JP2017055375A - 光ビーコン - Google Patents

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Abstract

【課題】設置現場において低速フレームの受信感度と高速フレームの受信感度との関係を適切に設定することができる、アップリンク方向でマルチレート対応の光ビーコンを提供する。【解決手段】高低2種類の伝送速度での光電気変換が可能な光受信部11、及び所定の伝送速度での電気光変換が可能な光送信部を有するビーコンヘッド8と、低速フレームを受信するための低速用受信系26Aと、高速フレームを受信するための高速用受信系26Bと、を含む。前記低速用受信系及び前記高速用受信系それぞれは、上りの光信号を受光する受光素子と、この受光素子が出力する電気信号を増幅する増幅器33A,33Bと、を有し、前記低速用受信系及び前記高速用受信系のうち少なくとも一方の受信系は、前記増幅器の増幅倍率を変更可能な調整部39をさらに有し、前記増幅倍率の変更指示を外部から取得するように構成されている。【選択図】図14

Description

本発明は、走行中の車両の車載機と光信号による無線通信を行う光ビーコンに関する。
光ビーコンと車載機が無線で光通信を行う路車間通信システムにおいて、高速アップリンク受信に対応する光ビーコン(以下、「新光ビーコン」ともいう。)と、高速アップリンク送信に対応する車載機(以下、「新車載機」ともいう。)を新たに導入することが検討されている(例えば、特許文献1参照)。
具体的には、新光ビーコンは、低速アップリンク送信のみを行う車載機(以下、「旧車載機」という。)と通信可能であり、新車載機は、低速アップリンク受信のみを行う光ビーコン(以下、「旧光ビーコン」ともいう。)と通信可能である必要がある。
そこで、特許文献1では、車両の識別情報(以下、「車両ID」という。)を格納した低速フレームを高速フレームの前に送信し、高速アップリンク通信に対応する新型機器の場合でも、低速フレームによる通信を最初に行う通信手順が提案されている。
新車載機が低速フレームの後に高速フレームを送信する場合には、車両の走行速度によっては、低速フレームを受信可能であるが高速フレームを受信不能な領域(特許文献1の図11の不感領域F)において、新車載機が高速フレームを送信することがある。
かかる不感領域において高速フレームが送信されると、新光ビーコンが高速フレームを受信できなくなり、高速フレームの再送を許さない通信規格の場合は、新光ビーコンが高速フレームを取得できる可能性がなくなる。
そこで、特許文献1では、低速フレームを受信可能なエリアの上流端(以下、「第1アップリンク上流端」という。)よりも上流側又は実質的に同じ位置となるように、高速フレームを受信可能なエリアの上流端(以下、「第2アップリンク上流端」という。)の位置を設定すること(以下、「アップリンク位置設定」という。)が提案されている。
これにより、新光ビーコンに上記の不感領域が発生しなくなり、低速フレームの後に送信される高速フレームを新光ビーコンが適切に受信できるようになる。
特開2014−16973号公報
上述のアップリンク位置設定が成立するための光学的な条件(以下、「光学的条件」という。)は、アップリンク領域の上流端付近の所定位置から送信された高速フレームの新光ビーコンによる受信が必須(受信必須)である場合に、当該所定位置において新光ビーコンによる低速フレームの受信が禁止(受信禁止)されていることである。
上記の光学的条件に関連するパラメータを図示すると、図16のようになる。すなわち、図16は、アップリンク位置設定の光学的条件に関するパラメータの説明図である。
図16において、「UL1」は低速フレームを示し、「UL2」は高速フレームを示している。ここでは、新車載機が同じ光強度のUL1及びUL2を道路上から送信した場合の、ビーコンヘッドの受光面におけるUL1及びUL2の光強度を想定する。
図16に示す通り、UL1の最大受信禁止感度X1は、新光ビーコンがこの値より小さいUL1を受けてはいけない光強度の閾値(例えば、X1=0.4μW/cm)であり、UL1の最低受信必須感度X2は、新光ビーコンがこの値より大きいUL1は受けなければならない光強度の閾値(例えば、X2=0.5μW/cm)である。
同様に、UL2の最大受信禁止感度Y1は、新光ビーコンがこの値より小さいUL2を受けてはいけない光強度の閾値(例えば、Y1=0.2μW/cm)であり、UL2の最低受信必須感度Y2は、新光ビーコンがこの値より大きいUL2は受けなければならない光強度の閾値(例えば、Y2=0.3μW/cm)である。
新光ビーコンの受信感度の閾値を上記のように定義すると、第2アップリンク上流端が第1アップリンク上流端よりも上流側(又は実質的に同じ位置)となるためには、アップリンク領域の上流端(ビーコンヘッドの真下から上流側に6.04mの位置)付近の同じ位置から送信されたUL1,UL2について、X1≧Y2となるように新光ビーコンの受信感度を調整すればよい。
なお、アップリンク光の発光パワーが比較的大きい新車載機の場合には、アップリンク領域の上流端よりも更に上流側から送信されたUL1,UL2を、新光ビーコンが受信可能となる場合もある。
従って、アップリンク領域の上流端よりも更に上流側の幾つかの所定位置から送信されたUL1,UL2においても、X1≧Y2の関係が成立することを確認することが好ましい。なお、UL1,UL2の送信位置は、道路の進行方向の座標で定義してもよいし、受光面に対する入射角θで定義してもよい。
しかし、X1≧Y2の光学的条件が成立するように新光ビーコンを工場出荷時に調整しても、設置現場において、例えば道路環境や新光ビーコンの設置環境が特殊な場合には、X1≧Y2の光学的条件が成立しなくなることが想定される。
本発明は、このような事情に鑑み、アップリンク位置設定の光学的条件を設置現場で成立させることができる、アップリンク方向でマルチレート対応の光ビーコンを提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る光ビーコンは、高低2種類の伝送速度での光電気変換が可能な光受信部、及び所定の伝送速度での電気光変換が可能な光送信部を有するビーコンヘッドと、前記光受信部が出力する電気信号から低速フレーム又は高速フレームを再生可能な通信制御部と、を備え、走行中の車両の車載機と光信号による無線通信を行う光ビーコンであって、前記光受信部は、低速フレームを受信するための低速用受信系と、高速フレームを受信するための高速用受信系と、を含み、前記低速用受信系及び前記高速用受信系それぞれは、上りの光信号を受光する受光素子と、この受光素子が出力する電気信号を増幅する増幅器と、を有し、前記低速用受信系及び前記高速用受信系のうち少なくとも一方の受信系は、前記増幅器の増幅倍率を変更可能な調整部をさらに有し、前記調整部は、前記増幅倍率の変更指示を前記ビーコンヘッドの外部から取得するように構成されている、光ビーコンである。
本発明によれば、アップリンク位置設定の光学的条件を設置現場で成立させることができる、アップリンク方向でマルチレート対応の光ビーコンを提供することができる。
路車間通信システムの全体構成を示すブロック図である。 光ビーコンの設置部分を上から見た道路の平面図である。 光ビーコンの通信領域を示す側面図である。 従来の通信手順を示すシーケンス図である。 新旧の光ビーコンと車載機の混在状態を示す図である。 新光ビーコンの上位互換制御を示すフローチャートである。 アップリンク情報のフレーム構成図である。 ダウンリンク情報のフレーム構成図である。 送信中断期間を設けない場合の路車間通信を示すシーケンス図である。 送信中断期間を設ける場合の路車間通信を示すシーケンス図である。 アップリンク領域の上流側に位置するダウンリンク領域の部分である、ダウンリンク上流部の一例を示す説明図である。 新光ビーコンの回路構成例を示すブロック図である。 低速用受信系と高速用受信系の受信可能なエリアを示す側面図である。 新光ビーコンの制御構成例を示すブロック図である。 変形例に係る新光ビーコンの制御構成を示すブロック図である。 アップリンク位置設定の光学的条件に関するパラメータの説明図である。 アップリンク位置設定の光学的条件の道路位置ごとの成立条件の説明図である。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
本発明の実施形態に係る光ビーコンは、高低2種類の伝送速度での光電気変換が可能な光受信部、及び所定の伝送速度での電気光変換が可能な光送信部を有するビーコンヘッドと、前記光受信部が出力する電気信号から低速フレーム又は高速フレームを再生可能な通信制御部と、を備え、走行中の車両の車載機と光信号による無線通信を行う光ビーコンであって、前記光受信部は、低速フレームを受信するための低速用受信系と、高速フレームを受信するための高速用受信系と、を含み、前記低速用受信系及び前記高速用受信系それぞれは、上りの光信号を受光する受光素子と、この受光素子が出力する電気信号を増幅する増幅器と、を有し、前記低速用受信系及び前記高速用受信系のうち少なくとも一方の受信系は、前記増幅器の増幅倍率を変更可能な調整部をさらに有し、前記調整部は、前記増幅倍率の変更指示を前記ビーコンヘッドの外部から取得するように構成されている。
上記光ビーコンによれば、ビーコンヘッドの光受信部における低速用受信系及び高速用受信系のうち少なくとも一方の受信系の調整部に対して、ビーコンヘッドの外部から増幅器の増幅倍率の変更指示を行うことができる。
このため、新光ビーコンの設置現場において、低速フレームの受信感度と高速フレームの受信感度との関係を適切に設定することにより、アップリンク位置設定の光学的条件を設置現場で成立させることができる。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。
[システムの全体構成]
図1は、本発明の実施形態に係る路車間通信システムの全体構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態の路車間通信システムは、インフラ側の交通管制システム1と、道路Rを走行する車両20(図3参照)に搭載された車載機2とを備える。
交通管制システム1は、交通管制室等に設けられた中央装置3と、道路Rの各所に多数設置された光ビーコン(光学式車両感知器)4とを備える。光ビーコン4は、近赤外線を通信媒体とした光通信によって車載機2との間で無線通信を行うことができる。
光ビーコン4は、ビーコン制御機7と、このビーコン制御機7のセンサ用インタフェースに接続された複数(図1では4つ)のビーコンヘッド(投受光器ともいう。)8とを有している。
ビーコン制御機7は、インフラ側の通信部6に接続されており、通信部6は電話回線等の通信回線5によって中央装置3と接続されている。
通信部6は、例えば、信号灯器の灯色を制御する交通信号制御機や、インフラ側における交通情報の中継処理を行う情報中継装置等より構成することができる。
本実施形態の光ビーコン4は、全二重通信方式を採用している。すなわち、後述のビーコン制御機7は、光送信部10に対するダウンリンク方向の送信制御と、光受信部11に対するアップリンク方向の受信制御とを同時に行うことができる。
これに対して、本実施形態の車載機2は、半二重通信方式を採用している。すなわち、後述の車載制御機21は、光送信部23に対するアップリンク方向の送信制御と、光受信部24に対するダウンリンク方向の受信制御とを同時には行わない。
なお、光送信部23に対するアップリンク方向の送信制御と、光受信部24に対するダウンリンク方向の受信制御は同時に行われていても良いが、実態として、どちらかのみしか機能しないように構成されているものとする。すなわち、アップリンクの送信中にはダウンリンクを受信することが困難な構成である。
[光ビーコンの構成]
光ビーコン4のビーコンヘッド8は、電気光変換が可能な光送信部10と、光電気変換が可能な光受信部11とを筐体の内部に有している。
このうち、光送信部10は、近赤外線よりなるダウンリンク光(ダウンリンク方向の光信号)をダウンリンク領域DA(図3参照)に送出する発光素子を有する。光受信部11は、アップリンク領域UA(図3参照)にある車載機2からの近赤外線よりなるアップリンク光(アップリンク方向の光信号)を受光する受光素子を有する。
光送信部10は、ビーコン制御機7から送出される下りフレームを所定の伝送速度のシリアルな送信信号に変換する送信回路と、出力された送信信号をダウンリンク方向の光信号に変換する、発光ダイオード等よりなる発光素子と備えている。
本実施形態の光ビーコン4では、光送信部10が送信する光信号の伝送速度は、従来の旧光ビーコンと同様に1024kbpsである。
光受信部11は、フォトダイオード等よりなる受光素子と、この受光素子が出力する電気信号を増幅してデジタルの受信信号を生成する受信回路とを備えている。
本実施形態の光ビーコン4では、光受信部11は、高低2種類の伝送速度での光電気変換が可能なマルチレート対応である。低い方の伝送速度は従来の旧光ビーコンと同様に64kbpsである。高い方の伝送速度は、128kbps、192kbps、256kbps、384kbps、512kbps、1024kbpsなどの速度を採用し得るが、本実施形態では256kbpsであるとする。
図2は、本実施形態の光ビーコン4の設置部分を上から見た道路Rの平面図である。
図2に示すように、本実施形態の光ビーコン4は、同じ方向の複数(図例では4つ)の車線R1〜R4を有する道路Rに設置されており、車線R1〜R4に対応して設けられた複数のビーコンヘッド8と、これらのビーコンヘッド8を一括制御する制御部である1台のビーコン制御機7とを備えている。
ビーコン制御機7は、信号処理部、CPU及びメモリなどを有するコンピュータ装置よりなり、通信部6(図1参照)を介した中央装置3との双方向通信と、車載機2との路車間通信を行う通信制御部としての機能を有する。
また、ビーコン制御機7は、通信制御のためのコンピュータプログラムを記憶装置に格納しており、このプログラムをCPUが読み出して実行することにより、当該CPUが上記通信制御部として機能する。
ビーコン制御機7は、道路脇に立設した支柱13に設置されている。また、各ビーコンヘッド8は、支柱13から道路R側に水平に架設した架設バー14に取り付けられ、道路Rの各車線R1〜R4の直上に配置されている。
ビーコンヘッド8の発光素子は、車線R1〜R4の直下よりも車両進行方向の上流側に向けて近赤外線を発光しており、これにより、車載機2との間で路車間通信を行うための通信領域Aが当該ヘッド8の上流側に設定されている。
[光ビーコンの通信領域]
図3は、光ビーコン4の通信領域Aを示す側面図である。
図3に示すように、光ビーコン4の通信領域Aは、ダウンリンク領域(図3において実線のハッチングを設けた領域)DAと、アップリンク領域(図3において破線のハッチングを設けた領域)UAとからなる。
このうち、ダウンリンク領域DAは、ビーコンヘッド8が送出するダウンリンク方向の光信号を、車載機2の投受光器である車載ヘッド22にて受信できる領域であり、ビーコンヘッド8の投受光位置d、地上1m高さの位置a及びcを頂点とする△dacで示された範囲である。
また、アップリンク領域UAは、車載ヘッド22が送出するアップリンク方向の光信号を、ビーコンヘッド8にて受信できる領域であり、上記投受光位置dと、地上1m高さの位置b及びcを頂点とする△dbcで示された範囲である。
従って、ダウンリンク領域DAとアップリンク領域UAの上流端cは互いに一致し、アップリンク領域UAは、ダウンリンク領域DAの車両進行方向の上流部分(図3の右側部分)に重複している。また、ダウンリンク領域DAの車両進行方向長さは、通信領域A全体の同方向長さと一致している。
旧光ビーコン(光学式車両感知器)の場合、ダウンリンク領域DA及びアップリンク領域UAの正式な領域寸法が規約によって規定されている。
例えば、一般道向けの旧光ビーコンの場合、ダウンリンク領域DAの下流端aが、ビーコンヘッド8の直下の1.0〜1.3m上流側に位置し、ダウンリンク領域DAの下流端aからアップリンク領域UAの下流端bまでの距離が2.1mと規定されている。
また、アップリンク領域UAの下流端bから同領域UAの上流端cまでの距離は1.6mと規定されている。従って、正式な通信領域Aの車両進行方向の全長(ac間の長さ)は3.7mとなる。
これに対して、本実施形態の光ビーコン4(新光ビーコン)では、ダウンリンク領域DAの下流端aをビーコン直下まで延ばし上流端cを上記規定よりも上流側に延ばすことにより、ダウンリンク領域DAの車両進行方向の範囲を、高速アップリンク受信に非対応の旧光ビーコンの場合よりも広く設定している。
具体的な数値で例示すると、ビーコンヘッド8の真下を0m(原点)として、そこから上流方向を正の方向とした場合、本実施形態のダウンリンク領域DAの範囲(図3の位置aから位置cまでの範囲)は、0.70〜6.04mとなっている。
このようにダウンリンク領域DAを広めに設定すると、車載機2がダウンリンク方向の光信号を受信する確実性が増すとともに、通信時間が長くなるのでダウンリンク方向の通信容量を拡大することができる。
また、本実施形態のアップリンク領域UAの範囲(図3の位置bから位置cまでの範囲)は、3.40〜6.04mとなっており、上流端cの位置が従来よりも1.04mだけ上流側に拡張されている。
このようにアップリンク領域UAを広めに設定すると、光ビーコン4がアップリンク方向の光信号を受信する確実性が増すとともに、通信時間が長くなるのでアップリンク方向の通信容量を拡大することができる。
[車載機の構成]
図3に示すように、本実施形態の車載機2は、車載制御機21と車載ヘッド22とを備えており、車載ヘッド22の内部には、光送信部23と光受信部24が収容されている。
このうち、光送信部23は、近赤外線よりなるアップリンク光(アップリンク方向の光信号)を発光する発光素子を有し、光受信部24は、ダウンリンク領域DAに送出された近赤外線よりなるダウンリンク光(ダウンリンク方向の光信号)を受光する受光素子を有する。
光送信部23は、車載制御機21から出力される上りフレームを所定の伝送速度のシリアルな送信信号に変換する送信回路と、出力された送信信号をアップリンク方向の光信号に変換する、発光ダイオード等よりなる発光素子とを備えている。
本実施形態の車載機2では、光送信部23は、高低2種類の伝送速度での電気光変換が可能なマルチレート対応であり、低い方の伝送速度は、従来の旧車載機と同様に64kbpsである。高い方の伝送速度は、128kbps、192kbps、256kbps、384kbps、512kbps、1024kbpsなどの速度を採用し得るが、本実施形態では256kbpsであるとする。
光受信部24は、フォトダイオード等よりなる受光素子と、この受光素子が出力する電気信号を増幅してデジタルの受信信号を生成する受信回路とを備えている。
本実施形態の車載機2では、光受信部24が受信する光信号の伝送速度は、従来の旧車載機と同様に1024kbpsである。
車載制御機21は、信号処理部、CPU及びメモリなどを有するコンピュータ装置よりなり、光ビーコン4との路車間通信を行う通信制御部としての機能を有する。
また、車載制御機21は、通信制御のためのコンピュータプログラムを記憶装置に格納しており、このプログラムをCPUが読み出して実行することにより、当該CPUが上記通信制御部として機能する。
更に、車載制御機21は、アップリンクデータとして、自車両の走行データ(例えば、通過位置と通過時刻を時系列に並べた走行軌跡データであるプローブ情報など)を生成して、光送信部23にアップリンク送信させる機能も有する。
この場合、アップリンク速度を高速化することで、より多くのプローブ情報(走行軌跡を記録する道路区間を長くしたり、同一道路区間における通過位置と通過時刻の記録密度を高くしたりした情報)を送信することが可能になる。
なお、本実施形態の車載制御機21は、上記CPUを含む本体制御部とは別に、ASIC(Application Specific Integrated Circuit )等を含む簡易制御部を設けた回路構成であってもよい。
この簡易制御部は、例えば、光受信部24が何らかの下りフレームを受信した場合に、自機の車両20の識別情報(以下、「車両ID」という。)を含む低速の上りフレームを生成する機能を有する。
[用語の定義等]
ここで、本明細書で用いる用語の定義を行う。
下りフレームDL1:光ビーコン4が、後述するダウンリンク切り替え前に、ダウンリンク領域DAに向けて繰り返し送信する下りフレームのことをいう。
上りフレームUL1:下りフレームDL1の受信に応じて車載機2が送信する上りフレームのうち、伝送速度が低速のものをいう。「低速フレームUL1」ともいう。
上りフレームUL2:下りフレームDL1の受信に応じて車載機2が送信する上りフレームのうち、伝送速度が高速のものをいう。「高速フレームUL2」ともいう。
車載機2が高速アップリンク送信に対応する新車載機2A(図5参照)の場合は、上りフレームとして、低速フレームUL1と高速フレームUL2の双方を送信でき、車載機2が高速アップリンク送信に非対応の旧車載機2B(図5参照)の場合には、上りフレームとして低速フレームUL1しか送信できない。
下りフレームDL2:光ビーコン4が、後述するダウンリンク切り替え後に、ダウンリンク領域DAに向けて繰り返し送信する下りフレーム(一連のフレーム群の場合を含む。)のことをいう。
ID格納フレーム:車載機2が、自車両の車両IDの値を所定の格納領域(例えば、アップリンク情報のヘッダ部の「車両ID」(図7参照))に記して生成した、「低速」の上りフレームUL1のことをいう。
折り返しフレーム:光ビーコン4が、ID格納フレームを受信した場合に、そのフレームに含まれる車両IDと同じ値を所定の格納領域に記して生成した下りフレームDL2のことをいう。
ID折り返し:光ビーコン4が、ID格納フレームを受信した場合に、折り返しフレームを生成してダウンリンク送信する処理のことをいう。
なお、光ビーコン4が、ID格納フレームを受信した場合に、折り返しフレームの連送を行わずにダウンリンク切り替えを行ってもよい。
車両IDのループバック:車載機2がID格納フレームを生成し、生成したID格納フレームをアップリンク送信し、光ビーコン4がID折り返しを行うことにより、車両IDを送信元の車載機2にループバックさせる一連の処理のことをいう。
ダウンリンク切り替え:光ビーコン4が繰り返して送信する下りフレームDL1,DL2に含める実質的なデータ内容を、当該切り替えの前後で変化させることをいう。
本実施形態では、ダウンリンク切り替え後の下りフレームDL2には、折り返しフレームと、車両IDに対応する車両向けの提供情報を含む下りフレームDL2とが含まれる。この提供情報には、例えば、渋滞情報、区間旅行時間情報及び事象規制情報などの情報を含めることができる。
これらの情報は、高速アップリンク送信に非対応の旧車載機に対しても提供されるものである。
もっとも、本実施形態の光ビーコン4(新光ビーコン)では、高速アップリンク送信に対応する新車載機を搭載した車両向けの提供情報として、例えば、交差点における信号灯色の切り替えタイミングを含む信号情報や、車両20が電気自動車の場合に有用な情報である直近の充電ステーションまでの経路を示す充電ステーション情報など、新車載機用として予め定めた専用情報を提供することもできる(図9及び図10参照)。
上りフレームUL1及び下りフレームDL1,DL2における車両IDのデータ格納領域は、どの領域を使用してもよいが、例えば「ヘッダ部」や「車線通知情報」を使用することができる。
下りフレームDL1,DL2の車線通知情報には、車線R1〜R4(図2)ごとに車両IDを格納するフィールドがあり、各車両IDに対して車線番号を付与できる。このため、異なる車線R1〜R4を走行する車両20の車載機2は、格納フィールド内のいずれに自車両の車両IDが含まれるかを読み取ることで、自車両がどの車線R1〜R4を走行中かを判定できる。
[上りフレームのフレーム構成]
図7は、アップリンク情報(上りフレーム)のフレーム構成図である。
図7に示すように、上りフレームUL1は、先頭から順に、受信側と同期を取るための同期用の伝送制御部(以下、「同期部」という。)、ヘッダ部、実データ部及びCRC(Cyclic Redundancy Check )用の伝送制御部(以下、「CRC部」という。)を有する。
図7に示すように、上りフレームUL1の場合は、同期部に1バイトが割り当てられ、ヘッダ部に10バイトが割り当てられ、実データ部に最大59バイトが割り当てられ、CRC部には4バイト(1バイトのアイドル部+2バイトのCRC+1バイトの最終同期部)が割り当てられている。
アップリンク情報のヘッダ部には、「サブシステムキー情報数」、「車両ID」、「車載機種別」及び「情報種別」などの格納領域が含まれる。
「サブシステムキー情報数」(以下、「情報数」と略記することがある。)には、実データ部の先頭から順に格納する「サブシステムキー情報」の数が格納される。
すなわち、情報数がゼロの場合は、実データ部に「サブシステムキー情報」が含まれず、情報数が「1」の場合は、実データ部に1つの「サブシステムキー情報」が含まれ、情報数が「n」の場合は、実データ部にn個の「サブシステムキー情報」が含まれる。
上記「サブシステムキー情報」は、光ビーコン4が、公共車両優先システム(PTPS)、車両運行管理システム(MOCS)、現場急行支援システム(FAST)及び安全運転支援システム(DSSS)などのダウンリンク情報の付加情報を選択するためのキー情報である。
車載機2は、自車両がUTMS規格のどのシステムに対応しているかに応じて、「サブシステムキー情報数」と「サブシステムキー情報」の内容を決定する。
例えば、車載機2は、自車両がUTMS規格の1つのシステムに対応する場合は、ヘッダ部の「サブシステムキー情報数」の値を「1」に設定し、当該1つのシステムの規格に従った内容の「サブシステムキー情報(1)」を、実データ部に格納する。
また、車載機2は、自車両がUTMS規格の2つのシステムに対応する場合は、ヘッダ部の「サブシステムキー情報数」の値を「2」に設定し、当該2つのシステムの規格にそれぞれ従った内容の「サブシステムキー情報(1)」及び「サブシステムキー情報(2)」を、実データ部に格納する。
なお、「サブシステムキー情報」のデータ形式は、各々のシステムの規格によって相違するので詳細は割愛するが、例えば、安全運転支援システム(DSSS)の場合には、ブレーキ状態、ターンシグナル状態、ハザード状態、車速、進行方向、加減速度及びアクセルペダル位置などの情報が含まれる。
一方、光ビーコン4は、アップリンク情報に含まれる「サブシステムキー情報」の種別により、車載機2が、UTMS規格に含まれるどのシステムに対応するかを判断し、当該システムの規格に応じた提供情報を、ダウンリンク切り替え後の下りフレームDL2に格納してダウンリンク送信する。なお、この提供情報は、サブシステムキー情報の対価として提供されるという意味で、「対価サービス情報」ということがある。
このように、「サブシステムキー情報」は、ダウンリンク切り替え後の提供情報の種類を新旧の光ビーコン4が決定するのに使用される。
「車両ID」は、車載機2が自身で生成した、或いは、光ビーコン4が自動生成した車両IDの値を格納する領域であり、車載機2は、アップリンク送信時に記憶している車両IDの値を、上りフレームUL1のヘッダ部の車両IDに格納する。
「車載機種別」は、車載機2の種別を格納する領域であり、「情報種別」は、アップリンク情報の種別を格納する領域であり、本実施形態では、これらの格納領域の値により、アップリンク送信主体の新旧と、アップリンク情報が高速か低速かを表す。
具体的には、本実施形態の車載機2(新車載機2A)は、低速の上りフレームUL1を送信する場合は、「車載機種別」に新車載機2Aを示す所定値(例えば、「6」)を格納し、「情報種別」に低速であることを示す所定値(例えば、「1」)を格納する。
また、新車載機2Aは、高速の上りフレームUL2を送信する場合は、「車載機種別」に新車載機2Aを示す所定値(例えば、「6」)を格納し、「情報種別」に高速であることを示す所定値(例えば、「4」)を格納する。
従って、本実施形態の光ビーコン4(新光ビーコン4A)は、受信した上りフレームの車載機種別の値が「6」でかつ情報種別の値が「1」の場合は、新車載機2Aからの低速フレームUL1であると判定でき、受信した上りフレームの車載機種別の値が「6」でかつ情報種別の値が「4」の場合は、新車載機2Aからの高速フレームUL2であると判定することができる。
なお、旧車載機2Bの場合は、車載機種別の値を「6」以外に設定するので、新光ビーコン4Aは、「車載機種別」の値が「6」以外の上りフレームを受信した場合は、旧車載機2Bからの低速フレームUL1であると判定することができる。
新光ビーコン4Aは、新車載機2A及び旧車載機2Bからの低速フレームUL1の受信を完了すると、ヘッダ部に含まれる車両IDの値を車線通知情報に格納した折り返しフレームを生成し、このフレームの連続送信を伴うダウンリンク切り替えを行う。
一方、本実施形態では、新光ビーコン4Aは、新車載機2Aからの高速フレームUL2の受信を完了した場合には、ダウンリンク切り替えを行わない。もっとも、高速フレームUL2の受信完了に応じて、ダウンリンク切り替えを行う規格を採用してもよい。
このように、本実施形態では、新車載機2A及び旧車載機2Bからの低速フレームUL1の受信完了は、新光ビーコン4Aが折り返しフレームの連続送信を伴うダウンリンク切り替えを行うための条件(契機ないしトリガー)となっている。
また、新車載機2Aからの高速フレームUL2の受信完了は、新光ビーコン4Aが折り返しフレームの連続送信やダウンリンク切り替えを行うための条件(契機ないしトリガー)になっていない。
「最終フレームフラグ」は、車載機2(新旧いずれでもよい。)が複数の上りフレームULよりなる上りフレーム群を送信する場合に、その上りフレーム群のどれが最終フレームであるかを示すための格納領域である。
すなわち、車載機2は、上りフレーム群を構成する複数の上りフレームULのうち、最終フレームの「最終フレームフラグ」にのみ所定のフラグ値(例えば、「1」)を格納し、それ以外の上りフレームULにはそのフラグ値を格納しない。
[下りフレームのフレーム構成]
図8は、ダウンリンク情報(下りフレーム)のフレーム構成図である。
図8に示すように、下りフレームDL1,DL2のフレーム構成も、上りフレームUL1のフレーム構成(図7)の場合と同様に、先頭から順に、同期部、ヘッダ部、実データ部及びCRC部とからなる。
下りフレームDL1,DL2の場合は、同期部に1バイトが割り当てられ、ヘッダ部に5バイトが割り当てられ、実データ部に123バイトが割り当てられ、CRC部に4バイト(1バイトのアイドル部+2バイトのCRC+1バイトの最終同期部)が割り当てられている。
下りフレームDL1,DL2の実データ部には、車両20向けの提供情報として、図9に示す各種情報のうちのいずれか1つが格納される。
具体的には、光ビーコン4(新旧いずれでもよい。)は、ダウンリンク切り替え前の下りフレームDL1の実データ部には、「車線通知情報」を含める。
また、光ビーコン4は、ダウンリンク切り替え後の下りフレームDL2の実データ部には、その下りフレームDL2が折り返しフレームである場合を除き、車載機2からアップリンクされたサブシステムキー情報に対応する提供情報を選択し、選択した提供情報を実データ部に含める。
なお、光ビーコン4は、提供情報が実データ部の容量(123バイト)に収まる場合は、1つの下りフレームで提供情報を送信するが、収まらない場合は、複数の下りフレームにて提供情報を送信することもある。
図8に示すように「車線通知情報」の格納領域には、「車両ID」、「車線番号」及び「ビーコン識別フラグ」などが含まれる。
光ビーコン4は、ダウンリンク切り替え前の下りフレームDL1の場合は、「車線通知情報」の「車両ID」に値を格納せず、車載機2からID格納フレームを受信すると、そのヘッダ部に含まれる車両IDの値を、「車線通知情報」の「車両ID」に格納して折り返しフレームを生成する。光ビーコン4は、アップリンク情報を取得したビーコンヘッド8に対応する車線番号値を「車線番号」に記す。
「ビーコン識別フラグ」は、自機が高速アップリンク受信に対応するか否かを示す格納領域である。
すなわち、光ビーコン4は、自機が高速アップリンク受信に対応する新光ビーコン4Aの場合は、下りフレームDL1,DL2の「ビーコン識別フラグ」に所定のフラグ値(例えば、「01」)を格納し、自機が高速アップリンク受信に対応しない旧光ビーコン4Bの場合は、下りフレームDL1,DL2の「ビーコン識別フラグ」にそれ以外の値(例えば、「00」)を格納する。
従って、高速アップリンク送信に対応する本実施形態の車載機2(新車載機2A)は、下りフレームDL1,DL2の「車線通知情報」に含まれる「ビーコン識別フラグ」の値により、通信相手の光ビーコン4が、新光ビーコン4Aであるか旧光ビーコン4Bであるかを判定することができる。
ダウンリンク切り替え後に光ビーコン4の光送信部10から繰り返し送信される下りフレーム群は、1〜80個の下りフレームDL2で構成され、その繰り返し送信の送信可能時間は250m秒である。
また、下りフレームDL2は、ダウンリンク方向に送出すべきデータ量に応じた任意数のフレームで構成され、上記送信可能時間の範囲内で繰り返し送信される。また、下りフレームDL2の送信周期は約1m秒である。
従って、例えば、3つの下りフレームDL2で1つの有意なデータを構成する場合は、その送信周期が約3m秒になるので、そのデータは所定の送信可能時間(250m秒)内に約80回繰り返して送信されることになる。
もっとも、本実施形態のように、ダウンリンク領域DAをビーコンヘッド8の直下付近まで拡大すれば(図3参照)、繰り返し送信する下りフレームDL2の個数を最大200個程度まで増加させることができる。
なお、後述の図10の路車間通信に示すように、光ビーコン4がID格納フレームに応じてダウンリンク切り替えを行う場合には、後続フレームのアップリンク送信の時間とダウンリンク切り替え後のダウンリンク送信の時間が重複し得るので、ダウンリンク切り替え後の下りフレームDL2の送信可能期間は、(250+α)m秒(例えば、350m秒)とすることが好ましい。
[従来の路車間通信]
図4は、通信領域Aで行われる従来の通信手順を示すシーケンス図である。
ここで、図4において、白丸を付したフレームは、車両IDを含まないフレーム(車両IDなしの車線通知情報を有するフレーム)であることを示し、黒丸を付したフレームは、路車間のID折り返しに利用するフレーム(上りの「ID格納フレーム」又は下りの「折り返しフレーム」)であることを示す。図9及び図10においても同様である。
また、以下の路車間通信の説明では、動作主体が光ビーコン4と車載機2であるとして説明するが、実際の通信制御は、光ビーコン4のビーコン制御機7と、車載機2の車載制御機21が実行する。この点についても、図9及び図10の路車間通信において同様である。
図4に示すように、光ビーコン4(図4の場合は旧光ビーコン4B)は、車線R1〜R4ごとに設けられたビーコンヘッド8から、下りフレームDL1を所定の送信周期で送信し続けている。この段階では、車線通知情報に車両IDが格納されていない。
車両20がダウンリンク領域DAに入ると、車載機2(図4の場合は旧車載機2B)が車線通知情報(車両ID無し)を含む下りフレームDL1或いはその他の下りフレームDL1を受信し、車両20が光ビーコン4の通信領域A内に入ったことを察知する。
この際、車載機2は、ヘッダ部に車両IDを格納した低速の上りフレームUL1(図4のID格納フレームU0)を生成し、自機の通信をいったん受信から送信に切り替えて、生成した低速の上りフレームUL1をアップリンク送信し、その後、自機の通信を送信から受信に戻す。
なお、旅行時間情報などの光ビーコン4に提供すべき情報がある場合には、ID格納フレームU0の実データ部にその情報が格納される。
受信フレームのCRCチェック等を経てID格納フレームU0が光ビーコン4において正規に受信されると、光ビーコン4は、遅くとも10m秒以内でダウンリンク切り替えを行ったあと、下りフレームDL2の繰り返し送信を開始する。
ダウンリンク切り替えの後に繰り返し送信させる複数の下りフレームDL2は、先頭部分で連送される複数の折り返しフレーム(黒丸付きの下りフレームDL2)と、その後に繰り返し送信される所定の提供情報を含む下りフレームDL2とからなる。
この下りフレームDL2の繰り返し送信は、前記した所定時間内において可能な限り繰り返される。
また、図4に示すように、折り返しフレーム(黒丸付きの下りフレームDL2)は、提供情報の送信期間中においてダウンリンク情報を構成する一連の複数の下りフレームDL2(例えば5個の下りフレームDL2)の1つであり、従来は、一連の複数の下りフレームDL2の先頭にのみ含まれて繰り返し(図4の例では5フレームごと)送信される。
なお、ダウンリンク情報を構成する一連の下りフレームDL2は最大で80個まで格納できるため、折り返しフレーム(黒丸付きの下りフレームDL2)は、最も少ない頻度の場合には80フレームに1つの割合で格納されることとなる。
車載機2は、光ビーコン4から複数の下りフレームDL2を受信し、その複数の下りフレームDL2の中で、自車両の車両IDが記された車線通知情報を含むものがあるか否かを判定する。
車載機2は、その判定結果が肯定的である場合に、自車両の車両IDのループバックが成功したことを確認し、この時点で自機の通信を受信のままに維持する。
逆に、車載機2は、その判定結果が否定的である間は、自車両の車両IDのループバックが成功していないと判断し、自機の通信を受信から送信に切り替えて、上りフレームUL1を再送する。この場合、車載機2は、例えば、先に送信した上りフレームUL1の送信後所定時間(例えば、30m秒)後に、再び上りフレームUL1を送信する。車載機2は、この再送の動作を車両IDのループバックが成功するまで繰り返す。
[混在状況における問題点]
図5は、新旧の光ビーコン4A,4Bと車載機2A,2Bの混在状態を示す図である。
図5に示すように、新光ビーコン4Aは、低速の伝送速度(64kbps)だけでなく高速の伝送速度(例えば256kbps)でのアップリンク受信に対応している。本実施形態の光ビーコン4は、新光ビーコン4Aに該当する。
同様に、新車載機2Aは、低速の伝送速度(64kbps)だけでなく高速の伝送速度(例えば256kbps)でのアップリンク送信に対応している。本実施形態の車載機2は新車載機2Aに該当する。
これに対して、旧光ビーコン4Bは、低速の伝送速度(64kbps)でのアップリンク受信のみを行う光ビーコン、すなわち、高速の伝送速度(例えば256kbps)でのアップリンク受信に非対応の光ビーコンである。
同様に、旧車載機2Bは、低速の伝送速度(64kbps)でのアップリンク送信のみを行う車載機、すなわち、高速の伝送速度(例えば256kbps)でのアップリンク送信に非対応の車載機である。
上述の用語の定義で記載した通り、図5の「DL1」は、ダウンリンク切り替え前に新旧の光ビーコン4A,4Bが送信する下りフレームを示し、図5の「UL1」は、下りフレームDL1の受信を契機として、新旧の車載機2A,2Bが送信可能な低速フレームを示し、図5の「UL2」は、新車載機2Aのみが送信可能な高速フレームを示している。
また、図5の「DL2」は、ダウンリンク切り替え後に新旧の光ビーコン4A,4Bが送信する下りフレームを示している。
ここで、新光ビーコン4Aと新車載機2Aが路車間通信する場合を想定する。そして、光ビーコン4の新旧タイプを判別不能な場合は、新車載機2Aは、上りフレームを確実に受信して貰うために低速でアップリンク送信を行うとする。
この場合、ダウンリンク方向の伝送速度は、新旧いずれの場合も「1024kbps」であるから、新車載機2Aは、新光ビーコン4Aから下りフレームDL1を受信しただけでは、通信相手が新光ビーコン4Aであることを察知できない。
このように、新車載機2Aが、新光ビーコン4Aのダウンリンク領域DAを通過する間に新光ビーコン4Aと通信していることを認識できなければ、高速のアップリンク送信が可能である筈の新車載機2Aが、新光ビーコン4Aに対しても低速でアップリンク送信を行ってしまい、アップリンク速度の高速化が実現できなくなる。
そこで、本実施形態では、自機が高速アップリンク受信に対応する新光ビーコン4Aである旨のビーコン識別情報(例えば、図8の「ビーコン識別フラグ」)を、ビーコン制御機7が下りフレームDL2に含めることができる。
具体的には、前述の通り、光送信部10にダウンリンク送信させる下りフレームDL2の「車線通知情報」(「ヘッダ部」でもよい。)に、光ビーコン4の新旧タイプを示すフラグフィールドを予め定義しておく。
そして、ビーコン制御機7は、自機を新光ビーコン4Aとして動作させる場合には、繰り返し送信するすべての下りフレームDL2又は所定周期ごとの下りフレームDL2のフラグフィールドをオンにし、自機を旧光ビーコン4Bとして動作させる場合には、その下りフレームDL2のフラグフィールドをオフにする。
このため、新車載機2Aは、受信した下りフレームDL2のフラグフィールドがオンである場合には、通信相手が新光ビーコン4Aであると判定でき、オフの場合や当該フラグフィールドが検出できなかった場合には、通信相手が旧光ビーコン4Bであると判定できる。
もっとも、上りフレーム群に必ず低速フレームUL1が含まれておれば、新車載機2Aは、通信相手の光ビーコン4の新旧タイプを判定しなくても、両タイプの光ビーコン4との通信が可能である。
その理由は、低速フレームUL1を利用すれば新旧双方の光ビーコン4A,4Bと従来通りの通信ができるし、上りフレーム群の他のフレームを一律に高速フレームUL2としても、旧光ビーコン4Bがそれを受信できないだけで、特に問題はないからである。
本実施形態では、新車載機2Aは、光ビーコン4の新旧判定を行わないタイプであると仮定するが、新車載機2Aは、下りフレームDL2のフラグフィールドに基づいて光ビーコン4の新旧判定を行った結果、通信相手が新光ビーコン4Aであると判明した場合に限り、高速フレームUL2を送信するものであってもよい。
[新光ビーコンの上位互換制御]
図6は、本実施形態の光ビーコン4である、新光ビーコン4Aのビーコン制御機7が行う上位互換制御を示すフローチャートである。
図6に示すように、新光ビーコン4Aのビーコン制御機7は、フラグフィールドをオフに設定した下りフレームDL1を所定周期で繰り返しダウンリンク送信する(図6のステップST1)。
この状態で、ビーコン制御機7は、上りフレームUL1を受信したか否かを判定し(図6のステップST2)、その受信を検出するまで、ステップST1のダウンリンク送信を継続する。
上りフレームUL1の受信を検出すると、ビーコン制御機7は、受信した上りフレームUL1の送信主体が、高速の伝送速度(本実施形態では、256kbps)に対応する新車載機2Aであるか否かを判定する(図6のステップST3)。
このステップST3の判定は、例えば、光受信部11で受信された上りフレームUL1の伝送速度が、高速であったか低速であったかによって行うことができる。この場合、受信した上りフレームUL1が高速であれば、送信主体が新車載機2Aであると判定でき、低速であれば、送信主体が旧車載機2Bであると判定できる。
また、新車載機2Aの車載制御機21が、自機が高速アップリンク送信対応の新車載機2Aである旨の車載機識別情報を、上りフレームUL1に含める規格を採用してもよい。
具体的には、光送信部23がアップリンク送信する上りフレームUL1のヘッダ部に、車載機2の新旧タイプを示すフラグフィールド(例えば、図6の「車載機種別」)を予め定義しておく。
そして、新車載機2Aの車載制御機21は、自機を新車載機2Aとして動作させる場合は、高速で送信する上りフレームUL1のフラグフィールドをオンにし、自機を旧車載機2Bとして動作させる場合は、上りフレームUL1のフラグフィールドをオフにする。
このため、かかる規格を採用すれば、ビーコン制御機7は、受信した上りフレームUL1のフラグフィールドがオンである場合には、その送信主体が新車載機2Aであると判定でき、上りフレームUL1のフラグフィールドがオフの場合や当該フラグフィールドが検出できなかった場合には、その送信主体が旧車載機2Bであると判定できる。
ステップST3の判定結果が肯定的である場合、すなわち、上りフレームUL1の送信主体が新車載機2Aの場合は、ビーコン制御機7は、ダウンリンク切り替え後に新車載機用のダウンリンク送信を行う(図6のステップST4)。
新車載機用のダウンリンク送信は、渋滞情報、区間旅行時間情報及び事象規制情報などの旧車載機向けの提供情報に加え、信号情報や充電ステーション情報などの新車載機向けの提供情報を含む下りフレームDL2を、繰り返し送信することによって行われる。
ステップST3の判定結果が否定的である場合、すなわち、上りフレームUL1の送信主体が旧車載機2Bの場合は、ビーコン制御機7は、ダウンリンク切り替え後に旧車載機用のダウンリンク送信を行う(図6のステップST5)。
この旧車載機用のダウンリンク送信は、渋滞情報、区間旅行時間情報及び事象規制情報などの旧車載機向けの提供情報を含む下りフレームDL2だけを、繰り返し送信することによって行われる。
新車載機用のダウンリンク送信に用いる下りフレームDL2では、下りフレームDL2のフラグフィールドがオン(ビーコン識別フラグ=01)に設定される(図6のステップST4)。
また、旧車載機用のダウンリンク送信に用いる下りフレームDL2では、下りフレームDL2のフラグフィールドがオフ(ビーコン識別フラグ=00)に設定される(図6のステップST5)。
なお、前述の通り、ダウンリンク切り替え後に行われるステップST4,ST5の下りフレームDL2のダウンリンク送信は、ダウンリンク切り替え時点から所定時間(例えば、250m秒)が経過するまで行われる。
[送信中断期間を設けない場合の路車間通信]
図9は、新車載機2Aが「送信中断期間」を設けずに上りフレームUL1,UL2を送信するため、新車載機2AがID確認を失敗する場合の路車間通信を示すシーケンス図である。
図9において、U0〜U3は、下りフレームDL1を検出した新車載機2Aがアップリンク送信する、複数の上りフレーム(上りフレーム群)UL1,UL2を示している。
図9では、上りフレーム群のフレーム数が4フレームになっているが、そのフレーム数は4つに限定されるものではない。例えば、上りフレーム群は、高速フレームUL2が3つ以上送信される場合もあるし、比較的長いデータ長である高速フレームUL2が1つだけ送信される場合もあり得る。
また、ハッチングを付していない上りフレームU0は、伝送速度が低速(本実施形態では64kbps)の「低速フレームUL1」であることを示し、ハッチングを付した上りフレームU1〜U3は、伝送速度が高速(本実施形態では256kbps)の「高速フレームUL2」であることを示している。
なお、低速フレームU0と高速フレームU1〜U3の図示上の区別については、図10の路車間通信においても同様である。
プローブ情報などの大容量のデータをアップリンク送信する場合には、低速フレームU0にデータを格納しきれないことが多い。そこで、図9の例では、新車載機2Aが合計3つの高速フレームU1〜U3を低速フレームU0の後に続けて送信している。
具体的には、新車載機2Aは、ダウンリンク領域DAにおいて下りフレームDL1を受信すると、低速フレームU0を即座に低速でアップリンク送信し、それに続けて高速フレームU1〜U3をアップリンク送信する。
なお、本実施形態では、新車載機2Aが通信相手の新旧を判定しない場合を想定しているので、低速フレームU0と高速フレームU1〜U3の連続送信は、新車載機2Aの通信相手が新光ビーコン4Aか旧光ビーコン4Bかに拘わらず実行される。
新車載機2Aの通信相手の光ビーコン4は、上りフレーム群に含まれる低速フレームU0の受信完了を契機として、そのヘッダ部から車両ID値を抽出し、その値を車線通知情報に格納した折り返しフレームの連送とダウンリンク切り替えを行う。
すなわち、光ビーコン4が新光ビーコン4Aの場合は、低速フレームU0の「車載機種別」の値が「6」でかつ「情報種別」の値が「1」であることを検出すると、折り返しフレームの連送とダウンリンク切り替えを行う。
また、光ビーコン4が旧光ビーコン4Bの場合は、上記のような種別判定を行うことができないので、低速フレームU0の受信が完了すると、従来通り、即座に折り返しフレームの連送とダウンリンクを行う。
このように、旧光ビーコン4Bは、大容量のアップリンク送信はされないという想定の下で、ID格納フレームである低速フレームU0を受信すると、即座に折り返しフレームを連送してダウンリンク切り替えを出来るだけ素早く行う運用になっており、新光ビーコン4Aも、旧車載機2Bとの互換性を維持するため、低速フレームU0の受信完了を契機としてダウンリンク切り替えを即座に行うようになっている。
従って、図9に示すように、高速フレームU1〜U3の送信期間(図9の例ではU3)によっては、その送信中に折り返しフレームが新車載機2Aに到達することがある。
この場合、新車載機2Aが半二重通信方式を採用している場合には、光受信部24に折り返しフレームが届いているにも拘わらず、新光ビーコン4Aが車両IDを認識済みであることを新車載機2Aが察知できない。
また、この場合、図9に破線で示すように、新車載機2Aは、ID格納フレームである低速フレームU0を含む大容量の上りフレーム群U0〜U3を再送信する。
この現象は、ダウンリンク情報に含めるべき車線通知情報以外の提供情報のデータ量が多いほど発生しやすくなる。
その理由は、提供情報のデータ量が多くなるほど、新光ビーコン4Aが繰り返し送信する下りフレームDL2に折り返しフレームを含める頻度が少なくなるため、新車載機2Aがループバックを認識できない確率が高くなるためである。
従って、ダウンリンク切り替え後に定期的(図9の例では5フレームごと)にダウンリンク送信される折り返しフレームについても、上りフレーム群U0〜U3の送信期間と重なるタイミングになって、新車載機2Aが受信できる可能性が低くなることがある。
この場合、上りフレーム群U0〜U3を再送信した後でも、新車載機2Aが折り返しフレームに気付かず、上りフレーム群U0〜U3のアップリンク送信(再送)が無駄に継続されることになる。
そして、新車載機2Aがアップリンク送信するフレーム数が多いほど、折り返しフレームに気付かないままアップリンク領域UAにおいて上りフレーム群U0〜U3の送信が継続される可能性が増すことになる。
従って、より多くのデータを新光ビーコン4Aにアップリンクしようとする新車載機2Aほど、限られた期間(例えば250m秒)にしか送信されない下りフレームDL2の受信機会を大幅に喪失したり、極端な場合は、下りフレームDL2を受信できずに通信領域Aを通過したりするという、不合理な結果になるおそれがある。
[送信中断期間を設ける場合の路車間通信]
図10は、新車載機2Aが「送信中断期間」を設けて上りフレームUL1,UL2を送信するため、新車載機2Aが、ID確認を成功する場合の路車間通信を示すシーケンス図である。
図10の例では、新車載機2Aが低速フレームU0の後に高速フレームU1〜U3を連送する場合に、最初の低速フレームU0と高速フレームU1の間に「送信中断期間」を設けることにより、折り返しフレームの不達に伴う上述の問題点を解決している。
この「送信中断期間」は、新車載機2Aが、自機が行う車両IDのループバックの成功を確認するとともに、高速フレームU1の送信の準備をするために必要な所定の時間長に設定される。
例えば、新光ビーコン4AがID格納フレームU0の受信から下りフレームDL2の送信開始までに5〜10m秒程度要すると仮定し、さらに、新車載機2Aが自車の車両IDのループバックを確認し、高速フレームU1の送信を開始するのに必要な遅延時間を10m秒と仮定すれば、送信中断期間は概ね15〜20m秒の範囲で設定すればよい。
かかる送信中断期間を設けることにすれば、ダウンリンク切り替え後に連送される折り返しフレームが当該期間中に新車載機2Aの光受信部24に到達し、新車載機2Aは、受信した折り返しフレームに含まれる車両IDが自機のものと一致するか否かを判定することにより、車両IDのループバックの成功を確認できる。
上記の確認の後、新車載機2Aは、高速フレームU1〜U3を連送し、その連送が終了したあと、自機の通信を受信に切り替える。
このように、低速フレームU0と高速フレームU1の間に送信中断期間を設ける新車載機2Aによれば、送信中断期間に新光ビーコン4Aから受信した折り返しフレームにより、新光ビーコン4Aが車両IDを認識済みであることを確実に察知することができる。
このため、複数の上りフレームU0〜U1の送信を新車載機2Aが無駄に継続することによる、下りフレームDL2の受信機会の喪失を未然に防止することができる。
送信中断期間を設定する方法としては、車載制御機21が消灯状態を示す信号をその期間中に光送信部23に出力し続ける方法や、その期間の始期に光送信部23の発光素子への電源供給を停止して消灯させ、その期間の終期に発光素子への電源供給を再開して再発光させる方法がある。
また、光信号が光ビーコン4に到達できない程度に、発光素子のパワーを低下させる方法を採用してもよい。このようにすれば、発光素子の再発光時のパワーの復帰を迅速に行え、上りフレームU1の先頭側の同期部の乱れを抑制できるという利点がある。
一方、何らかの原因(車両20のフロントガラスの曇り等)で、ID格納フレームである低速フレームU0が新光ビーコン4Aに届かなかった場合には、光ビーコン4が折り返しフレームを返して来ないので、新車載機2Aはループバックの成功を確認できない。
そこで、新車載機2Aは、送信中断期間にループバックの成功を確認できなかった場合には、図10に破線で示すように、ID格納フレームである低速フレームU0のみを光送信部23に再送信させ、再送信した低速フレームU0の後を送信中断期間とする。
従って、再送信した低速フレームU0を新光ビーコン4Aが正規に受信できた場合は、上述と同様に、送信中断期間に新光ビーコン4Aから受信した折り返しフレームにより、車両IDのループバックの成功を確認することができる。
図10の例において、最初の上りフレームである低速フレームU0のデータサイズは、できるだけ小さいことが好ましい。例えば、多くとも高速フレームU1〜U3のいずれか1つよりも小さいことが好ましい。
より好ましくは、例えば、低速フレームU0に格納するデータを、車両ID情報、ビーコン間の旅行時間や新車載機2Aが対応するサービス種別等の必要最小限とすることにより、低速フレームU0のデータサイズを、1回の通信で送信する複数の上りフレームU0〜U3の中で最小(例えば、実データ部で5バイト程度)に設定することが好ましい。
その理由は、再送信の可能性がある低速フレームU0のフレーム長が長ければ、その分だけ、低速フレームU0を再送信した場合の、アップリンク送信が可能な残り時間が少なくなり、アップリンク送信する予定の複数の高速フレームU1〜U3のうちの、例えば最後の高速フレームU3が新光ビーコン4Aに正常に到達しなくなる可能性があるからである。
なお、図10の例において、新車載機2Aが、下りフレームDL1や送信中断期間中に受信した下りフレームDL2に含まれるビーコン識別フラグに基づいて、通信相手が高速アップリンク受信に対応する新光ビーコン4Aか非対応の旧光ビーコン4Bかを判定し、その判定結果に応じて、送信中断期間の後に高速フレームU1〜U3を送信するか否かを決定するようにしてもよい。
上記の通り、新光ビーコン4Aの通信相手としては、低速フレームU0と高速フレームU1〜U3の間に送信中断期間を設けてアップリンク送信する新車載機2A(図10)であることが好ましいが、送信中断期間を設けずに上りフレームU0〜U3を連続送信する新車載機2A(図9)であってもよい。
その理由は、高速フレームUL2のフレーム数や送信時間を少なめに設定すれば、特に送信中断期間を設けなくても、低速フレームUL1に対応してダウンリンクされた折り返しフレームを、新車載機2Aが適切に受信し得るからである。
[高速フレームの不感領域による問題点]
図11は、高速フレームUL2の不感領域の一例を示す説明図である。
図11において、実線のエリアRA1は、光受信部11が低速フレームUL1を実際に受信可能なエリアを示し、仮想線のエリアRA2は、光受信部11が高速フレームUL2を実際に受信可能なエリアを示している。
また、図11において、P1は、低速フレームUL1を受信可能なエリアRA1の所定高さH(例えば、H=1.0m)における最上流端(=第1アップリンク上流端:以下、「第1上流端」ともいう。)であり、P2は、高速フレームUL2を受信可能なエリアRA2の所定高さHにおける最上流端(=第2アップリンク上流端:以下、「第2上流端」ともいう。)である。
なお、この場合の「受信可能」とは、上りフレームUL1,UL2を、所定のビットエラーレート(例えば、規格値では10−5)以下で受信できることを意味する。
ここで、図11に示すように、エリアRA1の車両進行方向の範囲は、エリアRA2の同方向の範囲よりも広くなる。
かかる範囲の広狭差を、第1上流端P1と第2上流端P2の位置関係で換言すると、上りフレームUL1,UL2の受光に同じレンズを用いる通常の光受信部11では、第1上流端P1が第2上流端P2よりも上流側に位置するということになる。その理由は、次の通りである。
すなわち、新光ビーコン4Aに搭載する光受信部11のフィルタ34(図12参照)では、上りの電気信号を外乱(ダウンリンク光や太陽光の反射光を受光素子が感知して生じた電気信号)と分離するために、上り帯域の電気信号(本実施形態では64kbpsと256kbps)は通過させるが、下り帯域の電気信号(本実施形態では1024kbps)を含む約500kHz以上の帯域成分を遮断する周波数特性を有するものを用いる必要がある。
従って、遮断周波数に近い高速フレームUL2の方が低速フレームUL1よりもフィルタ34に対する透過性がやや落ち、その結果、新光ビーコン4Aの受信性能としては、低速フレームUL1の方が高速フレームUL2よりも若干悪くなる。
かかる伝送速度の差による受信性能の差が、そのまま低速フレームUL1と高速フレームUL2の受信可能な範囲の広狭となって表れ、低速フレームUL1を実際に受信可能な「物理的」な最上流端である第1上流端P1が、高速フレームUL2を実際に受信可能な「物理的」な最上流端である第2上流端P2よりも上流側になる。
このため、図11における第1上流端P1から第2上流端P2までの領域は、低速フレームUL1を受信可能であるが高速フレームUL2を受信不能な領域(以下、「不感領域」という。)Fとなる。
ところで、例えば図10の路車間通信のように、新車載機2Aが最初に低速フレームUL1を送信し、その後に受信する折り返しフレームで自身車両IDを確認してから、高速フレームUL2を送信する通信規約を採用すると、車両20の走行速度によっては、不感領域Fにおいて新車載機2Aが高速フレームUL2を送信することもあり得る。
特に、車両20が例えば10km/h以下の低速で通信領域Aを通過するような場合には、新車載機2Aが、低速フレームUL1のアップリンク送信→ダウンリンク切り替え後の折り返しフレームのダウンリンク受信→高速フレームUL2のアップリンク送信までの一連の送受信を、すべて不感領域Fで行う場合がある。
このように、新車載機2Aが不感領域Fにおいて高速フレームUL2を送信すると、その高速フレームUL2を新光ビーコン4Aが受信できない。
また、新車載機2Aがダウンリンク受信する時間を確保するために、高速フレームUL2に再送チャンスを与えない通信規約を採用する場合には、新車載機2Aが不感領域Fで送信した高速フレームUL2を新光ビーコン4Aが取り逃がすと、その高速フレームUL2を取得できる可能性がなくなってしまう。
そこで、本実施形態では、第2上流端P2が第1上流端P1(或いは、図11に示す見かけの第1上流端P1’でもよい。)よりも上流側又は実質的に同じ位置にする位置設定を行うことにより、不感領域Fの発生を防止し、新光ビーコン4Aが高速フレームUL2を確実に受信できるようにしている。
[新光ビーコンの回路構成]
図12は、新光ビーコン4Aの回路構成例を示すブロック図である。
図12に示すように、本実施形態の新光ビーコン4Aでは、光受信部11は、低速フレームUL1を受信するための低速用受信系26Aと、高速フレームUL2を受信するための高速用受信系26Bとを備えており、光受信部11の受信系26A,26Bが低速用と高速用の2系統になっている。
また、ビーコン制御機7は、通信IC28と、メインCPU(通信制御部)30とを含む。なお、通信IC28及びメインCPU30は、上記支柱13に取り付けられた筐体7a(図2も参照)に収納されている。
図12では図示していないが、ビーコン制御機7は、IC28が出力する「上りデータ」を一時的に記憶するメモリも備えている。
両受信系26A,26Bのうち、低速用受信系26Aは、図12の左側から順に、レンズ31A、通信用の変換素子32A、増幅器33A、フィルタ34A及びコンパレータ35Aを有する。
通信用の変換素子32Aは、受光したアップリンク方向の光信号を電気信号に変換する受光素子(例えば、フォトダイオード(Photo Diode):以下、「PD」ともいう。)よりなる。
増幅器33Aは、低速帯域(本実施形態では、64kbps)で動作する低速用増幅回路よりなる。増幅器33Aは、PD32Aにて変換された電気信号を低速帯域で動作して増幅し、増幅後の電気信号を後段のフィルタ34Aに出力する。
フィルタ34Aは、低速帯域の成分を抽出できるフィルタ回路よりなる。フィルタ34Aは、増幅された電気信号から低速成分を抽出し、抽出した低速信号を後段のコンパレータ35Aに出力する。
コンパレータ35Aは、低速信号と閾値との比較が可能な低速用コンパレータよりなる。コンパレータ35Aは、入力された低速信号を閾値と比較し、この比較によって抽出したデジタルの受信信号(ビットデータ)を後段の通信IC28に出力する。
高速用受信系26Bは、図12の左側から順に、レンズ31B、通信用の変換素子32B、増幅器33B、フィルタ34B及びコンパレータ35Bを有する。
通信用の変換素子32Bは、上記変換素子32Aと同様の受光素子(例えば、フォトダイオード(Photo Diode):以下、「PD」ともいう。)よりなる。
増幅器33Bは、高速帯域(本実施形態では、256kbps)で動作する高速用増幅回路よりなる。増幅器33Bは、PD32Bにて変換された電気信号を高速帯域で動作して増幅し、増幅後の電気信号を後段のフィルタ34Bに出力する。
フィルタ34Bは、高速帯域の成分を抽出できるフィルタ回路よりなる。フィルタ34Bは、増幅された電気信号から高速成分を抽出し、抽出した高速信号を後段のコンパレータ35Bに出力する。
コンパレータ35Bは、高速信号と閾値との比較が可能な高速用コンパレータよりなる。コンパレータ35Bは、入力された高速信号を閾値と比較し、この比較によって抽出したデジタルの受信信号(ビットデータ)を後段の通信IC28に出力する。
通信IC28は、先頭5バイトのアイドルパターンを用いて受信信号の伝送速度を判定し、判定した伝送速度にてビットデータをサンプリングし、上りフレームUL1,UL2に含まれる上りデータを再生する。通信IC28は、再生した上りデータを後段のメインCPU30に送る。
図13は、両受信系26A,26Bが上りフレームUL1,UL2をそれぞれ受信可能なエリアRA1,RA2を示す側面図である。
図13に示すように、低速用のレンズ31Aは、PD32Aの受光面に対向した状態でビーコンヘッド8に取り付けられ、同様に、高速用のレンズ31Bは、PD32Bの受光面に対向した状態でビーコンヘッド8に取り付けられている。
各レンズ31A,31Bは、それらの光軸方向がいずれも斜め下方に向くように、各レンズ31A,31Bがビーコンヘッド8に取り付けられており、それらの光軸方向を互いに非平行にセットしたり、焦点距離が異なるレンズ31A,31Bを採用したりすることにより、エリアRA1の上流側斜辺の傾斜角度がエリアRA2の上流側斜辺の傾斜角度よりも大きくなっている。
このため、高速用受信系26BのエリアRA2の最上流端P2が、低速用受信系26AのエリアのRA1の最上流端P1よりも上流側となるように、各受信系26A,26Bのレンズ31A,31Bに対する光学的設定が行われている。
なお、エリアRA2の最上流端P2は、必ずしもエリアRA1の最上流端P1の上流側でなくてもよく、その最上流端P1と実質的に同じ位置となるように、光学的設定を行うことにしてもよい。もっとも、エリアRA1,RA2の下流端を一致させる必要はない。
このように、本実施形態の新光ビーコン4Aによれば、低速用受信系26Aと高速用受信系26Bに対して上記の光学的設定を行うことにより、「物理的」な最上流端である第2上流端P2が「物理的」な最上流端である第1上流端P1よりも上流側(或いは、実質的に同じ位置でもよい。)に設定されているので、低速フレームUL1は受信できるが高速フレームUL2を受信できない不感領域Fが生じない。
従って、不感領域Fにて低速フレームUL1が送信されることによって、後続の高速フレームUL2が受信できなくなるのを未然に防止でき、低速フレームUL1の後に送信される高速フレームUL2を適切に受信できる、アップリンク方向でマルチレート対応の新光ビーコン4Aが得られることになる。
また、本実施形態の新光ビーコン4Aによれば、両受信系26A,26Bのレンズ31A,31Bの受光方向を定める光学的設定により、各々のエリアRA1,RA2の上流端P1,P2の位置設定を行うので、受信制限処理による位置設定や回路設計による位置設定の場合に比べて、当該位置設定をより確実に行うことができる。
なお、受信制限処理とは、不感領域Fにて送信された低速フレームUL1によるダウンリンク切り替えを禁止することにより、実際の第1上流端P1をこれより下流側の見かけの第1上流端P1’(図11参照)にずらすことをいう。
[第1上流端と第2上流端の位置関係の調整]
ところで、低速用受信系26Aと高速用受信系26Bに対して上記のような光学的設定を工場出荷時に行った場合でも、新光ビーコン4Aの設置現場において、道路環境や新光ビーコンの設置環境が特殊な場合、第2上流端P2が第1上流端P1よりも下流側に位置した状態、すなわち、第2上流端P2が第1上流端P1よりも上流側(又は実質的に同じ位置)となる適切な位置関係を満たさなくなることが想定される。
そこで、本実施形態では、設置現場において上記位置関係を満たさなくなった場合に、当該位置関係を適切な関係となるように調整できるようになっている。以下、その具体構成について説明する。
図12において、本実施形態の両受信系26A,26Bそれぞれは、増幅器33A,33Bの増幅倍率を変更可能な可変抵抗36A,36Bをさらに有する。
可変抵抗36A,36Bは、ビーコン制御機7からの制御指令に基づいて、増幅器33A,33Bの増幅倍率をそれぞれ変化させるように構成されている。
図14は、新光ビーコン4Aの制御構成例を示すブロック図である。
図14に示すように、本実施形態の新光ビーコン4Aでは、ビーコン制御機7は、遠隔操作部41と制御側IC(遠隔指示部)42とをさらに含んでいる。本実施形態では、遠隔操作部41及び制御側IC42は、上記通信IC28及びメインCPU30(図12参照)と共に、ビーコン制御機7の筐体7aに収納されている。
遠隔操作部41は、可変抵抗36A,36Bそれぞれに対して増幅器33A,33Bの増幅倍率の変更指示を行うものである。本実施形態の操作部41は、例えば、2つのダイヤル式のつまみ部41A,41Bを有する。
つまみ部41Aは、そのダイヤル操作により増幅器33Aの増幅倍率の変更指示を制御側IC42に出力する。つまみ部41Bは、そのダイヤル操作により増幅器33Bの増幅倍率の変更指示を制御側IC42に出力する。
なお、遠隔操作部41は、ビーコンヘッド8の外部から増幅倍率の変更指示を行えるものであればよいので、ビーコン制御機7の内部又は外部に設けられた、上記筐体7aとは別の筐体に収納されていてもよい。また、遠隔操作部41は、必ずしも筐体に収納されていなくてもよい。例えば、筐体7a内には、つまみ部41A,41B(又はつまみ部41A,41Bを含む基板)を接続可能な端子のみを設けておき、増幅倍率の変更指示を行うときだけ、その端子につまみ部41A,41B(又はつまみ部41A,41Bを含む基板)を接続するようにしてもよい。さらに言えば、制御側ICも筐体に収納されていなくてもよい。例えば、制御側IC42とつまみ部41A,41Bとを別の基板上に実装し、筐体7a内には、その基板を接続可能な端子のみを設けておき、増幅倍率の変更指示を行うときだけ、その端子に上記基板を接続するようにしてもよい。
また、遠隔操作部41は、2つのつまみ部41A,41Bにより可変抵抗36A,36Bそれぞれに対して増幅倍率の変更指示を行えるようになっているが、単一のつまみ部によりいずれか一方の可変抵抗のみに対して増幅倍率の変更指示を行うようにしてもよい。
また、遠隔操作部41は、上記つまみ部41A,41B以外の他の操作機構を用いてもよい。例えば、図15に示すように、遠隔操作部41として、つまみ部41A,41Bに替えてノートパソコン等の端末機41cを採用し、筐体7a内に設けられた端子(図示省略)に端末機41cを接続した状態で、当該端末機41cをキー操作又はマウス操作することによって増幅倍率の変更指示を行うようにしてもよい。
制御側IC42は、専用の信号線9を介してビーコンヘッド8における光受信部11のヘッド側IC38(後述)に接続されている。制御側IC42は、各つまみ部41A,41Bから操作指示を受けると、増幅器33A又は増幅器33Bの増幅倍率の変更指示指令をシリアル信号として、信号線9を介してヘッド側IC38に出力する。
ビーコンヘッド8の光受信部11は、デジタルアナログ変換器(DAC:Digital to Analog Converter)37A,37Bと、ヘッド側IC38とをさらに有する。
ヘッド側IC38は、制御側IC42から入力されたシリアル信号である変更指示指令の内容に応じて、両デジタルアナログ変換器37A,37Bのうちのいずれか一方に当該シリアル信号を出力する。
具体的には、ヘッド側IC38は、上記変更指示指令が増幅器33Aの増幅倍率の変更指示を示す内容であれば、シリアル信号をデジタルアナログ変換器37Aに出力する。また、ヘッド側IC38は、上記変更指示指令が増幅器33Bの増幅倍率の変更指示を示す内容であれば、シリアル信号をデジタルアナログ変換器37Bに出力する。
デジタルアナログ変換器37Aは、入力されたシリアル信号をアナログ信号に変換し、そのアナログ信号を可変抵抗36Aに与える。同様に、デジタルアナログ変換器37Bは、入力されたシリアル信号をアナログ信号に変換し、そのアナログ信号を可変抵抗36Bに与える。
本実施形態では、可変抵抗36A,36Bと、デジタルアナログ変換器37A,37Bと、ヘッド側IC38とにより、ビーコンヘッド8の外部から増幅器33A,33Bの増幅倍率の変更指示を取得することで当該増幅倍率を変更可能な調整部39が構成されている。
以上の構成により、ビーコン制御機7側に設けられた遠隔操作部41のつまみ部41A(41B)を操作することで、ビーコンヘッド8側の可変抵抗36A(36B)に対して増幅器33A(33B)の増幅倍率の変更指示を行うことができる。
かかる変更指示により、可変抵抗36A(36B)は増幅器33A(33B)の増幅倍率を変更するので、低速用受信系26A(高速用受信系26B)の受信感度を変更することができる。
第2上流端P2が第1上流端P1よりも上流側(又は実質的に同じ位置)となる適切な位置関係を満たすための光学的条件は、アップリンク領域UAの上流端付近の所定位置から送信された高速フレームUL2の新光ビーコン4Aによる受信が必須(受信必須)である場合に、当該所定位置において新光ビーコン4Aによる低速フレームUL1の受信が禁止(受信禁止)されていることである。
すなわち、新光ビーコン4Aの受信感度の閾値を図16のように定義した場合に、第2上流端P2が第1上流端P1よりも上流側(又は実質的に同じ位置)となるためには、アップリンク領域UAの上流端(ビーコンヘッド7の真下から上流側に6.04mの位置)付近の同じ位置から送信された低速及び高速フレームUL1,UL2について、X1≧Y2の関係を満たすように、両受信系26A,26Bの受信感度を調整すればよい。
もっとも、アップリンク光UOの発光パワーが比較的大きい新車載機2Aの場合には、アップリンク領域UAの上流端よりも更に上流側から送信された低速及び高速フレームUL1,UL2を、新光ビーコン4Aが受信可能となる場合もある。
従って、アップリンク領域UAの上流端よりも更に上流側の幾つかの所定位置から送信された低速及び高速フレームUL1,UL2においても、X1≧Y2の関係が成立するように、両受信系26A,26Bの受信感度を調整することが好ましい。
図17は、図16に示すアップリンク位置設定の光学的条件の道路位置ごとの成立条件の説明図である。
図17において、道路位置Xrは、ビーコンヘッドを設置する道路Rの道程方向の位置である。道路位置Xrは、ビーコンヘッドの真下を0m(原点)とし、そこから上流方向を正の方向としている。アップリンク領域UAの下流端はXr=3.40の位置であり、同領域UAの上流端はXr=6.04の位置である。
受光角度θは、アップリンク光UOのビーコンヘッドの受光面に対する入射角度(受光面の法線に対する角度)のことである。受光角度θは、受光面の法線方向を0度(始線)とし、そこから図17紙面における左回りの方向を正の方向としている。
θ1は、アップリンク領域UAの上流端に対応する受光角度であり、θ2は、アップリンク領域UAの上流端よりも更に上流側の任意位置(例えば、Xr=6.50)に対応する受光角度であり、θ3は、アップリンク領域UAの下流端に対応する受光角度である。
図17に示すように、新車載機2Aがアップリンク光UOを発光する任意の道路位置(以下、「アップリンク発光位置」という。)Xrにおけるアップリンク位置設定の光学的条件は、次の3つの成立条件1〜3に分けることができる。
成立条件1:Y2(=0.3μW/cm)のUL2を受信可能である。
成立条件2:X1(=0.4μW/cm)のUL1を受信不能である。
成立条件3:X2(=0.5μW/cm)のUL1を受信可能である。
この場合、アップリンク発光位置Xrがアップリンク領域UAの上流端付近である場合(Xr≒6.04,θ≒θ1)は、成立条件1〜3のすべてを充足することがアップリンク位置設定の光学的条件となる。
アップリンク発光位置Xrがアップリンク領域UAの下流端付近である場合(Xr≒3.40,θ≒θ3)は、成立条件1及び3を充足することがアップリンク位置設定の光学的条件となる。すなわち、Xr≒3.40(θ≒θ3)の場合には、成立条件2は不要である。
アップリンク発光位置Xrがアップリンク領域UAの上流端よりも上流側の任意位置である場合(Xr≒6.50,θ≒θ2)は、成立条件1及び2を充足することがアップリンク位置設定の光学的条件となる。すなわち、Xr≒6.50(θ≒θ2)である場合には、成立条件3は不要である。
以上、本実施形態の新光ビーコン4Aによれば、ビーコンヘッド8の外部に設けられた筐体7a内の遠隔操作部41から、ビーコンヘッド8の光受信部11における低速用受信系26A及び高速用受信系26Bの可変抵抗36A,36Bに対して、増幅器33A,33Bの増幅倍率の変更指示を行うことができる。
このため、新光ビーコン4Aの設置現場において、低速フレームUL1の受信感度と高速フレームUL2の受信感度との関係を適切に設定することにより、アップリンク位置設定の光学的条件(X1≧Y2)を設置現場で成立させることができる。
[その他の変形例]
今回開示した実施形態(変形例を含む。)はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された構成と均等の範囲内でのすべての変更が含まれる。
例えば、上述の実施形態では、新車載機2Aが複数の高速フレームU1〜U3を連続して送信することになっているが、フレーム間に所定時間長のインターバルを設けてバースト送信することにしてもよい。
また、本明細書において、「車載機」とは、車両20に搭載されたあと常にその状態に固定されるものを含むことは勿論、ドライバが利用したい時だけ車両20に持ち込まれ、一時的に車両20に搭載されるものも含まれる。
1 交通管制システム
2 車載機
2A 新車載機
2B 旧車載機
3 中央装置
4 光ビーコン
4A 新光ビーコン
4B 旧光ビーコン
5 通信回線
6 通信部
7 ビーコン制御機
7a 筐体
8 ビーコンヘッド
9 信号線
10 光送信部
11 光受信部
13 支柱
14 架設バー
20 車両
21 車載制御機
22 車載ヘッド
23 光送信部
24 光受信部
26A 低速用受信系
26B 高速用受信系
28 通信IC
30 メインCPU(通信制御部)
31A,31B レンズ
32A,32B 変換素子(受光素子)
33A,33B 増幅器
34A,34B フィルタ
35A,35B コンパレータ
36A,36B 可変抵抗
37A,37B デジタルアナログ変換器
38 ヘッド側IC
39 調整部
41 遠隔操作部
41A,41B つまみ部
41c 端末機
42 制御側IC
R 道路
R1〜R4 車線
A 通信領域
UA アップリンク領域
DA ダウンリンク領域
UL1 低速フレーム(上りフレーム)
UL2 高速フレーム(上りフレーム)
U0 低速フレーム(上りフレーム)
U1〜U3 高速フレーム(上りフレーム)
DL1 下りフレーム(ダウンリンク切り替え前)
DL2 下りフレーム(ダウンリンク切り替え後)
P1 第1上流端
P2 第2上流端
F 不感領域

Claims (1)

  1. 高低2種類の伝送速度での光電気変換が可能な光受信部、及び所定の伝送速度での電気光変換が可能な光送信部を有するビーコンヘッドと、
    前記光受信部が出力する電気信号から低速フレーム又は高速フレームを再生可能な通信制御部と、を備え、走行中の車両の車載機と光信号による無線通信を行う光ビーコンであって、
    前記光受信部は、低速フレームを受信するための低速用受信系と、高速フレームを受信するための高速用受信系と、を含み、
    前記低速用受信系及び前記高速用受信系それぞれは、上りの光信号を受光する受光素子と、この受光素子が出力する電気信号を増幅する増幅器と、を有し、
    前記低速用受信系及び前記高速用受信系のうち少なくとも一方の受信系は、前記増幅器の増幅倍率を変更可能な調整部をさらに有し、
    前記調整部は、前記増幅倍率の変更指示を前記ビーコンヘッドの外部から取得するように構成されている、光ビーコン。
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