JP2019087920A - 光ビーコン - Google Patents
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Abstract
Description
このうち、光ビーコンは、近赤外線を通信媒体とした光通信を採用しており、車載機との双方向通信が可能である。具体的には、車両の保持するビーコン間の旅行時間情報等を含むアップリンク情報が車載機からインフラ側の光ビーコンに送信される。
このため、光ビーコンは、車載機との間で光信号を投受光する投受光器(以下、「ビーコンヘッド」ともいう。)を車線ごとに備えている。各ビーコンヘッドの筐体内には、ダウンリンク光を道路に向けて送出する発光素子と、車載機が送出したアップリンク光を受信する受光素子とを有する光通信用の送受信ユニットが搭載されている。
以下、本発明の実施形態の概要を列記して説明する。
(1) 本実施形態の光ビーコンは、通信用発光ユニットをそれぞれ有する複数の光ビーコンヘッドと、前記複数の光ビーンヘッドに対する光ビーコン制御機とを備える光ビーコンであって、前記光ビーコン制御機は、前記通信用発光ユニットの発光制御をするための複数のスイッチング素子と、制御基板を備え、前記制御基板は、複数の第1出力ポートと、第2出力ポートと、を有し、前記複数の第1出力ポートは、個別の信号線により各スイッチング素子とそれぞれ接続され、各スイッチング素子への制御信号をそれぞれ出力するためのポートであり、前記第2出力ポートは、分岐した信号線により複数の前記スイッチング素子と接続され、前記複数の光ビーコンヘッドの前記通信用発光ユニットを発光させる信号を出力するためのポートである。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態の詳細を説明する。
本実施形態では、車載機2から光ビーコン4に向けて送出される上りフレーム又はこれにより伝送する情報を、「アップリンク情報」又は「アップリンク信号」という場合がある。また、光ビーコン4から車載機2に向けて送出される下りフレーム又はこれにより伝送する情報を、「ダウンリンク情報」又は「ダウンリンク信号」という場合がある。
図1は、本実施形態に係る路車間通信システムの概略構成を示すブロック図である。図2は、本実施形態の光ビーコン4の設置部分を上から見た道路Rの平面図である。
図1に示すように、本実施形態の路車間通信システムは、インフラ側の交通管制システム1と、道路Rを走行する車両20(図3参照)に搭載された車載機2とを備える。
光ビーコン4は、通信制御などを行うビーコン制御機(通信制御部)7と、このビーコン制御機7のセンサ用インタフェースに接続された複数(図1の例では4つ)のビーコンヘッド(投受光器)8とを有する。
通信部6は、例えば、信号灯器の灯色を制御する交通信号制御機や、インフラ側における交通情報の中継処理を行う情報中継装置等より構成することができる。
これに対して、本実施形態の車載機2は、半二重通信方式を採用している。すなわち、後述の車載制御機21(図3参照)は、光送信部23に対するアップリンク方向の送信制御と、光受信部24に対するダウンリンク方向の受信制御とを同時には行わない。
光ビーコン4のビーコンヘッド8は、光通信用の送受信ユニット11(光送受信部)と、車両感知用のセンサユニット12とを筐体9内に備える(図1及び図3参照)。
このように、本実施形態の光ビーコン4では、1つビーコンヘッド8の筐体9に、光通信と車両感知のための各ユニット11,12をそれぞれ組み込むことにより、光通信機能と車両感知機能とを併有した構造となっている。
図1に示すように、送受信ユニット11は、ダウンリンク光DO(図3参照)を送出する光通信用の発光ユニット13と、アップリンク光UO(図3参照)を受光して電気信号に変換する光通信用の受光ユニット14とを有する。
通信用発光ユニット13の発光素子は、近赤外線の光信号であるダウンリンク光DOを上流側に向かって斜め下方に送出する。
通信用受光ユニット14の受光素子は、車載機2がビーコンヘッド8の手前で送出した近赤外線の光信号であるアップリンク光UOを受光して電気信号に変換する。通信用受光ユニット14の受信回路は、変換された電気信号から生成したデジタル信号をビーコン制御機7に送る。
図1に示すように、センサユニット12は、入射光IO(図3参照)を送出する車両感知用の発光ユニット15と、反射光RO(図3参照)を受光して電気信号に変換する車両感知用の受光ユニット16とを有する。
車両感知用の受光ユニット16(以下、「感知用受光ユニット16」ともいう。)は、上記入射光IOの道路Rや車両20に対する反射光ROを受光し、受光した反射光ROを電気信号に変換してビーコン制御機7に送る。
また、ビーコン制御機7は、通信制御や感知制御のためのコンピュータプログラムを記憶装置(図示せず)に格納しており、このプログラムをCPUが読み出して実行することにより、当該CPUが上記通信制御部及び感知制御部としての機能を実現する。
ビーコン制御機7は、上記ダウンリンク信号の送出を継続しつつ、そのダウンリンク信号の受信を契機として車載機2が送信するであろう、ID値を含むアップリンク信号(上りフレーム)の受信の有無を判定している。
なお、ビーコン制御機7は、車両20の位置及び時刻などの走行軌跡よりなるプローブデータなどの、アップリンク信号に含まれる情報を中央装置3に転送する。
すなわち、ビーコン制御機7は、感知用受光ユニット16において閾値以上の反射光ROの受光強度が検出された場合に、車両20の感知信号を生成し、その感知信号を中央装置3に送信する。なお、この閾値は固定値とは限らず、例えば、反射光ROの受光強度に応じた追従処理によって変動することもある。
図2に示すように、本実施形態の光ビーコン4は、同じ方向の複数(図例では4つ)の車線R1〜R4を有する道路Rに設置されている。
光ビーコン4は、各車線R1〜R4にそれぞれ対応して設けられた複数の前記ビーコンヘッド8と、これらのビーコンヘッド8を一括制御する通信制御部である1台の前記ビーコン制御機7とを備える。
ビーコンヘッド8の通信用発光ユニット13は、自機の直下よりも車両進行方向の上流側に向けてダウンリンク光DOを発光する。これにより、車載機2との間で路車間通信を行うための通信領域Aが当該ビーコンヘッド8の上流側に設定される。
図3は、光ビーコン4の通信領域Aと入射領域Bを示す道路Rの側面図である。
図3に示すように、送受信ユニット11の通信領域Aは、車載機2によるダウンリンク光DOの受光可能範囲であるダウンリンク領域DA(実線のハッチング部分)と、ビーコンヘッド8によるアップリンク光UOの受光可能範囲であるアップリンク領域UA(破線のハッチング部分)とから構成されている。
ダウンリンク領域DAの下流端位置a0:+1.3m
アップリンク領域UAの下流端位置b0:a0+2.1m(=3.4m)
双方領域DA,UAの上流端位置c0 :b0+1.6m(=5.0m)
ダウンリンク領域DAの下流端位置a0:+0.70m
アップリンク領域UAの下流端位置b0:a0+2.70m(=3.40m)
双方領域DA,UAの上流端位置c0 :b0+2.64m(=6.04m)
各位置a0〜c0の規格値は、道路面からの高さHが1.0mの基準面における投受光器8の直下位置(原点O)から上流方向を正の数とした場合の値である。
これに対して、新インタフェース規格では、ダウンリンク光DOの伝送速度は従来通りであるが、アップリンク光UOの伝送速度が高低2種類のマルチレート(低速が64kbit/sでかつ高速が256kbit/s)に変更されている。
また、新インタフェース規格に従う車載機2は、従来通りの低速アップリンク送信と新たな高速アップリンク送信とが可能なマルチレート対応の車載機(「新車載機」又は「高度化車載機」と呼ばれる。)である。
すなわち、本実施形態では、光ビーコン4が新光ビーコン(高度化光ビーコン)であり、車載機2が新車載機(高度化光車載機)である場合を想定している。
入射領域Bの道路幅方向の中心は、ビーコンヘッド8に対応する車線R1〜R4の道路幅方向の中心とほぼ等しい位置にある。なお、入射光IOの発光方向V1は、通常、鉛直方向に対して所定角度α(例えば、4.5°)だけ上流側(プラス側)に指向させるが、鉛直方向に対して所定角度だけ下流側(マイナス側)に指向させてもよい。
図3に示すように、本実施形態の車載機2は、車載制御機(通信制御部)21と車載ヘッド(光送受信部)22とを備える。車載ヘッド22の内部には、光送信部23と光受信部24が収容されている。
光送信部23は、近赤外線よりなるアップリンク光UO(アップリンク方向の光信号)を発光する発光素子を有し、光受信部24は、近赤外線よりなるダウンリンク光UO(ダウンリンク方向の光信号)を受光する受光素子を有する。
光受信部24は、ダウンリンク方向の光信号を光電変換して電気信号を出力するフォトダイオード等よりなる受光素子と、出力された電気信号を増幅してデジタルの受信信号を生成する受信回路とを有する。
また、車載制御機21は、通信制御のためのコンピュータプログラムを記憶装置(図示ぜず)に格納しており、このプログラムをCPUが読み出して実行することにより、当該CPUが上記通信制御部として機能する。
この場合、新インタフェース規格のようにアップリンク速度を高速化すれば、より多くのプローブ情報(走行軌跡を記録する道路区間を長くしたり、同一道路区間における通過位置と通過時刻の記録密度を高くしたりした情報)を送信することが可能になる。
この簡易制御部は、例えば、光受信部24が何らかの下りフレームを受信した場合に、自車両の車両IDを含む上りフレーム(従来の伝送速度64kbit/sの上りフレーム)を1つだけ、光送信部23にアップリンク送信させる機能を有する。
図4は、上りフレームのフレーム構成図である。
図4に示すように、上りフレームの格納領域には、先頭から順に、フレームの区切りを認識するための同期用の伝送制御部(以下、「同期部」という。)、ヘッダ部、実データ部、及びCRC(Cyclic Redundancy Check )用の伝送制御部(以下、「CRC部」という。)が含まれる。
上りフレームのヘッダ部には、「サブシステムキー情報数」、「車両ID」、「車載機種別」、「情報種別」、「最終フレームフラグ」及び「同一情報種別内フレーム番号」などの格納領域が含まれる。
すなわち、情報数がゼロの場合は、実データ部に「サブシステムキー情報」が含まれず、情報数が「1」の場合は、実データ部に1つの「サブシステムキー情報」が含まれ、情報数が「n」の場合は、実データ部にn個の「サブシステムキー情報」が含まれる。
車載機2は、自車両がUTMS規格のどのシステムに対応しているかに応じて、「サブシステムキー情報数」と「サブシステムキー情報」の内容を決定する。
また、車載機2は、自車両がUTMS規格の2つのシステムに対応する場合は、ヘッダ部の「サブシステムキー情報数」の値を「2」に設定し、当該2つのシステムの規格にそれぞれ従った内容の「サブシステムキー情報(1)」及び「サブシステムキー情報(2)」を、実データ部に格納する。
このように、光ビーコン4は、「サブシステムキー情報」の種別に基づいて、アップリンク受信後のダウンリンク情報に含める「特別情報」の種類を決定する。
「車載機種別」は、車載機2の種別を格納する領域である。「情報種別」は、アップリンク情報の種別を格納する領域である。新インタフェース規格では、これらの領域の値により、アップリンク送信主体の新旧と、アップリンク情報が高速か低速かを表す。
また、車載機2は、高速の上りフレームを送信する場合は、「車載機種別」に新車載機を示す所定値(例えば、「6」)を格納し、「情報種別」に所定値(例えば、「4」)を格納する。
なお、旧車載機の場合は、車載機種別の値を「6」以外に設定するので、光ビーコン4は、「車載機種別」の値が「6」以外の上りフレームを受信した場合は、通信相手が高速アップリンク送信に非対応の旧車載機であると判定できる。
例えば、車載機2は、複数の上りフレームを連続送信する場合は、そのうちの最後の上りフレームの「最終フレームフラグ」にのみ所定のフラグ値(例えば、「1」)を格納し、それ以外の上りフレームにはそのフラグ値を格納しない。また、車載機2は、上りフレームを1つだけ送信する場合には、当該上りフレームに最終フレームフラグを立てる。
車載機2が連続送信することができる上りフレームの数は、最大で16フレームと規定されている。従って、車載機2は、例えば16個の上りフレームを連続送信する場合は、先頭の上りフレームから順に1〜16までの番号値を「同一情報種別内フレーム番号」に格納する。なお、1フレーム送信の場合にも当該フレーム番号に番号値が付される。
図5は、下りフレームのフレーム構成図である。
図5に示すように、下りフレームの格納領域にも、上りフレームのフレーム構成(図4)の場合と同様に、先頭から順に、同期部、ヘッダ部、実データ部、及びCRC部が含まれる。
下りフレームのヘッダ部には、「情報種別」、「最終フレームフラグ」及び「同一情報種別内フレーム番号」などの格納領域が含まれる。
例えば、光ビーコン4は、1回のダウンリンク周期に連続送信する同一情報種別である複数の下りフレームのうち、最後の下りフレームの「最終フレームフラグ」にのみ所定のフラグ値(例えば、「1」)を格納し、それ以外の同一情報種別の下りフレームにはそのフラグ値を格納しない。また、光ビーコン4は、下りフレームを1つだけ送信する場合には、当該下りフレームに最終フレームフラグを立てる。
光ビーコン4が1つの提供情報を連続送信する場合の下りフレーム数は最大で80フレーム(車線通知情報を格納する先頭フレームを含む。)と規定されている。従って、光ビーコン4は、例えば80個の下りフレームを連続送信する場合は、先頭の下りフレームから順に1〜80までの番号値を「同一情報種別内フレーム番号」に格納する。なお、1フレーム送信の場合にも当該フレーム番号に番号値が付される。
すなわち、光ビーコン4は、低速の上りフレームの受信前後において車載機2に対する提供情報の内容を切り替えることができる。
光ビーコン4は、車載機2への単一情報種別の提供情報が実データ部の容量(123バイト)に収まらない場合は、複数の下りフレーム(下りフレーム群)に分けて送信することより、提供情報を車載機2に提供する。従って、1つの下りフレームに異なる情報種別のダウンリンク情報が混在することはない。
「車線通知情報」の格納領域には、「車両ID」、「車線番号」及び「ビーコン識別フラグ」などが含まれる。光ビーコン4は、アップリンク受信前の第1の下りフレームに含める車線通知情報には、「車両ID」に識別値(ID値)を格納していない。
従って、車載機2は、受信した折り返しフレームの車線通知情報に自車両のID値が含まれているか否かにより、光ビーコン4との通信確立を判定することができる。
従って、車載機2は、受信した折り返しフレームの車線通知情報に含まれる車線番号値から、自車両がどの車線を走行中かを判定することができる。
高速アップリンク受信に対応する光ビーコン4は、下りフレームの「ビーコン識別フラグ」に所定のフラグ値(例えば、「01」)を格納し、高速アップリンク受信に対応していない旧光ビーコンは、下りフレームの「ビーコン識別フラグ」にそれ以外の値(例えば、「00」)を格納する。
すなわち、本実施形態の光ビーコン4は、第1の下りフレームのフラグフィールドをオフ(ビーコン識別フラグ=00)に設定し、第2の下りフレームのフラグフィールドをオン(ビーコン識別フラグ=01)に設定する。
また、下りフレームは、ダウンリンク方向に送出すべきデータ量に応じた任意数のフレームで構成され、上記の送信可能時間の範囲内で繰り返し送信され、下りフレームの送信周期は約1msである。
もっとも、新インタフェース規格の光ビーコンでは、ダウンリンク領域DAがビーコンヘッド8の直下付近まで拡大しているので、1〜80個の下りフレームで構成される下りフレーム群を繰り返し送信する回数を増加させることができる。
「車線通知情報」は、前述の通りである。「路線信号情報」とは、光ビーコン4の設置地点の下流側に位置する交差点の路線信号情報のことである。「旅行速度リンク情報」とは、光ビーコン4ごとに予め設定された提供リンクの旅行速度情報のことである。
図6は、通信領域Aで行われる路車間通信の一例を示すシーケンス図である。
図6において、下りフレームDL1は、低速アップリンク受信前の初期状態において光ビーコン4が繰り返し送信する下りフレーム(第1の下りフレーム)である。
下りフレームDL2は、低速アップリンク受信後に光ビーコン4が繰り返し送信する下りフレーム(第2の下りフレーム)である。
上りフレームUL2は、下りフレームDL2の受信に応じて車載機2が送信する高速の上りフレームである。高速の上りフレームUL2を「高速フレームUL2」ともいう。
白丸を付したフレームは、車両IDにID値が未格納であるフレームを示し、黒丸を付したフレームは、車両IDにID値が格納されたフレームであることを示す。
図6では、上りフレーム群のフレーム数が4フレームの場合を例示しているが、フレーム数は4つに限定されるものではない。例えば、上りフレーム群は、高速フレームUL2が3つ以上送信される場合もあるし(規格上は最大16フレーム)、比較的長いデータ長である高速フレームUL2が1つだけ送信される場合もある。
以下の路車間通信の説明では、動作主体が光ビーコン4と車載機2となっているが、実際の通信制御は、光ビーコン4のビーコン制御機(通信制御部)7と、車載機2の車載制御機(通信制御部)21が実行する。
道路Rのいずれかの車線R1〜R4を走行する車両20がダウンリンク領域DAに入ると、車載機2が車線通知情報(ID値なし)を含む下りフレームDL1又はその他の下りフレームDL1を受信する。これにより、車載機2は、自車両が光ビーコン4の通信領域Aに入ったことを察知する。
車載機2は、旅行時間情報などの光ビーコン4に提供すべき情報がある場合には、低速フレームUL1(ID格納フレームU0)の実データ部にその情報を格納する。
光ビーコン4は、上記の車線通知情報を連続送信する期間(インタフェース規格では8±2msと規定されている。以下、「連送期間」という。)の経過後に、他の提供情報を含む下りフレームDL2の繰り返し送信を所定のダウンリンク周期ごとに実行する。
連送期間の後に行われる下りフレームDL2の繰り返し送信は、所定時間(例えば、350ms)内において可能な限り繰り返される。
車載機2は、低速フレームU0の後に高速フレームU1〜U3を送信する場合に、低速フレームU0と高速フレームU1の間に「送信中断期間」(新インタフェース規格では、最大20msと規定されている。)を設けることにより受信態勢となっており、この送信中断期間に折り返しフレームを受信する。
上記の判定結果が肯定的である場合には、車載機2は、自車両のID値のループバックが成功したと判断し、上記の送信中断期間が経過するまで自機の通信状態を受信のまま維持する。
この場合、車載機2は、先に送信した上りフレームUL1の送信後所定時間(例えば、30m秒)が経過した後に、再び上りフレームUL1を送信する。車載機2は、この再送の動作を自車両のID値のループバックが成功するまで繰り返す。
すなわち、車載機2は、上記の判定結果が肯定的である場合は、送信中断期間の後に高速フレームUL2(U1〜U3)を送信し、上記の判定結果が否定的である場合は、高速フレームUL2を送信しない。
車線R1〜R4(図2参照)ごとに設置された複数のビーコンヘッド8を有する光ビーコン4では、例えば、ある車線R1のビーコンヘッド8からのダウンリンク光DOの反射光が、他の車線R2のビーコンヘッド8に到達することがある。
この場合、車線R2のビーコンヘッド8が、車線R2を通行する車両20が送信したアップリンク光UOを反射光の影響によって受信できなくなり、車線R2における上りフレームUL1,UL2の受信に失敗する可能性がある。
特に、高速フレームUL2は、低速フレームUL1に比べて伝送速度がダウンリンク光DOに近いため、低速フレームUL1よりもダウンリンク光DOの反射光の影響をうけ易く、上記の問題点がよりいっそう顕著になると考えられる。
これにより、高速アップリンク送信に対応する車載機2がアップリンク送信する高速フレームUL2を光ビーコン4が受信し易くなり、ダウンリンク光DOの反射光によって高速アップリンク通信が阻害されるのを抑制することができる。
発光停止の実行方法は、ダウンリンク信号の送信停止だけでなく、発光素子への電圧印加の停止、ダウンリンク光DOを物理的に遮光することなど、ビーコンヘッド8の外部にダウンリンク光UOを出さなくできるものであれば手段を問わない。
本実施形態は、光ビーコン4が第1処理を実行する場合を想定する。
従って、高速フレームUL2の受信期間に応じてダウンリンク光DOの発光制御処理を適切に実行するには、妥当な停止及び再開タイミングを予め設定しておく必要がある。
図7は、光ビーコン4に適用可能なダウンリンク光DOの発光の停止及び再開タイミングの一例を示すタイムチャートである。
図7において、上段側の棒グラフは、光ビーコン4による下りフレームDL2の送信タイミングを示し、下段側の棒グラフは、光ビーコン4による上りフレームUL1,UL2の受信タイミングを示す。時間tは左側から右側に進行する。
図7に示すように、本実施形態の光ビーコン4は、発光停止のための必要十分条件である停止条件1及び2の少なくとも1つ成立を契機として、通信用発光ユニット(光送信部)13によるダウンリンク光DOの発光を停止させ、発光再開のための必要十分条件である再開条件1〜3の少なくとも1つの成立を契機として、通信用発光ユニット13によるダウンリンク光DOの発光を再開させる。
本実施形態の光ビーコン4において、図7に示す再開条件1〜3だけでなく、更に他の再開条件も含めていずれかが成立する場合に、ダウンリンク光DOの発光を再開することにしてもよい。
また、以下の説明では、動作主体が光ビーコン4となっているが、実際の情報処理は光ビーコン4のビーコン制御機(通信制御部)7が実行する。
その理由は、高速フレームUL2の受信不良を解消するには、車載機2が高速フレームUL2を送信して来ることが前提であり、高度化車載機であることを示す識別情報を含む低速フレームUL1を光ビーコン4が受信した場合に、その前提が成立するからである。
図7に示すように、光ビーコン4は、「停止条件1」の成立を契機として「発光停止1」を実行する。すなわち、発光停止1は停止条件1に対応する処理である。
具体的には、停止条件1は、高度化車載機を示す識別情報を含む低速フレームUL1の一例である、例えば車載機種別の値が「6」である低速フレームUL1の受信から所定の遅延期間D1(例えば10ms)が経過したことであり、発光停止1は、停止条件1の成立時点の次の下りフレームDL2の先頭を送信する時点に実行される。
従って、停止条件1の遅延期間D1は、インタフェース規格の連送期間(8±2ms)とほぼ一致することが好ましく、本実施形態では10ms(最大値)を採用している。
下りフレームDL2の1フレーム分の送信時間は概ね1msである。従って、遅延期間D1を10msに設定する場合、10フレーム分のダウンリンク信号を送出した時点で遅延期間D1が経過したと判断することができる。
例えば、光ビーコン4が、複数のビーコンヘッド8から下りフレームDL1,DL2を同期してダウンリンク送信しており、発光停止については、停止条件1が成立した車線(例えば、車線R1とする)のみで実行する場合を想定する。
これに対して、車線R1において下りフレームDL2の先頭で発光を停止すると、隣接する車線R2の光量も下りフレームDL2の先頭で低下し、車線R2を走行する車両20の車載機2が当該下りフレームDL2の受信を失敗する可能性が低くなる。
光ビーコン4は、「停止条件2」の成立を契機として「発光停止2」を実行する。すなわち、発光停止2は停止条件2に対応する処理である。
具体的には、停止条件2は、低速フレームUL1の受信後に高速フレームUL2を初めて受信したこと(以下、「初回受信」という。)であり、発光停止2は、停止条件2の成立時点の次の下りフレームDL2の先頭を送信する時点に実行される。
例えば、車載機2が高速フレームUL2を16フレーム送信し、そのうちの3番目の高速フレームUL2を光ビーコン4が初回受信した場合を想定する。
発光停止2が、停止条件2の成立時点の次の下りフレームDL2の先頭を送信する時点に実行される理由は、発光停止1の場合(他の車線におけるダウンリンク通信の阻害を抑制する。)と同様である。
すなわち、停止条件1に基づく発光停止1に失敗しても、停止条件2に基づく発光停止2を実行することにより、ダウンリンク光DOの発光停止を確実に実行できる。
すなわち、停止条件2に基づく発光停止2に失敗しても、停止条件1に基づく発光停止1を実行することにより、ダウンリンク光DOの発光停止を確実に実行できる。
また、発光停止1及び2は、条件成立時点の後の下りフレームDL2の区切りで行えばよく、例えば、条件成立時点から見て最初の下りフレームDL2と2番目の下りフレームDL2の区切りで行ってもよい。
図7に示すように、光ビーコン4は、「再開条件1」の成立を契機として「発光再開1」を実行する。すなわち、発光再開1は再開条件1に対応する処理である。
具体的には、再開条件1は、発光停止中において、高速フレームUL2の初回受信から所定の遅延期間D2が経過したことであり、発光再開1は、再開条件1の成立時点の次の下りフレームDL2の先頭を送信する時点に実行される。
遅延期間D2=(16−フレーム番号値)×1フレーム送信時間
従って、例えば、初回受信に係る高速フレームUL2のフレーム番号の値が「5」の場合には、遅延期間D2=(16−5)×3ms=33msとなり、初回受信から33msを加算した時点が再開条件1の成立時点となる。
遅延期間D2=(16−5)×2.3ms+α≒25.3ms+α=26.0ms
もっとも、遅延期間D2を、高速フレームUL2の残りの受信時間をカバーし得る固定の時間長に設定することにしてもよい。固定の時間長としては、例えば、車載機2が高速フレームUL2の連続送信する場合の最大時間(=38ms:アイドル5バイト+16フレームの送信時間)を採用すればよい。
残り15フレーム:15×2.3=34.5ms→35msを設定値とする。
残り14フレーム:14×2.3=32.2ms→33msを設定値とする。
残り13フレーム:13×2.3=29.9ms→30msを設定値とする。
(中略)
残り2フレーム:2×2.3=4.6ms→5msを設定値とする。
残り1フレーム:1×2.3=2.3ms→3msを設定値とする。
下りフレームDL2の1フレーム分の送信時間は概ね1msである。従って、遅延期間D1を33msに設定する場合、33フレーム分のダウンリンク信号を送出した時点で遅延期間D2が経過したと判断することができる。
例えば、光ビーコン4が、複数のビーコンヘッド8から下りフレームDL1,DL2を同期してダウンリンク送信しており、発光再開については、再開条件1が成立した車線(例えば、車線R1とする)のみで実行する場合を想定する。
これに対して、車線R1において下りフレームDL2の先頭で発光を再開すると、隣接する車線R2の光量も下りフレームDL2の先頭で増加し、車線R2を走行する車両20の車載機2が当該下りフレームDL2の受信を失敗する可能性が低くなる。
図7に示すように、光ビーコン4は、「再開条件2」の成立を契機として「発光再開2」を実行する。すなわち、発光再開2は再開条件2に対応する処理である。
具体的には、再開条件2は、発光停止中において、低速フレームUL1を受信した当該車線において更に低速フレームUL1(図7中の破線で示すUL1)を受信したことであり、発光再開2は、再開条件2の成立時点の次の下りフレームDL2の先頭を送信する時点に実行される。
図7に示すように、光ビーコン4は、「再開条件3」の成立を契機として「発光再開3」を実行する。すなわち、発光再開3は再開条件3に対応する処理である。
具体的には、再開条件3は、ダウンリンク光DOの実際の発光停止(図例では、発光停止1)から所定の遅延期間D3(例えば45ms)が経過したことであり、発光再開3は、再開条件3の成立時点の次の下りフレームDL2の先頭を送信する時点に実行される。
下りフレームDL2の1フレーム分の送信時間は概ね1msである。従って、遅延期間D3を45msに設定する場合、45フレーム分のダウンリンク信号を送出した時点で遅延期間D3が経過したと判断することができる。
すなわち、再開条件1に基づく発光再開1に失敗しても、再開条件3に基づく発光再開3を実行することにより、ダウンリンク光DOの発光再開を確実に実行できる。
すなわち、再開条件3に基づく発光再開3に失敗しても、再開条件1に基づく発光再開1を実行することにより、ダウンリンク光DOの発光再開を確実に実行できる。
従って、本実施形態の光ビーコン4は、再開条件2のみを単独で採用することはできない。すなわち、再開条件2は、再開条件1及び3の少なくとも1つとともに採用すべき再開条件である。
また、発光再開1〜3は、条件成立時点の後の下りフレームDL2の区切りで行えばよく、例えば、条件成立時点から見て最初の下りフレームDL2と2番目の下りフレームDL2の区切りで行ってもよい。
光ビーコン4が中央装置3などから受信する情報の1つに、「プローブ管理情報」がある。光ビーコン4は、プローブ管理情報を中央装置3から受信することにより、ビーコン識別フラグのフラグ値を「01」(256kbit/s対応の高度化光ビーコン)にし、新光ビーコンとして振る舞う。
このように、光ビーコン4は、プローブ管理情報を中央装置3などから受信することにより高度化光ビーコンとして振る舞い、車載機2からプローブ情報を収集可能となる。
従って、プローブ管理情報が未受信の光ビーコン4の場合には、通信相手が256bit/s対応の車載機2であっても、高速フレームUL2を受信できない。
光ビーコン4は、発光再開のための再開条件として、上述の再開条件1〜3の他に、発光停止中の車線において、高速フレームUL2の最終フレームを受信したこと(以下、「再開条件4」という。)を採用してもよい。
再開条件1:発光停止中の車線において、高速フレームUL2を最初に受信したフレーム番号に応じた所定の遅延時間D2が経過したこと。
再開条件4:発光停止中の車線において、高速フレームUL2の最終フレームを受信したこと。
すなわち、再開条件1及び4を適用する高速フレームUL2は、直前に受信した低速フレームUL1の車両IDの識別値を含むものに限定することが好ましい。その理由は、次の通りである。
この場合、隣接する車線R2を走行する別の車両20(ID値=x2)が送信した高速フレームUL2の受信により、車線R1のダウンリンク光DOの発光を再開すると、車線R1の車両20の高速フレームUL2が受信不能になる可能性が増大するからである。
図8は、発光制御処理を車線R1〜R4ごとに実行可能な光ビーコン4の内部構成の一例を示すブロック図である。
図8に示すように、光ビーコン4のビーコン制御機7は、FPGA(Field-Programmable Gate Array)よりなる制御部31を有する制御基板32と、ダウンリンク信号(電気信号)の伝送路である信号線33を取り纏める端子台基板34とを備える。制御部31は、FPGAの代わりに通信ICなどで構成してもよい。
制御部31は、ダウンリンク信号を送出する複数(図例では4つ)の出力ポートを備え、各出力ポートに信号線33が接続されている。それらの信号線33は、それぞれビーコンヘッド8の通信用発光ユニット13に接続されている。
同様に、車線R2〜R4用のダウンリンク信号2〜4を送出する出力ポートは、信号線33によって車線R2〜R4のビーコンヘッド8の通信用発光ユニット13にそれぞれ接続されている。
例えば、制御部31は、車線R1における低速フレームUL1の受信などよる発光停止及び発光再開については、車線R1に対応するダウンリンク信号1の送信停止及び送信再開によって実行する。
従って、図8の光ビーコン4は、車両感知のための入射光IOをダウンリンク光DOと同期させるタイプの光ビーコンである。従って、ダウンリンク光DOと非同期の入射光IOを独自に生成する感知用発光ユニット15を採用する場合には、分岐線35は不要である。この点は、後述する図9及び図10の光ビーコン4においても同様である。
図9の光ビーコン4では、制御部31は、ダウンリンク信号の出力ポートを1つだけ有する。出力ポートに接続されたダウンリンク信号の信号線33は、端子台基板34において複数に分岐し、各々の分岐線が各車線R1〜R4の通信用発光ユニット13にそれぞれ接続されている。
各車線R1〜R4のビーコンヘッド8には、信号線33による信号伝送をオンオフするスイッチング素子36が設けられている。
制御部31は、発光制御信号1〜4を送出する複数(図例では4つ)の出力ポートを備え、各出力ポートにゲート電圧の制御線37が接続されている。それらの制御線37は、それぞれビーコンヘッド8のスイッチング素子36に接続されている。
同様に、車線R2〜R4用の発光制御信号2〜4を送出する出力ポートは、制御線37によって車線R2〜R4のビーコンヘッド8のスイッチング素子36にそれぞれ接続されている。
例えば、制御部31は、車線R1における低速フレームUL1の受信などによる発光停止及び発光再開については、発光制御信号1により車線R1のスイッチング素子のゲート電圧を制御することによって実行する。
図10の光ビーコン4は、図9の光ビーコン4と同様に、制御部31がダウンリンク信号の出力ポートを1つだけ有しており、端子台基板34で分岐する信号線33により、同じダウンリンク信号が各車線R1〜R4のビーコンヘッド8にそれぞれ伝送される。
2 車載機
3 中央装置
4 光ビーコン
5 通信回線
6 通信部
7 ビーコン制御機(通信制御部、発光制御部)
8 ビーコンヘッド
9 筐体
11 送受信ユニット
12 センサユニット
13 通信用の発光ユニット(光送信部)
14 通信用の受光ユニット(光受信部)
15 感知用の発光ユニット
16 感知用の受光ユニット
17 支柱
18 架設バー
20 車両
21 車載制御機
22 車載ヘッド
23 光送信部
24 光受信部
31 制御部
32 制御基板
33 信号線
34 端子台基板
35 分岐線
36 スイッチング素子
37 制御線
R 道路
R1〜R4 車線
Claims (1)
- 通信用発光ユニットをそれぞれ有する複数の光ビーコンヘッドと、前記複数の光ビーンヘッドに対する光ビーコン制御機とを備える光ビーコンであって、
前記光ビーコン制御機は、
前記通信用発光ユニットの発光制御をするための複数のスイッチング素子と、制御基板を備え、
前記制御基板は、
複数の第1出力ポートと、第2出力ポートと、を有し、
前記複数の第1出力ポートは、
個別の信号線により各スイッチング素子とそれぞれ接続され、各スイッチング素子への制御信号をそれぞれ出力するためのポートであり、
前記第2出力ポートは、
分岐した信号線により複数の前記スイッチング素子と接続され、前記複数の光ビーコンヘッドの前記通信用発光ユニットを発光させる信号を出力するためのポートである
光ビーコン。
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