近年、半導体素子における配線の微細化が進んだ結果、ウエハ表面を酸化や汚染から守るために、容器内部をより効率的かつ高清浄度にパージ処理する技術が求められている。
特許文献1に係る除電方法は、容器内部の除電において効果的ではあるものの、より微細な回路設計が要求される場合には、除電の確実性をさらに高める必要がある。
一方、特許文献2に係る除電方法は、密閉空間を形成することにより確実な除電が可能であるが、除電に多くの時間を要する上、密閉空間形成のための駆動系やチャンバ等、装置構成部材の増加を伴うため、装置の大型化、コスト増を招くという問題がある。
本発明は、このような実情に鑑みてなされ、簡便な機構によって容器内を迅速かつ確実に除電することができるロードポート装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、ウエハを出し入れするための主開口が側面に形成された容器を載置する載置台と、前記主開口に連通する装置開口が形成されており、前記載置台に載置された前記容器に対向する外側面と前記外側面とは反対側の内側面とを有する壁部と、前記主開口を開閉するドアと、前記壁部の前記内側面側から前記装置開口及び前記主開口を介して前記容器の内部に導入される清浄化ガスの第1気流を発生させる第1気流発生手段と、前記壁部の前記内側面側における前記装置開口の上方から前記装置開口の開口面に沿って流下する清浄化ガスの第2気流を発生させる第2気流発生手段と、前記第1気流を形成する清浄化ガス及び前記第2気流を形成する清浄化ガスにイオンを供給するイオン発生手段とを有することを特徴とするロードポート装置である。
本態様によれば、容器の内部に導入される第1気流を形成する清浄化ガス及び装置開口の開口面に沿って流下する第2気流を形成する清浄化ガスにイオンを供給するイオン発生手段を有するため、容器の内部及びウエハを除電、清浄化するとともに、容器内に入り込む可能性がある装置開口周辺の空気等にもイオンを供給することにより、容器内へのイオンの導入効率を高めることができる。
本発明の第2の態様は、上記第1の態様において、前記イオン発生手段が、前記第1気流を形成する清浄化ガスにイオンを供給する第1イオナイザと、前記第2気流を形成する清浄化ガスにイオンを供給する第2イオナイザとを備えることを特徴とするロードポート装置である。
本態様によれば、第1気流を形成する清浄化ガスにイオンを供給するイオナイザと第2気流を形成する清浄化ガスにイオンを供給するイオナイザを別個に設けることで、容器の内部及び装置開口周辺をより確実に除電することができる。
本発明の第3の態様は、上記第2の態様において、前記第1イオナイザが、前記第1気流発生手段の内部に配置されていることを特徴とするロードポート装置である。
本態様によれば、第1気流が形成される前に第1気流発生手段の内部で清浄化ガスをイオン化するため、清浄化ガスを確実かつ均等にイオン化することができる。そのため、容器の内部をより確実かつ均一に除電することができる。
本発明の第4の態様は、上記第2の態様において、前記第1イオナイザが、前記装置開口と前記第1気流発生手段との間の前記第1気流中または前記第1気流の側部に配置されていることを特徴とするロードポート装置である。
本態様によれば、第1気流発生手段の内部等に設置スペースを確保できない場合でも、清浄化ガスの第1気流にイオンを供給し、容器の内部を除電することができる。
本発明の第5の態様は、上記第2の態様において、前記第1気流発生手段に清浄化ガスを供給する第1ガス供給管を有し、前記第1イオナイザは、前記第1ガス供給管に配置されていることを特徴とするロードポート装置である。
本態様によれば、第1気流が形成される前に第1ガス供給管において清浄化ガスを確実かつ均等にイオン化することで、容器の内部をより確実かつ均一に除電することができる。また、イオナイザが第1気流発生手段の上流側に配置されるため、例えば、第1気流発生手段が複数のガスパージノズルからなる場合でも、これらに共通のガス供給管に第1イオナイザを配置することで、各ガスパージノズルにイオナイザを設ける必要がなく、1つのイオナイザによってすべてのガスパージノズルにイオン化した清浄化ガスを供給することができる。
本発明の第6の態様は、上記第2〜第5の態様において、前記第2イオナイザが、前記第2気流発生手段の内部に配置されていることを特徴とするロードポート装置である。
本態様によれば、第2気流が形成される前に第2気流発生手段の内部で清浄化ガスをイオン化するため、清浄化ガスを確実かつ均等にイオン化することができる。そのため、装置開口周辺の空気等をより確実かつ均一に除電することができる。
本発明の第7の態様は、上記第2〜第5の態様において、前記第2イオナイザが、前記装置開口と前記第2気流発生手段との間の前記第2気流中または前記第2気流の側部に配置されていることを特徴とするロードポート装置である。
本態様によれば、第2気流発生手段の内部等に設置スペースを確保できない場合でも、清浄化ガスの第2気流にイオンを供給し、装置開口周辺の空気等を除電することができる。
本発明の第8の態様は、上記第2〜第5の態様において、前記第2気流発生手段に清浄化ガスを供給する第2ガス供給管を有し、前記第2イオナイザは、前記第2ガス供給管に配置されていることを特徴とするロードポート装置である。
本態様によれば、第2気流が形成される前に第2ガス供給管において清浄化ガスを確実かつ均等にイオン化することで、装置開口周辺の空気等をより確実かつ均一に除電することができる。また、イオナイザが第2気流発生手段の上流側に配置されるため、例えば、第2気流発生手段が複数のガスノズルからなる場合でも、これらに共通のガス供給管に第2イオナイザを配置することで、各ガスノズルにイオナイザを設ける必要がなく、1つのイオナイザによってすべてのガスノズルにイオン化した清浄化ガスを供給することができる。
本発明の第9の態様は、上記第1の態様において、前記第1気流発生手段と前記第2気流発生手段に清浄化ガスを供給する共通ガス供給管を有し、前記イオン発生手段は、前記共通ガス供給管に配置されていることを特徴とするロードポート装置である。
本態様によれば、共通ガス供給管にイオナイザを配置することで、1つのイオナイザによって第1気流発生手段と第2気流発生手段にイオン化された清浄化ガスを供給することができる。そのため、複数のイオナイザの設置に係るコストやスペースを節約することができる。
本発明の第10の態様は、上記第1の態様において、前記イオン発生手段が、前記第2気流発生手段の内部に配置されており、前記イオン発生手段によってイオンを供給された前記第2気流の少なくとも一部が前記第1気流に巻き込まれることで前記第1気流にイオンが供給されることを特徴とするロードポート装置である。
本態様によれば、イオン発生手段によってイオンを供給された清浄化ガスの第2気流の一部が第1気流に乗って容器内に導入されるため、第1気流発生手段にイオン発生手段を設けることなく容器の内部を除電することができる。また、第2気流が形成される前に第2気流発生手段の内部で清浄化ガスをイオン化するため、清浄化ガスを確実かつ均等にイオン化することができる。そのため、装置開口周辺の空気等をより確実かつ均一に除電することができる。
本発明の第11の態様は、上記第1の態様において、前記イオン発生手段が、前記装置開口と前記第2気流発生手段との間の前記第2気流中または前記第2気流の側部に配置されており、前記イオン発生手段によってイオンを供給された前記第2気流の少なくとも一部が前記第1気流に巻き込まれることで前記第1気流にイオンが供給されることを特徴とするロードポート装置である。
本態様によれば、イオン発生手段によってイオンを供給された清浄化ガスの第2気流の一部が第1気流に乗って容器内に導入されるため、第1気流発生手段にイオン発生手段を設けることなく容器の内部を除電することができる。また、第2気流発生手段の内部等に設置スペースを確保できない場合でも、清浄化ガスの第2気流にイオンを供給し、装置開口周辺の空気等を除電することができる。
本発明の第12の態様は、上記第1の態様において、前記第2気流発生手段に清浄化ガスを供給する第2ガス供給管を有し、前記イオン発生手段は、前記第2ガス供給管に配置されており、前記イオン発生手段によってイオンを供給された前記第2気流の少なくとも一部が前記第1気流に巻き込まれることで前記第1気流にイオンが供給されることを特徴とするロードポート装置である。
本態様によれば、イオン発生手段によってイオンを供給された清浄化ガスの第2気流の一部が第1気流に乗って容器内に導入されるため、第1気流発生手段にイオン発生手段を設けることなく容器の内部を除電することができる。また、第2気流が形成される前に第2ガス供給管において清浄化ガスを確実かつ均等にイオン化することで、装置開口周辺の空気等をより確実かつ均一に除電することができる。また、第2気流発生手段の上流側にイオナイザが配置されるため、例えば、第2気流発生手段が複数のガスノズルからなる場合でも、これらに共通のガス供給管に第2イオナイザを配置することで、各ガスノズルにイオナイザを設ける必要がなく、1つのイオナイザによってすべてのガスノズルにイオン化した清浄化ガスを供給することができる。
本発明の第13の態様は、上記第1〜第12の態様において、前記第1気流発生手段が、前記内側面における前記装置開口の両側部に配置されることを特徴とするロードポート装置である。
本態様によれば、容器内で鉛直方向に沿って所定の間隔を開けて配置された複数のウエハに対して、イオン化された清浄化ガスを均一に供給することができるため、確実にウエハを除電することができる。
本発明の第14の態様は、上記第1の態様において、前記第1気流発生手段と前記第2気流発生手段とが一体化された多方向気流発生手段を有することを特徴とするロードポート装置である。
本態様によれば、イオン発生手段によってイオンを供給された清浄化ガスの一部が第1気流によって容器内に導入され、他の一部が第2気流を形成するため、容器の内部及び装置開口周辺の空気等を除電することができる。また、第1気流発生手段と第2気流発生手段が一体化された多方向気流発生手段を有することで、別途第1気流発生手段やイオン発生手段を設ける必要がないため、これらの設置に係るコストやスペースを節約することができる。
本発明の第15の態様は、上記第14の態様において、前記イオン発生手段が、前記多方向気流発生手段の内部に配置されていることを特徴とするロードポート装置である。
本態様によれば、上記第14の態様の効果に加え、第1気流及び第2気流が形成される前に多方向気流発生手段の内部で清浄化ガスをイオン化するため、容器の内部及び装置開口周辺の空気等をより確実かつ均一に除電することができる。
本発明の第16の態様は、上記第14の態様において、前記イオン発生手段が、前記装置開口と前記多方向気流発生手段との間の前記第1気流中または前記第1気流の側部、及び、前記装置開口と前記多方向気流発生手段との間の前記第2気流中または前記第2気流の側部に配置されていることを特徴とするロードポート装置である。
本態様によれば、上記第14の態様の効果に加え、多方向気流発生手段の内部等に設置スペースを確保できない場合でも、清浄化ガスの第1気流及び第2気流にイオンを供給し、容器の内部及び装置開口周辺の空気等を除電することができる。
本発明の第17の態様は、上記第14の態様において、前記多方向気流発生手段に清浄化ガスを供給する第3ガス供給管を有し、前記イオン発生手段は、前記第3ガス供給管に配置されていることを特徴とするロードポート装置である。
本態様によれば、上記第14の態様の効果に加え、第1気流及び第2気流が形成される前に第3ガス供給管において清浄化ガスをイオン化することで、容器の内部及び装置開口周辺の空気等をより確実かつ均一に除電することができる。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づいて説明する。
まず、図1及び図2を用いて、本発明の一実施形態に係るロードポート装置10の概略構造について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るロードポート装置10及びこれを含むEFEM50の概略図、図2は、図1に示すロードポート装置10の一部概略斜視図である。
図1に示すように、EFEM(イーフェム、Equipment front end module)50は、ロードポート装置10と、ミニエンバイロメント装置51を有する。
ミニエンバイロメント装置51は、ウエハ搬送室52と、ウエハ搬送機54と、ファンフィルタユニット(FFU)56とを有する。ウエハ搬送機54は、ウエハ搬送室52内に設けられており、ウエハ1を把持するアーム54aと、アーム54aを移動させるアーム駆動部(不図示)とを有し、ウエハ1を搬送可能に構成されている。容器2の内部に収容されたウエハ1は、ウエハ搬送機54によって、クリーン状態に維持されたウエハ搬送室52を介して処理室70の内部に搬送される。処理室70は、ウエハ1に対して所定の処理を行う装置の一部であり、処理室70内では、アーム54aによって搬送されたウエハ1に対して順次所定の処理が行われる。処理室70を含む装置としては、例えば、蒸着装置、スパッタリング装置、エッチング装置などの半導体製造プロセスで用いられる装置が挙げられる。処理室70において所定の処理が終了したウエハ1は、ウエハ搬送機54によって、処理室70から再び容器2の内部に搬送される。
ウエハ搬送室52の天井部には、ファンフィルタユニット56が設けられている。ファンフィルタユニット56は、送風ファンと塵埃フィルタ(不図示)等で構成され、ウエハ搬送室52の内部に清浄な空気をダウンフローで供給することで、ウエハ搬送室52の内部に局所的清浄環境を形成する。
ウエハ搬送室52は、ウエハ1を搬送するための容器2と処理室70とを連結する空間である。ウエハ搬送室52の端部には、その外壁に形成された開口を塞ぐようにロードポート装置10が組み込まれている。
ロードポート装置10は、容器2の内部に密封状態で収容されたウエハ1を、クリーン状態を維持しながらウエハ搬送室52の内部に移し替えるためのインターフェース装置である。ロードポート装置10は、載置台12と、可動テーブル14を有する。可動テーブル14は、載置台12の上に配置されており、載置台12に対してX軸方向に移動可能に構成されている。可動テーブル14の上部には、容器2が着脱自在に載置される。
容器2は、例えば、複数のウエハ1を密封して保管及び搬送するためのフープ(FOUP)である。図1に示すように、容器2の内部には、ウエハ1を収容するための空間が形成されている。容器2は、略箱状の形状を有しており、容器2が有する複数の側面の一つには、容器2の内部に収容したウエハ1を出し入れするための主開口2aが形成されている。また、容器2は、主開口2aを密閉するための蓋4を備えている。
容器2の内部には、複数のウエハ1を互いに接触しないように重ねて収容するための複数の段を有する棚(不図示)が設けられている。ウエハ1は、棚の各段に1枚ずつ配置されることにより、水平に保持され、かつ、鉛直方向(Z軸方向)に沿って所定の間隔を開けた状態で容器2内に収容される。
ロードポート装置10はさらに、装置開口13が形成された壁部11と、容器2の主開口2aを開閉するドア18とを有する。図2に示すように、壁部11は、載置台12に載置された容器2に対向する外側面11bと、外側面11bとは反対側の内側面11aとを有しており、ウエハ搬送室52を密封する外壁の一部として機能する。図3Aに示すように、可動テーブル14がX軸正方向に移動され、蓋4が取り付けられた容器2の開口縁2bが装置開口13の内部に嵌入されることで、装置開口13は主開口2aに接続される。なお、主開口2a及び装置開口13の形状は特に限定されないが、通常、略矩形である。
装置開口13と主開口2aとが接続された後、図3Bに示すように、ロードポート装置10のドア18が、主開口2aを閉鎖している蓋4とともにX軸正方向(ウエハ搬送室52の内部)に移動することにより、蓋4を主開口2aから取り外す。ロードポート装置10では、ドア18が容器2の主開口2aを開放することにより、主開口2a及び装置開口13を介して、容器2の内部とウエハ搬送室52とが連通する。
ロードポート装置10はさらに、容器2の底面から容器2の内部に清浄化ガスを導入するボトムガス導入部5を有する。ボトムガス導入部5は、容器2の底面に設けられた底孔に対して、可動テーブル14から突出して接続可能なガス導入ノズルを有しており、底孔から清浄化ガスを容器2内に導入する。なお、ボトムガス導入部5は、容器2の主開口2aが蓋4で閉鎖された状態において、容器2の内部に清浄化ガスを導入することができるが、このような場合だけでなく、容器2の内部とウエハ搬送室52とが連通した状態でも、容器2の内部に清浄化ガスを導入することができる。ボトムガス導入部5には、配管部(不図示)を介して清浄化ガスが供給される。ボトムガス導入部5によって容器2の内部に導入される清浄化ガスの種類は特に限定されないが、例えば窒素ガス等が好適に用いられる。
図2に示すように、ロードポート装置10は、容器2の主開口2aから容器2の内部に清浄化ガスを導入するフロントガス導入部20を有する。フロントガス導入部20は、壁部11の内側面11a側に設けられた第1気流発生手段としてのガスパージノズル20aを有している。図3Cに示すように、ガスパージノズル20aは、容器2の内部とウエハ搬送室52とが連通した状態において、壁部11の内側面11a側から装置開口13及び主開口2aを介して容器2の内部に流入する清浄化ガスの第1気流F1を発生させる。
図2に示すように、ガスパージノズル20aは、壁部11の内側面11aにおける装置開口13の両側部13aに設けられている。また、ガスパージノズル20aのノズル開口は、容器2の内部に清浄化ガスを導入するために、主開口2aに向けて配置される。なお、ガスパージノズル20aの位置は、装置開口13の両側部13aに限定されるものではなく、容器2の内部に清浄化ガスを導入できる位置であればよい。例えば、ガスパージノズル20aは、装置開口13の上方や下方、あるいはドア18に配置してもよい。
ガスパージノズル20aには、図示しない清浄化ガスの供給源から、第1ガス供給管21を介して清浄化ガスが供給される。フロントガス導入部20によって容器2の内部に導入される清浄化ガスの種類は特に限定されないが、例えば窒素ガス等が好適に用いられる。
図3Bに示すように、ロードポート装置10は、壁部11の内側面11a側における装置開口13の上方から装置開口13の開口面に沿って清浄化ガスのダウンフローを形成するダウンフロー形成部30を有する。フロントパージを行う際、ダウンフロー形成部30によって清浄化ガスのダウンフローを形成することで、ウエハ搬送室52内の空気が容器2の内部に侵入することを効果的に防止できる。
ダウンフロー形成部30は、壁部11の内側面11a側における装置開口13の上方に設けられた第2気流発生手段としてのカーテンノズル30aを有しており、カーテンノズル30aは、装置開口13の開口面に沿って鉛直下方(Z軸負方向)に流下する清浄化ガスの第2気流F2を発生させる。図2に示すように、カーテンノズル30aは、装置開口13上方の内側面11aからウエハ搬送室52内に突出するように設けられる。また、カーテンノズル30aのノズル開口は、ダウンフローを形成するように、鉛直下方(Z軸負方向)に向けて配置される。カーテンノズル30aには、清浄化ガスの供給源から第2ガス供給管31を介して清浄化ガスが供給される。ダウンフローを形成する清浄化ガスの種類は特に限定されないが、例えば窒素ガス等が好適に用いられる。
図2に示すように、ロードポート装置10は、第1気流F1(図3C参照)を形成する清浄化ガス及び第2気流F2(図3B参照)を形成する清浄化ガスにイオンを供給するイオン発生手段40を有する。イオン発生手段40は、第1気流F1を形成する清浄化ガスにイオンを供給する第1イオナイザ40aと、第2気流F2を形成する清浄化ガスにイオンを供給する第2イオナイザ40bとを備える。
第1イオナイザ40aは、図2に示すように、ガスパージノズル20aの内部(例えば、内壁等)に配置されている。第1イオナイザ40aは、例えば、放電針を備えており、放電針と対向電極の間に高電圧を印加することで生じるコロナ放電により周囲のガスをイオン化するように構成される。ガスパージノズル20aの内部で第1イオナイザ40aによってイオン化された清浄化ガスは、ガスパージノズル20aのノズル開口から放出され、装置開口13及び主開口2aを通じて容器2内に導入される。これにより、容器2の内部にイオンを供給し、容器2の内部及びこれに収容されたウエハ1を除電しつつ清浄化することができる。
第2イオナイザ40bは、図2に示すように、カーテンノズル30aの内部(例えば、内壁等)に配置されている。第2イオナイザ40bは、例えば、第1イオナイザ40aと同様に、コロナ放電により周囲のガスをイオン化するように構成される。カーテンノズル30aの内部で第2イオナイザ40bによってイオン化された清浄化ガスは、カーテンノズル30aのノズル開口から放出され、図3Bに示すように、装置開口13の開口面に沿って流下する清浄化ガスの第2気流F2を形成する。第2気流F2は、ウエハ搬送室52内の空気が容器2の内部に侵入することを防止しつつ、容器2の外部において、ウエハ1の品質に影響を生じ得る領域の除電を行うことができる。すなわち、第2気流F2は、容器2内に入り込む可能性があるウエハ搬送室52内の装置開口13周辺の空気を除電することができる。また、第2気流F2は、蓋4やドア18、パージノズル20a等を除電し、これらに付着した汚染物質等を除去することができる。
第1イオナイザ40a及び第2イオナイザ40bの駆動は、ロードポート装置10の制御部(不図示)によって制御される。ロードポート装置10の制御部は、第1イオナイザ40a及び第2イオナイザ40bに制御信号を送り、第1イオナイザ40a及び第2イオナイザ40bのオン・オフを制御する。例えば、第1イオナイザ40a及び第2イオナイザ40bは、ロードポート装置10の制御部からイオナイザのオン信号を受け取ると、第1イオナイザ40a及び第2イオナイザ40bの放電針に高電圧を印加して、イオン化を開始する。また、第1イオナイザ40a及び第2イオナイザ40bは、ロードポート装置10の制御部からイオナイザのオフ信号を受信すると、第1イオナイザ40a及び第2イオナイザ40bの放電針への電圧印加を終了して、イオン化を停止する。
以下、ロードポート装置10の容器2内部の除電動作について、一例を挙げて説明する。除電動作は、例えば図3Bに示すように、ドア18によって容器2の主開口2aから蓋4が取り外され、主開口2aが開放されるタイミングで開始される。除電動作を開始するとき、ロードポート装置10の制御部から、図2に示す第1イオナイザ40a及び第2イオナイザ40bにイオナイザのオン信号が送信され、第1イオナイザ40a及び第2イオナイザ40bの放電針に高電圧が印加される。
続いて、図3Bに示すように、ガスパージノズル20a及びカーテンノズル30aのノズル開口から清浄化ガスが放出され、第1気流F1(フロントパージ)及び第2気流F2(ダウンフロー)が形成される。この際、図2に示すように、ガスパージノズル20aの内部にある第1イオナイザ40aと、カーテンノズル30aの内部にある第2イオナイザ40bからは、各ノズル20a、30a内の清浄化ガスに対して、イオンが供給される。そのため、図3Bに示すように、第1イオナイザ40aによってイオンを供給された清浄化ガスの第1気流F1が、装置開口13及び主開口2aを介して容器2内に導入されるとともに、第2イオナイザ40bによってイオンを供給された清浄化ガスの第2気流F2が、装置開口13の開口面に沿って流下し、ダウンフローを形成する。これにより、容器2内部のウエハ1が除電、清浄化されるとともに、容器2内に入り込む可能性がある装置開口13周辺の空気や、蓋4、ドア18、パージノズル20a等、容器2の外部においてウエハ1の品質に影響を与え得る領域の除電及び汚染物質の除去が行われる。
次に、図3Cに示すように、ロードポート装置10の制御部は、蓋4をドア18とともに鉛直下方(Z軸負方向)に移動させる。容器2の主開口2aが完全に開放されると、ウエハ搬送機54のアーム54aは、装置開口13及び主開口2aを通じて容器2の内部からウエハ1を取り出し、ウエハ搬送室52内に搬送する。ロードポート装置10は、ウエハ搬送機54によるウエハ1の搬送作業中も、主開口2aが開放されている間は、イオンを含む清浄化ガスの第1気流F1及び第2気流F2の形成を継続する。これにより、ウエハ搬送室52内の空気が容器2内に流入することを防止し、容器2内を清浄な環境に保つとともに、放電によるウエハ1の損傷を防止することができる。ウエハ1の搬送作業が終了すると、ロードポート装置10の制御部は、ドア18により容器2の主開口2aを蓋4で閉鎖し、ガスパージノズル20a及びカーテンノズル30aによる清浄化ガスの放出を停止する。また、ロードポート装置10の制御部から第1イオナイザ40a及び第2イオナイザ40bに対して、イオナイザのオフ信号が送信され、第1イオナイザ40a及び第2イオナイザ40bによるイオンの供給を停止する。
以上、本発明に係るロードポート装置10の第1の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
図4は、第1変形例に係るロードポート装置110を、装置開口13周辺を拡大して表示した断面図である。ロードポート装置110は、第1イオナイザ140aの位置が異なることを除き、第1の実施形態に係るロードポート装置10と同様であるため、ロードポート装置110については、ロードポート装置10との相違点のみ説明する。
図4に示すように、ロードポート装置110の第1イオナイザ140aは、装置開口13とガスパージノズル120aとの間の第1気流F1中に配置されている。
本変形例では、フロントガス導入部120におけるガスパージノズル120aのノズル開口から放出された清浄化ガスが、第1イオナイザ140aによってイオン化された後、装置開口13及び主開口2aを通じて容器2内に導入される。そのため、ガスパージノズル120aの内部にイオナイザの設置スペースを確保できない場合でも、ロードポート装置10と同様に清浄化ガスの第1気流F1にイオンを供給し、容器2の内部を除電することができる。
なお、第1イオナイザ140aは、ガスパージノズル120aと一体的に(例えば、ノズル面等)接続されてもよいし、ガスパージノズル120aとは別体として分離して配置されてもよい。また、第1イオナイザ140aは、第1気流F1の側部に配置され、第1イオナイザ140aによってイオン化したガスを第1気流F1に供給するように構成されてもよい。
図5は、第2変形例に係るロードポート装置210を、装置開口13周辺を拡大して表示した概略図である。ロードポート装置210は、第2イオナイザ240bの位置が異なることを除き、第1の実施形態に係るロードポート装置10と同様であるため、ロードポート装置210については、ロードポート装置10との相違点のみ説明する。
図5に示すように、ロードポート装置210の第2イオナイザ240bは、装置開口13とカーテンノズル230aとの間の第2気流F2中に配置されている。
本変形例では、カーテンノズル230aのノズル開口から放出された清浄化ガスが、第2イオナイザ240bによってイオン化されるとともに、装置開口13の開口面に沿って第2気流F2を形成する。そのため、カーテンノズル230aの内部にイオナイザの設置スペースを確保できない場合でも、ロードポート装置10と同様に、清浄化ガスの第2気流F2にイオンを供給し、装置開口13周辺の空気等を除電することができる。
なお、第2イオナイザ240bは、カーテンノズル230aと一体的に(例えば、ノズル面等)接続されてもよいし、カーテンノズル230aとは別体として分離して配置されてもよい。また、第2イオナイザ240bは、第2気流F2の側部に配置され、第2イオナイザ240bによってイオン化したガスを第2気流F2に供給するように構成されてもよい。
図6は、第3変形例に係るロードポート装置310の一部概略斜視図である。ロードポート装置310は、第1イオナイザ340a及び第2イオナイザ340bの位置が異なることを除き、第1の実施形態に係るロードポート装置10と同様であるため、ロードポート装置310については、ロードポート装置10との相違点のみ説明する。
図6に示すように、ロードポート装置310の第1イオナイザ340aは、清浄化ガスの供給源からガスパージノズル320aに清浄化ガスを供給する第1ガス供給管21に配置されている。また、ロードポート装置310の第2イオナイザ340bは、清浄化ガスの供給源からカーテンノズル330aに清浄化ガスを供給する第2ガス供給管31に配置されている。
本変形例では、第1ガス供給管21において清浄化ガスが確実かつ均等にイオン化された後、第1気流F1が形成される。そのため、容器2の内部をより確実かつ均一に除電することができる。また、第2ガス供給管31において清浄化ガスが確実かつ均等にイオン化された後、第2気流F2が形成される。そのため、装置開口13周辺の空気等をより確実かつ均一に除電することができる。
なお、第1イオナイザ340aが第1ガス供給管21に配置された構成と、第2イオナイザ340bが第2ガス供給管31に配置された構成とは、相互に独立した構成として実施することもできる。例えば、第1イオナイザ340aを第1ガス供給管21に配置し、第2イオナイザ340bをカーテンノズル330aの内部に配置してもよい。また例えば、第1イオナイザ340aをガスパージノズル320aの内部に配置し、第2イオナイザ340bを第2ガス供給管31に配置してもよい。
図7は、第4変形例に係るロードポート装置410の一部概略斜視図である。ロードポート装置410は、イオン発生手段440及びガス供給管の形態が異なることを除き、第1の実施形態に係るロードポート装置10と同様であるため、ロードポート装置410については、ロードポート装置10との相違点のみ説明する。
図7に示すように、ロードポート装置410のイオン発生手段440は、清浄化ガスの供給源からガスパージノズル420aとカーテンノズル430aに清浄化ガスを供給する共通ガス供給管32に配置されている。
本変形例では、共通ガス供給管32にイオン発生手段440を配置することで、1つのイオン発生手段440によってガスパージノズル420aとカーテンノズル430aにイオン化された清浄化ガスを供給することができる。そのため、複数のイオン発生手段の設置に係るコストやスペースを節約することができる。
図8は、第5変形例に係るロードポート装置510の概略図である。ロードポート装置510は、イオン発生手段540の形態が異なることを除き、第1の実施形態に係るロードポート装置10と同様であるため、ロードポート装置510については、ロードポート装置10との相違点のみ説明する。
図8(a)に示すように、ロードポート装置510のイオン発生手段540は、カーテンノズル530aの内部に配置されている。
本変形例では、図8(a)、図8(b)及び図8(c)に示すように、イオン発生手段540によってイオンを供給された清浄化ガスの第2気流F2の少なくとも一部が第1気流F1に巻き込まれることで、第1気流F1にイオンが供給される。第2気流F2から第1気流F1に供給されたイオンが第1気流F1に乗って容器2の内部に導入されることで、容器2の内部及びこれに収容されたウエハ1が除電される。すなわち、本変形例では、ガスパージノズル520aにイオナイザを設けることなく、カーテンノズル530aにのみイオン発生手段を設けることで、イオナイザの設置に係るコストやスペースを節約しつつ、ロードポート装置10と同様に容器2の内部及び装置開口13周辺の空気等を除電することができる。
なお、本変形例において、イオン発生手段540の位置は、カーテンノズル530aの内部に限定されない。例えば、イオン発生手段540は、装置開口13とカーテンノズル530aとの間の第2気流F2中または第2気流F2の側部に配置されてもよいし、清浄化ガスの供給源からカーテンノズル530aに清浄化ガスを供給する第2ガス供給管31に配置されてもよい。
図9は、第6変形例に係るロードポート装置610の概略図である。ロードポート装置610は、多方向気流発生手段35を有することを除き、第1の実施形態に係るロードポート装置10と同様であるため、ロードポート装置610については、ロードポート装置10との相違点のみ説明する。
図9(a)、図9(b)及び図9(c)に示すように、ロードポート装置610は、第1気流発生手段と第2気流発生手段とが一体化された(すなわち、第1気流F1と第2気流F2を発生する)多方向気流発生手段35を有する。多方向気流発生手段35は、ロードポート装置10のカーテンノズル30aと同様に壁部11の内側面11a側における装置開口13の上方に配置され、容器2の内部に向かって清浄化ガスの第1気流F1を形成するとともに、装置開口13の開口面に沿って流下する清浄化ガスの第2気流F2を形成する。
本変形例では、イオン発生手段640は、図9(a)に示すように、多方向気流発生手段35の内部に配置される。イオン発生手段640によってイオンを供給された清浄化ガスの一部は、第1気流F1によって容器2内に導入され、他の一部は第2気流F2を形成するため、ロードポート装置10と同様に容器2の内部及び装置開口13周辺の空気等を除電することができる。さらに、ガスパージノズルとカーテンノズルが一体化されていることで、別途パージノズルを設ける必要がなく、また、複数のイオン発生手段も不要であるため、これらの設置に係るコストやスペースを節約することができる。
なお、本変形例において、イオン発生手段640の位置は、多方向気流発生手段35の内部に限定されない。例えば、イオン発生手段640は、図9(b)に示すように、装置開口13と多方向気流発生手段35との間の第2気流F2中または第2気流F2の側部に配置されてもよいし、図9(c)に示すように、清浄化ガスの供給源から多方向気流発生手段35に清浄化ガスを供給する第3ガス供給管に配置されてもよい。