポリエステル樹脂、またはシリル基を有さないアクリル樹脂を含む、塗装金属板用塗料。前記シリコーンレジンおよび前記バインダ樹脂は、それぞれ有機溶剤に溶解または分散しており、前記シリコーンレジンは、Si原子の総モル数に対して、トリアルコキシシラン由来のSi原子を50〜100モル%含み、金属板に塗布された後、塗膜表面がフレーム処理によって親水化処理される、前記塗装金属板用塗料。【選択図】なし

Description

本発明は、塗装金属板用塗料に関する。
屋外の建造物や土木構造等には、塗装金属板が多く用いられている。このような塗装金属板では、自動車の排気ガス、工場からの煤煙等に含まれるカーボン系汚染物質(以下、「疎水性カーボン」とも称する)の付着による汚れが問題となっている。汚れの中でも特に、雨筋に沿って付着する汚れ(以下、「雨筋汚れ」とも称する)が目立ちやすい。従来の塗装金属板では、このような雨筋汚れが比較的短時間のうちに目立つようになることが避けられず、雨筋汚れが発生し難い塗装金属板が求められていた。
近年、塗膜の対水接触角を60°以下、つまり親水性にすることで、雨筋汚れを防止することが提案されている。対水接触角が低い親水性の塗膜表面では、雨水によって疎水性カーボンが浮き上がりやすく、浮き上がった疎水性カーボンが洗い流されると考えられる。塗装金属板表面を親水化する手法の一つとして、テトラアルコキシシランまたはその縮合物(以下、これらを「オルガノシリケート」とも称する)を含む塗料を金属板表面に塗布する方法が挙げられる(特許文献1)。また、ビニル基含有ポリシロキサン樹脂等を含む塗料を金属板に塗布し、当該塗膜に、コロナ放電処理を施す方法(特許文献2)も提案されている。さらに、ポリエステル樹脂を含む塗料を金属板に塗布し、当該塗膜に200W/m/分以上のコロナ放電処理を施す方法(特許文献3)等も提案されている。さらに、オルガノシリケート等を含む塗料を金属板に塗布し、当該塗膜にフレーム処理や、プラズマ処理、コロナ放電処理等を施すことも提案されている(特許文献4)。
国際公開第1994/6870号 特開平5−59330号公報 特開2000−61391号公報 特開2006−102671号公報
上記特許文献1には、メチルシリケートや、エチルシリケート等、オルガノシリケートを含む塗料を、金属板表面に塗布することが記載されている。当該塗料を金属板表面に塗布すると、オルガノシリケートが表面側に移動する。そして、当該塗料の硬化膜(塗膜)の表面で、オルガノシリケートが空気中の水分等と反応し、塗膜表面にシラノール基やシロキサン結合が生じる。これにより、塗膜表面が親水化すると考えられる。
しかしながら、メチルシリケートは、塗料に含まれる樹脂等との相溶性が高い。そのため、塗料を塗布した際に、メチルシリケートが表面側に移動し難く、塗膜表面の親水性が十分に高まり難い。またこの場合、塗膜表面の硬度も十分に高まり難い。一方、エチルシリケートは、塗料に含まれる樹脂等との相溶性が低い。そのため、塗料を金属板表面に塗布すると、エチルシリケートは表面側に移動しやすい。しかしながら、エチルシリケートは、塗膜表面で加水分解され難く、塗膜表面を親水化するためには時間がかかる。したがって、塗膜が十分に親水化するまでの間に雨筋汚れが発生してしまう。
つまり、いずれのオルガノシリケートによっても、十分に雨筋汚れの発生を抑制することは難しかった。
さらに、上記オルガノシリケート(メチルシリケートやエチルシリケート)を含む塗料では、塗料を硬化させる際に、オルガノシリケートが溶剤と共に蒸発しやすく、加熱装置を汚染しやすい、との課題もあった。
一方、上述の特許文献2〜4の技術によっても、雨筋汚れを十分に防止することが難しかった。例えば、特許文献2の技術では、ポリシロキサン樹脂を含む塗料を金属板表面に塗布した後、コロナ放電処理を行っている。しかしながら、当該塗料の塗膜にコロナ放電処理を行っただけでは、塗膜表面を均一に親水化することが難しかった。ポリシロキサン樹脂を含む塗膜をコロナ放電処理すると、塗膜表面に親水性の領域および疎水性の領域が形成される。そして、疎水性の領域に疎水性カーボンが強固に付着する。一方で、親水性の領域では、雨水によって疎水性カーボンが浮き上がる。しかしながら、浮き上がった疎水性カーボンは、疎水性の領域に付着した疎水性カーボンに引き寄せられ、疎水性の領域を基点に疎水性カーボンが徐々に堆積する。したがって、特許文献2の技術でも、耐雨筋汚れ性の高い塗装金属板を得ることは難しかった。
また、特許文献3では、ポリエステル樹脂等を含む塗料の塗膜表面にコロナ放電処理を行っているが、この場合も、疎水性および親水性の領域が形成され、塗膜表面を均一に親水化することが難しかった。さらに、特許文献4では、エチルシリケートを含む塗料の塗膜にフレーム処理、プラズマ処理、またはコロナ放電処理を施している。上述のように、エチルシリケートを含む塗料では、塗料からなる膜の加熱乾燥時にエチルシリケートが溶剤と共に蒸発しやすく、加熱装置の汚染が生じやすかった。
また、特許文献1や特許文献4に記載の塗料に含まれるオルガノシリケートは水との反応性が高い。そのため、塗料中の水分によって加水分解されやすく、塗料の保存安定性が低い、との課題もあった。
本発明は、このような状況を鑑みてなされたものである。すなわち、本発明は、保存安定性が高く、加熱装置を汚染することが少なく、さらに雨筋汚れが生じ難く、かつ耐傷付き性の高い塗装金属板を作製可能である塗料の提供を目的とする。
本発明は、以下の塗装金属板用塗料に関する。
[1]Si原子の総モル数に対して、5〜50モル%のシラノール基を含む、シリコーンレジンを含む、塗装金属板用塗料。
[2]前記シリコーンレジンは、Si原子の総モル数に対して、トリアルコキシシラン由来のSi原子を50〜100モル%含む、[1]に記載の塗装金属板用塗料。
[3]前記シリコーンレジンは、Si原子に直接結合するアルキル基のモル数に対する、Si原子に直接結合するアリール基のモル数の割合が20〜80%である、[1]または[2]に記載の塗装金属板用塗料。
[4]ポリエステル樹脂またはアクリル樹脂をさらに含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の塗装金属板用塗料。
本発明の塗装金属板用塗料は、保存安定性が高く、さらに加熱装置を汚染することが少ない。またさらに、当該塗装金属板用塗料によれば、表面に雨筋汚れが生じ難く、さらに耐傷付き性の高い塗装金属板を作製することが可能である。
図1Aはフレーム処理用バーナーのバーナーヘッドの側面図であり、図1Bは、当該バーナーヘッドの正面図であり、図1Cは、当該バーナーヘッドの底面図である。 図2Aはフレーム処理用バーナーのバーナーヘッドの側面図であり、図2Bは、当該バーナーヘッドの底面図である。
1.塗料について
本発明の塗装金属板用塗料は、金属板表面に塗布して使用される。なお、当該塗料を金属板表面に塗布した後、当該塗料からなる塗膜表面は、フレーム処理によって、親水化処理される。
前述のように、従来、金属板の表面に、オルガノシリケートを含む塗料を塗布し、雨筋汚れを防止することが試みられている。オルガノシリケートは、金属板表面に塗布されると表面側に移動する。そして、これらが加水分解され、シラノール基やシロキサン結合が生じることで、耐雨筋汚れ性が発現すると考えられる。しかしながら、オルガノシリケートは、塗料の加熱乾燥の際に溶剤と共に蒸発しやすい。そのため、オルガノシリケートを含む塗料を用いると、加熱装置が汚染されやすい、との課題があった。また、オルガノシリケートは反応性が高く、塗料中の水分によって容易に加水分解されて、高分子量化する。したがって、これらを含む塗料は保存安定性が低い、との課題もあった。
これに対し、本発明の塗料は、特定のシリコーンレジンを含む。ここで、本明細書における「シリコーンレジン」とは、アルコキシシランが部分加水分解縮合した化合物であって、三次元状の架橋型構造を主体とするが、ゲル化までには至らず、有機溶剤に可溶なポリマーである。シリコーンレジンが含む三次元状の架橋型構造は特に制限されず、例えば、カゴ状、梯子状、またはランダム状のいずれであってもよい。なお、本明細書において、テトラアルコキシシラン、およびテトラアルコキシシランのみを加水分解縮合させた縮合物(オルガノシリケート)は、シリコーンレジンに含まないものとする。
シリコーンレジンは、三次元状の架橋型構造を含むため、塗料を金属板表面に塗布すると、膜の表面側に移行しやすく、さらには、当該膜の表面に沿って均一に並びやすい。そして、このような塗膜にフレーム処理を行うと、シリコーンレジンが含む有機基(例えば、メチル基やフェニル基等)がムラなく除去されて、塗膜表面にシラノール基やシロキサン結合が導入される。その結果、塗装金属板の表面の親水性が均一に高くなり、耐雨筋汚れ性が非常に良好となる。また、シリコーンレジンが塗膜表面に均一に並ぶことで、塗膜の耐傷付き性も良好になる。
また、本発明の塗料に含まれるシリコーンレジンは、シラノール基をシリコーンレジン中のSi原子の総モル数に対して、5〜50モル%含む。シラノール基量がSi原子の総モル数に対して5〜50モル%であるシリコーンレジンは、反応性が適度であり、塗料に含まれる水分によって過度に縮合し難い。したがって、シリコーンレジンが塗料中で反応し難く、塗料の保存安定性が非常に良好となる。また、シラノール基が、塗料の他の成分と適度に水素結合するため、塗料の塗布後、膜を加熱乾燥させる際に、シリコーンレジンが蒸発し難い。したがって、本発明の塗料は、加熱装置を汚染し難い。
ここで、本発明の塗料には、上記シリコーンレジンが含まれていればよいが、塗料には、樹脂や、各種添加剤等がさらに含まれていてもよい。以下、本発明の塗料に含まれる各成分について、詳しく説明する。
(1)シリコーンレジン
シリコーンレジンは、上述のように、アルコキシシランを部分加水分解縮合させた化合物であり、その分子鎖には通常、下記一般式で表される、トリアルコキシシラン由来のT−1単位〜T−3単位(これらを総称して「T単位」とも称する)のいずれか1つ、または2つ以上が含まれる。
Figure 2019090034
上記一般式において、Rは置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。また、Xは水素原子、または炭化水素基を表す。シリコーンレジンには、上記RやXの種類が異なる複数種類のT単位が含まれていてもよい。
は炭素数1〜12の炭化水素基であることが好ましく、その具体例には、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;シクロヘキシル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等のシクロアルキル基;等が含まれる。これらの中でも特に好ましくは、メチル基およびフェニル基である。
一方、Xは水素原子または炭素数1〜8の炭化水素基であることが好ましく、当該炭化水素基の例には、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;シクロヘキシル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等のシクロアルキル基;等が含まれる。これらの中でも特に好ましくは、メチル基およびエチル基である。
また、シリコーンレジンの分子鎖には、下記一般式で表される、ジアルコキシシラン由来のD−1単位およびD−2単位(これらを総称して「D単位」とも称する)のいずれか一方または両方が含まれていてもよい。
Figure 2019090034
上記一般式において、RおよびRはそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。また、Xは、水素原子、または炭化水素基を表す。なお、シリコーンレジンには、上記RやR、Xの種類が異なる複数種類のD単位が含まれていてもよい。
およびRはそれぞれ、炭素数1〜12の炭化水素基であることが好ましく、その具体例には、上述のT単位のRと同様の基が含まれる。一方、Xは水素原子または炭素数1〜8の炭化水素基であることが好ましく、その具体例には、上述のT単位のXと同様の基が含まれる。
さらに、シリコーンレジンの分子鎖には、下記一般式で表されるテトラアルコキシシラン由来のQ−1単位〜Q−4単位(これらを総称して「Q単位」とも称する)のいずれか1つ、または2つ以上が含まれていてもよい。
Figure 2019090034
上記一般式において、Xは水素原子、または炭化水素基を表す。なお、シリコーンレジンには、上記Xの種類が異なる複数種類のQ単位が含まれていてもよい。
は水素原子または炭素数1〜8の炭化水素基であることが好ましく、その具体例には、上述のT単位のXと同様の基が含まれる。
シリコーンレジンは、上記T単位、D単位、および/またはQ単位が三次元的に結合した構造を有する。前述のように、本発明の塗料に含まれるシリコーンレジン中のシラノール基の量(モル数)は、Si原子の総モル数に対して、5〜50モル%であり、15〜40モル%であることがより好ましい。シラノール基の量がSi原子の総モル数に対して50モル%を超えると、シリコーンレジンの反応性が高くなり、塗料の保存安定性が低くなりやすい。一方、シラノール基の量がSi原子の総モル数に対して5モル%未満であると、シリコーンレジンと塗料中の他の成分(例えば、エポキシ樹脂等)とが水素結合し難くなり、塗料の硬化時に、シリコーンレジンが蒸発しやすくなる。さらに、シラノール基の量が5モル%未満であると、塗料を硬化させたときに、シリコーンレジンが十分に架橋し難く、塗膜の耐傷付き性が十分に高まらないことがある。
これに対し、シリコーンレジン中のシラノール基量が上記範囲であると、前述のように、塗料の保存安定性が高まるだけでなく、塗料からなる膜の硬化時に、シリコーンレジンが蒸発し難くなる。さらには、塗料からなる塗膜の耐傷付き性が良好になる。
シリコーンレジンが含むSiのモル数、およびシリコーンレジンが含むシラノール基の量は、29Si−NMRによる分析、およびH−NMRによる分析により特定することができる。また、シリコーンレジンにおけるシラノール基の量は、T単位、D単位、およびQ単位の仕込み比や、縮合反応の程度によって調整することができる。例えば、トリアルコキシシランを用いてシリコーンレジンを調製する場合、縮合反応時間を長くすること等で、T−3単位が多くなり、シラノール基の量が少なくなる。
また、シリコーンレジンは、シリコーンレジンが含むSi原子の総モル数に対して、トリアルコキシシラン由来のSi原子、すなわちT単位を構成するSi原子を50〜100モル%含むことが好ましく、60〜100モル%含むことがより好ましい。T単位量が50モル%未満である(特にD単位量が50モル%より多くなる)と、シリコーンレジンがミセル構造を形成しやすくなり、塗膜表面にシリコーンレジンが海島状に濃化しやすくなる。その結果、塗膜表面の親水性や硬度を均一に高めることが難しくなり、塗膜の耐傷付き性や耐雨筋汚れ性にムラが生じやすくなる。なお、シリコーンレジンが塗膜表面で海島状に濃化していることは、フレーム処理後の塗膜表面をAFM(原子間力顕微鏡)で分析することで確認することが可能である。例えば、フレーム処理によるエッチング深度は塗膜表面の海部分と島部分で異なる。そこで、塗膜表面の凹凸によって、シリコーンレジンの海島分布を確認することが可能である。
これに対し、T単位量が50モル%以上であると、シリコーンレジンがミセル構造を形成し難くなり、塗膜表面にシリコーンレジンが均一に濃化しやすくなる。その結果、塗料を塗布して得られる塗装金属板の耐雨筋汚れ性が良好になったり、塗膜の耐傷付き性が良好になる。T単位を構成するSi原子の量は、29Si−NMRによる分析によって特定することができる。
また、シリコーンレジンのSi原子に直接結合するアルキル基のモル数に対する、シリコーンレジンのSi原子に直接結合するアリール基のモル数、すなわちアリール基/アルキル基の割合は20〜80%であることが好ましく、30〜70%であることがより好ましい。アリール基のモル比が多いほど、塗料中の他の成分にシリコーンレジンが溶解しやすくなる。ただし、アリール基の割合が過剰になると、塗膜形成時の反応速度が大幅に低下して、十分な架橋密度が得られ難くなることがある。上記アルキル基とアリール基との比は、H−NMRによる分析によって特定することができる。
ここで、シリコーンレジンの重量平均分子量は好ましくは700〜50000であり、より好ましくは1000〜10000である。シリコーンレジンの重量平均分子量が700未満になると、塗料(膜)の硬化時に、シリコーンレジンが蒸発しやすくなり、加熱装置を汚染したり、得られる塗膜表面のシリコーンレジン量が少なくなる。一方、重量平均分子量が50000を超えると、塗料の粘度が高まりやすくなり、保存安定性が低くなる。なお、上記シリコーンレジンの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算量である。
塗料には、その固形分100質量部に対して、シリコーンレジンが1〜10質量部含まれることが好ましく、2〜6質量部含まれることがより好ましい。塗料にシリコーンレジンが当該範囲含まれることで、得られる塗膜表面の親水性を十分に高めることが可能となり、雨筋汚れが生じ難くなる。また、塗膜表面の硬度も高くなる。
上述のシリコーンレジンは、トリアルコキシシラン等を加水分解重合させて調製することができる。具体的には、トリアルコキシシラン等のアルコキシシランやその部分縮合物を水やアルコール等の溶剤に分散させる。そして、当該分散液のpHを好ましくは1〜7、より好ましくは2〜6に調整し、アルコキシシラン等を加水分解させる。その後、加水分解物どうし脱水縮合させることで、シリコーンレジンが得られる。脱水縮合時間等によって、得られるシリコーンレジンの分子量等を調整することができる。加水分解物の縮合は、上記加水分解と連続して行うことが可能であり、加水分解により生成したアルコールや、水を留去することで、縮合反応を促進させることができる。
なお、シリコーンレジンの調製に用いるアルコキシシランは、所望のシリコーンレジンの構造に応じて適宜選択される。トリアルコキシシラン化合物の例には、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリイソプロポキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メチルトリシラノール、フェニルトリシラノール等が含まれる。
ジアルコキシシランの例には、メチルハイドロジェンジメトキシシラン、メチルハイドロジェンジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、メチルプロピルジメトキシシラン、メチルプロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等が含まれる。
さらに、テトラアルコキシシランの例には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラメトキシシラン等が含まれる。
シリコーンレジン調製の際には、上記トリアルコキシシランやジアルコキシシラン、テトラメトキシシランの部分縮合物を原料として用いてもよい。
(2)樹脂
前述のように、塗料には樹脂が含まれていてもよい。ここで、樹脂は、塗料を塗布して得られる塗膜のバインダとなる成分である。当該樹脂の例には、ポリエステル樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、アミノ−ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アミノ−アクリル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂等の高分子化合物が含まれる。これらの中でも、汚れ付着性が低いことから、ポリエステル樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、アミノ−ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アミノ−アクリル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂が好ましく、特に耐候性が高いことから、ポリエステル樹脂またはアクリル樹脂が好ましい。
ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸および多価アルコールを重縮合させた公知の樹脂とすることができる。多価カルボン酸の例には、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類及びこれらの無水物;コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸類及びこれらの無水物;γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン等のラクトン類;トリメリット酸、トリメジン酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸類;等が含まれる。ポリエステル樹脂は、上記多価カルボン酸由来の構造を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
多価アルコールの例には、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−ドデカンジオール、1,2−オクタデカンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAアルキレンオキシド付加物、ビスフェノールSアルキレンオキシド付加物等のグリコール類;トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の3価以上の多価アルコール類等が含まれる。ポリエステル樹脂は、上記多価アルコール由来の構造を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
上記樹脂が、ポリエステル樹脂である場合、GPCで測定される数平均分子量(ポリスチレン換算)は、2,000〜8,000であることが好ましい。数平均分子量が2,000より小さくなると塗装金属板の加工性が低下することがあり、塗膜ワレが発生しやすくなることがある。また、数平均分子量が8,000より大きくなると、得られる塗膜の架橋密度が低くなる。そのため、塗膜の耐候性が低下することがある。加工性と耐候性のバランスから数平均分子量は3,000〜6,000であることが特に好ましい。
一方、アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸エステルをモノマー成分として含む樹脂であればよく、(メタ)アクリル酸エステルと共に、他のモノマー成分を一部に含んでいてもよい。本明細書において(メタ)アクリルとは、アクリルおよび/またはメタクリルをいう。アクリル樹脂を構成するモノマー成分の例には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−、i−、またはt−ブチル、(メタ)アクリル酸へキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロへキシル等の炭素数1〜18のエステル基を有する(メタ)アクリルエステルまたは(メタ)アクリルシクロアルキルエステル;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の炭素数2〜8のヒドロキシアルキルエステル基を有する(メタ)アクリルヒドロキシエステル;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のN−置換(メタ)アクリルアミド系モノマー;スチレン、ビニルトルエン、2−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン等の芳香族ビニルモノマー;(メタ)アクリル酸;グリシジル(メタ)アクリレート等が含まれる。アクリル樹脂は、これらのモノマー成分を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
上記樹脂がアクリル樹脂である場合、GPCで測定される数平均分子量(ポリスチレン換算)は特に制限されないが、塗膜硬度および耐候性に優れた塗膜を得る観点から、1,000〜200,000であることが好ましく、5,000〜100,000であることがより好ましく、10,000〜50,000であることがさらに好ましい。
塗料に含まれる樹脂の量は、塗料の用途や、樹脂の種類に応じて適宜選択される。得られる塗膜の強度等の観点から、塗料には、その固形分100質量部に対して、上記樹脂が25〜60質量部含まれることが好ましく、30〜50質量部含まれることがより好ましい。
一方、塗料には、硬化剤が含まれていてもよい。硬化剤は、塗膜の性状や物性(例えば塗膜表面硬度や耐久性)等を調整するための成分であり、硬化剤の一例として、上記樹脂を架橋可能な化合物が挙げられる。硬化剤は、樹脂の種類に応じて適宜選択される。例えば、上記樹脂がポリエステル樹脂である場合、硬化剤は、メラミン系硬化剤であることが好ましい。メラミン系硬化剤の例には、メチロールメラミンメチルエーテル等のメチル化メラミン系樹脂硬化剤;メチロールメラミンブチルエーテル等のn−ブチル化メラミン系樹脂硬化剤;メチルとn−ブチルとの混合エーテル化メラミン樹脂硬化剤等が含まれる。
塗膜に含まれる硬化剤の量は、塗料の用途や、樹脂の種類に応じて適宜選択される。塗料には、上記樹脂100質量部に対して、上記硬化剤が5〜20質量部含まれていることが好ましく、7〜15質量部含まれていることがより好ましい。硬化剤の量が上記範囲であると、塗料から得られる塗膜の硬化性が良好になる。
(3)その他の成分
塗料には、無機粒子や有機粒子が含まれていてもよい。塗料にこれらが含まれると、得られる塗膜の表面粗さ等が調整されやすくなる。ここで、無機粒子または有機粒子の平均粒子径は4〜80μmであることが好ましく、10〜60μmであることがより好ましい。無機粒子や有機粒子の平均粒子径は、コールターカウンター法で測定される値である。なお、無機粒子や有機粒子の形状は特に制限されないが、得られる塗膜の表面状態を調整しやすいとの観点から、略球状であることが好ましい。
無機粒子の例には、シリカ、硫酸バリウム、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、ガラスビーズ、ガラスフレークが含まれる。また、有機粒子の例には、アクリル樹脂やポリアクリロニトリル樹脂からなる樹脂ビーズが含まれる。これらの樹脂ビーズは、公知の方法を用いて製造したものであってもよく、市販品であってもよい。市販のアクリル樹脂ビーズの例には、東洋紡株式会社製の「タフチック AR650S(平均粒径18μm)」、「タフチック AR650M(平均粒径30μm)」、「タフチック AR650MX(平均粒径40μm)」、「タフチック AR650MZ(平均粒径60μm)」、「タフチック AR650ML(平均粒径80μm)」が含まれる。また、市販のポリアクリロニトリル樹脂ビーズの例には、東洋紡株式会社製の「タフチック A−20(平均粒径24μm)」、「タフチック YK−30(平均粒径33μm)」、「タフチック YK−50(平均粒径50μm)」および「タフチック YK−80(平均粒径80μm)」等が含まれる。
塗膜に含まれる無機粒子および/または有機粒子の量は、所望の塗膜の表面状態等に応じて適宜選択される。通常、塗料の固形分100質量部に対する無機粒子および/または有機粒子の合計量は、1〜40質量部とすることができる。
またさらに、塗料は、必要に応じて着色顔料が含まれていてもよい。着色顔料の平均粒子径は、例えば0.2〜2.0μmとすることができる。このような着色顔料の例には、酸化チタン、酸化鉄、黄色酸化鉄、フタロシアニンブルー、カーボンブラック、コバルトブルー等が含まれる。なお、塗料に着色顔料が含まれる場合、その量は、塗料の固形分100質量部に対して、20〜60質量部であることが好ましく、30〜55質量部であることがより好ましい。
また、塗料には、必要に応じて有機溶剤が含まれていてもよい。当該有機溶剤は、上記シリコーンレジンや樹脂、硬化剤、無機粒子や有機粒子等を十分に溶解、または分散させることが可能なものであれば特に制限されない。有機溶剤の例には、トルエン、キシレン、Solvesso(登録商標)100(商品名、エクソンモービル社製)、Solvesso(登録商標)150(商品名、エクソンモービル社製)、Solvesso(登録商標)200(商品名、エクソンモービル社製)等の炭化水素系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤;メタノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール等のアルコール系溶剤;エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテルアルコール系溶剤;等が含まれる。塗料には、これらが1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。これらの中でも、樹脂との相溶性等の観点から、好ましくはキシレン、Solvesso(登録商標)100、Solvesso(登録商標)150、シクロヘキサノン、n−ブチルアルコールである。
(4)塗料の調製方法
塗料の調製方法は特に制限されない。公知の塗料と同様に、上記材料を混合し、攪拌もしくは分散することで、調製することができる。なお、シリコーンレジンは、他の成分と予め混合してもよい。また、シリコーンレジン以外の材料を予め混合しておき、シリコーンレジンを後から混合してもよい。
2.塗料の用途
上述の塗装金属板用塗料は、金属板に塗布される。ここで、塗料を塗布する金属板は、一般的に建築板として使用されている金属板を使用することができる。このような金属板の例には、溶融Zn−55%Al合金めっき鋼板等のめっき鋼板;普通鋼板やステンレス鋼板等の鋼板;アルミニウム板;銅板等が含まれる。金属板には、本発明の効果を阻害しない範囲で、その表面に化成処理皮膜や下塗り塗膜等が形成されていてもよい。さらに、当該金属板は、本発明の効果を損なわない範囲で、エンボス加工や絞り成形加工等の凹凸加工がなされていてもよい。
金属板の厚みは特に制限されず、塗装金属板の用途に応じて適宜選択される。例えば、塗装金属板を金属サイディング材に使用する場合には、金属板の厚みは0.15〜0.5mmとすることができる。
金属板の表面に上述の塗料を塗布する方法は特に制限されず、公知の方法から適宜選択することが可能である。塗料の塗布方法の例には、ロールコート法や、カーテンフロー法、スピンコート法、エアースプレー法、エアーレススプレー法および浸漬引き上げ法が含まれる。これらの中でも、ロールコート法が効率よく、所望の厚みを有する塗膜を得やすいとの観点から好ましい。
また、塗料の硬化方法は、塗料中の樹脂の種類等に応じて適宜選択され、例えば加熱による焼き付け等とすることができる。焼付け処理時の温度は、塗料中の樹脂等の分解を防止し、かつ均質な塗膜を得るとの観点から、120〜300℃であることが好ましく、150〜280℃であることがより好ましく、180〜260℃であることがさらに好ましい。焼付け処理時間は特に制限されず、上記と同様の観点から、3〜90秒であることが好ましく、10〜70秒であることがより好ましく、20〜60秒であることがさらに好ましい。
また、塗料の焼き付け時には、短時間で塗料を硬化させるため、板面風速が0.9m/s以上となるように風を吹き付けてもよい。上述の塗料中では、シリコーンレジンと他の成分とが水素結合している。そのため、風を吹き付けながら塗料を硬化させても、シリコーンレジンが蒸発し難く、加熱装置を汚染し難い。
ここで、金属板上に形成する塗膜の厚みは、塗装金属板の用途等に応じて適宜選択されるが、通常3〜30μmの範囲内である。当該厚みは、焼付け塗膜の比重、およびサンドブラスト等による塗膜除去前後の塗装金属板の重量差から重量法によって求められる値である。塗膜が薄すぎる場合、塗膜の耐久性および隠蔽性が不十分となることがある。一方、塗膜が厚すぎる場合、製造コストが増大するとともに、焼付け時にワキが発生しやすくなることがある。
本発明の塗料は、上記塗膜の形成後、フレーム処理を行うことで、その表面が親水化される。前述の塗料の塗膜をフレーム処理すると、塗膜表面のシリコーンレジンの炭化水素基(例えばメチル基やフェニル基等)が分解されて、シラノール基やシロキサン結合が生じる。これにより、塗膜表面の親水性が高まり、耐雨筋汚れ性が発現する。
フレーム処理は、塗膜を形成した金属板を、ベルトコンベア等の搬送機に載置し、一定方向に移動させながら、フレーム処理用バーナーで塗膜に火炎を放射する方法等とすることができる。
ここで、フレーム処理量は、30〜1000kJ/mであることが好ましく、100〜600kJ/mであることがより好ましい。なお、本明細書における「フレーム処理量」とは、LPガス等の燃焼ガスの供給量を基準として計算される塗装金属板の単位面積当たりの熱量である。当該フレーム処理量は、フレーム処理用バーナーのバーナーヘッドと塗膜表面との距離、塗膜の搬送速度等によって調整できる。フレーム処理量が30kJ/m未満では、処理にムラが生じることがあり、塗膜表面を一様に親水化することが難しい。一方、フレーム処理量が1000kJ/mを超えると、塗膜が酸化して黄変することがある。
以下、本発明の塗料の塗膜のフレーム処理に使用可能なフレーム処理用バーナーの一例を説明するが、フレーム処理方法は当該方法に限定されない。
フレーム処理用バーナーは、燃焼性ガスを供給するためのガス供給管と、当該ガス供給管から供給された燃焼性ガスを燃焼させるバーナーヘッドと、これらを支えるための支持部材と、を有する。図1に、フレーム処理用バーナーのバーナーヘッドの模式図を示す。図1Aはバーナーヘッドの側面図であり、図1Bは、当該バーナーヘッドの正面図であり、図1Cは、当該バーナーヘッドの底面図である。なお、便宜上、図1Aおよび図1Bでは炎口22bに該当する部分を太線で強調して記載しているが、実際、炎口22bは側面および正面から視認されない。
バーナーヘッド22は、ガス供給管23と接続された略四角柱状の筐体22aと、当該筐体の底面に配置された炎口22bとを有し、ガス供給管23から供給された燃焼性ガスを炎口22bで燃焼させる。
バーナーヘッド22の筐体22a内部の構造は、一般的なフレーム処理用バーナーと同様の構造とすることができ、例えばガス供給管23から供給された燃焼性ガスを炎口22bに流動させるための流路等が形成されていてもよい。また、正面視したときの筐体22aの幅は、フレーム処理する塗膜の幅に合わせて適宜選択される。また、側面視したときの筐体22aの幅は、炎口22bの塗膜の搬送方向の幅(図1AにおいてLで表される幅)等に合わせて適宜選択される。
一方、炎口22bは、筐体22aの底面に設けられた貫通孔である。炎口22bの形状は特に制限されないが、矩形状や丸穴形状とすることができる。ただし、フレーム処理を塗膜の幅方向に均一に行うとの観点から、矩形状であることが特に好ましい。また、炎口22bの塗膜の搬送方向に垂直方向の幅(図1BにおいてWで表される幅)は、フレーム処理する塗膜の幅と同等もしくは大きければよく、例えば50〜150cm程度とすることができる。一方、炎口22bの塗膜の搬送方向の幅(図1AにおいてLで表される幅)は、燃焼性ガスの吐出安定性等に応じて適宜設定することができ、例えば1〜8mm程度とすることができる。
ガス供給管23は、一方がバーナーヘッド22と接続され、他方がガス混合部(図示せず)と接続されたガスの流路である。ガス混合部は、燃焼ガスボンベ等の燃焼ガス供給源(図示せず)と、空気ボンベ、酸素ボンベ、コンプレッサーエアー、ブロアーによるエアー等の助燃ガス供給源(図示せず)と接続されており、燃焼ガスと助燃ガスとを予め混合するための部材である。なお、ガス混合部からガス供給管23に供給される燃焼性ガス(燃焼ガスと助燃ガスとの混合ガス)中の酸素の濃度は一定であることが好ましく、ガス混合部は、必要に応じてガス供給管23に酸素を供給するための酸素供給器を具備していることが好ましい。
上記燃焼ガスの例には、水素、液化石油ガス(LPG)、液化天然ガス(LNG)、アセチレンガス、プロパンガス、およびブタン等が含まれる。これらの中でも所望の火炎を形成しやすいとの観点から、LPG又はLNGが好ましく、特にLPGが好ましい。一方、上記助燃ガスの例には、空気または酸素が含まれ、取扱性等の面から、空気であることが好ましい。
ガス供給管23を介してバーナーヘッド22に供給される燃焼性ガス中の燃焼ガスと助燃ガスとの混合比は、燃焼ガス及び助燃ガスの種類に応じて適宜設定することができる。例えば、燃焼ガスがLPG、助燃ガスが空気である場合、LPGの体積1に対して、空気の体積を24〜27とすることが好ましく、25〜26とすることがより好ましく、25〜25.5とすることがさらに好ましい。また、燃焼ガスがLNG、助燃ガスが空気である場合、LNGの体積1に対して、空気の体積を9.5〜11とすることが好ましく、9.8〜10.5とすることがより好ましく、10〜10.2とすることがさらに好ましい。
当該フレーム処理用バーナーでは、塗膜を移動させながら、塗膜のフレーム処理を行う。このとき、バーナーヘッド22の炎口22bから、塗膜に向けて燃焼性ガスを吐出しつつ、当該燃焼性ガスを燃焼させることで、上記フレーム処理を行うことができる。バーナーヘッド22と塗膜との距離は、前述のように、フレーム処理量に応じて適宜選択されるが、通常10〜120mm程度とすることができ、25〜100mmとすることが好ましく、30〜90mmとすることがより好ましい。バーナーヘッドと塗膜との距離が近すぎる場合には、金属板の反り等によって、塗膜とバーナーヘッドとが接触してしまうことがある。一方、バーナーヘッドと塗膜との距離が遠すぎる場合には、フレーム処理に多大なエネルギーが必要となる。なお、フレーム処理時には、フレーム処理用バーナーから塗膜表面に対して垂直に火炎を放射してもよいが、塗膜表面に対して一定の角度を成すように、フレーム処理用バーナーから塗膜表面に対して火炎を放射してもよい。
また、塗膜の移動速度は、前述のフレーム処理量に応じて適宜選択されるが、通常5〜70m/分であることが好ましく、10〜50m/分であることがより好ましく、20〜40m/分であることがさらに好ましい。塗膜を5m/分以上の速度で移動させることにより、効率的にフレーム処理を行うことができる。一方で、塗膜の移動速度が速すぎる場合には、塗膜の移動によって気流が生じやすく、フレーム処理を十分に行うことができないことがある。
なお、上記では、筐体22aに一つのみ炎口22bを有するバーナーヘッド22を示したが、バーナーヘッド22の構造は、上記構造に限定されない。例えば、図2に示すように、バーナーヘッド22は、炎口22bと平行に補助炎口22cを有していてもよい。図2Aはバーナーヘッドの側面図であり、図2Bは、当該バーナーヘッドの底面図である。なお、便宜上、図2Aでは炎口22bや補助炎口22cに該当する部分を太線で強調して記載しているが、実際、炎口22bや補助炎口22cは側面から視認されない。ここで、炎口22bと補助炎口22cとの間隔は、2mm以上であることが好ましく、例えば2mm〜7mmとすることができる。このとき、筐体22aは、補助炎口22cから非常に微量の燃焼性ガスが通過するような構造を有する。補助炎口22cから吐出される燃焼性ガスの量は、炎口22bから吐出される燃焼性ガスの5%以下であることが好ましく3%以下であることが好ましい。補助炎口22cで生じる火炎は、塗膜の表面処理に殆ど影響を及ぼさないが、補助炎口22cを有することで、炎口22bから吐出される燃焼性ガスの直進性が増し、揺らぎが少ない火炎が形成される。
また、上述のフレーム処理前に、塗膜表面を40℃以上に加熱する予熱処理を行ってもよい。熱伝導率が高い金属板(例えば、熱伝導率が10W/mK以上の金属板)表面に形成された塗膜に、火炎を照射すると、燃焼性ガスの燃焼によって生じた水蒸気が冷やされて水となり、一時的に塗膜の表面に溜まる。そして、当該水がフレーム処理時のエネルギーを吸収して水蒸気となることで、フレーム処理が阻害されることがある。これに対し、塗膜表面(金属板)を予め加熱しておくことで、火炎照射時の水の発生を抑えることができる。
塗膜を予熱する手段は特に限定されず、一般に乾燥炉と呼ばれる加熱装置を使用することができる。例えば、バッチ式の乾燥炉(「金庫炉」とも称する。)を使用することができ、その具体例には、株式会社いすゞ製作所社製低温恒温器(型式 ミニカタリーナ MRLV−11)、株式会社東上熱学社製自動排出型乾燥器(型式 ATO−101)、および株式会社東上熱学社製簡易防爆仕様乾燥器(型式 TNAT−1000)等が含まれる。
以上のように、本発明の塗料によれば、塗膜表面にシリコーンレジンをムラなく濃化させることができ、得られる塗装金属板の均一に親水性を高めることができる。また、本発明の塗料は保存安定性が高く、さらに加熱装置を汚染することが少ない。したがって、本発明の塗料によれば、各種建築物の外装建材等に適用可能な、雨筋汚れ等が生じ難い塗装金属板を効率よく製造することができる。
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例により限定されない。
1.塗料の調製
以下の方法により、各塗料を調製した。
1−1.メチル系シリコーンレジンの合成1
2Lのフラスコにメチルトリメトキシシラン408g(3.0モル)を仕込み、10℃以下で水800gを加え、よく混合させた。次いで氷冷下、0.05Nの塩酸水溶液180〜216g(10.0〜12.0モル)を5〜25℃で、20〜40分間かけて滴下した。滴下終了後、5〜25℃で0.6〜6時間攪拌し、加水分解および脱水縮合を完了させた。これにより、シラノール基の含有量が異なる7種のメチル系シリコーンレジンA〜Gを含む調製液を得た。なお、メチル系シリコーンレジンA〜Gのシラノール基量や構成単位量は、上記反応時間(攪拌時間)および反応温度、および塩酸水溶液の添加量で調整した。
その後、当該調製液から、加水分解によって生成したメタノールを、70℃、60mmHgで1時間減圧留去した。メタノール留去後の調製液は白濁しており、一晩静置することで、2層に分離した。下層は、水に不溶となって沈降したシリコーンレジンである。当該調製液に、メチルイソブチルケトン(MIBK)469gを加え、室温で1時間攪拌した。これにより、沈降したシリコーンレジンを完全にMIBKに溶解させた。そして、当該調製液を静置し、水層とMIBK層とを分離させた。その後、コック付きフラスコにて下層の水層を取り除き、固形分が50質量%、かつ無色透明のシリコーンレジン溶液を得た。
得られたメチル系シリコーンレジンAの構造を、29Si−NMRによって測定したところ、2本のブロードなシグナルが観測された。これらの化学シフトは、(1)δ=−54〜−58ppm、(2)δ=−62〜−68ppmであった。当該化学シフトは、以下の式で表されるT単位のうち、T−2単位およびT−3単位のケイ素原子にそれぞれ帰属する。つまり、当該メチル系シリコーンレジンAには、T−1単位は含まれていなかった。また、メチル系シリコーンレジンAについてH−NMR分析を行ったところ、メチルトリメトキシシラン由来のメトキシ基は全て加水分解され、水酸基となっていた。
Figure 2019090034
さらに、以下の条件でGPC分析(ポリスチレン換算)を行い、シリコーンレジンAの重量平均分子量Mwと、分子量分布Mw/Mnとを測定した。
測定機種:東ソー社製 HLC−8320GPC
カラム:Shodex K・G+K・805L×2本+K・800D
溶離液:クロロホルム
温度:カラム恒温槽 40.0℃
流速:1.0mL/min
濃度:0.2質量/体積%
注入量:100μl
溶解性:完全溶解
前処理:0.45μmフィルターでろ過
検出器:示差屈折計(RI)
同様に、メチル系シリコーンB〜Gについても、29Si−NMRおよびH−NMR分析により、構造を特定した。また、GPC分析により、重量平均分子量Mwと、分子量分布Mw/Mnとを測定した。メチル系シリコーンA〜Gの分析結果を以下の表1に示す。
Figure 2019090034
1−2.メチル系シリコーンレジンの合成2
2Lのフラスコにメチルトリメトキシシラン286〜163g(2.1〜1.2モル)およびジメチルジメトキシシラン108〜216g(0.9〜1.8モル)を仕込み、10℃以下で水800gを加え、よく混合させた。次いで、氷冷下、0.05Nの塩酸水溶液180〜216g(10.0〜12.0モル)を5〜25℃で20〜40分間かけて滴下した。滴下終了後、5〜25℃で0.6〜6時間攪拌して加水分解および脱水縮合を行った。滴下終了後、メチル系シリコーンレジンの合成1と同様の操作を行い、固形分約50質量%の3種のメチル系シリコーンレジンH〜Jを含むシリコーンレジン溶液を得た。なお、メチル系シリコーンレジンH〜Jのシラノール基や構成単位量は、上記反応時間(攪拌時間)、反応温度、塩酸水溶液の添加量、および仕込み量で調整した。
得られたメチル系シリコーンH〜Jについて、29Si−NMRおよびH−NMR分析により、構造を特定した。さらに、GPC分析により、重量平均分子量Mwと、分子量分布Mw/Mnとを測定した。メチル系シリコーンH〜Jの分析結果を以下の表2に示す。なお、表2におけるD−1単位およびD−2単位は、それぞれ以下の式で表される構造単位である。
Figure 2019090034
Figure 2019090034
1−3.メチル/フェニル系シリコーンレジンの合成3
2Lのフラスコにメチルトリメトキシシラン326〜41g(2.4〜0.3モル)とフェニルトリメトキシシラン119〜535g(0.6〜2.7モル)を仕込み、10℃以下で水800gを加え、よく混合させた。次いで、氷冷下、0.05Nの塩酸水溶液180〜216g(10.0〜12.0モル)を5〜25℃で20〜40分間かけて滴下した。滴下終了後、5〜25℃で0.6〜6時間攪拌し、加水分解および脱水縮合を完了させた。滴下終了後、メチル系シリコーンレジンの合成1と同様の操作を行い、固形分約50質量%の5種のメチル/フェニル系シリコーンレジンK〜Oを含む調製液を得た。なお、メチル/フェニル系シリコーンレジンK〜Oのシラノール基量や構成単位量は、上記反応時間(攪拌時間)、反応温度、塩酸水溶液の添加量、および仕込み量で調整した。
得られたメチル系シリコーンK〜Oについて、29Si−NMRおよびH−NMR分析により、構造を特定した。なお、メチル/フェニル系シリコーンレジンLの構造を29Si−NMRによって測定したところ、4本のブロードなシグナルが観測された。これらの化学シフトは、(1)δ=−52〜−61ppm、(2)δ=−62〜−71ppm、(3)δ=−67〜−75ppm、(4)δ=−75〜−83ppm、であり、それぞれ下記式で表されるT単位およびT単位のうち、T−2単位、T−3単位、T−2単位、およびT−3単位のケイ素原子に帰属する。また、当該メチル/フェニル系シリコーンレジンLについてH−NMR分析を行ったところ、メチルトリメトキシシランおよびフェニルトリメトキシシラン由来のメトキシ基が全て加水分解され、水酸基となっていた。さらに、GPC分析により、重量平均分子量Mwと、分子量分布Mw/Mnとを測定した。分析結果を表3に示す。
Figure 2019090034
Figure 2019090034
1−4.メチル/フェニル系シリコーンレジンの合成4
2Lのフラスコにメチルトリメトキシシラン109〜27g(0.8〜0.2モル)、フェニルトリメトキシシラン198g(1.0モル)、およびジメチルジメトキシシラン144〜216g(1.2〜1.8モル)を仕込み、10℃以下で水800gを加え、よく混合させた。次いで、氷冷下、0.05Nの塩酸水溶液180〜216g(10.0〜12.0モル)を5〜25℃で20〜40分間かけて滴下し、5〜25℃で0.6〜6時間攪拌して加水分解および脱水縮合を完了させた。滴下終了後、メチル系シリコーンレジンの合成1と同様の操作を行い、固形分約50質量%の3種のメチル/フェニル系シリコーンレジンP〜Rを含むシリコーンレジン溶液を得た。なお、メチル/フェニル系シリコーンレジンP〜Rのシラノール基量や構成単位量は、上記反応時間(攪拌時間)、反応温度、塩酸水溶液の添加量、および仕込み量で調整した。
得られたメチル系シリコーンP〜Rについて、29Si−NMRおよびH−NMR分析により、構造を特定した。さらに、GPC分析により、重量平均分子量Mwと、分子量分布Mw/Mnとを測定した。分析結果を表4に示す。
Figure 2019090034
1−5.メチルシリケートおよびエチルシリケートの準備
メチルシリケートおよびエチルシリケートとして、以下の市販品を用いた。
[メチルシリケートS]
メチルシリケート53A(コルコート社製、テトラメトキシシランの縮合物) 重量平均分子量(Mw):840、数平均分子量(Mn):610、Mw/Mn=1.4
[エチルシリケートT]
エチルシリケート48(コルコート社製、テトラエトキシシランの縮合物) 重量平均分子量(Mw):1300、数平均分子量(Mn):850、Mw/Mn=1.5
1−6.塗料の調製
数平均分子量5,000、ガラス転移温度30℃、水酸基価28mgKOH/gの高分子ポリエステル樹脂(DIC社製)と、メトキシ基90モル%メチル化メラミン樹脂硬化剤(三井サイテック社製 サイメル(登録商標)303)とを混合し、ベースとなるポリエステル樹脂およびメラミン樹脂硬化剤を含む組成物を得た。ポリエステル樹脂とメチル化メラミン樹脂硬化剤との配合比は70/30とした。
上記組成物に触媒として、ドデシルベンゼンスルフォン酸を、上記組成物の固形分量に対して1質量%加えた。さらに、ジメチルアミノエタノールを加えた。なお、ジメチルアミノエタノールの添加量は、ドデシルベンゼンスルフォン酸の酸当量に対してアミン当量が1.25倍となる量とした。
さらに、表5に示すように、上述のメチル系シリコーンレジン、メチル/フェニル系シリコーンレジン、メチルシリケート、またはエチルシリケートを、それぞれ塗料の総固形分量に対して5質量%となるように添加した。さらに、メチルシリケートまたはエチルシリケートを添加した塗料については、オルトギ酸トリエチルを、塗料の総固形分量に対して5質量%となるように添加した。
2.評価
上記塗料を用いて、以下のように塗装金属板を作製した。
2−1.金属板の準備
板厚0.27mm、A4サイズ(210mm×297mm)、片面当りめっき付着量90g/mの溶融Zn−55%Al合金めっき鋼板を金属板として準備し、表面をアルカリ脱脂した。その後、当該表面に、塗布型クロメート処理液(日本ペイント株式会社製 NRC300NS)を、Crの付着量が50mg/mとなるように塗布した。さらに、エポキシ樹脂系プライマー塗料(日本ファインコーティングス株式会社製 700P)を、硬化膜厚が5μmとなるようにロールコーターで塗布した。続いて、基材の最高到達板温215℃となるように焼き付け、プライマー塗膜を形成しためっき鋼板(以下、単に「めっき鋼板」とも称する)を得た。
2−2.塗料の塗布
上述のように調製した塗料を、硬化膜厚が18μmとなるように上述のめっき鋼板にロールコーターで塗布し、最高到達板温225℃、板面風速0.9m/sで45秒間焼き付けた。
2−3.フレーム処理
上記塗料の塗膜をフレーム処理した。フレーム処理用バーナーには、Flynn Burner社(米国)製のF−3000を使用した。また、燃焼性ガスには、LPガス(燃焼ガス)と、クリーンドライエアーとを、ガスミキサーで混合した混合ガス(LPガス:クリーンドライエアー(体積比)=1:25)を使用した。また、各ガスの流量は、バーナーの炎口の1cmに対してLPガス(燃焼ガス)が1.67L/分、クリーンドライエアーが41.7L/分となるように調整した。なお、塗膜の搬送方向のバーナーヘッドの炎口の長さ(図1AにおいてLで表される長さ)は4mmとした。一方、バーナーヘッドの炎口の搬送方向と垂直方向の長さ(図1AにおいてWで表される長さ)は、450mmとした。さらに、バーナーヘッドの炎口と塗膜表面との距離は、所望のフレーム処理量に応じて50mmとした。さらに、塗膜の搬送速度を30m/分とすることで、フレーム処理量を212kJ/mに調整した。
2−4.試験
実施例および比較例で調製した塗料、および当該塗料を用いて作製した塗装金属板について、以下の試験を行った。結果を表5に示す。
(1)シリコーンレジン又はシリケートの蒸発量
厚さ0.5mmのアルミ板(JIS A5052)の表面に膜厚が18μmになるように、各実施例および比較例の塗料を塗布し、塗膜を形成した。そして、塗膜を形成した塗装アルミ板を10cm×10cm角に切り出し、フッ化水素酸、塩酸、硝酸の混合酸溶液に溶かし、さらにマイクロ波を照射して加熱分解した。その後、超純水で定容して検液を調製した。当該検液中のSiを、島津製作所製 ICPE−9820型ICP−AES分析装置を用いて、定量分析した。
一方、シリコーンレジンまたはシリケートを添加しなかった以外は、実施例および比較例と同様に塗料を調製し、当該塗料を用いて塗膜を形成した。そして、上記と同様に検液中のSiを定量分析した。
これらを比較し、各実施例および比較例で作製した塗料から得られる塗膜中のシリコーンレジンまたはシリケート由来のSi量を求めた。また、シリコーンレジンまたはシリケートが全く蒸発しなかったと仮定した場合の塗膜中のSi量を計算で求めた。そして、全く蒸発しなかった場合のSi量と、実施例または比較例で作製した塗料から得られる塗膜のSi量との比から、塗膜形成時のシリコーンレジンまたはシリケートの蒸発量を以下の基準で評価した。
×:蒸発量が20%以上
△:10%以上20%未満
〇:3%以上10%未満
◎:3%未満
なお、△、○、◎を合格とした。
(2)塗料の貯蔵安定性評価
各塗料を40℃の恒温室中で保存し、15日後の塗料粘度をB型粘度計で測定した。そして、保存前後の粘度を比較し、以下の基準で強化した。
×:恒温室放置15日以内にゲル化
△:恒温室保存前後で塗料粘度上昇率が100%以上
○:恒温室保存前後で塗料粘度上昇率が30%以上、100%未満
◎:恒温室保存前後で塗料粘度上昇率が30%未満
なお、△、○、◎を合格とした。
(3)鉛筆硬度評価方法
JIS K5600−5−4(ISO/DIS 15184)に準拠して、塗膜表面の耐傷付き性を評価する鉛筆硬度試験を行った。当該塗膜表面の耐傷付き性は、以下の基準で評価した。
○:H以上
△:B〜HB
×:2B以下
なお、△以上を合格と評価した。
(4)対水接触角の測定
実施例および比較例で調製した塗料を用いて作製した塗装金属板の塗膜表面の対水接触角を測定した。測定は気温23±2℃、相対湿度50±5%の恒温恒湿度室で0.01ccの精製水の水滴を形成して、協和界面科学株式会社製の接触角計DM901を使用して測定した。
(5)耐雨筋汚れ性の評価
耐雨筋汚れ性は、以下のように評価した。
まず、垂直暴露台に実施例および比較例で調製した塗料を用いて作製した塗装金属板をそれぞれ取り付けた。さらに、当該塗装金属板の上部に、地面に対して角度20°となるように、波板を取り付けた。このとき、雨水が塗装金属板表面を筋状に流れるように、波板を設置した。この状態で、屋外暴露試験を6ヶ月間行い、汚れの付着状態を観察した。耐雨筋汚れ性の評価は、暴露前後の塗装金属板の明度差(ΔL)で、以下のように評価した。
×:ΔLが2以上の場合(汚れが目立つ)
△:ΔLが1以上2未満の場合(雨筋汚れは目立たないが視認できる)
〇:ΔLが1未満の場合(雨筋汚れがほとんど視認できない)
◎:ΔLが1未満で、かつ雨筋汚れが全く視認できない。
なお、△、○、◎を合格とした。
Figure 2019090034
上記表5に示されるように、Si原子の量(モル数)に対する、シラノール基の量(モル数)が、5〜50モル%であるシリコーンレジンを含む塗料では、貯蔵安定性が良好であり、膜の加熱乾燥時に塗料が蒸発し難かった(実施例1〜16)。さらにこれらの塗料を塗布し、フレーム処理を行った塗装金属板では、耐雨筋汚れ性が高く、耐傷付き性も高かった。
これに対し、メチルシリケートやエチルシリケート等のオルガノシリケートを含む塗料では、貯蔵安定性が十分でなく、さらに塗膜の硬化時に塗料が蒸発しやすかった(比較例3および4)。さらに、メチルシリケートを含む塗料を用いて作製した塗装金属板では、傷付き性が低く、耐雨筋汚れ性も低かった(比較例3)。当該塗料では、塗布時に、膜表面にメチルシリケートが濃化し難かっただけでなく、膜の硬化時にメチルシリケートが蒸発してしまったと推察される。
また、シリコーンレジンを含む塗料であっても、Si原子の量(モル数)に対する、シラノール基の量(モル数)が、5モル%未満である場合には、塗料の貯蔵安定性が低く、さらには耐雨筋汚れ性が十分でなかった(比較例1)。シラノール基の量が5モル%未満になると、シリコーンレジンの分子量が大きくなりやすく、保存中の多少の反応で、シリコーンレジンが非常に高分子化した。そのため、貯蔵安定性が低くなったと推察される。またさらに、シリコーンレジンの分子量が大きくなると、シリコーンレジンが表面に均一に濃化し難く、海島状になりやすい。したがって、雨筋汚れを十分に抑制することができなかったと推察される。
一方、Si原子の量(モル数)に対する、シラノール基の量(モル数)が、50モル%超である場合には、塗料の貯蔵安定性が低かった(比較例2)。シラノール基の量が50モル%を超えると、シリコーンレジンの反応性が高くなる。したがって、塗料の貯蔵安定性が低くなったと推察される。また、シラノール基の量が多いため、シリコーンレジンがミセル化しやすく、シリコーンレジンが海島状になりやすかった。したがって、雨筋汚れ性が低下する傾向にあったと推察される。
本発明の塗料は保存安定性が高く、さらに塗膜形成時に加熱装置を汚染し難い。さらに、当該塗料によれば、雨筋汚れが生じ難く、かつ耐傷付き性の高い塗装金属板が得られる。したがって、当該塗装金属板は、各種建築物の外装建材等に適用が可能である。
22 バーナーヘッド
22a 筐体
22b 炎口
22c 補助炎口
23 ガス供給管

Claims (2)

  1. Si原子の総モル数に対して、5〜50モル%のシラノール基を含む、シリコーンレジンと、
    ポリエステル樹脂またはシリル基を有さないアクリル樹脂を含むバインダ樹脂と、
    を含み、
    前記シリコーンレジンおよび前記バインダ樹脂はそれぞれ有機溶剤に溶解または分散しており、
    前記シリコーンレジンは、Si原子の総モル数に対して、トリアルコキシシラン由来のSi原子を50〜100モル%含み、
    金属板に塗布された後、塗膜表面がフレーム処理によって親水化処理される、
    塗装金属板用塗料。
  2. 前記シリコーンレジンは、Si原子に直接結合するアルキル基のモル数に対する、Si原子に直接結合するアリール基のモル数の割合が20〜80%である、
    請求項1に記載の塗装金属板用塗料。
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