JP5949301B2 - 路車間通信システム、光ビーコン及び路車間通信方法 - Google Patents
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Description
このうち、光ビーコンは、近赤外線を通信媒体とした光通信を採用しており、車載機との双方向通信が可能である。具体的には、車両の保持するビーコン間の旅行時間情報等を含むアップリンク情報が車載機からインフラ側の光ビーコンに送信される。
このため、光ビーコンは、車載機との間で光信号を送受するビーコンヘッド(投受光器)を備え、投受光器には、ビーコン制御機から入力された送信信号を発光ダイオードに入力してダウンリンク光を送出する光送信部と、フォトダイオードが受光した光信号を電気信号に変換してビーコン制御機に出力する光受信部が搭載されている。
通信容量を拡大する方策としては、アップリンク及びダウンリンクそれぞれについての伝送速度の高速化、通信領域の拡張あるいは通信プロトコルの変更などの方策がある。このうち、アップリンク速度を現状(64kbps)よりも高速化すれば、通信領域をさほど広げなくても、大容量のプローブデータを光ビーコンから収集でき、交通信号制御の高度化に役立てることができる。
しかし、新光ビーコンや新車載機を導入するとしても、これらの新型の機器が、低速アップリンク通信しかできない従来の機器と互換性がなければ、既存の路車間通信システムと整合しなくなるため、アップリンク速度の高速化が阻害される。
また、この場合、新光ビーコンが旧車載機を検出できないので、旧車載機のアップリンク送信をトリガとしたダウンリンク切り替えを行えず、旧車載機を搭載した車両向けの情報を提供することもできない。このため、新光ビーコンを新たに設置するインセンティブが減殺し、アップリンク速度の高速化が進展しない。
また、この場合、旧光ビーコンが新車載機を検出できないので、新車載機のアップリンク送信をトリガとしたダウンリンク切り替えを行えず、新車載機を搭載した車両向けの情報を提供することもできない。このため、新車載機を新たに搭載するインセンティブが減殺し、アップリンク速度の高速化が進展しない。
一方、アップリンク方向でマルチレート対応の新光ビーコンと新車載機との通信において、新車載機が、新光ビーコンのダウンリンク領域を通過中に新光ビーコンと通信していることを認識できなければ、高速のアップリンク送信が可能である筈の新車載機が、新光ビーコンに対しても常に低速でアップリンク送信を行うことになり、アップリンク速度の高速化を実現できない。
従って、高低2種類の伝送速度でアップリンク送信できる、アップリンク方向にマルチレート対応の車載機を提供することができ、前記第1の目的が達成される。
従って、高低2種類の伝送速度でアップリンク受信できる、アップリンク方向にマルチレート対応の光ビーコンを提供することができ、前記第1の目的が達成される。
このようにすれば、新車載機のための信号情報を含む下りフレーム(新フレーム)が旧車載機に誤ってダウンリンク送信されるのを確実に防止することができる。
(4) 本発明の光ビーコンは、上述の(1)〜(3)に記載の路車間通信システムに用いられる光ビーコンである。
従って、本発明の光ビーコンは、上述の(1)〜(3)に記載の路車間通信システムと同様の作用効果を奏する。
従って、本発明の路車間通信方法は、上述の(1)に記載の路車間通信システムと同様の作用効果を奏する。本発明の路車間通信方法は、具体的には、次の構成を有する。
第2ステップ:前記車載機が、前記光ビーコンから受信した前記下りフレームに前記ビーコン識別情報が含まれる場合に、前記下りフレームを受信した後に送信する前記上りフレームを高速の伝送速度で送信する。
(6) 本発明の路車間通信方法においても、前記下りフレームの伝送速度は、前記上りフレームの高低2種類の伝送速度よりも大きいことが好ましい。
また、本発明によれば、かかる新光ビーコンと新車載機との間で行う路車間通信において、アップリンク速度の高度化を確実に実現することができる。
〔システムの全体構成〕
図1は、本発明の実施形態に係る路車間通信システムの全体構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態の路車間通信システムは、インフラ側の交通管制システム1と、道路Rを走行する車両20に搭載された車載機2とを備えている。
光ビーコン4は、ビーコン制御機7と、このビーコン制御機7のセンサ用インタフェースに接続された複数(図1では4つ)のビーコンヘッド(投受光器ともいう。)8とを有している。
通信部6は、例えば、信号灯器の灯色を制御する交通信号制御機や、インフラ側における交通情報の中継処理を行う情報中継装置等よりなる。
光ビーコン4のビーコンヘッド8は、電気光変換が可能な光送信部10と、光電気変換が可能な光受信部11とを筐体の内部に有している。
このうち、光送信部10は、近赤外線よりなるダウンリンク光(ダウンリンク方向の光信号)をダウンリンク領域DA(図3参照)に送出する発光素子を有し、光受信部11は、アップリンク領域UA(図3参照)にある車載機2からの近赤外線よりなるアップリンク光(アップリンク方向の光信号)を受光する受光素子を有する。
本実施形態の光ビーコン4では、光送信部10が送信する光信号の伝送速度は、従来の旧光ビーコンと同様に1024kbpsである。
本実施形態の光ビーコン4では、光受信部11は、高低2種類の伝送速度での光電気変換が可能なマルチレート対応であり、低い方の伝送速度は従来の旧光ビーコンと同様に64kbpsである。高い方の伝送速度は、128kbps、192kbps、256kbps、384kbps、512kbps、1024kbpsなどの速度を採用し得るが、本実施形態では1024kbpsであるとする。なお、光受信部11の受信回路の具体例(図10及び図11)については、後述する。
図2に示すように、本実施形態の光ビーコン4は、同じ方向の複数(図例では4つ)の車線R1〜R4を有する道路Rに設置されており、車線R1〜R4に対応して設けられた複数のビーコンヘッド8と、これらのビーコンヘッド8を一括制御する制御部である1台のビーコン制御機7とを備えている。
また、ビーコン制御機7は、通信制御のためのコンピュータプログラムを記憶装置に格納しており、このプログラムをCPUが読み出して実行することにより、当該CPUが上記通信制御部として機能する。
ビーコンヘッド8の発光素子は、車線R1〜R4の直下よりも車両進行方向の上流側に向けて近赤外線を発光しており、これにより、車載機2との間で路車間通信を行うための通信領域Aが当該ヘッド8の上流側に設定されている。
図3は、光ビーコン4の通信領域Aを示す側面図である。
図3に示すように、光ビーコン4の通信領域Aは、ダウンリンク領域(図3において実線のハッチングを設けた領域)DAと、アップリンク領域(図3において破線のハッチングを設けた領域)UAとからなる。
また、アップリンク領域UAは、車載ヘッド22が送出するアップリンク方向の光信号を、ビーコンヘッド8にて受信できる領域であり、上記投受光位置dと、地上1m高さの位置b及びcを頂点とする△dbcで示された範囲である。
旧光ビーコン(光学式車両感知器)の場合、ダウンリンク領域DA及びアップリンク領域UAの正式な領域寸法が規約によって規定されている。
また、アップリンク領域UAの下流端bから同領域UAの上流端cまでの距離は1.6mと規定されている。従って、正式な通信領域Aの車両進行方向の全長(ac間の長さ)は3.7mとなる。
このようにダウンリンク領域DAを広めに設定すると、車載機2がダウンリンク方向の光信号を受信する確実性が増すとともに、通信時間が長くなるのでダウンリンク方向の通信容量を拡大することができる。
このようにダウンリンク領域UAを広めに設定すると、光ビーコン4がアップリンク方向の光信号を受信する確実性が増とともに、通信時間が長くなるのでアップリンク方向の通信容量を拡大することができる。
図3に示すように、本実施形態の車載機2は、車載制御機21と車載ヘッド22とを備えており、車載ヘッド22の内部には、光送信部23と光受信部24が収容されている。
このうち、光送信部23は、近赤外線よりなるアップリンク光(アップリンク方向の光信号)を発光する発光素子を有し、光受信部24は、ダウンリンク領域DAに送出された近赤外線よりなるダウンリンク光(ダウンリンク方向の光信号)を受光する受光素子を有する。
本実施形態の車載機2では、光送信部23は、高低2種類の伝送速度での電気光変換が可能なマルチレート対応であり、低い方の伝送速度は従来の旧車載機と同様に64kbpsである。高い方の伝送速度は、128kbps、192kbps、256kbps、384kbps、512kbps、1024kbpsなどの速度を採用し得るが、本実施形態では1024kbpsであるとする。
本実施形態の車載機2では、光受信部24が受信する光信号の伝送速度は、従来の旧車載機と同様に1024kbpsである。
また、車載制御機21は、通信制御のためのコンピュータプログラムを記憶装置に格納しており、このプログラムをCPUが読み出して実行することにより、当該CPUが上記通信制御部として機能する。
この場合、アップリンク速度を高速化することで、より多くのプローブ情報(走行軌跡を記録する道路区間を長くしたり、同一道路区間における通過位置と通過時刻の記録密度を高くしたりした情報)を送信することが可能になる。
図4は、通信領域Aで行われる路車間通信の手順とデータ内容を示す概念図である。なお、図4に示す路車間通信の手順は、本実施形態の光ビーコン4(新光ビーコン)及び車載機2(新車載機)との間の通信にも踏襲される。
車載機2を搭載した車両20がダウンリンク領域DAに入ると、車載機2の車載ヘッド22が車線通知情報(車両ID無し)を含む第1のダウンリンク情報34を受信する。
その後、車載制御機21は、アップリンク情報35の送信を開始し(図4のF2)、このアップリンク情報35をビーコンヘッド8に対して所定の送信周期で送信する(図4のF3)。
また、車載制御機21は、光ビーコン4のビーコン制御機7がダウンリンクの切り替えを行ったことを検出するまで、当該アップリンク情報35を間欠的に送信し続ける。
この第2のダウンリンク情報36の送信は、所定時間内において可能な限り繰り返される(図5のF6)。
このため、異なる車線R1〜R4を走行する車両20の車載制御機21は、その格納フィールド内のいずれに自車両の車両IDが含まれるかを読み取ることにより、自車両がどの車線R1〜R4を走行しているかを判定できる。
これらの情報は、高速アップリンク送信に非対応の旧車載機に対しても提供されるものであるが、本実施形態では、高速アップリンク送信に対応する本実施形態の車載機2(新車載機)に対しては、例えば、交差点における信号灯色の切り替えタイミングを含む信号情報や、車両20が電気自動車の場合に有用な情報である直近の充電ステーションまでの経路情報など、新車載機用として予め定めた専用情報を提供するものとする。
図4に示すように、ダウンリンク情報35,36は、複数の最小単位の下りフレーム37により構成されている。
旧光ビーコンの規約では、下りフレーム37は、先頭から順に、受信側と同期を取るための同期部38と、ヘッダ部39と、実データ部40と、CRC(Cyclic Redundancy Check )部41とを有する。
また、ダウンリンク切り替え後に光送信部10から送信されるダウンリンク情報36は1〜80個の下りフレーム37で構成され、この下りフレーム37を繰り返して送信できる送信可能時間は、250msに設定されている。
従って、例えば、3つの下りフレーム37で1つの有意なデータを構成する場合は、ダウンリンク情報36の送信周期は約3msになるので、当該ダウンリンク情報36は所定の送信可能時間(250ms)内に約80回繰り返して送信されることになる。
図5は、新旧の光ビーコン4A,4Bと車載機2A,2Bの混在状態を示す図である。
図5に示すように、新光ビーコン4Aは、低速の伝送速度(64kbps)だけでなく高速の伝送速度(例えば1024kbps)でのアップリンク受信に対応している。本実施形態の光ビーコン4は新光ビーコン4Aに該当する。
同様に、新車載機2Aは、低速の伝送速度(64kbps)だけでなく高速の伝送速度(例えば1024kbps)でのアップリンク送信に対応している。本実施形態の車載機2は新車載機2Aに該当する。
同様に、旧車載機2Bは、低速の伝送速度(64kbps)でのアップリンク送信のみを行う車載機、すなわち、高速の伝送速度(例えば1024kbps)でのアップリンク送信に非対応の車載機である。
また、「DL2」は、ダウンリンク切り替え後に新旧の光ビーコン4A,4Bが送信する下りフレーム(図4の第2のダウンリンク情報36)を示している。
この場合、ダウンリンク方向の伝送速度は、新旧いずれの場合も「1024kbps」であるから、新車載機2Aは、新光ビーコン4Aから下りフレームDL1を受信しただけでは、通信相手が新光ビーコン4Aであることを察知できない。
そこで、本実施形態の光ビーコン4では、ビーコン制御機7が、自機が高速アップリンク受信に対応する新光ビーコン4Aである旨のビーコン識別情報を下りフレームDL1,DL2に含める。
そして、ビーコン制御機7は、自機を新光ビーコン4Aとして動作させる場合には、すべての下りフレームDL1,DL2のフラグフィールドをオンにし、自機を旧光ビーコン4Bとして動作させる場合には、すべての下りフレームDL1,DL2のフラグフィールドをオフにする。
以下、上記のビーコン識別情報を下りフレームDL1,DL2に含める規約に従うことを前提とした、新光ビーコン4Aと新車載機2Aが行う上位互換制御について説明する。
図6は、本実施形態の光ビーコン4である、新光ビーコン4Aのビーコン制御機7が行う上位互換制御を示すフローチャートである。
図6に示すように、新光ビーコン4Aのビーコン制御機7は、フラグフィールドをオンに設定した下りフレームDL1を繰り返しダウンリンク送信することにより(図6のステップST1)、自機が新光ビーコン4Aであることを外部に通知している。
上りフレームUL1の受信を検出すると、ビーコン制御機7は、受信した上りフレームUL1の送信主体が、高速の伝送速度(本実施形態では、1024kbps)に対応する新車載機2Aであるか否かを判定する(図6のステップST3)。
また、新車載機2Aの車載制御機21が、自機が高速アップリンク送信対応の新車載機2Aである旨の車載機識別情報を、上りフレームUL1に含める規約を採用してもよい。
そして、車載制御機21は、自機を新車載機2Aとして動作させる場合には、上りフレームUL1のフラグフィールドをオンにし、自機を旧車載機2Bとして動作させる場合には、すべての上りフレームUL1のフラグフィールドをオフにする。
ステップST3の判定結果が否定的である場合、すなわち、上りフレームUL1の送信主体が旧車載機2Bの場合は、ビーコン制御機7は、ダウンリンク切り替え後に旧車載機用のダウンリンク送信を行う(図6のステップST5)。
また、上記ステップST4,ST5における下りフレームDL2のダウンリンク送信の具体例については後述する。
図7は、本実施形態の車載機2である、新車載機2Aの車載制御機21が行う上位互換制御を示すフローチャートである。
図7に示すように、新車載機2Aの車載制御機21は、下りフレームDL1を受信したか否かを常に判定しており(図7のステップST11)、下りフレームDL1を受信した場合には、その下りフレームDL1のフラグフィールドがオンか否かを判定する(図7のステップST12)。
なお、前述の通り、上記ステップST13,ST14における上りフレームUL1のアップリンク送信は、車載制御機21が下りフレームDL2を検出するまで行われる。
図8は、ビーコン制御機7が行う、ダウンリンク切り替え後のダウンリンク送信の具体例を示す図である。
ここで、図8中の「Di」はダウンリンク情報の識別番号であり、識別番号D1〜D10が旧車載機2Bのためのダウンリンク情報として割り当てられ、識別子D11以上が新車載機2Aのためのダウンリンク情報として割り当てられているとする。
従って、図8における識別番号D11の下りフレームDL2は、高速アップリンク送信に対応する新車載機2Aのみに提供可能であり、識別番号D1〜D3の下りフレームDL2は、高速アップリンク送信に非対応の旧車載機2Bに従来から提供されていた下りフレームであり、新車載機2Aにも提供可能である。
この旧車載機用のダウンリンク送信では、ビーコン制御機7は、識別番号D1〜D3の下りフレームDL2をその番号順で繰り返して送信する。
この新車載機用のダウンリンク送信では、ビーコン制御機7は、識別番号D1〜D3の下りフレームDL2の後に、識別番号D11の下りフレームDL2が出現する順序で、下りフレームDL2を繰り返して送信する。すなわち、D1→D2→D3→D11→D1……の順で、下りフレームDL2が送信される。
この新車載機用のダウンリンク送信では、ビーコン制御機7は、識別番号D11の下りフレームDL2が先頭となり、識別番号D1〜D3の下りフレームDL2がその後に続く順序で、下りフレームDL2を繰り返して送信する。すなわち、D11→D1→D2→D3→D11→……の順で、下りフレームDL2が送信される。
もっとも、識別番号D11の下りフレームDL2の送信順、すなわち、第2フレーム群における識別番号D11の位置は、図8(b)に示す最後の場合や図8(c)に示す最初の場合に限らず、2番目や3番目などであってもよい。
図9は、ビーコン制御機7が行う、ダウンリンク切り替え後のダウンリンク送信の変形例を示す図である。
ここでは、ビーコン制御機7が、上りフレームUL1を受信すると、その上りフレームUL1の送信主体の判定(図6のステップST3)を行わずに、すなわち、送信主体が新車載機2Aか旧車載機2Bかに拘わらず、共通のダウンリンク送信を行うことを想定している。
そこで、図9(a)に示す共通のダウンリンク送信では、ビーコン制御機7は、識別番号D1〜D3の下りフレームDL2の後に、識別番号D11の下りフレームDL2が出現する順序で、下りフレームDL2を繰り返して送信する。すなわち、D1→D2→D3→D11→D1……の順で、下りフレームDL2が送信される。
このため、旧車載機2Bのための第1フレーム群と、新車載機2Aのための第2フレーム群とを概ね平等にダウンリンク送信することができる。
このように、第1フレーム群を第2フレーム群と区別して送信すれば、フレーム選択ロジックが旧車載機の機種によって異なっていても、旧車載機2Bがダウンリンク送信を正常に受信する可能性が増すと考えられる。
更に、図9(b)の変形例では、第1フレーム群を最初にダウンリンク送信しているので、新旧の車載機2A,2Bが認識可能な識別番号D1〜D3の下りフレームDL2が新しい識別番号D11の下りフレームDL2よりも早くダウンリンク送信され、旧車載機2Bが従来通りの下りフレームDL2をより確実に受信できるようになる。
以上の通り、本実施形態の光ビーコン4によれば、高低2種類の伝送速度での光電気変換が可能なマルチレートの光受信部11を備えているので、旧車載機2B及び新車載機2Aの双方からの光信号を受信することができる。
また、本実施形態の車載機2によれば、高低2種類の伝送速度での電気光変換が可能なマルチレートの光送信部23を備えているので、旧光ビーコン4B及び新光ビーコン4Aの双方に対して光信号を送信することができる。
従って、アップリンク方向でマルチレート対応の新光ビーコン4Aと新車載機2Aとの間で行う路車間通信において、アップリンク速度の高速化を確実に実現できる。
図10は、光ビーコン4の光受信部11の内部構成を示す回路構成図である。
図10に示すように、本実施形態の光受信部11は、受光したアップリンク方向の光信号を電気信号に変換するフォトダイオードよりなる受光素子50と、この受光素子50に接続された2系列の第1及び第2受信回路51,52とを有する。
信号処理部53は、送受信データのデコーダ、エンコーダ、DPLL(Digital Phase Locked Loop)、DMAC(Direct Memory Access Controller)などを有するプロセッサよりなり、入力された受信信号から上りフレームUL1のデータを取り出して、メモリ54に記録する。また、CPU55は、メモリ54に記録されたデータを中央装置3等の外部装置に送信する中継処理を行ったり、前述の通信制御を行ったりする。
低速用増幅回路51Aは、受光素子50で変換された電気信号を低速帯域で動作して増幅し、その増幅後の電気信号を低速用フィルタ51Bに入力する。低速用フィルタ51Bは、増幅された電気信号の低速成分を抽出して、抽出した低速信号を低速用コンパレータ51Cに入力する。低速用コンパレータ51Cは、入力された低速信号を閾値と比較して得られたデジタルの受信信号を、後段の信号処理部53に出力する。
高速用増幅回路52Aは、受光素子50で変換された電気信号を高速帯域で動作して増幅し、その増幅後の電気信号を高速用フィルタ52Bに入力する。高速用フィルタ52Bは、増幅された電気信号の高速成分を抽出して、抽出した高速信号を高速用コンパレータ52Cに入力する。高速用コンパレータ52Cは、入力された高速信号を閾値と比較して得られたデジタルの受信信号を、後段の信号処理部53に出力する。
このように、本実施形態では、光受信部11が、受光した光信号を電気信号に変換する受光素子50と、2系統の第1及び第2受信回路51,52とを有し、信号処理部53が、双方の受信回路51,52が出力する受信信号にそれぞれデジタル信号処理を行う。
つまり、受信した上りフレームUL1が高速で送信されたとして行う処理と、低速で送信されたとして行う処理の双方を同時に行うことで、いずれの速度であったかに関わらず、いずれかのコンパレータ51C,52Cによって確実に処理することが可能となる。
すなわち、高速で送信された上りフレームUL1であれば、高速用コンパレータ52Cで行われるCRC値は正常であり、低速用コンパレータ51Cで行われるCRC値は異常となる。このため、いずれのCRC値が正常かを判定することで、光ビーコン4は、上りフレームUL1が高速又は低速のいずれで行われたかを察知できる。
このように、図10に示す回路構成の光受信部11を採用すれば、高低2種類の伝送速度でアップリンク受信できる、アップリンク方向にマルチレート対応の光ビーコン4が得られる。
図11は、光ビーコン4の光受信部11の内部構成の変形例を示す回路構成図である。
図11に示すように、この変形例に係る光受信部11は、受光したアップリンク方向の光信号を電気信号に変換するフォトダイオードよりなる受光素子50と、この受光素子50に接続された1系列の共用受信回路60とを有する。
なお、信号処理部53が行う主なデジタル信号処理(送受信データのデコードやエンコードなど)や、CPU55が行う中継処理は、図10の場合と同様である。
このうち、共用増幅回路60Aは、高速帯域で動作する高速用増幅回路よりなり、共用フィルタ60Bは、少なくとも低速成分を抽出できるハイパスフィルタよりなる。共用フィルタ60Bは、低速成分から高速成分までをカバーするバンドパスフィルタでもよい。また、共用コンパレータ60Cは、高速信号と閾値との比較が可能な高速用コンパレータよりなる。
具体的には、信号処理部53は、例えば、入力された受信信号に対して高速と低速の2種類でビット同期を行い、同期を確立できた方の伝送速度を、当該受信信号の伝送速度であると判定する。
すなわち、信号処理部53は、まず、受信信号を高速とみなしてデジタルの受信信号を作成する。つまり、高速のサンプリングレートでサンプリングして受信信号を作成する。そして、CRCの演算処理を行って、CRC値が正常か否かを判定する。正常であれば、その受信信号をそのまま信号処理部53に出力する。
このように、この変形例では、光受信部11が、受光した光信号を電気信号に変換する受光素子50と、1系統の共用受信回路60とを有し、信号処理部53が、共用受信回路60が出力する受信信号から当該受信信号の伝送速度を判定し、判定した伝送速度にて受信信号にデジタル信号処理を行う。
このように、図11に示す回路構成の光受信部11を採用すれば、高低2種類の伝送速度でアップリンク受信できる、アップリンク方向にマルチレート対応の光ビーコン4が得られる。
今回開示した実施形態(上述の各変形例を含む。)はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された構成と均等の範囲内でのすべての変更が含まれる。
また、例えば、送信順序が奇数又は偶数の下りフレームDL1,DL2にビーコン識別情報を含めてもよいし、次第に長周期となる変動周期で発生する下りフレームDL1,DL2にビーコン識別情報を含めてもよい。
2A 新車載機
2B 旧車載機
4 光ビーコン
4A 新光ビーコン
4B 旧光ビーコン
7 ビーコン制御機(通信制御部)
8 ビーコンヘッド
10 光送信部
11 光受信部
20 車両
21 車載制御機(通信制御部)
22 車載ヘッド
23 光送信部
24 光受信部
50 受光素子
51 第1受信回路
52 第2受信回路
53 信号処理部
60 共用受信回路
Claims (6)
- 走行中の車両の車載機と、当該車載機と光信号による無線通信を行う光ビーコンと、を備えた路車間通信システムであって、
前記光ビーコンは、
高低2種類の伝送速度での光電気変換が可能な光受信部と、
所定の伝送速度での電気光変換が可能な光送信部と、
前記光送信部にダウンリンク送信させる下りフレームに、自機が高速アップリンク受信に対応していることを示すビーコン識別情報を含めるように構成された通信制御部と、を備え、
前記車載機は、
前記所定の伝送速度での光電気変換が可能な車載機光受信部と、
前記高低2種類の伝送速度での電気光変換が可能な車載機光送信部と、
前記光ビーコンから受信した前記下りフレームに前記ビーコン識別情報が含まれる場合に、前記下りフレームを受信した後に送信する上りフレームを前記車載機光送信部に高速の伝送速度でアップリンク送信させるように構成された車載機通信制御部と、備えていることを特徴とする路車間通信システム。 - 前記車載機通信制御部は、前記車載機光送信部にアップリンク送信させる前記上りフレームに、自機が高速アップリンク送信に対応していることを示す車載機識別情報を含めることができ、
前記通信制御部は、前記車載機から受信した前記上りフレームに前記車載機識別情報が含まれる場合に、前記光送信部にダウンリンク送信させる前記下りフレームに、高速アップリンク送信に対応する新車載機のための信号情報を含めることができる請求項1に記載の路車間通信システム。 - 前記下りフレームの伝送速度は、前記上りフレームの高低2種類の伝送速度よりも大きい請求項1又は2に記載の路車間通信システム。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の路車間通信システムに用いられる光ビーコン。
- 高速アップリンク送信に対応する車載機と高速アップリンク受信に対応する光ビーコンとの間で、光信号を用いた無線通信によって行う路車間通信方法であって、
前記光ビーコンが、下りフレームに、自機が高速アップリンク受信に対応していることを示すビーコン識別情報を含める第1ステップと、
前記車載機が、前記光ビーコンから受信した前記下りフレームに前記ビーコン識別情報が含まれる場合に、前記下りフレームを受信した後に送信する前記上りフレームを高速の伝送速度で送信する第2ステップと、
を含むことを特徴とする路車間通信方法。 - 前記下りフレームの伝送速度は、前記上りフレームの高低2種類の伝送速度よりも大きい請求項5に記載の路車間通信方法。
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