JP2019089958A - 樹脂組成物及び積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】混錬機器へのダメージを抑制して、樹脂組成物の汚染を防止することができ、高い熱伝導性と優れた電気絶縁性とを発揮可能な樹脂組成物を提供する。また、該樹脂組成物を含む積層体を提供する。【解決手段】ダイヤモンド、熱伝導性フィラー、及び、樹脂を含有し、前記ダイヤモンドの体積平均粒子径に対する前記熱伝導性フィラーの体積平均粒子径の比が1.5〜10であり、前記ダイヤモンドの真比重と前記熱伝導性フィラーの真比重との差が0.2〜4g/cm3である樹脂組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、混錬機器へのダメージを抑制して、樹脂組成物の汚染を防止することができ、高い熱伝導性と優れた電気絶縁性とを発揮可能な樹脂組成物に関する。また、該樹脂組成物を含む積層体に関する。
CPU、画像処理チップ、大規模集積回路(LSI)等のパワーデバイスに用いられる半導体素子や、液晶、プラズマディスプレイ(PDP)、発光ダイオード(LED)、有機EL素子等の発光素子を有する電子部品、及び、それを備えた電子機器では、小型化や電子回路の高集積化により素子からの発熱量が増加している。その結果、発熱による素子の劣化や性能の低下、さらには電子機器の機能障害の発生が問題となっている。
そこで、電子機器においては、半導体素子や電子回路において生じた熱を放熱し、電子機器等の温度上昇を抑えるために、半導体素子をセラミック等からなる基材等の放熱体と接合する技術が知られている。また、半導体素子と放熱体との接合材料としては、熱伝導性と絶縁性とを確保するため、樹脂材料中に熱伝導性を有し、且つ、絶縁性を有するフィラーを分散させた樹脂組成物が用いられる。
そこで、電子機器においては、半導体素子や電子回路において生じた熱を放熱し、電子機器等の温度上昇を抑えるために、半導体素子をセラミック等からなる基材等の放熱体と接合する技術が知られている。また、半導体素子と放熱体との接合材料としては、熱伝導性と絶縁性とを確保するため、樹脂材料中に熱伝導性を有し、且つ、絶縁性を有するフィラーを分散させた樹脂組成物が用いられる。
このような樹脂組成物として、特許文献1には、オルガノポリシロキサンの基材に、特定量の熱伝導性フィラーを含有してなる絶縁シートが開示されている。
このような接合材料では、樹脂中で熱伝導性を有するフィラー同士が接触する構造をとっており、これらのフィラー間の接触を通じて発熱体から放熱体への熱伝導性が確保されている。
このようなシートでは、アルミナ等のフィラーを高充填化してフィラー間の接触頻度を高めて熱伝導性を確保している。しかしながら、フィラーの高充填化に伴って、接着力が低下して、発熱体と放熱体との接合が不充分となるという問題があった。
このような接合材料では、樹脂中で熱伝導性を有するフィラー同士が接触する構造をとっており、これらのフィラー間の接触を通じて発熱体から放熱体への熱伝導性が確保されている。
このようなシートでは、アルミナ等のフィラーを高充填化してフィラー間の接触頻度を高めて熱伝導性を確保している。しかしながら、フィラーの高充填化に伴って、接着力が低下して、発熱体と放熱体との接合が不充分となるという問題があった。
更に、窒化ホウ素のような異方形状を有するフィラーを用いることによってフィラー同士を面接触させて熱伝導性を確保する方法も提案されている。しかしながら、異方形状を有するフィラーを用いた場合、配向状態によって熱伝導性が大きく変化するが、配向状態を制御することは難しく、充分な熱伝導性が得られないという問題があった。
また、例えば、ダイヤモンドの汎用的合成法である爆轟法によって形成されたナノサイズのダイヤモンドをフィラーとして樹脂中に複合化した放熱材料も提案されている。ダイヤモンドは熱伝導性が高いことが知られているが、このような方法では、熱伝導性を向上させるために高充填化すると、樹脂組成物をペースト化できなかったり、粘度が不充分となったりして均一な塗膜が得られず、結果として、熱伝導性にも劣る結果となることが分かった。
そこで、高温高圧合成法などによって形成されたミクロンサイズのダイヤモンド粒子とアルミナ等のフィラーとを組み合わせて用いることが検討されているが、ダイヤモンド粒子とフィラーとを複合化するための混錬工程において、混錬機器自体が削られて混錬機器に重大なダメージが生じることが分かった。また、削られた混錬機器が熱伝導性材料を汚染して絶縁性や熱伝導性が低下する原因となることが分かった。
本発明は、上記現状に鑑み、混錬機器へのダメージを抑制して、樹脂組成物の汚染を防止することができ、高い熱伝導性と優れた電気絶縁性とを発揮可能な樹脂組成物を提供することを目的とする。また、該樹脂組成物を含む積層体を提供することを目的とする。
本発明は、ダイヤモンド、熱伝導性フィラー、及び、樹脂を含有し、前記ダイヤモンドの体積平均粒子径に対する前記熱伝導性フィラーの体積平均粒子径の比が1.5〜10であり、前記ダイヤモンドの真比重と前記熱伝導性フィラーの真比重との差が0.2〜4g/cm3である樹脂組成物である。
以下に本発明を詳述する。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、半導体素子のような発熱体等の部材とアルミニウムや銅等の放熱体等の部材との間に挟んで用いられる樹脂組成物において、ダイヤモンド及び熱伝導性フィラーとを併用し、ダイヤモンドと熱伝導性フィラーとの粒子径及び比重を所定の関係とすることで、混錬時の機器へのダメージを抑制できることを見出した。また、樹脂組成物の汚染を防止して、優れた熱伝導性を発揮できることを見出した。更に、このようなダイヤモンドと熱伝導性フィラーとを併用することで、樹脂組成物中でダイヤモンドや熱伝導性フィラーの局在化が生じ、その結果、誘電率勾配が形成されて極めて優れた電気絶縁性を発揮することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の樹脂組成物は、ダイヤモンド、熱伝導性フィラー、及び、樹脂を含有する。
本発明の樹脂組成物は、熱伝導性及び接着性に優れるため、例えば、発熱体と放熱体との接着に用いられることで、発熱体が発した熱を効率よく放熱体に伝えることができる。また、形状保持性にも優れるため、塗工した際の膜厚の変化が少なく、均一な塗膜を形成することができる。体積平均粒子径が大きく異なるとともに、比重差が所定の範囲である熱伝導性材料を組み合わせて用いることで、樹脂組成物中で熱伝導性材料が局在化する。このため、樹脂組成物中で誘電率勾配が形成されて絶縁破壊が起こりにくくなり、電気絶縁性を向上させることができる。
本発明の樹脂組成物は、熱伝導性及び接着性に優れるため、例えば、発熱体と放熱体との接着に用いられることで、発熱体が発した熱を効率よく放熱体に伝えることができる。また、形状保持性にも優れるため、塗工した際の膜厚の変化が少なく、均一な塗膜を形成することができる。体積平均粒子径が大きく異なるとともに、比重差が所定の範囲である熱伝導性材料を組み合わせて用いることで、樹脂組成物中で熱伝導性材料が局在化する。このため、樹脂組成物中で誘電率勾配が形成されて絶縁破壊が起こりにくくなり、電気絶縁性を向上させることができる。
本発明の樹脂組成物を介して発熱体と放熱体とを積層した場合の一例を図1に示す。
本発明の樹脂組成物1は、発熱体5及び放熱体6との間に薄膜状として配置される。
本発明の樹脂組成物1は、ダイヤモンド2、熱伝導性フィラー3及びバインダー樹脂4を含有する。ダイヤモンド2の体積平均粒子径に対する熱伝導性フィラー3の体積平均粒子径の比は1.5〜10であり、真比重差は0.2〜4g/cm3である。
本発明の樹脂組成物1では、ダイヤモンド2と熱伝導性フィラー3とを併用することで、バインダー樹脂4とのなじみがよく、ペースト化した際の粘性を充分に向上させて、塗工性に優れたものとすることができる。
また、ダイヤモンド2と熱伝導性フィラー3との体積平均粒子径と比重差が所定の関係を満たすことで、樹脂組成物中でダイヤモンド2や熱伝導性フィラー3が局在化して、誘電率が空間的に傾斜したものとなる。その結果、樹脂組成物は絶縁破壊を起こしにくくなり、電気絶縁性が向上する。更に、ダイヤモンド2と熱伝導性フィラー3が局在化して分散ムラが生じることにより、ダイヤモンド同士が連結する構造を取りやすく熱抵抗が低減して、熱伝導性を向上させることができる。
更に、ダイヤモンド2と熱伝導性フィラー3とを複合化するための混錬工程において、体積平均粒子径の大きい無機充填剤が外側に向かいやすくなり、ダイヤモンド粒子と混錬機器との接触が抑えられて、混錬機器のダメージを抑制して、樹脂組成物の汚染を防止することができ、その結果、汚染による熱伝導性及び絶縁性の低下を抑制することができる。また、混錬機器へのダメージを抑制できることから、生産性を向上させることができる。
加えて、本発明の樹脂組成物1は、バインダー樹脂4を含有することで、発熱体5と放熱体6との接着性を高めることができ、剥離に伴う熱伝導性の低下を抑制することができる。
本発明の樹脂組成物1は、発熱体5及び放熱体6との間に薄膜状として配置される。
本発明の樹脂組成物1は、ダイヤモンド2、熱伝導性フィラー3及びバインダー樹脂4を含有する。ダイヤモンド2の体積平均粒子径に対する熱伝導性フィラー3の体積平均粒子径の比は1.5〜10であり、真比重差は0.2〜4g/cm3である。
本発明の樹脂組成物1では、ダイヤモンド2と熱伝導性フィラー3とを併用することで、バインダー樹脂4とのなじみがよく、ペースト化した際の粘性を充分に向上させて、塗工性に優れたものとすることができる。
また、ダイヤモンド2と熱伝導性フィラー3との体積平均粒子径と比重差が所定の関係を満たすことで、樹脂組成物中でダイヤモンド2や熱伝導性フィラー3が局在化して、誘電率が空間的に傾斜したものとなる。その結果、樹脂組成物は絶縁破壊を起こしにくくなり、電気絶縁性が向上する。更に、ダイヤモンド2と熱伝導性フィラー3が局在化して分散ムラが生じることにより、ダイヤモンド同士が連結する構造を取りやすく熱抵抗が低減して、熱伝導性を向上させることができる。
更に、ダイヤモンド2と熱伝導性フィラー3とを複合化するための混錬工程において、体積平均粒子径の大きい無機充填剤が外側に向かいやすくなり、ダイヤモンド粒子と混錬機器との接触が抑えられて、混錬機器のダメージを抑制して、樹脂組成物の汚染を防止することができ、その結果、汚染による熱伝導性及び絶縁性の低下を抑制することができる。また、混錬機器へのダメージを抑制できることから、生産性を向上させることができる。
加えて、本発明の樹脂組成物1は、バインダー樹脂4を含有することで、発熱体5と放熱体6との接着性を高めることができ、剥離に伴う熱伝導性の低下を抑制することができる。
本発明の樹脂組成物は、ダイヤモンドを含有する。本発明の樹脂組成物は、ダイヤモンドを含有することにより、熱伝導性に優れたものとなる。なお、上記ダイヤモンドは、表面に分散剤や表面処理剤等を有するものであってもよい。
上記ダイヤモンドの形状は、非球状であることが好ましく、多面体形状であることがより好ましく、六面体、八面体、六八面体等が更に好ましく、六八面体が特に好ましい。
なお、非球状であるとは、球形度が0.9以下であることを意味する。
また、多面体形状とは、表面を形成する面の半分以上が全て平らな多角形によって構成される立体形状を意味する。
上記ダイヤモンドの形状は、非球状であることが好ましく、多面体形状であることがより好ましく、六面体、八面体、六八面体等が更に好ましく、六八面体が特に好ましい。
なお、非球状であるとは、球形度が0.9以下であることを意味する。
また、多面体形状とは、表面を形成する面の半分以上が全て平らな多角形によって構成される立体形状を意味する。
上記多面体形状であるダイヤモンドにおいて、多面体形状を形成する多角形は、三角形〜六角形であることが好ましい。
上記多面体形状のダイヤモンドの面数は10〜18であることが好ましい。
上記ダイヤモンドの面数が10以上であることで、ダイヤモンドの配向制御が容易となり、ダイヤモンド同士や熱伝導性フィラーとを面接触させて、熱伝導効率を向上させることができる。また、上記ダイヤモンドの面数が18以下であることで、ダイヤモンドが充分に大きな面を有するものとなり、ダイヤモンド同士や熱伝導性フィラーとの点接触の回数を減らして、熱伝導効率の低下を抑制することができる。
なお、上記ダイヤモンドの面数は、例えば、電子顕微鏡写真を確認し、得られた像における粒子300個の面数の平均を算出することにより測定することができる。
上記ダイヤモンドの面数が10以上であることで、ダイヤモンドの配向制御が容易となり、ダイヤモンド同士や熱伝導性フィラーとを面接触させて、熱伝導効率を向上させることができる。また、上記ダイヤモンドの面数が18以下であることで、ダイヤモンドが充分に大きな面を有するものとなり、ダイヤモンド同士や熱伝導性フィラーとの点接触の回数を減らして、熱伝導効率の低下を抑制することができる。
なお、上記ダイヤモンドの面数は、例えば、電子顕微鏡写真を確認し、得られた像における粒子300個の面数の平均を算出することにより測定することができる。
上記ダイヤモンドの球形度は、好ましい下限が0.2、より好ましい下限が0.3、好ましい上限が0.9、より好ましい上限が0.85である。
なお、上記ダイヤモンドの球形度は、電子顕微鏡写真を確認し、得られた像における粒子300個について、(粒子の投影面積に等しい円の直径/粒子の投影像に外接する最小円の直径)を算出し、その平均値により求めることができる。
なお、上記ダイヤモンドの球形度は、電子顕微鏡写真を確認し、得られた像における粒子300個について、(粒子の投影面積に等しい円の直径/粒子の投影像に外接する最小円の直径)を算出し、その平均値により求めることができる。
上記ダイヤモンドのアスペクト比は、好ましい下限が1、より好ましい下限が1.01、好ましい上限が10、より好ましい上限が9である。
なお、上記ダイヤモンドのアスペクト比は、電子顕微鏡写真を確認し、得られた像における粒子300個について、(長径/短径)を算出し、その平均値により求めることができる。
なお、上記ダイヤモンドのアスペクト比は、電子顕微鏡写真を確認し、得られた像における粒子300個について、(長径/短径)を算出し、その平均値により求めることができる。
上記ダイヤモンドの比表面積は、好ましい下限が0.05m2/g、より好ましい下限が0.1m2/g、好ましい上限が500m2/g、より好ましい上限が400m2/gである。
上記比表面積は、窒素ガス等を用いたガス吸着法等により測定することができる。
上記比表面積は、窒素ガス等を用いたガス吸着法等により測定することができる。
上記ダイヤモンドの破壊靭性は、好ましい下限が4MPa・m1/2、より好ましい下限が5MPa・m1/2、好ましい上限が9MPa・m1/2、より好ましい上限が8MPa・m1/2である。
なお、上記破壊靭性は、JIS R 1607に準拠して測定することができる。
なお、上記破壊靭性は、JIS R 1607に準拠して測定することができる。
本発明の樹脂組成物中の上記ダイヤモンドの含有量は、好ましい下限が10体積%、好ましい上限が90体積%である。
上記ダイヤモンドの含有量が10体積%以上であると、充分な熱伝導性を付与することができる。上記ダイヤモンドの含有量が90体積%以下であると、接着性に優れたものとすることができる。
上記ダイヤモンドの含有量は、より好ましい下限が25体積%、より好ましい上限が75体積%である。
なお、上記ダイヤモンドの含有量は、例えば、樹脂組成物の断面を電子顕微鏡で観察し、得られた画像中のダイヤモンドの占有率を算出することにより測定することができる。
なお、上記占有率とは、断面画像中におけるダイヤモンドと熱伝導性フィラーの断面面積中におけるダイヤモンドの断面積の割合を意味する。
上記ダイヤモンドの含有量が10体積%以上であると、充分な熱伝導性を付与することができる。上記ダイヤモンドの含有量が90体積%以下であると、接着性に優れたものとすることができる。
上記ダイヤモンドの含有量は、より好ましい下限が25体積%、より好ましい上限が75体積%である。
なお、上記ダイヤモンドの含有量は、例えば、樹脂組成物の断面を電子顕微鏡で観察し、得られた画像中のダイヤモンドの占有率を算出することにより測定することができる。
なお、上記占有率とは、断面画像中におけるダイヤモンドと熱伝導性フィラーの断面面積中におけるダイヤモンドの断面積の割合を意味する。
本発明の樹脂組成物中の上記ダイヤモンドの含有量は、好ましい下限が10重量%、より好ましい下限が15重量%、好ましい上限が99重量%、より好ましい上限が95重量%である。
上記ダイヤモンドの体積平均粒子径は、好ましい下限が0.01μm、好ましい上限が100μmである。
上記ダイヤモンドの体積平均粒子径が0.01μm以上であると、熱伝導経路におけるフィラー間の接触回数が減少し、より効率的な熱伝導が可能となる。上記ダイヤモンドの体積平均粒子径が100μm以下であると発熱体周辺の間隔が狭くても本発明の樹脂組成物を用いることが可能となる。
上記ダイヤモンドの体積平均粒子径は、より好ましい下限が0.02μm、より好ましい上限が90μmである。
上記ダイヤモンドの体積平均粒子径は、例えば、乾式のレーザー回析法により測定することができる。
上記ダイヤモンドの体積平均粒子径が0.01μm以上であると、熱伝導経路におけるフィラー間の接触回数が減少し、より効率的な熱伝導が可能となる。上記ダイヤモンドの体積平均粒子径が100μm以下であると発熱体周辺の間隔が狭くても本発明の樹脂組成物を用いることが可能となる。
上記ダイヤモンドの体積平均粒子径は、より好ましい下限が0.02μm、より好ましい上限が90μmである。
上記ダイヤモンドの体積平均粒子径は、例えば、乾式のレーザー回析法により測定することができる。
上記ダイヤモンドの体積平均粒子径は、本発明の樹脂組成物の膜厚に対して、好ましい上限が75%である。
上記ダイヤモンドの体積平均粒子径が上記樹脂組成物の膜厚に対して75%以下であることで、ダイヤモンドの充填量を充分なものとすることができる。
上記ダイヤモンドの体積平均粒子径は、上記樹脂組成物の膜厚に対して、好ましい下限が20%、より好ましい下限が25%、より好ましい上限が70%である。
なお、本発明において、樹脂組成物の膜厚とは、薄膜状とした樹脂組成物の厚みを意味し、薄膜状とした樹脂組成物とは、基材上に塗工することで得られるシート形状の樹脂組成物のみではなく、部材間に充填されることで得られる層状の樹脂組成物も含む。
上記ダイヤモンドの体積平均粒子径が上記樹脂組成物の膜厚に対して75%以下であることで、ダイヤモンドの充填量を充分なものとすることができる。
上記ダイヤモンドの体積平均粒子径は、上記樹脂組成物の膜厚に対して、好ましい下限が20%、より好ましい下限が25%、より好ましい上限が70%である。
なお、本発明において、樹脂組成物の膜厚とは、薄膜状とした樹脂組成物の厚みを意味し、薄膜状とした樹脂組成物とは、基材上に塗工することで得られるシート形状の樹脂組成物のみではなく、部材間に充填されることで得られる層状の樹脂組成物も含む。
上記ダイヤモンドはグラファイト等の炭素からなる元素鉱物を原料として、例えば、爆轟法、フラックス法、静的高圧法、化学気相蒸着法、高温高圧法等により製造することができる。なかでも、粒子径の大きなダイヤモンドを得られることから、高温高圧法により製造されたものが好ましく用いられる。
本発明の樹脂組成物は、熱伝導性フィラーを含有する。上記熱伝導性フィラーを含有することにより、熱伝導性材料と樹脂とのなじみを向上させて、樹脂組成物の塗工性を高め、均一な塗膜を形成することができる。また、硬化物の強靭性を向上させることができる。
上記熱伝導性フィラーの形状は粒状であることが好ましい。
上記熱伝導性フィラーの形状が粒状であることにより、樹脂組成物中でのダイヤモンドと熱伝導性フィラーとの局在化が生じやすくなり、その結果、誘電率勾配を形成して、優れた電気絶縁性を発揮することができる。
上記熱伝導性フィラーの形状が粒状であることにより、樹脂組成物中でのダイヤモンドと熱伝導性フィラーとの局在化が生じやすくなり、その結果、誘電率勾配を形成して、優れた電気絶縁性を発揮することができる。
上記熱伝導性フィラーとしては、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物等が挙げられる。なかでも、金属酸化物、金属窒化物が好ましい。
また、上記金属としては、アルミニウム、亜鉛、ケイ素等が挙げられる。なかでも、アルミニウムが好ましい。
上記熱伝導性フィラーとしては、具体的には、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等が挙げられる。なかでも、酸化アルミニウム、窒化アルミニウムが好ましい。
また、上記金属としては、アルミニウム、亜鉛、ケイ素等が挙げられる。なかでも、アルミニウムが好ましい。
上記熱伝導性フィラーとしては、具体的には、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等が挙げられる。なかでも、酸化アルミニウム、窒化アルミニウムが好ましい。
上記熱伝導性フィラーのビッカース硬度は、好ましい下限が5GPa、好ましい上限が30GPaである。
上記熱伝導性フィラーのビッカース硬度が5GPa以上であると、混錬時にダイヤモンドと接触することで、熱伝導性フィラーが削られて接触性を向上させることができる。上記熱伝導性フィラーのビッカース硬度が30GPa以下であると、混錬時にダイヤモンドと接触することで、ダイヤモンドを派生して接触性を向上させることができる。
上記熱伝導性フィラーのビッカース硬度は、より好ましい下限が6GPa、更に好ましい下限が7GPa、より好ましい上限が29GPa、更に好ましい上限が28GPaである。
上記熱伝導性フィラーのビッカース硬度は、例えば、DUH−W201(島津製作所社製)等のビッカース硬度計を用いることで測定することができる。
上記熱伝導性フィラーのビッカース硬度が5GPa以上であると、混錬時にダイヤモンドと接触することで、熱伝導性フィラーが削られて接触性を向上させることができる。上記熱伝導性フィラーのビッカース硬度が30GPa以下であると、混錬時にダイヤモンドと接触することで、ダイヤモンドを派生して接触性を向上させることができる。
上記熱伝導性フィラーのビッカース硬度は、より好ましい下限が6GPa、更に好ましい下限が7GPa、より好ましい上限が29GPa、更に好ましい上限が28GPaである。
上記熱伝導性フィラーのビッカース硬度は、例えば、DUH−W201(島津製作所社製)等のビッカース硬度計を用いることで測定することができる。
上記熱伝導性フィラーの球形度は、好ましい下限が0.2、より好ましい下限が0.3、好ましい上限が1、より好ましい上限が0.95である。
上記ダイヤモンドの球形度と上記熱伝導性フィラーの球形度との比(ダイヤモンドの球形度/熱伝導性フィラーの球形度)は、好ましい下限が0.1、より好ましい下限が0.2、好ましい上限が10、より好ましい上限が5である。
上記熱伝導性フィラーのアスペクト比は、好ましい下限が1、より好ましい下限が1.05、好ましい上限が10、より好ましい上限が9である。
上記ダイヤモンドのアスペクト比と上記熱伝導性フィラーのアスペクト比との比(ダイヤモンドのアスペクト比/熱伝導性フィラーのアスペクト比)は、好ましい下限が0.1、より好ましい下限が0.2、好ましい上限が10、より好ましい上限が5である。
上記熱伝導性フィラーの比表面積は、好ましい下限が0.05m2/g、より好ましい下限が0.1m2/g、好ましい上限が500m2/g、より好ましい上限が400m2/gである。
上記熱伝導性フィラーの真比重は、好ましい下限が0.1g/cm3、より好ましい下限が1.0g/cm3、好ましい上限が7.54g/cm3、より好ましい上限が7.52g/cm3である。
上記ダイヤモンドの真比重と上記熱伝導性フィラーの真比重との差は、下限が0.2g/cm3、上限が4g/cm3である。
上記真比重の差が0.2g/cm3以上であると、比重差によりダイヤモンドと熱伝導性フィラーとが樹脂組成物中で局在化して、樹脂組成物中に誘電率勾配が生じ、優れた電気絶縁性を発揮することができる。上記真比重の差が4g/cm3以下であると、樹脂組成物中でダイヤモンドと熱伝導性フィラーとが分離することがなく、ダイヤモンドと熱伝導性フィラーとの接触回数を好適化して、熱伝導性を向上させることができる。
上記真比重の差は、より好ましい下限が0.3g/cm3、より好ましい上限が3g/cm3である。
上記真比重の差が0.2g/cm3以上であると、比重差によりダイヤモンドと熱伝導性フィラーとが樹脂組成物中で局在化して、樹脂組成物中に誘電率勾配が生じ、優れた電気絶縁性を発揮することができる。上記真比重の差が4g/cm3以下であると、樹脂組成物中でダイヤモンドと熱伝導性フィラーとが分離することがなく、ダイヤモンドと熱伝導性フィラーとの接触回数を好適化して、熱伝導性を向上させることができる。
上記真比重の差は、より好ましい下限が0.3g/cm3、より好ましい上限が3g/cm3である。
上記熱伝導性フィラーの破壊靭性は、好ましい下限が1MPa・m1/2、より好ましい下限が2MPa・m1/2、好ましい上限が8MPa・m1/2、より好ましい上限が7MPa・m1/2である。
上記熱伝導性フィラーの熱伝導率は、好ましい下限が1.0W/m・K、より好ましい下限が5W/m・K、更に好ましい下限が10W/m・K、好ましい上限が3500W/m・K、より好ましい上限が3000W/m・Kである。
上記熱伝導性フィラーの誘電率は、好ましい下限が0.01、より好ましい下限が0.1、好ましい上限が100、より好ましい上限が50である。なお、誘電率は25℃、周波数1MHzの条件で測定したものである。
上記ダイヤモンドの誘電率と上記熱伝導性フィラーの誘電率との差は、好ましい下限が0.1、より好ましい下限が0.5、好ましい上限が50、より好ましい上限が40である。
上記熱伝導性フィラーの体積平均粒子径は、好ましい下限が0.01μm、より好ましい下限が0.1μm、好ましい上限が300μm、より好ましい上限が250μmである。
上記熱伝導性フィラーの体積平均粒子径は、例えば、乾式のレーザー回析法により測定することができる。
上記熱伝導性フィラーの体積平均粒子径は、例えば、乾式のレーザー回析法により測定することができる。
上記ダイヤモンドの体積平均粒子径に対する上記熱伝導性フィラーの体積平均粒子径の比(熱伝導性フィラーの体積平均粒子径/ダイヤモンドの体積平均粒子径)は、下限が1.5、上限が10である。
上記体積平均粒子径の比が1.5以上であると、ダイヤモンドと熱伝導性フィラーとを複合化する際の混錬工程において、体積平均粒子径の大きい熱伝導性フィラーが外側に向かいやすくなり、ダイヤモンドと混錬機器との接触を抑えて、混錬機器のダメージを抑制し、樹脂組成物の汚染を防止することができる。上記体積平均粒子径の比が10以下であると、ダイヤモンド同士が接触しやすくなり、熱伝導性を向上させることができる。
上記体積平均粒子径の比が1.5以上であると、ダイヤモンドと熱伝導性フィラーとを複合化する際の混錬工程において、体積平均粒子径の大きい熱伝導性フィラーが外側に向かいやすくなり、ダイヤモンドと混錬機器との接触を抑えて、混錬機器のダメージを抑制し、樹脂組成物の汚染を防止することができる。上記体積平均粒子径の比が10以下であると、ダイヤモンド同士が接触しやすくなり、熱伝導性を向上させることができる。
上記熱伝導性フィラーの体積平均粒子径は、上記樹脂組成物の膜厚に対して、好ましい下限が20%、好ましい上限が75%である。
上記熱伝導性フィラーの体積平均粒子径が上記好ましい下限以上、且つ、上記好ましい上限以下であると、上記熱伝導性フィラーの充填量を充分なものとして、熱伝導性に優れたものとすることができる。
上記熱伝導性フィラーの体積平均粒子径は、上記樹脂組成物の膜厚に対して、より好ましい下限が25%、より好ましい上限が70%である。
上記熱伝導性フィラーの体積平均粒子径が上記好ましい下限以上、且つ、上記好ましい上限以下であると、上記熱伝導性フィラーの充填量を充分なものとして、熱伝導性に優れたものとすることができる。
上記熱伝導性フィラーの体積平均粒子径は、上記樹脂組成物の膜厚に対して、より好ましい下限が25%、より好ましい上限が70%である。
本発明の樹脂組成物中の上記熱伝導性フィラーの含有量は、好ましい下限が1体積%、より好ましい下限が5体積%、好ましい上限が75体積%、より好ましい上限が50体積%である。
本発明の樹脂組成物における上記ダイヤモンドと上記熱伝導性フィラーとの合計含有量は、好ましい下限が30体積%、好ましい上限が95体積%である。
上記合計含有量が30体積%以上であると、充分な熱伝導性を付与することができる。上記合計含有量が95体積%以下であると、樹脂組成物のハンドリング性を向上させて、塗工性に優れたものとすることができる。
上記合計含有量は、より好ましい下限が35体積%、より好ましい上限が90体積%である。
上記合計含有量が30体積%以上であると、充分な熱伝導性を付与することができる。上記合計含有量が95体積%以下であると、樹脂組成物のハンドリング性を向上させて、塗工性に優れたものとすることができる。
上記合計含有量は、より好ましい下限が35体積%、より好ましい上限が90体積%である。
本発明の樹脂組成物における上記ダイヤモンドの含有量に対する上記熱伝導性フィラーの含有量の比(熱伝導性フィラーの含有量/ダイヤモンドの含有量)は、体積比で、好ましい下限が1/20、より好ましい下限が1/10、好ましい上限が20/1、より好ましい上限が10/1である。
本発明の樹脂組成物は、樹脂を含有する。
上記樹脂は、ダイヤモンド及び熱伝導性フィラーを樹脂組成物に保持するものであり、樹脂組成物に要求される接着性、機械的強度、耐熱性、電気的特性等の特定に応じて選択される。
上記樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等の硬化性樹脂が挙げられ、接着性、機械的強度をより向上させることができることから、熱硬化性樹脂が好ましく用いられる。
上記樹脂は、ダイヤモンド及び熱伝導性フィラーを樹脂組成物に保持するものであり、樹脂組成物に要求される接着性、機械的強度、耐熱性、電気的特性等の特定に応じて選択される。
上記樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等の硬化性樹脂が挙げられ、接着性、機械的強度をより向上させることができることから、熱硬化性樹脂が好ましく用いられる。
上記熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のエチレン−αオレフィン共重合体、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール等が挙げられる。また、ポリフッ化ビニリデン及びポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、スチレン−アクリロニトリル共重合体等が挙げられる。更に、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)樹脂、ポリフェニレン−エーテル共重合体(PPE)樹脂、変性PPE樹脂、脂肪族ポリアミド類、芳香族ポリアミド類、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチルエステル等のポリメタクリル酸エステル類等が挙げられる。また、ポリアクリル酸類、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルケトン、ポリケトン、液晶ポリマー、シリコーン樹脂、アイオノマー等が挙げられる。
上記光硬化性樹脂としては、感光性オニウム塩等の光カチオン触媒を含有するエポキシ樹脂や感光性ビニル基を有するアクリル樹脂等が挙げられる。
上記熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル酸メチル又はアクリル酸ブチル等を主なモノマー単位とするポリ(メタ)アクリル酸エステル樹脂等のホットメルト型接着樹脂が挙げられ、なかでもエポキシ樹脂が好ましく用いられる。
上記エポキシ樹脂としては特に限定されないが、多環式炭化水素骨格を主鎖に有するエポキシ樹脂が好ましい。多環式炭化水素骨格を主鎖に有するエポキシ樹脂を用いた場合、剛直となり、接着性や機械的強度が高められる。
上記多環式炭化水素骨格を主鎖に有するエポキシ樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ジシクロペンタジエンジオキシド、ジシクロペンタジエン骨格を有するフェノールノボラックエポキシ樹脂等のジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂(以下、「ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂」と記す)等が挙げられる。また、1−グリシジルナフタレン、2−グリシジルナフタレン、1,2−ジグリジジルナフタレン、1,5−ジグリシジルナフタレン、1,6−ジグリシジルナフタレン、1,7−ジグリシジルナフタレン、2,7−ジグリシジルナフタレン、トリグリシジルナフタレン、1,2,5,6−テトラグリシジルナフタレン等のナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂(以下、「ナフタレン型エポキシ樹脂」と記す)が挙げられる。更に、テトラヒドロキシフェニルエタン型エポキシ樹脂、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン、または3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボネート等が挙げられる。なかでも、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂やナフタレン型エポキシ樹脂が好適に用いられる。
これらの多環式炭化水素骨格を主鎖に有するエポキシ樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。また、上記ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂及びナフタレン型エポキシ樹脂は、それぞれ単独で用いられてもよいし、両者が併用されてもよい。
本発明の樹脂組成物中の上記樹脂の含有量は、好ましい下限が10重量%、好ましい上限が80重量%である。
上記樹脂の含有量が、10重量%以上であると、得られる樹脂組成物の接着性を向上させることができる。上記樹脂の含有量が、80重量%以下であると、得られる樹脂組成物の熱伝導性を向上させることができる。
上記樹脂の含有量は、より好ましい下限が15重量%、より好ましい上限が75重量%である。
上記樹脂の含有量が、10重量%以上であると、得られる樹脂組成物の接着性を向上させることができる。上記樹脂の含有量が、80重量%以下であると、得られる樹脂組成物の熱伝導性を向上させることができる。
上記樹脂の含有量は、より好ましい下限が15重量%、より好ましい上限が75重量%である。
上記樹脂の重量平均分子量は、好ましい下限が5000、好ましい上限が1000000である。
本発明の樹脂組成物は、更に、熱硬化剤又は光重合開始剤を含んでいてもよい。
上記熱硬化剤としては、ジシアンジアミド、アミン化合物(アミン硬化剤)、イミダゾール化合物(イミダゾール硬化剤)、フェノール化合物(フェノール硬化剤)及び酸無水物(酸無水物硬化剤)等が挙げられる。上記熱硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤等が挙げられる。
上記熱硬化剤としては、ジシアンジアミド、アミン化合物(アミン硬化剤)、イミダゾール化合物(イミダゾール硬化剤)、フェノール化合物(フェノール硬化剤)及び酸無水物(酸無水物硬化剤)等が挙げられる。上記熱硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物中の上記熱硬化剤の含有量は、好ましい下限が5重量%、より好ましい下限が10重量%、好ましい上限が60重量%、より好ましい上限が50重量%である。
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、更に、分散剤、可塑剤、乳化剤、軟化剤、充填剤、顔料、染料、シランカップリング剤、酸化防止剤などの添加剤等を含んでいてもよい。
本発明の樹脂組成物の製造方法は特に限定されず、例えば、ダイヤモンドに、熱伝導性フィラー、樹脂、必要に応じて添加される熱硬化剤、分散剤等の添加剤、及び、溶媒を混合し、攪拌して樹脂組成物溶液を調製し、続いて、溶媒を除去する方法等が挙げられる。
上記溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール溶媒や、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン及びキシレン等が挙げられる。上記溶媒は有機溶媒であることが好ましく、トルエンであることがより好ましい。上記溶媒は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
本発明の樹脂組成物の形状は特に限定されないが、薄膜状にして用いられることが好ましい。
本発明において、薄膜状の樹脂組成物とは、基材上に塗工することで得られるシート形状の樹脂組成物のみではなく、部材間に充填されることで得られる層状の樹脂組成物も含む。
本発明において、薄膜状の樹脂組成物とは、基材上に塗工することで得られるシート形状の樹脂組成物のみではなく、部材間に充填されることで得られる層状の樹脂組成物も含む。
本発明の樹脂組成物は薄膜状である場合、膜厚の好ましい下限は10μm、より好ましい下限が15μm、好ましい上限が1mm、より好ましい上限が750μmである。
本発明の樹脂組成物は、作動や稼働に際して高温となる物体であり、放熱を必要とするあらゆる分野において好適に用いることができる。例えば、CPU、画像処理チップ、大規模集積回路(LSI)等のパワーデバイスに用いられる半導体素子、液晶、プラズマディスプレイ(PDP)、LED、有機EL素子等の発光素子を有する電子機器では、作動や稼働に際して素子から発熱することから、上記素子に本発明の樹脂組成物を接触させて用いることで、放熱機能が発揮される。
本発明の樹脂組成物と発熱体とが積層された積層体も本発明の1つである。
本発明の積層体では、発熱体と本発明の樹脂組成物とが積層されていることにより、発熱体が発する熱を効率よく放熱することができる。
本発明の積層体では、発熱体と本発明の樹脂組成物とが積層されていることにより、発熱体が発する熱を効率よく放熱することができる。
上記発熱体は特に限定されないが、例えば、CPU、画像処理チップ、メモリー等、大規模集積回路(LSI)等のパワーデバイスの半導体素子基板、液晶、プラズマディスプレイ(PDP)、LED、有機EL表示装置等の表示装置に用いられる半導体素子基板、太陽電池セル、太陽電池モジュール等が挙げられる。
本発明の積層体は、更に、放熱体を有し、本発明の樹脂組成物を介して上記発熱体と上記放熱体とが積層されたものであってもよい。
本発明の積層体が、放熱体を有することにより、発熱体が発する熱を放熱体に効率よく伝達して、放熱機能を向上させることができる。
本発明の積層体が、放熱体を有することにより、発熱体が発する熱を放熱体に効率よく伝達して、放熱機能を向上させることができる。
上記放熱体は特に限定されないが、例えば、アルミニウム、銅等の金属、黒鉛、ダイヤモンド、窒化アルミニウム、窒化ほう素、窒化珪素、炭化珪素、酸化アルミニウム等の素材を利用したヒートスプレッダ、ヒートシンク、グラファイトシート、きょう体、電子基板、電気基板、放熱用配管等が挙げられる。
本発明の積層体を製造する方法としては、特に限定されない。例えば、発熱体に本発明の樹脂組成物を塗工する方法、本発明の樹脂組成物を離型処理されたPETフィルム上に塗工し、乾燥させて薄膜状の樹脂組成物を作製した後、薄膜状の樹脂組成物と発熱体とを接着する方法、発熱体と放熱体との間に本発明の樹脂組成物を充填して薄膜状の樹脂組成物を含む積層体とする方法等が挙げられる。
本発明によれば、混錬機器へのダメージを抑制して、樹脂組成物の汚染を防止することができ、高い熱伝導性と優れた電気絶縁性とを発揮可能な樹脂組成物を提供することができる。また、該樹脂組成物を含む積層体を提供することができる。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
エポキシ樹脂(エピコート828US、三菱化学社製)100重量部に対して、熱硬化剤としてジシアンジアミド(東京化成工業社製)10重量部、イミダゾール硬化剤(2MZA−PW、四国化成工業社製)1重量部を加えた。更に、表1に示す配合となるようにダイヤモンド粒子及び熱伝導性フィラーを加え、SUS304製の遊星式攪拌機を用いて500rpmで25分間攪拌することにより、樹脂組成物を得た。
なお、ダイヤモンド粒子として、体積平均粒子径24.5μmのダイヤモンド粒子(トーメイダイヤ社製、AGDグレード、六八面体形状、真比重3.52g/cm3、誘電率5.6)を用いた。また、熱伝導性フィラーとして、体積平均粒子径50.9μmのアルミナ粒子(昭和電工社製、ASグレード、熱伝導率32W/m・K、真比重3.92g/cm3、誘電率9.2)を用いた。
なお、ダイヤモンド粒子及び熱伝導性フィラーの体積平均粒子径は、レーザー回析粒度分布計(マルバーン社製、MasterSizer3000)を用いて測定した。
エポキシ樹脂(エピコート828US、三菱化学社製)100重量部に対して、熱硬化剤としてジシアンジアミド(東京化成工業社製)10重量部、イミダゾール硬化剤(2MZA−PW、四国化成工業社製)1重量部を加えた。更に、表1に示す配合となるようにダイヤモンド粒子及び熱伝導性フィラーを加え、SUS304製の遊星式攪拌機を用いて500rpmで25分間攪拌することにより、樹脂組成物を得た。
なお、ダイヤモンド粒子として、体積平均粒子径24.5μmのダイヤモンド粒子(トーメイダイヤ社製、AGDグレード、六八面体形状、真比重3.52g/cm3、誘電率5.6)を用いた。また、熱伝導性フィラーとして、体積平均粒子径50.9μmのアルミナ粒子(昭和電工社製、ASグレード、熱伝導率32W/m・K、真比重3.92g/cm3、誘電率9.2)を用いた。
なお、ダイヤモンド粒子及び熱伝導性フィラーの体積平均粒子径は、レーザー回析粒度分布計(マルバーン社製、MasterSizer3000)を用いて測定した。
(実施例2)
熱伝導性フィラーとして、体積平均粒子径42.0μmのアルミナ粒子(昭和電工社製、ASグレード、熱伝導率32W/m・K、真比重3.92g/cm3、誘電率9.2)を用いた以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を作製した。
熱伝導性フィラーとして、体積平均粒子径42.0μmのアルミナ粒子(昭和電工社製、ASグレード、熱伝導率32W/m・K、真比重3.92g/cm3、誘電率9.2)を用いた以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を作製した。
(実施例3)
熱伝導性フィラーとして、体積平均粒子径207.6μmのアルミナ粒子(住友化学工業社製、AAグレード、熱伝導率32W/m・K、真比重3.92g/cm3、誘電率9.2)を用いた以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を作製した。
熱伝導性フィラーとして、体積平均粒子径207.6μmのアルミナ粒子(住友化学工業社製、AAグレード、熱伝導率32W/m・K、真比重3.92g/cm3、誘電率9.2)を用いた以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を作製した。
(実施例4)
熱伝導性フィラーとして、体積平均粒子径53.8μmの窒化アルミニウム粒子(MARUWA社製、ANF−Sグレード、熱伝導率180W/m・K、真比重3.26g/cm3、誘電率8.7)を用いた以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を作製した。
熱伝導性フィラーとして、体積平均粒子径53.8μmの窒化アルミニウム粒子(MARUWA社製、ANF−Sグレード、熱伝導率180W/m・K、真比重3.26g/cm3、誘電率8.7)を用いた以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を作製した。
(比較例1)
アルミナ粒子を添加しなかった以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を作製した。
アルミナ粒子を添加しなかった以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を作製した。
(比較例2)
ダイヤモンド粒子を添加しなかった以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を作製した。
ダイヤモンド粒子を添加しなかった以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を作製した。
(比較例3)
熱伝導性フィラーとして、体積平均粒子径31.1μmのアルミナ粒子(昭和電工社製、ASグレード、熱伝導率32W/m・K、真比重3.92g/cm3、誘電率9.2)を用いた以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を作製した。
熱伝導性フィラーとして、体積平均粒子径31.1μmのアルミナ粒子(昭和電工社製、ASグレード、熱伝導率32W/m・K、真比重3.92g/cm3、誘電率9.2)を用いた以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を作製した。
(比較例4)
熱伝導性フィラーとして、体積平均粒子径42.0μmのアルミナ粒子(昭和電工社製、ASグレード、熱伝導率32W/m・K、真比重3.92g/cm3、誘電率9.2)を溶融し、アトマイズ噴霧法にて体積平均粒子径302.6μmに調整したアルミナ粒子を用いた以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を作製した。
熱伝導性フィラーとして、体積平均粒子径42.0μmのアルミナ粒子(昭和電工社製、ASグレード、熱伝導率32W/m・K、真比重3.92g/cm3、誘電率9.2)を溶融し、アトマイズ噴霧法にて体積平均粒子径302.6μmに調整したアルミナ粒子を用いた以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を作製した。
(比較例5)
熱伝導性フィラーとして、体積平均粒子径47.6μmの酸化マグネシウム粒子(宇部マテリアルズ社製、RFグレード、熱伝導率48W/m・K、真比重3.60g/cm3、誘電率9.8)を用いた以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を作製した。
熱伝導性フィラーとして、体積平均粒子径47.6μmの酸化マグネシウム粒子(宇部マテリアルズ社製、RFグレード、熱伝導率48W/m・K、真比重3.60g/cm3、誘電率9.8)を用いた以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を作製した。
(評価)
実施例及び比較例で得られた樹脂組成物について、下記の評価を行った。結果を表1に示した。
実施例及び比較例で得られた樹脂組成物について、下記の評価を行った。結果を表1に示した。
(1)機器ダメージの評価
実施例及び比較例において、樹脂組成物を作製する際に用いた遊星式攪拌機について、樹脂組成物作製前、及び、作製後の機器内側表面の表面粗さをグロスチェッカ(堀場製作所製:IG−331)を用いて測定し、以下の基準で評価した。
◎:作製前後における光沢度の変化量が5%未満であった。
〇:作製前後における光沢度の変化量5%以上、10%未満であった。
×:作製前後における光沢度の変化量10%以上、20%未満であった。
実施例及び比較例において、樹脂組成物を作製する際に用いた遊星式攪拌機について、樹脂組成物作製前、及び、作製後の機器内側表面の表面粗さをグロスチェッカ(堀場製作所製:IG−331)を用いて測定し、以下の基準で評価した。
◎:作製前後における光沢度の変化量が5%未満であった。
〇:作製前後における光沢度の変化量5%以上、10%未満であった。
×:作製前後における光沢度の変化量10%以上、20%未満であった。
(2)汚染評価
実施例及び比較例で得られた樹脂組成物について、蛍光X線分析装置(リガク社製、NEX)を用いて、遊星式攪拌機が削られることにより生じるSUS304由来の元素量を確認し、以下の基準で評価した。
◎:総元素量中における含有量が0.5%未満であった。
〇:総元素量中における含有量が0.5%以上、1.0%未満であった。
×:総元素量中における含有量が1.0%以上、5.0%未満であった。
実施例及び比較例で得られた樹脂組成物について、蛍光X線分析装置(リガク社製、NEX)を用いて、遊星式攪拌機が削られることにより生じるSUS304由来の元素量を確認し、以下の基準で評価した。
◎:総元素量中における含有量が0.5%未満であった。
〇:総元素量中における含有量が0.5%以上、1.0%未満であった。
×:総元素量中における含有量が1.0%以上、5.0%未満であった。
(3)熱伝導性の評価
実施例及び比較例で得られた樹脂組成物について、レーザーフラッシュ法熱定数測定装置(アルバック理工社製、「TC−9000」)を用いて熱伝導率を測定し、以下の基準で評価した。なお、熱伝導率としては各樹脂組成物に対して測定を9回行い、その平均値を用いた。
◎:8W/m・K以上であった。
〇:6W/m・Kよりも大きく、8W/m・K未満であった。
×:6W/m・K以下であった。
実施例及び比較例で得られた樹脂組成物について、レーザーフラッシュ法熱定数測定装置(アルバック理工社製、「TC−9000」)を用いて熱伝導率を測定し、以下の基準で評価した。なお、熱伝導率としては各樹脂組成物に対して測定を9回行い、その平均値を用いた。
◎:8W/m・K以上であった。
〇:6W/m・Kよりも大きく、8W/m・K未満であった。
×:6W/m・K以下であった。
(4)絶縁性の評価
実施例及び比較例で得られた樹脂組成物を離型PETシート上に塗工し、90℃のオーブン内にて10分間乾燥させることで積層シートを得た。得られた積層シートから離型PETシートを剥離し、更に銅箔及びアルミニウム板によって挟み、温度140℃、圧力4MPaの条件で真空プレス成型を行うことにより樹脂組成物層を有する積層体を得た。これに対して耐電圧試験機(ETECH Electronics社製「MODEL7473」)を用いて、0.33kV/秒の速度で電圧が上昇するように、25℃にて交流電圧を印加し、10mAの電流が流れた電圧を絶縁破壊電圧とした。絶縁破壊電圧を厚みで除算することで規格化し、絶縁破壊強度を算出した。絶縁破壊強度を以下の基準で判定した。
◎:30kV/mm以上
〇:20kV/mm以上、30kV/mm未満
×:20kV/mm未満
実施例及び比較例で得られた樹脂組成物を離型PETシート上に塗工し、90℃のオーブン内にて10分間乾燥させることで積層シートを得た。得られた積層シートから離型PETシートを剥離し、更に銅箔及びアルミニウム板によって挟み、温度140℃、圧力4MPaの条件で真空プレス成型を行うことにより樹脂組成物層を有する積層体を得た。これに対して耐電圧試験機(ETECH Electronics社製「MODEL7473」)を用いて、0.33kV/秒の速度で電圧が上昇するように、25℃にて交流電圧を印加し、10mAの電流が流れた電圧を絶縁破壊電圧とした。絶縁破壊電圧を厚みで除算することで規格化し、絶縁破壊強度を算出した。絶縁破壊強度を以下の基準で判定した。
◎:30kV/mm以上
〇:20kV/mm以上、30kV/mm未満
×:20kV/mm未満
本発明によれば、混錬機器へのダメージを抑制して、樹脂組成物の汚染を防止することができ、高い熱伝導性と優れた電気絶縁性とを発揮可能な樹脂組成物を提供することができる。また、該樹脂組成物を含む積層体を提供することができる。
1 樹脂組成物
2 ダイヤモンド
3 熱伝導性フィラー
4 バインダー樹脂
5 発熱体
6 放熱体
2 ダイヤモンド
3 熱伝導性フィラー
4 バインダー樹脂
5 発熱体
6 放熱体
Claims (4)
- ダイヤモンド、熱伝導性フィラー、及び、樹脂を含有し、前記ダイヤモンドの体積平均粒子径に対する前記熱伝導性フィラーの体積平均粒子径の比が1.5〜10であり、前記ダイヤモンドの真比重と前記熱伝導性フィラーの真比重との差が0.2〜4g/cm3であることを特徴とする樹脂組成物。
- 熱伝導性フィラーの熱伝導率が10W/m・K以上であることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
- ダイヤモンドの含有量が10〜90体積%であることを特徴とする請求項1又は2記載の樹脂組成物。
- 請求項1、2又は3記載の樹脂組成物と発熱体とが積層されていることを特徴とする積層体。
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